JP5436170B2 - データ送信装置及びデータ送信方法 - Google Patents
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Description
測位信号を送信する人工衛星から前記測位信号を受信して所定の情報を出力する複数の電子基準点のそれぞれから、前記所定の情報を電子基準点情報として収集する収集部と、
前記収集部の収集した前記電子基準点情報を使用することにより、前記電子基準点の位置を測位する場合の測位精度に影響するとともに前記電子基準点のそれぞれに固有な誤差量を示す基準点固有誤差を前記複数の電子基準点のそれぞれについて計算する第1計算部と、
所定の地域がN個(Nは2以上の整数)に分割された各地域のデータを示すN個の地域データの各地域データであって前記地域の中の位置を示す複数の位置表示点が設定されている各地域データを対象として、前記複数の位置表示点のそれぞれに対して、前記位置表示点の示す位置を測位する場合の測位精度に影響するとともに前記位置表示点のそれぞれに固有な誤差量を示す表示点固有誤差データを前記第1計算部が計算した前記基準点固有誤差に基づいて計算し、計算された表示点固有誤差データをそれぞれの位置表示点に関連付けることにより、表示点固有誤差データが関連付けられたそれぞれの位置表示点を含む測位補強情報を生成する第2計算部と、
前記第2計算部によって生成されたN個の測位補強情報を前記N個からできるN!通りの順列のうちの所定の順序で、順次に配信装置に伝送するデータ送信部と
を備えたことを特徴とする。
図1〜図19を使用して本実施の形態を説明する。本実施の形態は、測位に使用する「補正データ」を配信する測位用補正データ配信システムに関する。「補正データ」とは、後述のように、GPS衛星の軌道誤差δO、GPS衛星の衛星クロック誤差δt、GPS衛星の送信する測位情報(L1波、L2波などである。測位情報を測位信号という場合もある。)の電離層遅延δI及び対流圏遅延δTを含む。
(1)GPS衛星300a・・・300n等は測位情報1を送信する。
(2)電子基準点10a・・・10n等は、この測位情報1を受信して所定の情報を電子基準点情報2として出力する。所定の情報は、電子基準点とGPS衛星との擬似距離、ドップラ周波数、及び搬送波位相などを含む。
(3)センター局100の備えるデータ送信装置101は、電子基準点10a等のそれぞれが出力する電子基準点情報2を収集し、収集した電子基準点情報2に基づいて補正データを作成する。そして作成した補正データを、例えば準天頂衛星400を介して配信する。なお、準天頂衛星400を介して補正データを配信するのは一例である。他の衛星を介して配信しても構わない。また、衛星によらず地上波として配信しても構わない。また、インターネットなどのネットワークを介して配信しても構わない。
(2)第1計算部103は、電子基準点情報2と電子基準点データ記憶部107が記憶する電子基準点の座標を表したデータを使用して、後述の電離層遅延量(電離層遅延誤差という場合もある)や対流圏遅延量(対流圏遅延誤差という場合もある)などの補正データを計算する。
(3)補間処理部1041は、地域データ記憶部105が記憶する所定の地域内に複数のグリッドを設定し、第1計算部103が計算した電離層遅延量や対流圏遅延量に基づき、設定した複数のグリッドのそれぞれに固有な電離層遅延量や対流圏遅延量を求める。
(4)データ形式変更部1042は、第2計算部104が求めたグリッドごとの電離層遅延量や対流圏遅延量のデータ形式を変更する。特に、日本の形状は北東から南西に細長いため、グリッドで構成される矩形で全エリアをカバーするには冗長で、多くのグリッドは意味のない海上の点となる。そこで、複数の地域データにより、日本の形状を効率よくカバーするように配置する。さらに、ユーザにどの地域データがユーザ位置に対応するデータかをリアルタイムに判別し、ユーザ側で測位計算に使えるようにするため、各地域データの基準点となるグリッドの位置と地域データのサイズ、グリッドの間隔情報を付与する。
(5)地域データ記憶部105は、所定の地域を示す地域データを記憶する。「地域データ」とは、例えば、前記所定の地域内の任意の場所を座標で表したデータである。
(6)データ送信部106は、データ形式変更部1042がデータ形式を変更したグリッドごとの電離層遅延量や対流圏遅延量を含むデータを測位に使用する補正データとして配信(送信)する。
(7)電子基準点データ記憶部107は、電子基準点の座標を表したデータを記憶する。
(1)GPS衛星の軌道誤差δO、
(2)GPS衛星の衛星クロック誤差δt、
(3)GPS衛星の送信する測位情報1の電離層遅延(Ionospheric delay)による電離層遅延誤差δI、
(4)GPS衛星の送信する測位情報1の対流圏遅延(Tropospheric delay)による対流圏遅延誤差δTを計算する。
ここで、(1)GPS衛星の軌道誤差δOと、(2)GPS衛星のクロック誤差δtとは、それぞれの電子基準点の位置には依存しない、個々のGPS衛星に固有の誤差である。一方、電離層遅延誤差δIと対流圏遅延誤差δTとは、それぞれの電子基準点の位置に依存する電子基準点に固有な基準点固有誤差である。それぞれの電子基準点を「添え字i」で表現するとすれば、各電子基準点における電離層遅延誤差δIと対流圏遅延誤差δTとは、「電離層遅延誤差δIi」、「対流圏遅延誤差δTi」と表すことができる。第1計算部103は、それぞれの電子基準点iごとに「電離層遅延誤差δIi」、及び「対流圏遅延誤差δTi」を計算する。「電離層遅延誤差δIi」は、電子基準点iの位置を測位する場合の測位精度に影響する「電離層遅延による誤差」である。同様に「対流圏遅延誤差δTi」は、電子基準点iの位置を測位する場合の測位精度に影響する「対流圏遅延による誤差」である。なお、第1計算部103の処理の詳細は後述する。
δt=af0+af1・(t−toc)+af2・(t−toc)2+Δtr
ここで、
δt:satellite clock offset,
t:GPS t seconds,
toc:reference epoch,
af0:clock offset(second),
af1:fractional frequency offset(second/second),
af2:fractional frequency drift(second/second2),
Δtr:relativistic correction,
(1)モデル化
S21において、第1計算部103は電子基準点情報を使用して電子基準点iごとの「電離層遅延誤差δIi」を計算する。また、第1計算部103は、電子基準点情報を使用して次に示す関数Ifunction kを求める。電離層誤差は、次式のように関数モデルと統計モデルの2段階で表すことができる。
(2)モデル
関数モデルは、空間的な連続性を記述するのに対して、統計モデルIstochastic kは時間的ダイナミクスを記述する。電離層遅延における統計的条件としては、一次マルコフ過程(前エポックからの時間間隔tと時定数τ)としてモデル化する。
S22において、第1計算部103において推定した電子基準点における電離層遅延量を、第2計算部104では、グリッドを日本における形状に効率よく配置した地域データ内のグリッドに変換する。図9に地域データの配置例を示す。図10は地域データ内のグリッド配置例、図11は電子基準点とグリッドの関係を示す。なお、地域データ内のグリッド配置は、エリアを重ねて配置する。グリッド変換は、関数モデルを使った座標値による変換と、グリッドの周囲の電子基準点の統計モデルを使った位置による内挿を行う。図12に関数モデルと統計モデルを使った2次元の場合の補間の概念を示す。
さらにS22において、第2計算部104は、設定したグリッドのそれぞれにつき、第1計算部103が電子基準点iごとに計算(図6のS12)した「電離層遅延誤差δIi」(基準点固有誤差)に基づき、「グリッド電離層遅延誤差δIg」(表示点固有誤差データ)を計算する。これにより、グリッドgごとの「グリッド電離層遅延誤差δIg」が決まる。図13は、電子基準点iごとの「電離層遅延誤差δIi」とグリッドgごとの「グリッド電離層遅延誤差δIg」との関係を示す概念図である。三角形は電子基準点を表し、三角形における矢印は「電離層遅延誤差δIi」をあらわす。また、白丸はグリッドを表し、白丸における矢印は「グリッド電離層遅延誤差δIg」を表す。第1計算部103が三角形における矢印(「電離層遅延誤差δIi」)を算出し、第2計算部104がそれぞれの三角形における矢印(「電離層遅延誤差δIi」)に基づいて、白丸(グリッド)における矢印(「グリッド電離層遅延誤差δIg」)を算出する。
まず、関数モデルにより、対象となるグリッド位置における電離層遅延量を計算する。ついで、統計モデルにより、グリッドの周囲の電子基準点から線形補間によりグリッドの位置における統計モデルに相当する電離層遅延量を求める。この処理を、地域データごとに全てのグリッドについて実行する。
(1)S31において、第1計算部103は電子基準点情報を使用して電子基準点iごとの「対流圏遅延誤差δTi」を計算する。
(2)グリッドの設定.
S32において、第2計算部104はグリッド(位置表示点の一例)を設定する。
(3)「グリッド対流圏遅延誤差δTg」の計算.
さらにS32において、第2計算部104は、設定したグリッドのそれぞれにつき、第1計算部103が電子基準点iごとに計算した「対流圏延誤差δTi」(基準点固有誤差)に基づき、「グリッド対流圏遅延誤差δTg」(表示点固有誤差データ)を計算する。これにより、グリッドgごとの「グリッド対流圏遅延誤差δTg」が決まる。図18は、グリッドについて計算する「グリッド対流圏遅延誤差δTg」を示している。図18に示すように対流圏遅延誤差はグリッド位置により変動するが、変動量は通常電離層遅延誤差に比べて少ない。
(4)S33において、データ形式変更部1042が、「グリッド対流圏遅延誤差δTg」のデータ形式を変更する。このデータ変更は、電離層遅延の場合と同様であるが、対流圏遅延の場合は、第2計算部104が計算した「グリッド対流圏遅延誤差δTg」である。そして第2計算部104は、データ送信部106を介して、図15のフォーマットで「グリッド対流圏遅延誤差δTg」として送信する。
次に第1計算部103による処理内容の詳細について以下に説明する。衛星軌道、衛星クロック、電離層遅延、対流圏遅延等の各変数は、以下の拡張カルマンフィルタを用いて実時間推定する。
[搬送波位相]
Φi kは、観測距離であり、既知量である。
[幾何学的距離]
ri kは衛星iと基地局k間の真の距離で次式で表され、衛星位置と基準位置が既知であることから既知量である。
アンビギュイティのダイナミクスは、定数としてモデル化する。
対流圏モデルは、functionモデルと統計モデルの積で表す。
(1)functionモデル
functionモデルとしてホップフィールドを採用する。
統計モデルに関するダイナミックスは、ガウスマルコフモデルとする。
図17に、衛星軌道誤差モデルを示す。1つの衛星の軌道誤差を軌道進行方向(AT)、軌道垂直方向(XT)、軌道半径方向(R)に、速度誤差を軌道進行方向(AT)、軌道垂直方向(XT)、軌道半径方向(R)に分割する。従って、1衛星毎に6パラメータとなる。更新周期はTsとする。
アンビギュイティのダイナミクスは、ガウスマルコフモデルとする。
状態変数の内容は以下の(a)〜(h)である。
(a)衛星位置・速度:衛星数×6
(b)衛星搭載時計のバイアス・ドリフト・周波数間バイアス・周波数間バイアスドリフト:衛星数×4
(c)衛星信号遅延:衛星数
(d)電離層遅延のFunctionモデルパラメータ+Stochastic項:20+1、
(e)対流圏遅延のStochastic項:1、
(f)地上基準点時計のバイアス・ドリフト・ドリフトレート・周波数間バイアス:基準点数×4、
(g)受信機信号遅延:基準点数
(h)波数不定数:衛星数×基準点数、
観測量の内容は擬似距離、搬送波位相、デルタレンジである。
カルマンゲインKは以下のように求める。
(1)S101は、測位情報1を送信する人工衛星から測位情報1を受信して電子基準点情報2を出力するそれぞれの電子基準点から、電子基準点情報2を収集する工程である。(2)S102は、収集した電子基準点情報2を使用することにより、電子基準点の位置を測位する場合の測位精度に影響するとともに電子基準点のそれぞれに固有な誤差量を示す基準点固有誤差(例えば、電離層遅延誤差、あるいは対流圏遅延誤差)を複数の電子基準点のそれぞれについて計算する工程である。
(3)S103は、地域データに地域の中の位置を示す複数のグリッド(位置表示点)を設定し、設定した複数のグリッドのそれぞれに対して、グリッドの示す位置を測位する場合の測位精度に影響するとともにグリッドのそれぞれに固有な誤差量を示す表示点固有誤差データ(例えば、そのグリッドについての電離層遅延誤差、あるいは対流圏遅延誤差)を複数の電子基準点のそれぞれについて計算した基準点固有誤差に基づいて計算し、複数のグリッドのそれぞれに対して計算した複数の表示点固有誤差データを送信対象データとして出力する工程である。
(3)S104は、出力された送信対象データに含まれる少なくともいずれかの表示点固有誤差データのデータ形式を変更する工程である。例えば、データ形式を差分表示に変更する。
(4)S105は、データ形式が変更された表示点固有誤差データを含む送信対象データを送信する工程である。
また、上記の変換ための変換器を従来の受信機に付与して、従来の受信機からの単独測位結果から、上記の補正値および仮想的な観測データを生成し、従来の受信機に送ることにより、従来の受信機を用いても測位可能である。
なお、各電子基準点i(i=1,2,3・・・)における対流圏遅延誤差δTiは、通常、ある電子基準点iの直上方向に対して決まる誤差であり、人工衛星k(k=1,2,3・・・)によらない誤差である。
一方、電子基準点iにおける電離層遅延誤差δIiは、電子基準点iに対して人工衛星kごとに決まる誤差である。したがって、電離層遅延誤差δIiは、各人工衛星を示すサフィックスkを用いて電離層遅延誤差δIi kのように表現することができる。
電子基準点iと、人工衛星(k)及び人工衛星(k+1)に対する電離層遅延誤差を、それδIi k、δIi k+1する。この場合、例えば、電離層遅延誤差δIi kは、電子基準点iと人工衛星(k)とを結ぶ直線と、地上から350km上空に想定した電離層(ただし、本数値は、電離層モデルで設定するもので、他の数値でもよい)を示す面との交点位置における電離層の影響する電離層遅延誤差を意味し、電離層遅延誤差δIi k+1は、電子基準点iと人工衛星(k+1)とを結ぶ直線と、地上から350km上空に想定した電離層を示す面との交点位置における電離層の影響する電離層遅延誤差を意味する。
なお、電子基準点における対流圏遅延誤差δTi及び電離層遅延誤差δIiとも、電子基準点ごとに決まる誤差であり、電子基準点iに固有の誤差である。
次に図20〜図25を参照して実施の形態2を説明する。実施の形態2は、データ送信装置101の送信する地域データ(以下、実施の形態2では測位補強情報ともいう)の伝送方式に関する実施形態である。システム構成及びデータ送信装置101の構成は、実施の形態1と同様である。実施の形態1と異なるのは、データ送信装置101の第2計算部104及びデータ送信部106の動作である。実施の形態2の特徴は以下に示す、「A.データ送信装置101による測位補強情報の伝送方式」、「B.測位補強情報の送信順序」、「C.誤差データの圧縮」、「D.測位装置201」である。
図21は日本の領域が3つのブロック(ブロック1〜ブロック3)に分割されている状態を示している。3つの分割は例示であり、いくつでもよい。各ブッロク1〜3は、実施の形態1の地域データを意味する。データ送信装置101は、各ブロックの測位補強情報を配信する。
実施の形態2における「測位補強情報」とは、位置表示点に表示点固有誤差データが関連付けらた状態の実施の形態1の地域データに相当する。
実施の形態2では、単にグリッドの位置情報のみを有するものを地域データと呼び、地域データに対して、第2計算部104によって、電離層遅延誤差、対流圏遅延誤差、衛星軌道誤差及び衛星時計誤差が対応付けられた後の地域データを「測位補強情報」と呼んでいる。電離層遅延誤差等が対応付けられていない地域データは、例えば地域データ記憶部105に格納されている。第2計算部104は、地域データを地域データ記憶部105から読み込み、電離層遅延誤差等の誤差を対応付ける。
実施の形態2のデータ送信装置101は、高精度測位に使用する測位補強情報31−1等を以下に述べる方式で伝送する。
(1)0秒〜10秒:
時間軸における0秒(単に基準にしたにすぎない)〜10秒の間に、第1計算部103は、軌道誤差δO、衛星クロック誤差δt、電離層遅延誤差δI、対流圏遅延誤差δTなどの誤差を計算する。第2計算部104は、第1計算部103の計算結果を用いて測位補強情報を生成する。この場合、第2計算部104は、図22に示すように、並列処理により、ブロック1の測位補強情報31、ブロック2の測位補強情報32、ブロック3の測位補強情報33を同時進行で0秒〜10秒の間に作成する。<B1処理>における測位補強情報31では、「その他1−1」としてブロック1に関する軌道誤差δO、電離層遅延誤差δI、対流圏遅延誤差δTが生成され、ブロック1に関する時計1−1として衛星クロック誤差δtが生成される。ここで「1−1」の意味は、最初の「1」はブロック番号を示し、次の「1」は30秒間に3回生成されるうちの何回目(1は1回目)かを示している。<B2処理>及び<B3処理>についても同様に、「その他2−1、時計2−1」、「その他3−1、時計3−1」が生成されるが、その意味は、<B1処理>の場合と同様である。
(2)10秒〜20秒:
次の10秒の間では、測位補強情報の生成処理と測位補強情報の伝送処理とが実行される。まず伝送について説明する。データ送信部106は、10秒〜20秒の10秒間で、生成された3個の測位補強情報31〜33のうちの一つの測位補強情報31(ブロック1に対応)を伝送する。このとき、データ送信部106は、測位補強情報31に、第2計算部104によって生成されたそれぞれの測位補強情報32、33に含まれる衛星クロック誤差δt(時計2−1、時計3−1)も含めて伝送する。次に誤差の計算処理を説明する。第1計算部103は、10秒〜20秒の10秒間で、0秒〜10秒の場合と同様に、源泉データ収集処理部102によって新たに収集された直近の電子基準点情報を使用して、軌道誤差δO、衛星クロック誤差δt、電離層遅延誤差δI、対流圏遅延誤差δTなどを新たに計算し、更新する。第2計算部104は、0秒〜10秒の場合と同様に、第1計算部103の計算結果を用いて測位補強情報を生成する。この場合、第2計算部104は、測位補強情報41〜43を生成する。
(3)20秒〜30秒:
次の10秒の間では、10秒〜20秒と同様な処理が実行される。伝送については、データ送信部106は、20秒〜30秒の10秒間で、直前の10秒〜20秒で生成された3個の測位補強情報41〜43のうちの一つの測位補強情報42(ブロック2に対応)を伝送する。このとき、データ送信部106は、測位補強情報42に、第2計算部104によって生成されたそれぞれの測位補強情報41、43に含まれる衛星クロック誤差δt(時計1−2、時計3−2も加える)も含めて、測位補強情報42−1として伝送する。誤差の計算処理については、第1計算部103は、20秒〜30秒の10秒間で、10秒〜20秒の場合と同様に、源泉データ収集処理部102によって新たに収集された直近の電子基準点情報を使用して、軌道誤差δO、衛星クロック誤差δt、電離層遅延誤差δI、対流圏遅延誤差δTなどを新たに計算し、更新する。第2計算部104は、10秒〜20秒の場合と同様に、第1計算部103の計算結果を用いて測位補強情報を生成する。この場合、第2計算部104は、測位補強情報51〜53を生成する。
(4)30秒〜40秒:
次の10秒の間では、20秒〜30秒と同様な処理が実行される。伝送については、データ送信部106は、30秒〜40秒の10秒間で、直前の20秒〜30秒で生成された3個の測位補強情報51〜53のうちの一つの測位補強情報53(ブロック3に対応)を伝送する。このとき、データ送信部106は、測位補強情報53に、第2計算部104によって生成されたそれぞれの測位補強情報51、52に含まれる衛星クロック誤差δt(時計1−3、時計2−3も加える)も含めて、測位補強情報53−1として伝送する。以上で測位補強情報31−1、測位補強情報42−1、測位補強情報53−1が送信された。よってブロック1〜3に関する測位補強情報が30秒の周期で送信され、日本の領域がカバーされたことになる。例えば、これをブロック1〜3に関するN回目の伝送とすると、以降同様にして、データ送信装置101は、30秒周期で、ブロック1〜3に関するN+1回目、N+2回目・・・の測位補強情報の伝送を、繰り返す。
すなわち、
(1)0秒(0秒〜10秒)では、B(1)の4つの誤差と、B(2)、B(3)の衛星時計誤差δtとの6つの誤差データを含む測位補強情報(測位補強情報31−1に該当。ただし時間の基準が異なるので0秒〜10秒となっている)がデータ送信部106によって送信される(矢印60)。
(2)10秒(10秒〜20秒)では、B(2)の4つの誤差と、B(1)、B(3)の衛星時計誤差δtとの6つの誤差データを含む測位補強情報(測位補強情報42−1に該当)がデータ送信部106によって送信される(矢印61)。
(3)20秒(20秒〜30秒)では、B(3)の4つの誤差と、B(1)、B(2)の衛星時計誤差δtとの6つの誤差データを含む測位補強情報(測位補強情報53−1に該当)がデータ送信部106によって送信される(矢印62)。
(4)以降同様に、(1)〜(3)の処理が繰り返される。
図23では、データ送信部106は、ブロック1の測位補強情報を測位補強情報B(1)とすれば、測位補強情報B(1)、測位補強情報B(2)、測位補強情報B(3)の順序で送信し、この順序を周期的に繰り返していた。この順序は一例であり、データ送信部106は、第2計算部104によって生成されたN個の測位補強情報B(1)〜測位補強情報B(N)をN個からできるN!通りの順列のうちのいずれかの順序で、順次に準天頂衛星400、その他の人工衛星あるいはネットワークに設置された配信サーバ装置などの配信装置に伝送する。順序はN!通りの順列のうち予め定めた順序でもよいし、測位補強情報B(1)〜測位補強情報B(N)を1周期としたとき、1周期ごとにランダムに決めてもよい。図24は日本の領域をB(1)〜B(6)の6つのブロックに分割した場合を示す。6分割の場合、データ送信部106によって、測位補強情報B(1)〜測位補強情報B(6)を一組として、この一組の情報が周期的に送信される。図22、図23で示したように、日本の領域については30秒を要する。このため、測位補強情報B(1)〜測位補強情報B(6)の1周期ぶんの送信時間は30秒を要する。よって一つの測位補強情報B(k)(k=1〜6)は、5秒の送信時間を要する。この場合、データ送信部106は、測位補強情報B(1)、B(2)、B(3)、B(4)、B(5)、B(6)の順序、あるいは、逆の測位補強情報B(6)〜測位補強情報B(1)の順序では送信しない。例えば、測位補強情報B(1)〜測位補強情報B(6)の全部を送信する1周期(30秒)において、データ送信部106は、B(1)、B(3)、B(5)、B(2)、B(6)、B(4)のように送信する。すなわち、日本の領域が連続的にN個のブロックに分割され、連続的に分割された各領域には分割された順序でブロック番号が付けられている場合に、データ送信部106は、測位補強情報B(1)〜測位補強情報B(6)、あるいは逆方向の測位補強情報B(6)〜測位補強情報B(1)の順序では送信せず、ブッロク番号が不連続となる順序で送信する。この順序は予め決めておいてもよいし、送信時にランダムに決めてもよい。なお、ランダムに順序を決める場合は、測位補強情報B(1)〜測位補強情報B(6)、測位補強情報B(6)〜測位補強情報B(1)の順序の場合を除くようにしてもよいし、あるいはランダム発生なので、回数は頻発しないのでこれらを含めても構わない。
次に、誤差データの圧縮について説明する。第2計算部104は、実施の形態1で述べたように、第1計算部103が計算した基準点固有誤差に基づいて、「グリッド電離層遅延誤差δIg」(表示点固有誤差データの一例)と、「グリッド対流圏遅延誤差δTg」(表示点固有誤差データの一例)とを計算する(図6のS13)。そして、第2計算部104は、計算された「グリッド電離層遅延誤差δIg」、「グリッド対流圏遅延誤差δTg」をそれぞれの位置表示点に関連付けることにより、これらが関連付けられたそれぞれの位置表示点を含む測位補強情報を生成する。第2計算部104は、表示点固有誤差データである「グリッド電離層遅延誤差δIg」及び「グリッド対流圏遅延誤差δTg」を対応するグリッド(位置表示点)に関連付ける際に、表示点固有誤差データである「グリッド電離層遅延誤差δIg」及び「グリッド対流圏遅延誤差δTg」をデータ圧縮処理を施した後に関連付ける。このデータ圧縮処理により、誤差自体の精度を維持することができる。
なお、実施の形態1の図2、図3に示した内容は、データ圧縮の例である。誤差データの圧縮には、図2、図3の方式を用いてもよい。
次に実施の形態2の測位装置201を説明する。図24は実施の形態2の測位装置201の構成を示す図である。測位装置201は、測位補強情報受信部21、概略位置算出部22、高精度測位部23を備えている。測位補強情報受信部21は、データ送信装置101から配信装置である準天頂衛星400等を介して配信された各測位補強情報B(1)〜B(N)を受信する。一方、概略位置算出部22は、測位情報(測位信号ともいう)を送信する人工衛星(GPS衛星300a等)から測位情報を受信し、この測位情報に基づいて概略位置を算出する。高精度測位部23は、概略位置算出部22の算出した概略位置に基づいて、測位補強情報受信部21の受信するそれぞれの測位補強情報B(k)(k=1〜N)の中から概略位置に対応する測位補強情報B(i)を特定する。あるいは、隣接するブロックの測位補強情報を使用する設定の場合は、隣接するブロックの測位補強情報も特定対象となる。各測位補強情報B(1)〜B(N)は、概略位置から特定可能な情報を含んでいる。そして、高精度測位部23は、特定した測位補強情報B(i)を用いて概略位置における現時刻の補正量を算出し、算出した現時刻の補正量を用いて概略位置よりも精度の高い高精度位置を測位計算する。この場合、高精度測位部23は、算出した補正量を概略位置と人工衛星との距離に反映することにより、概略位置における仮想観測データを生成し、生成した前記仮想観測データを基準点データとして用いることにより測位計算する。
Claims (6)
- 測位信号を送信する人工衛星から前記測位信号を受信して所定の情報を出力する複数の電子基準点のそれぞれから、前記所定の情報を電子基準点情報として収集する収集部と、
前記収集部の収集した前記電子基準点情報を使用することにより、前記電子基準点の位置を測位する場合の測位精度に影響するとともに前記電子基準点のそれぞれに固有な誤差量を示す基準点固有誤差を前記複数の電子基準点のそれぞれについて計算する第1計算部と、
所定の地域がN個(Nは2以上の整数)に分割された各地域のデータを示すN個の地域データの各地域データであって前記地域の中の位置を示す複数の位置表示点が設定されている各地域データを対象として、
前記N個の地域データに一対一に対応するN個の並列処理の各並列処理によって、
前記複数の位置表示点のそれぞれに対して前記位置表示点の示す位置を測位する場合の測位精度に影響するとともに前記位置表示点のそれぞれに固有な誤差量を示す表示点固有誤差データを前記第1計算部が計算した前記基準点固有誤差に基づいて計算し、計算された表示点固有誤差データをそれぞれの位置表示点に関連付けることにより、表示点固有誤差データが関連付けられたそれぞれの位置表示点を含む測位補強情報を地域データごとに生成する第2計算部と、
前記第2計算部によって生成されたN個の測位補強情報のうちのいずれか一つの測位補強情報を予め定められた送信順序で配信装置に伝送するデータ送信部と
を備え、
前記データ送信部は、
前記一つの測位補強情報を所定の伝送周期で前記配信装置に伝送し、
前記第1計算部は、
前記データ送信部により伝送中の前記一つの測位補強情報の前記伝送周期の間に、それぞれの基準点固有誤差を新たに計算し、
前記第2計算部は、
N個の前記並列処理の各並列処理によって、
伝送中の前記一つの測位補強情報の前記伝送周期の間に、前記第1計算部によって新たに計算された基準点固有誤差に基づいて、前記N個の地域データごとに、前記測位補強情報を新たに生成し、
前記データ送信部は、
N個の前記並列処理の各並列処理によって新たに生成されたN個の測位補強情報のうち、前記予め定められた送信順序から次が伝送順番となる一つの測位補強情報のみを、伝送中の前記一つの測位補強情報の次に前記伝送周期で前記配信装置に伝送することを特徴とするデータ送信装置。 - 前記第1計算部は、
前記基準点固有誤差として前記電子基準点における電離層遅延誤差と対流圏遅延誤差とを計算すると共に、前記基準点固有誤差以外の誤差であって前記人工衛星に固有の誤差であり、かつ、前記電子基準点に対応する衛星軌道誤差と衛星クロック誤差とを計算し、
前記第2計算部は、
N個の前記並列処理の各並列処理によって、
前記第1計算部が計算した前記電離層遅延誤差と、前記対流圏遅延誤差と、前記衛星軌道誤差と、前記衛星クロック誤差とに基づいて、N個の地域データのそれぞれを対象として各位置表示点における電離層遅延誤差と対流圏遅延誤差とを前記表示点固有誤差データとして計算すると共に、地域データに対応する前記測位補強情報のそれぞれに、前記地域データに対応する前記衛星軌道誤差と前記衛星クロック誤差とを含めると共に、
前記データ送信部は、
伝送中の前記一つの測位補強情報の次に前記配信装置に伝送される一つの測位補強情報に、前記伝送中の前記一つの測位補強情報の前記伝送周期の間に前記第2計算部によって生成されたそれぞれの測位補強情報に含まれる前記衛星クロック誤差をすべて含めて、次に伝送される一つの測位補強情報を前記伝送周期で伝送することを特徴とする請求項1記載のデータ送信装置。 - 前記第1計算部は、
1つ以上の電子基準点における電子基準点情報として、観測量である各人工衛星に関する擬似距離と、搬送波位相と、デルタレンジ(ドップラ)とのうちの少なくともいずれかを入力観測量として入力し、あらかじめ測定されている前記電子基準点の位置を取得し、
入力した前記入力観測量と取得した前記電子基準点の位置とに対してカルマンフィルタを使用することにより、測位に使用する誤差を前記電子基準点における前記基準点固有誤差である電離層遅延誤差と対流圏遅延誤差と、さらに前記基準点固有誤差以外の誤差である衛星クロック誤差と衛星軌道誤差との4つに分割して計算し、
前記第2計算部は、
前記第1計算部が計算した前記電離層遅延誤差と前記対流圏遅延誤差と前記衛星クロック誤差と前記衛星軌道誤差とを入力し、入力した前記電離層遅延誤差と前記対流圏遅延誤差と前記衛星クロック誤差と前記衛星軌道誤差とに基づいて、あらかじめ設定された前記位置表示点における電離層遅延誤差と対流圏遅延誤差とを、それぞれ前記表示点固有誤差データとして計算する
ことを特徴とする請求項2記載のデータ送信装置。 - 前記第2計算部は、
それぞれの測位補強情報に、位置表示点の座標値、サンプリング間隔、範囲、及び測位補強情報の生成時刻を含めることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載のデータ送信装置。 - 前記データ送信部が送信する前記測位補強情報は、
隣接する地域を示す他の地域データに対応する測位補強情報と重複する範囲を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のデータ送信装置。 - 収集部が、
測位信号を送信する人工衛星から前記測位信号を受信して所定の情報を出力する複数の電子基準点のそれぞれから、前記所定の情報を電子基準点情報として収集し、
第1計算部が、
前記収集部の収集した前記電子基準点情報を使用することにより、前記電子基準点の位置を測位する場合の測位精度に影響するとともに前記電子基準点のそれぞれに固有な誤差量を示す基準点固有誤差を前記複数の電子基準点のそれぞれについて計算し、
第2計算部が、
所定の地域がN個(Nは2以上の整数)に分割された各地域のデータを示すN個の地域データの各地域データであって前記地域の中の位置を示す複数の位置表示点が設定されている各地域データを対象として、
前記N個の地域データに一対一に対応するN個の並列処理の各並列処理によって、
前記複数の位置表示点のそれぞれに対して前記位置表示点の示す位置を測位する場合の測位精度に影響するとともに前記位置表示点のそれぞれに固有な誤差量を示す表示点固有誤差データを前記第1計算部が計算した前記基準点固有誤差に基づいて計算し、計算された表示点固有誤差データをそれぞれの位置表示点に関連付けることにより、表示点固有誤差データが関連付けられたそれぞれの位置表示点を含む測位補強情報を地域データごとに生成し、
データ送信部が、
前記第2計算部によって生成されたN個の測位補強情報のうちのいずれか一つの測位補強情報を予め定められた送信順序で配信装置に伝送し、
前記データ送信部が、
前記一つの測位補強情報を所定の伝送周期で前記配信装置に伝送し、
前記第1計算部が、
前記データ送信部により伝送中の前記一つの測位補強情報の前記伝送周期の間に、それぞれの基準点固有誤差を新たに計算し、
前記第2計算部が、
N個の前記並列処理の各並列処理によって、
伝送中の前記一つの測位補強情報の前記伝送周期の間に、前記第1計算部によって新たに計算された基準点固有誤差に基づいて、前記N個の地域データごとに、前記測位補強情報を新たに生成し、
前記データ送信部が、
N個の前記並列処理の各並列処理によって新たに生成されたN個の測位補強情報のうち、前記予め定められた送信順序から次が伝送順番となる一つの測位補強情報のみを、伝送中の前記一つの測位補強情報の次に前記伝送周期で前記配信装置に伝送することを特徴とするデータ送信方法。
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