JP5436087B2 - 共役高分子化合物、及びそれを有する有機半導体素子 - Google Patents

共役高分子化合物、及びそれを有する有機半導体素子 Download PDF

Info

Publication number
JP5436087B2
JP5436087B2 JP2009182222A JP2009182222A JP5436087B2 JP 5436087 B2 JP5436087 B2 JP 5436087B2 JP 2009182222 A JP2009182222 A JP 2009182222A JP 2009182222 A JP2009182222 A JP 2009182222A JP 5436087 B2 JP5436087 B2 JP 5436087B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
formula
same
atom
different
conjugated polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009182222A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011032426A (ja
Inventor
健太 田中
靖之 栗田
秀之 東村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP2009182222A priority Critical patent/JP5436087B2/ja
Publication of JP2011032426A publication Critical patent/JP2011032426A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5436087B2 publication Critical patent/JP5436087B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、共役高分子化合物、及びそれを有する有機半導体素子に関する。
共役高分子化合物は有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)や有機トランジスタなどの有機半導体素子用の有機半導体材料として用いられる。
従来の共役高分子化合物からなる有機半導体中のキャリア移動度は十分高いとは言えず、それを用いた有機半導体素子(例えば有機トランジスタ)の性能が十分ではなく、より高い性能を示す有機半導体素子を与え得る高いキャリア移動度を有する共役高分子化合物が求められていた(例えば、非特許文献1参照。)。
Nature Materials、2006年、VOL.5、328−333ページ
本発明の目的は、高いキャリア移動度を有する共役高分子化合物を提供することにある。
そこで本発明者らは、共役高分子化合物から成る有機半導体中のキャリア移動度について鋭意検討した結果、主鎖間スタッキング安定構造におけるHOMO間および/またはLUMO間の共鳴積分絶対値が一定の基準より大きい場合にキャリア移動度が大きくなることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の<1>〜<11>を提供する。
<1> 共役高分子高分子であって、その部分構造2個のスタッキング安定構造において、式(1)で表される分子2個のスタッキング安定構造と比較して、理論化学的手法を用いて計算したHOMO間および/またはLUMO間の共鳴積分絶対値が大きい共役高分子化合物。
Figure 0005436087
(1)
<2> 共鳴積分絶対値がHOMO間の共鳴積分絶対値である<1>記載の共役高分子化合物。
<3> HOMO間の共鳴積分絶対値が式(1)で表される分子におけるHOMO間の共鳴積分絶対値の1.1倍以上である<2>記載の共役高分子化合物。
<4> 共役高分子化合物において、式(2)で表される分子と比較して、部分構造における理論化学的手法を用いて計算したHOMOエネルギーが低い<1>〜<3>のいずれかに記載の共役高分子化合物。
Figure 0005436087
(2)
<5> 式(3)で表される構造を繰り返し単位の一部とする<1>〜<4>のいずれかに記載の共役高分子化合物。
Figure 0005436087
(3)
(式中、X1は、X2及びX3と共に複素環を形成するのに必要な置換基を有していてもよい原子群であり、Zは、X2及びX3と共に化学結合によって環を形成するのに必要な置換基を有していてもよい原子群である。)
<6> 式(3)で表される構造が、式(10)で表される構造である<5>記載の共役高分子化合物。
Figure 0005436087

(10)
(式中、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はテルル原子を表す。R1、R2及びRは、同一又は相異なり、水素原子又は1価の有機基を表す。)
<7> 式(20)で表される構造を繰り返し単位として含む<5>に記載の共役高分子化合物。
Figure 0005436087

(20)
(式中、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子を表す。R1、R2及びRは、同一又は相異なり、水素原子又は1価の有機基を表す。複数個あるXは、それぞれ同一でも相異なってもよい。複数個あるRは、それぞれ同一でも相異なってもよい。複数個あるRは、それぞれ同一でも相異なってもよい。複数個あるRは、それぞれ同一でも相異なってもよい。)
<8> 式(21)で表される構造を繰り返し単位として含む<5>に記載の共役高分子化合物。
Figure 0005436087
(21)
(式中、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子を表す。R1、R2及びR3は、同一又は相異なり、水素原子又は1価の有機基を表す。複数個あるXは、それぞれ同一でも相異なってもよい。複数個あるRは、それぞれ同一でも相異なってもよい。複数個あるRは、それぞれ同一でも相異なってもよい。複数個あるRは、それぞれ同一でも相異なってもよい。)
<9> <1>〜<8>のいずれかに記載の共役高分子化合物を有する有機半導体素子。
<10> 共役高分子化合物が部分的にスタッキング構造をとる<9>に記載の有機半導体素子。
<11> <9>又は<10>に記載の有機半導体素子を構成要素とする装置。
本発明の共役高分子化合物はキャリア移動度が高く、それを用いてなる本発明の有機半導体素子と、それを構成要素とする装置は高い性能を示すので、本発明は極めて有用である。
以下、本発明の共役高分子化合物及びそれを有する有機半導体素子について詳細に説明する。
本発明の共役高分子化合物は、その部分構造2個のスタッキング安定構造において、式(1)で表される分子2個のスタッキング安定構造と比較して、理論化学的手法を用いて計算したHOMO間および/またはLUMO間の共鳴積分絶対値が大きいことを特徴とする。
Figure 0005436087
(1)
式(1)で表される分子を基準分子とし、基準分子と対象とする分子について、同じ手法の理論化学的手法を用いて、部分構造2個のスタッキング安定構造における共鳴積分絶対値を算出し、ここでHOMO間の共鳴積分絶対値同士および/またはLUMO間の共鳴積分絶対値同士を比較し、少なくともいずれかの共鳴積分絶対値が基準分子より大きい共役高分子化合物が、高いキャリア移動度を示すことを本発明者らは見出したのである。
基準分子と比較する共鳴積分絶対値としてはHOMO間の共鳴積分絶対値である場合が好ましい。
そして、共役高分子化合物において、理論化学的手法を用いて計算した部分構造2個のスタッキング安定構造におけるHOMO間共鳴積分絶対値が、前記理論化学的手法を用いて計算した式(1)で表される分子2個のスタッキング安定構造におけるHOMO間共鳴積分絶対値の1.1倍以上である共役高分子化合物は、より高いキャリア移動度を示す傾向があるのでより好ましい。
本発明の共役高分子化合物としては、共役高分子化合物において、理論化学的手法を用いて計算した部分構造2個のスタッキング安定構造におけるHOMO間共鳴積分絶対値が0.29eV以上であるものが、より高いキャリア移動度を示す傾向があるのでさらに好ましい。
HOMO(最高被占分子軌道)間共鳴積分絶対値が大きいほど分子間ホール移動確率が大きいため、前記共役高分子化合物からなる層中のホール移動度は、高性能な有機半導体素子(有機薄膜トランジスタ等)を作製するのに十分な値となる。
本発明において、理論化学的手法とは、MPWB1K密度汎関数と6-31G*基底関数を組み合わせたものである(以下MPWB1K/6-31G*法とする)。前記手法を用いて計算される全エネルギーが極小となるように構造パラメータを最適化することによって、2分子のスタッキング安定構造を予測することが可能である(「Chem.Phys.Lett. 2007, 439, p35-39」参照)。計算はGaussian03等の量子化学計算プログラムを用いて実行可能である。
また、共役高分子化合物の部分構造とは、チオフェン4量体の鎖長に近い長さの部分を共役高分子化合物から切り出し、末端を水素原子で封止した分子である。
また、HOMO間共鳴積分絶対値は、各部分構造(以下A、Bとする)がスタッキング安定構造と同一の空間配置を独立にとっている状態におけるHOMO(以下ΨA HOMO、ΨB HOMOとする)を、スタッキング安定構造(以下ABとする)における分子軌道(以下Ψi ABとする。iは分子軌道番号)の線形一次結合(式(22))で表現することにより計算する。
Figure 0005436087

Figure 0005436087
(22)
ここで、CA i,HOMOとCB j,HOMOとは展開係数である。前記表現は、A、B、ABの分子軌道が同じ原子軌道関数の線形一次結合で表現されているため可能である。
前記表現を利用し、HOMO間共鳴積分絶対値を下式(23)で計算する。
Figure 0005436087
(23)
ここで、FABはスタッキング安定構造におけるFock演算子であり、εi ABはスタッキング安定構造におけるi番目の分子軌道のエネルギーである。
本発明の共役高分子化合物としては、共役高分子化合物において、部分構造における理論化学的手法を用いて計算したHOMOエネルギーが、式(2)で表される分子と比較して、式(2)で表される分子において前記理論化学的手法を用いて計算したHOMOエネルギーよりも低いものが好ましい。HOMOエネルギーが低くなることによって、酸化が起こり難くなり、前記共役高分子化合物を有する有機半導体素子の安定性が向上する。
Figure 0005436087
(2)
本発明の共役高分子化合物は、より具体的には、式(3)で表される構造を繰り返し単位として含む共役高分子化合物が挙げられる。前記共役高分子化合物においては、複素環の拡張によるファンデルワールス相互作用の増大、或いはヘテロ原子の導入による静電相互作用の増大によって、2分子間でHOMOの重なりが大きい配置を取り易くなる結果、HOMO間共鳴積分絶対値が式(1)で表される分子の場合よりも大きくなるのである。
Figure 0005436087
(3)
式(3)において、X1は、X2及びX3と共に複素環を形成するのに必要な置換基を有していてもよい原子群であり、Zは、X2及びX3と共に化学結合によって環を形成するのに必要な置換基を有していてもよい原子群である。前記化学結合には共有結合ばかりでなく、水素結合やイオン結合も含む。前記置換基はハロゲンまたは、1〜30個のC原子を有し、非置換であるか、F、Cl、Br、IもしくはCNにより単置換もしくは多置換されていてもよい直鎖状、分岐状もしくは環状アルキル基であり、また、1つまたは2つ以上の隣接していないCH2基が、互いに独立して、−O−、−S−、−NR0−、−SiR000−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NR0−CO−、−CO−NR0−、−CR0=CR00−、−C≡C−、アリーレンまたはヘテロアリーレンにより置換されていてもよく、R0およびR00は、互いに独立して、水素原子または1〜12個のC原子を有するアルキル基である。前記アリーレンおよびヘテロアリーレンは好ましくは1,4−フェニレン、p,p’−ビフェニル、ナフタレン−2,6−ジイル、2,5−ピリジン、2,5−ピリミジン、チオフェン−2,5−ジイル、2,5−チアゾール、2,5−チアジアゾール、フラン−2,5−ジイル、2,5−オキサゾール、2,5−オキサジアゾールである。なおX2とX3は直接結合している。
式(3)で表される構造としては、式(4)で表される構造が好ましい。
Figure 0005436087
(4)
式(4)において、X1、X2及びX3は、同一又は相異なり、炭素原子であるC1及びC2と共に複素環を形成するのに必要な原子であり、Zは、X2及びX3と共に化学結合によって環を形成するのに必要な置換基を有していてもよい原子群である。前記化学結合には共有結合ばかりでなく、水素結合やイオン結合も含む。Xは置換基を有していてもよい。前記置換基は、式(3)における置換基と同じ意味を表す。
式(4)で表される構造としては、式(5)で表される構造、式(6)で表される構造、式(7)で表される構造が好ましい。
Figure 0005436087
(5)
式(5)において、X1、X2及びX3は、同一又は相異なり、炭素原子であるC1及びC2と共に複素環を形成するのに必要な原子であり、Z1及びZ2は、同一又は相異なり、X2及びX3と共に化学結合によって環を形成するのに必要な原子であり、R1は水素原子又は1価の有機基を表す。Z1とZ2の間の実線と破線で表されている結合は単結合、あるいは2重結合である。Z1とX2の間の実線と破線で表されている結合は単結合、あるいは水素結合である。X及びZは、置換基を有していてもよく、該置換基は、式(3)における置換基と同じ意味を表す。
で表される1価の有機基としては、ハロゲン基、炭素数1〜30のアルキル基が挙げられる。該アルキル基は、直鎖状であっても、分岐状であってもよく、シクロアルキル基であってもよい。該アルキル基が有する水素原子は、ハロゲン原子又はシアノ基で置換されていてもよい。また、該アルキル基中に含まれる1つまたは2つ以上の隣接していないCH2基が、互いに独立して、−O−、−S−、−NR0−、−SiR000−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NR0−CO−、−CO−NR0−、−CR0=CR00−、−C≡C−、アリーレンまたはヘテロアリーレンにより置換されていてもよい。R0およびR00は、互いに独立して、水素原子または1〜12個のC原子を有するアルキル基である。前記アリーレンおよびヘテロアリーレンは、好ましくは1,4−フェニレン、p,p’−ビフェニル、ナフタレン−2,6−ジイル、2,5−ピリジン、2,5−ピリミジン、チオフェン−2,5−ジイル、2,5−チアゾール、2,5−チアジアゾール、フラン−2,5−ジイル、2,5−オキサゾール、2,5−オキサジアゾールである。
Figure 0005436087
(6)
式(6)において、X1、X2及びX3は、同一又は相異なり、炭素原子であるC1及びC2と共に複素環を形成するのに必要な原子であり、Z1、Z2及びZ3は、同一又は相異なり、X2及びX3と共に環を形成するのに必要な原子であり、R1は水素原子又は1価の有機基を表す。1価の有機基の定義、具体例は、式(5)におけるRで表される1価の有機基の定義、具体例と同じである。
、Z1、Z2及びZ3は、置換基を有していてもよく、該置換基は、式(3)における置換基と同じ意味を表す。
Figure 0005436087
(7)
式(7)において、X1、X2及びX3は、同一又は相異なり、炭素原子であるC1及びC2と共に複素環を形成するのに必要な原子であり、Z2及びZ3は、同一又は相異なり、炭素原子またはヘテロ原子であり、R1は水素原子又は1価の有機基を表す。1価の有機基の定義、具体例は、式(5)におけるRで表される1価の有機基の定義、具体例と同じである。Z2に結合したHとX2は水素結合によって結合しており、Z2とZ3の間の実線と破線で表されている結合は単結合または二重結合である。X及びZ3は、置換基を有していてもよく、該置換基は、式(3)における置換基と同じ意味を表す。
式(5)で表される構造としては、式(8)または式(9)で表される構造が好ましい。
Figure 0005436087
(8)
式(8)において、X1は酸素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子であり、Z1及びZ2は、同一又は相異なり、X2及びX3と共に共有結合によって環を形成するのに必要な原子であり、R1は前述と同じ意味を表す。Z1とZ2の間の実線と破線で表されている結合は単結合または二重結合である。Zは、置換基を有していてもよく、該置換基は、式(3)における置換基と同じ意味を表す。
Figure 0005436087
(9)
式(9)において、X1は酸素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子であり、X2及びX3は、同一又は相異なり、X1と共に複素環を形成するのに必要な原子であり、Zは窒素原子またはリン原子であり、R1は前述と同じ意味を表す。Zに結合した水素原子(H)とX2は水素結合によって結合している。
式(8)で表される構造としては、式(10)または式(11)で表される構造が好ましい。
Figure 0005436087
(10)
式(10)において、X1は酸素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子であり、R1、R2及びR3は、同一又は相異なり、水素原子又は1価の有機基を表す。1価の有機基の定義、具体例は、式(5)におけるRで表される1価の有機基の定義、具体例と同じである。
Figure 0005436087
(11)
式(11)において、X1は酸素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子であり、R1及びR2は、同一又は相異なり、水素原子又は1価の有機基を表す。1価の有機基の定義、具体例は、式(5)におけるRで表される1価の有機基の定義、具体例と同じである。
式(10)で表される構造としては下記具体例で示される構造、下記具体例のS(複数ある場合は個別に)をOに置き換えた構造、下記具体例のS(複数ある場合は個別に)をSeに置き換えた構造が好ましい。より好ましくは、下記具体例で示される構造、下記具体例のS(複数ある場合は個別に)をOに置き換えた構造であり、さらに好ましくは、下記具体例で示される構造である。
Figure 0005436087
Figure 0005436087
Figure 0005436087
Figure 0005436087
Figure 0005436087
Figure 0005436087
Figure 0005436087
上記具体例の中でも、(A−1)〜(A−16)、(B−1)〜(B−4)、(C−1)〜(C−16)、(D−1)〜(D−20)、(E−1)〜(E−15)(F−1)〜(F−8)、(F−12)〜(F15)、(G−1)〜(G−12)、(H−1)〜(H−19)がより好ましく、(A−1)〜(A−16)、(B−1)〜(B−4)、(C−1)〜(C−16)、(D−1)〜(D−7)、(D−9)、(D−13)〜(D−20)、(E−1)〜(E−14)、(F−12)〜(F15)、(G−1)〜(G−5)、(H−1)〜(H−19)がさらに好ましく、(A−1)〜(A−16)が好ましく、(A−1)〜(A−7)がより好ましい。
式(9)で表される構造としては、式(12)で表される構造が好ましい。
Figure 0005436087
(12)
式(12)において、X1は酸素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子であり、R1は前述と同じ意味を表す。窒素原子であるN2に結合した水素原子(H)と窒素原子であるN1は水素結合によって結合している。
式(6)で表される構造としては、式(13)で表される構造が好ましい。
Figure 0005436087
(13)
式(13)において、X1は酸素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子であり、Z1、Z2及びZ3は、同一又は相異なり、X2及びX3と共に共有結合によって環を形成するのに必要な原子であり、R1は前述と同じ意味を表す。Z及びZは、置換基を有していてもよく、該置換基は、式(3)における置換基と同じ意味を表す。
式(13)で表される構造としては、式(14)で表される構造が好ましい。
Figure 0005436087
(14)
式(14)において、X1は酸素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子であり、R1は前述と同じ意味を表す。
式(7)で表される構造としては、式(15)で表される構造が好ましい。
Figure 0005436087
(15)
式(15)において、X1、X2及びX3は、同一又は相異なり、炭素原子であるC1及びC2と共に複素環を形成するのに必要な原子であり、Z2及びZ3は、同一又は相異なり、炭素原子またはヘテロ原子であり、R1は前述と同じ意味を表す。Z2に結合した水素原子(H)とX2は水素結合によって結合しており、Z2とZ3の間の実線と破線で表されている結合は単結合または二重結合である。Zは、置換基を有していてもよく、該置換基は、式(3)における置換基と同じ意味を表す。
式(15)で表される構造としては、式(16)で表される構造が好ましい。
Figure 0005436087
(16)
式(16)において、X1は酸素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子であり、R1は前述と同じ意味を表す。窒素原子であるN2に結合した水素原子(H)と窒素原子であるN1は水素結合によって結合している。
本発明の共役高分子化合物としては、式(3)〜(16)のいずれかで表される構造において、構造式中の右の結合位を頭とし、左の結合位を尾とすると、頭と尾で結合した二連子(Head-to-Tail)または頭と頭で結合した二連子(Head-to-Head)の構造のいずれかを多く有し、かつ、いずれかの二連子を共役高分子化合物中で連続して有する共役高分子化合物(Head-to-Head型高分子および Head-to-Tail型高分子)が好ましい。共役高分子化合物が有する(Head−to−Tail)と(Head−to−Head)とのモル比は100:0〜60:40または40:60〜0:100が好ましく、100:0〜70:30または30:70〜0:100がより好ましく、100:0〜80:20または20:80〜0:100がさらに好ましく、100:0〜90:10または10:90〜0:100が特に好ましい。
本発明の共役高分子化合物が、式(10)で表される構造を有する場合、式(20)で表される構造を繰り返し単位として含む共役高分子化合物、式(21)で表される構造を繰り返し単位として含む共役高分子化合物が好ましい。
Figure 0005436087
(20)
(式中、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子を表す。R1、R2及びRは、同一又は相異なり、水素原子又は1価の有機基を表す。複数個あるXは、それぞれ同一でも相異なってもよい。複数個あるRは、それぞれ同一でも相異なってもよい。複数個あるRは、それぞれ同一でも相異なってもよい。複数個あるRは、それぞれ同一でも相異なってもよい。)
Figure 0005436087
(21)
(式中、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子を表す。R1、R2及びR3は、同一又は相異なり、水素原子又は1価の有機基を表す。複数個あるXは、それぞれ同一でも相異なってもよい。複数個あるRは、それぞれ同一でも相異なってもよい。複数個あるRは、それぞれ同一でも相異なってもよい。複数個あるRは、それぞれ同一でも相異なってもよい。)
本発明の共役高分子化合物の一態様としては、式(17)で表される構造と、式(3)〜(16)のいずれかで表される構造を繰り返し単位として含む共役高分子化合物が挙げられる。
Figure 0005436087
(17)
式(17)において、X4は酸素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子であり、X5はC−R3、窒素原子またはリン原子であり、R3は水素原子又は1価の有機基を表す。1価の有機基の定義、具体例は、式(5)におけるRで表される1価の有機基の定義、具体例と同じである。
式(17)で表される構造と、式(3)〜(16)のいずれかで表される構造を繰り返し単位として含む構造としては、式(18)と(19)で表される構造が好ましい。
Figure 0005436087
(18)
式(18)において、X1及びX4は、同一又は相異なり、酸素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子であり、X2は窒素原子またはリン原子であり、R1、R3及びR4は、同一又は相異なり、水素原子又は1価の有機基を表す。1価の有機基の定義、具体例は、式(5)におけるRで表される1価の有機基の定義、具体例と同じである。
Figure 0005436087
(19)
式(19)において、X1及びX4は、同一又は相異なり、酸素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子であり、R1、R3及びR4は、同一又は相異なり、水素原子又は1価の有機基を表す。1価の有機基の定義、具体例は、式(5)におけるRで表される1価の有機基の定義、具体例と同じである。
共役高分子化合物から成る層を有する有機半導体素子、例えば有機薄膜トランジスタは、前記層中のキャリア(ホール)移動度が大きいため、有機ELを駆動するのに十分な電流量を供給可能であり、工業的に極めて有用である。
次に本発明の有機半導体素子の例として電界効果型有機薄膜トランジスタの構成と製造方法について説明する。電界効果型有機薄膜トランジスタは、ソース電極及びドレイン電極、これらの間の電流経路となり本発明の共役高分子化合物を含有する有機半導体層、電流経路を通る電流量を制御するゲート電極、並びに、有機半導体層とゲート電極との間に配置される絶縁層を備えることが好ましい。特に、ソース電極及びドレイン電極が、本発明の共役高分子化合物を含有する有機半導体層に接して設けられており、さらに有機半導体層に接した絶縁層を挟んでゲート電極が設けられていることが好ましい。
電界効果型有機薄膜トランジスタは、公知の方法、例えば特開平5−110069号公報記載のように、端子を備えたゲート電極にゲート絶縁膜を設け、該ゲート絶縁膜に活性化処理により半導体となる有機薄膜を設け、該ゲート電極を保護しながら上記有機薄膜を活性化処理して有機半導体薄膜とした後、該ゲート電極の端子を露出させ、並びに上記有機半導体薄膜にソース電極およびドレイン電極を形成する方法により製造することができる。
前記有機薄膜を作製する際、適切な溶媒を選択する、或いは溶媒が徐々に蒸発するようにする、高温でアニールする、延伸する、磁場をかける、ラビングした基板上に製膜する、光配向膜上に製膜する等の処理により、共役高分子化合物のスタッキング度を高めることが可能である。スタッキング度が高まったことは、XRD等で確認できる。スタッキング部分ではスタッキングしていない部分よりもHOMO間および/またはLUMO間共鳴積分絶対値が大きいため、キャリア移動度が大きくなる。
また、前記有機半導体素子を構成要素とすることにより、インクジェット法等を利用して大面積の発光部分を有する装置、例えばフレキシブルディスプレイを作製することが可能となる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
式(10)においてR1=n-C613、R2=R3=H、X1=Sとした構造をHead-to-Tail型で連結した共役高分子化合物の部分構造(式(31))2個のスタッキング安定構造におけるHOMO間共鳴積分絶対値をMPWB1K/6-31G*法を用いて計算した結果を表1に示す。
Figure 0005436087
(31)
[実施例2]
式(10)においてR1=n-C613、R2=R3=H、X1=Sとした構造をHead-to-Head型で連結した共役高分子化合物の部分構造1と部分構造2(式(32))のスタッキング安定構造におけるHOMO間共鳴積分絶対値をMPWB1K/6-31G*法を用いて計算した結果を表1に示す。
Figure 0005436087
部分構造1
Figure 0005436087
部分構造2
(32)
[実施例3]
式(14)においてR1=n-C49、X1=Sとした構造をHead-to-Tail型で連結した共役高分子化合物の部分構造(式(32))について、2分子スタッキング安定構造におけるHOMO間共鳴積分絶対値をMPWB1K/6-31G*法を用いて計算した結果を表1に示す。
Figure 0005436087
(32)
[実施例4]
式(11)においてR1=n-C49、R2=H、X1=Sとした構造をHead-to-Tail型で連結した共役高分子化合物の部分構造(式(33))について、2分子スタッキング安定構造におけるHOMO間共鳴積分絶対値をMPWB1K/6-31G*法を用いて計算した結果を表1に示す。
Figure 0005436087
(33)
[実施例5]
式(16)においてR1=n-C49、X1=Sとした構造をHead-to-Tail型で連結した共役高分子化合物の部分構造(式(34))について、2分子スタッキング安定構造におけるHOMO間共鳴積分絶対値をMPWB1K/6-31G*法を用いて計算した結果を表1に示す。
Figure 0005436087
(34)
[実施例6]
式(18)においてR1=n-C49、R3=R4=H、X1=X4=S、X2=Nとした構造を連結した共役高分子化合物の部分構造(式(35))について、2分子スタッキング安定構造におけるHOMO間共鳴積分絶対値をMPWB1K/6-31G*法を用いて計算した結果を表1に示す。
Figure 0005436087
(35)
[実施例7]
式(19)においてR1=n-C49、R3=R4=H、X1=X4=Sとした構造を連結した共役高分子化合物の部分構造(式(36))について、2分子スタッキング安定構造におけるHOMO間共鳴積分絶対値をMPWB1K/6-31G*法を用いて計算した結果を表1に示す。
Figure 0005436087
(36)
[比較例1]
文献「Nature Materials 2006, 5, 328-333」に記述されている共役高分子化合物の部分構造(式(1))について、2分子スタッキング安定構造におけるHOMO間共鳴積分絶対値をMPWB1K/6-31G*法を用いて計算した結果を表1に示す。
Figure 0005436087
(1)
[比較例2]
文献[Applied Physics Letters 74,2809−2811 (1999)]に記述されているMEH-PPVの部分構造(式(2))2個のスタッキング安定構造におけるHOMO間共鳴積分絶対値をMPWB1K/6-31G*法を用いて計算した結果を表1に示す。また、該文献には、MEH−PPVを用いて作製したトランジスタ素子の移動度が0.5×10−6〜3.0×10−6(cm2/Vs)であることが記載されている。
Figure 0005436087
(2)
合成例1
(3−シアノ−4−メチルチオフェンの合成)
3−ブロモ−4−メチルチオフェン50.15g(0.283mol)、シアン化銅56.0g(0.625mol)をジメチルホルムアミド(DMF)300mLに懸濁し、窒素気流下、30℃で19時間加熱攪拌した。室温まで放冷後、氷冷下でシアン化ナトリウム92。0g(1.88mol)を含む水溶液(150mL)を加え、30分間攪拌した。反応混合液を水洗した後に乾燥し、減圧下で濃縮し、次いで、減圧蒸留して、3−シアノ−4−メチルチオフェン30.12g(収率86%)を得た(沸点:76℃〜82℃/8mmHg)。NMRによって、3−シアノ−4−メチルチオフェンの構造を確認した。
合成例2
(化合物aの合成)
3−シアノ−4−メチルチオフェン30.19g(0.244mol)を含むメタノール溶液150mLに、濃塩酸10mL及び濃硫酸10mLを加え、窒素雰囲気下、油浴(105℃)で7日間加熱還流しながら攪拌した。反応終了後、室温まで放冷し、減圧下で溶媒を留去した。酢酸エチルを加え、水洗し、濃縮して、51.51gの化合物aを得た。NMRによって化合物aの構造を確認した。
Figure 0005436087
合成例3
(化合物bの合成)
化合物a 51.5g(0.24mol)をメタノール300mLに溶解し、室温で5N水酸化ナトリウム水溶液100mL(0.50mol)を添加してから、室温で3時間攪拌した。油浴(100℃)で30分間加熱還流し、反応終了後、室温まで放冷し、減圧下で溶媒を留去した。tert−ブチルメチルエーテルを加え、水洗し、濃塩酸50mLを加えてpH1とし、その後、tert−ブチルメチルエーテル200mLと水100mLとを加えて分液した。tert−ブチルメチルエーテル層を水洗し、乾燥後、減圧濃縮して化合物bを25.38g(収率74%)得た。NMRによって化合物bの構造を確認した。
Figure 0005436087
合成例4
(化合物cの合成)
ジイソプロピルアミン42.5g(0.42mol)をテトラヒドロフラン600mLに溶解し、ドライアイス・アセトン浴で冷却しながら攪拌し、窒素気流下で1.59Nのn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液264mLを50分間かけて滴下した。30分間攪拌した後、化合物b 28.30g(0.20mol)のテトラヒドロフラン100mLの溶液を15分間で滴下し、30分問攪拌した後、四臭化炭素73.0g(0.22mol)を含むテトラヒドロフラン溶液150mLを15分間かけて滴下し、30分間攪拌した後、ドライアイス・アセトン浴を外し、室温で1時間攪拌した。氷冷下で攪拌しながら7%塩酸500mL加えpH1とした後、酢酸エチルと水を加えて分液した。酢酸エチル層を水洗し、乾燥した後、減圧下で濃縮して、粗品を得た。シリカゲルカラム(酢酸エチル)で精製し、化合物c 33.82g(収率77%)を得た。NMRによって化合物cの構造を確認した。
Figure 0005436087
合成例5
(化合物dの合成)
化合物c 33.2g(0.15mol)をtert−ブチルメチルエーテル150mLに溶解し、塩化オキザリル15mL(0.18mol)とN,N−ジメチルホルムアミド1滴を添加してから、室温で30分問攪拌した。反応終了後、減圧で溶媒を留去し、メタノール200mLを加え、室温で1時間攪拌した。反応終了後、減圧下で溶媒を留去し、残澄に酢酸エチル200mLと飽和重曹水100mLを加え分液した。酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄後乾燥し、減圧下で濃縮して化合物d 34.78g(収率98.5%)を得た。NMRによって化合物dの構造を確認した。
Figure 0005436087
合成例6
(化合物eの合成)
化合物d 22.73g(96mmol)とN−ブロモコハク酸イミド17.80g(100mmol)、過酸化ベンゾイル0.3g(1.2mmol)をクロロホルム250mLに懸濁し、100℃で、窒素気流下2時間加熱還流した。反応終了後、室温まで放冷してから、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、その後、乾燥した。次いで、減圧下で濃縮し、減圧蒸留した。蒸留物とn−ヘキシルアミン5.05g(50mmol)とトリエチルアミン11mL(79mmol)とをメタノール250mLに溶解し、100℃で、窒素気流下4時間加熱還流した。反応終了後、室温まで放冷し、減圧下で溶媒を留去した。残澄に酢酸エチル300mLと7%塩酸150mL加え、分液した。酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄した後、乾燥し、減圧下で濃縮し、得られた生成物を山善株式会社製HiFlashカラム5LおよびウルトラパックEを用い、n−ヘキサン及び酢酸エチルを移動相として精製し、化合物e 2.00g(収率25%)を得た。NMRによって化合物eの構造を確認した。
Figure 0005436087
合成例7
(化合物M1の合成)
化合物e 0.98g(32mmol)とN−ヨードコハク酸イミド0.80g(35mmol)を酢酸2mLに溶解し、100℃で、窒素気流下1時間加熱還流した。反応終了後、室温まで放冷してから、酢酸エチル30mLと10%チオ硫酸ナトリウム水溶液20mLを加え分液した。酢酸エチル層を食塩水30mLで洗浄した後、乾燥し、減圧下で濃縮した。生成物を酢酸エチル5mLに溶解し、シリカゲルカラム(シリカゲル150g、n−へキサン:酢酸エチル(5:1)(体積比))を用いて精製し、化合物M1を1.30g(収率94%)得た。NMRによって化合物M1の構造を確認した。
Figure 0005436087
[実施例8]
(共役高分子化合物P1の合成)
化合物M1 0.300g(0.701mmol)のテトラヒドロフラン溶液30mLにアルゴン雰囲気下、−78℃で2.0Mのi−プロピルマグネシウムクロライドのテトラヒドロフラン溶液0.35mL(0.701mmol)を加え、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル(II)0.038g(0.070mmol)のテトラヒドロフラン懸濁液を添加し、アルゴン雰囲気下、0℃で3時間攪拌した。反応液をクロロホルムで希釈し、希釈した反応液にヘキサンを加えて沈殿を生じさせた。遠心分離後、固体をクロロホルムに溶かし、N,N,N’,N’−エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)飽和水溶液で洗浄した後に分液し、クロロホルム溶液をヘキサンに入れて沈殿を生じさせた。遠心分離後、固体をメタノールに分散させて遠心分離する作業を2回行い、固体をヘキサンに分散させて遠心分離後、真空乾燥させてHead−to−Tail型の共役高分子化合物P1を得た。収量は45.9mgであり、収率は29.6%であった。
[参考例1]
実施例8の60分の1のスケールで、化合物M1のテトラヒドロフラン溶液にアルゴン雰囲気下、−78℃で2.0Mのi−プロピルマグネシウムクロライドのテトラヒドロフラン溶液を加え、アルゴン雰囲気下0℃で1時間攪拌した。反応溶液のLC−MSを測定したところ、化合物Q−Aは観測されたが化合物Q−Bは観測されず、化合物M1が有するヨウ素原子と臭素原子において、ヨウ素原子のみが選択的に反応していた。なお、反応溶液のLC−MSの測定において、反応溶液中に含まれる化合物R−Aと空気中の水とが反応して化合物Q−Aを生成するため、化合物Q−Aのみが検出された。反応において、i−プロピルマグネシウムクロライドは化合物M1に対して等量で加えているため、i−プロピルマグネシウムクロライドが反応系中において消失した時点で化合物M1由来の化合物は化合物R−Aのみであった。
Figure 0005436087
実施例8において、化合物R−Aのみが存在する状態でニッケル化合物を加えているため、化合物R−Aが有するClMgが化合物R−Aが有するBrと反応してHead-to-Tail型高分子化合物が生成するため、実施例8で生成する共役高分子化合物P1はHead-to-Tail型高分子化合物である。
[測定例1]
(共役高分子化合物P1の電荷移動度測定)
時間分解誘電吸収測定(Time-Resolved Microwave Conductivity; TRMC)と光過渡吸収分光(Transient Absorption Spectroscopy; TAS)を同じジオメトリーで行うin-situ TRMC-TAS装置(放射線化学 81, (2006) 29 "マイクロ波による電極レス電荷キャリア移動度測定"に記載と同一)を用いて電荷移動度の測定を行った。外部刺激としての励起源はNd:YAGレーザー(パルス幅5〜8ns)から第3高長波(355nm)用い、入射フォトン数は1.19×1016cm−2に設定した。上記共役高分子化合物P1をクロロホルムに溶かしガラス板に塗布し、上記装置を用いて測定したところ、TRMCより求めたキャリアの生成効率(φ:測定範囲内でのキャリアの数)とキャリア移動度(μ)の和(Σμ)との積(φ(PDI無添加P1)×Σμ)は、9.9×10−6cm/Vsであった。一方、下式に示す芳香族イミド化合物PDIを、上記共役高分子化合物P1が有する繰り返し単位の合計を100モルとした場合、2モルとなる量添加し、上記装置を用いて測定すると355nmナノ秒レーザーを照射してから1マイクロ秒後のキャリアの生成効率とキャリア移動度の和との積(φ(PDIを添加したP1)×Σμ)は2.6×10−5cm/Vsとなり、PDIの添加によってキャリアの生成効率とキャリア移動度の和との積(φ×Σμ)が2.6倍になったことが示された。共役高分子化合物P1へのPDIの添加の有無により、キャリア移動度の和は変化しないため、PDIを添加した場合のキャリアの生成効率(φ(PDIを添加したP1))は、PDIを添加しない場合のキャリアの生成効率(φ(PDI無添加P1))の2.6倍であり、式(i)で表される。
Figure 0005436087
TASを用いてPDIのアニオンラジカルの720nmにおける吸収強度を求め、対応する吸光係数(74200M−1cm−1)から、PDI上のキャリアの生成効率(φ(PDI分))を見積もると3.1×10−3であった。
共役高分子化合物P1にPDIを添加した場合のキャリアの生成効率(φ(PDIを添加したP1))は、共役高分子化合物P1にPDIを添加しない場合のキャリアの生成効率(φ(PDI無添加P1))とPDI上のキャリアの生成効率(φ(PDI分))との和であり、式(ii)で表される。
Figure 0005436087
式(i)、式(ii)及びφ(PDI分)が3.1×10−3であることから、共役高分子化合物P1にPDIを添加した場合のキャリアの生成効率(φ(PDIを添加したP1))は、5.0×10−3となった。キャリアの生成効率とキャリア移動度の和との積(φ(PDIを添加したP1)×Σμ)が2.6×10−5cm/Vsであることから、共役高分子化合物P1のキャリア移動度は、5×10−3 (cm/Vs)と見積もられた。該キャリア移動度を有する共役高分子化合物は有機トランジスタ素子の材料として適していることが示された。
Figure 0005436087
Figure 0005436087

Claims (6)

  1. 共役高分子化合物であって、式(10−1)で表される二連子及び式(10−2)で表される二連子からなる群から選ばれる少なくとも1種の二連子を含み、式(10−1)で表される二連子及び式(10−2)で表される二連子からなる群から選ばれる2個の二連子が結合した四連子2個のスタッキング安定構造において、式(1)で表される分子2個のスタッキング安定構造と比較して、MPWB1K密度関数と6−31G*基底関数を組み合わせた理論化学的手法を用いて計算したHOMO間および/またはLUMO間の共鳴積分絶対値が大きいことを特徴とする共役高分子化合物。
    Figure 0005436087
    (1)

    Figure 0005436087

    (10−1) (10−2)
    (式(10−1)及び式(10−2)中、X は酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はテルル原子を表す。R 1 、R 2 及びR は、同一又は相異なり、水素原子又は1価の有機基を表す。複数個あるX は、それぞれ同一でも相異なってもよい。複数個あるR は、それぞれ同一でも相異なってもよい。複数個あるR は、それぞれ同一でも相異なってもよい。複数個あるR は、それぞれ同一でも相異なってもよい。)
  2. 式(20)で表される構造を繰り返し単位として含むことを特徴とする請求項に記載の共役高分子化合物。
    Figure 0005436087
    (20)
    (式中、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子を表す。R1、R2及びRは、同一又は相異なり、水素原子又は1価の有機基を表す。複数個あるXは、それぞれ同一でも相異なってもよい。複数個あるRは、それぞれ同一でも相異なってもよい。複数個あるRは、それぞれ同一でも相異なってもよい。複数個あるRは、それぞれ同一でも相異なってもよい。)
  3. 式(21)で表される構造を繰り返し単位として含むことを特徴とする請求項に記載の共役高分子化合物。
    Figure 0005436087
    (21)
    (式中、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子を表す。R1、R2及びR3は、同一又は相異なり、水素原子又は1価の有機基を表す。複数個あるXは、それぞれ同一でも相異なってもよい。複数個あるRは、それぞれ同一でも相異なってもよい。複数個あるRは、それぞれ同一でも相異なってもよい。複数個あるRは、それぞれ同一でも相異なってもよい。)
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の共役高分子化合物を有することを特徴とする有機半導体素子。
  5. 共役高分子化合物が部分的にスタッキング構造をとることを特徴とする請求項に記載の有機半導体素子。
  6. 請求項又はに記載の有機半導体素子を構成要素とすることを特徴とする装置。
JP2009182222A 2009-08-05 2009-08-05 共役高分子化合物、及びそれを有する有機半導体素子 Expired - Fee Related JP5436087B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009182222A JP5436087B2 (ja) 2009-08-05 2009-08-05 共役高分子化合物、及びそれを有する有機半導体素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009182222A JP5436087B2 (ja) 2009-08-05 2009-08-05 共役高分子化合物、及びそれを有する有機半導体素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011032426A JP2011032426A (ja) 2011-02-17
JP5436087B2 true JP5436087B2 (ja) 2014-03-05

Family

ID=43761818

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009182222A Expired - Fee Related JP5436087B2 (ja) 2009-08-05 2009-08-05 共役高分子化合物、及びそれを有する有機半導体素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5436087B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5566727B2 (ja) * 2010-03-08 2014-08-06 株式会社クラレ π電子系共役化合物及びその製造方法
JP5637703B2 (ja) * 2010-03-10 2014-12-10 株式会社クラレ π電子系共役ポリマー及びその製造方法
JP5638060B2 (ja) * 2010-03-10 2014-12-10 株式会社クラレ エレクトロクロミック材料とその製造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02180922A (ja) * 1988-12-29 1990-07-13 Toyobo Co Ltd 導電性重合体
US20070238854A1 (en) * 2006-04-11 2007-10-11 Air Products And Chemicals, Inc. Heterocyclic Fused Isothiazole and Isoselenazole Monomers and Conducting Polymers

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011032426A (ja) 2011-02-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Miao N-heteropentacenes and N-heteropentacenequinones: From molecules to semiconductors
JP5220005B2 (ja) チアゾロチアゾール誘導体およびそれを用いた有機電子素子
TWI588150B (zh) 雜環化合物及其利用
JP5202545B2 (ja) チアゾロチアゾール誘導体を用いた有機トランジスタおよびその製造方法
KR102072538B1 (ko) 유기 전자장치를 위한 페나센 화합물
Lin et al. Ambipolar organic field-effect transistors based on diketopyrrolopyrrole derivatives containing different π-conjugating spacers
JP2008513544A (ja) カルボニル官能化チオフェン化合物および関連する装置構造
Qiao et al. Synthesis, experimental and theoretical characterization, and field-effect transistor properties of a new class of dibenzothiophene derivatives: From linear to cyclic architectures
Kim et al. DPP-based small molecule, non-fullerene acceptors for “channel II” charge generation in OPVs and their improved performance in ternary cells
JP6332644B2 (ja) 化合物、高分子化合物、有機半導体材料、有機半導体デバイス、化合物の合成方法、高分子化合物の合成方法
WO2013002217A1 (ja) 化合物、電界効果トランジスタ及びその製造方法、太陽電池、有機発光素子、組成物、表示装置用アレイ並びに表示装置
WO2012157474A1 (ja) 化合物、電界効果トランジスタ及びその製造方法、太陽電池、有機発光素子、組成物、表示装置用アレイ並びに表示装置
Chen et al. Solution-processable tetrazine and oligothiophene based linear A–D–A small molecules: Synthesis, hierarchical structure and photovoltaic properties
JP5436087B2 (ja) 共役高分子化合物、及びそれを有する有機半導体素子
Liu et al. Naphthalene flanked diketopyrrolopyrrole: A new DPP family member and its comparative optoelectronic properties with thiophene-and furan-flanked DPP counterparts
Mamillapalli et al. Solution-processable end-functionalized tetrathienoacene semiconductors: Synthesis, characterization and organic field effect transistors applications
TW201247676A (en) Method for producing dianthra [2,3-b:2',3'-f] thieno [3,2-b] thiophen and application thereof
KR101059783B1 (ko) 플러렌 유도체를 함유한 유기박막트랜지스터
Zhang et al. Case study of metal coordination to the charge transport and thermal stability of porphyrin-based field-effect transistors
Moriguchi et al. Synthesis, characterization and air stable semiconductor properties of thiophene-condensed pyrene derivatives
Kim et al. Effects of substituents on the intermolecular interaction, morphology, and charge transport of novel bis-lactam-based molecules
Liu et al. Dialkylated dibenzotetrathienoacene derivative as semiconductor for organic field effect transistors
Kojima et al. Benzopyrazine-fused tetracene derivatives: Thin-film formation at the crystalline mesophase for solution-processed hole transporting devices
Schwartz et al. Impact of the arrangement of functional moieties within small molecular systems for solution processable bulk heterojunction solar cells
Shibuya et al. Azulene end-capped 1, 3, 4-thiadiazole as an n-type organic semiconductor with a herringbone–brickwork cooperative 2D layered structure

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120705

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130208

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130226

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130425

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131203

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131210

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5436087

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees