JP5566727B2 - π電子系共役化合物及びその製造方法 - Google Patents

π電子系共役化合物及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、各種電子素子の原材料となるπ電子系共役高分子の合成に用いられるπ電子系共役化合物、及びその製造方法に関するものである。
π電子系共役高分子は、種々の有機系オプトエレクトロニクス用途の電子素子の原材料として用いられている。このようなオプトエレクトロニクス用途の電子素子として、ポリマー発光ダイオード、薄膜ディスプレイ、固体照明、有機系光電池、アドバンスドメモリデバイス、有機電界効果トランジスタ、ウルトラコンデンサ、エレクトロルミネセンス素子、印刷エレクトロニクス、導体、レーザー、センサーなどがある。
π電子系共役高分子は、元々ポリアセチレンに導電性が見出されたことから、開発初期においてポリアセチレンが多く改良されていたが、次第に、他の種類のπ電子系共役高分子が多く開発されるようになった。また、近年、共役ポリ(チオフェン)及びポリ(置換化チオフェン)のようなπ電子系共役チオフェン高分子が、導電特性を有することが見出されている。
これらのπ電子系共役高分子は、それらをフィルムにキャストできる特長を有する。π電子系共役高分子は、一般的なp型及びn型ドーパントとドープすることや、ドープされたその高分子をフィルムにキャストでき、それによって電気特性を改良し、様々なオプトエレクトロニクス用途の電子素子の原材料として好適に用いることができる。
π電子系共役チオフェン高分子の形成に用いるチオフェンモノマーや置換化チオフェンモノマー、それらのモノマーを含有しているπ電子系共役高分子として、具体的に、以下のようなものが知られている。
特許文献1には、電気活性用途に用いるためのチエノ[3,4−b]チオフェンの繰り返し単位を含むホモポリマー及びコポリマーが開示されている。さらに、3,4−エチレンジオキシチオフェン、ジチオフェン、ピロール、及びベンゾチオフェンを含む化合物とそれらから生成するコポリマーが開示されている。特許文献2には、電界効果トランジスタ(FET)及びセンサー素子を含む電子光学及び電子素子に有用な電荷輸送材料又は半導体を製造するために好適なビニレン又はアセチレン結合基と、ジチエノチオフェン(DTT)との共役ポリマーが開示されている。特許文献3には、n型半導体として振舞うフィルムの形成において用いるためのフルオロカーボン官能化及び/又は複素環式変性化ポリ(チオフェン)、例えば、α,ω−ジパーフルオロヘキシルセキシチオフェンが開示されている。これらのポリ(チオフェン)は、FETモビリティを有する薄膜トランジスタを形成するために用いることができる。特許文献3には、半導体、電荷輸送材料、電気光学の電界効果トランジスタ、光電池及びセンサー素子に用いるための液晶材料として3−置換化−4−フルオロチオフェンの重合単位を有するポリマーが開示されている。特許文献4には、ベンゾ[b]チオフェン及びビスベンゾ[b]−チオフェンのポリマーと、電気工学素子における電荷輸送材料及び半導体としてのそれらの使用とが開示されている。特許文献5には、ピロール含有チオフェンポリマー及びアニリン含有ポリマーに基づくπ電子系共役高分子を導入する画像形成材料が開示されている。特許文献6には、3,4−ジアミノチオフェンの水溶液をホスゲンと接触させることにより、H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オンを調製することが開示されている。特許文献7には、1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン等のモノマー化合物を製造する方法が開示されている。また、特許文献8には、1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン等を構成単位として有する重合体や、1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−2(3H)−オン等とフェニレン等とを構成単位として有する共重合体について開示されている。
また非特許文献1及び非特許文献2には、2−ノニル−5H−ピロロ[3,4−d][1,3]チアゾール及び2−ノニルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールを調製したことが開示されている。しかしながら、デカン酸、水素化アルミニウムリチウム、三臭化リン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノンなどを使用した事が開示されていたものの、詳細な調製法は開示されていない。
また非特許文献3には、2,4−ジメチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールの調製方法が記載されているが、これはπ電子系共役高分子を重合するためのモノマーとして用いることができるものではなかった。
また、特許文献9には、2−ノニルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールを除くチエノ[3,4−d][1,3]チアゾール系化合物及び、その重合体が開示されている。しかしながら、詳細な調製例やその使途に関しては開示されていない。
米国特許出願公開第2004/00010115号明細書 米国特許第6,645,401号明細書 米国特許第6,585,914号明細書 米国特許第6,676,857号明細書 米国特許第6,695,978号明細書 米国特許第6,709,808号明細書 米国特許第2,487,051号明細書 特開2008−31430号公報 特表2009−501240号公報
ヒュンウォク キム(Hyun Wook Kim)ら、ポリマー プレプリンツ(PolymerPreprints)、2004年、45巻、1号、p.218 ジョンヨル イ(Jung Youl Lee)ら、ポリマー プレプリンツ(PolymerPreprints)、2003年、44巻、1号、p.1163 エー.シャフィー(A.Shafiee)ら、ジャーナル オヴ ヘテロサイクリック ケミストリー(Journalof Heterocyclic Chemistry)、1989年、26巻、3号、p.709
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、広範囲の有機系オプトエレクトロニクス用途の電子素子の原材料となるπ電子系共役高分子を形成するためにモノマーとして用いられるπ電子系共役化合物、及びそれを、簡素で取り扱い易い試薬から簡易に収率良く製造できる方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するためになされた特許請求の範囲の請求項1のπ電子系共役化合物は、縮合チオフェン環を有する下記化学式()〜(6)
Figure 0005566727
(化学式()〜(6)中、夫々独立して、Xは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はテルル原子であり、Yは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基であり、Wは、カルバゾール誘導体;ピリジン誘導体;フラン誘導体;ピロール誘導体;チオフェンビニレン、アルキルチオフェン、エチレン−3,4−ジオキシチオフェン、プロピレン−3,4−ジオキシチオフェン、チエノチオフェン、チエノフラン、チエノピラジン、及びイソチアナフテンから選ばれる何れかのチオフェン誘導体;又はオキサジアゾール、チアジル、セレノフェン、テルロフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、ベンゾトリアゾール、ピラン、ベンゾチアジアゾール、及びベンゾオキサジアゾールから選ばれる何れかの複素環誘導体である2価の複素芳香環基であり、化学式(2)〜(4)の1分子中の両Y及び両Xは、夫々同一又は異なるものである)から選ばれる何れかの化学式で示されるものである。
請求項2のπ電子系共役化合物の製造方法は、請求項1に記載のπ電子系共役化合物を製造する方法であって、下記化学式(7)及び化学式(8)
Figure 0005566727
(化学式(7)中、Xは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はテルル原子であり、Yは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基であり、化学式(8)中、Qは、ハロゲン原子であり、Rは、炭素数1〜20のアルキル基である)で示される両始発物質を反応させて、環化させ、化学式(9)
Figure 0005566727
(式(9)中、X、Y及びRは、前記に同じである)で示される中間体へ誘導する第一ステップと、該中間体を、その2位エステル基からアルデヒド基への還元と、その3位メチル基のハロメチル基へのハロゲン化と、該ハロメチル基の硫化とを経て、縮合チオフェン環へ縮環させる工程と、該中間体を、その3位メチル基のハロメチル基へのハロゲン化に引続き硫化し、それと2位エステル基とからのチオラクトン環化を経て、そこを縮合チオフェン環へ芳香族化させる工程との何れかの工程により、化学式(1)
Figure 0005566727
(式(1)中、X及びYは、前記に同じである)で示される化合物へ誘導する第二ステップと、化学式(1)で示される前記化合物の前記縮合チオフェン環と、スペーサー基含有分子を成す-W-又は-W-H(Wは、請求項1に記載の意味を表す)とに、脱離反応性基L(Lはハロゲン原子)を一方へ、求核反応性基Z(Zは、-MgCl、-MgBr、-MgI、-ZnCl、-ZnBr、-ZnI、-Sn(R ) (R は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基又はアルコキシ基)、ボロン酸基、又はボロン酸エステル基)を他方へ導入する第三ステップと、脱離反応性基Lと求核反応性基Zとを反応させて、それらが結合している炭素同士で、炭素−炭素結合を形成させて、前記縮合チオフェン環に前記Wであるスペーサー基を導入する第四ステップとを、有することを特徴とする。
請求項3のπ電子系共役化合物の製造方法は、請求項2に記載されたもので、前記第二ステップが、前記何れかの工程中で、下記化学式(10)〜(18)
Figure 0005566727
(式(10)〜(18)中、夫々、X、Y及びRは、前記に同じであり、Q〜Qは、ハロゲン原子である)で示される何れかの中間生成物を経由して、化学式(1)で示される前記化合物へ誘導することを特徴とする。
請求項4の電子素子材料は、請求項1に記載のπ電子系共役化合物からなることを特徴とする。
本発明のπ電子系共役化合物は、縮合した複素環式のチアゾール系、オキサゾール系、セレナゾール系、及びテルラゾール系のモノマーであり、π電子系共役高分子の原料モノマーである。このπ電子系共役化合物であるモノマーから得られるπ電子系共役高分子は、正孔注入材料、電荷輸送材料、半導体、光学・電気光学・電子素子における導体、ポリマー発光ダイオード(即ち、PLED)、エレクトロルミネセンス素子、有機電界効果トランジスタ(即ち、FET又はOFET)、フラットパネルディスプレイ(例えば、LCD)、無線IC(即ち、RFID)タグ、印刷エレクトロニクス、ウルトラコンデンサ、有機光電池(即ち、OPV)、センサー、レーザー、小分子又はポリマー系記憶装置、電解コンデンサのような様々な用途の電子素子の原材料として使用でき、また水素貯蔵材、抗腐食コーティングの原材料としても使用できるものである。
本発明のπ電子系共役化合物の実施態様の特長の一つは、縮合した複素環式のこれらモノマー及びそれらの誘導体を用いると、仕事関数が低く例えば導電率が少なくとも約10−5S/cmである高性能のπ電子系共役高分子を調製できることである。このπ電子系共役化合物は、例えば、正孔注入層(HIL)材料として好適なπ電子系共役高分子を生成させるためのモノマーとして用いられる。
このπ電子系共役化合物の別な実施態様の特長は、縮合した複素環式のこれらモノマー及びそれらの誘導体を用いると、バンドギャップが低く例えばバンドギャップが約2.5eV未満である高性能のπ電子系共役高分子を、調製できることである。このπ電子系共役化合物は、例えば、透明導体として好適なπ電子系共役高分子を生成させるためのモノマーとして用いられる。
このπ電子系共役化合物のさらに別な実施態様の特長は、縮合した複素環式のこれらモノマー及びそれらの誘導体を用いると、広範囲の電子用途を有するπ電子系共役高分子を調製できることである。
このπ電子系共役化合物のさらに別な実施態様の特長は、縮合した複素環式のこれらモノマー及びそれらの誘導体を用いて調製したπ電子系共役高分子が用いられたエレクトロルミネセンス素子において、発光層及び正孔注入層材料の間の実質的に同一の仕事関数水準となる望ましい特性を有する正孔注入材料を生成できることである。
このπ電子系共役化合物のさらに別な実施態様の特長は、縮合した複素環式のこれらモノマー及びそれらの誘導体を用いて調製したπ電子系共役高分子が、高い導電率を示し、高度に非局在化したイオン性ポリマーの構造をとって、望ましい特性を生じるような高分子の酸化形態を生成できることである。
このπ電子系共役化合物のさらに別な実施態様の特長は、縮合した複素環式のこれらモノマー及びそれらの誘導体を用い、それを溶解した溶液で塗布などの処理によって被膜形成が可能な液体組成物材料を生成できることである。
このπ電子系共役化合物のさらに別な実施態様の特長は、縮合した複素環式イミダゾロン、ジオキソロン、イミダゾールチオン及びジオキソールチオン及びそれらの誘導体に基づくモノマーを用い、環境に安定な半導体ポリマーを生成できることである。
本発明のπ電子系共役化合物の製造方法の実施形態の特長の一つは、多くの電子用途において広範囲の性能を有するπ電子系共役高分子を形成するのに、縮合した複素環式チアゾール系、オキサゾール系、セレナゾール系及びテルラゾール系のモノマーを、簡素で取り扱い易い試薬から簡易に収率良く製造できることである。
このπ電子系共役化合物の製造方法の別な実施形態の特長は、短工程で製造できて効率的であり、費用対効果が高いもので、高収率で高純度の縮合した複素環式のこれらモノマーを製造できることである。例えば、このπ電子系共役化合物の製造方法は、立体化学的又は位置化学的な純度が少なくとも約75重量%のこれらモノマーを有する低分子量生成物を生成できる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
本発明のπ電子系共役化合物は、下記化学式(1)〜(6)
Figure 0005566727
(化学式(1)〜(6)中、夫々独立して、Xは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はテルル原子であり、Yは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基であり、Wは、2価の複素芳香環基又はアリーレン基である)の何れかで示されるものである。何れも縮合チオフェン環を有しており、そのままでモノマーとなり、又は誘導化されてモノマーとなって、そのモノマー分子同士がヘッド-テイル(Head-to-Tail)やヘッド-ヘッド(Head-to-Head)やテイル-テイル(Tail-to-Tail)で重合して、π電子系共役高分子を形成するものである。
化学式(2)〜(4)のπ電子系共役化合物は、スペーサー基Wを介して対称又は非対称となっている。化学式(5)〜(6)のπ電子系共役化合物は、そのままでポリマー化し得るモノマーであってもよいが、化学式(2)〜(4)のπ電子系共役化合物を合成するため試薬として用いられてもよい。
前記化学式(1)〜(6)中、Yは、具体的には、水素原子であってもよく、置換基を有してもよい炭素数1〜20の有機基であってもよい。置換基を有してもよい炭素数1〜20の有機基としては、その構造中にエーテル結合、エステル結合、アミド結合、スルホニル結合、ウレタン結合、チオエーテル結合等の炭素−炭素結合以外の結合が含まれていてもよく、また、2重結合基、3重結合基、脂環式炭化水素基、複素環基、芳香族炭化水素基、複素芳香環基等が含まれていてもよい。置換基を有してもよい炭素数1〜20の有機基としては、例えば、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアルキルシリル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよい複素芳香環基等が、挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が、挙げられる。
前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が、挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が、挙げられる。
前記シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプタニル基、シクロオクタニル基、シクロノナニル基、シクロデカニル基、シクロウンデカニル基、シクロドデカニル基等が、挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等が、挙げられる。
前記アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ベンゾイル基、ドデカノイル基、ピバロイル基等が、挙げられる。
前記アリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、4−メトキシベンジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基等が、挙げられる。
前記アルキルシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基等が、挙げられる。
前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等が、挙げられる。
前記複素芳香環基としては、例えば、1価の複素芳香環基が挙げられ、より具体的には、チエニル基、フリル基、ピリジル基、イミダゾリル基、ピラジニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイミダゾリル基等が、挙げられる。
また、前記化学式(1)〜(6)中、Wは、置換基を有してもよいアリーレン基又は置換基を有してもよい2価の複素芳香環基である。
前記アリーレン基としては、例えば、フェニレン、2,3−ジアルキルフェニレン、2,5−ジアルキルフェニレン、2,3,5,6‐テトラアルキルフェニレン、2,3−アルコキシフェニレン、2,5-アルコキシフェニレン、2,3,5,6‐テトラアルコキシフェニレン、2−(N,N,−ジアルキルアミノ)フェニレン、2,5−ジ(N,N,−ジアルキルアミノ)フェニレン、2,3−ジ(N,N,−ジアルキルアミノ)フェニレン、p−フェニレンオキシド、p−フェニレンスルフィド、p−フェニレンアミノ、p−フェニレンビニレン、フルオレニレン、ナフチレン、アントリレン、テトラセニレン、ペンタセニレン、ヘキサセニレン、ヘプタセニレン、ナフチレンビニレン、ペリナフチレン、アミノピレニレン、フェナントレニレン等が、挙げられ、これらから選択される1種が、好適に用いられる。
また、2価の複素芳香環基としては、例えば、N−アルキルカルバゾール等のカルバゾール誘導体;ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピラジン、キノリン、プリン等のピリジン誘導体;3−アルキルフラン等のフラン誘導体;N−アルキルピロール、エチレン−3,4−ジオキシピロール、プロピレン−3,4−ジオキシピロール等のピロール誘導体;チオフェンビニレン、アルキルチオフェン、エチレン−3,4−ジオキシチオフェン、プロピレン−3,4−ジオキシチオフェン、チエノチオフェン、チエノフラン、チエノピラジン、イソチアナフテン等のチオフェン誘導体;オキサジアゾール、チアジル、セレノフェン、テルロフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、ベンゾトリアゾール、ピラン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾオキサジアゾールのような複素環誘導体等が、挙げられ、これらから選択される1種が、好適に用いられる。
これらのかかる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルキル基やアルコキシ基が挙げられる。
前記化学式(1)〜(6)で示されるπ電子系共役化合物は、以下のような本発明の製造方法により、得られる。
先ず、化学式(1)で示されるπ電子系共役化合物の製造方法について、下記化学反応式〔I〕及び〔II〕を参照しながら、詳細に説明する。
化学式(7)及び(8)で示される化合物を反応させて、下記化学反応式〔I〕に示す第1ステップのように、
Figure 0005566727
環化させて、化学式(9)で示される中間体へ誘導する。(なお、化学式(7)〜(9)中、X及びYは、前記に同じであり、Rは、炭素数1〜20のアルキル基である)
次いで、化学式(9)の中間体から、化学式(10)〜(18)で示される何れかの中間生成物を経て、化学式(1)で示されるπ電子系共役化合物が、下記化学反応式〔II〕に示す第二ステップのように、様々な反応ルートで誘導される。
Figure 0005566727
前記化学反応式〔II〕中、保護基をProcと略記する。
化学反応式〔II〕で示される中間生成物である化学式(10)〜(18)中、Xは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はテルル原子であり、Yは、水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜20の有機基であり、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基であり、Q〜Qは、ハロゲン原子である。
前記化学反応式〔I〕及び〔II〕で示される化学式(7)及び(18)の化合物中におけるXは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はテルル原子であり、原料入手性、取り扱い容易性、環境性などを考慮すると酸素原子、硫黄原子が好ましい。
前記化学反応式〔I〕及び〔II〕で示される化学式(7)及び(18)の化合物中におけるQは、ハロゲン原子であり、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、導入容易性、汎用性を考慮すると臭素が好ましい。
前記化学反応式〔I〕及び〔II〕で示される化学式(7)及び(18)の化合物中におけるRは、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基であり、アルキル基としては、前記化学式(1)〜(6)で例示したアルキル基を同様に用いることができる。取り扱い性、入手容易性などを考慮すると、メチル基、エチル基が好ましい。
前記化学反応式〔I〕及び〔II〕で示される化学式(7)及び(18)の化合物中におけるYは、水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜20の有機基であり、前記化学式(1)〜(6)で例示した有機基を同様に用いることができる。取り扱い性、入手容易性などと共に最終目的物の物性を考慮して自由に選定することが好ましい。
前記化学反応式〔I〕中の化学式(7)で示される化合物と化学式(8)で示される化合物とを接触させて化学式(9)で示される化合物を得る反応は、溶媒の存在下で行われることが好ましい。かかる溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、キシレン、エチルトルエンなどの芳香族炭化水素;ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒等が、挙げられる。これらの中でも、エーテルを用いることが好ましく、具体的には、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランを使用することが好ましい。溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。かかる溶媒の使用量は、化学式(7)で示される化合物1mmolに対して、1〜100mlであることが好ましく、2〜10mlであることがより好ましい。また、本反応は加熱下で実施してもよく、より具体的には30〜100℃の範囲で実施することが好ましい。
前記化学反応式〔II〕中の化学式(9)で示される化合物をハロゲン化して化合物(10)で示される化合物を得る反応は、溶媒の存在下で行われることが好ましい。かかる溶媒としては、低極性溶媒が好ましく、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、キシレン、エチルトルエンなどの芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化溶媒が、挙げられる。これらの中でも、ハロゲン化溶媒を用いることが好ましく、具体的には、四塩化炭素を使用することが好ましい。溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。かかる溶媒の使用量は、化学式(9)で示される化合物1mmolに対して、1〜100mlであることが好ましく、2〜10mlであることがより好ましい。また、本反応は加熱下で実施してもよく、より具体的には30〜100℃の範囲で実施することが好ましい。ハロゲンの選定については、特に限定されないが、入手容易性、汎用性の観点から臭素が好ましく、簡便にラジカル臭素化を行えるN−ブロモスクシンイミドを用いることが好ましい。ラジカル開始剤の使用は、特に限定されず、汎用的な過酸化物を使用することができる。具体的には例えば、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、過酸化水素等が、挙げられるが、入手容易性、安全性を考慮すると、アゾビスイソブチロニトリルが好ましい。
前記化学反応式〔II〕中の化学式(10)で示される化合物をチオール化して化学式(11)で示される化合物を得る反応は、溶媒の存在下で行われることが好ましい。かかる溶媒としては、高極性溶媒が好ましく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール;ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒等が、挙げられる。これらの中でも、アルコール又はエーテルを用いることが好ましく、具体的には、エタノール又はテトラヒドロフランを使用することが好ましい。溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。かかる溶媒の使用量は、化学式(10)で示される化合物1mmolに対して、1〜100mlであることが好ましく、2〜10mlであることがより好ましい。また、本反応は加熱下で実施してもよく、より具体的には30〜100℃の範囲で実施することが好ましい。硫黄源の選定については、特に限定されないが、チオ尿素、チオアセトアミド、硫化水素、塩化硫黄などが挙げられ、入手容易性、汎用性、安全性の観点からチオアセトアミドが好ましい。用いる硫黄源の使用量は、化学式(10)で示される化合物1mmolに対して、1当量〜3当量であることが好ましく、より好ましくは1〜1.5当量である。
前記化学反応式〔II〕中の化学式(9)で示される化合物を部分還元して化学式(12)で示される化合物を得る反応は、溶媒の存在下で行われることが好ましい。かかる溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、キシレン、エチルトルエンなどの芳香族炭化水素;ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒等が、挙げられる。これらの中でも、エーテルを用いることが好ましく、具体的には、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランを使用することが好ましい。溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。かかる溶媒の使用量は、化学式(9)で示される化合物1mmolに対して、1〜100mlであることが好ましく、2〜20mlであることがより好ましい。また、本反応は冷却下で実施してもよく、より具体的には−80℃〜20℃の範囲、更に好ましくは−60℃〜−10℃の範囲で実施することが好ましい。還元剤の選定については、特に限定されないが、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素リチウム、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素亜鉛、アセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、ジボラン、水素化ジイソブチルアルミニウム、ウィルキンソン触媒ホスフィン−エチレンジアミン−ルテニウム錯体などが挙げられ、入手容易性、汎用性、安全性の観点から水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。更に、水素化ジイソブチルアルミニウムにアミンを添加して還元力を弱めたり、金属アルコキシドを添加して錯形成させ、還元力を弱めたりして用いることも部分還元に効果的である。用いる還元剤、即ちヒドリドの使用量は、化学式(9)で示される化合物1mmolに対して、1当量〜3当量であることが好ましく、より好ましくは1〜1.5当量である。
前記化学反応式〔II〕中の化学式(13)で示される化合物は、前記化学式(12)で示される化合物をハロゲン化すること、前記化学式(10)で示される化合物を部分還元すること、又は化学式(16)で示される化合物を完全酸化することで得られる。前記化学式(12)で示される化合物をハロゲン化する手法、又は前記化学式(10)で示される化合物を部分還元する手法は前記の手法と同様にして実施できる。化学式(16)で示される化合物を完全酸化する手法は、特に限定されないが、例えば、クロロクロム酸ピリジニウムを用いた酸化(PCC酸化)、クロム酸ピリジニウムを用いた酸化(PDC酸化)、塩化オキサリルを活性化剤としてジメチルスルホキシドを酸化剤とする酸化(スワーン酸化)、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウムを用いた酸化(TPAP酸化)、超原子価ヨウ素化合物を用いた酸化(デス・マーチン酸化)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルを用いた酸化(TEMPO酸化)、イミドイルクロリドを用いた(向山酸化)、ジメチルスルフィド/N−クロロスクシンイミド系を用いる酸化(Corey−Kim酸化)等が、挙げられる。これらの反応は、溶媒の存在下で行われることが好ましい。かかる溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、キシレン、エチルトルエンなどの芳香族炭化水素;ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどの非プロトン性極性溶媒等が、挙げられる。溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。かかる溶媒の使用量は、化学式(16)で示される化合物1mmolに対して、1〜100mlであることが好ましく、2〜20mlであることがより好ましい。
前記化学反応式〔II〕中の化学式(14)で示される化合物は、前記化学式(11)で示される化合物を部分還元すること、前記化学式(11)で示される化合物のチオール基を保護した上で部分還元した後脱保護すること、又は化学式(17)で示される化合物を完全酸化することで得られる。前記化学式(11)で示される化合物を部分還元する手法、前記化学式(11)で示される化合物のチオール基を保護した上で部分還元した後脱保護する手法、又は化学式(17)で示される化合物を完全酸化する手法において、部分還元、完全酸化は前記の手法と同様にして実施できる。ここでチオール基の保護については、特に制限は無く、公知の保護−脱保護手法であればよい。例えば、チオエーテル基:ベンジル、p−メトキシベンジル、p−ニトロベンジル、ベンズヒドリル、ジ−p−メトキシベンズヒドリル、トリチル、m−ニトロフェニルフェナシルメチル、t−ブチル、2,2−ジエトキシカルボニルエチル、4‐ピコリルトリフルオロ酢酸、チオアセタール:2−テトラヒドロピラニル、ベンジルチオメチル、イソブチルオキシメチル、フェニルメチル、チアゾリン基:2,2−ジメチルチアゾリン−4−カルボン酸、アセトアミドメチル、チオエステル基:アセチル、ベンゾイル、ベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、エチルカルバモイル、t−ブトキシカルボニル、スルフェニル基:スルホナート、アゾベンゼン−2−スルフェニル、2−ニトローフェニルスルフェニル、4−ニトロ−フェニルスルフェニル、2,4−ジニトロフェニルスルフェニル、エチルスルフェニル、対称ジスルフィド等が、挙げられる。
前記化学反応式〔II〕中の化学式(15)で示される化合物は、化学式(9)で示される化合物を還元して得られる。本反応は、溶媒の存在下で行われることが好ましい。かかる溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、キシレン、エチルトルエンなどの芳香族炭化水素;ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒等が、挙げられる。これらの中でも、エーテルを用いることが好ましく、具体的には、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランを使用することが好ましい。溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。かかる溶媒の使用量は、化学式(9)で示される化合物1mmolに対して、1〜100mlであることが好ましく、2〜20mlであることがより好ましい。また、本反応は冷却下で実施してもよく、より具体的には−80℃〜20℃の範囲、更に好ましくは−60℃〜−10℃の範囲で実施することが好ましい。還元剤の選定については、特に限定されないが、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素リチウム、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素亜鉛、アセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、ジボラン、水素化ジイソブチルアルミニウム、ウィルキンソン触媒ホスフィン−エチレンジアミン−ルテニウム錯体などが挙げられ、入手容易性、汎用性、の観点から水素化アルミニウムリチウムが好ましい。用いる還元剤、即ちヒドリドの使用量は、化学式(9)で示される化合物1mmolに対して、1当量〜3当量であることが好ましく、より好ましくは1〜1.5当量である。
前記化学反応式〔II〕中の化学式(16)で示される化合物は、前記化学式(10)で示される化合物を還元すること、又は前記化学式(15)で示される化合物をハロゲン化することで得られる。前記化学式(10)で示される化合物を還元すること、又は前記化学式(15)で示される化合物をハロゲン化することにおいて、還元、ハロゲン化は前記の手法と同様にして実施できる。
前記化学反応式〔II〕中の化学式(17)で示される化合物は、前記化学式(11)で示される化合物を還元することで得られる。前記化学式(11)で示される化合物を還元する手法は前記の手法と同様にして実施できる。
前記化学反応式〔II〕中の化学式(18)で示される化合物は、前記化学式(11)で示される化合物を塩基性条件下で加水分解後、酸触媒を用いて加熱することで得られる。加水分解は、公知の手法で行うことができるが、溶媒下で行うことが好ましく、特に高極性溶媒が好ましい。例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール;ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒等が、挙げられる。これらの中でも、アルコール又はエーテルを用いることが好ましく、具体的には、エタノール又はテトラヒドロフランを使用することが好ましい。溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。かかる溶媒の使用量は、化学式(11)で示される化合物1mmolに対して、1〜100mlであることが好ましく、2〜10mlであることがより好ましい。また、本反応は加熱下で実施してもよく、より具体的には30〜100℃の範囲で実施することが好ましい。塩基の選定については、特に限定されないが、金属水酸化物、炭酸金属塩、炭酸水素金属塩、アルキルアミンなどが挙げられ、入手容易性、汎用性、安全性の観点から金属水酸化物が好ましい。用いる金属水酸化物の使用量は、化学式(11)で示される化合物1mmolに対して、1当量〜6当量であることが好ましく、より好ましくは1〜3当量である。酸触媒を用いた加熱は、溶媒下で行うことが好ましく、特に高極性溶媒が好ましい。例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール;ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒等が、挙げられる。これらの中でも、アルコール又はエーテルを用いることが好ましく、具体的には、エタノール又はテトラヒドロフランを使用することが好ましい。溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。かかる溶媒の使用量は、化学式(11)で示される化合物1mmolに対して、1〜100mlであることが好ましく、2〜10mlであることがより好ましい。また、本反応は加熱下で実施してもよく、より具体的には30〜100℃の範囲で実施することが好ましい。酸触媒の選定については、特に限定されないが、塩酸、硫酸、過塩素酸、硝酸などの酸が挙げられ、入手容易性、汎用性、安全性の観点から硫酸が好ましい。用いる酸の使用量は、化学式(11)で示される化合物1mmolに対して、1当量〜10当量であることが好ましく、より好ましくは1〜5当量である。
前記化学反応式〔II〕中の化学式(13)で示される化合物をチオール化して化学式(1)で示される化合物を得る反応は、溶媒の存在下で行われることが好ましい。かかる溶媒としては、高極性溶媒が好ましく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール;ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒等が、挙げられる。これらの中でも、アルコール又はエーテルを用いることが好ましく、具体的には、エタノール又はテトラヒドロフランを使用することが好ましい。溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。かかる溶媒の使用量は、化学式(13)で示される化合物1mmolに対して、1〜100mlであることが好ましく、2〜10mlであることがより好ましい。また、本反応は加熱下で実施してもよく、より具体的には30〜100℃の範囲で実施することが好ましい。硫黄源の選定については、特に限定されないが、チオ尿素、チオアセトアミド、硫化水素、塩化硫黄などが挙げられ、入手容易性、汎用性、安全性の観点からチオアセトアミドが好ましい。用いる硫黄源の使用量は、化学式(13)で示される化合物1mmolに対して、1当量〜3当量であることが好ましく、より好ましくは1〜1.5当量である。
前記化学反応式〔II〕中の化学式(14)で示される化合物を塩基性条件下で加熱することで、化学式(1)で示される化合物を得る反応は、溶媒の存在下で行われることが好ましい。かかる溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、キシレン、エチルトルエンなどの芳香族炭化水素;ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒等が、挙げられる。これらの中でも、エーテルを用いることが好ましく、具体的には、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランを使用することが好ましい。溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。かかる溶媒の使用量は、化学式(14)で示される化合物1mmolに対して、1〜100mlであることが好ましく、2〜10mlであることがより好ましい。また、本反応は加熱下で実施してもよく、より具体的には30〜100℃の範囲で実施することが好ましい。塩基の選定については、特に限定されないが、金属水酸化物、炭酸金属塩、炭酸水素金属塩、アルキルアミンなどが挙げられ、入手容易性、汎用性、安全性の観点から金属水酸化物が好ましい。用いる金属水酸化物の使用量は、化学式(14)で示される化合物1mmolに対して、1当量〜6当量であることが好ましく、より好ましくは1〜3当量である。
前記化学反応式〔II〕中の化学式(18)で示される化合物をリチオ化後、プロトン化すること、又は部分還元すること、そしてその後加熱脱水させることで、化学式(1)で示される化合物を得ることができる。ここでリチオ化反応は、塩基性物質を用いて化学式(18)で示される化合物をリチオ化することで行うことができ、塩基性物質に特に制限は無いが、例えば、有機リチウム化合物であることが好ましい。有機リチウム化合物の具体例としては、例えば、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等のアルキルリチウム化合物;フェニルリチウム等のアリールリチウム化合物;ビニルリチウム等のアルケニルリチウム化合物;リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド等のリチウムアミド化合物などを挙げることができる。これらの中でも塩基性物質はアルキルリチウム化合物であることが好ましい。塩基性物質は不活性ガス雰囲気下、基質となる化学式(18)で示される化合物に対して1〜4当量、より好ましくは1.05〜2当量を、当該化学式(18)で示される化合物に徐々に添加することが好ましい。塩基性物質を添加する際には、化学式(18)で示される化合物を予め溶媒に希釈しておくことが好ましい。当該溶媒の種類には、特に制限はないが、エーテル系の溶媒、特にテトラヒドロフランが好ましい。塩基性物質を添加する前において当該溶媒を含む反応液中における化学式(18)で示される化合物の濃度に特に制限はないが、1〜100ml/mmolの範囲内であることが好ましく、2〜10ml/mmolの範囲内であることがより好ましい。前記化学式(18)で示される化合物と塩基性物質とを反応させる際の温度に特に制限はないが、−200〜30℃の範囲内であることが好ましく、−80〜10℃の範囲内であることがより好ましい。前記化学式(18)で示される化合物と塩基性物質とを反応させる際の反応時間としては、10分〜4時間の範囲内であることが好ましく、30分〜2時間の範囲内であることがより好ましい。ここでプロトン化反応は、前記化学式(18)で示される化合物と塩基性物質とを反応させた後、当該反応物とプロトン源とをさらに反応させる事で行える。具体的には前記化学式(18)で示される化合物と塩基性物質との反応後の反応液にプロトン源を添加することにより行うことができる。プロトン源としては、水、アルキルアルコール等が、挙げられる。プロトン源の添加量としては、使用した塩基性物質に対して過剰量であることが好ましい。ここで、前記化学式(18)で示される化合物を部分還元する手法において、部分還元は前記の手法と同様にして実施できる。ここで、加熱脱水して化学式(1)で示される化合物を得る工程は、溶媒の存在下で行われることが好ましい。かかる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、キシレン、エチルトルエンなどの芳香族炭化水素;ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒等が、挙げられる。溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。かかる溶媒の使用量は、化学式(18)で示される化合物1mmolに対して、1〜100mlであることが好ましく、2〜10mlであることがより好ましい。また、本反応は加熱下で実施してもよく、より具体的には30〜150℃の範囲で実施することが好ましい。
続いて、第三ステップ及び第四ステップについて下記化学反応式〔III〕を参照しながら、詳細に説明する。
Figure 0005566727
前記化学反応式〔III〕中、脱離反応性基であるLは、ハロゲン原子であり、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が、挙げられる。求核反応性基であるZは、−MgCl、−MgBr、−MgI、−ZnCl、−ZnBr、−ZnI、-Sn(R)(Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基又はアルコキシ基)、ボロン酸基及びボロン酸エステル基から選ばれる少なくとも1種であるが、官能基許容性が高いといった観点から-Sn(R)、ボロン酸基、及びボロン酸エステル基が好ましく用いられる。ここで、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基又はアルコキシ基であり、アルキル基、及びアルコキシ基としては、前記Rで例示されたものを同様に用いることができる。
前記化学式(19)及び(20)中、Xは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はテルル原子であり、Yは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基であり、Lはハロゲン原子であり、Zは、-MgCl、-MgBr、-MgI、-ZnCl、-ZnBr、-ZnI、-Sn(R)(Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基又はアルコキシ基)、ボロン酸基、又はボロン酸エステル基である。
化学式(2)〜(6)で示されるπ電子系共役化合物は、前記化学反応式〔III〕で示される反応のように、化学式(1)で示される化合物をハロゲン化し、化学式(19)で示される化合物を得た後、化学式(2)〜(6)で示したWとクロスカップリング反応をさせる、又は、化学式(1)で示される化合物に−MgCl、−MgBr、−MgI、−ZnCl、−ZnBr、−ZnI、−Sn(R(Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基又はアルコキシ基)、ボロン酸基及びボロン酸エステル基から選ばれる少なくとも1種のZ基を導入して化学式(20)で示される化合物を得た後、化学式(2)〜(6)で示したWとクロスカップリング反応をさせる手法によって得ることができる。
前記化学反応式〔III〕で示されるように、化学式(19)で示される化合物及び化学式(20)で示される化合物をクロスカップリング反応に用いることにより、化学式(2)〜(6)で示されるπ電子系共役化合物を得ることができる。クロスカップリング反応としては、例えば、Suzuki反応、Yamamoto反応、Heck反応、Stille反応、Sonogashira−Hagihara反応、Kumada−Corriu反応、Riecke反応、McCullogh反応等が好適に採用される。
ここで、化学式(1)で示される化合物をハロゲン化して化学式(19)を得る工程は、化学式(1)で示される化合物におけるXのα位の1箇所に、ハロゲン原子を導入することにより化学式(19)で示される化合物を得る反応である。よって、ハロゲン原子を導入する方法としては、N−ブロモスクシンイミド等を極性溶媒中で用いて擬イオン的に反応させる方法が好適に採用される。また、ハロゲン原子を導入する際に、N−ブロモスクシンイミド等の反応試薬の添加量を必要量以上に用いると、Xのα位の2箇所同時にハロゲン原子が導入されたものが得られることとなり、分離精製工程を別途設ける必要があり工程が煩雑となるおそれがある。したがって、N−ブロモスクシンイミド等の反応試薬の添加量は化学式(1)で示される化合物に対して、1〜1.2当量であることが好ましい。
前記ハロゲン化反応は、溶媒の存在下で行われることが好ましい。かかる溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、キシレン、エチルトルエンなどの芳香族炭化水素;ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒等が、挙げられる。これらの中でも、エーテル、又は非プロトン性極性溶媒を用いることが好ましく、具体的には、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドを使用することが好ましい。溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。かかる溶媒の使用量は、化学式(1)で示される化合物1mmolに対して、1〜100mlであることが好ましく、2〜50mlであることがより好ましい。
ここで、化学式(20)で示される化合物を得る工程は、化学式(1)で示される化合物におけるXのα位の1箇所をリチオ化した後、Z基を導入することにより化学式(20)で示される化合物を得る反応である。具体的には、前記化学式(1)で示される化合物と塩基性物質とを反応させた後、当該反応物とZ源とをさらに反応させる事で行える。具体的には前記化学式(1)で示される化合物と塩基性物質との反応後の反応液にZ源を添加することにより行うことができる。Z源としては、トリアルキルスズハロゲン化物や、ボロン酸エステル等が、挙げられる。また、Z源にハロゲン元素を用いた場合、後にZnやMgの金属と反応させる必要がある。
塩基性物質に特に制限は無いが、例えば、有機リチウム化合物であることが好ましい。有機リチウム化合物の具体例としては、例えば、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等のアルキルリチウム化合物;フェニルリチウム等のアリールリチウム化合物;ビニルリチウム等のアルケニルリチウム化合物;リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド等のリチウムアミド化合物などを挙げることができる。これらの中でも塩基性物質はアルキルリチウム化合物であることが好ましい。塩基性物質は不活性ガス雰囲気下、基質となる化学式(1)で示される化合物に対して1〜1.5当量、より好ましくは1.05〜1.2当量を、当該化学式(1)で示される化合物に徐々に添加することが好ましい。塩基性物質を添加する際には、化学式(1)で示される化合物を予め溶媒に希釈しておくことが好ましい。当該溶媒の種類には、特に制限はないが、エーテル系の溶媒、特にテトラヒドロフランが好ましい。塩基性物質を添加する前において当該溶媒を含む反応液中における化学式(1)で示される化合物の濃度に特に制限はないが、1〜100ml/mmolの範囲内であることが好ましく、2〜10ml/mmolの範囲内であることがより好ましい。前記化学式(1)で示される化合物と塩基性物質とを反応させる際の温度に特に制限はないが、−200〜30℃の範囲内であることが好ましく、−80〜10℃の範囲内であることがより好ましい。
前記クロスカップリングする反応は溶媒の存在下で行われることが好ましい。かかる溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン等の飽和脂肪族または脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、キシレン、エチルトルエン等の芳香族炭化水素;ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等が、挙げられる。前記溶媒は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、当該溶媒はエーテル又は芳香族炭化水素であることが好ましく、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、及びトルエンであることがより好ましい。当該溶媒の使用量は、化学式(19)及び(20)で示される化合物1mmolに対して、1〜100mlの範囲内であることが好ましく、2〜50mlの範囲内であることがより好ましい。
前記反応のより具体的な例としては、クロスカップリングさせたい2種の化合物に加えて、触媒としてテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムやトランス−ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム等のパラジウム触媒を添加後、反応系を加熱することにより行うことができる。
本発明により得られる前記化学式(1)〜(6)で示される化合物をモノマー成分として用いて製造したπ電子系共役重合体は、有機エレクトロニクス用途に用いることができ、例えば、フィルム、繊維、固体コンデンサ、有機光電変換素子、防錆塗料、メモリデバイス、有機電界効果トランジスタ、エレクトロクロミック表示素子等の成形体として各種用途に用いられる。また、上記π電子系共役重合体をドーピングして、ドーパントが近傍に存在するキノイド構造を有する重合体とした場合には、バンドギャップの低い導電性ポリマーとなるので、導電性の高いイオン性ポリマーとして、特に導電性が要求される用途に好ましく用いることができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
(実施例1)
化学式(7)で示されるアセトアミドと化学式(8)で示される2−クロロアセト酢酸エチルとを用いた化学式(9−1)で示されるエチル2,4−ジメチル−1,3−オキサゾール−5−カルボキシレートの合成を以下に示す。
Figure 0005566727
アセトアミド800mmol、2−クロロアセト酢酸エチル400mmolを146gの無水酢酸に溶解させ、130℃に加熱して10時間反応させた。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で塩基性に傾向させた後、酢酸エチルを用いて、生成物を有機相に抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒をエバポレートし、黒色液体を得た。その黒色液体に6規定塩酸水溶液を添加し、塩基性に傾向させた後、上部の水相を回収した。この水相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で塩基性に傾向した後、酢酸エチルを用いて、生成物を有機相に抽出した。得られた固体をヘキサンに溶解させ、不溶分を除去し、溶媒をエバポレートすることで、黄白色固体であるエチル2,4−ジメチル−1,3−オキサゾール−5−カルボキシレートを得た。収率は30%であった。
エチル2,4−ジメチル−1,3−オキサゾール−5−カルボキシレートのH−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ:4.38(2H、dd)、2.49(3H、s)、2.43(3H、s)、1.39(3H,t)
(実施例2)
化学式(7)で示されるチオアセトアミドと化学式(8)で示される2−クロロアセト酢酸エチルとを用いた化学式(9−2)で示されるエチル2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートの合成を以下に示す。また、下記化学式中におけるエチル基をEtと略記する。
Figure 0005566727
チオアセトアミド126mmolを378mlのテトラヒドロフランに溶解させたところに、2−クロロアセト酢酸エチル120mmolを36mlのテトラヒドロフランに溶解させた溶液を氷浴で温度を0〜10℃に保ちながら徐々に滴下していき、滴下終了後、室温で1時間攪拌した後、80℃に加熱して3時間反応させた。反応液を1晩室温で静置し、再結晶された固体をフィルタリングして、50mlの水に溶解させた。ここに炭酸水素ナトリウムを水溶液がpH8〜9になる程度まで添加し、酢酸エチルを用いて生成物を有機相に分液抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒をエバポレートし、エチル2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートを得た。収率は95%であった。
エチル2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートのH−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ:4.30(2H、dd)、2.69(3H、s)、2.67(3H、s)、1.36(3H,t)
(実施例3)
化学式(9−1)で示されるエチル2,4−ジメチル−1,3−オキサゾール−5−カルボキシレートをハロゲン化する化学式(10−1)で示されるエチル 4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−カルボキシレートの合成を以下に示す。
Figure 0005566727
エチル2,4−ジメチル−1,3−オキサゾール−5−カルボキシレートを10mmol、四塩化炭素30mlに溶解させたところに、N−ブロモスクシンイミド11mmolを温度を20〜30℃に保ちながら徐々に添加していき、添加終了後、アゾビスイソブチロニトリルを0.5mmol、徐々に添加した。その後、室温で30分攪拌した後、80℃に加熱して3時間反応させた。反応液を室温まで冷却し、析出した固体をフィルタリング除去して、ろ液を30mlの水で洗浄した後、有機相を分液抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒をエバポレートし、エチル 4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−カルボキシレートを得た。
エチル 4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−カルボキシレートのH−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ:4.64(2H、s)、4.41(2H、dd)、2.53(3H、s)、1.42(3H,t)
(実施例4)
化学式(9−)で示されるエチル2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートをハロゲン化する化学式(10−2)で示されるエチル 4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートの合成を以下に示す。
Figure 0005566727
前記実施例においてエチル2,4−ジメチル−1,3−オキサゾール−5−カルボキシレートの代わりに、エチル2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートを用いた以外は同様の手法でエチル 4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートを得た。収率は95%であった。
エチル 4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートのH−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ:4.91(2H、s)、4.35(2H、dd)、2.71(3H、s)、1.38(3H,t)
(実施例5)
化学式(10−1)で示されるエチル 4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−カルボキシレートをチオール化する化学式(11−1)で示されるエチル 4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−カルボキシレートの合成を以下に示す。
Figure 0005566727
エチル 4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−カルボキシレートを5mmol、エタノール50mlに溶解させたところに、チオアセトアミド5.5mmolを添加した後、95℃に加熱して4時間反応させた。反応液を室温まで冷却し、エタノールをエバポレートさせ、酢酸エチル/ヘキサン溶媒を用いたカラム分離による精製工程を経て、エチル 4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−カルボキシレートを得た。収率は95%であった。
エチル 4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−カルボキシレートのH−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ:4.40(2H、dd)、3.90(2H、d)、2.52(3H、s)、2.09(1H、t)、1.40(3H,t)
(実施例6)
化学式(10−2)で示されるエチル 4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートをチオール化する化学式(11−2)で示されるエチル 4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートの合成を以下に示す。
Figure 0005566727
前記実施例におけるエチル 4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−カルボキシレートの代わりにエチル 4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートを用いた以外は同様の手法にて、エチル 4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートを得た。収率は95%であった。
エチル 4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートのH−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ:4.33(2H、dd)、4.16(2H、d)、2.69(3H、s)、2.20(1H、t)、1.37(3H,t)
(実施例7)
化学式(9−)で示されるエチル2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートを部分還元する化学式(12−1)で示される2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−カルバルデヒドの合成を以下に示す。
Figure 0005566727
t−ブトキシナトリウム105mmolを100mlの乾燥テトラヒドロフランに溶解させたところに、1.0M水素化ジイソブチルアルミニウム/ヘキサン溶液100mlを氷浴で温度を0〜10℃に保ちながら徐々に添加していき、添加終了後、室温で2時間反応させて、0.5Mのナトリウム ジイソブチル−t−ブトキシアルミニウムハイドライド(SDBBA)溶液を調製した。
エチル2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレート10mmolを、乾燥テトラヒドロフラン100mlに溶解させたところに、0.5MのSDBBA溶液を21ml、温度−30〜−20℃に保ちながら徐々に添加していき、添加終了後、−20℃で4時間反応させた。その後、20mlの水を反応系中に添加することで反応停止させ、有機相を分離した。残った水相に炭酸水素ナトリウムを水相がpH8〜9になる程度まで添加し、酢酸エチルを用いて生成物を有機相に分液抽出し、先の有機相と合一したものを硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒をエバポレートし、酢酸エチル/ヘキサン溶媒を用いたカラム分離による精製工程を経て、2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−カルバルデヒドを得た。収率は65%であった。
2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−カルバルデヒドのH−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ:10.03(1H,s)、2.73(3H、s)、2.70(3H、s)
(実施例8)
化学式(9−)で示されるエチル2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートを還元する化学式(15−1)で示される(2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−イル)メタノールの合成を以下に示す。
Figure 0005566727
水素化リチウムアルミニウム100mmolに100mlの乾燥テトラヒドロフランを温度を−70〜−60℃に保ちながら徐々に添加していき、添加終了後、1.0Mの水素化リチウムアルミニウム(LAH)溶液を調製した。
エチル2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートを10mmol、乾燥テトラヒドロフラン100mlに溶解させたところに、1.0MのLAH溶液を21ml、温度−70〜−60℃に保ちながら徐々に添加していき、添加終了後、−60℃で4時間反応させた。その後、20mlの水を反応系中に添加することで反応停止させ、20mlの15%水酸化ナトリウム水溶液を更に加えた後、60mlの水で希釈して室温で1時間攪拌した。灰色の沈殿をフィルタリング除去し、有機相を分離した。残った水相に炭酸水素ナトリウムを水相がpH8〜9になる程度まで添加し、酢酸エチルを用いて生成物を有機相に分液抽出し、先の有機相と合一したものを硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒をエバポレートし、酢酸エチル/ヘキサン溶媒を用いたカラム分離による精製工程を経て、(2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−イル)メタノールを得た。
(実施例9)
化学式(10−2)で示されるエチル 4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートを還元する、又は化学式(15−1)で示される(2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−イル)メタノールをハロゲン化する化学式(16−1)で示される[4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−イル]メタノールの合成を以下に示す。
Figure 0005566727
前記実施例において、エチル2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートの代わりにエチル 4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートを用いた以外は同様の手法で還元を行った。一方、前記実施例において、エチル2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートの代わりに(2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−イル)メタノールを用いた以外は同様の手法でハロゲン化を行った。
(実施例10)
化学式(10−1)で示されるエチル 4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−カルボキシレートを部分還元する、2,4−ジメチル−1,3−オキサゾール−5−カルバルデヒドをハロゲン化する、又は[4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−イル]メタノールを酸化する化学式(13−1)で示される4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−カルバルデヒドの合成を以下に示す。
Figure 0005566727
前記実施例において、エチル2,4−ジメチル−1,3−オキサゾール−5−カルボキシレートの代わりにエチル 4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−カルボキシレートを用いた以外は同様の手法で部分還元を行った。一方、前記実施例において、エチル2,4−ジメチル−1,3−オキサゾール−5−カルボキシレートの代わりに2,4−ジメチル−1,3−オキサゾール−5−カルバルデヒドを用いた以外は同様の手法でハロゲン化を行った。一方、[4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−イル]メタノールの酸化(スワーン酸化)は下記の手法で実施した。
窒素雰囲気下、二塩化オキサリル11.25mmolを脱水塩化メチレン20mlに溶解させ、−70〜−60℃に温度を保ちながら、乾燥ジメチルスルホキシド15mmolを徐々に添加して30分反応させた。その後、[4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−イル]メタノール7.5mmolを塩化メチレン5mlに溶解させた溶液を系中に徐々に滴下し、3時間反応させた。その後、トリエチルアミンを30ml、系中に添加し、10分攪拌して反応停止させた。その後、室温まで温度上昇させた後、100mlのジエチルエーテルに反応液を注ぎ、50mlの水で洗浄した後、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒をエバポレートし、酢酸エチル/ヘキサン溶媒を用いたカラム分離による精製工程を経て、4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−カルバルデヒドを得た。
4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−カルバルデヒドのH−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ:9.88(1H、s)、4.60(2H,s)、2.58(3H、s)
(実施例11)
化学式(10−2)で示されるエチル 4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートを部分還元する、化学式(12−1)で示される2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−カルバルデヒドをハロゲン化する、又は化学式(16−1)で示される[4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−イル]メタノールを酸化する化学式(13−2)で示される4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルバルデヒドの合成を以下に示す。
Figure 0005566727
前記実施例において、エチル2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートの代わりにエチル 4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートを用いた以外は同様の手法で部分還元を行った。一方、前記実施例において、エチル2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートの代わりに2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−カルバルデヒドを用いた以外は同様の手法でハロゲン化を行った。一方、[4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−イル]メタノールの酸化(スワーン酸化)は下記の手法で実施した。
窒素雰囲気下、二塩化オキサリル11.25mmolを脱水塩化メチレン20mlに溶解させ、−70〜−60℃に温度を保ちながら、乾燥ジメチルスルホキシド15mmolを徐々に添加して30分反応させた。その後、[4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−イル]メタノール7.5mmolを塩化メチレン5mlに溶解させた溶液を系中に徐々に滴下し、3時間反応させた。その後、トリエチルアミンを30ml、系中に添加し、10分攪拌して反応停止させた。その後、室温まで温度上昇させた後、100mlのジエチルエーテルに反応液を注ぎ、50mlの水で洗浄した後、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒をエバポレートし、酢酸エチル/ヘキサン溶媒を用いたカラム分離による精製工程を経て、4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルバルデヒドを得た。
4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルバルデヒドのH−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ:10.11(1H、s)、4.78(2H,s)、2.77(3H、s)
(実施例12)
化学式(11−2)で示されるエチル 4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートを還元する化学式(17−1)で示される[4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−イル]メタノールの合成を以下に示す。
Figure 0005566727
前記実施例において、エチル2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートの代わりにエチル 4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートを用いた以外は同様の手法で還元を行った。
(実施例13)
化学式(11−1)で示されるエチル 4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−カルボキシレートを部分還元する、又は化学式(17)で示される[4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−イル]メタノールを酸化する化学式(14−1)で示される4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−カルバルデヒドの合成を以下に示す。
Figure 0005566727
前記実施例においてエチル2,4−ジメチル−1,3−オキサゾール−5−カルボキシレートの代わりに、エチル 4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−カルボキシレートを用いて、0.5MSDBBA溶液の添加量を前記実施例で用いた量の2倍にした以外は同様の手法で部分還元を行った。一方、前記実施例において[4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−イル]メタノールの代わりに[4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−イル]メタノールを用いた以外は同様の手法で酸化を行った。
4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−カルバルデヒドのH−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ:9.84(1H、s)、3.89(2H、d)、2.56(3H,s)、2.20(1H、t)
(実施例14)
化学式(11−2)で示されるエチル 4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートを部分還元する、又は化学式(17−1)で示される[4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−イル]メタノールを酸化する化学式(14−2)で示される4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルバルデヒドの合成を以下に示す。
Figure 0005566727
前記実施例においてエチル2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートの代わりに、エチル 4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートを用いて、0.5MSDBBA溶液の添加量を前記実施例で用いた量の2倍にした以外は同様の手法で部分還元を行った。一方、前記実施例において[4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−イル]メタノールの代わりに[4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−イル]メタノールを用いた以外は同様の手法で酸化を行った。
4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルバルデヒドのH−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ:9.87(1H、s)、4.07(2H、s)、2.77(3H,s)、2.20(1H、t)
(実施例15)
化学式(11−2)で示されるエチル 4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートをチオラクトン環化する化学式(18−1)で示される2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾール−6(4H)−オンの合成を以下に示す。
Figure 0005566727
エチル 4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートを5mmol、エタノール50mlに溶解させたところに、水酸化ナトリウム10mmolを添加した後、室温で1時間攪拌した後、80℃に加熱して4時間反応させた。反応液を室温まで冷却し、エタノールをエバポレートさせた。その後、得られた固形分を酢酸エチル50mlに溶解させ、更に1M塩酸10mlを加えて過剰の水酸化ナトリウムを中和した後、有機相を回収し再びエバポレートさせた。得られた固形分を再びエタノール50mlに溶解させたところに、硫酸5mlを加え、室温で1時間攪拌した後、95℃に加熱して4時間反応させた。溶媒をエバポレートし、酢酸エチル/ヘキサン溶媒を用いたカラム分離による精製工程を経て、2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾール−6(4H)−オンを得た。
2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾール−6(4H)−オンのH−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ:2.71(2H,d)、2.55(3H、s)
(実施例16)
化学式(13−1)で示される4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−カルバルデヒドを用いた化学式(1−1)で示される2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]オキサゾールの合成を以下に示す。
Figure 0005566727
前記実施例におけるエチル 4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−カルボキシレートの代わりに4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−カルバルデヒドを用いた以外は同様の手法で実施した。
2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]オキサゾールのH−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ:6.98(1H,d)、6.69(1H、d)、2.70(3H、s)
(実施例17)
化学式(13−1)で示される4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルバルデヒドを用いた化学式(1−2)で示される2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールの合成を以下に示す。
Figure 0005566727
前記実施例におけるエチル 4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートの代わりに4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルバルデヒドを用いた以外は同様の手法で実施した。収率は65%であった。
2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールのH−NMR及び13C−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ:7.45(1H,d)、7.16(1H、d)、2.73(3H、s)
13C−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ:173.46、159.94、134.62、109.73、109.34、21.21
(実施例18)
化学式(14−1)で示される4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−カルバルデヒドを用いた化学式(1−1)で示される2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]オキサゾールの合成を以下に示す。
Figure 0005566727
4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−オキサゾール−5−カルバルデヒドを5mmol、エタノール50mlに溶解させたところに、酢酸50mmolを添加し、室温で1時間攪拌した後、80℃に加熱して4時間反応させた。反応液を室温まで冷却し、溶媒をエバポレートさせ、酢酸エチル/ヘキサン溶媒を用いたカラム分離による精製工程を経て、2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]オキサゾールを得た。
(実施例19)
化学式(14−2)で示される4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルバルデヒドを用いた化学式(1−2)で示される2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールの合成を以下に示す。
Figure 0005566727
4−(メルカプトメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−カルバルデヒドを5mmol、エタノール50mlに溶解させたところに、酢酸50mmolを添加し、室温で1時間攪拌した後、80℃に加熱して4時間反応させた。反応液を室温まで冷却し、溶媒をエバポレートさせ、酢酸エチル/ヘキサン溶媒を用いたカラム分離による精製工程を経て、2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールを得た。収率は60%であった。
(実施例20)
化学式(18−1)で示される2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾール−6(4H)−オンを用いた化学式(1−2)で示される2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールの合成を以下に示す。
2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾール−6(4H)−オンを5mmol、テトラヒドロフラン25mlに溶解させたところに、1.6Mのn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液を3.43ml、温度−70〜−60℃に保ちながら徐々に添加していき、添加終了後、−20℃で4時間反応させた。その後、20mlの水を反応系中に添加することで反応停止させ、有機相を分離した。残った水相に酢酸を水相がpH3〜4になる程度まで添加し、酢酸エチルを用いて生成物を有機相に分液抽出し、先の有機相と合一したものを硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒をエバポレートし、酢酸エチル/ヘキサン溶媒を用いたカラム分離による精製工程を経て、2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾール−6−オルを得た。
得られた2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾール−6−オルを3mmol、エタノール30mlに溶解させた後、95℃に加熱して4時間反応させた。反応液を室温まで冷却し、エタノールをエバポレートさせ、酢酸エチル/ヘキサン溶媒を用いたカラム分離による精製工程を経て、2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールを得た。収率は40%であった。
(実施例21)
化学式(1−2)で示される2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールをハロゲン化する化学式(19−1)で示される6−ブロモ−2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールの合成を以下に示す。
Figure 0005566727
化学式(1−2)で示される2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールを1mmol、10mlのテトロヒドロフランに溶解させ、ドライアイス冷却メタノールバス中で−78℃に保った。ここに、1.05mmolのN−ブロモスクシンイミドを5mlのテトラヒドロフランに溶解させた溶液を徐々に滴下していき、2時間反応させた後、飽和塩化ナトリウム水溶液を過剰量加えて反応停止させた。この反応液を水洗した後、有機相を回収し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒をエバポレートさせ、酢酸エチル/ヘキサン溶媒を用いたカラム分離による精製工程を経て、化学式(19−1)で示される6−ブロモ−2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールを得た。収率は80%であった。
6−ブロモ−2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールのH−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ:7.15(1H,s)、2.73(3H、s)
(実施例22)
化学式(19−1)で示される6−ブロモ−2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールと3,6−ジブロモ−9−メチル−9H−カルバゾールとを用いたスティルクロスカップリング反応による化学式(2−1)で示される9−メチル−3,6−ビス(2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾール−6−イル)−9H−カルバゾールの合成を以下に示す。
Figure 0005566727
3,6−ジブロモ−9−メチル−9H−カルバゾールを2ml/mmolの乾燥テトラヒドロフランに溶解させ、ドライアイス冷却メタノールバス中で−78℃に保った。アルゴンガス雰囲気下、1.6規定のn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液を3,6−ジブロモ−9−メチル−9H−カルバゾールに対して1.1等量徐々に滴下し、30分間反応させた後、塩化トリブチルスズを1.0等量加えて1時間反応させた。さらに、1.6規定のn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液を3,6−ジブロモ−9−メチル−9H−カルバゾールに対して1.1等量徐々に滴下し、30分間反応させた後、塩化トリブチルスズを1.0等量加えて1時間反応させた後に、飽和塩化ナトリウム水溶液を過剰量加え、反応を停止させた。飽和塩化ナトリウム水溶液を用いて3回洗浄し、反応液からヘキサンを用いて、生成物を有機相に分液抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒をエバポレートさせて、3,6−ジトリブチルスズ−9−メチル−9H−カルバゾールを得た。
3,6−ジトリブチルスズ−9−メチル−9H−カルバゾールに対して、2.0等量の化学式(19−1)で示される6−ブロモ−2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾール、5ml/mmolの乾燥1,4−ジオキサン、0.2等量のトランス−ジクロロビストリフェニルフォスフィンパラジウムを加え、アルゴンガス雰囲気下、130℃で40時間還流させ反応進行させた後、飽和塩化アンモニウム水溶液を過剰量加えて反応停止させた。得られた反応液から酢酸エチルを用いて、生成物を有機相に分液抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒をエバポレートさせて、酢酸エチル/ヘキサン溶媒を用いたカラム分離による精製工程を経て、化学式(2−1)で示される9−メチル−3,6−ビス(2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾール−6−イル)−9H−カルバゾールを得た。
9−メチル−3,6−ビス(2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾール−6−イル)−9H−カルバゾールのH−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ:7.05(2H,s)、8.76(2H、d)、8.26(2H、d)、7.47(2H、s)3.90(3H,s)、2.82(6H、s)
(実施例23)
化学式(19−1)で示される6−ブロモ−2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールと5−トリブチルスズ−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンとを用いたスティルクロスカップリング反応による化学式(5−1)で示される6−(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−イル)−2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールの合成を以下に示す。
Figure 0005566727
2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンを2ml/mmolの乾燥テトラヒドロフランに溶解させ、ドライアイス冷却メタノールバス中で−78℃に保った。アルゴンガス雰囲気下、1.6規定のn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液を2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンに対して1.1等量徐々に滴下し、30分間反応させた後、塩化トリブチルスズを1.0等量加えて1時間反応させた。その後、飽和塩化ナトリウム水溶液を過剰量加え、反応を停止させた。飽和塩化ナトリウム水溶液を用いて3回洗浄し、反応液からヘキサンを用いて、生成物を有機相に分液抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒をエバポレートさせて、5−トリブチルスズ−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンを得た。
5−トリブチルスズ−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンに対して、1.0等量の化学式(19−1)で示される6−ブロモ−2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾール、5ml/mmolの乾燥1,4−ジオキサン、0.1等量のトランス−ジクロロビストリフェニルフォスフィンパラジウムを加え、アルゴンガス雰囲気下、130℃で40時間還流させ反応進行させた後、飽和塩化アンモニウム水溶液を過剰量加えて反応停止させた。得られた反応液から酢酸エチルを用いて、生成物を有機相に分液抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒をエバポレートさせて、酢酸エチル/ヘキサン溶媒を用いたカラム分離による精製工程を経て、化学式(5−1)で示される6−(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−イル)−2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールを得た。
6−(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−イル)−2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールのH−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ:7.36(1H,s)、6.36(1H、s)、4.37(2H、m)、4.29(2H、m)、2.74(3H、s)
比較例として、本発明の適用外であるπ電子系共役高分子の製造方法を下記化学反応式〔IV〕に示す。
Figure 0005566727
(比較例1)
チオアセトアミドと3−クロロアセチルアセトンとを用いた化学式(21)で示される1−(2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−イル)エタノンの合成を以下に示す。
チオアセトアミド126mmolを378mlのテトラヒドロフランに溶解させたところに、3−クロロアセチルアセトン120mmolを36mlのテトラヒドロフランに溶解させた溶液を氷浴で温度を0〜10℃に保ちながら徐々に滴下していき、滴下終了後、室温で1時間攪拌した後、80℃に加熱して3時間反応させた。反応液を1晩室温で静置し、再結晶された固体をフィルタリングして、50mlの水に溶解させた。ここに炭酸水素ナトリウムを水溶液がpH8〜9になる程度まで添加し、酢酸エチルを用いて生成物を有機相に分液抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒をエバポレートし、1−(2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−イル)エタノンを得た。収率は95%であった。
1−(2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−イル)エタノンのH−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ:2.70(3H、s)、2.69(3H、s)、2.51(3H、s)
(比較例2)
化学式(21)で示される1−(2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−イル)エタノンをハロゲン化する化学式(22)で示される1−[4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−イル]エタノンの合成を以下に示す。
1−(2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−イル)エタノンを10mmol、四塩化炭素30mlに溶解させたところに、N−ブロモスクシンイミド11mmolを温度を20〜30℃に保ちながら徐々に添加していき、添加終了後、アゾビスイソブチロニトリルを0.5mmol、徐々に添加した。その後、室温で30分攪拌した後、80℃に加熱して3時間反応させた。反応液を室温まで冷却し、析出した固体をフィルタリング除去して、ろ液を30mlの水で洗浄した後、有機相を分液抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒をエバポレートし、1−[4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−イル]エタノンを得た。収率は95%であった。
1−[4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−イル]エタノンのH−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ:4.89(2H,s)、2.74(3H、s)、2.55(3H、s)
(比較例3)
化学式(22)で示される1−[4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−イル]エタノンとチオアセトアミドとを用いた化学式(23)で示される2,4−ジメチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールの合成を以下に示す。
1−[4−(ブロモメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール−5−イル]エタノンを5mmol、エタノール50mlに溶解させたところに、チオアセトアミド5.5mmolを添加した後、95℃に加熱して4時間反応させた。反応液を室温まで冷却し、エタノールをエバポレートさせ、酢酸エチル/ヘキサン溶媒を用いたカラム分離による精製工程を経て、2,4−ジメチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールを得た。
2,4−ジメチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールのH−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ:7.19(1H,s)、2.70(3H、s)、2.54(3H、s)
(比較例4)
化学式(23)で示される2,4−ジメチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールを用いた光酸化による化学式(24)で示される2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾール−4−カルボキシリックアシッドの合成1を以下に示す。
化学式(23)で示される2,4−ジメチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールを24mmol、酢酸エチル400mlに溶解させたところに、臭化水素酸4.8mmolを加え、酸素ガスを吹き込みながらバイコールガラスをフィルターとした高圧水銀ランプを用いて光照射し、酸素ラジカルによるベンジル位酸化を試みた。室温で8時間攪拌した後、反応液を回収し、溶媒をエバポレートし、得られた化合物を同定すると、2,4−ジメチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールであり、反応が進行していないことが示された。
(比較例5)
化学式(23)で示される2,4−ジメチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールを用いた光酸化による化学式(24)で示される2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾール−4−カルボキシリックアシッドの合成2を以下に示す。
前記比較例4において、酢酸エチルの代わりにアセトニトリルを用いた以外は同様の手法で試みた。得られた化合物を同定すると、化学式(24)で示される2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾール−4−カルボキシリックアシッドではなく、4位のメチル基が脱離した1−(2−メチル−1,3−チアゾール−5−イル)エタノンが得られ、目的の化合物が得られないことが判った。
(比較例6)
化学式(23)で示される2,4−ジメチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールを用いた触媒酸化による化学式(24)で示される2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾール−4−カルボキシリックアシッドの合成1を以下に示す。
化学式(23)で示される2,4−ジメチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールを22mmol、氷酢酸96mlに溶解させ、臭化ナトリウムと酢酸コバルト4水和物を夫々5mmolずつ添加した。酸素ガスを吹き込みながら、室温で8時間攪拌した後、反応液を回収し、溶媒をエバポレートし、得られた化合物を同定すると、2,4−ジメチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールであり、反応が進行していないことが示された。
(比較例7)
化学式(23)で示される2,4−ジメチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールを用いた触媒酸化による化学式(24)で示される2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾール−4−カルボキシリックアシッドの合成2を以下に示す。
水50mlに過マンガン酸カリウム20mlを溶解させた溶液に、化学式(23)で示される2,4−ジメチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールを5mmol添加し、80℃で2時間攪拌した後、反応液を室温まで冷却し、固形分として析出してきた二酸化マンガンをフィルタリング除去し、酢酸エチルを用いて生成物を有機相に分液抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒をエバポレートし、得られた化合物を同定すると、化学式(24)で示される2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾール−4−カルボキシリックアシッドではなく、4位のメチル基が脱離した1−(2−メチル−1,3−チアゾール−5−イル)エタノンが得られ、目的の化合物が得られないことが判った。
比較例4〜7により、化学式(23)で示される2,4−ジメチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールを経由した製造法では目的とする化学式(1−2)で示される2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールを得ることは出来ないことが示された。よって、本発明における、前記請求項4記載の製造法によってのみ、効果的に化学式(1−2)で示される2−メチルチエノ[3,4−d][1,3]チアゾールを得ることができる事が示された。
本発明は、一定の実施形態に関連して記載されてきたが、当業者は、本発明の範囲から外れることなく、種々の変更を行うことができ、そして均等物で要素を置換することができることが理解されるであろう。さらに、それらの必須要素の範囲から外れることなく、多くの改良によって、本発明の教示に特定の状況又は材料を適合させることができるであろう。従って、本発明は、本発明を実施するため考慮された最良の形態として開示された特定の実施形態に制限されず、本発明は、添付の特許請求の範囲内にある全ての実施形態を含むことを意図している。
本発明のπ電子系共役化合物は、フィルム、繊維、固体コンデンサ、有機光電変換素子、防錆塗料、メモリデバイス、有機電界効果トランジスタ、エレクトロクロミック表示素子のような製品の材料として有用である。

Claims (4)

  1. 縮合チオフェン環を有する下記化学式()〜(6)
    Figure 0005566727
    (化学式()〜(6)中、夫々独立して、Xは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はテルル原子であり、Yは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基であり、Wは、カルバゾール誘導体;ピリジン誘導体;フラン誘導体;ピロール誘導体;チオフェンビニレン、アルキルチオフェン、エチレン−3,4−ジオキシチオフェン、プロピレン−3,4−ジオキシチオフェン、チエノチオフェン、チエノフラン、チエノピラジン、及びイソチアナフテンから選ばれる何れかのチオフェン誘導体;又はオキサジアゾール、チアジル、セレノフェン、テルロフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、ベンゾトリアゾール、ピラン、ベンゾチアジアゾール、及びベンゾオキサジアゾールから選ばれる何れかの複素環誘導体である2価の複素芳香環基であり、化学式(2)〜(4)の1分子中の両Y及び両Xは、夫々同一又は異なるものである)から選ばれる何れかの化学式で示されるπ電子系共役化合物。
  2. 請求項1に記載のπ電子系共役化合物を製造する方法であって、
    下記化学式(7)及び化学式(8)
    Figure 0005566727
    (化学式(7)中、Xは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はテルル原子であり、Yは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基であり、化学式(8)中、Qは、ハロゲン原子であり、Rは、炭素数1〜20のアルキル基である)で示される両始発物質を反応させて、環化させ、化学式(9)
    Figure 0005566727
    (式(9)中、X、Y及びRは、前記に同じである)で示される中間体へ誘導する第一ステップと、
    中間体を、その2位エステル基からアルデヒド基への還元と、その3位メチル基のハロメチル基へのハロゲン化と、該ハロメチル基の硫化とを経て、縮合チオフェン環へ縮環させる工程と、該中間体を、その3位メチル基のハロメチル基へのハロゲン化に引続き硫化し、それと2位エステル基とからのチオラクトン環化を経て、そこを縮合チオフェン環へ芳香族化させる工程との何れかの工程により、化学式(1)
    Figure 0005566727
    (式(1)中、X及びYは、前記に同じである)
    で示される化合物へ誘導する第二ステップと、
    化学式(1)で示される前記化合物の前記縮合チオフェン環と、スペーサー基含有分子を成す-W-又は-W-H(Wは、請求項1に記載の意味を表す)とに、脱離反応性基L(Lはハロゲン原子)を一方へ、求核反応性基Z(Zは、-MgCl、-MgBr、-MgI、-ZnCl、-ZnBr、-ZnI、-Sn(R ) (R は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基又はアルコキシ基)、ボロン酸基、又はボロン酸エステル基)を他方へ導入する第三ステップと、
    脱離反応性基Lと求核反応性基Zとを反応させて、それらが結合している炭素同士で、炭素−炭素結合を形成させて、前記縮合チオフェン環に前記Wであるスペーサー基を導入する第四ステップとを、
    有することを特徴とするπ電子系共役化合物の製造方法。
  3. 前記第二ステップが、前記何れかの工程中で、下記化学式(10)〜(18)
    Figure 0005566727
    (式(10)〜(18)中、夫々、X、Y及びRは、前記に同じであり、Q〜Qは、ハロゲン原子である)で示される何れかの中間生成物を経由して、化学式(1)で示される前記化合物へ誘導することを特徴とする請求項2に記載のπ電子系共役化合物の製造方法。
  4. 請求項1に記載のπ電子系共役化合物からなることを特徴とする電子素子材料
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