JP5435467B2 - 電力ケーブル終端接続部の組立方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電力ケーブルのゴムブロック式終端接続部の組立方法に関するものである。
従来の電力ケーブルのゴムブロック式終端接続部を図9に示す。図において、1はゴム又はプラスチック絶縁電力ケーブル、3は電力ケーブル1の端部を段剥ぎして露出させた金属シース、5は外部半導電層、7は絶縁層、9は導体である。11は外部半導電層5から絶縁層7にかけての外周に装着された常温収縮ゴムブロックである。ゴムブロック11は、電界緩和用の半導電ゴム部13と絶縁ゴム部15とから構成され、ケーブルコア(外部半導電層5から絶縁層7にかけての部分)により拡径されていることによる収縮力でケーブルコア外周面に密着している。17は導体9に圧縮接続された導体引出棒、19は碍管、21は碍管19の上部金具、23は下部金具、25はケーブル保持管、27は防水処理部、29は碍管19内に充填された絶縁コンパウンド(粘度50〜100cs程度の低粘度シリコーン油)、31は電力ケーブル1内への絶縁コンパウンドの浸入を阻止する油止め処理部である。
このような電力ケーブル終端接続部では、碍管19に充填された絶縁コンパウンド29の油止め処理を、油密モールド又はチューブ等により現地で行う必要があり、施工に時間がかかるだけでなく、施工のばらつきにより油漏れが発生するおそれがある。
この点を改良するものとして、碍管の下部金具とケーブル保持管との間に油止めフランジを挟み込み、この油止めフランジの中心部から碍管内に立ち上がる円筒部にゴムブロックの下端部を被せることで油止めを行う構造も提案されている(特許文献1参照)。
特開2002−315171号公報
しかし、油止めフランジを用いる構造では、碍管の下部金具とケーブル保持管との間に油止めフランジを挟み込む必要があり、構造が複雑になるだけでなく、終端接続部の組立も面倒になるという問題がある。
本発明の目的は、油止めフランジを用いることなく、簡単な構造で油止めを行うことができる電力ケーブル終端接続部の組立方法を提供することにある。
本発明に係る電力ケーブル終端接続部の組立方法は、
電力ケーブル終端接続部の電界緩和用ゴムブロック本体部に、外径が電力ケーブル終端接続部の碍管の内径より大きく、内径が電力ケーブル端部のケーブルコアの外径より大きい拡径筒部を一体に形成してなるゴムブロックを用い、
このゴムブロックを、電力ケーブル端部のケーブルコア上の所定の位置に装着し、
前記拡径筒部の外周に、外径が前記碍管の内径より小さい円筒治具を被せて前記拡径筒部を前記碍管の内径より小さい状態に縮径させ、
この状態で前記ゴムブロックを碍管内の所定位置まで挿入した後、前記円筒治具を引き抜いて拡径筒部の拘束を解除することにより、拡径筒部の弾性反発力で拡径筒部の外周面を碍管の内周面に密着させる、
ことを特徴とするものである。
本発明の組立方法においては、前記円筒治具の軸線方向の一端側に引張部材を取り付けておき、この引張部材を引っ張ることにより円筒治具を引き抜くようにすることが好ましい。
また本発明の組立方法で使用する円筒治具は、周方向の1箇所又は複数箇所に連結解除可能な連結部を有していることが好ましい。
本発明によれば、ゴムブロック本体部に設けた拡径筒部を円筒治具で縮径した状態で碍管内に挿入し、挿入後に円筒治具を引き抜くことにより拡径筒部の弾性反発力で拡径筒部の外周面を碍管内周面に密着させることができ、この部分で油止めを行うことができる。このため油止めフランジを用いることなく、簡単な構造で碍管内の絶縁コンパウンドの漏れを防止することができる。また拡径筒部は、円筒治具により縮径した状態で碍管内に挿入されるので、挿入時に碍管内面で擦られて外周面に傷がつくおそれがなく、より信頼性の高い油止め構造を得ることができる。
また、円筒治具の一端側に引張部材を取り付けておくと、ゴムブロックを碍管内に挿入した後、円筒治具の引き抜きを容易に行うことができる。
また、円筒治具の周方向の1箇所又は複数箇所に連結解除可能な連結部を設けておくと、円筒治具を引き抜いた後、ケーブルコアの周りにある円筒治具を簡単に取り除くことができる。
本発明の組立方法で組み立てられる電力ケーブル終端接続部の具体例を示す断面図。 図1の終端接続部に使用するゴムブロックの断面図。 本発明に係る組立方法の実施例の第一段階を示す断面図。 同じく第二段階を示す断面図。 同じく第三段階を示す断面図。 同じく第四段階を示す断面図。 (A)は本発明に用いる円筒治具の一例を示す横断面図、(B)は(A)の円筒治具の連結部の連結を解除した状態を示す横断面図。 (A)は本発明に用いる円筒治具の他の例を示す横断面図、(B)は(A)の円筒治具の連結部の連結を解除した状態を示す横断面図。 従来の電力ケーブル終端接続部の一例を示す断面図。
本発明の実施例の説明に入る前に、本発明の組立方法で組み立てられる電力ケーブル終端接続部の具体例を、図1を参照して説明する。図1において、先に説明した図9の終端接続部と同一部分には同一符号を付してある。この終端接続部で使用するゴムブロック11は、ケーブルコアの外部半導電層5から絶縁層7にかけての外周面に密着する電界緩和用ゴムブロック本体部33(半導電ゴム部13と絶縁ゴム部15からなる)の下方に、当該本体部33より内径、外径とも大きい拡径筒部35を前記絶縁ゴム部15と一体に形成したものである。
ゴムブロック11は、外力が加えられる前のフリーな状態では、図2に示すように、ゴムブロック本体部33の内径dがケーブルコアの外径より小さく、拡径筒部35の外径Dが碍管19の内径より大きくなるように作られている。拡径筒部35の内径はケーブルコアの外径より大きい。拡径筒部35の上部は下方に向かってテーパー状に広がる傘状に形成されており、下部はほぼ円筒状に形成されている。拡径筒部35は、この例のように、ゴムブロック本体33の下端側に連設することが好ましいが、中間部又は上端部側に設けることも可能である。
したがってゴムブロック11は、ケーブルコアの外周に装着すると、ゴムブロック本体部33がケーブルコアにより拡径されるため収縮力が発生し、この収縮力でケーブルコア外周面に密着して、電界緩和効果を発揮できる状態となる。さらに、ゴムブロック11を碍管19内に挿入すると(ゴムブロック11の外周に碍管19を被せると)、碍管19の内周面により拡径筒部35が縮径されるため、その反発力で拡径筒部35の外周面が碍管19の内周面に密着し、碍管19内に充填された絶縁コンパウンド29の油漏れを防止できる状態となる。
このような構造にすると、碍管19を被せることで油止め処理を行うことができるので、金属シース3の部分への油止め処理は必要なくなり、また油止めフランジを用いる必要もないので、簡単に油止め処理を行うことができる。
図3ないし図6は上記のような電力ケーブル終端接続部を組み立てるための本発明の一実施例を示す。まず図3に示すように、電力ケーブル1の端部に露出させたケーブルコア上の所定の位置(外部半導電層5から絶縁層7にかけての部分)に、拡径筒部35を有するゴムブロック11を装着する。この作業は従来と同じ方法で行うことができる。
次に図4に示すように、ゴムブロック11の拡径筒部35の外周に、外径が碍管19の内径より若干小さい円筒治具37を被せて、拡径筒部35を碍管19の内径より小さい状態に縮径させる。円筒治具37は内表面平滑な金属板を円筒状に成形したものであることが好ましい。円筒治具37の下端には引張部材39が溶接等の手段により取り付けられている。前記ゴムブロック11の拡径筒部35の上部は傘状に形成されているので、円筒治具37を被せるとき拡径筒部35を縮径させ易い。
図4のように拡径筒部35を円筒治具37で縮径した状態で、図5に示すようにゴムブロック11を碍管19内の所定位置まで挿入する。この挿入作業は、ゴムブロック11側を静止させておいて碍管19を上から下降させるか、あるいは碍管19を静止させておいてゴムブロック11側を碍管19内に引き込むことにより行う。
その後、引張部材39を下方へ引っ張って、図6のように円筒治具37を引き抜くと、拡径筒部35は拘束を解除されるため、弾性反発力によりその外周面が碍管19の内周面に密着する状態となる。この後、円筒治具37を取り除き、図1に示すように碍管19の下部金具23とケーブル保持管25とを連結して固定し、碍管19内に絶縁コンパウンド29を充填すれば、図1のような電力ケーブル終端接続部が出来上がる。絶縁コンパウンド29としては粘度1000〜10000cs程度の高粘度シリコーン油を用いることが好ましい。
ところで、円筒治具37を用いずにゴムブロック11を碍管11内に挿入すると、拡径筒部35の外周面が碍管11の内周面で擦られて傷つく(クラックが入る)おそれがある(特に碍管がFFP−ゴム複合碍管である場合にはFRP筒の内面に露出するガラス繊維が拡径筒部を傷つけやすい)が、上記のような円筒治具37を使用することにより、拡径筒部35を傷つけることなく挿入することができる。
なお、引き抜いた円筒治具37を簡単に取り除くためには、図7(A)に示すように円筒治具37の周方向の2箇所に連結解除可能な連結部41を設けておいて、円筒治具37を同図(B)のように連結部41の連結を解除して二つの半円筒部材37a、37bに分離できるようにするか、あるいは図8(A)に示すように円筒治具37の周方向の1箇所に連結解除可能な連結部41を設けておいて、同図(B)のように連結部41の連結を解除して円筒治具37の周方向の両端を広げられるようにしておくとよい。
1:電力ケーブル
3:金属シース
5:外部半導電層
7:絶縁層
9:導体
11:ゴムブロック
13:半導電ゴム部
15:絶縁ゴム部
17:導体引出棒
19:碍管
29:絶縁コンパウンド
33:ゴムブロック本体部
35:拡径筒部
37:円筒治具
39:引張部材
41:連結部

Claims (3)

  1. 電力ケーブル終端接続部の電界緩和用ゴムブロック本体部に、外径が電力ケーブル終端接続部の碍管の内径より大きく、内径が電力ケーブル端部のケーブルコアの外径より大きい拡径筒部を一体に形成してなるゴムブロックを用い、
    このゴムブロックを、電力ケーブル端部のケーブルコア上の所定の位置に装着し、
    前記拡径筒部の外周に、外径が前記碍管の内径より小さい円筒治具を被せて前記拡径筒部を前記碍管の内径より小さい状態に縮径させ、
    この状態で前記ゴムブロックを碍管内の所定位置まで挿入した後、前記円筒治具を引き抜いて拡径筒部の拘束を解除することにより、拡径筒部の弾性反発力で拡径筒部の外周面を碍管の内周面に密着させる、
    ことを特徴とする電力ケーブル終端接続部の組立方法。
  2. 前記円筒治具の軸線方向の一端側に引張部材が取り付けられており、この引張部材を引っ張ることにより円筒治具を引き抜くことを特徴とする請求項1記載の電力ケーブル終端接続部の組立方法。
  3. 前記円筒治具は、周方向の1箇所又は複数箇所に連結解除可能な連結部を有していることを特徴とする請求項1又は2記載の電力ケーブル終端接続部の組立方法。
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