JP2013169021A - 電力ケーブル終端接続部の組立方法及び組立用の芯棒並びに組立用工具 - Google Patents

電力ケーブル終端接続部の組立方法及び組立用の芯棒並びに組立用工具 Download PDF

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Abstract

【課題】套管に座屈を生じさせることなく套管への電力ケーブルの挿入作業を容易化できる電力ケーブル終端接続部の組立方法及び組立用の工具を提供する。
【解決手段】電力ケーブルの端部に、套管内に挿通可能な芯棒の一端を接続し、該芯棒を套管内に位置させた後、芯棒および電力ケーブルを套管内で相対的に移動させて電力ケーブルの外周に套管を装着するようにした。
【選択図】図2

Description

本発明は、ゴム套管内に電力ケーブルの端部を収容してなるゴム套管形の電力ケーブル終端接続部の組立方法及び組立用の芯棒並びに組立用工具に関する。
電力ケーブルの敷設において、CVケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)等の電力ケーブルと変電所・発電所等に配置される電力機器や架空送電線とを接続する場合には、一般に、電力ケーブルの終端部に、電力ケーブル気中終端接続部(以下、終端接続部)を使用した端末処理が施される。終端接続部には、電界緩和層を内蔵したゴム製の套管(以下、ゴム套管)を使用したゴム套管形終端接続部と呼ばれるものがある。ゴム套管形終端接続部の基本構造は、例えば特許文献1に開示されている。
ゴム套管形終端接続部に使用されるゴム套管は、電界緩和層を内蔵した太径部と、太径部よりも外径が小さく外周面に絶縁性を高めるための複数の傘状の襞が所定ピッチにて形成された細径部とを有している。ゴム套管の内径は、段剥ぎされた電力ケーブルの絶縁体の外径よりも小さく形成されており、ゴム套管の太径部側の開口から段剥ぎされた電力ケーブルの先端部を挿入し、ゴム套管の内径を弾性変形により拡径させながら電力ケーブルを押し込むことにより、ゴム套管が電力ケーブルの外周に密着状態で装着される。
この電力ケーブルの挿入作業を容易化するための技術として、組立用工具を利用してゴム套管を電力ケーブル側に向けて牽引して挿入する方法が提案されている(例えば特許文献2)。この挿入方法は、ゴム套管太径部から細径部にかけてのテーパー部を治具で把持し、これをケーブル側に牽引するものであるが、ケーブルの外径とゴム套管の内径とから決まる拡径率が大きい場合には、上記テーパー部の他にゴム套管先端部にも治具を装着して2点で把持するとともに、治具間はロープやワイヤ、ベルト、チェーンなどの線状牽引部材で連結して引っ張り力を与え圧縮した状態で、全体をケーブル側に牽引するようにしている。
特開2009−159743号公報 特開2009−171721号公報
ゴム套管に電力ケーブルを装着する場合、ゴム套管の内径と電力ケーブルの絶縁体外径の組み合わせによっては、ゴム套管の拡径率(電力ケーブル装着前の套管内径に対する装着後の套管内径の比率)が大きく、ゴム套管とケーブル絶縁体との間に生じる摩擦力が非常に大きくなることがある。この場合、ゴム套管を電力ケーブル側に向けて非常に大きな力で牽引することとなる。
このとき、ゴム套管の太径部は長手方向に変形しにくいため、電力ケーブルを太径部に挿入する際には別段問題は生じない。一方、ゴム套管の細径部は、太径部に比較して長手方向に大きく変形しやすいため、電力ケーブルを細径部に挿入する際に、細径部(特に太径部近傍)が長手方向に伸びてしまうことがあり、細径部が長手方向に大きく、しかも不均一に変形すると、その状態で矯正することが非常に困難である。そのため、ゴム套管を一旦抜き取って電力ケーブルを再挿入しなければならならず、ゴム套管を抜き取るための工具が必要となる上、施工時間も増大してしまうという課題がある。
また、ゴム套管内に電力ケーブルを挿入する際に、ゴム套管の細径部が撓曲し、ゴム套管の貫通孔が変形して挿入抵抗が増大して、電力ケーブルを挿入すること自体困難になることがある。さらに、ゴム套管の細径部が変形すると、組立後の終端接続部の襞の間隔の乱れなどが生じ、放電特性(雷インパルス耐電圧特性など)も低下してしまう。
さらに、特許文献2に開示されているような挿入用の治具と牽引部材(ロープやワイヤ、ベと、チェーン等)とからなる工具を用いてゴム套管に電力ケーブルを挿入する方法を適用して2点把持で牽引を行うようにしても、拡径率が大きくなったり、界面の塗布油膜に不均一な部分が生じたりして界面の摩擦力が局所的に増大すると、ゴム套管が座屈を起こしてしまい挿入が困難になることがあるという課題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ゴム套管への電力ケーブルの挿入作業を容易化できるとともに、座屈を起こすことなくゴム套管を電力ケーブルに装着することができる電力ケーブル終端接続部の組立方法及び組立用の芯棒並びに組立用工具を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、電力ケーブルの端部が、電気絶縁性の弾性材料からなる套管内に、密着状態で収容されてなる電力ケーブル気中終端接続部の組立方法であって、
前記電力ケーブルの端部に、前記套管内に挿通可能な芯棒の一端を接続し、該芯棒を前記套管内に位置させる前工程と、
前記芯棒および前記電力ケーブルを前記套管内で相対的に移動させて前記電力ケーブルの外周に前記套管を装着する装着工程と、
を含むことを特徴とする。
この発明によれば、電力ケーブルの外周に套管を装着する装着工程の前に、電力ケーブルの端部に接続された芯棒を套管内に位置させるので、装着工程において套管に曲げ応力が作用したとしても、芯棒によって套管の直線性を保持することができるため、套管が座屈を起こして挿入が困難になるのを回避することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電力ケーブル気中終端接続部の組立方法において、前記装着工程は、
治具を用いて前記套管を長手方向に圧縮させた状態で保持する第1工程と、
前記套管内に前記電力ケーブルを挿入する第2工程と、
前記電力ケーブルの挿入が完了した後、前記套管の圧縮状態を解放する第3工程と、を含むことを特徴とする。
この発明によれば、套管内に電力ケーブルを挿入する前に、予め套管を圧縮させた状態で保持しておくので、電力ケーブルの挿入時に套管が長手方向に伸長したり、撓曲したりするのを防止できる。また、套管を圧縮した状態で電力ケーブルを挿入した後、圧縮状態を解放することによって、套管が伸長して所定の組立設計寸法が得られる。したがって、終端接続部の組立て精度が格段に向上される。また、電力ケーブルを装着することに伴いゴム套管が長手方向に大きく、しかも不均一に変形するのを防止できるので、終端接続部において所望の特性が実現される。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電力ケーブル気中終端接続部の組立方法において、前記套管が、電界の集中を緩和するための電界緩和層を内蔵した太径部と、この太径部よりも外径が小さい細径部を有し、
前記第1工程では、前記套管の前記細径部を圧縮させた状態で固定することを特徴とする。
この発明によれば、套管内に電力ケーブルを挿入する前に、予め套管の細径部を圧縮させた状態で保持しておくので、電力ケーブルの挿入時に可撓性の高い細径部が変形するのを効果的に防止できる。
請求項4に記載の発明は、電力ケーブルの外周に電気絶縁性の弾性材料からなる套管を装着する際に当該套管の直線性を保持するために前記套管に挿入される芯棒であって、前記電力ケーブルの端部と結合可能な接続部を端部に備え、自立可能なものであることを特徴とする。
この発明の芯棒によれば、予め套管内へ容易に挿入しておくことで、電力ケーブルの外周に套管を装着する際に套管の直線性を保持することができるため、套管が座屈を起こして電力ケーブルの挿入が困難になるのを回避することができる。
ここで、上記芯棒は、前記套管への挿入抵抗が所定値以下となるように外径が設定されているのが望ましい。この芯棒によれば、套管内へ容易に挿入することができる「挿入抵抗の所定値」とは、通常の作業者が工具等を使用せずに比較的容易に芯棒を挿入できる程度の値であるが、挿入抵抗は套管と芯棒の材質や径(接触面積)に依存するので、使用する套管と芯棒の材質や径によって変わる値である。
さらに、上記芯棒は、軸方向の長さが前記套管の圧縮時の軸方向長さよりも長くなるように設定されているのが望ましい。芯棒をこのような長さにしておけば、前記装着工程の最初から芯棒の先端が套管から出るので、この出た部分を把持して電力ケーブルを套管内に引き込むことができるので、装着工程を円滑に行える利点がある。
請求項7に記載の発明は、電気絶縁性の弾性材料からなり、電界の集中を緩和するための電界緩和層を内蔵した太径部と、この太径部よりも外径が小さい細径部を有する套管内に、電力ケーブルの端部が密着状態で収容されてなる電力ケーブル気中終端接続部を組み立てる際に用いられる組立用工具であって、
前述の芯棒と、
前記太径部との境界となる前記細径部の一端に取り付けられる第1支持部材と、
前記細径部の他端に取り付けられる第2支持部材と、
前記第1支持部材と前記第2支持部材を連結する連結部材と、
前記第1支持部材に接続され、前記電力ケーブルの挿入時に前記電力ケーブル側に牽引される牽引部材と、を備え、
前記連結部材が、前記細径部の長さよりも短いことを特徴とする。
この発明の組立用工具によれば、套管の細径部の直線性を保持しつつ容易に圧縮することができるので、上述した組立方法に係る発明を実現するのに極めて有用である。
本発明によれば、套管内に電力ケーブルを挿入する前に、套管内に芯棒を挿入し、その先端を電力ケーブルの端部と接続した状態で電力ケーブルを套管内に挿通させ、套管内に芯棒を挿入した状態で電力ケーブルを套管内に挿通させるため、套管が座屈を起こして挿入が困難になるのを回避することができる。
また、套管内に電力ケーブルを挿入する前に、套管の2点を治具で把持し治具間を線状牽引部材で引っ張って予め套管を圧縮させた状態で保持するとともに、芯棒に接続した電力ケーブルを套管内に挿入した後圧縮状態を解放することによって、套管が伸長して所定の組立状態になる。したがって、終端接続部の組立て精度が格段に向上する。
実施形態の電力ケーブル気中終端接続部を示す部分断面図である。 終端接続部の組立に使用する工具としての芯棒の具体例および使用例を示す図である。 套管の細径部の部分に設けられる組立用工具の具体例を示す斜視図である。 実施例の組立用工具を用いた電力ケーブル気中終端接続部の組立ての作業手順を示す説明図である。
以下、本発明を適用した実施形態の一例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、実施形態の電力ケーブル気中終端接続部(以下、終端接続部)を示す部分断面図である。図1に示すように、終端接続部1は、電力ケーブル10の端部に、套管20が装着されて構成される。なお、図1には、電力ケーブル10の端部に套管20を装着する前の状態を示している。
電力ケーブル10は、ゴム又はプラスチック等の絶縁材で被覆された電力ケーブル(例えばCVケーブル)である。電力ケーブル10は、導体11、導体11の外周部に形成された絶縁体12、絶縁体12の外周に形成された外部半導電層13、外部半導電層13の外周に形成された遮蔽層(図示略)及びシース14等を有する。電力ケーブル10の端部に套管20を装着する場合、電力ケーブル10の先端部から所定長で段剥ぎすることにより各層が露出される。また、導体11の先端には、例えば銅、アルミニウム、銅合金又はアルミニウム合金等からなる導電性の導体引出帽15が圧縮接続される。なお、本願において「電力ケーブルの端部」という表現は、この導体引出棒15までを含んでいる。
套管20は、シリコーンゴム等の電気絶縁性の弾性材料からなる筒状体(いわゆるゴム套管)であり、中心軸に沿って貫通孔23が形成されている。套管20の貫通孔23の内径は、挿入される電力ケーブル10の絶縁層体12の外径よりも小さく設計される(より正確には、套管20の長さ方向の各位置の内径が、電力ケーブル10の端部の対応する箇所の外径よりも小さく設計されている。)。つまり、電力ケーブル10の端部に套管20が装着された状態では、套管20は弾性変形により拡径され、元に戻ろうとする(縮径しようとする)力で電力ケーブル10の外周に隙間なく密着されることとなる。
また、套管20は、電力ケーブル10の挿入口24側から段階的に外径が拡径する太径部21と、太径部21よりも外径が小さい細径部22とを有する。太径部21には、電界の集中を緩和するための電界緩和層(ストレスコーン)211が内蔵されている。電界緩和層211は、例えばシリコーンゴムにカーボンを添加した半導電性のシリコーンゴムにより構成され、套管20を成形する際に太径部21と一体的に形成される。細径部22の外周面には、突出長の異なる傘状の襞部221,222が長手方向に所定ピッチにて交互に形成されている。
本実施形態の終端接続部1においては、電力ケーブル10の絶縁体12と外部半導電層13の境界付近が、太径部21の電界緩和層211に位置する。また、導体引出帽15の先端は、套管20の細径部22側の開口から外部に向けて突出しており、電力機器等と接続するための接続端子や接続リード等に接続される。
さらに、本実施形態においては、図2(A)に示すように、導体引出帽15の先端に雌ネジ部15aが形成され、該雌ネジ部15aと螺合可能な雄ネジ部16aを先端に有する芯棒16を導体引出帽15の先端に接続することで座屈を防止しつつ電力ケーブル10を套管20に挿入できるようにしている。なお、芯棒16に雌ネジを形成し、導体引出帽15に雄ネジを形成してよい。
芯棒16の材質は曲げ剛性のあるものであればよく、例えば合成樹脂あるいは金属とすることができるが、繊維強化プラスチック(FRP)が軽量で適度な剛性を有する点で望ましい。芯棒16は自立可能なものが好適に用いられる。ここで「自立可能」という表現は、芯棒16を垂直に立てたとき、屈曲しないで立った状態が維持されるという意味で用いている。また、芯棒16の形状は丸棒に限定されずパイプであってもよい。さらに、芯棒16の外径は、套管20の内径と同等以下であることが望ましく、芯棒16を套管20に挿入する際に所定値よりも大きな挿入抵抗が生じないような外径を有するように形成するのが望ましい。
ここで、挿入抵抗は、套管20を垂直にセットした状態でその貫通孔23に芯棒16を下から挿入するときに要する、芯棒16の自重以上の力であり、200kg以下であるのが望ましい。芯棒16の外径は套管20の内径と同一又はそれ以下にすることが望ましい。ただし、芯棒16を極端に細くすると、芯棒16と套管20との隙間による套管の湾曲が大きくなり電力ケーブル10の挿入抵抗が増すので好ましくない。なお、挿入抵抗が小さければ、芯棒16の外径を套管20内径以上にしても良い。芯棒16の外径が套管20の内径より大きければ、前記套管20の湾曲を防止できるが、芯棒16自体を套管に挿入するときの抵抗を増大させるので、挿入抵抗の値が許容できる範囲内に収まるようにする必要がある。また、芯棒16の外径は、材質や挿入する套管20の曲げ剛性によっても異なるが、金属の場合には、套管20の内径の110%〜150%程度であればよい。
芯棒16の接続および挿入の仕方は上述した方法に限定されず、図2(B)に示すように、先ず套管20内に芯棒16を挿入して、それから芯棒16に雄ネジ部16aと導体引出帽15の雌ネジ部15aとを螺合させて、図2(C)に示すように、接続するようにしてもよい。この場合、芯棒16の雄ネジ部16aと反対側の端部に径方向に貫通するピン穴を形成しておいて、このピン穴にピンを挿入して、ピンを把持して回すことで芯棒16の雄ネジ部16aを導体引出帽15の雌ネジ部15aに螺合させるようにして、操作性を向上させてもよい。
上記のように、套管20内に芯棒16を挿入した状態で電力ケーブル10を套管20内に挿通させることで、以下に説明するような組立用工具を用いた套管20の装着の際に、套管が座屈を起こして挿入が困難になるのを回避することができる。
次に、上記芯棒16および組立用工具およびこれらを使用した終端接続部1の組立方法の一例を、図3および図4を用いて説明する。
組み立て方法の説明に先立って、まず、套管20に電力ケーブル10を装着して終端接続部1を組み立てる際、套管20を電力ケーブル10側に牽引するために用いる組立用工具30について説明する。この組立用工具30は、套管20の細径部22を圧縮状態にするためのものである。
具体的には、組立用工具30は、図3に示すように、太径部21との境界となる細径部22の一端に取り付けられる第1支持部材31、細径部22の他端(套管20の先端)に取り付けられる第2支持部材32、第1支持部材31と第2支持部材32を連結する複数本の連結部材33、第1支持部材31に接続され、電力ケーブル10の挿入時に電力ケーブル10側に牽引される複数本の牽引部材34等で構成される。
第1支持部材31は、略中央に套管20の太径部21と細径部22の境界に嵌合される貫通穴を有する金属製(例えばアルミニウム製)の板状部材であり、貫通穴の直径方向に沿って2つの部材31A,31Bに分割可能となっている。2つの部材ののうち一方の部材31Aにはネジ挿通孔31bが、また他方の部材31Bには雌ネジ部が形成され、蝶ボルト50によって締着される。套管20内に電力ケーブル10を挿入したとき、套管20が半径方向に弾性変形して膨らむため、第1支持部材31の貫通穴31aの内径は、套管20の取り付け部分の外径よりも若干大きく設計されている。
また、第1支持部材31の一方の面(細径部22側の面)には、連結部材33を接続するリング部材36が固着され、他方の面(太径部21側の面)には、牽引部材34を接続するリング部材35(図4参照)が固着されている。
套管20内に電力ケーブル10を挿入する際、第1支持部材31は、2分割可能になっており、套管20の太径部21と細径部22との境界部分を挟み込むように取り付けられる。
第2支持部材32は、図4に示すように、套管20の先端部を保持する円筒状の保持部32aが突出形成された金属製(例えばアルミニウム製)の板状部材である。套管20内に電力ケーブル10を挿入したとき、套管20が半径方向に弾性変形して膨らむため、第2支持部材32の保持部32aの内径は、套管20の先端部の外径よりも若干大きく設計されている。第2支持部材32の一方の面(細径部22側の面)には、連結部材33を接続するリング部材37(図4(c)参照)が固着されている。
第2支持部材32の略中央には、芯棒16が挿通される貫通穴32bが形成されている。図4(b)に示すように、套管20内に電力ケーブル10を挿入する際、第2支持部材32の保持部32aに、套管20の先端部が遊嵌される。
連結部材33は、電力ケーブル10を挿入するときの牽引力で伸びない(又は伸びが極めて小さい)線状部材であり、例えば、ナイロン製ロープ、ナイロン製ベルト、金属ワイヤ、金属チェーン、金属ベルト又は金属ロッドなどで形成されている。
套管20内に電力ケーブル10を挿入する際、連結部材33の一端は第1支持部材31に固着されたリング部材36に接続され、連結部材33の他端は第2支持部材32に固着されたリング部材37に接続される(図4(c)参照)。
この状態で連結部材33の長さは、套管20の細径部22の長さよりも短くなっている。すなわち、第1支持部材31と第2支持部材32との距離を、套管20がフリーな状態(図4(b)参照)のときの距離よりも短く保つことができる長さに、連結部材33の長さは設定されている。なお、連結部材33は最初からこのような長さである必要は無く、連結部材33を伸縮可能に構成しておき、套管20内に電力ケーブル10を挿入する工程において、前記の長さにしても良い。
牽引部材34は、その一端が第1支持部材31に固着されたリング部材35に接続されており、他端が牽引力発生装置(図示略)に接続されている。牽引部材34も、連結部材33と同様、ナイロン製ロープなどで形成できる。
次に、終端接続部1の組立方法について、図4(a)〜(e)に従って説明する。
套管20に電力ケーブル10を装着する場合、作業者は、先ず、図4(a)に示すように、芯棒16に雄ネジ部16aと導体引出帽15の雌ネジ部15aとを螺合させて芯棒16と導体引出帽15とを接続する。それから、図4(b)に示すように、套管20内に芯棒16を挿入し、套管20の太径部21と細径部22との境界部分を挟み込むように、第1支持部材31を取り付け、第1支持部材31に固着されたリング部材35に牽引部材34を接続する。また、第2支持部材32の保持部32aに套管20の先端部を挿嵌する。
次に、図4(c)に示すように、第2支持部材32を押圧して套管20の細径部22を軸方向に圧縮し、第1支持部材31と第2支持部材32を連結部材33で連結することにより、細径部22の圧縮状態を保持する。このように、細径部22を軸方向に圧縮しておくことにより、套管20内に電力ケーブル10を挿入するときに細径部22が軸方向に伸ばされたり、あるいは細径部22が左右不均一に伸ばされて変形したりするのを防止する。本発明者らが実験的に行った際には、圧縮前の長さ850mmの細径部22を圧縮して、長さ800〜770mm(元の長さの94〜90%)まで縮めた状態で電力ケーブル10を挿入した。
上記のように、套管20の細径部22を圧縮する際、内部に挿入されている芯棒16によって套管20の直線性が保持され、座屈が生じるのが防止される。また、套管20の直線性を保持することにより、套管20内に電力ケーブル10を挿入するときに套管20の内周面に生じる面圧を、中心軸を中心とした放射状に分散させることができるので、電力ケーブル10と套管20との間に生じる摩擦力が低減される。したがって、套管20に電力ケーブル10を装着する際の作業性が容易化される。
次に、図4(d)に示すように、第1支持部材31に接続された牽引部材34を、牽引力発生装置(図示略)で電力ケーブル10側に牽引し、套管20の内径を弾性変形により拡径させながら套管20内に電力ケーブル10を徐々に挿入する。導体引出帽15が套管20から突出するまで、挿入作業を行う。
このとき、套管20の細径部22は芯棒16が挿通された状態で圧縮され、変形しにくい状態となっている。したがって、套管20が撓曲して挿入抵抗が増大するのを防止できるので、套管20内に電力ケーブル10を比較的容易に挿入することができる。また、套管20が長手方向に伸長するのを防止できるので、電力ケーブル10の再挿入作業が必要となることもなく、所望の特性を有する終端接続部1が実現される。
なお、套管20と電力ケーブル10との界面で生じる摩擦力を低減するために、予め套管20の貫通孔23の内周面と電力ケーブル10の絶縁体12の外周面に、シリコーングリス等の潤滑剤を塗布しておくのが望ましい。
そして、套管20への電力ケーブル10の挿入が完了した後、図4(e)に示すように、芯棒16および連結部材33を取り外して細径部22の圧縮状態を解放する。このとき、連結部材33を取り外しても、套管20と電力ケーブル10との間に生じる摩擦力により細径部22の圧縮状態は保持されているので、牽引部材34をさらに牽引することで、細径部22を牽引方向に伸長させて、元の状態に復元させる。
このようにして組み立てられた終端接続部1においては、電力ケーブル10の絶縁体12と外部半導電層13の境界付近が、太径部21の電界緩和層211に位置することとなる。すなわち、套管20内に電力ケーブル10を挿入した後、圧縮状態を解放することによって、所定の組立設計寸法が達成される。
上記のように、本実施形態では、套管20内に電力ケーブル10を挿入する前に、套管20内に芯棒16を挿入しておくので、套管の装着の際に、套管が撓曲したり座屈を起こしたりして挿入が困難になるのを回避することができる。また、予め組立用工具(30)を用いて套管20を圧縮させた状態で保持しておくので、電力ケーブル10の挿入時に套管20が長手方向に伸長するのを防止できる。また、電力ケーブル10を挿入した後、套管20の圧縮状態を解放することによって、套管が伸長して所定の組立状態になる。したがって、套管20が変形することにより、挿入抵抗が増大したり、電力ケーブル10の再挿入作業を余儀なくされたりすることもなく、套管20への電力ケーブル10の挿入作業が格段に容易化される。また、組み立てられた終端接続部1の品質も向上する。
実際に実験してみたところ、套管20の細径部22を圧縮しない状態で電力ケーブル10を挿入した場合(第1支持部材31だけを用いた1点把持工法)に比較して、上記組立用工具30を用いて細径部22を圧縮すると50%以下の牽引力で電力ケーブル10を挿入できた。例えば、導体サイズが1000sq〜1400sqという大サイズのケーブルを套管20に挿入したケースでは、1点把持工法では1000kgf以上でも挿入できなかったが、細径部22を圧縮する前記実施形態の工法では400〜500kgfで挿入できた。また、電力ケーブル10に装着された套管20の細径部22の変形が改善されている(襞部の間隔のバラツキが少ない)ことが確認されている。
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、実施形態では、芯棒16の長さを圧縮前の套管20の長さよりも若干長くしているが、芯棒16の長さは圧縮後の套管20の長さよりも長ければ圧縮前の套管20の長さよりも短くてもよい。芯棒16をこのような長さにしておけば、図4(d)に示すように、電力ケーブル10を相対的に套管20内に移動させる際に、最初から芯棒16の先端が套管20から出ているので、この出た部分を把持して電力ケーブル10を套管20内に入れることができるので、この作業を円滑に行える利点がある。
また、実施形態では、套管20内に電力ケーブル10を挿入する際、可撓性の高い細径部22を圧縮させるようにしているが、套管20を全体的に圧縮するようにしてもよい。さらに、本発明を適用しうる套管の形状は、実施形態で示したものに制限されない。
また、前記実施形態では、芯棒16と導体引出帽15との接続をネジによって行っているが、芯棒16と導体引出帽15との接続はネジに限定されず、例えば芯棒16の先端外周に突起を形成し、導体引出帽15の先端面には突起が挿入可能にスリットを有し、突起を挿入した後に芯棒16を所定角度回転させると軸方向へ移動できなくなるような形状(抜け止め)を有する係合穴を設けたものであってもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 終端接続部
10 電力ケーブル
11 導体
12 絶縁体
13 外部半導電層
14 シース
15 導体引出帽
16 芯棒
20 套管
21 太径部
211 電界緩和層
22 細径部
221,222 襞部
23 貫通孔
24 挿入口
30 組立用工具
31 第1支持部材
31a 貫通穴
32 第2支持部材
32a 保持部
32b 貫通穴
33 連結部材
34 牽引部材

Claims (7)

  1. 電力ケーブルの端部が、電気絶縁性の弾性材料からなる套管内に、密着状態で収容されてなる電力ケーブル気中終端接続部の組立方法であって、
    前記電力ケーブルの端部に、前記套管内に挿通可能な芯棒の一端を接続し、該芯棒を前記套管内に位置させる前工程と、
    前記芯棒および前記電力ケーブルを前記套管内で相対的に移動させて前記電力ケーブルの外周に前記套管を装着する装着工程と、
    を含むことを特徴とする電力ケーブル気中終端接続部の組立方法。
  2. 前記装着工程は、
    治具を用いて前記套管を長手方向に圧縮させた状態で保持する第1工程と、
    前記套管内に前記電力ケーブルを挿入する第2工程と、
    前記電力ケーブルの挿入が完了した後、前記套管の圧縮状態を解放する第3工程と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の電力ケーブル気中終端接続部の組立方法。
  3. 前記套管は、電界の集中を緩和するための電界緩和層を内蔵した太径部と、この太径部よりも外径が小さい細径部を有し、
    前記第1工程では、前記套管の前記細径部を圧縮させた状態に保持することを特徴とする請求項2に記載の電力ケーブル気中終端接続部の組立方法。
  4. 電力ケーブルの外周に電気絶縁性の弾性材料からなる套管を装着する際に当該套管の直線性を保持するために前記套管に挿入される芯棒であって、
    前記電力ケーブルの端部と結合可能な接続部を端部に備え、自立可能なものであることを特徴とする電力ケーブル気中終端接続部組立用の芯棒。
  5. 前記套管への挿入抵抗が所定値以下となるように外径が設定されていることを特徴とする請求項4に記載の電力ケーブル気中終端接続部組立用の芯棒。
  6. 軸方向の長さが前記套管の圧縮時の軸方向長さよりも長くなるように設定されていることを特徴とする請求項4または5に記載の電力ケーブル気中終端接続部組立用の芯棒。
  7. 電気絶縁性の弾性材料からなり、電界の集中を緩和するための電界緩和層を内蔵した太径部と、この太径部よりも外径が小さい細径部を有する套管内に、電力ケーブルの端部が密着状態で収容されてなる電力ケーブル気中終端接続部を組み立てる際に用いられる組立用工具であって、
    請求項4〜6のいずれかに記載の芯棒と、
    前記太径部との境界となる前記細径部の一端に取り付けられる第1支持部材と、
    前記細径部の他端に取り付けられる第2支持部材と、
    前記第1支持部材と前記第2支持部材を連結する連結部材と、
    前記第1支持部材に接続され、前記電力ケーブルの挿入時に前記電力ケーブル側に牽引される牽引部材と、を備え、
    前記連結部材が、前記細径部の長さよりも短いことを特徴とする組立用工具。
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