JP5434702B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents

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本発明は、供給流路から供給される供給燃料の噴孔からの噴射を制御するために弁部を開閉し、当該制御に伴って供給燃料の一部を戻り流路に排出する燃料噴射装置に関する。
従来、圧力制御室を有する制御ボディと、圧力制御室内の燃料の圧力に応じて弁部を開閉する弁部材と、を備える燃料噴射装置が知られている。このような燃料噴射装置において制御ボディの圧力制御室には、供給流路を流通した燃料が流入する流入口および戻り流路に燃料を排出する流出口が開口している。また、圧力制御室内の燃料の圧力は、流出口と戻り流路との連通および遮断を切り替える圧力制御弁によって制御される。
このような燃料噴射装置の一種として、例えば特許文献1および特許文献2には、圧力制御室内に、当該圧力制御室内を往復変位可能な押圧部材をさらに備えた構成が開示されている。この押圧部材は、圧力制御弁によって流出口と戻り流路とが連通すると、圧力制御室から流出口に向かう燃料の流れによって、当該流出口の開口する開口壁面に吸引されて、当該開口壁面を流入口と圧力制御室および流出口との連通を遮断するように押圧する。この押圧部材による開口壁面の押圧により圧力制御室内への燃料の供給は中断する。圧力制御室内の燃料は、押圧部材内を延伸する制限孔によって排出量を制限されつつ、当該制限孔および流出口を経由して戻り流路へ排出される。圧力制御室から燃料が排出されることにより、当該圧力制御室内の燃料圧力が所定の圧力を下まわると、弁部材は変位を開始して弁部を開弁する。
特開平6‐108948号公報 独国特許発明第19516565号明細書
さて、一般に、流路を流通する流体の流量は、当該流体の温度に依存して変化する。この流量の温度依存は、流路面積が狭いほど、および流路長さが長いほど顕著になる。ここで、特許文献1および特許文献2の押圧部材は、軸方向のいずれか一方の端面に、当該端面から窪む凹部を有している。本発明者らは、この凹部が流出口に向かって延伸する制限孔の流路面積を部分的に拡大し、制限孔において流路面積が最小となる部分の流路長さを短くしている点に着目した。このような凹部を形成することで、制限孔を流通する燃料流量の温度に依存した変動は抑制される。故に、圧力制御室から所定量の燃料が制限孔を経由して排出され、弁部材の変位が開始されるまでに要する時間は変動し難くなり得る。
しかし、押圧部材に凹部を形成することで、圧力制御室の容積が増加する。すると、弁部材の往復変位を開始させるために圧力制御室から排出しなければならない燃料量も、増加してしまう。故に、制限孔を流通する燃料流量の温度に依存した変動が抑制されたとしても、排出すべき燃料量が増加することによって、弁部材の変位開始までに要する時間は変動してしまう。
凹部を押圧部材に形成したことによる圧力制御室の容積の増加を抑制するためには、押圧部材と弁部材との間隔を狭めることも考えられる。しかし、押圧部材および弁部材は、それぞれ往復変位する構成であることから、往復変位によって互いに衝突するおそれがある。弁部材および押圧部材を確実に動作させるためには、押圧部材と弁部材との間隔を狭めることによって圧力制御室の容積の低減を図ることは難しい。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、弁部材の変位開始までに要する時間の温度に依存した変動が抑制された、温度特性に優れた燃料噴射装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、供給流路から供給される供給燃料の噴孔からの噴射を制御する弁部を開閉し、当該制御に伴って供給燃料の一部を戻り流路に排出する燃料噴射装置であって、供給流路を流通した燃料が流入口から流入し、戻り流路へは流出口を経由して燃料を排出する圧力制御室、および圧力制御室に露出し流入口および流出口が開口する開口壁面を有する制御ボディと、流出口と戻り流路との連通および遮断を切り替え、圧力制御室内の燃料の圧力を制御する圧力制御弁と、圧力制御室に露出する弁受圧面を有し、弁受圧面の受ける燃料の圧力に応じて往復変位することにより、弁部を開閉する弁部材と、圧力制御室内に弁部材の変位軸方向に沿って往復変位可能に配置され、変位軸方向において弁受圧面と対向する押圧受圧面、押圧受圧面から流出口に向かって延伸する制限孔を有し、圧力制御弁によって流出口と戻り流路とが連通すると、流入口と圧力制御室との連通を遮断するように開口壁面を押圧し、制限孔によって圧力制御室から流出口への燃料の流通量を制限し、圧力制御弁によって流出口と戻り流路とが遮断されると、流入口を圧力制御室へ開放するよう開口壁面から少なくとも一部が離間するよう変位する押圧部材と、を備え、押圧部材は、弁受圧面から離間する方向に押圧受圧面から窪み、制限孔の流路面積を部分的に拡大する凹部を有し、弁部材は、弁受圧面から押圧受圧面に向かって突出し、当該弁部材および押圧部材が互いに最も近接した状態で、凹部内に位置し且つ突出方向の先端部が当該凹部の底部から離間する凸部を有し、制御ボディは、弁部材に近接する方向への押圧部材の変位を規制する押圧規制部と、押圧部材に近接する方向への弁部材の変位を規制する弁規制部と、を有し、押圧部材および弁部材が互いに近接する方向に相対変位することによって凹部と凸部との間に形成される燃料流路の最小の流路面積は、制限孔の最小の流路面積よりも大きいことを特徴としている。
加えて請求項2に記載の発明は、供給流路から供給される供給燃料の噴孔からの噴射を制御する弁部を開閉し、当該制御に伴って供給燃料の一部を戻り流路に排出する燃料噴射装置であって、供給流路を流通した燃料が流入口から流入し、戻り流路へは流出口を経由して燃料を排出する圧力制御室、および圧力制御室に露出し流入口および流出口が開口する開口壁面を有する制御ボディと、流出口と戻り流路との連通および遮断を切り替え、圧力制御室内の燃料の圧力を制御する圧力制御弁と、圧力制御室に露出する弁受圧面を有し、弁受圧面の受ける燃料の圧力に応じて往復変位することにより、弁部を開閉する弁部材と、圧力制御室内に弁部材の変位軸方向に沿って往復変位可能に配置され、変位軸方向において弁受圧面と対向する押圧受圧面、押圧受圧面から流出口に向かって延伸する制限孔を有し、圧力制御弁によって流出口と戻り流路とが連通すると、流入口と圧力制御室との連通を遮断するように開口壁面を押圧し、制限孔によって圧力制御室から流出口への燃料の流通量を制限し、圧力制御弁によって流出口と戻り流路とが遮断されると、流入口を圧力制御室へ開放するよう開口壁面から少なくとも一部が離間するよう変位する押圧部材と、を備え、押圧部材は、弁受圧面から離間する方向に押圧受圧面から窪み、制限孔の流路面積を部分的に拡大する凹部を有し、弁部材は、弁受圧面から押圧受圧面に向かって突出し、当該弁部材および押圧部材が互いに最も近接した状態で、凹部内に位置し且つ突出方向の先端部が当該凹部の底部から離間する凸部を有し、凹部において変位軸まわりの内周壁には、当該変位軸方向に沿った凹部の軸方向溝が形成されることを特徴としている。
また請求項3に記載の発明は、供給流路から供給される供給燃料の噴孔からの噴射を制御する弁部を開閉し、当該制御に伴って供給燃料の一部を戻り流路に排出する燃料噴射装置であって、供給流路を流通した燃料が流入口から流入し、戻り流路へは流出口を経由して燃料を排出する圧力制御室、および圧力制御室に露出し流入口および流出口が開口する開口壁面を有する制御ボディと、流出口と戻り流路との連通および遮断を切り替え、圧力制御室内の燃料の圧力を制御する圧力制御弁と、圧力制御室に露出する弁受圧面を有し、弁受圧面の受ける燃料の圧力に応じて往復変位することにより、弁部を開閉する弁部材と、圧力制御室内に弁部材の変位軸方向に沿って往復変位可能に配置され、変位軸方向において弁受圧面と対向する押圧受圧面、押圧受圧面から流出口に向かって延伸する制限孔を有し、圧力制御弁によって流出口と戻り流路とが連通すると、流入口と圧力制御室との連通を遮断するように開口壁面を押圧し、制限孔によって圧力制御室から流出口への燃料の流通量を制限し、圧力制御弁によって流出口と戻り流路とが遮断されると、流入口を圧力制御室へ開放するよう開口壁面から少なくとも一部が離間するよう変位する押圧部材と、を備え、押圧部材は、弁受圧面から離間する方向に押圧受圧面から窪み、制限孔の流路面積を部分的に拡大する凹部を有し、弁部材は、弁受圧面から押圧受圧面に向かって突出し、当該弁部材および押圧部材が互いに最も近接した状態で、凹部内に位置し且つ突出方向の先端部が当該凹部の底部から離間する凸部を有し、凸部において変位軸まわりの外周壁には、当該変位軸方向に沿った凸部の軸方向溝が形成されることを特徴としている。
さらに請求項4に記載の発明は、供給流路から供給される供給燃料の噴孔からの噴射を制御する弁部を開閉し、当該制御に伴って供給燃料の一部を戻り流路に排出する燃料噴射装置であって、供給流路を流通した燃料が流入口から流入し、戻り流路へは流出口を経由して燃料を排出する圧力制御室、および圧力制御室に露出し流入口および流出口が開口する開口壁面を有する制御ボディと、流出口と戻り流路との連通および遮断を切り替え、圧力制御室内の燃料の圧力を制御する圧力制御弁と、圧力制御室に露出する弁受圧面を有し、弁受圧面の受ける燃料の圧力に応じて往復変位することにより、弁部を開閉する弁部材と、圧力制御室内に弁部材の変位軸方向に沿って往復変位可能に配置され、変位軸方向において弁受圧面と対向する押圧受圧面、押圧受圧面から流出口に向かって延伸する制限孔を有し、圧力制御弁によって流出口と戻り流路とが連通すると、流入口と圧力制御室との連通を遮断するように開口壁面を押圧し、制限孔によって圧力制御室から流出口への燃料の流通量を制限し、圧力制御弁によって流出口と戻り流路とが遮断されると、流入口を圧力制御室へ開放するよう開口壁面から少なくとも一部が離間するよう変位する押圧部材と、を備え、押圧部材は、弁受圧面から離間する方向に押圧受圧面から窪み、制限孔の流路面積を部分的に拡大する凹部を有し、弁部材は、弁受圧面から押圧受圧面に向かって突出し、当該弁部材および押圧部材が互いに最も近接した状態で、凹部内に位置し且つ突出方向の先端部が当該凹部の底部から離間する凸部を有し、押圧受圧面には、当該押圧受圧面の外縁から、凹部に向かって延伸する凹部の径方向溝が形成されることを特徴としている。
そして請求項5に記載の発明では、供給流路から供給される供給燃料の噴孔からの噴射を制御する弁部を開閉し、当該制御に伴って供給燃料の一部を戻り流路に排出する燃料噴射装置であって、供給流路を流通した燃料が流入口から流入し、戻り流路へは流出口を経由して燃料を排出する圧力制御室、および圧力制御室に露出し流入口および流出口が開口する開口壁面を有する制御ボディと、流出口と戻り流路との連通および遮断を切り替え、圧力制御室内の燃料の圧力を制御する圧力制御弁と、圧力制御室に露出する弁受圧面を有し、弁受圧面の受ける燃料の圧力に応じて往復変位することにより、弁部を開閉する弁部材と、圧力制御室内に弁部材の変位軸方向に沿って往復変位可能に配置され、変位軸方向において弁受圧面と対向する押圧受圧面、押圧受圧面から流出口に向かって延伸する制限孔を有し、圧力制御弁によって流出口と戻り流路とが連通すると、流入口と圧力制御室との連通を遮断するように開口壁面を押圧し、制限孔によって圧力制御室から流出口への燃料の流通量を制限し、圧力制御弁によって流出口と戻り流路とが遮断されると、流入口を圧力制御室へ開放するよう開口壁面から少なくとも一部が離間するよう変位する押圧部材と、を備え、押圧部材は、弁受圧面から離間する方向に押圧受圧面から窪み、制限孔の流路面積を部分的に拡大する凹部を有し、弁部材は、弁受圧面から押圧受圧面に向かって突出し、当該弁部材および押圧部材が互いに最も近接した状態で、凹部内に位置し且つ突出方向の先端部が当該凹部の底部から離間する凸部を有し、弁受圧面には、当該弁受圧面の外縁から、凸部に向かって延伸する凸部の径方向溝が形成されることを特徴としている。
れらの発明によれば、弁受圧面から離間する方向に押圧受圧面から窪む凹部を押圧部材に形成しているが、その形成による圧力制御室の容積の増加は、弁受圧面から押圧受圧面に向かって突出する凸部を形成することによって、抑制される。加えて、この凸部は、弁部材および押圧部材が互いに最も近接した状態で、弁受圧面から離間する方向に押圧受圧面から窪む凹部内に位置する。この状態下で、凸部の突出方向の先端部は、凹部の底部から離間している。このように弁部材の凸部は、当該弁部材および押圧部材の相対変位によっては、押圧部材の押圧受圧面に衝突しない。故に、弁部材および押圧部材の確実な動作を可能としたうえで、圧力制御室の容積の増加は抑制される。
弁部材の往復変位を開始させるために要する圧力制御室からの燃料の排出量は、当該圧力制御室の容積の増加が抑制されることにより、少ないまま維持され得る。故に、燃料の温度に依存して制限孔を流通する燃料の流量が変動したとしても、排出すべき燃料量が少ないので、弁部材の変位が開始されるまでに要する時間の変動は抑制され得る。
以上により、凹部によって制限孔の流路面積の一部を拡大したことによる、当該制限孔を流れる燃料流量の温度に依存した変動を抑制する作用と相まって、押圧部材が開口壁面を押圧後、弁部材の変位開始までの時間の燃料温度に依存した変動は、確実に抑制される。したがって、温度特性に優れた燃料噴射装置が実現される。
加えて請求項1,12に記載の発明では、押圧部材および弁部材が互いに近接する方向に相対変位することによって凹部と凸部との間に形成される燃料流路の最小の流路面積は、制限孔の最小の流路面積よりも大きいことを特徴とする。
この発明によれば、押圧部材および弁部材が互いに近接する方向に当該変位することによって、押圧受圧面と弁受圧面との間に位置していた燃料は、凹部と凸部との間に形成される燃料流路を流れ、制限孔を流通する。この燃料流路の最小の流路面積が制限孔の最小の流路面積よりも大きくされているので、圧力制御室から排出される燃料の流量は、当該燃料流路によって制限され難い。故に、この燃料流路を通過する流量について温度に依存した変動が、弁部材の変位開始までに要する時間に影響する事態を回避し得る。したがって、燃料噴射装置の温度特性は、確実に向上し得る。
さらに請求項1に記載の発明によれば、押圧部材は、弁部材に近接する方向への変位を制御ボディの押圧規制部によって規制される。加えて、弁部材は、押圧部材に近接する方向への変位を制御ボディの弁規制部によって規制される。以上により、押圧部材と弁部材とが最も近接した状態における、凹部と凸部との間に形成される燃料流路の流路面積を確実に確保できる。故に、この燃料流路の最小の流路面積が制限孔の最小の流路面積よりも小さくなる事態は、押圧規制部および弁規制部の適切な配置によって確実に回避され得る。したがって、燃料噴射装置の温度特性の向上は、さらに確実なものとなる。
ここで、上述したように、押圧受圧面と弁受圧面との間から制限孔までの燃料の流通が凹部と凸部との間によって制限された場合、弁部材の変位開始までに要する時間は、凹部と凸部との間を流れる燃料流量が温度に依存して変動してしまう。そこで、請求項2,6に記載の発明は、凹部において変位軸まわりの内周壁に、当該変位軸方向に沿った凹部の軸方向溝を形成する。また、請求項3,7に記載の発明は、凸部において変位軸まわりの外周壁に、当該変位軸方向に沿った凸部の軸方向溝を形成する。これらの発明では、押圧受圧面と弁受圧面との間に位置していた燃料は、凹部の内周壁に形成される軸方向溝、および凸部の外周壁に形成される軸方向溝のうち、少なくとも一方の内部を流通できる。故に、燃料は、凹部と凸部との間を円滑に流れ、制限孔に到達できる。以上により、凹部と凸部との間を流れる流量について温度による変動が弁部材の変位開始までに要する時間に影響する事態は回避され得る。したがって、燃料噴射装置の温度特性は、確実に向上し得る。
請求項4,8に記載の発明では、押圧受圧面には、当該押圧受圧面の外縁から、凹部に向かって延伸する凹部の径方向溝が形成されることを特徴とする。また、請求項5,10に記載の発明では、弁受圧面には、当該弁受圧面の外縁から、凸部に向かって延伸する凸部の径方向溝が形成されることを特徴とする。
圧力制御室の容積の低減が図られた構成の場合、押圧部材と弁部材とが互いに近接する方向に相対変位すると、押圧受圧面と弁受圧面との間隔がごく僅かとなる。故に、押圧受圧面と弁受圧面との間において、圧力制御室から排出される燃料の流量が制限されてしまうおそれがある。しかし、押圧受圧面又は弁受圧面に、それぞれの外縁から凹部又は凸部に向かって延伸する径方向溝を形成することにより、押圧受圧面と弁受圧面との間隔がごく僅かな状態においても、燃料は、凹部の径方向溝および凸部の径方向溝のうちの少なくとも一方の内部を流通できる。故に、燃料は、押圧受圧面と弁受圧面との間において流通を制限されることなく、凹部と凸部との間を経由して制限孔に到達できる。以上により、押圧受圧面および弁受圧面の間を流れる流量について温度による変動が弁部材の変位開始までに要する時間に影響する事態は回避され得る。したがって、燃料噴射装置の温度特性は、確実に向上し得る。
請求項に記載の発明では、凹部において変位軸まわりの内周壁には、当該変位軸方向に沿った凹部の軸方向溝が形成され、凹部の軸方向溝は、凹部の径方向溝と連続することを特徴とする。また、請求項11に記載の発明では、凸部において変位軸まわりの外周壁には、当該変位軸方向に沿った凸部の軸方向溝が形成され、凸部の軸方向溝は、凸部の径方向溝と連続する。
これらの発明によれば、凹部と凸部との間において燃料の流通を確実なものとする凹部の軸方向溝および凸部の軸方向溝に、凹部の径方向溝および凸部の径方向溝を連続させることで、当該各軸方向溝の内部には、当該各径方向溝の内部を流通した燃料が供給される。このように、凹部と凸部との間に燃料を円滑に流す各軸方向溝の作用が各径方向溝によって高められるので、凹部と凸部との間を流れる流量について温度による変動によって弁部材の変位開始までに要する時間を変動させる事態は確実に回避され得る。したがって、燃料噴射装置の温度特性は、さらに確実に向上し得る。
請求項13に記載の発明は、押圧部材および弁部材が互いに離間する方向に相対変位することによって、凸部は、凹部内から離脱することを特徴とする。また、請求項14に記載の発明は、押圧部材および弁部材が互いに最も離間した状態で、凸部の先端部は、凹部内に位置することを特徴とする。これらの発明のように、押圧部材および弁部材が互いに最も離間する方向に相対変位した状態において、凸部は、凹部内から離脱していてもよく、当該凹部内に先端部を位置させていてもよい。
請求項15に記載の発明は、押圧受圧面は、凹部の周囲を弁受圧面から離間する方向に窪むことにより付勢凹部を形成し、弁受圧面は、凸部の周囲を押圧受圧面に近接する方向に突出することにより付勢凸部を形成し、弁部材に対して押圧部材を開口壁面に向けて付勢する付勢部材さらに備え、付勢部材は、変位軸方向において押圧受圧面側の端部が付勢凹部に内嵌され、当該変位軸方向において弁受圧面側の端部が付勢凸部に外嵌されることを特徴とする。
この発明のように、弁部材に対して押圧部材を開口壁面に向けて付勢する付勢部材をさらに備える形態の燃料噴射装置であってもよい。このような付勢部材を備える形態では、押圧受圧面又は弁受圧面に沿って当該付勢部材の位置がずれると、弁部材の変位軸方向に沿っていた押圧部材の変位軸方向が、当該弁部材の変位軸方向に対して傾く事態を招き得る。この押圧部材の変位軸の傾きは、凹部と凸部との間に形成されるはずの空間を消失させ、凹部と凸部との間における燃料の通過を妨げる要因となり得る。そこで、押圧受圧面によって形成される付勢凹部に当該押圧受圧面側の端部を内嵌させ、弁受圧面によって形成される付勢凸部に当該弁受圧面側の端部を外嵌させることによって、付勢部材の押圧受圧面又は弁受圧面に沿ったずれの発生は抑制され得る。故に、凹部と凸部との間に燃料の通過可能な流路が確実に維持され得る。したがって、付勢部材を備える形態の燃料噴射装置における温度特性は、当該付勢部材のずれを抑制する付勢凹部および付勢凸部が形成されることで、確実に向上し得る。
本発明の第一実施形態による燃料噴射装置を備える燃料供給システムの構成図である。 本発明の第一実施形態による燃料噴射装置の縦断面図である。 本発明の第一実施形態による燃料噴射装置の特徴部分の近傍を拡大した図である。 本発明の第一実施形態による燃料噴射装置の特徴部分をさらに拡大した図であって、(a)フローティングプレートとノズルニードルとが互いに離間する方向に相対変位した状態を示す図であり、(b)フローティングプレートとノズルニードルとが互いに近接する方向に相対変位した状態を示す図である。 燃料における温度と粘性係数との相関を示す図である。 図4の変形例を示す図である。 図6の変形例を示す図である。 図7の変形例を示す図である。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態による燃料噴射装置100が用いられた燃料供給システム10を、図1に示す。尚、本実施形態の燃料噴射装置100は、内燃機関であるディーゼル機関20の燃焼室22内に向けて直接的に燃料を噴射する、所謂、直接噴射式燃料供給システムである。
燃料供給システム10は、フィードポンプ12、高圧燃料ポンプ13、コモンレール14、機関制御装置17、および燃料噴射装置100等から構成されている。
フィードポンプ12は、電動式のポンプであって、燃料タンク11内に収容されている。フィードポンプ12は、燃料タンク11内に貯留されている燃料に、この燃料の蒸気圧よりも高圧であるフィード圧を与える。このフィードポンプ12は、高圧燃料ポンプ13に燃料配管12aによって接続されており、所定のフィード圧を与えた液相状態の燃料をこの高圧燃料ポンプ13に供給する。尚、燃料配管12aには、調圧弁(図示しない)が設けられており、当該調圧弁によって高圧燃料ポンプ13に供給される燃料の圧力は所定値に保たれる。
高圧燃料ポンプ13は、ディーゼル機関に取り付けられて、当該ディーゼル機関の出力軸からの動力によって駆動される。高圧燃料ポンプ13は、コモンレール14に燃料配管13aによって接続されており、フィードポンプ12によって供給された燃料にさらに圧力を加えて、当該コモンレール14に供給する。加えて、高圧燃料ポンプ13は、機関制御装置17と電気的に接続された電磁弁(図示しない)を有している。この電磁弁の機関制御装置17による開閉の制御によって、高圧燃料ポンプ13からコモンレール14に供給される燃料の圧力は所定の圧力に制御される。
コモンレール14は、クロム・モリブデン鋼等の金属材料からなる管状の部材であり、ディーゼル機関のバンクあたりの気筒数に応じた複数の分岐部14aが形成されている。これら複数の分岐部14aは、供給流路14dを形成する燃料配管によって、それぞれ燃料噴射装置100に接続されている。また、燃料噴射装置100と高圧燃料ポンプ13とは、戻り流路14fを形成する燃料配管によって接続されている。以上の構成によりコモンレール14は、高圧燃料ポンプ13によって高圧な状態で供給された燃料を一時的に蓄え、圧力を保持したまま複数の燃料噴射装置100に供給流路14dを介して分配する。加えて、コモンレール14は、軸方向の両端部のうち、一方の端部にコモンレールセンサ14bを、他方の端部に圧力レギュレータ14cを有している。コモンレールセンサ14bは、機関制御装置17に電気的に接続されており、燃料の圧力および温度を検出して当該機関制御装置17に出力する。圧力レギュレータ14cは、コモンレール14内の燃料の圧力を一定に保持するとともに、余剰分の燃料を減圧して排出する。この圧力レギュレータ14cを通過した余剰分の燃料は、コモンレール14と燃料タンク11との間を接続する燃料配管14e内の流路を介して、当該燃料タンク11へ戻される。
燃料噴射装置100は、コモンレール14の分岐部14aを通じて供給される圧力の高められた供給燃料を噴孔44から噴射する装置である。具体的に、燃料噴射装置100は、供給流路14dを介して高圧燃料ポンプ13から供給される供給燃料の噴孔44からの噴射を、機関制御装置17からの制御信号に応じて制御する弁部50を備えている。加えて、この燃料噴射装置100において、供給流路14dから供給された供給燃料の一部であって、噴孔44からの噴射されなかった余剰分の燃料は、燃料噴射装置100と高圧燃料ポンプ13との間を連通する戻り流路14fに排出され、高圧燃料ポンプ13へと戻される。この燃料噴射装置100は、ディーゼル機関20の燃焼室22の一部であるヘッド部材21の挿入孔に挿入されて、取り付けられている。燃料噴射装置100は、ディーゼル機関20の燃焼室22毎に複数配置され、当該燃焼室22内に向け直接的に燃料を、具体的には160から220メガパスカル(MPa)程度の噴射圧力で噴射する。
機関制御装置17は、マイクロコンピュータ等によって構成されている。この機関制御装置17は、上述したコモンレールセンサ14bに加えて、ディーゼル機関20の回転速度を検出する回転速度センサ、スロットル開度を検出するスロットルセンサ、吸入吸気量を検出エアフローセンサ、過給圧を検出する過給圧センサ、冷却水温を検出する水温センサ、および潤滑油の油温を検出する油温センサ等、種々のセンサと電気的に接続されている。機関制御装置17は、これらの各センサからの情報に基づいて、高圧燃料ポンプ13の電磁弁および各燃料噴射装置100の弁部50の開閉を制御するための電気信号を、高圧燃料ポンプ13の電磁弁および各燃料噴射装置100に出力する。
次に、燃料噴射装置100の構成について、図2および図3に基づいて説明する。
燃料噴射装置100は、制御弁駆動部30、制御ボディ40、ノズルニードル60、およびフローティングプレート70を備えている。
制御弁駆動部30は、制御ボディ40内に収容されている。この制御弁駆動部30は、ターミナル32、ソレノイド31、固定子36、可動子35、スプリング34、およびバルブシート部材33を有している。ターミナル32は、導電性を備える金属材料によって形成され、延伸方向の両端部のうち、一方の端部を制御ボディ40から外部に露出させているとともに、他方の端部をソレノイド31と接続させている。ソレノイド31は、螺旋状に巻設されており、ターミナル32を介して機関制御装置17からのパルス電流の供給を受ける。ソレノイド31は、この電流の供給を受けることで、軸方向に沿って周回する磁界を発生させる。固定子36は、磁性材料によって形成された円筒状の部材であって、ソレノイド31によって発生された磁界内で帯磁する。可動子35は、磁性材料によって形成される二段円柱状の部材であって、固定子36の軸方向先端側に配置されている。可動子35は、帯磁した固定子36によって軸方向基端側に吸引される。スプリング34は、金属製の線材を周回状に巻設したコイルスプリングであって、可動子35を固定子36から離間させる方向に付勢している。バルブシート部材33は、制御ボディ40の後述する制御弁座部47aとともに圧力制御弁80を形成している。バルブシート部材33は、可動子35の軸方向において固定子36とは反対側に設けられて、制御弁座部47aに着座する。ソレノイド31による磁界の形成の無い場合、バルブシート部材33は、スプリング34の付勢力によって制御弁座部47aに着座している。ソレノイド31によって磁界が形成された場合、バルブシート部材33は、制御弁座部47aから離座する。
制御ボディ40は、ノズルボディ41、シリンダ56、バルブボディ46、ホルダ48、リテーニングナット49を有している。これらノズルボディ41、バルブボディ46、およびホルダ48は、噴孔44が形成されるヘッド部材21(図1参照)への挿入方向先端側から、この順で並んでいる。この制御ボディ40には、流入路52、流出路54、圧力制御室53、および圧力制御室53に露出する開口壁面90が形成されている。流入路52は、高圧燃料ポンプ13およびコモンレール14等と繋がる供給流路14d(図1参照)側に連通しており、当該流入路52の流路端である流入口52aを開口壁面90に開口させている。また、流出路54は、高圧燃料ポンプ13と繋がる戻り流路14f(図1参照)側に連通しており、当該流出路54の流路端である流出口54aを開口壁面90に開口させている。圧力制御室53は、シリンダ56等によって区画され、供給流路14d(図1参照)を通過した燃料が流入口52aから流入し、戻り流路14f(図1参照)に流出口54aを経由して燃料を排出する。
ノズルボディ41は、クロム・モリブデン鋼等の金属材料よりなる有底円筒状の部材である。このノズルボディ41は、ノズルニードル収容部43、弁座部45、および噴孔44を有している。ノズルニードル収容部43は、ノズルボディ41の軸方向に沿って形成され、ノズルニードル60を収容する円筒穴である。このノズルニードル収容部43には、高圧燃料ポンプ13およびコモンレール14(図1参照)から高圧な燃料が供給される。弁座部45は、ノズルニードル収容部43の底壁に形成されて、ノズルニードル60の先端と接触する。噴孔44は、弁座部45を挟んでバルブボディ46とは反対側に位置し、ノズルボディ41の内側から外側に向けて放射状に複数形成されている。この噴孔44を通過することで、高圧な燃料は、微粒化および拡散して空気と混合し易い状態となる。
シリンダ56は、金属材料よりなり、バルブボディ46およびノズルにニードル60とともに圧力制御室53を区画する円筒状の部材である。シリンダ56は、ノズルニードル収容部43内に、当該ノズルニードル収容部43と同軸となるように配置されている。このシリンダ56において、バルブボディ46側となる軸方向の端面がバルブボディ46に保持されている。
このシリンダ56は、内壁面によって、制御壁面部57、シリンダ摺動部59、プレートストッパ部58a、およびニードルストッパ部58bを形成している。制御壁面部57は、シリンダ56の軸方向においてバルブボディ46側に位置し、開口壁面90を囲っている。シリンダ摺動部59は、シリンダ56の軸方向においてバルブボディ46とは反対側に位置し、ノズルニードル60をその軸方向に沿って摺動させる。このシリンダ摺動部59の内径は、制御壁面部57の内径に対して縮径されている。プレートストッパ部58aは、シリンダ摺動部59と制御壁面部57との内径の差によって形成される段差部であって、フローティングプレート70と当該プレート70の変位軸方向において対向している。このプレートストッパ部58aは、ノズルニードル60に近接する方向へのフローティングプレート70の変位を規制する。ニードルストッパ部58bは、変位軸方向において、シリンダ摺動部59に対して制御壁面部57とは反対側に形成されている。このニードルストッパ部58bは、変位軸方向においてプレートストッパ部58aとは反対方向を向いており、フローティングプレート70に近接する方向へのノズルニードル60の変位を規制する。
バルブボディ46は、クロム・モリブデン鋼等の金属材料よりなり、ノズルボディ41とホルダ48との間で保持されている円柱状の部材である。このバルブボディ46は、制御弁座部47a、開口壁面90、流出路54、および流入路52を形成している。制御弁座部47aは、バルブボディ46の軸方向の両端面のうち、ホルダ48側の端面に形成され、制御弁駆動部30のバルブシート部材33等とともに圧力制御弁80を構成している。また、開口壁面90は、バルブボディ46のノズルボディ41側の端面の径方向中央部に形成された平坦な面である。この開口壁面90は、円筒状のシリンダ56によって囲まれて円形をなしている。流出路54は、この開口壁面90の径方向中央部から、制御弁座部47aに向って延びている。この流出路54は、バルブボディ46の軸方向に対して傾斜している。流入路52は、開口壁面90において流出路54の径方向外側から、制御弁座部47aを形成する端面に向って延びている。この流入路52は、バルブボディ46の軸方向に対して傾斜している。
さらにバルブボディ46は、開口壁面90から窪み流出口54aを形成する流出凹部97を有している。また、バルブボディ46は、開口壁面90から窪み流入口52aを形成する流入凹部94を有している。流出凹部97は、開口壁面90の径方向中央部において円状に窪んでいる。流入凹部94は、開口壁面90において流出凹部97の径方向外側に位置し、流出凹部97と同心で円環状に窪んでいる。これら流出凹部97および流入凹部94は、互いに独立している。
ホルダ48は、クロム・モリブデン鋼等の金属材料よりなる筒状の部材であって、軸方向に沿って形成される縦孔48a,48b、およびソケット部48cを有している。縦孔48aは、供給流路14d(図1参照)と流入路52とを連通する燃料流路である。一方、縦孔48bのバルブボディ46側には制御弁駆動部30が収容されている。加えて、縦孔48bのバルブボディ46とは反対側には、縦孔48bの開口を閉塞するようソケット部48cが形成されている。このソケット部48cは、内部に制御弁駆動部30のターミナル32の一端が突出しており、機関制御装置17と接続されたプラグ部(図示しない)と嵌合自在である。このソケット部48cと図示しないプラグ部との接続によれば、機関制御装置17から制御弁駆動部30へのパルス電流の供給が可能となる。
リテーニングナット49は、金属材料よりなる二段円筒状の部材である。リテーニングナット49は、ノズルボディ41の一部およびバルブボディ46を収容しつつ、ホルダ48のバルブボディ46側に螺合されている。加えて、リテーニングナット49は、内周壁部で段差部49aを形成している。この段差部49aは、リテーニングナット49のホルダ48への取り付けによって、ノズルボディ41およびバルブボディ46をホルダ48側に押し付ける。これにより、リテーニングナット49は、ノズルボディ41およびバルブボディ46を、ホルダ48とともに挟持している。
ノズルニードル60は、高速度工具鋼等の金属材料よって全体として円柱状に形成されており、シート部65、弁受圧面61、ニードル摺動部63、ニードル係止部68、リターンスプリング66、および鍔部材67を有している。シート部65は、ノズルニードル60の軸方向の両端部のうち、圧力制御室53とは反対側となる端部に形成されて、制御ボディ40の弁座部45に着座する。このシート部65は、ノズルニードル収容部43内に供給される高圧な燃料の噴孔44への連通および遮断を切り替える弁部50を弁座部45とともに構成している。弁受圧面61は、ノズルニードル60の軸方向の両端部のうち、シート部65とは反対側となる、圧力制御室53側の端部によって形成されている。この弁受圧面61は、開口壁面90および制御壁面部57とともに圧力制御室53を区画しており、当該圧力制御室53内の燃料の圧力を受ける。
ニードル摺動部63は、ノズルニードル60の円柱状の外周壁のうち、制御壁面部57よりも弁受圧面61側に位置する部分である。このニードル摺動部63は、シリンダ56の内周壁によって形成されるシリンダ摺動部59に対して摺動自在に支持されている。鍔部材67は、ノズルニードル60の外周壁部に外嵌され、当該ノズルニードル60に保持される環状の部材である。ニードル係止部68は、ニードル摺動面63よりも軸方向シート部65側に形成されており、ノズルニードル60の外径を拡大することによって形成される段差部である。このニードル係止部68は、ノズルニードル60の変位軸方向において、シリンダ56のニードルストッパ部58bと対向する面を形成する。ニードル係止部68がニードルストッパ部58bに係止されることによって、フローティングプレート70に近接する方向へのノズルニードル60の変位は規制される。
このノズルニードル60は、リターンスプリング66によって弁部50側に付勢されている。リターンスプリング66は、金属製の線材を周回状に巻設したコイルスプリングである。リターンスプリング66は、軸方向の一端を鍔部材67の圧力制御室53側の面に、他端をシリンダ56の弁部側の端面に、それぞれ着座させている。以上の構成によるノズルニードル60は、弁受圧面61の受ける圧力制御室53内の燃料の圧力に応じてシリンダ56に対してシリンダ56の軸方向に直線状に往復変位することで、シート部65を弁座部45に着座および離座させ、弁部50を開閉する。
フローティングプレート70は、金属材料よりなる円盤状の部材であって、押圧面73、押圧受圧面77、プレート係止部78、外周壁面74、制限孔71を有している。このフローティングプレート70は、シリンダ56と同軸上に配置され、圧力制御室53内に往復変位可能に配置されている。フローティングプレート70の往復変位する変位軸の方向は、ノズルニードル60の変位軸の方向に沿っている。このフローティングプレート70の変位軸方向の両端面のうち、開口壁面90と当該変位軸方向において対向する端面は、押圧面73を形成している。押圧面73は、フローティングプレート70の往復変位によって開口壁面90に当接する。この押圧面73と変位軸方向において反対側となるフローティングプレート70の端面は、変位軸方向において弁受圧面61と対向する押圧受圧面77を形成している。この押圧受圧面77は、圧力制御室53内の燃料によって、開口壁面90に向かう方向に力を受ける。また、押圧受圧面77の外縁には、シリンダ56のプレートストッパ部58aと変位軸方向において対向するプレート係止部78が形成されている。このプレート係止部78は、プレートストッパ部58aに係止されることにより、ノズルニードル60に近接する方向へのフローティングプレート70の変位を規制する。
以上の両端面間を連続させている外周壁面74は、フローティングプレート70の変位軸まわりに位置し、当該プレート70の変位軸方向に沿っている。この外周壁面74は、変位軸と直交する方向において制御壁面部57と対向している。シリンダ56に対してフローティングプレート70が同軸に位置した状態では、外周壁面74は、制御壁面部57との間に燃料の流通可能な隙間を形成している。これら外周壁面74および制御壁面部57間の隙間を通して、フローティングプレート70に対して開口壁面90側となる圧力制御室53の空間に流入した燃料は、当該プレート70に対して弁受圧面61側となる圧力制御室53の空間に流通する。
制限孔71は、フローティングプレート70の押圧受圧面77の径方向の中央部から、流出口54aに向かって延伸している。この制限孔71の延伸方向は、当該フローティングプレート70の変位軸方向に沿っている。制限孔71は、流出口54aと対向している押圧面73の径方向の中央部に、その一端を開口させている。制限孔71は、フローティングプレート70の押圧面73が開口壁面90に当接した状態下で、圧力制御室53と流出口54aとを連通し、且つ圧力制御室53から流出口54aへの燃料の流通量を制限する。
この制限孔71は、絞り部71aおよび凹部72を具備している。絞り部71aは、制限孔71における最小の流路面積を規定し、当該制限孔71を流れる燃料の流通量を定める。この絞り部71aは、フローティングプレート70の軸方向の両端面のうち、押圧受圧面77を形成するよりも、押圧面73を形成する端面に近接している。凹部72は、フローティングプレート70と同軸上に位置する円筒穴であって、弁受圧面61から離間する方向に押圧受圧面77から窪み、制限孔71の流路面積を部分的に拡大している。凹部72によって、押圧受圧面77における制限孔71の開口は拡大されている。
(特徴部分)
次に、燃料噴射装置100の特徴部分について、図4および図5に基づいてさらに詳細に説明する。
フローティングプレート70には、軸方向溝79aおよび径方向溝79bが形成されている。軸方向溝79aは、凹部72において変位軸まわりの内周壁に、凹部72の周方向において等間隔に四つ形成されている。各軸方向溝79aは、変位軸方向に沿って延伸している。径方向溝79bは、押圧受圧面77において、当該押圧受圧面77の外縁から凹部72に向かって延伸している。この径方向溝79bは、軸方向溝79aと同様に、凹部72の周方向に等間隔で四つ形成されている。加えて、軸方向溝79aが径方向溝79bと連続していることにより、燃料は、径方向溝79bの内部から軸方向溝79aの内部へ容易に流通できる。
ここで、フローティングプレート70に形成された凹部72が制限孔71の流路面積を部分的に拡大することによって獲得される作用について説明する。制限孔71のうち絞り部71aを流れる単位時間当たりの流量は、π*r^4*P/(8*μ*L)によって与えられる。この式においては、r:絞り部71aの半径、P:燃料圧力、μ:燃料の粘性係数、L:絞り部71aの流路長さである。このうち、燃料の粘性係数μと温度との相関を、図5に示す。尚、図5において実線がJIS2号軽油の、破線が特3号軽油の、一点鎖線が灯油の特性をそれぞれ示している。このように、燃料の粘性係数μは、温度の低下に伴って上昇する。故に、絞り部71aを流れる単位時間当たりの流量は、燃料の温度の低下に依存して減少する。そして、上述した式によれば、絞り部71aの流路長さLが長くなるほど、この流量の温度に依存した変化は顕著になる。故に、凹部72を形成することにより絞り部71aの流路長さLを、当該凹部72の底部72aから押圧面73までの長さにすることで、制限孔71を流通する燃料流量の温度に依存した変動が抑制されるのである。
図4に示すように、ノズルニードル60には、凸部62、軸方向溝69a、および径方向溝69bが形成されている。凸部62は、弁受圧面61から押圧受圧面77に向かって、ノズルニードル60の変位軸に沿って突出する円柱状の突起である。この凸部62は、ノズルニードル60、および変位軸方向において対向する凹部72と同軸上に位置している。この凸部62は、例えばノズルニードル60と一体で形成さてもよく、或いは円柱状の別部材を溶接又はネジ締結等によって受圧面61に保持させてもよい。加えて凸部62の外径は、凹部72の内径に対応しており、当該内径よりも小さくされている。軸方向溝69aは、凸部62において変位軸まわりの外周壁に、凸部62の周方向において等間隔に四つ形成されている。各軸方向溝69aは、変位軸方向に沿って延伸している。径方向溝69bは、弁受圧面61において、当該弁受圧面61の外縁から凸部62の突出方向における基端部分に向かって延伸している。この径方向溝69bは、軸方向溝69aと同様に、凸部62の周方向に等間隔で四つ形成されている。加えて、軸方向溝69aが径方向溝69bと連続していることで、燃料は、径方向溝69bの内部から、軸方向溝69aの内部へ容易に流通できる。
以上の構成による燃料噴射装置100が、弁部50を開閉させ燃料の噴射を行う動作について、図4に基づいて、図2を参照しつつ以下説明する。
圧力制御弁80の作動によって流出口54aと戻り流路14f(図1参照)とが連通する前において、フローティングプレート70は、プレート係止部78をプレートストッパ部58aに着座させている。この状態から、圧力制御弁80の作動によって流出口54aと戻り流路14fとが連通すると、流出路54を経由して圧力制御室53から燃料が流出する。これにより生じる流出口54a付近の減圧によって、フローティングプレート70は、開口壁面90に向かって吸引され、プレート係止部78をプレートストッパ部58aから離間させる方向に変位する。
変位によって開口壁面90に押圧面73を当接させたフローティングプレート70は、当該押圧面73で開口壁面90を押圧することによって、当該開口壁面90に開口する流入口52aと圧力制御室53とを遮断する(図4(a))。このとき、ノズルニードル60とフローティングプレート70とは互いに最も離間する。第一実施形態では、ノズルニードル60とフローティングプレート70とが互いに最も離間した状態において、凸部62は、突出方向の先端部62aを凹部72内から離脱させており、当該凹部72との間に燃料の流通が可能な燃料流路92を形成している。このノズルニードル60とフローティングプレート70とが互いに最も離間した状態において、燃料流路92の最小の流路面積は、絞り部71aの流路面積よりも大きくされている。
流入口52aからの燃料の流入を遮断された圧力制御室53内において、押圧受圧面77および弁受圧面61間に位置していた燃料は、燃料流路92および制限孔71を流通し、流出口54aに到達する。第一実施形態では、燃料流路92の最小の流路面積が絞り部71aの流路面積よりも大きくされているので、燃料は、圧力制御室53から排出される単位時間当たりの流量を、当該燃料流路92によって制限されない。そして、流出口54aに到達した燃料は、戻り流路14f(図1参照)に排出される。これにより、圧力制御室53内の燃料圧力は下降する。
圧力制御室53からの燃料の排出が継続されると、当該圧力制御室53内の燃料圧力が所定の圧力まで下降する。圧力制御室53内の圧力がこの所定の圧力を下回ると、ノズルニードル60は、圧力制御室53側に押し上げられ、シート部65を弁座部45から離座させ、弁部50の開弁を開始する。このノズルニードル60のフローティングプレート70に近接する方向への変位によって、ノズルニードル60の凸部62はフローティングプレート70の凹部72内に収容される。加えて、押圧受圧面77と弁受圧面61との間に位置していた燃料は、凹部72と凸部62との間を流れ、制限孔71を流通する。その後、ノズルニードル60の圧力制御室53側への変位は、ニードル係止部68のニードルストッパ部58bへの当接によって規制される。これにより、弁部50の開度は最大となる。
ノズルニードル60の変位がニードルストッパ部58bによって規制された状態では、凸部62の先端部62aは、凹部72の底部72aから離間している。加えて、凸部62の外周壁と凹部72の内周壁とは互いに離間した状態である。以上により、凹部72と凸部62との間に形成される燃料流路92は、燃料の流通が可能な状態を維持する。これにより、圧力制御室53内の燃料は、当該燃料流路92を経由して排出され続ける。加えて、燃料は、径方向溝79bおよび軸方向溝79a、又は径方向溝69bおよび軸方向溝69aの、それぞれの内部を流通できるので、制限孔71への流れを妨げられ難い。
圧力制御弁80の閉弁により、流出口54aと戻り流路14f(図1参照)とが遮断されると、フローティングプレート70は、流入口52aから流入する燃料によって弁受圧面61側へと押され、変位を開始する。そして、フローティングプレート70は、プレート係止部78を再びプレートストッパ部58aに着座させる(図4(b))。このとき、ノズルニードル60およびフローティングプレート70は、互いに最も近接した状態となる。この状態下でも、凸部62の先端部62aは、凹部72の底部72aから離間している。加えて、燃料流路92の最小の流路面積は、絞り部71aの流路面積よりも大きいままで維持される。
フローティングプレート70のノズルニードル60側への変位により、流入口52aは圧力制御室53に開放される。流入口52aから圧力制御室53に流入した燃料は、フローティングプレート70の外周壁面74とシリンダ56の制御壁面部57との間の隙間、および制限孔71と燃料流路92とを通過し、当該プレート70に対して弁受圧面61側となる圧力制御室53の空間内の圧力を上昇させる。すると、ノズルニードル60は弁部50側に押し下げられ、シート部65を弁座部45に着座させることで、弁部50を閉弁状態とする。
以上説明した第一実施形態では、凹部72をフローティングプレート70に形成しているが、その形成による圧力制御室53の容積の増加は、凸部62を形成することによって、抑制される。加えて、この凸部62は、ノズルニードル60およびフローティングプレート70が互いに最も近接した状態で、凹部72内に位置する。この状態下で、凸部62の先端部62aは、凹部72の底部72aから離間している。このようにノズルニードル60の凸部62は、当該ノズルニードル60およびフローティングプレート70の相対変位によっては、押圧受圧面77に衝突しない。故に、ノズルニードル60およびフローティングプレート70の確実な動作を可能としたうえで、圧力制御室53の容積の増加は抑制される。
そして、ノズルニードル60の往復変位を開始させるために要する圧力制御室53からの燃料の排出量は、上述したように当該圧力制御室53の容積の増加が抑制されることにより、少ないまま維持され得る。故に、燃料の温度に依存して制限孔71を流通する燃料の流量が変動したとしても、排出すべき燃料量が少ないので、ノズルニードル60の変位が開始されるまでに要する時間の変動は抑制され得る。
以上により、凹部72によって制限孔71を流れる燃料流量の温度に依存した変動を抑制する作用と相まって、フローティングプレート70が開口壁面90を押圧後、ノズルニードル60の変位開始までの時間の燃料温度に依存した変動は、確実に抑制される。したがって、温度特性に優れた燃料噴射装置100が実現される。
加えて、第一実施形態では、ノズルニードル60およびフローティングプレート70が互いに相対変位したとしても、燃料流路92の最小の流路面積は、絞り部71a流路面積よりも大きいまま維持される。故に、圧力制御室53から排出される燃料の流量は、当該燃料流路92によって制限され難い。加えて、ノズルニードル60およびフローティングプレート70は、プレートストッパ部58aおよびニードルストッパ部58bのうち対応するものによって、互いに近接する方向への変位が規制される。以上により、フローティングプレート70とノズルニードル60とが最も近接した状態における、燃料流路92の流路面積を確実に確保できる。以上により、燃料流路92の最小の流路面積が絞り部71aの流路面積よりも小さくなる事態は、プレートストッパ部58aおよびニードルストッパ部58bの適切な配置によって確実に回避され得る。以上により、この燃料流路92を通過する流量について温度に依存した変動が、ノズルニードル60の変位開始までに要する時間を変動させる事態を回避し得る。
また第一実施形態では、フローティングプレート70とノズルニードル60とが互いに近接する方向に相対変位すると、押圧受圧面77と弁受圧面61との間隔がごく僅かとなる。故に、押圧受圧面77と弁受圧面61との間において、圧力制御室53から排出される燃料の流量が制限されてしまうおそれがある。そこで、押圧受圧面77および弁受圧面61に、径方向溝79b,69bを形成することにより、押圧受圧面77と弁受圧面61との間隔がごく僅かな状態においても、燃料は、径方向溝79b,69bの内部を流通できる。故に、燃料は、押圧受圧面77と弁受圧面61との間において流通を制限されることなく、凹部72と凸部62との間を経由して制限孔71に到達できる。以上により、押圧受圧面77および弁受圧面61の間を流れる流量について温度による変動が弁部材の変位開始までに要する時間を変動させる事態は回避され得る。
さらに、制限孔71への燃料の流通が凹部72と凸部62との間によって制限された場合、ノズルニードル60変位開始までに要する時間は、凹部72と凸部62との間を流れる燃料の温度に依存して変動する。そこで、第一実施形態のように、軸方向溝79a,69aを設けることで、押圧受圧面77と弁受圧面61との間に位置していた燃料は、当該軸方向溝79a,69aの内部を流通できる。故に、燃料は、凹部72と凸部62との間を円滑に流れ、制限孔71に到達できる。故に、凹部72と凸部62との間を燃料は円滑に流れる。加えて、凹部72と凸部62との間において燃料の流通を確実なものとする軸方向溝79a,69aのそれぞれに、径方向溝79b,69bのうちの対応するものを連続させることで、当該各軸方向溝79a,69aの内部には、当該各径方向溝79b,69bの内部を流通した燃料が供給される。このように、凹部72と凸部62との間に燃料を円滑に流す各軸方向溝79a,69aの作用が、各径方向溝79b,69bを連続させることによって高められる。以上により、凹部72と凸部62との間を流れる流量について温度による変動がノズルニードル60の変位開始までに要する時間を変動させる事態は確実に回避され得る。
以上のように、圧力制御弁80の開弁からノズルニードル60の変位開始までに要する時間の温度に依存した変動を抑制する作用によって、燃料噴射装置100の温度特性の向上は、さらに確実なものとなる。
尚、第一実施形態において、プレートストッパ部58aが請求項に記載の「押圧規制部」に、ニードルストッパ部58bが請求項に記載の「弁規制部」に、ノズルニードル60が請求項に記載の「弁部材」に、軸方向溝69aが請求項に記載の「凸部の軸方向溝」に、径方向溝69bが請求項に記載の「凸部の径方向溝」に、フローティングプレート70が請求項に記載の「押圧部材」に、軸方向溝79aが請求項に記載の「凹部の軸方向溝」に、径方向溝79bが請求項に記載の「凹部の径方向溝」に、それぞれ相当する。
(第二実施形態)
図6に示すように本発明の第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。第二実施形態の燃料噴射装置200は、第一実施形態のフローティングプレート70およびノズルニードル60に相当する、フローティングプレート270およびノズルニードル260を備えている。以下、第二実施形態による燃料噴射装置200の構成を、図6に基づいて詳細に説明する。
フローティングプレート270には、制限孔271の流路面積を押圧受圧面277側において拡大する凹部272が形成されている。この凹部272は、フローティングプレート270と同軸上に位置する円筒穴である。このフローティングプレート270において、凹部272の内周壁および押圧受圧面277からは、第一実施形態の軸方向溝79aおよび径方向溝79bに相当する構成が省略されている。
ノズルニードル260には、弁受圧面261の中央から押圧受圧面277に向かって突出する凸部262が形成されている。この凸部262は、ノズルニードル260および変位軸方向において対向する凹部272と同軸上に位置する円柱状の突起である。この凸部262の外径は、凹部272の内径よりも小さくされている。この凸部262の外周壁および弁受圧面261からは、第一実施形態の軸方向溝69a、および径方向溝69bに相当する構成が省略されている。
以上の第二実施形態による燃料噴射装置200でも、凹部272の形成による圧力制御室53の容積の増加は、凸部262を形成することによって抑制される。加えて、凸部262のフローティングプレート270への衝突が回避されるので、ノズルニードル260およびフローティングプレート270は確実に動作し得る。以上により、凹部272によって制限孔271を流れる燃料流量について温度に依存した変動を抑制する作用と相まって、フローティングプレート270が開口壁面90を押圧後、ノズルニードル260の変位開始までの時間の燃料温度に依存した変動は、確実に抑制される。したがって、温度特性に優れた燃料噴射装置200が実現される。
加えて第二実施形態では、フローティングプレート270とノズルニードル260とが互いに最も離間するよう相対変位した状態(図6(a))では、凸部262は、凹部272内から離脱している。この状態下では、凸部262の凹部272からの離脱によって、凸部262および凹部272間による燃料流路292の最小の流路面積は、制限孔271の最小の流路面積よりも確実に大きくなる。故に、圧力制御室53から排出される単位時間当たりの流量は、当該燃料流路292によって制限されない。
また、第二実施形態では、フローティングプレート270とノズルニードル260とが互いに最も近接するよう相当変位した状態(図6(b))では、凸部262の外周壁と凹部272の内周壁との間に燃料流路292が形成される。この状態では、凸部262の外径と凹部272の内径との差を適切にすることによって、軸方向の溝を形成することなく、燃料流路292の最小の流路面積を、制限孔271の最小の流路面積より大きくすることができる。
以上によれば、圧力制御弁80(図2参照)の開弁からノズルニードル260の変位開始までに要する時間の温度に依存した変動を抑制する作用が確実に発揮されるので、燃料噴射装置200の温度特性の向上は、さらに確実なものとなる。
尚、第二実施形態では、ノズルニードル260が請求項に記載の「弁部材」に、フローティングプレート270が請求項に記載の「押圧部材」に、それぞれ相当する。
(第三実施形態)
図7に示すように本発明の第三実施形態は、第二実施形態の変形例である。第三実施形態の燃料噴射装置300は、第二実施形態のノズルニードル260に相当するノズルニードル360を備えている。以下、第三実施形態による燃料噴射装置300の構成を、図7に基づいて詳細に説明する。
ノズルニードル360の有する凸部362の突出方向における長さは、第二実施形態の凸部262と比較して長い。故に、フローティングプレート270およびノズルニードル360が互いに最も離間した状態で、凸部362の先端部362aは、凹部272内に位置する(図7(a))。この状態下では、凸部362と凹部272との間に形成される燃料流路392の流路面積は、当該凸部362の外径と凹部272の内径との差によって定められる。このように凸部362の先端部362aが常に凹部272内に位置する形態であっても、凸部362の外径と凹部272の内径との差を適切にすることによって、燃料流路392の最小の流路面積を、制限孔271の最小の流路面積よりも大きくすることができる。
また、ノズルニードル360とフローティングプレート270とが互いに最も近接した状態(図7(b))では、凸部362の先端部362aは、凹部272の底部272aから離間している。この状態において、先端部362aと底部272aとの間に形成される燃料流路392の最小の流路面積は、制限孔271の最小の流路面積よりも大きくされている。
以上のように、凸部362の長さを延長した形態であっても、ノズルニードル360およびフローティングプレート270の変位の位置にかかわらず、燃料流路392は流路面積を確保され得る。故に、圧力制御室53から排出される単位時間当たりの流量が燃料流路392によって制限される事態を回避し得る。
加えて、凸部362の突出方向の長さを大きくすることで、当該凸部362の体積は増加する。故に、凹部272の形成による圧力制御室53の容積の増加は確実に抑制される。以上により、ノズルニードル360の変位開始までの時間の燃料温度に依存した変動は、さらに確実に抑制される。したがって、燃料噴射装置300の温度特性は向上し得る。
尚、第三実施形態では、ノズルニードル360が請求項に記載の「弁部材」に相当する。
(第四実施形態)
図8に示すように本発明の第四実施形態は、第三実施形態の変形例である。第四実施形態の燃料噴射装置400は、第三実施形態のフローティングプレート270およびノズルニードル360に相当する、フローティングプレート470およびノズルニードル460を備えている。加えて、燃料噴射装置400は、これらフローティングプレート470およびノズルニードル460間に、プレートスプリング476を備えている。以下、第四実施形態による燃料噴射装置400の構成を、図8に基づいて詳細に説明する。
フローティングプレート470には、制限孔471の流路面積を押圧受圧面477側において拡大する凹部472が形成されている。この凹部472は、フローティングプレート470と同軸上に位置する円筒穴である。加えて、フローティングプレート470には、凹部472よりも内径が大きく、且つ変位軸方向における深さが浅い円筒穴である付勢凹部477aが形成されている。この付勢凹部477aは、押圧受圧面477において、凹部472の周囲を、変位軸方向に対向する弁受圧面461から離間する方向に窪ませることによって形成されている。この付勢凹部477aは、凹部472と同軸上に位置している。
ノズルニードル460には、弁受圧面461の中央から押圧受圧面477に向かって突出する凸部462が形成されている。この凸部462は、ノズルニードル460および変位軸方向において対向する凹部472と同軸上に位置する円柱状の突起である。この凸部462の外径は、凹部472の内径よりも小さくされている。加えて、ノズルニードル460には、凸部462よりも外径が大きく、変位軸方向に短い円柱状の付勢凸部461aが形成されている。この付勢凸部461aは、弁受圧面461において、凸部462の周囲を、変位軸方向に対向する押圧受圧面477に近接する方向に突出させることによって形成されている。この付勢凸部461aは、凸部462、および変位軸方方向において対向する付勢凸部461aと同軸上に位置する。
プレートスプリング476は、金属製の線材を周回状に巻設したコイルスプリングである。このプレートスプリング476は、フローティングプレート470とノズルニードル460との間に軸方向に圧縮された状態で配置され、当該ノズルニードル460に対して当該フローティングプレート470を開口壁面90に向けて付勢する。プレートスプリング476の変位軸方向において押圧受圧面477側の端部は、付勢凹部477aの内周壁に内嵌され、且つ当該付勢凹部477aの底部に着座している。またプレートスプリング476の変位軸方向において弁受圧面461側の端部は、付勢凸部461aの外周壁に外嵌され、且つ当該付勢凸部461aの外周側に位置する弁受圧面461に着座している。
以上説明した第四実施形態では、フローティングプレート470およびノズルニードル460が互いに最も離間した状態で、凸部462の先端部462aは、凹部472内に位置する(図8(a))。この状態において、凸部462の外径と凹部472の内径との差によって定められる、凸部462と凹部472との間に形成される燃料流路492の最小の流路面積は、第四実施形態でも、制限孔471の最小の流路面積よりも大きくされている。
一方、ノズルニードル460とフローティングプレート470とが互いに最も近接した状態(図8(b))では、凸部462の先端部462aは、凹部472の底部472aから離間している。この状態において、先端部462aと底部472aとの間に形成される燃料流路492の最小の流路面積も、制限孔471の最小の流路面積よりも大きくされている。
ここで、ノズルニードル460とフローティングプレート470とが最も近接した状態であっても、燃料は、プレートスプリング476の内周側と外周側とを円滑に流通できなければならない。故に、プレートスプリング476は、押圧受圧面477および弁受圧面461間において軸方向に最も圧縮されても、当該軸方向に隣接する線材同士の間に燃料が流通可能な隙間を維持できるようにされている。
ここまで説明した第四実施形態のように、プレートスプリング476を備える形態の燃料噴射装置400では、押圧受圧面477又は弁受圧面461に沿って当該プレートスプリング476の位置がずれるおそれがある。プレートスプリング476にずれが生じた場合、ノズルニードル460の変位軸方向に沿っていたフローティングプレート470の変位軸方向が、当該ノズルニードル460の変位軸方向に対して傾く事態を招き得る。この
フローティングプレート470の変位軸の傾きは、凹部472と凸部462との間に形成されるはずの燃料流路492を消失させ、凹部472と凸部462との間における燃料の通過を妨げる要因となり得る。そこで、付勢凹部477aに押圧受圧面477側の端部を内嵌させ、弁受付勢凸部461aに弁受圧面461側の端部を外嵌させることによって、プレートスプリング476のずれの発生は抑制され得る。故に、凹部472と凸部462との間に燃料の通過可能な燃料流路492が確実に維持され得る。したがって、プレートスプリング476を備える形態の燃料噴射装置400における温度特性は、当該プレートスプリング476のずれを抑制する付勢凹部477aおよび付勢凸部461aが形成されることで、確実に向上し得る。
尚、第四実施形態では、ノズルニードル460が請求項に記載の「弁部材」に、フローティングプレート470が請求項に記載の「押圧部材」に、プレートスプリング476が請求項に記載の「付勢部材」に、それぞれ相当する。
(他の実施形態)
以上、本発明による複数の実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
上記実施形態では、制御ボディ40のシリンダ56に、ノズルニードルおよびフローティングプレートの変位を規制し、互いの衝突を防ぐプレートストッパ部58aおよびニードルストッパ部58bを形成していた。しかし、例えば第四実施形態のように、ズルニードルおよびフローティングプレート間にプレートスプリングを配置した形態では、当該プレートスプリングによって互いの衝突を回避し得るので、これらプレートストッパ部およびニードルストッパ部に相当する構成は省略されてもよい。
上記実施形態においては、圧力制御室53内の燃料の圧力を制御する圧力制御弁80を開閉する駆動部として、ソレノイド31の電磁力で可動子35を駆動する機構を用いていた。しかし、機関制御装置17からの制御信号に応じて可動し、圧力制御弁80を開閉できる駆動部であれば、ソレノイドを用いた形態以外の、例えばピエゾ素子を用いる形態であってもよい。
以上、燃料を燃焼室22に直接的に噴射するディーゼル機関20に用いられる燃料噴射装置に、本発明を適用した例を説明した。しかし、本発明は、ディーゼル機関20に限らず、オットーサイクル機関等の内燃機関に用いられる燃料噴射装置に適用されてもよい。加えて、燃料噴射装置によって噴射される燃料は、軽油に限らず、ガソリン、および液化石油ガス等であってもよい。さらには、外燃機関等の燃料を燃焼させる機関の燃焼室に向けて燃料を噴射する燃料噴射装置に本発明を適用してもよい。
10 燃料供給システム、11 燃料タンク、12 フィードポンプ、12a,13a,14e 燃料配管、13 高圧燃料ポンプ、14 コモンレール、14a 分岐部、14b コモンレールセンサ、14c 圧力レギュレータ、14d 供給流路、14f 戻り流路、17 機関制御装置、20 ディーゼル機関、21 ヘッド部材、22 燃焼室、30 制御弁駆動部、31 ソレノイド、32 ターミナル、33 バルブシート部材、34 スプリング、35 可動子、36 固定子、40 制御ボディ、41 ノズルボディ、43 ノズルニードル収容部、44 噴孔、45 弁座部、46 バルブボディ(弁ボディ部材)、47a 制御弁座部、48 ホルダ、48a,48b 縦孔、48c ソケット部、49 リテーニングナット、49a 段差部、50 弁部、52 流入路、52a 流入口、53 圧力制御室、54 流出路、54a 流出口、56 シリンダ、57 制御壁面部、57a 凹部、58a プレートストッパ部(押圧規制部)、58b ニードルストッパ部(弁規制部)、59 シリンダ摺動部、60,260,360,460 ノズルニードル(弁部材)、61,261,461 弁受圧面、461a 付勢凸部、62,262,362,462 凸部、62a,362a,462a 先端部、63 ニードル摺動部、65 シート部、66 リターンスプリング、67 鍔部材、68 ニードル係止部、69a (凸部の)軸方向溝、69b (凸部の)径方向溝、70,270,470 フローティングプレート(押圧部材)、70a 外壁面、71,271,471 制限孔、71a 絞り部、72,272,472 凹部、72a,272a,472a 底部、73 押圧面、73a 端面、74 外周壁面、476 プレートスプリング、77,277,477 押圧受圧面、477a 付勢凹部、78 プレート係止部、79a (凹部の)軸方向溝、79b (凹部の)径方向溝、80 圧力制御弁、90 開口壁面、92,292,392,492 燃料流路、94 流入凹部、97 流出凹部、100,200,300,400 燃料噴射装置

Claims (15)

  1. 供給流路から供給される供給燃料の噴孔からの噴射を制御する弁部を開閉し、当該制御に伴って供給燃料の一部を戻り流路に排出する燃料噴射装置であって、
    前記供給流路を流通した燃料が流入口から流入し、前記戻り流路へは流出口を経由して燃料を排出する圧力制御室、および前記圧力制御室に露出し前記流入口および前記流出口が開口する開口壁面を有する制御ボディと、
    前記流出口と前記戻り流路との連通および遮断を切り替え、前記圧力制御室内の燃料の圧力を制御する圧力制御弁と、
    前記圧力制御室に露出する弁受圧面を有し、前記弁受圧面の受ける燃料の圧力に応じて往復変位することにより、前記弁部を開閉する弁部材と、
    前記圧力制御室内に前記弁部材の変位軸方向に沿って往復変位可能に配置され、前記変位軸方向において前記弁受圧面と対向する押圧受圧面、前記押圧受圧面から前記流出口に向かって延伸する制限孔を有し、前記圧力制御弁によって前記流出口と前記戻り流路とが連通すると、前記流入口と前記圧力制御室との連通を遮断するように前記開口壁面を押圧し、前記制限孔によって前記圧力制御室から前記流出口への燃料の流通量を制限し、前記圧力制御弁によって前記流出口と前記戻り流路とが遮断されると、前記流入口を前記圧力制御室へ開放するよう前記開口壁面から少なくとも一部が離間するよう変位する押圧部材と、を備え、
    前記押圧部材は、前記弁受圧面から離間する方向に前記押圧受圧面から窪み、前記制限孔の流路面積を部分的に拡大する凹部を有し、
    前記弁部材は、前記弁受圧面から前記押圧受圧面に向かって突出し、当該弁部材および前記押圧部材が互いに最も近接した状態で、前記凹部内に位置し且つ突出方向の先端部が当該凹部の底部から離間する凸部を有し、
    前記制御ボディは、前記弁部材に近接する方向への前記押圧部材の変位を規制する押圧規制部と、前記押圧部材に近接する方向への前記弁部材の変位を規制する弁規制部と、を有し、
    前記押圧部材および前記弁部材が互いに近接する方向に相対変位することによって前記凹部と前記凸部との間に形成される燃料流路の最小の流路面積は、前記制限孔の最小の流路面積よりも大きいことを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 供給流路から供給される供給燃料の噴孔からの噴射を制御する弁部を開閉し、当該制御に伴って供給燃料の一部を戻り流路に排出する燃料噴射装置であって、
    前記供給流路を流通した燃料が流入口から流入し、前記戻り流路へは流出口を経由して燃料を排出する圧力制御室、および前記圧力制御室に露出し前記流入口および前記流出口が開口する開口壁面を有する制御ボディと、
    前記流出口と前記戻り流路との連通および遮断を切り替え、前記圧力制御室内の燃料の圧力を制御する圧力制御弁と、
    前記圧力制御室に露出する弁受圧面を有し、前記弁受圧面の受ける燃料の圧力に応じて往復変位することにより、前記弁部を開閉する弁部材と、
    前記圧力制御室内に前記弁部材の変位軸方向に沿って往復変位可能に配置され、前記変位軸方向において前記弁受圧面と対向する押圧受圧面、前記押圧受圧面から前記流出口に向かって延伸する制限孔を有し、前記圧力制御弁によって前記流出口と前記戻り流路とが連通すると、前記流入口と前記圧力制御室との連通を遮断するように前記開口壁面を押圧し、前記制限孔によって前記圧力制御室から前記流出口への燃料の流通量を制限し、前記圧力制御弁によって前記流出口と前記戻り流路とが遮断されると、前記流入口を前記圧力制御室へ開放するよう前記開口壁面から少なくとも一部が離間するよう変位する押圧部材と、を備え、
    前記押圧部材は、前記弁受圧面から離間する方向に前記押圧受圧面から窪み、前記制限孔の流路面積を部分的に拡大する凹部を有し、
    前記弁部材は、前記弁受圧面から前記押圧受圧面に向かって突出し、当該弁部材および前記押圧部材が互いに最も近接した状態で、前記凹部内に位置し且つ突出方向の先端部が当該凹部の底部から離間する凸部を有し、
    前記凹部において前記変位軸まわりの内周壁には、当該変位軸方向に沿った凹部の軸方向溝が形成されることを特徴とする燃料噴射装置。
  3. 供給流路から供給される供給燃料の噴孔からの噴射を制御する弁部を開閉し、当該制御に伴って供給燃料の一部を戻り流路に排出する燃料噴射装置であって、
    前記供給流路を流通した燃料が流入口から流入し、前記戻り流路へは流出口を経由して燃料を排出する圧力制御室、および前記圧力制御室に露出し前記流入口および前記流出口が開口する開口壁面を有する制御ボディと、
    前記流出口と前記戻り流路との連通および遮断を切り替え、前記圧力制御室内の燃料の圧力を制御する圧力制御弁と、
    前記圧力制御室に露出する弁受圧面を有し、前記弁受圧面の受ける燃料の圧力に応じて往復変位することにより、前記弁部を開閉する弁部材と、
    前記圧力制御室内に前記弁部材の変位軸方向に沿って往復変位可能に配置され、前記変位軸方向において前記弁受圧面と対向する押圧受圧面、前記押圧受圧面から前記流出口に向かって延伸する制限孔を有し、前記圧力制御弁によって前記流出口と前記戻り流路とが連通すると、前記流入口と前記圧力制御室との連通を遮断するように前記開口壁面を押圧し、前記制限孔によって前記圧力制御室から前記流出口への燃料の流通量を制限し、前記圧力制御弁によって前記流出口と前記戻り流路とが遮断されると、前記流入口を前記圧力制御室へ開放するよう前記開口壁面から少なくとも一部が離間するよう変位する押圧部材と、を備え、
    前記押圧部材は、前記弁受圧面から離間する方向に前記押圧受圧面から窪み、前記制限孔の流路面積を部分的に拡大する凹部を有し、
    前記弁部材は、前記弁受圧面から前記押圧受圧面に向かって突出し、当該弁部材および前記押圧部材が互いに最も近接した状態で、前記凹部内に位置し且つ突出方向の先端部が当該凹部の底部から離間する凸部を有し、
    前記凸部において前記変位軸まわりの外周壁には、当該変位軸方向に沿った凸部の軸方向溝が形成されることを特徴とする燃料噴射装置。
  4. 供給流路から供給される供給燃料の噴孔からの噴射を制御する弁部を開閉し、当該制御に伴って供給燃料の一部を戻り流路に排出する燃料噴射装置であって、
    前記供給流路を流通した燃料が流入口から流入し、前記戻り流路へは流出口を経由して燃料を排出する圧力制御室、および前記圧力制御室に露出し前記流入口および前記流出口が開口する開口壁面を有する制御ボディと、
    前記流出口と前記戻り流路との連通および遮断を切り替え、前記圧力制御室内の燃料の圧力を制御する圧力制御弁と、
    前記圧力制御室に露出する弁受圧面を有し、前記弁受圧面の受ける燃料の圧力に応じて往復変位することにより、前記弁部を開閉する弁部材と、
    前記圧力制御室内に前記弁部材の変位軸方向に沿って往復変位可能に配置され、前記変位軸方向において前記弁受圧面と対向する押圧受圧面、前記押圧受圧面から前記流出口に向かって延伸する制限孔を有し、前記圧力制御弁によって前記流出口と前記戻り流路とが連通すると、前記流入口と前記圧力制御室との連通を遮断するように前記開口壁面を押圧し、前記制限孔によって前記圧力制御室から前記流出口への燃料の流通量を制限し、前記圧力制御弁によって前記流出口と前記戻り流路とが遮断されると、前記流入口を前記圧力制御室へ開放するよう前記開口壁面から少なくとも一部が離間するよう変位する押圧部材と、を備え、
    前記押圧部材は、前記弁受圧面から離間する方向に前記押圧受圧面から窪み、前記制限孔の流路面積を部分的に拡大する凹部を有し、
    前記弁部材は、前記弁受圧面から前記押圧受圧面に向かって突出し、当該弁部材および前記押圧部材が互いに最も近接した状態で、前記凹部内に位置し且つ突出方向の先端部が当該凹部の底部から離間する凸部を有し、
    前記押圧受圧面には、当該押圧受圧面の外縁から、前記凹部に向かって延伸する前記凹部の径方向溝が形成されることを特徴とする燃料噴射装置。
  5. 供給流路から供給される供給燃料の噴孔からの噴射を制御する弁部を開閉し、当該制御に伴って供給燃料の一部を戻り流路に排出する燃料噴射装置であって、
    前記供給流路を流通した燃料が流入口から流入し、前記戻り流路へは流出口を経由して燃料を排出する圧力制御室、および前記圧力制御室に露出し前記流入口および前記流出口が開口する開口壁面を有する制御ボディと、
    前記流出口と前記戻り流路との連通および遮断を切り替え、前記圧力制御室内の燃料の圧力を制御する圧力制御弁と、
    前記圧力制御室に露出する弁受圧面を有し、前記弁受圧面の受ける燃料の圧力に応じて往復変位することにより、前記弁部を開閉する弁部材と、
    前記圧力制御室内に前記弁部材の変位軸方向に沿って往復変位可能に配置され、前記変位軸方向において前記弁受圧面と対向する押圧受圧面、前記押圧受圧面から前記流出口に向かって延伸する制限孔を有し、前記圧力制御弁によって前記流出口と前記戻り流路とが連通すると、前記流入口と前記圧力制御室との連通を遮断するように前記開口壁面を押圧し、前記制限孔によって前記圧力制御室から前記流出口への燃料の流通量を制限し、前記圧力制御弁によって前記流出口と前記戻り流路とが遮断されると、前記流入口を前記圧力制御室へ開放するよう前記開口壁面から少なくとも一部が離間するよう変位する押圧部材と、を備え、
    前記押圧部材は、前記弁受圧面から離間する方向に前記押圧受圧面から窪み、前記制限孔の流路面積を部分的に拡大する凹部を有し、
    前記弁部材は、前記弁受圧面から前記押圧受圧面に向かって突出し、当該弁部材および前記押圧部材が互いに最も近接した状態で、前記凹部内に位置し且つ突出方向の先端部が当該凹部の底部から離間する凸部を有し、
    前記弁受圧面には、当該弁受圧面の外縁から、前記凸部に向かって延伸する前記凸部の径方向溝が形成されることを特徴とする燃料噴射装置。
  6. 前記凹部において前記変位軸まわりの内周壁には、当該変位軸方向に沿った凹部の軸方向溝が形成されることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
  7. 前記凸部において前記変位軸まわりの外周壁には、当該変位軸方向に沿った凸部の軸方向溝が形成されることを特徴とする請求項1,2,のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  8. 前記押圧受圧面には、当該押圧受圧面の外縁から、前記凹部に向かって延伸する凹部の径方向溝が形成されることを特徴とする請求項1〜3,6,のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  9. 前記部において前記変位軸まわりの周壁には、当該変位軸方向に沿った部の軸方向溝が形成され、
    前記部の軸方向溝は、前記部の径方向溝と連続することを特徴とする請求項8に記載の燃料噴射装置。
  10. 前記弁受圧面には、当該弁受圧面の外縁から、前記凸部に向かって延伸する凸部の径方向溝が形成されることを特徴とする請求項1〜4,6〜9のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  11. 前記凸部において前記変位軸まわりの外周壁には、当該変位軸方向に沿った凸部の軸方向溝が形成され、
    前記凸部の軸方向溝は、前記凸部の径方向溝と連続することを特徴とする請求項10に記載の燃料噴射装置。
  12. 前記押圧部材および前記弁部材が互いに近接する方向に相対変位することによって前記凹部と前記凸部との間に形成される燃料流路の最小の流路面積は、前記制限孔の最小の流路面積よりも大きいことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の燃料噴射装置
  13. 前記押圧部材および前記弁部材が互いに離間する方向に相対変位することによって、前記凸部は、前記凹部内から離脱することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  14. 前記押圧部材および前記弁部材が互いに最も離間した状態で、前記凸部の前記先端部は、前記凹部内に位置することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  15. 前記押圧受圧面は、前記凹部の周囲を前記弁受圧面から離間する方向に窪むことにより付勢凹部を形成し、
    前記弁受圧面は、前記凸部の周囲を前記押圧受圧面に近接する方向に突出することにより付勢凸部を形成し、
    前記弁部材に対して前記押圧部材を前記開口壁面に向けて付勢する付勢部材をさらに備え、
    前記付勢部材は、前記変位軸方向において前記押圧受圧面側の端部が前記付勢凹部に内嵌され、当該変位軸方向において前記弁受圧面側の端部が前記付勢凸部に外嵌されることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
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