JP5434463B2 - 溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融亜鉛めっき鋼板に関する。具体的には、良好な曲げ性を有するとともに不めっきのない良好な表面性状を有する高強度溶融亜鉛めっき鋼板に関し、特に、自動車の車体のようにプレス成形、その中でも曲げ成形が必要となる用途に好適な高強度溶融亜鉛めっき鋼板に関する。ここで、「溶融亜鉛めっき鋼板」には「合金化溶融亜鉛めっき鋼板」が含まれる。
近年、地球環境保護を目的として自動車の燃費向上が求められている。このため、車体を軽量化しつつ乗員の安全を確保する手段として、自動車用部材の素材について高強度鋼板へのニーズが高まっている。自動車用部材には特に厳しい防錆性が要求される場合が多いことから、とりわけ高強度溶融亜鉛めっき鋼板へのニーズが高まっている。
ところで、高強度鋼板を得る手段としては、SiやMnといった合金元素を多量に含有させることにより鋼板の強度を高めることが一般に行われている。自動車用部材に供される高強度鋼板についても同様である。
一方、自動車用部材に供される高強度溶融亜鉛めっき鋼板には、高い強度のみならず、加工性や耐食性等といった各種性能を満足することが求められる。
しかしながら、上述したようなSiやMnを多量に含有させることにより強度を高めた高強度鋼板は、凝固偏析に起因する局所的な化学組成の変動が生じ易い。そして、この局所的な化学組成の変動は組織の不均一化を招く。その結果、曲げ加工時における変形が不均一化しやすくなり、曲げ加工部の表面に視認可能な程の顕著な凹凸を出現させる場合がある。この凹凸は、変形の不均一化をさらに助長して割れを誘発し、単に外観を劣化させるのみならず曲げ性という機械特性そのものを劣化させる場合がある。また、割れに至らない場合であっても、曲げ加工部に顕著な凹凸が存在すると、部品としての衝突特性が劣化する場合がある。
また、SiやMnを多量に含有するため、鋼板の表面にSiやMnの強固な酸化膜が生成し易い。このため、溶融亜鉛めっき時における亜鉛の濡れ性が低下して不めっき等が生じ易い。
したがって、加工性、特に曲げ性に優れるとともに、不めっき等のない美麗な表面性状を有する高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造は困難であった。
ところで、高強度溶融亜鉛めっき鋼板の伸びフランジ性の改善に関しては、従来から幾つかの方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、フェライトの結晶粒を超微細化した溶融亜鉛めっき冷延鋼板が開示されている。これによれば、フェライトの結晶粒を超微細化することにより、伸びフランジ性と高強度化が両立できるとされている。
また、偏析を低減する方法についても、従来から幾つかの方法が提案されている。
例えば、特許文献2には、鋼材を1250℃以上の高温に10時間以上の長時間保持する均質化処理が開示されている。
また、高強度溶融亜鉛めっき鋼板のめっき性の改善についても、従来から幾つかの方法が提案されている。
例えば、特許文献3には、酸化処理後再結晶焼鈍を行い、その後還元して、不めっきの原因となるSi、Mn、Crの表面酸化膜の生成を抑える技術が開示されている。
特開2004−211126号公報 特開平4−191322号公報 特開平8−92713号公報
特許文献1に開示された技術は、高強度溶融亜鉛めっき鋼板の伸びフランジ性を改善するとされるものであり、伸びフランジ性は曲げ性と同様に鋼板の局部変形能に影響される機械特性であるが、特許文献1に開示された技術では、凝固偏析に起因する組織の不均一化について一切考慮されていないため、曲げ加工部表面の凹凸生成を抑制することができず、十分な曲げ性や衝突特性を確保することが困難である。
特許文献2に開示された均質化処理を適用すれば、凝固偏析に起因する組織の不均一化を解消するのに有効であるが、当該均質化処理は高温長時間の処理であるため、著しい生産性の低下を招く。
また、特許文献3に開示された方法で不めっきが抑制されるとされているのは、SiおよびMnの合計含有量が高々2.0%程度までの鋼板についてであり、SiおよびMnの合計含有量がさらに高い鋼板について不めっきを抑制することは困難である。
このように、従来技術においては、曲げ性に優れるとともに、不めっきのない美麗な表面性状を有する高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造は困難であった。
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、良好な曲げ性を有するとともに不めっきのない良好な表面性状を有する高強度溶融亜鉛めっき鋼板を提供することを目的とする。
本発明者らは、SiやMnを多量に含有する鋼板を基材とした高強度溶融亜鉛めっき鋼板について、曲げ性を改善し不めっきを抑制する方法について鋭意検討を行った。その結果、以下の新たな知見を得た。
(a)SiやMnを多量に含有する高強度鋼板の曲げ性の劣化は、上述したとおり、凝固偏析に起因する不均一組織の生成の影響が大きい。しかし、微量のBiを含有させることにより凝固偏析が飛躍的に低減される。その結果、曲げ性が改善される。
(b)SiやMnを多量に含有する高強度鋼板を基材とする溶融亜鉛めっき鋼板の不めっきは、上述したとおり、基材である鋼板の表面にSiやMnの強固な酸化膜が形成されることにより、溶融亜鉛めっき時における亜鉛の濡れ性が低下することが原因である。しかし、Al含有量を通常のAlキルド鋼におけるものよりも著しく低減させることにより、溶融亜鉛めっき時における亜鉛の濡れ性低下が飛躍的に抑制される。その結果、不めっきが抑制されて良好な表面性状が確保される。
(c)したがって、SiやMnを多量に含有する高強度鋼板を基材とする溶融亜鉛めっき鋼板について、基材である高強度鋼板の化学組成を微量のBiを含有するとともにAl含有量を著しく低減させたものとすることにより、良好な曲げ性を有するとともに不めっきのない良好な表面性状を有する高強度溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができる。
本発明は、上記新知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は以下のとおりである。
鋼板の表面に溶融亜鉛めっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板であって、前記鋼板は、質量%で、C:0.03〜0.30%、Si+Mn:1.0〜5.0%、P:0.1%以下、S:0.01%以下、sol.Al:0.009以下、Bi0.00010.05%、N:0.02%以下、残部Fe及び不純物である化学組成を有するとともに引張強度が796〜1054MPaであることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板。
なお、本発明において「溶融亜鉛めっき鋼板」とは、溶融亜鉛めっき処理により鋼板上に形成されためっき層である溶融亜鉛めっき層または溶融亜鉛合金めっき層(本発明において、これらを「溶融亜鉛めっき層」と総称する。)を有する鋼板、およびその溶融亜鉛めっき鋼板に対して合金化処理を施すことにより得られる合金化溶融亜鉛めっき層を有する鋼板、すなわち合金化溶融亜鉛めっき鋼板を意味する。
以上の如く本発明によれば、良好な曲げ性を有するとともに不めっきのない良好な表面性状を有する高強度溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。特に本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板は、サイドシルリンフォースなどの自動車の構造部品用途に最適である。
次に、本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板における基材鋼板の化学組成の限定理由を説明し、さらに、溶融めっき層および好適な製造条件を例示する
1.化学組成
本発明の鋼板の化学組成を上述のように規定した理由について説明する。なお、本明細書において鋼板の化学組成を規定する「%」は「質量%」である。
(1)Si、Mn
SiおよびMnは鋼板の強度を高める作用を有する。上記作用による効果を得るために、SiおよびMnの合計含有量は1.0%以上とする。Siはフェライトを強化して複合組織鋼板における組織の硬度を均一化することにより加工性を向上させる作用を有する。したがって、Si含有量は0.02%以上とすることが好ましい。さらに好ましくは0.15%以上である。また、Mnは変態強化を促進する作用を有する。したがって、Mn含有量は0.9%以上とすることが好ましい。さらに好ましくは1.5%以上である。
一方、SiおよびMnの合計含有量が5.0%を超えると加工性の劣化が著しくなる。したがって、SiとMnの合計量は5.0%以下とする。同様の観点から、Si含有量は2.5%以下とすることが好ましく、2.0%以下とすることがさらに好ましい。Mn含有量は3.5%以下とすることが好ましく、3.5%以下とすることがさらに好ましい。
本発明のようにSiやMnを多量に含有する鋼板を基材とすると、通常はSiやMnが表面に濃化してしまい、溶融亜鉛めっきを施す際の不めっきや、合金化処理時の処理不足を招く。また、バンド組織が発達して曲げ性を低下させる。本発明においては、後述するように、微量のBiの含有とAl含有量の低減とにより、これらの問題を解消するのである。
(2)sol.Al
sol.Al含有量は本発明において重要である。Alは、通常、鋼中酸素量を低減するために製鋼工程において添加される。しかしながら、Alは酸化しやすい元素であるため、焼鈍時にSiやMnと複合酸化膜を生成し、不めっきの原因となる。本発明においては、sol.Al含有量を通常のAlキルド鋼におけるものよりも著しく低減させ、0.010%未満とすることにより、不めっきを抑制して良好な表面性状を確保する。sol.Al含有量は0.005%以下とすることが好ましい。
(3)Bi
Biは本発明において重要な元素である。Biは凝固界面に濃化してデンドライト間隔を狭めて凝固偏析を低減する作用を有する。上記作用による効果を確実に得るため、Bi含有量は0.0001%以上とする。好ましくは0.0003%以上である。一方、Bi含有量が0.05%超では、表面性状の劣化が生じる場合がある。したがって、Bi含有量は0.05%以下とする。好ましくは0.01%以下、さらに好ましくは0.0050%以下である。
(4)その他の元素
その他の元素は目的とする特性に応じて適宜定めればよいが、以下に好適な範囲を記述する。
i)C
Cは鋼板の強度を高める作用を有するので、高強度化に有効な成分である。上記作用による効果を安定的に得るためには、C含有量を0.03%以上とすることが好ましい。さらに好ましくは0.06%以上である。一方、C含有量が0.30%超では、靱性や溶接性の劣化が著しくなる。したがって、C含有量は0.30%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは0.20%以下である。
ii)P
Pは靱性を劣化させる作用を有する。したがって、P含有量は0.1%以下とすることが好ましい。
iii)S
SはMnSを形成して曲げ性を劣化させる作用を有する。したがって、Sの含有量は0.01%以下とすることが好ましい。
iv)N
Nは連続鋳造中に窒化物を形成してスラブのひび割れの原因となる。したがって、N含有量は0.02%以下とすることが好ましい。
v)Ti,Nb,V
Ti,NbおよびVはいずれも再結晶を遅延させて結晶粒を微細化する作用を有する。したがって、必要に応じて1種または2種以上を含有させてもよい。含有させる場合には、Ti含有量は0.003%以上とすることが好ましく、Nb含有量は0.003%以上とすることが好ましく、V含有量は0.003%以上とすることが好ましい。一方、Ti含有量を0.3%超、Nb含有量を0.3%超、V含有量を0.3%超としても、上記作用による効果は飽和してしまい、コスト的に不利となる。したがって、Ti含有量は0.3%以下とすることが好ましく、Nb含有量は0.3%以下とすることが好ましく、V含有量は0.3%以下とすることが好ましい。
vi)Cr,Mo
CrおよびMoはMnと同様にオ−ステナイトを安定化することで変態強化を促進する作用を有するので、鋼板の高強度化に有効な元素である。したがって、必要に応じて1種または2種を含有させてもよい。含有させる場合には、Cr含有量は0.001%以上とすることが好ましく、Mo含有量は0.001%以上とすることが好ましい。一方、Cr含有量が2%を超えたり、Mo含有量が2%を超えたりすると加工性の低下が著しくなる。したがって、Cr含有量は2%以下とすることが好ましく、Mo含有量は2%以下とすることが好ましい。
vii)Cu,Ni
CuおよびNiは腐食抑制効果があり、また、表面に濃化して水素の侵入を抑えて遅れ破壊を抑制する作用を有する。したがって、必要に応じて1種または2種を含有させてもよい。含有させる場合には、Cu含有量は0.01%以上とすることが好ましく、Ni含有量は0.01%以上とすることが好ましい。一方、Cu含有量を2%超、Ni含有量を2%超としても、上記作用による効果は飽和してしまい、コスト的に不利となる。したがって、Cu含有量は2%以下とすることが好ましく、Ni含有量は2%以下とすることが好ましい。
viii)Ca
Caは硫化物を球状化させることにより局部延性を向上させる作用を有する。したがって、必要に応じて含有させてもよい。含有させる場合には、Ca含有量を0.0001%以上とすることが好ましい。一方、Cu含有量を0.01%超としても、上記作用による効果は飽和してしまい、コスト的に不利となる。したがって、Ca含有量は0.01%以下とすることが好ましい。
ix)B
Bは粒界からの核生成を抑えて焼き入れ性を高めることにより変態強化を促進する作用を有するので、鋼板の高強度化に有効な元素である。したがって、必要に応じて含有させてもよい。含有させる場合には、B含有量を0.0002%以上とすることが好ましい。一方、B含有量を0.01%超としても、上記作用による効果は飽和してしまい、コスト的に不利となる。したがって、B含有量は0.01%以下とすることが好ましい。
2.溶融亜鉛めっき層
本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板の溶融亜鉛めっき層は亜鉛系めっきであればよく、格別にそのめっき層の種類が問われるものではない。例えば、溶融亜鉛めっき層、溶融亜鉛合金めっき層、合金化溶融亜鉛めっき層等の何れであっても構わない。また、めっき層は基材鋼板の両面に施されていても良いし、片面に施されていても良い。
3.製造方法
次に、本発明の溶融亜鉛めっき鋼板の好適な製造方法について説明する。
本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板は、鋼板の表面に溶融亜鉛めっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板であって、前記鋼板は、sol.Alの含有量が0.010質量%未満、Biの含有量が0.0001質量%以上0.05質量%以下、SiおよびMnの含有量の合計が1.0質量%以上5.0質量%以下である化学組成を有するものであればよく、その製造方法は限定されないが、以下に好適な製造条件を述べる。
熱間圧延工程は、1050℃以上とした上記化学組成を有するスラブに熱間圧延を施し、740℃以上1030℃以下の温度域で熱間圧延を完了し、5℃/秒以上の平均冷却速度で700℃以下の温度域まで冷却してから鋼帯に巻き取ることが好ましい。
熱間圧延に供するスラブの温度は、熱間圧延を740℃以上の温度域で完了するために、1050℃以上とすることが好ましい。熱間圧延に供するスラブの温度の上限は特に規定する必要はないが、スケールロスによる歩留り低下を抑制する観点からは1350℃以下とすることが好ましい。熱間圧延へのスラブの供給は、一旦冷却されたスラブを加熱してから供してもよく、連続鋳造あるいは分塊圧延によって得られた高温状態にあるスラブをそのままあるいは僅かに保温してから供してもよい。
熱間圧延完了温度は、変態点以下の圧延に伴うフェライトの粗大化を抑制するために、740℃以上とすることが好ましい。また、鋼組織の粗大化を抑制して、冷間圧延および焼鈍後において十分な量のフェライトを生成させて良好な曲げ性を確保するために、1030℃以下とすることが好ましい。
熱間圧延完了後は、曲げ性を低下させるバンド状組織の形成を抑制するために、平均冷却速度5℃/s以上で冷却して700℃以下で巻き取ることが好ましい。
なお、熱間圧延工程が粗熱間圧延工程と仕上熱間圧延工程とからなる場合には、熱間圧延完了温度の制御を容易にするために、粗熱間圧延によって得られる粗バーに加熱処理あるいは温度保定処理を施したのちに仕上熱間圧延に供することが好ましい。また、粗バ−を接合することにより仕上熱間圧延を連続圧延としてもよい。
熱間圧延後は、必要に応じて平坦矯正のためのスキンパス圧延やスケ−ル除去のための酸洗を施し、そのまま、あるいは好ましくは圧下率30%以上90%以下の冷間圧延を施して、焼鈍処理および溶融亜鉛めっき処理を施す。
焼鈍処理は、700℃以上950℃以下の温度域に5秒間以上滞在させることにより行うことが好ましい。焼鈍温度が700℃未満であったり焼鈍時間が5秒間未満であったりすると、未再結晶粒が多量に残存したり、複合組織化が不十分となったりして、十分な曲げ性が得られない場合がある。また、焼鈍温度が950℃超であると結晶粒が粗大化して加工性の低下が著しくなる場合がある。
焼鈍処理後は、2℃/s以上の平均冷却速度で600℃以下まで冷却を行うことが、硬質相の生成を促して強度を高めるのに有効であり、好ましい。
上記冷却後に溶融亜鉛めっき処理を施し、必要に応じて合金化処理を行うが、これらの処理条件は特に限定されるものではなく常法でかまわない。
なお、溶融亜鉛めっき処理後あるいは合金化処理を施す場合には合金化処理後に続く冷却完了後において、平坦矯正のため伸び率4%以下のスキンパス圧延を施しても構わない。また、溶融亜鉛めっき層の上に潤滑作用のある被膜を施しても構わない。
このようにして、本発明により、従来の技術では製造することが困難であった、良好な曲げ性を有するとともに不めっきのない良好な表面性状を有する高強度溶融亜鉛めっき鋼板が提供される。
さらに、本発明を、実施例を参照しながらより具体的に説明する。
表1に示す化学組成を有する鋼を実験炉で溶製し、厚みが40mmのスラブを作製した。
Figure 0005434463
さらに、表2に示す条件にて熱間圧延を施して熱延鋼板とした。
Figure 0005434463
ここで、熱間圧延工程の巻取は、各巻取温度の炉に30分以上装入した後に20℃/時にて300℃以下の温度域まで炉冷することによりシミュレートした。このようにして得られた熱延鋼板について、鋼板表裏面を0.5mmずつ研削し、さらに冷間圧延を施し、1.2mmの板厚の冷延鋼板とした。得られた冷延鋼板から試験材を採取し、連続溶融亜鉛めっき設備におけるヒートパターンに相当する焼鈍を施した。具体的には、表3に示す焼鈍温度に60秒間保持した後に、同表に示す冷却速度で470℃まで冷却し、溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、めっきを施した。一部の試料については、引き続き同表に示す条件で合金化処理を施した。
Figure 0005434463
各製造条件で得られた試験材に対して、引張試験や、曲げ稜線が圧延方向となるような曲げ試験を実施し、機械特性を評価した。引張試験では、各種試験材から、圧延方向に対して直角方向からJIS5号引張試験片を採取し、降伏点(YP)、引張強度(TS)と全伸び(El)を測定した。曲げ試験では、各種焼鈍板から、曲げ稜線が圧延方向となるように曲げ試験片(幅40mm×長さ100mm×板厚1.2mm)を採取し、2.4mmの鋼板を挟んだ180゜曲げ試験を実施し、目視にて凹凸の有無や割れを確認した。評価基準は次のとおりである。
○:割れがなく、凹凸もない(良好)
△:割れはないが凹凸はある(不良)
×:割れも凹凸もある(特に不良)
めっき性の評価は、外観を目視にて観察し、めっきがはじかれて不めっきとなっている部分があるかどうかで確認した。これらの結果を表4に示す。
Figure 0005434463
本発明例である供試材No.1〜13の鋼板は、良好な曲げ性を有し、また不めっきの発生もなかった。
これに対し、Biを含有しない供試材No.14〜16,20〜22は、曲げ後の表面に凹凸や割れが発生し、曲げ性に劣った。またAl含有量が本発明範囲を超えた供試材No.17〜19は不めっきが発生し、めっき性に劣った。

Claims (6)

  1. 鋼板の表面に溶融亜鉛めっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板であって、前記鋼板は、質量%で、C:0.03〜0.30%、Si+Mn:1.0〜5.0%、P:0.1%以下、S:0.01%以下、sol.Al:0.009以下、Bi0.00010.05%、N:0.02%以下、残部Fe及び不純物である化学組成を有するとともに引張強度が796〜1054MPaであることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 質量%で、Ti:0.003〜0.3%、Nb:0.003〜0.3%及びV:0.003〜0.3%からなる群から選ばれた1種又は2種以上を含有する請求項1に記載された溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. 質量%で、Cr:0.001〜2%及びMo:0.001〜2%からなる群から選ばれた1種又は2種を含有する請求項1又は請求項2に記載された溶融亜鉛めっき鋼板。
  4. 質量%で、Cu:0.01〜2%及びNi:0.01〜2%からなる群から選ばれた1種又は2種を含有する請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された溶融亜鉛めっき鋼板。
  5. 質量%で、Ca:0.0001〜0.01%を含有する請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された溶融亜鉛めっき鋼板。
  6. 質量%で、B:0.0002〜0.01%を含有する請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載された溶融亜鉛めっき鋼板。
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