JP5434088B2 - 架橋性有機化合物、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子および有機elディスプレイ - Google Patents

架橋性有機化合物、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子および有機elディスプレイ Download PDF

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本発明は、湿式成膜法による成膜が可能な架橋性基を有する有機化合物と、該有機化合物を含有する有機電界発光素子用組成物と、該有機化合物を架橋させてなる網目状高分子化合物を含有する有機層を有する、発光効率が高く、駆動安定性に優れた有機電界発光素子及び有機ELディスプレイに関するものである。
近年、有機薄膜を用いた電界発光素子(有機電界発光素子)の開発が行われている。有機電界発光素子における有機薄膜の形成方法としては、真空蒸着法と湿式成膜法が挙げられる。
真空蒸着法は積層化が容易であるため、陽極及び/又は陰極からの電荷注入の改善、励起子の発光層封じ込めが容易であるという利点を有する。湿式成膜法は真空プロセスが要らず、大面積化が容易で、1つの層(塗布液)に様々な機能をもった複数の材料を混合して入れることが容易である等の利点がある。
しかしながら、湿式成膜法は積層化が困難であるため、真空蒸着法による素子に比べて駆動安定性に劣り、一部を除いて実用レベルに至っていないのが現状である。特に、湿式成膜法での積層化は、有機溶媒と水系溶媒を使用するなどして二層の積層は可能であるが、三層以上の積層化は困難であった。
このような積層化における問題点を解決するために、非特許文献1及び非特許文献2では、下記のような架橋性基を有する化合物が提案され、架橋することによって有機溶媒に不溶とする積層化方法が開示されている。
Figure 0005434088
しかしながら、上記のような、芳香環としてベンゼン環しか有さない化合物は、電気化学的安定性が十分でないため、素子の駆動安定性が不十分であった。
また、非特許文献3には、下記のようなピレン環に架橋性基を有する化合物が開示されている。
Figure 0005434088
しかしながら、上記の化合物は電気化学的安定性が十分であるとは言えず、得られる有機薄膜の有機溶媒に対する不溶性も十分ではなかった。
Applied Physics Letters 2005年, 86巻, 221102頁 Macromolecules 2006年, 39巻, 8911頁 Polymeric Materials Science and Engineering 1999年, 80巻, 122頁
本発明は、積層化が容易な湿式成膜法に適した有機電界発光素子用有機化合物、該有機化合物を架橋してなる架橋型高分子化合物と、該有機化合物を含有する有機電界発光素子用組成物、特に、電気化学的安定性に優れる正孔輸送性有機化合物及び組成物を提供することを課題とする。
本発明はまた、発光効率が高く、駆動安定性が高い有機電界発光素子及び有機ELディスプレイを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構造及び架橋性基を有する有機化合物が、高い電気化学的安定性、及び、高い正孔輸送能を有し、又積層化が容易な湿式成膜法に適することを見出し、本発明に到達した。即ち、本発明は架橋性基を有する化合物であって、置換基を有していてもよい2価のピレン環を分子内に有する有機化合物、及びこれを含む有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、並びに有機ELディスプレイに存する。
本発明の有機化合物は、積層化が容易で、湿式成膜法に適し、電気化学的安定性に優れる。
また、この有機化合物を含む有機電界発光素子用組成物を用いて、湿式成膜法により形成される有機電界発光素子は、大面積化が可能である。
また、この有機化合物を含む有機電界発光素子用組成物を用いて、有機溶媒に不溶な有機薄膜を形成することが可能であり、有機電界発光素子における湿式成膜法による積層化が容易となる。
また、本発明の有機化合物を架橋して得られる網目状高分子化合物を含有する有機層を有する有機電界発光素子によれば、高い効率で発光させることが可能となり、かつ、素子
の安定性、特に駆動安定性が向上する。
さらに、本発明の有機化合物は、優れた電気化学的安定性、成膜性、電荷輸送能、発光特性、耐熱性から、素子の層構成に合わせて、正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、ホスト材料、電子注入材料、電子輸送材料などとしても適用可能である。
本発明の有機化合物を架橋して得られる網目状高分子化合物を含有する有機層を有する有機電界発光素子は、フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)、車載表示素子、携帯電話表示や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、その技術的価値は大きいものである。
なお、本発明の有機化合物は、本質的に優れた耐酸化還元安定性を有することから、有機電界発光素子に限らず、電子写真感光体や有機太陽電池など有機デバイス全般に有用である。
本発明の有機電界発光素子の構造の一例を模式的に示す断面図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定されない。
[有機化合物]
本発明の有機化合物は、架橋性基を有する有機化合物であって、置換基を有していてもよい2価のピレン環を分子内に有する化合物である。
[構造上の特徴]
本発明の有機化合物は、少なくとも2つの置換基を有するピレン環を含むため、電気化学的安定性に優れる。また、架橋性基を有するため、湿式成膜法により形成した膜を穏和な条件で有機溶媒に不溶とすることが可能である。
[架橋性基]
本発明の有機化合物は少なくとも1つの架橋性基を有し、不溶化が容易な点から好ましくは2つ以上の架橋性基を有することが好ましい。塗布後に、架橋性基を反応して網目構造を形成し溶解性が低下して、積層が可能になる為である。
架橋性基としては、有機溶媒に対して不溶化しやすいという点で、例えば、下記架橋基群Tに示す基が挙げられる。
<架橋性基群T>
Figure 0005434088
(式中、R〜Rは、各々独立に、水素原子またはアルキル基を表す。Ar11は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。)
中でも、架橋性基としては、例えばエポキシ基、オキセタン基などの環状エーテル基、ビニルエーテル基などのカチオン重合によって架橋反応する基が、反応性が高く不溶化が容易な点で好ましい。中でも、カチオン重合の速度を制御しやすい点でオキセタン基が特に好ましく、カチオン重合の際に素子の劣化をまねくおそれのあるヒドロキシル基が生成しにくい点でビニルエーテル基が好ましい。
シンナモイル基などアリールビニルカルボニル基、ベンゾシクロブテン環由来の一価の基などの環化付加反応する基が、電気化学的安定性をさらに向上させる点で好ましい。
中でも、架橋が速やかに行われ、又、架橋後の構造が特に安定であるという点で、ベンゾシクロブテン環由来の基が、特に好ましい。
分子内において、架橋性基は分子内の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基に直接結合してもよいが、−O−基、−C(=O)−基または(置換基を有していてもよい)−CH−基から選ばれる基を任意の順番で1〜30個連結してなる2価の基を介して、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基に結合することが好ましい。これら2価の基を介する架橋性基、すなわち、架橋性基を含む基の具体例は以下の架橋性基を含む基群Uに示す通りであるが、これらに限定されるものではない。
<架橋性基を含む基群U>
Figure 0005434088
Figure 0005434088
[ピレン環の連結位置]
本発明の有機化合物は、置換基を有してもよい2価のピレン環を含むものであり、電気
化学的安定性がさらに向上するため、連結位置は、下記式(I-1)で表されるような1
,6−位、又は、下記式(I-2)で表されるような1,8−位であることが好ましい。
Figure 0005434088
有機化合物中に2以上の、置換基を有していてもよい2価のピレン環を含む場合、その連結位置は各々同じであっても、異なっていてもよい。連結部位以外に、ピレン環が有してもよい置換基としては、<Ar及びArの置換基の具体例>として後述する基が挙げられる。
置換基を有していてもよい2価のピレン環の置換位置は、連結位置のp-位(1−位が連結位置ならば、5−位及び6−位)が、電気化学的耐久性がさらに向上するため好ましい。
[更に有される2価の基]
本発明の有機化合物は、電荷輸送能がさらに向上する点で、下記式(II)で表わされる2価の基を含むことが好ましい。
Figure 0005434088
(式中、Ar及びArは、各々独立に、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。)
Ar及びArは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有してもよい芳香族複素環基を表す。
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオレン環、フルオランテン環などの、5または6員環の単環または2〜5縮合環由来の基が挙げられる。
置換基を有していてもよい芳香族複素環基としては、例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環などの、5または6員環の単環または2〜4縮合環由来の基が挙げられる。
得られる有機化合物の電気化学的安定性の点から、Ar及びAr2は、各々独立に、
ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、フルオレン環からなる群より選ばれる環由来の基が好ましい。Ar1及びAr2は、前記群から選ばれる1種または2種以上の環を直接結合により連結した基も好ましく、ビフェニレン基、ターフェニレン基がさらに好ましい。
さらに、Ar及びArにおける芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、特に制限はないが、例えば、下記<Ar及びArの置換基の具体例>から選ばれる基が挙げられる。尚、Ar及びArは、置換基を1個有していてもよく、2個以上有していてもよい。2個以上有する場合、1種類を有していてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で有していてもよい。
また、Ar又はArが、置換基を有していてもよい2価のピレン環を含む基であってもよい。
<Ar及びArの置換基の具体例>
アルキル基(好ましくは炭素数1から8の直鎖または分岐のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。)
アルケニル基(好ましくは炭素数2から9のアルケニル基であり、例えばビニル、アリル、1−ブテニル基などが挙げられる。)
アルキニル基(好ましくは炭素数2から9のアルキニル基であり、例えばエチニル、プロパルギル基などが挙げられる。)
アラルキル基(好ましくは炭素数7から15のアラルキル基であり、例えばベンジル基などが挙げられる。)
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基であり、たとえばメトキシ、エトキシ、ブトキシ基などが挙げられる。)
アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を有するものであり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)
ヘテロアリールオキシ基(好ましくは5または6員環の芳香族複素環基を有するものであり、例えばピリジルオキシ、チエニルオキシ基などが挙げられる。)
アシル基(好ましくは炭素数2〜10のアシル基であり、例えばホルミル、アセチル、ベンゾイル基などが挙げられる。)
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)
アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜13のアリールオキシカルボニル基であり、例えばフェノキシカルボニル基などが挙げられる。)
アルキルカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜10のアルキルカルボニルオキシ基であり、例えばアセトキシ基などが挙げられる。)
ハロゲン原子(特に、フッ素原子または塩素原子)、
カルボキシ基
シアノ基
水酸基
メルカプト基
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜8のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)
アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニ
ルチオ基、1−ナフチルチオ基などが挙げられる。)
スルホニル基(例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)
シリル基(例えばトリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる。)
ボリル基(例えばジメシチルボリル基などが挙げられる。)
ホスフィノ基(例えばジフェニルホスフィノ基などが挙げられる。)
芳香族炭化水素基(例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの、5または6員環の単環または2〜5縮合環由来の1価の基が挙げられる。)
芳香族複素環基(例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環などの、5または6員環の単環または2〜4縮合環由来の1価の基が挙げられる。)
アミノ基[好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数1から8のアルキル基を1つ以上有するアルキルアミノ基(例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)、置換基を有していてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を有するアリールアミノ基(例えばフェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ基などが挙げられる。)]
また、上記置換基がさらに置換基を有していてもよく、その更なる置換基としては、上記例示置換基が挙げられる。
Ar及びArが有していてもよい置換基としては、前記架橋性基群Tに記載の架橋性基、または前記架橋性基を含む基群Uであってもよい。
また、本発明の有機化合物は、式(II)中のAr又はArが置換基を有していてもよい2価のピレン環を含む基であることで、置換基を有していてもよい2価のピレン環と式(II)で表される2価の基とを含む有機化合物としてもよい。
本発明の有機化合物は、分子量単一な分子であってもよく、分子量分布をもつ高分子化合物であってもよい。
[分子量単一な分子]
本発明の有機化合物は、高純度化が容易な点、性能のぶれを小さくできる点で、分子量単一な分子であることが好ましい。分子量単一な分子である場合、置換基を有していてもよい2価のピレン環を有するものであればよく、さらに式(II)で表される2価の基を有するのが好ましい。また、置換基を有していてもよい2価のピレン環及び式(II)で表される以外の構造が含まれていてもよい。また、それぞれ独立して、異なる2種以上の置換基を有していてもよい2価のピレン環および式(II)で表される構造が一分子内に含まれていてもよい。
[1]分子量範囲
本発明の有機化合物は、分子量単一な分子である場合、分子量は、通常300以上、好ましくは500以上、より好ましくは2000以上、通常20000以下、好ましくは10000以下、より好ましくは5000以下である。分子量がこの上限値を上回ると、合成経路が煩雑となり高純度化が困難となるおそれがあり、また、不純物の高分子量化によっても精製が困難となるおそれがある。また、分子量がこの下限値を下回ると、成膜性が低下するおそれがあり、ガラス転移温度、融点および気化温度が低下するため、耐熱性が著しく損なわれるおそれがある。
[2]架橋性基の割合
本発明の有機化合物は、分子量単一な分子である場合、分子量/架橋性基数の比率は、通常200以上、好ましくは300以上、最も好ましくは500以上、また、通常4000以下、好ましくは3500以下、最も好ましくは3000以下である。この下限値を下回ると、未反応の架橋性基が残存して、形成された膜の電気的耐久性が低下したり、架橋度が上がりすぎて、膜のクラッキングが起きたり、電荷輸送能が低下したり、励起準位が低下したりするおそれがある。また、この上限値を上回ると、膜が不溶化しにくくなったり、耐熱性が低下したりするおそれがある。
以下に、本発明の有機化合物が分子量単一の分子である場合の好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005434088
Figure 0005434088
[高分子化合物]
本発明の有機化合物は、成膜性が優れる点で、分子量分布をもつ高分子化合物であることが好ましい。
[1]高分子化合物の分子量
本発明の有機化合物が高分子化合物である場合、高分子化合物の重量平均分子量は、通常3,000,000以下、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは500,000以下であり、また通常1,000以上、好ましくは2,000以上、より好ましくは5,000以上である。
また、数平均分子量は、通常2,500,000以下、好ましくは750,000以下、より好ましくは400,000以下であり、また通常500以上、好ましくは1,500以上、より好ましくは3,000以上である。
通常、この重量平均分子量はSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)測定により決定される。SEC測定では高分子量成分ほど溶出時間が短く、低分子量成分ほど溶出時間が長くなるが、分子量既知のポリスチレン(標準試料)の溶出時間から算出した校正曲線を用いて、サンプルの溶出時間を分子量に換算することによって、重量平均分子量及び数平均分子量が算出される。分子量がこの上限値を超えると、不純物の高分子量化によって精製が困難となるおそれがある。また分子量がこの下限値を下回ると、成膜性が低下するおそれがあり、ガラス転移温度、融点および気化温度が低下するため、耐熱性が著しく損なわれるおそれがある。
本発明の有機化合物は、さらに、前記式(II)で表される2価の基を有する有機化合物であることが好ましい。
これは、本発明の有機化合物が高分子化合物である場合は、前記式(II)で表される構造を有する繰り返し単位を含むことを意味する。
式(II)で表される構造は、共役系の構造を有する繰り返し単位であるため、電荷輸送能に優れる。更に、ガラス転移温度が高く、非晶質性であるため架橋層の形成が容易である。この為、成膜時の表面平坦性が保たれるものと推測されるため、好ましい。
また、本発明の有機化合物が高分子化合物である場合、式(II)中のAr又はArが、置換基を有していてもよい2価のピレン環であることによって、置換基を有していてもよい2価のピレン環と式(II)で表される構造を有する繰り返し単位とを含む高分子化合物としてもよい。
[2]架橋性基
本発明の有機化合物が、高分子化合物である場合、架橋性基は置換基を有していてもよい2価のピレン環中にあってもよく、式(II)で表される構造を含む繰り返し単位中にあってもよく、さらに、置換基を有していてもよい2価のピレン環及び式(II)で表される構造を含む繰り返し単位以外の他の繰り返し単位に含まれていてもよい。また、繰り返し単位以外の部分に有していてもよい。1つの重合体鎖の中に有する架橋性基は、好ましくは平均1以上、より好ましくは平均2以上、また好ましくは200以下、より好ましくは100以下である。
また、本発明の有機化合物が高分子化合物である場合、この高分子化合物が有する架橋性基の数を、分子量1000あたりの数で表した場合、分子量1000あたり、通常3.0個以下、好ましくは2.0個以下、さらに好ましくは1.0以下、また通常0.01以上、好ましくは0.05以上である。
この上限値を上回ると、クラックによって平坦な膜が得られなかったり、また、架橋密度が大きくなりすぎて、架橋層中に未反応架橋性基が増えて、得られる素子の寿命に影響を及ぼすおそれがある。一方、この下限値を下回ると、本発明の有機化合物を架橋して得られる層の不溶化が不十分となり、湿式成膜法で多層積層構造が形成できないおそれがある。
ここで、高分子化合物の分子量1000あたりの架橋性基の数は、高分子化合物からその末端基を除いて、合成時の仕込みモノマーのモル比と、構造式から算出する。
例えば、後述の合成例1で合成した目的物1の場合で説明する。
Figure 0005434088
目的物1において、末端基を除いた分子量は565.6であり、また架橋性基は、1分子当たり平均0.1個である。これを単純比例により計算すると、分子量1000あたりの架橋性基の数は、0.17個と算出される。
[3]ピレン環の連結位置
本発明の有機化合物が、高分子化合物である場合、式(I-1)で表されるような1,
6−位置換体、及び、式(I-2)で表されるような1,8−位置換体がともに含まれて いることが、溶解性や成膜性を向上させるため好ましい。
また、式(I-1)と式(I-2)の好ましい割合は、1:9〜9:1である。この範囲を外れると溶解性や成膜性を向上させる効果が十分でなくなる恐れがある。
[4]繰り返し単位の配列および割合等
本発明の有機化合物が、高分子化合物である場合、置換基を有していてもよい2価のピレン環を繰り返し単位中に有するものであればよく、さらに共役系の構造を有する繰り返し単位であるため、電荷輸送能に優れるという点で、式(II)で表される構造を含む繰り返し単位を有するのが好ましい。また、置換基を有していてもよい2価のピレン環及び式(II)で表される構造を含む繰り返し単位以外の他の繰り返し単位が含まれていてもよい。また、それぞれ独立して、異なる2種以上の置換基を有していてもよい2価のピレン環および式(II)で表される構造を含む繰り返し単位が一分子内に含まれていてもよい。
また、置換基を有していてもよい2価のピレン環に対する式(II)で表される構造の割合は、電荷輸送能に優れ、還元耐久性に優れる点から、0.1倍〜5倍が好ましい。
本発明の有機化合物が高分子化合物である場合、高分子化合物中の置換基を有していてもよい2価のピレン環の含有量は、原料となるモノマー換算で、全モノマー中、通常0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上、更に好ましくは10モル%以上である。
[合成法]
本発明の有機化合物は、目的とする化合物の構造に応じて原料を選択し、公知の手法を用いて合成することができる。
[1]高分子化合物
本発明の有機化合物が高分子化合物である場合、例えば下記式のように一般式(IIIa)で表されるハロゲン化物のみを、Ar−Ar結合を形成する反応によって逐次重合させることによって、本発明の高分子化合物を得ることができる。反応は、通常、銅やパラジウム、ニッケル錯体等の遷移金属触媒存在下で行われる。
Figure 0005434088
(式中、Xはハロゲン原子又は、CFSOO−基のようなスルホン酸エステル基を示し、Araは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい
芳香族複素環基を示す。)
上記式中Arは、置換基を有していてもよい2価のピレン環を含む基を表し、上記合成方法の場合好ましい具体例としては、後述の<置換基を有していてもよい2価の基群A>、<置換基を有していてもよい2価の基群B>、<置換基を有していてもよい2価の基群C>及び<置換基を有していてもよい2価の基群D>が挙げられる。高分子化合物中に存在する複数のArは、同じでもよく、また異なっていてもよい。
上記の方法により、高分子化合物中に、2価のピレン環及び架橋性基が含まれる様に適宜選択を行って、本発明の有機化合物を合成することができる。
高分子化合物中に、2価のピレン環及び架橋性基が含まれる様に適宜選択するとは、例えば下記の通りである。
高分子化合物が、2価のピレン環を含むためには、例えば、Arが後述の<置換基を有していてもよい2価の基群A>及び<置換基を有していてもよい2価の基群B>から選ばれる基であればよい。
同様にして、架橋性基を含むためには、Arが後述の<置換基を有していてもよい2価の基群B>及び<置換基を有していてもよい2価の基群D>から選ばれる基であればよい。
これより、例えば、Arが、<置換基を有していてもよい2価の基群A>から選ばれる基と、<置換基を有していてもよい2価の基群C>から選ばれる基で、これらを共重合することにより、本発明の有機化合物が合成できる。
本発明の有機化合物は、前記式(II)中のAr又はArが置換基を有していてもよい2価のピレン環を含む基である高分子化合物である場合、例えば、一般式(IIIa)で表されるハロゲン化物と一般式(IIIb)で表される二級アミン化合物とを、N−
Ar結合を形成する反応(例えば、Buchwald−Hartwingカップリング、Ullmannカップリング)によって逐次重合させることによって得られる。N−Ar結合を形成する反応は、炭酸カリウム、tert-ブトキシナトリウム、トリエチルアミ
ン等の塩基存在下で行い、必要に応じて、銅やパラジウム錯体等の遷移金属触媒存在下で行うこともできる。
Figure 0005434088
(式中、Xはハロゲン原子又は、CFSOO−基のようなスルホン酸エステル基を示し、Ar及びAreは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基又は 置換基を有してもよい芳香族複素環基を示し、Ara及びArbは各々独立に置換基を有し
てもよい2価の芳香族炭化水素基又は置換基を有してもよい2価の芳香族複素環基を示す。Ar及び一般式(IIIb)の少なくとも一つは、2価の置換基を有していてもよいピレン環を有し、Ar及び一般式(IIIb)の少なくとも一つは架橋性基を有する。)
Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。上記合成方法の場合、Arの好ましい具体例としては、後述の<置換基を有していてもよい2価の基群A>、<置換基を有していてもよい2価の基群B>、<置換基を有していてもよい2価の基群C>及び<置換基を有していてもよい2価の基群D>が挙げられる。また、Ar、Ar及びArは、一般式(IIIb)として具体例が挙げられ、その好ましい例は、後述の<具体例F>、<具体例G>、<具体例H>及び<具体例I>が挙げられる。
さらに、Ar及びArは、好ましい例として<置換基を有していてもよい一価の基群E>及び<置換基を有していてもよい一価の基群F>が挙げられる。
高分子化合物中に存在する複数のAr、Ar、Ar及びArは、同じでもよく、また異なっていてもよい。
高分子化合物中に、2価のピレン環及び架橋性基が含まれる様に適宜Ar、Ar、Ar及びArの選択を行って、本発明の有機化合物を合成することができる。
Ar及び一般式(IIIb)の少なくとも一つは、2価のピレン環を有するとは、例えば、Arが後述の<置換基を有していてもよい2価の基群A>及び<置換基を有していてもよい2価の基群B>から選ばれる基であるか、又は一般式(IIIb)が後述の<具体例F>及び<具体例G>から選ばれる基であることを意味する。
同様に、Ar及び一般式(IIIb)の少なくとも一つは、架橋性基を有するとは、例えば、Arが後述の<置換基を有していてもよい2価の基群B>及び<置換基を有していてもよい2価の基群D>から選ばれる基であるか、又は一般式(IIIb)が後述の<具体例G>及び<具体例I>から選ばれる基であることを意味する。
これより、例えば、Arが<置換基を有していてもよい2価の基群A>から選ばれる基で、一般式(IIIb)が<具体例I>から選ばれる基であることで、本発明の有機化合物が合成できる。
Ara及びArbの置換基を有してもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有してもよい芳香族複素環基の例としては、前記Ar及びArにおいて挙げた芳香族炭化水素基、芳香族複素環基及び、その置換基が挙げられる。又、好ましいものも同様である。
本発明の有機化合物は、繰り返し単位を有する高分子化合物である場合、例えば、一般式(IIIa)で表されるハロゲン化物と一般式(IIIc)で表されるホウ素化合物とを、Ar−Ar結合を形成する反応(例えば、Suzukiカップリング)によって逐次重合させることによって得られる。Ar−Ar結合を形成する反応は、炭酸カリウム、tert-ブトキシナトリウム、トリエチルアミン等の塩基存在下で行い、必要に応じて、
銅やパラジウム錯体等の遷移金属触媒存在下で行うこともできる。
Figure 0005434088
(式中、Xはハロゲン原子又は、CFSOO−基のようなスルホン酸エステル基を示し、R’はヒドロキシ基または互いに結合して環を形成してもよいアルコキシ基を示し、
Ara及びArcは各々独立に置換基を有してもよい2価の芳香族炭化水素基又は置換基を有してもよい2価の芳香族複素環基を示し、少なくとも一つは置換基を有していてもよい2価のピレン環を有し、少なくとも一つは架橋性基を有する)
Ar及びArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。上記合成方法の場合、Ar及びArの好ましい具体例としては、後述の<置換基を有していてもよい2価の基群A>、<置換基を有していてもよい2価の基群B>、<置換基を有していてもよい2価の基群C>及び<置換基を有していてもよい2価の基群D>が挙げられる。
高分子化合物中に、2価のピレン環及び架橋性基が含まれる様に適宜Ar及びArの選択を行って、本発明の有機化合物を合成することができる。
高分子化合物中に存在する複数のAr及びArは、同じでもよく、また異なっていてもよい。
高分子化合物中に、2価のピレン環及び架橋性基が含まれる様に適宜Ar及びArの選択を行って、本発明の有機化合物を合成することができる。
Ar及びArの少なくとも一つは、2価のピレン環を有するとは、例えば、Ar又はArが後述の<置換基を有していてもよい2価の基群A>及び<置換基を有していてもよい2価の基群B>から選ばれる基であることを意味する。
同様に、Ar及びArの少なくとも一つは、架橋性基を有するとは、例えば、Ar又はArが後述の<置換基を有していてもよい2価の基群B>及び<置換基を有していてもよい2価の基群D>から選ばれる基であることを意味する。
これより、例えば、Arが<置換基を有していてもよい2価の基群A>から選ばれる基であり、Arが<置換基を有していてもよい2価の基群D>から選ばれる基であることにより、本発明の有機化合物が合成できる。
Ar、Ar及びArが、置換基を有していてもよい2価のピレン環を含む基であり、架橋性基を含まない場合、その好ましい例は<置換基を有していてもよい2価の基群A>に示す通りであるが、これらに限定されるものではない。
<置換基を有していてもよい2価の基群A>
(Ara、Ar及びArcが末端にある場合は、連結部位の一方には水素原子が結合する。)
Figure 0005434088
Figure 0005434088
Ar、Ar及びArが、置換基を有していてもよい2価のピレン環を含む基であ
り、架橋性基を含む場合、その好ましい例は<置換基を有していてもよい2価の基群B>に示す通りであるが、これらに限定されるものではない。
(Ar、Ar及びArが末端にある場合は、連結部位の一方には水素原子が結合する。)
<置換基を有していてもよい2価の基B>
Figure 0005434088
Ara、Ar及びArが、置換基を有していてもよい2価のピレン環を含む基を有
さない場合の好ましい例は以下の<置換基を有していてもよい2価の基群C>に示す通りであるが、これらに限定されるものではない。
<置換基を有していてもよい2価の基群C>
(Ara、Ar及びArcが末端にある場合は、連結部位の一方には水素原子が結合する。)
Figure 0005434088
Ar、Ar及びArが、置換基を有していてもよい2価のピレン環を含む基を有さず、また架橋性基を含む基である場合、その好ましい例は<置換基を有していてもよい2価の基群D>に示す通りであるが、これらに限定されるものではない。
(Ar、Ar及びArが末端にある場合は、連結部位の一方には水素原子が結合する。)
<置換基を有していてもよい2価の基群D>
Figure 0005434088
Ar、及びArが、架橋性基を含まない場合、好ましい具体例は以下の<置換基を有していてもよい1価の基群E>に示す通りであるが、これらに限定されるものではない。
<置換基を有していてもよい1価の基群E>
Figure 0005434088
Ar及びArが、架橋性基を含む場合、好ましい具体例は以下の<置換基を有していてもよい1価の基群F>に示す通りであるが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
<置換基を有していてもよい1価の基群F>
Figure 0005434088
一般式(IIIb)が、置換基を有していてもよい2価のピレン環を含み、また架橋性基を有さない場合、好ましい具体例は、以下の<具体例G>に示す通りであるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<具体例G>
Figure 0005434088
Figure 0005434088
Figure 0005434088
一般式(IIIb)が、置換基を有していてもよい2価のピレン環を含み、また架橋性基を有する場合、好ましい具体例は、以下の<具体例H>に示す通りであるが、本発明
はこれらに限定されるものではない。
<具体例H>
Figure 0005434088
一般式(IIIb)が、置換基を有していてもよい2価のピレン環を含まず、また架橋
性基を有さない場合、好ましい具体例は、以下の<具体例I>に示す通りであるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<具体例I>
Figure 0005434088
一般式(IIIb)が、置換基を有していてもよい2価のピレン環を含まず、また架橋
性基を有する場合、好ましい具体例は、以下の<具体例J>に示す通りであるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<具体例J>
Figure 0005434088
また、本発明の有機化合物は、繰り返し単位を有する(すなわち、分子量分布をもつ)高分子化合物である場合、上述した重合方法以外にも、特開2001−223084号公報に記載の重合方法、特開2003−213002号公報に記載の重合方法、特開2004−2740号公報に記載の重合方法、さらには、不飽和二重結合を有する化合物のラジカル重合、エステル結合やアミド結合を形成する反応による逐次重合などを用いることができる。
本発明の有機化合物は、分子量単一な分子である場合も、上述したN−Ar結合を形成する反応やAr−Ar結合を形成する反応など公知のカップリング手法を用いて合成することができる。以下に、分子量単一な分子である場合の合成法を示すが、本発明はこれらの内容に限定されない。
(以下、前述と同様に、式中、Xはハロゲン原子又は、CFSOO−基のようなスルホン酸エステル基を示し、R’はヒドロキシ基または互いに結合して環を形成してもよいアルコキシ基を示し、Ar及びArは、それぞれ独立に置換基を有してもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有してもよい芳香族複素環基を示し、Ara、Arb及びArは各々独立に置換基を有してもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有してもよい芳香族複素環基を示す。)
Figure 0005434088
(Ar、又は一般式(IIIb)は、置換基を有していてもよい2価のピレン環を有し、Ar又は一般式(IIIb)は架橋性基を有する。)
Figure 0005434088
(Ara、Ar及びArのいずれか一つは、置換基を有していてもよい2価のピレ
ン環を含み、Ara、Ar及びArのいずれか一つは架橋性基を有する。)
Figure 0005434088
(Ara、Ar及びArのいずれか一つは、置換基を有していてもよい2価のピレン
環を含み、Ara、Ar及びArのいずれか一つは、架橋性基を有する。)
Figure 0005434088
(Ara又はArは、置換基を有していてもよい2価のピレン環を含み、Ara又はArは架橋性基を有する。)
Figure 0005434088
(Ara又はArは、置換基を有していてもよい2価のピレン環を含み、Ara又はArは架橋性基を有する。)
Figure 0005434088
(Ara又はArは、置換基を有していてもよい2価のピレン環を含み、Ara又はArは架橋性基を有する。)
有機化合物の精製方法としては、「分離精製技術ハンドブック」(1993年、(財)日本化学会編)、「化学変換法による微量成分および難精製物質の高度分離」(1988年、(株)アイ ピー シー発行)、あるいは「実験化学講座(第4版)1」(1990年、(財)日本化学会編)の「分離と精製」の項に記載の方法をはじめとし、公知の技術を利用可能である。具体的には、抽出(懸濁洗浄、煮沸洗浄、超音波洗浄、酸塩基洗浄を含む)、吸着、吸蔵、融解、晶析(溶媒からの再結晶、再沈殿を含む)、蒸留(常圧蒸留、減圧蒸留)、蒸発、昇華(常圧昇華、減圧昇華)、イオン交換、透析、濾過、限外濾過、逆浸透、圧浸透、帯域溶解、電気泳動、遠心分離、浮上分離、沈降分離、磁気分離、各種クロマトグラフィー(形状分類:カラム、ペーパー、薄層、キャピラリー、移動相分類:ガス、液体、ミセル、超臨界流体。分離機構:吸着、分配、イオン交換、分子ふるい、キレート、ゲル濾過、排除、アフィニティー)などが挙げられる。
生成物の確認や純度の分析方法としては、ガスクロマトグラフ(GC)、高速液体クロマトグラフ(HPLC)、高速アミノ酸分析計(有機化合物)、キャピラリー電気泳動測定(CE)、サイズ排除クロマトグラフ(SEC)、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)、交差分別クロマトグラフ(CFC)、質量分析(MS、LC/MS,GC/MS,MS/MS)、核磁気共鳴装置(NMR(1HNMR,13CNMR))、フーリエ変換赤外分光高度計(FT−IR)、紫外可視近赤外分光高度計(UV.VIS,NIR)、電子スピン共鳴装置(ESR)、透過型電子顕微鏡(TEM−EDX)電子線マイクロアナライザー(EPMA)、金属元素分析(イオンクロマトグラフ、誘導結合プラズマ−発光分光(ICP−AES)原子吸光分析(AAS)、蛍光X線分析装置(XRF))、非金属元素分析、微量成分分析(ICP−MS,GF−AAS,GD−MS)等を必要に応じ、適用可能である。
[有機電界発光素子用組成物]
本発明の有機電界発光素子用組成物は、本発明の有機化合物を含むものであり、陽極と陰極の間に配置された有機層を有する有機電界発光素子において、通常、該有機層を湿式成膜法により形成する際の塗布液として好適に用いられる。
本発明の有機電界発光素子用組成物は、該有機層のうち、正孔注入層または正孔輸送層を形成するために用いられることが特に好ましい。
なお、ここでは、有機電界発光素子における陽極−発光層間の層が1つの場合には、これを「正孔輸送層」と称し、2つ以上の場合は、陽極に接している層を「正孔注入層」、それ以外の層を総称して「正孔輸送層」と称す。また、陽極−発光層間に設けられた層を総称して「正孔注入・輸送層」と称する場合がある。
本発明の有機電界発光素子用組成物は、前記本発明の有機化合物を含有することを特徴とするが、通常、さらに溶媒を含有する。
該溶媒は、本発明の有機化合物を溶解するものが好ましく、通常、本発明の有機化合物を0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上溶解する溶媒である。
なお、本発明の有機電界発光素子用組成物は、本発明の有機化合物の1種のみを含むものであってもよく、2種以上を含むものであってもよい。
本発明の有機電界発光素子用組成物は、本発明の有機化合物を通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、また、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下含有する。
本発明の有機電界発光素子用組成物に含有される溶媒としては、特に制限されるものではないが、本発明の有機化合物を溶解させる必要があることから、好ましくは、トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族化合物;1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の含ハロゲン溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸イソプロピル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等のエステル系溶媒等の有機溶媒が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の有機電界発光素子用組成物に含有される溶媒の組成物中の濃度は、通常40重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。
なお、水分は有機電界発光素子の性能劣化、中でも特に連続駆動時の輝度低下を促進する可能性があることが広く知られており、塗膜中に残留する水分をできる限り低減するために、これらの溶媒の中でも、25℃における水の溶解度が1重量%以下であるものが好ましく、0.1重量%以下である溶媒がより好ましい。
本発明の有機電界発光素子用組成物に含有される溶媒として、20℃における表面張力が40dyn/cm未満、好ましくは36dyn/cm以下、より好ましくは33dyn/cm以下である溶媒が挙げられる。
即ち、本発明の有機化合物を含有する層を湿式成膜法により形成する場合、下地との親和性が重要である。膜質の均一性は有機電界発光素子の発光の均一性、安定性に大きく影響するため、湿式成膜法に用いる塗布液には、よりレベリング性が高く均一な塗膜を形成しうるように表面張力が低いことが求められる。このような溶媒を使用することにより、本発明の有機化合物を含有する均一な層を形成することができる。
このような低表面張力の溶媒の具体例としては、前述したトルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族系溶媒、安息香酸エチル等のエステル系溶媒、アニソール等のエーテル系溶媒、トリフルオロメトキシアニソール、ペンタフルオロメトキシベンゼン、3−(トリフルオロメチル)アニソール、エチル(ペンタフルオロベンゾエート)等が挙げられる。
本発明の有機電界発光素子用組成物に含有される溶媒としてはまた、25℃における蒸気圧が10mmHg以下、好ましくは5mmHg以下で、通常0.1mmHg以上の溶媒
が挙げられる。このような溶媒を使用することにより、有機電界発光素子を湿式成膜法
により製造するプロセスに好適な、また、本発明の有機化合物の性質に適した組成物を調製することができる。このような溶媒の具体例としては、前述したトルエン、キシレン、メチシレン等の芳香族系溶媒、エーテル系溶媒およびエステル系溶媒が挙げられる。これらの溶媒の組成物中の濃度は、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上である。
本発明の有機電界発光素子用組成物に含有される溶媒として、25℃における蒸気圧が2mmHg以上、好ましくは3mmHg以上、より好ましくは4mmHg以上(但し、上
限は好ましくは10mmHg以下である。)である溶媒と、25℃における蒸気圧が2 mmHg未満、好ましくは1mmHg以下、より好ましくは0.5mmHg以下である溶媒との混合溶媒が挙げられる。このような混合溶媒を使用することにより、湿式成膜法に
より本発明の有機化合物、更には電子受容性化合物を含む均質な層を形成することができる。このような混合溶媒の組成物中の濃度は、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上である。
有機電界発光素子は、多数の有機化合物からなる層を積層して形成するため、膜質が均一であることが非常に重要である。湿式成膜法で層形成する場合、その材料や、下地の性質によって、スピンコート法、スプレー法などの塗布法や、インクジェット法、スクリーン法などの印刷法等、公知の成膜方法が採用できる。例えばスプレー法は、凹凸のある面への均一な膜形成に有効であるため、パターニングされた電極や画素間の隔壁による凹凸が残る面に、有機化合物からなる層を設ける場合に、好ましい。スプレー法による塗布の場合、ノズルから塗布面へ噴射された塗布液の液滴はできる限り小さい方が、均一な膜質が得られるため好ましい。そのためには、塗布液に蒸気圧の高い溶媒を混合し、塗布雰囲気中において噴射後の塗布液滴から溶媒の一部が揮発することにより、基板に付着する直前に細かい液滴が生成する状態が好ましい。また、より均一な膜質を得るためには、塗布直後に基板上に生成した液膜がレベリングする時間を確保することが必要で、この目的を達成するためにはより乾燥の遅い溶媒、すなわち蒸気圧の低い溶媒をある程度含有させる手法が用いられる。
具体例としては、25℃における蒸気圧が2mmHg以上10mmHg以下である溶媒としては、例えば、キシレン、アニソール、シクロヘキサノン、トルエン等の有機溶媒が挙げられる。25℃における蒸気圧が2mmHg未満である溶媒としては、安息香酸エチル、安息香酸メチル、テトラリン、フェネトール等が挙げられる。
混合溶媒の比率は、25℃における蒸気圧が2mmHg以上である溶媒が、混合溶媒総量中、5重量%以上、好ましくは25重量%以上、但し50重量%未満であり、25℃における蒸気圧が2mmHg未満である溶媒が、混合溶媒総量中、30重量%以上、好ましくは50重量%以上、特に好ましくは75重量%以上、但し、95重量%未満である。
なお、有機電界発光素子は、多数の有機化合物からなる層を積層して形成するため、各層がいずれも均一な層であることが要求される。湿式成膜法で層形成する場合、層形成用の溶液(組成物)に水分が混入することにより、塗膜に水分が混入して膜の均一性が損なわれるおそれがあるため、溶液中の水分含有量はできるだけ少ない方が好ましい。具体的には、有機電界発光素子組成物中に含まれる水分量は、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、さらに好ましくは0.05重量%以下である。
また、一般に、有機電界発光素子は、陰極等の水分により著しく劣化する材料が多く使用されているため、素子の劣化の観点からも、水分の存在は好ましくない。溶液中の水分量を低減する方法としては、例えば、窒素ガスシール、乾燥剤の使用、溶媒を予め脱水する、水の溶解度が低い溶媒を使用する等が挙げられる。なかでも、水の溶解度が低い溶媒
を使用する場合は、塗布工程中に、溶液塗膜が大気中の水分を吸収して白化する現象を
防ぐことができるため好ましい。
この様な観点からは、本発明の有機電界発光素子用組成物は、例えば25℃における水の溶解度が1重量%以下(好ましくは0.1重量%以下)である溶媒を、該組成物中10重量%以上含有することが好ましい。なお、上記溶解度条件を満たす溶媒が30重量%以上であればより好ましく、50重量%以上であれば特に好ましい。
なお、本実施の形態が適用される有機電界発光素子用組成物に含有される溶媒として、前述した溶媒以外にも、必要に応じて、各種の他の溶媒を含んでいてもよい。このような他の溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等がある。
また、本発明の有機電界発光素子用組成物は、必要に応じ、電子受容性化合物や、後述の正孔輸送層の溶解性を低下させ、正孔輸送層上へ他の層を塗布することを可能とする架橋反応を促進するための添加物等の添加剤を含んでいてもよく、また架橋反応を促進する添加物は、本発明の有機化合物を含有する層に隣接する層に添加することも可能である。この場合は、溶媒としては、本発明の有機化合物と添加剤の双方を0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上溶解する溶媒を使用することが好ましい。
本発明の有機電界発光素子用組成物に含まれていてもよい、本発明の有機化合物の架橋反応を促進する添加物としては、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシムエステル化合物、アゾ化合物、オニウム塩などの重合開始剤や重合促進剤、縮合多環炭化水素、ポルフィリン化合物、ジアリールケトン化合物などの光増感剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明の有機電界発光素子用組成物に含まれていてもよい電子受容性化合物としては、本発明の有機電界発光素子の正孔注入層に含有される電子受容性化合物として後述したものの1種または2種以上を使用することができる。
更に、本発明の有機電界発光素子用組成物は、レベリング剤や消泡剤等の塗布性改良剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
[成膜方法]
前述の如く、有機電界発光素子は、多数の有機化合物からなる層を積層して形成するため、膜質が均一であることが非常に重要である。湿式成膜法で層形成する場合、その材料や、下地の性質によって、スピンコート法、スプレー法などの塗布法や、インクジェット法、スクリーン法などの印刷法等、公知の成膜方法が採用できる。
湿式成膜法を用いる場合、本発明の有機化合物および必要に応じて用いられるその他の成分(電子受容性化合物、架橋反応を促進する添加物や塗布性改良剤等)を、適切な溶媒に溶解させ、上記有機電界発光素子用組成物を調製する。この組成物を、スピンコート法やディップコート法等の手法により、形成する層の下層に該当する層上に塗布し、乾燥することにより、本発明の有機化合物を含有する層を形成する。
通常、本発明の有機電界発光素子用組成物を用いて形成される層は、正孔注入層または正孔輸送層として用いられる。そのため、通常は、正孔輸送層は正孔注入層上に形成されるか、陽極上に形成される。正孔注入層は通常陽極上に形成される。
また、本発明の有機電界発光素子用組成物を用いて形成された層に引き続き発光層を形成するためには、発光層成膜用の塗布組成物に、形成された正孔輸送層が溶解しないことが好ましい。このため、本発明の有機電界発光素子用組成物を塗布後、加熱および/または光などの活性エネルギー照射により、本発明の有機化合物が架橋反応を起こし、反応後の膜の有機溶媒に対する溶解性を低下させることが好ましい。通常この架橋反応により網目状高分子化合物が得られる。
加熱の手法は特に限定されないが、加熱の条件としては、通常120℃以上、好ましくは400℃以下に本発明の有機電界発光素子用組成物を用いて形成された層を加熱する。加熱時間としては、通常1分以上、好ましくは24時間以下である。加熱手段としては特に限定されないが、形成された層を有する積層体をホットプレート上に載せたり、オーブン内で加熱するなどの手段が用いられる。例えば、ホットプレート上で120℃以上、1分間以上加熱する等の条件を用いることができる。
光などの活性エネルギー照射による場合には、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、赤外ランプ等の紫外・可視・赤外光源を直接用いて照射する方法、あるいは前述の光源を内蔵するマスクアライナ、コンベア型光照射装置を用いて照射する方法などが挙げられる。光以外の活性エネルギー照射では、例えばマグネトロンにより発生させたマイクロ波を照射する装置、いわゆる電子レンジを用いて照射する方法が挙げられる。
照射時間としては、膜の溶解性を低下させるために必要な条件を設定することが好ましいが、通常、0.1秒以上、好ましくは10時間以下照射される。
加熱および光などの活性エネルギー照射は、それぞれ単独、あるいは組み合わせて行ってもよい。組み合わせる場合、実施する順序は特に限定されない。
加熱および光を含む活性エネルギー照射は、実施後に層に含有する水分および/または表面に吸着する水分の量を低減するために、窒素ガス雰囲気等の水分を含まない雰囲気で行うことが好ましい。同様の目的で、加熱および/または光などの活性エネルギー照射を組み合わせて行う場合には、少なくとも有機発光層の形成直前の工程を窒素ガス雰囲気等の水分を含まない雰囲気で行うことが特に好ましい。
[有機電界発光素子]
本発明の有機電界発光素子は、基板上に、陽極、陰極、および該陽極と該陰極の間に配置された1層または2層以上の有機層を有する有機電界発光素子において、該有機層の少なくとも1層が、本発明の有機化合物を架橋して得られる網目状高分子化合物を含有する層(以下、「架橋層」と称する場合がある。)である有機電界発光素子である。
本発明における架橋層は、下記詳述する正孔注入層及び/又は正孔輸送層であることが好ましく、該正孔注入層または正孔輸送層は、前記本発明の有機電界発光素子用組成物を湿式成膜法により成膜して形成されることが好ましい。
また、該正孔輸送層の陰極側には、湿式成膜法で形成される発光層を有することが好ましく、さらに、該正孔輸送層の陽極側には、湿式成膜法で形成される正孔注入層を有することが好ましい。
すなわち、本発明の有機電界発光素子は、正孔注入層、正孔輸送層および発光層の全てが湿式成膜法で形成されることが好ましく、特にこの湿式成膜法で形成される発光層は低分子材料からなる層であることが好ましい。
図1は、本発明の有機電界発光素子の構造の一例を模式的に示す断面図である。図1に示す有機電界発光素子は、基板1の上に、陽極2、正孔注入層3、正孔輸送層4、有機発光層5、正孔阻止層6,電子注入層7および陰極8を、この順に積層して構成される。この構成の場合、通常は正孔注入層3または正孔輸送層4が上述の本発明における架橋層に該当することになる。
[1]基板
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシートなどが用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
[2]陽極
陽極2は、後述する有機発光層側の層(正孔注入層3または有機発光層5など)への正
孔注入の役割を果たすものである。この陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウムおよび/またはスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などにより構成される。陽極2の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより行われることが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などの場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散し、基板1上に塗布することにより陽極2を形成することもできる。更に、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板1上に薄膜を形成したり、基板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することもできる(Applied Physics Letters,1992年,Vol.60,pp.2711参照)。陽極2は異なる物質で積層して形成することも可能である。
陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが望ましく、この場合、厚みは、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。不透明で良い場合、陽極2は基板1と同一でもよい。また、更には上記の陽極2の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
なお、陽極に付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させることを目的として、陽極表面を紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ処理することが好ましい。また、正孔注入の効率を更に向上させ、かつ、有機層全体の陽極への付着力を改善させる目的で、正孔注入層3と陽極2との間に公知の陽極バッファ層を挿入してもよい。
[3]正孔注入層
正孔注入層3は、陽極2から有機発光層5へ正孔を輸送する層である。通常はこの正孔注入層3が、陽極2上に形成される。よって、正孔注入層3は、好ましくは正孔注入性化合物および電子受容性化合物を含有して構成されることになる。更に、正孔注入層3は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。
正孔注入層3を陽極2上に形成する手法としては、湿式成膜法、真空蒸着法が挙げられるが、上述したように、均質で欠陥がない薄膜を容易に得られる点や、形成のための時間が短くて済む点から、湿式成膜法が好ましい。また、陽極2として一般的に用いられるITO(インジウム・スズ酸化物)は、その表面が10nm程度の表面粗さ(Ra)を有するのに加えて、局所的に突起を有することが多く、短絡欠陥を生じ易いという課題があった。陽極2の上の正孔注入層3を湿式成膜法により形成することは、真空蒸着法で形成する場合と比較して、陽極2表面の凹凸に起因する素子の欠陥の発生を低減するという利点をも有する。
正孔注入性化合物としての芳香族アミン化合物としては、トリアリールアミン構造を含む化合物が好ましく、従来有機電界発光素子における正孔注入層の形成材料として利用されてきた化合物の中から適宜選択してもよい。
正孔注入性化合物として使用する、分子中に正孔輸送部位を有する高分子化合物としては、例えば芳香族三級アミノ基を構成単位として主骨格に含む高分子化合物が挙げられる。具体例として、以下の一般式(2)で表される構造を繰り返し単位として有する正孔注入性化合物が挙げられる。
Figure 0005434088
(式(2)中、Ar44〜Ar48は、各々独立して置換基を有していてもよい2価の芳香族環基を示し、R31〜R32は、各々独立して置換基を有していてもよい1価の芳香族環基を示し、Qは直接結合、または下記の連結基から選ばれる。なお、「芳香族環基」とは、「芳香族炭化水素環由来の基」および「芳香族複素環由来の基」の両方を含む。)
Figure 0005434088
(式(3)中、Ar49は置換基を有していてもよい2価の芳香族環基を示し、Ar50は置換基を有していてもよい1価の芳香族環基を示す。)
一般式(2)において、Ar44〜Ar48は、好ましくは、各々独立して置換基を有していてもよい2価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環由来の基またはビフェニル基であり、好ましくはベンゼン環由来の基である。前記置換基としてはハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜7の直鎖または分岐のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などの炭素数6〜12のアリールオキシ基;ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等の、炭素数1〜6のアルキル鎖を有するジアルキルアミノ基、などが挙げられる。これらのうち、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基が挙げられ、特に好ましくはメチル基が挙げられる。Ar44〜Ar48がいずれも無置換の芳香族環基である場合が、最も好ましい。
31およびR32として好ましくは、各々独立して、置換基を有することがあるフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピリジル基、トリアジル基、ピラジル基、キノキサリル基、チエニル基、またはビフェニル基であり、好ましくはフェニル基、ナフチル基またはビフェニル基であり、より好ましくはフェニル基である。該置換基としては、Ar44〜Ar48における芳香族環が有しうる基として、前述した基と同様の基が挙げられる。
一般式(3)において、Ar49は、置換基を有していてもよい2価の芳香族環基、好ましくは正孔輸送性の面からは芳香族炭化水素環基であり、具体的には置換基を有してい
てもよい2価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環由来の基、ビフェニレン基、およびターフェニレン基等が挙げられる。また、該置換基としては、Ar44〜Ar48における芳香族環が有しうる基として、前述した基と同様の基が挙げられる。これらのうち、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基が挙げられ、特に好ましくはメチル基が挙げられる。
Ar50は、置換基を有していてもよい芳香族環基、好ましくは正孔輸送性の面からは芳香族炭化水素環基であり、具体的には、置換基を有することがあるフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピリジル基、トリアジル基、ピラジル基、キノキサリル基、チエニル基、およびビフェニル基等が挙げられる。該置換基としては、一般式(2)のAr44〜Ar48における芳香族環が有しうる基として、前述した基と同様の基が挙げられる。
一般式(3)において、Ar49およびAr50がいずれも無置換の芳香族環基である場合が、最も好ましい。
式(2)で表される繰り返し単位を有する芳香族三級アミン高分子化合物の具体例としては、例えば国際公開第2005/089024号パンフレットに記載のものが挙げられる。
高分子化合物からなる正孔注入性材料としては、さらに、共役系高分子が挙げられる。この目的のために、ポリフルオレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレンが好適である。
次に、電子受容性化合物について説明する。
正孔注入層に含有される電子受容性化合物としては、例えば、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物等が挙げられる。これらの電子受容性化合物は、正孔注入性材料と混合して用いられ、正孔注入性材料を酸化することにより正孔注入層の導電率を向上させることができる。
電子受容性化合物として、トリアリールホウ素化合物としては、下記一般式(6)に示したホウ素化合物が挙げられる。一般式(6)で表されるホウ素化合物は、ルイス酸であることが好ましい。また、このホウ素化合物の電子親和力は、通常4eV以上、好ましく、5eV以上である。
Figure 0005434088
一般式(6)において、好ましくは、Ar101〜Ar103は、各々独立に、置換基を有することがあるフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基等の5または6員環の単環、またはこれらが2〜3個縮合および/または直接結合してなる芳香族炭化水素環基;或いは置換基を有することがあるチエニル基、ピリジル基、トリアジル基、ピラジル基、キノキサリル基等の5または6員環の単環、またはこれらが2〜3個縮合および/または直接結合してなる芳香族複素環基を表す。
Ar101〜Ar103が有することがある置換基としては、例えば、ハロゲン原子;アルキ
ル基;アルケニル基;アルコキシカルボニル基;アルコキシ基;アリールオキシ基;アシル基;ハロアルキル基;シアノ基等が挙げられる。
特に、Ar101〜Ar103の少なくとも1つが、ハメット定数(σおよび/またはσ)が正の値を示す置換基であることが好ましく、Ar101〜Ar103が、いずれもハメット定数(σおよび/またはσ)が正の値を示す置換基であることが特に好ましい。このような、電子吸引性の置換基を有することにより、これらの化合物の電子受容性が向上する。また、Ar101〜Ar103がいずれも、ハロゲン原子で置換された芳香族炭化水素基または芳香族複素環基であることがさらに好ましい。
一般式(6)で表されるホウ素化合物の好ましい具体例を以下の6−1〜6−17に示すが、これらに限定するものではない。
Figure 0005434088
Figure 0005434088
これらの中、以下に示す化合物が特に好ましい。
Figure 0005434088
電子受容性化合物として、オニウム塩としては、国際公開第2005/089024号パンフレットに記載のものが挙げられ、その好適例も同様であるが、特に好ましくは以下の化合物である。
Figure 0005434088
正孔注入層3の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
なお、正孔注入層3における電子受容性化合物の正孔注入性化合物に対する含有量は、通常0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上である。但し、通常100モル%以下、好ましくは40モル%以下である。
なお、正孔注入層3は、本発明における架橋層であってもよい。すなわち、本発明の有機化合物は正孔注入性化合物として使用されてもよい。
[4]正孔輸送層
正孔輸送層4は、陽極2、正孔注入層3の順に注入された正孔を有機発光層5に注入する機能を有すると共に、発光層5から電子が陽極2側に注入されることによる発光効率の低下を抑制する機能を有する。
この機能を発現するため、正孔輸送層4は、本発明における架橋層であることが好ましい。すなわち、正孔輸送層は、本発明の有機化合物を含有する有機電界発光素子用組成物を塗布後、本発明の有機化合物を架橋して形成される層であることが好ましい。
また、本発明の有機化合物以外の化合物を用いてもよい。
本発明の有機化合物以外の化合物の具体例としては、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4’’−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(J.Lumin.,72−74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chem.Commun.,2175頁、1996年)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synth.Metals,91巻、209頁、1997年)、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル等のカルバゾール誘導体等が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で用いてもよいし、必要に応じて複数種混合して用いてもよい。
上記の化合物以外に、正孔輸送層の材料として、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルトリフェニルアミン(特開平7−53953号公報)、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン(Polym.Adv.Tech.,7巻、33頁、1996年)等の高分子材料が挙げられる。
さらに、正孔輸送層は、架橋性化合物を熱及び/または活性エネルギー線(紫外線、電子線、赤外線、マイクロ波等)の照射等により架橋して得られる層であることが好ましい。
架橋性基としては、特に限定されるものではないが、例えば、不飽和二重結合、環状エーテル、ベンゾシクロブタン等を含む基が好ましい。
架橋性化合物の例としては、前述した架橋性基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーが挙げられるが、中でもポリマーが好ましい。
架橋性化合物の具体例としては、例えば、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体、2,4,6−トリフェニルピリジン誘導体、C60誘導体、オリゴチオフェン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体誘導体等が挙げられる。中でも、電気化学的安定性及び電荷輸送性が高いという理由から、トリフェニルアミンの部分構造と架橋性基とを有する化合物が特に好ましい。
正孔輸送層は、前記[成膜方法]に記載の方法で形成される。
その膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
[5]有機発光層
正孔輸送層4の上には、通常有機発光層5が設けられる。有機発光層5は、電界を与えられた電極間において、陽極2から正孔注入層3および正孔輸送層4を通じて注入された正孔と、陰極8から電子注入層7,正孔阻止層6を通じて注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。
有機発光層5は、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、正孔輸送の性質を有する材料(正孔輸送材料)、或いは、電子輸送の性質を有する材料(電子輸送材料)とを含有する。更に、有機発光層5は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。これらの材料としては、後述のように湿式成膜法で有機発光層5を形成する観点から、何れも低分子系の材料を使用することが好ましい。
発光材料としては、任意の公知の材料を適用可能である。例えば、蛍光発光材料であってもよく、燐光発光材料であってもよいが、内部量子効率の観点から、好ましくは燐光発光材料である。
なお、溶剤への溶解性を向上させる目的で、発光材料の分子の対称性や剛性を低下させたり、或いはアルキル基などの親油性置換基を導入したりすることも、重要である。
青色発光を与える蛍光色素(青色蛍光色素)としては、例えば、ナフタレン、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。緑色発光を与える色素(緑色蛍光色素)としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体等が挙げられる。黄色発光を与える色素(黄色蛍光色素)としては、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。赤色発光を与える蛍光色素(赤色蛍光色素)としては、DCM(4-(dicyanomethylene)-2-methyl-6-(p-dimethylaminostyryl)-4H-pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
燐光発光材料としては、例えば、長周期型周期表(以下、特に断り書きの無い限り「周期表」という場合には、長周期型周期表を指すものとする。)第7〜11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体が挙げられる。
燐光性有機金属錯体に含まれる、周期表第7〜11族から選ばれる金属として、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。これらの有機金属錯体として、好ましくは下記式(III)または 式(IV)で表される化合物が挙げられる。
ML(q−j)L′ (III)
(式(III)中、Mは金属を表し、qは上記金属の価数を表す。また、LおよびL′は 二座配位子を表す。jは0、1または2の数を表す。)
Figure 0005434088
(式(IV)中、Mは金属を表し、Tは炭素原子または窒素原子を表す。R92〜R95は、それぞれ独立に置換基を表す。但し、Tが窒素原子の場合は、R94およびR95は無い。)
以下、まず、式(III)で表される化合物について説明する。
式(III)中、Mは任意の金属を表し、好ましいものの具体例としては、周期表第7〜 11族から選ばれる金属として前述した金属が挙げられる。
また、式(III)中、二座配位子Lは、以下の部分構造を有する配位子を示す。
Figure 0005434088
(上記Lの部分構造において、環A1は、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。)
該芳香族炭化水素基としては、5または6員環の単環または2〜5縮合環が挙げられる。具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環由来の1価の基などが挙げられる。
該芳香族複素環基としては、5または6員環の単環または2〜4縮合環が挙げられる。具体例としては、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環由来の1価の基などが挙げられる。
また、上記Lの部分構造において、環A2は、置換基を有していてもよい、含窒素芳香族複素環基を表す。
該含窒素芳香族複素環基としては、5または6員環の単環または2〜4縮合環由来の基が挙げられる。具体例としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、フロピロール環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環由来の1価の基などが挙げられる。
環A1または環A2がそれぞれ有していてもよい置換基の例としては、ハロゲン原子;アルキル基;アルケニル基;アルコキシカルボニル基;アルコキシ基;アリールオキシ基;ジアルキルアミノ基;ジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アシル基;ハロアルキル基;シアノ基;芳香族炭化水素基等が挙げられる。
また、式(III)中、二座配位子L′は、以下の部分構造を有する配位子を示す。但し 、以下の式において、「Ph」はフェニル基を表す。
Figure 0005434088
中でも、L′としては、錯体の安定性の観点から、以下に挙げる配位子が好ましい。
Figure 0005434088
式(III)で表される化合物として、更に好ましくは、下記式(IIIa),(IIIb),(IIIc)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005434088
(式(IIIa)中、Mは、Mと同様の金属を表し、wは、上記金属の価数を表し、環
A1は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、環A2は、置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
Figure 0005434088
(式(IIIb)中、Mは、Mと同様の金属を表し、wは、上記金属の価数を表し、環
A1は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表し、環A2は、置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
Figure 0005434088
(式(IIIc)中、Mは、Mと同様の金属を表し、wは、上記金属の価数を表し、j
は、0、1または2を表し、環A1および環A1′は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表し、環A2および環A2′は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
上記式(IIIa),(IIIb),(IIIc)において、環A1および環A1′の好ましい 例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、チエニル基、フリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、カルバゾリル基等が挙げられる。
上記式(IIIa)〜(IIIc)において、環A2および環A2′の好ましい例としては、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、フェナントリジル基等が挙げられる。
上記式(IIIa)〜(IIIc)で表される化合物が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子;アルキル基;アルケニル基;アルコキシカルボニル基;アルコキシ基;アリールオキシ基;ジアルキルアミノ基;ジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アシル基;ハロアルキル基;シアノ基等が挙げられる。
なお、これら置換基は互いに連結して環を形成してもよい。具体例としては、環A1が有する置換基と環A2が有する置換基とが結合するか、または、環A1′が有する置換基と環A2′が有する置換基とが結合するかして、一つの縮合環を形成してもよい。このような縮合環としては、7,8−ベンゾキノリン基等が挙げられる。
中でも、環A1、環A1′、環A2および環A2′の置換基として、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ジアリールアミノ基、カルバゾリル基が挙げられる。
また、式(IIIa)〜(IIIc)におけるM〜Mの好ましい例としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金または金が挙げられる。
上記式(III)および(IIIa)〜(IIIc)で示される有機金属錯体の具体例を以下に 示すが、下記の化合物に限定されるものではない。
Figure 0005434088
Figure 0005434088
Figure 0005434088
上記式(III)で表される有機金属錯体の中でも、特に、配位子Lおよび/またはL′ として2−アリールピリジン系配位子、即ち、2−アリールピリジン、これに任意の置換基が結合したもの、および、これに任意の基が縮合してなるものを有する化合物が好ましい。
また、国際特許公開第2005/019373号パンフレットに記載の化合物も、発光材料として使用することが可能である。
次に、式(IV)で表される化合物について説明する。
式(IV)中、Mは金属を表す。具体例としては、周期表第7〜11族から選ばれる金属として前述した金属が挙げられる。中でも好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金または金が挙げられ、特に好ましくは、白金、パラジウム等の2価の金属が挙げられる。
また、式(IV)において、R92およびR93は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。
更に、Tが炭素原子の場合、R94およびR95は、それぞれ独立に、R92およびR93と同様の例示物で表される置換基を表す。また、Tが窒素原子の場合は、R94およびR95は無い。
また、R92〜R95は、更に置換基を有していてもよい。置換基を有する場合、その種類に特に制限はなく、任意の基を置換基とすることができる。
更に、R92〜R95のうち任意の2つ以上の基が互いに連結して環を形成してもよい。
式(IV)で表される有機金属錯体の具体例(T−1、T−10〜T−15)を以下に示すが、下記の例示物に限定されるものではない。また、以下の化学式において、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
Figure 0005434088
本発明において、発光材料として用いる化合物の分子量は、通常10000以下、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは3000以下、また、通常100以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上、更に好ましくは400以上の範囲である。分子量が100未満であると、耐熱性が著しく低下したり、ガス発生の原因となったり、膜を形成した際の膜質の低下を招いたり、或いはマイグレーションなどによる有機電界発光素子のモルフォロジー変化を来したりする場合がある。分子量が10000を超えると、化合物の精製が困難となったり、溶媒に溶解させる際に時間を要する可能性がある。
なお、発光層は、上に説明した各種の発光材料のうち、何れか一種を単独で含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせおよび比率で併有していてもよい。
低分子系の正孔輸送材料の例としては、前述の正孔輸送層の正孔輸送性化合物として例示した各種の化合物の他、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルに代表される、2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が
窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(Journal of Luminescence,1997年,Vol.72-74,pp.985)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chemical Communications,1996年,pp.2175)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synthetic Metals,1997年,Vol.91,pp.209)等が挙げられる。
低分子系の電子輸送材料の例としては、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)や、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)や、バソフェナントロリン(BPhen)や、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP、バソクプロイン)、2−(4−ビフェニリル)−5−(p−ターシャルブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)や、4,4’−ビス(9−カルバゾール)−ビフェニル(CBP)等がある。
これら正孔輸送材料や電子輸送材料は発光層においてホスト材料として使用されることが好ましいが、ホスト材料として具体的には以下のような化合物を使用することができる。
Figure 0005434088
有機発光層5の形成法としては、湿式成膜法、真空蒸着法が挙げられるが、上述したように、均質で欠陥がない薄膜を容易に得られる点や、形成のための時間が短くて済む点、更には、本発明の有機化合物による正孔輸送層4の不溶化の効果を享受できる点から、湿式成膜法が好ましい。湿式成膜法により有機発光層5を形成する場合、上述の材料を適切な溶媒に溶解させて塗布溶液を調製し、それを上述の形成後の正孔輸送層4の上に塗布・
成膜し、乾燥して溶媒を除去することにより形成する。その形成方法としては、前記正孔輸送層の形成方法と同様である。
有機発光層5の膜厚は、通常3nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
[6]正孔阻止層
図1では、有機発光層5と電子輸送層7の間に、正孔阻止層6が設けられているが、正孔阻止層6はこれを省略してもよい。
正孔阻止層6は、有機発光層5の上に、有機発光層5の陰極8側の界面に接するように積層されるが、陽極2から移動してくる正孔が陰極8に到達するのを阻止する役割と、陰極8から注入された電子を効率よく有機発光層5の方向に輸送することができる化合物より形成される。
正孔阻止層6を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。
このような条件を満たす正孔阻止材料としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラト),(フェニルフェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト),(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996号公報)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)が挙げられる。更に、国際公開第2005−022962号パンフレットに記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止材料として好ましい。
具体的には以下に記載の化合物が挙げられる。
Figure 0005434088
正孔阻止層6も、正孔注入層3や有機発光層5と同様、湿式成膜法を用いて形成することもできるが、通常は真空蒸着法により形成される。真空蒸着法の手順の詳細は、後述の電子注入層7の場合と同様である。
正孔阻止層6の膜厚は、通常0.5nm以上、好ましくは1nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
[7]電子輸送層
電子輸送層7は素子の発光効率をさらに向上させることを目的として、発光層5と電子注入層8との間に設けられる。
電子輸送層7は、電界を与えられた電極間において陰極9から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送することができる化合物より形成される。電子輸送層7に用いられる電子輸送性化合物としては、陰極9または電子注入層8からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。
このような条件を満たす材料としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−または5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5,645,948号明細書)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
電子輸送層7の膜厚は、通常下限は1nm、好ましくは5nm程度であり、上限は通常300nm、好ましくは100nm程度である。
電子輸送層7は、前記と同様にして湿式成膜法、或いは真空蒸着法により正孔阻止層6上に積層することにより形成されるが、通常は、真空蒸着法が用いられる。
[8]電子注入層
電子注入層8は、陰極9から注入された電子を効率良く、電子輸送層7または有機発光層5へ注入する役割を果たす。
電子注入を効率よく行うには、電子注入層8を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられる。その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
更に、後述するバソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送材料に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報などに記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。この場合の膜厚は通常、5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
電子注入層8は、湿式成膜法或いは真空蒸着法により、有機発光層5またはその上の正孔阻止層6上に積層することにより形成される。
湿式成膜法の場合の詳細は、正孔注入層3および有機発光層5の場合と同様である。
一方、真空蒸着法の場合には、真空容器内に設置されたるつぼまたは金属ボートに蒸着源を入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、るつぼまたは金属ボートを加熱して蒸発させ、るつぼまたは金属ボートと向き合って置かれた基板上の有機発光層5、正孔阻止層6または電子輸送層7上に電子注入層8を形成する。
電子注入層としてのアルカリ金属の蒸着は、クロム酸アルカリ金属と還元剤をニクロムに充填したアルカリ金属ディスペンサーを用いて行う。このディスペンサーを真空容器内で加熱することにより、クロム酸アルカリ金属が還元されてアルカリ金属が蒸発される。
有機電子輸送材料とアルカリ金属とを共蒸着する場合は、有機電子輸送材料を真空容器内に設置されたるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、各々のるつぼおよびディスペンサーを同時に加熱して蒸発させ、るつぼおよびディスペンサーと向き合って置かれた基板上に電子注入層8を形成する。
このとき、電子注入層8の膜厚方向において均一に共蒸着されるが、膜厚方向において濃度分布があっても構わない。
[9]陰極
陰極9は、有機発光層5側の層(電子注入層8または有機発光層5など)に電子を注入する役割を果たす。陰極9の材料としては、前記の陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率良く電子注入を行うには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属またはそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
陰極9の膜厚は通常、陽極2と同様である。
低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上に更に、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層すると、素子の安定性が増すので好ましい。この目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。
[10]その他
以上、図1に示す層構成の有機電界発光素子を中心に説明してきたが、本発明の有機電界発光素子は、その趣旨を逸脱しない範囲において、別の構成を有していてもよい。例えば、その性能を損なわない限り、陽極2と陰極9との間に、上記説明にある層の他に任意の層を有していてもよく、また、任意の層が省略されていてもよい。
なお、本発明においては、正孔輸送層4に本発明の有機化合物を使用することにより、正孔注入層3、正孔輸送層4および有機発光層5を全て湿式成膜法により積層形成することができる。これにより、大面積のディスプレイを製造することが可能となる。
なお、図1とは逆の構造、即ち、基板1上に陰極、電子注入層、発光層、正孔注入層、陽極の順に積層することも可能であり、既述したように少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機電界発光素子を設けることも可能である。
さらには、図1に示す層構成を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造)とすることも可能である。その際には段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合はその2層)の代わりに、例えばV等を電荷発生層(CGL)として用いると段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
本発明は、有機電界発光素子が、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。
[有機ELディスプレイ]
本発明の有機ELディスプレイは、上述のような本発明の有機電界発光素子を備えるものである。有機ELディスプレイの型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機ELディスプレイを形成することができる。
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない
限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[合成例]
(合成例1)
Figure 0005434088
窒素気流中、ピレン(10.11g)、ジメトキシエタン(400ml)を加えて氷浴で0℃に冷却しながら撹拌し、ジメトキシエタン50mlに溶解させた臭素(15.18g)を滴下し、室温まで昇温して8時間撹拌させた後、一晩放置した。析出した結晶を濾取し、エタノール懸洗を行い、トルエンにより再結晶することによって、モノマー3、4の混合物(5.8g)を得た。
1H NMR(CDCl3,400MHz)
1,8−ジブロモピレン
δ8.53(s,2H)、8.28(d,2H, J=8.40)、8.05(d,2 H,J=8.00)、8.04(s,2H)
1,6−ジブロモピレン
δ8.47(d,2H,J=9.60)、8.27(d,2H,J=8.40)、8.13(d,2H,J=9.20)、8.06(d,2H,J=8.40)
Figure 0005434088
窒素気流中、モノマー1(2.407g)、モノマー2(0.327g)、モノマー3とモノマー4の混合物(1.530g、モノマー3:モノマー4=33:67)、トルエン(46ml)の溶液に、20%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(28m
l)を加え、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.108g)を加えて、加熱還流下、8時間攪拌した。放冷後、エタノールに反応液を添加し、析出した租ポリマー1を濾取、乾燥した。窒素気流中、租ポリマー1、ブロモベンゼン(0.131g)、トルエン(100ml)の溶液に、20%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(20ml)を加え、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.054g)を加えて、加熱還流下、2時間攪拌した。続いて、フェニルボロン酸(0.509g)を加え、加熱還流下、6時間攪拌した。放冷後、エタノールに反応液を添加し、析出した末端残基をエンドキャップしたポリマ1ーを濾取、乾燥した後、トルエン及びテトラヒドロフランを展開溶媒としたシリカゲルカラムによって精製し、テトラヒドロフラン溶液からエタノールに再沈殿、濾取、乾燥することによって、目的物1(0.771g)を得た。
この目的物1の重量平均分子量は77,000であり、数平均分子量は39,000であった。
(合成例2)
Figure 0005434088
化合物1(10.0g)、化合物2(16.3g)、ジメチルスルホキシド80mlに、水酸化カリウムを加え、室温で6時間攪拌した。反応液に酢酸エチル(100ml)および水(100ml)を加え攪拌後、分液し、水層を酢酸エチル(100ml×2回)で抽出し、有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=10/1)で精製することにより、化合物3(13.3g)を得た。
Figure 0005434088
窒素気流中、化合物3(3.0g)、化合物4(1.44g)、ナトリウム−tert−ブトキシド(1.13g)、トルエン(50ml)を、60℃に加熱下、30分間撹拌し、トリス(ジベンジリデン)ジパラジウム(0)クロロホルム錯体(0.09g)およびトリ−tert−ブチルホスフィン(0.07g)を加え、加熱還流下、3時間撹拌した。室温まで放冷した後、反応液にトルエン(100ml)および水(100ml)を加え攪拌後、分液し、水層をトルエン(100ml×2回)で抽出し、有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n
−ヘキサン/酢酸エチル=10/1)で精製することにより、化合物5(3.4g)を得た。
Figure 0005434088
窒素気流中、−5℃で化合物5(3.4g)およびDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)100mlに、NBS(N−ブロモスクシンイミド)を30mlDMFに溶かして滴下し、この温度で2時間攪拌した。反応液に酢酸エチル(100ml)および水(100ml)を加え攪拌後、分液し、水層を酢酸エチル(100ml×2回)で抽出し、有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=10/1)で精製することにより、モノマー5(2.3g)を得た。
Figure 0005434088
窒素気流中、モノマー1(2.512g)、モノマー5(0.302g)、モノマー6(1.033g)、モノマー3とモノマー4の混合物(0.792g、モノマー3:モノマー4=37:63)、トルエン(40ml)の溶液に、20%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(20ml)を加え、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.058g)を加えて、加熱還流下、8時間攪拌した。放冷後、エタノールに反応液を添加し、析出した租ポリマー2を濾取、乾燥した。窒素気流中、租ポリマー2、ブロモベンゼン(0.140g)、トルエン(100ml)の溶液に、20%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(50ml)を加え、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.058g)を加えて、加熱還流下、2.5時間攪拌した。続いて、フェニルボロン酸(0.610g)を加え、加熱還流下、6時間攪拌した。放冷後、トルエン及び水を加え、有機層を50mlになるまで濃縮後、エタノールにを添加し、析出した末端残基をエンドキャップした租ポリマー2を濾取、乾燥した後、トルエン及びテトラヒドロフランを展開溶媒としたシリカゲルカラムによって精製し、テトラヒドロフラン溶液からエタノールに再沈殿、濾取、乾燥することによって、目的物2(2.20g)を得た。
この目的物2の重量平均分子量は26,000であり、数平均分子量は13,000であった。
(合成例3)
Figure 0005434088
500ml四ツ口フラスコを減圧下ヒートガンで加熱乾燥と窒素置換を繰り返して系内を窒素雰囲気とした。1,6−ジブロモピレン、1,8−ジブロモピレンの混合物7.2g、乾燥THF150mlを入れ、反応器をドライアイス−アセトンバス中で−70℃まで 冷却した。n−ブチルリチウム(1.06M)50mlを30分掛けて滴下し、滴下終了から2時間,−70℃のまま保持しながら撹拌を継続した。2-isopropyl-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolane 17.6mlを滴下した。滴下終了から30分冷却条件下で撹拌を行ない、その後冷却用バスを外して徐々に室温に昇温し、終夜静置した。析出した結晶を吸引ろ過により濾取した。これを塩化メチレンに溶解させ、水100mlで洗浄し、塩化メチレン層を濃縮し、得られた結晶を得られた結晶をTHFとヘキサンの混合溶媒で懸洗後に乾燥しモノマー7(2.1g)を得た。
1H NMR(CDCl3,400MHz)
δ9.1(d,2H、,J=9.20)、8.52(d,2H,J=7.60)、8.18(d,2H,J=7.60)、8.19(d,2H,J=9.2)、1.49(s,12H)
Figure 0005434088
窒素気流中、モノマー7(1.0g)、モノマー6(0.91g)、モノマー5(0.133g)、トルエン(30ml)の溶液に、20%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(10ml)を加え、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.1g)を加えて、加熱還流下、8時間攪拌した。放冷後、エタノールに反応液を添加し、析出した租ポリマー3を濾取、乾燥した。窒素気流中、得られた租ポリマー3、ブロモベンゼン(0.073g)、トルエン(120ml)の溶液に、20%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(20ml)を加え、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.027g)を加えて、加熱還流下、2時間攪拌した。続いて、フェニルボロン酸(0.3g)を加え、加熱還流下、5時間攪拌した。放冷後、エタノールに反応液を添加し、析出した末端残基をエンドキャップした租ポリマー3を濾取、乾燥した後、トルエン及びテトラヒドロフランを展開溶媒としたシリカゲルカラムによって精製し、テトラヒドロフラン溶液からエタノールに再沈殿、ろ取、乾燥することによって、目的物3(100mg)を得た。
この目的物3の重量平均分子量は10400であり、数平均分子量は7030であった。
(合成例4)
Figure 0005434088
窒素気流中、モノマー1(3.26g)、モノマー2(0.45g)、モノマー3とモノマー4、混合物(1.530g、モノマー3:モノマー4=33:67)、モノマー6(1.34g)のトルエン(59ml)の溶液に、20%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(11ml)を加え、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.075g)を加えて、加熱還流下、6時間撹拌した。放冷後、メタノールに反応液を添加し、析出した粗ポリマー4を濾取、乾燥した。窒素気流中、得られた粗ポリマー4、ブロモベンゼン(0.20g)、トルエン(100ml)の溶液に、20%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(24ml)を加え、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.451g)を加えて、加熱還流下、2時間撹拌した。続いて、フェニルボロン酸(1.80g)を加え、加熱還流下、6時間撹拌した。放冷後、エタノールに反応液を添加し、析出した末端残基をエンドキャップした粗ポリマー4を濾取、乾燥した後、トルエン及びテトラヒドロフランを展開溶媒としたシリカゲルカラムによって精製し、テトラヒドロフラン溶液からエタノールに再沈殿、濾取、乾燥することによって、目的物4(1.45g)を得た。
この目的物4の重量平均分子量は22,000であり、数平均分子量は14,000であった。
(合成例5)
Figure 0005434088
窒素気流中、モノマー1(5.024g)、モノマー2(0.885g)、モノマー8(2.396g)、モノマー3とモノマー4の混合物(1.058g、モノマー4:モノマー5=37:63)、トルエン(60ml)の溶液に、20%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(30ml)を加え、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.23g)を加えて、加熱還流下、5時間攪拌した。放冷後、エタノールに反応液を添加し、析出した租ポリマー5を濾取、乾燥した。窒素気流中、得られた租ポリマー5、ブロモベンゼン(0.33g)、トルエン(60ml)の溶液に、20%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(30ml)を加え、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.12g)を加えて、加熱還流下、2時間攪拌した。続いて、フェニルボロン酸(1.0g)を加え、加熱還流下、4時間攪拌した。放冷後、エタノールに反応液を添加し、析出した末端残基をエンドキャップした租ポリマーを濾取、乾燥した後、トルエン及びテトラヒドロフランを展開溶媒としたシリカゲルカラムによって精製し、テトラヒドロフラン溶液からエタノールに再沈殿、ろ取、乾燥することによって、目的物5(3.4g)を得た。
この目的物5の重量平均分子量は38600であり、数平均分子量は2500であった。
(合成例6)
Figure 0005434088
窒素気流中、化合物6(2.04g)、化合物7(3.26g)、トルエン(90ml)、エタノール(45ml)を入れ、窒素でバブリングして系内を窒素で置換した。ここへ、炭酸ナトリウム(3.15g)、脱塩水(45ml)を入れ、窒素でバブリングして系内を窒素で置換したものを添加し、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.16g)を加えた後、オイルバス中80℃で5時間、窒素気流下で加熱撹拌を行った。放冷後、水を加えて分液、油層を濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:塩化メチレン=9:1)で精製後、塩化メチレンとヘキサンにより再沈殿させて結晶を濾取した。さらに、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:6)で精製し、酢酸エチルで再結晶することにより、目的物6(0.73g)を得た。
1H NMR(CDCl3、400MHz)
δ8.39(s,4H)、8.14(s,4H)、7.47〜7.42(m,6H)、 4.53(d,2H,J=6.0)、4.36(d,2H,J=6.0)、4.14(t,2H,J=12.8)、3.58(t、4H,J=12.4)、3.51(s,4H)、1.97−1.93(m,4H)、1.88−1.82(m,4H)、1.32(s,6H)
(合成例7)
Figure 0005434088
反応容器内にフッ化カリウム(23.01g)を仕込み、減圧下、加熱乾燥と窒素置換を繰り返し系内を窒素雰囲気とした。3−ニトロフェニルボロン酸(6.68g)、4−ブロモ−ベンゾシクロブテン(7.32g)、脱水テトラヒドロフラン(50ml)を仕込み、撹拌した。そこへ、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.21g)を加え、さらに系内を十分に窒素置換して、室温でトリ−t−ブチルホスフィン(0.47g)を加え、添加終了後、そのまま1時間攪拌させた。反応終了後、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を2回水洗し、硫酸ナトリウムを加え脱水乾燥し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、化合物8(8.21g)を得た。
(合成例8)
Figure 0005434088
化合物8(8.11g)、テトラヒドロフラン36ml、エタノール36ml、10%Pd/C(1.15g)を仕込み、70℃で加熱撹拌した。そこへヒドラジン一水和物(10.81g)をゆっくり滴下した。2時間反応後、放冷し、反応液をセライトでろ過して濾液を濃縮した。この濾液に酢酸エチルを加え、水で洗浄し、有機層を濃縮した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)にて精製することにより、モノマー9(4.90g)を得た。
(合成例9)
Figure 0005434088
4−n−オクチルアニリン(1.31g、6.4mmol)、合成例8で得られたモノマー9(0.31g、1.6mmol)、4,4‘−ジブロモビフェニル(1.25g、4.0mmol)、およびtert−ブトキシナトリウム(2.88g、30.0mmol)、トルエン(20ml)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、50℃まで加温した(溶液A)。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.09g、0.0088mmol)のトルエン5ml溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(0.129g、0.064mmol)を加え、50℃まで加温した(溶液B)。窒素気流中、溶液Aに溶液Bを添加し、1時間、加熱還流反応した。原料が消失したことを確認し、合成例3で得られた目的物3(1.305g、4.0mmol)を追添加し、1時間加熱還流反応した。重合が始まったことが確認できたので、1,6−ジブロモピレン及び1,8−ジブロモピレンの混合物(0.013g、0.04mmol)を1時間おきに計4回(計0.52g)追添加した。1,6−ジブロモピレン及び1,8−ジブロモピレンの混合物を全量添加後、さらに1時間加熱還流し、反応液を放冷して、反応液をメタノール200ml中に滴下し、粗ポリマー6を晶出させた。
得られた粗ポリマー6をトルエン150mlに溶解させ、ブロモベンゼン(0.25g、1.6mmol)、tert−ブトキシナトリウム(0.77g、8mmol)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、50℃まで加温した(溶液C)。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.066g、0.0064mmol)のトルエン10ml溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(0.016g、0.008mmol)を加え、50℃まで加温した(溶液D)。窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、2時間、加熱還流反応した。この反応液に、N,N−ジフェニルアミン(1.35g、8mmol)を添加し、さらに、4時間、加熱還流反応した。反応液を放冷し、メタノールに滴下し、末端残基をエンドキャップした粗ポリマー6を得た。
この末端残基をエンドキャップした粗ポリマー6をトルエンに溶解し、アセトンに再沈殿し、析出したポリマーを濾別した。得られたポリマーをトルエンに溶解させ、希塩酸にて洗浄し、アンモニア含有エタノールにて再沈殿した。濾取したポリマーをカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物7(0.53g)を得た。
この目的物7の重量平均分子量は39700であり、数平均分子量は17600であった。
[有機電界発光素子の作製]
(実施例1)
図1に示す有機電界発光素子を作製した。
ガラス基板1上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を120nmの厚さに堆積したもの(三容真空社製、スパッタ成膜品)を、通常のフォトリソグラフィー技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極2を形成した。パターン形成したITO基板を、界面活性剤水溶液による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超音波洗浄、超純水による水洗の順で洗浄後、圧縮空気で乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
まず、下の構造式(P1)に示す繰り返し構造を有する正孔輸送性高分子材料(重量平均分子量:26500,数平均分子量:12000)、構造式(A1)に示す4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートおよび安息香酸エチルを含有する正孔注入層形成用塗布液を調製した。この塗布液を下記条件で陽極2上にスピンコートにより成膜して、膜厚30nmの正孔注入層3を得た。
Figure 0005434088
<正孔注入層形成用塗布液>
溶媒 安息香酸エチル
塗布液濃度 P1:2.0重量%
A1:0.8重量%
<正孔注入層3の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 大気中
加熱条件 大気中 230℃ 3時間
引き続き、以下の構造式に示す、本発明の有機化合物(H1)(合成例6で得られた目的物6)を含有する有機電界発光素子用組成物を調製し、下記の条件でスピンコートにより成膜して、加熱により架橋させることにより膜厚22nmの正孔輸送層4を形成した。
Figure 0005434088
<有機電界発光素子用組成物>
溶媒 トルエン
固形分濃度 0.4重量%
<正孔輸送層4の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 窒素中
加熱条件 窒素中、230℃、1時間
次に、発光層5を形成するにあたり、以下に示す有機化合物(E1)、(E2)、およびイリジウム錯体(D1)を用いて下記に示す発光層形成用塗布液を調製し、以下に示す条件で正孔輸送層4上にスピンコートして膜厚40nmで発光層5を得た。
Figure 0005434088
<発光層形成用塗布液>
溶媒 キシレン
塗布液濃度 (E1):1.0重量%
(E2):1.0重量%
(D1):0.1重量%
<発光層5の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 窒素中
加熱条件 減圧下(0.1MPa)、130℃、1時間
ここで、正孔注入層3、正孔輸送層4及び発光層5を成膜した基板を真空蒸着装置内に移し、油回転ポンプにより装置の粗排気を行った後、装置内の真空度が2.7×10-4
Pa以下になるまでクライオポンプを用いて排気した後、下記構造式(E3)で表される化合物を真空蒸着法によって積層し正孔阻止層6を得た。蒸着速度を0.5〜1.2Å/秒の範囲で制御し、発光層5の上に積層して膜厚5nmの膜の正孔阻止層6を形成した。
Figure 0005434088
続いて、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウムを加熱して蒸着を行い、電子輸送層7を成膜した。蒸着速度は0.8〜1.4Å/秒の範囲で制御し、膜厚30nmの膜を正孔阻止層6の上に積層して電子輸送層7を形成した。
ここで、電子輸送層7までの蒸着を行った素子を一度前記真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極2のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して有機層と同様にして装置内の真空度が2.0×10−4Pa以下になるまで排気した。
電子注入層8として、先ずフッ化リチウム(LiF)を、モリブデンボートを用いて、蒸着速度0.07〜0.1Å/秒で制御し、0.5nmの膜厚で電子輸送層7の上に成膜した。次に、陰極9としてアルミニウムを同様にモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度0.5〜5.5Å/秒で制御して膜厚80nmのアルミニウム層を形成した。以上の2層の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
引き続き、素子が保管中に大気中の水分等で劣化することを防ぐため、以下に記載の方法で封止処理を行った。
真空蒸着装置に連結された窒素グローブボックス中で、23mm×23mmサイズのガラス板の外周部に、約1mmの幅で光硬化性樹脂(スリーボンド社製30Y−437)を塗布し、中央部に水分ゲッターシート(ダイニック社製)を設置した。この上に、陰極形成を終了した基板を、蒸着された面が乾燥剤シートと対向するように貼り合わせた。その後、光硬化性樹脂が塗布された領域のみに紫外光を照射し、樹脂を硬化させた。
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。この素子の発光特性は以下の通りである。
輝度/電流:17.6[cd/A]@100cd/m
電圧:8.3[V]@100cd/m
発光効率:6.7[lm/W]@100cd/m
素子の発光スペクトルの極大波長は513nmであり、イリジウム錯体(D1)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.310,0.623)であった。
得られた有機電界発光素子を、初期輝度を2500cd/mとして連続点灯による耐久性試験を行った。有機電界発光素子の輝度が初期輝度の50%となるまでの時間を、比較例1を1としたときの数値として表1に示す。表1に示すが如く、本発明の有機化合物を用いることで、高耐久な素子が得られたことは明らかである。
(比較例1)
実施例1において正孔輸送層4を形成するにあたり、以下の構造式に示す化合物(C1)を用いて膜厚18nmの正孔輸送層4を形成した以外は、実施例1と同様にして図1に示す有機電界発光素子を作製した。
Figure 0005434088
<正孔輸送層形成用塗布液>
溶媒 キシレン
固形分濃度 0.8重量%
<正孔輸送層4の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 窒素中
加熱条件 窒素中、130℃、1時間
以上の様にして得られた有機電界発光素子の発光特性は以下の通りである。
輝度/電流:35.1[cd/A]@100cd/m
電圧:5.9[V]@100cd/m
発光効率:18.6[lm/W]@100cd/m
素子の発光スペクトルの極大波長は512nmであり、イリジウム錯体(D1)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.299,0.626)であった。
得られた有機電界発光素子を、初期輝度を2500cd/mとして連続点灯による耐久性試験を行った。有機電界発光素子の輝度が初期輝度の50%となるまでの時間を、比
較例1を1としたときの数値として表1に示す。表1に示すが如く、本発明の有機化合物を架橋させて形成される層を有する有機電界発光素子は、駆動安定性が高いことが分かる。
Figure 0005434088
(実施例2)
実施例1において正孔輸送層4を形成するにあたり、本発明による有機化合物(H2)(合成例4で得られた目的物4)を用いて膜厚20nmの正孔輸送層4を形成した以外は、実施例1と同様にして図1に示す有機電界発光素子を作製した。
Figure 0005434088
<有機電界発光素子用組成物>
溶媒 トルエン
固形分濃度 0.4重量%
<正孔輸送層4の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 窒素中
加熱条件 窒素中、230℃、1時間
以上の様にして得られた有機電界発光素子の発光特性は以下の通りである。
輝度/電流:23.6[cd/A]@100cd/m
電圧:7.5[V]@100cd/m
発光効率:10.0[lm/W]@100cd/m
素子の発光スペクトルの極大波長は513nmであり、イリジウム錯体(D1)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.314,0.622)であった。
得られた有機電界発光素子を、初期輝度を2500cd/mとして連続点灯による耐久性試験を行った。有機電界発光素子の輝度が初期輝度の80%となるまでの時間を、比較例2を1としたときの数値として表2に示す。表2に示すが如く、本発明の有機化合物を架橋させて形成される層を有する有機電界発光素子は、駆動安定性が高いことが分かる。
(比較例2)
実施例1において正孔輸送層4を形成するにあたり、下記に示す構造を有する有機化合物(C2)を用いて膜厚24nmの正孔輸送層4を形成し、正孔阻止層6を下記構造式(E4)で表される有機化合物を用いて真空蒸着法によりた以外は、実施例1と同様にして図1に示す有機電界発光素子を作製した。
Figure 0005434088
<正孔輸送層形成用塗布液>
溶媒 トルエン
固形分濃度 0.4重量%
<正孔輸送層4の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 窒素中
加熱条件 窒素中、170℃、0.5時間
Figure 0005434088
<正孔阻止層6の蒸着条件>
真空度 6.8〜7.7x10−5Pa
蒸着速度 1.0〜1.2Å
膜厚 10nm
以上の様にして得られた有機電界発光素子の発光特性は以下の通りである。
輝度/電流:27.4[cd/A]@100cd/m
電圧:6.8[V]@100cd/m
発光効率:12.4[lm/W]@100cd/m
素子の発光スペクトルの極大波長は513nmであり、イリジウム錯体(D1)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.314,0.621)であった。
得られた有機電界発光素子を、初期輝度を2500cd/mとして連続点灯による耐久性試験を行った。有機電界発光素子の輝度が初期輝度の80%となるまでの時間を、比較例2を1としたときの数値として表2に示す。表2に示すが如く、本発明の有機化合物を架橋させて形成される層を有する有機電界発光素子は、駆動安定性が高いことが分かる。
Figure 0005434088
(実施例3)
陽極と正孔注入層の形成までは、実施例1と同様にしておきなった。
引き続き、以下の構造式に示す、本発明の有機化合物(H3)(合成例1で得られた目的物1)を含有する有機電界発光素子用組成物を調製し、下記の条件でスピンコートにより成膜して、加熱により架橋させることにより膜厚22nmの正孔輸送層4を形成した。
Figure 0005434088
<有機電界発光素子用組成物>
溶媒 トルエン
固形分濃度 0.4重量%
<正孔輸送層4の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 窒素中
加熱条件 窒素中、230℃、1時間
ここで、正孔注入層3および正孔輸送層4を成膜した基板を真空蒸着装置内に移し、油回転ポンプにより装置の粗排気を行った後、装置内の真空度が1.3×10-4Pa以下
になるまでクライオポンプを用いて排気した後、以下の構造式に示す化合物(E4)と以下に示すイリジウム錯体(D2)を真空蒸着法にて成膜し、発光層5を得た。(E4)の蒸着速度は0.5Å/秒、イリジウム錯体(D2)の蒸着速度は0.03Å/秒に制御して膜厚32nmの膜の発光層5を形成した。
Figure 0005434088
次に、以下の構造式に示す化合物(E5)を真空蒸着法によって積層し正孔阻止層6を得た。蒸着速度を0.7〜1.2Å/秒の範囲で制御し、発光層5の上に積層して膜厚10nmの膜の正孔阻止層6を形成した。
Figure 0005434088
続いて、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウムを加熱して蒸着を行い、電子輸送層7を成膜した。この時、蒸着速度は0.7〜1.3Å/秒の範囲で制御し、膜厚30nmの膜を正孔阻止層6の上に積層して電子輸送層7を形成した。
ここで、電子輸送層7までの蒸着を行った素子を一度前記真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極2のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して有機層と同様にして装置内の真空度が1.3×10−4Pa以下になるまで排気した。
電子注入層8として、先ずフッ化リチウム(LiF)を、モリブデンボートを用いて、蒸着速度0.08〜0.13Å/秒の範囲で制御し、0.5nmの膜厚で電子輸送層7の上に成膜した。次に、陰極9としてアルミニウムを同様にモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度0.5〜6.0Å/秒の範囲で制御して膜厚80nmのアルミニウム層を形成した。以上の2層の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
引き続き、素子が保管中に大気中の水分等で劣化することを防ぐため、以下に記載の方法で封止処理を行った。
真空蒸着装置に連結された窒素グローブボックス中で、23mm×23mmサイズのガラス板の外周部に、約1mmの幅で光硬化性樹脂(株式会社スリーボンド製30Y−437)を塗布し、中央部に水分ゲッターシート(ダイニック社製)を設置した。この上に、陰極形成を終了した基板を、蒸着された面が乾燥剤シートと対向するように貼り合わせた。その後、光硬化性樹脂が塗布された領域のみに紫外光を照射し、樹脂を硬化させた。
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。この素子の発光特性を表3に示す。表2に示すが如く、本発明の高分子化合物を用いることで、発光効率の高い素子が得られたことは明らかである。
(実施例4)
実施例3において正孔輸送層4を形成するにあたり、本発明の有機化合物(H2)(合成例4で得られた目的物4)を用いて膜厚20nmの正孔輸送層4を形成した以外は、実施例3と同様にして図1に示す有機電界発光素子を作製した。
Figure 0005434088
<有機電界発光素子用組成物>
溶媒 トルエン
固形分濃度 0.4重量%
<正孔輸送層4の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 窒素中
加熱条件 窒素中、230℃、1時間
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。この素子の発光特性を表3に示す。表3に示すが如く、本発明の有機化合物を架橋させて形成される層を有する有機電界発光素子は、発光効率が高いことが分かる。得られた有機電界発光素子を、初期輝度を2500cd/mとして連続点灯による耐久性試験を行った。
有機電界発光素子の輝度が初期輝度の50%となるまでの時間を、比較例3を1としたときの数値として表3に示す。表3に示すが如く、本発明の有機化合物を架橋させて形成される層を有する有機電界発光素子は、駆動安定性が高いことが分かる。
(実施例5)
実施例3において正孔輸送層4を形成するにあたり、本発明の有機化合物(H4)(合成例2で得られた目的物2)を用いて膜厚21nmの正孔輸送層4を形成した以外は、実施例3と同様にして図1に示す有機電界発光素子を作製した。
Figure 0005434088
<有機電界発光素子用組成物>
溶媒 トルエン
固形分濃度 0.4重量%
<正孔輸送層4の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 窒素中
加熱条件 窒素中、230℃、1時間
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。この素子の発光特性を表3に示す。表3に示すが如く、本発明の有機化合物を架橋させて形成される層を有する有機電界発光素子は、発光効率が高いことが分かる。得られた有機電界発光素子を、初期輝度を2500cd/mとして連続点灯による耐久性試験を行った。有機電界発光素子の輝度が初期輝度の50%となるまでの時間を、比較例3を1としたときの数値として表3に示す。表3に示すが如く、本発明の有機化合物を架橋させて形成される層を有する有機電界発光素子は、駆動安定性が高いことが分かる。
(実施例6)
実施例3において正孔輸送層4を形成するにあたり、本発明の有機化合物(H5)(合成例5で得られた目的物5)を用いて膜厚20nmの正孔輸送層4を形成した以外は、実施例3と同様にして図1に示す有機電界発光素子を作製した。
Figure 0005434088
<有機電界発光素子用組成物>
溶媒 トルエン
固形分濃度 0.4重量%
<正孔輸送層4の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 窒素中
加熱条件 窒素中、230℃、1時間
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。この素子の発光特性を表3に示す。表3に示すが如く、本発明の有機化合物を架橋させて形成される層を有する有機電界発光素子は、発光効率が高いことが分かる。
(比較例3)
実施例3において正孔輸送層4を形成するにあたり、以下の構造式に示す化合物(H7)を用いて膜厚20nmの正孔輸送層4を形成した以外は、実施例3と同様にして図1に示す有機電界発光素子を作製した。
Figure 0005434088
<正孔輸送層形成用塗布液>
溶媒 トルエン
固形分濃度 0.4重量%
<正孔輸送層4の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 窒素中
加熱条件 窒素中、230℃、1時間
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。この素子の発光特性を表3に示す。
Figure 0005434088
本発明は、有機電界発光素子が使用される各種の分野、例えば、フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯等の分野において、好適に使用することが出来る。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極

Claims (7)

  1. 架橋性基と下記(I)で表される繰り返し単位を有する化合物であって、下記式(I)中のAr a 及びAr は、アルキル基が置換しても良い芳香族炭化水素基又はアルキル基
    が置換しても良い芳香族複素環基を表し、更にAr a 及びAr の少なくとも1つは、
    記式(I-1)又は下記式(I-2)で表わされ、且つ下記式(I)の含有量が、原料となるモノマー換算で全モノマー中10モル%以上であり、
    Figure 0005434088
    Figure 0005434088
    化合物が、さらに、下記式(II)で表わされる2価の基を有し、且つ式(I-1)及
    び式(I-2)に対する下記式(II)で表される構造の割合が、0.1倍〜5倍であり

    Figure 0005434088
    (式(II)中、Ar、及びArは、それぞれ独立に、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。)
    架橋性基が、下記架橋基群Tの中から選ばれ、且つ架橋性基の数が、分子量1000あたりの数で表した場合、分子量1000あたり3.0個以下0.01個以上であり、
    <架橋性基群T>
    Figure 0005434088
    (式中、R〜Rは、各々独立に、水素原子またはアルキル基を表す。Ar11 は芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。)
    該化合物が、分子量分布をもち、その重量平均分子量が、5,000以上500,000以下である高分子化合物であることを特徴とする、有機化合物。
  2. 架橋性基が、分子内の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基に直接結合するか、または、−O−基、−C(=O)−基または(置換基を有していてもよい)−CH−基から選ばれる基を任意の順番で1〜30個連結してなる2価の基を介して、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基に結合していることを特徴とする請求項1に記載の有機化合物。
  3. 請求項1又は2のいずれか一項に記載の有機化合物を含有する有機電界発光素子用組成物。
  4. 基板上に、陽極、陰極、および該陽極と該陰極の間に1層または2層以上の有機層を有する有機電界発光素子において、該有機層の少なくとも1層が、請求項1〜のいずれか一項に記載の有機化合物を架橋した網目状高分子化合物を含有する層を有することを特徴とする、有機電界発光素子。
  5. 前記網目状高分子化合物を含有する層が、正孔注入層および/または正孔輸送層であることを特徴とする、請求項に記載の有機電界発光素子。
  6. 前記有機層が、正孔注入層、正孔輸送層および発光層を有し、正孔注入層、正孔輸送層及び発光層の全てが湿式成膜法により形成されることを特徴とする、請求項に記載の有機電界発光素子。
  7. 請求項のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いることを特徴とする、有機ELディスプレイ。
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