JP5434013B2 - 電気光学装置及び電子機器、並びに、指示物体の位置検出方法 - Google Patents
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Description
このようなタッチパネルは、通常、液晶表示装置等の、電位あるいは電流の適当な供給を受けることによってその光学的特性が変化する電気光学素子を備えた電気光学装置と一体的な関係をもつ。この電気光学装置は、前述した画像表示面における画像表示機能を担う。
このような極性反転駆動は、直流電流が印加されることによって液晶が劣化する等といった事象が発生するのを防止するために行われる。
すなわち、極性反転駆動では、その性質上当然に、第1及び第2電極間の電位差の極性が反転するタイミングがある。例えば、第1電極の電位が、V1からV2(>V1)へ変化し、あるいは、V2からV1へ変化する、というタイミングである。
他方、前述のタッチパネルにおける接触位置検出は、例えば指等の指示物体の接触地点における光量の、その他の地点における光量に対する変化を検出する方式等によって行われる。この方式では、画像表示面における前記光量の変化を察知するべく、一定のタイミングに従って、当該画像表示面の全部又は一部についての当該光量をモニタする(これは、一種の“画像読取”とも呼びうる。)。
しかし、このような場合、前記画像読取が行われている最中に、前述の極性反転のタイミングが重なってしまうと、液晶表示装置における表示画像に乱れを生じさせるおそれがある。また、そのような画像の乱れは、本来読み取られるべき光量とは異なる光量の読取が行われるおそれを発生させ、その結果、結局、接触位置検出が正しく行われないおそれも生じる。
なお、以上のような問題点は、タッチパネルにおける接触位置検出が前述した方式以外の方式を採用する場合にも、多かれ少なかれ生じるものと考えられる。
しかし、この技術の内容は、いま述べたところにほぼ尽きるものであり、ましてや“極性反転駆動”とタッチパネルとの関係について言及するものでは全然ない。
また、本発明は、かかる態様の電気光学装置及び電子機器、並びに指示物体の位置検出方法において生起する課題を解決可能な電気光学装置及び電子機器、並びに指示物体の位置検出方法を提供することをも課題とする。
そして、本発明では特に、画像表示面上における物体の位置検出が、前記反転タイミングにおける物理量計測手段の計測結果を除いた計測結果に基づいて行われる。したがって、上述した例のように、反転タイミング時と重なった画像読取は行われないか、あるいは仮に行われたとしてもその結果に基づいた位置検出は行われない。
以上から、本発明によれば、画像の乱れ等が生じるおそれは極めて低減し、あるいは、物体の接触位置検出は精度よく行われる。
この態様によれば、反転タイミング時における物理量の計測がそもそも行われないので、位置検出手段に、当該物理量が供されることがない。したがって、本態様によれば、前述した本発明に係る効果が、より実効的に奏される。
なお、本態様にいう「2つ」は、「時間的に相前後する」と関連させて読まれるべき用語であることが文理上明らかである。したがって、本態様にいう「2つの反転タイミング」は、典型的には、本発明に係る電気光学装置が極性反転駆動される場合における“反転タイミングの全部”を表象する(より丁寧に言えば、「時間的に相前後する2つの反転タイミング」とは、全反転タイミングの中から任意に選ばれた、連続する2つの反転タイミング、ということである。)。
このことは、本発明において、その他の箇所において使用されている「2つの反転タイミング」(あるいは、「n個の反転タイミング」)なる用語について、同様に妥当する。
この態様によれば、反転タイミング時における物理量の計測は行われるものの、位置検出手段は、その検出結果を無視する。したがって、本態様によれば、前述した本発明に係る効果が、より実効的に奏される。
この態様によれば、位置検出手段が、反転タイミング時における物理量の計測結果を無視するというに止まらず、物理量計測手段が、当該反転タイミング時に計測された物理量に代えて、その時以外の時における当該計測領域に関する物理量を改めて計測し、これを位置検出手段に供給することが可能となっている。したがって、本態様によれば、前述した本発明に係る効果が、より実効的に奏される。
この態様によれば、まず、電気光学素子がマトリクス状配列に従って並び、かつ、物理量計測素子が、そのような電気光学素子の所定の個数ごとに対応しているので、典型的には、当該の物理量計測素子も、電気光学素子のマトリクス状配列に応じた、所定のマトリクス状配列に従って並ぶ、という形態が容易に想定される。この場合、例えば、前記の信号線の一部は、これら物理量計測素子について観念可能である行あるいは列に沿い、かつ、行毎あるいは列毎に設けられ得ることになる。また、信号線の他の部分は、その一端が、前記信号線の一部との間に設けられる回路(複数の信号線によって運ばれる複数の信号を適切に捌くために必要な回路等)等に接続されながら、その他端が、当該信号の終局的な処理に適した回路等に接続される、などということになる。
しかし、この場合にいう信号線は、それ自身の寄生容量等をもつので、前記物理量の読み出し(殊に、その“正確な”読み出し)を、比較的短時間の間に行うことには、比較的困難が伴う。というのも、前記寄生容量等の存在により、当該信号線の電位等は読出開始時点から時間の経過に伴って次第に上昇する、といった挙動を示すことがあるからである。
本態様は、このような不具合をよりよく解消する。なぜなら、本態様では、物理量の計測が、ある行における一部の物理量計測素子についてのみ行われるようになっているので、その計測時間を比較的長く設定することが可能だからである。これにより、信号線の電位等が安定状態に達している可能性が高まるのである(このような利点は、同じ時間で、全部の物理量計測素子についての計測を一挙に行ってしまう場合を想定すると、より明瞭に認識される。)。
このように、本態様によれば、現実の状況をよりよく反映した、正確な物理量を取得することが可能となる。
また、上述の構成では、例えば仮に、2個の反転タイミングが観念される(即ち、n=2)として、1番目の反転タイミングの後には、1/2個分の物理量計測素子についての読み出しが行われることになるが、2番目の反転タイミングの後には、“残る”1/2個分の物理量計測素子についての読み出しが行われるということにしておくのが好ましい。これによれば、当該行における全部の物理量計測素子についての読み出しが効率的に行われる。この点についての、より具体化された形態は、後述する第2実施形態においても触れる。
この態様によれば、画像を表示しない領域に対応する電気光学素子を駆動するタイミングの時に物理量が計測されるので、結局、反転タイミングの時を避けた物理量の計測が可能になる。当該のタイミングの時は、通常、本発明にいう「極性の反転」は行われないからである。
したがって、本態様によれば、前述した本発明に係る効果が、より実効的に奏されるほか、位置検出にあたって必要となる物理量の全計測結果の、より迅速な取得・確保が可能になるという利点も得られる。
この態様は、いわゆるライン反転駆動を行う電気光学装置に対して、好適に適用可能である。
本発明の電子機器は、上述した各種の電気光学装置を備えてなる、即ち、反転タイミングにおいて計測された物理量の計測結果を除いた計測結果に基づいて、物体の位置検出が行われるようになっているので、より高品質な画像が表示され、あるいは、当該位置検出がより精度高く行われる。
この態様では、前記物理量計測工程は、前記画像表示面を区画する複数の計測領域毎に、前記物理量を計測する工程を含み、かつ、前記反転タイミングの時に検出された前記物理量に対応する前記計測領域についての、当該反転タイミング時以外の時における物理量を、改めて計測する工程を含む、ように構成してもよい。
以下では、本発明に係る第1の実施の形態について図1及び図2を参照しながら説明する。なお、ここに言及した図1及び図2に加え、以下で参照する各図面においては、図3、図11に示すタイミングチャート上の曲線の大きさないし縮尺等も含めて、各部の寸法の比率が実際のものとは適宜に異ならせてある場合がある。
第1実施形態に係る電気光学装置1は、図1に示すように、液晶素子(電気光学素子)8、走査線3、データ線6、走査線駆動回路31、及びデータ線駆動回路61、等を備える。
画素電極13は、図示しない素子基板上でマトリクス状配列に従って並ぶ(図1参照)。1個1個の画素電極13は、例えば平面視して矩形状、長円形状等をもつ。
このようにマトリクス状に配列される画素電極13のうち、各行に並ぶ画素電極13は、当該各行に配設される走査線3に共通接続される一方、各列に並ぶ画素電極13は、当該各列に配設されるデータ線6に共通接続される(図2等参照)。スイッチングトランジスタTrは、これら走査線3及びデータ線6と画素電極13との間に設けられている。このスイッチングトランジスタTrは、走査線3に供給される選択信号に応じて、ON状態及びOFF状態間を遷移する。画素電極13は、スイッチングトランジスタTrがON状態にあるときに、データ線6を介して供給される画像信号の供給を受ける。
なお、図2に示す蓄積容量70は、当該画像信号のレベルに応じた電荷を蓄積する。また、データ線6に供給されるべき画像信号の有無及び内容、あるいは供給タイミング等は、データ線駆動回路61によって司られる。同様にして、走査線3に供給されるべき選択信号の供給タイミング等は、走査線駆動回路31によって司られる。
そして、この対向電極5及び前記画素電極13間には、液晶層LQが挟持される。液晶層LQとしては、例えばOCB(Optically Compensated Bend)モードなど高速に応答する液晶が好適に採用される。
このようなことから、電気光学装置1では、所望の意味内容をもつ画像が表示可能である。図1に示す符号“7a”は、その画像が表示されるべき概ねの領域を表している。以下、これを“画像表示面7a”と呼ぶことにする(この画像表示面7aの大きさは、全画素電極13の形成領域、あるいは対向電極5の形成領域にほぼ一致する、ともいえる。なお、第1実施形態において、“画像表示面7a”とは、より実際的には、ユーザの指等の物理的な接触を許容する面である。そのような面は、例えば、対向電極5が形成されるガラス板たる前記対向基板、当該対向基板に重ねられた偏光板、当該偏光板に更に重ねられた保護用ガラス板、当該保護用ガラス板に形成された適当な保護膜、等々の「表面」が、より具体的な意味において該当することになる。)。
なお、第1実施形態では特に、上述した、画素電極13及び対向電極5間に電位を印加する場合において、その極性が一定期間ごとに反転させられるが、この点については後に説明する。
なお、図1等に示す、符号50を付した四角い箱(即ち、「光量検出素子50」)は、検出した光量を変換した電気信号を好適に整形するための回路等その他の必要な回路を含み得ることを表象する。
これにより、制御回路Cは、例えば、走査線駆動回路31を通じて、行毎の、かつ、線順次による各液晶素子8の選択を行い、あるいは、データ線駆動回路61を通じて、選択された液晶素子8に対する適時のタイミングにおける画像信号の供給、等々を行う。
まず、核心的内容に入る前に、画素電極13及び対向電極5間の電位差に関する極性反転駆動について説明する。第1実施形態において、制御回路Cは、画素電極13及び対向電極5間の電位差の極性を、所定の期間ごとに反転させる。
ここにいう「所定の期間」は、例えば、走査線3のうちの1本が、前記選択信号によって選択されている期間、等を基礎として決定される。すなわち、より詳細に説明すれば次のようである。まず、1フレーム期間の開始が、図3に示すように、スタートパルスSPによって画される。そうすると、以後、走査線3が例えば図1中上から順に1本ずつ選択されていく。この場合においては、例えば、最初の1本の走査線3が選択されているときには、画素電極13の電位が対向電極5のそれよりも高く、次の1本の走査線3が選択されている場合は、画素電極13の電位が対向電極5のそれよりも低い、というように、各電極(13,5)の電位が設定される。要するに、この場合、奇数本目の走査線3が選択されているときは、画素電極13の電位がより高く、偶数本目の走査線3が選択されているときは、対向電極5の電位がより高い、ということになる。
また、前記において、“1フレーム”とは、最初の走査線3が選択されて、これに対応する各画素電極13に前記画像信号が供給された時から、最後の走査線3が選択されて、これに対応する各画素電極13に画像信号が供給される時までの期間を意味する用語として使用した(この場合、1フレームとは、画像表示面7aに、1個の、まとまった内容を持つ画像が表示され得る期間、にほぼ同義である。)。この1フレームの長さは、具体的には例えば、図3に示すように、周波数表現でいって“60Hz”等と定められる。
まず、図4に示すように、基準画像の取得が行われる(図4のステップS101)。ここで「基準画像」とは、後述する対象画像の比較対象として予め取得される画像であって、その全面が基本的に一定不動の光量によって規定される画像を意味する。具体的には例えば、ユーザの指等が画像表示面7aに接触するおそれが殆どない、電気光学装置1の電源投入直後等の時間等が選ばれて、この基準画像の取得は行われる。
すなわち、図6においては、画像表示面7a上のある一点にユーザの指Fが接触している様子が描かれている。この場合、その指Fの接触地点には、影SWが形成される。あるいは、この指Fの表面において、液晶素子8からの出射光が適当に反射し、散乱する。いずれにせよ、指Fの接触によって、このような現象が生じる結果、その接触地点における光量は、その他の部分の領域の光量とは異なることになる。
ここで、既に述べた基準画像は、例えば図6の影SW等がない画像として用意されるので、上記にいう差分データとは結局、影SW等のみが抽出されたかのような画像を構成するものとして算出されることになる。また、この場合、当該影SW等の画像表示面7a上における位置の把握は比較的容易に行われることが明らかである(図6中の符号“Xf”及び“Yf”参照)。
なお、以上の指Fの接触位置を検出する処理の際においては、例えば図6に併せて示すように、画像表示面7a上に、様々なメッセージMや、ボタンBt1,Bt2等の画像要素を適宜表示しておくことが可能である。
以上のようにして、第1実施形態に係る電気光学装置1によれば、画像表示面7a上における指Fの位置検出が行われることになる。
すなわち、まず、制御回路Cは、共通電位VCOMに関する極性反転があったか否かを判断する(図7のステップS301)。つまり、既に図3を参照して指摘した、破線矢印の各ポイントに示される「反転タイミング」が生じたか否かが判断されるのである(なお、図3における破線矢印は、図示されているところからも明らかなように、すべての反転タイミングを指し示しているわけではない。)。すぐ後から述べる「画像読出処理」は、この判断を待ってから行われるので、結局、その「画像読出処理」は、反転タイミングを避けるようにして行われることになる。
すなわち、図3に示すように、センサ用走査線駆動回路301が、第i行(iは、正の整数であって、液晶素子8の行数を超えない数。図1あるいは図2参照)に関するセンサ用駆動信号を発することで、当該第i行に位置する光量検出素子50を駆動する。これにより、センサ用信号線60は、当該光量検出素子50が受光し且つ適宜変換した、光量に応じた電気信号、あるいは光量データ(図1参照)の供給を受ける。受光信号読出回路601は、かかる電気信号ないし光量データを読出し、これを制御回路Cに供給する。
この場合、図7のステップS303は、当該第i行に位置する光量検出素子50全部に関する読出しが完了したかどうかを常にモニタすることを意味している(図7のステップS302及びS303は、そのような意味において、一体的、あるいは同時並行的に行われる処理である。)。
仮に、そのような処理とは反対に、反転タイミングの時に、それに重なって画像読出し処理を行ってしまう場合を想定すると、そのような場合においては、本願発明者は、表示画像に乱れを生じさせるおそれが非常に高くなることを確認している。そして、このような画像の乱れが生じると、読み出される光量データが、現実の状況(例えば、図6に示すような状況である。)を正確に反映していないおそれが生じることになり、したがって、前述した物体位置検出処理も正確に行われないおそれが生じてくる。
以上により、第1実施形態によれば、画像の乱れ等が生じるおそれが極めて低減し、あるいは、物体の接触位置検出は精度よく行われることになる。
以下では、本発明に係る第2の実施の形態について図8乃至図11を参照しながら説明する。なお、第2実施形態に係る電気光学装置1の構成、あるいは物体位置検出処理に係る基本的処理の内容等については、第1実施形態と同様であるので、重複する部分についての説明は簡略化し、あるいは適宜省略する。
このように、第2実施形態では、12個の液晶素子8と、1個の光量検出素子50とによって、いわば1個の単位的構成が形作られる。
このマルチプレクサ610には、センサ用信号線60が接続されるが、その接続態様は、図示の通りである。一例を挙げて説明すれば、例えば、図中一番左のマルチプレクサ610−1には、まず、光量検出素子50−1,11,21,31,41,51のそれぞれに接続されたセンサ用信号線60が接続される。また、これらのセンサ用信号線60にスイッチを介して接続される他のセンサ用信号線60を介して、マルチプレクサ610−1には、光量検出素子50−61,71,81,91,101,111のそれぞれもまた接続される。この結果、図9の構成では、ある時点においては、光量検出素子50−1,11,21,31,41,51からの光量データが取得可能である一方、他の時点では、光量検出素子50−61,71,81,91,101,111からの光量データが取得可能となっている。そして、このようにして取得された光量データの各々は、適宜、外部信号線60Aを介して、マルチプレクサ610−1から制御回路Cへと供給される。
他のマルチプレクサ610−2,3,…,10についても、図示の通り、マルチプレクサ610−1と同様である。
すなわち、まず、制御回路Cは、共通電位VCOMに関する極性反転があったか否かを判断する(図10のステップS401)。その意義は、前述した図7のステップS301に関して述べたのと同様である。
なお、かかる光量データの取得が、反転タイミング以外の時間で行われることは勿論、図10のステップS402及びS403が、図7のステップS302及びS303と同様な意味において、一体的、あるいは同時並行的に行われる処理であること等は、上記第1実施形態と同様である(この点については、すぐ後に述べる図10のステップS405及びS406についても同じ。)。
まず、この第2実施形態によっても、対象画像の読出が、上記第1実施形態と同様、反転タイミングを避けるようにして行われていることについて何ら変わりはないはから、第1実施形態によって奏された効果と本質的に異ならない効果が奏されることは明白である。つまり、第2実施形態によっても、画像の乱れ等が生じるおそれは極めて低減し、あるいは、物体の接触位置検出は精度よく行われることになる。
まず、前述した、図10のステップS402、あるいはステップS405における処理では、「1/2ライン分」という相違はあるものの、基本的には図3と同様に、第i行、第(i+1)行、等々に関するセンサ用駆動信号と、それを契機とした当該第i行、第(i+1)行、等々に位置する光量検出素子50に関する光量データの読出しが行われる。
ただ、図3における読出信号に関する波形は、一種の理想形として描かれている。このような場合であれば、読み出された光量データが十分に信頼に足るものであるかどうかということは殆ど問題にならない。というのも、当該波形(あるいは、光量データ)は、瞬時にして、現実の状況(例えば、図6に示すような状況である。)を正確に反映しているはずだからであり、また、反転タイミングK1及びK2間の時間のどこをとっても基本的に一定の値が返されることになるからである。
しかし、より現実的な光量データに関する読出波形は、例えば図11に示すように、読出開始時点から時間の経過に伴って次第に上昇する、といった挙動を示すことがある。これは、センサ用信号線60自身、あるいは外部信号線60A自身が、寄生容量等をもつためである。このような現実的波形を図3の場合に当てはめてみると、現実の状況を正確に反映した光量データが取得されないおそれが出てくることになる。なぜなら、反転タイミングK1及びK2間という比較的限られた時間内では、センサ用信号線60等の電位等が、例えば図11に示すようなA点にまでしか上昇しない、ということが生じ得るからである。
このような問題は、光量検出素子50の配列が従うマトリクス状配列が大きくなればなる程、より深刻になるといえる。なぜなら、そのような場合、センサ用信号線60はより長くなってしまう可能性が大きいからである。
このように、第2実施形態によれば、現実の状況をよりよく反映した、正確な光量データを取得することが可能となるのである。
また、図9に示した光量データを読み出すための構成もまた、単なる一例を示しているに過ぎない。複数の光量検出素子50から、光量データを、整序されたかたち(例えば、ある1個の光量データに対応する光量検出素子50はどれであるか等がきっちりと把握される状態等)で、比較的迅速に読み出すための具体的回路構成は、その他にも様々考えられ得るところであるが、本発明は、それがどのようなものであったとしても、基本的に、その採用可能性を否定しない。
例えば、場合によっては、時間点に相前後する4個の反転タイミングL1,L2,L3及びL4があるとして、L1及びL2間で1/3ライン分の、L2及びL3間で次の1/3ライン分の、L3及びL4間で残る1/3ライン分の画像読出し処理が行われるようにしてもよい。
以下では、本発明に係る第3の実施の形態について図12を参照しながら説明する。なお、第3実施形態に係る電気光学装置1の構成、あるいは物体位置検出処理に係る基本的処理の内容等については、第1実施形態と同様であるので、重複する部分についての説明は簡略化し、あるいは適宜省略する。
すなわち、まず、制御回路Cは、前述の第1及び第2実施形態とは異なって、いわば素直に、1ライン分の画像読出処理に着手する(図12のステップS503)。この点、両実施形態では、最初に、共通電位VCOMに関する極性反転があったか否かの判断(図7のステップS301、あるいは図10のステップS401)を行っていた点とは異なる。
なお、ここまでの説明から明らかなように、本発明にいう「計測領域」は、この第3実施形態において、“1本のセンサ用走査線30に連なる光量検出素子50”を一単位として規定される。より簡単にいえば、1個の「計測領域」は、いわばライン1本分の領域、である。
すなわち、この第3実施形態では、対象画像の読出が、反転タイミングを避けるようにして行われているわけではない。むしろ、この第3実施形態においては、画像読出処理中に、反転タイミングの時点が到来し得ることは、いわば織り込み済みである。
しかしながら、第3実施形態では、そのような時点において取得された光量データが、そのまま、物体位置検出処理(図5のステップS203)を行うにあたっては使用されない。なぜなら、上述の、図12のステップS507及びS508の処理についての説明からも明らかなように、そのような時点において取得された光量データは、いわば廃棄、あるいは無視されるようになっているからである。そして、第3実施形態では、その代わりに、そのような障害のあった1ライン分の画像読出し処理が改めて行われ、それにより得られた新たな光量データが物体位置検出処理に供されるようになっているのである。
もっとも、このような態様に比べて、上述の第3実施形態の方が、物体位置の高精度検出により優位であることは疑いない。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明に係る電気光学装置は、上述した形態に限定されることはなく、各種の変形が可能である。
(1) 上記各実施形態では、例えば図3に示した反転タイミングK1及びK2間の時間というように、もっぱら(=上記第1及び第2実施形態)あるいは主に(=上記第3実施形態)、連続する反転タイミングの合間の時間を利用して、対象画像を読出し、あるいは光量データを取得する例について説明しているが、本発明は、かかる形態に限定されない。
例えば図13に示すように、対象画像読出し処理は、画像表示面7aの一部に画像を表示しない領域(以下、「非表示領域」という。)が含まれる場合において、当該非表示領域に対応する液晶素子8を駆動すべきタイミングの時(以下、「非表示時」という。)に行われるようになっていてもよい(図13のステップS601からS602への流れ、参照)。この非表示領域では、液晶素子8を実質的に駆動する必要がないため、通常、図3等に示した極性反転駆動が行われることはない(つまり、暫くの間、共通電位VCOMが、0又は1に張り付いた状態に維持される。)。したがって、このような処理によっても、反転タイミングの時を避けた光量データの取得が可能である。
そして、このような形態と上記各実施形態とを併せ実施する形態によれば、反転タイミング間等の時間のみならず、前記非表示時においても、光量データの取得処理が行われることになるから、物体位置検出にあたって必要となる光量データの全計測結果(例えば、1画面分の光量データ)の、より迅速な取得・確保・処理が可能になるという利点が得られる。
画像表示面7a上に接触した物体の位置検出方式(即ち、タッチパネルを実現する方式)としては、例えば、静電容量式、SAW(Surface Acoustic Wave)式、電磁誘導式、光検出式、等々様々な方式がある。このうち、例えば静電容量式では、画像表示面に物体が接触したかどうかに応じて、当該画像表示面内で例えばマトリクス状に配列されるコンデンサが蓄積する電荷に変化が生じる(当該コンデンサは、例えば2枚の島状電極が対向する構造を含む場合、あるいは、2本の長尺電極が交差する部分によって構築される場合、等々の具体的態様をとり得る。)。したがって、この場合、本発明にいう「物理量」には、例えば、“当該コンデンサに蓄積され又は当該コンデンサから放出される電荷に基づく電流量”、等が該当することになる。なお、上記各実施形態においては、この「物理量」には、「光量」が含まれることはいうまでもない。
このように、本発明は、基本的には、物体位置検出の方式について限定されることがない。
本発明は、その他にも、1フレーム期間を極性反転周期の基準とするフレーム反転駆動の場合に当然適用可能である。
あるいは、液晶素子8の1個1個、又は前述したピクセル(図2、あるいは図8に示した液晶素子8R,8G,8Bの1セット)の1個1個、あるいは場合により、図8を参照して説明したような単位的構成(即ち、12個の液晶素子8)の1個1個、等々、要するに、1個の液晶素子8を基底的な基準として極性反転を行う、ドット反転駆動の場合にも、本発明は適用可能である。
すなわち、第1に、基準画像として、共通電位VCOMが0の場合と1の場合の両者に対応する、2種類の「基準画像(0)」及び「基準画像(1)」を取得しておく(図4参照)。第2に、図5のステップS201によって取得された対象画像、あるいは光量データを、共通電位VCOMが0のときに取得されたものか、あるいは、1のときに取得されたものか、に従って区分けする(図3等参照)。そして第3に、図5のステップS202に係る処理において、共通電位VCOM=0のときに取得された光量データを演算にかける場合には「基準画像(0)」を基準として用い、VCOM=1のときに取得された光量データを演算にかける場合には「基準画像(1)」を基準として用いる。つまり、前者及び後者の光量データを仮に、「対象画像(0)」及び「対象画像(1)」と名付けるとすれば、前者の場合は「基準画像(0)-対象画像(0)」、後者の場合は「基準画像(1)-対象画像(1)」、を行って差分データを求める、ということである。
上述した、2種の基準画像(0)及び(1)を用意しておく措置は、対象画像と基準画像の取得条件、あるいはそれらの背景事情を統一しておく、という意味合いをもつことから、このような不具合は好適に回避される。
しかし、実際上は、何らかの電極を所定の電位に設定するにあたっては、前記第2実施形態で説明したような、当該電極自体がもつ寄生容量の影響を考慮する必要がある。すなわち、共通電位VCOMの反転においても、図3中上から2段目に示すような瞬時の応答が期待できるのはむしろ稀で、図11を参照して説明したような、緩やかな電位の上昇あるいは下降を伴う、いわば緩慢な反転が繰り返される、といった事象が発生する可能性が大きいのである。殊に、対向電極5は、既述のように、全画素電極13の形成領域を覆うような比較的広大な面積をもつ電極であるから、それがもつ寄生容量は、図11の前提であるセンサ用信号線60等がもつ寄生容量に比べても遥かに大きく、したがって、上述した不具合の発生する可能性は更に大きいといえる。そして、このような場合、そうした、いわば反転途上の状態に基づく光量データが取得されるおそれ、即ち、一定の不正確さを内在させる光量データが取得されるおそれが大きくなる。
そこで、上記第1及び第2実施形態においては、“共通電位VCOMの極性が反転したか”という判断を、“共通電位VCOMの反転後の電位は安定したか”という判断に置き換えると、より好ましい。この場合においては、制御回路Cが発した前記指令の発令タイミングを「反転タイミング」と同視することはできないので、例えば、対向電極5の電位をモニタする共通電位検出回路を新たに設け、制御回路Cは、その出力結果を参照することにより前記判断を行うようにするとよい。
このような形態によれば、前述した各種の効果はより実効的に奏されることになる。
とはいえ、第3実施形態においても、図12のステップS504における判断処理に、上述したような考え方を適用する余地がないわけではなく、本発明は、そのような場合を積極的に排除する意図までは有しない(どちらの考え方をとるにせよ、第3実施形態では、中断された画像読出処理が再度実行されるので、然程大きな違いは生じないとも言える。)。
このような意味において、上述した第2及び第3実施形態は並存可能である。また、同様の意味で、第1及び第3実施形態も並存可能である。
次に、本発明に係る電気光学装置を利用した電子機器について説明する。図14ないし図16には、以上に説明した実施形態に係る液晶表示装置を採用した電子機器の形態が図示されている。
Claims (7)
- 第1及び第2電極、並びに、これらに所定の電位が供給されることによってその光学的特性が変化する電気光学物質、からなる電気光学素子と、
複数の前記電気光学素子によって構成される画像を表示する画像表示面上に接触した物体の、当該画像表示面上における位置を検出する位置検出手段と、
当該位置検出手段に含まれ、かつ、前記物体が前記画像表示面に接触した場合における当該画像表示面の全部又は一部に関する所定の物理量を計測する物理量計測手段と、
を備え、
前記物理量計測手段は、
前記第1及び第2電極間の電位差の極性の反転タイミングにおける時間的に相前後する2つの反転タイミングの間、及び、当該2つの反転タイミングの時に、前記物理量を計測し、
前記位置検出手段は、
前記2つの反転タイミングの時における前記物理量計測手段の計測結果を無視して、前記物体の前記画像表示面上における位置の検出を行う、
ことを特徴とする電気光学装置。 - 前記物理量計測手段は、
前記画像表示面を区画する複数の計測領域毎に、前記物理量を計測し、かつ、
前記反転タイミングの時に検出された前記物理量に対応する前記計測領域についての、当該反転タイミング時以外の時における物理量を、改めて計測する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。 - 前記物理量計測手段は、
前記複数の電気光学素子の所定の個数ごとに対応する複数の物理量計測素子と、
これら物理量計測素子による計測結果を読み出すための信号線と、
を含み、
前記信号線による前記物理量の読み出しは、
時間的に連続するn個の反転タイミング(ただし、nは3以上の整数)におけるm番目の反転タイミング(ただし、m=1,2,…,n−1)の後、前記複数の物理量計測素子のうち1/(n−1)個分の物理量計測素子について、行われる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気光学装置を備える、
ことを特徴とする電子機器。 - 画像を表示する画像表示面上のある地点を指示する物体の、当該画像表示面上における位置を検出する指示物体の位置検出方法であって、
前記画像を構成する複数の電気光学素子に電気光学物質の光学的特性を変化させる電位差を与える電位設定工程と、
前記物体が前記画像表示面に接触した場合における当該画像表示面の全部又は一部に関する所定の物理量を計測する物理量計測工程と、
前記物理量計測工程による前記物理量の計測結果に基づいて、前記画像表示面上に接触した物体の、当該画像表示面上における位置を検出する位置検出工程と、
を含み、
前記物理量計測工程は、
前記電位差の極性の反転タイミングにおける時間的に相前後する2つの反転タイミングの間、及び、当該2つの反転タイミングの時に、前記物理量を計測する工程、を含み、
前記位置検出工程では、
前記2つの反転タイミングの時における前記物理量計測手段の計測結果が無視されて、前記物体の前記画像表示面上における位置の検出が行われる、
ことを特徴とする指示物体の位置検出方法。 - 前記物理量計測工程は、
前記画像表示面を区画する複数の計測領域毎に、前記物理量を計測する工程を含み、かつ、
前記2つの反転タイミングの時に検出された前記物理量に対応する前記計測領域についての、当該反転タイミング時以外の時における物理量を、改めて計測する工程を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の指示物体の位置検出方法。 - 前記物理量計測工程は、
前記複数の電気光学素子の所定の個数ごとに対応する複数の物理量計測素子と、
これら物理量計測素子による計測結果を読み出すための信号線と、
を用いて行われ、
前記信号線による前記物理量の読み出しは、
時間的に連続するn個の反転タイミング(ただし、nは3以上の整数)におけるm番目の反転タイミング(ただし、m=1,2,…,n−1)の後、前記複数の物理量計測素子のうち1/(n−1)個分の物理量計測素子について、行われる、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の指示物体の位置検出方法。
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