JP5433133B2 - リソソームポリペプチドを発現するための改善された構築物 - Google Patents

リソソームポリペプチドを発現するための改善された構築物 Download PDF

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Description

[関連出願に関する情報]
本願は、全体の内容が引用することにより本明細書に組み入れられている2003年1月22日提出の米国仮出願第60/441,789号の利益を主張する。
[発明の分野]
本発明は、リソソームポリペプチド、特にリソソーム酸性α−グルコシダーゼをコードする新規核酸構築物と、組換えリソソームポリペプチドを産生し、リソソームポリペプチド欠損症を治療するためにこれを使用する方法とに関する。
[発明の背景]
II型糖原病(GSD II:glycogen storage disease type II)は、主に筋肉および心臓におけるリソソームのグリコーゲン蓄積および組織損傷によって特徴付けられる典型的なリソソーム蓄積症である(Hirschhorn,RおよびReuser,A.J.(2001) In The Metabolic and Molecular Basis for Inherited Disease(Scriver,C.R.、Beaudet,A.L.、Sly,W.S.およびValle,D.編)、3389-3419.McGraw-Hill,New York)。基礎をなす酵素欠損は酸性α−グルコシダーゼ(GAA)である。重症小児GSD IIでは、進行性心筋症およびミオパシーにより1歳までに心肺不全を生じ、死に至る。さらに軽度の若年および成人発症型GSD IIでは、進行性虚弱および呼吸不全が身体的障害となっており、呼吸不全による死が生じる。
ヒトリソソーム酸性α−グルコシダーゼ(hGAA)欠損症の動物モデルはGSD IIとよく似た症状を正確に呈し、GSD IIの遺伝子治療方法の有効性はこれらの系で評価することができる。GAAノックアウト(GAA−KO)マウスは骨格筋および心筋におけるグリコーゲンの蓄積並びに虚弱の発症および運動性の低下をモデルにしている(Raben,Nら(1998)J.Biol.Chem.273:19086-19092、Bijvoet,A.G.ら(1998)Hum.Mol.Genet.7:53-62)。組換えGAAのGAA−KOマウスへの投与により、おそらく受容体媒介性の取り込みを介する骨格筋によるGAAの取り込みおよびリソソームへのGAAの送達が実証された(Bijvoet,A.G.ら(1998)Hum.Mol.Genet.7:1815-1824)。ニホンウズラモデルは若年発症型GSD IIに類似しており、組換え酵素補充療法で治療されており成功を収めている(Kikuchi,T.ら(1998)J.Clin.Invest.101:827-833)。酵素治療は重症小児GSD IIに対する有効性を実証している;しかし、酵素治療の利点は頻繁な注入の必要性および組換えhGAAに対する抗体の阻害剤の開発の必要性によって制限されている(Amalfitano,Aら(2001)Genet.In Med.3:132-138)。酵素治療の別法または補助的療法として、GSD−IIを治療する遺伝子治療法の可能性が検討されている(Amlfitano,Aら(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:8861-8866、Ding,E.ら(2002)Mol.Ther.5:436-446、Fraites,T.J.ら(2002)Mol.Ther.5:571-578、Tshujino,S.ら(1998)Hum.Gene Ther.9:1609-1616)。
GAA−KOマウスモデルのマウス肝臓を標的としたhGAAをコードするアデノウイルス(Ad)ベクターの投与により、hGAAが肝臓から分泌され、他の組織に取り込まれることで、12日以内に骨格筋および心筋のグリコーゲン蓄積が回復した(Amalfitano,A.ら(1999)Prpc.Natl.Acad.Sci.USA96:8861-8866)。hGAAに対する抗体は肝臓におけるAdベクターによるhGAA分泌期間を短くしたが、ベクターDNAおよびhGAAは何週間も低いレベルで組織内に存在し続けた(Ding,E.ら(2002)Mol.Ther.5:436-446)。GAAをコードするアデノ随伴ウイルス2(AAV)ベクターの導入により、注射した骨格筋および注射した心筋のGAA活性が正常になり、AAV1−シュードタイプベクターを投与し、筋肉の形質導入が改善され、筋肉におけるグリコーゲン含量が正常なった(Fraites,T.J.ら(2002)Mol.Ther.5:571-578)。筋肉を標的にしたAdベクター遺伝子治療はニホンウズラモデルにおいて試みられていたが、ベクター注射部位のグリコーゲン蓄積は局所的にしか回復されなかった(Tsujino,S.ら(1998)Hum.Gene Ther.9:1609-1616)。
いくつかのげっ歯類疾患モデルにおける実験によって証明されているように、新生児の遺伝子治療は、出生後時間が経過してから投与するより大きな効果を生じる可能性がある。β−グルクロニダーゼ(glucoronidase)欠損(Sly病)マウスの出生2日目にAAVベクターを静脈内投与すると、治療的に適切なレベルのβ−グルクロニダーゼ(glucoronidase)が産生され、腎臓および肝臓を含む多数の組織におけるリソソーム性蓄積を回復させた(Daly,T.M.ら(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.USA96:2296-2300)。同様に、AAVベクターを筋肉内注射すると、持続的な治療レベルのβ−グルクロニダーゼ(glucoronidase)が発現し、筋肉および肝臓におけるリソソーム性蓄積を解消した(Daly,T.M.ら(1999)Hum.Gene Ther.10:85-94)。Sly病マウスでは新生児の筋肉内注射後の筋肉および肝臓の形質導入領域においてAAVベクターDNAが存続した(Daly,T.M.ら(1999)Hum.Gene Ther.10:85-94)。新生仔Slyマウスに投与したAAVベクター粒子の数は、成獣マウスにおいて治療的に適切なレベルのタンパク質を産生するのに必要とされるものより約100倍少なかった(Kessler,P.D.ら(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA93:14082-14087、Herzog,R.W.ら(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.USA94:5804-5809、Nakai,H.ら(1998)Blood91:4600-4607、Snyder,R.O.ら(1997)Nat.Genet.16:270-276、Koeberl,D.D.ら(1999)Hum.Gene Ther.10:2133-2140、Snyder,R.O.ら(1999)Natl.Med.5:64-70、Herzog,R.W.ら(1999)Nat.Med.5:56-63)。
例えば、リソソームポリペプチド欠損症を治療するためにGAAなどのリソソームポリペプチドをインビトロおよびインビボにおいて産生する改善された方法の必要性が当技術分野において存在する。さらに、罹患組織および器官にGAAおよび他のリソソームポリペプチドを全身送達する方法の必要性もある。
[発明の概要]
本発明は、一部には、GAAなどのリソソームポリペプチドを発現するための改善された核酸構築物の送達に基づいている。本発明の一態様は、分泌経路へ(すなわち、リソソームへの代わりに)のリソソームポリペプチドの標的化が増強されるように、分泌シグナル配列に作動可能に結合したリソソームポリペプチドを含むキメラポリペプチドをコードする単離核酸を提供する。別の態様として、本発明は、GAAのコード配列と「短縮型」3’非翻訳領域(3’UTR)を含む単離核酸を含む。本発明の単離核酸は、インビトロにおいて(例えば、培養細胞において)またはインビボにおいて(例えば、動物もしくは植物を使用するタンパク質産生系または治療的治療方法において)組換えリソソームポリペプチドを産生するために使用することができる。また、本発明の単離核酸を用いて、リソソームポリペプチドをコードする改善された(すなわち、より高い)力価のウイルスベクターを産生することができる。
従って、一態様として、本発明は、リソソームポリペプチド(例えば、GAA)に作動可能に結合した分泌シグナル配列を含むキメラポリペプチドをコードする単離核酸を提供する。リソソームポリペプチドに作動可能に結合した分泌シグナル配列を含むキメラポリペプチドも提供する。
別の態様として、本発明は、GAAコード配列と「短縮型」3’UTRを含む単離核酸を提供する。代表的な一実施態様において、本発明は、GAAをコードする単離核酸であって、(a)GAAをコードするコード領域と(b)細胞に導入されると、完全長のGAA3’UTRを含む単離核酸からのGAAポリペプチドの産生と比較して、GAAポリペプチドがより高いレベルで単離核酸から産生されるように欠損(例えば、連続する少なくとも25ヌクレオチドの欠損)を含むGAA3’UTRである短縮型3’UTRを含む単離核酸を提供する。例示的な実施態様において、3’UTRは、配列番号1のヌクレオチド3301〜3846として示す領域の欠損を含む(図8)。
別の代表的な実施態様において、本発明は、GAAをコードする単離核酸であって、(a)GAAをコードするコード領域と(b)細胞に導入されると、完全長のGAA3’UTRを含む単離核酸からのGAAポリペプチドの産生と比較して、GAAポリペプチドがより高いレベルで単離核酸から産生されるように、長さ約200ヌクレオチド未満であり、GAAコード領域に対して異種のセグメントを含む短縮型3’UTRを含む単離核酸を提供する。
他の特定の実施態様において、リソソームポリペプチドはヒトポリペプチドであり、および/または単離核酸は、肝細胞内で作動可能な転写制御要素(任意選択的に肝臓特異的転写制御要素)に作動可能に結合している。
追加の態様として、本発明は、さらに、本発明の単離核酸を含むベクター(非ウイルスベクターおよびウイルスベクターを含み、後者はアデノウイルス、AAVおよびアデノウイルス−AAVハイブリッドベクターを含む)、細胞および製剤を提供する。
さらに別の態様として、本発明は、本発明の単離核酸を含む送達ベクター(例えば、ウイルスベクター)を産生する方法を提供する。
また、リソソームポリペプチド(例えば、GAA)の欠損症を治療し、(例えば、培養細胞においてインビトロで、または動物もしくは植物を使用する組換えタンパク質発現系においてまたは治療目的のためにインビボにおいて)組換えリソソームポリペプチドを産生するために、本発明の単離核酸、ベクター、細胞および製剤を使用する方法も提供する。
例示的な実施態様において、本発明は、被験体(例えば、リソソームポリペプチド欠損症であると診断された被験体またはリソソームポリペプチド欠損症であることが疑われる被験体)にGAAなどのリソソームポリペプチドをコードする単離核酸を投与するために実施される。特定の代表的な実施態様において、リソソームポリペプチドをコードする本発明の単離核酸を、1箇所の蓄積(depot)組織または器官(例えば、臓器、骨格筋、肺等)に投与し、そこで、体循環(systemic circulation)(ここから、分泌されたポリペプチドが遠位標的組織(例えば、骨格筋、心筋および/または横隔膜筋)に取り込まれる)に分泌されるのに十分なレベルでポリペプチドを発現させることができる。同様に、単離核酸を、(例えば、Sly病などのMPS障害を治療するために)脳細胞に送達することができ、そこで、リソソームポリペプチドが発現され、分泌され、非形質転換または非形質導入脳細胞(例えば、ニューロンおよびグリア細胞)によって取り込まれうる。
別の特定の実施態様において、本発明のGAAをコードする単離核酸を発現する組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、GAA欠損症被験体の肝臓に投与され、GAAポリペプチドが肝臓から分泌されて、骨格筋および/または他の組織によって取り込まれ、有利なことに罹患組織のグリコーゲン含量を低下し、および/またはGAA欠損症の他の臨床指標を改善するように十分に高いレベルでGAAポリペプチドを産生する。
さらに別の態様として、本発明は、リソソームポリペプチド欠損症(例えば、GAA欠損症)を治療するための医薬品を製造する際の、本発明の単離核酸、ベクター、細胞および製剤の使用を提供する。
本発明のこれらの態様および他の態様は、以下に記載する本発明の説明にさらに詳細に記載されている。
[好ましい実施態様の詳細な説明]
本発明は、一部には、GAAなどのリソソームポリペプチドを発現するための改善された核酸構築物の発見に基づいている。本発明の一態様は、分泌経路へ(すなわち、リソソームへではなく)のリソソームポリペプチドの標的化を増強するように、分泌シグナル配列に作動可能に結合したリソソームポリペプチドを含むキメラポリペプチドをコードする単離核酸を提供する。別の態様として、本発明は、GAAのコード配列と「短縮型」3’UTRを含む単離核酸を含む。
本発明の単離核酸は、標的細胞にリソソームポリペプチド(例えば、GAA)を送達するため、または培養細胞もしくは組織または全動物系(例えば、酵素補充治療のため)において組換えタンパク質産生のために有利である。特定の実施態様において、本発明は、「蓄積」組織または器官(例えば、肝臓、骨格筋、肺)にリソソームポリペプチドのコード配列を送達するために実施することができ、この場合ポリペプチドは蓄積組織または器官において発現され、体循環に分泌され、標的組織(例えば、GAA欠損患者の骨格筋、心筋および/または横隔膜筋)に取り込まれる。代表的な実施態様において、肝臓から分泌されるGAAポリペプチドがGAA欠損に罹患している骨格筋および/または他の組織によって取り込まれることによって、グリコーゲンの蓄積が低下し、またはGAA欠損の他の臨床指標が改善される。他の実施態様において、単離核酸は脳内の細胞(例えば、ニューロンおよび/またはグリア細胞)に送達され、リソソームポリペプチドが形質転換または形質導入細胞によって産生されて分泌され、他の脳細胞によって取り込まれる。
本発明は、本発明の好ましい実施態様が示されている添付の図面を参照して記載される。本明細書において本発明の説明に使用する用語は、特定の実施態様を説明する目的のためだけであり、本発明を限定する意図のものではない。本発明は異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載する実施態様に限定すると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施態様は、本発明の開示が完全且つ完璧で、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように提供されている。例えば、一実施態様に関して例示されている特徴は他の実施態様に組み入れられてもよく、特定の実施態様に関して例示されている特徴はその実施態様から削除されてもよい。また、本明細書に示唆されている実施態様の数多くの変更および追加は本開示に照らして当業者に明らかであり、本発明から逸脱しない。
特に規定しない限り、本明細書において使用する全ての技術用語および化学用語は、本発明が属する当技術分野の当業者によって普通に理解されるものと同じ意味を持つ。
本明細書において記載する全ての文献、特許出願、特許および他の参照文献は、全体の内容が引用することにより組み入れられている。
特に示さない限り、本発明によるウイルスおよび非ウイルスベクターの産生、核酸配列の操作、形質転換細胞の産生、組換えタンパク質の産生等に標準的な方法を使用することができる。例えば、SAMBROOKら、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL第2版(Cold Spring Harbor、NY、1989年);F.M.AUSUBELらCURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY(Green Publishing Associates,Inc.and John Wiley&Sons,Inc.、ニューヨーク)を参照されたい。
[定義]
明示的または文脈によって、特に示さない限り、以下の用語は以下に記載するように本明細書において使用する。
本発明の説明および添付の特許請求の範囲において使用する単数形「ある1つのもの(a, an)」および「その1つのもの(the)」は、内容が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことが意図されている。
本明細書において使用する「ベクター」または「送達ベクター」は、細胞、組織または被験体に核酸を送達するために使用されるウイルスまたは非ウイルスベクターであってもよい。
「組換え」ベクターまたは送達ベクターは、1つ以上の異種ヌクレオチド配列(すなわち、導入遺伝子)、例えば、2、3、4、5またはそれ以上の異種ヌクレオチド配列を含むウイルスまたは非ウイルスベクターをいう。本発明の組換えベクターは、GAAをコードするが、1つ以上の追加の異種配列も含んでもよいヌクレオチド配列を含む。
本明細書において使用する「ウイルスベクター」または「ウイルス送達ベクター」という用語は、核酸送達媒体として機能し、ビリオン内にパッケージングされた組換えベクターゲノムを含むウイルス粒子をいうことができる。または、これらの用語は、ビリオンが存在しない場合に核酸送達媒体として使用される場合には、ベクターゲノムをいうために使用することができる。
ウイルス「ベクターゲノム」は、天然型または改変型のウイルスゲノムDNAまたはRNAをいう。「組換えベクターゲノム」は、1つ以上の異種ヌクレオチド配列を含むウイルスゲノム(例えば、vDNA)である。
「異種ヌクレオチド配列」は、典型的には、ベクターに天然に存在しない配列である。または、異種ヌクレオチド配列は、(例えば、天然には結合しないプロモーターに結合することによって)非天然環境におかれている配列をいうことができる。
本明細書において使用する「感染性」という用語は、ウイルスが自然の形質導入機序によって細胞内に入り、(異種ヌクレオチド配列を含む)ウイルス遺伝子を発現することができることを意味する。または、「感染性」ウイルスは、他の機序によって細胞内に入り、ウイルスゲノムによってコードされる遺伝子を発現することができるものである。例示的な一例として、ベクターは、ビリオン内に細胞表面受容体のリガンドもしくは結合タンパク質を発現することによって、または細胞表面の分子に対する抗体を使用することによって、複合体が内部移行し標的細胞に入ることができる。
本明細書において使用するAAVによる細胞の「形質導入」は、AAVが細胞に入り、潜伏感染を確立することを意味する。例えば、BERNARD N.FIELDSらVIROLOGY、2巻、69章(第3版、Lippincott-Raven Publishers)を参照されたい。
ウイルスベクターに言及して本明細書において使用する「複製」という用語は、具体的には、ベクターゲノム(すなわち、ビリオンDNAまたはRNA)の複製(すなわち、新たなコピーを産生すること)をいう。
ウイルスベクターに言及して本明細書において使用する「増殖」という用語は、ウイルスゲノムが複製され、パッケージングされて、典型的には最初に感染した細胞から、細胞の感染によって「伝播する」ことができる新たなビリオンを産生する増殖性ウイルス感染をいう。「増殖−欠損」ウイルスは、増殖性ウイルス感染を生じて、最初に感染した細胞から伝播する能力が損なわれている。
本明細書において使用する「ポリペプチド」という用語は、特に示さない限り、ペプチドおよびタンパク質の両方を含む。
「キメラポリペプチド」は、天然には一体として融合された状態で見出されない2つ(または2つ以上)の異なるポリペプチドまたはその断片をコードする2つの異種遺伝子またはその断片が適切な翻訳リーディングフレームに一体として融合される場合に産生されるポリペプチドである。例示的なキメラポリペプチドには、GAAまたは他のリソソームポリペプチドがグルタチオン−S−トランスフェラーゼ、マルトース−結合タンパク質またはレポータータンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質、β−グルクロニダーゼおよびβ−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ)の全てまたは一部に融合したものが挙げられる。本発明の特定の実施態様において、キメラポリペプチドは、リソソームポリペプチド(例えば、GAA)に作動可能に結合した分泌シグナル配列を含む。
本明細書において使用する「機能的」ポリペプチドは、そのポリペプチドに通常関連する少なくとも1つの生物作用を保持するものである。好ましくは、「機能的」ポリペプチドは、未改変ポリペプチドは保有する作用の全てを保持する。生物作用を「保持する」は、ポリペプチドが未変性のポリペプチドの生物作用の少なくとも約50%、60%、75%、85%、90%、95%、97%、98%、99%またはそれ以上を保持すること(および未変性のポリペプチドより高いレベルの作用を有することができることを)を意味する。「非機能的」ポリペプチドは、ポリペプチドに通常関連する生物作用が本質的に全く検出不可能であるものである(例えば、せいぜい、微々たるにすぎない量、例えば、約10%または場合によっては5%未満)。
本明細書において使用する「単離」核酸(例えば、「単離DNA」または「単離ベクターゲノム」)は、天然型生物またはウイルスの他の成分(例えば、通常、細胞もしくはウイルスの構造成分または核酸に関連して見出される他のポリペプチドもしくは核酸)の少なくとも一部から分離されているまたはそれを実質的に含まない核酸を意味する。
同様に、「単離」ポリペプチドは、天然型生物またはウイルスの他の成分(例えば、通常、細胞もしくはウイルス構造成分またはポリペプチドに関連して見出される他のポリペプチドもしくは核酸)の少なくとも一部から分離されているまたはそれを実質的に含まないポリペプチドを意味する。
本明細書において使用する「治療的に有効な」量は、被験体に幾分かの改善または利益を提供するのに十分な量である。言い換えると、「治療的に有効な」量は、被験体の少なくとも1つの臨床症状の幾分かの軽減、緩和または低下を提供する量である。例示すると、GAA欠損症の場合では、GAA欠損症の少なくとも1つの臨床症状の幾分かの軽減、緩和または低下を提供する量(例えば、骨格筋、横隔膜筋および/または心筋のグリコーゲン蓄積の低下、筋肉の強度および機能の改善、肺機能の改善、運動発達の改善または運動発達指標の達成、人工呼吸器によるサポートの必要性の低下またはその必要性の回避、心不全または心肺不全の回避、未熟児の死亡率の低下等)。治療的影響は、幾分かの利益が被験体に提供される限り、完全または治癒的である必要はないことを当業者は理解している。
「治療する」または「治療」という用語は、患者の状態の重症度が低下または少なくとも部的に改善されることおよび少なくとも1つの臨床症状の幾分かの軽減、緩和、遅延または低下が達成されることを意図する。
組織の「グリコーゲン蓄積の低下」は、特に示さない限り、特定の組織の総グリコーゲンの約25%、35%、40%、50%、60%、75%、85%、90%、95%またはそれ以上の低下(例えば、リソソームグリコーゲン蓄積またはプールした組織における低下)を示すことを意図する。
核酸コード配列、特にGAAコード配列「を発現する」または「の発現」という用語は、配列が転写され、任意選択的に翻訳されることを意味する。しかし、一般に、本発明によると、「発現する」または「発現」という用語は、コード配列が転写、翻訳されて、コードされたポリペプチドが産生されることを意図する。
核酸発現またはポリペプチド産生に関する「増強される」または「増強」(または文法的な変形体)は、示した核酸またはポリペプチドの定常状態レベルの、例えば、少なくとも約20%、25%、40%、50%、60%、75%、2倍、2.5倍、3倍、5倍、10倍、15倍、20倍、30倍、50倍、100倍またはそれ以上の増加および/または延長を意味する。
特に示さない限り、ポリペプチド分泌に関する「増強される」または「増強」という用語(または文法的な変形体)は、細胞から分泌されるポリペプチドの相対的な割合の、例えば、少なくとも約20%、25%、40%、50%、60%、75%、2倍、2.5倍、3倍、5倍、10倍、15倍、20倍、30倍、50倍、100倍またはそれ以上の増加を示す。
[II.リソソームポリペプチドを産生するための改善された構築物]
以下にさらに詳細に記載するように、本発明は、リソソームポリペプチド、例えば、リソソームを標的とするポリペプチドを産生するための改善された構築物を提供する。当技術分野において既知のように、多数のリソソームタンパク質はマンノース−6−ホスフェート残基の存在によって特徴づけられ、本発明の実施態様において、リソソームポリペプチドはマンノース−6−ホスフェートグリコシル化を含む。他の代表的な実施態様において、リソソームポリペプチドは、リソソーム性蓄積症(例えば、リソソームポリペプチドの欠損または欠陥による)に関連するものである。「リソソーム性蓄積症に関連する」は、リソソームポリペプチドがリソソーム性蓄積症において欠損しているまたは欠陥があるものであるか、またはリソソーム性蓄積症の原因物質であることを意味する。
当技術分野において既知であるように、多数のリソソーム性蓄積症が存在する。例示的なリソソーム性蓄積症には、グリコーゲン蓄積病II型(GSD IIまたはポンペ病)、GM1ガングリオシドーシス、テイ−サックス病、GM2ガングリオシドーシス(AB異型)、サンドホッフ病、ファブリー病、ガウチャー(Gaucher)病、異染性白質ジストロフィー、クラッベ病、ニーマン−ピック病(A〜D型)、ファーバー病、ウォルマン病、ハーラー症候群(MPS III)、シャイエ症候群(MPS IS)、ハーラー−シャイエ症候群(MPS IH/S)、ハンター症候群(MPS II)、サンフィリップポA症候群(MPS IIIA)、サンフィリッポB症候群(MPS IIIB)、サンフィリッポC症候群(MPS IIIC)、サンフィリッポD症候群(MPS IIID)、モルキオA病(MPS IVA)、モルキオB病(MPS IVB)、マルトー−ラミー病(MPS VI)、スライ(Sly)症候群(MPS VII)、α−マンノシドーシス、β−マンノシドーシス、フコシドーシス、アスパルチルグルコサミン尿症、シアリドーシス(ムコリピドーシス I)、ムコリピドーシスII(I−Cell病)、ムコリピドーシスIII(疑似−ハーラーポリジストロフィー)、ムコリピドーシスIV、ガラクトシアリドーシス(ゴールドベルグ(Goldberg)症候群)、シンドラー病、シスチン症、サラ病、小児シアル酸蓄積症、バテン(Batten)病(若年型神経セロイドリポフスチノーシス)、小児神経セロイドリポフスチノーシスおよびプロサポシンが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明によるリソソーム性蓄積症に関連するリソソームポリペプチドには、リソソーム酸性α−グルコシダーゼ(GAA;酸性マルターゼとしても既知である)、α−ガラクトシダーゼ、A、β−ガラクトシダーゼ、β−ヘキソサミニダーゼA、β−ヘキソサミニダーゼB、GM2活性化タンパク質、グルコセレブロシダーゼ、アリールスルファターゼA、ガラクトシルセラミダーゼ、酸性スフィンゴミエリナーゼ、酸性セラミダーゼ、酸性リパーゼ、α−L−イズロニダーゼ、イズロン酸スルファターゼ、ヘパランN−スルファターゼ、α−N−アセチルグルコサミニダーゼ、グルコサミニドアセチルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−スルファターゼ、アリールスルファターゼB、β−グルクロニダーゼ、α−マンノシダーゼ、β−マンノシダーゼ、α−L−フコシダーゼ、N−アスパルチル−β−グルコサミニダーゼ、N−アセチルガラクトサミン4−スルファターゼ、α−ニューラミニダーゼ、リソソーム性保護タンパク質、α−N−アセチル−ガラクトサミニダーゼ、N−アセチルグルコサミン−1−ホスホトランスフェラーゼ、シスチン輸送タンパク質、シアル酸輸送タンパク質、CLN3遺伝子産物、パルミトイル−タンパク質チオエステラーゼ、サポシンA、サポシンB、サポシンCおよびサポシンDが挙げられるが、これらに限定されない。
リソソーム酸性α−グルコシダーゼまたは「GAA」(E.C.3.2.1.20)(1,4−α−D−グルカングルコヒドロラーゼ(glucohydrolase))は、オリゴ糖のα−1,4およびα−1,6結合を加水分解してグルコースを遊離するエキソ−1,4−α−D−グルコシダーゼである。GAAの欠損は、ポンペ病とも言われる(が、この用語は、正式には、小児発症型の疾患をいう)グリコーゲン蓄積病II型を生じる。それは、分岐点において分解速度が低下するが、グリコーゲンの完全な分解を触媒する。第17染色体の28kbのヒト酸性α−グルコシダーゼ遺伝子は、951アミノ酸のポリペプチドを産生する3.6kbのmRNAをコードする(Hoefslootら、(1988)EMBO J.7:1697;Martiniukら、(1990)DNA and Cell Biology9:85)。この酵素は、小胞体内で共翻訳的(co-translationally)なN結合グリコシル化を受ける。それは110kDaの前駆体型として合成され、広範なグリコシル化修飾、リン酸化並びに約90kDaのエンドソーム中間体を介する最終的なリソソーム76および67kDa型へのタンパク質分解プロセッシングによって成熟化する(Hoefsloot、(1988)EMBO J.7:1697;Hoefslootら、(1990)Biochem.J.272:485;Wisselaarら、(1993)J.Biol.Chem.268:2223;Hermansら、(1993)Biochem.J.289:681)。
GSD II患者では、酸性α−グルコシダーゼの欠損はリソソーム内へのグリコーゲンの大量の蓄積を生じ、細胞機能を乱す(Hirschhorn,RおよびReuser,A.J.(2001)、The Metabolic and Molecular Basis for Inherited Disease(Scriver,C.R.ら編)3389-3419(McGraw-Hill、ニューヨーク)。最も一般的な小児型では、患者は進行性の筋肉変性および心筋症を呈し、2歳を迎えることなく死亡する。若年型および成人発症型では重症の衰弱が存在する。
本明細書において使用する「GAA」または「GAAポリペプチド」は成熟型(〜76または〜67kDa)および前駆体(例えば、〜110kDa)GAA並びに生物学的機能を保持する(すなわち、天然型GAAタンパク質の少なくとも1つの生物作用を有する、例えば、上記に規定するように、グリコーゲンを加水分解することができる)改変型(例えば、切断型または挿入、欠損および/または置換による突然変異型)GAAタンパク質またはそれらの断片およびGAA変異体(例えば、Kunitaら、(1997)Biochemica et Biophysica Acta 1362:269に記載されているGAA II;GAA多型およびSNPはHirschhorn,R.およびReuser,A.J.(2001)によってThe Metabolic and Molecular Basis for Inherited Disease(Scriver,C.R.、Beaudet,A.L.、Sly,W.S.&Valle,D.編)、3389-3419.McGraw-Hill、ニューヨークに記載されており、3403-3405を参照されたい;各々全体の内容が引用することにより本明細書に組み入れられている)を含む。当技術分野において既知の任意のGAAコード配列を使用することができ、例えば、図8および9のコード配列を参照されたい;GenBank Accession番号NM#00152およびHoefslootら、(1988)EMBO J.7:1697およびVan Hoveら、(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA93:65(ヒト)、GenBank Accession番号NM#008064(マウス)およびKunitaら、(1997)Biochemica et Biophysica Acta 1362:269(ウズラ);開示内容は、GAAコード配列および非コード配列の教示のために引用することにより本明細書に組み入れられている。
同様に、本明細書において使用する「リソソームポリペプチド」という用語は、成熟型および前駆体リソソームポリペプチド並びに生物学的機能を保持する(すなわち、天然型リソソームポリペプチドの少なくとも1つの生物作用を有する)改変型(例えば、切断型または挿入、欠損および/または置換による突然変異型)リソソームポリペプチドまたはそれらの断片およびリソソームポリペプチド変異型を含む。
リソソームポリペプチドのコード配列は、鳥類およびほ乳類種を含む任意の起源から誘導することができる。本明細書において使用する「鳥類」という用語は、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、七面鳥およびキジを含むが、これらに限定されない。本明細書において使用する「ほ乳類」という用語は、ヒト、サルおよびヒト以外の他の霊長類、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ネコ、イヌ、ウサギ等を含むが、これらに限定されない。本発明の実施態様において、本発明の核酸はヒト、マウスまたはウズラリソソームポリペプチドをコードする。
[A.分泌経路にリソソームポリペプチドを標的化するための構築物]
リソソームタンパク質は、一般に、小胞体内腔に新生タンパク質を共翻訳的に移動させるアミノ末端シグナルペプチドを有する。リソソームポリペプチドは分泌経路から分岐して、少なくとも3つの別個の経路によってリソソームに向かうと考えられている(例えば、Wisselaarら、(1993)J.Biol.Chem.268:2223-31を参照されたい)。これらのうち最も検討されているのは、ポリペプチドのリソソームへの輸送を誘導する、ホスホマンノシル受容体によって認識されるマンノース−6−ホスフェート残基の翻訳後付加に関係する。
ヒトGAAポリペプチドの最初の27アミノ酸はリソソームおよび分泌タンパク質のシグナルペプチドに特有である。GAAは、ホスホマンノシル受容体を介しておよび/またはシグナルペプチドの切断遅延に関連する配列によってリソソームを標的とすることができる(Hirschhorn,R.およびReuser,A.J.(2001)、The Metabolic and Molecular Basis for Inherited Disease、(Scriver,C.R.ら編)3389-3419 (McGraw-Hill、ニューヨーク)。この酵素の膜結合前駆体型(すなわち、未切断シグナルペプチドによって固定されている)が小胞体内腔において同定されている(例えば、Wisselaarら、(1993)J.Biol.Chem.268:2223-31を参照されたい)。
本発明は、ポリペプチドの分泌経路への標的化を増強するシグナルペプチドに融合されているリソソームポリペプチド(例えば、GAA)をコードする単離核酸を提供する。細胞からのリソソームポリペプチドの分泌は数多くの利点を提供する。例えば、組換えタンパク質産生系(培養細胞/組織または全動物系)では、一般に、細胞を回収して細胞内タンパク質を単離するのではなく細胞外培地または流体から分泌されたポリペプチドを精製することが好ましい。治療的方法に関しては、GAAノックアウトマウスモデルの肝臓を標的としたhGAAをコードするAdベクターの投与は、肝臓からhGAAが分泌され、罹患組織によって取り込まれることによって、骨格筋および心筋におけるグリコーゲン蓄積を回復させたことが示されている(Amalfitanoら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA96:8861-8866)。おそらく、多量のGAAの分泌(すなわち、リソソーム標的化ではなく)は、Adベクターによって送達されるGAA導入遺伝子の過剰発現および通常、細胞外リソソームタンパク質をリソソームに再誘導する「スカベンジャー」システムの飽和の結果であったと思われる。
本発明は、有利なことに、形質導入または形質移入した細胞からのリソソームポリペプチドの分泌を増強する改善された構築物を提供する。これらの構築物は、別の送達システム(例えば、肝臓への送達のためのAAVベクター)の使用を促進し、リソソームポリペプチドの分泌を増強し(例えば、インビボにおける遺伝子送達、またはインビトロにおける酵素産生のため)、蓄積臓器における組換えタンパク質の過剰蓄積によって生じる可能性のある細胞毒性または臓器毒性(例えば、肝毒性)を低下または回避することができる。
従って、本発明は、リソソームポリペプチド(例えば、GAA)に作動可能に結合した分泌シグナル配列を含むキメラポリペプチドをコードする単離核酸と、そのキメラポリペプチドを含む。分泌シグナル配列はリソソームポリペプチドに対して外来性(例えば、外因性)である。分泌シグナル配列は、典型的には、新生ポリペプチドのアミノ末端に位置すると当業者は理解しているが、本発明による分泌シグナル配列は、分泌シグナル配列として機能し(例えば、リソソームポリペプチドの分泌を増強する)、リソソームポリペプチドを機能のないものにしない限り、キメラポリペプチドの任意の位置(例えば、N末端、成熟ポリペプチド内またはC末端)に位置してもよい。
本明細書において使用する「分泌シグナル配列」という用語またはその変形は、未処理のリソソームポリペプチドで見られる分泌レベルと比較したとき、作動可能に結合したリソソームポリペプチドの細胞からの分泌を(上記に規定するように)増強する機能をするアミノ酸配列をいうことを意図している。上記に規定する「分泌の増強」は、細胞によって合成され、細胞によって分泌されるリソソームポリペプチドの相対的な割合が増加されることを意味する。分泌されるタンパク質の絶対量も増加される必要はない。本発明の特定の実施態様において、ポリペプチドの本質的に全て(すなわち、少なくとも95%、97%、98%、99%またはそれ以上)が分泌される。しかし、未処理のリソソームポリペプチドと比較したとき、分泌レベルが増強される限り、リソソームポリペプチドの本質的に全てまたは場合によっては、ほとんどが分泌される必要はない。
特定の実施態様において、リソソームポリペプチドの少なくとも約50%、60%、75%、85%、90%、95%、98%またはそれ以上が細胞から分泌される。
細胞から分泌される新たに合成されたリソソームポリペプチドの相対的な割合は、当技術分野において既知であり、実施例に記載する方法によって通常求めることができる。分泌されるタンパク質は、(例えば、ウェスタンブロット法によって)タンパク質自体を直接測定することによってまたは細胞培養培地、血清、乳汁等におけるタンパク質活性のアッセイ(例えば、酵素アッセイ)によって検出することができる。
一般に、分泌シグナル配列は小胞体内で切断され、本発明の特定の実施態様において、分泌シグナル配列は分泌前に切断される。しかし、リソソームポリペプチドの細胞からの分泌が増強され、リソソームポリペプチドが機能的である限り、分泌シグナル配列は切断される必要はない。従って、本発明の実施態様において、分泌シグナル配列は部分的または完全に保持される。
従って、本発明の特定の実施態様において、分泌シグナル配列に作動可能に結合したリソソームポリペプチドを含むキメラポリペプチドをコードする単離核酸が細胞に送達され、キメラポリペプチドが産生され、リソソームポリペプチドが細胞から分泌される。リソソームポリペプチドは、分泌シグナル配列の全てまたは一部の切断後に分泌される場合もある。または、リソソームポリペプチドが分泌シグナル配列を保持する場合もある(すなわち、分泌シグナル配列は切断されない)。従って、これに関しては、「リソソームポリペプチド」はキメラポリペプチドであってもよい。
追加のアミノ酸が分泌シグナル配列またはリソソームポリペプチドを機能的でないものにしない限り、キメラポリペプチドは、例えば、制限部位の追加などの核酸構築物の操作の結果として追加のアミノ酸を含有することができることを当業者はさらに理解している。追加のアミノ酸は切断されても、または切断されないことによってポリペプチドが機能的でないものにならない限り、成熟ポリペプチドに保持されてもよい。
代表的な実施態様において、分泌シグナル配列は、未処理のリソソームポリペプチドに見られるリーダー配列のほとんど、本質的に全てまたは全てを置換する。特定の実施態様において、リソソームポリペプチドの分泌が増強され、成熟型リソソームポリペプチドが機能的である限り、未処理のリーダー配列のほとんどまたは全てが保持される。
分泌シグナル配列は、全てまたは一部が、分泌されるポリペプチドの分泌シグナルから誘導されても(すなわち、前駆体由来)、および/または全てまたは一部が合成であってもよい。分泌シグナル配列は、動物(例えば、鳥類並びにヒト、サルおよびヒト以外の他の霊長類、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、ウサギなどのほ乳類)、植物、酵母、細菌、原生動物または真菌を含む任意の起源種由来であってもよい。分泌シグナル配列の長さは重要ではない。一般に、既知の分泌シグナル配列は長さ約10〜15から50〜60アミノ酸である。さらに、分泌されるポリペプチドの既知の分泌シグナルは、結果として生じる分泌シグナル配列が、作動可能に結合したリソソームポリペプチドの分泌を増強する機能をする限り、(例えば、アミノ酸の置換、欠損、切断または挿入によって)変更または改変されてもよい。
本発明の分泌シグナル配列は、天然型分泌シグナル配列または(上記の)改変型を含んでも、本質的に天然型分泌シグナル配列または(上記の)改変型からなってもまたは天然型分泌シグナル配列または(上記の)改変型からなってもよい。細胞からの分泌を誘導する数多くの分泌タンパク質および配列が当技術分野において既知である。例示的な分泌タンパク質(およびそれらの分泌シグナル)には:エリスロポエチン、凝固因子第IX因子、シスタチン、ラクトトランスフェリン、血漿プロテアーゼC1インヒビター、アポリポプロテイン(例えば、APO A、C、E)、MCP−1、α−2−HS−糖タンパク質、α−1−ミクログロブリン(microgolubilin)、補体(例えば、C1Q、C3)、ビトロネクチン、リンホトキシン−α、アズロシジン、VIP、メタロプロテイナーゼインヒビター2、グリピカン−1、膵臓ホルモン、クラステリン、肝細胞増殖因子、インスリン、α−1−アンチキモトリプシン、成長ホルモン、IV型コラゲナーゼ、グアニリン、プロペルジン、プロエンケファリンA、インヒビンβ(例えば、α鎖)、プレアルブミン、アンギオゲニン、ルトロピン、(例えば、β鎖)、インスリン−様増殖因子結合タンパク質1および2、プロアクチベーターポリペプチド、フィブリノーゲン(例えば、β鎖)、胃トリアシルグリセロールリパーゼ、ミドカイン、好中球デフェンシン1、2および3、α−1−アンチトリプシン、マトリックスグラ−タンパク質、α−トリプターゼ、胆汁酸塩−活性化型−リパーゼ、キモトリプシノーゲンB、エラスチン、IGλ鎖V領域、血小板因子4変異型、クロモグラニンA、WNT−1プロト−オンコジーンタンパク質、オンコスタチンM、β−ネオエンドルフィン−ダイノルフィン、フォンウィレブランド因子、血漿セリンプロテアーゼインヒビター、血清アミロイドAタンパク質、ニドゲン、フィブロネクチン、レニン、オステオネクチン、ヒスタチン3、ホスホリパーゼA2、軟骨基質タンパク質、GM−CSF、マトリリシン、MIP−2−β、神経内分泌タンパク質7B2、胎盤タンパク質11、ガルソリン、IGF1および2、M−CSF、トランスコバラミンI、ラクターゼ−フロリジン水解酵素、エラスターゼ2B、ペプシノーゲンA、MIP 1−β、プロラクチン、トリプシノーゲンII、ガストリン−放出ペプチドII、心房性ナトリウム利尿因子、分泌型アルカリ性ホスファターゼ、膵臓α−アミラーゼ、セクレトグラニンI、β−カゼイン、セロトランスフェリン、組織因子経路インヒビター、フォリトロピンβ−鎖、凝固因子XII、成長ホルモン−放出因子、前立腺精漿タンパク質、インターロイキン(例えば、2、3、4、5、9、11)、インヒビン(例えば、α鎖)、アンギオテンシノーゲン、サイログロブリン、IG重鎖または軽鎖、プラスミノーゲン活性化因子インヒビター−1、リゾチームC、プラスミノーゲン活性化因子、アンチロイコプロテアーゼ1、スタテリン、フィブリン−1、アイソフォームB、ウロモジュリン(uromodulin)、チロキシン結合グロブリン、アキソニン−1、子宮内膜α−2グロブリン、インターフェロン(例えば、α、β、γ)、β−2−ミクログロブリン、プロコレシストキニン、プロガストリクシン、前立腺酸性ホスファターゼ、骨シアロタンパク質II、コリパーゼ、アルツハイマーアミロイドA4タンパク質、PDGF(例えば、AまたはB鎖)、凝固因子V、トリアシルグリセロールリパーゼ、ハプトグロブリン(haptotoglobuin)−2、副腎皮質ステロイド−結合グロブリン、トリアシルグリセロールリパーゼ、プロリラキシンH2、ホリスタチン1および2、血小板糖タンパク質IX、GCSF、VEGF、ヘパリンコファクターII、アンチトロンビン−III、白血病抑制因子、間質コラゲナーゼ、プレイオトロフィン、小型誘導型サイトカイン(small inducible cytokine)A1、mラニン濃縮ホルモン、アンジオテンシン変換酵素、膵臓トリプシンインヒビター、凝固因子VIII、α−フェトプロテイン、α−ラクトアルブミン、セノゲリン(senogelin)II、κカゼイン、グルカゴン、サイロトロピンβ鎖、トランスコバラミンII、スロンボスポンジン1、副甲状腺ホルモン、バゾプレッシンコペプチン、組織因子、モチリン、MPIF−1、キニノゲン、神経内分泌、コンバターゼ2、幹細胞因子プロコラーゲンα1鎖、血漿カリクレイン、ケラチノサイト増殖因子並びに任意の他の分泌ホルモン、増殖因子、サイトカイン、酵素、凝固因子、乳タンパク質、免疫グロブリン鎖等が挙げられるが、これらに限定されない。
他の特定の実施態様において、分泌シグナル配列は、肝細胞によって産生される分泌ポリペプチド(secreted polypeptide)から部分的にまたは全体的に誘導される。
本発明の分泌シグナル配列は全体的または部分的に合成または人工的であってもよい。合成または人工的分泌シグナルペプチドは当技術分野において既知であり、例えば、開示内容が全体として本明細書に組み入れられている、Barashら、「Human secretory signal peptide description by hidden Markov model and generation of a strong artificial signal peptide for secreted protein expression」、Biochem.Biophys.Res.Comm.294:835-42(2002)を参照されたい。特定の実施態様において、分泌シグナル配列は、人工的分泌シグナル:MWWRLWWLLLLLLLLWPMVWA(配列番号5)または1、2、3、4または5アミノ酸置換(任意選択的に、同類アミノ酸置換、同類アミノ酸置換は当技術分野において既知である)を有するその変種を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる。
キメラポリペプチドをコードする単離核酸は、以下にさらに詳細に記載する「短縮型」3’UTRをさらに含んでもよい。
[B.「短縮型」GAA構築物]
本発明は、一部には、3’非翻訳領域(UTR)が欠損または変更(例えば、置換)されているリポソーム酸性α−グルコシダーゼ(GAA)を発現する構築物は、欠損のないまたは変更のない構築物と比較して、有利な特性を有しうるという発見に基づいている。例えば、3’UTR欠損またはそれ以外の「短縮型」3’UTR GAA構築物(以下にさらに詳細に記載されている)をウイルスベクター(例えば、AAVベクター)にパッケージングする効率を改善することができる。さらに、完全長の構築物(例えば、配列番号1;図8)と比較して、GAA mRNAおよび/またはポリペプチドの発現レベルを増強することができる(例えば、より高いレベルの転写および/または翻訳および/またはmRNA転写物および/またはポリペプチドのより長い半減期の結果として)。
本発明は、GAAのコード配列と「短縮型」3’非翻訳領域(UTR)を含む、GAAをコードする単離核酸を提供する。「短縮型」3’UTRは、未変性のGAA3’UTR配列と比較して変更されている(例えば、配列番号1の3’UTRはnt3301〜3846までである;図8も参照されたい)。代表的な実施態様において、短縮型3’UTRは、欠損型GAA3’UTRを含む、本質的に欠損型GAA3’UTRからなるまたは欠損型GAA3’UTRからなる。他の実施態様において、短縮型3’UTRは未変性のGAA3’UTRと比較して短くされており、部分的または全体的に合成3’UTR配列であってもよい異種3’UTRの領域を含むように変更されている。本発明のこれらの実施態様は以下にさらに詳細に考察されている。GAAをコードし、本発明の短縮型3’UTRを含む単離核酸は高いレベルのGAAポリペプチド発現を提供することができる。特定の実施態様において、短縮型構築物はウイルスベクター(例えば、rAAVベクター)にさらに効率的にパッケージングされうる。
本発明の短縮型3’UTRは、全ての他の必要な調節要素の存在下において、作動可能に結合したGAAコード配列からの機能的なGAAポリペプチドの発現を可能にする機能的3’UTRをコードする。例示的な実施態様において、GAAのコード配列および短縮型3’UTRを含む単離核酸は、本明細書において上記する、GAAコード配列に作動可能に結合した分泌シグナル配列をさらに含む。
本発明の任意の特定の理論に拘束したくはないが、GAAをコードする「短縮型」3’UTR核酸の改善された特性は、全体的なサイズの短縮化および/または阻害領域(例えば、転写を低下する、mRNA転写物を不安定化するおよび/または翻訳を阻害する領域)の除去の結果でありうる。サイトカインのmRNA(例えば、ShawおよびKamen、(1986)Cell46:659-67;Reevesら、(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA84:6531-35)およびHIV gag遺伝子(例えば、Schwartzら、(1992)J.Virology66:150-159;Schwartzら、(1992)J.Virol.66:7176-82)を不安定化する短い配列の例が記載されている。
特定の実施態様において、GAAコード配列および短縮型3’UTRを含む単離核酸は長さ約4.5、4.4、4.3、4.2、4.1、4、3.9または3.8kb未満である。代表的な実施態様により例示するためには、5’および3’UTR配列を含むGAA発現構築物は長さ約4.5、4.4、4.3、4.2、4.1、4、3.9または3.8kb未満である。
GAAをコードする単離核酸は、GAA遺伝子の5’UTRの全てまたは一部をさらに含んでもよい5’UTRをさらに含んでもよい。5’UTRに欠損のあるヒトGAA配列はすでに記載されており、例えば、配列番号1(図8)の5’UTRの1〜409が欠損している、Van Hoveら(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA93:65を参照されたい(また、配列番号3;図9も参照されたい)。または、5’UTRは全体または一部が異種遺伝子(すなわち、GAA遺伝子以外の遺伝子)から誘導されてもおよび/または全部または一部が合成配列を含んでもよい。
一態様として、本発明は、GAAをコードする単離核酸であって、(i)GAAをコードするGAAコード配列と、(ii)欠損を有するGAA3’UTR領域を含む単離核酸を提供する。
「GAAポリペプチドをコードするコード領域」は、転写および翻訳されて機能的GAAポリペプチドまたはその機能的断片を生ずることができるヌクレオチド配列を含む(上記を参照されたい)。このようなコード配列は非翻訳配列(例えば、イントロン配列)を含む場合がある。
「GAA3’UTR領域」は、GAAタンパク質をコードする遺伝子の領域の下流(すなわち、3’側)に位置するGAA遺伝子の非翻訳核酸配列をいう。
「欠損型」GAA3’UTRは、GAA発現構築物の3’UTR領域から少なくとも1つのヌクレオチドが脱落していることを意図している。欠損は約25、50、100、150、200、300、400連続ヌクレオチドまたはそれ以上より大きくてもよい。特定の実施態様において、3’UTRの本質的にすべてが欠損している。「本質的に全ての」は、無傷の3’UTRの取るに足らない断片だけ(すなわち10、20または30ヌクレオチド未満)が残存していることを意味する。例えば、制限酵素を使用するとき3’UTRの本質的に全てのUTRが好都合なことに除去されうるが、必ずしも全てが除去されるわけではない(すなわち、制限酵素による切断後にいくつかの残存ヌクレオチドが残る場合がある)またはいくつかの非翻訳ヌクレオチドがクローニング手法のアーチファクトとしてコード配列の3’側に残存する場合がある。
別の方法で記載すると、GAA3’UTRの少なくとも25%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%またはそれ以上が欠損されてもよい。さらに別の方法として、本発明の実施態様において、「欠損型GAA3’UTR」は長さ約300、250、200、175、150、125、100、75、50、30、20または10ヌクレオチドまたはそれ以下より短い。
本発明の特定の実施態様において、欠損型3’UTRは、配列番号1に提供されるヒトGAA配列の3’UTR(配列番号1の3’UTRは、nt3301〜3846である;図8も参照されたい)の欠損型を含む、本質的にそれからなるまたは本質的にそれを含む。例えば、欠損型3’UTRは配列番号3に示す3’UTR(配列番号3の3’UTRはnt2878〜3012である;図9も参照されたい)を含んでもよい、本質的にそれからなってもよいまたはそれからなる。
配列番号1および配列番号8のGAA配列における3’UTRを参照すると(nt3301〜3846)、欠損型3’UTRは配列番号1のnt3301〜3846の欠損を含んでもよい。欠損はまた、約nt3400〜nt3500、nt3500〜nt3600、nt3600〜nt3700、nt3700〜nt3800、nt3800〜nt3846、nt3301〜nt3450、nt3450〜3600、nt3600〜nt3750、nt3750〜3846、nt3301〜nt3500、nt3400〜nt3600、nt3500〜nt3700、nt3600〜3800、nt3700〜nt3846、nt3301〜nt3600、nt3400〜nt3700、nt3500〜nt3800、nt3600〜nt3846、nt3301〜nt3700、nt3400〜nt3800、nt3500〜nt3845、nt3300〜nt3800またはnt3400〜nt3486を含んでもよい。
欠損は断続的であってもよく、すなわち、ヌクレオチド配列の2箇所以上の領域が欠損されて、本明細書に記載する機能的な改善を示してもよい。または、連続ヌクレオチドが欠損してもよい。さらに、欠損は、3’UTRの内部にあってもよく、また3’UTRのどちからの末端から開始してもよい。例えば、3’UTR配列は、3’UTRの5’または3’末端から50、100、200、300または400ntまたはそれ以上が切断されていてもよい。
本発明の範囲内の欠損型および無傷の(すなわち、欠損型3’UTRが誘導される)GAA3’UTR領域は本明細書に具体的に開示するものから逸脱することができることおよび任意の好適なGAAコード配列またはGAA3’UTRを使用することができることを当業者は容易に理解する。GAAコード配列および3’UTRは、置換または挿入などの他の変更を含んでもよい。例えば、GAA3’UTRはいくつかの異種配列を含んでもよいことが理解される(例えば、ポリAシグナルは、ヒトまたはウシ成長ホルモン遺伝子などの別の遺伝子由来であってもよい)。
本発明の実施態様において、GAAをコードする3’UTR欠損型核酸は、当業者に既知の標準的な条件下において本明細書に具体的に開示する3’UTR欠損型核酸配列(すなわち、配列番号3)にハイブリダイゼーションし、機能的GAAポリペプチド(上記に規定する)をコードする。
他の実施態様において、本発明の欠損型GAA3’UTRは、当業者に既知の標準的な条件下において、本明細書に具体的に開示する欠損型GAA3’UTR配列(例えば、配列番号3のnt2878〜3012)にハイブリダイゼーションし、作動可能に結合しているGAAコード配列からの機能的GAAポリペプチドの発現を可能にする。
さらに別の実施態様において、GAAをコードする単離核酸のコード配列は、当業者に既知の標準的な条件下において本明細書に具体的に開示するGAAをコードする配列(例えば、配列番号1のnt442〜3300)にハイブリダイゼーションして、機能的GAAポリペプチドをコードする。
例えば、このような配列のハイブリダイゼーションは、低いストリンジェンシー条件、中程度のストリンジェンシー条件またはさらにはストリンジェントな条件(例えば、35〜40%ホルムアミドと5×Denhardt溶液、0.5%SDSおよび1×SSPEの37℃における洗浄ストリンジェンシーによって表される条件;40〜45%ホルムアミドと5×Denhardt溶液、0.5%SDSおよび1×SSPEの42℃における洗浄ストリンジェンシーによって表される条件;並びに50%ホルムアミドと5×Denhardt溶液、0.5%SDSおよび1×SSPEの42℃における洗浄ストリンジェンシーによって表される条件)において、本明細書に具体的に開示する配列に実施することができる。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning、A Laboratory Manual(第2版、1989年)(Cold Spring Harbor Laboratory)。
別の言い方をすると、本発明の実施態様において、本発明のGAAをコードする3’UTR欠損型核酸は、本明細書に具体的に開示する単離核酸配列(またはそれらの断片)と少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、95%、97%、98%またはそれ以上のヌクレオチド配列の相同性を有し、機能的GAAタンパク質(成熟型または前駆体型)をコードする。
同様に、本発明の実施態様において、本発明による欠損型3’UTRは、本明細書に具体的に開示する単離核酸配列(またはそれらの断片)と少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、95%、97%、98%またはそれ以上のヌクレオチド配列の相同性を有し、作動可能に結合しているGAAコード配列からの機能的GAAポリペプチドの発現を可能にする。
さらに、本発明の実施態様において、本発明のGAAをコードする単離核酸のコード領域は、本明細書に具体的に開示する単離核酸配列(またはそれらの断片)と少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、95%、97%、98%またはそれ以上のヌクレオチド配列の相同性を有し、機能的GAAポリペプチドをコードする。
遺伝コードの縮重により本発明のGAAタンパク質をコードするポリヌクレオチドには変動がありうることが当業者によって理解される。異なる核酸配列により同じポリペプチドをコードすることを可能にする遺伝コードの縮重は文献において既知である(表1を参照されたい)。
Figure 0005433133
さらに、他の実施態様において、本発明の単離核酸は、本明細書に具体的に開示するポリペプチド配列(またはそれらの断片)と少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%またはそれ以上のアミノ酸配列の相同性を有し、機能的GAAポリペプチドをコードするGAAポリペプチドをコードする核酸を含む。
当技術分野において既知であるように、数多くの異なるプログラムを使用して、核酸またはポリペプチドが既知の配列と配列の同一性または類似性を有するかどうかを同定することができる。配列の同一性および/または類似性は、Smith&Waterman、Adv.Appl.Math.2,482(1981)の局所配列アイデンティティーアルゴリズム(local sequence identity algorithm)、Needleman&Wunsch、J.Mol.Biol.48,443(1970)の配列アイデンティティーアラインメントアルゴリズム(sequence identity alignment algorithm)、Pearson&Lipman、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85,2444(1988)の類似性の検索方法、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実行(Winsconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group、575 Science Drive、Madison、WIのGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)、好ましくはデフォルト設定を使用する、Devereuxら、Nucl.Acid Res.12,387-395(1984)に記載されているBest Fit配列プログラム、または視察を含むが、これらに限定されない当技術分野において既知の標準的な技法を使用して判定することができる。
有用なアルゴリズムの一例は、進歩的なペアワイズアラインメントを使用して関連配列グループからマルチプル配列アラインメントを作製するPILEUPである。それはまた、アラインメントを作製するために使用されるクラスタリング関係を示すツリーをプロットすることもできる。PILEUPはFeng&Doolittle、J.Mol.Evol.35,351-360(1987)の進歩的なアラインメント方法の簡易化を使用する;この方法はHiggins&Sharp、CABIOS 5,151-153(1989)に記載されているものに類似している。
有用なアルゴリズムの別の例は、Altschulら、J.Mol.Biol.215,403-410,(1990およびKarlinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,5873-5787(1993)に記載されているBLASTアルゴリズムである。特に有用なBLASTプログラムは、Altschulら、Methods in Enzymology,266,460-480(1996);http://blast.wustl/edu/blast/README.htmlから入手されたWU-BLAST-2-プログラムである。WU-BLAST-2は、好ましくは、デフォルト値に設定されているいくつかの検索パラメーターを使用する。パラメーターは動的な値であり、特定の配列の組成および関心対象の配列を検索する特定のデータベースの組成に応じてプログラム自身によって確立される;しかし、値は感度を増すために調節することができる。
追加の有用なアルゴリズムは、Altschulら、Nucleic Acids Res.25,3389-3402によって報告されているギャップ有りBLASTである。
アミノ酸の配列の同一性のパーセント値は、マッチしている同一残基の数を、整列させた領域の「長い」配列の総残基数で割った数によって求めることができる。「長い」配列は、整列させた領域に実際の残基を最も多く有するものである(アラインメントスコアを最大にするためにWU-Blast-2によって導入されたギャップは無視する)。
アラインメントは、整列対象の配列へのギャップの導入を含んでもよい。また、本明細書に具体的に開示するポリペプチドよりアミノ酸が多いまたは少ない配列については、一実施態様において、配列の同一性の割合は、総アミノ酸数と比較した同一アミノ酸数に基づいて求められることが理解される。従って、例えば、本明細書に具体的に開示する配列より短い配列の配列同一性は、一実施態様において短い配列におけるアミノ酸数を使用して求められる。同一性のパーセントの算出において、相対的重量は、挿入、欠損、置換等などの配列の変形の種々の発現に代入されない。
一実施態様において、同一性だけが正にスコアリングされ(+1)、ギャップを含む全ての形態の配列の変形は「0」値を当て、配列の類似性の算出について以下に記載する加重スケールまたはパラメーターの必要性を回避する。配列の同一性のパーセントは、例えば、マッチしている同一残基の数を整列させた領域の「短い」配列の総残基数で割り、100をかけることによって算出することができる。「長い」配列は、整列させた領域に実際の残基を最も多く有するものである。
本発明のさらに別の代表的な実施態様において、GAAをコードする単離核酸は、未変性遺伝子に見られる3’UTRより短く、例えば、未変性のGAA遺伝子に見られる3’UTRのサイズの約75%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、4%またはそれ以下より短い短縮型3’UTR(例えば、配列番号1のnt3301〜3846)を含み、未変性の3’UTRの全てまたは一部が置換されている異種領域を含む。この実施態様によると、3’UTRの全てまたは少なくとも一部はGAAコード領域に対して異種である(すなわち、GAA遺伝子の3’UTR由来ではない)。異種セグメントは別の遺伝子3’UTRの全てまたは一部を含んでもおよび/または部分的または完全に合成であってもよい。特定の実施態様において、異種領域は長さ約300、250、200、175、125、100、75、50、30、20もしくは10ヌクレオチドまたはそれ以下であってもよい。例えば、置換3’UTRはウシまたはヒト成長ホルモン3’UTRの全てまたは一部を含んでもよい。
本発明のいくつかの実施態様によると、短縮型3’UTRの総サイズは約300、250、200、175、150、125、100、75、50、30、20または10ヌクレオチドより短い。
3’UTRに言及する際の「置換する」、「置換された」または「置換」は、GAA3’UTRの天然型ヌクレオチド配列の一部が異種ヌクレオチド配列によって置換されて、本明細書に記載する利点を有するGAAをコードする核酸を生ずることを意味する。
本発明によると、「短縮型」3’UTRは欠損型GAA3’UTR(上記の長さ)および先のパラグラフに記載されている置換/短縮化3’UTRを含む。本発明の短縮型3’UTRはDNAもしくはRNAまたはそのキメラであってもよい。
本発明のさらに他の実施態様において、「短縮型」3’UTRは長さ約300、250、200、150または100ヌクレオチドより短く、全体または一部が未変性のGAA3’UTR由来であるおよび/または全体または一部が異種3’UTR由来である。さらに、異種3’UTR配列は別の遺伝子由来であってもまたは全体もしくは一部が合成配列であってもよい。
以下にさらに詳細に記載するように、本発明の短縮型3’UTR核酸は、標的細胞(例えば、肝細胞)に導入する結果、完全長のGAA3’UTR(例えば、配列番号1)を含有する同様の構築物からGAAポリペプチドを発現する細胞と比較して高い(上記に規定する)レベルでGAAポリペプチドを発現する。
[III.核酸送達ベクター]
本発明の方法は、インビトロまたはインビボにおいて分裂細胞および非分裂細胞を含む多種多様の宿主細胞にGAAなどのリソソームポリペプチドを送達して、任意選択的に発現する手段を提供する。本発明の実施態様において、核酸は、例えば、細胞のゲノムへの組み込みまたは安定した状態で維持されているエピソーム(例えば、エプスタインバーウイルス)からの持続的な発現によって標的細胞に安定して導入することができる。または、単離核酸は細胞において一過的に発現されてもよい。
本発明の単離核酸、ベクター、細胞、方法および製剤は、必要としている被験体にGAAなどのリソソームポリペプチドを投与する方法においてさらに有用である。従って、この方法では、ポリペプチドは被験体においてインビボにおいて産生されうる。被験体がポリペプチドの欠損を有する場合もまたは被験体における外来ポリペプチドの産生が幾分かの治療効果を有する場合もある。製剤および治療目的のためにGAAなどのリソソームポリペプチドを送達する方法は以下のセクションVにさらに詳細に記載されている。
または、リソソームポリペプチド(例えば、GAA)をコードし、発現するポリペプチドは、ポリペプチドが被験体によって発現され、すなわち、組換えポリペプチド源として精製されるように被験体に投与することができる。この実施態様によると、ポリペプチドは、容易に回収され、ポリペプチドをさらに精製することができる体循環または別の体液(例えば、乳汁、リンパ液、髄液、尿)に分泌されることが好ましい。または、ポリペプチドは鳥類種において発現され、卵タンパク質中に堆積され、都合よく卵タンパク質から単離することができる。
同様に、ポリペプチドは細胞培養系において一過的または安定して発現することができる。特定の実施態様において、ポリペプチドは培地に分泌され、当技術分野において既知の通常の技法を使用して培地から精製することができる。追加の方法としてまたは別の方法として、細胞を溶解して、組換えポリペプチドを細胞溶解液から精製することができる。細胞は細菌、原生動物、植物、酵母、真菌または動物細胞であってもよい。細胞は動物細胞(例えば、昆虫、鳥類またはほ乳類)であってもよい。代表的なほ乳類細胞には、線維芽細胞、CHO細胞、293細胞、HT1080細胞、HeLa細胞およびC10細胞を含むが、これらに限定されない。
GAAの場合には、組換えGAAポリペプチドは標準的な技法を使用して単離することができ、酵素補充プロトコールを使用してGAA欠損被験体に投与することができる(例えば、Van der Ploegら、(1991)J.Clin.Invest.87:513を参照されたい)。
リソソームポリペプチド(例えば、GAA)をコードする核酸の培養細胞または被験体への導入も、GSD IIなどの疾患状態を理解するためおよびこれらのポリペプチドの生物学を検討するためのモデルとしても用途を見出している。
さらに別に、本発明はスクリーニング方法に用途を見出しており、ポリペプチドは細胞培養系または動物モデルにおいて一過的または安定して発現され、薬物発見の標的として使用される。
上記の目的のために培養細胞中または生物中でGAAなどのリソソームポリペプチドを産生する方法は以下のセクションIVにさらに詳細に記載されている。
任意の好適なベクターを使用して、本発明の単離核酸を関心対象の標的細胞または被験体に送達することができることは当業者に明らかである。送達ベクターは、標的宿主の年齢および種、インビトロ対インビボ送達、望ましい発現のレベルおよび持続、意図された目的(例えば、治療または酵素産生)、標的細胞または器官、送達経路、単離核酸のサイズ、安全性の問題等を含む当技術分野において既知の数多くの因子に基づいて選択するができる。
ウイルスベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスまたは単純ヘルペスウイルス)、脂質ベクター、ポリ−リジンベクター、プラスミドなどの、核酸分子と共に使用される合成ポリアミノポリマーベクター等を含む当技術分野において既知の任意の好適なベクターを使用して本発明の単離核酸を送達し、任意選択的に発現することができる。
当技術分野において既知である任意のウイルスベクターを本発明に使用することができる。このようなウイルスベクターの例には:アデノウイルス科;ビルナウイルス科;ブンヤウイルス科;カルシウイルス科、カピロウイルス群;カーラウイルス群;カルモウイルスウイルス群;カリモウイルス群;クロステロウイルス群;ツバキ斑葉ウイルス(Commelina yellow mottle virus)群;コモウイルスウイルス群;コロナウイルス科;PM2ファージ群;コルシコウイルス科(Corcicoviridae);潜在ウイルス群;クリプトウイルス群;ククモウイルスウイルス群ファミリー([PHgr]6ファージ群;シシオウイルス科(Cysioviridae);カーネーション輪点群;ダイアンソウイルスウイルス群;ソラマメウイルトウイルス群;ファバウイルス群;フィロウイルス科;フラビウイルス科;フロウイルス群;ゲルミニウイルス(Germinivirus)群;ギアーディアウイルス(Giardiavirus)群;ヘパドナウイルス科;ヘルペスウイルス科;ホルデイウイルス群;イラーウイルス(Illarvirus)ウイルス群;イノウイルス科;イリドウイルス科;レビウイルス科;リポスリクスウイルス科;ルテオウイルス群;マラフィウイルス群;トウモロコシ退緑萎縮病ウイルス群;イクロウイルス科(icroviridae);ミオウイルス科;ネクロウイルス群;ネポウイルス群;ノダウイルス科;オルトミオキソウイルス科(Orthomyoxoviridae);パポバウイルス科;パラミオキソウイルス科(Paramyoxoviridae);アメリカホウボウ黄色斑紋ウイルス群;パルティティウイルス科;パルボウイルス;エンドウ豆隆起モザイクウイルス(Pea enation mosaic virus)群;フィコドナウイルス科;ピコマウイルス科(Picomaviridae);プラズマウイルス科;プロドウイルス科(Prodoviridae);ポリドナウイルス科;ポテクスウイルス群;ポティウイルス;ポックスウイルス;レオウイルス科;レトロウイルス科;ラブドウイルス科;リジディオウイルス群;サイフォウイルス科;ソベモウイルス群;SSV1−型ファージ;テクティウイルス科;テヌイウイルス;テトラウイルス科;トバモウイルス群;トブラウイルス群;トガウイルス科;トンブスウイルス群;トロウイルス群;トティウイルス科;チモウイルス群および植物ウイルスサテライト由来のベクターが挙げられるが、これらに限定されない。
組換えウイルスベクターを作製するプロトコールおよび核酸送達のためにウイルスベクターを使用するプロトコールは、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubel,F.M.ら(編)Greene Publishing Associates,(1989)および他の標準的な実験マニュアル(例えば、Current Protocols in Human Genetics.John Wiley and Sons,Inc.:1997のVectors for Gene Therapy.)に見出すことができる。
特に好ましいウイルスベクターは、例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、AAV、ヘルペスウイルス、アデノウイルス−アデノ随伴ウイルスハイブリッドおよびポックスウイルスベクターを含む導入遺伝子の送達のためにこれまでに使用されているものである。特定の実施態様において、ベクターはアデノウイルスベクター、AAVベクターまたはAd−AAVハイブリッドベクターである。
本発明のある好ましい実施態様において、送達ベクターはアデノウイルスベクターである。本明細書において使用する「アデノウイルス」という用語は、マストアデノウイルス属およびアビアデノウイルス属を含む全てのアデノウイルスを含むことを意図している。これまでに、アデノウイルスの少なくとも47のヒト血清型が同定されている(例えば、FIELDSら、VIROLOGY、2巻、67章(第3版、Lippincott-Ravan Publishers)を参照されたい)。好ましくは、アデノウイルスは血清型Cアデノウイルスであり、よりさらに好ましくはアデノウイルスは血清型2(Ad2)または血清型5(Ad5)である。
アデノウイルスゲノムの種々の領域がマッピングされており、当業者に理解されている(例えば、FIELDSら、VIROLOGY、2巻、67および68章(第3版、Lippincott-Ravan Publishers)を参照されたい)。種々のAd血清型のゲノム配列およびAdゲノムの特定のコード領域のヌクレオチド配列が当技術分野において既知であり、例えば、GenBankおよびNCBIからアクセスすることができる(例えば、GenBank寄託番号J0917、M73260、X73487、AF108105、L19443、NC003266およびNCBI寄託番号NC001405、NC001460、NC002067、NC00454を参照されたい)。
本発明のアデニンのベクターは、Douglasら、(1996)Nature Biotechnology 14:1574;Royらに付与された米国特許第5,922,315号;Wickhamらに付与された米国特許第5,770,442号および/またはWickhamらに付与された米国特許第5,712,136号に記載されているように改変または「標的化」することができることを当業者は理解している。
アデノウイルスベクターゲノムまたはrAdベクターゲノムは、典型的には、Ad末端反復配列およびパッケージングシグナルを含む。「アデノウイルス粒子」または「組換えアデノウイルス粒子」は、それぞれ、アデノウイルスカプシドにパッケージングされたアデノウイルスベクターゲノムまたは組換えアデノウイルスベクターゲノムを含む。一般に、アデノウイルスベクターゲノムは約28kb〜38kbのサイズにおいて最も安定である(未処理のゲノムサイズの約75%〜105%)。大きい欠損と比較的小さい導入遺伝子を含有するアデノウイルスベクターの場合には、当技術分野において既知の方法によって望ましい範囲内にベクターの総サイズを維持するために「スタッファーDNA(stuffer DNA)」を使用することができる。
通常、アデノウイルスは、ウイルス表面の線維タンパク質のノブドメインを介して感受性細胞の細胞表面受容体(CAR)に結合する。線維ノブ受容体は、グリコシル化およびリン酸化を受けると思われる部位を有する45kDaの細胞表面タンパク質である。(Bergelsonら、(1997)Science275:1320-1323.)アデノウイルスが侵入する第2の方法は細胞表面に存在するインテグリンを介することである。アデノウイルスのペントン塩基タンパク質のアルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)配列が細胞表面のインテグリンに結合する。
アデノウイルスのゲノムは、関心対象の遺伝子産物をコードし、発現するが、通常の溶菌性のウイルスのライフサイクルにおいて複製する能力に関して不活性化されるように操作することができる。例えば、Berknerら(1988)Bio Techniques 6:616;Rosenfeldら(1991)Science 252:431-434およびRosenfeldら(1992)Cell 68:143-155を参照されたい。アデノウイルス株Adタイプ5d1324またはアデノウイルスの他の株(例えば、Ad2、Ad3、Ad7等)由来の好適なアデノウイルスベクターは当業者に既知である。組換えアデノウイルスは、非分裂細胞に感染することができず、上皮細胞を含む多種多様の細胞種に感染するために使用することができるという点においてある状況では有利となりうる。さらに、ウイルス粒子は比較的安定で、精製および濃縮しやすく、上記のように、感染スペクトルに影響を与えるように改変することができる。さらに、導入されたアデノウイルスDNA(およびそれに含まれる外来DNA)は宿主細胞のゲノムに組込まれるのではなく、エピソーム状態を維持し、それによって導入されたDNAが宿主ゲノムに組込まれる(例えば、レトロウイルスDNA)状況における挿入突然変異の結果として生ずる可能性があると思われる問題を回避する。さらに、アデノウイルスゲノムの外来DNAの搬送能力は他の核酸送達ベクターと比較して大きい(Haj-AhmandおよびGraham(1986)J.Virol.57:267)。
特定の実施態様において、アデノウイルスゲノムは欠損を有し、その結果アデノウイルス遺伝子領域の少なくとも1つは機能的タンパク質をコードしない。例えば、第1世代のアデノウイルスベクターは、典型的には、E1遺伝子を欠損しており、E1タンパク質を発現する細胞(例えば、293細胞)を使用してパッケージングされる。E3領域も同様に欠損されることが多いが、この欠損の補足の必要性がないからである。また、E4、E2a、タンパク質IXおよび線維タンパク質領域の欠損も、例えば、(開示内容が全体として本明細書に組み入れられている)Armentanoら、(1997)J.Virology 71:2408、Gaoら、(1996)J.Virology 70:8934、Dedieuら、(1997)J.Virology 71;4626、Wangら、(1997)Gene Therapy 4:393およびGregoryらに付与された米国特許第5,882,877号によって記載されている。好ましくは、欠損は、パッケージング細胞に対する毒性を回避するように選択される。Wangら、(1997)Gene Therapy 4:393は、パッケージング細胞系統によるE4およびE1遺伝子の構成的な同時発現による毒性を記載している。毒性は、構成的ではなく誘導性プロモーターによってE1および/またはE4遺伝子産物の発現を調節することによって回避することができる。毒性または宿主細胞に対する他の有害な影響を回避する欠損の組み合わせは当業者によって通常に選択されうる。
さらに別の例として、特定の実施態様において、アデノウイルスはポリメラーゼ(pol)、プレターミナルプロテイン(preterminal protein)(pTP)、IVa2および/または100K領域に欠損がある(例えば、核酸送達のために欠損アデノウイルスベクターを作製し、使用する方法の教示のために開示内容が全体として本明細書に組み入れられている、米国特許第6,328,958号;PCT公報国際特許出願第00/12740号およびPCT公報国際特許出願第02/098466号;Dingら、(2002)Mol.Ther.5:436;Hodgesら、J.Virology 75:5913;Dingら、(2001)Hum Gene Ther 12:955を参照されたい)。代表的な実施態様において、ベクターは[E1-、E3-、pol-]Ad、[E1-、E3-、pTP-」Ad、[E1-、E3-、pol1、pTP-]Ad、[E1+、100K-]Adまたは[E1a+、E1b-、100K]Adである。
本明細書において使用する「欠損型」アデノウイルスは、アデノウイルスゲノムの示した領域から少なくとも1つのヌクレオチドを削除することをいう。欠損は約1、2、3、5、10、20、50、100、200または場合によっては500ヌクレオチドより大きくてもよい。アデノウイルスゲノムの種々の領域の欠損は示した領域の少なくとも約1%、5%、10%、25%、50%、75%、90%、95%、99%またはそれ以上であってもよい。または、アデノウイルスゲノムのすべの領域が欠損される。好ましくは、欠損は、その領域からの機能的タンパク質の発現を防ぐまたは本質的に防ぐ。例えば、100K領域の欠損によりその領域からの機能的な100Kタンパク質の発現が損失されることが好ましい。言い換えると、欠損された100K領域から転写され、結果として生ずるRNA転写物から翻訳されたとしても、結果として生ずるタンパク質は本質的に非機能的であり、さらに好ましくは完全に非機能的である。または、発現される機能的タンパク質の量は問題にならないほどである。一般に、大きな欠損は、欠損型アデノウイルスが関心対象の異種ヌクレオチド配列を搬送する能力を増加するという追加の利点を有するので、好ましい。アデノウイルスゲノムの種々の領域がマッピングされており、当業者によって理解されている(例えば、FIELDSら、VIROLOGY、2巻、67および68章(第3版、Lippincott-Raven Publishers)を参照されたい)。
典型的には、E3遺伝子を除いて、例えば、パッケージング細胞による相補作用(transcomplementation)によって追加のウイルスを増殖する(複製するおよびパッケージングする)ためには任意の欠損を補足する必要があることを当業者は理解している。
特定の実施態様において、本発明は、アデノウイルスゲノム配列の本質的に全てが欠損されている「gutted(疲れきった)アデノウイルス」ベクター(この用語は当技術分野において理解されており、例えば、Lieberら、(1996)J.Virol. 70:8944-60を参照されたい)を除く。別の実施態様において、このようなguttedアデノウイルスベクターは本発明の態様である場合もある。
アデノ随伴ウイルス(AAV)も核酸送達ベクターとして使用されている。総説は、Muzyczkaら、Curr.Topics in Micro.and Immunol.(1992)158:97-129を参照されたい。AAVはパルボウイルスであり、径18〜26ナノメーターの小型の20面体であり、サイズ4〜5キロベースの1本鎖DNA分子を含有する。このウイルスはDNA分子のセンスまたはアンチセンス鎖のどちらかを含有し、どちらかの鎖がビリオンに組込まれる。2つのオープンリーディングフレームがRepおよびCapポリペプチドシリーズをコードする。Repポリペプチド(Rep50、Rep52、Rep68およびRep78)はAAVゲノムの複製、レスキューおよび組み込みに関与するが、4つ全てのRepポリペプチドが存在しなくても大きな活性を観察することができる。Capタンパク質(VP1、VP2、VP3)はビリオンカプシドを形成する。145塩基対の逆方向末端反復配列(ITR)がゲノムの5’および3’末端のrepおよびcapオープンリーディングフレームに隣接しており、その最初の125塩基対がY−またはT−形2本鎖構造を形成することができる。ITRはAAVゲノムの複製、レスキュー、パッケージングおよび組み込みに必要な最小cis配列となることが示されている。典型的には、組換えAAVベクター(rAAV)では、全てのrepおよびcapコード領域が切断され、関心対象の導入遺伝子で置換されている。
AAVは、DNAを非分裂細胞に組込むことができ、ヒト第19染色体に高い頻度の安定した組込みを示す数少ないウイルスの仲間である(例えば、Flotteら、(1992)Am.J.Respir.Cell.Mol.Biol.7:349-356;Samulskiら、(1989)J Virol.63:3822-3828およびMcLaughlinら(1989)J.Virol.62:1963-1973)を参照されたい)。種々の核酸がAAVベクターを使用して異なる細胞種に組込まれている(例えば、Hermonatら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6466-6470;Tratschinら(1985)Mol.Cell.Biol.4:2072-2081;Wondisfordら(1988)Mol.Endocrinol.2:32-39;Tratschinら(1984)J.Virol.51:611-619およびFlotteら(1993)J.Biol.Chem.268:3781-3790を参照されたい)。
rAAVベクターゲノムは、典型的には、AAV末端反復配列およびパッケージングシグナルを含む。「AAV粒子」または「rAAV粒子」は、AAVカプシドにパッケージングされた、それぞれAAVベクターゲノムまたはrAAVベクターゲノムを含む。rAAVベクター自体は、カプシドおよびRepタンパク質をコードするAAV遺伝子を含有しなくてもよい。本発明の特定の実施態様において、repおよび/またはcap遺伝子はAAVゲノムから欠損されている。代表的な実施態様において、rAAVベクターは、組込み、切除および複製に必要な末端AAV配列(ITR)だけを保持する。
AAVカプシド遺伝子源は、血清型AAV−1、AAV−2、AAV−3(3aおよび3bを含む)、AAV−4、AAV−5、AAV−6、AAV−7、AAV−8並びにウシAAVおよび鳥類AAV、および国際ウイルス分類委員会International Committee on Taxonomy of Viruses(ICTV)によってAAVと分離されている任意の他のウイルスを含んでもよい(例えば、BERNARD N. FIELDSらVIROLOGY,2巻、69章(第4版、Lippincott-Raven Publishers)を参照されたい)。
特定の実施態様において、AAVカプシド遺伝子はAAV血清型1、2、5、6または8由来である。
パッケージングの限界のために、rAAVゲノムの総サイズは、好ましくは、サイズ約5.2、4.8、4.6または4.5kb未満である。
当技術分野において既知の任意の好適な方法を使用してAAVベクターを作製することができる(例えば、例示的な方法のための米国特許第5,139,941号;米国特許第5,858,775号;米国特許第6,146,874号を参照されたい)。特定の一方法において、AAVストックは、ヘルパーアデノウイルスを感染させたヒト細胞に、AAVパッケージング機能をコードするrep/capベクターおよびAAV vDNAをコードする鋳型を同時形質移入によって作製することができる(Samulskiら(1989)J.Virology63:3822)。
他の特定の実施態様において、アデノウイルスヘルパーウイルスは、AAV Repおよび/またはカプシドタンパク質をコードするハイブリッドヘルパーウイルスである。AAV repおよび/またはcap遺伝子を発現するハイブリッドヘルパーAd/AAVベクターおよびこれらの試薬を使用してAAVストックを作製する方法は当技術分野において既知である(例えば、米国特許第5,589,377号および米国特許第5,871,982号、米国特許第6,251,677号および米国特許第6,387,368号を参照されたい)。好ましくは、本発明のハイブリッドAdはAAVカプシドタンパク質を発現する(すなわち、VP1、VP2およびVP3)。別の方法または追加の方法として、ハイブリッドアデノウイルスはAAV Repタンパク質(すなわち、Rep40、Rep52、Rep68および/またはRep78)の1つ以上を発現することができる。AAV配列は、組織特異的または誘導性プロモーターと作動可能に結合することができる。
または、AAV repおよび/またはcap遺伝子は、その遺伝子を安定して発現するパッケージング細胞によって提供されうる(例えば、Gaoら(1998)Human Gene Therapy 9:2353;Inoueら(1998)J.Virol.72:7024;米国特許第5,837,484号;国際特許出願第98/27207号;米国特許第5,658,785号;国際特許出願第96/17947号を参照されたい)。
代表的な実施態様において、本発明は、本発明による単離核酸を含むrAAV粒子を産生する方法であって、細胞に:(a)(i)5’および/または3’AAV ITR配列、(ii)上記の単離核酸(例えば、GAAをコードし、短縮型3’UTRを含む核酸または分泌シグナル配列を含むキメラリソソームポリペプチドをコードする核酸)および(iii)AAVパッケージングシグナルを含むrAAVゲノムをコードする核酸;(b)組換えAAVゲノムの複製に十分なAAV repコード配列;(c)機能的AAVカプシドを産生するのに十分なAAV capコード配列を提供するステップを含み、(a)〜(c)がrAAVゲノムの複製およびAAVカプシドへのパッケージングに十分な条件下で細胞に提供され、それによってrAAVゲノムをパッケージングするAAVカプシドを含むAAV粒子が細胞内で産生される方法を提供する。典型的には、AAV複製およびパッケージングのためのアデノウイルスまたはHSVヘルパー機能も提供される。本発明の方法は、rAAV粒子を回収するステップも含む場合がある。
よりさらに別の実施態様において、送達ベクターは、例えば、実施例および米国仮出願第60/376,397号(Ad−AAVハイブリッド送達ベクターを作製し、使用する方法の教示のために全体の内容が引用することにより本明細書に組み入れられている)に記載されているAd−AAVハイブリッド送達ベクターである。簡単に説明すると、Ad−AAVハイブリッドベクターは、(i)ウイルスの複製および封入のための5’および3’cis要素、およびさらに(ii)AAV5’および3’逆方向の末端反復配列(ITR)、AAVパッケージング配列並びに組換えAAVベクターゲノムにアデノウイルス5’および3’cis要素が隣接している、AAV ITRが隣接する異種配列を含む組換えAAVベクターゲノムを含むアデノウイルスベクターゲノムを含む。アデノウイルスベクターゲノムは、上記のように、さらに欠損されていてもよい。
本発明に使用するための別のベクターは単純ヘルペスウイルス(HSV)を含む。単純ヘルペスビリオンは、全体的な径が150〜200nmであり、長さ120〜200キロベースの2本鎖DNA分子1本からなるゲノムを有する。糖タンパク質D(gD)は、宿主細胞へのウイルスの侵入を媒介するHSVエンベロープの構造成分である。HSVと細胞表面硫酸ヘパリンプロテオグリカンとの最初の相互作用は、別の糖タンパク質、糖タンパク質C(gC)および/または糖タンパク質B(gB)によって媒介される。この後に、ウイルス糖タンパク質の1つ以上と細胞受容体の相互作用が続く。HSVの糖タンパク質Dが、宿主細胞のヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)に直接結合することが最近示されている。HVEMは、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーのメンバーである(Whitbeck,J.C.ら1997,J.Virol.71:6083-6093)。最後に、gD、gBおよびgHとgLの複合体が個別にまたは組み合わされて作用して、ウイルスエンベロープと宿主細胞の原形質膜とのpH非依存的融合を誘導する。ウイルス自体は直接接触によって伝染され、皮膚または粘膜において複製してから、HSVが特定の指向性を有する神経系の細胞に感染する。それは溶菌性および潜伏機能を示す。溶菌サイクルによってウイルスが複製し、細胞死を生ずる。潜伏機能により、ウイルスは極めて長期間にわたって宿主内に維持されうる。
HSVは、長期間の遺伝子維持のための潜伏機能のみを示すベクターを作製することによって細胞に導入遺伝子を送達するために改変することができる。HSVベクターは、最高20キロベースまたはそれ以上の大型DNAの挿入を可能にし;極めて高力価で作製することができ;溶菌サイクルが生じない限り、中枢神経系において長期間にわたって導入遺伝子を発現することが示されているので、HSVベクターは核酸送達に有用である。
本発明の他の好ましい実施態様において、関心対象の送達ベクターはレトロウイルスである。レトロウイルスは、通常、種特異的細胞表面受容体、例えば、CD4(HIV);CAT(MLV−E;エコトロピックマウス白血病ウイルスE);RAM1/GLVR2(マウス白血病ウイルス−A;MLV−A);GLVR1(テナガザル白血病ウイルス(GALV)およびネコ白血病ウイルスB(FeLV−B))に結合する。複製欠損型レトロウイルスのみを産生する特殊化された細胞系統(「パッケージング細胞」と呼ばれる)の開発により、遺伝子治療のためのレトロウイルスの利用性が増加しており、欠損型レトロウイルスは遺伝子治療目的のために遺伝子導入に使用することが特徴づけられている(総説は、Miller,(1990)Blood76:271を参照されたい)。複製欠損型レトロウイルスは、標準的な技法によりヘルパーウイルスを使用することにより標的細胞に感染するために使用することができるビリオンにパッケージングすることができる。
さらに別の好適なベクターはポックスウイルスベクターである。これらのウイルスは非常に複雑で、100を超えるタンパク質を含有するが、ウイルスの詳細な構造は現在不明である。細胞外型のウイルスは2つの膜を有するが、細胞内粒子だけが内側膜を有する。ウイルスの外側面は、両凹面コアを取り囲む脂質およびタンパク質からなる。ポックスウイルスは抗原的に非常に複雑で、感染後特異的抗体および交差反応抗体を誘導する。ポックスウイルス受容体は現在知られていないが、ポックスウイルスが多種多様の細胞に感染する能力を考慮すると、2つ以上存在する可能性がある。ポックスウイルス遺伝子の発現は、導入遺伝子の発現のためのベクターとしてワクシニアウイルスを使用する際の関心により十分に検討されている。
上記に例示するものなどのウイルス導入方法以外に、非ウイルス的方法も使用することができる。多数の非ウイルス的遺伝子導入方法は、ほ乳類細胞が高分子を取り込み、細胞内に輸送するために使用する通常の機序を使用している。特定の実施態様において、非ウイルス的送達システムは、標的細胞による核酸分子の取り込みのためのエンドサイトーシス経路を使用している。この種類の例示的な核酸送達システムには、リポソーム由来システム、ポリ−リジン結合体および人工的なウイルスエンベロープが挙げられる。
特定の実施態様において、プラスミドベクターが本発明を実施する際に使用される。裸のプラスミドは、組織内への注射によって筋肉細胞内に導入することができる。発現は何ヶ月にも延長することができるが、ポジティブな細胞の数は典型的には低い(Wolffら(1989)Science 247:247)。陽イオン脂質は、一部の培養中の細胞にDNAを導入する際の助けになることが実証されている(FelgnerおよびRingold,(1989) Nature 337:387)。陽イオン脂質プラスミドDNA複合体をマウスの循環液中に注射すると、DNAが肺において発現することが示されている(Brighamら(1989)Am.J.Med.Sci. 298:278)。プラスミドDNAの利点は、非分裂細胞に導入することができるということである。
代表的な実施態様において、核酸分子(例えば、プラスミド)は、表面に正電荷を有し、任意選択的に標的組織の細胞表面抗原に対する抗体で標識した脂質粒子に封入されてもよい(Mizunoら(1992) No Shinkei Geka 20:547;PCT公報国際特許出願第91/06309号;日本特許出願第1047381号および欧州特許公報EP-A-43075号)。
両親媒性陽イオン分子からなるリポソームはインビトロおよびインビボにおける核酸送達の有用な非ウイルスベクターである(Crystal,Science 270:404-410(1995);BlaeseらCancer Gene Ther. 2:291-297(1995);BehrらBioconjugate Chem. 5:382-389(1994);RemyらBioconjugate Chem.5:647-654(1994)およびGaoらGene Therapy 2:710-722(1995)に総説が示されている)。正に荷電したリポソームは、静電的相互作用により負に荷電した核酸と複合体を形成して、脂質:核酸複合体を形成すると考えられている。脂質:核酸複合体は、遺伝子導入ベクターとしていくつかの利点を有する。ウイルスベクターと異なり、脂質:核酸複合体は、本質的に無制限のサイズの発現カセットを導入するために使用することができる。複合体はタンパク質を欠損しているので、免疫原性応答および炎症応答をほとんど誘発しない。さらに、それらは複製または組み換えて感染性因子を形成することができず、組込み頻度は低い。両親媒性陽イオン脂質はインビボおよびインビトロにおける核酸送達を媒介することができることを数多くの文献が実証している(FelgnerらProc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413-17(1987);LoefflerらMethods in Enzymology 217:599-618(1993)FelgnerらJ.Biol.Chem. 269:2550-2561(1994))。
いくつかのグループが、動物およびヒトにインビボにおいて形質移入するための両親媒性陽イオン脂質:核酸複合体の使用を報告している(GaoらGene Therapy 2:710-722(1995);ZhuらScience 261:209-211(1993)およびThierryらProc.Natl.Acad.Sci.USA 92:9742-9746(1995)に総説が示されている)。米国特許第6,410,049号は、保存寿命が長い陽イオン脂質:核酸複合体を作製する方法を記載している。
[IV.組み換えリソソームポリペプチドの産生]
上記に示すように、GAAなどの組換えリソソームポリペプチドを、種々の目的のために培養細胞または生物中で産生し、任意選択的に精製することができる。治療方法のためにリソソームポリペプチドをコードする組換え核酸を送達する方法は以下にさらに詳細に記載されている。単離核酸は、先のセクションに記載されているように送達ベクターによって搬送することができる。
リソソームポリペプチドをコードする単離核酸は、単離核酸またはベクター骨格に含まれてもよい適当な発現制御配列、例えば、転写/翻訳制御シグナルに作動可能に結合することができることを当業者は理解している。例えば、挿入されたタンパク質コード配列の効率的な翻訳には、一般に特異的な開始シグナルが必要である。ATG開始コドンおよび隣接配列を含んでもよいこれらの外因的な翻訳制御配列は天然または合成の種々の起源であってもよい。
単離核酸はポリアデニル化シグナル(例えば、転写されたmRNAの3’末端にポリAテールを付加するポリAポリメラーゼのシグナル)をさらに含んでもよい。しかし、ポリアデニル化シグナルは、コード配列が挿入されるベクター骨格(例えば、プラスミドまたは組換えウイルスゲノム)によって提供されることが一般的であり、従って、特定の実施態様において、ポリアデニル化シグナルは単離核酸分子に存在しなくてもよい。
種々のプロモーター/エンハンサー要素は望ましいレベルおよび組織特異的な発現に応じて使用することができる。プロモーターは、望ましい発現パターンに応じて構成的または誘導的であってもよい(例えば、メタロチオネインプロモーターまたはホルモン誘導性プロモーター)。プロモーターは固有または外来であってもよく、天然または合成配列であってもよい。外来は、転写開始領域が、その転写開始領域が導入されている野生型宿主に見られないことを意図している。プロモーターは、関心対象の標的細胞において機能するように選択される。肝臓(例えば、肝実質、例えば、α−1アンチトリプシンプロモーター)、骨格筋、心筋、平滑筋、横隔膜筋、内皮細胞、小腸細胞、肺細胞(例えば、平滑筋または上皮)、腹膜上皮細胞および線維芽細胞において機能するプロモーターが好ましい。さらに、プロモーターは、特異的な細胞または組織種においてだけ大きな活性を示すことができるという点においてこれらの細胞および組織に「特異的」であってもよい。
単離核酸は、サイトメガロウイルス(CMV)主要前初期プロモーター、アルブミンプロモーター、エロンゲーションファクター1−α(EF1−α)プロモーター、PγKプロモーター、MFGプロモーターまたはラウス肉腫ウイルスプロモーターに作動可能に結合することができる。CMV腫瘍前−初期エンハンサーおよびニワトリβ−アクチン(CB)プロモーターを含むハイブリッドプロモーターも好適である。CMVプロモーターで異種ヌクレオチドの転写を誘導すると、免疫適格動物における発現がダウンレギュレーションされると推測されている(Guoら(1996)Gene Therapy 3:802を参照されたい)。従って、導入遺伝子の発現をこのようにダウンレギュレーションしない改変型CMVプロモーターを単離核酸に作動可能に結合することは有利となりうる。
本発明の単離核酸は2つ以上のコード配列を含んでもよい。2つ以上のコード配列が存在する実施態様において、コード配列は別個のプロモーターに作動可能に結合しても、または別の方法として、1つの上流のプロモーターと1つ以上の下流の内部リボソーム侵入部位(IRES)配列(例えば、ピコナウイルスEMC IRES配列)に作動可能に結合してもよい。
本発明の特定の実施態様において、単離核酸の総サイズは長さ約5、4.8、4.7、4.6、4.5、4.3、4.2、4、3.8、3.7、3.6、3.5、3.2、3または2.8kb以下より短い。比較的小さい発現カセットがAAVベクターの送達に特に有利となりうる。
本発明の単離核酸は宿主細胞、例えば、初代または不死化細胞系統の細胞に導入することができる。組換え細胞を使用してコードされたポリヌクレオチドを産生することができる。一般に、単離核酸は発現ベクター(上記のウイルス性または非ウイルス性)に導入される。
発現ベクターは、原核細胞または真核細胞においてポリペプチドを発現するように設計することができる。例えば、ポリペプチドは、大腸菌(E.coli)などの細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系)、酵母細胞またはほ乳類細胞において発現することができる。いくつかの好適な宿主細胞が、Goeddel、Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press、Sandiego、Calif.(1990)においてさらに考察されている。酵母S.セレビシエ(S.cerevisiae)における発現のためのベクターの例には、pYepSecl(Baldariら(1987) EMBO J. 6:229-234)、pMFa(KurjanおよびHerskowitz,(1982)Cell 30:933-943)、pJRY88(Schultzら(1987)Gene 54:113-123)およびpYES2(Invitrogen Corporation、Sandiego,Calif.)が挙げられる。培養中の昆虫細胞(例えば、Sf9細胞)におけるタンパク質の発現に利用可能なバキュロウイルスベクターには、pAcシリーズ(Smithら(1983)Mol.Cell.Biol. 3:2156-2165)およびpVLシリーズ(Lucklow,V.AおよびSummers,M.d.(1989)Virology 170:31-39)が挙げられる。
ほ乳類発現ベクターの例には、pCDM8(Seed,(1987)Nature 329:840)およびpMT2PC(Kaufmanら.(1987),EMBO J. 6:187-195)が挙げられる。ほ乳類細胞に使用する場合には、発現ベクターの制御機能は、ウイルスの調節要素によって提供されることが多い。例えば、通常使用されるプロモーターはポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびシミアンウイルス40由来である。
上記に考察する調節制御配列以外に、組換え発現ベクターは追加のヌクレオチド配列を含有してもよい。例えば、組換え発現ベクターは、ベクターを導入している宿主細胞を同定するための選択マーカー遺伝子をコードすることができる。
ベクターDNAは、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈、DEAE−デキストラン媒介性形質移入、リポフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション並びにウイルス媒介性の形質移入および形質導入を含むが、これらに限定されない従来の技法により原核細胞または真核細胞に導入することができる。宿主細胞を形質転換または形質移入するための好適な方法は、Sambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory press(1989))および他の実験マニュアルに見出すことができる。
しばしば、細胞(特に、ほ乳類細胞)のほんのわずかの分画が外来DNAをゲノムに組込む。これらの組換え体を同定し、選択するために、選択マーカー(例えば、抗生物質に対する抵抗性)をコードすることができる核酸配列を、関心対象のタンパク質をコードする遺伝子と共に宿主細胞に導入することができる。好ましい選択マーカーには、G418、ハイグロマイシンおよびメトトレキセートなどの薬物に対する抵抗性を示すものが挙げられる。選択マーカーをコードする核酸は関心対象のタンパク質をコードするものと同じベクターで宿主細胞に導入されてもまたは別個のベクターで導入されてもよい。導入される核酸が安定して形質移入された細胞は薬物選択によって同定することができる(例えば、選択マーカー遺伝子を組込んだ細胞は生存するが、他の細胞は死滅する)。
[A.遺伝子組換え動物]
リソソームポリペプチドは、非ヒト遺伝子組換え動物(すなわち、組換え核酸技法を使用してヒトの介入によって導入された核酸を含有する)において産生することができる。非ヒト遺伝子組換え動物を産生する方法は当技術分野において既知である。DNA構築物を鳥類またはほ乳類の生殖系列に導入して、遺伝子組換え動物を産生することができる。例えば、1コピーまたは数コピーの構築物を、標準的な遺伝子組換え技法によって胚のゲノムに組込むことができる。
遺伝子組換えほ乳類の乳汁中に遺伝子組換えポリペプチドを発現することが望ましいことが多い。大量の乳汁を産生し、長期間の泌乳期間を有するほ乳類が好ましい。好ましいほ乳類は反芻動物、例えば、ウシ、ヒツジ、ラクダまたはヤギ(アルプス、ザーネンおよびトッケンブルグ品種のヤギなどのスイス起源のヤギを含む)である。他の好ましいほ乳類には、雄牛、ウサギおよびブタが挙げられる。
例示的な実施態様において、遺伝子組換え非ヒト動物は、導入遺伝子を非ヒト動物の生殖系列に導入することによって作製される。導入遺伝子は、種々の発生段階の胚の標的細胞に導入することができる。胚の標的細胞の発生段階に応じて異なる方法を使用する。使用する任意の動物の具体的な系統は、可能である場合には、全身の健康状態が良好であること、胚の産生量が十分であること、胚における前核の視認性が良好であることおよび生殖適応度が良好であることについて選択するべきである。
導入遺伝子の胚への導入は、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、リポフェクションまたはウイルスベクターなどの当技術分野において既知種々の手段のいずれかによって実施することができる。例えば、構築物をほ乳類の受精卵の前核にマイクロインジェクションして、構築物の1つ以上のコピーを発生中のほ乳類の細胞に保持させることによって導入遺伝子をほ乳類に導入することができる。導入遺伝子構築物を受精卵に導入後、卵を種々の長さの時間の間インビトロにおいてインキュベートしても、もしくは代理宿主に再植え込みしてもまたはその両方でもよい。一般的な方法は、種に応じて約1〜7日間胚をインビトロにおいてインキュベートし、次いでそれらを代理宿主に再植え込みすることである。
遺伝子導入により操作した胚の子孫は、例えば、組織セグメントのサザンブロット分析によって構築物の存在について試験することができる。クローニングされた異種構築物の1つ以上のコピーがゲノムに安定して組込まれた胚は、遺伝子組換え構築物を保有する永久的な遺伝子組換え動物を樹立するために使用することができる。
遺伝子組換えにより改変した動物の同腹仔は、誕生後に、子孫のゲノムへの構築物の組込みについてアッセイすることができる。これは、遺伝子組換え配列に対応するプローブを子孫の染色体物質にハイブリダイゼーションすることによって実施することができる。ゲノムに構築物の少なくとも1つのコピーを含有することが見出されたほ乳類の子孫を成長させて成熟させる。これらの子孫の雌種は乳汁中にまたは乳汁と共に望ましいポリペプチドを産生する。遺伝子組換えほ乳類は乳汁中に望ましいポリペプチドを産生する際に有用な他の遺伝子組換え子孫を作製するために繁殖させることができる。
遺伝子組換え雌は、例えば、ウェスタンブロットまたは酵素的アッセイのような当技術分野において既知の任意のアッセイ技法を使用して、乳汁中へのポリペプチドの分泌について試験することができる。
遺伝子組換え動物の乳汁中においてポリペプチドを発現するのに有用な転写プロモーターは、カゼイン、β−ラクトグロブリン(Clarkら(1989)Bio/Technology 7:487-492)、乳清酸性タンパク質(Gortonら(1987)Bio/Technology 5:1183-1187)およびラクトアルブミン(Soulierら(1992)FEBS Letts. 297:13)などのミルクポリペプチドをコードする遺伝子を制御するプロモーターを含む、乳腺上皮細胞において優先的に活性化されるようなプロモーターである。任意のほ乳類種のα−、β−、γ−またはκ−カゼイン遺伝子プロモーターを、乳腺において発現するために使用することができる;好ましいプロモーターはヤギβ−カゼイン遺伝子プロモーターである(DiTullio、(1992) Bio/Technology 10:74-77)。他の乳汁特異的ポリペプチドプロモーターまたは乳腺組織において特異的に活性化されるプロモーターはcDNAまたはゲノム配列から単離することができる。
DNA配列情報は、少なくとも1つの生物において、しばしば数種の生物において上記に掲載する乳腺特異的遺伝子について入手可能である。例えば、RichardsらJ Biol.Chem. 256,526-532(1981)(ラットα−ラクトアルブミン);CampbellらNucleic Acids Res. 12,8685-8697(1984)(ラットWAP);JonesらJ.Biol.Chem. 260:7042-7050(1985)(ラットβ−カゼイン);Yu-Lee&Rosen、J.Biol.Chem. 258, 10794-10804(1983)(ラットγ−カゼイン);Hall、Biochem.J. 242,735-742(1987)(ヒトα−ラクトアルブミン);Stewart、Nucleic Acids Res. 12,389(1984)(ウシαS1およびκカゼインcDNA);GorodetskyらGene 66,87-96(1988)(ウシβ−カゼイン);Alexanderら、Eur.J.Biochem. 178,395-401(1988)(ウシκ−カゼイン);Brignonら、FEBS Lett. 188,48-55(1977)(ウシαS2カゼイン);Jamiesonら、Gene 61,85-90(1987)、Ivanovら、Biol.Chem.Hoppe-Seyler 369,425-429(1988)、Alexanderら、Nucleic Acids Res. 17,6739 (1989)(ウシβラクトアルブミン);Vilotteら、Biochimie 69,609-620(1987)(ウシα−ラクトアルブミン)を参照されたい。種々の乳汁タンパク質遺伝子の構造および機能は、Mercier&Vilotte、J.Dairy Sci. 76,3079-3098(1993)によって総説が示されている。追加の隣接配列が発現を最適化する際に有用である場合には、既存の配列をプローブとして使用してこのような配列をクローニングすることができる。異なる生物の乳腺特異的調節配列は、既知の同族ヌクレオチド配列または同族ポリペプチドに対する抗体をプローブとして使用してこのような生物のライブラリーをスクリーニングすることによって入手することができる。
この実施態様によれば、単離核酸は、例えば、乳汁内に分泌される産物をコードする遺伝子の乳汁特異的シグナル配列に作動可能に結合していてもよい。例えば、カゼイン(例えば、α−、β−、γ−またはκ−カゼイン)、β−ラクトグロブリン、乳清酸性タンパク質およびラクトアルブミンをコードする遺伝子のシグナル配列は本発明に有用である。
ポリペプチドは、乳腺上皮細胞に特異的なプロモーター、例えば、カゼインプロモーター(例えば、ヤギβ−カゼインプロモーター)、乳汁特異的シグナル配列、例えば、カゼインシグナル配列(例えば、β−カゼインシグナル配列)およびポリペプチドをコードする配列を含む例示的な発現構築物から発現されうる。
遺伝子組換えポリペプチドは、比較的高濃度および大容量で乳汁中に産生され、再生可能な起源から容易に回収される通常通り処理されたポリペプチドの連続的な高いレベルのアウトプットを提供する。乳汁からポリペプチドを単離するための当技術分野において既知のいくつかの異なる方法がある。
ミルクポリペプチドは、通常、方法の組み合わせによって単離される。最初に、例えば、スキミング、遠心分離、沈降(H.E. Swaisgood、Developments in Dairy Chemistry,I:Chemistry of Milk Protein、Applied Science Publishers、NY、1982年)、酸性沈殿(米国特許第4,644,056号)またはレニンもしくはキモトリプシンによる酵素的凝固(Swaisgood、上記)によって生乳を分画化して脂肪を除去する。次に、主要な乳汁タンパク質を、関心対象の具体的なタンパク質を容易に精製することができる透明な溶液またはバルク沈殿に分画化することができる。
米国特許出願08/648,235号は、平行流ろ過によって乳汁全体または乳汁分画から生物学的に活性な形態のタンパク質などの可溶性乳汁成分を単離するための方法を開示している。これまでの単離方法と異なり、これは、脂肪およびカゼインミセルを除去するために乳汁全体を最初に分画化する必要性を排除し、それによってプロセスを簡単にし、回収率および生物活性の損失を回避している。この方法は追加の精製ステップと併用使用して、不純物質をさらに除去し、関心対象の成分を精製することができる。
[B.遺伝子組換え鳥類の卵での遺伝子組換えポリペプチドの産生]
組換えポリペプチドは、当技術分野において既知の方法を使用して遺伝子組換え鳥類、例えば、遺伝子組換えニワトリ、七面鳥、アヒル、ガチョウ、ダチョウ、ホロホロチョウ、クジャク、ヤマウズラ、キジ、ハト、ウズラの卵にも産生することができる(SangらTrends Biotechnology, 12:415-20,1994)。卵黄タンパク質遺伝子およびアルブミンタンパク質遺伝子などの卵に特異的に発現されるポリペプチドをコードする遺伝子を改変して、本発明のリソソームポリペプチドの発現を誘導することができる。
鳥類の卵においてポリペプチドを産生するのに有用なプロモーターは、卵ポリペプチド、例えば、オボアルブミン、リゾチームおよびアビジンをコードする遺伝子を制御するプロモーターを含む、卵において優先的に活性化されるものである。ニワトリオボアルブミン、リゾチームおよびアビジン遺伝子のプロモーターが好ましい。卵特異的プロモーターまたは卵組織において特異的に活性化されるプロモーターはcDNAまたはゲノム配列由来であってもよい。
卵特異的遺伝子のDNA配列は当技術分野において既知である(例えば、内容が引用することにより本明細書に組み入れられている、Burleyら「The Avian Egg」、John Wiley and Sons、 p.472、1989年を参照されたい)。異なる生物の卵特異的調節配列は、既知の同族ヌクレオチド配列または同族ポリペプチドに対する抗体をプローブとして使用してこのような生物のライブラリーをスクリーニングすることによって入手することができる。
[C.遺伝子組換え植物]
組換えポリペプチドは、導入遺伝子が核または植物細胞小器官のゲノムに挿入されている遺伝子組換え植物において発現することができる。植物の形質転換は当技術分野として既知である。一般に、Methods in Enzymology 153巻(「Recombinant DNA Part D」)1987年、WuおよびGrossman編、Academic Press並びに欧州特許出願EP 693 554号を参照されたい。
数種の方法によって、外来核酸を植物細胞またはプロトプラストに導入することができる。例えば、核酸は、マイクロピペットを使用して植物細胞に直接マイクロインジェクションすることによって機械的に導入することができる。外来核酸は、細胞によって取り込まれる遺伝物質と沈殿複合体を形成するポリエチレングリコールを使用することによって、植物細胞に導入することもできる(Paszkowskiら(1984)EMBO J. 3:2712-22)。外来核酸は、エレクトロポレーションによっても植物細胞に導入することができる(Frommら(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:5824)。この技法では、植物プロトプラストは、関連の遺伝子構築物を含有するプラスミドまたは核酸の存在下においてエレクトロポレーションされる。高電界強さの電気的刺激が生体膜を可逆的に透過性にして、プラスミドの導入を可能にする。エレクトロポレーションされた植物プロトプラストは細胞壁を再構築して、分裂し、植物カルスを形成する。形質転換遺伝子を含有する形質転換植物の選択は、表現型マーカーを使用して実施することができる。
カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)は、植物細胞に外来核酸を導入するためのベクターとして使用することができる(Hohnら(1982)「Molecular Biology of Plant Tumors」、Academic Press、New York、549-560;Howell、米国特許第4,407,956号)。CaMVウイルスDNAゲノムを親細菌プラスミドに挿入し、細菌中で増殖することができる組換えDNA分子を産生する。組換えプラスミドは、望ましいDNA配列を導入することによってさらに改変することができる。次いで、組換えプラスミドの改変後のウイルス部分を親細菌プラスミドから切断し、植物細胞または植物に接種するために使用する。
小粒子による高速の弾道的透過を使用して、外来核酸を植物細胞に導入することができる。核酸は小ビーズまたは粒子の基質または表面に配置される(Kleinら(1987)Nature 327:70-73)。典型的には、新たな核酸セグメントの1回の導入しか必要ないが、この方法はまた多数回の導入も提供する。
核酸で形質転換したアグロバクテリウム ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)またはアグロバクテリウム リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)を植物細胞、外植片、成長点または種子に感染させることによって核酸を植物細胞に導入することができる。適当な条件下において、シュート、根を形成し、さらに発生して植物を形成するように形質転換した植物細胞を成長させる。核酸は、例えば、アグロバクテリア(Agrobacteria)のTiプラスミドによって植物細胞に導入することができる。Tiプラスミドは、アグロバクテリア(Agrobacteria)による感染の結果植物細胞に伝染され、植物ゲノムに安定して組込まれる(Horschら(1984)「Inheritance of Functional Foreign Genes in Plants」、Science 233:496498;Fraleyら(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:4803)。
プロトプラストを単離し、培養して再生植物全体を提供することができる植物は、導入された外来遺伝子を含有する植物全体が回収されるように形質転換することができる。いくつかの好適な植物には、例えば、オランダイチゴ属(Fragaria)、ハス属(Lotus)、ウマゴヤシ属(Medicago)、オノブリキス属(Onobrychis)、トリフォリウム属(Trifolium)、シャジクソウ属(Trigonella)、ササゲ属(Vigna)、カンキツ属(Citrus)、アマ属(Linum)、ゲラニウム属(Geranium)、マニホット属(Manihot)、ニンジン属(Daucus)、イロイヌナズナ属(Arabidopsis)、アブラナ属(Brassica)、ダイコン属(Raphanus)、シロガラシ属(Sinapis)、ベラドンナ属(Atropa)、トウガラシ属(Capsicum)、ヒヨス属(Hyoscyamus)、トマト属(Lycopersicon)、タバコ属(Nicotiana)、ナス属(Solanum)、ペチュニア属(Petunia)、ジギタリス属(Digitalis)、ハナハッカ属(Majorana)、キオホリウム属(Ciohorium)、ヒマワリ属(Helianthus)、アキノノゲシ属(Lactuca)、スズメノチャヒキ属(Bromus)、アスパラガス属(Asparagus)、アンチライナム属(Antirrhinum)、ヘレロカリス属(Hererocallis)、ネメシア属(Nemesia)、ペラルゴニウム属(Pelargonium)、キビ属(Panicum)、チカラシバ属(Pennisetum)、キンポウゲ属(Ranunculus)、サワギク属(Senecio)、サルメンバナ属(Salpiglossis)、キューリ属(Cucumis)、ブロワーリア属(Browaalia)、グリシン属(Glycine)、ドクムギ属(Lolium)、トウモロコシ属(Zea)、コムギ属(Triticum)、モロコシ属(Sorghum)およびチョウセンアサガオ属(Datura)の種が挙げられる。
培養プロトプラストからの植物の再生は、Evansら「Protoplasts Isolation and Culture」、Handbook of Plant Cell Cultures 1:124-176(MacMillan Publishing Co. New York 1983);M.R.Davey、「Recent Developments in the Culture and Regeneration of Plant Protoplasts」、Protoplasts(1983)-Lecture Proceedings、12-29、(Birkhauser、Basal 1983年);P.J.Dale、「Protoplast Culture and Plant Regeneration of Cereals and Other Recalcitrant Crops」、Protoplasts(1983)-Lecture Proceedings、31-41、(Birkhauser,Basel 1983年)およびH.Binding、「Regeneration of Plants」、Plant Protoplasts、21-73、(CRC Press、Boca Raton 1985年)に記載されている。
プロトプラストからの再生は植物の種によって異なるが、一般に、異種配列のコピーを含有する形質転換プロトプラストの懸濁液を最初に作製する。ある種では、次いでプロトプラスト懸濁液から胚形成を誘導して、天然型の胚としての成熟および発芽の段階に至ることができる。培養培地は、オーキシンおよびサイトカイニンなどの種々のアミノ酸およびホルモンを含有してもよい。特にコーンおよびアルファルファのような種には培地にグルタミン酸およびプロリンを添加することも有利となりうる。シュートおよび根は、通常、同時に発生する。効率的な再生は培地、遺伝子型および培養歴に依存する。これら3つの変数を制御すると、再生は十分に再現可能であり、反復可能である。
栄養繁殖作物では、成熟遺伝子組換え植物は、挿し木または組織培養技法によって繁殖させて、生産特性の試験などの試験のために多数の同一植物を作製することができる。望ましい遺伝子組換え植物を選択し、それによって新規変種を入手し、市販用に栄養繁殖する。種子繁殖型作物では、成熟遺伝子組換え植物は自己交配して、同型接合的な近交系植物を作製することができる。近交系植物は、導入遺伝子を含有する種子を産生する。これらの種子を成長させて、選択した表現型を有する植物を作製することができる。本発明による近交系を使用して新規交配種を開発することができる。この方法では、選択した近交系を別の近交系と交配して、交配種を作製する。
花、種子、葉、枝、果実等などの遺伝子組換え植物から得られる部分は、このように形質転換された細胞を含む場合には本発明に含まれる。再生される植物の子孫および変種並びに突然変異体も、これらの部分が導入された核酸配列を含む場合には、本発明の範囲に含まれる。再生される植物の子孫および変種並びに突然変異体も本発明の範囲に含まれる。
遺伝子組換え植物または植物細胞の選択は、色の変化の観察(例えば、白色の花、変わりやすい色素産生および花の均一な色パターンまたは不規則なパターン)などの視覚的アッセイに基づくことができるが、酵素活性または産物の定量の生化学的アッセイに関係してもよい。遺伝子組換え植物または植物細胞を、関心対象の植物部分を保有する植物に成長させ、生化学的アッセイ(ノーザンブロット);ウェスタンブロットおよび酵素アッセイなどによって遺伝子の活性をモニターする。適当な植物を選択し、さらに評価する。遺伝子工作植物を作製する方法は、全て引用することにより本明細書に組み入れられている米国特許第5,283,184号、同第5,482,852号および欧州特許出願第EP 693 554号にさらに記載されている。
[V.被験体、製剤、ワクチンおよび投与様式]
本発明は、獣医学および医学的適用に用途を見出している。好適な被験体には鳥類およびほ乳類が挙げられ、ほ乳類が好ましい。本明細書において使用する「鳥類」という用語は、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、七面鳥およびキジを含むが、これらに限定されない。本明細書において使用する「ほ乳類」という用語は、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ネコ、イヌ、ウサギ、ラット、マウス等を含むが、これらに限定されない。ヒト被験体が好ましい。ヒト被験体は、新生児、幼児、若年者および成人を含む。代表的な実施態様において、被験体は、リソソームポリペプチド(例えば、GAA)欠損症であるまたは欠損症であると考えられるヒト被験体である。
特定の実施態様において、本発明は、本発明の単離核酸またはベクターと、任意選択的に、他の医薬品、製剤、担体、補助剤、分散剤、希釈剤等を薬学的に許容されうる担体中に含む薬学的組成物を提供する。注射用は、担体は、典型的には、発熱物質を含有しない滅菌水、発熱物質を含有しないリン酸緩衝生理食塩液、静菌水またはCremophor EL[R](BASF、 Parsippany、 N.J.)などの液体である。他の投与方法のために、担体は固体または液体であってもよい。
「薬学的に許容されうる」は、生物学的またはそれ以外にも望ましくないことがない物質を意味し、すなわち物質は、毒性などの任意の望ましくない生物作用を生じないで単離核酸またはベクターと共に被験体に投与することができる。従って、例えば、半ビボにおける細胞の形質移入または単離核酸もしくはベクターを被験体に直接投与する際にこのような薬学的組成物を使用することができる。
ウイルスベクターの場合には、特定の標的細胞に適当な標準的な形質導入方法により、適当な感染多重度でウイルス粒子を細胞に接触させることができる。投与するウイルスの力価は、標的細胞種および特定のウイルスベクターに応じて異なってもよく、不当な実験を行わないで当業者が決定することができる。典型的には、少なくとも約103ウイルス粒子、少なくとも約105ウイルス粒子、少なくとも約107ウイルス粒子、少なくとも約109ウイルス粒子、少なくとも約1011ウイルス粒子または少なくとも約1012ウイルス粒子を細胞に投与する。例示的な実施態様において、約107〜約1015粒子、約107〜約1013粒子、約108〜約1012粒子、約1010〜約1015粒子、約1011〜約1015粒子、約1012〜約1014粒子または約1012〜約1013粒子を投与する。
本発明のベクターを投与する細胞は、神経細胞(抹消および中枢神経系の細胞を含む)、網膜細胞、上皮細胞(真皮、腸、呼吸器、膀胱、肺、腹腔内および乳房組織上皮を含む)、筋肉(心筋、肺平滑筋細胞を含む平滑筋、骨格筋および横隔膜筋を含む)、膵臓細胞(島細胞を含む)、肝細胞(実質細胞を含む)、腸の細胞、線維芽細胞(例えば、ヒト皮膚線維芽細胞などの皮膚線維芽細胞)、線維芽細胞由来細胞、内皮細胞、腸細胞、生殖細胞、肺細胞(気管支細胞および肺胞細胞を含む)、前立腺細胞、幹細胞、前駆細胞、樹状細胞等を含むが、これらに限定されない任意の細胞種であってもよい。または、細胞は癌細胞(腫瘍細胞を含む)である。さらに、細胞は、上記に示すように、任意の起源の種由来であってもよい。
ほ乳類細胞には、CHO細胞、293細胞、HT1080細胞、HeLa細胞またはC10細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の特定の実施態様において、細胞は被験体から取り出され、ベクターが導入され、次いで細胞を被験体に戻す。半ビボにおける治療のために被験体から細胞を取り出し、次に被験体に戻す方法は当技術分野において既知である(例えば、半ビボにおけるベクター投与の教示については米国特許第5,399,346号を参照されたい)。さらに別の方法として、操作し、被験体に導入される細胞は、細胞を使用する治療形態として別の被験体または細胞系統から提供される。
本発明のさらに別の態様は、本発明の核酸または送達ベクターを用いてインビボにおいて被験体を治療する方法である。本発明の核酸または送達ベクターのヒト被験体または動物への投与は当技術分野において既知の任意の手段であってもよい。被験体はほ乳類被験体であってもよく、さらに特にヒト被験体である。他の実施態様において、被験体は治療を必要としており、例えば、リソソームポリペプチド(例えば、GAA)欠損症であると診断されているまたはリソソームポリペプチド欠損症が疑われる。
用量は、投与様式、治療対象の疾患または状態の重症度、個々の被験体の状態、特定のベクターおよび送達される遺伝子に依存し、通常の方法で決定することができる(例えば、Remington、 The Science And Practice of Pharmacy(第9版、1995年)を参照されたい)。特定の実施態様において、単離核酸またはベクターは、その用語が上記に規定されている治療的に有効な量が被験体に投与される。
典型的には、ウイルスベクターに関しては、少なくとも約103、少なくとも約105、少なくとも約107、少なくとも約109、少なくとも約1011のウイルス粒子または少なくとも約1012のウイルス粒子は治療あたり被験体に投与される。例示的な用量は、約107〜約1015粒子、約107〜約1014粒子、約108〜約1013粒子、約1010〜約1015粒子、約1011〜約1015粒子、約1012〜約1014粒子または約1012〜約1013粒子のウイルス力価である。
本発明の特定の実施態様において、治療レベルの核酸発現を達成するために2回以上の投与(例えば、2、3、4またはそれ以上の投与)を使用してもよい。
例示的な投与様式には、経口、経直腸、経粘膜、局所、経皮、吸入、非経口、例えば、静脈内、皮下、皮内、筋肉内(すなわち、心筋、骨格筋、横隔膜筋および/または平滑筋への投与)および関節内投与等並びに直接組織(例えば、筋肉)または器官注射(例えば、肝臓内、中枢神経系への送達のための脳内)、またはクモ膜下腔内、直接筋肉内(例えば、心筋内、骨格筋内または横隔膜筋内)、脳室内、静脈内、腹腔内、鼻腔内または眼内注射が挙げられる。肝臓への投与(以下に考察)は別の代表的な投与様式である。
注射用製剤は、溶液もしくは懸濁液、注射前に溶液もしくは懸濁液に調製するのに好適な固体またはエマルジョンとして従来の形態で製造することができる。注射媒体は、典型的には、安定剤、塩または生理食塩液および/または緩衝液などの注射溶液に有用な補助剤を含有する水性の液体である。
経口投与のためには、単離核酸またはベクターは、カプセル、錠剤および粉末などの固形剤形またはエリキシル、シロップおよび懸濁液などの液体剤形で投与することができる。作用成分は、グルコース、ラクトース、スクロース、マンニトール、デンプン、セルロースまたはセルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、サッカリンナトリウム、タルク、炭酸マグネシウム等などの不活性成分および粉末状担体と共にゼラチンカプセルに封入することができる。望ましい色、味、安定性、緩衝能、分散性または他の既知の望ましい特徴を提供するために添加することができる追加の不活性成分の例は、赤色酸化鉄、シリカゲル、ラウリル硫酸ナトリウム、二酸化チタン、食用白色インク等である。圧縮錠を製造するために同様の希釈剤を使用することができる。錠剤およびカプセルは共に、数時間にわたって医薬品を持続的に放出するための徐放性製品として製造することができる。圧縮錠は、任意の望ましくない味をマスクし、錠剤を大気から保護するために糖コーティングもしくは薄膜コーティングしても、または消化管において選択的に崩壊させるために腸溶コーティングしてもよい。経口投与のための液体剤形は、患者の受け入れやすさを増加するための着色剤および矯味矯臭剤を含有してもよい。
AAVベクターの経口投与は米国特許第6,110,456号(全体の内容が引用することにより本明細書に組み入れられている)に記載されている。
または、単離核酸またはベクターは鼻腔内投与用に製剤化されてもまたは任意の好適な手段によって被験体の肺に鼻腔内投与以外で投与されてもよいが、好ましくは、被験体が吸入する、ベクターを含む吸入用粒子のエアゾール懸濁液によって投与される。吸入用粒子は液体または固体であってもよい。「エアゾール」という用語は、細気管支または鼻腔通路に吸入されることが可能な任意の気体伝播性の浮遊相を含む。具体的には、エアゾールは、定量吸入器もしくはネブライザーまたはミストスプレーで作製することができる気体伝播性の液滴懸濁液を含む。エアゾールはまた、例えば、吸入装置からの吹送によって送達することができる空気または他の担体ガス中に浮遊させた乾燥粉末組成物を含む。Ganderton&Jones、Drug Delivery to the Respiratory Tract、Ellis Horwood(1987);Gonda(1990)Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 6:273-313およびRaeburnら(1992)J.Pharmacol.Toxicol.Methods 27:143-159を参照されたい。単離核酸またはベクターを含む液体粒子のエアゾールは、当業者に既知の圧力駆動性エアゾールネブライザーまたは超音波ネブライザーなどの任意の好適な手段によって産生することができる。例えば、米国特許第4,501,729号を参照されたい。単離核酸またはベクターを含む固体粒子のエアゾールは、同様に、製薬分野において既知の技法によって任意の固体粒子医薬エアゾール発生装置で産生することができる。
または、例えば、蓄積性(depot)または徐放性製剤で全身的でなく局所的に単離核酸またはベクターを投与することができる。
本発明の特定の実施態様において、単離核酸またはベクターは被験体の肝臓に送達される。肝臓への投与は、静脈内投与、門脈内投与、胆道内投与、動脈内投与、肝実質細胞内への注射および脾臓内注射を含むが、これらに限定されない当技術分野において既知の任意の方法によって実施することができる。
骨格筋もしくは心筋への、それぞれ、筋肉内送達および心臓内送達または横隔膜筋内への直接注射も好ましい。他の特定の実施態様において、横隔膜筋に単離核酸またはベクターを送達するために腹腔内投与を使用する。
特定の実施態様において、リポソームポリペプチドをコードする単離核酸(例えば、Ad、AAVまたはAd/AAVハイブリッドベクターに搬送される)は、蓄積器官または組織(例えば、肝臓、骨格筋、肺)に導入され、ポリペプチドが発現されて、循環系に分泌され、任意選択的に、標的組織に、好ましくは治療的に有効な量が送達される。骨格筋への筋肉内送達または肝臓への送達は本発明のこの実施態様を実施するための例示的なものである。または、(例えば、Sly疾患などのMPS障害を治療するために)単離核酸またはベクターを脳に投与することができ、ポリペプチドが形質転換または形質導入細胞(例えば、ニューロン、グリア細胞)によって発現されて分泌され、他の脳細胞によって取り込まれることが可能になる。
本明細書において本発明を記載したが、本発明は、例示目的のためだけに本明細書に含まれており、本発明を限定する意図のものではないある実施例を参照して例示される。
[実施例1:材料と方法]
[細胞培養]
10%ウシ胎仔血清、100Uペニシリン/ミリリッターおよび100μgストレプトマイシン/ミリリッターを添加したダルベッコ改良イーグル培地で37℃、5%CO2−空気雰囲気下において293細胞およびC−7細胞(AmalfitanoおよびChamberlain.(1997)Gene Ther. 4:258-263)を維持した。C−7細胞はヒグロマイシン、50μg/mlの存在下において増殖させた。HeLa細胞は、10%ウシ胎仔血清、1mM最小必須ピルビン酸ナトリウム培地、0.1mM最小必須非アミノ酸培地、100Uペニシリン/ミリリッターおよび100μgストレプトマイシン/ミリリッターを添加した最小必須イーグル培地で37℃において5%CO2−空気雰囲気下において維持した。
[hGAAをコードするAAVベクタープラスミドの構築]
hGAA cDNAを、pcDNA3−hGAAのCMVプロモーター(Van Hoveら(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:65-70)を用いて、AAVベクタープラスミドのヒト成長ホルモンイントロン4およびポリアデニル化配列の上流にNruI−EcoRV断片としてサブクローニングした(Brinsterら.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:836-840)。得られた転写単位は、pAAV−ChGAAGHのAAV末端反復(TR)配列が隣接している。ヒト成長ホルモンイントロン4に及ぶ530bpの欠損は、EcoRVおよび部分PvuII消化し、T4 DNAポリメラーゼで末端を平滑化し、T4 DNAリガーゼでライゲーションしてpAAV−ChGAAG(−)を作製することによって作製した。CMVエンハンサー/ニワトリβ−アクチン(CB)ハイブリッドプロモーターは、独自の上流XbaIおよび下流KpnI制限部位を導入したプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応によってpTriEx1(Novagen、Madison、WI)から増幅し、CBプロモーターをKpnI−XbaI断片としてサブクローニングしてpAAV−ChGAAG(−)のCMVプロモーターと交換し、pAAV−CBhGAAG(−)を作製した。次に、パッケージングサイズをさらに低下するために、プラスミドpAAV−CBhGAAG(−)を、hGAA cDNAの3’非翻訳配列の独自のAflII部位において直線化し、NspIで部分消化して、hGAA cDNAの3’非翻訳配列に411bpの欠損を導入し、次にT4 DNAポリメラーゼで末端を平滑化し、T4 DNAリガーゼでライゲーションしてpAAV−CBGAApAを作製した。最後に、pAAV−CBGAApAのベクター配列を部分BglII消化物から4.4kbp断片として単離し、子ウシ腸アルカリ性ホスファターゼ−pShuttleの脱リン酸化BglII部位でライゲーションした(Heら.(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:2509-2514)。
[hGAAをコードするハイブリッド[E1−、ポリメラーゼ−、前終端タンパク質−]Ad−AAVベクターの構築]
カナマイシン耐性シャトルプラスミドは、Ad E1領域内に、AAV2 TR配列が隣接するCBプロモーター+hGAA cDNA+ポリA導入遺伝子カセットを含むように構築した。シャトルプラスミドはPmeIで消化し、大腸菌(E.coli)のBJ5183組換え株に、pAd[E1−、ポリメラーゼ−、前終端タンパク質−]プラスミドでエレクトロポレーションした(Hodgesら(2000)J.Gene Med. 2:250-259)。組換えカナマイシン耐性クローンは制限酵素消化(BstXI)でスクリーニングして、完全長の組換えAdベクターゲノムの作製の成功を確認した。これらのクローンはPacIで消化し、以前に記載されているように、E1およびE2b発現細胞系統、C−7に形質移入した(Hodgesら(2000)J.Gene Med. 2:250-259)。ベクターを増幅して、ベクターゲノムの制限酵素マッピング並びにインビトロおよびインビボにおける機能的なアッセイによって適切な構築を有することを確認した。単離したら、それぞれのAdベクターを、数を増加させたC−7細胞において連続的に増殖させた(Amalfitanoら(1998)J.Virol. 72:926-933)。感染の48時間後、感染細胞ペレットを低速遠心分離によって回収し、10mMのTris−HCl pH8.0に再懸濁し、溶菌液の反復凍結−融解(×3)によって細胞から遊離させ、超遠心分離によって遊離させ、ベクターを含有する上清に2ラウンドのCsCl平衡密度遠心分離を実施した(Amalfitanoら(1998)J.Virol. 72:926-933)。2つのウイルスバンドが見られた。次いで、ウイルスバンドを取り、10mMのTris−HCl pH8.0(またはPBS)で十分に透析し、スクロースを1%まで添加し、アリコートを−80℃で保存した。ベクター粒子の数は、透析緩衝液に含有されるベクターのOD260に基づいて、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)破壊並びにDNase I消化、DNA抽出およびサザンブロット分析によって定量した。
Ad/AAVハイブリッドベクターDNA分析は、ベクターDNAを単離して制限酵素消化し、サザンブロット分析で塩化セシウム濃度勾配の低バンドに、導入遺伝子に隣接するAAV末端反復配列の存在を証明する制限酵素(AhdIおよびBssHII)を含む、無傷のAAVベクター配列が存在することを確認することからなった。
全てのウイルスベクターストックは、NIH発行のBiohazard Safety Level 2に準じて取り扱った。
[Ad−AAVハイブリッドまたはAAVベクターストックのインビボにおける投与]
3日齢のGAA−KOマウスの両側の腓腹筋にベクターを筋肉内投与した(Rabenら(1998)J.Biol.Chem. 273:19086-19092)。合計4×1010のDNase I抵抗性Ad−AAVベクター粒子を、動物あたり2つの等しい注射液に分割して投与した。または、合計1011のDNase I抵抗性AAVベクター粒子を6週齢のGAA−KO/SCIDマウスの右腓腹筋に筋肉内投与した。肝臓標的投与のためには、合計1011のDNase I抵抗性AAVベクター粒子を、示すように、3ヶ月齢のGAA−KO/SCIDマウスまたはGAA−KOマウスに眼窩後方洞または門脈静脈を介して静脈投与した。注射後それぞれの経過時点において、血漿または組織試料を以下に示すように採取し、処理した。全ての動物処理手法は、Duke University Institutional Animal Care and Use Committee承認の指針に準じて実施した。
[hGAA活性およびグリコーゲン含量の測定]
対照または処理マウスから組織を取り出し、ドライアイスで急速冷凍し、均一化し、蒸留水中で超音波処理し、遠心分離で不溶性の膜/タンパク質をペレット化してから組織hGAA活性を測定した。浄化した上清のタンパク質濃度をBradfordアッセイで定量した。筋肉中のhGAA活性は記載されているように求めた(Amalfitanoら(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:8861-8866)。組織のグリコーゲン含量は、記載されているように(Kikuchiら(1998)J.Clin.Invest. 101:827-833)、アスペルギルスニガー(Aspergillus niger)アッセイシステムを使用して測定した。等分散性の両側スチューデントt−検定を使用して、hGAAをコードするベクターを投与したGAA−KOマウスと投与しないGAA−KOマウス間のhGAAレベルおよびグリコーゲン含量の有意差を求めた。
[hGAAのウェスタンブロット分析]
組織中のhGAAの直接検出のためには、試料(タンパク質100μg)を6%ポリアクリルアミドゲル中で終夜電気泳動してタンパク質を分離し、ナイロン膜に移した。ブロットを5%脱脂粉乳溶液でブロックし、一次および二次抗体と共にインキュベーションし、増強化学発光(ECL)検出システム(Amersham Pharmacia、 Piscataway、 NJ)により可視化した。
[血漿抗hGAAおよび抗Ad抗体のELISA検出]
組換えhGAA(5μg)を炭酸緩衝液に加えたものを96ウェルプレートの各ウェルに4℃において終夜コーティングした。または、抗Ad抗体を検出するために、ウェルあたり5×108のAdベクター粒子を4℃においてウェルに終夜コーティングした。0.05%Tween20を含有するリン酸緩衝生理食塩液(PBS)で洗浄後、血漿の連続希釈液をウェルに添加し、室温において1時間インキュベーションした。ウェルを0.05%Tween20+PBSで洗浄し、2,500倍希釈のアルカリ性ホスファターゼ結合ヒツジ抗マウスIgG(H+L)と共に室温において1時間インキュベーションし、アルカリ性ホスファターゼ基質(p−ニトロフェニルホルフェート)を添加した。プレートの吸光度値をBio-RadマイクロプレートリーダーELISAを用いて405nmで読んだ(全ての試料は、この希釈でアッセイの線形範囲内である吸光度値を生じた(Dingら(2002)Mol.Ther. 5:436-446)。抗体価は、吸光度値が0.1を超える最も高い希釈値として測定した。
[実施例2:GAA−KOマウスにおける新生仔筋肉標的を標的としたAd−AAV投与およびhGAA産生]
Ad−AAVハイブリッドベクターによる筋肉を標的としたhGAAの発現を新生仔GAA−KOマウスにおいて評価した。これらの実験ではAd−AAVベクターは筋標的hGAAを送達したが、問題のAd−AAVハイブリッドベクターは、AAVベクターのパッケージング効率を改善するために開発した。3日齢のマウスにAd−AAVベクターを投与すると、注射した腓腹筋内のGSDIIの影響を回復させ、hGAA発現の持続は、後肢筋におけるグリコーゲン蓄積の一般的な低下によって証明される長期治療結果を提供した。
hGAAをコードするAd−AAVベクターは、生後3日目に筋肉内注射によってGAA−KOマウスの両側の腓腹筋に標的化し、6、12および24週齢時にhGAAレベルを分析した。24週齢時の腓腹筋、大腿屈筋および四頭筋群のhGAAのウェスタンブロット分析は、Ad−AAVベクター投与後に〜110kD、76kDおよび67kDアイソフォームのhGAAを示し、hGAAは未処理のGAA−KOマウスの骨格筋では存在しなかった(図1パネルA)。明らかに腓腹筋に隣接する筋の形質導入により、大腿屈筋では最も多い量のhGAAが見られ、腓腹筋ではわずかに低いhGAAが見られ、四頭筋では最も低いhGAAが見られた。組込まれたhGAAの同様のパターンは、Ad−AAVベクター投与後6および12週齢時において腓腹筋および四頭筋群のウェスタンブロット分析によって検出された(示していない)。
新生仔Ad−AAVベクター投与後6、12および24週齢時の心臓、横隔膜および肝臓におけるhGAAのウェスタンブロット分析は、6週の4匹のGAA−KOマウスの2匹において〜76kDアイソフォームのhGAAについて低いが検出可能なレベルのhGAAを証明した(図1パネルB;m1およびm4)。さらに低いhGAAは24週の4匹のGAA−KOマウスの1匹の心臓に存在し(図1パネルB;m12)、12週齢の5匹のGAA−KOマウスの心臓では検出されなかった(図1パネルB)。最終的に、hGAAは、ベクター投与後3週間経過時にはウェスタンブロットによって血漿中で検出されなかった(示していない)。
Ad−AAVベクターによって導入されるhGAAの機能をGAA酵素アッセイによって分析し、GAA活性を、ウェスタンブロット分析によって検出されるhGAAタンパク質の相対量と相関させた(図2パネルA)。24週経過時では、最も高いGAA活性は大腿屈筋に存在し(1180+/-620nmol/mg/hr)、次に腓腹筋(717+/-275nmol/mg/hr)が続き、四頭筋では最も低かった(44+/-28nmol/mg/hr)。GAA活性は、未処理のGAA−KOマウスの同じ筋群と比較して、6、12および24週経過時には全ての筋群において増加した(図2パネルB)。大腿屈筋のhGAA活性は、野生型マウス骨格筋のGAA活性と比較して、約50倍高かった(Ding,Eら(2002)Mol.Ther. 5:436-446)。
GAA活性は、4匹のGAA−KOマウスの2匹においてAD−AAVベクター投与後6週齢時に心臓、横隔膜および肝臓において増加した(図2パネルB;m1およびm4)。しかし、これらの組織のGAA活性は、Ad−AAVベクター注射部位に近い後肢の骨格筋よりはるかに低かった(図2パネルB)。
[実施例3:新生仔Ad−AAV投与後の抗−hGAA抗体]
抗hGAA抗体形成は、臨床試験(Amalfitanoら(2001)Genet.In Med. 3:132-138)およびGAA−KOマウスにおけるアデノウイルスベクターの前臨床使用(Dingら(2002)Mol.Ther. 5:436-446)においてGSD IIのhGAA酵素補充中に生じた。抗hGAA抗体は、3例を除いて、新生仔Ad−AAVベクター投与(図3パネルA、新生仔筋肉内Ad−AAV)後6、12および24週目のGAA−KOマウスにおいて検出されたが、抗hGAA抗体は未処理のGAA−KOマウスには存在しなかった(図3パネルA、対照)。Ad−AAVベクターを静脈内に投与した成獣GAA−KOマウスを陽性対照として使用した(図3パネルA、Ad−AAV)。これらのマウスは、以前に報告されているように(Ding,Eら(2002)Mol.Ther. 5:436-446)、高抗体価の抗hGAA抗体を形成した。1:4,000より大きい抗体価のhGAA抗体の存在が、新生仔Ad−AAVベクター投与後の13匹のマウスのうちの10匹(図3パネルB、新生仔筋肉内Ad−AAV)および静脈内Ad−AAVベクター投与後の3匹の成獣GAA−KOマウスのうちの3匹(図3パネルB、Ad−AAV)において証明された。新生仔ベクター投与後に抗hGAA抗体を形成しなかった3匹だけのGAA−KOマウスも、6および24週齢時にウェスタンブロット分析によって心臓にかなりのhGAAを示した(図1パネルB)。GAA−KOマウスは、Ad−AAVベクターへの新生仔期の1回の接触では抗Ad抗体を形成しなかったので、抗hGAA抗体の形成は外来導入遺伝子(hGAA)の持続的な発現に関連すると思われた(図3パネルC)。
[実施例4:新生仔GAA−KOマウス腓腹筋への注射後の後肢骨格筋におけるグリコーゲン含量の低下]
GSD IIへのhGAA導入の利点は骨格筋中のグリコーゲン定量によって示された。四頭筋のhGAAが他の経過時点ほど高くなかった24週経過時の四頭筋(図2パネルA)を除いて、骨格筋群のグリコーゲン蓄積は全ての経過時点において有意に低下した。大腿屈筋、腓腹筋および四頭筋のグリコーゲン含量は、未処理のGAA−KOマウスと比較したとき、有意に低下した(図4パネルA)。新生仔Ad−AAVベクター投与後6週間経過時のGAA−KOマウス(n=4)の心臓のグリコーゲン含量は0.77+/-0.42mmolグルコース/gmタンパク質に低下し、これと比較すると未処理のGAA−KOマウス(n=3)では2.1+/1.3mmolグルコース/gmタンパク質に低下した。4匹のGAA−KOマウスのうちの2匹だけが6週間経過時にウェスタンブロット分析によって心臓および横隔膜のhGAAが検出可能であり(図1パネルB;m1およびm4)、心臓および横隔膜のグリコーゲン含量はそれらのマウスの1匹において幾分低下した(図4パネルB;m4)。
hGAA導入によるグリコーゲン蓄積の矯正は腓腹筋および心臓のグリコーゲン染色によって明らかである。腓腹筋の過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色は、未処理のGAA−KOマウスと比較して、Ad−AAVベクター投与後24週間経過時にグリコーゲンのリソソーム蓄積がかなり少なかった(図5)。6週間経過時に心臓にかなりのhGAAを含有するGAA−KOマウスでは(図1パネルB;m4)、心臓のグリコーゲン蓄積は未処理のGAA−KOマウスより低かった(図5)。全体として、これらのデータは筋肉にベクターを導入したhGAAの利益が持続する証拠を提供している。
[実施例5:hGAAをコードするAAVベクタープラスミドの構築]
hGAA cDNAは、AAVベクタープラスミドのヒト成長ホルモンイントロン4およびポリアデニル化配列の上流にNruI−EcoRV断片として、pcDNA3−hGAAのCMVプロモーター(Van Hoveら(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:65-70)を用いてサブクローニングした(Brinsterら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:836-840)。得られた転写単位はpAAV−ChGAAGHのAAV2 TRが隣接していた。ヒト成長ホルモンイントロン4におよぶA530bp欠損は、EcoRVおよび部分PvuII消化し、次にT4 DNAポリメラーゼで末端を平滑化し、T4 DNAでライゲーションしてpAAV−ChGAAG(−)を作製することによって作製した。ハイブリッドCMVエンハンサー/ニワトリβ−アクチン(CB)プロモーターは、独自の上流XbaIおよび下流KpnI制限部位を導入するプライマーを用いてpTriEx1(Novagen、Madison、WI)からポリメラーゼ連鎖反応によって増幅し、CBプロモーターはKpnI−XbaI断片としてサブクローニングしてpAAV−ChGAAG(−)のCMVプロモーターと交換してpAAV−CBhGAAG(−)を作製した。パッケージングサイズをさらに低下するために、プラスミドpAAV−CBhGAAG(−)をhGAA cDNAの3’非翻訳配列の独自のAflII部位において鎖状化し、NspIで部分消化して、hGAA cDNAの3’非翻訳配列に411bpの欠損を導入し、次にT4 DNAポリメラーゼで末端を平滑化し、T4 DNAリガーゼでライゲーションしてpAAV−CBGAApAを作製した。最後に、pAAV−CBGAApAのベクター配列を4.4kbp断片として部分BglII消化物から単離し、pShuttleのコウシ腸アルカリ性ホスファターゼ−脱リン酸化BglIIをライゲーションした(He,T.-Cら(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:2509-2514)。
[実施例6:hGAAをコードする[E1−、ポリメラーゼ−、前終端タンパク質−] Ad−AAVハイブリッドベクターの構築]
カナマイシン耐性シャトルプラスミドは、Ad E1領域内に、AAV2 TR配列が隣接したCBプロモーター+hGAA cDNA+ポリA導入遺伝子カセットを含有するように構築した。シャトルプラスミドは、PmeIで消化し、pAd[E1−,ポリメラーゼ,前終端タンパク質−]プラスミドを用いて大腸菌(E.coli)のBJ5183遺伝子組換え株にエレクトロポレーションした(Hodgesら(2000)J.Gene Med. 2:250-259)。遺伝子組換えカナマイシン耐性クローンは制限酵素消化(BstXI)によってスクリーニングして完全長の組換えAdベクターゲノムの作製が成功していることを確認した。これらのクローンはPacIで消化して、以前に記載されているように、E1およびE2b発現細胞株、C−7に形質移入した(Amalfitanoら(1998)J.Virol. 72:926-933)。
ベクターを増幅し、ベクターゲノムの制限酵素マッピング並びにその後のインビボおよびインビトロにおける機能的アッセイによって適切な構成を有することを確認した。それぞれのAdベクターを単離したら、細胞数を増加させたC−7細胞において連続的に増殖させた(Amalfitanoら(1998)J.Virol. 72:926-933)。感染の48時間後に、感染細胞ペレットを低速遠心分離によって回収し、10mMのTris−HCl pH8.0に懸濁させ、溶菌液の反復凍結−融解(×3)によってベクターを細胞から遊離させ、超遠心分離によって遊離させ、ベクターを含有する上清に平衡密度CsCl遠心分離を2ラウンド実施した(Amalfitanoら(1998)J.Virol. 72:926-933)。2つのウイルスバンドが見られた。次いで、ウイルスバンドを取り、10mMのTris−HCl pH8.0(またはPBS)で十分に透析し、スクロースを1%まで添加し、分量を−80℃で保存した。ベクター粒子の数は、透析緩衝液に含有されるベクターのOD260に基づいて、ドデシル硫酸ナトリウム[SDS]破壊並びにDNase I消化、DNA抽出およびサザンブロット分析によって定量した。
Ad/AAVハイブリッドベクターDNA分析は、ベクターDNAを単離して制限酵素消化し、サザンブロット分析で塩化セシウム濃度勾配の低バンドに、導入遺伝子に隣接するAAV末端反復配列の存在を証明する制限酵素(AhdIおよびBssHII)を含む、無傷のAAVベクター配列が存在することを確認することからなった(Sunら(2003)Mol Ther 7:193-201)。
[実施例7:AAVベクターの作製]
AAVベクターストックは記載されているように改良して(Sun BD、Chen Y-T、Bird A、Xu F、Hou Y-X、,Amalfitano Aおよび Koeberl DD.改変型アデノウイルス−アデノ随伴ウイルスハイブリッドベクターによるII型グリコーゲン蓄積疾患の遺伝子治療のためのヒト酸性α−グルコシダーゼをコードするAAVベクターのパッケージング(Packaging of an AAV vector encoding human acid α-glucosidase for gene therapy in glycogen storage disease type II with a modified hybrid adenovirus-adeno-associated virus vector).Mol Ther 7:467-477, 2003;Halbert CL、 Allen JM、 Miller AD.アデノ随伴ウイルスタイプ6(AAV)ベクターは、AAV2ベクターと比較してマウス肺の気道上皮細胞の効率的な形質導入を媒介する(Adeno-associated virus type 6 (AAV) vectors mediate efficient transduction of airway epithelial cells in mouse lungs compared to that of AAV2 vectors)(Halbertら(2001)J Virol 75:6615-6624))本明細書に記載されているように作製した。簡単に説明すると、AAV2 RepおよびAAV2またはAAV6(AAV6ベクター用[Halbertら(2001)J.Virol. 75:6615-6624])を含有するAAVパッケージングプラスミドを形質移入する15〜30分前に、AAVベクター配列を含有するAd−AAVハイブリッドベクター(サザンブロット分析で定量したとき2000DNase I耐性ベクター粒子/細胞)を293細胞に感染させた。Cap遺伝子は、典型的には、検出可能な複製能力のあるAAV(rcAAV)を形成しない異種プロモーターによって誘導したAllenら(2000)Mol.Ther. 1:88-95;Allenら(1997)J.Virol. 71:6816-6822)。感染の48時間後に細胞溶菌液を回収し、3回凍結−融解し、イオジキサノール段階的濃度勾配遠心分離によって単離してから、ヘパリン親和性カラム精製し(Zolotukhinら(1999)Gene Ther. 6:973-995;Halbert CL、Allen JM、Miller AD. アデノ随伴ウイルスタイプ6(AAV)ベクターは、AAV2ベクターと比較してマウス肺の気道上皮細胞の効率的な形質導入を媒介する(Adeno-associated virus type 6 (AAV) vectors mediate efficient transduction of airway epithelial cells in mouse lungs compared to that of AAV2 vectors) J Virol 2001;75:6615-6624.)、分量を−80℃において保存した。ベクターDNAを含有する粒子の数は、DNase I消化、DNA抽出およびサザンブロット分析によって求めた。抽出後のベクターDNAのサザンブロット分析およびrepおよびcap遺伝子の接合部に及ぶプライマーを使用する感度の高いPCRアッセイによって夾雑するwt AAV粒子が組換えAAVベクター調製物中に検出された。rcAAVのレベルは、105AAVベクター粒子中1粒子未満であった。全てのウイルスベクターストックはNIH公布のバイオハザード安全対策レベル(Biohazard Safety Level) 2ガイドラインに準じて取り扱った。
[実施例8:AAVベクターストックのインビボにおける投与]
AAVベクターを、6週齢のGAA−KOマウス(Rabenら(1998)J.Biol.Chem. 273:19086-19092)/SCIDマウスの腓腹筋に筋肉内投与した。腓腹筋あたり1×1011DNase I耐性AAVベクター粒子を含有する100μlを注射した。門脈静脈注射は、AAVベクターを門脈静脈注射によって投与した。注射後それぞれの経過時点において、血漿または組織試料を採取し、以下に記載するように処理した。静脈内投与は、AAVベクターを眼窩後方洞を介して投与した。全ての動物手技は、Duke大学の動物管理使用委員会(Duke University Institutional Animal Care and Use Committee)承認のガイドラインに準じて実施した。
[実施例9:hGAA活性およびグリコーゲン含量の測定]
組織hGAA活性は、対照または処理マウスから組織を切除し、ドライアイスで急速冷凍し、ホモジネーションし、蒸留水中で超音波処理し、遠心分離によって不溶性の膜/タンパク質をペレット化してから測定した。未処理の罹患対照は、特に記載しない限り、分析時に12週齢のGAA−KOマウスであった。浄化した懸濁液のタンパク質濃度をBradfordアッセイによって定量した。筋肉中のhGAA活性は記載されているように測定した(Kikuchi,Tら(1998)J.Clin.Invest. 101:827-833)。組織のグリコーゲン含量は、記載されているように(Amalfitanoら(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:8861-8866)、アスペルギルスニガー(Aspergillus niger)アッセイシステムを使用して測定した。等分散性の両側スチューデントt−検定を使用して、hGAAをコードするベクターを投与したGAA−KOマウスと投与しないGAA−KOマウス間のhGAAレベルおよびグリコーゲン含量の有意差を求めた。
[実施例10:hGAAのウェスタンブロット分析]
組織中のhGAAを直接検出するためには、試料(100μgのタンパク質)を6%ポリアクリルアミドゲルで終夜電気泳動してタンパク質を分離し、ナイロン膜に移した。ブロットを5%脱脂乳溶液でブロックし、一次および二次抗体と共にインキュベーションし、増強化学発光(ECL)検出システム(Amersham Pharmacia、 Piscataway、 NJ)によって可視化した。
[実施例11:短縮型hGAA cDNAの結果]
筋肉におけるhGAAの高レベル産生は短縮型hGAA cDNAを含有するAAV2/6(AAV6)で示された(図6)。AAV6ベクターによる骨格筋のhGAAレベルは、正常マウスにおけるGAAレベルより約10倍高かった。hGAAおよびグリコーゲン含量は、成獣におけるhGAAの送達を反映しているので、6週齢時に処理したGAAノックアウト(GAA−KO)/SCIDマウスにおいて分析した。分析は筋肉内AAV6注射の6週間後に実施し、長期発現傾向を証明した。また、また、グリコーゲン含量は有意に低下しており(p<0.002)、その経過時点における筋肉におけるこのhGAA産生レベルからの治療的に関連のある影響を示している。さらに、AAV6ベクター投与後12週間経過時の注射した腓腹筋において長期hGAA発現およびグリコーゲン含量の正常値への完全な低下が観察された(示していない)。
これらのデータは、AAVベクターの筋肉内注射はグリコーゲン蓄積疾患IIにおいて効果的であることを示している。
本発明者らは、さらに、門脈静脈注射後のGAA−KO/SCIDマウスにおいて切断方hGAA cDNAを含有するAAC2/6(AAV6)およびAAV2/2(AAV2)型のベクターによる肝臓からの分泌を示した(図7)。短縮型GAAベクターをAAV2またはAAV6カプシドにパッケージングして、2つの異なるベクターストックを作製した。各ストックを、門脈静脈注射によって異なるマウスに投与した。hGAAは、ウェスタンブロット分析によって両者のマウスの血漿中で検出された。データは、さらに、これらのベクターによって骨格筋および心臓によるhGAAの取り込みを証明している。
肝臓はhGAA産生のための貯蔵器官として使用することができ、骨格筋および心臓への送達は、分泌されるGAAの取り込みによりこれらの組織におけるグリコーゲン蓄積が低下することをこれらの結果は示している。
[実施例12:GAA−KOマウスへのAAVベクターの筋肉内送達対門脈内送達]
AAV1(AAV2/1)としてパッケージングしたAAV2ベクターは、筋肉内注射したときグリコーゲン蓄積を矯正した;しかし、その影響は注射した筋肉においてだけ観察された(Fraitesら(2002)Mol.Ther. 5:571-578)。一方、本発明者らが門脈静脈注射によって免疫不全GAA−KOマウス(GAA−KO/SCIDマウス)にAAVベクターを投与すると、GAAは肝臓および他の組織に送達された(Sunら(2003)Mol.Ther. 2003 7:467-477)。従って、本発明者らは、AAVベクターの筋肉内注射と門脈内注射の利益の差を検討した。その理由は、後者の方法は、骨格筋、横隔膜および心臓を含む多数の標的組織にGAAを送達したからである。
本発明者らは、GAA−KO/SCIDマウスモデルにおいて骨格筋または肝臓を標的化する短縮型GAAをコードするAAVベクターの利点を評価することを選択した。本発明者らは、GAA−KO/SCIDマウスに筋肉内注射または門脈静脈注射によって短縮型GAAをコードするAAVベクターを投与し、組織のGAA活性およびグリコーゲン含量を分析した。AAV2由来ベクターは、門脈静脈注射のためにAAV2(AAV2/2)またはAAV6(AAV2/6)としてパッケージングした。AAV6およびAAV1のカプシドタンパク質間の相同性に基づいて、AAV2/6はAAV2/2より効率的に筋原線維を形質導入すると思われると考えられた(Chaoら(2000)Mol.Ther. 2:619-623;Rabinowitzら(2002)J.Virol. 76:791-801;Rutledgeら(1998)J.Virol. 72:309-319)。AAV2/6ベクターは筋肉内に注射した。ベクター注射後6、12および24週間経過時に組織のグリコーゲン含量およびGAA活性を分析した。
[結果]
AAV2/2ベクターの門脈静脈注射後、分泌されたGAAは2週間経過時から血漿のウェスタンブロット分析によって検出可能であり、12週間持続した(データは示していない)。GAA活性は、未処理のGAA−KO/SCIDマウスのベースラインレベルと比較して多数の組織において高く上昇しており、ベクター投与後12週経過時の肝臓では野生型レベルの約10倍高かった(図10)。ヒトGAAは、心臓および横隔膜の標的組織を含む多数の組織のウェスタンブロット分析によって検出された(図11)。酵素分析は、GAA活性もこれらの組織において上昇していることを明らかにした(図10)。これらの結果は、Adベクターで確立されているように、GAA欠損状態におけるGAA産生の貯蔵器官としての肝臓モデルと矛盾することなく、AAVベクターの門脈静脈注射によるGAAの分泌および取り込みを証明した。
AAV2/6ベクターの筋肉内注射により、腓腹筋のGAA活性はベクター投与後6、12および24週間経過時に約20倍通常のレベルを上回った(図12)。これらのマウスでは、注射した筋肉のグリコーゲン含量は、ベクター投与後24週経過時までにほぼ正常レベルに低下し、グリコーゲン染色の減少によって明らかにされるように、グリコーゲン蓄積は低下した(図13)。骨格筋における高レベルのGAA産生が達成されたにもかかわらず、他の組織のGAA活性は顕著に増加しなかった(図12)。
[実施例13:リーダーシグナルペプチドが改変されたhGAA AAVベクター]
hGAAのペプチドリーダー配列(配列番号4、アミノ酸1〜27に相当、配列番号2)を、合成ペプチドリーダー配列SP38(Barashら(2002)Biochem.Biophys.Res.Comm. 294:835-42)並びにエリスロポエチン、アルブミン、α−1−アンチトリプシンおよび第IX因子のペプチドリーダー配列と交換した。これらのリーダーペプチドのアミノ酸配列を表2に示す
Figure 0005433133
野生型hGAAペプチドリーダー配列(配列番号4)が表2に掲載する異なるリーダーペプチドと交換されているhGAAを発現するプラスミドベクターは、以下に簡単に記載するプラスミドAVCBhGAAG−δを使用して構築した。得られた構築物は、配列番号5〜9のペプチドの1つが配列番号1の最初の27アミノ酸と交換しているGAAペプチドをコードする。
[AVCBSP38GAAG−δ作製方法]
AVCBhGAAG−δの0.37kb PCR産物は、プライマー5'-GCT GCA AAGCTT ggg cac atc cta ctc cat-3'(配列番号10)および5'-cct gca gcc cct gct ttg cag gga tgt agc-3'(配列番号11)を使用して増幅した。得られたPCR産物は、未処理のhGAAシグナルペプチドのすぐ下流のhGAAタンパク質領域をコードし(ヌクレオチド523〜796、配列番号1)、シグナルペプチド切断部位にHindIII制限部位を付加するヌクレオチド配列を含む。PCR産物をHindIIIおよびSacIIで消化し、ゲル精製してDNA断片Iを作製する。
SP38リーダー配列、KpnI−SP38−HindIIIをコードする第2のDNA断片、5'-AGC TGC TGA GGTACC TCA GCC ACC atg tgg tgg cgc ctg tgg tgg ctg ctg ctg ctg ctg ctg ctg ctg tgg ccc atg gtg tgg gcc AAGCTT CGA TGC TAC GTC-3'(配列番号12)は、逆方向プライマー、5'-GAC GTA GCA TCG AAG CTT-3'、(配列番号13)でハイブリダイゼーションした。得られたハイブリッドをdNTPの存在下においてクレノーDNAポリメラーゼで伸張して、2本鎖DNA断片を形成した。得られたDNA断片は、5’末端近辺のKpnI部位およびそれに続く最適なKozak配列(GCCACC)並びにSP38リーダーペプチドコード配列、続いてSP38配列の3’末端のHindIII部位を含む。このDNAをKpnIおよびHindIIIで消化し、ゲル精製してDNA断片IIを作製した。
次いで、上記のDNA断片IおよびIIを、KpnIおよびSacIIで消化したAVCBhGAAG−δプラスミドDNAにライゲーションした。得られたライゲーション混合物を使用してSTBL2細胞(Gibco-BRL)を形質転換し、AVCBSP38GAAG−δを含む形質転換体を抗生物質の存在下において選択し、構造をゲル電気泳動で確認した。得られた構築物は、hGAAリーダー配列(配列番号4)がSP38リーダー配列(配列番号5)で交換されているGAAペプチドをコードする。
[AVCBSP−hEpoGAAG−δ作製方法]
プラスミドAVCBSP−hEpoGAAG−δは、AVCBSP38GAAG−δと同じ方法で作製し、断片IIを、配列5'-AGC TGC TGA GGTACC TCA GCC ACC atgggggtg cacgaatgtc ctgcctggct gtggcttctc ctgtccctgc tgtcgctccc tctgggcctc ccagtcctgg gc AAGCTT CGA TGC TAC GTC-3'(配列番号14)を有する2本鎖DNA断片のKpnI−HindIII消化産物と交換した。得られた構築物は、hGAAリーダー配列(配列番号4)がhEPOリーダー配列(配列番号6)と交換されているGAAペプチドをコードする。
[AVCBSPアンチトリプシンGAAG−δ作製方法]
プラスミドAVCBSPアンチトリプシンGAAG−δは、断片IIの代わりに配列5'-C TGA GGTACC T GCC ACC-at gccgtcttct gtctcgtggg gcatcctcct gctggcaggc ctgtgctgcc tggtccctgt ctccctggct-AAGCTT CGA T-3'(配列番号15)を有する2本鎖DNA断片のKpnI−HindIII消化産物を使用して、AVCBSP38GAAG−δと同じ方法で作製した。得られた構築物は、hGAAリーダー配列(配列番号4)がヒトα−1−アンチトリプシンリーダー配列(配列番号7)と交換されているGAAペプチドをコードする。
[AVCBSPALBGAAG−δ作製方法]
AVCBSPALBGAAG−δは、断片IIの変わりに配列5'-C TGA GGTACC T GCC ACC-a tgaagtgggt aacctttatt tcccttcttt ttctctttag ctcggcttat tcc-AAGCTT CGA T-3'(配列番号16)を有する2本鎖DNA断片のKpnI−HindIII消化産物を使用して、AVCBSP38GAAG−δと同じ方法で作製した。得られた構築物は、hGAAリーダー配列(配列番号4)がヒトアルブミンリーダー配列(配列番号8)と交換されているGAAペプチドをコードする。
[AVCBSPFIXGAAG−δ]
最後に、AVCBSPFIXGAAG−δは、断片IIの代わりに配列5'-C TGA GGTACC T GCC ACC atgcagcgcg tgaacatgat catggca-3'(配列番号17)を有する2本鎖DNA断片のKpnI−HindIII消化産物を使用して、AVCBSP38GAAG−δと同じ方法で作製した。得られた構築物は、hGAAリーダー配列(配列番号4)がヒト第IX因子リーダー配列(配列番号9)と交換されているGAAペプチドをコードする。
得られたプラスミドを使用して、これらのプラスミドを形質移入した細胞におけるhGAAの局在化に対する異なるリーダー配列の影響を調査した。
[実施例14:293細胞における改変型リーダー配列によるhGAAの相対的な分泌]
293細胞は実施例13に記載するAAVベクタープラスミドを形質移入し、形質移入の40時間後に回収した。細胞および培地において総hGAA活性をアッセイした。これらの結果は図14に図示し、相対的なhGAA分泌は表3に要約する。
Figure 0005433133
実施例13に記載するAAVベクタープラスミドを形質移入した293細胞の細胞および分泌hGAAのウェスタンブロット分析は、別のシグナルペプチドに結合したキメラhGAAの未改変のグリコシル化およびプロセッシングに一致した通常の泳動を証明した(図15)。このデータは、分泌の増加およびゴルジにおける滞在が短縮していると思われるにもかかわらず、hGAAの通常のグリコシル化を裏付けた(Wisselaarら(1993)J.Biol.Chem 268(3):2223-31)。これらの構築物で産生されるhGAAの通常のグリコシル化のさらに別の証拠を得るために、本発明者らは、hGAA cDNAに結合したキメラα−1−アンチトリプシンシグナルペプチドをコードするAAV2/8ベクター(マイナス27アミノ酸GAAシグナルペプチド)をマウスに注射し、〜110kD hGAA前駆体に相当するhGAAを検出した(図16)。雌マウスではAAV2/8ベクターによる形質導入が低いことを考慮すると予測されるように、hGAAレベルは雌マウスでは低かった(レーン5〜7および11〜13)。重要なことに、hGAA分泌は、キメラα−1−アンチトリプシンシグナルペプチド(レーン2〜7)を含むベクターは、hGAAシグナルペプチドを含むベクター(レーン8〜13)より高かった。
組織GAA活性は、hGAAに結合したα−1−アンチトリプシンシグナルペプチドをコードするAAVベクターを投与した3匹の雄GAA−KO/SCIDマウスの組織では増加していた(図16のレーン2〜5に相当)。重要なことに、肝臓GAA活性は、対照と比較したとき組織のGAA活性が増加したにもかかわらず、ほぼ通常レベルのままであった(図17)。これらの結果は、他の実験で使用したさらに経過した6週間経過時と異なり、ベクター投与後わずか2週間経過時に得られ、心臓、横隔膜および低いレベルであるが、骨格筋標的組織における分泌GAAの早期取り込みを示した。標的組織のGAA取り込みは、以前の結果に基づいて考慮すると、2週間経過時以降に増加することが予測される。最後に、標的組織のウェスタンブロットは、hGAAが〜76kDおよび〜67kDに適当に処理されることを示した(データは示していない)。これらのデータは、別のシグナルペプチドに結合したキメラhGAAは、肝臓における通常のGAAレベルを維持しているにもかかわらず、標的組織において適当に分泌され、処理され、リソソームを標的化するという仮説を支持している。この新規開発は、肝臓において生理学的レベルをかなり超えるレベルのGAAを産生するポンペ病において肝臓を標的とする遺伝子治療の全ての以前の方法と異なり、貯蔵器官肝臓におけるhGAAの過剰発現の考えられる任意の毒低を低下する。
[実施例15:免疫適格GAA−KOマウスにおける肝臓特異的プロモーターによるhGAAの発現]
肝臓特異的プロモーターによって誘導されるhGAAをコードするAAV2/8ベクター(Wang Lら(1999)Proc Nat Acad Sci USA 96:3906-10)をGAA−KOマウスに静脈内投与した。hGAAが免疫適格GAA−KOマウスの抗−GAA抗体によって血漿から排除された以前の実験とは異なり、ウェスタンブロット分析で検出したときhGAAは血漿中に存続した(図18)。従って、GAA発現を肝臓に限定することにより抗体応答がなくなり、持続的なGAA分泌を可能にし、ポンペ病における遺伝子治療を意味している。
上記は本発明を例示するものであり、本発明を限定するものと考慮されるべきではない。本発明は特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲の等価物は本発明に含まれる。
GAA−KOマウスにおけるAd−AAVベクターの新生仔筋肉内投与後のhGAAの検出である。(パネルA)3日齢においてGAA−KOマウスの腓腹筋に、hGAAをコードするAd−AAVベクター(4×1010DRP)を注射後の筋肉のウェスタンブロット分析である。全ての試料は、ベクター投与後24週以内に得た。組換えヒトGAA(rhGAA)を標準とした。示した筋肉グループの各レーンは1匹のGAA−KOマウスを示す。予想されるように、形質導入した筋肉において〜67kD、〜76kDおよび〜110kDhGAA種が検出された(Amalfitano,A.ら(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.USA96:8861-8866、Ding,E.ら(2002)Mol.Ther.5:436-446)。(パネルB)Ad−AAVベクターの新生仔投与後の心臓、肝臓および横隔膜のウェスタンブロット分析である。各レーンは、ベクター投与後の示した経過時間に分析した1匹のGAA−KOマウスを示す。個々のマウスの試料は、各組織のウェスタンブロット分析のために同じ順番でロードした。 新生仔Ad−AAVベクター投与後のGAA−KOマウスの骨格筋および他の組織におけるGAA活性およびグリコーゲン含量である。(パネルA)未処理のGAA−KOマウスの腓腹筋、四頭筋および大腿屈筋におけるhGAA活性と比較した、ベクター投与後6、12および24週経過時の腓腹筋および四頭筋並びに24週経過時の大腿屈筋のhGAA活性である。平均および標準偏差を示す。p値は以下のように示す:*<0.05、**<0.01および***<0.001。マウスの数(n)は各経過時点において示す。(パネルB)Ad−AAVベクター投与後のマウスの心臓、肝臓および横隔膜並びに対照におけるhGAA活性である。対照は未処理のGAA−KOマウスであった:心臓および肝臓はn=4であり、横隔膜はn=5であった。対照の平均および標準偏差を示す。 Ad−AAVベクターの新生仔への投与後のGAA−KOマウス血漿中の抗体である。(パネルA)Ad−AAVベクターの新生仔への投与(新生仔筋肉内Ad−AAV)後6週間経過時のGAA−KOマウス血漿、および成獣マウスへのAd−AAVベクターの静脈内投与(4×1010粒子)(Ad−AAV)後6週間経過時のGAA−KOマウス血漿における抗hGAA抗体の吸光度である。対照は未処理のGAA−KOマウス(対照)であった。各カラムは個々のマウスの平均および標準偏差を示す。血漿の希釈液(1:100、1:200および1:400)を各々トリプリケートで分析した。(パネルB)ELISAによる抗hGAA抗体の力価であり、図1のパネルBと同じ順番で同じマウスを示す。各試料は希釈ごとにデュープリケートで分析した。(パネルC)分析した未処理の対照が2つだけであったことを除いて、上記の抗hGAA抗体のELISAについて記載したものと同じ試料のGAA−KOマウス血漿のELISAにおける抗Ad抗体の吸光度である。各試料は希釈ごとにデュープリケートで分析した。ロード順序は図1のパネルBと同じであった。 骨格筋および心臓のグリコーゲン含量である。(パネルA)未処理のGAA−KOマウスの腓腹筋、四頭筋および大腿屈筋と比較した、ベクター投与後6、12および24週経過時の腓腹筋および四頭筋並びに24週経過時の大腿屈筋におけるhGAA活性である。平均および標準偏差を示す。p値は以下のように示す:*<0.05、**<0.01および***<0.001。マウスの数(n)は各経過時点において示す。(パネルB)心臓および横隔膜並びに対照におけるグリコーゲン含量である。対照は未処理のGAA−KOマウスであった(n=4)。対照の平均および標準偏差を示す。 骨格筋および心臓のグリコーゲン染色である。PAS染色は、Ad−AAV投与後の示した経過時間に解消された、リソソームのグリコーゲン蓄積およびリソソーム外のグリコーゲンの貯蔵を示した。 GAAを発現するAAV2/6(AAV6)ベクターを筋肉内投与したGAA−KO/SCIDマウスの筋肉におけるhGAA合成(上のパネル)およびグリコーゲン含量(下のパネル)である。 AAV2/2(AAV2)またはAAV2/6(AAV6)ベクターを投与したGAA−KO/SCIDマウスにおける肝臓から血漿へのhGAAの分泌である。AAVベクター投与後のGAA−KO/SCIDマウスおよび未処理のGAA−KO/SCIDマウス(対照)の血漿のウェスタンブロット分析である。 完全長のhGAA cDNA配列;Genebank Accession No.NM#000152(配列番号1)である。コードされるタンパク質を配列番号2に示す。ORFはnt442...3300である。GAA3’UTR配列はnt3301〜3846、合計546bpである。 欠損のある3’UTRのhGAA配列(配列番号3)である。図8に示す配列(配列番号1)の3’UTRのnt3397からnt3807までの411bpが欠損している(太字の斜字体)。ただし、ポリAシグナル(太字、3825...3830)およびポリA部位(3846)は欠損していない。nt1からnt409の5’UTR配列も欠損していた。 AAV2/2ベクターの門脈注射後の肝臓および他の組織におけるGAA活性である。GAA−KO/SCIDマウスに3ヶ月齢においてAAV2(AAV2/2)としてパッケージングしたベクターを投与し(n=3)、注射後12週経過時に分析した。対照は3ヶ月齢の未処理のGAA−KO/SCIDマウスであった(n=3)。 GAA−KO/SCIDマウスへのAAVベクターの門脈注射後の肝臓および他の組織におけるヒトGAAである。AAVベクター投与後の示した経過時間におけるGAA−KO/SCIDマウスおよび未処理のGAA−KO/SCIDマウス(対照)の血漿のウェスタンブロット分析である。組換えhGAA(rhGAA)は標準として示す。 AAV2/6ベクターの筋肉内注射後の腓腹筋(注射および未注射)および他の組織におけるGAA活性である。GAA−KO/SCIDマウスに6週齢時にAAC6(AAV2/6)としてパッケージングしたベクターを投与し(n=8)、注射後6、12および24週経過時に分析した。対照は3ヶ月齢の未処理のGAA−KO/SCIDマウスであった(n=3)。 GAA−KO/SCIDマウスにおける骨格筋のグリコーゲン染色である。PAS染色は、AAV2/6投与により解消される、リソソームのグリコーゲン蓄積およびリソソームの外側のグリコーゲンの貯蔵を示した。 形質移入した293細胞において発現される種々のリーダー配列によるGAAの局在化(細胞対分泌)である。 種々のリーダー配列によるGAAのウェスタンブロット分析である。示したシグナルペプチドに結合したhGAAを含有する構築物により形質移入した293細胞中で発現されるGAAである。レーン3〜14の形質移入した293細胞では、各構築物の2レーンのうち1番目(奇数番号)は細胞溶解物を示し、2番目のレーン(偶数番号)は培地である。対照は形質移入していない293細胞を示し、内因性のプロセッシング後のhGAAを示す。組換えヒトGAA(rhGAA)を標準として示す。 ベクター投与後2週間経過時のGAA−KO/SCIDマウスおよび未処理のGAA−KO/SCIDマウス(対照)の血漿のウェスタンブロット分析である。3ヶ月齢のGAA−KO/SCIDマウスに、hGAA cDNAに結合したキメラα−1−アンチトリプシンシグナルペプチドをコードするAAVベクター(α−1−アンチトリプシン、レーン2〜7)またはhGAAおよび内因性シグナルペプチドをコードするAAVベクター(hGAA、レーン8〜13)を投与した。各レーンは個々のマウスを示す。レーン5〜7および11〜13は雌マウスであった。組換えヒトGAA(rhGAA)を標準として示す。 α−1−アンチトリプシンリーダー配列に結合したhGAAをコードするAAV2/8ベクターの静脈内注射後2週間経過時の肝臓および他の組織におけるGAA活性である。3ヶ月齢の雄GAA−KO/SCIDマウス(n=3)に、hGAA cDNA(マイナス27アミノ酸GAAシグナルペプチド)に結合したキメラα−1−アンチトリプシンシグナルペプチドをコードするAAVベクターを投与した。対照は未処理のGAA−KO/SCIDマウス(n=3)であった。 免疫能が正常のGAA−KOマウスにおいてGAA発現を誘導するために肝臓特異的プロモーターを含有するAAVベクターの静脈内注射後の肝臓および他の組織におけるヒトGAAである。AAVベクター投与後3週間経過時のGAA−KOマウスおよび未処理のGAA−KOマウス(対照)の血漿のウェスタンブロット分析である。組換えヒトrhGAA(rhGAA)を標準として示す。

Claims (12)

  1. リソソーム酸性α−グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドに作動可能に結合したα1−アンチトリプシンの分泌シグナル配列を含むキメラポリペプチドをコードする単離核酸であって、前記分泌シグナル配列が、未処理の前記リソソームGAAポリペプチドのリーダー配列の全てを置換する単離核酸を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター。
  2. リソソーム酸性α−グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドに作動可能に結合したα1−アンチトリプシンの分泌シグナル配列を含むキメラポリペプチドをコードする単離核酸であって、前記分泌シグナル配列が、未処理の前記リソソームGAAポリペプチドのリーダー配列の全てを置換する単離核酸を含み、前記GAAポリペプチドがヒトGAAポリペプチドであり、前記単離核酸が肝細胞内で作動可能な転写制御要素に作動可能に結合している単離核酸であるアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター。
  3. 薬学的に許容されうる担体中に請求項1に記載のアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む製剤。
  4. 請求項1に記載のベクターに含まれる前記単離核酸を含む細胞。
  5. リソソームGAAポリペプチドに作動可能に結合したα1−アンチトリプシンの分泌シグナル配列を含むキメラポリペプチドであって、前記分泌シグナル配列が、未処理の前記リソソームGAAポリペプチドのリーダー配列の全てを置換するキメラポリペプチド。
  6. リソソームGAAポリペプチドをコードする核酸を細胞に送達するインビトロの方法であって、単離核酸が細胞に導入され、発現されて、リソソームGAAポリペプチドに作動可能に結合したα1−アンチトリプシンの分泌シグナル配列を含むキメラポリペプチドを産生し、リソソームGAAポリペプチドが細胞から分泌されるのに十分な条件下において、リソソーム酸性α−グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドに作動可能に結合したα1−アンチトリプシンの分泌シグナル配列を含むキメラポリペプチドをコードする単離核酸であって、前記分泌シグナル配列が、未処理の前記リソソームGAAポリペプチドのリーダー配列の全てを置換する単離核酸を細胞にインビトロで接触させるステップであって、前記単離核酸を含むベクターを細胞に接触させるステップを含む方法。
  7. 前記細胞が培養細胞である、請求項6に記載の方法。
  8. リソソーム酸性α−グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドを培養細胞中で産生する方法であって、
    単離核酸が培養細胞に導入され、発現されて、GAAポリペプチドに作動可能に結合したα1−アンチトリプシンの分泌シグナル配列を含むキメラポリペプチドを産生し、GAAポリペプチドが培養細胞から分泌されるのに十分な条件下において、リソソーム酸性α−グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドに作動可能に結合したα1−アンチトリプシンの分泌シグナル配列を含むキメラポリペプチドをコードする単離核酸であって、前記分泌シグナル配列が、未処理の前記リソソームGAAポリペプチドのリーダー配列の全てを置換する単離核酸を培養細胞に接触させるステップであって、前記単離核酸を含むベクターを細胞に接触させるステップと、
    細胞培養培地中に分泌されたGAAポリペプチドを回収するステップと
    を含む方法。
  9. 前記細胞がほ乳類細胞である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記細胞が、CHO細胞、293細胞、HT1080細胞、HeLa細胞またはC10細胞である、請求項9に記載の方法。
  11. 薬学的に許容されうる担体中に含まれる治療的に有効な量の請求項4に記載の細胞を含む、被験体のリソソームポリペプチド欠損症を治療するための医薬品。
  12. 被験体のリソソームポリペプチド欠損症を治療するための、治療的に有効な量の製剤であって、前記製剤が、薬学的に許容されうる担体中にリソソーム酸性α−グルコシダーゼ(GAA)ポリペプチドに作動可能に結合したα1−アンチトリプシンの分泌シグナル配列を含むキメラポリペプチドをコードする単離核酸であって、前記分泌シグナル配列が、未処理の前記リソソームGAAポリペプチドのリーダー配列の全てを置換する単離核酸を含むアデノ随伴(AVV)ウイルスベクターを含む製剤。
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