JP5431050B2 - 斜張ワイヤーを備えた車両用シートのクッションシートフレーム構造および該構造を有する車両用シート - Google Patents
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Description
この斜張ワイヤーを備えた車両用シートのクッションシートフレーム構造は、バックシートフレーム構造がクッションシートフレーム構造に対して傾動可能となるように、後端部がバックシートフレーム構造の下端部に連結されたクッションシートフレーム構造を有し、クッションシートフレーム構造は、それぞれ車両の前後方向に延設する一対のサイドフレームを有し、上端が一対のサイドフレームの側部で、下端が上端より車両の前部側で、クッションシートフレーム構造にそれぞれ固定され、かつ車両後方側への荷重がクッションシートフレーム構造に負荷されたときに、この荷重に基づいてクッションシートフレーム構造に対して作用するモーメントを軽減するようにクッションシートフレーム構造に対して引張力を作用する一方、外部圧縮力に対して抗しない特性を有する斜張ワイヤーが、一対のサイドフレームの少なくとも一方の側部に設けられている。
第1に、クッションシートフレーム構造に対して車両後方側への衝撃荷重が負荷される際、クッションシートフレーム構造に対して、曲げモーメントとともに、斜張ワイヤーに生じる引っ張り力の成分により圧縮応力が負荷されるため、クッションシートフレーム構造の車両の下部側に座屈が生じやすくなる点である。
より詳細には、図20(A)(図20において、図面上左側が車両前部)に示すように、バックシートフレーム構造の上部に対して車両後方側への衝撃荷重が負荷される際、バックシートフレーム構造とクッションシートフレーム構造との連結部を通じてクッションシートフレーム構造に対して車両の前部から後方に向かって増大する曲げモーメントが生じ、クッションシートフレーム構造の中立軸N−Nを境にして、それより車両の上部側には、引張応力が、一方それより車両の下部側には、圧縮応力が負荷される。それに対して、図20(B)に示すように、斜張ワイヤーに生じる引っ張り力Rの車両前後方向の成分RYにより、クッションシートフレーム構造に対して車両の前後方向に一定の圧縮応力が負荷される。これらの応力が重ね合わされてクッションシートフレーム構造に負荷されることから、図20(C)に示すように、クッションシートフレーム構造に対して、負荷応力が零となる位置が図20(A)に比べて、車両の上部側に移動するとともに、車両の下部側において、大きな圧縮応力が負荷されることになる。このような圧縮応力に起因して、クッションシートフレーム構造に座屈が生じやすくなる。
しかしながら、このような座屈が起こらないようにバックシートフレーム構造を補強するとすれば、軽量化かつ高剛性を達成する目的のために設けた斜張ワイヤーにより、かえって重量化を引き起こしかねない。
第2に、クッションシートフレーム構造に設けられるリフター機構に伴い、リフター機構を支持するサイドフレームの強度が不十分となりやすい点である。
より詳細には、リフター機構は、一対のサイドフレームの前部同士を連結し、車両の前後方向に直交する幅方向に延びる前部パイプと、一対のサイドフレームの後部同士を連結し、車両の幅方向に延びる後部パイプとを有し、前部パイプは、一対のサイドフレームの前部それぞれに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支される一方、後部パイプは、一対のサイドフレームの後部それぞれに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支され、さらに、車両の下面とクッションシートとを連結する平行リンク機構を有し、平行リンク機構は、それぞれ、一端が車両の下面に対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支され、他端が前部パイプに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支された一対の前部リンクと、それぞれ、一端が車両の下面に対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支され、他端が後部パイプに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支された一対の後部リンクとを有する。
一対のサイドフレームはそれぞれ、後部パイプが貫通する貫通穴を有し、この開口部により局所的に強度が低下することから、後部パイプの支持部に対する補強が望まれる。
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、座屈発生の防止とともにリフター機構の設置に伴う補強を、低コストで重量の増大化を抑制しつつ達成可能な斜張ワイヤーを備えた車両用シートのクッションシートフレーム構造および該構造を有する車両用シートを提供することにある。
車両用シートのクッションシートフレーム構造であって、
バックシートフレーム構造がクッションシートフレーム構造に対して傾動可能となるように、後端部が該バックシートフレーム構造の下端部に連結されたクッションシートフレーム構造を有し、
該クッションシートフレーム構造は、それぞれ車両の前後方向に延設する一対のサイドフレームを有し、
上端が前記一対のサイドフレームの側部で、下端が前記上端より車両の前部側で、前記クッションシートフレーム構造にそれぞれ固定され、かつ車両後方側への荷重が前記クッションシートフレーム構造に負荷されたときに、該荷重に基づいて前記クッションシートフレーム構造に対して作用するモーメントを軽減するように前記クッションシートフレーム構造に対して引張力を作用する一方、外部圧縮力に対して抗しない特性を有する斜張ワイヤーが、該一対のサイドフレームの少なくとも一方の側部に設けられ、
該斜張ワイヤーが設けられる前記一対のサイドフレームの少なくとも一方には、車両の下部側の縁部まわりに、車両の前後方向に延び、且つ車両の後部側にすすむほど上下方向の幅が増大するようにテーパ付けられるとともに、上縁および下縁それぞれにフランジが形成された補強ブラケット88が設けられる、構成としている。
一方、この斜張ワイヤーは、外部圧縮力が作用したときにそれに抗しないような特性を有するので、車両前方側に衝撃荷重が負荷されるとき強度部材として機能しないことから、斜張ワイヤー自体の構造健全性を維持することが可能である。
車両後方側に衝撃荷重が負荷される際、サイドフレームのうち斜張ワイヤーが設けられる方には、曲げモーメントとともに、斜張ワイヤーに発生する引っ張り力の車両前後方向成分により圧縮応力が負荷されるところ、サイドフレームの車両下部側においては、曲げモーメントによる圧縮応力とともに斜張ワイヤーに起因する圧縮応力が重畳されることから、大きな圧縮応力が負荷され、サイドフレーム中で最も座屈を起こしやくなる。
この点、斜張ワイヤーが設けられる一対のサイドフレームの少なくとも一方に対して、車両の下部側の縁部まわりに、車両の前後方向に延び、且つ車両の後部側に進むほど高さが増大するようにテーパ付けられるとともに、車両の前後方向に延びる上縁および下縁それぞれにフランジが形成された補強ブラケット88を設けることにより、局所的な補強を行い、以て座屈を防止しつつ、コスト増および重量の増大化を抑制することが可能となる。
前記補強ブラケット88は、車両の下部側の該コの字断面構造の開放部を閉鎖して閉断面構造を形成するように設けられるのがよい。
さらにまた、前記一対のサイドフレームは、車両の下部側の縁部まわりに車両の前後方向全体に亘って延びるコの字断面構造を有し、
前記補強ブラケット88は、該コの字断面構造の開放部を閉鎖して閉断面構造を形成するように設けられるのでもよい。
加えて、前記閉断面構造は、略正方形であるのがよい。
また、前記閉断面構造の車両の上下方向の幅は、前記斜張ワイヤーによって生じる曲げモーメントに対する中立軸と車両の下部側の縁部との間隔以下であるのがよい。
さらに、前記閉断面構造の車両の上下方向に対して直交する方向の幅は、車両の上下方向まわりの曲げモーメントに対する前記一対のサイドフレームの必要断面係数により決定するのがよい。
該リフター機構は、前記一対のサイドフレームの前部同士を連結し、車両の前後方向に直交する幅方向に延びる前部パイプと、前記一対のサイドフレームの後部同士を連結し、車両の幅方向に延びる後部パイプとを有し、該前部パイプは、前記一対のサイドフレームの前部それぞれに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支される一方、該後部パイプは、前記一対のサイドフレームの後部それぞれに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支され、
さらに、前記車両の下面とクッションシートとを連結する平行リンク機構を有し、
該平行リンク機構は、それぞれ、一端が車両の下面に対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支され、他端が前記前部パイプに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支された一対の前部リンクと、それぞれ、一端が車両の下面に対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支され、他端が前記後部パイプに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支された一対の後部リンクとを有し、
前記一対のサイドフレームは、前記後部パイプが貫通する第1貫通穴を有し、
前記補強ブラケット88は、前記後部パイプが貫通する第2貫通穴を有し、該第2貫通穴が該第1貫通穴と整列するように、対応する前記サイドフレームの内面に設けられ、該第2貫通穴が設けられる車両の前後方向位置において、上下方向に最大幅を有するのがよい。
さらにまた、前記斜張ワイヤーは、金属製ワイヤーあるいはCFRP製ワイヤーからなるのがよい。
加えて、前記斜張ワイヤーの前記下端と前記バックシートの回転中心とを結ぶ線と、前記斜張ワイヤーの前記上端と前記バックシートの回転中心とを結ぶ線とが直交するように、前記斜張ワイヤーを設けるのがよい。
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の前記車両用シートのクッションシートフレーム構造全体を覆うように設けられたパッドと、前記車両用シートのクッションシートフレーム構造および該パッド全体を覆うように設けられた袋状の表皮とを有する構成としている。
逆U字状のバックシートフレーム構造部112の内部に形成される開口部には、フラットマット124が張設され、一対のサイドフレーム118A,Bの上部同士を連結するアッパーメンバー125、一対のサイドフレーム118A,Bの下部同士を連結するロアメンバー127が設けられ、さらに、アッパーフレーム120には、ヘッドレスト(図示せず)取り付け用部材129が付設されている。アッパーフレーム120の両下端部は、一対のサイドフレーム118A,Bと同様に、コ字断面に形成され、それぞれ一対のサイドフレーム118A,Bの上部に嵌合して連結されるようにしてある。
斜張ワイヤー110A,Bの上端は、一対のサイドフレーム118A,Bの側部で、下端がバックシートフレーム構造部112の回転中心より車両の前部側で、バックシートフレーム構造112にそれぞれ固定されて、斜めに張設されている。斜めの角度は、想定される衝撃荷重等に応じて適宜設定すればよい。
斜張ワイヤー110A,Bの種類および材質は、たとえば衝突の際に車両用シート100に衝撃荷重が負荷された場合に、このような衝撃荷重の一部を負担しつつ、自身が構造健全性を確保できるような強度あるいは剛性を備える限り任意であるが、たとえば金属製あるいはCFRP製が好ましい。
なお、このような斜張ワイヤー110A,Bの長さ調整は、バックシートフレーム構造112全体にウレタンパッドをあてがう前に行う必要がある。
このような斜張ワイヤー110A,Bにより、車両後方側への荷重、たとえば衝突の際の衝撃荷重がバックシートフレーム構造部112に負荷されたときに、この荷重に基づいてバックシートフレーム構造部112に対して引張力を作用する一方、車両前方側への荷重による外部から作用する圧縮力に対し抗しない特性を有するようにしてある。
なお、リフタ機構200は、クッションシートを所定の高さに保持する機構と、平行リンク機構206を車両の幅方向を中心に回転駆動する機構とを有するが、従来既知の機構であるので、その説明は省略する。
閉断面構造の車両上下方向に対して直交する方向の幅(図8において、W1)は、車両の上下方向まわりの曲げモーメントに対するサイドフレーム140A,Bに要求される断面係数の観点から決定される。一方、閉断面構造の車両上下方向の幅(図8において、W2)は、座屈を有効に防止する観点から定めればよいが、車両の後方側への衝撃荷重に起因して斜張ワイヤー102A,Bによって生じる曲げモーメントに対する中立軸(図20のN―N)とサイドフレーム140A,Bの車両下部側の縁部84との間隔以下である。
特に、後に説明するように、座屈防止の観点から、閉断面の形状は正方形であるのが好ましい。
補強ブラケット88は、サイドフレーム140A,Bの内面にサイドフレーム140A,Bの下縁に沿うように設けられ、以下に示すように、車両の前後方向の位置に応じてその断面構造を変えている。この点が、同様に斜張ワイヤー付きのバックシートのシートフレーム構造のサイドフレーム140A,Bについて、別途本発明者が提案した補強ブラケット88と相違する点である。
これにより、車両下部側の縁部84まわりを補強して斜張ワイヤーの設置に起因する座屈を防止するとともに、閉断面構造を車両の上下方向に極端に扁平化することにより、サイドフレーム140A,Bとともに上下方向に延びる2枚構造とすることを通じて、後部リンク210の取り付けに伴う補強を兼ねるようにしている。なお、参照番号215は、は、リクライナー構造部114のベースブラケット34をクッションフレーム構造104に固定するための取り付けボルトである。
より詳細には、一対のサイドフレーム140A,Bは、第1貫通穴218まわりに環状フランジ222を有し、この環状フランジ222が、端部が樹脂製キャップ223により閉鎖された後部パイプ204の外周面に当接するように設けられ、サイドフレーム140A,Bの外側から環状プッシュプレート224によりサイドフレーム140A,Bの内面が補強ブラケット88の上縁214および下縁216に設けられたそれぞれのフランジに対して押し当てられている。この点において、補強ブラケット88は、図11に示すように、図9と同様に、車両の下部側のコの字断面構造の開放部を閉鎖するだけでなく、後部パイプ204の頂部より上まで延びている。
以上のように、斜張ワイヤーが設けられるクッションシートのフレーム構造のサイドフレーム140A,Bにおいて、斜張ワイヤーの設置に起因する座屈を防止しつつ、リフタ機構200の付設に伴う補強を兼ねるように、補強ブラケット88をサイドフレーム140A,Bの下部側の縁部84まわりに限って局所的に設けるとともに、車両の前後方向にその断面構造を変えることにより、重量の増大を抑制しつつ、座屈防止および構造補強を行うことを可能としている。
斜張ワイヤー102の上端は、一対のサイドフレーム140A,B140の側部で、下端が上端より車両の前部側で、クッションシートフレーム構造104にそれぞれ固定されて、斜めに張設されている。斜めの角度は、想定される衝撃荷重等に応じて適宜設定すればよい。
より詳細には、斜張ワイヤー102の上端は、後に説明するリクライナー構造部114のブラケット部34に設けられ、一方斜張ワイヤー102の下端は、サイドフレーム140A,B140の側部に設けられる。
プーリー147A,Bが、一対のサイドフレーム140A,B140の側部およびブラケット部34それぞれに設けられ、斜張ワイヤー102は、無端状とされ、両プーリー147A,B間に掛け渡されている。
なお、斜張ワイヤー102にそれぞれ、ワイヤー長さ調整手段145A,Bを設けている点については、バックシートフレーム構造112に設けた斜張ワイヤー110A,Bと同様であるので、その説明は省略する。
図17に示すように、各々の摺動係止部材20は、その外周側に外歯38が形成されるとともに、その内周側には、カム面40が形成され、さらに両側面47、49は、互いに平行で案内側壁30に対して摺接するようにしている。
カム面40は、従来と同様に、内方に突出する突出係合部42と、突出係合部42に連接し外方に延びる係合凹部44とを有し、突出係合部42および係合凹部44ともに、後に説明するカム18と係合し、それにより、各々の摺動係止部材20の外歯38が、後に説明する回動アーム14に形成した内歯54と噛合する係止位置と、内歯54から離間する係止解除位置との間で、半径方向に進退自在に移動するようにしている。
一対の摺動係止部材20は、ベース部材16と回動アーム14とを重ね合わせた際、回動アーム14の円形開口52とベース部材16の一対の開口28とにより形成されるスペース内に配置され、一対の開口28の案内側壁30により案内されつつ、一対の摺動係止部材20それぞれに設けた外歯38が円形開口52に設けた内歯54と噛み合うことが可能なようにしている。
回動アーム14の外周部には、バックシートBに取り付けるためのブラケット部56が、外周方向に等角度間隔(90°)を隔てて4つ設けられている。各ブラケット部56には、後に説明するホールドピン62を挿通するための貫通孔63が設けられている。なお、ブラケット部56は、環状リングと一体に形成してもよい。
なお、リッドプレート58は、円形開口52に対する蓋として機能するのみであり、強度部材として機能するわけではないので、回動アーム14の板厚が、たとえば3.6mmであるのに対して、リッドプレーの板厚は、0.6mm程度でよい。
このようなロック状態において、たとえば衝突事故によりバックシートBに過大な衝撃力が加わった場合、バックシートBから取り付け部36を介して回動アーム14に衝撃力が伝達し、さらに回動アーム14の外歯38と一対の摺動係止部材20の内歯54との噛み合い、一対の摺動係止部材20のカム面40とカム18との係合、さらにカム18に貫通する枢軸24を通じて、ベース部材16に固定されるクッションシートCに荷重が伝達される。このとき、回動アーム14の環状リングの板厚、すなわち外歯38の板厚およびベース部材16の板厚は、このような荷重に耐え得るような強度を有する値に設定していることから、このような衝撃力に係わらず、リクライニング機能を維持することが可能となる。
この点、サイドフレーム140A,Bの前後方向長さが一定であれば、サイドフレーム140A,Bの最小断面二次半径を大きくするほど座屈強さを増大することが可能であるから、サイドフレーム140A,Bの車両下部側の縁部84まわりに、前後方向に亘って延びる閉断面構造を設けることにより、最小断面二次半径を局所的に増大し、以てサイドフレーム140A,B全体の重量化を防止しつつ、座屈強さを増大することが可能となる。
また、本実施形態においては、自動車用シートを対象に説明したが、それに限定されることなく、鉄道車両、船、飛行機等一般的な車両に対して適用可能である。また、自動車のシートに対して用いる場合、リアシート、フロントシートのいずれにも適用可能である。
この点から、本実施形態で説明したような断面構造を有するサイドフレーム140A,Bについて、車両下部側の縁部84まわりを前後方向に亘って閉断面化する場合に、どのような構造が座屈に対して有効であるかを検討した。
座屈強さ:σ=nπEk2/L2
ここに、n:端末係数
L:柱の長さ
E:材料の縦弾性係数
k:最小断面2次半径(=√(I/A))
I:最小断面2次モーメント
A:断面積
この式より、柱の長さが一定であれば、最小断面2次半径kが大きいほど座屈強さσは大きくなって、座屈しにくくなり、断面面積が一定であれば、最小断面2次半径kを大きくするためには、最小断面2次モーメントを大きくすればよいことがわかる。
この場合、上述のように、サイドフレーム140A,Bの車両下部側の縁部84まわりに対して局所的に高い圧縮応力が作用することから、サイドフレーム140A,Bの車両下部側の縁部84まわりを一様な柱にモデル化して考える。
ここで、閉断面化する前の断面形状、それにより計算した最小断面2次半径kを表1に示す。
これに対して、表1に示すコの字開放断面を厚さ1mm、幅10mmの補強ブラケット88を用いて補強する場合に、どのように補強すれば、重量効率を確保しつつ座屈防止に有効な補強となるかを検討したのが、表2である。
表2に示すように、案1および2に比べて、閉断面化した案3の方が、最小断面2次半径kが大きいことが示されている。
特に、補強による重量増加を一定とするように補強する場合、Z軸まわりの断面2次モーメントとY軸まわりの断面2次モーメントとの差が小さいほど重量効率が高いところ、Z軸まわりの断面2次モーメントとY軸まわりの断面2次モーメントとが等しい正方形の閉断面が最も有効であることがわかった。
B バックシート
D 間隔
10 リクライナー
12 連結シャフト
14 回動アーム
16 ベース部材
18 回動可能なカム
20 摺動係止部材
22 操作レバー
24 枢軸
26 挿通孔
28 一対の開口
30 案内側壁
32 円弧状側壁
34 ベースブラケット
38 外歯
40 カム面
42 突出係合部
44 係合凹部
52 円形開口
54 内歯
58 リッドプレート
62 ホールドピン
64 スプリング
70 スパイラルスプリング
100 車両用シート
102 斜張ワイヤー
104 クッションシートフレーム構造
106 下端部
108 後端部
110 斜張ワイヤー
112 バックシートフレーム構造
114 リクライナー構造部
116 車両用シートフレーム構造部
118 一対のサイドフレーム
120 アッパーフレーム
122 主側面部
124 フラットマット
126 嵌合重なり部
128 プーリー
130 ボルト-ナット機構
132 ボルト
134 ボア
136 ナット
140 一対のサイドフレーム
141 リアフレーム
142 フロントフレーム
144 クッションバネ
146 主側面部
148 フランジ部
200 リフタ機構
202 前部パイプ
204 後部パイプ
206 平行リンク機構
208 前部リンク
210 後部リンク
214 上縁
216 下縁
218 第1貫通穴
220 第2貫通穴
222 環状フランジ
224 環状プッシュプレート
226 スリット
Claims (12)
- 車両用シートのクッションシートフレーム構造であって、
バックシートフレーム構造がクッションシートフレーム構造に対して傾動可能となるように、後端部が該バックシートフレーム構造の下端部に連結されたクッションシートフレーム構造を有し、
該クッションシートフレーム構造は、それぞれ車両の前後方向に延設する一対のサイドフレームを有し、
上端が前記一対のサイドフレームの側部で、下端が前記上端より車両の前部側で、前記クッションシートフレーム構造にそれぞれ固定され、かつ車両後方側への荷重が前記クッションシートフレーム構造に負荷されたときに、該荷重に基づいて前記クッションシートフレーム構造に対して作用するモーメントを軽減するように前記クッションシートフレーム構造に対して引張力を作用する一方、外部圧縮力に対して抗しない特性を有する斜張ワイヤーが、該一対のサイドフレームの少なくとも一方の外側部に設けられ、
該斜張ワイヤーが設けられる前記一対のサイドフレームの少なくとも一方には、車両の下部側の縁部まわりに、車両の前後方向に延び、且つ車両の後部側にすすむほど上下方向の幅が増大するようにテーパ付けられるとともに、上縁および下縁それぞれにフランジが形成された補強ブラケットが設けられる、
ことを特徴とする車両用シートのクッションシートフレーム構造。 - 前記一対のサイドフレームは、車両の下部側の縁部まわりに車両の前後方向全体に亘って延びるコの字断面と、車両の上部側の縁部まわりに車両の前後方向全体に亘って延びるコの字断面とを備えたほぼ弓字形の断面構造を有し、
前記補強ブラケットは、車両の下部側の該コの字断面構造の開放部を閉鎖して閉断面構造を形成するように設けられる、請求項1に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。 - 前記一対のサイドフレームは、車両の下部側の縁部まわりに車両の前後方向全体に亘って延びるコの字断面構造を有し、
前記補強ブラケットは、該コの字断面構造の開放部を閉鎖して閉断面構造を形成するように設けられる、請求項1に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。 - 前記閉断面構造は、略正方形である、請求項2または3に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
- 前記閉断面構造の車両の上下方向の幅は、前記斜張ワイヤーによって生じる曲げモーメントに対する中立軸と車両の下部側の縁部との間隔以下である、請求項2または3に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
- 前記閉断面構造の車両の上下方向に対して直交する方向の幅は、車両の上下方向まわりの曲げモーメントに対する前記一対のサイドフレームの必要断面係数により決定する、請求項5に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
- 前記クッションシートフレーム構造は、車両用シートを車両の上下方向に移動するためのリフター機構を有し、
該リフター機構は、前記一対のサイドフレームの前部同士を連結し、車両の前後方向に直交する幅方向に延びる前部パイプと、前記一対のサイドフレームの後部同士を連結し、車両の幅方向に延びる後部パイプとを有し、該前部パイプは、前記一対のサイドフレームの前部それぞれに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支される一方、該後部パイプは、前記一対のサイドフレームの後部それぞれに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支され、
さらに、前記車両の下面とクッションシートとを連結する平行リンク機構を有し、
該平行リンク機構は、それぞれ、一端が車両の下面に対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支され、他端が前記前部パイプに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支された一対の前部リンクと、それぞれ、一端が車両の下面に対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支され、他端が前記後部パイプに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支された一対の後部リンクとを有し、
前記一対のサイドフレームは、前記後部パイプが貫通する第1貫通穴を有し、
前記補強ブラケットは、前記後部パイプが貫通する第2貫通穴を有し、該第2貫通穴が該第1貫通穴と整列するように、対応する前記サイドフレームの内面に設けられ、該第2貫通穴が設けられる車両の前後方向位置において、上下方向に最大幅を有する、請求項2または3に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。 - 前記一対のサイドフレームの各側部に前記斜張ワイヤーが設けられる、請求項1に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
- 前記斜張ワイヤーは、金属製ワイヤーからなる、請求項1に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
- 前記斜張ワイヤーは、CFRP製ワイヤーからなる、請求項1に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
- 前記斜張ワイヤーの前記下端とバックシートの回転中心とを結ぶ線と、前記斜張ワイヤーの前記上端と前記バックシートの回転中心とを結ぶ線とが直交するように、前記斜張ワイヤーを設ける、請求項1に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
- 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の前記車両用シートのクッションシートフレーム構造全体を覆うように設けられたパッドと、前記車両用シートのクッションシートフレーム構造および該パッド全体を覆うように設けられた袋状の表皮とを有することを特徴とする車両用シート。
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