JP5431050B2 - 斜張ワイヤーを備えた車両用シートのクッションシートフレーム構造および該構造を有する車両用シート - Google Patents

斜張ワイヤーを備えた車両用シートのクッションシートフレーム構造および該構造を有する車両用シート Download PDF

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Description

本発明は、斜張ワイヤーを備えた車両用シートのクッションシートフレーム構造および該構造を有する車両用シートに関し、より詳細には、座屈発生を防止しつつ、低コストで軽量化を達成可能な、斜張ワイヤーを備えた車両用シートのクッションシートフレーム構造および該構造を有する車両用シートに関する。
本発明者は、特願2008−270063号において、斜張ワイヤーを備えた車両用シートのクッションシートフレーム構造および該構造を有する車両用シートを提案した。
この斜張ワイヤーを備えた車両用シートのクッションシートフレーム構造は、バックシートフレーム構造がクッションシートフレーム構造に対して傾動可能となるように、後端部がバックシートフレーム構造の下端部に連結されたクッションシートフレーム構造を有し、クッションシートフレーム構造は、それぞれ車両の前後方向に延設する一対のサイドフレームを有し、上端が一対のサイドフレームの側部で、下端が上端より車両の前部側で、クッションシートフレーム構造にそれぞれ固定され、かつ車両後方側への荷重がクッションシートフレーム構造に負荷されたときに、この荷重に基づいてクッションシートフレーム構造に対して作用するモーメントを軽減するようにクッションシートフレーム構造に対して引張力を作用する一方、外部圧縮力に対して抗しない特性を有する斜張ワイヤーが、一対のサイドフレームの少なくとも一方の側部に設けられている。
このような構成によれば、バックシートフレーム構造に対して負荷される想定衝撃荷重に関し、車両後方側に負荷される衝撃荷重の方が車両前方側に負荷される衝撃荷重より大きく設定されるところ、このような衝撃荷重が連結部を通じてクッションフレーム構造に伝達される際、車両前方側に負荷される衝撃荷重による曲げモーメントに耐えるような一対のサイドフレームの断面係数を設定して、断面形状を決定しておき、車両後方側に衝撃荷重が負荷されるときには、このような衝撃荷重に基づいてクッションシートフレーム構造に作用する曲げモーメントを軽減するように、斜張ワイヤーからクッションシートフレーム構造に対して引張力が作用するように斜張ワイヤーを位置決めすることにより、車両前方側への衝撃荷重と車両後方側への衝撃荷重との差分を斜張ワイヤーに負担させることが可能である。
しかしながら、本発明者は、このような斜張ワイヤーを設けることに起因して、以下のような技術的問題点が引き起こされる点を試験を通じて確認するに至った。
第1に、クッションシートフレーム構造に対して車両後方側への衝撃荷重が負荷される際、クッションシートフレーム構造に対して、曲げモーメントとともに、斜張ワイヤーに生じる引っ張り力の成分により圧縮応力が負荷されるため、クッションシートフレーム構造の車両の下部側に座屈が生じやすくなる点である。
より詳細には、図20(A)(図20において、図面上左側が車両前部)に示すように、バックシートフレーム構造の上部に対して車両後方側への衝撃荷重が負荷される際、バックシートフレーム構造とクッションシートフレーム構造との連結部を通じてクッションシートフレーム構造に対して車両の前部から後方に向かって増大する曲げモーメントが生じ、クッションシートフレーム構造の中立軸N−Nを境にして、それより車両の上部側には、引張応力が、一方それより車両の下部側には、圧縮応力が負荷される。それに対して、図20(B)に示すように、斜張ワイヤーに生じる引っ張り力Rの車両前後方向の成分Rにより、クッションシートフレーム構造に対して車両の前後方向に一定の圧縮応力が負荷される。これらの応力が重ね合わされてクッションシートフレーム構造に負荷されることから、図20(C)に示すように、クッションシートフレーム構造に対して、負荷応力が零となる位置が図20(A)に比べて、車両の上部側に移動するとともに、車両の下部側において、大きな圧縮応力が負荷されることになる。このような圧縮応力に起因して、クッションシートフレーム構造に座屈が生じやすくなる。
しかしながら、このような座屈が起こらないようにバックシートフレーム構造を補強するとすれば、軽量化かつ高剛性を達成する目的のために設けた斜張ワイヤーにより、かえって重量化を引き起こしかねない。
第2に、クッションシートフレーム構造に設けられるリフター機構に伴い、リフター機構を支持するサイドフレームの強度が不十分となりやすい点である。
より詳細には、リフター機構は、一対のサイドフレームの前部同士を連結し、車両の前後方向に直交する幅方向に延びる前部パイプと、一対のサイドフレームの後部同士を連結し、車両の幅方向に延びる後部パイプとを有し、前部パイプは、一対のサイドフレームの前部それぞれに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支される一方、後部パイプは、一対のサイドフレームの後部それぞれに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支され、さらに、車両の下面とクッションシートとを連結する平行リンク機構を有し、平行リンク機構は、それぞれ、一端が車両の下面に対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支され、他端が前部パイプに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支された一対の前部リンクと、それぞれ、一端が車両の下面に対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支され、他端が後部パイプに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支された一対の後部リンクとを有する。
一対のサイドフレームはそれぞれ、後部パイプが貫通する貫通穴を有し、この開口部により局所的に強度が低下することから、後部パイプの支持部に対する補強が望まれる。
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、座屈を防止しつつ、コスト増および重量の増大化を抑制することが可能な斜張ワイヤーを備えた車両用シートのクッションシートフレーム構造および該構造を有する車両用シートを提供することにある。
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、座屈発生の防止とともにリフター機構の設置に伴う補強を、低コストで重量の増大化を抑制しつつ達成可能な斜張ワイヤーを備えた車両用シートのクッションシートフレーム構造および該構造を有する車両用シートを提供することにある。
上記課題を達成するために、本発明に係る車両用シートのクッションシートフレーム構造は、
車両用シートのクッションシートフレーム構造であって、
バックシートフレーム構造がクッションシートフレーム構造に対して傾動可能となるように、後端部が該バックシートフレーム構造の下端部に連結されたクッションシートフレーム構造を有し、
該クッションシートフレーム構造は、それぞれ車両の前後方向に延設する一対のサイドフレームを有し、
上端が前記一対のサイドフレームの側部で、下端が前記上端より車両の前部側で、前記クッションシートフレーム構造にそれぞれ固定され、かつ車両後方側への荷重が前記クッションシートフレーム構造に負荷されたときに、該荷重に基づいて前記クッションシートフレーム構造に対して作用するモーメントを軽減するように前記クッションシートフレーム構造に対して引張力を作用する一方、外部圧縮力に対して抗しない特性を有する斜張ワイヤーが、該一対のサイドフレームの少なくとも一方の側部に設けられ、
該斜張ワイヤーが設けられる前記一対のサイドフレームの少なくとも一方には、車両の下部側の縁部まわりに、車両の前後方向に延び、且つ車両の後部側にすすむほど上下方向の幅が増大するようにテーパ付けられるとともに、上縁および下縁それぞれにフランジが形成された補強ブラケット88が設けられる、構成としている。
このような構成の車両用シートのクッションシートフレーム構造によれば、バックシートフレーム構造に対して負荷される想定衝撃荷重に関し、車両後方側に負荷される衝撃荷重の方が車両前方側に負荷される衝撃荷重より大きく設定されるところ、このような衝撃荷重が連結部を通じてクッションフレーム構造に伝達される際、車両前方側に負荷される衝撃荷重による曲げモーメントに耐えるような一対のサイドフレームの断面係数を設定して、断面形状を決定しておき、車両後方側に衝撃荷重が負荷されるときには、このような衝撃荷重に基づいてクッションシートフレーム構造に作用する曲げモーメントを軽減するように、斜張ワイヤーからクッションシートフレーム構造に対して引張力が作用するように斜張ワイヤーを位置決めすることにより、車両前方側への衝撃荷重と車両後方側への衝撃荷重との差分を斜張ワイヤーに負担させることが可能である。
一方、この斜張ワイヤーは、外部圧縮力が作用したときにそれに抗しないような特性を有するので、車両前方側に衝撃荷重が負荷されるとき強度部材として機能しないことから、斜張ワイヤー自体の構造健全性を維持することが可能である。
車両後方側に衝撃荷重が負荷される際、サイドフレームのうち斜張ワイヤーが設けられる方には、曲げモーメントとともに、斜張ワイヤーに発生する引っ張り力の車両前後方向成分により圧縮応力が負荷されるところ、サイドフレームの車両下部側においては、曲げモーメントによる圧縮応力とともに斜張ワイヤーに起因する圧縮応力が重畳されることから、大きな圧縮応力が負荷され、サイドフレーム中で最も座屈を起こしやくなる。
この点、斜張ワイヤーが設けられる一対のサイドフレームの少なくとも一方に対して、車両の下部側の縁部まわりに、車両の前後方向に延び、且つ車両の後部側に進むほど高さが増大するようにテーパ付けられるとともに、車両の前後方向に延びる上縁および下縁それぞれにフランジが形成された補強ブラケット88を設けることにより、局所的な補強を行い、以て座屈を防止しつつ、コスト増および重量の増大化を抑制することが可能となる。
また、前記一対のサイドフレームは、車両の下部側の縁部まわりに車両の前後方向全体に亘って延びるコの字断面と、車両の上部側の縁部まわりに車両の前後方向全体に亘って延びるコの字断面とを備えたほぼ弓字形の断面構造を有し、
前記補強ブラケット88は、車両の下部側の該コの字断面構造の開放部を閉鎖して閉断面構造を形成するように設けられるのがよい。
さらにまた、前記一対のサイドフレームは、車両の下部側の縁部まわりに車両の前後方向全体に亘って延びるコの字断面構造を有し、
前記補強ブラケット88は、該コの字断面構造の開放部を閉鎖して閉断面構造を形成するように設けられるのでもよい。
加えて、前記閉断面構造は、略正方形であるのがよい。
また、前記閉断面構造の車両の上下方向の幅は、前記斜張ワイヤーによって生じる曲げモーメントに対する中立軸と車両の下部側の縁部との間隔以下であるのがよい。
さらに、前記閉断面構造の車両の上下方向に対して直交する方向の幅は、車両の上下方向まわりの曲げモーメントに対する前記一対のサイドフレームの必要断面係数により決定するのがよい。
さらにまた、前記クッションシートフレーム構造は、車両用シートを車両の上下方向に移動するためのリフター機構を有し、
該リフター機構は、前記一対のサイドフレームの前部同士を連結し、車両の前後方向に直交する幅方向に延びる前部パイプと、前記一対のサイドフレームの後部同士を連結し、車両の幅方向に延びる後部パイプとを有し、該前部パイプは、前記一対のサイドフレームの前部それぞれに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支される一方、該後部パイプは、前記一対のサイドフレームの後部それぞれに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支され、
さらに、前記車両の下面とクッションシートとを連結する平行リンク機構を有し、
該平行リンク機構は、それぞれ、一端が車両の下面に対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支され、他端が前記前部パイプに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支された一対の前部リンクと、それぞれ、一端が車両の下面に対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支され、他端が前記後部パイプに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支された一対の後部リンクとを有し、
前記一対のサイドフレームは、前記後部パイプが貫通する第1貫通穴を有し、
前記補強ブラケット88は、前記後部パイプが貫通する第2貫通穴を有し、該第2貫通穴が該第1貫通穴と整列するように、対応する前記サイドフレームの内面に設けられ、該第2貫通穴が設けられる車両の前後方向位置において、上下方向に最大幅を有するのがよい。
さらに、前記一対のサイドフレームの各側部に前記斜張ワイヤーが設けられるのでもよい。
さらにまた、前記斜張ワイヤーは、金属製ワイヤーあるいはCFRP製ワイヤーからなるのがよい。
加えて、前記斜張ワイヤーの前記下端と前記バックシートの回転中心とを結ぶ線と、前記斜張ワイヤーの前記上端と前記バックシートの回転中心とを結ぶ線とが直交するように、前記斜張ワイヤーを設けるのがよい。
上記課題を達成するために、本発明に係る車両用シートは、
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の前記車両用シートのクッションシートフレーム構造全体を覆うように設けられたパッドと、前記車両用シートのクッションシートフレーム構造および該パッド全体を覆うように設けられた袋状の表皮とを有する構成としている。
このような構成の車両用シートによれば、このような構成の車両用シートのバックシートフレーム構造に対してパッドをあてがうことにより車両用シートとして完成する場合、斜張ワイヤー自体をパッドの中に埋設させることで、車両用シートの外観を損なうことが防止される。
本発明に係る車両用シートのクッションシートフレーム構造によれば、車両前方側への衝撃荷重と車両後方側への衝撃荷重との差分を斜張ワイヤーに負担させることが可能であるとともに、車両の下部側の縁部まわりに、車両の前後方向に延び、且つ車両の後部側に進むほど上下方向の幅が増大するようにテーパ付けられるとともに、車両の前後方向に延びる上縁および下縁それぞれにフランジが形成された補強ブラケット88を設けることにより、局所的な補強を行い、以て斜張ワイヤーの設置に起因する座屈を防止しつつ、コスト増および重量の増大化を抑制することが可能となる。
本発明に係る車両用シートによれば、このような構成の車両用シートのフレーム構造に対してパッドをあてがうことにより車両用シートとして完成する場合、斜張ワイヤー自体をパッドの中に埋設させることで、車両用シートの外観を損なうことが防止される。
本発明に係る車両用シートの実施形態を図面を参照しながら、自動車のフロントシートに適用される場合を例として、以下に詳細に説明する。
図1および図2に示すように、本発明に係る車両用シート100は、車室フロアに固定され、後に説明する斜張ワイヤー102A,Bを有するクッションシートフレーム構造部104と、下端部106がクッションシートフレーム構造部104の後端部108に対して傾動可能に連結され、後に説明する斜張ワイヤー110A,Bを有するバックシートフレーム構造部112と、バックシートフレーム構造部112とクッションシートフレーム構造部104との間に介在するリクライナー構造部114とを有する車両用シートフレーム構造と、車両用シートフレーム構造全体を覆うように設けられたパッド(図示せず)と、車両用シートのフレーム構造および該パッド全体を覆うように設けられた袋状の表皮(図示せず)とを有する。図1には、回転軸線X―Xを示す。なお、図1および図2において、車両の前方は、図中右側である。
バックシートフレーム構造部112について説明すれば、バックシートフレーム構造部112は、全体として逆U字状をなし、それぞれ上下方向に延びる一対のサイドフレーム118A,Bと、一対のサイドフレーム118A,Bの各々の上端同士を掛け渡すアッパーフレーム120とを有する。
図3に示すように、一対のサイドフレーム118A,Bの各々は、外郭形状を構成する車両の前後方向に有幅の主側面部122と、主側面部122の前後縁より内方に立ち上がる張り出しフランジ部123A,Bとが断面内向きのコ字形状に形成されている。
逆U字状のバックシートフレーム構造部112の内部に形成される開口部には、フラットマット124が張設され、一対のサイドフレーム118A,Bの上部同士を連結するアッパーメンバー125、一対のサイドフレーム118A,Bの下部同士を連結するロアメンバー127が設けられ、さらに、アッパーフレーム120には、ヘッドレスト(図示せず)取り付け用部材129が付設されている。アッパーフレーム120の両下端部は、一対のサイドフレーム118A,Bと同様に、コ字断面に形成され、それぞれ一対のサイドフレーム118A,Bの上部に嵌合して連結されるようにしてある。
斜張ワイヤー110A,Bについて説明すれば、斜張ワイヤー110A,Bは、一対のサイドフレーム118A,Bの各々の側面部122に付設されている。いずれの斜張ワイヤー110A,Bも同様な構造であるので、その1つについて、以下に説明する。
斜張ワイヤー110A,Bの上端は、一対のサイドフレーム118A,Bの側部で、下端がバックシートフレーム構造部112の回転中心より車両の前部側で、バックシートフレーム構造112にそれぞれ固定されて、斜めに張設されている。斜めの角度は、想定される衝撃荷重等に応じて適宜設定すればよい。
より詳細には、斜張ワイヤー110A,Bの上端は、一対のサイドフレーム118A,Bの上端とアッパーフレーム120との嵌合重なり部126に設けられ、一方斜張ワイヤー110A,Bの下端は、後に説明するリクライナー構造部114のブラケット部58に設けられる。これにより、斜張ワイヤー110A,Bの上端は、構造的に補強された部位に設けることが可能であり、一方斜張ワイヤー110A,Bの下端は、リクライナー構造部114のブラケット部を利用して、位置決めすることが可能となる。
特に、斜張ワイヤー110A,Bの上端とバックシートフレーム構造部112の回転中心とを結ぶ線と、斜張ワイヤー110A,Bの下端とバックシートフレーム構造部112の回転中心とを結ぶ線とがなるべく直交するように、斜張ワイヤー110A,Bを位置決めするのが好ましい。
プーリー128A,Bが、一対のサイドフレーム118A,Bの側部およびブラケット部58それぞれに設けられ、斜張ワイヤー110A,Bは、無端状とされ、両プーリー128A,B間に掛け渡されている。
斜張ワイヤー110A,Bの種類および材質は、たとえば衝突の際に車両用シート100に衝撃荷重が負荷された場合に、このような衝撃荷重の一部を負担しつつ、自身が構造健全性を確保できるような強度あるいは剛性を備える限り任意であるが、たとえば金属製あるいはCFRP製が好ましい。
図4に示すように、斜張ワイヤー110A,Bには、ワイヤーの長さ調整手段に該当するボルトーナット機構130が設けられている。より詳細には、斜張ワイヤー110A,Bの各端には、雄ねじが切られたボルト132A,Bが付設され、一方、各端から内方に向かって雌ねじが切られたボア134A,Bを有するナット136が設けられている。各ボルト132を対応するボア134に対して、螺合することにより、ねじ込み量を調節し、それにより、斜張ワイヤー110A,Bを両プーリー128A,Bに掛け渡した状態で、ワイヤーの全体長さを調整できるようにしている。このような構成によれば、ワイヤーの長さを調整するのに、2本のボルト132A,Bを利用して、2か所においてワイヤーの長さを調整することが可能である。
この場合、車両シートに対して荷重が負荷されていない通常の状態において、斜張ワイヤー110A,Bに引張力が発生せず、ワイヤーが弛まない程度にワイヤーの長さを調整してもよいし、あるいは斜張ワイヤー110A,Bに引張力が発生した状態となるようにワイヤーの長さを調整してもよい。変形例として、斜張ワイヤー110A,Bの一端にはボルト132、他端にはナット136を設け、1本のボルト132のナット136に対するねじ込み量を調節することにより、ワイヤーの長さを調節してもよい。
このように、プーリー128A,B間に無端状のワイヤーを掛け渡す構成とすることにより、実質的にサイドフレーム118A,Bの各側において、2本の斜張ワイヤー110A,Bを設けたことに等しいにも関わらず、ワイヤーの長さを調整するボルトーナット機構130を単一化することが可能である。
なお、このような斜張ワイヤー110A,Bの長さ調整は、バックシートフレーム構造112全体にウレタンパッドをあてがう前に行う必要がある。
このような斜張ワイヤー110A,Bにより、車両後方側への荷重、たとえば衝突の際の衝撃荷重がバックシートフレーム構造部112に負荷されたときに、この荷重に基づいてバックシートフレーム構造部112に対して引張力を作用する一方、車両前方側への荷重による外部から作用する圧縮力に対し抗しない特性を有するようにしてある。
次に、図1及び図2を再び参照して、クッションシートフレーム構造部104について説明すれば、クッションシートフレーム構造部104は、車両の前後方向に延設された一対のサイドフレーム140A,Bと、一対のサイドフレーム140A,Bの後端部108同士を連結するリアフレーム141と、一対のサイドフレーム140A,Bの前端部同士を連結するフロントフレーム142とから概略構成され、これらのフレームにより閉断面構造(ボックス構造)が形成されている。この閉断面構造の開口部には、リアフレーム140とフロントフレーム142との間で車両の前後方向に張設されたクッションバネ143が設けられている。
次に、クッションシートフレーム構造部104に設けられるリフタ機構200について説明すれば、図5および図6に示すように、一対のサイドフレーム140A,Bの前部同士を連結し、車両の前後方向に直交する幅方向に延びる前部パイプ202と、一対のサイドフレーム140A,Bの後部同士を連結し、車両の幅方向に延びる後部パイプ204とを有し、前部パイプ202は、一対のサイドフレーム140A,Bの前部それぞれに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支される一方、後部パイプ204は、一対のサイドフレーム140A,Bの後部それぞれに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支され、さらに、車両の下面とクッションシートとを連結する平行リンク機構206を有し、平行リンク機構206は、それぞれ、一端が車両の下面に対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支され、他端が前部パイプ202に対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支された一対の前部リンク208と、それぞれ、一端が車両の下面に対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支され、他端が後部パイプ204に対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支された一対の後部リンク210とを有する。
なお、リフタ機構200は、クッションシートを所定の高さに保持する機構と、平行リンク機構206を車両の幅方向を中心に回転駆動する機構とを有するが、従来既知の機構であるので、その説明は省略する。
図7ないし図9に示すように、一対のサイドフレーム140A,Bの各々は、略「弓」字形状の全体断面構造を有し、この全体断面構造は、車両の上部側の縁部80まわりのコの字断面の凹部82と、車両の下部側の縁部84まわりのコの字断面の凹部86とを備え、たとえば外郭形状を構成する車両の上下方向に有幅の主側面部と、主側面部の上下縁216より内方に立ち上がる張り出しフランジ部とが断面内向きのコ字形状に形成されるサイドフレーム140A,Bに比べて、車両の上下方向に直交する向きに延びる部分を増やすことにより、両車両の上下方向まわりの曲げモーメントに対するサイドフレーム140A,Bの断面係数を確保するようにしている。
このうち、車両の下部側の縁部84まわりの凹部86が、図8に示すように、サイドフレーム140A,Bの前後方向に亘って延びる補強ブラケット88により閉鎖され、閉断面構造とされ、これにより、車両の後方側への衝撃荷重によりサイドフレーム140A,Bのうち、特に車両下部側に生じる座屈を有効に防止するようにしてある。補強ブラケット88は、サイドフレーム140A,Bに対して、たとえば溶接により固定すればよい。
閉断面構造の車両上下方向に対して直交する方向の幅(図8において、W1)は、車両の上下方向まわりの曲げモーメントに対するサイドフレーム140A,Bに要求される断面係数の観点から決定される。一方、閉断面構造の車両上下方向の幅(図8において、W2)は、座屈を有効に防止する観点から定めればよいが、車両の後方側への衝撃荷重に起因して斜張ワイヤー102A,Bによって生じる曲げモーメントに対する中立軸(図20のN―N)とサイドフレーム140A,Bの車両下部側の縁部84との間隔以下である。
特に、後に説明するように、座屈防止の観点から、閉断面の形状は正方形であるのが好ましい。
図10に示すように、補強ブラケット88は、細長プレート状であり、より詳細には、車両の下部側の縁部84まわりに、車両の前後方向に延び、且つ車両の後部側にすすむほど上下方向の幅が増大するようにテーパ付けられるとともに、上縁214および下縁216それぞれにフランジが形成されている。
補強ブラケット88は、サイドフレーム140A,Bの内面にサイドフレーム140A,Bの下縁に沿うように設けられ、以下に示すように、車両の前後方向の位置に応じてその断面構造を変えている。この点が、同様に斜張ワイヤー付きのバックシートのシートフレーム構造のサイドフレーム140A,Bについて、別途本発明者が提案した補強ブラケット88と相違する点である。
図7に示すように、サイドフレーム140A,Bの車両前後方向の長さの略中央より前部側に該当する位置において、前述のように、サイドフレーム140A,Bは、略「弓」字形状の全体断面構造を有し、車両の下部側の縁部84まわりのコの字断面の凹部86には、補強ブラケット88が設けられず、閉断面構造とされていない。これは、この車両前後方向位置においては、バックシートフレーム構造の上部に対して車両後方側への衝撃荷重が負荷されることに伴う曲げモーメントの大きさ(図20参照)が比較的低いため、サイドフレーム140の座屈の危険性が小さいため、補強ブラケット88による補強を省略したものである。
図8に示すように、サイドフレーム140A,Bの車両前後方向の長さの略中央に該当する位置において、補強ブラケット88は、車両の下部側のコの字断面構造の開放部を閉鎖して閉断面構造を形成するように設けられる。より詳細には、補強ブラケット88の上縁214に設けられるフランジの上面および下縁216に設けられるフランジの下面がそれぞれ、コの字断面の上部の下面および下部の上面に対して、たとえば溶接により固定される。
図9に示すように、車両前後方向のリフタ機構200の後部リンク210が設けられる位置において、補強ブラケット88は、車両の下部側のコの字断面構造の開放部を閉鎖して閉断面構造を形成する点では、図8と同様であるが、図8に比べてその閉断面構造が異なる。より詳細には、補強ブラケット88はその上下方向の幅W2を大きくとり、車両の下部側のコの字断面構造の開放部を閉鎖するだけでなく、補強ブラケット88を介してサイドフレーム140A,Bの内面に隣接するリフタ機構200の後部リンク210の頂部より上まで延びている。
これにより、車両下部側の縁部84まわりを補強して斜張ワイヤーの設置に起因する座屈を防止するとともに、閉断面構造を車両の上下方向に極端に扁平化することにより、サイドフレーム140A,Bとともに上下方向に延びる2枚構造とすることを通じて、後部リンク210の取り付けに伴う補強を兼ねるようにしている。なお、参照番号215は、は、リクライナー構造部114のベースブラケット34をクッションフレーム構造104に固定するための取り付けボルトである。
図11に示すように、リフタ機構200のトーションバー217が貫通する位置において、一対のサイドフレーム140A,Bは、後部パイプ204が貫通する第1貫通穴218を有し、補強ブラケット88も同様に、後部パイプ204が貫通する第2貫通穴220を有し、対応するサイドフレーム140A,Bの内面に第1貫通穴218と整列するように設けられ、図10に示すように、第2貫通穴220が設けられる車両の前後方向位置において、上下方向に最大幅を有する。なお、トーションバー217は、クッションシートに上方向の付勢力を負荷することにより、クッションシートを操作レバー(図示せず)により上方に持ち上げる際に補助機能を発揮するバネである。
より詳細には、一対のサイドフレーム140A,Bは、第1貫通穴218まわりに環状フランジ222を有し、この環状フランジ222が、端部が樹脂製キャップ223により閉鎖された後部パイプ204の外周面に当接するように設けられ、サイドフレーム140A,Bの外側から環状プッシュプレート224によりサイドフレーム140A,Bの内面が補強ブラケット88の上縁214および下縁216に設けられたそれぞれのフランジに対して押し当てられている。この点において、補強ブラケット88は、図11に示すように、図9と同様に、車両の下部側のコの字断面構造の開放部を閉鎖するだけでなく、後部パイプ204の頂部より上まで延びている。
図12に示すように、リクライナー構造部114のベースブラケット34をクッションフレーム構造104に固定するための取り付けボルト227が設けられる位置においては、車両の後方に作用する衝撃荷重に伴う曲げモーメントが車両前後方向の他の位置に比べて大きくない点を考慮して、補強ブラケット88は、完全な閉断面構造とせずに、より軽量化を重視して、補強ブラケット88の上下方向ほぼ中央に車両の前後方向に延びるスリット226を設けている。
以上のように、斜張ワイヤーが設けられるクッションシートのフレーム構造のサイドフレーム140A,Bにおいて、斜張ワイヤーの設置に起因する座屈を防止しつつ、リフタ機構200の付設に伴う補強を兼ねるように、補強ブラケット88をサイドフレーム140A,Bの下部側の縁部84まわりに限って局所的に設けるとともに、車両の前後方向にその断面構造を変えることにより、重量の増大を抑制しつつ、座屈防止および構造補強を行うことを可能としている。
以上のように、車両用シートのクッションシートに斜張ワイヤー102A,Bを設置したことに伴いサイドフレーム140A,Bの車両下部側に座屈が生じる危険性が増大するところ、このような座屈に対して、たとえば全体の肉厚を一様に増大する等サイドフレーム140A,B全体を補強することなく、サイドフレーム140A,Bの車両下部側の縁部84まわりに限って局所的に補強を行い、その際、従来の略「弓」字形状の全体断面構造を有するサイドフレーム140A,Bの車両下部側の縁部84まわりのコの字開放断面の凹部86をそのまま利用して、単に補強ブラケット88を用意して、コの字開放断面をサイドフレーム140A,Bの略前後方向に亘って閉鎖して、閉断面構造化することにより、サイドフレーム140A,Bの重量化を引き起こすことなしに、座屈を有効に防止することが可能となる。
次に、斜張ワイヤー102について説明すれば、斜張ワイヤー102は、一対のサイドフレーム140A,Bの各々の側部に付設されている。いずれの斜張ワイヤー102A,Bも同様な構造であるので、その1つについて、以下に説明する。
斜張ワイヤー102の上端は、一対のサイドフレーム140A,B140の側部で、下端が上端より車両の前部側で、クッションシートフレーム構造104にそれぞれ固定されて、斜めに張設されている。斜めの角度は、想定される衝撃荷重等に応じて適宜設定すればよい。
より詳細には、斜張ワイヤー102の上端は、後に説明するリクライナー構造部114のブラケット部34に設けられ、一方斜張ワイヤー102の下端は、サイドフレーム140A,B140の側部に設けられる。
特に、斜張ワイヤー102の上端とバックシートフレーム構造部112の回転中心とを結ぶ線と、斜張ワイヤー102の下端とバックシートフレーム構造部112の回転中心とを結ぶ線とがなるべく直交するように、斜張ワイヤー102を位置決めするのが好ましい。
プーリー147A,Bが、一対のサイドフレーム140A,B140の側部およびブラケット部34それぞれに設けられ、斜張ワイヤー102は、無端状とされ、両プーリー147A,B間に掛け渡されている。
斜張ワイヤー102の種類および材質は、たとえば衝突の際に車両用シート100に衝撃荷重が負荷された場合に、このような衝撃荷重の一部を負担しつつ、自身が構造健全性を確保できるような強度あるいは剛性を備える限り任意であるが、たとえば金属製あるいはCFRP製が好ましい。
なお、斜張ワイヤー102にそれぞれ、ワイヤー長さ調整手段145A,Bを設けている点については、バックシートフレーム構造112に設けた斜張ワイヤー110A,Bと同様であるので、その説明は省略する。
次に、リクライナー構造部114について説明すれば、図13に示すように、リクライナー10は、ドライバー或いは乗員が着座するクッションシートのフレーム構造の各側面と、ドライバー或いは乗員が背もたれるバックシートのフレーム構造の対応する側面との連結部に1基ずつ設けられ、バックシートをクッションシートに対して傾動可能とするように、一対のリクライナー10は、シートの幅方向に延びる連結シャフト12により連結されている。一対のリクライナー10は、同様な構造を有するので、以下では、その1つについて、説明する。
図14ないし図16に示すように、リクライナー10は、バックシートフレーム構造に取り付けられる回動アーム14と、クッションシートフレーム構造に取り付けられるベース部材16と、回動アーム14とベース部材16との間に介在する、カム18およびカム18を挟むように配置される一対の摺動係止部材20と、カム18を回動する操作レバー22とから概略構成され、操作レバー22に固定された枢軸24を中心に、回動アーム14がベース部材16に対して回動自在に保持されている。
図16に示すように、ベース部材16は、鋼製円形板材であり、その中心部に枢軸24が挿通する挿通孔26が形成され、挿通孔26の大きさは、枢軸24の回動に伴ってベース部材16が回動しない程度である。ベース部材16には、挿通孔26の両側に延びる一対の開口28A,Bが設けられている。一対の開口28A,Bの各々は、左右一対の案内側壁30と、これらの案内側壁30の上端および下端に連接された円弧状側壁32とから構成されている。一対の開口28の各々の大きさは、後に説明する一対の摺動係止部材20それぞれが、一対の開口28内で左右一対の案内側壁30に沿って案内されながら半径方向に摺動することが可能なように設けられる。円弧状側壁32の径は、後に説明する回動アーム14の円形開口52の径より大きくなるように設定される。
ベース部材16の回動アーム14が位置する反対側には、ベースブラケット34が一対の開口28を塞ぐように取り付けられ、その中心部に枢軸24が挿通する挿通孔33が形成される一方、このベースブラケット34の下部には、クッションシートCのフレーム構造に固定される取り付け部36が設けられている。この取り付け部36には、貫通孔39が設けられ、ボルト37を貫通孔39および対応するクッションシートCの貫通孔に挿通して、溶接ナット41によりベースブラケット34とクッションシートCとを固定するようにしてある(図15参照)。また、上述のように、このベースブラケット34を利用して、斜張ワイヤー102のプーリーを設けるためのブラケットが付設されている。
ベース部材16の一方の面には、複数の突起面11が設けられる一方、ベースブラケット34の対応する位置には、突起面11と相補形状の開口13が設けられ、突起面11それぞれを開口13に嵌めて、たとえば溶接することにより、ベースブラケット34をベース部材16に対して固定するようにしている。ベース部材16において、案内側壁30と摺動係止部材20との間で荷重伝達経路が構成されるので、ベース部材16の板厚は、このような荷重に耐える強度を有するように設定される。たとえば、ベース部材16の板厚は、3.6mmである。それに対して、ベースブラケット34の板厚は、ベース部材16の板厚より薄く設定される。
摺動係止部材20について説明すれば、摺動係止部材20は一対設けられ、それぞれ、ベース部材16の一対の開口28A,Bの対応する開口内で左右一対の案内側壁30によって案内されながら半径方向に進退自在に配設されている。
図17に示すように、各々の摺動係止部材20は、その外周側に外歯38が形成されるとともに、その内周側には、カム面40が形成され、さらに両側面47、49は、互いに平行で案内側壁30に対して摺接するようにしている。
カム面40は、従来と同様に、内方に突出する突出係合部42と、突出係合部42に連接し外方に延びる係合凹部44とを有し、突出係合部42および係合凹部44ともに、後に説明するカム18と係合し、それにより、各々の摺動係止部材20の外歯38が、後に説明する回動アーム14に形成した内歯54と噛合する係止位置と、内歯54から離間する係止解除位置との間で、半径方向に進退自在に移動するようにしている。
一対の摺動係止部材20は、ベース部材16と回動アーム14とを重ね合わせた際、回動アーム14の円形開口52とベース部材16の一対の開口28とにより形成されるスペース内に配置され、一対の開口28の案内側壁30により案内されつつ、一対の摺動係止部材20それぞれに設けた外歯38が円形開口52に設けた内歯54と噛み合うことが可能なようにしている。
カム18について説明すれば、図18および図19に示すように、カム18は、一対の摺動係止部材20の間に介在し、中心部に操作レバー22に設けられた枢軸24が挿通する貫通穴17を有する。貫通穴17の大きさは、枢軸24の回動によりカム18が一体でその方向に回動する程度であり、それにより、操作レバー22の回動により、カム18が回動されるようにしてある。カム18の一対の摺動係止部材20各々の対向する面にはそれぞれ、内方に突出する突出係合部42と係合する係合部43と、係合部43に連接し、外方に延びる突出係合部45とが設けられ、カム18の外形は、その中心位置に関して点対称に形成され、その板厚は、後に説明する回動アーム14の板厚より若干薄く設定され、一対の摺動係止部材20とは異なり、回動アーム14の円形開口52内に配置したとき、ベース部材16の一対の開口28に及ばないようにしている。これにより、円形開口52内で自由に回動することが可能となる。
図16を参照して、回動アーム14について説明すれば、回動アーム14は鋼製環状リングからなり、内部に円形開口52が設けられている。円形開口52の径は、ベース部材16の円弧状側壁32の径と同一である。円形開口52を構成する環状リングの上下部それぞれについて、その内周面の所定範囲に亘って、摺動係止部材20の外歯38と噛合する内歯54が設けられている。一対の摺動係止部材20それぞれを係止位置に移動させたときの外歯38と内歯54との噛合により、バックシートBとクッションシートCとの間の荷重伝達経路が形成されるので、鋼製環状リングの板厚は、外歯38がこのような荷重に耐える強度を有するように設定される。鋼製環状リングの板厚は、たとえば3.6mmである。なお、鋼製環状リングは、一様な板厚の円形板材をファインブランキングにより打ち抜き加工することにより円形開口52を設けて外歯38を形成すればよい。
回動アーム14の外周部には、バックシートBに取り付けるためのブラケット部56が、外周方向に等角度間隔(90°)を隔てて4つ設けられている。各ブラケット部56には、後に説明するホールドピン62を挿通するための貫通孔63が設けられている。なお、ブラケット部56は、環状リングと一体に形成してもよい。
回動アーム14のベース部材16が位置する反対側には、リッドプレート58が円形開口52を塞ぐように取り付けられ、このリッドプレート58の中心部には、枢軸24が貫通する貫通孔60が設けられる。貫通孔60の大きさは、カム18と同様に、枢軸24の回動によりリッドプレート58が一体でその方向に回動する程度であり、それにより、操作レバー22の回動により、リッドプレート58が回動されるようにしてある。リッドプレート58は、環状リングと同じ径を有する円形薄板であり、その外周部には、回動アーム14と同様に、ブラケット部67が、外周方向に等角度間隔(90°)を隔てて4つ設けられている。各ブラケット部67には、後に説明するホールドピン62が挿通する貫通孔65が、設けられている。これにより、ホールドピン62を回動アーム14の貫通孔63および対応するリッドプレート58の貫通孔65に挿通して、かしめることにより、リッドプレート58を回動アーム14に対して固定し、回動アーム14の円形開口52内に配置される一対の摺動係止部材20、カム18、および後に説明するスプリング64が、円形開口52内に保持されるようにしている。また、図15に示すように、ホールドピン62の肩部をベース部材16の周縁部80にあてがうことにより、ベース部材16を固定している。さらにまた、上述のように、このリッドプレート58を利用して、その外周部に、斜張ワイヤー110のプーリー128を設けるためのブラケットが付設されている。
なお、リッドプレート58は、円形開口52に対する蓋として機能するのみであり、強度部材として機能するわけではないので、回動アーム14の板厚が、たとえば3.6mmであるのに対して、リッドプレーの板厚は、0.6mm程度でよい。
図16に示すように、操作レバー22は、一方のリクライナー10の外側に設けられ、一端に貫通孔が設けられ、枢軸24が、この貫通孔を含め、貫通孔33、ベース部材16、カム18、およびリッドプレート58の貫通孔60に挿通することにより、操作レバー22が固定されている。操作レバー22は、円形開口52内に配置された一対のスプリング64により、一定方向に回動するように付勢されている。
一方のリクライナー10の外側には、スパイラルスプリング70がベースブラケット34に対してほぼ平行に隣接して設けられ、一端がバックシートBに固定される一方、他端がベースブラケット34に設けたホルダーブラケット72に固定されることにより、バックシートBをクッションシートCに対して、一定方向に回動するように付勢している。
以上の構成を有する車両用シート100について、図面を参照しながら、その作用を以下に説明する。
まず、バックシートBをクッションシートCに対してロック状態とする場合、操作レバー22がスプリング64によって付勢され、この状態においては、図18に示すように、カム18の係合部43がそれぞれ、摺動係止部材20のカム面40の突出係合部42に係合する。これにより、摺動係止部材20はそれぞれ、ベース部材16の案内側壁30に沿って案内されながら外方に移動し、外歯38と回動アーム14の内歯54とが噛み合い、回動アーム14のベース部材16に対する回動が規制されたロック状態が維持される。
このようなロック状態において、たとえば衝突事故によりバックシートBに過大な衝撃力が加わった場合、バックシートBから取り付け部36を介して回動アーム14に衝撃力が伝達し、さらに回動アーム14の外歯38と一対の摺動係止部材20の内歯54との噛み合い、一対の摺動係止部材20のカム面40とカム18との係合、さらにカム18に貫通する枢軸24を通じて、ベース部材16に固定されるクッションシートCに荷重が伝達される。このとき、回動アーム14の環状リングの板厚、すなわち外歯38の板厚およびベース部材16の板厚は、このような荷重に耐え得るような強度を有する値に設定していることから、このような衝撃力に係わらず、リクライニング機能を維持することが可能となる。
この場合、回動アーム14には、内部に円形開口52が設けられており、その分、一様な板厚の円形板材をプレス加工していた従来の円形セクタギアに比べ、軽量化を達成することが可能である。一方、環状リングの外周には、バックシートBへの取り付け用の貫通孔63を備えたブラケット部56が周方向に等角度間隔(90°)を隔てて4つ設けられており、その分、重量が増大する。しかしながら、従来の円形セクタギアにおいては、バックシートBへの固定用として突起面が、枢軸24近傍の円周方向に等角度間隔(60°)を隔てて6つ設けられていたが、枢軸24からの距離が長くなる分、負担する荷重を低減することが可能であるから、ブラケット部56の設置数を低減することが可能である。これにより、バックシートBへのブラケット部56についても、従来に比べ重量の低減化を達成することが可能である。
車両後方側に衝撃荷重が負荷される際、サイドフレーム140A,Bには、曲げモーメントとともに、斜張ワイヤー102A,Bに発生する引っ張り力の前後方向成分による圧縮応力が負荷されるところ、サイドフレーム140A,Bの車両下部側においては、曲げモーメントによる圧縮応力とともに斜張ワイヤー102A,Bに起因する圧縮力が重畳されることから、大きな圧縮応力が負荷され、サイドフレーム140A,B中で最も座屈を起こしやくなる。
この点、サイドフレーム140A,Bの前後方向長さが一定であれば、サイドフレーム140A,Bの最小断面二次半径を大きくするほど座屈強さを増大することが可能であるから、サイドフレーム140A,Bの車両下部側の縁部84まわりに、前後方向に亘って延びる閉断面構造を設けることにより、最小断面二次半径を局所的に増大し、以てサイドフレーム140A,B全体の重量化を防止しつつ、座屈強さを増大することが可能となる。
特に、サイドフレーム140A,B全体を補強することなく、サイドフレーム140A,Bの車両下部側の縁部84まわりに限って局所的に補強を行い、その際、従来の略「弓」字形状の全体断面構造を有するサイドフレーム140A,Bの車両下部側の縁部84まわりのコの字開放断面の凹部86をそのまま利用して、単に補強ブラケット88を用意して、コの字開放断面をサイドフレーム140A,Bの前後方向に亘って閉鎖して、閉断面構造化することにより、サイドフレーム140A,Bの重量化を引き起こすことなしに、座屈を有効に防止することが可能となる。
なお、バックシートBのクッションシートCに対するロック状態を解除して、バックシートBを回動させる場合、操作レバー22をコイルスプリング64に抗して回動させることにより、カム18も同様に同方向に回動することから、図19に示すように、カム18の係合部43と摺動係止部材20の突出係合部42との係合状態が解除される。このような状態で、バックシートBを傾動させると、それにより回動アーム14が回動して、内歯54から摺動係止部材20に加わる力によって、摺動係止部材20はそれぞれ、内方に摺動し、摺動係止部材20の係合凹部44とカム18の突出係合部45とが係合するに至る。この状態で、内歯54と外歯38との噛合状態が解除される。これにより、ロック状態が解除されて、バックシートBをクッションシートCに対して所望の角度傾動させることが可能となる。バックシートBを所望の角度傾動させたら、操作レバー22の回動を解除することにより、カム18が逆方向に回動し、それにより摺動係止部材20が再び半径方向外方に摺動して、内歯54と外歯38との噛合状態が復活して、ロック状態に復帰する。
このような構成の車両用シート100のクッションシートフレーム構造によれば、バックシートフレーム構造112に対して負荷される想定衝撃荷重に関し、車両後方側に負荷される衝撃荷重の方が車両前方側に負荷される衝撃荷重より大きく設定されるところ、このような衝撃荷重が連結部を通じてクッションシートフレーム構造104に伝達される際、車両前方側に負荷される衝撃荷重による曲げモーメントに耐えるような一対のサイドフレーム140A,Bの断面係数を設定して、断面形状を決定しておき、車両後方側に衝撃荷重が負荷されるときには、このような衝撃荷重に基づいてクッションシートフレーム構造104に作用する曲げモーメントを軽減するように、斜張ワイヤー102A,Bからクッションシートフレーム構造104に対して引張力が作用するように斜張ワイヤー102A,Bを位置決めすることにより、車両前方側への衝撃荷重と車両後方側への衝撃荷重との差分を斜張ワイヤー102A,Bに負担させることが可能である。
一方、この斜張ワイヤー102A,Bは、外部圧縮力が作用したときにそれに抗しないような特性を有するので、車両前方側に衝撃荷重が負荷されるとき強度部材として機能しないことから、斜張ワイヤー102A,B自体の構造健全性を維持することが可能である。
以上から、従来のように車両後方側への衝撃荷重に対して耐えるように一対のサイドフレーム140A,Bの断面形状を決定することが不要となるので、斜張ワイヤー102A,Bにより必要な強度あるいは剛性を担保しつつ、一対のサイドフレーム140A,Bの重量を低減することが可能となる。
このとき、このような構成の車両用シート100のフレーム構造に対してパッドをあてがうことにより車両用シート100として完成する場合、斜張ワイヤー102A,B自体をパッドの中に埋設させることで、車両用シート100の外観を損なうことが防止される。
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変形が可能である。たとえば、本実施形態においては、クッションシートフレーム構造において、一対のサイドフレーム140A,Bの各側部に、斜張ワイヤーを設ける場合を説明したが、それに限定されることなく、一対のサイドフレーム140A,Bの一方の側部にのみ設けてもよく、また一方の側部には、本実施形態のように、プーリーを介して無端状の斜張ワイヤーを設ける一方、他方の側部には、各端にリングを設けた単一の斜張ワイヤーを設けてもよい。
また、本実施形態においては、自動車用シートを対象に説明したが、それに限定されることなく、鉄道車両、船、飛行機等一般的な車両に対して適用可能である。また、自動車のシートに対して用いる場合、リアシート、フロントシートのいずれにも適用可能である。
本発明者は、斜張ワイヤー102A,Bの引張力に起因する座屈に対して、サイドフレーム140A,Bの閉断面化による効果を検討した。より詳細には、車両用シートのフレーム構造に対して車両後方に向かって衝撃荷重が負荷される際、それに伴い発生する斜張ワイヤー102A,Bの引張力の前後方向成分が、車両の下部側の縁部84まわりでは圧縮応力として負荷されることから、サイドフレーム140A,Bに作用する曲げモーメントによる圧縮応力に重畳して大きな圧縮応力が作用して、サイドフレーム140A,Bの座屈の原因となる。
この点から、本実施形態で説明したような断面構造を有するサイドフレーム140A,Bについて、車両下部側の縁部84まわりを前後方向に亘って閉断面化する場合に、どのような構造が座屈に対して有効であるかを検討した。
座屈に関して、断面が高さ方向に一様な柱をモデルとして、座屈強さとして、以下の式が知られている。
座屈強さ:σ=nπEk/L
ここに、n:端末係数
L:柱の長さ
E:材料の縦弾性係数
k:最小断面2次半径(=√(I/A))
I:最小断面2次モーメント
A:断面積
この式より、柱の長さが一定であれば、最小断面2次半径kが大きいほど座屈強さσは大きくなって、座屈しにくくなり、断面面積が一定であれば、最小断面2次半径kを大きくするためには、最小断面2次モーメントを大きくすればよいことがわかる。
この場合、上述のように、サイドフレーム140A,Bの車両下部側の縁部84まわりに対して局所的に高い圧縮応力が作用することから、サイドフレーム140A,Bの車両下部側の縁部84まわりを一様な柱にモデル化して考える。
ここで、閉断面化する前の断面形状、それにより計算した最小断面2次半径kを表1に示す。
Figure 0005431050
Z軸まわりの断面2次モーメントが449mm、一方Y軸まわりの断面2次モーメントが283mmであるから、2つの断面2次モーメントのうち小さい方として、最小断面2次半径は283mm、よって、最小断面2次半径kは、3.18となる。
これに対して、表1に示すコの字開放断面を厚さ1mm、幅10mmの補強ブラケット88を用いて補強する場合に、どのように補強すれば、重量効率を確保しつつ座屈防止に有効な補強となるかを検討したのが、表2である。
Figure 0005431050
表2の案1および2は、補強ブラケット88をコの字断面を形成する部材に沿って配置し、それによりコの字断面自体は、開放断面が保持されている場合、それに対して案3は、補強ブラケット88をコの字開放断面を閉鎖して閉断面化する場合である。
表2に示すように、案1および2に比べて、閉断面化した案3の方が、最小断面2次半径kが大きいことが示されている。
特に、補強による重量増加を一定とするように補強する場合、Z軸まわりの断面2次モーメントとY軸まわりの断面2次モーメントとの差が小さいほど重量効率が高いところ、Z軸まわりの断面2次モーメントとY軸まわりの断面2次モーメントとが等しい正方形の閉断面が最も有効であることがわかった。
本発明に係る斜張ワイヤーを備えた車両用シートのクッションシートフレーム構造および該構造を有する車両用シートは、たとえば衝突の際に作用する衝撃荷重に対して、斜張ワイヤーの設置に起因する座屈発生を防止しつつ、低コストで軽量化を達成することから、車両に必要とされる燃料の低減、ひいては二酸化炭素排出量の低減に資する点において有用である。
本発明の実施形態に係る車両用シートの斜視図である。 本発明の実施形態に係る車両用シートの側面図である。 図1の線L−Lに沿う断面図である。 図1のA部詳細図である。 本発明の実施形態に係る車両用シートのクッションシートのフレーム構造の側面図である。 本発明の実施形態に係る車両用シートのクッションシートのリフタ機構200の後部リンクおよび後部パイプを示す斜視図である。 図5の線A−Aに沿う断面図である。 図5の線B−Bに沿う断面図である。 図5の線C−Cに沿う断面図である。 本発明の実施形態に係る車両用シートのクッションシートのフレーム構造に設けられる補強ブラケットの斜視図である。 図5の線E−Eに沿う断面図である。 図5の線D−Dに沿う断面図である。 本発明の実施形態に係る車両用シートのリクライナーの概略斜視図である。 本発明の実施形態に係る車両用シートのリクライナーの側面図である。 図13の線F−Fに沿う断面図である。 本発明の実施形態に係る車両用シートのリクライナーの概略分解斜視図である。 本発明の実施形態に係る車両用シートのリクライナーの摺動係止部材の概略斜視図である。 本発明の実施形態に係る車両用シートのリクライナーによるロック状態を示す概略図である。 本発明の実施形態に係る車両用シートのリクライナーによるロック解除状態を示す概略図である。 斜張ワイヤーを設置した車両用シートのクッションシートのフレーム構造に対して、車両後方に向かって衝撃荷重が負荷された場合に、クッションシートのフレーム構造のサイドフレーム140A,Bに生じる応力を分解して示す概略図である。
C クッションシート
B バックシート
D 間隔
10 リクライナー
12 連結シャフト
14 回動アーム
16 ベース部材
18 回動可能なカム
20 摺動係止部材
22 操作レバー
24 枢軸
26 挿通孔
28 一対の開口
30 案内側壁
32 円弧状側壁
34 ベースブラケット
38 外歯
40 カム面
42 突出係合部
44 係合凹部
52 円形開口
54 内歯
58 リッドプレート
62 ホールドピン
64 スプリング
70 スパイラルスプリング
100 車両用シート
102 斜張ワイヤー
104 クッションシートフレーム構造
106 下端部
108 後端部
110 斜張ワイヤー
112 バックシートフレーム構造
114 リクライナー構造部
116 車両用シートフレーム構造部
118 一対のサイドフレーム
120 アッパーフレーム
122 主側面部
124 フラットマット
126 嵌合重なり部
128 プーリー
130 ボルト-ナット機構
132 ボルト
134 ボア
136 ナット
140 一対のサイドフレーム
141 リアフレーム
142 フロントフレーム
144 クッションバネ
146 主側面部
148 フランジ部
200 リフタ機構
202 前部パイプ
204 後部パイプ
206 平行リンク機構
208 前部リンク
210 後部リンク
214 上縁
216 下縁
218 第1貫通穴
220 第2貫通穴
222 環状フランジ
224 環状プッシュプレート
226 スリット

Claims (12)

  1. 車両用シートのクッションシートフレーム構造であって、
    バックシートフレーム構造がクッションシートフレーム構造に対して傾動可能となるように、後端部が該バックシートフレーム構造の下端部に連結されたクッションシートフレーム構造を有し、
    該クッションシートフレーム構造は、それぞれ車両の前後方向に延設する一対のサイドフレームを有し、
    上端が前記一対のサイドフレームの側部で、下端が前記上端より車両の前部側で、前記クッションシートフレーム構造にそれぞれ固定され、かつ車両後方側への荷重が前記クッションシートフレーム構造に負荷されたときに、該荷重に基づいて前記クッションシートフレーム構造に対して作用するモーメントを軽減するように前記クッションシートフレーム構造に対して引張力を作用する一方、外部圧縮力に対して抗しない特性を有する斜張ワイヤーが、該一対のサイドフレームの少なくとも一方の外側部に設けられ、
    該斜張ワイヤーが設けられる前記一対のサイドフレームの少なくとも一方には、車両の下部側の縁部まわりに、車両の前後方向に延び、且つ車両の後部側にすすむほど上下方向の幅が増大するようにテーパ付けられるとともに、上縁および下縁それぞれにフランジが形成された補強ブラケットが設けられる、
    ことを特徴とする車両用シートのクッションシートフレーム構造。
  2. 前記一対のサイドフレームは、車両の下部側の縁部まわりに車両の前後方向全体に亘って延びるコの字断面と、車両の上部側の縁部まわりに車両の前後方向全体に亘って延びるコの字断面とを備えたほぼ弓字形の断面構造を有し、
    前記補強ブラケットは、車両の下部側の該コの字断面構造の開放部を閉鎖して閉断面構造を形成するように設けられる、請求項1に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
  3. 前記一対のサイドフレームは、車両の下部側の縁部まわりに車両の前後方向全体に亘って延びるコの字断面構造を有し、
    前記補強ブラケットは、該コの字断面構造の開放部を閉鎖して閉断面構造を形成するように設けられる、請求項1に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
  4. 前記閉断面構造は、略正方形である、請求項2または3に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
  5. 前記閉断面構造の車両の上下方向の幅は、前記斜張ワイヤーによって生じる曲げモーメントに対する中立軸と車両の下部側の縁部との間隔以下である、請求項2または3に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
  6. 前記閉断面構造の車両の上下方向に対して直交する方向の幅は、車両の上下方向まわりの曲げモーメントに対する前記一対のサイドフレームの必要断面係数により決定する、請求項5に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
  7. 前記クッションシートフレーム構造は、車両用シートを車両の上下方向に移動するためのリフター機構を有し、
    該リフター機構は、前記一対のサイドフレームの前部同士を連結し、車両の前後方向に直交する幅方向に延びる前部パイプと、前記一対のサイドフレームの後部同士を連結し、車両の幅方向に延びる後部パイプとを有し、該前部パイプは、前記一対のサイドフレームの前部それぞれに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支される一方、該後部パイプは、前記一対のサイドフレームの後部それぞれに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支され、
    さらに、前記車両の下面とクッションシートとを連結する平行リンク機構を有し、
    該平行リンク機構は、それぞれ、一端が車両の下面に対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支され、他端が前記前部パイプに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支された一対の前部リンクと、それぞれ、一端が車両の下面に対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支され、他端が前記後部パイプに対して車両の幅方向を中心として回動可能に枢支された一対の後部リンクとを有し、
    前記一対のサイドフレームは、前記後部パイプが貫通する第1貫通穴を有し、
    前記補強ブラケットは、前記後部パイプが貫通する第2貫通穴を有し、該第2貫通穴が該第1貫通穴と整列するように、対応する前記サイドフレームの内面に設けられ、該第2貫通穴が設けられる車両の前後方向位置において、上下方向に最大幅を有する、請求項2または3に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
  8. 前記一対のサイドフレームの各側部に前記斜張ワイヤーが設けられる、請求項1に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
  9. 前記斜張ワイヤーは、金属製ワイヤーからなる、請求項1に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
  10. 前記斜張ワイヤーは、CFRP製ワイヤーからなる、請求項1に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
  11. 前記斜張ワイヤーの前記下端とバックシートの回転中心とを結ぶ線と、前記斜張ワイヤーの前記上端と前記バックシートの回転中心とを結ぶ線とが直交するように、前記斜張ワイヤーを設ける、請求項1に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
  12. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の前記車両用シートのクッションシートフレーム構造全体を覆うように設けられたパッドと、前記車両用シートのクッションシートフレーム構造および該パッド全体を覆うように設けられた袋状の表皮とを有することを特徴とする車両用シート。
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