JP5426828B2 - アリピプラゾールの塩 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なアリピプラゾールの酸付加塩、前記新規酸付加塩の調製方法、および遊離塩基の形態または薬学的に許容できる塩の形態におけるアリピプラゾールを調製するためのこれら酸付加塩の使用に関する。
化合物7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]ブトキシ}−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノンおよびこの薬学的に許容できる塩は、統合失調症などの精神障害の治療において有用な、国際一般名称(INN)アリピプラゾールとして知られている(例えばメルクインデックス(MerckIndex)、第13版、項目番号791を参照)。
アリピプラゾールまたはこの薬学的に許容できる塩の調製方法は、例えばEP−A−367141に開示されており、この方法は、式II:
Figure 0005426828
で表されるカルボスチリル化合物と、式III:
Figure 0005426828
(式中、XおよびZは同一であるかまたは異なり、各々、ハロゲン原子、または置換反応を受けるのに適したハロゲン基と類似の基を示す。)
の化合物との反応を含み、この結果、式IV:
Figure 0005426828
のカルボスチリル誘導体が得られ、
次いで、このカルボスチル誘導体は、更に式V:
Figure 0005426828
のピペラジン化合物と反応させられ、式VI:
Figure 0005426828
のアリピプラゾールが生じる。
式IIの化合物と式IIIの化合物との反応は、純粋な化合物IVを生成しないが、これは望ましい主反応以外の置換反応から生成するかなりの量の副生成物のためである。特に、式VII:
Figure 0005426828
の二量体不純物の生成が、かなりの量で通常観測され得る。式VIIの二量体不純物を望ましい最終生成物アリピプラゾールから、または式IVの中間化合物から除去することは、困難である。例えば、式IVの化合物の精製は、EP−A−367141に開示されているが、時間がかかり高価で、従って工業的規模における適用が困難であるとして既知の、シリカゲル上でのクロマトグラフィーを用いている。従って、アリピプラゾールを調製でき、式VIIの化合物などの不純物からより容易に精製できる、改善された方法が必要である。
従って、本発明は、アリピプラゾールまたはこの薬学的に許容できる塩を、アリピプラゾールの酸付加塩を介して高収率および高純度で調製するための方法を提供する。本発明の方法は、容易に適用することができ、および、例えば工業的規模に容易にスケールアップすることができる。
本発明は、1つの態様において、アリピプラゾールまたはこの薬学的に許容できる塩の製造方法を提供し、該方法は、アリピプラゾールの酸付加塩またはこの溶媒和物を調製し単離する段階、および得られた酸付加塩またはこの溶媒和物を遊離型におけるアリピプラゾールに転換する段階を含む。場合により、遊離型におけるアリピプラゾールは、アリピプラゾールの薬学的に許容できる塩に転換され得る。
アリピプラゾールの薬学的に許容できる塩は、アリピプラゾールのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはマグネシウム塩)などの、EP−A−367141において言及されたこれらの塩を含む。
適したアリピプラゾールの酸付加塩は、例えば以下に定義されるような式Iの酸付加塩などの、以下に定義されるような式VIIIの酸付加塩である。
本発明によるアリピプラゾールの製造方法は、
a)式II:
Figure 0005426828
の化合物を式III:
Figure 0005426828
(式中、XおよびZは、同一であるかまたは異なり、各々、ハロゲン原子、または低級アルカンスルホニルオキシ基(例えば、(C1−4)アルカンスルホニルオキシ基)、アリールスルホキシ基またはアラルキルスルホニルオキシ基などの、置換反応を受けるのに適したハロゲン置換基に類似した基を示す。)
の化合物と反応させて、式IV:
Figure 0005426828
(式中、Xは、式III中と類似した基を示す。)
の化合物を得る段階、
b)段階a)から得られた式IVの化合物を式V:
Figure 0005426828
の化合物と反応させて、式VI:
Figure 0005426828
の化合物を得る段階、
c)段階b)において得られた式VIの化合物を、式VIII:
Figure 0005426828
(式中、Acは、有機酸または無機酸である。)
の酸付加塩またはこの溶媒和物の形態において単離する段階、および
d)段階c)から得られた式VIIIの酸付加塩を式VIの化合物に転換して、薬学的に許容できるアリピプラゾールの塩に場合により更に転換され得る、遊離型におけるアリピプラゾールを単離する段階、
を含むことができる。
本明細書において別に示していなければ、いずれのアルキル基も、例えば低級アルキルなどの(C1−8)アルキル(C(1−6)アルキルなど)を含む。低級アルキルまたは低級アルカンは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルまたはブチルなどの、各々(C1−4)アルキルまたは(C1−4)アルカンを含む。同様に、低級アルカノールは、エタノール、イソプロパノールまたはtert−ブタノールなどの(C1−4)アルカノールを含む。ハロゲンは、フルオロ基、ブロモ基、クロロ基およびヨード基、好ましくはブロモ基またはクロロ基、より好ましくはクロロ基を含む。いずれのアリールも、例えばフェニルまたはナフチルなどの置換されているまたは置換されていない(C6−18)アリールを含む。アラルキルは、上記に定義したアルキル基に連結した、上記に定義したアリール基を含む。
段階a)、即ち式IIの化合物と式IIIの化合物との反応は、当分野で公知の方法に従って、例えばこのような反応の形式として公知の条件下で(例えば、EP−A−367141に記載されているように)実施することができる。
反応段階b)、即ち式IVの化合物と式Vの化合物とのアルキル化反応は、例えばEP−A−367141またはEP−A−226441に開示されているような当分野で公知の方法に従って同様に実施することができる。しかしながら、好ましくは、式IVの化合物は前精製なしで式Vの化合物と反応させる。例えば段階b)のアルキル化方法は、無水条件下、塩基、例えば三級もしくは二級アミン、またはアルカリもしくはアルカリ土類の炭酸塩もしくは炭酸水素塩(例えば、炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウム、または炭酸水素ナトリウムもしくは炭酸水素カリウム)の存在下で行うことができる。アルキル化はまた、プロトン性溶媒(例えば、水または低級アルカノール)の存在下、アルカリ炭酸塩またはアルカリ土類炭酸塩の存在下で好都合に実施される。好ましい実施形態において、式IVの化合物中のXは臭素、ヨウ素または塩素を表す。例えば塩素または臭素などのヨウ素とは異なるハロゲンをXが表す式IVの化合物に、ヨウ素源(例えば、NaIまたはヨウ化四級アンモニウム)を添加することによって、ヨウ素は、式IVの化合物中に導入され得る。
段階b)から得られる式VIの化合物は、段階c)を行う前に段階b)の反応混合物から単離されるか、または好ましくは単離されない。例えば、段階b)において得られる式VIの化合物は、以下に定義されるように、水性反応混合物から不活性有機溶媒中に抽出することができ、段階c)の塩形成は、下記段階c)で記述されるように行われる。
段階b)の反応混合物からの式VIの化合物の場合による単離は、例えばろ過によるなどの公知の方法に従って実施され得る。
段階c)における式Iの酸付加塩の調製は、不活性溶媒中で段階b)から得られる式VIの化合物の懸濁液または溶液に適した無機酸または有機酸を添加することにより実施することができる。適した無機酸または有機酸は、アリピプラゾールと酸付加塩を形成することができ、アリピプラゾール分子の他の部分と反応しない酸である。特に、適した酸は、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フマル酸、硫酸、シュウ酸、フェニルホスホン酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、メシチレンスルホン酸、安息香酸およびテトラフルオロホウ酸を含む。好ましくは、Acは、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、メシチレンスルホン酸、シュウ酸、メシチレンスルホン酸、テトラフルオロホウ酸、リン酸またはフェニルホスホン酸を表す。1つのより好ましい実施形態において、Acは、シュウ酸を示す。もう1つのより好ましい実施形態において、Acは、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、メシチレンスルホン酸、テトラフルオロホウ酸またはフェニルホスホン酸を示す。
適した不活性溶媒は、低級アルカノール、エステル、ニトリル(例えば、アセトニトリルなどの(C2−4)アルキルニトリル)、ハロゲン化溶媒、ケトンもしくはエーテル、またはこれらの混合物を含む。低級アルカノールは、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたはブタノールなどの(C1−4)アルカノールを含む。エステルは、例えば酢酸(C1−4)アルキルエステル(酢酸エチルまたは酢酸n−ブチルなど)などの(C1−4)アルカン酸(C1−4)アルキルエステルを含む。ハロゲン化炭化水素は、例えばジクロロメタンなどの塩素化アルカンを含む。エーテルは、環状および非環状エーテルを含む。非環状エーテルは、例えば(C1−4)アルキル−(C1−4)アルキルエーテル(ジエチルエーテルなど)などの対称または非対称の低級アルキル−低級アルキルエーテルである一方、環状エーテルは、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたはトリオキサンなどの5員から6員の(C3−5)シクロアルキルエーテルまたは(C3−5)シクロアルケニルエーテルを含む。
塩形成過程におけるアリピプラゾールの量と対応する酸の量との比は、重大でない。対応する酸のアリピプラゾールに対するモル比は、対応する酸の、例えば1から3(例えば1から2、例えば1.1から2)モル等量であり得る。塩形成反応の間の反応温度は重大ではないが、反応条件下で用いられる溶媒の沸点未満であるべきである。塩形成は、例えば0℃から50℃(例えば、室温)などの−50℃から100℃で行うことができる。酸付加塩は、従来の方法(例えば、ろ過による)において単離され得、次いで従来の方法(真空乾燥など)で乾燥される。
式VIIIのアリピプラゾールの酸付加塩は、単離された式VIの化合物から、または式VIの化合物と式IVの化合物および式Vの化合物との反応混合物から調製することができる。
遊離型における式VIのアリピプラゾールへの、アリピプラゾールの酸付加塩またはこの溶媒和物の転換から成る段階d)は、段階c)から得られる式VIIIの酸付加塩を適切な溶媒中に溶解または懸濁することにより実施することができる。適切な溶媒は、熟練者により日常的試験において特定され得、この適切な溶媒は、水、水とプロトン性溶媒(例えば、低級アルカノール)との混合物、または水と混合できないもしくは水に部分的にだけ溶解する有機溶媒(例えば、ジクロロメタン)、特に極性有機溶媒(例えば、N,N−ジメチルアセトアミドもしくはN,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド、または例えばジメチルスルホキシドもしくはスルホラン)を含む。
次いで、pH値は、塩基の添加により、塩基性pH値(例えば、反応条件下で測定して、遊離塩基形態における式VIの化合物のpKs値に対応するpH値を超えるpH値)に、例えばpH7.0を超える(pH7.5を超えるなど)pH値に、特にpH8からpH13までのpH(約pH9など)に調節される。適した塩基は、例えば三級アミン(例えば、トリ(低級アルキル)アミン)、水酸化アルカリ金属または水酸化アルカリ土類金属(例えば、NaOHまたはKOH)、または炭酸アルカリ金属または炭酸アルカリ土類金属(例えば、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム)であってよい。
pH値を塩基性pH値に調節した後、i)場合により溶媒和物(例えば、水和物)の形態におけるアリピプラゾールを沈殿させ、例えば従来の方法(ろ過など)で単離してよい、またはii)逆溶媒を反応混合物に加えて、遊離型または溶媒和物の形態におけるアリピプラゾールの結晶化を完了または誘発し、続いて従来の方法(例えば、ろ過)で単離してよい、またはiii)遊離型における式VIの化合物を抽出するために、有機抽出溶媒を加えて、反応条件下で分離相を形成してよい。適した有機抽出溶媒は、例えばハロゲン化低級アルカン(例えば、ジクロロメタン)などのハロゲン化炭化水素、(C1−4)アルカン酸(C1−8)アルキルエステル(例えば、酢酸エチル)などのエステル、または(C5−8)ケトン(例えば、メチルイソブチルケトン)などのケトン、またはこれらの溶媒の混合物を含む。次いで、好ましくは二相分離後に、沈殿を開始させ促進させて、その後例えば沈殿物をろ過するために、例えば逆溶媒を添加し、有機溶媒を溜去および/または冷却して温度を下げるなどの従来の方法において、アリピプラゾールは、有機抽出溶媒からまたは有機抽出溶媒混合物から沈殿させ、単離され得る。抽出溶媒は、pH値を塩基性pH値に調節する段階の間に既に存在し得る。
アリピプラゾールの単離段階において適した逆溶媒は、式VIの化合物が溶解している溶媒中における、式VIの化合物の遊離型の溶解度を低下させる溶媒である。適した逆溶媒は、熟練者により日常的試験により特定され得、この適した逆溶媒は、例えば低級アルカノール(例えば、メタノールまたはエタノール)、ニトリル(例えば、アセトニトリル)、エーテル(例えば、メチル−tertブチルエーテル)、例えば(C3−8)ケトン(アセトンまたはメチルイソブチルケトンなど)などのケトン、または例えば(C1−4)アルカン酸(C1−4)アルキルエステル(酢酸エチルなど)などのエステルを含み、場合により水が存在する。
本発明の1つの方法において、アリピプラゾールは、遊離(例えば、溶媒和していないなどの)型で、またはアリピプラゾールが溶媒和物を形成する溶媒が、沈殿操作の間に存在している場合に、溶媒和の形態において沈殿し得る。例えばアリピプラゾールは、メタノールまたはエタノールの存在下、段階d)の上で言及された別法の1つで沈殿させられる場合、アリピプラゾールは、通常、各々メタノールまたはエタノールとの溶媒和物の形態において単離され得る。例えば、水から、場合により有機溶媒(例えば、エタノールなどの、例えばアルコール)の存在下、例えば約80%(v/v EtOH/HO)水などから、アリピプラゾールを沈殿させる場合、水和物の形態におけるアリピプラゾールが得られる。アリピプラゾールの水和物は、公知の方法によりアリピプラゾールの他の形態に転換され得る。
例えばアリピプラゾールを、イソプロパノールの存在下、段階d)の上で言及された別法の1つにおいて沈殿させる場合、アリピプラゾールの型Xが得られる。アリピプラゾールの型Xは、10.0、11.6、15.7、16.3、18.5、20.4、21.8、22.2および23.3°Θにピークを有するX線粉末回折図により特徴付けられる。上述の方法の1つの好ましい実施形態において、遊離型において単離されるアリピプラゾールは、適切な種結晶を用いることにより結晶型(例えば、型X)に関して実質的に純粋でありおよび式VIIの化合物を0.1%未満、好ましくは0.05%(w/w)未満含む、アリピプラゾールである。本方法に従って、型Xアリピプラゾールは、他の結晶型または多形型を5%未満、好ましくは1%含む純粋な結晶型である。
場合により、本発明の方法から得られるような遊離型における式VIのアリピプラゾールは、公知の方法に従って、例えばEP−A−367141の教示に従ってアリピプラゾールの薬学的に許容できる塩に転換される。
本発明に従う方法により調製される、遊離型または薬学的に許容できる塩の形態におけるアリピプラゾールは、高純度で、特に上記で定義した式VIIの二量体不純物などの不純物の低濃度で単離され得る。従って本発明の方法は、上記で定義されるような式VIIの化合物の0.1%(w/w)未満、例えば0.02%から0.05%(w/w)、例えば0.05%(w/w)未満で、遊離型におけるまたは薬学的に許容できる塩の形態におけるアリピプラゾールを生成することができる。遊離型におけるまたは薬学的に許容される塩の形態におけるアリピプラゾール中の式VIIの化合物の含有量は、HPLCによって測定することができる。
アリピプラゾールの調製における式VIIIの酸付加塩の調製による本発明の方法の更なる利点は、例えば式IIの化合物と式IIIの化合物との反応から得られる式IVの粗製化合物が、クロマトグラフィーなどの事前の精製段階なしで式Vの化合物と反応することができることである。
本発明のアリピプラゾールの精製過程において用いられ得る酸付加塩のいくつかは、新規である。
従って本発明は、更なる態様において、式I:
Figure 0005426828
(式中、Adは、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、シュウ酸、メシチレンスルホン酸、テトラフルオロホウ酸、リン酸またはフェニルホスホン酸を表す。)
の酸付加塩またはこの溶媒和物に関する。酸付加塩は、非晶質型または結晶型で、例えば結晶型で存在してよい。溶媒和物は、有機化合物(例えば、下記で述べるような酸付加塩の形成に対して用いられる不活性溶媒)との溶媒和物、並びに水和物を含む。1つの好ましい実施形態において、Adは、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、メシチレンスルホン酸、テトラフルオロホウ酸またはフェニルホスホン酸を示す。もう1つの好ましい実施形態において、Adはシュウ酸を示す。
前記で定義した式Iの酸付加塩は、アリピプラゾールと対応する酸とを結合させることにより、例えば対応する酸を不活性溶媒中のアリピプラゾールの溶液または懸濁液に添加することにより、または不活性溶媒中のアリピプラゾールの溶液または懸濁液を対応する酸に添加することにより調製され得る。
従って、本発明は、1つの更なる態様において、アリピプラゾールを、式I中でAdと定義されるような酸と不活性溶媒中で反応させることにより、上記で定義されるような式Iの酸付加塩またはこの溶媒和物を調製するための方法を提供する。
塩形成過程における、アリピプラゾールと対応する酸との用量の比は、重大でない。対応する酸のアリピプラゾールに対するモル比は、対応する酸の、例えば1対3(例えば1対2、例えば1.1対2)モル等量であってよい。
塩形成過程のための適した不活性溶媒は、低級アルカノール、エステル、例えば(C2−4)アルキルニトリル(アセトニトリルなど)などのニトリル、ハロゲン化溶媒、ケトンもしくはエーテル、またはこれらの混合物である。低級アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたはブタノールなどの(C1−4)アルカノールを含む。エステルは、例えば酢酸(C1−4)アルキルエステル(酢酸エチルまたは酢酸n−ブチルなど)などの(C1−4)アルカン酸(C1−4)アルキルエステルを含む。ハロゲン化炭化水素は、ジクロロメタンなどの塩素化アルカンを含む。エーテルは、環状および非環状エーテルを含む。非環状エーテルが、例えば(C1−4)アルキル−(C1−4)アルキルエーテル(ジエチルエーテルなど)などの対称または非対称の低級アルキル−低級アルキルエーテルである一方、環状エーテルは、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたはトリオキサンなどの5員から6員の(C3−5)シクロアルキルエーテルまたは(C3−5)シクロアルケニルエーテルを含む。
塩形成反応の間の反応温度は重大でないが、反応条件下で用いられる溶媒の沸点未満であるべきである。塩形成は、例えば0℃から50℃(例えば、室温)などの−50℃から100℃で行うことができる。酸付加塩は、従来の方法(例えばろ過による)において単離され得、次に、真空乾燥などの従来の方法によって乾燥される。
本発明による新規なアリピプラゾールの酸付加塩は、効果的な方法にて、十分な純度で、即ち不純物、特に上記で定義した式VIの二量体不純物化合物の低濃度でアリピプラゾールを調製することを可能にする。
本発明の方法および式Iの新規な酸付加塩はまた、上記のような式IVの化合物を介するなどの他の製造方法から得ることができたアリピプラゾールの精製に用いることもできる。従って本発明は、もう1つの態様において、上記で定義した式VIIIの(例えば、上記で定義した式Iの)酸付加塩を調製すること、酸付加塩を単離すること、およびその塩を遊離型におけるアリピプラゾールに転換することによるアリピプラゾールの精製方法を提供する。
上記に示したように、式VIIIの酸付加塩、特に式Iの酸付加塩は、アリピプラゾールの調製および精製に有用である。従って、1つの更なる態様において本発明は、例えば遊離型におけるアリピプラゾールを精製することによる、特に遊離型におけるアリピプラゾールを式VIIの化合物などの不純物から除去することによる、アリピプラゾールの調製における式VIIIの酸付加塩(例えば、式Iの酸付加塩)の使用に関する。
以下の実施例は、本発明を例示するものであるが、決して本発明を限定することを意図するものではない。温度は、すべて摂氏温度で示され、修正されていない。
略語:
APZ =アリピプラゾール
Mp =融点
DCP =ジクロロフェニルピペラジン
BrDCS =7−(4−ブロモメトキシ)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン
ClDCS =7−(4−クロロメトキシ)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン
THF =テトラヒドロフラン
DMAC =N,N−ジメチルアセトアミド
DIPA =ジイソプロピルアミン
MED =ジクロロメタン
アリピプラゾール・シュウ酸塩
APZ1.00gのTHF25ml中の溶液に、シュウ酸0.20gのTHF0.5ml中の溶液を加える。25℃で1分間撹拌後、結晶化が開始する。懸濁液を25℃で1時間撹拌し、次に撹拌を氷浴中で1時間続ける。次いで、得られた生成物をろ過により単離する。生成物をTHF10mlで洗浄し、乾燥を真空中50℃で15時間行う。
収量: 1.05g 結晶粉末
Mp: 195から−202℃
アリピプラゾール: 81.3%
シュウ酸: 15.8%
THF: 1.7%
アリピプラゾール・シュウ酸塩
APZ1.00gの塩化メチレン25ml中の溶液に、シュウ酸0.20gのエタノール0.5ml中の溶液を加える。25℃で2分間撹拌後、結晶化が開始する。懸濁液を25℃で1時間撹拌し、次に撹拌を氷浴中で1時間続ける。次いで、生成物をろ過により単離する。生成物を塩化メチレン10mlで洗浄し、乾燥を真空中50℃で15時間行う。
収量: 1.00g 結晶粉末
Mp: 202℃
アリピプラゾール: 80.7%
シュウ酸: 15.1%
MED: 4.1%
エタノール: 0.3%
アリピプラゾール・メシチレンスルホン酸塩
APZ1.00gのTHF25ml中の溶液に、メシチレンスルホン酸脱水物0.39gのTHF0.5ml中の溶液を加える。形成された懸濁液を25℃で1時間撹拌し、次に撹拌を氷浴中で1時間続ける。次いで、生成物をろ過により単離する。生成物をTHF10mlで洗浄し、乾燥を真空中60℃で15時間行う。
収量: 0.90g 結晶粉末
Mp: 216℃
アリピプラゾール: 68.7%
メシチレンスルホン酸: 29.7%
アリピプラゾール・メシチレンスルホン酸塩
APZ1.00gの塩化メチレン25ml中の溶液に、メシチレンスルホン酸脱水物0.39gの溶液を加える。形成された懸濁液を25℃で1時間撹拌し、次に撹拌を氷浴中で1時間続ける。次いで、生成物をろ過により単離する。生成物を塩化メチレン10mlで洗浄し、乾燥を真空中60℃で15時間行う。
収量: 1.090g 結晶粉末
Mp: 216℃
アリピプラゾール: 69.1%
メシチレンスルホン酸: 31.1%
アリピプラゾール・トルエンスルホン酸塩
APZ1.00gのTHF25ml中の溶液に、p−トルエンスルホン酸一水和物0.28gのTHF0.5ml中の溶液を加える。形成された懸濁液を25℃で1時間撹拌し、次に撹拌を氷浴中で1時間続ける。次いで、生成物をろ過により単離する。生成物を、THF10mlで洗浄し、乾燥を真空中60℃で15時間行う。
収量: 0.90g 結晶粉末
Mp: 158℃
アリピプラゾール: 72.9%
トルエンスルホン酸: 27.4%
アリピプラゾール・リン酸塩
APZ1.00gの塩化メチレン25ml中の溶液を35℃に加温し、次に85%リン酸0.44gを滴下して加える。形成された懸濁液を35℃で1時間撹拌し、次に撹拌を25℃で1、2時間続ける。その後、生成物をろ過により単離する。生成物を塩化メチレン10mlで洗浄し、乾燥を真空中60℃で15時間行う。
収量: 1.39g 結晶粉末
Mp: 176℃
アリピプラゾール: 65.2%
アリピプラゾール・リン酸塩
APZ1.00gの塩化メチレン25ml中の溶液を35℃に加温し、次にリン酸(85%)0.44gのメタノール1ml中の溶液を滴下して加える。形成された懸濁液を25℃で1時間撹拌し、次に撹拌を0℃で2時間続ける。次いで、生成物をろ過により単離する。生成物を塩化メチレン10mlで洗浄し、乾燥を真空中60℃で15時間行う。
収量: 1.28g 結晶粉末
Mp: 179℃
アリピプラゾール: 70.3%
アリピプラゾール・ヨウ化水素酸塩
APZ1.00gのTHF25ml中の溶液に、ヨウ化水素酸(58%)0.76gの溶液を加える。形成された懸濁液を25℃で1時間撹拌し、次に撹拌を氷浴中で1時間続ける。次いで、生成物をろ過により単離する。生成物をTHF10mlで洗浄し、乾燥を真空中60℃で15時間行う。
収量: 0.94g 結晶粉末
Mp: 224℃
アリピプラゾール: 74.8%
ヨウ化水素酸: 25.0%
アリピプラゾール・テトラフルオロホウ酸塩
APZ1.00gのTHF25ml中の溶液に、テトラフルオロホウ酸0.29gの溶液を加える。形成された懸濁液を25℃で1時間撹拌し、次に撹拌を氷浴中で1時間続ける。次いで、生成物をろ過により単離する。生成物をTHF10mlで洗浄し、乾燥を真空中60℃で15時間行う。
収量: 0.81g 結晶粉末
Mp: 190℃
アリピプラゾール: 72.6%
アリピプラゾール・フェニルホスホン酸塩
APZ1.00gの塩化メチレン25ml中の溶液に、フェニルホスホン酸0.70gの溶液を加える。形成された懸濁液を25℃で1時間撹拌し、次に撹拌を氷浴中で1時間続ける。次いで、生成物をろ過により単離する。生成物をTHF10mlで洗浄し、乾燥を真空中60℃で15時間行う。
収量: 1.37g 結晶粉末
Mp: 180℃
アリピプラゾール: 58.3%
フェニルホスホン酸: 39.9%
アリピプラゾール・臭化水素酸塩
APZ1.00gのTHF25ml中の溶液に、臭化水素酸(酢酸中33%)1.09gを加える。形成された懸濁液を25℃で1時間撹拌し、次に撹拌を氷浴中で1時間続ける。次いで、生成物をろ過により単離する。生成物をTHF10mlで洗浄し、乾燥を真空中60℃で15時間行う。
収量: 1.17g 結晶粉末
Mp: 233℃
アリピプラゾール: 76.1%
アリピプラゾール・シュウ酸塩
粗BrDCS(調製はUS5,006,528に記載の手順に従うが、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いずに調製)10.00g、ジクロロフェニルピペラジン(DCP)7.00gおよびジイソプロピルアミン3.49gの混合物を85℃に加温する。この温度で4時間撹拌後、反応混合物を室温まで冷却し、メチレンクロライド320mlと水125mlとの混合物で希釈する。相分離後、生成物を含む塩化メチレン層に水を加え、1M硫酸を加えることによりpHを6.0に調節する。5分撹拌後、相を分離し、有機相をpH6.0の水125mlでもう一度洗浄した。次に水125mlを加え、1M水酸化ナトリウムを加えることによりpHを9.0に調節する。層分離後に有機層を炭酸ナトリウムで乾燥する。乾燥した塩化メチレン層を塩化メチレン320mlで希釈し、35℃に加温する。この温度で撹拌しながら、シュウ酸7.46gのエタノール10.5ml中の溶液を15分以内で加える。得られた懸濁液を約20℃で約1時間、その後約0℃で1時間撹拌する。
得られた生成物アリピプラゾール・シュウ酸塩をろ過により単離し、塩化メチレン100mlで洗浄し、真空中50℃で15時間乾燥する。
収量:15.15g
アリピプラゾール・シュウ酸塩の調製
DMAC30ml、DCP7.00gおよびDIPA3.49gの混合物を、約85℃に加熱する。この濁った溶液にBrDCS10gを加える。反応混合物を約85℃に4時間保つ。反応混合物を室温まで冷却し、MED320mlと水125mlとの混合物に加える。次に、この混合物を約15分間撹拌する。層を分離し、有機層を、1M硫酸でpHを注意深く6.0に調節しながら各々水125mlで3回洗浄する。有機層に水125mlを加え、pHを1M水酸化ナトリウム溶液でpH9に調整する。層を分離し、有機層をろ過し、次に炭酸ナトリウム10gで乾燥する。懸濁液をろ過し、ろ過ケーキをMED40mlで洗浄する。ろ液を4℃付近で15時間保存し、ろ過し、MED420gで希釈する。溶液を35℃に加熱し、アリピプラゾール・シュウ酸塩の種結晶を加え、次いでシュウ酸4.83gのエタノール7ml中の溶液を約10分以内で加える。懸濁液を4時間撹拌し、次にアリピプラゾール・シュウ酸塩をろ過により単離し、MED200mlで洗浄し、真空中60℃で15時間乾燥する。
収量:11.1g
アリピプラゾール・シュウ酸塩からのアリピプラゾールの調製
アリピプラゾール・シュウ酸塩10gを、MED465mlと水235mlとの混合物中に懸濁させる。懸濁液のpHを、炭酸ナトリウム4.65gでpH9.0に調節する。溶液が得られる。層を分離し、有機層を水235mlで洗浄する。有機層を炭酸ナトリウム10gで乾燥する。懸濁液をろ過し、ろ液をMED約30mlで洗浄する。溶液をロータリーエバポレーター(浴温50℃)で真空中約35gまで濃縮する。残渣にエタノール200mlを加え、懸濁液を約85℃に加熱する。この溶液にアリピプラゾールの種結晶を加え、懸濁液を室温まで放冷する。懸濁液を室温で2時間撹拌し、次に約4℃で15時間保存する。得られたアリピプラゾールの結晶をろ過により単離し、エタノール150mlで洗浄し、真空中60℃で4時間乾燥する。
収量:7.05g
上記で定義されるような式VIIの二量体の含有量:<0.05%(HPLC);
単独の他の不純物:<0.05%
アリピプラゾール・シュウ酸塩からのアリピプラゾールの調製
シュウ酸を33.5%含むアリピプラゾール・シュウ酸塩10gをイソプロパノール300mlに懸濁し、撹拌しながら50℃に加熱する。1,1,3,3−テトラメチルグアニジン9.8ml(2.1当量)を滴下漏斗を通して10分間で加える。透明な溶液が塩基添加の終了時に得られる。X形アリピプラゾールの種結晶0.2gを加え、50℃で1時間撹拌後、混合物を1時間で0℃まで冷却する。1時間撹拌後、懸濁液を50℃に再加熱し、この温度で1時間または2時間撹拌し、次に再び0℃に冷却する。0℃で1時間撹拌後、白色結晶沈殿をろ過し、ろ過ケーキをイソプロパノール約10mLで2回洗浄し、湿潤生成物を真空中、室温で一晩または60℃で3時間乾燥し、X形アリピプラゾール5.98g(95.5%)を生成する。
アリピプラゾール・シュウ酸塩からのアリピプラゾールの調製
1,1,3,3−テトラメチルグアニジンを用いる代わりに、11.7mlの1,8−ジアザ−7−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン(DBU、2.1当量)を塩基として用いて、実施例15を繰り返す。収量は、アリピプラゾールの型X5.95g(95.1%)である。
アリピプラゾール・シュウ酸塩からのアリピプラゾールの調製
a)
シュウ酸を33.5%含むアリピプラゾール・シュウ酸塩20gを、80%(v/vHO)エタノール300ml中に懸濁させ、撹拌しながら70℃に加熱する。トリエチルアミン24.2ml(2.1当量)を滴下漏斗を通して3分間で加える。透明な溶液が塩基添加の終了時に得られる。混合物を1時間で0℃まで冷却し、0℃で1時間撹拌する。白色結晶沈殿をろ過し、ろ過ケーキを80%エタノール約10mLで2回洗浄し、湿潤生成物を真空中、50℃で2時間乾燥し、アリピプラゾール(水和物の形態)12.63gを生成する。
b)
アリピプラゾール水和物5gをイソプロパノール55mlから、型Xの種結晶を用いて再結晶する。型Xアリピプラゾール4.5g(93.6%)が得られる。
上記で定義されるような式VIIの二量体化合物の含有量:<0.05%(HPLC);
単独の他の不純物:<0.05%

Claims (7)

  1. アリピプラゾールまたは薬学的に許容できるこの塩の製造方法であり、
    アリピプラゾールのシュウ酸付加塩またはこの溶媒和物を調製し単離する段階、
    シュウ酸付加塩またはこの溶媒和物を遊離型のアリピプラゾールに転換し、0.1%(W/W)未満の式VIIの化合物を有して単離する段階、
    Figure 0005426828
    および遊離型のアリピプラゾールをアリピプラゾールの薬学的に許容できる塩に場合により転換する段階を含む、前記方法。
  2. a)式II:
    Figure 0005426828
    の化合物を式III:
    Figure 0005426828
    (式中、XおよびZは、同一であるかまたは異なり、各々、ハロゲン原子、または置換反応を受けるのに適したハロゲン基に類似した基を示す。)
    の化合物と反応させて、式IV:
    Figure 0005426828
    (式中、Xは式III中と類似した基を示す。)
    の化合物を得る段階、
    b)段階a)から得られた式IVの化合物を式V:
    Figure 0005426828
    の化合物を反応させて、式VI:
    Figure 0005426828
    の化合物を得る段階、
    c)段階b)で得られた式VIの化合物を、式VIII:
    Figure 0005426828
    (式中、Acは、シュウ酸である。)
    の酸付加塩の形態またはこの溶媒和物の形態で単離する段階、および
    d)段階c)において得られた式VIIIの酸付加塩を式VIの化合物に転換して、0.1%(W/W)未満の式VIIの化合物を有して遊離型のアリピプラゾールを単離し、薬学的に許容できるアリピプラゾールの塩に場合により更に転換する段階、
    Figure 0005426828
    を含む、アリピプラゾールまたはこの薬学的に許容できる塩の製造方法。
  3. 式IVの化合物と式Vの化合物とを反応させる前に、式IVの化合物のいかなる精製段階も含まない、請求項2に記載の方法。
  4. 遊離型のアリピプラゾールが、0.05%(W/W)未満の式VIIの化合物を有して単離される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 請求項2で定義される式VIIIの酸付加塩を調製すること、前記酸付加塩を単離すること、および前記酸付加塩を遊離型のアリピプラゾールに転換することによる、アリピプラゾールの精製方法。
  6. 遊離型において単離されるアリピプラゾールが、適切な種結晶を用いることにより結晶型に関して実質的に純粋であり、および式VIIの化合物を0.1%未満含むアリピプラゾールである、請求項5に記載の方法。
  7. 請求項1に記載のアリピプラゾールの製造方法における、請求項2で定義された式VIIIの酸付加塩の使用。
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