次に、本発明の実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。なお、本実施形態では電動車両として電気自動車を用いて説明する。
(電気自動車)
図1は電気自動車の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、電気自動車10は、駆動モータ12と、駆動モータ12に連結されたギヤボックス(G/B)13と、ギヤボックス13に連結された駆動軸を介して設けられた左右の駆動輪14,14と、を備えている。また、駆動モータ12は、電気自動車10の減速時に駆動輪14,14から駆動モータ12側に駆動力が伝達されると、発電機として機能する所謂回生制動力を発生し、車体の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収可能に構成されている。
駆動モータ12は、例えばDCブラシレスモータなどで構成され、この駆動モータ12の駆動および発電を制御するPDU(パワードライブユニット)15に接続されている。このPDU15は、IGBTなどのスイッチング素子を複数用いてブリッジ接続してなるブリッジ回路を具備するパルス幅変調(PWM)によるPWMインバータ(不図示)を備えて構成されている。
さらにPDU15は、駆動モータ12と電力の授受を行う高圧バッテリ(高圧BATT)16に接続されている。上記電力としては、例えば、駆動時に駆動モータ12に供給される供給電力や回生作動による発電時に駆動モータ12から出力される出力電力がある。
そしてPDU15は、ECU(電子制御装置)17からの制御命令を受けて駆動モータ12の駆動および発電を制御する。例えば、駆動モータ12の駆動時には、ECU17から出力されるトルク指令に基づき、高圧バッテリ16から出力される直流電力をPWM出力に変換して駆動モータ12を駆動制御する。一方、駆動モータ12の発電時には、駆動モータ12から出力される交流電力を直流電力に変換して高圧バッテリ16を充電制御する。
高圧バッテリ16には、DC/DCコンバータ(DC/DC CONVERTER)18を介して12Vバッテリ(12VBATT)19と、AC/DCチャージャ(AC/DC CHARGER)20とが接続されている。
DC/DCコンバータ18は、ECU17により電力変換動作が制御され、高圧バッテリ16の端子間電圧を所定の電圧値まで降圧して12Vバッテリ19を充電するように構成されている。
AC/DCチャージャ20は、DC/DCコンバータ18から供給される電力または12Vバッテリ19から供給される電力により駆動され、高圧バッテリ16の外部充電用の接続端子であるジャンクションボード(JUNCTION BOARD)21に接続されている。また、AC/DCチャージャ20は、充電スタンドや駐車場などに設置された外部充電器22の充電コネクタ(不図示)が電気的に接続された場合にこれを検出し、この充電コネクタを介して供給される商用電源(例えば、AC100VやAC200Vなど)を平滑化して高圧バッテリ16の充電に必要な所定の電圧に調整するとともに、高圧バッテリ16の充電状態を監視しながら定電流定電圧充電などの充電制御を行うことができるように構成されている。
上述した高圧バッテリ16、DC/DCコンバータ18、ジャンクションボード21、および、高圧バッテリ16やDC/DCコンバータ18を冷却するファン(不図示)は、これらを監視制御するRr_IPU23とともにユニット化されている。なお、Rr_IPU23は、バッテリ残量などの充電状態を監視する後述する充電状態検知システム54を有している。
また、電気自動車10には、12Vバッテリ19の電力により駆動されるナビゲーション装置30が搭載されている。
図2に示すように、ナビゲーション装置30は、各種制御処理を行うナビゲーション情報処理システム31を備えている。このナビゲーション情報処理システム31には、地図データを記憶するデータベース32と、車両位置を検知するGPS装置33と、経路情報などの各種情報を表示するディスプレイ34と、操作入力手段であるタッチパネルなどのスイッチ35と、音声案内などを出力するスピーカ36と、がそれぞれ接続されている。このナビゲーション装置30は、GPS衛星から受信したGPS信号などに基づいてGPS装置33により車両の現在位置を求め、データベース32に予め記憶されている地図情報に基づいてユーザにより設定された目的地までの経路案内をディスプレイ34に表示したり、スピーカ36から音声出力したりする。そして、ナビゲーション情報処理システム31は、GPS装置33で取得した車両位置の情報をECU17へ出力するように構成されている。
ECU17には、それぞれ車載ネットワークであるCAN(Controller Area Network)を介して電気自動車10の車両装備品であるヘッドライト40、ウインカー41、ルームランプ42、フットランプ43、および、メータランプ44などの灯火類の各制御回路が接続され、ECU17の制御指令に基づいて、個別にON/OFF制御が可能になっている。また、電気自動車10のドアノブ50には、ECU17の制御指令に基づいて駆動する振動モータ(不図示)が内蔵され、ドアノブ50に振動を起こさせることが可能になっている。なお、この実施形態では、上述したヘッドライト40、ウインカー41、ルームランプ42、および、ドアノブ50がそれぞれ車両外部のユーザに警告する警告手段としての機能を有している。
さらに、ECU17には、キースイッチ状態検知システム51と、ドアロック状態検知システム52と、乗員検知システム53と、充電状態検知システム54と、バッテリ残量検知システム55と、走行距離検知システム56と、記憶部57とが上述した車載ネットワーク経由で接続されている。
キースイッチ状態検知システム51は、車両のキーシリンダやパワースイッチの操作状態を検知してキースイッチ状態情報を出力するように構成されている。
ドアロック状態検知システム52は、車両の全てのドアのドアロック状態を検知して、ロック状態およびアンロック状態などのドアロック状態情報を出力するように構成されている。
乗員検知システム53は、着座センサ(不図示)の検知結果や上述したドアロック状態などに基づいて車室内または車両直近にいるユーザを検知し、その検知結果であるユーザ検知情報を出力するように構成されている。
充電状態検知システム54は、高圧バッテリ16の入出力電流や端子間電圧などを監視して、充電中における高圧バッテリ16の充電進捗状況などの充電状態を検知し、その検知結果である充電状態情報を出力するように構成されている。
バッテリ残量検知システム55は、高圧バッテリ16を監視して、高圧バッテリ16の残量を検知し、その検知結果であるバッテリ残量情報を出力するように構成されている。
走行距離検知システム56は、電気自動車10が実際に走行した距離を検知し、その検知結果である走行距離情報を出力するように構成されている。
記憶部57は、例えば、走行距離検知システム56で検知された走行距離情報を曜日別に記憶したり、警告要否を判定するバッテリ残量(第1閾値および第2閾値)を記憶したり、バッテリ残量から走行可能距離を算出する際に用いる補正係数情報を記憶したりすることができるように構成されている。
ECU17には、さらに、スマートキー通信装置60と携帯端末通信装置61とが接続されている。
スマートキー通信装置60は、キーレスで車両のキースイッチを操作可能にする所謂スマートキーシステムを構成するものであり、ユーザが携帯するキー端末62との間で無線通信によりID認証などを行い、キー端末62に記憶されているIDが正規のものであると認証された場合に、キースイッチの操作を有効にする。ここで、スマートキーシステムのキー端末62にはキーレスでドアロックおよびアンロックを行う所謂キーレスエントリの端末としても利用できるようになっている。また、キー端末62には、キーレス操作に対するアンサーバック用のインジケータやバイブレータなどが具備されており、ユーザがキー端末62側で上記アンサーバックを確認できるようになっている。
携帯端末通信装置61は、充電状態検知システム54の受電状態情報やバッテリ残量検知システム55のバッテリ残量情報を所定のタイミングで専用の無線通信回線を通じて車室外の携帯端末63へ送信するものである。ここで、充電状態情報およびバッテリ残量情報を携帯端末63へ送信する所定のタイミングとしては、例えば、乗員検知システム53によりユーザが乗車していないことが検知されて充電状態検知システム54により充電開始が検知された後、携帯端末63より充電状態情報の要求があったタイミングや、同じく、ユーザの乗車がなく充電開始が検出された後、所定時間ごとのタイミングや、同じく、ユーザの乗車がなく充電開始が検出された後、充電状態に所定の変化があったタイミングや、同じく、ユーザの乗車がなく携帯端末63よりバッテリ残量情報の要求があったタイミングなどがある。
一方、携帯端末63は、ユーザがそれぞれ所持するものであり、車室外において携帯端末通信装置61からの充電状態情報やバッテリ残量情報を受信することで、その充電状態情報やバッテリ残量情報を表示や音声によりユーザに報知する構成となっている。また、各ユーザが所持する携帯端末63には、それぞれ固有の識別情報が付与されており、通信時に携帯端末通信装置61に送信されるようになっている。
携帯端末通信装置61は、車室内または車両直近にある携帯端末63との間で自動的にBluetooth(登録商標)などの短距離無線によりリンクを確立することができるように構成されている。そして、ECU17は、上記短距離無線による携帯端末63とのリンクの有無に応じて携帯端末63の存在を検知するように構成されている。
次に、このように構成された電気自動車10において、ECU17で実行される携帯端末63の持ち込み忘れ警告の制御処理の第1の態様について図3、図7のフローチャートを参照しながら説明する。
図3は、電気自動車10のドアロックが施錠された状態(車室内無人状態)からフローチャートが開始される。図3に示すように、ステップS11では、電気自動車10のドアロックがロック状態であることを確認したらステップS12へ進む。なお、ドアロックがロック状態であることは、ドアロック状態検知システム52からドアロック状態情報がECU17に入力されることにより確認することができる。
ステップS12では、電気自動車10のドアロックが開錠されたか否かを判定し、開錠された場合はステップS13へ進み、開錠されていない場合はステップS12を繰り返す。
ステップS13では、電気自動車10のドアロックが開錠された際に、その場所(現在居る場所)が携帯端末63と車両すなわち携帯端末通信装置61とのリンクが切断された場所か否かについて判断するフラグが有るか否かを判定する。フラグが有る場合にはステップS30へ進み、フラグが無い場合にはステップS14へ進む。なお、フラグを立てる処理については後に詳述する。
ステップS14では、ステップS13で携帯端末63を所持している場合または携帯端末63が近くに有る場合であると判定されているため、携帯端末63と車両すなわち携帯端末通信装置61との間のリンク(Bluetoothリンク)が確立されたか否かを判定する。リンクが確立されていない場合はステップS15へ進み、リンクが確立された場合にはステップS30へ進む。
ステップS15では、ECU17において高圧バッテリ16(以下、バッテリ16という。)が満充電状態(第1閾値以上)か否かを判定する(携帯端末持ち込み忘れ判定手段)。バッテリ16が満充電状態の場合にはステップS16へ進み、満充電状態でない場合にはステップS27へ進む。
ステップS16では、携帯端末63の持ち込み忘れと判断してステップS17へ進む。このように、バッテリ16が満充電状態の場合は、長距離運転をする可能性が高いと判定し、長距離運転する場合には途中で充電する可能性も高いと判定する。そのため、携帯端末63は必需品であると判断し、携帯端末63を携帯していない場合には警告をするように構成されている。
図7に示すように、ステップS17では、ユーザに対して警告を行い、ステップS18へ進む。なお、警告の方法としては、ヘッドライト40、ウインカー41、ルームランプ42、フットランプ43およびメータランプ44などの車両表示装置を点灯・点滅させて警告したり、スピーカ36から音声により警告したり、ドアノブ50やキー端末62を振動させて警告したりすればよい。これらの一種類だけを用いて警告してもよいし、複数種類の方法により警告してもよい。
ステップS18では、警告を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間経過した場合にはステップS19へ進み、所定時間経過していない場合は所定時間経過するまでステップS18を繰り返す。
ステップS19では、所定時間経過したため、警告を停止してステップS20へ進む。
ステップS20では、電気自動車10のアクセサリースイッチがONされたか否かを判定する。アクセサリースイッチがONされたらステップS21へ進み、ONされていない場合はステップS20を繰り返す。
ステップS21では、駆動モータ12の起動スイッチがONされたか否かを判定する。起動スイッチがONされたらステップS22へ進み、ONされていない場合はステップS20へ戻る。
ステップS22では、携帯端末63と車両すなわち携帯端末通信装置61との間のリンクが確立されたか否かを再度判定する(携帯端末持ち込み忘れ判定手段)。リンクが確立されていない場合はステップS23へ進み、リンクが確立された場合にはステップS17の警告後に携帯端末63を持ってきたと判断し、そのまま処理を終了する。
ステップS23では、ステップS17で警告したにも関わらず携帯端末63を持って来ていないため、再度携帯端末63の持ち込み忘れと判断してステップS24へ進む。
ステップS24では、ユーザに対して警告を行い、ステップS25へ進む。なお、警告の方法としては、ナビゲーション装置30のディスプレイ34に表示して警告したり、ヘッドライト40、ウインカー41、ルームランプ42、フットランプ43およびメータランプ44などの車両表示装置を点灯・点滅させて警告したり、スピーカ36から音声により警告したりすればよい。これらの一種類だけを用いて警告してもよいし、複数種類の方法により警告してもよい。
ステップS25では、警告を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間経過した場合にはステップS26へ進み、所定時間経過していない場合は所定時間経過するまでステップS25を繰り返す。
ステップS26では、所定時間経過したため、警告を停止して処理を終了する。
一方、ステップS15において、バッテリ16が満充電状態でない場合にはステップS27へ進む。
ステップS27では、バッテリ16の残量が第2閾値(例えば、20%)以下か否かを判定する(携帯端末持ち込み忘れ判定手段)。バッテリ残量が第2閾値以下の場合には、ステップS16へ進み、以降上述したステップで制御処理される。バッテリ残量が第2閾値より多い場合(つまり、バッテリ残量が第1閾値よりは少ないが第2閾値よりは多い場合)にはステップS28へ進む。
ステップS28では、バッテリ16の残量から走行可能距離を算出し、前回の走行距離と走行可能距離とを比較して、前回の走行距離が走行可能距離よりも長いか否かを判定する(携帯端末持ち込み忘れ判定手段)。前回の走行距離が走行可能距離よりも長い場合にはステップS29へ進み、短い場合にはステップS30へ進む。なお、前回の走行距離は、走行距離検知システム56によって検知された走行距離情報がECU17を介して記憶部57に記憶されている。また、走行可能距離はECU17において演算されて算出される。
ステップS29では、このまま携帯端末63を持たずに出発すると、前回と同じ場所に行く場合には途中でバッテリ16の残量が無くなるため、途中で充電をする必要があり、そのためには携帯端末63を携帯している方が良いと判断される。そのため、携帯端末63の持ち込み忘れと判断してステップS17へ進み、以降上述と同じステップにより制御処理される。
ステップS30では、携帯端末63の持ち込み忘れによる警告を必要としないと判断して処理を終了する。上述したように、携帯端末63の持ち込み忘れによる警告を必要としない場合としては、ステップS13でフラグが有る場合、ステップS14でリンクが確立された場合、およびステップS28で前回の走行距離が走行可能距離以下の場合がある。
次に、携帯端末63の持ち込み忘れ警告の制御処理の第2の態様について図4、図7のフローチャートを参照しながら説明する。
図4は、電気自動車10のドアロックが開錠されている状態からフローチャートが開始される。図4に示すように、ステップS41では、電気自動車10のドアロックがアンロック状態であることを確認したらステップS42へ進む。なお、ドアロックがアンロック状態であることは、ドアロック状態検知システム52からドアロック状態情報がECU17に入力されることにより確認することができる。
ステップS42では、電気自動車10のアクセサリースイッチがONされたか否かを判定する。アクセサリースイッチがONされたらステップS43へ進み、ONされていない場合はステップS42を繰り返す。
ステップS43では、電気自動車10のアクセサリースイッチがONされた際に、携帯端末63と車両すなわち携帯端末通信装置61とのリンクが切断された場所か否かについて判断するフラグが有るか否かを判定する。フラグが有る場合にはステップS51へ進み、フラグが無い場合にはステップS44へ進む。なお、フラグを立てる処理については後に詳述する。
ステップS44では、駆動モータ12の起動スイッチがONされたか否かを判定する。起動スイッチがONされたらステップS45へ進み、ONされていない場合はステップS42へ戻る。
ステップS45では、ステップS43で携帯端末63を所持している場合または携帯端末63が近くに有る場合であると判定されているため、携帯端末63と車両すなわち携帯端末通信装置61との間のリンク(Bluetoothリンク)が確立されたか否かを判定する。リンクが確立されていない場合はステップS46へ進み、リンクが確立された場合にはステップS51へ進む。
ステップS46では、バッテリ16が満充電状態(第1閾値以上)か否かを判定する(携帯端末持ち込み忘れ判定手段)。バッテリ16が満充電状態の場合にはステップS47へ進み、満充電状態でない場合にはステップS48へ進む。
ステップS47では、携帯端末63の持ち込み忘れと判断してステップS24(図7参照)へ進む。このように、バッテリ16が満充電状態の場合は、長距離運転をする可能性が高いと判定し、長距離運転する場合には途中で充電する可能性も高いと判定する。そのため、携帯端末63は必需品であると判断し、携帯端末63を携帯していない場合には警告をするように構成されている。
図7に示すように、ステップS24では、ユーザに対して警告を行い、ステップS25へ進む。なお、警告の方法としては、ナビゲーション装置30のディスプレイ34に表示して警告したり、ヘッドライト40、ウインカー41、ルームランプ42、フットランプ43およびメータランプ44などの車両表示装置を点灯・点滅させて警告したり、スピーカ36から音声により警告したりすればよい。これらの一種類だけを用いて警告してもよいし、複数種類の方法により警告してもよい。
ステップS25では、警告を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間経過した場合にはステップS26へ進み、所定時間経過していない場合は所定時間経過するまでステップS25を繰り返す。
ステップS26では、所定時間経過したため、警告を停止して処理を終了する。
一方、ステップS46において、バッテリ16が満充電状態でない場合にはステップS48へ進む。
ステップS48では、バッテリ16の残量が第2閾値(例えば、20%)以下か否かを判定する(携帯端末持ち込み忘れ判定手段)。バッテリ残量が第2閾値以下の場合には、ステップS47へ進み、以降上述したステップで制御処理される。バッテリ残量が第2閾値より多い場合(つまり、バッテリ残量が第1閾値よりは少ないが第2閾値よりは多い場合)にはステップS49へ進む。
ステップS49では、バッテリ16の残量から走行可能距離を算出し、前回の走行距離と走行可能距離とを比較して、前回の走行距離が走行可能距離よりも長いか否かを判定する(携帯端末持ち込み忘れ判定手段)。前回の走行距離が走行可能距離よりも長い場合にはステップS50へ進み、短い場合にはステップS51へ進む。なお、前回の走行距離は、走行距離検知システム56によって検知された走行距離情報がECU17を介して記憶部57に記憶されている。また、走行可能距離はECU17において演算されて算出される。
ステップS50では、このまま携帯端末63を持たずに出発すると、前回と同じ場所に行く場合には途中でバッテリ16の残量が無くなるため、途中で充電をする必要があり、そのためには携帯端末63を携帯している方が良いと判断される。そのため、携帯端末63の持ち込み忘れと判断してステップS24へ進み、以降上述と同じステップにより制御処理される。
ステップS51では、携帯端末63の持ち込み忘れによる警告を必要としないと判断して処理を終了する。上述したように、携帯端末63の持ち込み忘れによる警告を必要としない場合としては、ステップS43でフラグが有る場合、ステップS45でリンクが確立された場合、およびステップS49で前回の走行距離が走行可能距離以下の場合がある。
次に、携帯端末63の持ち込み忘れ警告の制御処理の第3の態様について図5、図7のフローチャートを参照しながら説明する。
図5は、電気自動車10のドアロックが施錠された状態(車室内無人状態)からフローチャートが開始される。図5に示すように、ステップS61では、電気自動車10のドアロックが閉錠状態であることを確認したらステップS62へ進む。なお、ドアロックが閉錠状態であることは、ドアロック状態検知システム52からドアロック状態情報がECU17に入力されることにより確認することができる。
ステップS62では、電気自動車10のドアロックが開錠されたか否かを判定し、開錠された場合はステップS63へ進み、開錠されていない場合はステップS62を繰り返す。
ステップS63では、電気自動車10のドアロックが開錠された際に、携帯端末63と車両すなわち携帯端末通信装置61とのリンクが切断された場所か否かについて判断するフラグが有るか否かを判定する。フラグが有る場合にはステップS70へ進み、フラグが無い場合にはステップS64へ進む。なお、フラグを立てる処理については後に詳述する。
ステップS64では、ステップS63で携帯端末63を所持している場合または携帯端末63が近くに有る場合であると判定されているため、携帯端末63と車両すなわち携帯端末通信装置61との間のリンク(Bluetoothリンク)が確立されたか否かを判定する。リンクが確立されていない場合はステップS65へ進み、リンクが確立された場合にはステップS70へ進む。
ステップS65では、バッテリ16が満充電状態(第1閾値以上)か否かを判定する(携帯端末持ち込み忘れ判定手段)。バッテリ16が満充電状態の場合にはステップS66へ進み、満充電状態でない場合にはステップS67へ進む。
ステップS66では、携帯端末63の持ち込み忘れと判断してステップS17へ進む。
このステップS17以降の流れは第1の態様と同一であるため、説明を省略する(図7参照)。
一方、ステップS65において、バッテリ16が満充電状態でない場合にはステップS67へ進む。
ステップS67では、バッテリ16の残量が第2閾値(例えば、20%)以下か否かを判定する(携帯端末持ち込み忘れ判定手段)。バッテリ残量が第2閾値以下の場合には、ステップS66へ進み、以降上述したステップで制御処理される。バッテリ残量が第2閾値より多い場合(つまり、バッテリ残量が第1閾値よりは少ないが第2閾値よりは多い場合)にはステップS68へ進む。
ステップS68では、ECU17に設けられているクロック(不図示)から本日が何曜日かを確認してステップS69へ進む。
ステップS69では、バッテリ残量検知システム55で検出されたバッテリ残量情報をECU17に出力することで、ECU17で走行可能距離を算出し、この走行可能距離と記憶部57に記憶されている曜日別走行平均距離とを比較して、曜日別走行平均距離が走行可能距離よりも長いか否かを判定する(携帯端末持ち込み忘れ判定手段)。曜日別走行平均距離が走行可能距離よりも長い場合にはステップS17へ進み、短い場合にはステップS70へ進む。ステップS17以降の流れは第1の態様と同一であるため、説明を省略する。つまり、例えば、毎週同じ曜日には同じ場所に行く場合には途中でバッテリ16の残量が無くなる可能性が高いため、途中で充電をする必要があり、そのためには携帯端末63を携帯している方が良いと判断される。そのため、携帯端末63の持ち込み忘れと判断してステップS17へ進み、以降上述と同じステップにより制御処理される。
なお、図10に示すように、曜日別走行平均距離は、走行距離検知システム56によって検知された走行距離情報がECU17を介して記憶部57に曜日別に記憶されており、曜日ごとに走行平均距離が算出されている。このとき、例えば、電気自動車10を運転しなかった日のデータは含まないようにして走行平均距離を算出するようにすればよい。さらに、実際の曜日別走行平均距離に対して補正(例えば、1〜2割増)をして曜日別走行平均距離を算出するように構成してもよい。
ステップS70では、携帯端末63の持ち込み忘れによる警告を必要としないと判断して処理を終了する。上述したように、携帯端末63の持ち込み忘れによる警告を必要としない場合としては、ステップS63でフラグが有る場合、ステップS64でリンクが確立された場合、およびステップS69で曜日別走行平均距離が走行可能距離以下の場合がある。
次に、携帯端末63の持ち込み忘れ警告の制御処理の第4の態様について図6、図7のフローチャートを参照しながら説明する。
図6は、電気自動車10のドアロックが開錠されている状態からフローチャートが開始される。図6に示すように、ステップS71では、電気自動車10のドアロックがアンロック状態(開錠状態)であることを確認したらステップS72へ進む。なお、ドアロックがアンロック状態であることは、ドアロック状態検知システム52からドアロック状態情報がECU17に入力されることにより確認することができる。
ステップS72では、電気自動車10のアクセサリースイッチがONされたか否かを判定する。アクセサリースイッチがONされたらステップS73へ進み、ONされていない場合はステップS72を繰り返す。
ステップS73では、電気自動車10のアクセサリースイッチがONされた際に、携帯端末63と車両すなわち携帯端末通信装置61とのリンクが切断された場所か否かについて判断するフラグが有るか否かを判定する。フラグが有る場合にはステップS81へ進み、フラグが無い場合にはステップS74へ進む。なお、フラグを立てる処理については後に詳述する。
ステップS74では、駆動モータ12の起動スイッチがONされたか否かを判定する。起動スイッチがONされたらステップS75へ進み、ONされていない場合はステップS72へ戻る。
ステップS75では、ステップS73で携帯端末63を所持している場合または携帯端末63が近くに有る場合であると判定されているため、携帯端末63と車両すなわち携帯端末通信装置61との間のリンク(Bluetoothリンク)が確立されたか否かを判定する。リンクが確立されていない場合はステップS76へ進み、リンクが確立された場合にはステップS81へ進む。
ステップS76では、バッテリ16が満充電状態(第1閾値以上)か否かを判定する(携帯端末持ち込み忘れ判定手段)。バッテリ16が満充電状態の場合にはステップS77へ進み、満充電状態でない場合にはステップS78へ進む。
ステップS77では、携帯端末63の持ち込み忘れと判断してステップS24(図7参照)へ進む。このステップS24以降の流れは第2の態様と同一であるため、説明を省略する(図7参照)。
一方、ステップS76において、バッテリ16が満充電状態でない場合にはステップS78へ進む。
ステップS78では、バッテリ16の残量が第2閾値(例えば、20%)以下か否かを判定する(携帯端末持ち込み忘れ判定手段)。バッテリ残量が第2閾値以下の場合には、ステップS77へ進み、以降上述したステップで制御処理される。バッテリ残量が第2閾値より多い場合(つまり、バッテリ残量が第1閾値よりは少ないが第2閾値よりは多い場合)にはステップS79へ進む。
ステップS79では、ECU17に設けられているクロック(不図示)から本日が何曜日かを確認してステップS80へ進む。
ステップS80では、バッテリ残量検知システム55で検出されたバッテリ残量情報をECU17に出力することで、ECU17で走行可能距離を算出し、この走行可能距離と記憶部57に記憶されている曜日別走行平均距離とを比較して、曜日別走行平均距離が走行可能距離よりも長いか否かを判定する(携帯端末持ち込み忘れ判定手段)。曜日別走行平均距離が走行可能距離よりも長い場合にはステップS24へ進み、短い場合にはステップS81へ進む。ステップS24以降の流れは第2の態様と同一であるため、説明を省略する。つまり、例えば、毎週同じ曜日には同じ場所に行く場合には途中でバッテリ16の残量が無くなる可能性が高いため、途中で充電をする必要があり、そのためには携帯端末63を携帯している方が良いと判断される。そのため、携帯端末63の持ち込み忘れと判断してステップS24へ進み、以降上述と同じステップにより制御処理される。
ステップS81では、携帯端末63の持ち込み忘れによる警告を必要としないと判断して処理を終了する。上述したように、携帯端末63の持ち込み忘れによる警告を必要としない場合としては、ステップS73でフラグが有る場合、ステップS75でリンクが確立された場合、およびステップS80で曜日別走行平均距離が走行可能距離以下の場合がある。
次に、携帯端末63の持ち込み忘れ警告の制御処理について上記第1〜第4の態様を説明したが、これらのフローチャートのその後の処理の流れについて図8を用いて説明する。
図8に示すように、ステップS101では、携帯端末63と車両すなわち携帯端末通信装置61との間のリンク(Bluetoothリンク)が確立されたか否かを判定する。リンクが確立されていない場合はステップS102へ進み、リンクが確立された場合にはステップS105へ進む。
ステップS102では、ナビゲーション装置30により目的地が入力されたか否かを判定する。目的地が入力された場合にはステップS103へ進み、目的地が入力されない場合にはステップS105へ進む。
ステップS103では、バッテリ残量検知システム55で検出されたバッテリ残量情報をECU17に出力することで、ECU17で走行可能距離を算出し、この走行可能距離と目的地までの往復距離とを比較して、目的地までの往復距離が走行可能距離よりも長いか否かを判定する(携帯端末持ち込み忘れ判定手段)。目的地までの往復距離が走行可能距離よりも長い場合にはステップS104へ進み、短い場合にはステップS105へ進む。
ステップS104では、携帯端末63の持ち込み忘れと判断してステップS24へ進む。このように、目的地までの往復距離が走行可能距離よりも長い場合は、途中で充電する可能性が高いと判定する。そのため、携帯端末63は必需品であると判断し、携帯端末63を携帯していない場合には警告をするように構成されている。なお、ステップS24以降の流れは第1の態様などと同一であるため、説明を省略する。
一方、ステップS103において、目的地までの往復距離が走行可能距離よりも短い場合は、ステップS105へ進む。
ステップS105では、携帯端末63の持ち込み忘れによる警告を必要としないと判断して処理を終了する。上述したように、携帯端末63の持ち込み忘れによる警告を必要としない場合としては、ステップS101でリンクが確立された場合、ステップS102で目的地が入力されなかった場合、およびステップS103で目的地までの往復距離が走行可能距離以下の場合がある。
次に、携帯端末63と車両すなわち携帯端末通信装置61とのリンクが切断された場所か否かについて判断するフラグを立てる方法(警告要否判定手段)について、図9のフローチャートを用いて説明する。
図9は電気自動車10を運転して目的地に到着した状態からスタートする。図9に示すように、ステップS111では、電気自動車10の起動スイッチがOFFになったか否かを判定する。起動スイッチがOFFになった場合はステップS112へ進み、OFFになっていない場合はステップS111を繰り返す。
ステップS112では、携帯端末63と車両すなわち携帯端末通信装置61との間のリンク(Bluetoothリンク)が確立されているか否かを判定する。リンクが確立されている場合はそのままフラグを立てずに処理を終了し、リンクが確立されていない場合はステップS113へ進む。
ステップS113では、到着した場所(目的地)が、前回携帯端末63と車両すなわち携帯端末通信装置61との間のリンクが途切れた場所か否かを判定する。この前回携帯端末63と携帯端末通信装置61との間のリンクが途切れた場所は、例えば記憶部57などに記憶されている。到着した場所が、前回リンクが途切れた場所である場合はそのままフラグを立てずに処理を終了し、前回リンクが途切れた場所でない場合はステップS114へ進む。
ステップS114では、到着した場所(目的地)が、前回携帯端末63と携帯端末通信装置61との間のリンクが途切れた場所ではないため、フラグを立てて処理を終了する。このフラグが立っている場合は、携帯端末63を携帯せずに電気自動車10を運転してある場所(目的地)まで移動しているため、次にその場所から運転する際に携帯端末63を持ち込む可能性は非常に低いため、このような場合に携帯端末63の持ち込み忘れの警告をしても、ユーザにとって耳障り・目障りなだけであって余り意味がない。したがって、このような場合は携帯端末63の持ち込み忘れの警告をしないように構成されている。
本実施形態によれば、バッテリ16の残量が満充電状態である場合には、ユーザ(乗員)に対して警告を行うように構成した。このように構成することで、例えば、バッテリ16が満充電状態である場合、これから長距離走行を予定している可能性があり、その場合は外出先でさらに充電する可能性も高いと予想される。そのような場合に、バッテリ16の充電状況を確認可能な携帯端末63を忘れたまま出発すると、ユーザが電気自動車10から離れた場所に居る際にバッテリ16の充電状況を確認することができず、充電忘れに気付くことができないため、バッテリ16の残量がなくなってしまう虞があるなどユーザにとって不都合が生じる。そのため、ユーザが電気自動車10に乗車する際に、携帯端末63が検知されない場合に警告を行うように構成した。つまり、電気自動車10の使用時に、ユーザが携帯端末63を忘れたまま出発するのを防止することができる。
また、警告を行うか否かを電気自動車10の起動スイッチがオンの状態にされた時点で判定することにより、例えば、ドアロックの開錠動作でユーザの有無を検知するように構成した場合、ドアロックが予め開錠されているとユーザが乗車した(または車両近傍に居る)と検知できないが、そのような場合にも警告の要否を判定することができる。したがって、電気自動車10の使用時に、ユーザが携帯端末63を忘れたまま出発するのを防止することができる。
また、バッテリ16の残量が満充電状態でない場合であっても、バッテリ16の残量から算出される走行可能距離が前回走行時の走行距離よりも短い場合には、前回と同じルートを走行するとバッテリ16の残量がなくなるため、外出先で充電が必要になる可能性が高い。したがって、このような場合にも警告をして携帯端末63を携帯させることで、外出先で不都合が生じるのを防止することができる。
また、バッテリ16の残量が満充電状態でない場合であっても、バッテリ16の残量から算出される走行可能距離が曜日別に算出される平均走行距離よりも短い場合には、曜日によって行く場所が決まっている場合などにその場所に行くとバッテリ16の残量がなくなる可能性が高いため、外出先で充電が必要になる。したがって、このような場合にも警告をして携帯端末63を携帯させることで、外出先で不都合が生じるのを防止することができる。
また、バッテリ16の残量が満充電状態でない場合であっても、バッテリ16の残量から算出される走行可能距離が目的地までの往復走行距離よりも短い場合には、目的地への道中でバッテリ16の残量がなくなるため、外出先で必ず充電が必要になる。したがって、このような場合にも警告をして携帯端末63を携帯させることで、外出先で不都合が生じるのを防止することができる。
また、例えば、近距離への移動の際などに、ユーザが故意に携帯端末63を持ち込まなかった場合に、外出先で不要な警告を受けるのを防止することができるように構成した。また、発進場所を記憶するように構成したため、ユーザが携帯端末63の置き場所を忘れてしまった場合でも、その置き忘れた場所(発進場所)を容易に特定することができる。したがって、利便性を向上することができる。
また、バッテリ16の残量が残り僅か(第2閾値以下)である場合には、ユーザに対して警告を行うように構成した。このように構成することで、例えば、バッテリ残量20%以下のようにバッテリ残量がゼロに近い値であった場合は、外出先で充電する可能性が高いと予想される。そのような場合に、バッテリ16の充電状況を確認可能な携帯端末63を忘れたまま出発すると、ユーザが電気自動車10から離れた場所に居る際に、バッテリ16の充電状況を確認することができず、充電忘れに気付くことができないため、バッテリ16の残量がなくなってしまう虞があるなどユーザにとって不都合が生じる。そのため、ユーザが電気自動車10に乗車する際に、携帯端末63が検知されない場合に警告を行うように構成した。つまり、電気自動車10の使用時に、ユーザが携帯端末63を忘れたまま出発するのを防止することができる。
さらに、従来から電気自動車10に備わっている車両装備品または車両用携帯品を用いて警告を行うように構成したため、簡易な構成でユーザに携帯端末63の持ち込み忘れを知らせることができる。
そして、従来から電気自動車10に備わっているドアロックの開錠によりユーザの乗車を検知できるように構成したため、簡易な構成でユーザに携帯端末63の持ち込み忘れを知らせることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な構造や形状などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態では、曜日別の走行平均距離を算出して、バッテリ16の残量から算出される走行可能距離と比較した場合の説明をしたが、他にも平日の走行平均距離と休日の走行平均距離をそれぞれ算出して走行可能距離と比較するように構成してもよい。
また、本実施形態では、バッテリ16の残量から走行可能距離を算出するように構成したが、この走行可能距離を算出する場合に、季節(月)ごとに予め設定される補正値を掛けて走行可能距離を算出するように構成してもよい。例えば、電気自動車10の平均電費(季節によって変化しない値)に対して、季節(月)ごとの補正値をかける。夏場や冬場にはエアコンの使用頻度が高くなり、電力を消費しやすいため、走行可能距離が短くなる。逆に、春や秋は、同じバッテリ残量でも夏や冬より走行可能距離は長くなる。このように構成することにより、より精度の高い走行可能距離を算出することが可能となる。したがって、ユーザに対して的確な警告を行うことが可能となる。
また、本実施形態では、第1閾値として満充電状態か否かで判定するように構成したが、必ずしも満充電状態である必要はなく、満充電に近い状況(例えば、80%以上)であってもよい。また、第1閾値として、平日の平均バッテリ残量以上、休日の平均バッテリ残量以下の間の任意の値に設定してもよい。このように構成することで、常に満充電にする必要がなく、バッテリ16の充電頻度を抑制することができ、バッテリ16の長寿命化を図ることができる。
さらに、本実施形態では、電動車両として電気自動車(四輪車)を用いて説明したが、電動二輪車や電動カートなどにも採用することができる。