JP5426405B2 - 電極触媒用組成物並びにその製造及び使用方法 - Google Patents

電極触媒用組成物並びにその製造及び使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、電極触媒用組成物、その製造、及び燃料電池電極におけるその使用に関する。
燃料電池は、化学反応からのエネルギーが直流電流に変換される電気化学デバイスである。燃料電池の操作の際には、燃料、例えば、水素(又はメタノールなどの液体燃料)の連続流がアノードに供給される一方で、同時に、酸化剤、例えば、空気の連続流がカソードに供給される。燃料は、触媒作用を介して電子の放出が起こるアノードにおいて酸化される。次いで、これらの電子は外部負荷を通ってカソードへ導かれ、酸化剤が減少して、再び触媒作用を介して電子が消費される。アノードからカソードへの電子の一定の流れが、有用な仕事をすることができる電流を構成する。
高分子電解質膜燃料電池(PEMFC)は、固定及びポータブルのパワーデバイスを含む市場においてより効率的でより低い排出発電技術として、また、輸送手段の内燃機関に代わるものとして、幅広い用途を見出しうる燃料電池の1つのタイプである。PEM燃料電池では、電解質として固体ポリマーが使用され、そして白金触媒を含む多孔質の炭素電極が使用される。PEM燃料電池では、その操作において水素と空気からの酸素しか必要とされず、一部の燃料電池のように腐食性流体は必要とされない。PEM燃料電池では、典型的には、貯蔵タンク又は機内に搭載された改質器から供給される水素によって燃料を得る。
直接メタノール型燃料電池(DMFC)は、電解質がポリマーであり、電荷キャリアが水素イオン(プロトン)であるという点でPEMFCと類似している。しかしながら、液体メタノール(CH3OH)が水の存在下においてアノードで酸化され、CO2、水素イオン及び電子が生成して、この電子が燃料電池の電気出力として外部回路を通って移動する。水素イオンは電解質中を移動し、空気からの酸素及び外部回路からの電子と反応してカソードで水を形成し、回路が完了する。
PEMFC及びDMFCでは、膜と2つの電極から形成される複合積層構造が、膜電極接合体(MEA)として知られている。MEAは、複数の層を典型的に含むが、その基本的なレベルでは、主としてその機能によって規定される5つの層を一般に有するとみなすことができる。膜のいずれかの側にアノード及びカソード電極触媒が組み込まれ、所望の電極反応の速度を向上させる。膜と接触している面とは反対側の面で、アノード及びカソードのガス拡散基材層が電極触媒を含む層と接触している。
アノードのガス拡散基材は、多孔質であるよう設計され、そして反応体の水素又はメタノールが、反応体の燃料供給にさらされた基材の面から入り、次いで基材の厚さを通って電極触媒、通常、白金又は白金−ルテニウム金属系の電極触媒を含む層に拡散して、水素又はメタノールの電気化学的酸化を最大にするよう設計される。アノード電極触媒層はまた、同じ電極触媒の反応サイトに接触している、ある程度プロトン伝導性の電解質を含むよう設計される。酸性電解質のタイプでは、プロトンは、アノードで起こる反応の生成物として生成され、次いで、これらのプロトンは、アノードの反応サイトから電解質を通ってカソード層へ効率的に輸送することができる。
カソードのガス拡散基材も同様に、多孔質であるよう設計され、そして酸素又は空気が基材に入り、電極触媒層の反応サイトに拡散するよう設計される。カソード電極触媒では、プロトンと酸素が組み合わされて水が生成し、そしてカソード電極触媒も同様に、同じ電極触媒の反応サイトに接触している、ある程度プロトン伝導性の電解質を含むよう設計される。次いで、生成物の水はカソードの構造から拡散する必要がある。カソードの構造は、生成した水を効率的に除去できるように設計すべきである。
完全なMEAは、複数の方法で構成することができる。電極触媒層は、ガス拡散基材の一方の面と結合してガス拡散電極として知られるものを形成することができる。次いで、MEAは、2つのガス拡散電極を固体のプロトン伝導性膜と組み合わせることによって形成される。あるいはまた、MEAは、(触媒被覆膜又はCCMとも称される)両側に電極触媒層を有する固体のプロトン伝導性ポリマー膜が間に挟まれた2つの多孔質ガス拡散基材から形成することができるか、又は、実際、MEAは、1つのガス拡散電極、1つの液体拡散基材、及びガス/液体拡散基材に面する側に電極触媒層を有する固体のプロトン伝導性ポリマーから形成することもできる。
燃料電池操作の理論は長年の間にわたって知られているが、技術的な障害のために、そして石油など、よりコスト効率のよいエネルギー源が利用できることから、商業的に実現可能な燃料電池を製造することは困難であった。しかしながら、石油製品を用いた装置、例えば、自動車は、重大な汚染を生じさせ、石油資源の枯渇とともに最終的には使用されなくなる可能性がある。結果として、エネルギーを生成するための代替手段が必要とされている。燃料電池は、比較的に無公害であり、一見無限の燃料源である水素を利用するという点で、将来有望な代替エネルギー源である。
中でも、燃料電池の商業化を成功させるために取り組まなければならない重要な課題は、DMFCシステムのための特定の作動電圧、典型的には0.4〜0.55Vにおいて、単位面積あたりの電力密度(mW/cm2)として表される可能な限り最も高い性能を示すMEAを開発することである。高い絶対的な性能を有するMEAを製造することは、より小さく、より軽く、より寿命が長く、そしてより効率の良いDMFC系電源の製造が可能となるので非常に望ましい。コスト及び耐久性は、DMFC用MEAの他の2つの主要な要件である。
DMFC構造において高性能のMEAを確実にする上で幾つかの重要な構成要素があり、それらは、電極触媒、印刷層、MEA構造体、膜及びガス拡散電極である。当然ながら、電極触媒は最も重要な性能及びコストの因子である。Pt及びPtRuブラックは高い電力密度を達成するために広く用いられている電極触媒であるが、それらは電極層において印刷される場合に本質的に少量しか用いられない。さらに、それらは要求される耐久性を十分に満足せず、商業化するには高価すぎる。したがって、最近の応用では、電極触媒材料、特にはPt及びPtRuは、粒子状の担体材料、例えば、カーボンブラック又は金属酸化物の上にナノ粒子として分散されている。
担持触媒を開発するための動機は、貴金属の高度な利用の可能性であり、それはDMFCデバイスを大規模に市場へ導入することを目標とする場合に特に重要になってくる。高価な貴金属触媒の高度な利用を達成することは、性能とコストの両方にインパクトがあるので非常に望ましい。最少量の貴金属による最高の電力で表される最も高い性能値(mW/mgPt)を達成する能力により、確実にDMFCデバイスを既存の電源とコスト競争力のあるものにでき、そしてそれをうまく商業化することができる。DMFCの商業化の目的を満足させる上で別の重要な因子は、耐久性の目標を満足させることであり、それは典型的には数千時間にも及ぶ。担持電極触媒は、金属ブラックと比較した場合に改善された耐久性を典型的に示す。
カーボン担持Pt及びPtRu電極触媒の典型的な製造方法はバッチプロセスであり、それはPt金属前駆体の析出又は含浸から始めて、その後にカーボンブラックのスラリー中での化学還元技術が続く。必要に応じて、第2金属(Ru)の添加/合金化がPtクラスター上に第2の前駆体を析出させることにより達成され、そしてPtRuの合金化が高温での水素還元を通して達成される(例えば、米国特許第6,326,098号明細書を参照)。別のアプローチ(例えば、米国特許第5,068,161号明細書、及びWatanabeらによる「Preparation of Highly Dispersed Pt+Ru Alloy Clusters and the Activity for the Electrooxidation of Methanol」,J.Electroanal.Chem.,229(1987)395−406頁を参照)は、カーボン担体上へのPtRuコロイド粒子のコロイド沈殿及び堆積に依存している。これらすべての合成方法は、高分散、高度の結晶化、及び高い安定性(又はDMFC操作の際に酸性環境にさらされた場合の耐久性)を同時には満足しないPtRuクラスターが形成される場合が非常に多い。PtRu合金の安定性が十分でないことや、長時間のDMFC操作の際にRuが溶解することは、初期性能の損失や十分でない長期耐久性の大きな要因となる。高度の規格化された性能(mW/mgPt)及び利用を有する高性能で耐久性のあるPtRu触媒を生成できることが直接メタノール型燃料電池の商業化にとって必要である。
最近では、高度に再現性があり、低コストの噴霧変換に基づく連続粉末製造プロセスが開発されており、それは、無類の電気化学的性能をもたらす電極触媒用組成物の分散、組成及び製造に対して優れた制御を達成することができる。噴霧変換プロセスでは、溶解した不揮発性の電極触媒前駆体と懸濁した固体を含む液体含有原料が霧化されて液滴を形成し、この液滴が加熱されて粉末が形成される。このプロセスは、ミクロンサイズの凝集体構造を有するメソ多孔質のカーボン担体上に高活性の分散ナノ粒子を組み合わせたものを含む特有の形態を有する電極触媒の粉末が生成されるという利点を与える。この組み合わせは、触媒がポリマー電解質膜上に印刷された場合に最も有利な層構造を提供すると考えられる。加えて、PtRu合金系担持触媒が噴霧系技術によって生成された場合には、同時に、燃料電池の操作条件において利用された場合に高度の合金化と長期間の耐久性とともに、高結晶質のPtRu分散体を得ることができる。
噴霧変換プロセスの代表的な例は、米国特許出願公開第2004/0072683号明細書に見出すことができ、それは、a)液体含有前駆体組成物を電極触媒の粉末に提供する工程、b)該液体含有前駆体を霧化して前駆体液滴にする工程、c)該前駆体液滴を約700℃以下の反応温度に加熱して電極触媒粒子を形成する工程、及びd)該電極触媒粒子を捕集する工程を含む電極触媒の粉末バッチを製造する方法を開示している。1つの実施態様では、電極触媒粒子は、担持相、例えば、粒状カーボン、及び該担持相上に分散された活性種相、例えば、白金及び/又はルテニウムを含む複合電極触媒粒子である。活性種相が金属又は金属合金である場合には、1つ又は複数の金属前駆体を工程(c)の温度で金属/合金に還元できる添加物が液体含有前駆体組成物中に含められ、所望の還元が噴霧変換プロセスの際に達成されるようにされる。
本発明によれば、噴霧変換が電極触媒用組成物を製造するのに用いられる場合に、還元、妥当な場合には、合金化の工程を、噴霧変換プロセスの際に還元が起こるように、液体含有前駆体組成物に還元剤を添加するよりはむしろ、還元性雰囲気中で別の低温(250℃以下)の後処理として達成できることが今回見出された。驚くべきことに、このような低温の後処理工程の生成物は、高い表面積及び特有の活性を有する新規の電極触媒用組成物であることが見出された。
一形態において本発明は、
a)少なくとも1つの第1の金属前駆体、液体ビヒクル及び基質粒子に対する基質前駆体を含む前駆物質を提供する工程、
b)該前駆物質を霧化して前駆体液滴にする工程、
c)該前駆体液滴を700℃以下の反応温度に加熱して、少なくとも一部が酸化物の形態で該基質粒子上に分散した該第1の金属を含む複合粒子を形成する工程、及び
d)該複合粒子を還元性雰囲気下で250℃以下の第1の処理温度で加熱して、該酸化物の形態を少なくとも部分的に金属へ変換する加熱工程
を含む、粒子状電極触媒用組成物の製造方法にある。
該加熱工程(d)は好適には、約50℃〜250℃、例えば、約60℃〜約200℃、例えば、約80℃〜約180℃、例えば、約100℃〜約150℃の少なくとも1つの第1の処理温度で実施される。
該加熱工程(d)は好適には、約0.5時間〜約10時間、例えば、約1時間〜約8時間、例えば、約1時間〜約4時間実施される。
一実施形態において該還元性雰囲気は水素を含み、例えば、窒素と水素の混合物を含む。
一実施形態において本方法は、(e)前記複合粒子を還元性雰囲気下で前記第1の処理温度よりも高いが500℃以下の第2の処理温度で加熱する工程を含む。好適には該第2の処理温度での加熱工程は、約0.5時間〜約8時間、例えば、約1時間〜約4時間実施される。
好適には本方法は、該粒子を該処理温度から窒素などの非酸化性雰囲気下で冷却する工程をさらに含む。
好適には該第1の金属は白金を含む。
好適には該前駆物質は少なくとも1つの第2の金属前駆体を含み、一実施形態において該第2の金属はルテニウムを含む。
一実施形態において、該電極触媒用組成物は活性種として白金とルテニウムの二元合金を含み、該加熱工程(d)は白金及びルテニウムの酸化物の少なくとも一部をそれぞれの金属へ変換し、該二元合金も製造する。
好適には該基質粒子は炭素粒子を含む。
また別の形態において本発明は、炭素の基質粒子と、該基質粒子の表面上に配置された白金−ルテニウムの二元合金を含むナノ粒子とを含む電極触媒用組成物であって、該電極触媒用組成物が、0.5MのH2SO4中60℃及び20mV/sでCOストリッピングボルタンメトリーにかけた場合に、0.46V未満、例えば、0.44V未満にCOストリッピングピークを示し、該ピークが0.05V超、例えば、0.08V超の半値幅を有する、電極触媒用組成物にある。
好適には該COストリッピングピークは0.1V以下の半値幅を有する。
さらに別の形態において本発明は、炭素の基質粒子と、該基質粒子の表面上に配置された白金−ルテニウムの二元合金を含むナノ粒子とを含む電極触媒用組成物であって、該電極触媒用組成物が、0.5MのH2SO4中60℃及び20mV/sでCOストリッピングボルタンメトリーにより測定した場合に、白金−ルテニウム1gあたり少なくとも80m2、例えば、少なくとも90m2の電気化学的に接触可能な表面積を有する電極触媒用組成物にある。
好適には該ナノ粒子は、約2〜約5nm、例えば、約2.5〜約4nm、例えば、約2.5〜約3.5nmの数平均粒径を有する。
好適には該炭素粒子は、約10〜約100nm、例えば、約20〜約80nm、例えば、約30〜約50nmの数平均粒径を有する。
好適には該炭素の基質粒子は、約1〜約10μm、例えば、約3〜約8μm、例えば、約5〜約6μmの重量平均粒径を有するほぼ球状のメソ多孔質の凝集体に凝集している。
さらにまた別の形態において本発明は、炭素粒子と、該基質粒子の表面上に配置された白金−ルテニウムの二元合金を含むナノ粒子とを含む電極触媒用組成物であって、該電極触媒用組成物がアノード層とカソード層を有する膜・電極一体構造のアノード層において用いられる場合に、及び該電極触媒用組成物が該アノード層1cm2あたりPtRu3mgの充填量で該アノード層中に存在する場合に、及び1分あたり3mlの割合における1Mのメタノールの該アノード層への供給、加湿H2200sccmの該カソード層への供給、出力電圧0.4V及び温度60℃を含む条件下で運転する直接メタノール型燃料電池において該膜・電極一体構造が用いられる場合に、該電極触媒用組成物が、該アノード層中の白金−ルテニウム1mgあたり少なくとも70mA、例えば、少なくとも90mAの質量活性を有する電極触媒用組成物にある。
実施例1のスプレー乾燥した炭素担持PtRu電極触媒用組成物(後処理なし)の透過電子顕微鏡写真(TEM)である。 Aは、実施例1のスプレー乾燥した炭素担持PtRu電極触媒用組成物(後処理なし)のX線回折(XRD)スペクトルである。Bは、実施例2の後処理後の実施例1の炭素担持PtRu電極触媒用組成物のX線回折(XRD)スペクトルである。Cは、実施例3の後処理後の実施例1の炭素担持PtRu電極触媒用組成物のX線回折(XRD)スペクトルである。Dは、実施例4の後処理後の実施例1の炭素担持PtRu電極触媒用組成物のX線回折(XRD)スペクトルである。Eは、実施例5Aの後処理後の実施例1の炭素担持PtRu電極触媒用組成物のX線回折(XRD)スペクトルである。 (A)及び(B)は、実施例5Aの後処理後の実施例1の炭素担持PtRu電極触媒用組成物の、異なる倍率でのTEMである。 アノード触媒として実施例5Aの後処理を施した炭素担持PtRu電極触媒用組成物及び市販のPtRuブラックを含むMEAそれぞれの、60℃で直接メタノール型燃料電池中で試験を行った場合の0.45V及び0.4Vでの絶対的パフォーマンスを比較するグラフである。 実施例5Aの後処理を施した炭素担持PtRu電極触媒用組成物をアノード触媒として用いて作成した直接メタノール型燃料電池のためのMEAの、アノード分極グラフである。 温度が50℃、60℃及び70℃での、実施例5Aの後処理を施した炭素担持PtRu電極触媒用組成物をアノード触媒として用いて作成した直接メタノール型燃料電池のためのMEAの、電気性能のグラフである。 市販の炭素担持PtRu電極触媒をアノード触媒として用いて作成した直接メタノール型燃料電池のためのMEAの、アノード分極グラフである。 温度が50℃、60℃及び70℃での、市販の炭素担持PtRu電極触媒をアノード触媒として用いて作成した直接メタノール型燃料電池のためのMEAの、電気性能のグラフである。 図5及び図7に示された60℃におけるMEAのアノード分極グラフから導いた、0.4Vにおけるアノード分極電流密度を比較し、さらに図6及び図8に示されたMEAのメタノール−空気分極曲線から導いた、60℃における電力密度を比較する。 実施例5Aの後処理を施した炭素担持PtRu電極触媒用組成物を用いて作成した電極の、アルゴン除去した0.5MH2SO4溶液中60℃及び20mV/sでのサイクリックボルタモグラムである。 実施例5A、5B、6及び7の後処理を施した炭素担持PtRu電極触媒用組成物及び2つの市販の電極触媒用組成物を用いて作成した電極上の、0.5MH2SO4中60℃及び20mV/sでのCOストリッピングボルタンメトリーの結果を示している。 図11に示される電極の第2の正の掃引方向へのボルタモグラムの減算後に得られ、対応するピーク最大値へ標準化されたCOストリッピングピークを示している。 図11に示される電極のHupd吸着等温線を示している。 絶対活性及び0.4VRHEで10分間電位保持した後の市販の非担持PtRu電極触媒へ標準化された質量活性の観点での、担持及び非担持PtRu触媒の質量−比活性を示している。 (A)及び(B)は、COストリッピングピークの位置関数としての担持及び非担持PtRu電極触媒に関する0.4VRHEでのメタノール電極酸化の表面−比活性(図15A)及びCOストリッピングピークの半値全幅(FWHM)(図15B)を示している。
本発明は、粒子状電極触媒用組成物及びこのような組成物の製造方法に関する。一形態において本発明は、活性種が白金などの金属、又はより詳細には粒子状の基質上にナノ粒子として担持されている白金−ルテニウム合金などの二元合金である電極触媒用組成物の製造への噴霧変換(spray conversion)の使用に関する。この方法では、最終金属又は合金組成物への前駆体は、分散した基質粒子を含む溶媒に溶解している。この懸濁液の液滴が形成され、キャリアガス中に取り込まれ、溶媒を気化するのに効果的な条件下で加熱される。溶媒が気化すると、前駆体は基質粒子上に配置された金属酸化物種のよく混合された混合物に変換される。触媒粒子は収集された後、還元性雰囲気下250℃以下の温度で熱処理され、前記酸化物種の少なくとも一部が金属の形に変換され、適用可能であれば前記金属の合金化が達成される。噴霧変換プロセスによって形成された金属含有組成物は粒径が小さくよく混合されているため、驚くべきことに、250℃以下(90℃〜200℃など)の後処理温度は、前記酸化物種の十分な還元だけでなく得られた金属の大幅な合金化をもたらすのに十分であることが見いだされた。
得られた電極触媒用組成物は基質粒子を含み、その上には金属/金属合金活性種が、典型的には約2〜約5nm、例えば、約2.5〜約4nm、例えば、約2.5〜約3.5nmの数平均粒径を有するナノ粒子として高度に分散している。噴霧変換工程及び後処理工程において、この触媒粒子及び特にその金属/合金粒子は本質的に同じ時間−温度にさらされているため、これらは粒子間で高い均一度を有する。
前記基質粒子は通常、約10〜約100nm、例えば、約20〜約80nm、例えば、約30〜約50nmの数平均粒径を有し、約1〜約10μm、例えば、約3〜約8μm、例えば、約5〜約6μmの重量平均粒径を有する実質的に球状のメソ多孔性凝集体に凝集している。
一実施形態では、前記基質粒子は炭素から形成され、前記金属ナノ粒子は白金−ルテニウム二元合金を含む。本方法によって製造される電極触媒用組成物は固有の電気化学的特性を示す。電極触媒用組成物はとりわけ、0.5MH2SO4中60℃及び20mV/sでCOストリッピングボルタンメトリーにかけた時に、0.08Vより大きいなど0.05Vより大きい、例えば0.1Vより大きい半値幅を有するCOストリッピングピーク及び/又は白金及びルテニウム1gあたり少なくとも90m2など、少なくとも80m2の電気化学的に接触可能な表面積を示す。
[噴霧変換]
本方法の噴霧変換工程では、液体ビヒクル、基質粒子に対する基質前駆体、通常白金である第1の電極触媒金属に対する少なくとも1つの第1の金属前駆体、任意に第1の触媒金属とともに二元合金を形成する、通常ルテニウムである第2の電極触媒金属に対する第2の金属前駆体、及び通常1つ以上の添加剤又はその他の組成物を含む前駆物質を調製する。前駆物質はその後霧化され、前駆物質の液滴を生成する。液滴はその後700℃以下の反応温度まで加熱され、液体ビヒクルを気化して少なくとも一部が酸化物の形態で該基質粒子上に分散した該第1の金属を含む複合粒子を形成する。
本明細書において用いられる用語「前駆体」は、前駆物質中第1の形態を有し、任意には第1の形態と第2の形態の間で1つ以上の中間体形態を経て、最終電極触媒の複合粒子中、第1の形態とは異なる第2の形態へ変換されうる化合物を意味する。前駆物質中に存在する二種類の前駆体は、(1)1つ又は複数の金属前駆体及び(2)1つ又は複数の基質前駆体を含む。具体的には、前記の単数又は複数のそれぞれの金属前駆体は、(金属酸化物中間体を経て)その対応する金属へ変換され、一般的に前記前駆物質が第1の金属前駆体及び第2の金属前駆体を含む場合、前記金属前駆体から形成された金属は、その後合金化され二元合金ナノ粒子を形成する。同様に、前記基質前駆体はその上に金属/合金ナノ粒子が配置された基質粒子、典型的には基質微粒子に変換される。
前記液体ビヒクルは前駆物質に流動性を与えるために用いられ、使いやすく、前記前駆物質に含まれる前駆体及び試薬を処理するのに相性がよい液体であればよい。液体ビヒクルは単独の液体組成物を含んでいてもよく、あるいは互いに相溶性があってもなくてもよい2つ又はそれ以上の液体組成物の混合物であってもよい。ある場合には液体ビヒクルは、前駆物質に含まれる1つ以上の前駆体の溶媒として働くように選択することができる。別の場合において液体ビヒクルは、その揮発度に基づいて選択してもよい。例えば粒子形成中に液体ビヒクルが容易に気化し液滴からエアロゾルの気相へ除去されるように、高い蒸気圧を有する液体ビヒクルを選択することができる。また別の場合において液体ビヒクルは、粘度特性などの流体力学的性質によって選択してもよい。例えばもし1つ以上の前駆体が、分散した粒子の形で前駆物質に含まれるのであれば、前駆体粒子の硬化を抑制するために比較的粘度の高い液体ビヒクルを選択することができる。別の例としては、エアロゾル生成の過程において前駆物質のより小さい液滴を製造することが望まれる場合、比較的粘度の低い液体ビヒクルを選択することができる。さらに別の場合において液体ビヒクルは、エアロゾル生成又は複合粒子形成の過程において、特に液体ビヒクル中で有機組成物を用いる場合、複合粒子の汚染及び/又は望ましくない副生成物の製造を減少させるあるいは最小化するように選択することができる。
前記液体ビヒクルは水性液体、有機液体、又は水性液体と有機液体の組み合わせであってもよい。コストが低く比較的安全で使いやすいため、一般的には水性液体が好ましい。例えば水は不燃性で、粒子形成の過程で気化した場合に工程を複雑にしたり粒子を汚染する可能性のある副生成物の形成に寄与する傾向がないという利点を有する。いくつかの材料に関しては所望のレベルの溶解度に達することでpH調整などによる水性液体の改質を必要とする可能性があるが、水性液体はなお多くの前駆体材料にとって好ましい溶媒である。しかしながら、場合によっては液体ビヒクルとして有機液体が望ましいこともある。例えば前駆体が水性液体に十分に溶解しない又はそうでなければ水性液体が前駆体に有害である状況で、前駆体を液体ビヒクル中に溶解することが望まれる場合がそうである。いくつかの有機又は有機金属前駆体材料を可溶化するのに、例えば有機液体ビヒクルが必要となるかもしれない。
さらに前記前駆物質は1つ以上の基質前駆体を含む。本明細書において用いられる「基質前駆体」は、最終電極触媒用組成物中で基質粒子へ変換可能なあるいは基質粒子を形成する組成物を意味する。一実施形態では、基質前駆体は液体媒体中に(例えばコロイド懸濁液として)懸濁した基質粒子を含む。この懸濁した基質粒子は、前駆物質から液体ビヒクルが除去されると、電極触媒の基質粒子を形成する。また別の態様では、基質前駆体はある反応を経て複合粒子のための基質を提供する。例えば基質前駆体は上昇した温度において任意に熱分解されているか、あるいは複合粒子中で基質を形成するために任意に還元されている。別の実施態様では、基質前駆体は反応を伴わずに処理することができる。例えば基質前駆体を任意に初めから液体ビヒクル中に溶解させると、液体ビヒクルが液滴から除去される時、例えば複合粒子が形成される時に、基質前駆体の基質沈殿物が形成される。これは例えば、基質前駆体が液体媒体中に溶解した有機塩、有機化合物又はポリマーを含み、複合粒子形成中に液体ビヒクルが気化されると、この有機塩、有機化合物又はポリマーは沈殿し基質の全部あるいは一部を形成する場合がそうである。
一実施形態において、前記基質前駆体は炭素、任意には官能化された炭素を含み、基質前駆体は懸濁したカーボンブラック又は変性カーボンブラック粒子を含む。例えば基質前駆体は前駆物質中コロイドサイズの炭素粒子の形でもよく、このコロイドサイズの炭素粒子は複合粒子形成中に作られる複合粒子の基質となる。コロイドサイズの基質粒子のいくつかは、複合粒子形成中に互いに融合又は凝集してもしなくてもよい。前駆物質がコロイドサイズの基質粒子、例えば炭素粒子を含む場合、前駆物質は任意に60重量パーセント以下、40重量パーセント以下又は20重量パーセント以下でコロイドサイズの基質粒子を含む。さらに、このようなコロイドサイズの基質粒子は好ましくは約300nm以下、例えば約150nm以下、約100nm以下又は50nm以下の平均サイズを有する。コロイドサイズの炭素粒子の代わりに、あるいはその追加として、基質前駆体は炭素繊維、カーボンナノチューブ又はカーボンフレークを含んでいてもよい。
前記前駆物質はさらに第1の触媒金属(特に白金)に対する少なくとも1つの前駆体、及び第2の触媒金属(特にルテニウム)に対する少なくとも1つの前駆体を含む。本明細書において用いられる用語「金属前駆体」は、液体ビヒクル中に溶解又は分散し、少なくとも一部が(通常金属酸化物中間体を経て)対応する元素金属へ変換可能であり、最終的に合金化されて最終電極触媒粒子中の基質上に分散する合金ナノ粒子を形成することができる、金属含有化合物を意味する。
第1の触媒金属が白金である場合、適当な前駆体には、テトラアミン白金水酸化物(Pt(NH34(OH)2);テトラアミン白金(II)硝酸塩(Pt(NH34(NO32);ヒドロキソ第2白金酸(H2Pt(OH)6);白金硝酸塩;白金アミン硝酸塩;白金四塩化物(PtCl4);ヘキサヒドロキシ白金ナトリウム(Na2Pt(OH)6);ヘキサヒドロキシ白金カリウム(K2Pt(OH)6)及びNa2PtCl4が含まれる。第2の触媒金属がルテニウムである場合、適当な前駆体には、ルテニウムβ−ジケトナート;ルテニウムニトロシル硝酸塩(Ru(NO)(NO33);過ルテニウム酸カリウム(K3RuO4);過ルテニウム酸ナトリウム(Na3RuO4);(NH43Ru27;NH4Ru27;Ru3(CO)12及びルテニウムアミン酢酸塩が含まれる。
上記組成物に加えて、前駆物質は任意に1つ以上の添加剤又は試薬を含む。適当な添加剤には、噴霧変換工程において前記金属前駆体の酸化物種への変換を補助する酸化剤及び、例えばそのスプレー処理を促進するなど前記前駆物質の性質を改良するポリマー及び/又は界面活性剤が含まれる。
前記前駆物質は形成後霧化され、キャリアガス中に分散及び懸濁した前駆物質の液滴を含むエアロゾルを生成する。液滴は、液体を微細に分離し液滴を製造するための適当な装置を用いて生成することができる。このような液滴を生成する装置は、液体噴霧装置(liquid atomizers)、霧発生器(mist generators)、噴霧器(nebulizers)及びエアロゾル発生器(aerosol generators)などの様々な名称で称される。
所望のエアロゾルを発生させるのに適当な装置の一例は超音波エアロゾル発生器であり、液滴を形成するあるいは形成を補助するために超音波エネルギーが用いられる。超音波エアロゾル発生器の一種としては、微細な大きさで粒度分布が狭い液滴の形成を助けるための、超音波で通電可能なノズルを有するノズルタイプ装置がある。超音波エアロゾル発生器の別の例では、前駆物質の容器を超音波で通電して霧化コーンを発達させ、そこから前駆物質の液滴を形成し、該液滴はキャリアガス流によって一掃される。容器タイプ超音波エアロゾル発生器は比較的狭い粒度分布の非常に小さい液滴を製造することができ、最終複合粒子が約0.2〜約5μm(重量平均粒径)の範囲であることが望まれる場合、特に粒子の狭い粒度分布が望まれる場合に好適に用いられる。容器タイプ超音波エアロゾル発生器の例は例えば、米国特許第6,338,809号明細書に記載されており、その内容全体を本明細書の一部とする。ノズルタイプ超音波エアロゾル発生器及び容器タイプ超音波エアロゾル発生器のどちらも比較的狭い粒度分布の小さい液滴を製造するが、一般的に容器タイプの方がより均一な大きさのより微細な液滴を製造する。
液滴を発生させるための装置の別の例は、(超音波による通電ではない)スプレーノズルである。エアロゾル中で液滴を製造するためのいくつかの異なるタイプのスプレーノズルが存在し、新しいスプレーノズルも開発され続けている。スプレーノズルの例としては、二流体ノズル、ガスノズル及び液体ノズルが挙げられる。スプレーノズル発生器は超音波発生器と比べて処理能力が非常に高いという利点を有する。しかしながらスプレーノズルを用いて製造された液滴は、超音波発生器によって製造された液滴よりもはるかに大きくはるかに広い粒度分布を有する傾向がある。従って、スプレーノズルは比較的大きい複合粒子を作成するのに好ましい。用いることができる別のタイプの液滴発生器としては、回転式噴霧器及び液滴発生器が挙げられ、液滴発生器では液滴形成のためのエネルギーを生成するために、超臨界流体又は高圧溶解性ガスの膨張が用いられる。液滴発生のためのさらに別の方法が米国特許第6,601,776号明細書に記載されており、その内容全体を本明細書の一部とする。
前記エアロゾルのための輸送媒体として用いられるキャリアガスは、使いやすいガス組成物であればよく、例えば単体成分のガス組成物(例えば純窒素ガスなど)又は複数のガス成分の混合物(例えば空気又は窒素と水素の混合物など)であってもよい。さらにキャリアガスは噴霧変換プロセスの際に実質的に反応しないように選択してもよく、あるいは例えば噴霧変換の際に前記金属前駆体の酸化物種への変換に関与するように選択してもよい。
前記エアロゾルを発生させた後、エアロゾルは加熱して(1)液滴中の液体ビヒクルの少なくとも一部を除去し、(2)基質前駆体を支持基質粒子へ変換し、(3)金属前駆体を対応する金属及び/又は金属酸化物へ変換する。典型的にはこれらの工程は、エアロゾルを600℃以下など700℃以下(例えば約400℃〜約550℃又は約450℃〜約500℃)の反応温度まで少なくとも約1秒、例えば少なくとも3秒、少なくとも約20秒又は少なくとも約100秒の一定時間加熱することによる、一度の加熱によって達成される。好適には上記加熱は、スプレードライヤー中で行われる。これはスプレードライヤーの処理能力が高く、多量の粒子を製造することができるという利点を有するためである。
別の実施例では、液体ビヒクルを液滴から除去する工程は、前記金属前駆体を対応する金属及び/又は金属酸化物へ変換するための加熱とは別に行ってもよい。例えば液滴からの液体ビヒクルの除去は、反応器内、炉内、又はスプレー乾燥装置を用いて行ってもよく、さらなる工程のために収集される中間体粒子を製造する。中間体粒子はその後、別の反応器又は炉(例えば箱形炉、ベルト炉、トレイ炉、回転炉又は水素炉)内で1つ以上の更なる加熱工程に供し、基質前駆体を支持基質粒子へ変換及び/又は金属前駆体を対応する金属及び/又は金属酸化物へ変換してもよい。
いずれにしても、スプレー工程完了後、粒子状生成物は、例えばフィルタ、サイクロン、バグハウス又は電気集塵装置を用いるなど使用しやすい固体/気体分離技術によってキャリアガスから分離される。好適には、粒子状生成物の分離には最初の急冷工程を含んでいてもよく、それによって粒子状生成物の温度が急速に、例えば約0.1秒以内に周囲温度まで下げられ、ナノ粒子又は基質の結晶構造が保持され結晶成長が回避又は制限される。
[後処理]
噴霧変換工程の生成物は、通常は炭素である基質材料の粒子を含み、その上には所望の1つ又は複数の電極触媒金属の酸化物の形態のナノ粒子領域が分散している。その後生成物は酸化物種を元素金属へ変換する少なくとも1つの第1の後処理に供され、電極触媒金属が白金及びルテニウムの場合、少なくともその金属種の一部を合金化する。
第1の後処理は、最初に、粒子状生成物を、その収集及び/又は貯蔵に用いられる温度(通常は周囲温度)から最大250℃、例えば、約50℃〜250℃、例えば、約60℃〜約200℃、例えば、約80℃〜約180℃、例えば、約100℃〜約150℃の還元処理温度に加熱することを伴う。この最初の加熱は、非酸化雰囲気又は還元性雰囲気下で約2〜約5℃/分など約1〜約10℃/分の割合で行われる。所望の還元処理温度に達すると、還元性雰囲気を保持あるいは還元性雰囲気へ切り替え、生成物はこの温度で約1時間〜約8時間など約0.5時間〜約10時間(例えば約1時間〜約4時間)保持される。還元処理完了後、生成物は約2〜約5℃/分など約1〜約10℃/分の割合で、非酸化雰囲気又は還元性雰囲気下で再び周囲温度まで冷却される。
典型的には、第1の後処理工程で用いられる還元性雰囲気は水素を含み、より具体的には窒素と水素の混合物、例えば10vol.%以下など50vol.%以下の水素を含む窒素と水素の混合物を含む。第1の後処理工程の加熱及び冷却段階で非酸化雰囲気を用いる場合、適当な雰囲気は窒素を含む。
いくつかの実施例において第1の後処理は、250℃以下のそれぞれ異なる温度及び還元性雰囲気下で複数の段階で行うことができる。例えば第1の後処理は、粒子状生成物の約1〜約10℃/分の割合での最初の還元処理温度(60℃)への加熱、生成物の還元性雰囲気下60℃での2時間保持、約1〜約10℃/分の割合での更なる還元処理温度(80℃)への再加熱、及び生成物の還元性雰囲気下80℃でのさらに1時間の保持を含んでいてもよい。
上記第1の後処理工程に用いられる比較的低い温度にも関わらず、噴霧変換中に発生した酸化物種の大部分が、後処理中に対応する金属種へ変換されることが分かった。さらに金属種が白金及びルテニウムの場合、後処理工程は対応する金属の酸化物種を減少させるだけでなく、ほとんどの金属を白金/ルテニウム合金に変換させることが分かった。合金化の割合はX線回折(XRD)によって容易に決定され、前記後処理生成物のXRDは通常、PtRu合金の(111)回折ピークに対応し著しい合金化を示す、2θ値約40.387で比較的強いピークを示す。2θ=43.737にほとんどあるいは全くピークがないことは、白金と合金化されていない金属ルテニウムが実質的にないことを示す。
ある場合には粒子状生成物を、第1の処理温度の最高値よりも高く約150℃〜約500℃など500℃以下の第2の処理温度で、また還元性雰囲気下で第1の後処理後に第2の後処理を施すことが望ましいことがある。好適には該第2の処理温度での加熱は、約1時間〜約8時間、例えば約1時間〜約4時間行われる。典型的には第2の後処理に用いられる還元性雰囲気は、水素と窒素の混合物など水素を含み、特に第1の後処理で用いられたものと同じ窒素/水素混合物を含む。この任意のより高温での第2の後処理は、電極触媒の耐久性を高めると考えられる。
[電極触媒用組成物]
本方法で製造された電極触媒用組成物は導電性基質粒子を含み、その上には1つ以上の金属及び/又は金属合金のナノ粒子が分散している。
一実施形態において、前記基質粒子は炭素を含む。別の態様では、前記基質粒子は本質的に炭素からなる。炭素は例えば黒鉛状炭素、カーボンナノチューブ、カーボンブラック多孔質炭素、カーボン−60(バッキーボール)、又はこれらの組み合わせなど、種々の形態でよい。理想的には、基質粒子は例えば少なくとも約300m2/gなど少なくとも約100m2/gのオーダー(例えば少なくとも約500m2/g、少なくとも1000m2/g)の高い表面積を有する。
典型的には基質粒子は、より小さい複数の基質ナノ粒子の凝集体を含む。これらの基質ナノ粒子は任意に、TEM及び/又はSEMによって決定される約10〜約100nm(例えば、約20〜約80nm、例えば、約30〜約50nm)の数平均粒径を有する。実質的に球状のメソ多孔性凝集体に凝集した個々の基質ナノ粒子は、約1〜約10μm、例えば、約3〜約8μm、例えば、約5〜約6μmの重量平均粒径を有する。
前記金属含有ナノ粒子の数平均粒径は、電子顕微鏡によって特徴づけることができる。典型的にはナノ粒子は、約2〜約5nmなど約1nm〜約10nm(例えば約2.5〜約3.5nmなど約2.5〜約4nm)の数平均粒径(例えば直径)を有する。
前記複合触媒粒子中の隣接する金属含有ナノ粒子間の距離は、電極触媒粒子の所望の最終用途に応じて広範囲に変化しうる。複合粒子中の隣接する金属含有ナノ粒子間の平均距離は、絶対数であらわすと、任意に約30nm未満、例えば約20nm未満、約10nm未満、約5nm未満、約3nm未満又は約2nm未満である。複合粒子中の隣接するナノ粒子間の平均距離は、絶対数であらわすと、任意に約1nmより大きく、例えば約3nmより大きく、約5nmより大きく、約10nmより大きく、約20nmより大きい。
一形態において金属含有ナノ粒子は回転楕円状である。すなわちこれらは一般的に完全な球でないとしても球状形態である。任意には、ナノ粒子の大部分は球状、中空、棒状、薄片、板状、立方体又は三方晶の形態を有する。
触媒(ナノ粒子及び基質粒子)の総重量に対する金属含有ナノ粒子の最適な重量比は、主に支持体の表面積によって変化しうる。一実施形態において、複合粒子全体(例えば電極触媒用組成物)に対するナノ粒子の平均重量比は、約5〜約95、又は約10〜90、あるいは約20〜約80の範囲で変動する。ナノ粒子の充填量はまた、本明細書においては基質粒子表面の単位面積あたりの合金ナノ粒子の質量として定義される「表面濃度」としてあらわしてもよい。この態様においては、表面濃度は任意に約0.01g/m2〜約1g/m2、例えば約0.01g/m2〜約0.1g/m2、又は約0.05g/m2〜約0.5g/m2の範囲で変動する。また別の態様では、本明細書においては「標準化活性表面積」として記載されるが、ナノ粒子の充填量は基質表面積によって標準化された活性化領域としてあらわされる。この態様においては、上記標準化活性表面積は任意に約0.01〜約0.8、例えば約0.05〜約0.5又は約0.1〜約0.3の範囲で変動する。
前記金属含有ナノ粒子の元素組成は、所望の適用及び所望の触媒活性に応じて広範囲に変化しうる。しかしながら金属含有ナノ粒子は通常、元素あるいは合金化された形のいずれかで白金を含む。1つの好ましい実施態様において、金属含有ナノ粒子は白金及びルテニウムの二元合金を含み、白金のルテニウムに対する原子比率は約0.5:1と約2:1の間など、約0.25:1と約4:1の間で変動する。
基質粒子が炭素を含み金属ナノ粒子が白金/ルテニウム二元合金を含む場合、本発明の電極触媒用組成物は新規の有利な性質の組み合わせを示すことが分かった。特に0.5MH2SO4中60℃及び20mV/sでCOストリッピングボルタンメトリーにかけた場合、電極触媒用組成物は0.08Vより大きいなど0.05Vより大きい(例えば0.1Vより大きい)半値幅を有するCOストリッピングピークを示し、及び/又は白金及びルテニウム1gあたり少なくとも90m2など少なくとも80m2の電気化学的に接触可能な表面積を示す。
COストリッピングボルタンメトリーは電極触媒用組成物の電気化学的性質を測定するための確立された技術であり、ここに記載されるすべてのCOストリッピングボルタンメトリー試験測定は、実施例10に詳細が記載されている手順に従った薄膜回転ディスク電極(TFRDE)法によって行われる。
[電極触媒用組成物の使用]
ここに記載する電極触媒用組成物は、PEM燃料電池、高温燃料電池、アルカリ及びリン酸燃料電池、直接メタノール型燃料電池、電解槽及び蓄電池を含む種々の電極触媒装置の製造において用いることができる。しかしながら本発明の電極触媒用組成物は特に、直接メタノール型燃料電池のための膜・電極一体構造(MEA)の製造に有用である。
MEAは2003年10月23日公開の米国特許出願公開第2003/0198849号明細書に完全に記載されており、その内容全体を本明細書の一部とする。例えば(例えば基質粒子上の)インクを含有する合金ナノ粒子は、例えば直接書き込みプリントするなどしてポリマー電解質膜の電極担体上にプリントし、電極触媒層を形成することができる。米国特許第6,911,412号明細書のMEA電極形成のための直接書き込み蒸着工程の記載を参照し、その内容全体を本明細書の一部とする。MEAにおいて用いられる触媒は非常に高価(例えば白金金属)であり、ナノ粒子サイズの合金触媒粒子を用いてMEAを製造できれば、MEAの製造コストを大幅に削減することができる。このコスト削減が達成できるのは、ナノ粒子が非常に高い全体表面積を有するためで、触媒効率を向上させ合金相の形成に起因する表面積あたりの比活性を増大させる。さらに表面積が増加し合金を含む電極触媒表面の物理的性質が変化すると、反応ガスの低加湿レベルでの操作などMEAの性能の向上及び/又はMEAをより高い操作温度及び循環状態にさらした場合に合金ナノ粒子の安定性がより高くなることによる、MEA及び燃料電池の耐久性の向上にもつながる。
従って、別の実施態様において本発明は、少なくとも2つのガス拡散層に挟持された触媒被覆膜(CCM)を含む膜・電極一体構造に関し、ここでCCMはその一側面に堆積されたカソード層を、反対の側面に堆積されたアノード層を有する固体ポリマー電解質膜を含み、アノード層は上記の熱処理された炭素担持白金/ルテニウム合金ナノ粒子を含む。このような場合、アノード層中の合金ナノ粒子の充填量は、好適にはアノード層1cm2あたり約5mg以下(例えばアノード層1cm2あたり約4.5以下、約4以下、約3.5以下、約3以下、約2.5以下、約2以下、約1.5以下又は約1.0mg以下)の活性種(例えば合金ナノ粒子)となるように選択することができる。
ここに記載された熱処理された炭素担持白金/ルテニウム電極触媒用組成物は通常、アノード層及びカソード層を有する膜・電極一体構造の該アノード層に用いられる場合、電極触媒用組成物がアノード層の1cm2あたり3mgのPtRuの充填量でアノード層中に存在する場合、及び1分あたり3mlの割合で1Mメタノールをアノード層へ供給し、200sccmの完全加湿水素をカソード層へ供給し、出力電圧0.4V、温度60℃の状態で運転する直接メタノール型燃料電池において膜・電極一体構造を用いる場合に、アノード層中の白金及びルテニウム1mgあたり少なくとも90mAなど少なくとも70mAの質量活性を有する。
ここで本発明を下記の実施例及び添付の図面を参照してより具体的に述べる。
[実施例1(比較例)]
テトラアミンPt硝酸塩(Pt50.48wt%)39.1g及びRuニトロシル硝酸塩溶液(Ru10.83wt%)94.6gを、ケッチェンブラック(Ketjen Black)EC600J懸濁液(炭素7.03wt%)284.5g及び水832gと混合する。全ての試薬は供給メーカーから入手したものを直接用いる。組成物がよく混合されるまで得られた混合物を15〜20分間剪断する。混合物はその後霧化ユニットへ送り込まれ、液滴を形成する。液滴はガス流中に取り込まれ、スプレードライヤーなどの噴霧変換装置中へスプレーされる。スプレードライヤーは入口温度575℃及び出口温度320℃で運転される。
スプレー乾燥後の粉末の透過電子顕微鏡写真(TEM)は、大きさの範囲が2〜3nmであるナノ粒子の均一な分布を示す(図1)。しかしながらX線回折(XRD)パターンは、Pt合金面心立方相又は金属前駆体ピークがないことをしめす(図2A)。代わりにRuO2/PtO2相を観察すると、スプレー乾燥工程は主に、金属前駆体を分解し金属酸化物ナノ粒子を支持体表面上へ均一に分配する働きをすることを示す。
得られた生成物の分析は、白金約40wt%、ルテニウム約20wt%及び炭素約40wt%を含むことを示す。
[実施例2]
実施例1で製造されたスプレー乾燥粉末の第1のサンプルを、下記の手順に従って後処理する。
(a)室温(30℃)で30分間N2パージする。
(b)N2中3℃/分で80℃まで昇温する。
(c)N2中80℃でさらに1時間パージする。
(d)H25vol.%とN295vol.%の混合物へ切り替え、80℃で2時間保持する。
(e)N2へ切り替え、収集前に3℃/分で室温まで冷却する。
上記後処理された粉末のXRD測定(図2B)は、ほとんどの金属酸化物がPtRu二元合金相へ変換されたことを示す。シェラーの式から計算されるPtRu合金相の平均粒径は約3.3nmである。
[実施例3]
実施例1で製造されたスプレー乾燥粉末の第2のサンプルを、下記の手順に従って後処理する。
(a)室温(30℃)で30分間N2パージする。
(b)N2中3℃/分で100℃まで昇温する。
(c)N2中100℃でさらに1時間パージする。
(d)H25vol.%とN295vol.%の混合物へ切り替え、100℃で2時間保持する。
(e)N2へ切り替え、収集前に3℃/分で室温まで冷却する。
上記後処理された粉末のXRD測定(図2C)は、すべての金属酸化物がPtRu二元合金相へ変換されたことを示す。シェラーの式から計算されるPtRu合金相の平均粒径は約3.5nmである。
[実施例4]
実施例1で製造されたスプレー乾燥粉末の第3のサンプルを、下記の手順に従って後処理する。
(a)室温(30℃)で30分間N2パージする。
(b)N2中3℃/分で120℃まで昇温する。
(c)N2中120℃でさらに1時間パージする。
(d)H25vol.%とN295vol.%の混合物へ切り替え、120℃で1時間保持する。
(e)N2へ切り替え、収集前に3℃/分で室温まで冷却する。
上記後処理された粉末のXRD測定(図2D)は、すべての金属酸化物がPtRu二元合金相へ変換されたことを示す。シェラーの式から計算されるPtRu合金相の平均粒径は約3.7nmである。
[実施例5]
実施例5Aとして表される第1の実験において、実施例1で製造されたスプレー乾燥粉末の第4のサンプルを、下記の手順に従って後処理する。
(a)室温(30℃)で30分間N2パージする。
(b)N2中3℃/分で120℃まで昇温する。
(c)N2中120℃でさらに1時間パージする。
(d)H25vol.%とN295vol.%の混合物へ切り替え、120℃で1時間保持する。
(e)H25vol.%とN295vol.%の混合物中3℃/分で250℃まで昇温する。
(f)H25vol.%とN295vol.%の混合物中250℃で2時間保持する。
(g)N2へ切り替え、収集前に3℃/分で室温まで冷却する。
上記後処理された粉末のXRD測定(図2E)は、PtRu合金の(111)回折ピークが2θ=40.387に存在することを示し、これは著しい合金化をあらわす。シェラーの式から計算される平均合金粒径は約3.7nmである。
TEM分析(図3A及びB)は、金属ナノ粒子がよく分散しており、粒径(2〜4nm)がXRD結果と十分一致していることを示す。
実施例5Bとして表される第2の実験において、テトラアミンPt硝酸塩溶液(Pt5wt%)395.2g及びRuニトロシル硝酸塩溶液(Ru10.83wt%)94.6gをケッチェンブラック(Ketjen Black)EC600J懸濁液(炭素7.03wt%)284.5g及び水478gと混合することによって製造された混合物に実施例1のスプレー乾燥工程を施すことによって製造された粉末に、実施例5Aの後処理手順を繰り返す。全ての試薬は供給メーカーから入手したものを直接用いる。上記後処理された粉末のXRD測定(図示せず)は、ほとんどの金属酸化物がPtRu二元合金相へ変換されたことを示す。シェラーの式から計算されるPtRu合金相の平均粒径は約3.3nmである。
[実施例6]
実施例1で製造されたスプレー乾燥粉末の第4のサンプルを、下記の手順に従って後処理する。
(a)室温(30℃)で30分間N2パージする。
(b)N2中3℃/分で120℃まで昇温する。
(c)N2中120℃でさらに1時間パージする。
(d)H25vol.%とN295vol.%の混合物へ切り替え、120℃で1時間保持する。
(e)H25vol.%とN295vol.%の混合物中3℃/分で450℃まで昇温する。
(f)H25vol.%とN295vol.%の混合物中450℃で2時間保持する。
(g)N2へ切り替え、収集前に3℃/分で室温まで冷却する。
上記粉末のXRD測定(図示せず)は、ほとんどの金属酸化物がPtRu二元合金相へ変換されたことを示す。シェラーの式から計算される合金相の平均粒径は約4.0nmである。
[実施例7]
スプレードライヤーを入口温度540℃及び出口温度約300℃で運転する以外は、実施例1のサンプル調製、霧化及びスプレー乾燥工程を繰り返す。
得られたスプレー乾燥粉末を、下記の手順に従って後処理する。
(a)室温(30℃)で30分間N2パージする。
(b)N2中3℃/分で120℃まで昇温する。
(c)N2中120℃でさらに1時間パージする。
(d)H25vol.%とN295vol.%の混合物へ切り替え、120℃で1時間保持する。
(e)H25vol.%とN295vol.%の混合物中3℃/分で450℃まで昇温する。
(f)H25vol.%とN295vol.%の混合物中450℃で2時間保持する。
(g)N2へ切り替え、収集前に3℃/分で室温まで冷却する。
上記粉末のXRD測定(図示せず)は、ほとんどの金属酸化物がPtRu二元合金相へ変換されたことを示す。シェラーの式から計算される合金相の平均粒径は約3.7nmである。
[実施例8]
[(a)MEA製造]
実施例1のスプレー乾燥法に続いて実施例5Aの後処理を施して、60%PtRu/KB[ここでKBはケッチェンブラック(Ketjen Black)EC600Jをあらわす)]電極触媒を製造する。得られた触媒1gmを計量して容器に入れ、その後脱イオン水8gmを添加する。続いて超音波処理ホーンを用いて10分間超音波処理する。超音波処理後、水中5%ナフィオン(Nafion)溶液5gmを触媒混合物に加え、混合物をさらに5分間超音波処理する。得られたインクは、アノードのPtRu合金の充填量が3mgPtRu/cm2となるように、活性化領域25cm2を有するナフィオン(Nafion)1135層の1つの表面上に触媒被覆膜(CCM)のアノードをプリントするのに用いられる。CCMのカソードは、Cabot CorporationからDynalyst(登録商標)60KR1として市販されている60%Pt/KB触媒を含むインクを、カソードのPt充填量1.5mgPt/cm2でナフィオン(Nafion)層の反対の面上にプリントすることによって製造される。
比較のために、市販のPtRu/C及びPtRuブラックを含む2つのCCMを作成する。1つはJohnson Mattheyから商標名HiSPEC(登録商標)10000で市販されている60%PtRu/C触媒を、同じPtRu充填量(3mgPtRu/cm2)でアノードとして用いて製造する。このCCMのカソード側には、Cabot CorporationからDynalyst(登録商標)60KR1として市販されている60%Pt/KB触媒をPt充填量1.5mgPt/cm2でプリントする。もう一方のCCMは、Johnson Mattheyから商標名HiSPEC(登録商標)6000で市販されているPtRuブラックを、PtRu充填量8mgPtRu/cm2でアノードとして用いて製造する。このCCMのカソード側には、Cabot CorporationからDynalyst(登録商標)60KR1として市販されている60%Pt/KB触媒をPt充填量2mgPt/cm2でプリントする。いずれの場合も、固体ポリマー電解質膜はナフィオン(Nafion)1135である。
得られたCCMそれぞれについて、同一の紙タイプガス拡散層をアノード及びカソードに適用し、膜・電極一体構造(MEA)を作成する。
[(b)MEAテスト]
1Mメタノールを背圧なしで3ml/minの割合でアノードに供給し、400sccmの乾燥空気を同じく背圧なしでカソードに供給しながら、得られたMEAを直接メタノール型燃料電池においてテストする。燃料電池分極曲線は燃料電池の粉末全体の出力をよくあらわしているが、これはアノード触媒層、カソード触媒層、メタノールクロスオーバー等の効果の組み合わせである。よってアノード分極曲線は、MEA構造におけるアノード触媒活性を直接分析するために得られる。アノード分極測定中、1Mメタノールが3ml/minの割合で背圧なしでアノードに供給され、200sccmの完全加湿水素が同じく背圧なしでカソードに供給される。アノード分極曲線は、0.1Vと0.7Vの間で2mV/secの割合で電圧掃引を適用することによって得られる。
実施例5Aの電極触媒を用いて作られたMEAにおけるPtRu充填量はHiSPEC(登録商標)6000電極触媒を用いて作られたMEAのそれの半分以下であるが、図4は、アノード層中に実施例5Aの電極触媒を用いて製造されたMEAが、0.4Vと0.45Vを比較した場合に、アノード層中にHiSPEC(登録商標)6000を用いて製造されたMEAの絶対的パフォーマンスの80%を示すことをあらわす。この結果は、アノード層における実施例5Aの電極触媒が高い活性を有することを示しており、ここに記載した触媒を用いた場合にDMFC MEAにおいて金属充填量を著しく減少させることができ、性能の著しい低下を伴わずにコストを下げることができることを立証している。
アノード層中に実施例5Aの電極触媒を用いたMEAの、60℃におけるアノード分極を図5に示し、種々の温度(50℃、60℃及び70℃)におけるセルの性能を図6に示す。比較として図7及び8は、Johnson Mattheyから商標名HiSPEC(登録商標)10000で市販されている60%PtRu/C触媒を含む同等なMEAに関して、同じ条件でのアノード分極及びセル性能をそれぞれ示す。結果を図9にまとめる。図9から、実施例5の電極触媒は図7及び8に示されたMEAと比較して、出力電圧0.4V、60℃でのアノード分極において35%高い電流密度を示し、0.45V、60℃において20%高い電力密度を示すことが分かるであろう。
図5及び7に示され図9にまとめられたアノード分極データは、さらにMEA中で用いられるアノード触媒の標準化性能を比較するために用いられる。標準化性能は、以下の方法でアノード分極データから計算される。規定の出力電圧V(例えば0.4Vにおいて270mA/cm)でのアノード分極電流密度(mA/cm)をアノード層中のPtRu充填量(mgPtRu/cm2)で割り、アノード電極触媒の標準化性能を規定の電圧におけるmA/mgPtRuとして導く。
[実施例9]
この実施例においては、6つの触媒、すなわち実施例5A、5B、6及び7に記載の工程において製造された担持60wt.%Pt50Ru50/KB触媒(以降それぞれCSMP−5A、CSMP−5B、CSMP−6及びCSMP−7とラベルする)、及び比較の目的で最新技術の担持60wt.%Pt50Ru50/C(HiSPEC(登録商標)10000)及び最新技術の非担持Pt50Ru50ブラック(HiSPEC(登録商標)6000)サンプル(以降それぞれSOA−C、SOA−Blackとラベルする)について薄膜回転ディスク電極(TFRDE)法を利用した電気化学的測定を行う。
初めに触媒懸濁液を二段階で調製する。第1段階では、触媒を計量し(16〜25mg)、濃度が1mLあたり触媒4mg(4mgcatalyst/mL)である分散液を調製するのに必要な量の水(JT BakerのULTREX(登録商標)II特級試薬)中に分散する。触媒懸濁液はその後20分間超音波処理され、最高湿度及び触媒の分散性を確実にするため一晩放置する。第2の懸濁液は、さらに20分超音波処理を施した後の第1の懸濁液から、第1の懸濁液200μLをピペットで採取し、水800μL中に再分散させて調製する。第2の触媒懸濁液の濃度(及び総体積、1mL)は全てのサンプルについて同じで、1mLあたり触媒0.8mg(0.8mgcatalyst/mL)である。超音波で(20分間)再分散した第2の触媒懸濁液20μLはその後、直径5mmのガラス状の炭素ディスク電極(Pine Instruments)上に堆積し、各実験(0.05μmアルミナ、Buehler)に先立ち研磨して鏡面仕上げし、81.6μg/cm2の一定触媒充填量とする。室温の高純度窒素流中で乾燥した後、堆積触媒層は希釈水性ナフィオン(Nafion(登録商標))溶液(Aldrichによる低級脂肪族アルコール及び水との混合物中5wt%の出発溶液を、1ナフィオン(Nafion)/100H2Oへ希釈する)14μLで被覆する。得られたナフィオン(Nafion)の0.2μm以下の膜厚は、該膜を介して拡散抵抗を大幅に生成することなく、触媒粒子をガラス状の炭素ディスク電極担体へ恒久的に付着させるのに十分な強度を有する。最後に、75mV vs.RHEで電位制御しながらアルゴン除去した0.5MH2SO4(JT BakerのULTREX(登録商標)II特級試薬硫酸)電解質に電極を浸す。
すべての電気化学的測定は、恒温三室型電気化学セル中で行う。参照電極は、塩化物汚染を避けるために閉鎖電解質ブリッジによって作用電極区画から分離された飽和カロメル電極(SCE)である。しかしながらこの研究におけるすべての電位は、同じ電解質中の可逆水素電極(RHE)の電位を基準とする。規定の電解質中規定の温度での可逆水素電極を基準とした参照電極の較正は、水素飽和溶液中多結晶バルクPt電極上での水素酸化/発展分極曲線を測定することによって行われる。この研究で用いられるすべての気体は、Matheson Tri−Gasより購入のResearch Purity Gradeである。定電位電解装置はPAR BiStatで、コンピュータ制御されている。回転子ユニットはPine Instruments製のモデルMSRである。
図10は担持(CSMP−5A)Pt50Ru50触媒の代表的なボルタモグラムをあらわす。バルク電極のボルタンメトリー特性と一致して、Hupd領域(0.05<E<0.3V)にはまずOHの可逆吸着が続き、その後不可逆酸化物形成が続く。
図11は、0.5M H2SO4中60℃での6つの触媒すべてに関する、COの飽和単層のストリッピングボルタンメトリーの結果をまとめたものである。より要約してあらわすために、CO揮散後のボルタンメトリー中のアノード電流のみをプロットする。すべての表面上のCOの飽和被覆は、溶液へのCOガス導入中回転を伴わずに電極電位を0.075Vで5分間保持し、さらに2分間1600rpmで回転する電極上に保持することによって達成される。続いてアルゴンとともに溶液を15分間パージすることによって、溶液からCOガスを除去する。掃引速度は20mV/sである。テストしたすべてのサンプルのCOストリッピングボルタンメトリーに共通する特性は、CO酸化がほぼ同じ電位で開始したことで、これは吸着COの不存在下での擬容量性電流とCO酸化電流との交点(第1及び第2の正のボルタンメトリー掃引における電流の交点)によって示される。この結果はPtのRuに対する割合が異なる複数のバルク合金上の吸着CO酸化と一致しており、空の(Hupdのない)Ru部位の小画分における酸素含有種の核形成によって説明され、その後CO電極酸化反応を触媒する。十分な量のRu表面部位が存在する限り、CO酸化反応の開始は実際の表面Pt:Ru割合とは無関係で、理想的にはRu表面原子上での水活性化の熱力学電位と一致する。しかしながら、CO酸化反応が始まった後、反応速度に関連するCO酸化ピーク最大値及びピーク幅は、表面組成物、粒径、粒子形状、粒子形態等のパラメータに依存するだろう。純PtにおけるCOストリッピング電極酸化と比較すると、PtのRuとの合金化の効果としては、対応するピーク幅における著しい減少を伴って、Ru表面組成物の関数としてのストリッピングピーク位置における負のシフトに基づいて極端な活性増強をもたらす。
すべてのテストサンプルについての、第2の正のボルタンメトリー掃引において擬容量性特性を差し引きした後に得られる、ピーク位置における差及び半値全幅(FWHM)を図12に示す。より単純な比較のために、すべてのCOストリッピングピークを対応するピーク最大値へ標準化する。SOA−C、SOA−Black、CSMP−5A及びCSMP−5Bサンプルのピーク位置は互いに非常に近く(表1)、CSMP−6及びCSMP−7触媒についてはいくらか高い電位へシフトしている。しかしながら最新技術の担持及び非担持Pt50Ru50触媒とCSMP担持Pt50Ru50触媒との最も特筆すべき違いは、半値全幅(FWHM)である。4つのCSMP担持触媒すべてのより広いCOストリッピングピーク(>0.05V)は、より遅い反応速度によって理解することができ、Ru原子上に吸着された酸素含有種に到達するための、Pt表面原子上に吸着されたCOの干渉された拡散移動によっても説明することができる。すべてのCSMPサンプルのCOストリッピングピークがより高い電位においてテーリングを示していることは、吸着COの閉塞した拡散運動の発見をさらに支持している。このCO拡散運動の干渉は、おそらく表面上へのより強いCO吸着に起因している。吸着強度及びそれゆえ表面上に吸着されたCOの拡散運動が、粒径、粒子表面組成物及び粒子形態などのパラメータに依存していることを考慮すると、これらの結果は、最新技術の担持及び非担持Pt50Ru50触媒と比較してCSMP担持Pt50Ru50触媒が固有の性質を有することを明瞭に示している。
図11におけるピーク下で積分されたCOストリッピング電荷は、CO単層あたり420μCcm-2と仮定したときの各触媒の電気化学的に接触可能な表面積を計算するのに用いられる。この方法で計算されたすべてのサンプルの電気化学的表面積の結果を表1に示す。表1の結果に基にすると、CSMP−5A及びB触媒は、SOA−C及びSOA−Black(50〜70m2/gmetal)と比較して著しく高い表面積(90〜95m2/gmetal)を示しており、メタノール電極酸化を伴う場合のように該表面が活性相である触媒工程において有利に反応を開始する。
図13はすべてのサンプルについての、擬容量性寄与を差し引いた後に0.05V<E<0.3Vの範囲でのサイクリックボルタンメトリーにおける正方向掃引の積分によって得られる、0.35VにおけるHupd吸着等温線をあらわす。ここで210μCの総電荷はcm2あたりのHupdの完全単層に対応していると考えられる。CSMP−5A、CSMP−5B、SOA−C及びSOA−BlackのHupd範囲が非常に似通っている一方、CSMP−6及びCSMP−7電極については著しく高い。CSMP−6及びCSMP−7サンプルの著しく高いHupd範囲はPt表面濃縮を示しており、これはPtRu系における優先Pt表面識別に関する熱力学的考察及びバルク合金についての所見と一致している。処理温度及び後処理温度のプロファイルが、触媒の設計及び最適化において極めて重要な役割を担っていることは明らかである。
COストリッピングボルタンメトリー及び電気化学的表面積の決定に続いて、(電位制御を保持しながら)電極を電解溶液から持ち上げ、適量のメタノール(Mallinckrodt CHEMICALSのMethyl Alcohol、UltimAR(登録商標)99.9%min.)を溶液に注入して0.5MH2SO4中1MCH3OHとし、続いて電極を溶液に戻して浸す。すべての電極を0.075Vで上記メタノール溶液と接触させる。0.4Vにする前に電極をさらに5分間0.075Vで保持する。定常状態条件をシミュレーションする方法として、電極を0.4Vで10分間保持する。メタノール電極酸化のためのディスク電極を固定レジームとして用いる。すべてのサンプルについてのメタノール電極酸化の結果を表1にまとめる。
Figure 0005426405
表1中の活性は表面−比電流密度[mA/cm2]及び質量−比電流密度(貴金属質量に基づくmA/mgmetal)の両方の観点から引用される。質量−比活性は、所望の絶対的パフォーマンスを達成するために高価な貴金属をどれだけ充填しなければならないかを規定するパラメータである。一方表面−比活性は合金相ナノ粒子の固有の性質を規定するパラメータである。異なるサンプルを表面−比活性の観点で比較することは、活性部位の表面濃度(cm-2)及びターンオーバー頻度(TOF)(s-1)などの基本的なパラメータのみに依存しているそれらの固有の触媒活性で比較することを意味する。表面−比活性が高いほど、真に優れた触媒であることを示す。表面−比活性と質量標準化表面積(m2/g)を組み合わせると、質量−比活性が決定される。高い質量−比活性を示す改良された触媒は、高い表面比活性及び高い質量標準化表面積を好ましく併せ持つものとなるであろう。
表1に示されたメタノール酸化の結果によると、CSMP−5A及びCSMP−5BはSOA−Black及びSOA−C電極よりも、質量-比活性の観点で性能が優れている。SOA−Blackと比較するとCSMP−5A触媒はいくらか低い表面−比活性を有するが、質量活性の点ではSOA−Blackよりも著しく性能が優れており、これは金属分散(53m2/gmetalしかないSOA−Blackと比べてCSMP−5Aは95m2/gmetalである)における違いと一致している。さらにCSMP−5B触媒はSOA−Black及びSOA−Cと比較して、質量−比活性だけでなく表面−比活性の点でも優れた性能を示し、固有の優れた触媒であることを示す。これははるかに高い質量標準化表面積と組み合わせた結果、SOA−Blackの質量−比活性を基準とした場合のほぼ2倍質量−比活性が改善される。このことは図14(A)及び(B)に示されている。CSMP−5A及びCSMP−5B(表1)触媒と比較した場合のより高い温度で後処理されたCSMP−6及びCSMP−7触媒の活性によって、本発明の処理温度及び後処理温度のプロファイルが触媒の設計及び最適化、ならびに高い質量及び表面比活性の達成において、極めて重要な役割を担っているという発見が強固なものとなる。
今日では、メタノール電極酸化のための低い過電圧において、その工程は、水を活性化し抑制CO中間体を効果的に除去するという表面の能力に支配的に影響されるという意見で一致している。このことは図15に見られる。ここで電位を0.4VRHEで10分間保持した後のメタノール電極酸化電流は、最大COストリッピングピークの関数として(図15(A))及びCOストリッピングピークの半値全幅(FWHM)の関数として(図15(B))与えられる。これらのパラメータはどちらも、CO酸化に対する活性とよく関連している。
CO酸化のための活性が高くなればなる程、COストリッピングピークはより負の電位へシフトし、ピーク幅の減少につながる。CSMP触媒のみを比較すると、明らかな傾向が分かってくる。触媒のCO耐性を改善することによって、メタノール電極酸化活性全体が増加する。SOA−Black及びSOA−C触媒も同じ傾向を示すが、最大COストリッピングピーク位置を分析した場合だけである(図15(A))。ピーク幅を考える場合は、明らかに不連続的な変化が見られる。SOA−Black及びSOA−C触媒両方のCOストリッピングピークは、CSMP触媒のCOストリッピングピーク幅のほぼ半分であるが、図15(B)から明らかなように、この変化はメタノール電極酸化活性の改善を意味しない。このことは、SOA−Black及びSOA−C電極触媒と比較して、CSMP触媒がメタノール電極酸化に対して固有の性質を有することを明瞭に示している。
図15(A)及び(B)から、CSMP−5B触媒はCO耐性が最も高い触媒ではないが、最適なメタノール電極酸化触媒であることが明らかである。このことはメタノール電極酸化に対する表面−比活性が最も高いことから明らかである。SOA−Blackの質量-比活性を基準とすると、CSMP−5A及びCSMP−5B触媒はSOA−Black及びSOA−C触媒と比較して1.5-1.7(図14(B))倍の活性改善を示す。このことは、MEAにおいて貴金属充填量をほぼ2倍減少させながら同じ絶対的パフォーマンスを達成できることを示唆しており、MEA特性解析データとも一致している。
特定の実施例を参照して本発明を記載及び図示してきたが、ここに必ずしも示されていないバリエーションに本発明を適用できることは、当業者には十分理解されるであろう。このため、本発明の真の範囲を決定する目的では、添付の特許請求の範囲のみを参照しなければならない。

Claims (11)

  1. a)少なくとも1つの第1の金属前駆体、液体ビヒクル及び基質粒子に対する基質前駆体を含む前駆物質を提供する工程、
    b)該前駆物質を霧化して前駆体液滴にする工程、
    c)該前駆体液滴を700℃以下の反応温度に加熱して、少なくとも一部が酸化物の形態で該基質粒子上に分散した該第1の金属を含む複合粒子を形成する工程、及び
    d)該複合粒子を還元性雰囲気下で周囲温度から50℃〜250℃の第1の処理温度に1〜10℃/分の割合で加熱して、該還元性雰囲気を該第1の処理温度で0.5時間〜10時間保持し、該酸化物の形態を少なくとも部分的に金属へ変換する加熱工程
    を含む、粒子状電極触媒用組成物の製造方法。
  2. 前記還元性雰囲気が水素又は窒素と水素の混合物を含む、請求項1に記載の方法。
  3. (e)前記加熱工程(d)の後、前記複合粒子を還元性雰囲気下で前記第1の処理温度よりも高いが500℃以下の第2の処理温度で加熱する工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記第2の処理温度での加熱工程が1時間〜8時間実施される、請求項3に記載の方法。
  5. 前記第1の金属が白金を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記前駆物質が少なくとも1つの第2の金属前駆体を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記第2の金属がルテニウムを含む、請求項6に記載の方法。
  8. 炭素の基質粒子と、該基質粒子の表面上に配置された白金−ルテニウムの二元合金を含む2〜5nmの数平均粒径を有するナノ粒子とを含む請求項に記載の方法によって製造された電極触媒用組成物であって、該電極触媒用組成物が、0.5MのH2SO4中60℃及び20mV/sでCOストリッピングボルタンメトリーにかけた場合に、0.46V未満にCOストリッピングピークを示し、該ピークが0.05V超の半値幅を有する、電極触媒用組成物。
  9. 炭素の基質粒子と、該基質粒子の表面上に配置された白金−ルテニウムの二元合金を含む2〜5nmの数平均粒径を有するナノ粒子とを含む請求項に記載の方法によって製造された電極触媒用組成物であって、該電極触媒用組成物が、0.5MのH2SO4中60℃及び20mV/sでCOストリッピングボルタンメトリーにより測定した場合に、白金−ルテニウム1gあたり少なくとも80m2の電気化学的に接触可能な表面積を有する、電極触媒用組成物。
  10. 前記炭素の基質粒子が10〜100nmの数平均粒径を有する、請求項8又は9に記載の電極触媒用組成物。
  11. 前記炭素の基質粒子が1〜10μmの重量平均粒径を有する球状のメソ多孔質の凝集体に凝集している、請求項8〜10のいずれか1項に記載の電極触媒用組成物。
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