JP5425211B2 - マイクロメカニクスによるコリオリ式回転速度センサ - Google Patents

マイクロメカニクスによるコリオリ式回転速度センサ Download PDF

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Description

本発明は、互いに直交する三つの空間方向における測定軸(X,Y,Z軸)を中心とする成分によって回転速度を検出するための、マイクロメカニクスによるコリオリ式回転速度センサに関する。当該センサは基板と、検出質量体と、少なくとも二つの駆動質量体とを有しており、当該駆動質量体はそれぞれ、基板に対して一次運動を行うように駆動可能であり、前記検出質量体は前記駆動質量体と機械的に連結されており、それによって、前記検出質量体は、検出すべき外部回転速度が作用する際に、コリオリ力によって生じる前記駆動質量体の二次運動によって、検出運動を行うように励起可能である。
コリオリ式回転速度センサは、従来技術から一般に知られている。コリオリ式回転速度センサは、一つまたは二つの軸回りの物体または系の外部回転速度を測定するために用いられる。一つまたは複数の軸は、測定すべき物体または系に対して規定されており、座標参照系を用いて記述される。すなわち、軸が二つの場合は互いに直交するように設けられている。軸は一般に測定軸とも呼ばれる。コリオリ式回転速度センサは、測定軸を中心とする回転の際に生じるとともに、動かされるばね質量系に及ぼされるコリオリ力を利用する。
マイクロエレクトロメカニカルシステムズ(MEMS)技術を用いて製造される(線加速度を検出するための)加速度センサは、小型化と低い製造コストのために、応用分野が広がりつつある。MEMS加速度センサがすでに量産され、かつ、従来技術を用いて製造される部材と性能的に同等であるのに対して、回転速度センサの場合は力の比率が非常に小さいために、システム構築と、対応するプロセス技術とを、はるかに精巧にする必要がある。加速度センサに関しては、一つの空間軸の方向における慣性運動を検出できるだけでなく、二次元あるいは三次元で、すなわち、全ての空間軸の方向において感受性を有するMEMS構造が、すでに数多く知られていることも、これによって明らかである。回転速度センサの場合、MEMS部材に3D感受性を実装するにはコストがかかる。その理由は、異なる駆動モードおよび検出モードを調整しながら励起し、かつ、読み取る必要があることである。MEMS部材に3D感受性を実装するとき、検出モードに駆動部の機械的および電気的なクロストークが生じることも、個々の検出モード間のクロストークも、抑制しなければならない。
特許文献1から回転速度センサおよび当該回転速度センサの製造方法が知られている。
当該回転速度センサは、参照座標系のxy平面に整向された基板と、少なくとも二つの基礎部材と、読み取り機構とを具備している。前記基礎部材は、それぞれ一つのフレームと、前記基板における前記フレームの掛部と、少なくとも一つのサイズモ質量体と、前記フレームにおける前記サイズモ質量体の掛部とを含み、かつ、前記基礎部材を駆動するための駆動手段を具備する。前記基礎部材は、前記基板に設けられている少なくとも一つの連結棒によって互いに連結されている。前記基板面における前記連結棒の配置によって、当該基板に対する前記連結棒の移動の可能性が規定され、例えば前記連結棒の移動の自由度が減少する。それによって、サイズモ質量体の干渉変位または干渉振動は、連結棒との連結を介して低減または抑制される。開示されている回転速度センサは、一つまたは二つの空間軸回りの回転速度を検出するのに好適である。従来技術による当該回転速度センサでは、三つの回転方向全てにおける回転速度を検出することは不可能である。
特許文献2に開示されている回転速度センサは、シリコンウェハにおいてMEMS技術を用いて形成されている。当該回転速度センサは、リング部を有し、当該リング部は8本の梁状のバネ要素を介して、中心部に掛設されている。当該リング部は、前記中心掛部周りに一次振動および二次振動を行うことができる。当該一次振動は、駆動電極によってcos2θモードで励起される。リング部に対して垂直な軸を中心に外部回転速度Ωが作用するとき、コリオリ力が発生し、当該コリオリ力は、sin2θモードの二次振動を生じさせる。従来技術による当該回転速度センサでは、一つの回転軸を中心とする外部回転速度を検出することしかできない。
特許文献3から検出軸(Y軸)を中心とする回転を検出するための回転速度センサが知られている。当該回転速度センサは支持構造体と、二つの質量体とを有しており、当該質量体は柔軟性を有して前記支持構造体と連結されており、それによって、検出軸に対して垂直な駆動軸に沿って、反対向きの二つの方向に移動を行うことができる。移動される質量体には、検出すべき外部回転速度の回転方向に応じてコリオリ力が作用し、当該コリオリ力によって検出軸を中心とする変位または検出運動が生じる。開示されている回転速度センサは、駆動軸に対して垂直な方向における外部回転速度を検出する。当該回転速度センサでは、三つの空間方向における成分によって、外部回転速度を検出すること(3Dセンサ)は不可能である。
三つの空間方向全てにおいて回転速度を検出すること、あるいは三つの空間方向全てにおける成分によって回転速度を検出することができるように、複数の一次元または二次元の単独センサを組み合わせて、慣性測定装置(Inertial Measurement Unit, IMU)とすることが従来技術から知られている。このとき回転速度を検出するための回転速度センサは、一つの方向において、すなわち一次元の単独センサ要素(センサチップ)として、あるいは、二つの方向において(二次元の単独センサ要素)チップ面または導体プレート面上に、あるいは、相応のセンサケーシング内に、組み合わせて構成される。当該構成はハイブリッド構造またはセンサ・クラスタとも呼ばれる。ハイブリッド構造の慣性測定装置、あるいはチップ面上に複数の異なる単独センサ構成を組み合わせることの不利点は、製造コストが比較的高いことと、必要とする空間が比較的大きいことである。異なる空間方向における回転速度を検出するためにはそれぞれ、駆動質量体と、検出ユニットと、駆動部と、検出システムとを有して成る、対応する独自のセンサ構成を設ける必要があるためである。
このようなハイブリッド構造の製造方法は、例えば特許文献4から知られている。このときウェハは、相応の活性構造体、例えばそれ自体で自立的に作用する一軸または二軸の単独センサを有して製造され、当該単独センサのためのキャビティまたはへこみを有するカバーウェハとともにハウジングされる。三つの空間方向における回転速度を検出するために好適であるコリオリ式回転速度センサおよび当該コリオリ式回転速度センサの製造方法は、非特許文献1に開示されている。当該刊行物はセンサ・クラスタを記載しており、当該センサ・クラスタにおいては、三つの空間方向における回転速度を検出するために好適であるセンサユニットを製造するために、通常の「Out of plane」式センサ(検出軸が基板面から突出しているセンサ)が、二つの「In plane」式センサ(検出軸が基板面内にあるセンサ)と組み合わされる。その結果、記載されているセンサユニットは、それぞれが独立して作用可能である単独センサ素子を三つ有する。当該単独センサ素子は割り当てられた所定の空間方向(X.YまたはZ)における回転速度をそれぞれ検出する。独自に作用可能という意味は、個々の単独センサ素子が全て、それぞれに割り当てられた回転速度を検出するために必要とされる、駆動質量体、検出質量体、駆動ユニットまたは駆動電極、検出ユニットまたは検出電極などの作用ユニットを有しているということである。そのために作用ユニットの数が多いということから、特定の不利点が生じる。すなわち、製造コストが高く、製造、特に取り付けに手間がかかり、多くの場合、単独センサ同士の調整に困難が伴い、ハウジングが複雑であり、寸法が大きい、などの点である。本願発明はまさに、これらの不利点と、所定の空間方向における割り当てられた回転速度をそれぞれ検出する単独センサ素子を複数実装することとを、回避すべきものである。
特許文献5は、Z軸を中心として回転可能に掛設された支持構造体を有して成る、マイクロメカニクスによるコリオリ式回転速度センサを開示している。前記支持構造体に、柔軟性を有する梁部を用いて、4個のサイズモ質量体が、Z軸を中心として90°のずれを有して設けられている。当該センサは、三つの空間軸全てを中心とする回転振動を検出することができる。X軸およびY軸回りの回転は、サイズモ軸自体のずれによって検出され、Z軸回りの回転は、サイズモ質量体から前記支持構造体に伝達される当該サイズモ質量体の回転によって検出される。
独国特許出願公開第102007012163号明細書 欧州特許出願公開第1775551号明細書 米国特許出願公開第2007/0266785号明細書 独国特許出願公開第102006016260号明細書 国際公開第92/21000号パンフレット
M.トレヒター,T.リンク,J.デーネルト,J.アウバー,P.ノメンセン,Y.マノリ(M-Traechter, T.Link, J.Dehnert, J. Auber, P. Nommen-sen, Y.Manoli) 著,「ノベル・スリーアクシス・ジャイロスコープ・オン・ア・シングル・チップ・ユージング・エスオーアイ・テクノロジー(Novel 3-Axis Gyroscope on a Single Chip using SOI-Technology)」,(ドイツ),イナーシャル・センサーズ・アンド・システムズ,ハーエスゲー・イーエムイーテー,フィリンゲン・シュヴェニゲン(Inertial Sensors & Systems, HSG-IMIT, Villingen-Schwennigen) P.メルツ,W.ライネルト,K.ライマー,B.ヴァグナー(P.Merz, W. Reinert, K. Reimer, B. Wagner)著、「ピーエスエム・エックス・ツー:ポリシリコン・サーフェス・マイクロマシニング・プロセス・プラットフォーム・フォー・ヴァキューム・パッケージド・センサーズ(PSM-X2: Polysilicon surface micro-machining process platform for vacuum-packaged sensors, マイクロシステム技術会議議事録(Konferenzband Mikrosystemtechnik-Kongress),ファウデーエー・フェアラーク,デー/フライブルク(VDE Verlag, D/Freiburg), 2005年,p.467−470
上記の従来技術に基づいて、本発明は、三次元空間においてセンサに対して任意に配向されている回転速度または回転速度成分を検出すること、特に同時に検出することに適している、マイクロメカニクスによるコリオリ式回転速度センサおよび方法を提供することを課題とする。当該回転速度センサおよび方法において、このために必要とされる作用ユニットは、センサ面上でセンサ内に組み込まれており、当該センサは従来技術によるセンサシステムに比べて必要とされる構成空間が極めて小さく、三つの空間方向全てにおける回転速度を検出するために必要とされる、励起質量体、駆動ユニット、検出ユニット、連結システムなどの作用ユニットの数が減少されており、駆動モードと検出モードとの分離も向上している。当該センサは特に、できる限り少ないエッチング工程によって、好適に一つの基板から製造され得るべきである。
上記の課題は、互いに直交する三つの空間方向における測定軸(X,Y,Z軸)を中心とする成分によって回転速度を検出するための、マイクロメカニクスによるコリオリ式回転速度センサによって解決される。当該センサは基板と、検出質量体と、少なくとも二つの駆動質量体とを有しており、当該駆動質量体はそれぞれ基板に対して、一次運動を行うように駆動可能であり、前記少なくとも二つの駆動質量体のうちの一つの駆動質量体が行う一次運動の方向は、前記少なくとも二つの駆動質量体のうちの他の駆動質量体が行う一次運動の方向に対して垂直であり、前記検出質量体は前記駆動質量体と連結されており、それによって、前記検出質量体は、検出すべき外部回転速度が作用する際に、コリオリ力によって生じる前記駆動質量体の二次運動によって、検出運動を行うように励起可能である。前記検出質量体は基板に対して検出運動として、互いに直交する三つの空間方向における回転軸(空間軸X,Y,Z)を中心とする回転振動を実施し得る。
上記の課題はさらに、請求項14に記載の慣性測定装置と、請求項15に記載の方法とによって解決される。
本発明に係るコリオリ式回転速度センサは、好適に、非特許文献2に記載されているような、表面微小機械工学プロセスまたは同様の方法によって、特に好ましくは単体の基板から製造される。
本発明に係るコリオリ式回転速度センサの説明に際し、分かりやすくする目的で、図1に示す直交座標系を用いる。当該図1に記載されている概念は以下のように定義される。
X,Y,Z:空間軸
,V,V:X,Y,Z軸の正の方向における速度ベクトル
Ω,Ω,Ω:X,Y,Z軸回りの外部回転速度
θ,θ,θ:X,Y,Z軸回りの回転角
座標系の原点は基板に対して移動されるセンサのユニット、例えば検出質量体あるいは駆動質量体の回転中心にある。本願の詳細な説明において、座標系は例えば以下のように配向されている。すなわち、X軸およびY軸は、基板面に平行かつ基板面内に設けられており、Z軸は基板面に直交するように延在する。センサおよび回転速度などに対して、座標系を他の向きに設けることも当然可能であるので、選択された配向は本発明を限定するものではない。
本発明に係るコリオリ式回転速度センサによって、好適に、外部回転速度は、センサに対する当該外部回転速度の向きに関わらず、空間の全ての方向において検出され得る。これは本発明に係る単独センサ素子のみによって可能であり、特定の空間方向における回転速度を検出するために、付加的なセンサユニットを必要とすることがない。特に、従来技術に関して説明したセンサユニットのように、チップ面または導体プレート面上に、一軸および二軸のセンサを実装することにより、センサ・クラスタとして三軸センサが形成される場合と異なり、駆動質量体および検出質量体、ならびに、場合によって連結システムであって、当該駆動質量体と検出質量体の間および基板に対する連結システムなどの作用ユニットは、センサ面においてセンサ内に組み込まれている。当該センサは単独センサ素子として形成されており、すなわち、三つの空間方向において任意に配向されている回転速度を検出するために必要とされる、全ての検出質量体および駆動質量体が、好適に単一部材から成る基板に設けられているのである。本発明に係るセンサは真の三軸コリオリ式回転速度センサであり、従来技術によるセンサ・クラスタと比べて、構成空間が小さいことと、製造コストが低いことと、製造が容易であることを特徴とする。
請求項1によれば、本発明に係る回転速度センサは基板と、検出質量体と、少なくとも二つの駆動質量体とを有している。当該センサは好適に単独の検出質量体を有しており、当該単独の検出質量体によって、任意に配向されている個々の外部回転速度が検出可能である。回転速度センサの基板は当該回転速度センサを特定的に用いる際に、直接的または間接的に測定すべき系と結合されているとともに参照系を形成し、当該参照系を基準として検出すべき外部回転速度が(記述のために用いられる座標系と一致するように)特定される。
駆動質量体は基板に対して、一次運動を行うように駆動可能であるとともに、少なくとも測定プロセスの間、あるいは恒常的に、当該一次運動を行う。当該一次運動は、好適に並進振動であるが、円形運動であってもよい。検出質量体は駆動質量体と連結されており、好ましくは機械的に、例えば機械的な連結要素、特にバネ要素を用いて連結されている。当該連結は基本的に、基板および参照系に対する駆動質量体の運動、あるいは、当該運動の成分を所望の方法で検出質量体に伝達するためのものである。駆動質量体が基板に対して行う一次運動によって、外部回転速度が作用する際に、基板および参照系に対する当該外部回転速度の向きに応じて駆動質量体に作用するコリオリ力が生じる。当該コリオリ力は、駆動質量体の二次運動を生じさせ、当該二次運動は、検出質量体と駆動質量体との連結部、すなわちバネ要素を介して検出質量体に伝えられる。駆動質量体の二次運動を検出質量体に伝えることによって、当該検出質量体は検出運動を行うように励起される。当該検出運動の値と方向は、外部回転速度の大きさと向きに依存している。本発明に係るセンサの形成は、三つの空間軸のそれぞれを中心として、センサ全体が回転すると、駆動質量体の一次運動によってコリオリ力が生じるように行われている。当該コリオリ力は、二次運動および検出運動を生じさせる。
本発明に係る回転速度センサは以下のように形成されている。すなわち、少なくとも二つの駆動質量体のうちの一つの駆動質量体(以下、第一の駆動質量体という)が行う一次運動の方向は、前記少なくとも二つの駆動質量体のうちの他の駆動質量体(以下、第二の駆動質量体という)が行う一次運動の方向に対して垂直である。例えば第一の駆動質量体は一次運動をX方向において行い得る。その場合、第二の駆動質量体は一次運動をX方向に対して垂直なY方向において行う。二つの駆動質量体が行う一次運動は、XY平面において互いに直交する。ここで外部回転速度があると、コリオリ効果のために、個々の駆動質量体にトルクが作用する。従って上記の例では、X軸を中心とする外部回転速度によって、第二の駆動質量体に作用するコリオリ力が生じ、当該コリオリ力は、第二の駆動質量体の二次運動を生じさせる。これに対して、X軸を中心とする外部回転速度は、第一の駆動質量体の二次運動を生じさせない。これは、第一の駆動質量体の一次運動の方向が、外部回転速度の方向に対して平行であり、すなわち、数式(1)で示されるコリオリ力が、外部回転速度と第一の駆動質量体の一次速度とのクロス積として、ゼロ値を有しているためである。
同様に、Y軸を中心とする外部回転速度によって、第一の駆動質量体に作用するコリオリ力が生じ、当該コリオリ力は、第一の駆動質量体の二次運動を生じさせる。Y軸を中心とする外部回転速度は、上記の関係(クロス積)に基づいて、第二の駆動質量体に作用するコリオリ力を生じさせない。そのために、第二の駆動質量体は二次運動を行うように励起されない。
最後にZ方向における外部回転速度は、第一の駆動質量体と第二の駆動質量体とにコリオリ力を生じさせる。駆動質量体の一次運動が種類と方向に応じて、互いに調整されていると、コリオリ力は積み重なってトルクとなり、当該トルクは回転方向に応じて、Z軸を中心に時計周り、または、反時計回りに作用する。その結果、駆動質量体はZ軸を中心として時計周り、または、反時計回りに二次運動を行うように励起される。
本発明によれば駆動質量体は、それぞれ、他の駆動質量体の一次運動に直交する向きを有する一次運動を行うので、外部回転速度は、当該外部回転速度の空間における位置づけと、センサに対する向きとに関わらず、第一の駆動質量体および/または第二の駆動質量体の二次運動として、相応の反応を生じさせる。二次運動は、検出質量体と駆動質量体との連結に基づいて、検出質量体の検出運動を生じさせ、当該検出質量体は基板に対して当該検出運動を行う。本発明によれば検出質量体は、当該検出質量体が、個々の検出運動として、参照座標系の三つの軸のそれぞれを中心に(互いに直交する三つの空間方向X,Y,Zにおいて)回転振動を実施できるように、形成されている。本発明によるセンサ構成により、三つの空間軸すべてを中心とする、センサまたは当該センサと連結された参照系の外部の回転が検出可能である。
本発明の特に好適な実施の形態では、コリオリ式回転速度センサは、いずれの態様においても少なくとも4個の駆動質量体を有し得る。当該少なくとも4個の駆動質量体は以下において、第一駆動質量体、第二駆動質量体、第三駆動質量体、第四駆動質量体と呼ばれる。当該駆動質量体は、それぞれ二つの駆動質量体が、反対の移動方向を有する逆位相の一次運動を行うように、互いに設けられるとともに互いに連結されている。残りの二つの駆動質量体は、これに対して直交するとともに、同様に逆位相かつ反対の移動方向を有する一次運動を行う。例えば第一駆動質量体は正のX方向において振動する一方、第三駆動質量体は同じ周波数、かつ、逆位相で、負のX方向において振動する。第二駆動質量体は正のY方向において振動し、第四駆動質量体は同じ周波数、かつ、逆位相で、負のY方向において振動する。このようにして、駆動質量体の一次運動は、検出質量体に伝達されないか、あるいは、互いに重なり合い、かつ、打ち消しあう成分のみを有して検出質量体に伝達される。これによって、検出モードを一次運動から機械的に完全に分離することが実現される。これは、駆動質量体と検出質量体との連結を介して行われるのは、概ね二次運動の伝達のみであることを意味する。
本発明のさらなる実施の形態では、検出質量体が基板に設けられている。当該配置は直接的または間接的に行われ得る。検出質量体は特に、基板または基板に塗布された層における係留点を介して設けられていてよい。検出質量体が基板に直接的または間接的に設けられる場合、駆動質量体は基板と直接的に連結されておらず、検出質量体を介して間接的にのみ基板と連結されている。代替的に、駆動質量体がそれぞれ、直接的または間接的に基板に設けられており、当該駆動質量体を介して、検出質量体を間接的に基板に配置することも可能である。
検出質量体が基板に対して並進的に移動不能に配置または固定されていると有利である。この場合、検出質量体の運動に関しては三つの自由度が残っている。すなわち、座標系の三つの軸を中心とする回転振動としての運動である。基板における検出質量体のこのような配置は、検出質量体と基板の間の、極めて多様な支承構造によって、例えば、好適に検出質量体の回転の中心に対して対称的に設けられた、一つまたは複数の固定構造体によって、実現され得る。しかしながら特に好適なのは、検出質量体を、当該検出質量体の質量中心内部にある、基板に設けられた掛部を用いて、あるいは、中央係留部として基板に塗布された層を用いて配置することである。当該内部の掛部は好適にバネ構造体を含み、当該バネ構造体は、検出質量体を、例えば中央に設けられたピンまたは係留要素のようなものを介して間接的に、あるいは中央において直接的に、基板と連結している。このときバネ構造体は好適に、単独で、あるいは組み合わされて、基板に対する検出質量体の並進的相対移動に対する抵抗を生じさせ、当該並進的相対移動をほぼ完全に制限する。一方で、参照座標系の三つの軸を中心とする回転運動は、概ね制限なしに可能となる。
バネ要素を有してなる中央掛部を用いることに替わる方法は、基板の中央に検出質量体のカルダン式掛部を設けるものである。このようなカルダン式掛部において、フレーム要素または類似のものは、当該フレーム要素が第一の軸回りに回転することを可能にする第一のバネ要素を用いて、中央係留部または掛設点に設けられている。前記フレーム要素には第二のバネ要素が、第一のバネ要素に直交するように設けられており、当該第二のバネ要素は、フレーム要素の回転方向に直交する回転を可能にする。当該第二のバネ要素には検出質量体が掛設されている。場合によっては、すなわち、第一および第二のバネ要素を用いて、検出質量体が二つのみの自由度を有して掛設されている場合、第三の軸を中心とする回転のためにさらなるフレームおよびさらなるバネ要素が設けられていてよい。それによって、検出質量体は、このようなカルダン式掛部を介して、三つの空間方向において、回動可能に支承される。
特に好適な実施の形態において、駆動質量体は検出質量体の周囲に設けられている。すなわち、参照座標系の原点を起点として、検出ユニットの径方向外側に設けられている。検出質量体と駆動質量体は一つの平面(本発明の座標系ではXY平面)に設けられているのが好ましい。さらに、特に少なくとも4個の駆動質量体の場合、それぞれ二つの駆動質量体が互いに対向するとともに、検出質量体が当該二つの駆動質量体の間に設けられている状態で配置され得ることが提案される。これによって特に簡単な方法で、一次運動と、駆動質量体の二次運動および検出質量体の検出運動との分離が実現される。駆動質量体の一次運動は、好適に検出質量体に伝達されないか、対向する駆動質量体の一次運動に基づいて検出質量体に導入される力の成分が、相互に、好ましくは完全に消去し合うようにしか伝達されない。それぞれ二つの駆動質量体を互いに対向するように配置することにより、当該駆動質量体の二次運動は互いに打ち消し合わずに、積み重なる。このように互いに増強し合う二次運動は、検出ユニットを励起して検出運動を行わせ、当該検出運動はその後、好適な測定手段または検出メカニズムを介して評価される。
駆動質量体と検出質量体との連結部は、好適に以下のように形成されている。すなわち、駆動質量体の一次運動は検出質量体に伝達されないが、駆動質量体の二次運動は検出質量体に伝達され、当該検出質量体を励起して、検出運動を行わせることができるように形成されている。言い換えれば、機械的な連結構造の特殊な配置によって、検出運動(検出モード)と、その時々に行われる単独または複数の一次運動(駆動モード)とを機械的に分離することができる。連結部によって、駆動質量体の運動が検出質量体に所定のよう
に伝達されるほか、検出質量体に対する各駆動質量体の個々の自由度も規定され、かつ、調整される。少なくとも一つの駆動質量体が、当該駆動質量体の一次運動を径方向において制限なしに行えるように連結が実施されていると、有利である。本発明のさらなる提案では、二次運動に関して、連結部は以下のように形成されている必要がある。すなわち、駆動質量体が検出軸に対して、互いに直交する空間方向において二つの回転的な二次運動を行えるように連結部を形成すべきである。連結部によって、一次運動に対して平行な空間方向を中心に行われる、駆動質量体の回転的な二次運動が概ね防止されると、特に有利である。
本発明のさらなる提案によれば、個々の駆動質量体はそれぞれ少なくとも一つのバネ要素、特に二つのバネ要素によって、検出質量体と連結されている。少なくとも一つの駆動質量体、好ましくは個々の駆動質量体がそれぞれ、検出質量体に対向する、前記駆動質量体の内部領域に結合され、かつ、当該内部領域に設けられている一つまたは複数の第一のバネ要素を用いるとともに、検出質量体に背向する、前記駆動質量体の外部領域に結合されている一つまたは複数の第二のバネ要素を用いて、検出質量体と連結されていると、特に有利である。理想的な場合には、このようなバネの幾何形状に基づき、検出質量体に対する駆動質量体の運動モードは三つのみが可能である。すなわち、好適に径方向における並進的な振動の形で励起される運動であって、それぞれ対向する駆動質量体に対して逆位相である一次運動と、X軸方向において一次運動を行う駆動質量体に関する、Y軸およびZ軸回りのねじれ運動としての二次運動と、Y軸方向において一次運動を行う駆動質量体に関する、X軸およびZ軸回りのねじれ運動としての二次運動とである。さらなる全ての運動の可能性は、上記のバネの幾何形状によって、好適にほぼ完全に抑制されるか、もしくは、できる限り制限される。この点は、二つの寄生性の主モードについて特に当てはまる。当該寄生性の主モードについては再度、特に詳述する。
まず、二つの対向する駆動質量体のXY平面からの同位相の振動(バタフライモード)の共振ピークを、できる限り除去する必要がある。これは例えば、このような寄生振動の共振振動数が、駆動質量体の一次運動の共振振動数のできる限り上方にあることによって実現される。本発明においてこれは、駆動質量体が、一方で内部領域に設けられたバネ要素によって、他方で外部領域に設けられたバネ要素によって、検出質量体に設けられていることによって実現される。これによって、共振振動数領域は、一次運動の領域外にずれる。
その一方で、一次運動の運動方向における軸を中心とする回転振動としての二次運動は、最小化するか、または、ほぼ完全に防止されるべきである。これは好適に、対応する運動軸からできる限り離れている二つのバネ要素を用いることによって実現される。当該二つのバネ要素は、個々の座標軸を中心とする駆動質量体のこのようなねじれに対して、十分な抵抗を供する。
本発明の特に有利な実施の形態において、少なくとも一つの駆動質量体、好ましくは個々の駆動質量体は通路を有しており、当該通路は径方向に延在するとともに、少なくとも片側において、好ましくは両側において開放されている。当該通路内に、概ね曲げ剛性を有する構造体が、好ましくは梁構造体として設けられており、当該構造体によって、検出質量体に対向する、駆動質量体の内部領域に結合されている第一のバネ要素は、検出質量体に背向する、駆動質量体の外部領域に設けられている第二のバネ要素に結合されている。
さらなる実施の形態において、少なくとも一つの駆動質量体、好ましくは個々の駆動質量体は、前記バネ要素の少なくとも一つを収容するための凹部を有している。当該凹部は好適に、検出質量体に背向する、駆動質量体の外部領域に設けられている。当該凹部は好適に通路によって、検出質量体に対向する駆動質量体の内部領域を介して、検出質量体に向かって開放されている。当該凹部に設けられている少なくとも一つのバネ要素は、通路内に設けられている梁構造体を介して、他のバネ要素と連結されている。当該他のバネ要素は好適に、駆動質量体と検出質量体の間の空間に設けられているが、駆動質量体はこのためにさらなる凹部を有していてもよい。
駆動質量体の駆動は好適に、例えばフィンガー電極に電圧を印加することを介して静電気によって行われ、磁界をつなぐことによって圧電あるいは磁力によって行われる。さらなる提案によれば、コリオリ式回転速度センサは、駆動質量体の一次運動を生じさせるために、少なくとも一つの駆動部を有しており、個々の駆動質量体に対してそれぞれ一つの駆動部を有しているのが好ましい。当該駆動部は、駆動質量体と基板との相対運動として、一次運動を生じさせる。当該駆動部が、駆動質量体ごとに、好適に当該駆動質量体に設けられている櫛状の電極を有していると特に有利である。当該櫛状の電極はそれぞれ、基板に設けられている櫛状の対向電極と協働する。当該対向電極は、直接的に、あるいは係留構造体を介して間接的に、基板に固定されていてよい。同じことは電極にも当てはまる。当該電極も、間接的または直接的に個々の駆動質量体に固定されていてよい。交流電圧を印加することによって、電極と対向電極との間に静電力が誘導され、それによって個々の駆動質量体は基板に対して変位する。このとき電気的な交互応力が、機械的な共振振動数の付近で駆動質量体に供給されると、減衰係数が低い場合(例えば真空において)、電圧の振幅が比較的小さくても、0.1から100μmの範囲の大きな変位が実現され得る。係留構造体、電極および対向電極といった静電的な駆動部の構成要素は好適に、印加される静電力によっても、個々の駆動質量体の一次運動または二次運動の際に生じる慣性力によっても、変形されないように実施されている。
駆動質量体の一次運動および二次運動を互いに調整および調節できるように、駆動質量体は好適に、好ましくは連結バネを介して、互いに連結されていてよい。当該連結バネは、駆動質量体が一次運動において同時に逆位相で振動することを確実にすべきであり、もしくは当該振動を確実にする。駆動質量体を互いに連結することによって、当該駆動質量体はほぼ連結型駆動質量体として形成され、当該連結型駆動質量体は好適に、主たる振動モードを一つしか有さず、従って共振振動数を一つしか有さない。駆動質量体間の連結バネによって実現されるのは、一次モードと三つの二次モードが最も小さい共振振動数を示すことである。特に、少なくとも二つの駆動質量体が平行もしくは同位相で動く運動は、ほとんど完全に消去され、当該少なくとも二つの駆動質量体の共振振動数は、前記の四つの作用振動数よりもはるかに大きい。このような平行な運動パターンは、加速時にXY平面において生じるために、センサは、衝撃に対する頑健性と、振動に対する剛性において良好であることを示す。連結バネは、折りたたみ式あるいはU字形のバネ要素として形成されていると特に有利である。
駆動質量体には連結バネのほかに、さらなる構造体が設けられていてよい。当該さらなる構造体は、例えば駆動質量体/連結バネの系の機械的安定性を増大させるか、あるいは当該機械的安定性に影響を及ぼす。例えば連結バネに、U字形の連結バネの場合は特に当該連結バネの方向転換点に、および/または別の方法で直接的に駆動質量体に、周回するリング構造体が設けられ得る。当該リング構造体は連結バネを互いに連結するとともに、当該連結バネの機械的挙動を同期させる。駆動質量体/連結バネの系の機械的挙動に影響を及ぼすためのさらなる可能性は、外部バネであり、当該外部バネは外部係留部を介して基板に固定されている。外部バネは駆動質量体および/または連結バネに設けられていてよく、基板に対する駆動質量体および連結バネの運動可能性に、所望の影響を及ぼす。
本発明のさらなる提案によれば、本発明に係る回転速度センサは、少なくとも二つの第一の電極対であって、Xを中心とする回転速度センサの傾きを検出するための第一の電極対と、少なくとも二つの第二の電極対であって、Yを中心とする回転速度センサの傾きを検出するための第二の電極対と、少なくとも二つの第三の電極対であって、Zを中心とする回転速度センサの傾きを検出するための第三の電極対とを有している。個々の電極対はそれぞれ、基板に設けられた対向電極と、検出質量体に設けられた電極とを含んでいる。一つの電極対は、検出質量体の一方の側に設けられており、残りの電極対は(検出質量体および参照座標系の原点の)反対側に設けられている。測定分解能を向上させるために、さらなる提案によれば、一つの電極/対向電極において容量変化が測定される必要はなく、互いに対応する二つの電極対の微分容量が検出され得る。それによって、絶対的な容量値は非常に小さくなる。このために電極対はさらに、微分容量が検出され得るように、互いに接続されている。検出質量体が静止位置にあるとき、互いに対応する電極対、すなわち、(それぞれ電極と対向電極を含んだ状態で)互いに向かい合っている電極対の静電容量値の差は、ゼロに等しい。検出運動に基づいて検出質量体が変位するとき、一方の電極対の静電容量が増大するとともに、補完的な電極対の静電容量は同じように減少するので、容量差は個々の容量変化の倍の値に増加する。
三つの空間方向全てにおける検出運動の検出を確実に行えるように、本発明のさらなる提案によれば、センサの個々の実施の形態において、少なくとも一つの電極対が、フィンガー電極として形成されていてよく、当該フィンガー電極は基板に設けられた対応するフィンガー対向電極と協働する。さらに、少なくとも一つの電極対は、検出質量体と基板との間および/または検出質量体と、基板に背向する側に形成された対向基板との間に設けられた平板電極として、基板もしくは対向基板に設けられた対応する平板対向電極を有して形成されていてよい。検出質量体の両側に、互いに向き合うフィンガー電極が設けられていると好適である。
本発明はまた、本発明に係る回転速度センサを有する慣性測定装置(IMU,Inertial Measurement Unit)に関する。特に有利に、加速度測定装置は、本発明に係る3D回転速度センサのほかに、それぞれ一つ、二つあるいは三つの空間方向における線加速度を検出するための加速度センサを有し得る。当該加速度測定装置は、従来の構成および結合技術によるチップとして、相応のアプリケーション・スペシフィック・インテグレイテッド・サーキット(ASIC)と共に、プラスチック、金属またはセラミックのケーシング内に、ハイブリッド構成体として、ワイヤボンディング、フリップ・チップ技術などを用いて構成され得る。MEMS技術とASIC技術を一体的に集積化することも考えられる。
本発明は最終的に、互いに直交する三つの空間方向における回転速度を検出するための方法であって、好適に上記の実施の形態または請求項のうちの一つに記載のセンサを用いる方法に関する。当該方法において、少なくとも四個の駆動質量体は、好適に第一、第二、第三、第四の駆動質量体として、それぞれ一次運動としての並進振動を行うように励起され、少なくとも二つの駆動質量体は、少なくとも二つの他の駆動質量体が行う一次運動に対して垂直な一次運動を行い、検出すべき外部回転速度が作用する際にコリオリ力によって生じる、少なくとも一つの駆動質量体の二次運動は、検出質量体に伝達され、当該検出質量体は基板に対して、互いに直交する三つの空間方向(X,Y,Z)における回転振動を実施し得る。このとき検出質量体が間に設けられた状態で互いに向き合うように設けられている駆動質量体は、同時に逆位相で振動する。さらに、駆動質量体と検出質量体の一次運動と二次運動の共振振動数は、特に有利には1.0kHzから50.0kHzの範囲、好ましくは5kHzから30.0kHzの範囲、より好ましくは10.0kHzから12.0kHzの範囲、特に好ましくは11.0kHzである。さらなる運動モードの共振振動数は、全ての実施の形態において、より高い周波数領域にあり得るので、妨げとなるカップリングはほぼ完全に回避され得る。
本発明のさらなる有利点と特徴は、図面に基づいて行われるとともに、本発明を限定しない、例として挙げる以下の実施の形態の説明に記載されている。図に示すのは以下の通りである。
センサに対して用いられる参照座標系の配置と向きを説明するための概略的な図である。 xy平面上のコリオリ式回転速度センサを負のZ方向において概略的に示す図である。 X軸回りに外部回転速度が作用するときの図2に対応する図である。 Y軸回りに外部回転速度が作用するときの図2に対応する図である。 Z軸回りに外部回転速度が作用するときの図2に対応する図である。 図2から5に示すセンサの駆動ユニットの部分を拡大して示す図である。 他の実施の形態のセンサの駆動質量体をxy平面において示す図である。 検出ユニットの構成を概略的に示す図である。 センサの他の実施の形態をxy平面上で負のZ方向において示す図である。 図9のセンサのコーナー領域の部分を拡大して示す図である。 3Dコリオリ式回転速度センサと3D加速度センサをチップ面で慣性測定装置(IMU)として組み合わせたものを概略的に示す図である。
図1に示す直交座標系は、本発明の上記の一般的な説明および以下の好適な実施の形態の説明の際に、センサに対する配置と向きを一義的に表すための参照系として用いられ、当該直交座標系においては、三つの空間軸を示すX,YおよびZのほかに、速度ベクトル(V)と、外部回転速度(Ω)と、個々の軸を中心とする回転角(θ)と、正の回転方向が書き込まれている。当該座標系は大部分の残りの図において、分かりやすくする目的でセンサの個々の表示と並んで表示されている。しかしながら当該座標系は、当該センサに対して、座標系の原点がセンサの中央係留点1と一致し、かつ、xy平面が基板に対して平行に延在するとともに、Z軸がxy平面に直交して設けられるように配置されている。
図2にはコリオリ式回転速度センサの実施の形態が示されている。当該図は基板に対して平行なxy平面を負のZ方向において示している。図2に示すセンサは図3,4,および5において同様に表され、当該図3,4,および5は、X軸、Y軸もしくはZ軸を中心として外部回転速度が生じているときのセンサを示している。従って図においてセンサの同一の要素には、同一の参照番号が付されている。
好適な実施の形態のセンサは中央係留点1を有しており、当該係留点は、径方向に設けられているバネ要素2を介して検出質量体3を、当該検出質量体3の平面に対して平行に設けられている基板7に連結している。中央係留部1と検出質量体3の間のバネ要素2は、当該検出質量体が運動に関してほぼ三つの自由度を有するように形成されている。当該検出質量体はX軸、Y軸およびZ軸を中心として回転運動を行うことができる。検出質量体3の並進運動はバネ要素2によって、ほぼ完全に回避される。
検出質量体3の外縁には、バネ要素5が径方向に設けられている。当該バネ要素を介して検出質量体3は、図に示す実施の形態では、4個の駆動質量体4a,4b,4c,4dと連結されている。当該駆動質量体4a,4b,4c,4dは径方向において、検出質量体3の周囲に設けられている。
当該駆動質量体4a,4b,4c,4dは連結バネ6を介して互いに連結されており、二つの駆動質量体4a,4b,4c,4dの間にそれぞれ一つの連結バネ6が設けられている。連結バネ6は、駆動質量体4a,4b,4c,4d同士を機械的に互いに連結するために用いられ、それによって幾何学的に好適に実施された場合、駆動質量体4a,4b,4c,4dは所定の運動モードと固有振動数を有する機械的ユニットと見なすことができる。
駆動質量体4a,4b,4c,4dは、図6において駆動質量体4aを例にして拡大して表されている容量性駆動部を介して一次振動させられる。当該駆動部はそれぞれ対向電極10を有しており、当該対向電極は外部係留部11を介して基板7に固定されている。対向電極10は径方向内側に、中央係留部1に向いている対向電極櫛部12を有しており、当該対向電極櫛部の電極フィンガーは径方向において、参照座標系の原点を指し示すように配向されている。対向電極櫛部12はそれぞれ、電極櫛部9と係合している。電極櫛部9は径方向において、駆動質量体4a,4b,4c,4dの外周に設けられている。電極と対向電極との距離は、駆動質量体が当該駆動質量体の一次運動および全ての二次運動を、電極櫛部9と対向電極櫛部12とが接触することなしに行えるように、選択される。
電極櫛部9と対向電極櫛部12との間に交流電圧を印加することによって、静電力が誘導され、当該静電力に基づいて駆動質量体は、対向電極10に対して一次運動として変位される。電気的な交互応力が、機械的な共振振動数fの付近で供給されると、減衰係数が低い場合(例えば真空において)、電圧の振幅が比較的小さくても、0.1から100μの範囲の大きな変位が実現され得る。このとき全ての構成要素、すなわち、対向電極10、外部係留部11および駆動質量体4a,4b,4c,4dは、印加される静電力によっても、一次運動または二次運動によっても、変形されないように実施されている。
残りの駆動質量体4b,4c,4dの駆動部は、前記の駆動質量体4aの駆動部と同一の方法で形成されている。
上記のように形成された駆動部を介して、各駆動質量体4a,4b,4c,4dは個々に駆動される。当該駆動は、個々の駆動質量体4a,4b,4c,4dが径方向において一次運動を行うように実施される。駆動質量体4a,4b,4c,4dの同時的な運動方向は、互いに調整され、それによって、当該駆動質量体は同時に径方向外側に向かって、すなわち中央係留部1から離れるように、あるいは、径方向内側に向かって、すなわち中央係留部1に向かって移動する。このように、駆動質量体4aは径方向において正のX軸(VXa)の方向に移動し、駆動質量体4cは径方向において負のX軸(VXc)の方向に移動し、駆動質量体4bは径方向において正のY軸(VYb)の方向に移動し、駆動質量体4dは径方向において負のY軸(VYd)の方向に移動する。駆動質量体4a,4b,4c,4dは、径方向振動を逆位相で行う。センサの設計は、当該逆位相式駆動モードが、可能な全ての運動モードの最も小さい共振振動数を有するとともに、他の二次モードの共振振動数はそれより大きくなるように行われている。
外部回転速度Ωがあるとき、駆動質量体4a,4b,4c,4dの一次運動VXa,Yb,Xc,Ydに基づいて、コリオリ作用に誘発されて、当該駆動質量体にトルクが作用する。図3には、X軸を中心とする外部回転速度Ωの作用が示されている。駆動質量体4a,4b,4c,4dは、X軸もしくはY軸方向における径方向振動として、上記の一次運動VXa,Yb,Xc,Ydを実施する。外部回転速度Ωによって、X軸を中心とする系全体の回転が生じ、駆動質量体4b,4dがX軸回りに当該駆動質量体の二次運動として、振動しながら行う回転運動θXb,θXdを生じさせる。駆動質量体4b,4dは逆位相の一次運動VYb,Ydを行うので、当該駆動質量体の二次運動も逆位相である。すなわち、駆動質量体4bが図に示すxy平面から、正のZ軸の方向に振動する時間において、駆動質量体4dは、xy平面から、負のZ軸の方向に振動する。
外部回転速度Ωは駆動質量体4a,4cに関して、二次運動を生じさせない。その理由は、当該二次運動の方向が、駆動質量体4aもしくは4cの一次運動VXa,Xcと一致し、クロス積としてのコリオリ力の関係式Fc=2m(vxΩ)に基づいて、コリオリ力の発生に至らないためである。これによって、駆動質量体4a,4cは、X軸を中心とする外部回転速度Ωが作用するとき、当該駆動質量体の一次運動VXaもしくはVXcのみを行い、二次運動は行わない。
駆動質量体4b,4dの二次運動θXb,θXdは、バネ要素5によって検出質量体3に伝えられる。当該検出質量体は、バネ要素2と中央係留部1とを用いて中央に掛設されているために、三つの空間軸X,Y,Z全てを中心として、回転運動を行うことができるので、二次運動θXb,θXdに誘導されて、X軸回りに振動する。検出質量体3の当該運動を以下において、検出運動θX3と表す。以下に述べるように、検出運動θX3の変位の大きさは容量的に検出されるとともに、第一近似において外部回転速度Ωに正比例する。
Y軸を中心とする外部回転速度Ωは、上記と同様に、駆動質量体4aもしくは4cがY軸回りに二次運動θYa,θYcを行うようにさせる。駆動質量体4b,4dにはコリオリ力が作用しない。その理由は、外部回転速度Ωが駆動質量体4b,4dの一次運動Yb,Ydと等しい方向を有することである。駆動質量体4a,4cの二次運動θYa,θYcはバネ要素5によって検出質量体3に伝えられる。これによって当該検出質量体は、Y軸回りの回転振動としての検出運動θY3を行うように励起される。この場合も検出運動θY3の変位の大きさは、外部回転速度Ωに正比例するとともに、容量的に検出され得る。
図5には、Z軸回りの外部回転速度Ωの作用が表されている。外部回転速度Ωは、全ての一次運動VXa,Yb,XcおよびVYdに直交するので、個々の駆動質量体4a,4b,4c,4dにコリオリ力が及ぼされる。相互関係式F=(VXΩ)に基づいて、一次運動VXa,Yb,Xc,Ydがそれぞれ正の軸方向に経過するとき、駆動質量体4aには負のY方向のコリオリ力が作用し、駆動質量体4cには正のY方向のコリオリ力が作用し、駆動質量体4bには負のX方向のコリオリ力が作用し、駆動質量体4dには正のX方向のコリオリ力が作用する。一次運動VXa,Yb,Xc,Ydの運動が逆転するとき、すなわち、中央係留部1と駆動質量体4a,4b,4c,4dとの距離が減少するとき、上記のコリオリ力は符号が逆になる。最初に述べた場合について、駆動質量体4a,4b,4c,4dに作用するコリオリ力が図5に書き込まれている。中央係留部1までの距離が増大するとき、コリオリ力は加算されて、全体として駆動質量体4a,4b,4c,4dに作用する時計回りのトルクになることが、明らかに認められる。これに対して逆の場合には、反時計回りのトルクになる。駆動質量体4a,4b,4c,4dは、作用するコリオリ力に基づいて、Z軸回りの回転振動θZa,θZb,θZcおよびθZdとしての二次運動を行う。当該二次運動はバネ要素5の作用によって、検出質量体3に伝えられる。これによって当該検出質量体は、Z軸回りの回転振動θZ3としての検出運動を行うように励起される。検出質量体3の検出運動θZ3は外部回転速度Ωに正比例するとともに、この場合も容量的に検出され得る。
全体として、外部回転速度Ω,ΩおよびΩは、それぞれの軸X,YおよびZを中心とする回転振動としての駆動質量体3の検出運動θX3,θY3,θZ3を生じさせる。図に示す実施の形態が特に有利なのは、全ての検出モードが一次運動から機械的に分離されている点である。このように駆動質量体4a,4b,4c,4dを対向的に配置することと、当該駆動質量体の一次運動がそれぞれ逆位相で行われることによって、すなわち、駆動質量体4aは当該駆動質量体の一次運動VXaを、駆動質量体4cの一次運動VXcに対して逆位相で行うとともに、駆動質量体4bは当該駆動質量体の一次運動VYbを、駆動質量体4dの一次運動VYdに対して逆位相で行うことによって、それぞれ対向する一次運動によって生じる力およびトルクは、互いに打ち消し合う。駆動質量体4a,4b,4c,4dに作用する求心力および遠心力も、対向的な配置によって、互いに打ち消し合う。駆動質量体4a,4b,4c,4dと、バネ要素5と、連結バネ6とから成る系の共振振動数fは、図に示す実施の形態の場合、好適に11kHzの値である。Q値が10000であるとき、駆動質量体4a,4b,4c,4dはおよそ10μmの振幅で振動する。三つの軸X,YおよびZを中心とする回転振動に関する、検出質量体3の共振振動数f3x,f3y,f3zは、同じような領域、すなわち、好適におよそ10.0kHzと12.0kHzの間にある。このように、駆動質量体4a,4b,4c,4dと、バネ要素5と、連結バネ6とから成る系の共振振動数(f)と、検出質量体3の共振振動数(f3x,f3y,f3z)とが、互いに近くにあることによって、駆動質量体4a,4b,4c,4dの二次運動を検出質量体3に、当該検出質量体の検出運動として、確実に良好に伝えることができる。最大の伝達可能性を得るためには、共振振動数がほぼ同一であることが理想的であろうが、その場合、時間に依存する回転速度によって、大幅に低減されるとともに不正な信号を生じさせる恐れがある。そのために帯域幅は非常に小さくなるであろう。
駆動質量体4a,4b,4c,4dを検出質量体3に連結しているバネ要素5は、検出質量体3に対して、駆動質量体4a,4b,4c,4dがそれぞれ、三つの運動モードのみを行えるように形成されている。駆動質量体4aおよび4cの場合、当該三つの運動モードは、径方向において互いに逆位相である一次運動VXaおよびVXcと、Y軸回りのねじれ運動θYaもしくはθYc、および、Z軸回りのねじれ運動θZaもしくはθZcとしての二次運動と、である。
駆動質量体4bおよび4dも同様に、検出質量体3に対して、三つの運動モードのみを実施し得る。当該三つの運動モードは、中央係留部に対して径方向であるとともに互いに逆位相であるVYb,Ydと、X軸回りのねじれ運動θXbもしくはθXd、および、Z軸回りのねじれ運動θZbもしくはθZdとしての二次運動である。
駆動質量体4a,4b,4c,4dの他の全ての運動モードはバネ要素5の幾何形状と構成とによって抑制されるか、もしくは、できる限り制限される。この点に関して特に重要なのは、二つの寄生性の主たるモード、すなわち、駆動質量体4aおよび4cのX軸回りの回転、もしくは、駆動質量体4bおよび4dのY軸回りの回転と、駆動質量体4aおよび4c、ならびに、4bおよび4dの、xy平面からZ軸方向に行われる同位相の振動(バタフライモードとも呼ばれる)と、を抑制することである。
図2から6に示されるセンサの実施の形態において、第一に挙げられた寄生性の主たるモードは、以下のように最小化される。すなわち、駆動質量体4aおよび4cを検出質量体3に連結するために、X軸からできる限り遠くに設けられている二つのバネ要素5が用いられるとともに、駆動質量体4bおよび4dを検出質量体3に連結するために、Y軸からできる限り遠くに設けられている二つのバネ要素5が用いられることによって第一に挙げられた寄生性の主たるモードが最小化される。
図7において詳細に示されているバネ要素5および駆動質量体4a,4b,4c,4dの形成は、第二に挙げられた寄生性の主たるモードに抵抗するように働く。図7に例示された駆動質量体4aは全体で4個のバネ要素5によって、検出質量体3に連結されている。当該駆動質量体は当該駆動質量体の外部領域16に凹部15を有している。当該凹部は、径方向に延在する通路14を介して、検出質量体3に向いている内部領域17に向かって開放されている。凹部15にはそれぞれ、通路14を通過して延伸するX軸からできる限り離れて、二つのバネ要素5が設けられている。これらの二つのバネ要素5は、連結構造体13を介して互いに連結されており、当該連結構造体は、通路14を貫通する梁部材18を介して、駆動質量体4aの内部領域17に設けられているさらなる連結構造体19と連結されている。当該連結構造体19はまた端部側で、X軸からできる限り離れて設けられている二つの他のバネ要素5と連結されており、当該二つの他のバネ要素はまた、駆動質量体4の内部領域17に設けられている。
図7に示される4個のバネ要素5を用いた駆動質量体4aの四点配置によって、上記の二つの寄生性の主たるモードは有効に抑制される。このときバネ要素5をX軸から遠く離して設けることによって、上記のX軸回りの回転振動が抑制され、その一方、バネを外部領域と内部領域とに設けることによって、xy平面から行われる同位相の振動(バタフライモード)が抑制される。当該バタフライモードは図に示す駆動質量体4aの場合、Y軸回りのねじれ振動として表れる。残りの駆動質量体4b,4c,4dも同様に支承されていてよい。
図8には検出機構の可能な実施の形態が示されている。検出質量体3と基板7の間に、全部で4個の電極対23から26が設けられている。電極対23および25はX軸の領域に配置され、電極対24および26はY軸の領域に配置されている。電極対23および25は、検出質量体3がY軸回りに行う検出運動を検出するため、すなわち、検出質量体のY軸回りの回転振動θY3を検出するために用いられる。これに対して電極対24および26は、検出質量体3がX軸回りに行う検出運動を検出するため、すなわち、検出質量体のX軸回りの回転振動θX3を検出するために用いられる。例としての図に示されていない、付加的な機能層または相応に形成された対向基板を用いることによって、付加的または代替的に、検出質量体の上方に電極対が設けられていてよい。
検出質量体3がZ軸回りに行う回転振動θZ3としての検出運動を検出できるように、検出質量体3の外周に、4個のフィンガー電極20が設けられている。フィンガー電極20のフィンガー形状の電極は、中央係留部1に対して接線方向に延在している。フィンガー電極20はそれぞれ対向フィンガー電極21,22と係合しており、当該対向フィンガー電極も中央係留部1に対して接線方向に設けられている。図に示す実施の形態では、4個のフィンガー電極20が、対応する数の対向フィンガー電極21,22を有しているものが示されているが、一つのフィンガー電極20と二つの対向フィンガー電極21,22とから成る構成を、任意の数で検出質量体3に設けてもよい。
MEMSにとって典型的である、構造の大きさが小さいことと、変位がわずかであることによって、MEMSでは通常、容量変化が非常に小さい。一つの電極における容量変化を測定するのではなく、好適に配置された二つの電極対の微分容量を測定すると、測定分解能は著しく向上され、それによって、絶対的な容量値はごくわずかになる。図8に示される検出機構の構成は、このような微分容量の検出に用いられる。検出質量体3の静止位置において、すなわち、外部回転速度Ω,Ω,Ωがセンサに作用していないとき、微分容量にはゼロ値が対応する。変位があるとき、すなわち、基板7に対する検出質量体3の検出運動があるとき、外部回転速度Ω,Ω,Ωに基づいて、検出質量体3の回転方向に応じて、微分容量は増大もしくは減少する。
図9および10には、本発明に係る回転速度センサのさらなる実施の形態が示されている。当該センサは図2から8に示されている実施の形態と一致するが、当該図2から8とは異なり、xy平面において矩形の基本形を有している。
図11はMEMSシリコンチップ29上で、本発明に係る3Dコリオリ式回転速度センサ27と、3D加速度センサ28とを組み合わせたものを示している。3D回転速度センサ27と、3D加速度センサ28は、共に完全なIMUを形成している。3D回転速度センサ27を用いて、座標参照系の全ての空間軸を中心とする外部回転速度Ω,Ω,Ωが検出される。3D加速度センサを用いて、個々の軸方向に生じている線加速度a,a,aが検出される。二つのセンサは、対応するフィードライン30を介して、コネクタパッド31に接続されている。全体としてチップは従来の構成および連結技術で、対応するASICと共に、図11に示されていないプラスチック、金属またはセラミックのケーシング内に構成され得る。MEMS技術とASIC技術を一体的に集積化することも考えられる。
cor=2m(VXΩ)
cor はコリオリ力、mは駆動質量体の質量、Ωは外部回転速度、Vは駆動質量体の速度を表す。
1 中央係留部
2 バネ要素
3 検出質量体
4a,b,c,d 駆動質量体
5 バネ要素
6 連結バネ
7 基板
9 電極櫛部
10 対向電極
11 外部係留部
12 対向電極櫛部
13 連結構造体
14 通路
15 凹部
16 外部領域
17 内部領域
18 梁部材
19 連結構造体
20 フィンガー電極
21 対向フィンガー電極
22 対向フィンガー電極
23 電極対
24 電極対
25 電極対
26 電極対
27 3Dコリオリ式回転速度センサ
28 3D加速度センサ
29 シリコンチップ
30 フィードライン
31 コネクタパッド

Claims (15)

  1. 互いに直交する三つの空間方向における測定軸(X,Y,Z軸)を中心とする成分によって回転速度(Ω,Ω,Ω)を検出するための、マイクロメカニクスによるコリオリ式回転速度センサであって、当該回転速度センサは、
    基板(1)と、
    検出質量体(3)と、
    少なくとも二つの駆動質量体(4a,4b,4c,4d)と、を有しており、
    当該駆動質量体(4a,4b,4c,4d)はそれぞれ、前記基板に対して一次運動(VXa,Yb,Xc,Yd)を行うように駆動可能であり、
    前記少なくとも二つの駆動質量体の一つの駆動質量体(4a,4c)が行う前記一次運動(VXa,Yb,Xc,Yd)の方向は、前記少なくとも二つの駆動質量体のうちの他の駆動質量体(4b,4d)が行う前記一次運動(VXa,Yb,Xc,Yd)の方向に対して垂直であり、
    前記検出質量体(3)は前記駆動質量体(4a,4b,4c,4d)と連結されており、それによって、前記検出質量体(3)は、検出すべき外部回転速度が作用する際に、コリオリ力によって生じる前記駆動質量体(4a,4b,4c,4d)の二次運動によって、検出運動を行うように励起可能である、マイクロメカニクスによるコリオリ式回転速度センサにおいて、
    前記検出質量体(3)は、前記基板に対して、検出運動として、互いに直交する前記三つの空間方向(X,Y,Z)における回転軸を中心とする回転振動を実施できることを特徴とするマイクロメカニクスによるコリオリ式回転速度センサ。
  2. 前記検出質量体(3)は、前記基板(1)または当該基板(1)に塗布された層に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロメカニクスによるコリオリ式回転速度センサ。
  3. 前記検出質量体(3)は、前記基板(1)に対して並進的に移動不能に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロメカニクスによるコリオリ式回転速度センサ。
  4. 前記検出質量体(3)は、当該検出質量体の質量中心に設けられている内部掛部、好ましくは中央係留部(1)と、当該中央係留部と前記検出質量体(3)との間に設けられているバネ要素(2)とを用いて前記基板(1)に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のマイクロメカニクスによるコリオリ式回転速度センサ。
  5. 前記検出質量体(3)は、個々の駆動質量体と連結されており、それによって、個々の駆動質量体はそれぞれ、前記検出質量体(3)に関して径方向に前記一次運動を実施できることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のマイクロメカニクスによるコリオリ式回転速度センサ。
  6. 前記検出質量体は、個々の駆動質量体と連結されており、それによって、個々の駆動質量体は、前記検出質量体に対して、互いに直交する空間方向において、二つの回転的な二次運動を実施できることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のマイクロメカニクスによるコリオリ式回転速度センサ。
  7. 前記検出質量体は、個々の駆動質量体と連結されており、それによって、個々の駆動質量体は、前記検出質量体に対して、前記一次運動に平行な空間方向を中心とする回転的な二次運動を実施できないことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のマイクロメカニクスによるコリオリ式回転速度センサ。
  8. 前記駆動質量体は前記検出質量体の周囲に設けられており、好ましくは、前記検出質量体と前記駆動質量体は、同一平面に設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のマイクロメカニクスによるコリオリ式回転速度センサ。
  9. それぞれ二つの駆動質量体が互いに向かい合い、かつ、検出質量体がその間に設けられている状態で配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のマイクロメカニクスによるコリオリ式回転速度センサ。
  10. 個々の駆動質量体はそれぞれ、少なくとも一つのバネ要素によって、前記検出質量体と連結されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のマイクロメカニクスによるコリオリ式回転速度センサ。
  11. 少なくとも一つの駆動質量体はそれぞれ、前記検出質量体に対向する前記駆動質量体の側部領域に設けられている一つまたは複数の第一のバネ要素を用いて、かつ、前記検出質量体に背向する前記駆動質量体の側部領域に設けられている一つまたは複数の第二のバネ要素を用いて、前記検出質量体と連結されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のマイクロメカニクスによるコリオリ式回転速度センサ。
  12. 少なくとも一つの駆動質量体は、前記検出質量体に背向する前記駆動質量体の側部領域に凹部を有しており、当該凹部内に前記第二のバネ要素が設けられていることを特徴とする請求項11に記載のマイクロメカニクスによるコリオリ式回転速度センサ。
  13. 前記第一のバネ要素および前記第二のバネ要素は、概ね曲げ剛性を有する構造体、好ましくは梁構造体を介して互いに連結されており、当該構造体は前記駆動質量体の前記凹部内に設けられていることを特徴とする請求項11または12に記載のマイクロメカニクスによるコリオリ式回転速度センサ。
  14. 請求項1から13のいずれか一項に記載のコリオリ式回転速度センサを有する加速度測定装置(IMU)。
  15. 互いに直交する三つの空間方向における回転速度を、好ましくは請求項1から13のいずれか一項に記載のコリオリ式回転速度センサを用いて検出するための方法であって、
    少なくとも4個の駆動質量体が、好ましくは第一の駆動質量体(4a)、第二の駆動質量体(4b)、第三の駆動質量体(4c)、第四の駆動質量体(4d)としてそれぞれ、一次運動として並進的な振動を行うように励起され、
    少なくとも二つの駆動質量体(4a,4b,4c,4d)は、少なくとも二つの他の駆動質量体(4a,4b,4c,4d)が行う前記一次運動に対して垂直に、前記一次運動を行い、
    検出すべき外部回転速度が作用する際に、コリオリ力によって生じる、少なくとも一つの駆動質量体(4a,4b,4c,4d)の二次運動が、前記検出質量体(3)に伝えられる方法において、
    前記検出質量体(2)は、前記基板に対して、互いに直交する三つの空間方向(X,Y,Z)において回転振動を実施できることを特徴とする方法。
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