JP5424885B2 - 両性リポソームにおけるまたは両性リポソームに関する改善、両性リポソームを処方する方法および両性リポソームに充填する方法 - Google Patents

両性リポソームにおけるまたは両性リポソームに関する改善、両性リポソームを処方する方法および両性リポソームに充填する方法 Download PDF

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Description

本発明は、両性リポソームにおけるまたは両性リポソームに関する改善に関する。特に、本発明は、そのようなリポソームを処方するための新規の方法およびそれらに充填するための方法、ならびにそのような方法によって生成されるリポソームを提供する。
両性リポソームは、優れた生体内分布を示すこと、および動物において良好な忍容性を呈することが見出されている。それらは、高い効率で、核酸分子を含む活性剤をカプセル化することができる。
両イオン性構造とは対照的に、両性リポソームは、等電点を有利に有し、そしてより高いpH値で負に荷電し、そしてより低いpH値で正に荷電する。両性リポソームは、(非特許文献1)によって紹介されたpH−感受性リポソームのより大きなグループに属する。pH−感受性リポソームにおける典型的なpH−応答性エレメントは、コレステロールヘミスクシネート(CHEMS)、パルミトイルホモシステイン、ジオレオイルグリセロールヘミスクシネート(DOG−Succ)などである。CHEMSは、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)(好適に、10℃を超える温度で逆ヘキサゴナル相の形をとる脂質)を、pH7.4でラメラ相に安定化することができる。ラメラCHEMS/DOPEシステムは、中性または弱アルカリ性pHで調製することができるが、しかし、これらのシステムは不安定になり、そして酸性pHで融合する(非特許文献2)。
膜融合リポソームは、特に、薬物、例えば、プラスミドおよびオリゴヌクレオチドのような核酸の細胞内送達のための薬学的適用において極めて有用である。エンドサイトーシスによるリポソームの細胞への取り込み後、エンドソームからの薬物の放出は、細胞のサイトゾルへの薬物の送達に極めて重要な工程である。エンドソーム内のpHは弱酸性であり、従って、pH感受性リポソームは、エンドソーム膜と融合することができ、それによってエンドソームからの薬物の放出を可能にする。これは、例えば、増強された膜融合性による脂質相の不安定化は、エンドソームエスケープおよび細胞内送達を容易にすることを意味する。また、低いpHの他の環境、例えば、腫瘍または炎症の部位において見出される低いpHは、そのようなリポソームの融合を誘発することができる。
非特許文献3は、そのような融合が生じるpHを超えるpHでの限定された制御には満足せず、そしてカチオン性脂質を添加することによって融合ポイントを微調整するための合理的なアプローチを実証した。そのような混合物は、それらが、低いpHではカチオン状態で、そしてより高いpH、典型的には生理学的pHではアニオン性粒子として存在する真の両性特性を有する。Hafezらに従えば、融合は、粒子の正味の荷電が0(それらの等電点)であるpH値で開始し、そして一旦、そのようなポイントを横切ると(pHは、任意の程度でより低い)、融合は連続的なプロセスである。このような見解は、数理モデルを使用して両性脂質混合物の融合傾向を解析した(非特許文献4)によっても認められている。
非特許文献5は、脂質分子の全体の形が水和した脂質膜の構造を決定することを想定する分子形状概念を紹介した。これは、脂質ジオメトリー、より具体的には、極性ヘッド基と疎水性膜アンカーとの間のサイズ比が、脂質相を決定する重要なパラメータであることを意味する(非特許文献6)。しかし、本来の理論は、極性ヘッド基の立体部分である対イオンを考慮していなかったが、これについては、非特許文献4が提案した。DODAC/CHEMSシステムについての彼らの説明では、ナトリウムイオンは、中性pHにおけるCHEMSのヘッド基を大きくするが、pHが低下する場合解離し、それ故、ヘッド基容積を最小限にし、そしてヘキサゴナル相を促進し;強力なカチオンとしてのDODACは、pHにかかわらず、そのそれぞれの対イオンと一定の会合状態にあることが想定される。モデルは、あるpHおよびそれ以下での融合を推定する。
Figure 0005424885
中性脂質を両性脂質混合物に添加しても、両性リポソームの等電点はほとんど影響を受けないことが見出されている。特許文献1(Panznerら)は、低いおよび中性pHの両方において安定なサイズの中性脂質を含んでなる所定の両性リポソームを開示している。特許文献1はまた、低いpHから開始して、そのような粒子に核酸を充填する方法についても開示している。
両性リポソームは複雑な構造であり、そして少なくとも、荷電した脂質の相補的な対を含んでなる。1つもしくはそれ以上のそのような中性脂質の封入は、特に、成分の個々の量が変動し得るため、混合物の複雑性を顕著に増加させる。(非特許文献3)および特許文献1は、真の両性特性を伴う脂質混合物を選択する仕方、ならびにさらに具体的には、それらの等電点および融合の発生を決定する仕方についてのいくつかの指針を提供している。それにもかかわらず、脂質の可能な組合せは極めて多く、両性リポソームをより迅速に最適化するのは実際的に困難であり、そして中間のpHにおいて膜融合性のヘキサゴナル相を形成する一方、高いおよび低いpHで満足できる安定なラメラ相を脂質のどのような混合物が形成するかについて推定または解析する方法の必要性が当該分野では依然として存在する。
WO 02/066012
Straubinger, et al. (FEBS Lett., 1985, 179(1), 148-154) Hafez and Cullis, Biochim. Biophys. Acta, 2000, 1463, 107-114 Hafez, et al. (Biophys. J. 2000, 79(3), 1438-1446) Li and Schick (Biophys. J., 2001, 80, 1703-1711) Israelachvili and Mitchell in 1975 , (Biochim. Biophys. Acta, 1975, 389, 13-19) Israelachvili, et al. Biochim Biophys Acta. 1977 17;470 (2) : 185-201 Israelachvili et al., 1980, Q. Rev. Biophys., 13(2), 121-200
従って、本発明の目的は、そのような膜融合両性リポソームを処方するための改善された方法を提供することがである。中性pHで安定な脂質相および低いpHで膜融合相を形成する両性リポソームは、本発明の別の目的を示す。本発明のなお別の目的は、低いpHおよび中性pHの両方において安定な脂質相を形成するが、中間のpHにおいて融合を経験する両性リポソームを提供することである。本発明者らは、そのカーゴが放出されることが所望のエンドソーム環境へのいくつかの適用において、リポソームがより良好に標的化されるように、両性リポソームが膜融合性であるpHを制御することが所望されることを認識している。従って、本発明のなお別の目的は、そのような両性リポソームの融合が発生するpHを制御する方法を提供することである。
従って、本発明の態様に従えば、以下を含んでなる両性リポソームを処方する方法が提供される:
(i)アニオン性両親媒性物質、カチオン性両親媒性物質(前記アニオン性およびカチオン性両親媒性物質のそれぞれは、それぞれ極性ヘッドおよび無極性テール基を、前記アニオン性およびカチオン性両親媒性物質に対しそれぞれカチオン性およびアニオン性対イオンを有する)、ならびに場合により、1つもしくはそれ以上の中性両親媒性物質(前記アニオン性およびカチオン性両親媒性物質のうち少なくとも1つは荷電性である)を選択すること;
(ii)前記アニオン性およびカチオン性両親媒性物質(荷電していない場合、および荷電し、そして、それぞれ、前記カチオン性およびアニオン性対イオンと会合する場合)、および前記1つもしくはそれ以上の随意的な中性両親媒性物質のそれぞれのκ値、ならびに荷電した形の前記アニオン性およびカチオン性両親媒性物質を含んでなる脂質塩のκsalt値を計算することであって、κは、それぞれの種の極性ヘッド基Vheadの分子容対無極性テール基Vapolarの分子容の比であり、荷電したアニオン性およびカチオン性両親媒性物質の極性ヘッド基の分子容はそれぞれのイオン対を含み、κsaltは以下のように定義される:
Figure 0005424885
[式中、Vhead(cat)は、それぞれの対アニオンを伴わないカチオン性両親媒性物質の極性ヘッド基の分子容であり、Vhead(an)は、それぞれの対カチオンを伴わないアニオン性両親媒性物質の極性ヘッド基の分子容であり、Vapolar(cat)は、カチオン性両親媒性物質の無極性テール基の分子容であり、そしてVapolar(an)は、アニオン性両親媒性物質の無極性テール基の分子容である];
(iii)前記アニオン性およびカチオン性両親媒性物質および前記1つもしくはそれ以上の随意的な中性両親媒性物質の脂質混合物の関数κtotal(PH)をモデル化し、荷電している場合、前記脂質混合物における前記両親媒性物質のそれぞれの量は、脂質の前記混合物が、第1のより低いpHと第2のより高いpHとの間の等電点を有し、そして前記第1のpHで化学量論的過剰量の正に荷電したカチオン性両親媒性物質および前記第2のpHで化学量論的過剰量の負に荷電したアニオン性両親媒性物質を有するように選択され、κtotal(pH)は以下のように定義される:
Figure 0005424885
[式中、can(pH)、ccat(pH)、can−(pH)、ccat+(pH)およびcsalt(pH)は、pHの関数としての荷電していないアニオン性、荷電していないカチオン性、荷電したアニオン性および荷電したカチオン性両親媒性物質ならびに前記脂質塩の脂質混合物におけるそれぞれの濃度であり、cは、前記または各随意的な中性両親媒性物質の脂質混合物における濃度であり、そしてκan、κcat、κan−、κcat+、κsaltおよびκは、荷電していないアニオン性、荷電していないカチオン性、荷電したアニオン性および荷電したカチオン性両親媒性物質、前記脂質塩および前記または各随意的な中性両親媒性物質のそれぞれのκ値である];
(iv)κtotal(pH)が前記等電点において最小値を示すことを決定すること;
(v)前記脂質混合物からなるリポソームを作製すること、および経験的に、前記混合物が、前記第2のpH、および場合により、前記第1のpHにおいて安定なラメラ相を、および前記等電点またはその付近で膜融合性のヘキサゴナル相を示すことを確認すること;ならびにその後
(vi)前記脂質混合物からなる両性リポソームを製造すること。
適切には、分子モデリングによって前記分子容を計算してもよい。
前記混合物は、pH4〜pH8の範囲、好ましくは、pH5〜pH7の範囲の等電点を有し得る。
適切には、前記第1のpHは、pH4〜pH5の範囲またはpH2〜pH4の範囲であり得る。前記第2のpHは、pH7〜pH8の範囲であり得る。有利なことに、前記第2のpHは、およそ生理学的pH(約pH7.4)である。
本発明の別の態様に従えば、脂質の混合物からなる両性リポソームが提供され、前記混合物は、カチオン性両親媒性物質、アニオン性両親媒性物質および場合により、1つもしくはそれ以上の中性両親媒性物質を含んでなり、前記カチオン性およびアニオン性両親媒性物質のうちの少なくとも1つは荷電性であり、そして前記カチオン性およびアニオン性両親媒性物質のそれぞれの量は、第1のより低いpHにおいて化学量論的過剰量の正に荷電したカチオン性両親媒性物質が存在し、第2のより高いpHにおいて化学量論的過剰量の負に荷電したアニオン性両親媒性物質が存在し、そして前記混合物が前記第1および第2のpHの中間の等電点を有するように選択され;前記正に荷電したカチオン性および負に荷電したアニオン性両親媒性物質が適用されて、前記等電点において相互が共に脂質塩を形成することを特徴とする。
アニオン性およびカチオン性両親媒性物質は、それぞれ極性ヘッドおよび無極性テール基を有する。本発明に従えば、アニオン性およびカチオン性両親媒性物質の極性ヘッドおよび無極性テール基ならびに前記対イオンは、混合物のκtotal(pH)が前記等電点で最小値を示し、それによって、前記混合物が、前記第2のpHおよび場合により、前記第1のpHにおいて安定なラメラ相を、ならびに前記等電点またはその付近で融合性のヘキサゴナル相を示すように選択され得る。
従って、適切には、本発明に従う両性リポソームの(上記で規定した)κtotal(pH)は、前記等電点において最小値を示す。
従って、以下の想定の組合せは、脂質相の挙動の適切な説明を可能にすることを見出した:
1)説明のための基礎としての形状理論;
2)荷電状態の極性ヘッド基について、対イオンは、ヘッド基容積の部分になる;および
3)脂質−脂質塩形成は、膜において生じる。
従って、本発明の方法は、膜融合両性リポソームの同定、脂質組成と融合pHとの間の関係ならびに両性リポソームの安定性および融合挙動に対する対イオンの影響に関するそれらの融合挙動の説明を容易にする。
本発明の両性リポソームは、二重層内に脂質−脂質塩を形成することが可能である脂質対を含んでなる。いくつかの実施形態では、脂質対が脂質−脂質塩を形成する能力は、リポソームを双安定にし得る。あるいは、リポソームは、前記第2のpHにおいてのみ安定であり、そして前記等電点またはその付近において膜融合性であり得る。
いくつかの実施形態では、本発明の前記両性リポソームは、適用されて、相互が共に脂質塩を形成する荷電性アニオン性両親媒性物質および荷電性カチオン性両親媒性物質を含んでなる脂質混合物であって、ここで、κsalt<0.34である脂質混合物を含んでなり得る。
前記アニオン性両親媒性物質は、Chems、DMGS、DMGM、DMGG、DMGA、DMAS、DMAM、DMAG、DMAA、DOGS、DOGM、DOGG、DOGA、DOAS、DOAM、DOAG、DOAA、DMS、DMM、DMG、DMA、DOS、DOM、DOG、DOA、Chol−C3、Chol−C5およびChol−C6から選択され得る。前記カチオン性両親媒性物質は、コレステロールベースであるか、またはジアシルグリセロールに基づき得、そしてMoChol、Chim、HisCholおよびDesh4から選択され得る。
あるいは、前記両性リポソームは、適用されて、相互が共に脂質塩を形成する荷電性アニオン性両親媒性物質および荷電性カチオン性両親媒性物質を含んでなり得、ここで、κsalt<0.45であり;ならびにここで、前記荷電性カチオン性両親媒性物質は、DmC4Mo2、DmC3Mo2、C4Mo4、C3Mo3、C3Mo2、C5Mo2、C6Mo2およびC8Mo2から選択され;そして前記荷電性アニオン性両親媒性物質は、Chems、DMGS、DMGM、DMGG、DMGA、DMAS、DMAM、DMAG、DMAA、DOGS、DOGM、DOGG、DOGA、DOAS、DOAM、DOAG、DOAA、DMS、DMM、DMG、DMA、DOS、DOM、DOG、DOA、Chol−C3、Chol−C5およびChol−C6から選択される。
さらに別の代替物では、前記両性リポソームは、適用されて、相互が共に脂質塩を形成する荷電性アニオン性両親媒性物質および安定なカチオン性両親媒性物質を含んでなり得、前記荷電性アニオン性両親媒性物質は過剰に存在し;ここで、κsalt<0.34そしてC/A=0.5のκtotal(pH8)とκsalt>0.08との間の差異である。
そのような場合、前記荷電性アニオン性両親媒性物質は、Chems、DMGS、DMGM、DMGG、DMGA、DMAS、DMAM、DMAG、DMAA、DOGS、DOGM、DOGG、DOGA、DOAS、DOAM、DOAG、DOAA、DMS、DMM、DMG、DMA、DOS、DOM、DOG、DOA、Chol−C3、Chol−C5またはChol−C6および脂肪酸から選択され得る。
さらに別の代替物では、前記両性リポソームは、適用されて、相互が共に脂質塩を形成する荷電性アニオン性両親媒性物質および安定なカチオン性両親媒性物質を含んでなり得、前記脂質混合物は、過剰の前記荷電性アニオン性両親媒性物質を含んでなり、そしてκsalt<0.34であり;ここで、前記安定なカチオン性両親媒性物質は、DDAB、DC−Chol、DAC−Chol、TC−Chol、DODAP、N−メチル−PipChol、DOTAP、DOEPCおよびCTABから選択され;そして前記荷電性アニオン性脂質は、DMGS、DMGM、DMGG、DMGA、DMAS、DMAM、DMAG、DMAA、DOGS、DOGM、DOGG、DOGA、DOAS、DOAM、DOAG、DOAA、DMS、DMM、DMG、DMA、DOS、DOM、DOG、DOA、Chol−C3、Chol−C5およびChol−C6から選択される。
さらになお別の代替物では、前記両性リポソームは、過剰の荷電性カチオン性両親媒性物質および安定なアニオン性両親媒性物質を含んでなる脂質混合物を含んでなり得、ここで、前記カチオン性脂質は、MoChol、Chim、HisCholまたはDesh4、DmC4Mo2、DmC3Mo2、C4Mo4、C3Mo3、C3Mo2、C5Mo2、C6Mo2およびC8Mo2、DOIMおよびDPIMから選択される。
適切には、前記両性リポソームは、1つもしくはそれ以上の中性または両イオン性両親媒性物質を含んでなり得る。いくつかの実施形態では、前記中性両親媒性物質は、コレステロールであってもよい。あるいは、前記中性または両イオン性脂質は、ホスファチジルコリン類、スフィンゴミエリン類、セラミド類、ホスファチジルエタノールアミン類、コレステロールおよびそれらの混合物から選択され得る。
いくつかの実施形態では、前記中性または両イオン性脂質は、ホスファチジルコリン類、スフィンゴミエリン類またはセラミド類であってもよく、そして40mol%未満の量で脂質混合物中に存在してもよい。
あるいは、前記中性または両イオン性脂質は、DOPEもしくはコレステロールまたはそれらの混合物であってもよく、そして65mol%未満の量で脂質混合物中に存在してもよい。
さらなる代替物では、前記中性または両イオン性脂質は、ホスファチジルコリン類(PC)、スフィンゴミエリン類もしくはセラミド類およびホスファチジルエタノールアミン類(PE)の混合物、またはホスファチジルコリン類(PC)、スフィンゴミエリン類もしくはセラミド類およびコレステロール(Chol)の混合物を含んでなり得、ここで、中性脂質の前記混合物は、80mol%以下の量で脂質混合物中に存在する。
本発明の別の態様では、リポソームは、以下の特定の組合せの両親媒性物質DODAC/CHEMS;DDAB/CHEMS;DOTAP/DOGS;DOTAP/DMGS;DOTAP/DPGS;DOTAP/CHEMS;CHIM/CHEMS;CHIM/DMGS;CHIM/DOGS;HisChol/CHEMS;HisChol/DMGS;HisChol/DPGS;HisChol/DOGS;HisChol/DPPS;MoChol/CHEMS;MoChol/DMGS;MoChol/DPGS;MoChol/DOGS;MoChol/セチル−P;MoChol/DMPS;MoChol/DPPS;DC−CHOL/DOPA;DOTAP+CHIM/CHEMS;DC−Chol/Chems;DOIM/DMGS;DOIM/DOGS;DOTAP/オレイン酸のもの以外の脂質塩を含んでなり得る。
ほとんどまたは全く融合を示さず、そして脂質塩を形成し得ない多くの両性脂質の組合せが存在する。そのような脂質の組合せは:
MoCHOL/POPG;MoCHOL/DPPG;HisCHOL/POPG;HisChol/DPPGである。
本発明のなお別の態様では、リポソームは、両親媒性物質の以下の特定の組合せの1つを有するもの以外の脂質混合物を含んでなり得る:
Figure 0005424885
本発明の別の態様では、リポソームは、両親媒性物質の以下の特定の組合せの1つを有するもの以外の脂質混合物を含んでなり得る。
Figure 0005424885
本発明のなお別の態様では、リポソームは、両親媒性物質の以下の特定の組合せの1つを有するもの以外の脂質混合物を含んでなり得る:
Figure 0005424885
本発明のなお別の態様に従えば、本発明に従う両性リポソームに負に荷電したカーゴ部分を充填する方法が提供され、前記方法は、アニオン性対イオンを含んでなる第1の溶媒を使用して、前記第1のpHにおいて前記負に荷電したカーゴ部分の存在下で前記リポソームを作製すること、およびその後、カチオン性対イオンを含んでなる第2の溶媒を使用して、前記リポソームを前記第2のpHに暴露することを含んでなる。
好ましくは、そのようなリポソームは双安定性であり、前記第1のpHならびに前記第2のpHにおいて安定なラメラ相を示す。
適切には、前記溶媒の変更は、前記リポソームが迅速に所望のpHにもたらされるように、それぞれの第2の溶媒の一段混合によって達成される。前記第1のpHは、約pH2〜5、好ましくは、pH2〜4であってもよい。前記第2のpHは、約pH7.4であってもよい。前記第1のpHにおいてリポソームを安定化するために、好ましくは、前記対アニオンは、少なくとも50Aの分子容を有し得る。それ故、前記対アニオンは、シトレート、ピロホスフェート、バルビツール酸およびメチルサルフェートから選択され得る。
前記第2のpHにおいてリポソームを安定化するために、好ましくは、前記対カチオンは、少なくとも50Aの分子容を有し得る。
本発明の別の態様に従えば、リポソームは、少なくとも1つの活性剤をカプセル化し得る。いくつかの実施形態では、前記活性剤は核酸を含んでなり得る。特に、前記活性剤は、オリゴヌクレオチドを含んでなり得る。
そのような使用に限定されなければ、本発明に従う両性リポソームは、例えば、オリゴヌクレオチドおよびDNAプラスミドのような核酸ベースの薬物のキャリアとしての使用に良好に適合される。これらの薬物は、タンパク質、ポリペプチドまたはRNAに対する1つもしくはそれ以上の特異的配列をコードする核酸、およびタンパク質発現レベルを特異的にレギュレートするかまたは特に、スプライシングへの干渉および人工的な切断を介してタンパク質構造に影響を及ぼすことができるオリゴヌクレオチドに分類される。
従って、本発明のいくつかの実施態様では、核酸に基づく治療薬は、脊椎動物細胞において1つもしくはそれ以上のRNAに転写されることが可能である核酸を含んでなり得、前記RNAはmRNA、shRNA、miRNAまたはリボザイムであり得、ここで、そのようなmRNAは1つもしくはそれ以上のタンパク質またはポリペプチドをコードする。そのような核酸治療薬は、環状DNAプラスミド、WO98/21322もしくはDE19753182において開示されているようなMIDGEベクター(Minimalistic Immunogenically Defined Gene Expression)と同様な線状DNA構築物、または翻訳のために準備されるmRNA(例えば、EP1392341)であってもよい。
本発明の別の実施態様では、存在する細胞内核酸またはタンパク質を標的化することができるオリゴヌクレオチドを使用してもよい。前記オリゴヌクレオチドは、転写を減弱もしくはモジュレートする、転写物のプロセシングを改変するまたはそうでなければタンパク質の発現を干渉するために適応されるように、前記核酸は特定の遺伝子をコードし得る。用語「標的核酸」は、特定の遺伝子をコードするDNA、ならびにプレmRNAまたはmRNAであるそのようなDNAから誘導されるすべてのRNAを包含する。標的核酸とそのような配列に対して指向される1つもしくはそれ以上のオリゴヌクレオチドとの間の特異的ハイブリダイゼーションは、タンパク質発現の阻害またはモジュレーションを生じ得る。そのような特異的標的を達成するために、オリゴヌクレオチドは、標的核酸の配列に実質的に相補的であるヌクレオチドの連続ストレッチを適切に含んでなるべきである。
上記の基準を満たすオリゴヌクレオチドは、異なる多くの化学およびトポロジーにより構成され得る。オリゴヌクレオチドは、一本鎖であってもまたは二本鎖であってもよい。
オリゴヌクレオチドは、8〜60個の電荷を有するポリアニオン構造である。従って、オリゴヌクレオチドは、本発明の充填方法において、負に荷電したカーゴとしての使用に良好に適応される。ほとんどの場合、これらの構造は、ヌクレオチドを含んでなるポリマーである。本発明は、オリゴヌクレオチドの特定の作用機序に限定されず、そして機序を理解することは、本発明を実践するのに必要ではない。
オリゴヌクレオチドの作用機序は変動し得、そして特に、スプライシング、転写、核−細胞質間輸送および翻訳に対する効果を含んでなり得る。
本発明の好適な実施形態では、一般にアンチセンスオリゴヌクレオチドとして公知であるDNAに基づくオリゴヌクレオチド、ロックド核酸、2’−修飾オリゴヌクレオチドなどを含むがそれらに限定されない一本鎖オリゴヌクレオチドを使用してもよい。骨格または塩基または糖修飾として、ホスホチオエートDNA(PTO)、2’O−メチルRNA(2’Ome)、2’フルオロRNA(2’F)、2’O−メトキシエチル−RNA(2’MOE)、ペプチド核酸(PNA)、N3’−P5’ホスホアミデート(NP)、2’フルオロアラビノ核酸(FANA)、ロックド核酸(LNA)、モルホリンホスホアミデート(モルホリノ)、シクロヘキセン核酸(CeNA)、トリシクロ−DNA(tcDNA)などを挙げることができるが、これらに限定されない。さらに、混合された化学は当該技術分野において公知であり、コポリマー、ブロック−コポリマーもしくはギャップマーのような2つ以上のシングルヌクレオチド種からまたは他の配列で構築される。上記のオリゴヌクレオチドに加えて、タンパク質発現はまた、相補配列モチーフを含有する二本鎖RNA分子を使用して、阻害することができる。そのようなRNA分子は、当該技術分野においてsiRNA分子として公知である(例えば、WO 99/32619またはWO 02/055693)。他のsiRNAは、1つの非連続的な鎖を有する一本鎖siRNAまたは二本鎖siRNAを含んでなる。さらに、多様な化学が、このクラスのオリゴヌクレオチドに適応された。また、DNA/RNAハイブリッドシステムも当該技術分野において公知である。
本発明の別の実施形態では、デコイオリゴヌクレオチドを使用することができる。従って、これらの二本鎖DNA分子および化学修飾は、核酸を標的化するが、転写因子を標的化しない。これは、デコイオリゴヌクレオチドが配列特異的DNA結合性タンパク質に結合し、そして転写を干渉することを意味する(例えば、Cho-Chung,et al.in Curr.Opin.Mol.Ther.,1999)。
本発明のさらなる実施形態では、生理学的条件下で遺伝子のプロモーター領域にハイブリダイズすることによって、転写に影響を及ぼし得るオリゴヌクレオチドを使用し得る。さらに、多様な化学がこのクラスのオリゴヌクレオチドに順応し得る。
本発明のなおさらなる代替物では、DNAザイムを使用してもよい。DNAザイムは、酵素活性を伴う一本鎖オリゴヌクレオチドおよびその化学修飾である。「10〜23」モデルとして公知の典型的なDNAザイムは、生理学的条件下で特異的部位において一本鎖RNAを切断することが可能である。DNAザイムの10〜23モデルは、RNA上の標的配列に相補的な2基質認識ドメインによって隣接される15の高度に保存されたデオキシリボヌクレオチドの触媒ドメインを有する。標的mRNAの切断は、それらの破壊を生じ得、DNAザイムは再循環し、そして複数の基質を切断する。
本発明のなお別の実施形態では、リボザイムを使用することができる。リボザイムは、酵素活性を伴う一本鎖オリゴリボヌクレオチドおよびその化学修飾である。それらは、2つの成分、触媒コアを形成する保存されたステム−ループ構造および所定のRNA転写物において標的部位を囲む配列に逆相補的であるフランキング配列に作動可能に分割することができる。フランキング配列は特異性を付与し得、そして一般的に、合計で14〜16ntを構成し得、選択される標的部位の両方の部位上に延在する。
本発明のなおさらなる実施形態では、タンパク質を標的化するためにアプタマーを使用してもよい。アプタマーは、RNAまたはDNAのような核酸、および特異的分子標的に緊密に結合するその化学修飾からなる高分子であり、そして典型的に15〜60nt長である。ヌクレオチドの鎖は、分子を複雑な3次元の形状に折り畳む分子内相互作用を形成し得る。アプタマーの形状は、それが、酸性タンパク質、塩基性タンパク質、膜タンパク質、転写因子および酵素を含んでなるがそれらに限定されないその標的分子の表面に対して緊密に結合することを可能にする。アプタマー分子の結合は、標的分子の機能に影響を及ぼし得る。
上記のオリゴヌクレオチドのすべては、短くて10、好ましくは15およびさらにより好ましくは18〜50、好ましくは30およびより好ましくは25ヌクレオチドの間の長さで変動し得る。オリゴヌクレオチドと標的配列との間の適合は、オリゴヌクレオチドの各塩基と好ましくは完全であり、上記の数のオリゴヌクレオチドの連続ストレッチにわたる標的核酸上のその相補的塩基と塩基対を形成する。これはそれほど好適ではないが、配列の対は、塩基対の前記連続ストレッチ内に1つもしくはそれ以上のミスマッチを含有してもよい。一般に、そのような核酸のタイプおよび化学組成は、それがインビボであってもまたはインビトロであっても、ビヒクルとしての本発明のリポソームの性能にほとんど影響を及ぼさず、そして当業者は、本発明のリポソームとの組み合わせに適切な他のタイプのオリゴヌクレオチドまたは核酸を見出し得る。
本発明のなお別の態様に従えば、本発明に従う活性剤充填両性リポソームおよびそれらのための薬学的に許容可能なビヒクルを含んでなる医薬組成物が提供される。
図1は、アニオン性およびカチオン性モデル脂質の間の異なる比についてのκの計算値のグラフ図である。左側のパネル:アニオン性脂質のpHおよび百分率に応答するκの表面プロット。右側のパネル:選択された量のアニオン性脂質に対するpH応答の詳細な解析。 図2は、アニオン性およびカチオン性モデル脂質の間の異なる比についてのκの計算値のグラフ図である。左側のパネル:アニオン性脂質のpHおよび百分率に応答するκの表面プロット。右側のパネル:選択された量のアニオン性脂質に対するpH応答の詳細な解析。 図3は、両性物質IIIシステムにおけるアニオン性およびカチオン性モデル脂質の間の異なる比についてのκの計算値のグラフ図である。左側のパネル:アニオン性脂質のpHおよび百分率に応答するκの表面プロット。右側のパネル:選択された量のアニオン性脂質に対するpH応答の詳細な解析。 図4は、両性物質IIIシステムにおけるアニオン性およびカチオン性モデル脂質の間の異なる比についてのκの計算値のグラフ図である。左側のパネル:塩橋モデル;右側のパネル:独立イオンモデル。 図5は、多様なイオン対サイズを介する両性物質II混合物のアニオンまたはカチオン状態の安定化を示す。左側のパネル:等しいイオン対サイズの解析。右側のパネル:より大きなカチオンイオン対を介するアニオン状態の排他的安定化。CA−対アニオン;CC−対カチオン;説明文中の数字はÅでの分子容を示す。 図6は、多様な対アニオンを介するカチオン性両性物質II脂質相の非対照的安定化を例示する。生成中、カチオン性脂質相は、より大きなアニオン(CA120)で安定化する。リポソームを中性pHに調整し、そして緩衝液の組成を、より小さな対アニオン(CA21)に変更する。脂質相は、かなり低いκの値を有するため、ここで酸性pHに遭遇するリポソームは、融合する傾向がある。CA−対アニオン;CC−対カチオン;説明文中の数字はÅでの分子容を示す。 図7は、κおよびイオン対サイズの所定の値についての絶対的な分子容の影響を例示する。両性物質IIシステムにおけるカチオン性およびアニオン性脂質では、κを0.175に調整したが、絶対的な脂質サイズにはばらつきがあった;説明文の数字は、カチオン性およびアニオン性脂質の両方についての分子ヘッドおよびテール容積をÅで示す。 図8は、κおよびイオン対サイズの所定の値についての絶対的な分子容の影響を例示する。両性物質IIシステムにおけるカチオン性およびアニオン性脂質に対し、κを0.175に調整したが、アニオン性脂質はカチオン性脂質より小さな分子容を有した。 図9は、中性脂質をさらに含んでなる両性物質IIシステムにおける外部pHに応答するκの計算値のグラフ図である。50%の中性脂質を、図の説明文に記載のκ値を伴うシステムに添加した。 図10は、CiP緩衝液におけるpH−ジャンプ後のDOTAP/CHEMSリポソームのサイズを示す。66mol.%CHEMS(十字)、75mol.%CHEMS(アスタリスク)または100mol.%CHEMS(点線)を含有するDOTAPリポソームを、pH8において生成し、示されたpHにジャンプさせ、そしてより低いpHにおいて1時間のインキュベーション後、中和した。サイクルの終了時にサイズを測定した。 図11は、MoCHolおよびCHEMSを含んでなる両性物質IIシステムの融合挙動を示す。左−システムのκ値の計算値。右−CiP緩衝液におけるCHEMSおよびMoCholの異なる混合物のpHジャンプ後の実験的融合の結果。説明文中の百分率は、混合物におけるCHEMSの量を表す。 図12は、MoCHolおよびDOPAを含んでなる両性物質IIIシステムの融合挙動を示す。左−システムのκ値の計算値。右−CiP緩衝液におけるDOPAおよびMoCholの異なる混合物のpHジャンプ後の実験的融合の結果。説明文中の百分率は、混合物におけるDOPAの量を表す。 図13は、モノアルキル脂質を含んでなる両性物質IIシステムの融合挙動を示す。左−システムのκ値の計算値。右−CiP緩衝液におけるオレイン酸およびMoCholの異なる混合物のpHジャンプ後の実験的融合の結果。説明文中の百分率は、混合物におけるオレイン酸の量を表す。 図14は、POPCの存在下における融合挙動を例示する:リポソームをpH7.5において生成し、そして酸性条件に調整して、凝集または融合を促進した。20mol.%POPCを添加すると、融合の傾向が顕著に減少し、そしてリポソームは、より低いpHであっても安定であった。説明文中の組成は、DOTAPおよびCHEMSの百分率を表し;残りはPOPCである。pIは、混合物の計算された等電点を表す。 図15は、DOPEの存在下における融合挙動を例示する:リポソームをpH7.5において生成し、そして酸性条件に調整して、凝集または融合を促進した。20mol.%DOPEの添加は、両性膜の融合傾向を維持する。説明文中の組成は、DOTAPおよびCHEMSの百分率を表し;残りはDOPEである。pIは、混合物の計算された等電点を表す。 図16は、多様な対カチオンの存在下で20mol%DOTAPおよび80mol%CHEMSを含んでなる両性物質Iシステムの融合挙動を示す。Y軸上のサイズ比を使用して、リポソームサイズをpH8において見出される値に正規化する。すべてのリポソームは、これらの条件下で170nm〜220nmのサイズ範囲内にあった。 図17は、多様な対カチオンの存在下で20mol%MoCHOLおよび80mol%CHEMSを含んでなる両性物質IIシステムの融合挙動を示す。Y軸上のサイズ比は、X軸軸上に示すpH値への暴露後のリポソームサイズを示し、そして値をpH8での擬似(mock)処置に正規化した。すべてのリポソームサイズは、これらの条件下で140〜300nmの間であった。 図18は、多様な対カチオンの存在下で50mol%MoCHOLおよび50mol%DOPAを含んでなる両性物質IIIシステムの融合挙動を示す。Y軸上のサイズ比は、X軸軸上に示すpH値への暴露後のリポソームサイズを示し、そして値をpH8での擬似処置に正規化した。すべてのリポソームサイズは、これらの条件下で220〜260nmの間であった。 図19aは、コレステロールベースのpH感受性カチオン性脂質(DmC4Mo2を除く)および異なるpH感受性アニオン性脂質から形成される両性物質IIシステムの融合強度(C/A=0.33−3対pHのマトリックスにおけるΣFRETとして表される)とk(salt)との間の逆相関関係を示す。 図19bは、コレステロールベースのpH感受性カチオン性脂質(DmC4Mo2を除く)および異なるpH感受性アニオン性脂質から形成される両性物質IIシステムの融合強度(C/A=0.7−1.5対pHのマトリックスにおけるΣFRETとして表される)とk(salt)との間の逆相関関係を示す。 図19cは、異なるアニオン性pH感受性脂質との組合せでカチオン性脂質DmC4Mo2を含んでなる両性物質IIシステムの融合強度(C/A=0.33−3対pHのマトリックスにおけるΣFRETとして表される)とk(salt)との間の逆相関関係を例示する。 図20は、DOTAPまたはDODAPおよび多様なpH感受性アニオンを含んでなる両性物質Iシステムの融合強度(C/A=0.4−0.75対pHのマトリックスにおけるΣFRETとして表される)とk(salt)との間の逆相関関係を示す。 図21aは、DOTAP/DMGSまたはMoChol/DOGS由来のリポソームの融合の強度(DOTAP/DMGSのC/A=0.17〜0.75;MoChol/DOGSのC/A=0.33−3対pHのマトリックスにおける%ΣFRETとして表される)の0%〜50%POPCとの混合物のk(min)に対するプロットを示す。参照k(min)を、C/A=0.66(DOTAP/DMGS)またはC/A=1(MoChol/DOGS)についてモデル化した。0%POPCの%ΣFRETを100に設定する。 図21bは、DOTAP/DMGSまたはMoChol/DOGS由来のリポソームの融合の強度(DOTAP/DMGSのC/A=0.17〜0.75;MoChol/DOGSのC/A=0.33−3対pHのマトリックスにおける%ΣFRETとして表される)の0%〜50%POPCとの混合物のk(min)に対するプロットを示す。参照k(min)を、C/A=0.66(DOTAP/DMGS)またはC/A=1(MoChol/DOGS)についてモデル化した。0%POPCの%ΣFRETを100に設定する。 図22aは、DOTAP/DMGSまたはMoChol/DOGS由来のリポソームの融合の強度(DOTAP/DMGSのC/A=0.17〜0.75;MoChol/DOGSのC/A=0.33−3対pHのマトリックスにおける%ΣFRETとして表される)の0%〜50%DOPEとの混合物のk(min)に対するプロットを示す。参照k(min)を、C/A=0.66(DOTAP/DMGS)またはC/A=1(MoChol/DOGS)についてモデル化した。0%DOPEの%ΣFRETを100に設定する。 図22bは、DOTAP/DMGSまたはMoChol/DOGS由来のリポソームの融合の強度(DOTAP/DMGSのC/A=0.17〜0.75;MoChol/DOGSのC/A=0.33−3対pHのマトリックスにおける%ΣFRETとして表される)の0%〜50%DOPEとの混合物のk(min)に対するプロットを示す。参照k(min)を、C/A=0.66(DOTAP/DMGS)またはC/A=1(MoChol/DOGS)についてモデル化した。0%DOPEの%ΣFRETを100に設定する。 図23aは、DOTAP/DMGSまたはMoChol/DOGS由来のリポソームの融合の強度(DOTAP/DMGSのC/A=0.17〜0.75;MoChol/DOGSのC/A=0.33−3対pHのマトリックスにおける%ΣFRETとして表される)の0%〜50%コレステロールとの混合物のk(min)に対するプロットを示す。参照k(min)を、C/A=0.66(DOTAP/DMGS)またはC/A=1(MoChol/DOGS)についてモデル化した。0%コレステロールの%ΣFRETを100に設定する。 図23bは、DOTAP/DMGSまたはMoChol/DOGS由来のリポソームの融合の強度(DOTAP/DMGSのC/A=0.17〜0.75;MoChol/DOGSのC/A=0.33−3対pHのマトリックスにおける%ΣFRETとして表される)の0%〜50%コレステロールとの混合物のk(min)に対するプロットを示す。参照k(min)を、C/A=0.66(DOTAP/DMGS)またはC/A=1(MoChol/DOGS)についてモデル化した。0%コレステロールの%ΣFRETを100に設定する。 図24aは、DOTAP/DMGSまたはMoChol/DOGS由来のリポソームの融合の強度(DOTAP/DMGSのC/A=0.17〜0.75;MoChol/DOGSのC/A=0.33−3対pHのマトリックスにおける%ΣFRETとして表される)の0%〜50%のPOPC/コレステロール1:1混合物との混合物のk(min)に対するプロットを示す。参照k(min)を、C/A=0.66(DOTAP/DMGS)またはC/A=1(MoChol/DOGS)についてモデル化した。0%POPC/コレステロールの%ΣFRETを100に設定する。 図24bは、DOTAP/DMGSまたはMoChol/DOGS由来のリポソームの融合の強度(DOTAP/DMGSのC/A=0.17〜0.75;MoChol/DOGSのC/A=0.33−3対pHのマトリックスにおける%ΣFRETとして表される)の0%〜50%のPOPC/コレステロール1:1混合物との混合物のk(min)に対するプロットを示す。参照k(min)を、C/A=0.66(DOTAP/DMGS)またはC/A=1(MoChol/DOGS)についてモデル化した。0%POPC/コレステロールの%ΣFRETを100に設定する。 図25は、MoChol/DOGSおよび10%〜50%の異なる中性または両イオン性脂質を含んでなるリポソームの融合の強度(C/A=0.33−3対pHのマトリックスにおけるΣFRETとして表される)を示す。点線は、0%の中性または両イオン性脂質を伴うリポソームの融合の強度を示す。 図26は、DC−Chol/Chemsを含んでなるリポソームの融合域と等電点との間の相関関係を示す。d(pH−IP)は、FRETが測定されたpHと適切なC/A比の等電点との間の差異である。
「荷電性」は、両親媒性物質がpH4〜pH8の範囲のpKを有することを意味する。従って、荷電性両親媒性物質は、弱酸性であってもまたは塩基性であってもよい。「安定な」両親媒性物質は、強酸性または塩基性であり、pH4〜pH8の範囲で実質的に安定な電荷を有する。
本明細書における「両性」は、アニオン性およびカチオン性の両方の特徴の荷電した基を含んでなる物質、物質の混合物または超分子複合体(例えば、リポソーム)を意味し、ここで:
1)カチオンおよびアニオン性両親媒性物質の少なくとも1つ、および場合により、両方ともが荷電性であり、4〜8の間のpKを伴う少なくとも1つの荷電した基を有し、
2)カチオン性の電荷はpH4において広がり、そして
3)アニオン性の電荷はpH8において広がる。
結果として、物質または物質の混合物は、pH4〜pH8の間の中性の実効電荷の等電点を有する。両性イオンは上記範囲のpKを有さないため、両性特徴は、両性イオンの特徴とは異なるこのような規定による。結果として、両性イオンは、pH値の範囲にわたって本質的に中性に荷電しており;ホスファチジルコリン類およびホスファチジルエタノールアミン類は、両性イオン特徴を伴う中性脂質である。
本明細書における「C/A」または「C/A比」または「C/Aモル比」は、両親媒性物質の混合物におけるカチオン性両親媒性物質対アニオン性両親媒性物質のモル比を意味する。
本明細書における「κ(min)」は、関数κtotal(pH)の最小値を意味する。
脂質については以下の略称が本明細書において使用されるが、略称の大部分は文献における標準的用途内にある:
PC ホスファチジルコリン(不特定の膜アンカー)
PE ホスファチジルエタノールアミン(不特定の膜アンカー)
SM スフィンゴミエリン
DMPC ジミリストイルホスファチジルコリン
DPPC ジパルミトイルホスファチジルコリン
DSPC ジステアロイルホスファチジルコリン
POPC パルミトイル−オレオイルホスファチジルコリン
DOPC ジオレオイルホスファチジルコリン
DOPE ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン
DMPE ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン
DPPE ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン
CHEMS コレステロールヘミスクシネート
Chol−C3 コレステロールヘミマロネート
Chol−C5 コレステロールヘミグルタレート
Chol−C6 コレステロールヘミアジペート
DGSまたはDG−Succ ジアシルグリセロールヘミスクシネート(不特定の膜アンカー)
DOGSまたはDOG−Succ ジオレオイルグリセロールヘミスクシネート
DMGSまたはDMG−Succ ジミリストイルグリセロールヘミスクシネート
DPGSまたはDPG−Succ ジパルミトイルグリセロールヘミスクシネート
DSGSまたはDSG−Succ ジステアロイルグリセロールヘミスクシネート
POGSまたはPOG−Succ パルミトイルオレオイルグリセロールヘミスクシネート
DOGM ジオレオイルグリセロールヘミマロネート
DOGG ジオレオイルグリセロールヘミグルタレート
DOGA ジオレオイルグリセロールヘミアジペート
DMGM ジミリストイルグリセロールヘミマロネート
DMGG ジミリストイルグリセロールヘミグルタレート
DMGA ジミリストイルグリセロールヘミアジペート
DOAS 4−{(1,2−ジオレオイル−エチル)アミノ}−4−オキソブタン酸
DOAM 4−{(1,2−ジオレオイル−エチル)アミノ}−4−オキソプロパン酸
DOAG 4−{(1,2−ジオレオイル−エチル)アミノ}−4−オキソペンタン酸
DOAA 4−{(1,2−ジオレオイル−エチル)アミノ}−4−オキソヘキサン酸
DMAS 4−{(1,2−ジミリストイル−エチル)アミノ}−4−オキソブタン酸
DMAM 4−{(1,2−ジミリストイル−エチル)アミノ}−4−オキソプロパン酸
DMAG 4−{(1,2−ジミリストイル−エチル)アミノ}−4−オキソペンタン酸
DMAA 4−{(1,2−ジミリストイル−エチル)アミノ}−4−オキソヘキサン酸
DOS 5,6−ジオレオイル−ヘキサン酸
DOM 4,5−ジオレオイル−ペンタン酸
DOG 6,7−ジオレオイル−ヘプタン酸
DOA 7,8−ジオレオイル−オクタン酸
DMS 5,6−ジミリストイル−ヘキサン酸
DMM 4,5−ジミリストイル−ペンタン酸
DMG 6,7−ジミリストイル−ヘプタン酸
DMA 7,8−ジオレオイル−オクタン酸
DOPS ジオレオイルホスファチジルセリン
DPPS ジパルミトイルホスファチジルセリン
DOPG ジオレオイルホスファチジルグリセロール
DPPG ジパルミトイルホスファチジルグリセロール
Chol−SO4 コレステロールスルフェート
DOPA ジオレオイルホスファチジン酸
SDS ドデシル硫酸ナトリウム
CHIM コレステロール−(3−イミダゾール−1−イルプロピル)カルバメート
DDAB ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド
DOTAP、DMTAP、DPTAP、DSTAP:
1,2−ジアシル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン
DODAP、DMDAP、DPDAP、DSDAP:
1,2−ジアシル−3−ジメチルアンモニウム−プロパン
DOEPC、DMEPC、DPEPC、DSEPC:
1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン
DOTMA N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド
DOTIM 1−[2−(オレオイルオキシ)エチル]−2−オレイル−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド
TMAG N−(a−トリメチルアンモニオアセチル)−ジドデシル−D−グルタメートクロリド
BCAT O−(2R−1,2−ジ−O−(19Z,99Z−オクタデカジエニル)−グリセロール)−N−(ビス−2−アミノエチル)カルバメート
DODAC ジオレイルジメチルアンモニウムクロリド
DORIE 1,2−ジオレオイル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド
DMRIE 1,2−ジミリストイル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド
DOSC 1,2−ジオレオイル−3−スクシニル−sn−グリセロールコリンエステル
DORI 1,2−ジオレオイルオキシプロピル−3−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド
DHMHAC N,N−ジ−n−ヘキサデシル−N,Nジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド
DHDEAB N,N−ジ−n−ヘキサデシル−N−メチル,N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムクロリド
DMHMAC N,N−ミリスチル−N−(1−ヒドロキシプロプ−2−イル)−N−メチルアンモニウムクロリド
DOTB 1,2−ジオレオイル−3−(4’−トリメチルアンモニオ)ブタノイル−sn−グリセロール
SAINT脂質 学際的研究のための合成両親媒性物質(Synthetic Amphiphiles INTerdisciplinary)
DPIM、DOIM 4,(2,3−ビス−アシルオキシ−プロピル)−1−メチル−1H−イミダゾール(不特定の膜アンカー)
DPAPy 2,3−ビス−パルミトイル−プロピル−ピリジン−4−イル−アミン
DC−Chol 3b−[N−(N9,N9−ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール
TC−Chol 3b−[N−(N9,N9−トリメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール
DAC−Chol 3b(N−(N,N’−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル)コレステロール
PipC2Chol 4{N−2−エチルアミノ[(3’−β−コレステリル)カルバモイル]}ピペラジン
MoC2Chol {N−2−エチルアミノ[(3’−β−コレステリル)カルバモイル]}モルホリン
MoC3Chol {N−2−プロピルアミノ[(3’−β−コレステリル)カルバモイル]}モルホリン
N−メチル−PipChol N−メチル{4−N−アミノ[(3’−β−コレステリル)カルバモイル]}ピペラジン
PyrroC2Chol {N−2−エチルアミノ[(3’−β−コレステリル)カルバモイル]}ピロリジン
PipeC2Chol {N−2−エチルアミノ[(3’−β−コレステリル)カルバモイル]}ピペリジン
ImC3Chol {N−2−プロピルアミノ[(3’−β−コレステリル)カルバモイル]}イミダゾール
PyC2Chol {N−2−エチルアミノ[(3’−β−コレステリル)カルバモイル]}ピリジン
CTAB セチルトリメチルアンモニウムブロミド
NeoPhectinTM カチオン性カルジオリピン類(例えば、[1,3−ビス−(1,2−ビス−テトラデシルオキシ−プロピル−3−ジメチルエトキシアンモニウムブロミド)−プロパン−2−オール]
HistChol Nα−ヒスチジニル−コレステロール−ヘミスクシネート
MoChol 4−(2−アミノエチル)−モルホリノ−コレステロールヘミスクシネート:
Figure 0005424885

HisChol ヒスタミニル−コレステロールヘミスクシネート:
Figure 0005424885

DmC4Mo2 4−(2−アミノエチル)−モルホリノ−コレステロール−2,3−ジメチルヘミスクシネート
Figure 0005424885

DmC3Mo2 4−(2−アミノエチル)−モルホリノ−コレステロール−2,2−ジメチルヘミマロネート
Figure 0005424885

C3Mo2 4−(2−アミノエチル)−モルホリノ−コレステロール−ヘミマロネート
Figure 0005424885
C3Mo3 4−(2−アミノプロピル)−モルホリノ−コレステロール−ヘミマロネート
Figure 0005424885

C4Mo4 4−(2−アミノブチル)−モルホリノ−コレステロール−ヘミスクシネート
Figure 0005424885

C5Mo2 4−(2−アミノエチル)−モルホリノ−コレステロール−ヘミグルタレート
Figure 0005424885

C6Mo2 4−(2−アミノエチル)−モルホリノ−コレステロール−ヘミアジペート
Figure 0005424885

C8Mo2 4−(2−アミノエチル)−モルホリノ−コレステロール−ヘミアジペート
Figure 0005424885
分子容
脂質形状理論は、2つの分子部分の絶対的な値ではなく、所定の両親媒性物質の疎水性部分と極性ヘッド基との間の形状バランスに基づく。本発明に従って、κは、脂質の極性および無極性セクションの間の容積比である。
κ=分子容(ヘッド)/分子容(テール)
分子容を計算するための多様な異なる方法が当業者に利用可能であり、そして代替的方法および入手先については、例えば、Connolly, M. J. Am. Chem. Soc. (1985) 107, 1118-1124および本明細書に記載の参考文献において考察されているか、またはhttp://www.ccl.net/cca/documents/molecular-modeling/node5. htmlに示されている。
分子容は、所定の原子対、iおよびjについてのこれらの量の合計が、それらの可能な最短距離(dij)に等しくなるように、ファンデルワールス半径、r vdWと呼ばれる値を、各原子タイプに割り当てることによって、一般に計算される:
vdW+r vdW≦dij
異なる著者由来の対応する原子の値が類似するにもかかわらず、「最良の」ファンデルワールス半径の異なる多くの表が存在する。幾何学的には、ファンデルワールス半径は、原子を囲む球状の「シールド」としてイメージすることができ、そして結合していない2つの原子間の最短距離は、それらのそれぞれのシールドが接触する場合に認められる。しかし、結合の長さは、係わる原子のファンデルワールス半径の合計より短いため、共有結合している原子のシールドは相交わる。分子のファンデルワールス表面はファンデルワールスエンベロープ(van der Waals envelope)とも呼ばれ、それらの相交わるセクションが取り出された個々の原子の球体からなる。
単一の分子(即ち、共有結合に沿った任意の2つの原子間に通路が存在する分子)について、ファンデルワールスエンベロープは閉じた面であり、従って、それは容積を含有する。この容積は分子容、またはファンデルワールスと呼ばれ、そして通常、Åで与えられる。コンピュータ上で分子容を計算する直接的な方法は、数値積分による。
いくつかの実施形態では、脂質分子ならびにそれぞれのヘッドおよびテールフラグメントの分子容は、DS Viewer Pro5.0(アクセルリス・インク(Accelrys Inc.)、サンディエゴ(San Diego)、カリフォルニア州)を使用して計算し得、そしてそれぞれのファンデルワールス半径内の容積を計算した。
典型的な膜フラグメントは、共通のリン脂質の疎水性セクションを表す1,2−ジアシル−エチレングリコール類であり、本来のグリセロールの3’炭素原子をホスホコリンヘッド基に残している。同じフラグメントは、共通のカチオン性脂質DOTAPおよびその誘導体においても、またさらにジミリストイルグリセロールヘミスクシネートなどのような他の極性ヘッド基を伴うジアシルグリセロール類においても見出される。
コレステロール誘導体では、ステロール全体(但し、3’酸素(oxygene)ではない)は、疎水性セクションとして定義され、そしてヘッド基はそれに相補的である。
同様に、カチオン性またはアニオン性アルキル誘導体では、極性ヘッド基は、アルキル鎖のC1炭素に関与する極性フラグメントとして定義される。結果的に、n−1炭素原子内の残りの鎖は、疎水性無極性部分を表す。
分子容は、計算に使用される定数に依存し、そして分子のコンホメーションの影響を受け得る。疎水性無極性フラグメントについて得られる典型的な値は、さらなる計算のために現在使用され、そして過去においても使用された:
Figure 0005424885
ほとんどの対アニオンの分子容が同じ方法で誘導されたが、Na+またはK+については、強度に束縛された水和球体を考慮する。以下の値をさらなる計算のために使用した:
Figure 0005424885

1)Gerald H. Pollack: Cells, Gels and the Engines of Life, Ebner and Sons Publishers, 2001
2)http: //www.bbc.co.uk/dna/h2g2/A1002709#footnotel
荷電した極性ヘッド基については記述方法が異なり、この基のいくつかの個々のメンバーの分子容を以下に示す。これらの値をさらなる計算のために使用した:
Figure 0005424885
Figure 0005424885
Figure 0005424885
Figure 0005424885
脂質の分子容を決定するための他の方法を使用することも可能である。また、方法の一般的な適用性に影響を及ぼすことなく、膜のテールおよび極性ヘッド間の正確な分割ポイント;水和ケージ内の水分子の数またはファンデルワールス半径のようないくつかのパラメータを変動することができる。同様に理解して、分子容におけるより微細な変化、特に、陽子の解離またはコンホメーションの変化から生じる変化を無視してもよい。いくつかの実施形態では、上記の表2および3において列挙した分子容を、本発明の方法において使用してもよい。
対イオンは、実際の極性ヘッド基と同じサイズカテゴリーに当てはまる。従って、対イオンの付加または脂質極性領域からの対イオンの回収は、全ヘッド基サイズ、およびその結果、ヘッド/テールバランスκに対して実質的な効果を有することが見出されている。例えば、CHEMSナトリウム塩は、141Aのヘッド基サイズを有し、これは、pH4では、解離していない形態で76Aまで減少する。κは、それぞれ、0.42〜0.23の間で変動する。CHEMSは、pH7.5およびそれ以上でラメラ相を形成するが、低いpHでヘキサゴナル相の形をとる。
既知の相挙動を伴う他の脂質を使用して、ラメラとヘキサゴナル相との間の解離のκ値を選択することができる;例を以下の表4に示す。PEヘッド基は、末端のアミノ基とホスホエステル基の酸素との間に水素結合を伴う分子内環式構造(ベタイン構造)を形成することができる(例えば、Pohle et al., J. Mol. Struct., 408/409, (1997), 273-277)。PCヘッド基は立体障害を受けるが、その代わり、それらのそれぞれの荷電した基に対イオンを補充する。
Figure 0005424885
両性脂質混合物における分子容のpH誘導性変化
第1のモデルでは、本発明とは対照的に、荷電したアニオン性およびカチオン性脂質の間で生じる脂質塩形成が認められる。これは、LiおよびSchick(Biophys. J., 2001, 80, 1703-1711)の仮説に反映し、そして立体障害を受けて、脂質塩を形成する脂質の事例(独立イオンモデル)に該当し得る。
膜における脂質種は、解離していないアニオンおよびカチオンならびに解離したアニオンおよびカチオンを含んでなり、後者は、それらのそれぞれの対イオンと複合体を形成する。そのような混合物のκ値は、その成分の加重合計であることが想定される:
(1)κ=κ(anionc(anion)+κ(cationc(cation)+κ(anionc(anion)+κ(cationc(cation);
[式中、anionまたはcationは、荷電していない種を示し、そしてanionまたはcationは、それぞれの荷電した種を示し;そして式中、ここでのcは濃度を示す]。
そのような仮定において存在する個々の種の量は、酸性または塩基解離の既知の平衡定数Kから計算することができる:
(2)c(anion)=c(aniontot)/(cH+/K+1)
(3)c(anion)=c(aniontot)−c(anion
(4)c(cation)=c(cationtot)/(K/cH++1)
(5)c(cation)=c(cationtot)−c(cation
[式中、anionは、解離していないアニオンであり、anionは負に荷電した分子であり、そしてaniontotは、それぞれのアニオンの全濃度である。カチオンは同じ命名法に従い、そしてcH+およびKは、それぞれ陽子濃度および酸性または塩基の平衡定数を表す]。
しかし、本発明に従って、カチオン性およびアニオン性両親媒性物質の間の可能な相互作用を考慮すると、脂質塩は、混合物において、第5の種として生じる:
(6) κ=κ(anionc(anion)+κ(cationc(cation)+κ(anionc(anion)+κ(cationc(cation)+κ(salt)c(salt)
脂質塩では、カチオン性両親媒性物質はアニオン性両親媒性物質に対する対イオンとして役立ち、そして逆もまた同様であり、それ故、ヘッド基由来のナトリウムまたはホスフェートのような小さな対イオンを置き換える。脂質塩は、正味では荷電しておらず、そしてそのジオメトリーは、小さな対イオンを伴わずに両方の部分の合計であると想定されるべきである。従って:
(7) κ(salt)=(Vhead(cation)+Vhead(anion))/(Vapolar(cation)+Vapolar(anion))
塩の形成は、最も低い濃度で存在する荷電した両親媒性物質によって制限される:
(8) c(salt)=MIN(c(cation);c(anion))
2つの荷電した両親媒性物質の間の塩形成は、このモデル内で完全であると想定されるが、もちろん、不完全な塩形成も想定され得る。以下の計算は、塩が2つの脂質分子を含んでなるという事実にさらに反映する。もちろん、脂質塩形成時のさらなるいくらの膜収縮を想定すること、およびk(salt)の寄与に対して異なるウエートを置くことも可能である。
モデル計算
脂質混合物の両性特徴を達成するために、脂質イオンの少なくとも1つは、pH−感受性の弱酸性または塩基性(「荷電性」)である必要がある。詳細な開示内容については、WO 02/066012に見出され、その内容は、本明細書において参考として援用される。特徴が異なるが、これらの基本システムは可能であり、そしてここで解析する:
「両性物質I」強カチオンおよび弱アニオン
「両性物質II」弱カチオンおよび弱アニオン
「両性物質III」弱カチオンおよび強アニオン
両性物質Iシステム
両性物質Iシステムは、両性特徴を達成するために、過剰のpH−感受性アニオンを必要とする。pH7〜8では、アニオン性脂質は十分に荷電し、そしてすべてのカチオン性脂質が消費されるまで、塩形成が生じる。70mol.%アニオン性脂質および30mol.%カチオン性脂質による例では、すべてのカチオン性脂質および対応する30mol.%のアニオン性脂質は脂質塩として存在する一方、40mol.%のアニオン性脂質は非結合型であり、そしてヘッド基に対してその対イオンを補充する。
中性条件から開始して、pHの低下によりアニオン性脂質を放出し、κ値は、対イオンの消失のためにより小さくなり、そしてなお荷電しているアニオン性脂質の部分がカチオン性脂質の量に等しい場合、最小値に到達する。従って、κは、両性脂質混合物の等電点で最小である。pHをさらに低下させる場合、アニオン性脂質のさらに小さな部分が荷電した状態で保持する。これは、脂質塩の解離、およびここで脂質塩から遊離したカチオン性脂質への対イオンの補充を意味する。
添付の図面の図1の左側のパネルは、pHおよび混合物におけるアニオン性脂質の量に依存するκの複雑な挙動を例示する。「膜融合性の谷(valley)」が出現し、そして55mol.%を超えるおよび85mol.%未満のアニオン性脂質を有する任意の両性混合物が、弱酸性条件下で融合するが、中性およびより酸性の条件下の両方において安定であることが予想される。
アニオンは、カチオン性脂質上の電荷をモジュレートすることができるが、過補償しないため、50mol.%未満のアニオン性脂質を伴う両性物質I混合物は、もはや両性ではない。これらの混合物は、pH−依存的融合を経験し得るが、低いpHでは第2の安定な相を提供しない。1:1複合体は、低いpHにおいてのみラメラ相の形をとり、そして中性において融合を経験する。
図1に例示した計算に使用したパラメータを、以下の表5に示す;容積をÅで示す。
Figure 0005424885
両性物質IIシステム
両性物質IIシステムは、アニオン:カチオン比の範囲全体にわたって両性であるという異なる利点を有し、そして両性物質Iまたは両性物質IIIシステムについては、強イオンに対する過補償は必要ない。モデルシステムの計算を図2に示す。
計算に使用するパラメータを以下の表6に示す;すべての容積をÅで示す。
Figure 0005424885

さらに、脂質塩モデルは、中性〜弱アルカリ性pH、但しまた、弱酸性pHにおける安定な状態、およびその間の不安定性または膜融合性の顕著な谷を推定する。
両性物質Iシステムとは対照的に、膜融合状態には、アニオン性およびカチオン性成分の間の広範な異なる脂質比に及んで、到達することができる。即ち、膜融合性の谷は、より広範なアニオン/カチオン比に及んで延在し、所定のシステムが膜融合性であるpHにわたって、より大きな程度の制御を可能にする。
両性物質III混合物
このpHでは、荷電したカチオン性脂質はほとんどまたは全く存在しないため、安定なアニオンおよびpH−感受性カチオンを含んでなる両性物質III混合物は、中性pHでは脂質塩を形成することができない。最初に、カチオンを作製し、次いで、これが塩形成を経験し得るためには、継続した酸性化が必要である。モデルシステムの計算を図3に示す。
計算に使用するパラメータを以下の表7に示す;すべての容積をÅで示す。
Figure 0005424885
図1および3から認められ得るように、両性物質IIIシステムは、両性物質Iシステムの鏡像のように挙動する。弱い脂質イオンが、過剰に存在し、そして対向イオン(opposite ion)上の一定の電荷を過補償する限り、それらは、膜融合性の谷を提供する。両性物質Iシステムとは対照的に、融合のためのpHは、pH−感受性脂質イオンのpKより高い位置にある。
融合の谷についての実験的証拠を実施例1〜4に示すが、これによって、両性リポソームにおける脂質塩形成の中心的仮説が確認される。実施例はまた、密接に関連する2つの両性物質IIIシステム(MoChol/POPGおよびMoChol/DOPA)を提供し、ここで、融合は、2つのうちの一方、即ち、MoChol/DOPAにおいてのみ観察される。MoCholのプロトン化された第三級窒素は、モルホリノ環の下端側に配置され、従って、容易にアクセスできないため、これは、立体障害によるものであり得る。加えて、POPGのホスフェートは、正に脂質/水の界接面に位置し、そして水相に対してグリセロールで保護されている。対照的に、DOPAのホスフェート基は、容易にアクセスすることが可能である。場合により、モデル構築の想定(上記の式(1)〜(5)のみ)から脂質塩形成を取り出す場合、上記のモデルを使用して、両方の状況を説明することができる。2つのシナリオの間の比較を図4に示す。図4の計算に使用したパラメータを以下の表8に示すが、Na/HPOのDOPAおよびMoCholをモデル化合物として使用した;そして容積をÅで表す。
Figure 0005424885
脂質塩モデルは、より低いpHによる融合を推定するが、一方、塩形成の欠失は、カチオン性脂質がプロトン化される場合にκの増加が観察されるシステムをもたらす。たとえ生じるとしても、そのような状況は、なおさらなるラメラおよび究極的に膜のミセル状態をもたらす。しかし、このモデルに関しては、ミセル形成の限界は決定されていない。
MoCholがイオン化される(pKa=6.5)場合、DOPAはモノアニオンとして存在するため、DOPAのモノアニオン状態(pKa1=3、pKa2=8)をモデルに使用した。モデルは、33mol.%アニオンにおいて膜融合性をほとんどまたは全く推定せず、50mol.%アニオンにおいて谷型の融合挙動を推定し、そして66mol.%およびそれ以上のアニオンにおいて単相の融合挙動を推定する以下の実施例4において例示されるように、モデルの複雑性全体は、膜の実際の挙動に反映される。
本発明に従うアルゴリズムは、広範な両性脂質混合物の融合挙動の推定を可能にする。推定の規則は、相互作用する脂質の単純な幾何学的説明から誘導され、そして分子の実際の化学的表現に依存しない。従って、当業者は、現存するおよび新規の脂質の組合せを容易に試験することができ、そして合理的な方法で意図される融合挙動を推定することができる。以下の重要なパラメータは、そのような選択プロセスを例示し得るが、他の優先事項は、アプリケーションのそれぞれの目的に依存して設定され得る。
1.脂質塩のκ
脂質塩のκは、上記の式(7)において計算され、そして膜融合性ヘキサゴナル相を合理的に推定するために、適切には、0.34または0.35未満であり得る。いくつかの実施形態では、κは0.3未満;好ましくは、0.25未満であってもよい。組み合わされた極性ヘッド基が小さく、そして組み合わされた疎水性部分が大きい場合、κ(salt)は低い。ヘッド基容積の好適な合計は約300Åまたはそれ以下であり;より好適な実施形態では、この容積は220Å未満であり、そしてなおより好適な値は、170Å未満である。上記で作成される選択に従えば、テール基容積の好適な合計は、650Åより大きく、そして約1000Åのように大きくてもよく、ここで、適切なヘッドおよびテール基の組合せは、好適なk(salt)値によって管理される。
2.変化(d(κ)/d(pH))の振幅
本発明の好適な実施形態では、低い値のκ値を伴う脂質塩を、対イオンの補充によって、その等電点未満またはそれを超えて安定化させる。本発明の好適な実施形態では、より大きな対イオンを使用して、両性脂質混合物のカチオンまたはアニオン状態のいずれかに安定化する。図5は、両性物質IIシステムの対イオンサイズのそのような依存性を例示している。図5の計算に使用したパラメータを以下の表9に示す。
Figure 0005424885
そのような安定化は、非対称的であり得、例えば、カチオン相のむしろ制限された安定化および両性脂質混合物のアニオン相のさらなる安定化を提供することが、図5の右側のパネルから明らかになっている。また、生理学的体液中に天然には存在しない対イオンを使用して、貯蔵中の安定性を改善してもよく;そのような貯蔵イオンの体液中に存在するナトリウムイオンとの交換は、インビボでリポソームからカーゴを放出するのに遊離であり得る。従って、脂質相の個々または共通の安定化のための適切なイオン容積の選択は、本発明の好適なアプリケーションである。そのような安定化は、両性リポソームを製造するのに、および貯蔵に特に有用である。
本発明のいくつかの実施形態では、より大きな対カチオンを使用して、中性条件で両性リポソームを安定化する。好適な実施形態では、そのような対カチオンは、50Åもしくはそれ以上の分子容を有し、より好適な実施形態では、この容積は75Åを超え、そして前記中性pHは、pH7〜pH8の間、より好適には、7.4の生理学的pH付近である。
薬学的目的で両性リポソームを生成する場合、使用するイオンのアプリケーション経路との適合性に従う必要がある。適切な対カチオンは、イオンサイズについて説明した上記の表2から選択することができる。医薬組成物のための好適な対カチオンは、ナトリウム、またはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリス−ヒドロキシエチルアミノメタン、トリエチルアミン、アルギニン、特に、L−アルギニンなどのそれぞれのイオン化された形態である。
本発明の実施形態では、両性リポソームを、低いpHで、それらのカチオン状態で製造してもよい。これらの条件下では、リポソームは、タンパク質、ペプチドまたは(大きなプラスミドもしくは小さなオリゴヌクレオチドのいずれにせよ)核酸のようなポリアニオンと結合することができる。そのような結合は、前記材料の両性リポソームへのカプセル化効率の改善に有用である。
酸性pHで低いκを伴う脂質相を使用することは有利である。大きな対アニオンの選択は、例えば、そのようなリポソームの生成およびこれらの条件下におけるカーゴのカプセル化のための前記脂質相の安定化を容易にする。
適切な大きな対アニオンは、50Åを超える分子容を有し、好適な大きな対イオンは、75Åを超える分子容を有する。適切な対アニオンは、上記の表2から選択することができる。適切な対アニオンは、シトレート、ピロホスフェート、バルビツレート、メチルサルフェートなどである。
脂質相と、酸性条件下でカプセル化しようとするカーゴとを接触させた後、リポソームを中和し、そしてカプセル化されていないカーゴを、場合により、取り出すことができる。典型的に、カプセル化されていないカーゴおよび脂質膜は、両方とも中性条件下で同じ電荷を担持するため、カプセル化されていないカーゴは、脂質膜から脱離する。両性リポソームは、それらの等電点付近、例えば、7〜8のpHで負に荷電し、そしてカーゴ分子は、そのようなpHにおいてポリアニオンとして存在する。これは、特に、1つの核酸塩基あたり1つの負に荷電した電荷を担持する核酸の場合に当てはまる。より小さな対アニオンとの組合せで低いpHに暴露される場合、そのようなリポソームは、有効な不安定化を経験することができる。これは、例えば、そのようなリポソームの全身投与および細胞内取り込みおよびエンドサイトーシス後の場合に当てはまる。クロリドまたはホスフェートは、動物(いずれの動物であってもよい)、哺乳動物またはヒトの体液における最も一般的な対アニオンである。ホスフェート(但し、クロリドではさらにそうであるが)は、水和殻をほとんどまたは全く伴わず、そして<60Aの分子容を伴う小さな対イオンである。
図6は、リポソーム作製および使用のサイクルを例示し、非対称的な対イオン使用を介する酸性条件下における脂質相の選択的安定化および不安定化を例示する。図6の計算に使用したパラメータを以下の表10に示す;容積をÅで示す。
Figure 0005424885
3.等電点
両性リポソームの等電点についての数理的な説明については、WO 02/066012に示されている。本発明に従って、両性リポソームの等電点を、広範な条件に調整することができ、そして当業者が両性リポソームの作製のための有用な成分および組合せを選択することを可能にする異なるpK解離定数を伴う個々の脂質の十分な化学的表現が存在する。加えて、Hafez et al., Biophys. J., 79, (2000), 1438-1446において提示されるように、所定の両性脂質組成物の等電点は、アニオン性およびカチオン性脂質との間のモル比を介して容易に調整することができる。
4.κ(脂質塩)と対イオンとの間の関係
κおよび対イオンサイズの好適な値については、上記に示した。これらの基準に加えて、脂質分子の絶対的な分子容は重要である。大きな絶対的な容積のため、対イオン結合の相対的な影響は小さくなる。このことは、同一のκを伴う、但し、異なる絶対的な容積をも伴う脂質について、図7において例示されている。図7の計算に使用した他のパラメータを以下の表11に示す;容積をÅで示す。
Figure 0005424885

本発明の好適な実施形態では、アニオン性およびカチオン性脂質の組み合わされた容積について、脂質の絶対的な分子容は小さく、例えば、<1000Åである。約700Åの分子容を伴う脂質対がより好適である。
異なる容積の対イオンの場合がそうであったように、カチオン性およびアニオン性脂質相の非対称的安定性もまた、異なる絶対的な分子容を伴う脂質が等しいκ値を有する場合であっても、前記脂質の選択によって、達成することができる。図8の例は、より小さなアニオン性脂質が酸性条件下で選択的不安定化をもたらすような設計変種を例示する。図8の計算に使用したパラメータを以下の表12に示す;容積をÅで示す。
Figure 0005424885
従って、本発明に従う上記で示したアルゴリズムは、特に、環橋のpHに応答して、得られる膜の脂質化学および安定性の間の構造活性相関を提供する。実験データは、本発明をさらに例示し、そしてモデル推定を正当化する。以下のことを明確に立証する証拠が存在する:
1.両性リポソームは、中性pHで安定な二重相を形成するが、中間のpHにおいて膜融合性である。いくつかの両性リポソームは、低いおよび中性pHで安定な相に存在する双安定性のリポソームを形成するが、中間のpHにおいて融合を経験する。実施例2、3、5および6ならびに対応する図10、11、12および13は、異なる両性システムおよび脂質ジオメトリー、例えば、ジアルキル−またはコレステロール−またはモノアルキル膜アンカーを伴う脂質についてこれを示す。
2.実施例8および9ならびに対応する図16および17に示されるように、融合の強度は、異なるサイズの対イオンの使用を介して増大または低減させてもよい。
3.κ(salt)は、異なる両性システムの融合強度と逆相関する。これは、より低いκ(salt)を伴うシステムが増強された融合を示すことを意味する。実験的証拠を実施例12および13に示す。図19aおよび19bは、多数の両性物質IIシステムについて、融合強度(ΣFRETとして表される)とκ(salt)との間の逆相関関係を示し、前記システムは、コレステロールベースのpH感受性カチオン性脂質およびpH感受性アニオン性脂質から形成される。図19cは、異なるアニオン性pH感受性脂質との組合せでカチオン性脂質DmC4Mo2のそのようなプロットを例示する。同様に、図20は、DOTAPまたはDODAPおよび多様なpH感受性アニオンを含んでなる両性物質Iシステムのそのような逆相関関係を示す。両性システムのκ(salt)の値と膜融合性との間の明確な相関関係は、これらの実験から明らかになる。
4.モデルはまた、中性脂質をさらに含んでなる両性脂質混合物にも当てはまり、そしてそのような混合の量的影響を、実施例15および対応する図21〜24に示す。κ(中性脂質混合物)とκ(min)との間の関係は、モデル推定に含まれており、そして下記においてさらに説明する。簡単に説明すると、κ(neutral)がκ(min)より高い場合は常に、中性脂質を含めると、所定の両性システムの融合強度が減少し得る。図21a、bおよび24a、bは、実験的にこれを実証する。また、図23a、bにおいて実証されるように、その逆の事例を見出すこともできる。結局、図22a、bにおいて示されるように、いくつかのシステムは、中性脂質の導入の影響をそれほど受けない。より多くの成分を伴うシステムの実験的最適化では、難易度および労力が増大するため、本発明に従う多数の推定可能性は、なおより重要になり、そして迅速かつ有効な推定を可能にする。
5.モデルは、脂質混合物の等電点付近の融合を推定する。そのような相関関係は、実験で実証することができ、そして図26において解析する。
上記で提供したデータは、モデル計算からの高い程度の推定可能性を示す。分子容の考慮および電荷のむしろ長い範囲の相互作用から開始するアルゴリズムは、成分の立体的適合性または不適合性に反映せず;それはまた、特別な場合に生じ得る相転移温度および関連する分子運動を考慮していない。場合によって、減損された融合挙動(例えば、MoCholとPOPGとの間であって、上記のようにMoCholとDOPAとの間ではない)または増強された融合挙動を観察することができる(例えば、DmC4Mo2および多様なアニオン性脂質)。増強された融合挙動が観察される場合では、脂質塩のk(salt)は、0.35より高いが、0.45未満であり得る。
以下は、広範な両性システムのリポソーム融合およびさらなる実践的用途のための選択された好適なシステムの評価である。
本発明によって教示される量的構造活性相関は、インシリコスクリーニングを容易にし、そして合理的な選択および最適化を支持する。そのようなスクリーニングは、例えば、一連の脂質ホモログ内の選択されたデータポイントを含めることによって、それ自体または経験的実証との組合せで使用してもよい。以下のセクションは、次のものを含んでなる:
セクションI:両性システムのインシリコスクリーニング
セクションII:中性脂質をさらに含んでなる、両性システムのインシリコスクリーニング
セクションIII:両性システムの実験的スクリーニング
セクションIV:中性脂質をさらに含んでなる、両性システムの実験的スクリーニング
セクションI:両性脂質のインシリコスクリーニング
本発明は、多くの技術的目的のための両性リポソームの選択を可能にする。薬学的アプリケーションにおけるそのような両性リポソームの使用についてのより詳細な解析を以下に示す。そのような薬学的アプリケーションのうち、非経口投与およびヒトまたは非ヒト動物、好ましくは、哺乳動物の血流への直接投与は、特に重要である。両性リポソームは、特に、カーゴ分子の細胞内送達における特異的適用性を有する。上記のように、細胞への取り込み中、リポソームは、細胞のエンドソームまたはリソソームにおける酸性環境に暴露される。例えば、増強された膜融合性による脂質相の不安定化は、エンドソームエスケープおよび細胞内送達を容易にすることが公知である。低いpHの他の環境、例えば、腫瘍または炎症の部位において見出される低いpH条件もまた、前記融合を誘発することが可能である。
好適に低い値のκ(salt)を伴う本発明に従う両性リポソームは、意図される膜融合相の不安定化または形成によって、酸性化に有利に応答することを見出した。
貯蔵条件下または一方で血流中において安定であるために、中性pHにおけるκ(total)とκ(salt)との間の所定の際が必要である。好適な実施形態では、そのような差異は、本明細書においてdκ(pH8)と称され、0.08より大きいかまたは等しくあり得る。上記のように、κ(salt)は、膜融合性の優勢な推定変数である一方、dκ(pH8)>=0.08が必要であるが、十分条件ではない。計量としての1/κ(salt)を使用して、選択されシステムの評価を行った。高い値は、良好な融合および十分な安定性振幅を伴うシステムを示す。
酸性条件下での不安定な脂質相は、細胞内取り込みを妨害しないため、酸性条件のためのκ(salt)とκ(total)との間の差異は、それほど重要ではない。加えて、生成のためにそのような脂質相を安定化するための方法については、上記で説明した。
解析は、対カチオンサイズおよび混合物におけるアニオン性脂質の割合に対して感度がある。上記のように、このパラメータは、dκ(pH8)を直接改善し、これは、低い振幅を伴うシステムがより機能的になることを意味するため、より大きな対カチオンは、選択をそれほど厳格にしない。それはまた、低いκ(salt)を伴うシステムを十分に安定化して、中性pHで安定な相を得ることができることを意味する。多かれ少なかれ厳格な選択が生じるが、対カチオンサイズは、選択されたシステムの観察された全体のパターンを変更しない。この事実は、文献において見出すことができる対カチオンサイズの可変性を効果的に補償する。
40〜190Aの間の脂質ヘッド基サイズおよび340、410または500Aの脂質疎水性テールサイズを伴う両性脂質システムを、対カチオン、具体的には、ナトリウム(65A)の存在下で解析した。イオン(1)は、脂質塩に参加せず、そして(2)は、本質的にpH8で膜に結合しないため、対アニオンは、提示されたスクリーニングにそれほど関連しない。
両性物質Iならびに両性物質IIおよびIIIシステムの以下のインシリコスクリーニングは、膜融合性両性リポソームのより一般的かつ実験的な不偏的選択を提供する。計算は、当業者が、好適なヘッドおよびテールサイズを伴う両親媒性物質を推測し、続いて、改善された両性脂質混合物を同定することを可能にする。
κ(salt)<0.34およびdκ(pH8)<=0.08、ならびに好適な脂質システムの同定された限界値に従って、以下の選択を行った。選択のための他の限界値を使用して、所望する両性脂質システムのより広いまたはより狭い範囲の検索を可能にすることができる。
両性物質Iシステム
両性物質Iシステムでは、pH8において、アニオン性両親媒性物質の完全解離を想定した。C/A=0.5を有する324種の両性物質I脂質システムのライブラリーを構築し、そしてκ(salt)<0.34およびdκ(pH8)<=0.08を有する好適な脂質システムを、母集団全体から選択した。
Figure 0005424885
表13:高度に機能的な両性物質Iシステム(C/A=0.5、k(salt)<0.34、dk(pH8)>=0.08)、値は1/k(salt)を表す。
表13
60頁を参照のこと。
表は、ポジティブスクリーニングしたシステムを示し、そして脂質テール基の特定の組み合わせ内のそのようなシステムの不変のパターンを表す。
両性物質Iシステムにおける脂質アニオン内容物の効果は、いくらかさらに複雑である。まず第1に、脂質アニオン(例えば、C/A 0.666もしくは60mol%)の存在量が低いほど、選択はより厳格になるが、これは、そのようなシステムの振幅がより小さくなるためである。従って、より多量の脂質アニオンが存在すると、選択はそれほど厳格でなくなる。それぞれの計算の結果を以下に示す。
Figure 0005424885
表14:高度に機能的な両性物質Iシステム(C/A=0.666、k(salt)<0.34、dk(pH8)>=0.08)、値は1/k(salt)を表す。
表14
61頁を参照のこと。
アニオン性脂質がより少ない量で存在すると、任意のテールサイズのカチオン性脂質と組み合わされた大きなヘッド基を伴うステロールベースの脂質アニオンに対して選択圧が生じるが、但し、これらの脂質は、40〜70Aの間の分子容を伴う最小のヘッド基を有する。
アニオン性脂質がより多量に存在すると、前記選択圧が緩和され、そして一般的に組成物の自由度が増す。以下の表に示されるように、それはまた、脂質アニオンヘッド基の至適サイズを100〜130Aの間の中程度の値に移行する。
Figure 0005424885
表15:高度に機能的な両性物質Iシステム(C/A=0.333、k(salt)<0.34、dk(pH8)>=0.08)、値は1/k(salt)を表す。
表15
62頁を参照のこと。
好適な両性物質Iシステムは、上記の手順によって迅速に同定することができ、前記システムは、以下によって特徴付けられる
・κ(salt)は0.34より小さい
・dκ(pH8)は0.08より大きい。
より好適なシステムは、以下を有する
・ステロール類またはジミリストイルエチレングリコール類の群から選択される420Aより小さな分子容を伴うより小さな脂質アニオンテール基であって、最も好適には、この群はステロールである。
別の実施形態では、より好適なシステムは以下を有する
・70A〜190Aの間の分子容を伴うアニオン性ヘッド基であって、前記群は、ヘミマロネート類、ヘミスクシネート類、ヘミグルタレート類、ヘミアジペート類、シクロヘキサン二酸類(cyclohexanoic diacids)、グルクロン酸類およびそれらのホモログから選択されるが、それらに限定されない。
40〜100Aの間、最も好ましくは、40〜70Aの間の小さな分子容を伴うカチオン性ヘッド基であって、前記群は、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン類、テトラメチルアンモニウム塩類、N−メチルピリジニウム塩類、トリメチル−ヒドロキシエチルアンモニウム塩類、N−aトリメチルアンモニウムアセチル塩、ジメチルアミノエチルカルバメート類、N−メチル−モノ(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N−メチル−ビス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよびそれらのホモログから選択されるが、それらに限定されない。
最も好適な両性物質Iシステムは、より多量の脂質カチオンの存在下で低いκ(salt)および高いdκ(pH8)値を有し、それ故、オリゴヌクレオチドのようなポリアニオン性カーゴ分子のより良好な結合およびカプセル化を容易にする。これらのシステムは、以下を有する
・130Aより大きい、最も好適には、約160〜190Aである極性ヘッド基を伴うステロールベースの脂質アニオン
・100Aより小さい、最も好適には、70Aより小さい極性ヘッド基を伴うジオレオイルグリセロールベースの脂質カチオン。
両性物質IIおよびIIIシステム
両性物質IIシステムでは、pH8において、アニオン性両親媒性物質の完全解離を想定し、そして本質的に、このpHでは、カチオン性両親媒性物質の完全解離は想定されなかった。両性物質IIIシステムが50%もしくはそれ以下のアニオン性両親媒性物質を含有する限り、そのような選択もまた、それらに当てはまる。
まず、C/A=3を有する324種の両性物質II脂質システムのライブラリーを構築し、そしてκ(salt)<0.34およびdκ(pH8)<=0.08を有する好適な脂質システムを、この母集団から選択した。
Figure 0005424885
表16:高度に機能的な両性物質IIシステム(C/A=3、k(salt)<0.34、dk(pH8)>=0.08)、値は1/k(salt)を表す。
表16
64頁を参照のこと。
好適なカチオンリッチ両性物質II(または両性物質III)システムは、上記の手順で同定することができ、前記システムは以下によって特徴付けられる
・κ(salt)は0.34より小さい
・dκ(pH8)は0.08より大きい
・ステロール類またはジミリストイルエチレングリコール類の群から選択される420Aより小さな分子容を伴う脂質カチオンテール基であって、最も好適には、この群はステロールである
・ジアシルエチレングリコール類、最も好適には、ジパルミトイル−、ジステアロイル−、パルミトイルオレオイル−またはジオレオイルエチレングリコール類の群から選択される400Aより大きな分子容を伴う脂質アニオンテール基
別の実施形態では、より好適なシステムは以下を有する
モルホリン類、プロピルイミダゾール類、3−イミダゾール−1−イル−プロピルカルバメート類、ピペラジン4−N−アミノエチルカルバモイル類、2−(4−イミダゾリル)エチルアミンヘミスクシネート類、1−[2−カルボキシエチル]2−メチル−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリニウム塩類、エチルホスホコリン類、N−モルホリノエチルアミンヘミスクシネート類、1−メチル−4−コリン−コハク酸ジエステル類および前記化合物のホモログから選択されるが、それらに限定されない70A〜160Aの間の分子容を伴うカチオン性ヘッド基
40〜100Aの間、最も好適には、40〜70Aの間の小さな分子容を伴うアニオン性ヘッド基であって、前記群は、ヘミマロネート類、ヘミスクシネート類、ヘミグルタレート類およびそれらのホモログから選択されるが、それらに限定されない。約等モルのC/Aを伴う両性物質IIシステムは、より複雑な選択パターンを有するが、上記のカチオンリッチシステムを含む。従って、前記システムは、機能性を消失することなく、等電点を調整することを容易にする。以下の表17は、上記で示した基準に従って選択したシステムを示す:
表17
65a頁を参照のこと。
Figure 0005424885
表17:高度に機能的な両性物質IIシステム(C/A=1、k(salt)<0.34、dk(pH8)>=0.08)、値は1/k(salt)を表す。
カチオンリッチ両性物質IIシステムに使用される選択基準に加えて、両性物質II(C/A=1)システムは、以下を選好する
・ステロール類またはジミリストイルエチレングリコール類の群から選択される420Aより小さな分子容を伴う脂質アニオンテール基であって、最も好適には、この群はステロールである。構造的拘束に関する限り、アニオンリッチ両性物質IIシステムは、最も制限の少ないシステムである。しかし、この構造的自由度は、ポリアニオン、特に、オリゴヌクレオチドのような重要なカーゴタイプの制限されたカプセル化効率を犠牲にして生じる。選択スクリーニングを、両性物質IIシステムに適用したが、ここで、C/A=0.5であり、以下のパターンの結果を得た:
表18
66a頁を参照のこと。
Figure 0005424885
表18:高度に機能的な両性物質IIシステム(C/A=0.5、k(salt)<0.34、dk(pH8)>=0.08)、値は1/k(salt)を表す。
アニオンを過剰に伴う両性物質IIシステムは、以下を選好する
・130A未満、好適には、100A未満の分子容を伴うカチオンヘッド基であって、イミダゾール類、メチルイミダゾール類、エチルイミダゾール類、モルホリン類、メチルモルホリン類、エチルモルホリン類、N−メチル−トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン類、3−イミダゾール−1−イル−プロピルカルバメート類、ピペラジン4−N−アミノエチルカルバモイル類、N−メチル−モノ(ヒドロキシメチル)アミノメタン類、N−メチル−ビス(ヒドロキシメチル)アミノメタン類およびそれらのホモログから選択されるが、それらに限定されない。
130A未満、好適には、約70Aもしくはそれ以下の分子容を伴うアニオン性ヘッド基であって、ヘミマロネート類、ヘミスクシネート類、ヘミグルタレート類、ヘミアジペート類、シクロヘキサン二酸類およびそれらのホモログから選択されるが、それらに限定されない。
混合物中により多くの脂質アニオンを伴う場合、ポジティブに選択される候補のパターンは、両性物質Iシステムのパターンに類似する。しかし、脂質塩の一定の形成はこの振幅を減少するため、それらのdk(pH8)値において、後者はいくらか損なわれる。
セクションII:中性脂質をさらに含んでなる、両性システムのインシリコスクリーニング
本発明によって教示されるアルゴリズムはまた、両性脂質システムへの中性脂質混合の影響に関する定量的推定を行うことを容易にする。そのような混合は、リポソームの改善された安定性を生じ得;それらは、血清タンパク質に対するより良好な耐性または細胞への増強された取り込みをさらに生じ得る。有用な成分が多量あるため、両性システムの最適化は、それ自体、労力を要する作業である。この作業は、さらなる成分が追加されることでなおさらに複雑になり、そして合理的なアプローチが緊急に必要とされている。
従って、上記の先のセクションにおいて展開した方法論を、中性脂質成分を含むより複雑なシステムに適用した。主なパラメータk(salt)およびdk(pH8)に関して、中性脂質の添加は、以下を生じ得る
・k(neutral)がk(salt)より高い、そして逆もまた同様である場合のk(min)の増加であって、前記増加は、添加した中性脂質の量に比例する
・任意の中性脂質の添加によるシステム振幅dk(pH8)の圧縮(これらの脂質は、pHの変更時にそれらのジオメトリーを変更しないため)。
なお、より複雑なシステムであっても、融合を達成するための所定のk(min)および安定性を維持するための所定のdk(pH8)を必要とする。セクション1の対応する値は、本明細書において提示した解析に使用されており、その値は、k(salt)に機能的に均等であるk(min)、前記k(min)<0.34およびdk(pH8)>0.08である。
中性脂質をさらに含んでなる両性物質Iシステム
両性物質Iシステム(C/A=0.333)のライブラリーを、先に記載のように構築し、そして基準としてk(min)<0.34およびdk(pH8)>0.08を使用して、高度に機能的なシステムを選択した。選択されたシステムの適性を、ライブラリーへの30%コレステロールの添加について、以下の表に1/k(min)として提示する。
表19
68a頁を参照のこと。
Figure 0005424885
表19:30%コレステロールを含んでなる高度に機能的な両性物質Iシステム。(C/A=0.333、k(min)<0.34およびdk(pH8)>0.08、値は1/k(min)を表す。
セクションIの対応する両性物質Iライブラリーについて提示されるデータと比較して、コレステロールの添加は、大きなヘッド基を伴うアニオン性脂質へさらに偏向するいくらか異なる選択を生じる一方、アニオン性脂質のテール領域としてのコレステロールまたはジミリストイルグリコールのための両性物質Iの選好のような他の特徴を維持する。
POPCまたはDOPCのような強力なラメラ脂質の添加は、先に提示した選択規則に対する量的影響を伴わないより厳格な選択を生じる。
中性脂質をさらに含んでなる両性物質IIシステム
カチオンリッチ両性物質IIシステム(C/A=3)のライブラリーを、先に記載のように構築し、そして基準としてk(min)<0.34およびdk(pH8)>0.08を使用して、高度に機能的なシステムを選択した。選択されたシステムの適性を、ライブラリーへの30%コレステロールの添加について、以下の表20に1/k(min)として提示する。
表20
69a頁を参照のこと。
Figure 0005424885
表20:30%コレステロールを含んでなる高度に機能的な両性物質IIシステム。(C/A=3、k(min)<0.34およびdk(pH8)>0.08、値は1/k(min)を表す。
セクションIの対応するカチオンリッチ両性物質IIライブラリーについて提示されるデータと比較して、コレステロールの添加は、大きなヘッド基を伴うカチオン性脂質へ実質的に偏向するいくらか異なる選択を生じる一方、アニオン性脂質のジミリストイルグリコールまたはジオレオイルグリコールのような大きなテール領域のための両性物質Iの選好のような他の特徴を維持する。
POPCまたはDOPCのようなラメラ脂質の添加は、先に提示した選択規則に対する量的影響を伴わないより厳格な選択を生じる。
また、平衡化された両性物質IIシステム(C/A=1)のライブラリーを構築し、そしてこのライブラリー中30%コレステロールの存在下で、選択スキームに導入した。
表21
70a頁を参照のこと。
Figure 0005424885
表21:30%コレステロールを含んでなる高度に機能的な両性物質IIシステム。(C/A=1、k(min)<0.34およびdk(pH8)>0.08、値は1/k(min)を表す。
セクションIの対応する両性物質IIライブラリー(C/A=1)は、多数のポジティブなシステムを有した一方、30%コレステロールの添加は、極めて厳格な選択を生じた。これは、融合を促進する脂質の添加に対して一見反するが、選択基準としてdk(pH8)の影響を例示する。以下を含んでなる緊密な基を同定することもできる:
・100Aより大きなヘッド基容積を伴うステロールベースの脂質アニオン
・160Aより小さい、より好適には、70Aより小さいヘッド基容積を伴うジアシルグリコールベースのカチオン
この基では、POPCまたはDOPCのようなラメラ脂質の添加は、コレステロールの添加に類似の影響を及ぼす。
また、アニオンリッチ両性物質IIシステム(C/A=0.33)のライブラリーを構築し、そしてこのライブラリー中30%コレステロールの存在下で、選択スキームに導入した。
表22
71a頁を参照のこと。
Figure 0005424885
表22:30%コレステロールを含んでなる高度に機能的な両性物質IIシステム。(C/A=0.333、k(min)<0.34およびdk(pH8)>0.08、値は1/k(min)を表す。
ここで、ポジティブ候補のより大きなアニオンヘッド基へのいくつかの偏向を観察することができる。しかし、融合活性は、小さなアニオン性ヘッド基の存在下で常に改善しているため、このことは注意深く解釈する必要がある。
POPCまたはDOPCのようなラメラ脂質の添加は、セクションIにおけるシステムと比較して、より厳格な選択基準を要するが、ポジティブ候補のパターンを定性的に変更しない。
セクションIII:両性脂質システムの実験的スクリーニング
荷電した両親媒性物質を含んでなる異なる両性リポソーム混合物の膜融合性は、脂質融合アッセイ、粒子成長または当該技術分野において公知の他の方法を使用して、調べることができ、それによって、好適な混合物の同定を可能にする。脂質混合は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)によって試験することができ、そして実験の詳細については、実施例11において説明するが、ここで、両性脂質混合物の融合を、pH2.5〜pH7.5の間のpH範囲内でモニターした。
荷電した両親媒性物質のみを含んでなる両性物質Iシステム
両性物質Iシステムは、過剰な荷電性アニオンと組み合わされた安定なカチオンによって特徴付けられる。荷電した両親媒性物質を単独で含んでなる好適な両性物質Iシステムは、pH7〜pH8で安定なラメラ相を形成し、そしてpH3〜pH6の間、好ましくは、pH4〜pH6の間で融合する。所定の両性物質Iシステム内で、カチオン性対アニオン性脂質の異なる比(C/A比、常に<1)について、融合をモニターした。
pH7〜pH8で安定であり、そしてpH3〜pH6の間、好ましくは、pH4〜pH6の間で融合する両性物質Iシステムは、DOTAP、DMTAP、DPTAP、DSTAP、POTAP、DDAB、DODAC、DOEPC、DMEPC、DPEPC、DSEPC、POEPC、DC−Chol、TC−Chol、DAC−Chol、DODAP、DMDAP、DPDAP、DSDAP、PODAP、N−メチル−PipChol、CTAB、DOTMAから選択される1つもしくはそれ以上のカチオン性両親媒性物質と、ジアシルグリセロールスクシネート類、例えば、DOGS、DMGS、POGS;ジアシルグリセロールマロネート類、例えば、DOGMまたはDMGM;ジアシルグリセロールグルタレート類、例えば、DOGG、DMGG;ジアシルグリセロールアジペート類、例えば、DOGA、DMGA;4−{(1,2−ジアシル−エチル)アミノ}−4−オキソ酸類、例えば、DOAS、DOAM、DOAG、DOAA、DMAS、DMAM、DMAG、DMAA;ジアシル−アルカン酸類、例えば、DOS、DOM、DOG、DOA、DMS、DMM、DMG、DMA;Chemsおよびそれらの誘導体、例えば、Chol−C3、Chol−C5またはChol−C6;脂肪酸類から選択される1つもしくはそれ以上のアニオン性両親媒性物質との混合物から形成してもよい。
本発明の一実施形態では、カチオン性両親媒性物質は、DODAP、DOTAP、N−メチル−PipChol、DDAB、DOEPC、DC−Chol、DAC−CholまたはTC−Cholから選択され、そしてChems、DMGS、DMGM、DMGG、DMGA、DMAS、DMAM、DMAG、DMAA、DOGS、DOGM、DOGG、DOGA、DOAS、DOAM、DOAG、DOAA、DMS、DMM、DMG、DMA、DOS、DOM、DOG、DOA、Chol−C3、Chol−C5またはChol−C6から選択されるアニオン性両親媒性物質と組み合わされる。
本発明のいくつかの実施形態では、荷電した両親媒性物質のみを含んでなり、pH7〜pH8で安定であり、そしてpH3〜pH6の間、好ましくは、pH4〜pH6の間で融合する以下の両性物質I混合物が好適である(表23):
Figure 0005424885

pH7〜pH8で安定でない両性物質Iシステム、例えば、C/A>0.33での両性物質Iシステム、DOTAP/ステアリン酸またはDOTAP/オレイン酸はそれほど好適ではない。
表23のより多能な両性物質Iシステムは、広範なC/A比にわたって膜融合性であるシステムであり、それ故、システムの化学の変更を伴わない融合pHの調整を可能にする。いくつかの多能なシステムは、≧0.4だけ異なるC/A比にわたって膜融合性であり、さらに多能なシステムは、>0.6だけ異なるC/A比について膜融合性を保持し、そしていくつかのシステムは、全範囲のC/A比にわたって膜融合性である。例えば、両性物質IシステムDDAB/DMGSは、C/A>0からC/A=0.5までに融合を示す。このシステムが膜融合性であるC/A比の範囲は、約0.5である。
表23の好適な両性混合物は、より高いC/A比において、好ましくは、C/A≧0.4において、より好ましくは、C/A比≧0.5において膜融合性であり、それ故、核酸のようなより多量のポリアニオン性カーゴのカプセル化を容易にする。
本発明の別の実施形態では、両性物質Iシステムは、pH7〜pH8における上記の安定なラメラ相に加えて、pH2〜pH4の間の酸性pHにおいて、第2の安定な相を形成してもよい。しかし、先に記載のように、低いpHにおける安定なラメラ相は必須ではなく、そして例えば、両性リポソーム生成および酸性条件下におけるカーゴのカプセル化のために、大きな対アニオンが、このpH範囲で脂質相を安定化してもよい。
荷電した両親媒性物質のみを含んでなり、そしてpH7〜pH8およびpH2〜pH4において安定なラメラ相を有し、そしてpH3〜pH6の間、好ましくは、pH4〜pH6の間で融合する好適な膜融合性両性物質Iシステムは、以下の特定の混合物を含んでなり得る(表24):
Figure 0005424885
表14の多能な両性物質Iシステムは、広範なC/A比にわたって、好ましくは、≧0.4のC/A比の範囲にわたって、より好ましくは、>0.6のC/A比の範囲にわたって、膜融合性である。
さらに加えて、より高いC/A比、好ましくは、C/A≧0.4、より好ましくは、C/A比≧0.5において膜融合性である上記の表24の両性混合物が好適である。
荷電した両親媒性物質のみを含んでなる両性物質IIシステム
両性物質IIシステムは、荷電性アニオンおよび荷電性カチオンを含んでなり、従って、全範囲のアニオン:カチオン比にわたって両性であるという利点を有する。両性物質Iまたは両性物質IIIシステムに関しては、強イオンの電荷過補償は必要ではない。
pH7〜pH8で安定であり、そしてpH3〜pH6の間、好ましくは、pH4〜pH6の間で融合する両性物質IIシステムは、MoChol、HisChol、Chim、MoC3Chol、DmC4Mo2、DmC3Mo2、C3Mo2、C5Mo2、C6Mo2、C8Mo2、C4Mo4、DOIMまたはDPIMから選択される1つもしくはそれ以上のカチオン性両親媒性物質と、DOGS、DMGS、POGSのようなジアシルグリセロールスクシネート類;DOGMまたはDMGMのようなジアシルグリセロールマロネート類;ジアシルグリセロールグルタレート類、例えば、DOGG、DMGG;ジアシルグリセロールアジペート類、例えば、DOGA、DMGA;4−{(1,2−ジアシル−エチル)アミノ}−4−オキソ酸類、例えば、DOAS、DOAM、DOAG、DOAA、DMAS、DMAM、DMAG、DMAA;DOS、DOM、DOGのようなジアシル−アルカン酸類、Chemsおよびそれらの誘導体、例えば、Chol−C3、Chol−C5またはChol−C6;脂肪酸類から選択される1つもしくはそれ以上のアニオン性両親媒性物質との混合物を含んでもよい。
本発明の一実施形態では、カチオン性両親媒性物質は、MoChol、HisChol、Chim、MoC3Chol、DmC4Mo2、DmC3Mo2、C3Mo2、C5Mo2、C6Mo2、C8Mo2、C4Mo4、DOIMまたはDPIMから選択され、そしてChems、DMGS、DMGM、DMGG、DMGA、DMAS、DMAM、DMAG、DMAA、DOGS、DOGM、DOGG、DOGA、DOAS、DOAM、DOAG、DOAA、DMS、DMM、DMG、DMA、DOS、DOM、DOG、DOA、Chol−C3、Chol−C5またはChol−C6から選択されるアニオン性両親媒性物質と組み合わされる。
本発明のいくつかの実施形態では、荷電した両親媒性物質のみを含んでなり、pH7〜pH8で安定であり、そしてpH3〜pH6の間、好ましくは、pH4〜pH6の間で融合する両性物質IIシステムが好適である(表25):
Figure 0005424885
表25のより多能な両性物質IIシステムは、広範なC/A比にわたって膜融合性であるシステムであり、それ故、システムの化学の変更を伴わない融合pHの調整を可能にする。いくつかの多能なシステムは、≧0.7だけ異なるC/A比にわたって膜融合性であり、さらに多能なシステムは、>1だけ異なるC/A比について膜融合性を保持し、そしていくつかのシステムは、全範囲のC/A比にわたって膜融合性である。例えば、両性物質IシステムDDAB/DMGSは、C/A>0からC/A=0.5までに融合を示す。このシステムが膜融合性であるC/A比の範囲は、約0.5である。例えば、混合物Chim/Chemsは、>1のC/A比の範囲を生じるC/A>0〜C/A=1.5の間で融合してもよい。
表25の好適な両性物質II混合物は、より高いC/A比において、好ましくは、C/A≧0.7において、より好ましくは、C/A比≧1において膜融合性であり、それ故、核酸のようなより多量のポリアニオン性カーゴのカプセル化を容易にする。
本発明の別の実施形態では、両性物質IIシステムは、pH7〜pH8における上記の安定なラメラ相に加えて、pH2〜pH4の間の酸性pHにおいて、第2の安定な相を形成してもよい。しかし、先に記載のように、低いpHにおける安定なラメラ相は必須ではなく、そして例えば、両性リポソーム生成および酸性条件下におけるカーゴのカプセル化のために、大きな対アニオンが、このpH範囲で脂質相を安定化してもよい。
荷電した両親媒性物質のみを含んでなり、そしてpH7〜pH8およびpH2〜pH4において両方共に安定なラメラ相を有し、そしてpH3〜pH6の間、好ましくは、pH4〜pH6の間で融合する以下の膜融合性両性物質IIシステムが、さらに好適である(表26):
Figure 0005424885

表26の多能な両性物質IIシステムは、広範なC/A比にわたって、好ましくは、≧0.7のC/A比の範囲にわたって、より好ましくは、≧1のC/A比の範囲にわたって、膜融合性である。
さらに加えて、より高いC/A比、好ましくは、C/A≧0.4、より好ましくは、C/A比≧0.5において膜融合性である表26の両性混合物が好適である。
単独での荷電した両親媒性物質の両性物質IIIシステム
両性物質IIIシステムは、安定なアニオンおよびpH−感受性カチオンによって特徴付けられる。それ故、このpHでは、荷電したカチオン性脂質がほとんどまたは全く存在しないため、両性物質IIIシステムは、中性pHで脂質塩を形成することができない。最初に、カチオンを作製し、次いで、これが塩形成を経験し得るためには、継続した酸性化が必要である。
pH7〜pH8で安定であり、そしてpH3〜pH6の間、好ましくは、pH4〜pH6の間で融合する両性物質IIIシステムは、MoChol、HisChol、Chim、MoC3Chol、DmC4Mo2、DmC3Mo2、C3Mo2、C5Mo2、C6Mo2、C8Mo2、C4Mo4、DOIMまたはDPIMから選択される1つもしくはそれ以上のカチオン性両親媒性物質と、DOPA、DMPA、DPPA、POPA、DSPA、Chol−SO4、DOPG、DMPG、DPPG、POPG、DSPGまたはDOPS、DMPS、DPPS、POPSおよびDSPSから選択される1つもしくはそれ以上のアニオン性両親媒性物質との混合物を含んでもよい。
立体障害のため融合を示さない両性物質IIIシステムは、それほど好適ではない。上記で説明した1つの例は、両性物質IIIシステムMoChol/POPGである。
pH7〜pH8で安定であり、そしてpH3〜pH6の間、好ましくは、pH4〜pH6の間で融合する荷電した両親媒性物質のみを含んでなる好適な両性物質IIIシステムは、以下の特定の混合物(表27)を含む:
Figure 0005424885
これらの両性物質III混合物のうち、pH7〜pH8で安定なラメラ相ならびにpH2〜pH4の間の酸性pHで安定な相を有する以下の混合物がさらに好適である(表28):
Figure 0005424885
セクションIV:中性または両イオン性脂質さらにを含んでなる両性システム
中性脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質またはコレステロールなどのような構造を含んでなる。これらの脂質は、pH3〜8の間で反応するpH応答エレメントを有さないため、この範囲で、分子ジオメトリーの変化は生じない。中性脂質の個々のκ値に依存して、両性脂質対の双安定性挙動の薄弱化が生じ、そして図9に示されるように、d(κ)/d(pH)の急勾配がより小さくなる。加えて、荷電した脂質の薄弱化のために使用される中性脂質に依存して、相図の曲線は、より低いまたはより高い値のκに移行する。図9の計算に使用したパラメータを以下の表29に示す;容積をÅで示す。
Figure 0005424885
図9は、上記の両性物質IIモデルシステムとの組合せで、それぞれ0.5、0.3または0.19のκ値を伴う異なる中性脂質の添加のためのこのような挙動を例示する。システムの振幅がΔκ=0.089から0.044へ減少する一方、最小値は、個々の中性成分のκに従う。
それ故、本発明のいくつかの実施形態では、65mol.%もしくはそれ以下の中性脂質を、塩を形成する荷電した脂質に添加してもよい。50mol.%もしくはそれ以下の添加がより好適であり、そして35mol.%もしくはそれ以下の中性脂質の添加がなおさらに好適である。中性脂質の添加により、脂質二重層をさらに安定化してもよく、そしてそのような目的のための好適な脂質は、より高いκ値、例えば、κ>0.4もしくはなお約0.5を有する。そのような脂質の典型的な例は、疎水性領域にC14〜C18アルキル鎖を伴うホスファチジルコリンである。脂質の最も極性な領域に関して、ホスファチジルコリンのヘッド基は対イオンを補充する。
また、中性脂質の添加により、膜融合性挙動の区域を拡大してもよく、この目的のために、低い値のκを伴う中性脂質を用いてもよい。そのような好適な脂質は、0.3もしくはそれ以下のκ値を有し;より好適な脂質は、約0.2のκ値を有する。そのような脂質の典型的な例には、ホスファチジルエタノールアミン類がある。ホスファチジルエタノールアミン類は、末端のアミノ基とホスフェートとの間に中間の塩橋(ベタイン構造)を形成することが想定され;従って、対イオンはヘッド基に補充されない。
C14〜C18アルキル鎖を伴うホスファチジルエタノールアミン類は、両性リポソームの膜融合性をモデレートするのに好適な脂質である。
コレステロールは、低いκを有する脂質の別の例であり、従って、両性脂質システムの膜融合性挙動を拡大し得る。
もちろん、異なる中性脂質の混合物を使用して、そのようなシステムの膜融合性と安定性との間のバランスを最適化することも可能である。
実際的には、両性リポソームの膜における中性脂質の存在は、リポソームの膜融合性に対して効果を有し、そして本発明の提示されたアルゴリズムによって推定されるように、リポソームの融合を改善または損傷し得る。そのような効果の性質は、中性システムのk(salt)とk(neutral)(中性脂質または中性脂質の混合物の膜定数)との間の関係によって大いに影響されることがアルゴリズムから明らかである。例えば、k(salt)がk(neutral)より高い場合、そのような中性脂質の添加により、融合を刺激するかまたは融合域の幅を拡大してもよい。もちろん、k(total)は、このための所定の最小値に到達しなければならない。いくつかの実施形態では、そのような最小値は、0.34もしくは0.35より小さく、より好適には、0.3より小さく、そしてなおより好適には、そのような最小値は0.25より小さい。
実験的証拠を実施例15および図25に示すが、ここで、異なる量の異なる中性脂質を、両性物質IIシステム(MoChol/DOGS)の膜に混合した。さらに加えて、他の両性システムの膜融合性に対する中性脂質の影響を、実施例15において試験した。
中性脂質はまた、コロイド安定性または体液における安定性のような両性リポソームの他の特徴に対して影響を及ぼし得る。例えば、薬学的アプリケーションにおける両性リポソームの使用には、貯蔵および血流を介する移動中のリポソームの安定性が必要である。
両性脂質混合物の膜における単一の中性脂質としてのホスファチジルコリンの存在は、両性脂質混合物の融合能を低減することは明らかである。ホスファチジルコリンは、>0.4の高いk値を有する両イオン性脂質である。
本発明の1つの実施形態では、単一の中性成分としてk>0.4を伴う40mol%未満、好ましくは、30mol%未満、より好ましくは、20mol%未満の中性または両イオン性脂質が、両性脂質混合物中に存在する。そのような中性または両イオン性脂質として、ホスファチジルコリン類、スフィンゴミエリン類またはセラミド類が挙げられるが、それらに限定されない。
中性脂質としてのコレステロールは、両性脂質システムの膜融合性に対して影響を及ぼさないか、または融合能の改善をなおもたらすかのいずれかである。同様の挙動が、脂質DOPEについても観察された。コレステロールおよびホスファチジルエタノールアミン類は、0.3未満のk値を有し、そしてヘキサゴナル相の形をとる中性または両イオン性脂質である。
本発明のさらなる実施形態では、コレステロールもしくはホスファチジルエタノールアミン類または両方の脂質の混合物は、単一の中性または両イオン性脂質として両性脂質混合物中に存在してもよい。好ましくは、これらの脂質の65mol%以下、より好ましくは、50mol%以下、を、両性リポソーム中の単一の中性または両イオン性脂質として使用する。
膜融合性と安定性との間のバランスを最適化するために、中性または両イオン性脂質の混合物を両性リポソーム中の中性成分として使用することは有利であり得る。
本発明のなおさらなる実施形態では、ホスファチジルコリン類(PC)、スフィンゴミエリン類もしくはセラミド類およびホスファチジルエタノールアミン類(PE)のような中性脂質の混合物またはホスファチジルコリン類(PC)、スフィンゴミエリン類もしくはセラミド類およびコレステロール(Chol)の混合物を、両性リポソーム中の中性成分として使用してもよい。好ましくは、PC/PEまたはPC/Cholの比は、4〜0.25の間、より好ましくは、3〜0.33の間である。これらの中性脂質混合物は、80mol%もしくはそれ以下、好ましくは、65mol%もしくはそれ以下の量で、塩を形成する荷電した脂質に添加してもよい。50mol%もしくはそれ以下の添加が最も好適である。
また、中性脂質は、荷電した両親媒性物質の単独の混合物と比較して、さらなるC/A比まで融合能を拡大し得ることを見出した。例えば、40mol%POPC/DOPE=0.33のHisChol/DOGS混合物への添加は、C/A=>0〜0.7からC/A=>0〜1への膜融合性の範囲の拡大をもたらす。同様に、40mol%コレステロールの添加は、融合が生じるためのDOTAP/ChemsのC/A比をC/A=>0〜0.4からC/A=>0〜0.67まで拡大する。
要約すると、本明細書において開示したアルゴリズムは、両性リポソームにおける相転移を説明するのに適切である。アルゴリズムの必須要素は、(i)脂質形状理論、(ii)対イオンがヘッド基容積の部分を形成する、および(iii)脂質塩形成が二重層で生じ得、対イオンの解離をもたらすという概念である。アルゴリズムの単純性は、当業者が計算を再現し、そして個々の目的に対してシステムを採用することを容易にする。示したもの以外の当業者に周知の他のツールを使用して、分子容を計算することも可能である。定性的推定は、容積の代わりに分子の断面積を使用した場合でも変化しない。もちろん、そのような場合、結果を再キャリブレーションしなければならない。
上記のように、立体障害は、特別な場合、塩形成を妨害することもある。そのような場合、相の挙動は、本明細書において先に記載したこととは異なり得る。さらに重要なことに、低いおよび中性pHでは、双安定性は観察されない。その代わり、両性システムのタイプに依存して、一方またはいずれの側に対しても不安定性の区域を伴う中間のpHについて、安定性の鞍点が観察される。典型的な例が以下の実施例に含まれる。
本明細書において開示した分子容計算は、疎水性部分における鎖の飽和については触れていない。不飽和脂質を含んでなる脂質膜は、融合挙動を改善し得る周囲温度においてより高い流動性を有するため、そのような脂質の使用は特に有利であり得る。不飽和脂質は、膜において側圧を発揮することもまた公知であり、それ故、補正係数を挿入して、これらの成分の見かけ上の容積に反映させることもできる。そのような補正係数は1より大きい。
本発明のアルゴリズムは、2つの荷電したパートナーの間に1:1の化学量論を伴う脂質塩の形成を想定する。この概念は、より複雑な状況、例えば、1つの荷電した脂質(monocharged lipids)の多数を複数の荷電した基を伴う単一の他の脂質への結合に拡大することも可能である。CHEMS、DOGSまたはオレイン酸のスペルミンの両親媒性誘導体への結合は、この例を提供し得るが、他の多くの組合せも存在する。別の実施形態では、脂質上の荷電した基は、より複雑であり、そして例えば、HistCholにおけるように異なる荷電した基を含んでなり得る。
そのような場合、他の脂質アニオンまたはカチオンのいずれかによって、1:1複合体が形成され得る。本発明の概念をこの例に適用すると、イミダゾリウムカチオンと個別の脂質アニオン、例えば、CHEMS、DOGSまたはオレイン酸アニオンとの間に対イオンの置き換えが生じ得;加えて、ヒスチジン部分のカルボキシルからの同様な対イオン解離は、ヘキサゴナル相の形成をさらに支持し得る。
脂質のそのようなより複雑な配置は、相互作用パートナーの立体適合性に余分な負担をかけ、実験の失敗または混合された形の可能な相互作用をもたらし得、ここで、可能なすべての結合部位が塩形成に関与しているわけではないことが、当業者に明らかであろう。
本明細書において開示した方法は、システムの最適化に関与する変数の数を実質的に減少させる。
詳細な説明では、多様な計算によって、本発明を例示してきた。以下の実施例では、さらなる実験的研究について説明する。実施例は、本発明を実践する所定の態様のさらなる詳述を理解することによって示される。実施例は、決して本開示内容の範囲を制限しない。
実施例1−リポソームの調製およびpH依存的融合実験
緩衝系
100mMクエン酸ナトリウムおよび200mMリン酸水素ナトリウムをストック溶液として調製し、そして両溶液の多様な量を混合して、必要とするpHに調整した。例として、CiP7.0は、7.0のpHを有するその系列由来の緩衝液を指し、そしてクエン酸塩およびリン酸塩から作製される。
リポソームの生成
リポソームは、乾燥した脂質フィルムから形成させた。簡単に説明すると、20μmolのそれぞれの脂質組成物を、1mLのクロロホルム/メタノール3:1に溶解し、そしてロータリーエバポレーターを使用して、減圧下で乾燥した。得られたフィルムを、45分間、1mLのCiP8.0において、穏やかに撹拌しながら水和させた。得られたリポソーム懸濁液を凍結し、融解後音波処理し、究極的に、200nmポリカーボネートフィルターを介して押し出した。
pH−ジャンプ実験
CiP8.0中10μlのリポソームをガラス管に配置し、そして必要とするpHの1mLのCiP緩衝液と共に迅速に混合した。サンプルを、1時間、室温で静置し、そして3mLの200mMリン酸水素ナトリウムをサンプルと共に迅速に混合した。MALVERN Zetasizer 3000HSを使用して、リポソームのサイズを解析し、そしてサイズをZ平均として記録した。
実施例2−両性物質I脂質混合物の融合
リポソームを、クエン酸ナトリウム/リン酸ナトリウムpH8.0(CiP8.0)中のDOTAPおよびCHEMSから調製し、そして少量を、より低いpHを伴うCiP緩衝液に注入した(詳細については実施例1を参照のこと)。より低いpHにおいて観察される任意のより大きな構造物は、凝集形成および多中心ハニカム構造の生成によるものであり得るか、またはそのような構造は、純粋な融合から生じ得るかのいずれかである。これらの2つの結果の間を区別するために、本発明者らは、200mMリン酸水素ナトリウムを使用して、pHを中性に再調整した。静電反発は、多中心小胞を解離するが、融合生成物は解離しない。結果を図10に例示する。
数学的塩橋モデルにおいて推定されるように、不安定性の谷が弱酸性条件で存在し、そしてpH6.5から開始して、より大きな粒子への融合が観察された。しかし、いくらかのDOTAPが混合物中に存在する限り、リポソームの低いpHへの迅速な添加は、粒子の安定化を生じた。100mol.%CHEMS由来のリポソームは、pH4.5未満で融合状態に入り、そしてより低いpHでは安定化しない。
注目すべきことに、DOTAP/CHEMSの1:1混合物は、CiP8.0中でリポソームを形成することができないが、これは、これらのパラメータについて、非ラメラ相を推定する数理モデルと良好に一致する。
実施例3−両性物質IIシステムの融合
リポソームを、クエン酸ナトリウム/リン酸ナトリウムpH8.0(CiP8.0)中のMoCholおよびCHEMSから調製し、そして少量を、より低いpHを伴うCiP緩衝液に注入した(詳細については実施例1を参照のこと)。より低いpHにおいて観察される任意のより大きな構造物は、凝集形成および多中心ハニカム構造の生成によるものであり得るか、またはそのような構造は、純粋な融合から生じ得るかのいずれかである。これらの2つの結果の間を区別するために、本発明者らは、200mMリン酸水素ナトリウムを使用して、pHを中性に再調整した。静電反発は、多中心小胞を解離するが、融合生成物は解離しない。
実験的証拠は、塩橋モデルを支持する(図11を参照のこと)。MoCHolの大きなヘッド基サイズのため、融合区域は、高いアニオン含有量の方向に傾く。結果的に、混合物中33mol.%または50mol.%CHEMSで融合は生じないが、一方、4〜6の間のpHに暴露される場合、66mol.%または75mol.%CHEMSを含有する混合物は、融合を経験する。推定されるように、融合の発生は、より多量のCHEMSを伴うより低いpH値の方に移行する。さらに、100mol.%CHEMSは、低いpHで膜融合性であるが、低いpHでは安定な状態を有さない。
計算に使用するパラメータを、以下の表30に示す;Na/HPO中のCHEMSおよびMoCholをモデル化合物として使用した;すべての容積をÅで示す。
Figure 0005424885
実施例4−立体障害を伴う両性物質IIIシステムにおける融合
リポソームを、クエン酸ナトリウム/リン酸ナトリウムpH8.0(CiP8.0)中のPOPGおよびMoCholから調製し、そして少量を、より低いpHを伴うCiP緩衝液に注入した(詳細については実施例1を参照のこと)。より低いpHにおいて観察される任意のより大きな構造物は、凝集形成および多中心ハニカム構造の生成によるものであり得るか、またはそのような構造は、純粋な融合から生じ得るかのいずれかである。これらの2つの結果の間を区別するために、本発明者らは、200mMリン酸水素ナトリウムを使用して、pHを中性に再調整した。静電反発は、多中心小胞を解離するが、融合生成物は解離しない。
実験的証拠は、塩橋形成が生じない状況のみを支持する。MoCholとPOPGとの間の混合物は、pH−ジャンプ実験において融合を経験しない(データ示さず)。Mo−Cholのプロトン化された窒素は、モルホリノ環の下端側に配置され、従って、容易にアクセスできないため、これは、立体障害による可能性が高い。加えて、POPGのホスフェートは、正に脂質/水の界接面に位置し、そして水相に対してグリセロールで保護されている。
実施例5−立体障害を伴わない両性物質IIIシステムにおける融合
POPG/MoChol由来の両性物質IIIシステムは、融合を経験しない(上記の実施例4を参照のこと)。従って、グリセロール保護の脱離およびPOPGとDOPAとの交換が、そのような立体障害を回避するかどうかは問題であった。事実、図12において例示されるように、そのようなシステムは融合を経験する。
詳細は上記の実施例1のとおりである。計算に使用したパラメータを以下の表31に示す;Na/HPOのDOPAおよびMoCholをモデル化合物として使用したが、容積をÅで表す。
Figure 0005424885
モデル計算は、実験的融合挙動の完全な複雑性を反映する:50%未満のMoCHolを伴う混合物では融合は認められず、MoChol=DOPAでは強い融合、および過剰なDOPAを伴う混合物では酸性条件下で安定な相を伴わない継続した融合。
実施例6−モノアルキル脂質による脂質塩形成
オレイン酸を、既知かつ一般に普及しているpH−感受性膜成分として選択した。脂質テールは、比較的容積が小さいため、ヘッド基の任意の変化は、膜安定性に対してより顕著な結果を有する。図13に示されるように、モデリングは、オレイン酸が、MoCholを伴う両性物質IIシステムにおいて融合の強力な駆動体であることを推定する。これは、実験によって確認される。オレイン酸の混合物は、Mo−Cholと共にリポソームを形成し、そして異なる条件に暴露される場合、粒子は迅速に融合を経験する。アルゴリズムから予想されるように、混合物中のOAの量がより少ないため、融合の程度が制限されるが、50mol.%のアニオンが古典的な谷型の融合パターンを生じる。OAでは融合の傾向がかなり強いため、混合物中のそのアニオンのより大きな部分が、広範なpH値にわたって、広大な融合を生じる。なお、混合物は、常に、低いpHで安定化することができる。詳細は実施例1のとおりである。
Figure 0005424885
実施例7−中性脂質の影響
DOTAPおよびCHEMSを両性物質I荷電した脂質対として選択し、そしてPOPC(κ約0.5)を中性脂質として添加した。予想されるように、荷電した成分の純粋な混合物は、等電点およびそれ未満で凝集または融合を経験する。しかし、図14に示されるように、純粋なアニオンからもはや両性ではない1:1混合物までの範囲のすべてのカチオン:アニオン比について、僅か20mol.%のPOPCの添加により、そのような凝集傾向が大いに改善された。
図15に示されるように、DOTAPおよびCHEMS由来の両性物質I混合物への同じ量のDOPE(κ約0.19)の添加は、DOTAPとCHEMSとの間の比に依存しない融合挙動を維持する。
実施例8−大きな対イオンは、両性物質Iシステムにおける融合を減少することができる。
両性物質Iシステムの融合挙動に対する異なるカチオンの影響を調べるために、20mol%DOTAPおよび80mol%CHEMSから脂質フィルムを調製した。20mMクエン酸および40mMリン酸から開始して一連の緩衝液を作製し、KOH、NaOH、LiOH、トリス−(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS、遊離塩基)またはL−アルギニン(遊離塩基)を使用して、中和した。
脂質フィルムをpH8.0で水和し、そして少量を、より低いpHを伴う対応する緩衝液に注入した(詳細については実施例1を参照のこと)。1時間のインキュベーション後、対応する塩基を使用して、pHを中性に再調整した。結果を図16に例示する。
モデルにおいて推定されるように、カリウムまたはナトリウムのようなむしろ小さな対イオンを使用する限り、20mol%DOTAPおよび80mol%CHEMS由来のリポソームの融合を、約pH4〜5で観察することができる。L−アルギニンまたはTRISのようなより大きな対イオンは、処方を効果的に安定化し、そしてリポソームの融合を減少または完全に抑制する。
実施例9−大きな対イオンは、両性物質IIシステムにおける融合を減少することができる。
両性物質IIシステムの融合挙動に対する異なるカチオンの影響を調べるために、20mol%MoCHOLおよび80mol%CHEMSから脂質フィルムを調製した。20mMクエン酸および40mMリン酸から開始して一連の緩衝液を作製し、KOH、NaOH、LiOH、トリス−(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS、遊離塩基)またはL−アルギニン(遊離塩基)を使用して、中和した。
脂質フィルムをpH8.0で水和し、そして少量を、より低いpHを伴う対応する緩衝液に注入した(詳細については実施例1を参照のこと)。1時間のインキュベーション後、対応する塩基を使用して、pHを中性に再調整した。結果を図17に例示する。
モデルにおいて推定されるように、カリウムまたはナトリウムのようなむしろ小さな対イオンを使用する限り、20mol%MoCholおよび80mol%CHEMS由来のリポソームの融合を、pH3.5〜4.5の間で観察することができる。L−アルギニンまたはTRISのようなより大きな対イオンは、処方を効果的に安定化し、そしてリポソームの融合を減少または完全に抑制する。
実施例10−対イオンは、両性物質IIIシステムにおける融合に対してほとんどまたは全く効果を及ぼさない
両性物質IIIシステムの融合挙動に対する異なるカチオンの影響を調べるために、50mol%MoCHOLおよび50mol%DOPAから脂質フィルムを調製した。20mMクエン酸および40mMリン酸から開始して一連の緩衝液を作製し、KOH、NaOH、LiOH、トリス−(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS、遊離塩基)またはL−アルギニン(遊離塩基)を使用して、中和した。
脂質フィルムをpH8.0で水和し、そして少量を、より低いpHを伴う対応する緩衝液に注入した(詳細については実施例1を参照のこと)。1時間のインキュベーション後、対応する塩基を使用して、pHを中性に再調整した。結果を図18に例示する。
モデルにおいて推定されるように、50mol%MoCholおよび50mol%DOPA由来のリポソームの融合を、pH3.5〜5の間で観察することができ、そして両性物質IIIシステムに対する多様なカチオンの影響はほとんど認められない。MoCHOLおよびDOPAが低いpH条件で脂質塩を形成し、それによって、膜から対イオンが除外されるため、このことは、モデルから予想される。結果的に、一旦、脂質膜から除外されると、対イオンは、膜の安定性または不安定性に寄与することができない。
実施例11−蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に基づく融合アッセイ
異なる両性脂質混合物の融合能について調べるために、FRETに基づく脂質混合アッセイを使用した。0.6mol%NBD−PE(N−(7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル)−1,2−ジヘキサデカノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノール−アミン、トリエチルアンモニウム塩)またはローダミン−PE(LissamineTMローダミンB 1,2−ジヘキサデカノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、トリエチルアンモニウム塩)でそれぞれ単一標識したリポソームを使用して、FRETシグナルの出現を介して、脂質融合をモニターした。
脂質をイソプロパノールに溶解し(最終脂質濃度16mM)、そして混合した。緩衝液(酢酸10mM、リン酸10mM、NaOH、pH7.5)をアルコール性脂質混合物に添加することによって、リポソームを生成し、1.95mMの最終脂質濃度および12.2%の最終イソプロパノール濃度を得た。リポソームの調製のために、液体取り扱いロボット(パーキンエルマー(Perkin Elmer)、Multiprobe II Ex)を使用した。NBD−標識およびRh−標識両性リポソームを、1:1比で合わせ、続いて、上記の緩衝液で1:1希釈した。最後に、この混合したサンプルの小さなアリコートを、漸減する特定のpH(HAc 50mM、リン酸50mM、NaOH、pH7.5〜2.5)に加え、そして37℃で2時間、インキュベートした。この工程では、リポソームを再度、1:1で希釈した。
2組のフィルター:NBD/ローダミン:460/590nmおよびNBD/NBD:460/530nmを使用して、サンプルの蛍光を測定した。膜融合のシグナルとしてのFRETを、発光(590nm)/発光(530nm)の比として表した。0.4のバックグランドはバックグランドの蛍光を示すので、これをFRETシグナルから差し引いた。
融合と単なる凝集とを区別するために、懸濁液をpH7.5に中和し、そしてFRETシグナルを再度測定した。予備実験によって、リポソームの融合に対する3%の残留アルコール含有量の可能な障害を除外した。
実施例12:荷電した両親媒性物質を単独で含んでなる両性物質I脂質混合物の融合アッセイ
実施例8に記載のように、融合アッセイを実施した。表33において示される脂質対を、0.17、0.33、0.40、0.50、0.67、0.75のカチオン/アニオンモル比(C/A比)で、融合について試験し、そして純粋なアニオン性リポソームをコントロールとして調製した。
表33は、実験において試験した脂質対を示す。各脂質対について、pH7〜pH8における安定性およびpH4〜pH6の間の融合を観察したC/A比の範囲を表に示す。加えて、各脂質対について、pH7〜pH8およびpH2〜pH4の両方における安定なラメラ相ならびにpH4〜pH6の間の融合を有するC/A比の範囲を示す。
融合は、ΣFRET、完全なマトリックスC/A=0.17〜0.75対pHの測定したすべてのFRETシグナルの合計として表すことができる。
Figure 0005424885

以下の表34a〜dは、マトリックスC/A対pHとして、4つの選択された両性物質Iシステムの融合プロファイルを示す。加えて、純粋なアニオン性脂質のリポソームの融合を示す(C/A=0)。例えば、100%Chemsのリポソームは、約4.2のpHで融合することが公知である(Hafez et al, Biophys. J., 79, (2000), 1438-1446)。このことは、本実験によって確認される。加えて、融合プロファイルは、pH7〜pH8およびpH2〜pH4の両方において安定なラメラ相を有し、pH4〜pH6の間で融合する両性物質I混合物を示す。
表34a−98a頁を参照のこと
表34b〜d−99頁を参照のこと
Figure 0005424885
Figure 0005424885
Figure 0005424885
Figure 0005424885
実施例13:荷電した両親媒性物質を単独で含んでなる両性物質II脂質混合物の融合アッセイ
実施例8に記載のように、融合アッセイを実施した。表35において示される脂質対を、0.33、0.5、0.67、1、1.5、2、3のカチオン/アニオンモル比(C/A比)で、融合について試験し、そして純粋なアニオン性リポソームをコントロールとして調製した。
表35は、実験において試験した脂質対を示す。各脂質対について、pH7〜pH8における安定性およびpH4〜pH6の間の融合を観察したC/A比の範囲を表に示す。加えて、各脂質対について、pH7〜pH8およびpH2〜pH4の両方における安定なラメラ相を有し、そしてpH4〜pH6の間で融合するC/A比の範囲を示す。
融合は、ΣFRET、マトリックスC/A=0.33〜3対pHの測定したすべてのFRETシグナルの合計として表すことができる。
表35:
Figure 0005424885
Figure 0005424885
以下の表36a〜dは、4つの選択された両性物質IIシステムについて、融合プロファイルのマトリックスを例示的に示す。加えて、純粋なアニオン性脂質のリポソームの融合を示す(C/A=0)。融合プロファイルは、pH7〜pH8およびpH2〜pH4の両方において安定なラメラ相を有し、pH4〜pH6の間で融合する両性物質II混合物を示す。
表36a〜d:
表36a〜b−102a頁を参照のこと
表36c〜d−103頁を参照のこと
Figure 0005424885
Figure 0005424885
Figure 0005424885
Figure 0005424885
実施例14:荷電した両親媒性物質を単独で含んでなる両性物質III脂質混合物の融合アッセイ
実施例8に記載のように、融合アッセイを実施した。表37において示される脂質対を、1.5、2、3のカチオン/アニオンモル比(C/A比)で、融合について試験した。
表37は、実験において試験した脂質対を示す。各脂質対について、pH7〜pH8における安定性およびpH4〜pH6の間の融合を観察したC/A比の範囲を表に示す。加えて、各脂質対について、pH7〜pH8およびpH2〜pH4の両方における安定なラメラ相を有し、そしてpH4〜pH6の間で融合するC/A比の範囲を示す。
Figure 0005424885
以下の表37a〜dは、4つの試験した両性物質IIIシステムについて、融合プロファイルのマトリックスを例として示す。加えて、純粋なアニオン性脂質のリポソームの融合を示す(C/A=0)。融合プロファイルは、pH7〜pH8およびpH2〜pH4の両方において安定なラメラ相を有し、pH4〜pH6の間で融合する両性物質III混合物を示す。実施例4に記載のように、MoCholとPOPGとの間の混合物は、立体障害のため融合を経験しない。このことは、本FRET実験においても観察することができる。脂質対MoChol/CholSO4の場合についても同じであり得る。
表37a〜d:
表37a−104a頁を参照のこと
表37b〜d−105頁を参照のこと
Figure 0005424885
実施例15:両性脂質混合物の融合に対する中性または両イオン性脂質の影響
漸増する量の中性または両イオン性脂質を伴う両性リポソームを、実施例8に記載のように調製した。はじめに、両性物質Iシステム(DOTAP/DMGS)および両性物質II(MoChol/DOGS)を、10〜50%の異なる中性もしくは両イオン性脂質またはそれらの混合物の添加によって、調製した。異なるC/A比を有する一連のリポソームについて、融合を測定した。システムは、マトリックス全体におけるそのようなすべての測定値の合計を使用して、特徴付けることができる。次いで、中性または両イオン性脂質の効果を、この包括的パラメータ(ΣFRET)を使用して、解析した。
図25は、両性脂質混合物MoChol/DOGSの膜融合性に対する異なる中性または両イオン性脂質の影響を示す。POPCもしくはDOPCのような高いκを有する中性脂質は、両性リポソームの膜融合性を減少するが、一方、DOPEもしくはコレステロールのようなより低いκを有する脂質は、膜融合性に対してほとんど影響を及ぼさないか、または融合をなお改善し得ることが明らかである。POPCおよびDOPEの混合物、ならびにPOPCまたはDOPCおよびコレステロールの混合物は、ほとんど影響を及ぼさないか、または2つの脂質の比に依存して、融合能力を減少し得る。両性リポソームの膜におけるDOPEおよびコレステロールの存在は、膜融合性を変更しないか、またはその増加をなおもたらす。これらの所見は、中性脂質POPC、DOPE、コレステロールおよびPOPC/Chol=1の混合物について、図21〜24に示されるようなモデルと極めて良好に相関する。図では、DOTAP/DMGS(C/A=0.17〜0.75)またはMoCHol/DOGS(C/A0.33〜3)由来のリポソームのΣFRETを、0%〜50%中性脂質を伴う混合物のk(min)に対してプロットした。参照K(min)を、C/A=0.66(DOTAP/DMGS)またはC/A=1(MoChol/DOGS)についてモデル化した。
さらなる実験では、他の両性脂質システムの膜融合性に対する異なる中性または両イオン性脂質システム(POPC、コレステロールまたはPOPC/DOPE=0.33)の効果を決定した。表38および39は、これらのデータを要約し、そして実験の第1の部分の結果を確認している。表38および39は、両性リポソームがpH7〜pH8で安定であり、そしてpH3〜pH6の間、好ましくは、pH4〜pH6の間で融合するΣFretおよびC/A比の範囲を示す。
低い膜融合性を有する両性脂質システムは、中性または両イオン性脂質の添加によって、明確に改善することができることが明らかである。さらに加えて、結果は、中性または両イオン性脂質はまた、膜融合性の範囲に対して影響を及ぼし得ることを示す。これは、C/A比の範囲を、混合物において使用した中性または両イオン性脂質に依存して、広くするまたは狭くすることができることを意味する。
表38:
Figure 0005424885
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表39:
Figure 0005424885
Figure 0005424885
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実施例16:カチオン性両親媒性物質の合成
DmC4Mo2の合成
A.2,3−ジメチル無水コハク酸の合成
Sutton, et al. OPPI 24 (1992) 39に記載のように、2,3−ジメチル無水コハク酸を調製した。簡単に説明すると、7.1gの2,3−ジメチルコハク酸および6.9mlの無水酢酸を、50℃まで、3時間、緩徐に加熱した。次いで、無水酢酸を、蒸留により取り出した。生成物を、無水エタノールから再結晶化し、そして融点により特徴付けした。
B.2,3−ジメチルコハク酸−モノコレステリルエステルの合成
2,3−ジメチルコハク酸−モノコレステリルエステルを、J.T.Kley et al., Monatshefte Chem 129 (1998) 319のChems合成に従って調製した。2.9gの2,3−ジメチル無水コハク酸、6.3mlのトリエチルアミン、0.06gのジメチルアミノピリジンおよび50mlのクロロホルムを、丸底フラスコに合わせて、そして還流した。7.8gのコレステロールを、45分間の間、2段階で、混合物に添加した。混合物を6日間、還流した。最後に、溶媒をエバポレートし、そして100mlのトルオールおよび1.8gのピリジンを添加した。混合物を1.5日間、再度、還流した。溶媒をロトバップ(rotovap)において取り出し、そして粗生成物を、まず、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/メタノール96:4)により、続いて、エーテルからの再結晶およびシリカゲル上での第2のカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルエステル:石油エーテル1:1)によって精製した。生成物の純度を、薄層クロマトグラフィーによって判定した。
DmC4Mo2の合成
5.9gの2,3−ジメチルコハク酸−モノコレステリルエステルおよび300mlのテトラヒドロフランを、N雰囲気下で撹拌し、そして−10℃まで冷却した。1.9mlのN−メチルモルホリンを混合物に添加した。次いで、1.6mlのイソブチルクロロホルミエートを、段階的に混合物に添加した。1時間後、混合物を0℃にし、そして約2時間後、室温にした。次いで、混合物を、再度、−10℃まで冷却し、1.5mlの4−(2−アミノエチル)モルホリンを段階的に添加し、そして反応物を、1晩、室温で撹拌した。混合物をろ過し、次いで、溶媒をエバポレートし、そして生成物を、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/メタノール96:4)およびヘキサンからの再結晶によって精製した。生成物を、薄層クロマトグラフィー、H−NMRおよびHPLCにより、特徴付けした。
DmC3Mo2の合成
A.2,2−ジメチル−マロン酸モノエチルエステルの合成
25gの2,2−ジメチル−マロン酸ジエチルエステル、7.8gの水酸化カリウムおよび500mlのエタノールを、丸底フラスコにおいて混合し、そして3時間、還流した。次いで、再度、2.2gの水酸化カリウムを添加し、そして混合物を1晩、還流した。溶媒をロトバップ上で取り出し、250mlのHOを添加し、そして混合物をエーテルで洗浄した。水相を、HClで酸性にして、pH3〜4とし、続いて、ジクロロメタンで2回抽出した。有機溶媒を乾燥し、そしてエバポレートし、そして得られた生成物をH−NMRによって特徴付けた。
B.2,2−ジメチル−N−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−マロンアミド酸エチルエステルの合成
19gの2,2−ジメチル−マロン酸モノエチルエステルを丸底フラスコに秤量し、そしてN雰囲気下および室温で、200mlのテトラヒドロフラン、15.6mlの4−(2−アミノエチル)−モルホリンおよび32.6mlのN−メチルモルホリンを添加した。反応物を撹拌し、そして5℃に冷却した。次いで、43.8gのTBTUを添加し、そして混合物をさらに1.5時間、撹拌した。最後に、溶媒を取り出し、そして残渣を400mlのジクロロメタンに溶解した。この有機相を、500mlのNaHCO溶液で2回洗浄した。ジクロロメタン相を乾燥し、次いで、溶媒をエバポレートした。生成物の純度を、ガスクロマトグラフィーによって判定した。
C.2,2−ジメチル−N−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−マロンアミド酸(HCl塩)の合成
34.1gの2,2−ジメチル−N−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−マロンアミド酸エチルエステル、8.4gの水酸化カリウム、200mlのエタノールおよび4.5mlのHOを、80℃で、6時間、撹拌した。次いで、溶媒のほとんどを取り出し、そして約100mlの2N HClでpHをpH3〜4に調整した。溶媒をエバポレートし、そしてトルオールを添加し、次いで、取り出した。最終残留物にメタノールを添加し、そして懸濁液をろ過して、塩を取り出した。溶媒を取り出し、そして残渣をHOに溶解し、そして凍結乾燥した。生成物をH−NMRによって特徴付けた。
C.DmC3Mo2の合成
10.7gの2,2−ジメチル−N−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−マロンアミド酸(HCl塩)および50mlのトルオールを、丸底フラスコ中、N雰囲気下で合わせた。次いで、13.9mlのチオニルクロリドを添加し、そして溶液を3時間、還流した。溶媒をエバポレートし、そして150mlのクロロホルムを残渣に添加した。14.7gのコレステロールおよび0.023gの4−ジメチルアミノピリジンの添加後、混合物を室温で撹拌し、そして15分間後、10.7mlのトリエチルアミンを添加した。反応物を、室温で1.5日間、撹拌した。次いで、溶媒をロトバップにおいて取り出し、そして粗生成物を100mlの酢酸エチルエステルに溶解し、次いで、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルエステル/メタノール9:1)およびエーテルからの再結晶により精製した。最終生成物をH−NMRおよびHPLCによって特徴付けた。
C3Mo3の合成
A.マロン酸モノクロリドの合成
マロン酸モノクロリドを、Wilson, et al., J.Org.Chem 39 (1974) 3170に記載のように合成した。簡単に説明すると、150gのマロン酸および600mlのエーテルを、N雰囲気下、丸底フラスコに添加した。混合物を撹拌し、そして150.2mlのチオニルクロリドを段階的に添加した。溶媒をロトバップにおいて取り出す前に、懸濁液を5時間、還流した。残渣を、音波処理下、および40℃で、500mlのクロロホルム:ヘキサン1:2で3回処置した。3回分の抽出物を合わせ、そして−15℃で、1晩、保持した。母液をデカントし、そして黄色結晶をヘキサンで洗浄し、そして乾燥した。母液を濃縮し、そして再度、−15℃に保持し、さらなる生成物を得た。
B.マロン酸モノコレステリルエステルの合成
26gのコレステロールおよび12.4gのマロン酸モノクロリドを、N雰囲気下、丸底フラスコに秤量した。まず、300mlのベンゼンを添加し、続いて、11mlのピリジンを段階的に添加した。混合物を室温で撹拌し、そして1時間後、100mlのクロロホルムを添加した。3時間後、混合物を40分間、音波処理し、続いて、再度、100mlのクロロホルムを添加し、そして混合物を、0.5日間、室温でさらに撹拌した。次いで、250mlのHOおよび100mlのクロロホルムを混合物に添加した。有機相を乾燥し、そして溶媒をロトバップにおいて取り出した。粗生成物を100mlのジクロロメタン/メタノール9:1に溶解し、続いて、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/メタノール9:1)およびエーテルおよび石油エーテルからの再結晶によって精製した。最終生成物を1H−NMRによって特徴付けた。
C.C3Mo3の合成
6gのマロン酸モノコレステリルエステルを丸底フラスコに秤量し、そしてN雰囲気下および室温で、200mlのテトラヒドロフラン、2.2mlの4−(2−アミノエチル)−モルホリンおよび2.8mlのN−メチルモルホリンを添加した。混合物を撹拌し、そして0℃に冷却した。次いで、8.2gのTBTUを段階的に添加し、そして反応物を室温で1日間、撹拌した。シリカゲルを充填したフリット(溶離液:酢酸エチルエステル/メタノール1:1)を介して混合物をろ過することによって、懸濁液を予め精製した。最後に、粗生成物を、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム/メタノール9:1)によって精製し、そして得られた生成物を、H−NMRおよびLC−MSによって特徴付けた。
C3Mo2の合成
6gのマロン酸モノコレステリルエステルを丸底フラスコに秤量し、そしてN雰囲気下および室温で、200mlのテトラヒドロフラン、2.0mlの4−(2−アミノエチル)−モルホリンおよび2.8mlのN−メチルモルホリンを添加した。混合物を撹拌し、そして0℃に冷却した。次いで、8.2gのTBTUを段階的に添加し、そして反応物を室温で2日間、撹拌した。シリカゲルを充填したフリット(溶離液:酢酸エチルエステル/メタノール1:1)を介して混合物をろ過することによって、懸濁液を予め精製した。最後に、粗生成物を、シリカゲル上でのクロマトグラフィー(1.クロマトグラフィー→溶離液:クロロホルム/メタノール9:1;2.クロマトグラフィー→溶離液:クロロホルム/0〜3%メタノール)によって精製した。得られた生成物を、H−NMRおよびLC−MSによって特徴付けた。
C4Mo4の合成
A.4−モルホリン−4−イル−ブチロニトリルの合成
196.9mlのモルホリン、500mlのトルオールおよび100mlのクロロホルムを、丸底フラスコにおいて、N雰囲気下および80℃で撹拌した。1時間後、100gの4−クロロブチロニトリルを、1時間以内に、段階的に添加した。反応物を、1日間、80℃で、そしてさらに1日間、室温で撹拌した。混合物をフリットに通し、そして残渣をエーテルで2回洗浄した。ろ過物を濃縮し、最後に、減圧下で蒸留した。生成画分を、95〜100℃および1.2〜0.89トルで回収した。無色のオイルの純度を、ガスクロマトグラフィーおよびH−NMRによって判定した。
B.4−モルホリン−4−イル−ブチルアミンの合成
14.8gのリチウムアルミニウムヒドリドを、N雰囲気下、丸底フラスコに秤量した。物質を−55℃に冷却し、そして150mlのエーテルを段階的に添加した。懸濁液を撹拌し;次いで、30gの4−モルホリン−4−イル−ブチロニトリルを200mlのエーテルに溶解し、そして溶液を反応混合物に段階的に添加した。再度、200mlのエーテルを混合物に添加し、そして反応物を室温で1晩、撹拌した。翌日、混合物を10℃未満に冷却し、そして35mlのHOを注意深く添加した。5時間後、混合物をフリットに通し、そして残渣を、300mlのエーテルで洗浄した。ろ過物を乾燥し、濃縮し、最後に、減圧下で蒸留した。生成画分を、74〜78℃および2.1〜1.6トルで回収した。無色のオイルの純度を、ガスクロマトグラフィー、GC−MSおよびH−NMRによって判定した。
C.C4Mo4の合成
9.7gのコレステロールヘミスクシネートを、100mlのテトラヒドロフランに溶解し、そしてN雰囲気下および−15℃で撹拌した。次いで、3.3mlのN−メチルモルホリンを、段階的に、10分間以内に添加し、続いて、2.9mlのイソブチルクロロホルミエートを緩徐に添加した。次いで、3.2gの4−モルホリン−4−イル−ブチルアミンを、段階的に添加した。温度を室温にまで上昇させ、そして反応物を2.5時間、撹拌した。混合物をフリットに通し、そして残渣を20mlのテトラヒドロフランで洗浄した。ろ過物の溶媒をエバポレートし、そして残渣に、100mlの沸騰酢酸エチルエステルを添加した。さらなるろ過後、混合物を室温で2.5日間、保持した。溶媒を再度取り出し、そして粗生成物を、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/メタノール96:4および83:17)によって精製した。生成物を、薄層クロマトグラフィーおよびH−NMRにより、特徴付けした。
C5Mo2の合成
A.ペンタン二酸モノコレステリルエステルの合成
35gのコレステロールおよび15.5gの無水グルタル酸を丸底フラスコに秤量した。N雰囲気下、500mlのクロロホルム、25.4mlのトリエチルアミンおよび0.22gの4−ジメチルアミノピリジンを添加した。反応物を5日間、還流した。次いで、250mlのHOを添加し、そしてpHを、撹拌下、2N HClでpH4〜5に調整した。有機相を乾燥し、最後にエバポレートした。再度、残渣に、31gの無水グルタル酸を、250mlのトルオール、22.1mlのピリジンおよび0.22gの4−ジメチルアミノピリジンと共に添加した。混合物を、1日間、還流した。次いで、溶媒をエバポレートし、そして残渣を、ジクロロメタン/酢酸エチルエステル(96:4)に溶解し、そしてシリカゲル上でのフリット(溶離液:ジクロロメタン/メタノール94:4)によって精製した。シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液:によるさらなる精製後、生成物を1H−NMRおよび薄層クロマトグラフィーによって特徴付けた。
B.C5Mo2の合成
N2窒素雰囲気下、6gのペンタン二酸モノコレステリルエステルを、250mlのテトラヒドロフランに溶解した。2.8mlの4−(2−アミノエチル)モルホリンおよび2.6mlのN−メチルモルホリンを添加し、そして混合物を10℃に冷却した。最後に、7.7gのTBTUを段階的に添加し、そして反応物を室温で1日間、撹拌し、続いて、4℃で3日間、インキュベーションした。次いで、溶媒をエバポレートし、そして粗生成物を、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、そして1H−NMRによって特徴付けた。
C6Mo2の合成
A.オキセパン−2,7−ジオンの合成
100gのアジピン酸および100mlの無水酢酸を、5時間、還流した。溶媒をロトバップにおいて取り出し、そして100mlのアセトニトリルを残渣に添加し、そして混合物を冷凍庫に1晩保持した。次いで、混合物をフリットに通し、そして得られた残渣を50mlのアセトニトリルで洗浄し、そして乾燥した。
B.ヘキサン二酸モノコレステリルエステルの合成
65gのコレステロールおよび33gのオキセパン−2,7−ジオンを丸底フラスコに秤量した。N雰囲気下、300mlのトルオール、21.2mlのピリジンおよび0.21gの4−ジメチルアミノピリジンを添加した。反応物を2日間、還流した。次いで、溶媒をエバポレートし、そして残渣を、ジクロロメタン/酢酸エチルエステル(96:4)に溶解し、そしてシリカゲル上でのフリット(溶離液:ジクロロメタン/酢酸エチルエステル(96:4))によって精製した。生成物を、1H−NMRおよび薄層クロマトグラフィーにより、特徴付けした。
C.C6Mo2の合成
窒素雰囲気下、10gのヘキサン二酸モノコレステリルエステルを、250mlのテトラヒドロフランに溶解した。3.1mlの4−(2−アミノエチル)モルホリンおよび3.2mlのN−メチルモルホリンを添加し、そして混合物を10℃に冷却した。さらなる100mlのテトラヒドロフランの添加後、9.4gのTBTUを段階的に添加し、そして反応物を室温で1晩、撹拌した。次いで、溶媒をエバポレートし、そして粗生成物を、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム/0〜5%メタノール)によって精製し、そしてH−NMR、薄層クロマトグラフィーおよびLC−MSによって特徴付けた。
実施例17:siRNAをカプセル化する両性リポソーム
siRNA充填両性リポソームを、非標的スクランブルsiRNAを使用して、製造した。脂質混合物A(DC−Chol:DMGS:Chol、26:39:35mol%)またはB(DC−Chol:DMGS:Chol、20:40:40mol%)を、エタノール中両方の混合物について30mMまたは60mM(最終脂質濃度)の濃度で、溶解した。siRNAストックの適切な容積を、20mM NaAc、300mMスクロース/NaOH pH4.0に希釈した。有機および水溶液を3:7比で混合し、そしてリポソーム懸濁液を、136mM NaHPO、100mM NaClで直ちにpH>7.5に移行させた。
Centrisart(分子量カットオフ値300kD(Sartorius、Goettingen、Germany)による限外ろ過を使用して、カプセル化されていないsiRNAの量を決定した。ろ過物のsiRNA濃度を、分光学的(OD260nm)に測定した。カプセル化されたオリゴヌクレオチドの量を、siRNAの全量からsiRNAのカプセル化されていない量を差し引くことによって、決定した。
Figure 0005424885

Claims (27)

  1. 両性リポソームを処方する方法であって:
    アニオン性両親媒性物質、カチオン性両親媒性物質(前記アニオン性およびカチオン性両親媒性物質のそれぞれは、それぞれ極性ヘッドおよび無極性テール基を有する)、ならびに場合により、1つもしくはそれ以上の中性両親媒性物質を混合して両性リポソームを製造することを含んでなり、
    前記アニオン性両親媒性物質は荷電性アニオン性両親媒性物質を含んでなり、カチオン性両親媒性物質は荷電性カチオン性両親媒性物質を含んでなり、前記両親媒性物質の混合物はκ salt <0.45を有し;ならびに前記荷電性カチオン性両親媒性物質は、DmC4Mo2、DmC3Mo2、C4Mo4、C3Mo3、C3Mo2、C5Mo2、C6Mo2およびC8Mo2から選択され;そして前記荷電性アニオン性両親媒性物質は、Chems、DMGS、DMGM、DMGG、DMGA、DMAS、DMAM、DMAG、DMAA、DOGS、DOGM、DOGG、DOGA、DOAS、DOAM、DOAG、DOAA、DMS、DMM、DMG、DMA、DOS、DOM、DOG、DOA、Chol−C3、Chol−C5およびChol−C6から選択される、方法。
  2. 前記アニオン性およびカチオン性両親媒性物質ならびにそれらのそれぞれの量は、前記両性リポソームがpH4〜pH8の範囲で等電点を示すように選択される、請求項1に記載の方法。
  3. ナトリウムまたはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリス−ヒドロキシエチルアミノメタンおよびトリエチルアミンから選択される対カチオンをさらに含む、請求項に記載の方法。
  4. 前記両性リポソームがκ salt <0.34を有する、請求項1に記載の方法
  5. 前記カチオン性両親媒性物質は、コレステロールベースであるか、またはジアシルグリセロールに基づく、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法
  6. 前記コレステロールベースのカチオン性両親媒性物質は、MoChol、Chim、HisCholおよびDesh4から選択される、請求項5に記載の方法
  7. 前記両性リポソームは、過剰の荷電性アニオン性両親媒性物質および安定なカチオン性両親媒性物質を含んでなり、κsalt<0.34、およびC/A=0.5のκtotal(pH8)とκsalt との間の差異>0.08を有し、ここに、前記C/Aは、カチオン性両親媒性物質とアニオン性両親媒性物質との比である、請求項1に記載の方法
  8. 前記両性リポソームは、過剰の荷電性アニオン性両親媒性物質および安定なカチオン性両親媒性物質を含んでなり、κsalt<0.34を有し;ならびに前記安定なカチオン性両親媒性物質は、DDAB、DC−Chol、DAC−Chol、TC−Chol、DODAP、N−メチル−PipChol、DOTAP DOEPCおよびCTABから選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法
  9. 前記両性リポソームは、過剰の荷電性カチオン性両親媒性物質および安定なアニオン性両親媒性物質を含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法
  10. 前記随意的な中性両親媒性物質はコレステロールである、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法
  11. 1つもしくはそれ以上の中性または両イオン性両親媒性物質をさらに含んでなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法
  12. 前記中性または両イオン性両親媒性物質は、ホスファチジルコリン類、スフィンゴミエリン類、セラミド類、ホスファチジルエタノールアミン類、コレステロールおよびその混合物から選択される、請求項11に記載の方法
  13. 前記中性または両イオン性両親媒性物質は、ホスファチジルコリン類、スフィンゴミエリン類、セラミド類であり、そして40mol%未満の量で両性リポソーム中に存在する、請求項11に記載の方法
  14. 前記中性または両イオン性両親媒性物質は、DOPEもしくはコレステロールまたはそれらの混合物であり、そして65mol%未満の量で両性リポソーム中に存在する、請求項11に記載の方法
  15. 前記中性または両イオン性両親媒性物質は、ホスファチジルコリン類(PC)、スフィンゴミエリン類もしくはセラミド類およびホスファチジルエタノールアミン類(PE)の混合物、またはホスファチジルコリン類(PC)、スフィンゴミエリン類もしくはセラミド類およびコレステロール(Chol)の混合物であり、そして前記中性または両イオン性両親媒性物質は、80mol%以下の量で両性リポソーム中に存在する、請求項11に記載の方法
  16. 前記リポソームは少なくとも1つの活性剤をカプセル化する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法
  17. 前記活性剤は核酸である、請求項16に記載の方法
  18. 前記活性剤はオリゴヌクレオチドである、請求項16または17に記載の方法
  19. 請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法により作成された活性剤充填両性リポソームおよびその薬学的に許容可能なビヒクルを含んでなる医薬組成物。
  20. アニオン性対イオンを含んでなる第1の溶媒で前記両性リポソームを第1のpHにまで酸性化すること、前記両性リポソームと負に荷電したカーゴ部分とを混合すること、およびその後、カチオン性対イオンを含んでなる第2の溶媒を使用して、前記両性リポソームのpHを第2のpHにまで上昇させることをさらに含み、前記負に荷電したカーゴ部分が充填された両性リポソームを処方する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記酸性化およびpH上昇工程は、前記両性リポソームが迅速に所望のそれぞれのpHにもたらされるように、それぞれの溶媒の一段混合によって達成される、請求項20に記載の方法。
  22. 前記第2のpHはpH7.4である、請求項20または21に記載の方法。
  23. 前記第1のpHは2〜5である、請求項20〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記第1の溶媒は、前記第1のpHにおける前記カーゴ部分のカプセル化のために、>50Aの分子容を有する対アニオンを含んでなる、請求項20〜23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記対アニオンは、シトレート、ピロホスフェート、バルビツール酸およびメチルサルフェートから選択される、請求項24に記載の方法。
  26. 前記カーゴ部分は核酸を含んでなる、請求項20〜25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記中性両親媒性物質は、DC−Chol:DMGS:Chol(26:39:35mol%)またはDC−Chol:DMGS:Chol(20:40:40mol%)からなる、請求項10に記載の方法
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