1. 定義
「アルキル基」
本明細書において用いられるように、用語「アルキル基」は、飽和、一価、非分岐または分岐の炭化水素鎖を意味する。アルキル基の例には、限定されないが、(C1〜C6)アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-メチル-1-プロピル、2-メチル-2-プロピル、2-メチル-1-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-3-ブチル、2,2-ジメチル-1-プロピル、2-メチル-1-ペンチル、3-メチル-1-ペンチル、4-メチル-1-ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、2,2-ジメチル-1-ブチル、3,3-ジメチル-1-ブチル、2-エチル-1-ブチル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、およびヘキシル、ならびにより長いアルキル基、例えば、ヘプチル、およびオクチルが含まれる。アルキル基は、非置換であり得るかまたは1個もしくは2個の好適な置換基で場合によって置換され得る。
「脂肪族」
本明細書において用いられるように、用語「脂肪族」には、炭化水素鎖を有する化合物、例えば、アルカン、アルケン、アルキン、およびそれらの誘導体が含まれる。
「オメガアミノ脂肪族」には、末端アミノ基を有する脂肪族部分が含まれる。オメガアミノ脂肪族の例には、7'-アミノ-ヘプタノイルならびにオルニチンおよびリシンのアミノ酸側鎖部分が含まれる。
「アルケニル基」
本明細書において用いられるように、用語「アルケニル基」は、一価の、非分岐または分岐の炭化水素鎖(その中に1つまたは複数の二重結合を有する)を意味する。アルケニル基の二重結合は、別の不飽和基に非結合であり得るかまたは結合され得る。好適なアルケニル基には、限定されないが、(C2〜C6)アルケニル基、例えば、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル、2-エチルヘキセニル、2-プロピル-2-ブテニル、4-(2-メチル-3-ブテン)-ペンテニルが含まれる。アルケニル基は、非置換であり得るかまたは1個もしくは2個の好適な置換基で場合によって置換され得る。
「アルキニル基」
本明細書において用いられるように、用語「アルキニル基」は、一価、非分岐または分岐の炭化水素鎖(その中に1つもしくは複数の三重結合を有する)を意味する。アルキニル基の三重結合は、別の不飽和基に非結合であり得るかまたは結合され得る。好適なアルキニル基には、限定されないが、(C2〜C6)アルキニル基、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、メチルプロピニル、4-メチル-1-ブチニル、4-プロピル-2-ペンチニル、および4-ブチル-2-ヘキシニルが含まれる。アルキニル基は非置換であり得るかまたは1個もしくは2個の好適な置換基で場合によって置換され得る。
「アラルキル」
用語「アラルキル」には、遊離基-RaRbが含まれ、ここで、Raは、アルキレン(二価アルキル)基であり、Rbは、上記に定義された通りのアリール基である。アラルキル基の例には、ベンジル、フェニルエチル、3-(3-クロロフェニル)-2-メチルフェニルなどが含まれる。
「アリール基」
本明細書において用いられるように、用語「アリール基」は、炭素原子および水素原子を含む単環式または多環式芳香族基を意味する。好適なアリール基の例には、限定されないが、フェニル、トリル、アンサセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、ナフチル、1-ナフチル、2-ナフチル、およびビフェニル、ならびにベンゾ-縮合炭素環式部分、例えば、5,6,7,8-テトラヒドロナフチルが含まれる。アリール基は、非置換であり得るかまたは下記に定義された通りの1個もしくは2個の好適な置換基で場合によって置換され得る。アリール基は、場合によって、シクロアルキル基に縮合され得るか、別のアリール基に縮合され得るか、ヘテロアリール基に縮合され得るか、またはヘテロシクロアルキル基に縮合され得る。好ましいアリール基には、限定されないが、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルキチオ、ハロ、ニトロ、アシル、シアノ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、またはアルコキシ-カルボニルから選択される1個もしくは複数の置換基で、独立に、場合よって置換される、6から12環原子の単環式または二環式芳香族炭化水素基が含まれる。
1つの実施形態において、フェニルは好ましいアリール基であり、これは、独立に「置換される」場合、ヒドロキシル、ハロゲン、アルキル、または直接もしくはエーテル結合を介して結合したアリール基を含む。該フェニル環がそのように置換される場合、該アミノ酸残基は、置換Phe、置換HPheまたは置換Pglにおけるように、置換されると呼ばれ得る。
「ヘテロアリール基」
本明細書において用いられるように、用語「ヘテロアリール基」は、炭素原子、水素原子、ならびに窒素、酸素、および硫黄から独立に選択される1個または複数のヘテロ原子、好ましくは1から4個のヘテロ原子を含む単環式または多環式芳香族環を意味する。ヘテロアリール基の具体的な例には、限定されないが、ピリジル、ピリダジニル、ピラジル、インドリル、トリアジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダソリル、(1,2,3)-トリアゾリル、(1,2,4)-トリアゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、フリル、フィエニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、テトラゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソオキサゾリル、トリアジニル、およびピラジニルが含まれる。二環式ヘテロ芳香族環には、限定されないが、ベンゾチアジアゾリル、インドリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフリル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソキノリニル、プリニル、フロピリジニルおよびチエノピリジニルが含まれる。ヘテロアリールは、非置換であり得るかまたは下記に定義される通りの1個もしくは2個の好適な置換基で場合によって置換され得る。ヘテロアリール基は、場合によって、別のヘテロアリール基に縮合され得るか、アリール基に縮合され得るか、シクロアルキル基に縮合され得るか、またはヘテロシクロアルキル基に縮合され得る。
「シクロアルキル基」
本明細書において用いられるように、用語「シクロアルキル基」は、炭素原子および水素原子を含み、炭素-炭素多重結合を有しない単環式または多環式飽和環を意味する。シクロアルキル基の例には、限定されないが、(C3〜C7)シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチル、ならびに飽和環式および二環式テルペンが含まれる。シクロアルキル基は、非置換であり得るかまたは下記に定義される通りの1個もしくは2個の好適な置換基で場合によって置換され得る。シクロアルキル基は、場合によって、別のシクロアルキル基に縮合され得るか、アリール基に縮合され得るか、ヘテロアリール基に縮合され得るか、またはヘテロシクロアルキル基に縮合され得る。
「ヘテロシクロアルキル基」
本明細書に用いられるように、用語「ヘテロシクロアルキル基」は、炭素原子および水素原子ならびに少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは、窒素、酸素、および硫黄から選択される1から3個のヘテロ原子を含む単環式または多環式環を意味する。ヘテロシクロアルキル基は、アリール基またはヘテロアリール基に縮合され得る。ヘテロシクロアルキル基の例には、限定されないが、ピロリジニル、ピロリジノ、ピペリジニル、ピペリジノ、ピペラジニル、ピペラジノ、モルホリニル、モルホリノ、チオモルホリニル、チオモルホリノ、およびピラニルが含まれる。ヘテロシクロアルキル基は、非置換であり得るかまたは下記に定義される通りの1個または2個の好適な置換基で場合によって置換され得る。ヘテロシクロアルキル基は、場合によって、シクロアルキル基に縮合され得るか、アリール基に縮合され得るか、ヘテロアリール基に縮合され得るか、または別のヘテロシクロアルキル基に縮合され得る。
例えば、ヘテロシクロアルキル基は、アリール基またはヘテロアリール基、例えば、限定されないが、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニルおよび1,2,3,4-テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロナフチリジニル、フェニルピペリジニル、ならびにピペリジニルピリジニルに縮合され得るか、またはそれらで置換され得る。
1つの好ましい実施形態において、ヘテロシクロアルキル基は、単環式環または二環式環、より好ましくは単環式環であり、ここで、該環は、3から6個の炭素原子および1から3個のヘテロ原子(本明細書において(C3〜C6)ヘテロシクロアルキルと呼ばれる)を含む。もう1つの好ましい実施形態において、ヘテロシクロアルキル基は、アリール基またはヘテロアリール基に縮合されるかまたはそれらで置換される。
「ヘテロ環式基」または「ヘテロ環式環」
本明細書において用いられるように、用語「ヘテロ環式基」または「ヘテロ環式環」は、ヘテロシクロアルキル基またはヘテロアリール基を意味する。
「環式基」
本明細書において用いられるように、用語「環式基」は、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基またはヘテロアリール基を意味する。
「アルコキシ基」
本明細書において用いられるように、用語「アルコキシ基」は、-O-アルキル基を意味し、ここで、アルキルは上記に定義される通りである。アルコキシ基は、非置換であり得るか、または1個もしくは2個の好適な置換基で場合によって置換され得る。好ましくは、アルキルオキシ基のアルキル鎖は、長さで1から6個の炭素原子であり、本明細書において「(C1〜C6)アルコキシ」と呼ばれる。
「アリールオキシ基」
本明細書において用いられるように、用語「アリールオキシ基」は、-O-アリール基を意味し、ここで、アリールは上記に定義される通りである。アリールオキシ基は、非置換であり得るか、または1個もしくは2個の好適な置換基で場合によって置換され得る。好ましくは、アリールオキシ基のアリール環は、単環式環であり、ここで、該環は、6個の炭素原子(本明細書において(C6)アリールオキシと呼ばれる)を含む。
「アルコキシカルボニル」
本明細書において用いられるように、用語「アルコキシカルボニル」基は、式-C(=O)-アルコキシの一価の基を意味する。好ましくは、アルコキシカルボニル基の炭化水素鎖は、長さで1から8個の炭素原子(本明細書において「低級アルコキシカルボニル」基と呼ばれる)である。
「カルバモイル」
本明細書において用いられるように、用語「カルバモイル」基は、遊離基-C(=O)N(R')2を意味し、ここで、R'は、水素、アルキル、およびアリールからなる基から選択される。
「カルボニル」
本明細書において用いられるように、「カルボニル」基は、式C(=O)の二価の基である。
「オキソ」
本明細書において用いられるように、「オキソ」基は、式(=O)の基である。
「アシル」
用語「アシル」には、基R-C(=)-が含まれ、ここで、Rは有機基である。一例は、アセチル基CH3-C(=O)-であり、本明細書において「Ac」と称する。
上記に定義された通りのアリール、アルキルまたは置換アルキル基が、1個または複数のカルボニル{-(C=O)-}基を介して結合されている場合、ペプチドまたは脂肪族部分は、「アシル化」されている。ペプチドは、N-末端で最も普通にアシル化される。
「アミド」
「アミド」には、カルボニル基(-C(=O)-NH2)、例えば、メチルアミド、エチルアミド、プロピルアミドなどに結合した三価窒素を有する化合物が含まれる。
「イミド」
「イミド」には、イミド基(-C(=O)-NH-C(=O)-)を含む化合物が含まれる。
「アミン」
「アミン」には、アミノ基(-NH2)を含む化合物が含まれる。
「ニトリル」
「ニトリル」には、カルボン酸誘導体であり、有機基に結合した(-CN)基を含む化合物が含まれる。
「ハロゲン」
本明細書において用いられるように、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。これに対して、用語「ハロ」および「ハル」の意味は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを包含する。
「ペプチド固体支持体」
本明細書において用いられるように、用語「ペプチド固体支持体」は、ペプチド合成における使用のための合成ポリマーを意味し、これは、N-保護アミノ酸官能性または式Iの代用物のカルボキシル基と反応し、それにより該アミノ酸または式Iの代用物を該ポリマーに共有結合させることができる反応性基(遊離のヒドロキシル基またはアミノ基)を一般にリンカーを介して担う。ペプチド合成の最後に、C-末端アミノ酸または代用物とポリマー支持体との間の結合は化学的に切断することができる。次いで、1つもしくは複数の式Iの代用物を含むペプチドまたは化合物は溶液中に入り、その溶液から単離することができる。ペプチド固体支持体の例には、限定されないが、固相合成に好適なリンカーを有するポリアミド樹脂およびポリスチレン樹脂が含まれる。樹脂の例には、メリフィールド樹脂、BHA樹脂、MBHA樹脂、ワング樹脂、オキシム樹脂などが含まれる。用いられる得るリンカーには、Fmoc-Rink、Sieberリンカー、Weinrebリンカーなどが含まれる。
「窒素保護基」
本明細書において用いられるように、用語「窒素保護基」は、反応順序、例えば、ペプチド合成の間、副反応および分解に対して保護する目的でアミノの水素を置換する基を意味する。固相ペプチド合成には、N-保護アミノ酸または代用物のカルボキシ基とペプチド基質のアミノ基とをカップリングさせ、その後次ぎのアミノ-保護シントンを連結することができるように窒素保護基を化学的に切断する工程を含む一連の反応サイクルが含まれる。本発明に有用な窒素保護基には、限定されないが、t-Boc(tert-ブチルオキシカルボニル)、Fmoc(9-フルオレニルメトキシカルボニル)、2-クロロベンジルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル(alloc)、ベンジルオキシカルボニル、2-(4-ビフェニルリル)プロピル-2-オキシカルボニル(Bpoc)、1-アダマンチルオキシカルボニル、トリチル(トリフェニルメチル)、およびトルエンスルホニルを含む、固相ペプチド合成においてよく知られた窒素保護基が含まれる。
「好適な置換基」
本明細書において用いられるように、用語「好適な置換基」は、本発明の化合物のまたはそれらを調製するために有用な中間体の合成的、治療的または医薬的利用性を無くさない基を意味する。好適な置換基の例には、限定されないが、アルキル;アルケニル;アルキニル;アリール;ヘテトアリール;ヘテロシクロアルキル;シクロアルキル;O-アルキル;O-アルケニル;O-アルキニル;O-アリール;CN;OH;オキソ;ハロ;C(=O)OH;C(=O)ハロ;OC(=O)ハロ;CF3;N3;NO2;NH2;NH(アルキル);N(アルキル)2;NH(アリール);N(アリール)2;C(=O)NH2;C(=O)NH(アルキル);C(=O)N(アルキル)2;C(=O)NH(アリール);C(=O)N(アリール)2;OC(=O)NH2;C(=O)NH(ヘテロアリール);C(=O)N(ヘテロアリール)2;NHOH;NOH(アルキル);NOH(アリール);OC(=O)NH(アルキル);OC(=O)N(アルキル)2;OC(=O)NH(アリール);OC(=O)N(アリール)2;CHO;C(=O)(アルキル);C(=O)(アリール);C(=O)O(アルキル);C(=O)O(アリール);OC(=O)(アルキル);OC(=O)(アリール);OC(=O)O(アルキル);OC(=O)O(アリール);S-アルキル;S-アルケニル;S-アルキニル;SC(=O)2-アリール;SC(=O)2-アルキル;SC(=O)2-アルケニル;SC(=O)2-アルキニル;およびSC(=O)2-アリールが含まれる。当業者は、本発明の化合物の合成、安定性および薬理活性に基づいて好適な置換基を容易に選択することができる。
本明細書中、化学構造図において用いられるように、上記「波線」は、化学基が別の化学基に結合している点での結合を示す。したがって、この定義によれば、下記化学式「A」は、
(式中、R'は式「B」の基である)
下記の化合物を表す。
「組成物」
医薬組成物におけるように、用語「組成物」は、活性化合物(複数可)、およびその担体を構成する不活性成分(複数可)、ならびに任意の2種以上の成分の組合せ、錯化もしくは凝集、または1種もしくは複数の成分の解離、または1種もしくは複数の成分の他の種類の反応もしくは相互作用から、直接または間接に生じる任意の生成物を含む生成物を包含することを意図する。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と医薬的に許容される担体とを混合することによって作製される任意の組成物を包含する。
「EC50」
用語「EC50」は、そのアゴニストに対する最大に可能な応答性の50%を生じたアゴニストのモル濃度を含むことを意図する。一例として、cGMPアッセイにおいて測定して、濃度72nMでその化合物に対する最大に可能な応答性の50%を生じる化合物は、72nMのEC50を有する。別に特記されない限り、EC50測定と関連するモル濃度は、ナノモル(nM)においてである。
「Ki(nM)」
用語「Ki(nM)」は、拮抗剤不在における平衡での受容体の結合部位の半分に結合する拮抗化合物のモル濃度を表す平衡受容体結合親和性を含むことを意図する。一般に、Kiは、Kiが低い場合、その親和性が高くなるように、受容体に対する化合物の親和性と逆相関している。Kiは、ChengおよびPrusoffの式(Cheng Y.、Prusoff W.H.、Biochem. Pharmacol.、22:3099〜3108頁(1973年):
(式中、「リガンド」は、放射性リガンドであってもよいリガンドの濃度であり、Kdは、50%受容体占有を生じる受容体親和性の逆測定値である)を用いて、決定することができる。別に特記されない限り、Ki決定に関連するモル濃度は、nMである。
「ペプチド」
本明細書および特許請求の範囲を通して用いられるような用語「ペプチド」は、アミノ酸の化学的修飾および誘導体を含む2つ以上のアミノ酸を含む任意の構造を含むことが意図される。ペプチドの全てまたは一部を形成する該アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸、このようなアミノ酸の立体異性体および修飾体、非タンパク質アミノ酸、翻訳後修飾アミノ酸、酵素修飾アミノ酸などであることができる。用語「ペプチド」には、ペプチドのダイマーまたはマルチマーも含まれる。「製造された」ペプチドには、化学合成、組換えDNA技術、比較的大きい分子の生化学的もしくは酵素的断片化、前記の組合せによって生成された、または一般に、任意の他の方法によって作られたペプチドが含まれる。
「アミノ酸側鎖部分」
本明細書および特許請求の範囲に用いられるようなものを含む、本発明に用いられる用語「アミノ酸側鎖部分」には、用語「アミノ酸」が本明細書において定義されるような任意のアミノ酸の任意の側鎖が含まれる。したがって、これには、天然に存在するアミノ酸に存在する側鎖部分が含まれる。それには、修飾された天然に存在するアミノ酸、例えば、グリコシル化アミノ酸中の側鎖部分がさらに含まれる。それには、天然に存在するタンパク質アミノ酸、非タンパク質アミノ酸、翻訳後修飾アミノ酸、酵素的に合成されたアミノ酸、誘導体化アミノ酸、アミノ酸を模倣するべく設計された構築物または構造など立体異性体および修飾体の側鎖部分がさらに含まれる。例えば、本明細書において開示される任意のアミノ酸の側鎖部分は、本定義内に含まれる。後に定義されるような「アミノ酸側鎖部分の誘導体」は、アミノ酸側鎖部分の本定義内に含まれる。
「アミノ酸側鎖部分の誘導体」
「アミノ酸側鎖部分の誘導体」は、任意のアミノ酸側鎖部分への修飾またはそれにおける変形であり、これには、天然に存在するまたは非天然のアミノ酸側鎖部分のいずれかへの修飾またはそれにおける変形が含まれ、ここで、該修飾または変形には、(a)既存のアルキル、アリール、またはアラルキル鎖に1個または複数の飽和または不飽和炭素原子を付加すること;(b)側鎖中の炭素を別の原子、好ましくは酸素または窒素に置換すること;(c) (メチル(-CH3)、メトキシ(-OCH3)、ニトロ(-NO2)、ヒドロキシル(-OH)、またはシアノ(-C≡N)を含む)側鎖の炭素原子に末端基を付加すること;(d)ヒドロキシ、チオールまたはアミノ基を含む側鎖部分について、好適なヒドロキシ、チオールまたはアミノ保護基を付加すること;あるいは、(e)環構造を含む側鎖部分について、1個または複数の置換基(ヒドロキシル、ハロゲン、アルキル、または直接もしくはエーテル結合を介して結合したアリール基を含む)を付加することが含まれる。アミノ基について、好適なアミノ保護基には、限定されないが、Z、Fmoc、Boc、Pbf、Pmcなどが含まれる。
「アミノ酸」
本発明の実施形態に用いられる「アミノ酸」、および本明細書および特許請求の範囲に用いられるような該用語には、知られた天然に存在するタンパク質アミノ酸が含まれ、これらは、それらの一般の三文字略語および一文字略語の両方によって言及される。Synthetic Peptides :A User's Guide、G.A.Grant編、W.H.Freeman & Co.、New York(1992年)(11〜24頁に記載された本文および表を含むこれらの教示は、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。「アミノ酸」には、従来のα-アミノ酸が含まれ、β-アミノ酸およびα,α-二置換アミノ酸の両方(ここで、少なくとも1つの側鎖は、本明細書に定義された通りのアミノ酸側鎖部分である)がさらに含まれる。「アミノ酸」には、N-アルキルα-アミノ酸(ここで、該N-末端アミノ基は、C1〜C6直鎖または分岐のアルキル置換基を有する)がさらに含まれる。したがって、用語「アミノ酸」には、天然に存在するタンパク質アミノ酸、非タンパク質アミノ酸、翻訳後修飾アミノ酸、酵素的に合成されたアミノ酸、誘導体化アミノ酸、アミノ酸を模倣すべく設計された構築物または構造などの立体異性体および修飾体が含まれることが認められ得る。修飾および異常アミノ酸は、Synthetic Peptides: A User's Guide、上記に引用; Hruby V. J.、Al-obeidi F.、Kazmierski W.、Biochem. J.、268:249〜262頁(1990年);およびToniolo C.、Int. J. Peptide Protein Res. 35:287〜300頁(1990年)に一般的に記載され;これらの全ての教示は参照により本明細書に組み込まれる。さらに、アミノ酸ならびにその保護基および修飾基を含む以下の略語は与えられた以下の意味を有する:
Abu - ガンマ-アミノ酪酸
12-Ado - 12-アミノドデカン酸
Aib - アルファ-アミノイソ酪酸
6-Ahx - 6-アミノへキサン酸
Amc - 4-(アミノメチル)-シクロヘキサンカルボン酸
8-Aoc - 8-アミノオクタン酸
Bip - ビフェニルアラニン
Boc - t-ブトキシカルボニル
Bzl - ベンジル
Bz - ベンゾイル
Dab - ジアミノ酪酸
Dap - ジアミノプロピオン酸
Dip - 3,3-ジフェニルアラニン
Disc - 1,3-ジヒドロ-2H-イソインドールカルボン酸
Et - エチル
Fmoc - フルオレニルメトキシカルボニル
Hept - ヘプタノイル(CH3-(CH2)5-C(=O)-)
Hex - ヘキサノイル(CH3-(CH2)4)-C(=O)-)
HArg - ホモアルギニン
HCys - ホモシステイン
HLys - ホモリシン
HPhe - ホモフェニルアラニン
HSer - ホモセリン
Me - メチル
Met(O) - メチオニンスルホキシド
Met(O2) - メチオニンスルホン
Nva - ノルバリン
Pgl - フェニルグリシン
Pr - プロピル
Pr-i - イソプロピル
Sar - サルコシン
Tle - tert-ブチルアラニン
Z - ベンジルオキシカルボニル
本発明による化合物のリストにおいて、従来のアミノ酸残基は、Manual of Patent Examining Procedure、第8版の2400章に与えられるような従来の意味を有する。したがって、「Nle」は、ノルロイシンであり;「Asp」は、アルパラギン酸であり;「His」は、ヒスチジンであり;「Arg」は、アルギニンであり;「Trp」は、トリプトファンであり;「Lys」は、リシンであり;「Gly」は、グリシンであり;「Pro」は、プロリンであり;「Tyr」は、チロシンであり;「Ser」は、セリンであるなどである。全ての残基は、D-アラニンについて「D-Ala」におけるようにD-異性体が特定されない限り、L-異性体配置にある。
天然に存在するタンパク質アミノ酸、非タンパク質アミノ酸、翻訳後修飾アミノ酸、酵素的に合成されたアミノ酸、誘導体化アミノ酸、前記の任意から誘導されたα,α-二置換アミノ酸(すなわち、少なくとも1つの側鎖がそれが誘導された残基の側鎖と同じであるα,α-二置換アミノ酸)、前述の任意から誘導されたβ-アミノ酸(すなわち、β-炭素の存在を除いて、ほかの点ではそれが誘導化される残基と同じであるβ-アミノ酸)等、および前記の全てを含む立体異性体および修飾体を含む単一のアミノ酸は、本明細書において「残基」と称されることもある。
「α,α-二置換アミノ酸」
「α,α-二置換アミノ酸」には、α-位置にさらなる置換基を有する任意のα-アミノ酸が含まれ、この置換基は、α-アミノ酸の側鎖部分と同じであってもよいし、異なっていてもよい。α-アミノ酸の側鎖部分に加えて、好適な置換基には、C1〜C6直鎖または分岐のアルキルが含まれる。Aibは、α,α-二置換アミノ酸の一例である。α,α-二置換アミノ酸は、従来のL-およびD-異性体対照標準を用いて言及することができる一方、このような対照標準は便宜のためであり、α-位置における置換基が異なる場合、このようなアミノ酸は、必要に応じて、指定されたアミノ酸側鎖部分を有する残基のL-またはD-異性体から誘導されるα,α-二置換アミノ酸と同義的に称し得る。したがって、(S)-2-アミノ-2-メチル-ヘキサン酸は、L-Nleから誘導されたα,α-二置換アミノ酸またはD-Alaから誘導されたα,α-二置換アミノ酸のいずれかと称し得る。同様に、Aibは、Alaから誘導されたα,α-二置換アミノ酸と称し得る。α,α-二置換アミノ酸が提供される場合はいつも、その全ての(R)および(S)配置を含むとして理解されるべきである。
「N-置換アミノ酸」
「N-置換アミノ酸」には、アミノ酸側鎖部分が骨格アミノ酸に共有結合され、場合によって、α-炭素位置におけるH以外の置換基が存在しない、任意のアミノ酸が含まれる。サルコシンは、N-置換アミノ酸の一例である。一例として、サルコシンは、AlaのN-置換アミノ酸誘導体と称することができ、ここで、サルコシンのアミノ酸側鎖部分とAlaとは、同じであり、メチルである。
「C-末端キャッピング基」
用語「C-末端キャッピング基」には、化合物のC-末端の末端環炭素原子、または与えられる場合、末端カルボキシル基を介して結合した任意の末端基が含まれる。該末端環炭素原子、または与えられる場合、末端カルボキシル基は、残基の一部を形成してもよく、またはアミノ酸代用物の一部を形成してもよい。好ましい態様において、該C-末端キャッピング基は、該化合物のC-末端位置にあるアミノ酸代用物の一部を形成する。該C-末端キャッピング基には、限定されないが、-(CH2)n-OH、-(CH2)n-C(=O)-OH、-(CH2)m-OH、-(CH2)n-C(=O)-N(v1)(v2)、-(CH2)n-C(=O)-(CH2)m-N(v1)(v2)、-(CH2)n-O-(CH2)m-CH3、-(CH2)n-C(=O)-NH-(CH2)m-CH3、-(CH2)n-C(=O)-NH-(CH2)m-N(v1)(v2)、-(CH2)n-C(=O)-N-((CH2)m-N(v1)(v2))2、-(CH2)n-C(=O)-NH-CH(-C(=O)-OH)-(CH2)m-N(v1)(v2)、-C(=O)-NH-(CH2)m-NH-C(=O)-CH(N(v1)(v2))((CH2)m-N(v1)(v2))、もしくは-(CH2)n-C(=O)-NH-CH(-C(=O)-NH2)-(CH2)m-N(v1)v2)(前記の全ての(R)または(S)配置を含み、ここで、v1およびv2は、それぞれ独立に、H、C1〜C17直鎖もしくは分岐のアルキル鎖、mは0〜17、nは0〜2である);または任意のオメガアミノ脂肪族、末端アリールもしくはアラルキル(例えば、メチル、ジメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、アリル、シクロプロパンメチル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、アセチル、プロピオノイル、ブタノイル、フェニルアセチル、シクロヘキシルアセチル、ナフチルアセチル、シンナモイル、フェニル、ベンジル、ベンゾイル、12-Ado、7'-アミノヘプタノイル、6-Ahx、Amcまたは8-Aocを含む)、あるいは任意の単一の天然もしくは非天然のα-アミノ酸、β-アミノ酸またはα,α-二置換アミノ酸(前記の全ての(R)または(S)配置を含む)、場合によって、任意の前記の非アミノ酸キャッピング基と組み合わせたものが含まれる。前記において、例えば、-C(=O)-NH-(CH2)m-NH-C(=O)-CH(N(v1)(v2))((CH2)m-N(v1)(v2))は、以下であることが理解されるべきである:
「N-末端キャッピング基」
用語「N-末端キャッピング基」には、化合物のN-末端の末端アミンを介して結合した任意の末端基が含まれる。該末端アミンは、残基の一部を形成してもよいし、またはアミノ酸代用物の一部を形成してもよい。好ましい態様において、N-末端キャッピング基は、該化合物のN-末端位置にあるアミノ酸代用物の一部を形成する。該N-末端キャッピング基には、限定されないが、任意のオメガアミノ脂肪族、アシル基または末端アリールもしくはアラルキル(例えば、メチル、ジメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、アリル、シクロプロパンメチル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、アセチル、プロピオノイル、ブタノイル、フェニルアセチル、シクロヘキシルアセチル、ナフチルアセチル、シンナモイル、フェニル、ベンジル、ベンゾイル、12-Ado、7'-アミノヘプタノイル、6-Ahx、Amcまたは8-Aocの基を含む)が含まれ、または他に、N-末端キャッピング基は、-(CH2)m-NH(v3)、-(CH2)m-CH3、-C(=O)-(CH2)m-CH3、-C(=O)-(CH2)m-NH(V3)、-C(=O)-(CH2)m-C(=O)-OH、-C(=O)-(CH2)m-C(=O)-(v4)、-(CH2)m-C(=O)-OH、-(CH2)m-C(=O)-(v4)、C(=O)-(CH2)m-O(v3)、-(CH2)m-O(V3)、C(=O)-(CH2)m-S(v3)、もしくは-(CH2)m-S(v3)であり、ここで、v3は、HまたはC1〜C17直鎖もしくは分岐のアルキル鎖であり、v4は、C1〜C17直鎖もしくは分岐のアルキル鎖であり、mは0〜17である。
本明細書において用いられる化学命名規則および構造図は、ChemDrawプログラム(Cambridgesoft Corp.、Cambridge、Mass.から入手可能)によって利用されるような化学命名特徴を用いるか、またはそれに依存する。特に、特定の化合物の名称は、Chemdraw Ultra またはISISベース(MDL Corp.)によって利用されるようなAutonomプログラムを用いて該構造から導かれる。一般に、構造図には、末端基および他の特別の状況における以外、炭素原子と結合した水素原子は描かない。
特定の化合物が、構造図によって識別される代用物および三文字略語によって識別されるアミノ酸残基を用いて示される。別に特記されない限り、代用物と残基との間の結合、または残基と代用物との間の結合、またはそのN-末端およびC-末端の両側上の代用物と残基との間の結合は、従来のペプチド結合、-C(=O)-NH-であるか、またはペプチド結合が代用物のN-末端上の環窒素への結合である場合、-C(=O)-N-である。一般に、このような結合の描写において、アミノ酸代用物の原子は、描かれるが(例えば、-C(=O)-または-N)、アミノ酸残基の原子は描かれない。
2. 異性体純度および単離
本発明の代用物は、1つもしくは複数の不斉中心および/または二重結合を含み、したがって、立体異性体、例えば、二重結合異性体(すなわち、幾何異性体)、エナンチオマー、またはジアステレオマーとして存在することができる。本発明によれば、本明細書に描かれた化学構造、したがって、本発明の化合物は、本発明の化合物のラセミ体、ならびに全てのエナンチオマーおよび立体異性体、すなわち、立体的に純粋な形態(例えば、幾何学的に純粋、エナンチオマー的に純粋、またはジアステレオマー的に純粋)ならびにエナンチオマー混合物および立体異性体混合物を包含する。
該化合物が特定の不斉中心に関して、約90%ee(エナンチオマー過剰)またはそれを超える、好ましくは95%eeに等しいかそれを超える場合、本発明の代用物は、不斉中心に関して光学活性またはエナンチオマー的に純粋(すなわち、実質的にR-形または実質的にS-形)と考えられる。該化合物が約80%eeを超える、好ましくは約85%eeを超えるエナンチオマー過剰を有する場合、本発明の化合物は、エナンチオマーに富む形にあると考えられる。本明細書において用いられるように、ラセミ体混合物は、分子内の全ての不斉中心に対して約50%の1つのエナンチオマーおよび約50%のその対応するエナンチオマーを意味する。したがって、本発明は、本発明の化合物の、エナンチオマー的に純粋なもの、エナンチオマーに富むもの、およびラセミ体の混合物全てを包含する。
したがって、1つの態様において、該代用物は、一般構造:
を有し、ここで、アスタリスクは、任意の可能な立体化学配座を示す。したがって、これには、以下のエナンチオマー形が含まれる:
エナンチオマーおよび立体異性体の混合物は、よく知られた方法、例えば、キラル相ガスクロマトグラフィー、キラル相高性能液体クロマトグラフィーによって、それらの構成要素のエナンチオマーまたは立体異性体に分割し、該化合物をキラル塩複合体として結晶化させるか、または該化合物をキラルな溶媒中で結晶化させることができる。エナンチオマーおよび立体異性体は、よく知られた不斉合成法によって立体化学的またはエナンチオマー的に純粋な中間体、試薬、および触媒からも得ることができる。
3. 本発明の化合物
本発明では、式I:
の環-拘束アミノ酸代用物、および、式Iの環-拘束アミノ酸代用物を含む線状または環状化合物、あるいはそれらのエナンチオマー、立体異性体もしくはジアステレオマー、または合成的に許容されるその塩が提供され、式中、
R1は、H、アルキル、アリール、アルキルアリール、アルキル-N(R8)2、アルキル-OR8、アルキル-C(=O)OR8、C(=O)OR8、アルキル-NH2、アルキル-S-R8、アルキル-C(=O)N(R8)2、または式:
の基であり;
R2はHまたはアルキルであり(ただし、R1およびR2の両方がHであることはないことを条件とする);
R3はHまたは第1の窒素保護基であり;
R4は、H、アルキル、(CH2)mC(=O)OH、(CH2)mC(=O)N(R 8 )R11、(CH2)mC(=O)OR11、(CH2)qOH、(CH2)qOBn、(CH2)qOアリル、(CH2)mC(=O)N(R8)2、または(CH2)mC(=O)N(R8)(CH2)pN(R8)2であり;
R5はHまたはアルキルであり;
R6aは、H、アルキル、(CH2)mC(=O)OH、(CH2)mC(=O)N(R 8 )R11、(CH2)mC(=O)OR11、(CH2)qOH、(CH2)qOBn、(CH2)qOアリル、(CH2)mC(=O)N(R8)2、または(CH2)mC(=O)N(R8)(CH2)pN(R8)2であり;
R6bはHまたはアルキルであり;
ただし、R4およびR6aの両方が、(CH2)mC(=O)OH、(CH2)mC(=O)N(R 8 )R11、(CH2)mC(=O)OR11、(CH2)qOH、(CH2)qOBn、(CH2)qOアリル、(CH2)mC(=O)N(R8)2、または(CH2)mC(=O)N(R8)(CH2)pN(R8)2であることはないことを条件とし;
R7は、H、C(=O)アルキル、C(=O)(CH2)m(NR8)2、アルキル、アラルキル、またはアリールであり;
R8は、出現するごとに、独立に、H、アリール、またはアルキルであり;
R11はペプチド固体支持体であり;
R12はHまたは第2の窒素保護基であり;
mは、出現するごとに、0から6の値を有する独立した整数であり;
qは、出現するごとに、1から6の値を有する独立した整数であり;
pは、1から10の値を有する整数であり;
yは0または1である。
式Iの環-拘束アミノ酸代用物は、複数のアミノ酸残基から作られるポリペプチド化合物の1つまたは複数のアミノ酸残基の置換に用いることができる。
該式Iの環-拘束アミノ酸代用物は、好ましくは、Fmocなどの保護基を用いる従来のアミノ保護N-末端、および反応性カルボキシルC-末端を用いて作るようにすることができ、したがって、従来のペプチド合成方法論において用いることができる。式Iのアミノ酸代用物が該化合物のC-末端位置で連結されるべき場合、カルボキシル末端以外のものがこのような代用物上で用いられ得ることが理解される。
したがって、1つの好ましい実施形態において、本発明では、複数のアミノ酸残基を含むポリペプチド化合物への、必要に応じて変更されたペプチド合成方法論による取込みのための環-拘束アミノ酸代用物が提供される。
R1およびR2の両方がHである場合を除いて、本発明のそれぞれの代用物は、4つの異なるエナンチオマー形の1つにおいてあり得ることを理解されたい。したがって、一例として、R1基またはR2基がArgのアミノ酸側鎖部分である場合、該化合物は、包括的に下記のように示され:
式中、それぞれのアスタリスクは、任意の立体化学配置においてあり得る不斉中心を表す。したがって、以下のそれぞれが可能であり、企図され、かつ意図されることを理解されたい:
同様に、それぞれの代用物に関し、従来のペプチド合成方法論を用いる化合物の合成における使用について、代用物がN-末端位置以外にある場合、R3位置はHよりはむしろ窒素保護基を含み、したがって、以下の一般構造からなることを理解されたい:
ここで、PRGは窒素保護基であり、例えば、一例としてかつ限定することなしに、式:
の基であり、
ここで、R9は、tert-ブチル、アリル、または式:
の基である。
したがって、R1基またはR2基がArgのアミノ酸側鎖部分であり、R3が窒素保護基Fmocである例において、以下のそれぞれが可能であり、企図されかつ意図されることが理解できる:
上記特定の例において、窒素保護基、例えば、Pbfは、グアニジノ基に用いられることも可能であり、かつ企図される。類似の代用物は、窒素保護基として別の基、またはR1基もしくはR2基として別のアミノ酸側鎖部分もしくはアミノ酸側鎖部分の誘導体を用いることが可能であり、かつ企図されることも理解することができ、あるいは他に、ここで、それらの少なくとも1つは、アルキル、アリール、アルキルアリール、アルキル-N(R8)2、アルキル-OR8、アルキル-C(=O)OR8、C(=O)OR8、アルキル-NH2、アルキル-S-R8、アルキル-C(=O)N(R8)2であるか、または式:
の基であり、
ここで、R8は、H、アリール、またはアルキルであり、R12はHまたは第2の窒素保護基である。
代用物が従来のペプチド合成方法論を用いる化合物の合成に用いられ、かつC-末端位置にあれば、該代用物は、ペプチド固体支持体、例えば、樹脂に結合している化合物であり得る。この場合に、該代用物は、以下の一般的構造からなり得る:
ここで、だ円は樹脂およびリンカーまたは別のペプチド固体支持体を表す。ここでも、R1基またはR2基は、任意のアミノ酸側鎖部分またはアミノ酸側鎖部分の誘導体であることができ、あるいは他に、それらの少なくとも1つは、アルキル、アリール、アルキルアリール、アルキル-N(R8)2、アルキル-OR8、アルキル-C(=O)OR8、C(=O)OR8、アルキル-NH2、アルキル-S-R8、アルキル-C(=O)N(R8)2、または式:
の基であることができ、
ここで、R8は、H、アリール、またはアルキルであり、R12はHまたは第2の窒素保護基である。
1つの態様において、本発明では、したがって、以下の一般構造:
の代用物が提供され、
ここで、R1は、以下の1つである:
ここで、R3はHまたは第1の窒素保護基であり;R4は、H、アルキル、(CH2)mC(=O)OH、(CH2)mC(=O)N(R 8 )R11、(CH2)mC(=O)OR11、(CH2)qOH、(CH2)qOBn、(CH2)qOアリル、(CH2)mC(=O)N(R8)2、または(CH2)mC(=O)N(R8)(CH2)pN(R8)2であり;R5はHまたはアルキルであり;R8は、H、アリール、またはアルキルであり;R11はペプチド固体支持体であり;mは、出現するごとに、0から6の値を有する独立した整数であり;qは、出現するごとに、1から6の値を有する独立した整数であり;pは、1から10の値を有する整数であり;任意のアリール基は、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルキチオ、ハロ、ニトロ、アシル、シアノ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、またはアルコキシ-カルボニルから選択される1個もしくは複数の置換基で独立に置換され得る。したがって、1つの態様において、以下:
を含む、以下の19の天然コードアミノ酸残基(Proを除く)の1つのアミノ酸側鎖部分であるR1基を有する代用物が提供される。
前記のそれぞれにおいて、R3位置におけるHよりもむしろ、任意の窒素保護基が存在してもよく;-C(=O)OHよりもむしろ、R4位置は、アルキル、(CH2)mC(=O)OH、(CH2)mC(=O)N(R 8 )R11、(CH2)mC(=O)OR11、(CH2)qOH、(CH2)qOBn、(CH2)qOアリル、(CH2)mC(=O)N(R8)2、または(CH2)mC(=O)N(R8)(CH2)pN(R8)2であってもよく、ここで、R8は、H、アリール、またはアルキルであり、R11はペプチド固体支持体であり、mは、0から6の値を有する独立した整数であり、qは、1から6の値を有する独立した整数であり、pは、1から10の値を有する整数であり;Hよりもむしろ、R5位置は、アルキルであってもよく;Hよりもむしろ、R7位置は、C(=O)アルキルまたはC(=O)(CH2)m(NR8)2であってもよい。同様に、前記のアミノ酸側鎖部分の1つよりもむしろ、R1は、アルキル、アリール、アルキルアリール、アルキル-N(R8)2、アルキル-OR8、アルキル-C(=O)OR8、C(=O)OR8、アルキル-NH2、アルキル-S-R8、アルキル-C(=O)N(R8)2、または式:
の基であってもよく、ここで、R8は、H、アリール、またはアルキルであり、R12はHまたは第2の窒素保護基である。
4. 本発明の化合物の使用
本発明の1つの態様によれば、その化合物が、目的の標的に結合する知られた親ポリペプチドに基づいている、代用物を含む化合物を作製する方法が提供される。親ポリペプチドは、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質であってもよい。
本発明のもう1つの態様において、その二次構造が、目的の標的への結合に関与するかまたはそれの原因となる親ポリペプチドの二次構造を同定する方法が提供される。このような方法には、(a)知られた一次構造(このような一次構造はnアミノ酸残基からなる)を有する目的の標的に結合する知られた親ポリペプチドを与える工程;(b)複数の化合物を構築する工程であって、代用物が該親ポリペプチドのアミノ酸残基に代わって置換され、該置換代用物が、置換されるアミノ酸残基のアミノ酸側鎖部分と同じであるか、または置換されるアミノ酸残基のアミノ酸側鎖部分の誘導体であるR1基またはR2基を好ましくは有する工程;(c)代用物を含む複数の化合物をスクリーニングする工程;および(d)目的の標的への結合を示す化合物を選択し、それによりこのような化合物が目的の標的に結合する二次構造を含む工程が含まれる。
本発明の関連する態様において、二次構造が目的の標的への結合に関与するかまたはそれの原因となる親ポリペプチドの二次構造を同定する方法であって、該方法が、複数の化合物を構築する工程を含み、ここで、代用物は親ポリペプチドにおけるアミノ酸残基に代わって置換され、該置換代用物が、両方の位置でHに、または1つの位置でメチルおよび残りの位置でHに限定されるR1基ならびにR2基を好ましくは有する工程が提供される。このように、有効性に対するアミノ酸側鎖部分の作用または任意の他の確かめられるパラメータを容易に決定することができる。
1つの実施形態において、本発明の方法では、標的物質を有する親ポリペプチドの相互作用、例えば、結合に関与する親ポリペプチドにおける少なくとも1つの活性配列またはドメインを決定するための親ポリペプチドの系統的な分析が提供される。本明細書において用いられるように、「親ポリペプチド」は、標的物質に対する相互作用、例えば、結合を示し、したがって、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を構成し得るアミノ酸残基の任意の配列をいう。該親ポリペプチドは、一般に、約3から約100アミノ酸残基を有する本明細書に定義された通りのポリペプチドであるが、用語親ポリペプチドには、一般に当該技術分野で大きなポリペプチドまたはタンパク質であると考えられるより大きな構築物も含まれ得る。本発明の方法を用いるために、親ポリペプチドの少なくとも一部、好ましくは全部の一次構造、いわゆる配列が利用できなければならない。しかし、本発明の方法を実施するために親ポリペプチドの二次または三次構造に関するいかなる情報も有することは必要でない。
該親ポリペプチドは、例えば、細胞、組織、器官または他の生物学的物質上で見出された受容体への結合を示す任意の配列であり得る。親ポリペプチドの例には、限定されないが、生物学的に活性なペプチド、ホルモン、神経伝達物質、酵素、抗体などが含まれる。このような親ポリペプチドは、受容体への結合の結果として、信号を直接または間接に伝達することができ、したがって、親ポリペプチドは、アゴニスト、アンタゴニスト、または混合アゴニスト-アンタゴニストであり得る。本発明の好適な親ポリペプチドの例には、メラノコルチン-受容体特異的ペプチド、ウロキナーゼ型組織プラスミノゲン活性化因子タンパク質、アミロイドベータ-タンパク質関連ペプチド、プリオン病関連ペプチド、バソプレシンペプチド、オキシトシンペプチド、ナトリウム利尿ペプチド、アンギオテンシンペプチド、カルシトニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、オピオイドペプチド、ヒト成長ホルモン、ヒトプロラクチン受容体リガンド、種々のインターフェロン、例えば、アルファ-インターフェロン、上皮成長因子、腫瘍壊死因子、および種々の降圧ペプチド、線維素溶解ペプチド、化学走化性ペプチド、成長促進ペプチド、細胞接着ペプチドおよびポリペプチド、マイトジェン、免疫賦活剤などが含まれる。
一般に、本発明を用いるために、目的の受容体に関する本発明の構築物のパラメータを決定するための少なくとも1つのアッセイまたは試験。1つの態様において、好ましくは、目的の受容体への親ポリペプチドの結合の並行した決定と一緒に、目的の受容体への本発明の構築物の結合が用いられる。しかし、様々な機能アッセイ系、有効性アッセイ系などを含む、結合以外の他のパラメータを用いることができる。このようなパラメータは、1つの機能アッセイ系、Ki値、EC50値などにおける1つまたは複数の化合物の表現を含む、測定の任意の関連単位に関して決定することができる。したがって、本発明の1つの好ましい実施形態において、競争的阻害または同様のアッセイが用いられ、それにより本発明の構築物の結合または機能活性を親ポリペプチドと直接比較することができ、このようにして関連結合または機能活性を決定することができる。他の実施形態において、他のアッセイまたは試験を用いることができる。これらのアッセイは、必ずしもではないが、機能アッセイであり得る。アッセイの例には、任意の様々な競争的阻害アッセイ、直接結合アッセイ、機能アッセイなどが含まれる。例えば、本発明の構築物がアゴニスト、アンタゴニストまたは混合アゴニスト-アンタゴニストであるかどうか決定するアッセイを用いること、およびさらに、結合および機能を別々に決定することができる場合、受容体親和性および特異性の両方ならびに機能活性を独立に決定することも可能であり、かつ企図される。このようなアッセイおよび試験の例は、当該技術分野においてよく知られ、よく文書化されており、一般に1つまたは複数のこのようなアッセイまたは試験が、任意の親ポリペプチドについて知られている。
本発明の1つの方法において、それぞれが親ペプチドの少なくとも1つのアミノ酸残基に代わって置換された少なくとも1つの代用物を含む1つまたは複数の、好ましくは一連の化合物の生成のためのテンプレートとして用いられる。1つの態様において、少なくとも1つの代用物を有する化合物は、親ポリペプチドに見出される1つまたは複数のアミノ酸残基を除き得る。もう1つの態様において、少なくとも1つの代用物を有する化合物は、代用物で置換される1つまたは複数のアミノ酸残基を有して、該親ポリペプチドに見出されるものと同じアミノ酸残基、またはそれらのホモログを含む。1つの態様において、該置換代用物は好ましくは、置換されるアミノ酸残基のアミノ酸側鎖部分と同じであるか、または置換されるアミノ酸残基のアミノ酸側鎖部分の誘導体であるR1基あるいはR2基を有する。もう1つの態様において、該置換代用物は好ましくは、両方の位置でHまたは、1つの位置でメチルおよび残りの位置でHに限定されるR1基およびR2基を有する。
例えば、特定の知られた受容体に結合する6つのアミノ酸残基の親ポリペプチドを仮定する。該親ポリペプチドは、以下のように記載され得る:
X1-X2-X3-X4-X5-X6
「S」と称される本発明の代用物は、以下のように記載される化合物を合成するために用いられる:
X1-X2-X3-S-X5-X6
アミノ酸残基X4がSによって置換される、化合物X1-X2-X3-S-X5-X6の1つの態様において、Sは、X4のアミノ酸側鎖部分と同じであるか、またはX4のアミノ酸側鎖部分の誘導体であるR1基またはR2基を有する。もう1つの態様において、X4がGlyまたはAla以外である場合、Sは、両方の位置にHまたは、1つの位置でメチルおよび残りの位置でHに限定されるR1基およびR2基を有する。化合物X1-X2-X3-S-X5-X6の結合、または有効性の一部の他の測定が決定され、親ポリペプチドX1-X2-X3-X4-X5-X6と比較される。
系統的評価を行い得ることが可能であり、かつ企図される。15アミノ酸残基のペプチドが特定の知られた受容体に結合すると仮定する。このペプチドは以下のように記載され得る:
NH2-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12-X13-X14-X15-COOH
この親ポリペプチドにおいて、Xは任意の残基であることができ、この残基は任意の順序または配列で多数回繰り返し得る。したがって、位置X1における残基は、位置X2における残基と異なってもよいし、同じであってもよく、X2は、位置X1またはX3における残基と異なっていてもよいし、同じであってもよい、などである。一連の化合物が作製され、ここで、代用物「S」は、連続的または段階的な様式でアミノ酸残基に代わって置換される。したがって、例えば、以下が生じ得る:
S-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12-X13-X14-X15-COOH
NH2-X1-S-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12-X13-X14-X15-COOH
NH2-X1-X2-S-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12-X13-X14-X15-COOH
NH2-X1-X2-X3-S-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12-X13-X14-X15-COOH
NH2-X1-X2-X3-X4-S-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12-X13-X14-X15-COOH
NH2-X1-X2-X3-X4-X5-S-X7-X8-X9-X10-X11-X12-X13-X14-X15-COOH
NH2-X1-X2-X3-X4-X5-X6-S-X8-X9-X10-X11-X12-X13-X14-X15-COOH
NH2-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-S-X9-X10-X11-X12-X13-X14-X15-COOH
NH2-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-S-X10-X11-X12-X13-X14-X15-COOH
NH2-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-S-X11-X12-X13-X14-X15-COOH
NH2-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-S-X12-X13-X14-X15-COOH
NH2-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-S-X13-X14-X15-COOH
NH2-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12-S-X14-X15-COOH
NH2-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12-X13-S-X15-COOH
NH2-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12-X13-X14-S
前記において、該代用物Sは、それぞれの化合物について、置換されるアミノ酸残基のアミノ酸側鎖部分と同じであるか、または置換されるアミノ酸残基のアミノ酸側鎖部分の誘導体であるR1基またはR2基を有する。同様に、それぞれの位置について、全てのエナンチオマー形が用いられ、評価され得る。さらに、それぞれの位置について、「ノックアウト」手法を評価することができ、ここで、Xは、GlyまたはAla以外であり、Sは、両方の位置においてH、または1つの位置においてメチルおよび残りの位置においてHに限定されたR1基およびR2基を有する。
親ポリペプチドにおける1つまたは複数のアミノ酸残基を別のアミノ酸残基で置換したり、また親ポリペプチドにおける1つまたは複数のアミノ酸残基を本発明の代用物で置換することも可能であり、かつ企図される。1つの態様において、D-異性体は、天然起源の親ポリペプチドにおけるL-異性体に代わって置換される。少なくとも1つの式Iの代用物を含む対応するアミノ酸配列は、知られた親ポリペプチドと同一であってもよいし、それに相同、例えば、少なくとも60%相同であるか、またはより好ましくは少なくとも約80%相同である対応するアミノ酸配列であってもよい。これらの目的に対し、式Iの1つもしくは複数の代用物による置換、またはその付加を除いて該化合物に対する知られたアミノ酸配列の同一性への参照によって、相同性は決定される。
もう1つの態様において、本発明では、ナトリウム利尿ペプチドに対する受容体に結合するが、1つまたは複数のアミノ酸代用物、例えば、知られたペプチドに含まれる1つまたは複数のアミノ酸残基に代わって置換されているか、または知られたペプチドを含む配列に付加している代用物を含む、知られたペプチドをモデルにしている化合物を合成するのに有用な式IIの環-拘束アミノ酸代用物が提供される。該知られたペプチドは、当該技術分野で知られた任意のナトリウム利尿ペプチドであることができ、これらには、限定されないが、米国特許第4496544号;同第4609725号;同第4656158号;同第4673732号;同第4716147号;同第4757048号;同第4764504号;同第4804650号;同第4816443号;同第4824937号;同第4861755号;同第4904763号;同第4935492号;同第4952561号;同第5047397号;同第5057495号;同第5057603号;同第5091366号;同第5095004号;同第5106834号;同第5114923号;同第5159061号;同第5204328号;同第5212286号;同第5352587号;同第5376635号;同第5418219号;同第5665704号;同第5846932号;同第5583108号;同第5965533号;同第6028055号;同第6083982号;同第6124430号;同第6150402号;同第6407211号;同第6525022号;同第6586396号もしくは同第6818619号;米国特許出願公開第2004/0002458号;同第2004/0063630号;同第2004/0077537号;同第2005/0113286号;同第2005/0176641号;もしくは同第2006/0030004号;または国際公開第85/04870号;同第85/04872号;同第88/03537号;同第88/06596号;同第89/10935号;同第89/05654号;同第90/01940;同第90/14362号;同第92/06998号;同第95/13296号;同第99/08510号;同第99/12576号;同第01/016295号;同第2004/047871号;同第2005/072055号;EPO0291999号;同0323740号;同0341603号;同0350318号;同0356124号;同0385476号;同0497368号;または同052863号を含む様々な非米国特許および特許出願に開示されたナトリウム利尿ペプチドを含む、限定されないが、本明細書に引用される任意の刊行物、特許、出願または参考文献に開示されたものが含まれる。1つの態様において、該知られたペプチドは、米国特許第4656158号、同第4824937号、同第4935492号、同第5159061号、同第5204328号、同第5376635号、同第5665704号、同第5846932号、同第6028055号、同第6407211号、同第6525022号、同第6586396号、もしくは同第6818619号、米国特許出願公開第2004/0002458号、同第2004/0063630号、もしくは同第2005/0176641号、または国際特許出願公開第2004/047871号もしくは同第2005/072055号に開示されたペプチドまたはそれらのホモログである。前記の特許および特許出願のそれぞれの教示は、全部記載されたように参照により組み込まれる。1つの態様において、ナトリウム利尿ペプチド受容体に結合するアミノ酸配列は、置換前に、H-Met-cyclo(Cys-His-Phe-Gly-Gly-Arg-Met-Asp-Arg-Ile-Ser-Cys)-Tyr-Arg-NH2(配列番号1)である。もう1つの態様において、本発明では、ANPまたはBNPに対する受容体を含む、ナトリウム利尿ペプチドに対する受容体に結合する化合物を合成するのに有用な式Iの環-拘束アミノ酸代用物が提供される。
式Iの1つまたは複数の代用物を用いて作製される化合物は、医療用途および、動物畜産または獣医用途の両方に用いられ得る。通常、該化合物、または該化合物を含む医薬組成物はヒトに用いられるが、他の哺乳動物にも用いられ得る。用語「患者」は、哺乳類個体を意味することを意図し、本明細書を通して、および特許請求の範囲においてそのように用いられる。本発明の主要な用途は、ヒト患者を含むが、本発明は、実験室、農場、動物園、野生生物、ペット、スポーツまたは他の動物に適用され得る。
本明細書に開示される、または本明細書に開示される方法によって作製される化合物は、任意の状態、症候群または疾患、特に、親ポリペプチドがいくらかの有効性を有する任意の状態、症候群または疾患の治療に用いることができる。本明細書に開示される、または本明細書に開示される方法によって作製される化合物は、限定されないが、例えば、酵素分解に対する耐性増加、循環半減期増加、バイオアベイラビリティー増加、有効性増加、作用の長期持続および前記の組合せを含む、親ポリペプチドと比べて1つまたは複数の利点を有し得る。このような利点は、全体または一部において、本発明の式Iの代用物の使用のためである。
1つの態様において、本明細書に開示される化合物は、早期、例えば、クラス1の鬱血性心不全の治療に用いられる。もう1つの態様において、本明細書に開示される化合物は、慢性または非代償性鬱血性心不全の治療に用いられる。もう1つの態様において、本明細書に開示される化合物は、安静時呼吸困難または最小活動度を有する患者の急性非代償性鬱血性心不全を含む急性鬱血性心不全の治療に用いられる。
化合物の塩形態。本発明の化合物は、任意の医薬的に許容される塩の形態であることができる。用語「医薬的に許容される塩」は、無機または有機の塩基と無機または有機の酸とを含む医薬的に許容される非毒性塩基または酸から調製される塩をいう。無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩などがある。アンモニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、およびナトリウムの塩が特に好ましい。医薬的に許容される有機非毒性塩基由来の塩には、第一級、第二級、および第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、ならびに塩基性イオン交換樹脂(例えば、アルギニン)、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イロプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどがある。
本発明の化合物が塩基性である場合、酸付加塩は、無機酸および有機酸を含む医薬的に許容される非毒性酸から調製され得る。このような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、カルボン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、マロン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、プロピオン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などがある。本発明の化合物の酸付加塩は、好適な溶媒中で化合物と過剰の酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸またはメタンスルオン酸とから調製される。酢酸塩形態が特に有用である。本発明の実施形態の化合物が酸性部分を含む場合、好適な医薬的に許容される塩には、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩、あるいはアルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム塩またはマグネシウム塩が含まれ得る。
医薬組成物。本発明のもう1つの実施形態では、本発明の化合物と医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物が提供される。該担体は、液体配合物であることができ、好ましくは、緩衝された等張性水溶液である。医薬的に許容される担体には、このあとに記載されるような、賦形剤、例えば、希釈剤、担体など、および、添加剤、例えば、安定剤、保存剤、可溶化剤、緩衝剤なども含まれる。
本発明のいくつかの実施形態の化合物は、賦形剤、例えば、希釈剤、担体など、および添加剤、例えば、安定剤、保存剤、可溶化剤、緩衝剤などを必要に応じて含む1種または複数の医薬的に許容される担体と一緒の少なくとも1種の本発明の化合物を含む医薬組成物に配合または合成することができる。配合賦形剤には、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ヒドロキシセルロース、アカシア、ポリエチレングリコール、マンニトール、塩化ナトリムおよびクエン酸ナトリウムが含まれ得る。注射または他の液体投与配合物として、少なくとも1種または複数の緩衝成分を含む水が好ましく、安定剤、保存剤および可溶化剤も用いることができる。固体投与配合物として、任意の様々な増粘剤、充填剤、膨張性薬剤および担体添加剤、例えば、デンプン、糖、脂肪酸などを用いることができる。局所投与配合物として、任意の様々なクリーム、軟膏、ゲル、ローションなどを用いることができる。大部分の医薬配合物について、非活性成分は、重量または容量で、調製物の比較的大きい部分を構成する。医薬配合物として、本発明の化合物の送達が長時間にわたって有効であるように投薬量を配合することができるように、任意の様々な計られた放出、遅延放出または持続放出の配合物および添加剤を用いることができることも企図される。
一般に、患者に投与される化合物の実際の量は、投与方式、用いられる配合物、および所望される反応に依存してかなり広範にわたって変化する。
実際の使用において、該化合物は、従来の医薬混合技術に従って医薬担体と混合した活性成分として組み合わせることができる。担体は、投与、例えば、経口、非経口(静脈内を含む)、尿道、膣、鼻、皮膚、経皮、肺、深肺、吸入、口腔、舌下などに望まれる調製物の形態に依存して広範で様々な形態を取り得る。経口剤形の組成物を調製するにおいて、任意の通常の医薬媒体、例えば、水、グリコール、油、アルコール、風味剤、保存剤、着色剤など、および経口液体調製物の場合には、例えば、懸濁液、エリキシル剤および溶液など;または担体、例えば、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤など、ならびに経口固体調製物の場合には、例えば、粉末、硬いカプセルと軟かいカプセル、および錠剤を用いることができる。
投与の容易性のために、錠剤およびカプセルは、有利な経口投薬単位形態を示す。必要に応じて、本発明の化合物を含む組成物は、標準的な水性または非水性技術によってコーティングすることができる。このように治療的に有用な組成物における活性化合物の量は、有効な投薬量が得られるような量である。もう1つの有利な投薬単位形態において、舌下医薬組成物は、例えば、シート、ウエハー、錠剤または同様のものを用いることができる。該活性化合物は、例えば、液体滴下またはスプレーのように鼻内に投与することもできる。
錠剤、丸薬、カプセルなどは、結合剤、例えば、ガムトラガカント、アカシア、トウモロコシデンプンまたはゼラチン;賦形剤、例えば、リン酸二カルシウム;崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンまたはアルギニン酸;潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム;および甘味剤、例えば、蔗糖、乳糖またはサッカリンを含んでもよい。投薬単位形態がカプセルである場合、上記種類の物質に加えて、脂肪油などの液体担体を含むことができる。
様々な他の物質は、コーティング剤として用いることができるか、または投薬単位の物理形態を変更するために用いることができる。例えば、錠剤は、シェラック、糖または両方でコーティングすることができる。シロップまたはエリキシル剤は、活性成分に加えて、甘味剤として蔗糖、保存剤としてメチルおよびプロピルパラベン、染料および風味剤、例えば、チェリーまたはオレンジ風味を含んでもよい。
化合物は非経口投与することもできる。これらの活性ペプチドの溶液または懸濁液は、界面活性剤、例えば、ヒドロキシ-プロピルセルロースと好適に混合された水中で調製することができる。分散剤も、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよび油中のそれらの混合物中で調製することができる。これらの調製物は、微生物の増殖を抑制するために保存剤を場合によって含んでもよい。冷凍乾燥された単回単位配合物は、投与前に生理食塩水で戻すように用いることもでき、したがって、保存剤を必要としない。
注射用使用に好適な医薬形態には、滅菌水溶液または分散液、および滅菌粉末、例えば、滅菌注射溶液または分散液の即時調製のための凍結乾燥配合物が含まれる。全ての場合に、該形態は滅菌でなければならず、注射器によって投与できる程度に流動性でなければならない。該形態は、製造および保管条件下で安定でなければならず、細菌および菌類などの微生物の汚染作用に対して保存されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールまたは液体ポリエチレングリコール)、それらの好適な混合物、および植物油を含む溶媒または分散媒であることができる。
本明細書において開示されるような化合物は、経鼻投与によって治療的に適用することができる。「経鼻投与」は、本発明の任意の化合物の鼻内投与の任意の形態を意味する。該化合物は、水溶液、例えば、生理的食塩水、クエン酸塩または他の通常の賦形剤もしくは保存剤を含む水溶液中にあってもよい。該化合物は、乾燥または粉末配合物中にあってもよい。
1つの代替の実施形態において、化合物は肺中に直接投与することができる。肺内投与は、計量用量吸入器、吸気中に患者により作動される場合、本発明の化合物の計量ボーラスの自己投与を可能にする装置によって行うことができる。乾燥粉末吸入および噴霧エアロゾルの両方を用いることができる。
本発明のもう1つの実施形態によれば、本発明の化合物は、ペプチド薬剤を含む薬剤の有効鼻吸収を増加させる任意の様々な薬剤と一緒に配合することができる。これらの薬剤は、粘膜に許容されない損傷を有しないで鼻吸収を増加させなければならない。とりわけ、米国特許第5693608号、同5977070号および同5908825号は、吸収促進薬を含んで用いることのできるいくつかの医薬組成物を教示しており、それぞれの前述の教示およびそれらに引用された全ての参考文献および特許は、参照により組み込まれる。
水溶液中である場合、本発明の特定の化合物は、生理食塩水、酢酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩または他の緩衝剤によって適切に緩衝させることができ、これは、生理学的に許容される任意のpH、一般に約pH4〜約pH7であり得る。緩衝剤の組合せも用いることができ、例えば、リン酸塩緩衝生理食塩水、生理食塩水と酢酸塩緩衝剤などを用いることができる。生理的食塩水の場合、0.9%の生理食塩水溶液を用いることができる。酢酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩などの場合、50mM溶液を用いることができる。緩衝剤に加えて、細菌および他の微生物の増殖を抑制または制限するために好適な保存剤を用いることができる。用いることのできるこのような保存剤の1つは、0.05%の塩化ベンザルコニウムである。
化合物は、乾燥形態または粒状形態であり得ることも可能であり、かつ企図される。1つの好ましい実施形態において、粒子は、肺表面に定着して、吐き出されないために十分な質量を有するが、肺に達する前に気道の表面に堆積しないように十分小さいように、約0.5〜6.0μmである。限定されないが、ミクロ製粉、スプレー乾燥および迅速冷凍エアロゾルに続けての凍結乾燥を含む様々な異なる任意の技術が、乾燥粉末微粒子を作製するために使用され得る。微粒子に関して、化合物は、肺深部に堆積することがあり、それにより血流への迅速かつ効率的な吸収を与える。さらに、時に、このような手法をもってすれば、経皮、鼻または口粘膜送達経路における場合のように、透過促進剤は不要である。推進剤系エアロゾル、噴霧器、単回用量乾燥粉末吸入器および多用量乾燥粉末吸入器を含む様々な任意の吸入器を用いることができる。現在用いられている通常の装置には、計量用量吸入器が含まれ、これは、喘息、慢性閉塞性肺疾患などの治療用の薬剤を送達するために使用される。好ましい装置には、常に約6.0μm未満である粒径を有する細かい粉末の霧またはエアロゾルを形成するように設計された乾燥粉末吸入器が含まれる。
平均粒度分布を含む微粒子粒度は、作製する方法によって調節することができる。ミクロ製粉について、ミリングヘッドの寸法、ローターの速度、処理時間などにより微粒子粒度を調節する。スプレー乾燥について、ノズル寸法、流量、乾燥機熱などにより微粒子粒度を調節する。迅速冷凍エアロゾルに続けて凍結乾燥によって作製することについて、ノズル寸法、流量、エアロゾル化溶液の濃度などにより微粒子粒度を調節する。これらのパラメータおよびその他は、微粒子粒度を調節するために用いることができる。
本発明の化合物は、持続放出注射可能配合物の注射、典型的には、例えば、臀部または三角筋におけるような深部筋内注射によって治療的に投与することができる。1つの実施形態において、本発明の化合物は、PEG、例えば、ポリエチレングリコール3350、および場合によって、限定されないが、賦形剤、例えば、塩、ポリソルベート80、pHを調整するための水酸化ナトリウムまたは塩酸を含む1種または複数の追加的な賦形剤および保存剤と一緒に配合される。もう1つの実施形態において、本発明の化合物は、ポリオルトエステル(これは、ポリマー骨格における任意の変化し得るパーセントの乳酸と一緒の自己触媒ポリオルトエステルであり得る)、および場合によって1種または複数の追加的な賦形剤と一緒に配合される。1つの実施形態において、ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)ポリマー(PLGAポリマー)、好ましくは、親水性末端基を有するPLGAポリマー、例えば、Boehringer Ingelheim社(Ingelheim、独国)製のPLGA RG502Hが用いられる。例えば、好適な溶媒、例えば、メタノール中での本発明の化合物を塩化メチレン中のPLGAの溶液と混合し、反応器内の好適な混合条件下でポリビニルアルコールの連続相溶液をそれに加えることによって、このような配合物を作製することができる。一般に、好ましくは接着性ポリマーでもある任意のいくつかの注射可能かつ生分解性ポリマーを、持続放出注射可能な配合物に用いることができる。米国特許第4938763号、同6432438号、および同6673767号の教示ならびにそれに開示された生分解性ポリマーおよび配合の方法は、参照により本明細書に組み込まれる。配合物は、化合物の濃度および量、ポリマーの生分解速度、ならびに当業者に知られた他の要因に依存して、注射が、週1回、月1回または他の期間基準で必要である注射などであることができる。
投与経路。注射によって投与される場合、注射は、静脈内、皮下、筋内、腹腔内または当該技術分野で知られた任意の手段であることができる。本発明の化合物は、限定されないが、錠剤、カプセル、カプレット、懸濁液、粉末、凍結乾燥調合剤、坐薬、点眼薬、皮膚パッチ、口可溶性配合物、スプレー、エアロゾルなどの配合物を含む当該技術分野で知られた任意の手段によって配合できるか、または緩衝剤、結合剤、賦形剤、安定剤、酸化防止剤および当該技術分野で知られた他の剤と一緒に混合および配合することができる。一般に、本発明の化合物が細胞の表皮層を通って導入される任意の投与経路を用いることができる。したがって、投与手段には、粘膜を通る投与、口腔投与、経口投与、経皮投与、吸入投与、肺投与、経鼻投与、尿道投与、膣投与などが含まれ得る。
1つの態様において、本発明の化合物は、持続放出注射可能な配合物、例えば、PEG、ポリオルトエステルまたはPLGAポリマーと一緒の配合物における本発明の化合物によって投与される。もう1つの態様において、本発明の化合物は、連続的または断続的のいずれかの皮下送達を与える自動送達装置によって投与される。任意の前述の方法および配合物は、慢性鬱血性心不全および特に慢性非代償性鬱血性心不全を含む慢性状態または症候群の治療に特に適用できる。
1つの態様において、本発明の任意の化合物は、米国特許第6586396号に開示される全ての方法を含む皮下投与によって投与することができる。もう1つの態様において、患者、特に、比較的代償性である患者または外来患者環境における鬱血性心不全を有する患者である患者は、米国特許出願公開第2004/0077537号および国際公開第2003/079979号に開示されるような方法および用量によって本発明の化合物が投与される。もう1つの態様において、患者は米国特許出願公開第2005/0113286号に開示されているような方法によって本発明の化合物が投与されてよい。さらにもう1つの態様において、心筋障害を経験した患者は、米国特許出願公開第2006/0019890号に開示されるような方法によって心臓再造形のために治療され得る。
本発明の化合物は、米国特許出願公開第2006/0034903号に開示されるような装置を含む送達系および方法によることを含む経皮投与によって投与することもできる。同様に、それに開示されたヒドロゲル配合物および固体状態配合物は、本発明の化合物と一緒の使用に適応させることができる。
治療有効量。一般に、患者に投与される本発明の化合物の実際の量は、投与方式、使用される配合物、および所望の反応に依存してかなり広範囲に変化する。治療のための投薬量は、所望の治療効果をもたらすに十分な量の、任意の前述の手段または当該技術分野で知られた任意の他の手段による投与である。したがって、治療有効量には、所望の作用を誘発するのに十分である本発明の化合物もしくは医薬組成物の量が含まれる。ナトリウム利尿ペプチドが、式Iの1つまたは複数の代用物を含む化合物の作製において親ポリペプチドとして用いられる1つの態様において、治療有効量は、所望のナトリウム利尿、利尿および/または血管拡張をもたらす量である。
一般に、本発明の化合物は高度に活性である。例えば、選択された特定の化合物、所望の治療反応、投与経路、配合物および当業者に知られた他の要因に依存して、該化合物は、約0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、50、または100μg/kg体重で投与することができる。
5. 式Iの代用物の合成方法
本発明の式Iの代用物は、標準の合成方法論によって得ることができる。一部の都合のよい方法を下記スキームにおいて説明する。本発明の化合物およびそのための中間体を調製するために有用な出発物質は、市販されているか、または知られた合成方法および試薬を用いて市販されている物質から調製することができる。
本明細書において用いられる保護基は、一般に最終治療化合物において見られないが、化学操作の過程で別に変化させられ得る基を保護するために合成の一部の段階で意図的に導入される基を意味する。このような保護基は、合成の後の段階で除かれるか、または所望の基に変換され、したがって、このような保護基を担う化合物は、主に化学的中間体として重要である(一部の誘導体も生物活性を示すが)。したがって、保護基の正確な構造は重要でない。
このような保護基の形成および除去のための多数の反応が、いくつかの標準的な著作物に記載されており、それらには、例えば、Protective Groups in Organic Chemistry、Plenum Press、London and New York、1973年;Greene, Th.W.、Protective Groups in Organic Synthesis、Wiley、New York、1981年;The Peptides、Vol.I、Schroder およびLubke、Academic Press、London and New York、1965年;ならびにMethoden der organischen Chemie、Houben-Weyl、第4版、Vol.15/l, Georg Thieme Verlag、Stuttgart 1974年などがあり、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の式Iのアミノ酸代用物の合成方法の以下の例は、例示的であることを意図し、それらについての変形は当業者によって行うことができることが理解されるべきであり、このような変形は本明細書に含まれることを意図する。
本発明のアミノ酸代用物の合成方法の以下の例は例示を意図しており、当業者は、これに変更を加え得ること、およびそのような変更は本明細書に含まれることが意図されることを理解されたい。
[官能化R側鎖を有さないアミノ酸を模倣するケトピペラジン骨格の合成(方法AおよびB)]
この構築物は、方法AおよびBで記載した通りの様々な方法によって調製した。
方法A:ジペプチド(3)は、Boc-セリン(OBn)-OH(1)およびα-アミノエステル(2)を使用する混合無水物方法で形成した。ジペプチドは高収率で得られ、通常精製は不要だった。メチルエステルおよびアミド基の両方の還元はジボラン-テトラヒドロフランを使用して行い、第二級アミンを保護してジ-Boc保護アミノアルコール中間体(4)を得た。アルコールを二クロム酸ピリジニウム(PDC)で同時環化を伴って酸化して、ピペラジン-2-オン(5)を1ステップで得た。水素化によってベンジルエーテルを除去し、次いで保護基交換によってFmoc保護ピペラジン-2-オン(6)を得た。最後に、第一級アルコールをいくつかの異なる方法のいずれか(PDC、ジョーンズ酸化、塩化ルテニウム-過ヨウ素酸ナトリウム、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ、フリーラジカル(TEMPO)酸化)によって酸化して酸にして最終生成物(7)を得た。
2-(3-ベンジルオキシ-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-プロピオニルアミノ)-2-置換酢酸メチルエステル(3)の合成:窒素下で-20℃に維持したBocセリンベンジルエーテル(1)10mmolの乾燥テトラヒドロフラン30mL溶液にトリエチルアミン22mmolを加え、次いでクロロギ酸イソブチル11.4mmolをゆっくりと加えた。白色の固体が沈殿した。スラリーを15分間撹拌し、次いで11.1mmolのα-アミノエステル(2)を一度に加えた。スラリーを-20℃で30分間撹拌し、次いで室温まで加温させ、2時間撹拌し、次いで濃縮乾固した。次いで混合物を酢酸エチル50mL/1N塩酸30mLの溶液の間に分配した。層を分離し、有機層を1×20mLの1N塩酸および1×20mLの飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。化合物(3)が90%超の収率で通常得られ、精製は必要なかった。
ジ-Boc-2-置換-(2-アミノ-3-ベンジルオキシ-プロピル-アミノ)-エタノール(4)の合成:窒素下で室温に維持した35mmolの(3)の乾燥テトラヒドロフラン50mL溶液にテトラヒドロフラン中の1Nジボラン溶液200mLを加えた。溶液を室温で終夜撹拌し、次いで1N塩酸溶液200mLの氷冷溶液にゆっくりと注いだ。次いで、この二相溶液を固体の水酸化ナトリウムで中和した。重炭酸ナトリウムの飽和溶液140mL、次いでジ-tert-ブチル-ジカーボネート70mmolを加え、混合物を2日間室温で撹拌し、酢酸エチル200mLで希釈し、層を分離した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。生成物(4)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
1,4-ジ-Boc-6-ベンジルオキシメチル-3-置換-ピペラジン-2-オン(5)の合成:70mmolの(4)および二クロム酸ピリジニウム400mmolの乾燥ジメチルホルムアミド300mL溶液を48℃で窒素下において6時間撹拌し、室温まで冷却し、水1500mLに注ぎ、4×500mLのエチルエーテルで抽出した。エーテル層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。生成物(5)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
4-Fmoc-6-ヒドロキシメチル-3-置換-ピペラジン-2-オン(6)の合成:19mmolの(5)および10%炭素上パラジウム2gのエタノール200mL懸濁液を室温および大気圧で終夜水素化した。この懸濁液をセライトで濾過し、濃縮した。残渣をジクロロメタン中の50%トリフルオロ酢酸40mLに再溶解した。溶液を室温で2時間撹拌し、次いで濃縮した。残渣をテトラヒドロフラン60mL/水40mLに再溶解し、固体の重炭酸ナトリウムで中和し、次いで固体の重炭酸ナトリウム40mmolおよびFmocクロリド20mmolを加えた。次いで混合物を室温で2時間撹拌し、酢酸エチル300mLで希釈し、層を分離した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
4-Fmoc-5-置換-6-オキソ-ピペラジン-2-カルボン酸(7)の合成:化合物(7)はいくつかの方法で調製した。
(a)0℃に冷却したアセトニトリル180mL、四塩化炭素180mLおよび水240mL中の10mmolの(6)の二相溶液に、固体の過ヨウ素酸ナトリウム112mmol、次いで塩化ルテニウム340mgを加えた。反応を室温まで加温させ、2時間撹拌し、次いでセライトで濾過した。層を分離し、水層を2×75mLの酢酸エチルで再抽出した。有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。
(b)12mmolの(6)および59mmolのPDCの乾燥ジメチルホルムアミド60mL溶液を48℃で窒素下において約5時間撹拌し、室温に冷却し、水600mLに注ぎ、3×200mLのジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。
(c)室温で維持した17mmolの(6)のアセトン350mL溶液にジョーンズ試薬(クロム酸8.0g、水17.4mLおよび濃硫酸6.9mLから調製)25mLを加えた。この混合物を1時間撹拌し、イソプロパノール150mLを加え、混合物をセライトで濾過した。セライトは酢酸エチルで洗浄した。有機層を合わせ、濃縮した。残渣を酢酸エチル250mLに溶解し、2×50mLの水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。
(d)室温で維持した81mmolのアルコール(6)のアセトニトリル810mL溶液にリン酸バッファー溶液(水295mL中の一塩基リン酸ナトリウム7.2gおよび二塩基リン酸ナトリウム14.3gから調製)を加え、次いで3.3g(20.7mmol)のTEMPOおよび亜塩素酸ナトリウム18.6g(164.4mmol)を加え、この二相溶液を43℃に維持した油浴に入れ、次いで次亜塩素酸ナトリウム溶液(10〜13%次亜塩素酸ナトリウム溶液19.3mLおよび水24mLを混合することによって調製)43.3mL(25.9mmol)の溶液をゆっくりと加えた。反応を43℃で4時間撹拌した。溶液を室温に冷却し、10%亜硫酸水素ナトリウム溶液200mLの溶液を加え、10分間撹拌し、酢酸エチル500mLで希釈し、層を分離した。有機層を1×100mLのブライン、1×160mLの1N塩酸溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。
生成物(7)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
方法B:方法Aで記載した通りに調製した中間体ジ-Boc-2-置換-(2-アミノ-3-ベンジルオキシ-プロピル-アミノ)-エタノール(4)を、TEMPO/イソシアヌル酸試薬を使用して酸化して酸にし、次いでヨードメタンでエステル化して完全に保護された還元ジペプチド類似体(8)を得た。Boc基およびベンジルエーテルを脱保護して3-置換5-ヒドロキシメチル-ピペラジン-2-オンを得、これをFmoc誘導体として保護して(6)を得、これを方法Aで記載した通りに酸化して最終生成物にした。
ジ-Boc-(2-アミノ-3-ベンジルオキシ-プロピルアミノ)-2-置換酢酸メチルエステル(8)の合成:0℃に維持した76mmolの(4)のアセトン680mL懸濁液、および飽和重炭酸ナトリウム溶液210mLに固体の臭化ナトリウム21mmolおよび2.9mmolのTEMPOを加え、次いでトリクロロイソシアヌル酸156mmolをゆっくりと加えた。反応を30分間0℃、次いで室温で終夜撹拌し、1N塩酸溶液で酸性化し、2×300mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を3×50mLの1N塩酸で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残渣を乾燥ジメチルホルムアミド40mLおよび固体の重炭酸ナトリウム95mmolに再溶解し、ヨードメタン112mmolを加え、室温で窒素下においてHPLCが反応の完了を示すまで混合物を撹拌し、次いでエチルエーテル200mLで溶液を希釈し、2×100mLの水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。生成物(8)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
4-Fmoc-6-ヒドロキシメチル-3-置換-ピペラジン-2-オン(6)の合成:ジクロロメタン中の50%トリフルオロ酢酸40mL中の36mmolの(8)の溶液を室温で2時間撹拌し、次いで飽和重炭酸ナトリウム溶液200mLに注いだ。層を分離し、有機層を濃縮した。残渣を酢酸エチル100mLに再溶解し、2×50mLの水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残渣をエタノール100mLに再溶解し、10%炭素上パラジウム5gおよび1N塩酸溶液35mLを加え、HPLCが反応の完了を示すまで室温および大気圧で混合物を水素化し、次いで溶液をセライトで濾過し、濃縮した。酢酸エチル80mLに残渣を再溶解し、水30mL中の重炭酸ナトリウム70mmolを加え、混合物を室温で終夜撹拌した。酢酸エチルを除去し、テトラヒドロフラン100mL、次いで固体の重炭酸ナトリウム178mmolおよびFmocクロリド43mmolを加え、HPLCがその完了を示すまで混合物を撹拌し、酢酸エチル300mLで希釈し、層を分離した。有機層を2×50mLの水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。生成物(6)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
4-Fmoc-5-置換-6-オキソ-ピペラジン-2-カルボン酸(7)の合成:化合物(7)を方法Aで記載した通りに調製した。
[官能化R側鎖を有するまたは有さない化合物に適用可能なケトピペラジン骨格の調製のための一般汎用合成スキーム(方法C、E、F)]
方法C:(2-Fmoc-アミノ-3-R'-O-プロピルアミノ)-2-置換酢酸メチルエステル(10)は、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはナトリウムトリアセトキシボロヒドリドのいずれかを還元剤として使用して、α-アミノエステル(2)でFmoc O-保護セリナール(9)を還元的アミノ化することによって調製した。還元的アミノ化に必要なFmoc O-保護セリナール(9)は、方法Dに従って、エステル(12)を水素化ジイソブチルアルミニウムで還元すること、Fmoc O-保護セリノール(13)をDess-Martinペルヨージナンで酸化すること、またはFmoc O-保護セリンワインレブアミド(14)を水素化アルミニウムリチウムで還元することのいずれかで調製した。Fmoc O-保護セリナール(9)を調製する好ましい方法は、ワインレブアミド類似体の還元だった。次いで(2-Fmoc-アミノ-3-R'-O-プロピルアミノ)-2-置換酢酸メチルエステル(10)をNおよびO脱保護し、環化し、Fmoc保護して3-置換6-ヒドロキシメチル-ピペラジン-2-オン(6)を得、次いでこれを方法Aで記載した通りに酸化して最終生成物にした。
合成に使用したFmoc-O-保護セリナール(9)のヒドロキシル基上の保護基(R')は、アミノエステルの側鎖Rの性質に依存する。Rが官能基を含まない場合、Fmocセリンの側鎖はtBuエーテルとして保護された。Rが官能基を含む場合、Fmocセリンの側鎖はトリチルエーテルとして保護された。
方法D:種々のFmoc-O-保護セリナール(9)の合成。Fmoc-O-R'セリンメチルエステル(12)の合成:窒素下で維持した乾燥ジメチルホルムアミド80mL中のFmoc O-R'セリン(11)80mmol、固体重炭酸ナトリウム10.0g(120mmol)、およびヨードメタン10.0mL(160mmol)の微懸濁液を室温で終夜撹拌した。次いで反応混合物を水500mLに注ぎ、固体を濾過した。固体を酢酸エチル800mLに再溶解し、1×200mLの水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。精製は必要なかった。
Fmoc-O-R'セリノール(13)の合成:窒素下で-20℃に維持した10.0mmolのFmoc O-R'セリン(11)の乾燥テトラヒドロフラン50mL溶液にトリエチルアミン1.77mL(12.7mmol)を加え、次いでクロロギ酸イソブチル1.57mL(12.0mmol)をゆっくりと加えた。混合物を30分間撹拌し、次いで温度を5℃未満に維持しながら水素化ホウ素ナトリウム3.77g(99.6mmol)の水10mL氷冷溶液にゆっくりと注いだ。反応を0℃で15分間撹拌し、次いで1N塩酸溶液でクエンチした。反応混合物を酢酸エチル100mLで希釈し、層を分離した。有機層を2×25mLの1N塩酸溶液、2×25mLの水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
Fmoc-O-R'セリンワインレブアミド(14)の合成: 20.2mmolのFmoc O-R'セリン(11)、6.98g(21.6mmol)の2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、およびN-メチル-モルホリン2.5mL(22.7mmol)の乾燥ジクロロメタン80mL懸濁液を室温で窒素下において20分間撹拌し、次いでN,O-ジ-メチルヒドロキシルアミン塩酸塩3.02g(31mmol)およびN-メチル-モルホリン3.3mL(30mmol)を加え、この懸濁液を室温で終夜撹拌した。次いで形成した溶液を濃縮乾固し、酢酸エチル200mLと水100mLとの間に再分配し、2×40mLの1N塩酸溶液、次いで2×40mLの飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。精製は必要なかった。
エステル(12)からのFmoc-O-R'セリナール(9)の合成:-78℃で窒素下において維持した3.5mmolの(12)のテトラヒドロフラン5mL溶液に1N水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)溶液10mLをゆっくりと加え、15分間撹拌し、酒石酸ナトリウムおよびカリウムの飽和溶液をゆっくりと加えることによってクエンチした。反応を室温まで加温させ、酢酸エチル50mLで希釈し、酒石酸ナトリウムおよびカリウムの飽和溶液50mLを加えた。層を分離し、水層を1×50mLの酢酸エチルで再抽出した。有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。化合物(9)をさらに精製することなく次のステップで使用した。
アルコール(13)からのFmoc-O-R'セリナール(9)の合成:窒素下で室温に維持した80mmolのFmoc-O-R'セリノール(13)の乾燥ジクロロメタン200mL溶液にDess-Martinペルヨージナン88mmolを加え、反応を2.5時間撹拌し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液400mLを加えることによってクエンチした。層を分離し、有機層を濃縮し、エチルエーテル300mLで希釈し、10%チオ硫酸ナトリウムを含有する飽和重炭酸塩水溶液で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。
ワインレブアミド(14)からのFmoc-O-R'セリナール(9)の合成:窒素下で-78℃に冷却した8.8g(20.2mmol)の粗製Fmoc-O-R'セリンワインレブアミド中間体(14)の乾燥テトラヒドロフラン60mL溶液に、テトラヒドロフラン中の1N水素化アルミニウムリチウム溶液30mLを加えた。溶液を15分間撹拌し、次いで硫酸水素カリウムの1.4N溶液30mLをゆっくりと加えることによってクエンチした。室温まで加温した後、固体を濾過し、濾液を濃縮乾固した。残渣を酢酸エチル50mLと1N塩酸溶液25mLとの間に再分配した。層を分離し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。
(2-Fmoc-アミノ-3-R'-O-プロピルアミノ)-2-置換酢酸メチルエステル(10)の合成:シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはナトリウムトリアセトキシボロヒドリドを還元剤として使用する還元的アミノ化によって化合物(10)を調製した。
シアノ水素化ホウ素ナトリウム法:窒素下で室温に維持した8.5mmolの(2)塩酸塩のメタノール20mL溶液に固体の水酸化カリウム2.3mmolを加え、混合物を25分間撹拌した。Fmoc-O-R'セリナール(9)のメタノール10mL溶液を上記懸濁液に加え、反応混合物を1時間撹拌した。1Nシアノ水素化ホウ素ナトリウム8.5mLのテトラヒドロフラン溶液をゆっくりと加え、反応をさらに1時間撹拌し、濾過し、濃縮した。残渣を酢酸エチルと水との間に分配し、有機層を1×20mLの飽和重炭酸ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。
ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド法:21mmolの(2)塩酸塩およびトリエチルアミン2.9mL(21mmol)の乾燥テトラヒドロフラン50mL懸濁液を室温で45分間撹拌し、次いで約20mmolの粗製Fmoc-(O-R')-セリナール(9)のテトラヒドロフラン30mL溶液、次いで4A粉末モレキュラーシーブ1.7gを加え、この懸濁液をさらに2時間撹拌した。固体のナトリウムトリアセトキシボロヒドリド6.4g(30mmol)を加え、この懸濁液を室温で終夜撹拌した。懸濁液をメタノールで希釈し、モレキュラーシーブ濾過し、濾液を濃縮した。残渣を酢酸エチル100mLと水50mLとの間に分配した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。
化合物(10)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
4-Fmoc-6-ヒドロキシメチル-3-置換-ピペラジン-2-オン(6)の合成:化合物(6)の調製には、3つのステップが必要だった:(a)同時環化を伴うFmoc脱保護、(b)Fmoc保護、および(c)ヒドロキシル基脱保護。
Fmoc基の除去および環化:酢酸エチル溶液中の30%ジエチルアミン30mL中の環式化合物10mmolの溶液を室温で終夜撹拌し、次いで濃縮乾固した。
(a)Fmoc保護:テトラヒドロフラン20mLおよび水10mL中の化合物10mmolの二相溶液に、固体の重炭酸ナトリウム2.52g(30mmol)、次いで3.36g(13mmol)のFmoc-Clを加えた。混合物を3時間撹拌し、酢酸エチルで希釈し、層を分離し、有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。
(b)ヒドロキシル基脱保護:tBuエーテル保護基含有化合物について:90%トリフルオロ酢酸のジクロロメタン溶液で化合物を1〜2時間脱保護し、次いで濃縮乾固した。残渣を酢酸エチルに溶解し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで濃縮した。Trtエーテル保護基を含有する化合物について:2〜10%トリ-イソプロピルシランを含有するジクロロメタン中の1〜10%トリフルオロ酢酸の溶液を加えることによって化合物を脱保護した。反応は瞬間的だった。次いで、重炭酸ナトリウムの飽和溶液に注ぐことによって溶液を中和した。層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。
化合物(6)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
4-Fmoc-5-置換-6-オキソ-ピペラジン-2-カルボン酸(7)の合成:化合物(7)を方法Aで記載した通りに調製した。化合物(7)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
方法E:(2-Fmoc-アミノ-3-ヒドロキシ-プロピル-Cbz-アミノ)-2-置換酢酸メチルエステル(15)は、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはナトリウムトリアセトキシボロヒドリドのいずれかを還元剤として使用して、αアミノエステル(2)でFmocセリナール(OR')(9)を還元的アミノ化することによって調製した。第二級アミンをクロロギ酸ベンジルで保護し、次いでヒドロキシル基をトリフルオロ酢酸溶液で脱保護した。次いで、化合物(15)をFmoc脱保護した。アミノエステル中間体が即座に環化して4-Cbz-3-置換6-ヒドロキシメチル-ピペラジン-2-オン(16)が形成した。Fmoc3-置換6-ヒドロキシメチル-ピペラジン-2-オン(6)を保護基交換によって調製し、次いで方法Aで記載した通りに酸化して所望の生成物(7)にした。
(2-Fmoc-アミノ-3-ヒドロキシ-プロピル-Cbz-アミノ)-2-置換酢酸メチルエステル(15)の合成:メタノール80mL中の67mmolのアミノエステル塩酸塩(2)および固体の水酸化カリウム20.9mmolの懸濁液を室温で25分間撹拌し、次いで(9)のメタノール250mL懸濁液に加えた。反応混合物を1.5時間撹拌し、次いでテトラヒドロフラン中の1Nシアノ水素化ホウ素ナトリウム溶液70mLをゆっくりと加えた。反応を終夜撹拌し、次いで濃縮した。残渣をテトラヒドロフラン300mLと1N塩酸溶液50mLとの間に分配した。層を分離し、有機層を重炭酸ナトリウム239mmolの水50mL溶液で中和し、次いでクロロギ酸ベンジル66mmolをゆっくりと加え、反応を3時間撹拌し、酢酸エチル200mLで希釈し、層を分離した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残渣をトリフルオロ酢酸のジクロロメタン溶液に溶解し、室温で2時間撹拌した。溶液を飽和重炭酸ナトリウム溶液200mLに注いだ。層を分離し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。化合物(15)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
4-Cbz-6-ヒドロキシメチル-3-置換-ピペラジン-2-オン(16)の合成:酢酸エチル中の30%ジエチルアミン100mL中の24mmolの(15)の溶液を室温で終夜撹拌し、次いで濃縮乾固した。化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
4-Fmoc-6-ヒドロキシメチル-3-置換-ピペラジン-2-オン(6)の合成:15mmolの(16)および10%炭素上パラジウム1.8gのエタノール50mL懸濁液を室温および大気圧でHPLCが反応の完了を示すまで水素化した。次いで混合物をセライトで濾過し、濃縮し、残渣をテトラヒドロフラン35mLおよび水10mLに溶解し、次いで固体の重炭酸ナトリウム62mmol、次いで16mmolのFmoc-Clを加え、混合物を3時間撹拌し、酢酸エチル100mLおよび水10mLで希釈した。層を分離し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。化合物(6)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
4-Fmoc-5-置換-6-オキソ-ピペラジン-2-カルボン酸(7)の合成:化合物(7)を方法Aで記載した通りに調製し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
方法F:(2-Cbz-アミノ-3-ベンジルオキシ-プロピルアミノ)-2-置換酢酸メチルエステル(20)は、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはナトリウムトリアセトキシボロヒドリドのいずれかを還元剤として使用して、α-アミノエステル(2)でCbzセリナール(OBn)(19)を還元的アミノ化することによって調製した。還元的アミノ化に必要なCbzO-ベンジルセリナール(19)は、Cbzセリノール(OBn)(18)をDess-Martinペルヨージナンで酸化することによって得た。(20)を水素化し、次いで環化することによって3-置換6-ヒドロキシメチル-ピペラジン-2-オンを得、次いでこれをFmoc保護して4-Fmoc-3-置換6-ヒドロキシメチル-ピペラジン-2-オン(6)にした。最終生成物(7)を方法Aで記載した通りに得た。
Cbz-セリノール(OBn)(18)の合成:化合物(18)は化合物(13)について記載した通りに調製した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー精製後、化合物(18)を収率79%で得た。1H NMR δ (CDCl3) 3.57〜3.74 (2つのm, 3H, CHN, およびCH2O)、3.76〜3.96 (2つのm, 2H, CH2O)、4.50 (s, 2H, CH2O)、5.10 (s, 2H, CH2O)、5.40〜5.50 (br. d, 1H, NH)、7.22〜7.38 (m, 10H, Ph); HPLC tR = 5.33分、(M+ + Na+) = 337.64。
Cbzセリナール(OBn)(19)の合成:化合物(19)は化合物(9)について記載した通りに調製した。窒素下で室温に維持した乾燥ジクロロメタン200mL中の80mmolのCbz-O-Bnセリノール(18)の溶液にDess-Martinペルヨージナン88mmolを加え、反応を2.5時間撹拌し、次いで10%チオ硫酸ナトリウム水溶液400mLを加えることによってクエンチした。層を分離し、有機層を濃縮し、エチルエーテル300mLで希釈し、10%チオ硫酸ナトリウムを含有する飽和重炭酸塩水溶液で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。化合物(19)を粗製収率99%で得、さらに精製することなく使用した。1H NMR δ (CDCl3) 3.69〜3.78 (dd, 1H, CH2O)、3.99〜4.06 (dd, 1H, CH2O)、4.37〜4.46 (m, 1H, CHN)、4.47〜4.52 (d, 2H, CH2O)、5.14 (s, 2H, CH2O)、5.65〜5.75 (br. d, 1H, NH)、7.14〜7.48 (一連のm, 9H, Ph)、7.98〜8.08 (dd, 1H, Ph)、9.63 (s, 1H, CHO)。
(2-Cbz-アミノ-3-ベンジルオキシ-プロピルアミノ)-2-置換酢酸メチルエステル(20)の合成:化合物(20)は、化合物(10)について記載した通りに調製したが、Cbzセリナール(19)をアルデヒドとして使用した。化合物(20)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
4-Fmoc-6-ヒドロキシメチル-3-置換-ピペラジン-2-オン(6)の合成:エタノール160mL、1N塩酸38mLおよび10%炭素上パラジウム20g中の38mmolの(20)の懸濁液を室温および大気圧でHPLCが反応の完了を示すまで水素化した。次いで混合物をセライトで濾過し、濃縮乾固した。残渣をテトラヒドロフラン75mLで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で中和した。固体の重炭酸ナトリウム106mmolおよびFmocクロリド53mmolを加え、反応を室温でHPLCが反応の完了を示すまで撹拌し、酢酸エチル300mLおよびブライン300mLで希釈した。層を分離し、有機層をブラインで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。生成物(6)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
4-Fmoc-5-置換-6-オキソ-ピペラジン-2-カルボン酸(7)の合成:化合物(7)を方法Aで記載した通りに調製した。
[官能化側鎖を有さないアミノ酸を模倣する2,2-二置換ケトピペラジン骨格の合成(方法G)]
官能化側鎖を有さないアミノ酸を模倣する4-Fmoc-5-置換-6-オキソ-ピペラジン-2-メチル-2-カルボン酸骨格の合成は方法Gを使用して実施した。2-Boc-アミノ-3-(メトキシカルボニル-1-置換-メチルアミノ-2-メチル-プロピオン酸tert-ブチルエステル(23)は、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはナトリウムトリアセトキシボロヒドリドのいずれかを還元剤として使用して、α-アミノエステル(2)で2-Boc-アミノ-2-メチル-3-オキソ-プロピオン酸メチルエステル(22)を還元的アミノ化することによって調製した。還元的アミノ化に必要な化合物(22)は、α-メチル-Bocセリンtert-ブチルエステル(21)をDess-Martinペルヨージナンで酸化することによって得た。(23)のBoc基をジオキサン中の2N塩化水素で除去し、アミノエステルを環化して保護されていない5-置換-6-オキソ-ピペラジン-2-メチル-2-カルボン酸tert-ブチルエステル(24)を得、これをFmocクロリドで保護して4-Fmoc-5-置換-6-オキソ-ピペラジン-2-メチル-2-カルボン酸tert-ブチルエステルを得、これをトリフルオロ酢酸で脱保護して最終生成物(25)を得た。
2-Boc-アミノ-2-メチル-3-オキソ-プロピオン酸tert-ブチルエステル(22)の合成:Boc α-メチルセリンtert-ブチルエステル(21)の酸化はDess-Martinペルヨージナンを使用して記載した通りに実施して、所望の生成物(22)を粗製収率96%で得た。この化合物はさらに精製することなく次のステップで使用した。1H NMR δ (CDCl3): 1.44 (s, 18H, tBu)、1.46 (s, 3H, CH3)、5.63〜5.70 (br. s, 1H, NH)、9.5 (s, 1H, CHO)
2-Boc-アミノ-3-(メトキシカルボニル-1-置換-メチルアミノ-2-メチル-プロピオン酸tert-ブチルエステル(23)の合成:化合物(23)は、化合物(10)について記載したものと同様の手順を使用して、しかしアルデヒドとして化合物(22)を使用して調製した。化合物(23)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
2-メチル-6-オキソ-5-置換-ピペラジン-2-カルボン酸(25)の合成:ジオキサン中の2N塩化水素8mL中の4mmolの(23)の溶液を室温で5時間撹拌し、次いで濃縮乾固した。残渣をテトラヒドロフラン20mLに懸濁し、トリエチルアミン10mmolで中和し、60℃で2日間撹拌した。次いでこれを濃縮乾固し、テトラヒドロフラン20mLおよび水10mLに再懸濁し、固体の重炭酸ナトリウムを加えてpHを調整して塩基性にし、次いで固体のFmocクロリド5.6mmolを加え、反応混合物を終夜室温で撹拌し、pHを1N塩酸溶液で1に調整し、酢酸エチル100mLで希釈し、層を分離した。有機層を2×100mLのブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残渣をジクロロメタン中の50%トリフルオロ酢酸10mLに溶解し、溶液を室温で3時間撹拌した。溶媒を濃縮し、生成物(25)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
[官能化側鎖を有するアミノ酸を模倣する2,2-二置換ケトピペラジン骨格の合成(方法H)]
官能化側鎖を有するアミノ酸を模倣する4-Fmoc-5-置換-6-オキソ-ピペラジン-2-メチル-2-カルボン酸骨格の合成は方法Hを使用して実施する。2-Alloc-アミノ-3-(メトキシカルボニル-1-置換-メチルアミノ-2-メチル-プロピオン酸メチルエステル(30)は、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはナトリウムトリアセトキシボロヒドリドのいずれかを還元剤として使用して、α-アミノアリルエステル(29)で2-Alloc-アミノ-2-メチル-3-オキソ-プロピオン酸メチルエステル(28)を還元的アミノ化し、次いで第二級アミンをクロロギ酸ベンジルで保護することによって調製する。還元的アミノ化に必要な化合物(28)は、(27)をDess-Martinペルヨージナンで酸化することによって得る。類似体(30)のアリルエステルおよびAlloc基はテトラキスフェニルホスフィンパラジウム(0)を使用して除去し、このアミノ酸をペプチドカップリング試薬と反応させることによって環化して5-置換-6-オキソ-ピペラジン-2-メチル-2-カルボン酸メチルエステル(31)を得る。4-Fmoc-5-置換-6-オキソ-ピペラジン-2-メチル-2-カルボン酸(25)は、メチルエステルの鹸化、それに次ぐ保護基交換で得る。
Alloc α-メチルセリンメチルエステル(27)の合成:窒素下で維持した乾燥ジメチルホルムアミド8mL中の8mmolのBoc α-メチルセリン(26)、固体の重炭酸ナトリウム1.0g(12mmol)、およびヨードメタン1.0mL(16mmol)の溶液を終夜撹拌する。次いで反応混合物を水50mLに注ぎ、ジエチルエーテル50mLで抽出し、1×20mLの水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮する。残渣をジクロロメタン中の90%トリフルオロ酢酸20mLに溶解し、溶液を室温で3時間撹拌し、次いで濃縮乾固する。残渣をテトラヒドロフラン35mLおよび水10mLに溶解し、次いで固体の重炭酸ナトリウム30mmolを加え、クロロギ酸アリル12mmolをゆっくりと加える。混合物を室温で2時間撹拌し、酢酸エチル50mLで希釈し、層を分離する。次いで有機層を1×10mLの飽和重炭酸ナトリウム、および1×10mLの1N塩酸、および1×10mLの水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮する。化合物(27)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する。
2-Alloc-アミノ-2-メチル-3-オキソ-プロピオン酸メチルエステル(28)の合成:Alloc α-メチルセリンメチルエステル(27)をDess-Martinペルヨージナンを使用して上記の通りに酸化して、所望の生成物(28)を得る。
2-Alloc-アミノ-3-(メトキシカルボニル-1-置換-メチル-Cbz-アミノ-2-メチルプロピオン酸アリルエステル(30)の合成:化合物(30)は、化合物(15)について記載したものと同様の手順を使用して、しかしアルデヒドとして化合物(28)を使用して調製する。
4-Cbz-2-メチル-6-オキソ-5-置換-ピペラジン-2-カルボン酸メチルエステル(31)の合成:窒素下で室温に維持した10mmolの化合物(30)のジクロロメタン30mL溶液に、2当量のフェニルシランおよび0.3当量のテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)を加え、この溶液を2時間撹拌し、次いで11mmolのTBTUおよびN-メチルモルホリン14mmolを加え、この溶液を室温で2時間撹拌し、次いで濃縮乾固する。
4-Fmoc-2-メチル-6-オキソ-5-置換-ピペラジン-2-カルボン酸(25)の合成:窒素下で室温に維持した10mmolの化合物(31)のメタノール25mL溶液に、1N水酸化ナトリウム溶液11mmolをゆっくりと加え、反応を室温で終夜撹拌し、1N塩酸溶液21mLで中和し、10%炭素上パラジウム1gを加え、この懸濁液を室温および大気圧で3時間水素化する。この懸濁液をセライトで濾過し、濃縮する。残渣をテトラヒドロフラン25mLおよび水10mLに再溶解し、次いで固体の重炭酸ナトリウム30mmol、および10mmolのFmocクロリドを加え、反応を室温で窒素下において2時間撹拌する。次いで反応を酢酸エチル50mLで希釈し、1N塩酸溶液で酸性化する。次いで層を分離し、有機層を1×20mLの水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮する。化合物(25)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する。
[(5-置換-6-オキソ-ピペラジン-2-イル)-酢酸骨格の合成(方法I、J、K)]
(5-置換-6-オキソ-ピペラジン-2-イル)-酢酸骨格の合成をいくつかの方法で実施した。
方法I:(tert-ブチル3-保護-アミノ-4-(メトキシカルボニル-置換-メチルアミノ)-ブチレート(35)は、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはナトリウムトリアセトキシボロヒドリドのいずれかを還元剤として使用して、α-アミノエステル(2)でtert-ブチル3-保護-アミノ-4-オキソ-ブチレート(34)を還元的アミノ化することによって調製した。還元的アミノ化に必要なtert-ブチル3-保護-アミノ-4-オキソ-ブチレート(34)は、ワインレブアミド誘導体(33)の水素化アルミニウムリチウム(LAH)還元によって調製した。次いでtert-ブチル(3-保護-アミノ-4-(メトキシカルボニル-置換-メチルアミノ)-ブチレート類似体(35)を脱保護し、環化し、Fmoc保護して、tert-ブチル(5-置換-6-オキソ-ピペラジン-2-イル)-アセテート(36)を得、次いでこれを脱保護して最終生成物(37)を得た。
アミノ保護Asp-(OtBu)ワインレブアミド(33)の合成:化合物(33)は、化合物(14)について記載したものと同様の手順を使用して調製した。
tert-ブチル3-アミノ保護-アミノ-4-オキソ-ブチレート(34)の合成:化合物(34)は、化合物(9)について記載したものと同様の手順を使用して調製した。
tert-ブチル3-保護-アミノ-4-(メトキシカルボニル-置換-メチルアミノ)-ブチレート(35)の合成:化合物(35)は、化合物(10)について記載したものと同様の手順を使用して、しかしアルデヒドとして化合物(34)を使用して調製した。
tert-ブチル(4-Fmoc-5-置換-6-オキソ-ピペラジン-2-イル)-アセテート(36)の合成:Fmocアミノ保護基を含有する化合物について、酢酸エチル溶液中の30%ジエチルアミン30mL中の10mmolの化合物(35)の溶液を室温で終夜撹拌し、次いで濃縮乾固した。Cbzアミノ保護基を含有する化合物について、10mmolの化合物(35)のエタノール30mL溶液を室温および大気圧で2時間水素化し、セライトで濾過し、濃縮乾固した。Fmoc保護について、残渣をテトラヒドロフラン20mLおよび水10mLに溶解し、固体の重炭酸ナトリウム2.52g(30mmol)を加え、次いで3.3g(13mmol)のFmoc-Clを加えた。混合物を3時間撹拌し、酢酸エチルで希釈した。層を分離し、有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。化合物(36)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
(4-Fmoc-5-置換-6-オキソ-ピペラジン-2-イル)-アセテート(37)の合成:化合物(36)をジクロロメタン中の90%トリフルオロ酢酸溶液で3時間脱保護し、次いで濃縮乾固した。最終生成物(37)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
方法J:ジフェニルメチル3-Fmoc-アミノ-4-(メトキシカルボニル-置換-メチルアミノ)-ブチレート(41)は、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはナトリウムトリアセトキシボロヒドリドのいずれかを還元剤として使用して、α-アミノエステル(2)でジフェニルメチル3-Fmoc-アミノ-4-オキソ-ブチレート(40)を還元的アミノ化することによって調製した。還元的アミノ化に必要なジフェニルメチル3-Fmoc-アミノ-4-オキソ-ブチレート(40)は、β-エステルをMitsunobu条件下で保護することにより市販のFmoc-アスパラギン酸α-アリルエステル誘導体(38)から形成したワインレブアミド誘導体(39)を水素化アルミニウムリチウム還元することによって調製した。パラジウム(0)触媒を使用してアリルエステルを除去し、次いでTBTUをカップリング剤として使用してワインレブアミドを形成した。次いでジフェニルメチル3-Fmoc-アミノ-4-(メトキシカルボニル-置換-メチルアミノ)-ブチレート(41)をFmoc脱保護し、環化し、ジフェニルメチルエステルを水素化で除去し、次いでFmoc保護して、最終生成物(4-Fmoc-5-置換-6-オキソ-ピペラジン-2-イル)-酢酸(37)を得た。
Fmoc-Asp-(OCHPh2)ワインレブアミド(39)の合成:窒素下で0℃に維持したトリフェニルホスフィン3.4g(13mmol)およびジフェニルメタノール2.41g(13.1mmol)を含有する5.1g(13.0mmol)のFmoc-アスパラギン酸α-アリルエステル(38)の乾燥テトラヒドロフラン30mL溶液にアゾジカルボン酸ジイソプロピル2.6mL(13.4mmol)をゆっくりと加えた。氷浴を除去し、反応を室温で終夜撹拌し、濃縮乾固し、次いでシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。1H NMR δ (CDCl3) 2.96〜3.06 (dd, 1H, CH2CO)、3.15〜3.26 (dd, 1H, CH2CO)、4.18〜4.76 (一連のm, 3H, CH, CH2)、5.14〜5.32 (m, 1H, CHN)、5.76〜5.86 (m, 1H, CHO)、7.20〜7.80 (一連のm, 18H, フルベン, およびPh); HPLC tR = 7.68分、(M+ + Na+) = 583.90。
次いで、1.5g(1.3mmol)のテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)を含有する37:2:1のジクロロメタン:酢酸:N-メチルモルホリン溶液40mLに生成物(9.8mmol)を溶解し、溶液を室温で終夜撹拌し、濃縮乾固し、酢酸エチル100mLと水30mLとの間に分配した。層を分離し、有機層を1×50mLの水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣を乾燥ジクロロメタン20mLに懸濁し、N-メチルモルホリン1.65mL(15mmol)および4.07g(12.7mmol)のTBTUを加え、懸濁液を室温で20分間撹拌し、次いでN-メチルモルホリン1.65mL(15mmol)およびN,O-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩1.52g(15.6mmol)を加えた。懸濁液を室温で2時間撹拌し、濃縮し、酢酸エチル100mLと水50mLとの間に分配した。有機層を1×30mLの水、1×30mLの飽和重炭酸ナトリウム溶液および1×30mLの1N塩酸溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。1H NMR δ (CDCl3) 2.76〜2.88 (dd, 1H, CH2CO)、2.89〜3.00 (dd, 1H, CH2CO)、3.16 (s, 3H, CH3N)、3.70 (s, 3H, CH3O)、4.14〜4.22 (dd, 1H, CH)、4.28〜4.40 (t, 2H, CH2)、5.07〜5.16 (dd, 1H, CHN)、5.69〜5.76 (d, 1H, CHO)、7.24〜7.8 (一連のm, 18H, フルベン, およびPh); HPLC tR = 7.08、(M+ + Na+) = 587.03。
ジフェニルメチル3-Fmoc-アミノ-4-オキソ-ブチレート(40)の合成:化合物(40)は、化合物(9)について記載したものと同様の手順を使用して調製する。
ジフェニルメチル3-Fmoc-アミノ-4-(メトキシカルボニル-置換-メチルアミノ)-ブチレート(41)の合成:化合物(41)は、化合物(10)について記載したものと同様の手順を使用して、しかしアルデヒドとして化合物(40)を使用して調製した。
(4-Fmoc-5-置換-6-オキソ-ピペラジン-2-イル)-酢酸(37)の合成:酢酸エチル中の30%ジエチルアミン30mL中の10mmolの化合物(41)の溶液を室温で3時間撹拌した。次いで溶液を濃縮乾固し、2×30mLの酢酸エチルに再溶解し、再濃縮した。残渣をエタノール50mLおよび1N塩酸溶液20mLに溶解し、室温および大気圧で終夜水素化し、セライトで濾過し、濃縮乾固した。残渣をテトラヒドロフラン20mLおよび水10mLに溶解し、固体の重炭酸ナトリウム2.52g(30mmol)を加え、次いで3.3g(13mmol)のFmoc-Clを加えた。混合物を3時間撹拌し、酢酸エチル100mLで希釈し、層を分離し、有機層を2×50mlの水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
方法K:(5-置換-6-オキソ-ピペラジン-2-イル)-酢酸骨格は、市販のFmoc-アスパラギン酸αtert-ブチルエステル(42)から出発して合成する。Fmoc-アスパラギン酸αtert-ブチルエステルを水素化ホウ素ナトリウムで混合無水物を介してFmoc-ホモセリンαtert-ブチルエステルに還元し、次いでアルコールを臭化ベンジルで保護してFmoc-ホモセリンベンジルエーテルαtert-ブチルエステル(43)を得る。次いでtert-ブチルエステルをトリフルオロ酢酸で除去し、この酸を水素化ホウ素ナトリウムで混合無水物を介してアルコールに還元して2-Fmoc-アミノ-4-ベンジルオキシ-1-ブタノール(44)を得る。次いで上述の通りにDess-Martinペルヨージナンを使用してアルコール(44)を2-Fmoc-アミノ-4-ベンジルオキシブタノール(45)に変換する。2-Fmoc-アミノ-4-ベンジルオキシブタナール(45)およびα-アミノエステル(2)を還元的アミノ化することによって(2-Fmoc-アミノ-4-ベンジルオキシ-ブチルアミノ)-2-置換酢酸メチルエステル(46)を得る。ジエチルアミンでFmoc脱保護することによって遊離の第一級アミンを得、これは自然に環化させて6-ベンジルオキシエチル-3-置換-ピペラジン-2-オンになる。ベンジルエーテルを水素化で除去し、第二級アミンをそのFmoc誘導体として保護して4-Fmoc-6-ヒドロキシメチル-3-置換-ピペラジン-2-オン(47)を得る。最後に、第一級アルコールを酸化して酸にして、方法Aで記載した通りに最終生成物(48)を得る。
Fmoc-ホモセリン(OBn)αtert-ブチルエステル(43)の合成:窒素下で-20℃に維持した10.0mmolのFmoc Asp-OtBu(42)の乾燥テトラヒドロフラン50mL溶液にトリエチルアミン1.77mL(12.7mmol)を加え、次いでクロロギ酸イソブチル1.57mL(12.0mmol)をゆっくりと加える。温度を5℃未満に維持しながら、混合物を30分間撹拌し、次いで水素化ホウ素ナトリウム3.77g(99.6mmol)の水10mL冷溶液にゆっくりと注ぐ。反応を0℃で15分間撹拌し、次いで1N塩酸溶液でクエンチする。反応混合物を酢酸エチル100mLで希釈し、層を分離する。有機層を2×25mLの1N塩酸溶液、2×25mLの水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。次いで精製した化合物をテトラヒドロフラン30mLに溶解し、鉱油中の60%水素化ナトリウム分散液12mmol、次いでヨウ化テトラブチルアンモニウム0.2mmolおよび臭化ベンジル12mmolを加え、混合物を終夜撹拌し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液50mLでクエンチし、酢酸エチル100mLで抽出する。次いで化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する。
2-Fmoc-アミノ-4-ベンジルオキシ-1-ブタノール(44)の合成:方法Iの化合物(37)について記載した通りに90%トリフルオロ酢酸を使用してtert-ブチルエステルを脱保護し、次いでこの酸を化合物(13)について記載した通りに水素化ホウ素ナトリウムで混合無水物中間体を介してアルコールに還元する。
2-Fmoc-アミノ-4-ベンジルオキシ-ブタナール(45)の合成:(9)の合成について記載した通りにDess-Martinペルヨージナンを使用して2-Fmoc-アミノ-4-ベンジルオキシ-l-ブタノール(44)を酸化してアルデヒドにする。
(2-Fmoc-アミノ-4-ベンジルオキシ-ブチルアミノ)-2-置換酢酸メチルエステル(46)の合成:(10)の合成について記載した通りにシアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはナトリウムトリアセトキシボロヒドリドのいずれかを還元剤として使用してα-アミノエステル(2)で2-Fmoc-アミノ-4-ベンジルオキシ-ブタナール(45)を還元的アミノ化する。
4-Fmoc-6-ヒドロキシメチル-3-置換-ピペラジン-2-オン(47)の合成:(2-Fmoc-アミノ-4-ベンジルオキシ-ブチルアミノ)-2-置換酢酸メチルエステル(46)を同時環化を伴ってFmoc脱保護し、次いで方法Jで化合物(37)について記載した通りに脱ベンジル化およびFmoc再保護する。
4-Fmoc-5-置換-6-オキソ-ピペラジン-2-イル-酢酸(37)の合成:方法Aで記載した通りに4-Fmoc-6-ヒドロキシメチル-3-置換-ピペラジン-2-オン(47)を酸化して酸にする。使用した酸化剤の選択は5位の基の性質に基づく。
[2-置換3-オキソ-[1,4]-ジアゼパン-5-カルボン酸骨格の合成(方法L、M、N)]
いくつかの方法を使用して2-置換3-オキソ-[1,4]-ジアゼパン-5-カルボン酸骨格の合成を実施する。
方法L:tert-ブチル2-Cbz-アミノ-4-(ベンジルオキシカルボニル-置換-メチル-Bocアミノ)-ブチレート(52)は、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはナトリウムトリアセトキシボロヒドリドのいずれかを還元剤として使用して、アミノエステル(51)でtert-ブチルCbz-2-アミノ-4-オキソ-ブチレート(50)を還元的アミノ化し、次いで第二級アミンをBoc保護することによって調製する。還元的アミノ化に必要なtert-ブチルCbz-2-アミノ-4-オキソ-ブチレート(50)は、ワインレブアミド誘導体(49)の水素化アルミニウムリチウム還元によって調製する。ジアゼパン環は、保護基を除去し、次いでペプチド形成試薬で環化して(53)を得ることによって形成する。最後に、4-Fmoc-2-置換3-オキソ-[1,4]-ジアゼパン-5-カルボン酸(54)は保護基交換によって形成する。
Cbz-Asp-(ワインレブアミド)-OtBu(49)の合成:化合物(49)は、化合物(14)について記載したものと同様の手順を使用して調製する。
tert-ブチル3-Cbz-アミノ-4-オキソ-ブチレート(50)の合成:化合物(50)は、化合物(9)について記載したものと同様の手順を使用して調製する。
tert-ブチル2-Cbz-アミノ-4-(ベンジルオキシカルボニル-置換-メチルアミノ)-ブチレート(52)の合成:還元的アミノ化は、化合物(10)について記載したものと同様の手順で行う。第二級アミンは、粗製混合物を2当量のBocジカーボネートとテトラヒドロフラン中で反応させることによって保護する。
tert-ブチル1-Boc2-置換-3-オキソ-[1,4]-ジアゼパン-5-カルボキシレート(53)の合成:10mmolの化合物(52)のエタノール30mL溶液を室温および大気圧で2時間水素化し、セライトで濾過し、濃縮乾固する。残渣をジクロロメタン100mLおよび1.2当量のTBTUに溶解し、2.6当量のN-メチル-モルホリンを加える。溶液を室温で終夜撹拌し、次いで濃縮する。残渣を酢酸エチル50mLと1N塩酸溶液25mLとの間に分配し、1×20mLの飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮する。
1-Fmoc2-置換-3-オキソ-[1,4]-ジアゼパン-5-カルボン酸(54)の合成:ジクロロメタン中の90%トリフルオロ酢酸10mL中の10mmolの化合物(53)の溶液を室温で2時間撹拌し、次いで溶液を濃縮乾固する。残渣をテトラヒドロフラン20mLおよび水10mLに溶解し、固体の重炭酸ナトリウム2.52g(30mmol)を加え、次いで3.36g(13mmol)のFmoc-Clを加える。混合物を3時間撹拌し、次いで酢酸エチルで希釈する。層を分離し、有機層を2×50mLの水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮する。
方法M:還元ジペプチド類似体(60)は、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはナトリウムトリアセトキシボロヒドリドのいずれかを還元剤として使用して、アミノエステル(29)でジフェニルメチルAlloc-2-アミノ-4-オキソ-ブチレート(59)を還元的アミノ化し、次いで第二級アミンをCbz保護することによって調製する。還元的アミノ化に必要なジフェニルメチルAlloc-2-アミノ-4-オキソ-ブチレート(59)は、ワインレブアミド誘導体(58)を水素化アルミニウムリチウム還元することによって調製し、ワインレブアミド誘導体(58)はワインレブアミド誘導体(57)の保護基交換によって調製する。次いで、ジアゼパン環は、アリルおよびAlloc基の除去、次いでペプチド形成試薬の存在下で閉環することによって形成する。2-置換3-オキソ-[1,4]-ジアゼパン-5-カルボン酸骨格(54)は保護基交換によって形成する。
Fmoc-Asp-(ワインレブアミド)-OCHPh2(57)の合成:化合物(57)は、化合物(39)について記載したものと同様の手順を使用して調製する。
Alloc-Asp-(ワインレブアミド)-OCHPh2(58)の合成:酢酸エチル中の30%ジエチルアミン20mL中の10mmolの化合物(56)の溶液を2時間撹拌し、濃縮乾固する。残渣をテトラヒドロフラン20mLおよび水10mLに溶解し、固体の重炭酸ナトリウム2.52g(30mmol)を加え、次いで13mmolのAlloc-Clを加える。混合物を3時間撹拌し、次いで酢酸エチルで希釈する。層を分離し、有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮する。化合物(58)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する。
ジフェニルメチル3-Alloc-アミノ-4-オキソ-ブチレート(59)の合成:化合物(59)は、化合物(9)について記載したものと同様の手順を使用して調製する。
ジフェニルメチル2-Alloc-アミノ-4-(アリルオキシカルボニル-置換-メチルアミノ)-ブチレート(60)の合成:化合物60は、化合物(15)について記載したものと同様の手順を使用し、しかしアルデヒドとして化合物(59)を使用する還元的アミノ化によって調製する。生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する。
ジフェニルメチル1-Cbz2-置換-3-オキソ-[1,4]-ジアゼパン-5-カルボキシレート(61)の合成:窒素下で室温に維持した10mmolの化合物(60)のジクロロメタン30mL溶液に2当量のフェニルシランおよび0.3当量のテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)を加え、この溶液を2時間撹拌し、次いで1.2当量のTBTUおよび1.3当量のN-メチル-モルホリンを加える。溶液を室温で終夜撹拌し、濃縮する。残渣を酢酸エチル50mLと1N塩酸溶液25mLとの間に分配し、1×20mLの飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮する。
1-Fmoc2-置換-3-オキソ-[1,4]-ジアゼパン-5-カルボン酸(54)の合成:10mmolの化合物(61)のエタノール30mL溶液を室温で2時間水素化し、セライトで濾過し、次いで溶液を濃縮乾固する。残渣をテトラヒドロフラン20mLおよび水10mLに溶解し、固体の重炭酸ナトリウム2.52g(30mmol)を加え、次いで3.36g(13mmol)のFmoc-Clを加える。混合物を3時間撹拌し、次いで酢酸エチルで希釈する。層を分離し、有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮する。
方法N:Fmoc-アスパラギン酸βtert-ブチルエステルを水素化ホウ素ナトリウムで混合無水物を介してFmoc-アスパルタノールβtert-ブチルエステル(63)に還元し、次いでアルコールを臭化アリルで保護してFmoc-アスパルタノールアリルエーテルβtert-ブチルエステル(64)を得る。次いで、tert-ブチルエステルをトリフルオロ酢酸で除去し、酸を水素化ホウ素ナトリウムで混合無水物を介してアルコールに還元して3-Fmoc-アミノ-4-アリルオキシ-1-ブタノール(65)を得る。次いで上述の通りにDess-Martinペルヨージナンを使用してアルコール(65)を3-Fmoc-アミノ-4-アリルオキシブタナール(66)に変換する。3-Fmoc-アミノ-4-アリルオキシブタナール(66)およびαアミノエステル(51)を還元的アミノ化し、次いで第二級アミンをalloc保護して、(3-Fmoc-アミノ-4-アリルオキシ-ブチル-alloc-アミノ)-2-置換酢酸ベンジルエステル(67)を得る。Alloc7-アリルオキシメチル-3-置換-[1,4]-ジアゼパン-2-オン(68)は、ベンジルエステルを鹸化し、次いでジエチルアミンでFmoc脱保護して遊離の第一級アミンを得、これをTBTUなどのペプチド形成試薬を使用して環化することによって形成する。最終生成物(54)は保護基交換によって形成し、アリルエーテルおよびallocはパラジウム(0)で除去し、第二級アミンはそのFmoc誘導体として保護して4-Fmoc-7-ベンジルオキシメチル-3-置換-[1,4]-ジアゼパン-2-オンを得、次いで第一級アルコールで酸化して酸にして最終生成物(54)を得る。使用した酸化剤の選択は2位の基の性質に基づく。
Fmoc-アスパルタノールβtert-ブチルエステル(63)の合成:化合物(63)は、Fmoc-アスパラギン酸βtert-ブチルエステル(62)を出発物質として使用して化合物(13)の合成について記載した通りに調製する。
3-Fmoc-アミノ-4-アリルオキシ-酪酸tert-ブチルエステル(64)の合成:窒素下で室温に維持した10mmolの(63)のテトラヒドロフラン30mL溶液に、鉱油中の60%水素化ナトリウム分散液12mmol、ヨウ化テトラブチルアンモニウム2mmolおよび臭化アリル13mmolを加え、混合物を終夜撹拌し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液10mLでクエンチし、酢酸エチル50mLで抽出する。
3-Fmoc-アミノ-4-アリルオキシ-1-ブタノール(65)の合成:化合物(65)は、化合物(44)の合成について記載した通りに調製する。
3-Fmoc-アミノ-4-アリルオキシ-ブタナール(66)の合成:3-Fmoc-アミノ-4-アリルオキシ-1-ブタノール(65)は、(9)の合成について記載した通りにDess-Martinペルヨージナンを使用して酸化してアルデヒドにする。
(3-Fmoc-アミノ-4-アリルオキシ-ブチル-alloc-アミノ)-2-置換酢酸メチルエステル(67)の合成:化合物(10)について記載した通りにシアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはナトリウムトリアセトキシボロヒドリドのいずれかを還元剤として使用してα-アミノエステル(51)で3-Fmoc-アミノ-4-ベンジルオキシ-ブタナール(66)を還元的アミノ化し、次いで第二級アミンをalloc誘導体として保護することを、化合物(15)について記載した通りに、しかしクロロギ酸ベンジルの代わりにクロロギ酸アリルを使用して行う。
4-Alloc-7-アリルオキシメチル-3-置換-[1,4]-ジアゼパン-2-オン(68)の合成:メタノール20mLおよび水10mL中の10mmolの(3-Fmoc-アミノ-4-アリルオキシ-ブチル-alloc-アミノ)-2-置換酢酸メチルエステル(67)、炭酸カリウム20mmolの溶液を室温で3時間撹拌し、1N塩酸溶液21mLで中和し、次いで濃縮乾固する。残渣を酢酸エチル中の30%ジエチルアミン20mLに溶解し、3時間撹拌し、次いで濃縮乾固する。残渣をジクロロメタン100mLに溶解し、12mmolのTBTUおよびN-メチルモルホリン24mmolを加え、この溶液を室温で終夜撹拌し、次いで濃縮乾固する。残渣を酢酸エチル30mLと1N塩酸溶液30mLとの間に分配し、次いで層を分離する。有機層を飽和重炭酸ナトリウム溶液30mLで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する。
4-Fmoc-2-置換-3-オキソ-[1,4]-ジアゼパン-5-カルボン酸(54)の合成:窒素下で室温に維持した10mmolの化合物(68)のジクロロメタン30mL溶液に2当量のフェニルシランおよび0.3当量のテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)を加え、次いで溶液を2時間撹拌し、濃縮乾固する。第二級アミンをテトラヒドロフラン20mLおよび水10mLに溶解し、次いで固体の重炭酸ナトリウム2.52g(30mmol)および1.2当量のFmoc-Clを加え、この二相溶液を室温で2時間撹拌し、酢酸エチル30mLで希釈し、層を分離する。方法Aで記載した通りに4-Fmoc-7-ヒドロキシメチル-3-置換-[1,4]-ジアゼパン-2-オンを酸化して最終生成物(54)にする。方法Aでの(6)から(7)への変換と同様に、使用した酸化剤の選択は2位の基の性質に基づく。
[6-置換-5-オキソ-ピペラジン-2-カルボン酸骨格の合成(方法0)]
6位に非官能化側鎖を含有する6-置換-5-オキソ-ピペラジン-2-カルボン酸骨格は、方法Oで概略を述べた通りに市販の3-Fmoc-アミノ-1,2-プロパン-ジオール1-クロロ-トリチル樹脂(69)から出発して合成し、これはDess-Martinペルヨージナンを使用して酸化してケトン(70)にする。ケトン(70)をαアミノエステル(2)で還元的アミノ化して樹脂結合型の(1-アミノメチル-2-クロロ-トリチルオキシ-エチルアミノ)-2-置換酢酸メチルエステル(71)を得、これをアミンを脱保護した後に環化して5-クロロトリチルオキシメチル-3-置換-ピペラジン-2-オン(72)にする。第二級アミンを再保護し、次いで樹脂から切断してFmoc-5-ヒドロキシメチル-3-置換-ピペラジン-2-オン(73)を得、これを方法Aで記載した手順のいずれかを使用して酸化して6-置換-5-オキソ-ピペラジン-2-カルボン酸(74)を得る。
1-アミノ-3-クロロトリチルオキシ-プロパン-2-オン(70)の合成:樹脂結合型のアルコール(69)を、三酸化硫黄酸化、NMO/TPAP(N-メチルモルホリン-N-オキシド/過レニウム酸テトラプロピルアンモニウム)酸化、またはPDC酸化によって酸化する。三酸化硫黄酸化では、Parikh, J. R.およびDoering, W. V.、J. Am. Chem. Soc. 89:5505〜5 507(1967)で記載のものと同様の手順を使用する。NMO/TPAP酸化では、樹脂結合型のアルコール0.3mmolにN-メチルモルホリンN-オキシド3mmolの乾燥ジメチルホルムアミド10mL溶液を加え、次いで過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(TPAP)0.06mmolを樹脂懸濁液に加える。反応を80分間振とうする。溶媒を排液し、樹脂をテトラヒドロフランおよびジクロロメタンで洗浄し、次いで真空乾燥する。PDC酸化では、ジメチルホルムアミド中の0.2M重クロム酸ピリジニウム中の樹脂結合型のアルコールの懸濁液を37℃で4時間振とうし、溶媒を排液し、樹脂をジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランおよびジクロロメタンで洗浄する。
(1-アミノメチル-2-クロロ-トリチルオキシ-エチルアミノ)-2-置換酢酸メチルエステル(71)の合成:樹脂結合型のケトン(70)を2つの異なる方法の1つによってアミノエステルで還元的アミノ化する。1つの方法では、ジメチルホルムアミド中の1%酢酸20mL中の2.6mmolのαアミノエステル(2)の溶液にナトリウムトリアセトキシボロヒドリド2.6mmolを加え、次いで即座に0.5mmolのケトン由来型の樹脂(70)を加え、混合物を60分間振とうし、メタノール、10%ジ-イソプロピルエチルアミン、ジメチルホルムアミドおよびメタノールですすぐ。第2の方法では、0.05Mシアノ水素化ホウ素ナトリウムを含有するメタノール中の0.05mmolのケトン由来型の樹脂(70)および2.0Mαアミノエステル塩酸塩(2)の懸濁液を室温で5時間振とうし、排液し、洗浄する。
5-クロロトリチルオキシメチル-3-置換-ピペラジン-2-オン(72)の合成:ジメチルホルムアミド中の20%ピペリジン10mL中の樹脂0.05mmolの懸濁液を室温で2時間振とうする。
Fmoc-5-ヒドロキシメチル-3-置換-ピペラジン-2-オン(73)の合成:0.25mmolのFmoc-Clおよびトリエチルアミン0.25mmolを含有する0.05mmolの(72)のジクロロメタン10mL懸濁液を室温で6時間撹拌し、排液し、ジクロロメタンで洗浄する。樹脂をジクロロメタン中の95%トリフルオロ酢酸10mLに再懸濁し、懸濁液を2時間振とうし、濾過し、濾液を濃縮する。
Fmoc-6-置換-5-オキソ-ピペラジン-2-カルボン酸(74)の合成:方法Aについて記載した手順のいずれかによって(73)を酸化して所望の生成物にする。
[α,α-二置換アミノ酸の合成(方法PおよびQ)]
本発明の構築物の特定のものでは、置換基が同じか異なるα,α-二置換アミノ酸などの二置換アミノ酸残基を用いることが可能であり、企図される。一態様では、α,α-二置換アミノ酸をAaa1またはAaa8位置のいずれかで用い、ここで、α,α-二置換アミノ酸の側鎖の少なくとも1つは、Nle、Ala、Leu、Ile、Val、Nva、Met(O)またはMet(O2)の側鎖である。以下の合成方法PおよびQは、α,α-ジ-n-ブチルグリシン(2-アミノ-2-ブチル-ヘキサン酸)の作製を記載しており、ここで、側鎖のそれぞれは-(CH2)3-CH3であり、したがってそれぞれはNleの側鎖と同じである。しかし、同様の方法およびスキームは、置換基が同じか異なるその他のα,α-二置換アミノ酸の作製で用い得ることは理解されよう。さらに、α,α-二置換アミノ酸を作製する任意の方法は、本発明の実施で用いてよく、本発明の実施は以下の合成スキームの方法に限定されない。よって、α,α-二置換アミノ酸の合成について当技術分野で知られている任意の方法は、本発明の実施で用いてよい。以下のものは、α,α-二置換アミノ酸を作製するための代替方法を教示している:Clark J.S.およびMiddleton M.D.: Synthesis of novel alpha-substituted and alpha,alpha-disubstituted amino acids by rearrangement of ammonium ylides generated from metal carbenoids. Org. Lett. 4(5):765-8(2002); Guino M.、Hii K.K.: Wang-aldehyde resin as a recyclable support for the synthesis of alpha,alpha-disubstituted amino acid derivatives. Org Biomol. Chem. 3(17):3188-93(2005);およびKotha S.、Behera M.: Synthesis and modification of dibenzylglycine derivatives via the Suzuki-Miyaura cross-coupling reaction. J. Pept. Res. 64(2):72-85(2004)。
ベンゾイルジ-n-ブチルグリシン(80)の合成:窒素下で0℃に維持した10mmolのベンゾイルグリシン(75)のジクロロメタン20mL溶液に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)12mmolをゆっくりと加え、反応を2時間撹拌して、化合物(76)を得る。固体を濾別し、濾液を濃縮する。残渣をテトラヒドロフラン15mLに溶解し、0℃に冷却し、次いで水素化ナトリウム24mmol、次いで臭化n-ブチル30mmolを加える。この懸濁液を0℃で2時間撹拌し、次いで室温まで加温させ、溶液を濃縮乾固して化合物(77)を得る。別法として、化合物(77)はまた、水素化ナトリウム12mmolおよび臭化n-ブチル15mmolを使用すること以外は同様に、ベンゾイルノルロイシン(78)から調製できる。化合物(77)をメタノールに溶解し、1N塩酸溶液50mLを加え、溶液を2時間撹拌し、濃縮する。化合物(80)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する。
Fmocジ-n-ブチルグリシン(81)の合成:10mmolの化合物(80)をジオキサン30mLに溶解し、6N塩酸溶液10mLを加え、その溶液を終夜還流する。反応を室温まで冷却し、濃縮乾固し、テトラヒドロフラン30mLに再溶解し、水10mLおよび重炭酸ナトリウム30mmol、次いで15mmolのFmoc-Clを加える。この二相溶液を1時間撹拌し、テトラヒドロフランを真空除去する。水溶液を1×50mLのジエチルエーテルで抽出し、1N塩酸溶液で酸性化し、2×50mLの酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮する。化合物(81)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する。
任意の適切なアミノ酸誘導体(化合物78と同様の)で出発することによって、および適切なアルキルブチル、アリールブチル、またはアラルキルブチル試薬を使用することによって、同様の方法を用いてよい。このスキームにより、RとR'が異なる種々の二置換(R,R')アミノ酸代用物が得られる。
Fmoc-α,αジ-n-ブチルグリシン(87)の合成:室温で維持した20mmolのグリシンメチルエステル塩酸塩(82)および粉末モレキュラーシーブ2gの乾燥テトラヒドロフラン40mL懸濁液に、水酸化カリウム24mmol、次いでベンズアルデヒド22mmolを加える。この懸濁液を2時間撹拌し、濾過し、濾液を濃縮する。残渣を乾燥トルエン40mLに再溶解し、次いで水素化ナトリウム60mmolのトルエン懸濁液に加え、次いで臭化n-ブチル60mmolを加える。この懸濁液を12時間撹拌し、次いで6N塩酸の溶液30mLを加え、室温で2時間撹拌し、次いで層を分離する。このように得た(84)の塩酸塩をin situで使用して(87)を調製する。(84)を塩酸塩として単離するために水層を濃縮乾固し、生成物を乾燥メタノール-エーテルから結晶化する。
別法として、化合物(84)は、ノルロイシンメチルエステル塩酸塩から、(86)から(84)への変換に水素化ナトリウム30mmolおよび臭化n-ブチル30mmolを使用する以外は同様の合成手順を使用して調製できる。
上記で得た化合物(84)の塩酸塩形態の水性混合物を1時間加熱還流し、次いで室温に冷却する。それを固体の水酸化ナトリウムで中和し、次いでテトラヒドロフラン30mLで希釈する。重炭酸ナトリウム(30mmol)、次いで15mmolのFmoc-Clを加える。この二相溶液を1時間撹拌し、テトラヒドロフランを真空除去する。水溶液を1×50mLのジエチルエーテルで抽出し、1N塩酸溶液で酸性化し、2×50mLの酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮する。化合物(87)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する。
任意の適切なアミノ酸誘導体(化合物85と同様の)で出発することによって、および適切なアルキルブチル、アリールブチル、またはアラルキルブチル試薬を使用することによって、同様の方法を用いてよい。このスキームにより、RとR'が異なる種々の二置換(R,R')アミノ酸代用物が得られる。
[二置換(R,R')骨格の合成(方法R)]
本発明は、2つのR基、RおよびR'を有するアミノ酸代用物が用いられる構築物をさらに提供する。以下の方法は、RおよびR'がそれぞれノルロイシン側鎖部分に対応する基であるFmoc保護(R)-5,5-ジブチル-6-オキソ-ピペラジン-2-カルボン酸の合成を説明する。以下の方法を部分的に上述の方法に基づいて変更して同様の二置換(R,R')アミノ酸代用物を生成し得ることは分かるであろう。任意の適切なアミノ酸誘導体(化合物(84)と同様の化合物)で出発する同様の方法を用いてもよい。そのスキームにより、RとR'が異なる種々の二置換(R,R')アミノ酸代用物を得ることができる。
(2-Fmoc-アミノ-3-tert-ブトキシ-プロピルアミノ)-2,2,ジ-n-ブチル酢酸メチルエステル(88)の合成:21mmolの(84、スキームQ)、およびトリエチルアミン2.9mL(21mmol)の乾燥テトラヒドロフラン50mL懸濁液を室温で45分間撹拌し、次いで、約20mmolの粗製Fmoc-(O-t-ブチル)-セリナール(9、スキームD)のテトラヒドロフラン30mL溶液、次いで1.7gの4Å粉末モレキュラーシーブを加え、この懸濁液をさらに2時間撹拌する。固体のナトリウムトリアセトキシボロヒドリド6.4g(30mmol)を加え、この懸濁液を室温で終夜撹拌する。この懸濁液をメタノールで希釈し、モレキュラーシーブ濾過し、濾液を濃縮する。残渣を酢酸エチル100mLと水50mLとの間に分配する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。化合物(88)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する。
4-Fmoc-6-ヒドロキシメチル-3,3-ジ-n-ブチル-ピペラジン-2-オン(89)の合成:酢酸エチル中の30%ジエチルアミン30mL中の10mmolの化合物(88)の溶液を室温で終夜撹拌し、次いで濃縮乾固する。残渣をテトラヒドロフラン20mLおよび水10mLに溶解し、固体の重炭酸ナトリウム2.52g(30mmol)、次いで3.36g(13mmol)のFmoc-Clを加える。混合物を3時間撹拌し、酢酸エチル50mLで希釈し、層を分離し、有機層を水30mLで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮する。粗製混合物を90%トリフルオロ酢酸10mLのジクロロメタン溶液に溶解し、2時間撹拌し、次いで濃縮乾固する。残渣を酢酸エチルに溶解し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液50mLで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮する。化合物(89)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する。
4-Fmoc-5,5-ジ-n-ブチル-6-オキソ-ピペラジン-2-カルボン酸(90)の合成:室温で維持した8mmolのアルコール(89)のアセトニトリル81mL溶液に、リン酸バッファー溶液(水29.5mL中の一塩基リン酸ナトリウム0.72gおよび二塩基リン酸ナトリウム1.43gで調製)を加え、次いで0.33g(2.1mmol)のTEMPO、および亜塩素酸ナトリウム1.86g(16.5mmol)を加え、この二相溶液を、43℃で維持した油浴中に置く。4.3mL(2.6mmol)の次亜塩素酸ナトリウム溶液(10〜13%次亜塩素酸ナトリウム溶液1.9mLおよび水2.4mLを混合することによって調製)をゆっくりと加える。反応を43℃で4時間撹拌し、室温まで冷却し、10%亜硫酸水素ナトリウム20mLを加え、10分間撹拌し、酢酸エチル50mLで希釈し、層を分離する。有機層を1×10mLのブライン、1×10mLの1N塩酸溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮する。化合物(90)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する。
6. 式Iの代用物を含む化合物の合成法
本発明のいくつかの実施形態に開示された通りの式Iの1つまたは複数の代用物を含む化合物は、アミノ酸間のペプチド結合の形成のための任意の知られた従来の操作によって容易に合成することができる。このような従来の操作には、例えば、カルボキシル基もしくは保護された他の反応性基を有するアミノ酸残基の遊離のアルファアミノ基と、アミノ基もしくは保護された他の反応性基を有するもう1つのアミノ酸残基の遊離の一次カルボキシル基との間の縮合を可能とする任意の溶液相操作が含まれる。好ましい従来の操作において、本発明の化合物は、固相合成によって合成して、当該技術分野で知られた方法によって精製することができる。本発明のアミノ酸代用物は、残基で用いられるものと実質的に同様または同一の方法によって本発明の化合物中に取り込むことができる。様々な樹脂および試薬を用いる任意のいくつかのよく知られた操作を用いて、本発明の化合物を調製することができる。
所望の配列のそれぞれのアミノ酸もしくはアミノ酸代用物が、別のアミノ酸残基もしくはアミノ酸代用物に相次いで1つずつ添加される操作、または1つもしくは複数のアミノ酸代用物を含み得る所望のアミノ酸配列を有するペプチド断片を最初に従来通り合成し、次いで、縮合して所望の化合物を得る操作によって、化合物を合成する処理を行うことができる。得られた化合物は環化して、本発明の環状化合物を生じる。
固相ペプチド合成法は、当該技術分野において良く知られ、かつ実施されている。このような方法において、本発明の化合物の合成は、固相法の一般原理に従って成長するペプチド鎖の中に1つずつ所望のアミノ酸残基またはアミノ酸代用物を逐次的に取り込ませることによって行うことができる。これらの方法は、Merrifield R.B.、Solid phase synthesis (Nobel lecture). Angew. Chem. 24:799〜810頁(1985年)およびBaranyら、The Peptides, Analysis, Synthesis and Biology、Vol.2、Gross E. およびMeienhofer J.編、Academic Press、1〜284頁(1980年)を含む多数の参考文献に開示されている。
化合物の化学合成において、様々なアミノ酸残基またはアミノ酸代用物の反応性側鎖基は、好適な保護基で保護され、これにより保護基が除かれるまでその部位に化学反応が起こることを防止する。アミノ酸残基またはアミノ酸代用物のアルファアミノ基の保護も一般的でもあるが、その実体は、カルボキシル基と反応し、その後、アルファアミノ保護基を選択的に除去し、その後の反応がその部位に起こることを可能にする。特定の保護基が開示され、固相合成法および液相合成法において知られている。
アルファアミノ基は、好適な保護基によって保護することができ、これには、ウレタン型保護基、例えば、ベンジルオキシカルボニル(Z)および置換ベンジルオキシカルボニル、例えば、p-クロロベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、p-ブロモベンジルオキシカルボニル、p-ビフェニルイソプロポキシカルボニル、9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)およびp-メトキシベンジルオキシカルボニル(Moz);脂肪族ウレタン型保護基、例えば、t-ブチルオキシカルボニル(Boc)、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、およびアリルオキシカルボニルなどがある。Fmocは、アルファアミノ保護に好ましい。
グアニジノ基は、好適な保護基、例えば、ニトロ、p-トルエンスルホニル(Tos)、Z、ペンタメチルクロマンスルホニル(Pmc)、アダマンチルオキシカルボニル、ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル(Pbf)、FmocおよびBocによって保護することができる。Pbfは、Argにとっての1つの好ましい保護基である。他の好ましい保護基には、Z、Fmoc、およびBocがある。特に、グアニジノ保護基は、合成処理中に切断および除去されてもよく、他に、切断または除去されなくてもよく、この事象において、保護基を有する側鎖は、本明細書において定義された通りのアミノ酸側鎖部分の誘導体を形成する。特に、保護基が不安定であり、患者に投与後インビボである機構によって除去し得る場合、化合物は、「プロドラッグ」、すなわち、患者への投与後、ある化学的または生理学的処理を介してインビボで所望の薬剤に変換される薬剤前駆体である化合物となる(例えば、生理学的pHにされている、または酵素作用によるプロドラッグは、所望の薬剤形態に変換される)。
本明細書に記載される本発明の化合物は、手動で、または製造業者によって与えられたプログラミングモジュールを用い、製造業者によって述べられたプロトコルに従うかもしくは困難なカップリングの収率を改善するために製造業者のプロトコルを修正することによる自動ペプチド合成機によってのいずれかで、固相合成を用いて調製することができる。
固相合成は、保護されたα-アミノ酸、α-アミノ酸代用物またはα-アミノアルコール模倣物を好適な樹脂にカップリングさせることによって化合物のC-末端から開始される。このような出発物質は、α-アミノ保護アミノ酸またはα-アミノ保護アミノ酸代用物をp-ベンシルオキシベンジルアルコール(Wang)樹脂もしくは2-クロロトリチルクロライド樹脂へエステル結合により結合させることによって、Fmoc-リンカー、例えば、p-[(R,S)-α-[1-(9H-フルオル-エン-9-イル)-メトキシホルムアミド]-2,4-ジメチルオキシベンジル]-フェノキシ酢酸(Rinkリンカー)のベンズヒドリルアミン(BHA)樹脂に対する間のアミド結合によって、または当該技術分野でよく知られた他の手段、例えば、α-アミノ保護アルコール模倣物を、クロロメチルポリスチレン樹脂に結合した3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-2イル-メタノールリンカーに結合させることによって調製される。Fmoc-リンカー-BHA樹脂支持体は、市販されており、可能な場合に一般的に使用される。アミノ酸を順次付加するために必要なら反復サイクルを介して樹脂に担持する。アルファアミノFmoc保護基は、塩基性条件下で除かれる。N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中ピペリジン、ピペラジン、ジエチルアミン、またはモルホリン(20〜40%v/v)をこの目的に用いることができる。
アルファアミノ保護基の除去に続けて、その後の保護アミノ酸またはアミノ酸代用物は、中間体の保護ペプチド-樹脂を得るために所望の順序で段階的に結合される。ペプチドの固相合成におけるアミノ酸のカップリングに用いられる活性化剤は、当該技術分野でよく知られている。化合物が合成された後、必要ならば、化合物のさらなる誘導体化のために当該技術分野でよく知られた方法を用いて、直交して保護された側鎖保護基を除去することができる。
化合物における反応性基は、固相合成の間または樹脂からの除去後のいずれかで、選択的に修飾することができる。例えば、化合物は修飾して、N-末端修飾、例えば、樹脂上にある間にアセチル化を得るために修飾することができるか、または切断剤を用いて樹脂から除去し、次いで修飾することができる。N-末端修飾、例えば、アセチル化、またはC-末端修飾、例えば、N-アセチル基のアミド化もしくは導入の方法は、当該技術分野において知られている。同様に、アミノ酸の側鎖を修飾する方法は、ペプチド合成の当業者によく知られている。化合物上に存在する反応性基になされる修飾の選択は、1つには化合物に望まれる特性によって決定される。
該化合物は、1つの実施形態において、樹脂から切断する前に環化する。反応性側鎖部分による環化について、所望の側鎖を脱保護し、該化合物を好適な溶媒中に懸濁し、環状カップチング試薬を添加する。好適な溶媒には、例えば、DMF、ジクロロメタン(DCM)または1-メチル-2-ピロリドン(NMP)などがある。好適な環状カップリング試薬には、例えば、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、2-(7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TATU)、2-(2-オキソ-1(2H)-ピリジル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TPTU)またはN,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド/1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(DCCl/HOBt)などが含まれる。カップリングは、好適な塩基、例えば、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、sym-コリジンまたはN-メチルモルホリン(NMM)を用いて従来通り開始する。
合成に次いで固相からの化合物の切断に続けて、化合物は、いくつかの方法、例えば、C18カラムなどの好適なカラムを用いる逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)によって精製することができる。分離または精製の他の方法、例えば、化合物の大きさまたは電荷に基づく方法も用いることができる。精製されると直ちに、化合物はいくつかの方法、例えば、高性能液体クロマトグラフ(HPLC)、アミノ酸分析、質量分析法などによって特性決定することができる。
置換アミド誘導C-末端、典型的にはN-アルキル基を有する本発明の化合物は、保護されたアルファアミノ酸またはアミノ酸代用物を好適な樹脂に結合させることによって化合物のC-末端から開始される固相合成によって調製される。固相上の置換アミド誘導体を調製するためのこのような方法は、当該技術分野において記載されている。例えば、Barn D.R.、Morphy J.R.、Rees D.C.、Synthesis of an array of amides by aluminum chloride assisted cleavage of resin-bound esters. Tetrahedron Lett. 37、3213〜3216頁(1996年);DeGrado W.F. Kaiser E.T. Solid-phase synthesis of protected peptides on a polymer bound oxime: Preparation of segments comprising the sequences of a cytotoxic 26-peptide analogue. J. Org. Chem. 47:3258〜3261頁(1982年)を参照されたい。このような出発物質は、よく知られた手段によって、アルファアミノ保護アミノ酸またはアミノ酸代用物をP-ベンジルオキシベンジルアルコール(Wang)樹脂にエステル結合によって結合させることによって調製することができる。ペプチド鎖は、アミノ酸またはアミノ酸代用物の所望の配列で成長され、生成物を環化し、ジクロロメタン中の適当なアミンおよび塩化アルミニウム(例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミンなど)の溶液で樹脂処理する。得られたアミド誘導体化合物は、溶液中で樹脂から放出される。この樹脂を濾過し、アミド誘導体化合物を溶媒の濃度によって回収し、その後エーテルで沈殿させる。この粗化合物を乾燥し、残存するアミノ酸側鎖保護基を水および1,2-エタンジチオール(EDT)の存在下でトリフルオロ酢酸(TFA)を用いて切断する。最終生成物を冷エーテルを添加することによって沈殿させ、濾過によって収集する。最終精製は、C18カラムを用いるRP-HPLCによる。
1つの好ましい方法において、化合物は以下の方法によって合成した。それぞれの化合物は、ケト-ピペラジン構造に基づく1つまたは2つのアミノ酸代用物を有した。このアミノ酸代用物は上記の通り合成した。化合物をFmoc化学を用いて合成した。ケト-ピペラジンアミノ酸代用物の取込み直前および直後のカップリングに手操作の合成手法を用いた。
例えば、アミノ酸代用物が末端位置にあった場合、アミノ酸代用物を樹脂に結合させるために以下のプロトコルを用いた。Rinkアミド樹脂(0.3ミリモル/gで充填、Advanced Chem Tech)をDMF中で30分間膨潤させた。該樹脂のFmoc脱保護を20%ピペリジン/DMFを20分間用いて達成した。樹脂と選択されたFmoc-保護ケト-ピペラジンアミノ酸代用物(2当量)とのカップリングをPyBop(2当量)およびDIEA(4当量)と一緒にDMF中で一晩のインキュベーションによって達成した。カイザー試験後に陽性結果が得られた場合、カップリング反応は2回目に行った。アセチル化は、DMF中Ac2O(10当量)およびピリジン(20当量)を用いて行った。
以下のプロトコルを用いて、ケト-ピペラジンアミノ酸代用物をペプチド-樹脂に結合した。カップリングは、DMF中でFmoc-保護ケトピペラジンアミノ酸代用物(2当量)、TBTU(2当量)およびDIEA(4当量)を混合することによって行い、一晩インキュベートさせ、陽性のカイザー試験が得られた場合は、再度カップリング反応を繰り返した。アセチル化は、DMF中Ac2O(10当量)およびピリジン(20当量)を使用して行った。
Fmoc-保護アミノ酸を固相上でケト-ピペラジンアミノ酸代用物にカップリングさせるために以下のプロトコルを用いた。ほとんどの場合に、少なくとも2回のカップリングサイクルを必要とし、しばしば3回のサイクルを用いた。典型的なサイクルにおいて、Fmoc-保護アミノ酸(4当量)をDMF中HOAt(4当量)およびDIC(4当量)と30分間混合した。次いで、得られた混合物を樹脂に直接または中間体を介して結合したケト-ピペラジンアミノ酸代用物とSPEチューブ中で一晩混合した。
配列においてケト-ピペラジンアミノ酸代用物に直接隣接していないアミノ酸間のカップリングは、固相ペプチド合成のための標準プロトコルを用いて行った。次の保護基を用いた:LysおよびOrnに対してBoc、TyrおよびSerに対してt-ブチル、CysおよびHisに対してトリチル、Aspに対してO-t-ブチルおよびArgに対してPbf。
TFA/チオアニソール/フェノール/H2O/EDT(87.5/2.5/2.5/5/2.5)(5mL)の混合物を用いて化合物を樹脂から3時間で切断した。得られた物質を濾過し、凍結条件下で冷エーテルから1時間で沈殿させた。沈殿システイニルペプチドは、酸化工程での使用前に冷エーテルで少なくとも3回洗浄した。
空気酸化によってジスルフィド結合を形成するための環化について、粗システイニル化合物をアセトニトリルと水との混合物中に溶解した。この反応混合物のpHを5%NH4OHを用いて7〜8に調整した。得られた溶液を150mgの粒状活性炭と一緒にゆっくりと2日間撹拌した。次の処理工程に進む前に環化の完了をLC-MS分析によって確認した。環化後、固体炭素を溶液から濾過した。濾過物を冷凍乾燥または急速真空で乾燥して、粗環状化合物を得た。
式Iの代用物が樹脂または他のペプチド固体支持体に結合しており、かつC-末端位置にある場合、本発明の特定の化合物は、以下のスキームによって合成することができる。
代用物(7)は、上記方法Aまたは任意の他の方法のスキームによって調製する。Fmoc保護Sieberアミド樹脂を、ジメチルホルムアミドとジクロロメタンの1:1混合物中で45分間膨潤させることによって処理し、その後濾過し、ジメチルホルムアミドで洗浄した。次いで、洗浄した樹脂を、ジメチルホルムアミド中20%ピペリジンを用いて15分間脱保護し、濾過して、ジメチルホルムアミドで洗浄した。
ジメチルホルムアミド中Fmoc-保護代用物(7)の溶液を上記に調製した脱保護Sieberアミド樹脂に加え、その後固体PyBopおよびジイソプロピルエチルアミン、その後追加のジメチルホルムアミドを加えた。混合物を窒素バブリングで一晩撹拌した。この樹脂を濾過し、ジメチルホルムアミドで洗浄して、ジメチルホルムアミド:無水酢酸:ピリジンの3:2:1溶液からなるキャッピング溶液で30分間キャッピングし、濾過して、ジメチルホルムアミドで洗浄し、樹脂に複合化した代用物(7)を得た。
得られた樹脂に複合化したFmoc-保護代用物(7)をジメチルホルムアミド中20%ピペリジンで15分間脱保護し、濾過して、ジメチルホルムアミドで洗浄し、樹脂に複合化した代用物(7)を得た。ジメチルホルムアミド中所望のFmoc-AA-OH(4当量、AAが任意の所望のアミノ酸である場合)の溶液を、樹脂に複合化した代用物(7)に加え、次いで、DMF中HCTU(60ミリモル、4当量)およびジイソプロピルエチルアミン(120ミリモル、8当量)の溶液を加え、窒素バブリングで一晩カップリングさせた。得られたFmoc-AA-代用物(7)-樹脂を濾過によって単離し、ジメチルホルムアミドで洗浄した。完全なカップリングを確実にするために、該生成物を上記のようなFmoc-AA-OHの溶液で窒素バブリングを用いて一晩再度処理した。得られた樹脂を濾過し、ジメチルホルムアミドで洗浄した。
次いで、得られたFmoc-AA-代用物(7)-樹脂を、上記のようなキャッピング溶液を用いて30分間キャッピングした。次いで、この樹脂を濾過し、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、MeOH、およびジエチルエーテルで洗浄し、次いで、真空下で乾燥した。
その後、それぞれの後続アミノ酸を従来のペプチドカップリング法を用いて連結した。
本発明の式Iの代用物を用いて作製された化合物の場合によるペグ化を行ってもよく、これには下記方法によることも含まれる。
反応性アミン基、例えば、リシンもしくはオルニチン側鎖、N-末端位置におけるオメガアミノ脂肪族、またはC-末端位置における式Iの代用物のアミン基のペグ化を、2mLのジメチルスルホキシド中に0.005ミリモルの精製化合物を溶解し、その後55.5mg(0.011ミリモル、2当量)のPEG-5K-OSu(スクシンイミジルプロピオン酸反応性基を有する5,000Da MWメトキシ-PEG)を添加し、次いで17.7μL(0.13ミリモル、20当量)のトリエチルアミンを添加して、わずかに曇った溶液を室温で3時間撹拌した。過剰のPEG-5K-OSuを7μL(0.111ミリモル、10当量)のエタノールアミンを添加してクエンチし、この反応液を一晩撹拌した。
反応性カルボキシル基、例えば、AspもしくはGluの側鎖、または末端アミノ酸残基もしくは式Iの末端代用物のいずれかの上の化合物上の末端カルボキシルのペグ化は、PEG-NH2(PEG-アミン)をAspもしくはGluの側鎖における、またはC-末端でのカルボン酸基を含む構築物にカップリングさせることによって達成する。このペプチド構築物(0.005ミリモル)をDMSO(2mL)に溶解し、その後55.5mg(0.011ミリモル、2当量)のPEG-NH2およびHOBt(0.01ミリモル)を添加する。カップリングを、0.0055ミリモルのカップリング試薬N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド(EDAC)を添加することによって開始する。わずかに曇った溶液を室温で一晩撹拌した。次いで、ペグ化ペプチド構築物をHPLCによって精製する。
反応性チオール基、例えば、CysもしくはHcys側鎖または式Iの代用物のR1におけるチオール基のペグ化を、DMSO中の該化合物をPEG-メチル-マレイミド試薬(SunBio、Orinda、California)で一晩処理することによって達成する。次いで、このペグ化化合物をHPLCによって精製する。
ペグ化に続けて、得られた粗化合物混合物をHPLCによって精製して、1つまたは複数のアミノ酸代用物を含むPEG誘導体化化合物を得る。
7. 式Iの代用物を含む化合物の有効性を決定するアッセイ
一般に、親ポリペプチドに適切な任意のアッセイ系を用い得る。以下は、親ポリペプチドがANPペプチド、例えば、ミニ-ANPである場合に用いられるアッセイ系を例証する。少なくとも1つの式Iの代用物を含む選択された化合物をアッセイにおいて試験し、結合および機能状態を決定した。以下のアッセイを用いた。
細胞培養液。ヒトナトリウム利尿ペプチド受容体A(NPRA)についてコードするcDNAクローンをBio S&T社(Montreal、Quebec)から購入した。このcDNAクローンを哺乳動物発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen)中に挿入し、HEK-293細胞にトランスフェクトした。安定クローンをG418硫酸塩の存在下で細胞の培養によって選択した。NPRAの発現を[125I]-心房ナトリウム利尿ペプチド([125I]-ANP)を、クローン細胞系から調製した膜ホモジェネートに結合させることによって調べた。10%FBS、G418硫酸塩(300μg/mL)、グルタミン酸ナトリウム(0.29mg/mL)、ペニシリン(100単位/mL)およびストレプトマイシン(100μg/mL)で補充したDulbecco's Modified Eagle's Medium(DMEM)中で5%CO2において37℃で培養液中にHEK-hNPRA細胞を維持した。
競合結合アッセイ。競合阻害結合アッセイを、HEK-hNPRA細胞から調製した粗膜ホモジュネートを用いて行った。膜ホモジェネートを調製するために、細胞をリン酸緩衝生理食塩水ですすぎ洗いし、低張溶解緩衝液(10mM トリス、pH7.4+5mM EDTA)中、4℃で15分間インキュベートした。細胞をプレートからポリプロピレンチューブに移し、均質化した。ホモジェネートを25,000×gで20分間遠心分離した。ペレットを50mMトリス(pH7.4)および1mM EDTAからなる緩衝液中で再懸濁し、均質化して、25,000×gで20分間遠心分離した。ペレットを100mMトリス(pH7.4)および10mM MgCl2からなる緩衝液中で再懸濁し、必要とされるまで-80℃で保存した。アッセイの当日にホモジェネートを解凍して、均質化した。25mMのHepes(pH7.4)、100mMのNaCl、2mMのCaCl2、5mMのMgCl2、0.1%BSAおよび1mMの1,10-フェナントロリンを含む緩衝液中で、[125I]-ANPの結合を行った。[125I]-ANP(25〜30pM)およびMilliporeフィルタープレート中の競合リガンドの濃度を増加させつつ4℃で120分間インキュベートした。アッセイを冷洗浄緩衝液(リン酸緩衝生理食塩水)の添加によって止めて、その後真空マニホールドを用いて濾過した。結合放射活性を、ガンマカウンターを用いて測定した。非特異的結合は、[125I]-hANPの非トランスフェクト化HEK293膜への結合によって規定した。データを、GraphPad Prism(登録商標)曲線適合ソフトウェアを用いて分析した。
EC50の測定のための一般方法。組換えhNPRAを発現するHEK-293細胞における細胞内cGMPの蓄積を測定することによって、化合物の機能評価を行った。HEK-NPRA細胞を洗浄およびCell Dissociation Buffer(Gibco、Life Technologies)中での遠心分離によって採集した。ペレット化された細胞を、10mMのHepes(pH7.4)、5mMのMgCl2、200mMのL-グルタミン、1mMの1,10-フェナントロリンおよびBSA(0.5mg/mL)を含むハンクス平衡塩溶液(HBSS)中に再懸濁した。遠心分離に続けて、細胞を0.5mMの3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX)で補充した上記緩衝液中に再懸濁した。細胞(約2×105個/ウェル)を96-ウェルプレートのそれぞれのウェルに加え、37℃で15分間インキュベートした。プレインキュベーション期間に続けて、増加する濃度の化合物の存在下で細胞をさらなる15分間インキュベートした。反応を、温度ショックで細胞を溶解させることによって終了させた。この反応プレートをドライアイス/エタノール浴中で15分間インキュベートし、その後90℃で10分間インキュベートした。cGMPの蓄積を、cGMPフラッシュプレートRIA(Perkin-Elmer)を用いて測定した。GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェアでの非線形回帰分析を用いることによって、データ分析して、EC50値を決定した。
質量および核磁気共鳴分析の測定。質量値を、陽モードを利用するWaters MicroMass ZQ装置を用いて測定した。別に特記され限り、質量測定値を計算値と比較し、質量プラス2を2で除した形式(M+2)/2で表した。
プロトンNMRデータを、Bruker300MHz分光計を用いて得た。重水素化溶媒、例えば、クロロホルム、DMSO、または必要に応じて、メタノールに化合物を溶解した後にスペクトルを得た。
YMC Pack Pro C-18カラム(4.6×50mm、3μ)を備えたWaters Alliance HTを用いてステップワイズ法で1mL/分で溶出させて、HPLC測定を行った。溶媒A(0.1%トリフルオロ酢酸を含む水v/v)および溶媒B(0.1%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリルv/v)を移動相として用いた。ケトピペラジン中間体の分析について、カラムを10%Bで平衡化し、次いで、Bを8分の期間をかけて90%に高めた。ペプチドの分析について、カラムを2%Bで平衡化し、次いで、Bを8分の期間をかけて90%に高めた。
8. 式Iの代用物を含む化合物
本発明を以下の非限定的実施例によってさらに説明する。