しかし、特許文献1における清掃具は、以下の如き改善点を有する。第1の改善点として、前記小突片が前記上側押え板と前記下側保持板のごく一部にしか形成されていないので、これらの係合部が所定位置に整列しない限り、前記上側押え板を前記下側保持板へ嵌め込むことができないことが挙げられる。第2の改善点として、前記清掃具において前記払拭体の張力を強化させる機構が存在しないので、前記清掃具の長時間使用において、前記払拭体のズレが起こりやすいことが挙げられる。第3の改善点として、前記払拭体取り外しの時点において、板ばね付きの前記ロック用ボタンを下方へ押さえ付けながら上側押え板を横へスライドさせる必要があるので、2方向へ同時に応力を加える煩雑さを有することが挙げられる。
本発明は、上記の改善点を改善する為になされたものであり、本発明の清掃具においては、上部に係止部が形成された側壁を有する下側保持板の下方に払拭体を配置し、前記払拭体の左右に形成された取付部を前記側壁を経て前記下側保持板の内部へ折り込み、上側押圧板を前記下側保持板へ上方から押し込むことにより、前記取付部を前記下側保持板の内部へ引き込んで挟着し、前記払拭体の張力を強化し、前記払拭体のズレを起こりにくくする。前記上側押圧板を更に押し込むことにより、前記上側押圧板が前記下側保持板に嵌め込まれ、前記係止部により上方への脱離が防止される。前記清掃具の使用後においては、前記上側押圧板を横へスライドさせて前記下側保持板から脱離させることにより、前記払拭体を前記清掃具から解離させる。
前記上側押圧板の横へのスライドを防止するロック部を前記清掃具に設けてもよく、前記ロック部が上側押圧板に形成されたフック部と下側保持板に形成された波型部からなる場合は、前記フック部と前記波型部の係合を外すことにより、下方への応力を加える必要無しに前記上側押圧板の横へのスライドを行うことができる。
従って、本発明の第1の形態は、底板部の両側縁に垂直又は略垂直に立設されて上部に係止部を形成された側壁を有する下側保持板と、ハンドルを備えた平板部の両側面を少なくとも下向湾曲面を有する湾曲側面とする上側押圧板からなり、前記上側押圧板を前記下側保持板の前記両側壁間に押込可能に構成され、前記上側押圧板を前記下側保持板の前記両側壁間に押込むことにより前記係止部によって前記上側押圧板が上方に脱離することが防止され、前記上側押圧板を前記両側壁に沿ってスライドさせて前記下側保持板から脱離可能にし、前記下側保持板の下面に払拭部を配置した払拭体の左右取付部を、前記側壁を経て前記下側保持板内部に折り込み、前記下側保持板に前記上側押圧板を押込んで前記払拭体を固定可能にし、前記湾曲側面と前記側壁及び前記係止部により前記取付部を全長に亘って挟着する押込スライド着脱型清掃具である。
本発明の第2の形態は、第1の形態において、前記係止部は前記側壁の全長に亘って形成される押込スライド着脱型清掃具である。
本発明の第3の形態は、第1又は2の形態において、前記係止部は前記湾曲側面を内向下方へ誘導する上側滑面と前記湾曲側面の上方への脱離を阻止する下側押面から形成される押込スライド着脱型清掃具である。
本発明の第4の形態は、第1〜3の形態のいずれかにおいて、前記上側押圧板の前記湾曲側面にその側面方向に延びる1本以上の突条を形成し、前記上側押圧板を前記下側保持板内に押込むことにより、前記突条が前記払拭体の前記取付部を前記下側保持板の内方に引き込む押込スライド着脱型清掃具である。
本発明の第5の形態は、第1〜4の形態のいずれかにおいて、前記下側保持板の前記側壁を分割して複数の小側壁を形成し、前記小側壁に可撓性を付与した押込スライド着脱型清掃具である。
本発明の第6の形態は、第1〜5の形態のいずれかにおいて、前記下側保持板の前記底板部上面で前記側壁近傍に前記側壁に沿って上面凹凸部を形成し、前記払拭体の前記取付部が前記上面凹凸部と係合して前記取付部のズレを阻止する押込スライド着脱型清掃具である。
本発明の第7の形態は、第1〜6の形態のいずれかにおいて、前記下側保持板の前記底板部下面の全面又は一部に下面凹凸部を形成し、前記払拭体の前記払拭部が前記下面凹凸部と係合して前記払拭部のズレを阻止する押込スライド着脱型清掃具である。
本発明の第8の形態は、第1〜7の形態のいずれかにおいて、前記上側押圧板の前記湾曲側面の近傍に1個以上の切欠部を形成し、前記湾曲側面に可撓性を付与した押込スライド着脱型清掃具である。
本発明の第9の形態は、第8の形態において、前記湾曲側面の直近に上側切欠部を形成し、前記上側切欠部に隣接して下側切欠部を形成した押込スライド着脱型清掃具である。
本発明の第10の形態は、第8の形態において、前記湾曲側面の直近に下側切欠部を形成し、前記下側切欠部に隣接して上側切欠部を形成した押込スライド着脱型清掃具である。
本発明の第11の形態は、第1〜10の形態のいずれかにおいて、前記上側押圧板を前記下側保持板に押込んだ際に、前記上側押圧板を前記下側保持板にロックするロック部を設けた押込スライド着脱型清掃具である。
本発明の第12の形態は、第11の形態において、前記ロック部は、前記下側保持板の前記底板部上面で前記側壁に沿った方向に形成された波型部と、前記上側押圧板の上面中央に前記ハンドルから離間した位置に形成されたフック部からなり、前記フック部に1個以上に形成されたフックが前記波型部の溝に係合してロックされる押込スライド着脱型清掃具である。
本発明の第13の形態は、第11又は12の形態において、前記波型部が前記下側保持板の中央線上で、前記ハンドルの前後に2個形成され、前記上側押圧板を180度回転して前記下側保持板に押込んだ場合でも、前記フックによる前記係合が可能になる押込スライド着脱型清掃具である。
本発明の第1の形態によれば、上側押圧板が下側保持板に押し込まれることにより、前記下側保持板の係止部が下向湾曲面により横に押されて側壁が前記下側保持板の外方に撓み、前記上側押圧板の上面が前記係止部の下方に到達した時点において、前記側壁の形状が前記側壁の弾性により元に戻り、前記上側押圧板が前記係止部に係止されることにより、前記下側保持板に嵌め込まれる。従って、特許文献1における清掃具と違って、前記上側押圧板と前記下側保持板が完璧に整列しない状態においても、簡単に嵌め込みができる。
前記上側押圧板の湾曲側面が可撓性を有する場合は、前記上側押圧板が前記下側保持板に押し込まれる際に、前記湾曲側面が前記係止部に横に押されて内側に撓む。前記上側押圧板の上面が前記係止部の下方に到達した時点において、前記湾曲側面の形状が前記側壁の弾性により元に戻り、前記上側押圧板が前記係止部に係止されることにより、前記下側保持板に嵌め込まれる。従って、前記湾曲側面が可撓性を有する場合においても、前記上側押圧板と前記下側保持板が完璧に整列しない場合でも簡単に嵌め込みができる。
又、前記上側押圧板に前記下側保持板が嵌め込まれる際に、払拭体の両取付部が前記下向湾曲面により引き込まれ、前記払拭体が強張力状態で前記上側押圧板と前記下側保持板に挟着され、更に前記両取付部の中間部分を形成する払拭部が強張力状態で前記下側保持板の下面に押しつけられるので、前記払拭体のズレが防止される。前記取付部は、前記上側押圧板及び前記下側保持板の全長に亘って挟着されるので、前記挟着が全挟着表面に亘って均一となり、従って前記挟着の状態が弱い箇所が存在しないので、前記払拭体のズレ及び脱落が起こりにくくなる。
更に、前記上側押圧板と前記下側保持板を、横にスライドすることにより、前記払拭体を本発明の清掃具から分離することができるので、装飾体の着脱が容易である清掃具を提供できる。
前記上側押圧板と前記下側保持板が本発明の清掃具使用時において横に相互にスライドしないように、前記上側押圧板の前記下側保持板への密着度を高くしても良い。又、前記密着度を弱状態にして、前記上側押圧板及び前記下側保持板にロック手段を設けることにより前記スライドを防止しても良い。この様なロック手段を設けた場合には、前記清掃具の使用を終了した際に、前記密着による摩擦が弱くなるので、前記ロック手段を解除することにより、簡単に前記上側押圧板を横にスライドできる。従って、前記清掃具の使用後における分解が容易になるという利点がある。
本発明の上側押圧板及び下側保持板の材質としては、金属、材木及びプラスチック等が考えられる。重量、加工性及び価格の点で最も好ましいのは、プラスチックである。
本発明の払拭体の材料としては、柔軟性を有するものであり、前記上側押圧板と前記下側保持板に挟着することができ、清掃に用いられても破損しないものであれば何でも良く、布、不織布、ナイロンパイル及び紙などが考えられる。前記払拭体が予め洗剤などの払拭液を含むものであっても良い。
本発明の係止部は、前記上側押圧板が前記下側保持板に押し込まれる際に、横に押されることにより、前記側壁を外側に撓ませる機能を持つものであれば、どのような形状を有しても良い。前記上側押圧板の前記湾曲側面が可撓性を有する場合は、本発明の係止部は、前記湾曲側面を横に押し込むことにより、前記湾曲側面を内側に撓ませる機能を持つものであれば、どのような形状を有してもよい。又、前記上側押圧板に前記下側保持板が押し込まれた状態において、前記上側押圧板の上方への脱離を防止するものであれば、本発明の係止部はどのような形状を有しても良い。
前記係止部の長さは、ある程度以上であれば、前記した係止部の機能に殆ど影響しない。従って、前記係止部は本発明の側壁の全長に亘って形成されても良いし、部分的に形成されても良い。好ましくは、前記係止部は前記側壁の全長の半分以上に形成されていることである。前記係止部が前記側壁の全長の部分的に形成されている場合においては、前記係止部が一体に形成されても良いし、2個以上に分割されて形成されても良い。又、本発明の係止部は、本発明の側壁の最上部に形成されても良いし、前記側壁の最上部から少々下方に形成されても良い。
本発明の湾曲側面は、前記係止部による前記係止部の外側への押し広げ及び/又は前記湾曲側面の内側への押し込みを助長するために、下向湾曲面を有する必要がある。前記湾曲側面の上側には、上向湾曲面を有しても良いし、湾曲しない垂直な面を有しても良い。
本発明の第2の形態によれば、前記係止部が前記側壁の全長に亘って形成されているので、前記上側押圧板を全長において均一な係止力をもって係止することができ、更に前記払拭体の取付部を、前記側壁の全長に亘って均一な挟着力をもって挟着することができる。従って、前記上側押圧板の脱離及び前記払拭体のズレを確実に防止させることができる。
特許文献1の清掃具においては、上側押え板と下側保持板の係合手段が小突片なので、本形態の上側押圧板の下側保持板への係止手段と比較して、係合力が低く、また前記小突片へ負担が強く掛かるので、前記小突片の破損の可能性が高くなる。又、特許文献1の清掃具においては、払拭体が前記小突片により挟着され、前記小突片以外の部分は前記挟着にほぼ関与しないので、前記挟着の挟着力が弱く且つ不均一である。従って、特許文献1の清掃具は、長時間使用後において払拭体のズレを生じやすい。本形態の清掃具においては、前記上側押圧板が全長において均一に係止され、前記払拭体の前記取付部が全長に亘って均一に挟着されるので、前記係止部の破損の可能性及び前記払拭体のズレの可能性が低減される。
本発明の第3の形態によれば、前記係止部は前記湾曲側面を内向下方へ誘導する上側滑面及び前記湾曲側面の上方への脱離を阻止する下側押面を有するので、前記上側押圧板の前記下側保持板への押込みが容易となり、更に前記上側押圧板の前記下側保持板からの脱離が確実に防止される。
前記上側滑面形状の例としては、前記下側保持板の前記側面に沿う中心線へ向かって下方に傾斜した形状を有すれば良い。前記傾斜の断面は、直線でも良いし、曲線でも良い。前記下側押面形状の例としては、前記係止部の下側が前記上側押圧板の上面と比較して、水平であればよい。又、前記係止部の下側が前記下側保持板の外側へ向かって上方に傾斜してもよい。
本発明の第4の形態によれば、上側押圧板の湾曲側面に突条が設けられ、この突条の摩擦により払拭体の取付部が引き込まれるので、前記取付部の引き込みが更に強くなる。又、前記突条が前記取付部の挟着を助長するので、前記払拭体の挟着がより強固となる。
本形態における突条は、前記取付部を引き込まれる際に前記取付部と前記湾曲側面の摩擦を強化し、また前記上側押圧板が押し込まれた状態において前記取付部の挟着に関与し、更に前記上側押圧板が横にスライドされる際に前記スライドを阻害しないことが要求られる。この様な要求を満たす形状として、前記突条は前記湾曲側面の側面方向に、1本又はそれ以上の帯状に形成される。
本発明の第5の形態によれば、前記側壁が分割されて多数の小側壁となるので、前記側壁の可撓性が増加し、従って前記上側押圧板の前記下側保持板への押込みがより容易になる。
側壁が一体に形成された場合には、前記側壁は強固になる。しかし、この強固な構造は、前記側壁の可撓性を阻害し、上側押圧板の下側保持板への押込みを困難にする。前記側壁を分割して多数の小側壁とすることにより、本発明の清掃具の組み立てを容易にすることができる。
本発明の第6の形態によれば、前記下側保持板の側壁に沿って、帯状に上面凹凸部が形成され、前記払拭体の前記取付部が前記上面凹凸部と嵌合されるので、前記払拭体の本発明の清掃具への挟着を強固にすることができ、前記払拭体の使用中におけるズレ及び脱落を防止することができる。前記上面凹凸部の突起形状としては、数々のものを使用することができ、例えば円状、クロスハッチ状及び四角状などが考えられる。
本発明の第7の形態によれば、前記下側保持板の下面に下面凹凸部を形成し、前記払拭体の前記払拭部に前記下面凹凸部を係合させるので、本発明の清掃具の使用時において、前記払拭部により清掃される物体への固着に起因する前記払拭体のズレを防止できる。
本発明の清掃具により清掃される物体としては、畳及び絨毯などが考えられる。これらの物体は凹凸を有するので、前記払拭部が前記物体と係合して固着することにより、前記払拭部のズレを生じて、清掃力を低下させる。前記下面凹凸部を形成し、前記払拭部と係合させることにより、前記固着を克服するための摩擦を得ることができ、従って前記ズレを防止することができる。
前記下面凹凸部は、前記下側保持板の底板部の下面全面に形成されても良い。この場合は、前記払拭部との係合力が最大化される。しかし、前記下面凹凸部を、前記底板部の下面の各側面に沿う形で、帯状に形成されても良い。前記下面凹凸部の突起形状としては、数々のものを使用することができ、例えば円状、クロスハッチ状及び四角状などが考えられる。
本発明の第8の形態によれば、前記上側押圧板の前記湾曲側面の近傍に切欠部を形成するので、前記湾曲側面に可撓性が付加され、前記上側押圧板の前記下側保持板への押込みがより容易になる。前記切欠部は、各湾曲側面の近傍に1個形成されても良いし、2個以上でも良い。
前記湾曲側面が硬化された材質により形成され、前記切欠部が形成されていない場合においては、前記湾曲側面が前記上側押圧板の前記下側保持板への押込みを阻害する。前記切欠部を設置して前記湾曲側面に可撓性を付加することにより、前記押込みが容易になり、従って本発明の清掃具の組み立てが容易になる。
本発明の第9の形態によれば、前記湾曲側面の直近に上側切欠部が形成され、前記上側切欠部に隣接して下側切欠部が形成されるので、前記湾曲側面の可撓性が向上し、従って前記上側押圧板の前記下側保持板への押込みが容易になる。
本発明の第10の形態によれば、前記湾曲側面の直近に下側切欠部が形成され、前記下側切欠部に隣接して上側切欠部が形成されるので、前記湾曲側面の可撓性が向上し、従って前記上側押圧板の前記下側保持板への押込みが容易になる。
本発明の第11の形態によれば、前記上側押圧板と前記下側保持板をロックするロック部が設けられているので、本発明の清掃具の使用時において、前記上側押圧板と前記下側保持板の横への相互スライドを防止でき、従って前記下側保持板及び払拭体の脱落を防止することができる。前記ロック部の形状としては、例えばネジ、フック、及びバネ付きボタンなどが考えられる。
前記相互スライドは、前記下側保持板の側壁と前記上側押圧板の湾曲側面を強密着とすることによっても達成できる。しかし、このように強密着とした場合には、本発明の清掃具の使用後においての分割が困難になる。前記ロック部を装備して、前記上側押圧板と前記下側保持板の分解を任意に行うことを可能にすることにより、前記側壁と前記湾曲側面の密着を弱くすることができ、本発明の清掃具の使用後の分解がより容易になる。
本発明の第12の形態によれば、前記上側押圧板に形成されたフック部のフックと、前記下側保持板に形成された波型部を係合させて固定することにより、本発明の清掃具の使用時において前記上側押圧板、前記下側保持板及び前記払拭体の解離を防ぐことができ、更に、前記清掃具の使用後において、前記清掃具の分解を容易に行うことができる。
前記フック部は前記上側押圧板に、軸により接続され、前記フック部の一方の先端には1個以上のフック部が形成され、前記フック部のもう片方の先端には押込み部が形成されている。この押込み部を下方へ押し込むことにより、前記フック部が部分回転して、前記フック部の前記フックを有する先端が上方へ移動し、それと同時に前記フックが上方に移動して、前記波型部との係合が解除される。
前記フック部はバネを必要としない。従って、前記フックと前記波型部の係合が解除された後は、前記係合の解除を保持する為に前記押込み部を下方へ押し続ける必要はない。このため、特許文献1における清掃具と違い、前記上側押圧板を横へスライドする時点において、前記スライドをを煩雑とする下側への押込みを省くことができ、本発明の清掃具の使用後においての分解が容易となる。
又、前記上側押圧板と前記下側保持板の整列が不完全な場合においても、前記フックは前記波型部の複数の溝のいずれかに係合できる。従って、前記上側押圧板の前記下側保持板への押し込み時点で、前記上側押圧板の完全な整列を考慮する必要がないので、本発明の清掃具の組み立てが容易となる。
本発明の第13の形態によれば、前記波型部が2個形成されているので、前記上側押圧板を180度回転して前記下側保持板に押込んだ場合でも、前記フックによる係合が可能になり、前記上側押圧板を前記下側保持板へ押し込む前に、前記上側押圧板のフック部と前記下側保持板の波型部を整列する必要が無い。従って、特許文献1の清掃具と違い、前記上側押圧板と前記下側保持板のロック部を整列する必要が無いので、本発明の清掃具の組み立てが容易となる。
以下において、図面に従って、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の押込スライド着脱型清掃具1の斜視構造図である。上側押圧板10は、中央における平板部11及び左右に装備されている湾曲側面13から構成される。図1においては、湾曲側面13は上向湾曲面16及び下向湾曲面15を両方有し、更に湾曲側面13に平行する突条14が複数形成されている。しかし、上向湾曲面16及び突条14は、形成されていなくても良い。平板部11の上側の中央部、即ち上側押圧板10の重心部直上にはハンドル12が装備されている。ハンドル12の装備方法としては、上側押圧板10の中心軸部に平行な軸部により装着しても良い。この場合には、ハンドル12は、使用時において前後方向のみに移動する。又、ハンドル12を自在継手により装着してもよい。この場合は、ハンドル12は使用時において前後左右に自由自在に移動する。ハンドルから離れた位置において、中心線上に貫通孔23が設けられ、貫通孔23内にはフック部20が軸24により装着されている。
下側保持板30は、底板部31及び前記底板部31の両側に形成された側壁32から構成される。底板部31においては、両側壁32に沿って、上面凹凸部35が帯状に形成され、後記する払拭体60の取付部61のズレを防止する。底板部31上面の両側壁32に沿う中央軸上には、波型部36が2つ形成され、上側押圧板10の下側保持板30への押込み時点で、フック部20のフック21が波型部36の1つへ係合する。底板部31の下面には、下面凹凸部37が形成され、後記する払拭体60のズレを防止する。
側壁32は、図1においては、可撓性を向上させる為、多数の小側壁34に分離されている。しかし、各側壁32が一体化されて形成されても良い。各側壁32の上面には、係止部33が形成されている。この係止部33は、下側保持板30に押し込まれてる上側押圧板10の上方への脱離を防止し、更に後記する払拭体60の取付部61の挟着に関与する。
払拭体60は、布、不織布、パイル及び紙などの柔軟性を有する材質により製造される。払拭体60の下面には、物体を払拭する清掃部63が形成されている。払拭体60の上面には、底板部31の下面凹凸部37に係合できる係合部62が形成されている。清掃部63と係合部62が払拭部64を形成する。払拭体60において、清掃部63及び係合部62が同一構造を有していても良い。即ち、払拭部64において、裏表の区別が無くても良い。払拭部64の両側には、取付部61が装備され、これらの取付部61が、上側押圧板10と下側保持板30の間に挟着されることにより、払拭体60が固定されて本発明の清掃具1に装着される。
図2は、上側押圧板10が下側保持板30に押し込まれ、払拭体60が装着される過程を示す概念図である。図2Aは、上側押圧板10が下側保持板30の上方へ配置された状態を示す。又、図2Aにおいては、払拭体60が下側保持板30の下側に配置される。この様に配置した払拭体60の左右取付部61を、下側保持板の左右側壁32に沿って上部へ折り曲げ、更に係止部33に沿って内側へ折り曲げる。
図2Bは、上側押圧板10が下側保持板30に押し込まれる最中の過程を示す。両湾曲側面13により両係止部33が横方に押され、両側壁32が外方へ撓む。又、湾曲側面13の突条14が、払拭体60の取付部61に接触する。上側押圧板10が下方へ押し込まれることにより、取付部61が突条14により引き込まれる。取付部61が引き込まれることにより、底板部31の下側に配置されている払拭部64が外側へ引かれ、払拭体60の張力が強化される。これにより、払拭体60が底板部31の下面に張られる。
図2Cは、上側押圧板10が下側保持板30に押し込まれた後を示す。取付部61は、湾曲側面13の表面に設けられた突条14と側壁32及び係止部33の間に挟着され、更に平板部11の下面端部と底板部31の上面凹凸部35の間に挟着される。払拭部64は底板部31の下面に張られた状態で密着し、払拭部64の上面に形成された係合部62は、下面凹凸部37に係合されることにより、払拭体60のズレを防止する。前記押し込み完了時点においては、湾曲側面13による係止部33の横方への応力が解除されるので、側壁32の形状及び係止部33の位置が元に戻る。上側押圧板10の湾曲側面13は、元の位置に戻った係止部33により係止され、上側押圧板10の下側保持板30からの脱離を防止する。
図3は、湾曲側面13が取付部61を引き込む直前を示す拡大図である。湾曲側面13の突条14が取付部61に接触する。この接触摩擦により、上側押圧板10の押込み時において、取付部61が下側保持板30の内側へ引き込まれる。取付部61は、突条14と側壁32の間に挟着され、更に平板部11の下面端部と底板部31の上面凹凸部35の間に挟着される。払拭部64は底板部31の下面に張られた状態で密着し、払拭部64の上面に形成された係合部62が、下面凹凸部37に係合されることにより、払拭体60のズレが防止される。
図4は、湾曲側面13が取付部61を引き込んだ後を示す拡大図である。取付部61は、湾曲側面13の表面に形成された突条14と側壁32及び係止部33により挟着され、更に平板部11の下面端部と底板部31の上面凹凸部35により挟着される。又、払拭部64の張力が前記引き込みにより強化され、底板部31の下面に張られた状態で密着し、払拭部64上面の係合部62が下面凹凸部37と係合することにより、払拭体60のズレが防止される。
図5は、突条14を有さない湾曲側面13において、湾曲側面13が取付部61を引き込む直前を示す概念図である。図5に示される様に、突条14が湾曲側面13に形成されなくても、湾曲側面13は下向湾曲部15と取付部61の接触摩擦により、取付部61を引き込むことができる。
図5における湾曲側面13には、上向湾曲面16は設けられていない。湾曲側面13の上側側面は垂直であり、また湾曲側面13の最上部は、上側押圧板10の上面と直角を形成する。前記直角は、係止部33の下側に水平に形成された下側押面39のほぼ全域と、取付部61を介して接触する。取付部61が取り込まれた状態においては、取付部61が前記直角部及び前記上側側面と係止部33の下側押面39及び側壁32の上側表面により、高面積に亘って挟着される。払拭部64は底板部31の下面に張られた状態で密着し、払拭部64の上面に形成された係合部62は、下面凹凸部37に係合されることにより、払拭体60のズレを防止する。
図6は、突条14を有さない湾曲側面13において、湾曲側面13が取付部61を引き込んだ後を示す概念図である。取付部61は、突条14が湾曲側面13に形成されていなくても、湾曲側面13と側壁32及び係止部33により挟着され、更に平板部11の下面端部と底板部31の上面凹凸部35により挟着される。
図6における湾曲側面13には、上向湾曲面16は設けられていない。湾曲側面13の上側側面は垂直であり、また湾曲側面13の最上部は、上側押圧板10の上面と直角を形成する。前記直角は、係止部33の下側に水平に形成された下側押面39のほぼ全域と、取付部61を介して接触するので、上側押圧板10の係止部33による係止が強力となる。又、払拭体60の取付部61が取り込まれた状態においては、取付部61が前記直角部及び前記上側側面と係止部33の下側押面39及び側面32の上側表面により、高面積に亘って挟着されるので、取付部61が本発明の清掃具1に強力に固定される。払拭部64は底板部31の下面に張られた状態で密着し、払拭部64の上面に形成された係合部62は、下面凹凸部37に係合されることにより、払拭体60のズレを防止する。
図7は、フック21と波型部36の係合を外すことにより、下側保持版30が右方へスライドできることを示す概念図である。図7Aは、フック部20の先端に形成されたフック21が波型部36に係合された状態を示す。上側押圧板10が下側保持板30に押し込まれた状態においては、フック21が波型部36に係合され、上側押圧板10と下側保持板30が相互に横へスライドすることを防止する。
図7Bは、フック21の波型部36への係合が外された状態をしめす。フック部20は、軸24により上側押圧板10に取り付けられていて、軸24を中心に部分回転できるようになっている。フック部20の、フック21と反対側には、押込み部22が装備される。押止み部22を下方へ押すことにより、フック部20が部分回転し、フック21が上方へ移動して、波型部36との係合が外れる。
図7Cは、上側押圧板10と下側保持板30が相互に横へスライドする過程を示す。フック部20にはバネが装備されていないので、フック21が上方へ移動した場合には、押込み部22を押し込み続ける必要なしに、上方位置に保持される。従って、上側押圧板10を下方に押し付けずに、横のみに応力を与えることにより、横へスライドできる。
図8は、フック21と波型部36の係合を外すことにより、下側保持版が左方へスライドできることを示す概念図である。波型部36は下側保持板30に対称形成されている。従って、上側押圧板10を図7の状態から180度回転させた場合でも、上側押圧板10を下側保持板30に押し込むことができる。図8において、本発明の清掃具1の使用後に上側押圧板10と下側保持板30を解離する場合には、スライドの方向は図7とは逆となる。
図9は、フック21が数個設けられているフック部20による係合を示す構造図である。この様に、複数のフック21を設け、これらのフック21全てが波型部36に係合することにより、上側押圧板10の下側保持板30への側面方向における固定を、更に強力にすることができる。
図10は、各側壁が分割されずに一体化された下側保持板の斜視構造図である。図1においては、側壁32に可撓性を付加するために、側壁32に多数の切欠部を設けることにより多数の小側壁34とした。しかし、側壁32を形成する材質が十分な可撓性を有する場合、又は湾曲側面13が可撓性を有する場合は、側壁32は図1の様に分断される必要は無く、側壁32を一体として形成しても良い。
図11は、突条14が装備されず、上向湾曲面16及び下向湾曲面15が形成された湾曲側面13を有する上側押圧板10の押込みを示す概念図である。図11における湾曲側面13の構造は、図5及び図6における湾曲側面13の構造と比較して、上向湾曲面16の存在以外は同じである。図5及び図6においては、湾曲側面13と係止部33及び側面32の間の空間が狭い。挟着する取付部61が一定以上の厚みを有する場合は、取付部61が前記空間に収容できなくなり、従って上側押圧板10の押し込みが取付部61により阻害される。図11に示されるように、上向湾曲面16を設けることにより、一定以上の厚みを有する取付部61を湾曲側面13と係止部33及び側面33の間に収容することができ、従って上側押圧板10が下側保持板30に押し込みが可能になる。図11における上向湾曲面16は、取付部61の挟着及び上側押圧板10の係止部33による係止を阻害しないように形成される必要がある。従って、上向湾曲面16と係止部33の下側押面39及び側面33のクリアランスは、取込部61の厚みと同程度であることが望ましい。
図12は、最上部に左右各1個の突条14が装備された湾曲側面13を有する上側押圧板10の押込みを示す概念図である。図12に示されるように、1個のみの突条14が各湾曲側面13の最上部に形成されることにより、払拭体60の取付部61の引き込みを強力にすることができる。又、上側押圧板10の押し込み後においては、突条14は係止部33に係止されるので、突条14は上側押圧板10の脱離を防止することができる。
図13は、最上部から下方に左右各1個の突条14が装備された湾曲側面13を有する上側押圧板10の押込みを示す概念図である。図13に示されるように、1個の突条14が各湾曲側面13の最上部から下方に形成されても、払拭体60の取付部61の引き込みを強力にすることができる。
図14は、下側切欠部19の外側に上側切欠部18が設置された上側押圧板10の押込みを示す概念図である。この様に切欠部を設けることにより、湾曲側面13に可撓性を付加することができる。この可撓性により、側壁32の可撓性が不十分な場合においても、上側押圧板10を容易に下側保持板30に押し込むことができる。
図15は、下側切欠部19の外側に上側切欠部18が設置され、更に湾曲側面に突条14が形成された上側押圧板10の押込みを示す概念図である。この様に切欠部を設けることにより、湾曲側面13に可撓性を付加することができる。この可撓性により、側壁32の可撓性が不十分な場合においても、上側押圧板10を容易に下側保持板30に押し込むことができる。更に、突条14により、払拭体60の取付部61の引き込み及び湾曲側面13と側壁32及び係止部33による取付部61の挟着を強化することができる。
図16は、上側切欠部18の外側に下側切欠部19が設置され、更に湾曲側面に突条14が形成された上側押圧板10の押込みを示す概念図である。この様に切欠部を設けることにより、湾曲側面13に可撓性を付加することができる。この可撓性により、側壁32の可撓性が不十分な場合においても、上側押圧板10を容易に下側保持板30に押し込むことができる。更に、突条14により、払拭体60の取付部61の引き込み及び湾曲側面13と側壁32及び係止部33による取付部61の挟着を強化することができる。
図17は、係止部33の形状の例を示す断面図である。図17に示される係止部33は、何れも上側押圧板10の下側保持板への押込みを容易にし、更に上側押圧板10の脱離を防止することができる。係止部33は、図17A〜C、図17E〜J及び図17L〜Nに示されるように、側壁32の最上部に形成されても良い。又、図17D及びKに示されるように、側壁32の最上部から少々下方に形成されてもよい。
上側滑面38は、図17A〜Gに示されるように、直線断面を有しても良い。又、図17H〜Nに示されるように、曲線断面を有しても良い。上側滑面38は、内部へ向かって下方へ傾斜していれば良いので、図17B及びIに示される様に、上側滑面38の外方が水平であっても良いし、図17C及びJに示されるように、上側滑面38の外側が外部へ向かって下方へ傾斜しても良い。
下側押面39は、図17A〜D、図17F〜K及び図17M及びNに示されるように、上側押圧板10に取付部61を介して接触する部分が水平であれば良い。従って、図17G及びNに示されるように、側壁32への接続部に近い部分が水平でなくても良い。又、図17F及びMに示されるように、内側へ向かう先端部が水平でなくても良い。又、図17E及びLに示されるように、外側押面39が側壁への接合部に向かって上方へ傾斜しても良い。
図18は、払拭部64の両面に下面凹凸部37への係合部62を兼ねる清掃部63が形成された払拭体60の断面図である。払拭部64においては、片面に刷毛状繊維、毛羽又はループなどが設けられた清掃部63が設けられ、反対面は下面凹凸部37への係合部62となる。係合部62の構造は、清掃部63の構造と異なっても良い。しかし、清掃部63における刷毛状繊維、毛羽又はループなどは、下面凹凸部37に係合するのにも適する。従って、払拭部64の両面が清掃部63の構造を有すれば、両面を清掃又は係合に使用できることになり、払拭部64の下側保持板30への取り付け時点で払拭部64の裏表を考慮する必要がなくなり、前記取り付けが簡便になる。
図19は、底板部31における下面凹凸部37の形状を示す構造底面図である。図19Aは、下面凹凸部37が底板部31の下面全面に形成されている例を示す。この様に、下面凹凸部37が全面に形成された場合には、払拭部64のズレを確実に防止させることができる。しかし、この様に下面凹凸部37が全面に形成さなくても、払拭部64のズレを防止できることができる。
図19Bは、下面凹凸部37が底板部31下面の縁部のみに形成されている例を示す。この様に、下面凹凸部37が底板部31の縁部のみに形成されている場合においても、払拭部64のズレを防止することができる。