JP5423058B2 - 難燃性樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Description
特に複写機においては、内部に高温になる定着ユニットがあり、該定着ユニット付近にも樹脂材料が使用されている。また、帯電ユニットのような高電圧を発生させるユニットや、電源ユニットは100Vの交流電源ユニットがあり、これらの最大消費電力は数100W〜1500Wであり、100V、15A電源系統を利用するユニットで構成されている。このような複写機、主にマルチファンクションプリンターに代表される複合機は据え置き式の電気電子機器であり、製品機器の安全性規格の一つである樹脂材料の難燃性に関する国際規格(IEC60950)においては、発火源もしくは発火の恐れがある部分をUL94規格(Underwriters Laboratories Inc.,standard)の難燃性「5V」のエンクロージャー部品で覆うことが求められている。UL94規格の「5V」に関する試験方法については、国際規格IEC60695−11−20(ASTM D5048)に「500W試験炎による燃焼試験」として定義されている。複写機本体に構成させる部品はエンクロージャー部品以外においても、エンクロージャー内の内部部品に関してはUL94規格の「V−2」以上が求められている。
第2は、リン系難燃剤、又はシリコーン系難燃剤である。燃焼中に樹脂の表面にシリコーン系難燃剤をブリードさせたり、リン酸系難燃剤を樹脂内で脱水反応を起こさせたりすることにより、表面に炭化物(チャー)を生成させて断熱皮膜の形成などにより燃焼を止める。
第3は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機系難燃剤である。樹脂の燃焼によってこれらの化合物が分解するときの吸熱反応や、生成した水の持つ蒸発潜熱などにより、樹脂全体を冷却させるなどして燃焼を止める。
このようなバイオマス由来樹脂のうち、融点が180℃前後と高く、成形加工性に優れ、かつ市場への供給量も安定しているポリ乳酸を応用した製品が実現し始めている。しかし、前記ポリ乳酸はガラス転移点が56℃と低く、このため、熱変形温度は55℃前後であって耐熱性が低い。合わせて結晶性樹脂であることから、耐衝撃性も低くアイゾッド衝撃強度は1〜2kJ/m2であり、電気・電子機器製品のような耐久部材への採用は困難であるという課題がある。その対策として、石油系樹脂であるポリカーボネート樹脂とのポリマーアロイなどによって物性向上を図っている。しかし、石油系樹脂の含有割合が高くなり、バイオマス由来樹脂の含有割合が50%前後になってしまい、その結果、地球温暖化対策などの環境負荷削減のための化石使用量削減や二酸化炭素排出量削減に対する効果は半減してしまうという問題がある。
この提案では、地球温暖化対策のためにバイオマス材料に置き換えると言っても、その効果は半減されてしまう。また、難燃性を付与するために、樹脂100質量部に対して、リン系難燃剤15質量部乃至20質量部の添加が必要であり、使用されているリン系難燃剤も化石資源を原料としているため、更にバイオマス度が低下してしまう。
この提案では、ポリ乳酸に紙紛等の天然由来の有機充填材を添加することにより、樹脂の機械的強度等を向上させている。しかし、難燃性については、ポリ乳酸100質量部に対して、リン系難燃剤等の化石資源を原料とした難燃剤を23質量部〜29質量部添加することが必要であり、これでは環境負荷削減のためにベースになる樹脂材料をバイオマス材料に変えたとしても、その効果が下がってしまう。
しかし、この提案では、ポリ乳酸等の生分解性を示す有機高分子化合物を難燃化するために、有機高分子化合物140質量部に対して、リン含有化合物を含有する難燃系添加剤30質量部乃至60質量部の添加が必要であり、該リン含有化合物を含有する難燃系添加剤が化石資源を原料としているため、バイオマス度の低下を招いてしまう。
しかし、この提案の方法で得られた有機無機ハイブリッド難燃性セルロース材料は、アセチルセルロースとアルコキシシラン化合物を単に混練させた態様であり、UL94燃焼試験に準ずる方法による試験結果において、試験片の燃焼時間は長くなるものの、試験片は完全に燃え尽きており、難燃性能は不十分なものであった。また、成形性に関しても成形加工が可能になるとの記載はあるが、具体的な実施例については開示されていない。
しかし、この提案の難燃剤は、高分子材料に難燃可能なヘテロ原子とする複素環状化合物を側鎖に有する態様であるが、元となる高分子材料がバイオマス材料ではなく、かつ添加量も多く環境負荷が小さいものではない。
このような従来技術は、熱可塑性樹脂に難燃剤を混練している技術である。この方法では、難燃性は発現するものの成形加工して成形品として使用することを考慮した場合、熱可塑性樹脂と難燃剤との親和性の低下により、樹脂の流動性が低下し成形性が悪くなるという問題があり、また物性も低下してしまうことがある。
<1> 少なくとも、熱可塑性樹脂と難燃剤を含む難燃性樹脂組成物であって、
前記難燃剤が、天然多糖類の側鎖にリン酸エステルを付加してなるリン含有多糖類であることを特徴とする難燃性樹脂組成物である。
該<1>に記載の難燃性樹脂組成物においては、耐熱性や機械的強度等の諸物性が高く、バイオマスを原料とした難燃性を有するリン含有多糖類を添加することにより、バイオマス度を高めた、環境に配慮した難燃性樹脂組成物が提供できる。しかも、難燃性を有するリン含有多糖類が高分子材料であるため、熱可塑性樹脂の耐熱性や機械的強度等の諸物性の低下が少ない難燃性樹脂組成物が提供できる。
<2> リン含有多糖類のリン含有率が1質量%以上20質量%以下であり、
熱可塑性樹脂(A)と前記リン含有多糖類(B)の質量比率(A:B)が、50:50〜90:10である前記<1>に記載の難燃性樹脂組成物である。
該<2>に記載の難燃性樹脂組成物においては、リン含有多糖類のリン含有率が1質量%以上であるために確実な難燃効果を得ることができると共に、耐熱性や機械的強度等の諸物性が高く、バイオマスを原料とした難燃性を有するリン含有多糖類を添加することにより、バイオマス度を高めた、環境に配慮した難燃性樹脂組成物が提供できる。しかも、難燃性を有するリン含有多糖類が高分子材料であるため、熱可塑性樹脂の耐熱性や機械的強度等の諸物性の低下が少ない難燃性樹脂組成物が提供できる。
<3> リン含有多糖類が、天然多糖類の側鎖にリン酸エステルを付加してなり、該天然多糖類がセルロース及びセルロース誘導体のいずれかである前記<1>から<2>のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物である。
該<3>に記載の難燃性樹脂組成物においては、地球環境に配慮した再生可能資源であるセルロース又はセルロース誘導体などの天然多糖類を原料とし、バイオマス度が高く、環境に配慮した難燃性樹脂組成物を安価に提供できる。
<4> セルロース誘導体が、セルロースプロピオネートである前記<3>に記載の難燃性樹脂組成物である。
該<4>に記載の難燃性樹脂組成物においては、セルロース誘導体の溶媒溶解性の高さや化学反応性の高さから、容易にセルロース誘導体の側鎖に、リン酸エステルを付加することができ、リン含有率を高めた難燃性能の高い樹脂組成物が提供できる。
<5> リン酸エステルが、セルロース誘導体における2位、3位、及び6位のそれぞれの水酸基又はアルキル基に付加されてリン酸エステル構造を構成する前記<1>から<4>のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物である。
該<5>に記載の難燃性樹脂組成物においては、セルロース誘導体の置換度に応じて、2位、3位、及び6位のそれぞれの水酸基又はアルキル基に付加されることにより、リン含有率の高く難燃性能が高い樹脂組成物が提供できる。
<6> リン酸エステルが、ジメチルリン酸及びジエチルリン酸のいずれかである前記<1>から<5>のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物である。
該<6>に記載の難燃性樹脂組成物においては、安価な試薬として入手可能であり、天然多糖類又はその誘導体の側鎖に、ジメチルリン酸又はジエチルリン酸を付加する際に、立体障害が少なく反応性を損なうことがないため、容易にリン含有多糖類を作製することができる。
<7> 熱可塑性樹脂が、原料の少なくとも一部にバイオマスを使用している熱可塑性樹脂である前記<1>から<6>のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物である。
該<7>に記載の難燃性樹脂組成物においては、更にバイオマス度を高めた、環境に配慮した難燃性樹脂組成物が提供できる。
<8> 熱可塑性樹脂が脂肪族ポリエステルであり、該脂肪族ポリエステルが、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリトリメチレンテレフタレート、及び微生物産生のポリヒドロキシアルカノエートから選択される少なくとも1種を含む前記<1>から<7>のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物である。
該<8>に記載の難燃性樹脂組成物においては、バイオマスを原料とし、耐熱性や機械的強度等の諸物性の高い難燃性樹脂組成物が提供できる。
<9> 熱可塑性樹脂が、石油原料由来の熱可塑性樹脂を更に含む前記<1>から<8>のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物である。
該<9>に記載の難燃性樹脂組成物においては、少量の石油原料由来の熱可塑性樹脂を添加で、更に耐熱性や機械的強度等の諸物性の高い難燃性樹脂組成物が提供できる。
<10> リン含有多糖類の数平均分子量が10,000以上1,000,000以下である前記<1>から<9>のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物である。
該<10>に記載の難燃性樹脂組成物においては、リン含有多糖類が熱可塑性樹脂の性質を有するため、容易に熱可塑性樹脂とアロイ化することができ、耐熱性や機械的強度等の諸物性の高い難燃性樹脂組成物を提供することができる。
<11> 前記<1>から<10>のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体である。
該<11>に記載の成形体においては、本発明の前記難燃性樹脂組成物を、成形することにより、複雑形状の難燃性樹脂部品を安価に作製することができる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、少なくとも、熱可塑性樹脂と難燃剤とを含み、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、石油原料由来及びバイオマス原料由来のどちらの樹脂でも、目的に応じて適宜選択して使用することができるが、環境負荷の低いバイオマス原料由来の樹脂がより好ましい。
前記バイオマス原料由来の樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば脂肪族ポリエステルなどが挙げられる。該脂肪族ポリエステルとしては、例えばポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリトリメチレンテレフタレート、微生物産生のポリヒドロキシアルカノエート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、(1)市場における生産量、流通量が多く、安価に入手できる点、(2)射出成形が可能で流動性が良い材料である点、(3)引張強度、曲げ強度が高い剛直な材料である点、(4)結晶性を制御することにより耐熱性の向上が可能になる点、(5)他の石油由来樹脂との混練により目的に応じた物性の確保が可能になる点、(6)製造プロセスの成熟度の高さから製造時のエネルギー投入量が少なく環境負荷が小さい点、からポリ乳酸が特に好ましい。
なお、ポリ乳酸以外の樹脂(脂肪族ポリエステル)も同様の理由から適宜選択して使用することができる。
これらの中でも、乳酸成分の光学純度が高いポリ乳酸を用いることが好ましく、ポリ乳酸の総乳酸成分のうち、L体が80%以上含まれるか、あるいはD体が80%以上含まれることが好ましい。
このようなポリ乳酸としては、適宜合成されたものでもよいし、市販品を用いることもできる。該市販品としては、例えばテラマック(登録商標)TE−2000(ユニチカ株式会社製)、レイシア(登録商標)H−100J(三井化学株式会社製)、バイロエコール(登録商標)BE−400(東洋紡績株式会社製)などが挙げられる。
前記熱可塑性樹脂としては、バイオマス原料由来の熱可塑性樹脂に、石油原料由来の熱可塑性樹脂を更に含むものを用いることができる。この場合、前記バイオマス原料由来の熱可塑性樹脂100質量部に対して、前記石油原料由来の熱可塑性樹脂を10質量部〜300質量部添加することが好ましい。
前記石油原料由来の熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS樹脂)、メタアクリレートスチレン樹脂(MS樹脂)、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂が特に好ましい。
前記ポリカーボネート樹脂としては、特に制限はなく、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、SABIC Innovative Plastics Holding BV社製のレキサン101、などが挙げられる。
前記ポリエチレンテレフタレート樹脂としては、特に制限はなく、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、「三井PETJ120」(三井化学株式会社製)、クラペット KS750RC(株式会社クラレ製)、PET TR−8550(帝人化成株式会社製)などが挙げられる。
前記難燃剤としては、天然多糖類の側鎖にリン酸エステルを付加してなるリン含有多糖類が用いられる。
前記リン含有多糖類は、天然多糖類を原料とし、該天然多糖類としては、セルロース、キチン、キトサン、デンプン、及びこれらの誘導体から選択される少なくとも1種が好適である。これらの中でも、将来の食糧問題を考えると、原料としては食料又は食料残渣物以外で、食料の流通過程に依存しないものが望ましい点からセルロースが特に好ましい。
前記セルロースは、溶媒溶解性が乏しいため、誘導体化して溶媒溶解性を向上させたセルロース誘導体を用いることが好ましい。
前記セルロース誘導体としては、例えばセルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテート・プロピオネート、セルロースアセテート・ブチレート、セルロースプロピオネート・ブチレートなどが挙げられる。これらの中でも、良好な熱可塑性を示す点からセルロースプロピオネートが特に好ましい。
一方、上記一般式(1)で表されるセルロース骨格中3ヶ所(2位、3位、6位)のRについて、導入される置換度の特性から、前記リン含有率が、10質量%程度までは合成条件の設定により安定して導入することは可能であるが、10質量%より多く導入しようとする際には、全てのRを脱離できる出発物質を精製し、かつ選択的に全ての箇所にリン酸基が導入できるような合成条件の設定が必要になる。最適な出発物質、合成条件のもと合成されるリン含有多糖類のリン含有率の20質量%は、以下に説明するようにリン含有率の上限値である。以上の理由により、前記リン含有率は20質量%以下であることが有効である。
例えば上記一般式(1)で表されるセルロース骨格中のRに、リン酸エステルが最大3ヶ所(2位、3位、6位)に付いた場合のリン含有率の一例を示す。
メチルリン酸化(R=PO(OH)(OCH3)):リン含有率22.0質量%
エチルリン酸化(R=PO(OH)(OCH2CH3)):リン含有率19.1質量%
ジメチルリン酸化(R=PO(OCH3)2):リン含有率19.1質量%
ジエチルリン酸化(R=PO(OCH2CH3)2):リン含有率16.3質量%
前記リン含有多糖類の含有量が、50質量%を超えると、成形温度190℃におけるMFR(g/10min)が、2g/10min以下となり、熱可塑性の性質が低下し、成形加工時に溶融樹脂の流動性が低下し、ヒケ等の成形不良の原因になる(図1参照)。一方、前記リン含有多糖類の含有量が、10質量%未満であると、難燃性の効果が低下し、UL94規格の難燃性「V−2」を満足できなくなることがある。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、樹脂組成物に使用される公知の添加剤の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リン含有多糖類以外の難燃剤、難燃助剤、相溶化剤、可塑化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加工助剤、帯電防止剤、着色剤、加水分解抑制剤、結晶化核剤などが挙げられる。
これらは、本発明の効果を害しない範囲内で適宜選択した量を使用することができ、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記加水分解抑制剤としては、例えばカルボジイミド変性イソシアネート、有機ホスファイト金属塩化合物、テトライソシアネートシラン、モノメチルイソシアネートシラン、アルコキシシラン、スチレン・2−イソプロペニル−2−オキサゾリン共重合体、2,2−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、などが挙げられる。
前記結晶化核剤としては、例えばタルク系核剤、フェニル基を持つ金属塩系材料からなる核剤、ベンゾイル化合物系からなる核剤などが好適に挙げられる。その他公知の結晶化核剤、例えば乳酸塩、安息香酸塩、シリカ、リン酸エステル塩系などを用いても問題は無い。
前記難燃助剤としては、ドリップ防止剤としてポリテトラフルオロエチレン、4フッ化エチレン樹脂、フッ素系樹脂、パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩などを用いることができる。
本発明の成形体は、本発明の前記難燃性樹脂組成物を成形してなること以外には、特に制限はなく、その形状、構造、大きさ等については目的に応じて適宜選択することができる。
例えば複写機の外装カバー等の筐体部品の成形には、350トンの電動射出成形機を用いて水温度調節器で温度設定が可能な金型を用いて、金型温度40℃、射出圧力90MPa、射出速度10mm/sec、の成形条件で成形することにより、外観、寸法を満足する成形品を得ることが可能になる。
熱可塑性樹脂としてポリ乳酸を、リン含有多糖類としてジエチルリン酸化セルロースプロピオネートをブレンドし、得られた難燃性樹脂組成物で作製された成形体中におけるリン含有多糖類の含有の有無を確認する方法としては、例えば成形体の一部をクロロホルムに溶解し、不溶物を濾過して回収し、メタノールで洗浄、乾燥し、赤外分光光度計(Shimazu製、FT−IR8600CPs、KBr法、積算100回、分解能4[1/cm])で測定する。また、前記不溶物をピリジンに溶解して、核磁気共鳴装置(NMR Varian社製、INOVA300)を用いてP−NMRを測定することで、容易に分析することができる。
なお、熱可塑性樹脂とリン含有多糖類の組み合せにより、適宜使用される溶媒の種類を変えることで、前記測定方法で分析することが可能である。
本発明の成形体は、耐衝撃性、成形性、及び難燃性を兼ね備えており、例えば複写機、レーザープリンター等の電子写真技術、印刷技術又はインクジェット技術を用いた画像出力機器に使用される部品、家電製品等の電気電子機器、自動車の内装部品などとして好適に使用することができる。
下記の実施例及び比較例において、「熱可塑性樹脂の数平均分子量」、「リン含有多糖類中のリン含有率」、「難燃性樹脂組成物の植物度」、及び「リン含有多糖類の数平均分子量」は、以下のようにして測定した。
熱可塑性樹脂の数平均分子量は、東ソー株式会社製HLC8220GPCを用いて0.1質量%濃度でテトラヒドロフラン(THF)溶媒に樹脂を溶解させ、ゲルパーミエィションクロマトグラフィー(GPC)分析による標準ポリスチレン換算値として求めた。
核磁気共鳴装置(NMR Varian社製、INOVA300)を用いてP−NMRを測定することで、リン含有多糖類中のリン含有率を特定した。
リン含有多糖類は、その原料の一部に天然多糖類を使用し、誘導体化するための原料に石油原料由来の化合物を使用している。原料に使用した多糖類誘導体の置換度、及びリン含有多糖類(B)中のリン含有率から、リン含有多糖類(B)中に含まれる天然多糖類の割合を算出することができる。この割合をリン含有多糖類(B)の植物度と定義する。
以下に植物度の算出方法の一例を示す。
例えば、熱可塑性樹脂(A)としてポリ乳酸90質量部、リン含有多糖類(B)としてジエチルリン酸化セルロースプロピオネート10質量部をブレンドし、得られた難燃性樹脂組成物において、その植物度は、ポリ乳酸の植物度を100%として、ジエチルリン酸化セルロースプロピオネートの植物度は、原料に使用した下記一般式で表されるセルロースプロピオネートの置換度2.42、得られたジエチルリン酸化セルロースプロピオネート中のリン含有率3.2質量%から植物度44質量%が算出され、次式より難燃性樹脂組成物の植物度は94.4質量%となる。
難燃性樹脂組成物の植物度=(ポリ乳酸の植物度)×0.9+(ジエチルリン酸化セルロースプロピオネートの植物度)×0.1
=100×0.9+44×0.1=94.4質量%
リン含有多糖類をクロロホルム又はジメチルホルムアミド(DMF)に規定濃度となるように溶解し、GPC(Gel Permeation Chromatography)法により、リン含有多糖類の数平均分子量を測定した。
<リン含有多糖類(B)の作製>
−リン酸エステル化セルロースプロピオネート(B1)の合成−
出発物質にはScientific Polymer Products,INC.製のセルロースプロピオネートを精製してから用いた。
攻撃試薬としてSIGMA-ALDRICH corp.製のジエチルリン酸クロライドを用い、溶媒としてピリジン(ナカライテスク株式会社製)を用いた。
ピリジン100mlにセルロースプロピオネート5gを加えて、フラスコ中で攪拌し、溶解させた。40℃に調節した水浴中にフラスコを沈め、乾燥窒素気流化にて等量のクロロホルム(CHCl3)と混合した攻撃試薬12eq/AGU(Anhydroglucose unit)をゆっくりと滴下し、反応を開始した。24時間経過後、蒸留水に滴下し、再沈殿させ、反応を終了した。プロパノールによる洗浄を繰り返し、アセトンを加え攪拌し、溶解させた。溶液ろ過を行い、不純物を取り除いた後、蒸留水を滴下し、得られた溶液を減圧濃縮し、アセトンを取り除き凍結乾燥を行い、リン酸エステル化セルロースプロピオネート(B1)を合成した。
得られたリン酸エステル化セルロースプロピオネートのリン含有率は3.8質量%、置換度はプロピオニル基2.1、水酸基0.5、リン酸基0.4であり、数平均分子量Mnは84,000、重量平均分子量Mwは245,000、分散値Mw/Mnは2.92であった。
熱可塑性樹脂(A)としてポリ乳酸樹脂(A1)90質量部と、リン含有多糖類(B)として上記で合成したリン酸エステル化セルロースプロピオネート(B1)10質量部とを合わせた100質量部をドライブレンドした後、2軸混練押出機を用いて、混練温度180℃で溶融混練を行い、3mm角程度の成形用ペレット(P1)を作製した。
ここで、熱可塑性樹脂(A)に用いたポリ乳酸樹脂(A1)には、三井化学株式会社製のレイシアH−100J、数平均分子量52,200を用いた。
<リン含有多糖類(B)の作製>
−リン酸エステル化セルロースアセテート(B2)の合成−
出発物質としてSIGMA-ALDRICH corp.製のセルロースアセテートを用い、攻撃試薬としてSIGMA-ALDRICH corp.製のジエチルリン酸クロライドを用い、溶媒及び触媒には、ナカライテスク株式会社製のピリジンを用いて、実施例1と同様の方法でリン酸エステル化セルロースアセテート(B2)を合成した。
得られたリン酸エステル化セルロースアセテートのリン含有率は4.5質量%、数平均分子量Mnは53,000、重量平均分子量Mwは146,000、分散値Mw/Mnは2.75であった。
熱可塑性樹脂(A)としてポリ乳酸樹脂(A1)90質量部と、リン含有多糖類(B)として上記で合成したリン酸エステル化セルロースアセテート(B2)10質量部とを合わせた100質量部をドライブレンドした後に、2軸混練押出機を用いて、混練温度180℃で溶融混練を行い、3mm角程度の成形用ペレット(P2)を作製した。
ここで、熱可塑性樹脂(A)に用いたポリ乳酸樹脂(A1)には、三井化学株式会社製のレイシアH−100J、数平均分子量52,200を用いた。
<リン含有多糖類(B)の作製>
−リン酸エステル化セルロースプロピオネート(B3)の合成−
出発物質としてScientific Polymer Products, INC.製のセルロースプロピオネートを用い、攻撃試薬としてSIGMA-ALDRICH corp.製のジメチルリン酸クロライドを用い、溶媒及び触媒としてナカライテスク株式会社製のピリジンを用いて、実施例1と同様の方法でリン酸エステル化セルロースプロピオネート(B3)を合成した。
得られたリン酸エステル化セルロースプロピオネートのリン含有率は2.7質量%、数平均分子量Mnは82,300、重量平均分子量Mwは240,000、分散値Mw/Mnは2.92であった。
熱可塑性樹脂(A)としてポリ乳酸樹脂(A1)90質量部と、リン含有多糖類(B)として上記で合成したリン酸エステル化セルロースプロピオネート(B3)10質量部とを合わせた100質量部をドライブレンドした後に、2軸混練押出機を用いて、混練温度180℃で溶融混練を行い、3mm角程度の成形用ペレット(P3)を作製した。
ここで、熱可塑性樹脂(A)に用いたポリ乳酸樹脂(A1)には、三井化学株式会社製のレイシアH−100J、数平均分子量52,200を用いた。
<リン含有多糖類(B)の作製>
−リン酸エステル化セルロースアセテート(B4)の合成−
出発物質としてSIGMA-ALDRICH corp.製のセルロースアセテートを用い、攻撃試薬としてSIGMA-ALDRICH corp.製のジメチルリン酸クロライドを用い、溶媒及び触媒としてナカライテスク株式会社製のピリジンを用いて、実施例1と同様の方法でリン酸エステル化セルロースアセテート(B4)を合成した。
得られたリン酸エステル化セルロースアセテートのリン含有率は3.1質量%、数平均分子量Mnは51,600、重量平均分子量Mwは157,900、分散値Mw/Mnは3.06であった。
熱可塑性樹脂(A)としてポリ乳酸樹脂(A1)90質量部と、リン含有多糖類(B)として上記で合成したリン酸エステル化セルロースアセテート(B4)10質量部とを合わせた100質量部をドライブレンドした後に、2軸混練押出機を用いて、混練温度180℃で溶融混練を行い、3mm角程度の成形用ペレット(P4)を作製した。
ここで、熱可塑性樹脂(A)に用いたポリ乳酸樹脂(A1)には、三井化学株式会社製のレイシアH−100J、数平均分子量52,200を用いた。
−難燃性樹脂組成物の作製−
熱可塑性樹脂(A)としてポリ乳酸樹脂(A1)70質量部と、リン含有多糖類(B)として実施例1で合成したリン酸エステル化セルロースプロピオネート(B1)30質量部とを合わせた100質量部をドライブレンドした後に、2軸混練押出機を用いて、混練温度180℃で溶融混練を行い、3mm角程度の成形用ペレット(P5)を作製した。
ここで、熱可塑性樹脂(A)に用いたポリ乳酸樹脂(A1)には、三井化学株式会社製のレイシアH−100J、数平均分子量52,200を用いた。
−難燃性樹脂組成物の作製−
熱可塑性樹脂(A)としてポリ乳酸樹脂(A1)50質量部と、リン含有多糖類(B)として実施例1で合成したリン酸エステル化セルロースプロピオネート(B1)50質量部とを合わせた100質量部をドライブレンドした後に、2軸混練押出機を用いて、混練温度180℃で溶融混練を行い、3mm角程度の成形用ペレット(P6)を作製した。
ここで、熱可塑性樹脂(A)に用いたポリ乳酸樹脂(A1)には、三井化学株式会社製のレイシアH−100J、数平均分子量52,200を用いた。
−難燃性樹脂組成物の作製−
熱可塑性樹脂(A)としてポリ乳酸樹脂(A1)45質量部と、ポリカーボネート樹脂(A2)45質量部、リン含有多糖類(B)として実施例1で合成したリン酸エステル化セルロースプロピオネート(B1)10質量部とを合わせた100質量部をドライブレンドした後に、2軸混練押出機を用いて、混練温度180℃で溶融混練を行い、3mm角程度の成形用ペレット(P7)を作製した。
ここで、熱可塑性樹脂(A)に用いたポリ乳酸樹脂(A1)には、三井化学株式会社製のレイシアH−100J、数平均分子量52,200を用いた。ポリカーボネート樹脂(A2)には、SABIC Innovative Plastics Holding BV社製のレキサン101、数平均分子量21,400を用いた。
−難燃性樹脂組成物の作製−
熱可塑性樹脂(A)としてポリエチレンテレフタレート樹脂(A3)90質量部、リン含有多糖類(B)として実施例1で合成したリン酸エステル化セルロースプロピオネート(B1)10質量部とを合わせた100質量部をドライブレンドした後に、2軸混練押出機を用いて、混練温度230℃で溶融混練を行い、3mm角程度の成形用ペレット(P8)を作製した。
ここで、熱可塑性樹脂(A)に用いたポリエチレンテレフタレート樹脂(A3)には、三井化学株式会社製の三井PETJ120、数平均分子量38,300を用いた。
−樹脂組成物の作製−
実施例1において、熱可塑性樹脂(A)としてポリ乳酸樹脂(A1)100質量部のみを用いて、成形用ペレット(P9)を作製した。
−難燃性樹脂組成物の作製−
熱可塑性樹脂(A)としてポリ乳酸樹脂(A1)80質量部と、リン酸エステル難燃剤20質量部をドライブレンドし、2軸混練押出機で180℃の温度で溶融混練して、3mm角の成形用ペレット(P10)を作製した。
ここで、熱可塑性樹脂(A)に用いたポリ乳酸樹脂(A1)には、三井化学株式会社製のレイシアH−100J、数平均分子量52,200を用いた。リン酸エステル難燃剤として大八化学工業株式会社製の芳香族縮合リン酸エステル難燃剤PX−200を用いた。
−難燃性樹脂組成物の作製−
熱可塑性樹脂(A)としてポリ乳酸樹脂(A1)40質量部と、リン含有多糖類(B)として実施例1で合成したリン酸エステル化セルロースプロピオネート(B1)60質量部とを合わせた100質量部をドライブレンドした後に、2軸混練押出機を用いて、混練温度180℃で溶融混練を行い、3mm角程度の成形用ペレット(P11)を作製した。
ここで、熱可塑性樹脂(A)に用いたポリ乳酸樹脂(A1)には、三井化学株式会社製のレイシアH−100J、数平均分子量52,200を用いた。
<リン含有多糖類(B)の作製>
−リン酸エステル化セルロースアセテート(B5)の合成−
出発物質としてSIGMA-ALDRICH corp.製のセルロースアセテートを用い、攻撃試薬としてSIGMA-ALDRICH corp.製のジエチルリン酸クロライドを2eq/AGU(Anhydroglucose unit)用い、溶媒及び触媒としてナカライテスク株式会社製のピリジンを用いて、実施例1と同様の方法でリン酸エステル化セルロースアセテート(B5)を合成した。
得られたリン酸エステル化セルロースアセテートのリン含有率は0.6質量%、数平均分子量Mnは50,600、重量平均分子量Mwは170,000、分散値Mw/Mnは3.36であった。
熱可塑性樹脂(A)としてポリ乳酸樹脂(A1)90質量部と、リン含有多糖類(B)としてリン酸エステル化セルロースプロピオネート(B5)10質量部とを合わせた100質量部をドライブレンドした後に、2軸混練押出機を用いて、混練温度180℃で溶融混練を行い、3mm角程度の成形用ペレット(P12)を作製した。
ここで、熱可塑性樹脂(A)に用いたポリ乳酸樹脂(A1)には、三井化学株式会社製のレイシアH−100J、数平均分子量52,200を用いた。
−UL94垂直燃焼試験片の作製−
作製した各ペレットを、棚式の熱風乾燥機を使用して50℃で12時間乾燥し、型締力50トン電動式射出成形機を使用して、金型温度40℃、シリンダー温度180℃、射出速度20mm/sec、射出圧力100MPa、冷却時間60secの設定で、UL94垂直燃焼試験用の短冊試験片を作製した。上記条件での射出成形を行うことにより作製した短冊試験片のサイズは、幅13mm、長さ125mm、厚さ1.6mmであった。
−UL94垂直燃焼試験方法−
前記作製した試験片を50℃で72時間エージングした後、湿度20%RHとし、UL944規格に準拠した垂直燃焼試験を行った。
試験方法は、試験片の上端部をクランプし、垂直に保持し、試験片の下端部から300±10mm下に脱脂綿(0.8g以下、50mm角)を置き、落下溶融物が脱脂綿上に落下することを確認した。試験片の下端部よりバーナーで1回目の接炎を10±1秒間行い、約300mm/秒の速度でバーナーをサンプルから離し、燃焼が消えたら直ちにバーナーをサンプルの下端部に戻し、2回目の接炎を10±1秒間行った。
5本1セットの試験片について、合計10回の接炎を行い、試験片の燃焼時間を記録した。燃焼時間とは、離炎後の燃焼継続時間であり、1回目の燃焼時間をt1、2回目の燃焼時間をt2、3回目の燃焼後火種継続時間をt3とした。
−UL94垂直燃焼試験の判定方法−
UL94規格に基づく垂直燃焼試験の判定方法は下記の通りである。
(1)各試験片の離炎後の燃焼継続がt1又はt2が10秒以下なら「V−0」、30秒以下なら「V−1」もしくは「V−2」
(2)5本試験片の全ての燃焼継続時間t1+t2が50秒以下なら「V−0」、250秒以下なら「V−1」もしくは「V−2」
(3)2回目接炎後の燃焼継続時間と火種継続時間の合計t2+t3が30秒以下なら「V−0」、60秒以下なら「V−1」もしくは「V−2」
(4)クランプまで燃える燃焼がないこと
(5)燃焼物や落下物による脱脂綿の発火について発火なしなら「V−0」もしくは「V−1」、発火ありなら「V−2」
上記(1)〜(5)のそれぞれ「V−0」、「V−1」、「V−2」の条件を全て満たすものが判定される。
−アイゾット衝撃試験用試験片の作製−
作製した各ペレットを、棚式の熱風乾燥機を使用して50℃で12時間乾燥した後、型締力50トンの電動式射出成形機を使用して、金型温度40℃、シリンダー温度180℃、射出速度20mm/s、射出圧力100MPa、冷却時間60secの設定で、アイゾット衝撃試験用試験片を作製した。上記条件での射出成形を行うことにより作製した試験片サイズは、長さ64mm、幅12.7mm、厚さ12.7mmで、A切欠きを入れた2号A試験片であった。
−アイゾット衝撃試験−
JIS K7110に準拠したアイゾット衝撃試験を行った。
〔評価基準〕
○:アイゾット衝撃強度が4.0kJ/m2以上
△:アイゾット衝撃強度が2.5kJ/m2以上4.0kJ/m2未満
×:アイゾット衝撃強度が2.5kJ/m2未満
各樹脂組成物を射出成形時の流動性、金型からの離型性、金型転写による外観から、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
(1)成形体を目視観察して、ヒケがないこと
(2)成形体を目視観察して、端部のショート(未充填部)がないこと
(3)成形体を目視観察して、シボ面の転写不良がないこと
(4)成形加工時に、成形体の離型不良がないこと
〔判定基準〕
○:上記4項目をすべて満足する場合
×:上記4項目のうち1項目でも満足しない場合
実施例7では、石油系樹脂であるポリカーボネート樹脂とポリ乳酸樹脂とのポリマーアロイ材料に対しても難燃性「V−2」以上を確保し、かつアイゾット衝撃強度が向上することを確認できた。
実施例3のセルロースプロピオネートを出発物質としたリン酸エステル化セルロースプロピオネートは、実施例2及び4のリン酸エステル化セルロースアセテートより燃焼時間が短く、セルロースプロピオネートの方が難燃性が高い結果となった。
これに対し、比較例1は、植物度が100%であるが、難燃性が発現せず、耐衝撃性も低かった。
また、比較例2は、難燃性を発現し、植物度は80%であるが、耐衝撃性が低かった。
また、比較例3は、難燃性を発現するが、流動性が低く、金型にランナーが取られるなどの金型からの離型性に問題があり、成形性が劣る評価であった。
また、比較例4は、リン含有多糖類中のリン含有率が0.6質量%と少ないため、難燃性が発現しなかった。
Claims (11)
- 少なくとも、熱可塑性樹脂と難燃剤を含む難燃性樹脂組成物であって、
前記難燃剤が、天然多糖類の側鎖にリン酸エステルを付加してなるリン含有多糖類であることを特徴とする難燃性樹脂組成物。 - リン含有多糖類のリン含有率が1質量%以上20質量%以下であり、
熱可塑性樹脂(A)と前記リン含有多糖類(B)の質量比率(A:B)が、50:50〜90:10である請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。 - リン含有多糖類が、天然多糖類の側鎖にリン酸エステルを付加してなり、該天然多糖類がセルロース及びセルロース誘導体のいずれかである請求項1から2のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
- セルロース誘導体が、セルロースプロピオネートである請求項3に記載の難燃性樹脂組成物。
- リン酸エステルが、セルロース誘導体における2位、3位、及び6位のそれぞれの水酸基又はアルキル基に付加されてリン酸エステル構造を構成する請求項1から4のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
- リン酸エステルが、ジメチルリン酸及びジエチルリン酸のいずれかである請求項1から5のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂が、原料の少なくとも一部にバイオマスを使用している熱可塑性樹脂である請求項1から6のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂が脂肪族ポリエステルであり、該脂肪族ポリエステルが、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリトリメチレンテレフタレート、及び微生物産生のポリヒドロキシアルカノエートから選択される少なくとも1種を含む請求項1から7のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂が、石油原料由来の熱可塑性樹脂を更に含む請求項1から8のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
- リン含有多糖類の数平均分子量が10,000以上1,000,000以下である請求項1から9のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
- 請求項1から10のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
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