JP5422676B2 - 圧電発電装置 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電発電装置に関する。
近年、エナジーハーベスティング技術が盛んに研究されている。エナジーハーベスティング技術というのは、環境に広く存在する各種エネルギーを電力に変換して使用する技術であり、電源供給のメンテナンスフリーを実現することができる。
その技術の一つとして、生活環境に存在する振動を電気に変換する振動圧電発電装置が知られている。振動圧電発電装置として色々な構造があり、その中で圧電発電装置が知られている。圧電発電装置にも様々な構造がある。
圧電発電装置の一つとして、カンチレバーの先端に取り付けた錘と、カンチレバー上に下部電極、圧電膜、上部電極を順に積層した圧電素子とを有する振動圧電発電装置が知られている。振動圧電発電装置の発電は、振動が加えられたカンチレバーを介して圧電膜を変形させ、圧電膜に生じる圧電効果により発生される。圧電材料として例えばPZT、AlNが知られている。
そのような振動圧電発電装置の応用ターゲットとして、振動を伴う装置の電力供給源、例えば、自動車のタイヤ内に取り付けた加速度センサーへの電力供給源が知られている。この場合の振動圧電発電装置は、タイヤのような振動を伴う装置に取り付けられる。
そのような振動圧電発電装置は、典型的には数百μm〜数mm程度の素子サイズを有し、多くはMEMS(Micro Electro Mechanical System)の製造に用いられる微細加工プロセスを経て作製される。
特許文献1:特開2008−116668号公報
特許文献2:特開2008−197140号公報
特許文献2:特開2005−186930号公報
非特許文献1:Proceedings of the 14th International Conference on Solid-State Sensors, Actuators and Microsystems, Lyon, France, June 10-14, 2007, p.891-894
非特許文献2:IMEC Newsletter 54, Oct. 2008, p.1,10.
非特許文献3:T.Nishida, Univ. Florida et al. USPatent Application Publication, No.US 2004/0007942 (Jan. 15, 2004)
上記のようにカンチレバーと錘を有する振動圧電発電装置は、形状、材料により共振周波数が決定される。また、振動圧電発電装置は、外部からの振動数と共振周波数が合致する場合には大きな電気エネルギーを発生するが、それらの振動数のずれが大きくなるほど発生電気エネルギーが低下する。
本発明の目的は、振動から電気へのエネルギー変換効率を高くするための圧電発電装置を提供することにある。
実施形態の1つの観点によれば、固定部と、前記固定部の先端に形成されるカンチレバーと、前記カンチレバーの先端に形成される錘部と、重心の位置が調整される重心調整部と、前記カンチレバーの上方に形成される圧電発電セルと、を有し、前記重心調整部は、前記錘部内に取り付けられる第1電極と第2電極と、前記第1電極と前記第2電極の間に設けられる帯電物と、を有するものである圧電発電装置が提供される。
本発明の目的および利点は、請求の範囲に具体的に記載された構成要素および組み合わせによって実現され達成される。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、典型例および説明のためのものであって、本発明を限定するためのものではない、と理解すべきである。
実施形態によれば、カンチレバーの先端に形成される錘部の重心位置を調整する重心調整部を設けている。これにより、圧電発電装置が取り付けられる環境の振動に応じて圧電発電セルの発電電力の効率が高くなる。
図1Aは、第1実施形態に係る圧電発電装置の平面図、図1Bは図1AのI−I線断面図である。 図2Aは、第1実施形態に係る圧電発電装置の錘部の重心を第1位置に設定した状態を示す回路図、図2Aは、第1実施形態に係る圧電発電装置の錘部の重心を第2位置に設定した状態を示す回路図である。 図3Aは、第1実施形態に係る圧電発電装置の錘部の重心を変更するために電極に印加される電圧の波形図、図3Bは、図3Aに示す電圧を供給するための重心制御回路の一例を示す回路図である。 図4は、第1実施形態に係る圧電発電装置のカンチレバー及び錘部の領域を座標で表した座標図である。 図5A、図5B、図5Cは、第1実施形態に係る圧電発電装置の錘部の重心の違いによるカンチレバー及び錘部の振動状態を示す斜視断面図である。 図6は、図5A、図5B、図5Cに示した圧電発電装置のそれぞれのカンチレバーの共振周波数と圧電セルの発電電力の大きさの関係を図である。 図7A、図7B及び図7Cは、第1実施形態に係る圧電発電装置の製造方法の一例を示す断面図(その1〜3)である。 図7D、図7E及び図7Fは、第1実施形態に係る圧電発電装置の製造方法の一例を示す断面図(その4〜6)である。 図7G、図7H及び図7Iは、第1実施形態に係る圧電発電装置の製造方法の一例を示す断面図(その7〜9)である。 図7J、図7K及び図7Lは、第1実施形態に係る圧電発電装置の製造方法の一例を示す断面図(その10〜12)である。 図7M、図7N及び図7Oは、第1実施形態に係る圧電発電装置の製造方法の一例を示す断面図(その13〜15)である。 図7P、図7Q及び図7Rは、第1実施形態に係る圧電発電装置の製造方法の一例を示す断面図(その16〜18)である。 図8A、図8Bは、第1実施形態に係る圧電発電装置の製造方法の一例を示す平面図(その1、2)である。 図8C、図8Dは、第1実施形態に係る圧電発電装置の製造方法の一例を示す平面図(その3、4)である。 図9A、図9Bは、第1実施形態に係る圧電発電装置の重心調整に使用される微粒子含有液の作成工程を示す断面図である。 図10Aは、第1実施形態に係る圧電発電装置に第3電極を付け加えた状態を示す平面図、図10Bは、図10AのII−II線断面図である。 図11は、図10Aに示す圧電発電装置の錘部の重心を調整する制御回路の回路図である。 図12は、第1実施形態に係る圧電発電装置に2つの圧電セルを取り付けた状態を示す平面図である。 図13A、図13Bは、第2実施形態に係る圧電発電装置の錘部の重心位置を違えた状態を示す平面図である。 図14は、第2実施形態に係る圧電発電装置の錘部に取り付けられるツイストボールの製造方法の一例を示す断面図である。 図15は、第2実施形態に係る圧電発電装置の他の例を示す断面図である。 図16Aは、第3実施形態に係る圧電発電装置の平面図、図16Bは図1AのIII−III線断面図である。 図17A、図17Bは、第4実施形態に係る圧電発電装置の錘部の重心位置を違えた状態を示す平面図である。 図18A、図18B、図18Cは、第5実施形態に係る圧電発電装置の錘部の重心位置を違えた状態を示す平面図である。 図19A、図19Bは、第6実施形態に係る圧電発電装置の錘部の重心位置を違えた状態を示す平面図である。 図20Aは、第7実施形態に係る圧電発電装置を示す断面図、図20B、図20C、図20D、図20Eは、第7実施形態に係る圧電発電装置の錘部の凹部内の充填材の充填状態を示す断面図である。 図21Aは、第8実施形態に係る圧電発電装置の平面図、図21Bは図21AのIV−IV線の断面図である。 図22A〜図22Hは、第8実施形態に係る圧電発電装置の錘部の重心の違いによるカンチレバー及び錘部の振動状態を示す斜視断面図である。 図23は、図22A〜図22Hに示した圧電発電装置のそれぞれの共振周波数と圧電セルによる発電電力の大きさの関係を図である。 図24は、第9実施形態に係る圧電発電装置の電力出力装置を示すブロック図である。 図25は、第9実施形態に係る圧電発電装置の重心制御回路にパルスを供給するための信号送信装置を示すブロック図である。 図26は、第9実施形態に示す圧電発電装置の重心制御回路にパルスを供給するためのフローチャートである。 図27は、第10実施形態に係る圧電発電装置の重心制御回路にパルスを供給するための信号送信装置を示すブロック図である。 図28は、第10実施形態に係る圧電発電装置のカンチレバー先端の錘部の重心位置を外部の加速度と外部の振動数との関係で示す特性図である。 図29は、第10実施形態に示す圧電発電装置を制御するためのフローチャートである。 図30は、第11実施形態に係る圧電発電装置のカンチレバー先端の錘部の重心を調整する信号送信装置のブロック図である。 図31は、第11実施形態に示す圧電発電装置を制御するためのフローチャートである。 図32は、第12実施形態に係る圧電発電装置を示すブロック図である。 図33は、第12実施形態に示す圧電発電装置を制御するためのフローチャートである。
以下に、図面を参照して好ましい実施形態を説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
(第1の実施の形態)
図1Aは、第1実施形態に係る圧電発電装置を示す平面図、図1Bは、図1Aに示す圧電発電装置の断面図である。
図1A、図1Bにおいて、圧電発電装置1は、固定部2の先端中央から突出するカンチレバー3と、カンチレバー3の先端に形成される錘部4とを有している。固定部2は、後述する重心制御回路の配置領域として使用されてもよい。
固定部2、カンチレバー3及び錘部4は、シリコン基板、SOI基板等の半導体基板、SiCのような半絶縁性基板、アルミナ、ガラスエポキシのような絶縁基板、金属基板のいずれかをパターニングすることにより形成される。なお、図1Bは、SOI基板を使用した例を示し、シリコン基板15a、シリコン酸化層15b、シリコン層15cを有している。シリコン酸化層15cの上にはシリコン窒化膜17が形成されている。
錘部4の中央には凹部4aが形成され、凹部4a内には、微粒子含有液5が充填された重心調整部が形成されている。また、錘部4のうち凹部4aの前方及び後方には、第1電極6a、第2電極6bが埋め込まれている。なお、凹部4aの前方は、凹部4aから錘部4の先端への方向であり、後方は、凹部4aからカンチレバー3への方向である。
第1電極6aの上端には、錘部4、カンチレバー3及び固定部2のそれぞれの上面を通る第1引出配線7aが接続される。また、第2電極6bの上端には、錘部4、カンチレバー3及び固定部2のそれぞれの上面を通る第2引出配線7bが接続される。
固定部2上には電子回路として重心制御回路8が形成される。重心制御回路8は、第1引出配線7aを介して第1電極6aに接続されるとともに、第2引出配線7bを介して第2電極6bに接続されている。重心制御回路8は、例えば、図2A、図2Bに示すように第1、第2、第3及び第4の電界効果トランジスタ8a〜8dと直流電源8eを有している。
第1、第4の電界効果トランジスタ8a、8dのそれぞれの一方のソース/ドレインは直流電源8eのマイナス電極に接続され、第2、第3のトランジスタ8b、8cのそれぞれの一方のソース/ドレインは直流電源8eのプラス電極に接続されている。
第1、第3の電界効果トランジスタ8a、8cのそれぞれの他方のソース/ドレインは、第1引出配線7aを介して錘部4内の第1電極6aに接続されている。また、第2、第4の電界効果トランジスタ8b、8dのそれぞれの他方のソース/ドレインは、第2引出配線7bを介して錘部4内の第2電極6bに接続されている。
第1、第2の電界効果トランジスタ8a、8bのゲートは、第1ゲート端子8fに電気的に接続され、第3、第4の電界効果トランジスタ8c、8dのゲートは、第2ゲート端子8gに電気的に接続されている。
錘部4の上面には、凹部4a及び微粒子含有液5を覆う封止膜9が形成されている。
微粒子含有液5は、例えば、液体5aと、プラス又はマイナスに帯電された多数の微粒子5bとを有している。微粒子5bは、微粒子含有液5の体積の約半分を占める量で液体5a内に浸漬されている。
液体5aは、例えば、油類、トルエン、パラフィン系炭化水素などが使用される。油類として例えばシリコーンが使用される。
微粒子5bは、比重が大きな材料から形成されるとともに、体積当たりの数を多く確保できる大きさ、例えば数μm〜数十μmの大きさに形成されている。そのような微粒子5bとして、例えば、液体5aの中で帯電状態を保てる材料からなる粒子、例えば鉄、銅、鉛、カーボンブラック、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム等の微粒子、或いは後述するマイクロカプセルを使用する。一般に、酸化チタンの微粒子はプラスに帯電され、カーボンブラックの微粒子はマイナスに帯電される。
微粒子含有液5は、アクリル、ポリエチレンテレフタレート(PET)のような樹脂、或いはゼラチンのような物質から形成されるマイクロカプセル内に封入した状態で凹部5a内に供給されてもよい。
微粒子含有液5内の微粒子5bは電気泳動により移動される。従って、第1電極6a、第2電極6bの間に電界を発生させて微粒子5bを移動することにより、錘部4の重心の位置を変更することが可能になる。
カンチレバー3の上には圧電セル10が形成されている。圧電セル10は、図1Bに示すように、下部電極11、圧電膜12、上部電極13を有している。下部電極11は、圧電膜12及び上部電極13の形成領域から固定部2まで伸びる形状を有している。
圧電膜12は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT;Pb(Zr,Ti)3)膜から形成される。また、下部電極11、上部電極13は、例えばアルミニウム(Al)、プラチナ(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)等の金属から形成される。
上記の圧電発電装置1の固定部2は、例えば振動が発生する機器に取り付けられ、機器からの振動をカンチレバー3と錘部4に伝達する。
カンチレバー3の共振周波数は、錘部4の重心位置により異なる。微粒子含有液5内の微粒子5aがマイナスに帯電している場合に、その重心位置は次に示す方法により調整される。
まず、図2Aに示すように、重心制御回路8内で第1ゲート端子8fにパルス電圧を印加し、第1、第2の電界効果トランジスタ8a、8bのゲートに電圧を印加すると、第1、第2の電界効果トランジスタ8a、8bはオンする。
これにより、第1電極6aはマイナスに帯電し、第2電極6bはプラスに帯電し、第1電極6aと第2電極6bの間には電界が発生する。さらに、凹部4a内の微粒子含有液5中ではマイナスに帯電した微粒子5が電界によって第2電極6b寄りに移動する。そのような微粒子5bの移動により、錘部4内の重心は、カンチレバー3寄りに移動する。
これに対し、図2Bに示すように、重心制御回路8内で第2ゲート端子8gにパルス電圧を印可し、第3、第4の電界効果トランジスタ8c、8dのゲートに電圧を印加すると、第3、第4の電界効果トランジスタ8c、8dはオンする。
これにより、第1電極6aはプラスに帯電し、第2電極6bはマイナスに帯電し、第1電極6aと第2電極6bの間には電界が発生する。さらに、凹部4a内の微粒子含有液5中ではマイナスに帯電した微粒子5が電界によって第1電極6a寄りに移動する。そのような微粒子5bの移動により、錘部4内の重心は、錘部4先端寄りに移動する。
微粒子含有液5の重心を凹部4aのほぼ中央に移動する方法として、例えば、図3Aに示すような波形の電圧を重心制御回路8から第1、第2電極6a、6bに印加する。図3Aに示す電圧は、第2電極6bに対して第1電極6aを連続的にプラス電圧とマイナス電圧に印加するパルス状の交流波形を有し、その振幅が時間経過とともに徐々に減衰するように変化する。
そのような交流電圧により、凹部4a内では微粒子5bが前方と後方に往復動しながら徐々に中央底部に集まり、移動を停止する。これにより、微粒子含有液体5の重心は凹部4aのほぼ中央に位置する。
図3Aに示すパルス信号を供給する重心制御回路8を図3Bに例示する。図3Bにおいて、直流電源8eには電圧調整回路8hが直列に接続されている。また、第1、第2のゲート端子8f、8gと電圧調整回路8hにはパルス制御回路8iが接続されている。
パルス制御回路8iは、図3Aに示す信号を出力する際に、第1のゲート端子8fと第2のゲート端子8gに交互にパルス信号を印加するとともに、出力電圧調整回路8hの抵抗値を徐々に増加させて直流電源8eから第1、第2電極6a、6bに供給される電圧を徐々に低くする。また、パルス制御回路8iは、図2A、図2Bに示す信号を出力する際に、出力電圧調整回路8hの抵抗値を一定にするとともに、第1のゲート端子8f、第2のゲート端子8gのいずれかを選択してパルス信号を出力する。
なお、パルス制御回路8iは、第1、第2のゲート端子8f、8gに交互に連続してパルス電圧を印加する例えばトグルフリップフロップ(T−FF)回路を有する。また、出力電圧調整回路8hは、例えば、複数の電界効果トランジスタのソース/ドレインを並列に接続した回路を有する。
以上のように、重心制御回路8により凹部4a内の重心位置を調整した後に、第1、第2電極6a、6bへの電圧印加を停止すると、第1電極6aと第2電極6bは、停止前の帯電状態を維持する。従って、凹部4a内で調整された重心の位置はそのまま保持される。
以上のような圧電発電装置1によれば、錘部4内の重心位置を制御して錘部4及びカンチレバー3の共振周波数を変化させることが可能になる。これにより、圧電発電装置1を取り付ける振動機器の振動状況に合わせてカンチレバー3の共振周波数を変え、カンチレバー3の上下の振幅を大きくして圧電セル10から電力を効率良く発生させることが可能になる。
次に、錘部4の重心位置の違いによるカンチレバー3及び錘部4の共振周波数の変化の例を計算により示す。この場合のカンチレバー3と錘部4のモデルの断面を図4のX−Y座標で示す。この場合のカンチレバー3及び錘部4はシリコンから形成される。
計算の対象となる圧電発電装置1のカンチレバー3について、固定部2から錘部4方向への長さを1.5mm、幅を1mm、厚みを20μmとする。また、錘部4について、長さを1.5mm、幅を1mm、厚みを1mmとする。なお、図4において、長さはX方向、厚みはY方向、幅は紙面に垂直な方向である。
図4における錘部4内に封入される微粒子含有液5の外形は直径900μmの球形である。また、球形の微粒子含有液5の中心は、微粒子含有液5の無い状態の錘部4の重心に一致している。さらに、微粒子含有液5内の多数の微粒子5bとして鉛微粒子を用いる。微粒子5bの総体積は、体積で換算して微粒子含有液5内の約半分を占めている。なお、微粒子含有液5において微粒子5bの移動を自由にするために、微粒子5bは流動性を有する液体5a内に浸漬される。
カンチレバー3の幅方向の電界をゼロとすると、その幅方向で微粒子5bの重心は錘部4の幅の中央、即ち錘部4の側面から0.5mmの位置に存在する。従って、重心の移動は、図4に示すようにカンチレバー3を水平に保持した状態で、カンチレバー3の横方向(X方向)と縦方向(Y方向)になる。
なお、図1A、図1Bに示した第1及び第2電極6a、6b、第1及び第2引出配線7a、7bがカンチレバー3及び錘部4に占める体積の割合は小さい。従って、第1及び第2電極6a、6b、第1及び第2引出配線7a、7bの重さはシミュレーションでは省略している。
微粒子5bの重心は、重心制御回路8による第1、第2電極6a、6bの電圧制御により図5A、図5B及び図5Cに示すように移動する。
図5Aは、微粒子5bの重心が錘部4の先端寄りに位置している状態を示す。図5Bは、微粒子5bの重心が錘部4のほぼ中央に位置している状態を示す。さらに、図5Cは、微粒子5bの重心がカンチレバー3寄りに位置している状態を示す。
図5Aにおいて、XY座標における錘部4の重心の位置Xc、Ycは、0.826mm、0.500mmとなる。また、図5Bにおいて、XY座標における錘部4の重心の位置Xc、Ycは0.750mm、0.576mmとなる。図5Cにおいて、XY座標における錘部4の重心の位置Xc、Ycは、0.653mm、0.493mmとなる。
従って、図5A、図5Cの重心を比較すると、錘部4の重心のX方向の最大の移動距離は約173μmとなる。また、図5A、図5B及び図5Cにおけるそれぞれの重心を比較すると、錘部4の重心のY方向の最大の移動距離は約80μmとなる。
カンチレバー3及び錘部4の固有振動の計算に用いる臨界減衰比を0.2%とすると、図5A、図5B、図5Cに示す重心位置の違いにより、カンチレバー3の共振周波数は図6に示すように変化する。即ち、図5Aに示す前重心状態での共振周波数は242Hzとなり、図5Bに示す中央重心状態での共振周波数は248Hzとなり、図5Cに示す後重心状態での共振周波数は261Hzとなる。
従って、圧電発電装置1が取り付けられる機器の振動数に応じて錘部4の重心を移動させることにより、圧電セル10の発電効率が最も高くなるようにカンチレバー3の共振周波数を最適な値に設定することが可能になる。
なお、重心調整部である微粒子含有液5を入れるための凹部4aの形状は、底部が半球状の円柱に限られるものではなく、例えば四角柱状、楕円柱状であってもよい。
次に、圧電発電装置1の製造方法の一例を図7A〜図7R、図8A〜図8Dに基づいて説明する。なお、図7A〜図7Rは圧電発電装置1を形成する工程を示す断面図、図8A〜図8Dは、圧電発電装置1を形成する工程を示す平面図である。
圧電発電装置1を形成するために、図7Aに例示するようなSOI基板15を用意する。SOI基板15は、シリコン基板15aの上にシリコン酸化層15b、シリコン層15cを形成した構造を有する。SIO基板15において、シリコン基板15aの厚さは例えば約500μmであり、シリコン酸化層15bの厚さは約1μm、シリコン層の厚さは約3μmである。
SOI基板15は、複数の圧電発電装置1が形成される領域を有しているが、以下では1つの圧電発電装置の形成方法について説明する。
まず、図7B、図8Aに示すようにSOI基板15のシリコン層15cの上に、第1マスクを形成する。第1マスク16は、図1Aに示す圧電発電装置1と同じ平面形状のパターンを有し、固定部形成領域、カンチレバー形成領域及び錘部形成領域を有する。また、第1マスク16は、錘部形成領域のうち第1、第2電極6a、6bを形成する領域に第1、第2開口部16a、16bを有している。
第1、第2開口部16a、16bのそれぞれの平面形状は、例えば約50μmの幅と約3μmの奥行きを有する四角形とする。この場合、幅の方向は、図7Bの紙面に対して垂直方向である。
第1マスク16として、例えば、約2μmの厚さを有するレジストパターンを用いる。レジストパターンは、シリコン層15c上にフォトレジストを塗布し、さらにフォトレジストを露光、現像することにより形成される。
なお、第1マスク16としてハードマスクを使用してもよい。ハードマスクは、窒化シリコン、酸化シリコン等のハード膜上にレジストパターンを形成し、レジストパターンをマスクに使用してハード膜をエッチングすることにより形成される。
次に、図7Cに示すように、第1マスク16から露出している領域のシリコン層15cをエッチングする。これにより、第1マスク16の下に残されたシリコン層15cは、固定2及び錘部4の一部とカンチレバー3に使用される。また、第1マスク16の第1、第2の開口部16a、16bの下には、第1、第2の溝部4b、4cが形成される。
シリコン層15cのエッチング方法として、ドライエッチング法、例えば反応性イオンエッチング法、プラズマエッチング法を用いる。エッチングガスとして、例えば、シリコン酸化層15bに対するシリコン層15cのエッチング選択比が大きい塩素系ガスを使用する。
なお、エッチング方法として、例えばKOHを含む薬液を用いるウェットエッチング法を用いてもよい。
その後に、図7D、図8Bに示すように、第1マスク16を除去する。第1マスク16としてレジストパターンを用いる場合には、レジストパターンの除去方法は、溶剤を用いるウェット処理、或いはオゾンを使用するドライアッシングのいずれであってもよい。また、第1マスク16としてハードマスクを用いる場合には、例えば、酸化シリコンのハードマスクは例えばフッ酸で除去され、窒化シリコンのハードマスクは例えば熱リン酸で除去される。
次に、図7Eに示すように、シリコン層15cの上面と第1、第2の溝部4b、4cの内周面及び底面の上に絶縁膜としてシリコン窒化膜17を例えばCVD法により形成する。シリコン窒化膜17は、第1、第2の溝部4b、4cを完全に埋め込まない厚さ、例えば約100nmに形成される。
次に、図7Fに示すように、シリコン窒化膜17上に銅(Cu)シード膜(不図示)をスパッタ法により約50nmの厚さ形成した後、Cuシード膜上にCu膜18を電解メッキ法により形成する。Cu膜18は、第1、第2の溝4b、4c内を完全に充填する厚さに形成される。
ところで、Cu層18とCuシード層(不図示)を形成する前に、固定部2、カンチレバー3及び錘部4であるシリコン層15cの周囲のシリコン窒化膜17上にフォトレジストを形成する。これにより、Cu層18の形成後にフォトレジストを溶剤により除去すると、パターニングされたシリコン層15c上にCu膜18が選択的に残される。
その後に、図7Gに示すように、Cu膜18を例えば化学機械研磨(CMP)法によってシリコン層15cの上方から除去する。この場合、シリコン窒化膜17は研磨ストッパーとして機能する。これにより、第1、第2の溝4b、4c内に残されたCu膜18を上記の第1、第2電極6a、6bとして使用する。
次に、図7Hに示すように、第1、第2電極6a、6b及びシリコン窒化膜17上に第1導電膜11a、圧電膜12及び第2導電膜13aを順に形成する。第1、第2導電膜11a、13aとして、例えば、アルミニウム膜をスパッタ法により約0.15μmの厚さにそれぞれ形成する。また、圧電膜12として、例えば、PZT膜をCVD法により約1μmの厚さに形成する。
第1、第2導電膜11a、13aの材料として、アルミニウムの他に、ニッケル(Ni)、プラチナ(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)、銅(Cu)、チタン(Ti)等の金属や、窒化チタン(TiN)等の導電性窒化物、炭化タングステン(WC)等の炭化物、或いは、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性酸化物が使用される。
また、圧電膜12の材料として、PZTの他に、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT;(Pb,La)(Zr,Ti)O3)、ニオブ(Nb)添加PZT、さらにはPNN−PZT(Pb(Ni,Nb)O3−PbTiO3−PbZrO3)、PMN−PZT(Pb(Mg,Nb)O3−PbTiO3−PbZrO3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)等のペロブスカイト酸化物が挙げられる。また、これらの材料の他に、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸リチウム(LiTiO3)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などが使用される。
次に、図7I、図8Cに示すように、第2導電膜13a上に第2マスク19を形成する。第2マスク19は、カンチレバー3上に圧電セル10を形成するための平面形状、例えば四角形に形成される。第2マスク19として、第1マスク16と同様に、例えば約2μmの厚さを有するレジストパターンを用いる。なお、第2マスク19として、第1マスク16と同様にハードマスクを使用してもよい。
次に、図7Jに示すように、第2マスク19に覆われない領域の第2導電膜13a及び圧電膜12を例えばスパッタエッチング法により除去する。これにより、第2マスク19の下に残された第2導電膜13aを上部電極13として使用する。また、圧電膜12は上部電極13と同じ平面形状にパターニングされる。
その後に、第1マスク16の除去と同じ方法により、第2マスク19を除去する。
続いて、図7K、図8Dに示すように、第1導電膜11a、第2導電膜13及び圧電膜12の上に第3マスク20を形成する。第3マスク20は、第1マスク16と同様にフォトレジスト又はハード膜から形成され、圧電セル形成パターン20aと第1、第2配線形成パターン20b、20cを有している。
圧電素子形成パターン20aは、上部電極13及び圧電膜12を覆うとともに、上部電極13から固定部2上にはみ出す領域を覆う平面形状を有している。また、第1配線形成パターン20bは、第1電極6aの上から固定部2に延びる線状領域を有している。さらに、第2配線形成パターン20cは、第2電極6bの上から固定部2に延びる線状領域を有している。
次に、図7Lに示すように、第3マスク20に覆われない領域の第1導電膜11aを例えばスパッタエッチング法により除去する。これにより第1導電膜11aはパターニングされる。
これにより、第3マスク20のうち圧電素子形成パターン20aの下には、図1Aに示したように、上部電極13の下方から固定部2上に延びる下部電極11が形成される。また、第3マスク20のうち第1、第2配線形成パターン20b、20cのそれぞれの下には、図1Aに示したように、上部電極13の両側を通る第1、第2引出配線7a、7bが形成される。その後に、図7Mに示すように、第3マスク20を除去する。
上部電極13、圧電膜12及び下部電極11は、図1A、図1Bに示す圧電セル10として使用される。
次に、図7Nに示すように、シリコン基板15aの下面上に第4マスク21を形成する。第4マスク21は、固定部2と錘部4の間のカンチレバー3の下とその両側を露出する形状を有している。第4マスク21は、第1マスク16と同様にフォトレジスト又はハード膜から形成される。
その後に、図7Oに示すように、第4マスク21から露出したシリコン基板15aをエッチングして酸化シリコン層15bを露出させる。シリコン基板15aのエッチングは、ドライエッチング、ウェットエッチングのいずれでもよい。ドライエッチングのエッチングガスとして例えば塩素系ガスを使用する。また、ウェットエッチングの場合には、例えばKOHを含む薬液を使用する。
これにより、カンチレバー3の下とその両側のシリコン酸化層15bが第4マスク21から露出する。
第4マスク21は、固定部2と錘部4のそれぞれの下を覆う平面形状であってもよい。これにより、エッチング後には、第4マスク21の上のシリコン基板15a及びシリコン層15cによりカンチレバー3、固定部2及び錘部4が形成される。
その後に、図7Pに示すように、第4マスク21から露出したシリコン酸化層15bをフッ酸によって除去する。なお、露出したシリコン窒化膜17は、例えば熱リン酸により除去されてもよい。
次に、図7Qに示すように、SOI基板15から形成された錘部4の中央に例えばCOレーザを照射して凹部4aを形成する。その凹部4aの底部は略球状、略半球状に形成されることが好ましい。
次に、図7Rに示すように、図1Bに示した微粒子含有液5を凹部4a内に充填する。微粒子含有液5に含まれる微粒子5bはマイクロカプセル構造を有してもよく、そのようなマイクロカプセルは例えば図9A、図9Bに示す方法で形成される。
図9Aは、微粒子含有液5を形成するための液24を容器23内に入れた状態を示している。液24は次のような方法により形成される。
まず、炭化水素溶媒のような非極性の有機溶媒を用いて電気泳動粒子を分散させた液、即ち電気泳動粒子分散液を容器23内に入れる。さらに、容器23内の電気泳動粒子分散液に水、乳化剤及びカプセル膜形成物質を加えることにより、電気泳動粒子分散液を水中で液滴化(エマルション化)する。この場合、容器23内の液24を機械的に撹拌することにより、電気泳動粒子分散液内に形成される液滴25aの径をできるだけ揃える。
続いて、液滴25a表面に高分子膜を形成することにより、電気泳動粒子を内包したマイクロカプセルを作成する。この場合、高分子膜が電気泳動粒子の電気泳動を妨げないようにする。
例えば、尿素とホルムアルデヒドをアルカリ性水溶液中で加熱して反応させて得たプレポリマー水溶液を容器23内の液24に加える。その後に、容器23内の液24を加熱拡散すると、図9Bに示すように液滴25aに高分子25bが沈積する。
これにより電気泳動粒子を内包したマイクロカプセル25が形成される。容器23内の液24は、上記の微粒子含有液5であり、また微粒子含有液5内のマイクロカプセル25は、上記の微粒子含有液5内の微粒子5bである。さらに、容器23内の液24のうちマイクロカプセル25を除いた液は、上記の微粒子含有液5の液5aである。
このような相分離法を用いてマイクロカプセル25を形成することにより、カプセル膜であるモノマーは全て水相中に存在しているため、水相内物質が分散相に与える影響は抑制される。そのような液体内のマイクロカプセルは例えばマイナスに帯電される。
なお、マイクロカプセルの形成方法は、上記の方法に限定されるものではない。例えば、電子ブックに用いられるマイクロカプセルを使用してもよい。そのようなマイクロカプセルは、B. Comiskey et al., Nature, 394, 1997, pp.253-255、H. Yoshizawa et al., Journal of Microencapsulation, Vol.21, No.3, 2004, pp.241-249等に記載されている。
微粒子含有液5を錘部4の凹部4a内に滴下した後に、図1Bに示したように、被覆膜9により微粒子含有液5を凹部4a内に封止する。被覆膜9として、例えばエポキシ系接着剤をシリコン層15cの上に供給する。
ところで、図10Aの平面図、図10Bの断面図に示すように、錘部4の底面に、凹部4aに電界を及ぼす第3電極6cを形成してもよい。第3電極6cは、錘部4の先端に形成された導電膜26を介して錘部4上の第3引出配線7cに接続される。第3引出配線7cは、カンチレバー3及び固定部2上に引き出されて重心制御回路8に接続される。
第3電極6cの形成は例えば次のような方法で形成される。
まず、図7Lに示した方法により第1、第2引出配線7a、7bを形成すると同時に、錘部4、カンチレバー3及び固定部2の上に第3引出配線7cを形成する。さらに、錘部4に凹部4aを形成する前に、錘部4の下面をエッチングすることにより錘部4を薄くする。続いて、錘部4の下面に第3電極6cを形成した後に、錘部4の先端面上に側壁配線26を形成する。これにより、第3電極6cは、側壁配線26を介して第3引出配線7cに電気的に接続される。
第3電極6cを形成する場合には、重心制御回路8は例えば図11に示す等価回路を有する。
図11において、重心制御回路8は、第1〜第4の電界効果トランジスタ8a〜8dの他に、第5、第6の電界効果トランジスタ8i、8jを有している。
第5の電界効果トランジスタ8iにおいて、一方のソース/ドレインは、直流電源8eのマイナス極に接続され、他方のソース/ドレインは第1、第2電極6a、6bに接続されている。また、第6の電界効果トランジスタ8jにおいて、一方のソース/ドレインは、直流電源8eのプラス極に接続され、他方のソース/ドレインは第3電極6cに接続されている。さらに、第5、第6の電界効果トランジスタ8i、8jのゲートは、第3ゲート端子8kに接続されている。
図10Bにおいて、錘部4内の複数の微粒子5bの重心を凹部4aのほぼ中央に移動させる場合には、第3ゲート端子8kにパルス電圧を印可して第5、第6の電界効果トランジスタ8i、8jをオンにする。
これにより、微粒子5bの帯電極性と反対極性の電圧が第3電極6cに印加される一方、第1、第2電極6a、6bには、微粒子の帯電極性と同じ極性の電圧が印加される。これにより、微粒子6bの集合の重心は凹部4aのほぼ中央に位置する。
従って、図10A、図10Bに示した圧電発電装置1によれば、凹部4a内で重心の位置を、カンチレバー3の長手方向に対して前部、中央部、後部のいずれかに移動させることが可能になる。
このように重心調整部により錘部4の重心を移動させることにより、圧電発電装置1のカンチレバー3の共振周波数を変えることが可能になる。従って、圧電発電装置1が取り付けられる機器の共振周波数に応じて、圧電セル10の発電効率が最も高くなるようにカンチレバー3の共振周波数を最適な値に設定することが可能になる。
ところで、圧電発電装置1において、図12に示すように、固定部2と錘部4の間には間隔をおいてカンチレバー3を複数形成してもよい。複数のカンチレバー3の上には、それぞれ圧電セル10が取り付けられる。
以下の実施形態においてもカンチレバー3を複数形成し、その上に圧電セル10を形成してもよい。また、以下の実施形態において第3電極7cを設けてもよい。
なお、上記の凹部4aの形状は、底部が半球状の円柱状に限られるものではなく、例えば四角柱状、楕円柱状であってもよい。
(第2の実施の形態)
図13A、図13Bは、第2実施形態に係る圧電発電装置と重心移動を示す平面図であり、図1A、図1Bと同じ符号は同じ要素を示している。
図13A、図13Bにおいて、圧電発電装置30は、第1実施形態と同様に、固定部2、カンチレバー3及び錘部4、第1電極6a、第2電極6b、第1引出配線7a、第2引出配線7b、重心制御回路8を有している。
錘部4のほぼ中央には、半球状の底部を有する凹部4aが形成され、その中には重心調整部31が充填され、重心調整部31は、第1実施形態と同様に、錘部4の上に形成される封止膜(不図示)により封止される。
重心調整部31は、凹部4a内に入れられるツイストボール32と、凹部4aの内壁とツイストボール32の間に供給されるシリコーンオイル33を有している。ツイストボール32は、プラス表面領域とマイナス表面領域を有する球状の回転体であり、例えばアクリル、シリコン、ガラスのような球体32aの一部を帯電可能な誘電膜32bで覆った構造を有している。
ツイストボール32は、例えば図14に示すように、球体32aの半分を支持基盤34上の粘着層35に埋め込んだ状態で、球体32aの露出面上に帯電膜32bを蒸着することにより形成される。
帯電膜32bは、図14では半球状に形成されているが、蒸着の方向によって形状を図中左右非対称としてもよい。非対称の帯電膜32の重心は、ツイストボール32の回転中心又は形状中心からから外れる。
なお、帯電膜32bは、凹部4a内に供給される前に例えば摩擦により帯電される。
帯電膜32bを形成するためのプラス帯電材としては例えばアルミニウムがあり、マイナス帯電材料として例えばフッ素樹脂がある。帯電膜32bをマイナス帯電材料から形成する場合にはツイストボール32の重心は次の方法により移動される。
重心制御回路8の制御により、第1電極6aをマイナスに帯電させ、第2電極6bをプラスに帯電させると、図13Aに示すように、マイナスに帯電した帯電膜32bは静電気力により第2電極6bに吸引される。また、プラスに帯電した球体32aの露出面は静電力により第1電極6aに吸引される。これにより、ツイストボール32は、回転し、帯電膜43bが第2電極6bに近づいた状態で安定し、凹部4a内の重心はカンチレバー3寄りに移動する。
一方、重心制御回路8の制御により、第1電極6aをプラスに帯電させ、第2電極6bをマイナスに帯電させると、図13Bに示すように、マイナスに帯電した帯電膜32bは静電気力により第1電極6aに吸引される。また、プラスに帯電した球体32aの露出面は静電力により第2電極6bに吸引される。これにより、ツイストボール32は、回転し、帯電膜43bが第1電極6aに近づいた状態で安定し、凹部4a内の重心は錘部4の先端寄りに移動する。
それら2つの状態を比べると、ツイストボール32の重心の位置が異なるので、いずれかの状態を選択することにより、第1実施形態と同様に錘部4及びカンチレバー3の共振周波数が調整される。
ところで、図3Aに示したと同様に、時間経過とともに波高値が徐々に減衰する交流電圧を第1、第2電極6a、6bに印加する方法によってツイストボール32の重心をほぼ中央に位置させてもよい。
また、図10A、図10B、図11に示すように、第1、第2及び第3電極6a、6b、6cを設け、それらの電極6a、6b、6cに印加する電圧を制御することにより、ツイストボール32の重心を調整するようにしてもよい。
ところで、凹部4a内に形成される重心調整部31は、ツイストボール32に限られるものではなく、例えば図15に示す回転体であってもよい。この回転体は、外周面の半分が帯電膜36bにより覆われる円柱36aを有している。この場合、円柱36aの露出領域と帯電膜36bのうち一方はマイナス、他方がプラスに帯電される。
円柱状の重心調整部31は、円柱状の凹部4dに収納され、円柱の中心軸の周りに回転する。この場合も、重心調整部31の回転をスムーズにするために、凹部4d内には潤滑液33、例えばシリコーンオイルが充填される。
なお、本実施形態における重心調整部31は、球形、円柱状に限られるものではなく、回転方向に沿ってプラス領域とマイナス領域を備えた回転体であればよい。
(第3の実施の形態)
図16A、図16Bは、第3実施形態に係る圧電発電装置を示す平面図、断面図であり、図1A、図1Bと同じ符号は同じ要素を示している。
図16において、圧電発電装置41は、第1実施形態と同様に、固定部2、カンチレバー3及び錘部4、第1電極6a、第2電極6b、第1引出配線7a、第2引出配線7b、重心制御回路8を有している。
錘部4のほぼ中央には、四角柱状の凹部4eが形成され、凹部4e内には重心調整部42が形成されている。重心調整部42は、空間42a内に帯電微粒子42b、例えば帯電した鉛粒子が供給される構造を有している。また、重心調整部42は、錘部4の上に形成される封止膜9により密封される。封止膜9として、非帯電シート、例えばポリ塩化ビニルシートを使用する。
上記のような本実施形態に係る圧電発電装置41のカンチレバー3の共振周波数を調整するために、例えば、封止膜9により封止された凹部4aの空間42a内に帯電微粒子42bとしてマイナスに帯電した鉛微粒子を入れる。さらに、第1実施形態に示した重心制御回路8から第1引出配線7aを通して第1電極6aをプラスに帯電し、同時に重心制御回路8から第2引出配線7bを通して第2電極6bをマイナスに帯電する。これにより、帯電微粒子は、凹部4a内で第1電極6a寄りに移動し、帯電微粒子42bの集合の重心は錘部4の先端側に移動する。
これに対し、重心制御回路8により第1電極6aをマイナスに帯電し、同時に第2電極6bをプラスに帯電すると、凹部4a内の帯電微粒子42bは第2電極6b寄りに移動し、帯電微粒子42bの集合の重心はカンチレバー3寄りに移動する。
このように、錘部4の重心の位置を調整することによりカンチレバー3の共振周波数を調整することができ、圧電発電装置41が取り付けられる機器の振動に応じて最適な電力が圧電セル10から出力される。
なお、錘部4の凹部4aの空間内のガスは、例えば空気、或いは窒素、アルゴンのような不活性ガスを用いてもよい。また、凹部4a内を減圧してもよい。
さらに、図3Aに示すと同様に、第1、第2電極6a、6bに交互電圧を印加するとともに、時間経過に伴って交流電圧の波高値を徐々に減衰する方法により帯電粒子42bをほぼ中央に移動してもよい。また、帯電粒子42bの移動は、図10A、図10B、図11に示すように、第1、第2及び第3電極6a、6b、6cに印加する電圧を制御することにより調整してもよい。
(第4の実施の形態)
図17Aは、第4実施形態に係る圧電発電装置を示す平面図であり、図1Aと同じ符号は同じ要素を示している。
図17Aにおいて、圧電発電装置43は、第1実施形態と同様に、固定部2、カンチレバー3及び錘部4、第1引出配線7a、第2引出配線7b、重心制御回路8を有している。また、固定部2上において、第1引出配線7aには、図2Aに示した重心制御回路8の第1、第2の電界効果トランジスタ8a、8bが接続され、第2引出配線7bには、重心制御回路8の第3、第4の電界効果トランジスタ8c、8dが接続されている。
錘部4のほぼ中央には、五角柱状の凹部4fが形成されている。五角柱の凹部4fのうち錘部4先端に最も近い位置で交わる2つの側面には、それぞれアクチュエータ収納用凹部4g、4hが形成されている。
アクチュエータ収納用凹部4g、4h内には、それぞれ圧電マイクロアクチュエータ44が取り付けられている。圧電マイクロアクチュエータ44は、圧電体44aとその両面に形成された一対の電極44b、44cを有している。圧電体44aは、圧電横効果により凹部4c内に突出する構造を有している。圧電体44aは、第1実施形態に示した圧電膜12に適用される圧電材料のいずれから形成されている。
2つの圧電マクロアクチュエータ44の一対の電極44b、44cにおいて、一方の電極44bは第1引出配線7aに接続され、他方の電極44cは第2引出配線7bに接続されている。
また、凹部4c内には、略五角柱の重心移動体45が置かれている。重心移動体45は、質量の大きな材料、例えば鉛から形成され、少なくともカンチレバー3の長手方向に移動可能な形状を有する。重心移動体45の移動距離は特に限定されるものではないが、例えば200μm〜300μmとする。
重心移動体45において、錘部4先端に最も近い位置で交わる2つの側面は、それぞれ圧電マイクロアクチュエータ44の圧電体44aの先端に接触する接触面となっている。圧電マイクロアクチュエータ44に接触する2つの側面は互いに例えば約90度の角度で交わり、それらの側面に隣接する他の2つの面は互いに平行になっている。
さらに、重心移動体45の後端面と凹部4c内面の間には、錘部4の先端に向けて重心移動体45を付勢するバネ機構46が挟まれている。バネ機構46として本実施形態では凸状に湾曲した板バネを示しているが、スプリング、弾性ゴムその他の弾性体を使用してもよい。板バネの材料として、例えば金属や、或いはアクリルのような樹脂を用いる。
バネ機構46としてスプリングを使用する場合には、材料として、例えば炭素、鉄、シリコン等を含むニッケル合金、例えば商品名INCONEL:X−750、或いは、炭素、シリコン及びマンガンを主成分とする合金、例えば商品名SUP10を使用する。
なお、凹部4f及びアクチュエータ収納用凹部4g、4hの上端は、被覆板(不図示)によって覆われている。被覆板は、例えば、セラミック、ガラス等の絶縁材から形成される。
以上のような圧電発電装置43において、重心制御回路8が直流電圧を一対の電極44b、44cに印可し、圧電マイクロアクチュエータ44の圧電体44aを後退させる。これにより、図17Aに示すように、重心移動体45は、バネ機構46の付勢力により錘部4の先端に向けて移動し、錘部4の重心を錘部4先端寄りに移動させる。
一方、重心制御回路8は圧電マイクロアクチュエータ44の先端が前進する逆極性の電圧を一対の電極44b、44cに印可する。これにより、図17Bに示すように、重心移動体45は、凹部4f内のバネ機構46の付勢力に抗して移動し、錘部4の重心をカンチレバー3寄りに移動させる。
ところで、重心移動体45の移動後の位置を保持するために、バネ機構46を形状記憶合金から形成してもよい。この場合、バネ機構46の後端を凹部4fの内面に接続するとともに、バネ機構46の前端を重心移動体45の後端に接続する。形状記憶合金として、例えば、銅亜鉛アルミニウム合金、銅アルミニウムニッケル合金、ニッケルチタン合金を使用する。これにより、圧電マイクロアクチュエータ44への電圧の印加を停止しても重心の移動が防止される。
以上の圧電発電装置43の重心調整部によれば、錘部4の凹部4f内に重心調整のために移動可能な重心移動体45を設けるとともに、バネ機構46と圧電マイクロアクチュエータ44により重心移動体45の位置を調整している。
これにより、錘部4の重心位置の制御により、カンチレバー4の共振周波数が調整されるので、カンチレバー3上の圧電セル10の発電電力を効率良くすることができる。
(第5の実施の形態)
図18Aは、第5実施形態に係る圧電発電装置を示す平面図であり、図1Aと同じ符号は同じ要素を示している。
図18Aにおいて、圧電発電装置47は、第1実施形態と同様に、固定部2、カンチレバー3及び錘部4、第1引出配線7a、第2引出配線7b、重心制御回路8を有している。また、固定部2上における第1、第2引出配線7a、7bには重心制御回路8が接続される。
錘部4のほぼ中央には、四角柱状の凹部4iが形成されている。さらに、錘部4のうち四角柱状の凹部4iの後部にはアクチュエータ収納用凹部4jが形成されている。
アクチュエータ収納用凹部4j内には、圧電マイクロアクチュエータ48が取り付けられている。圧電マイクロアクチュエータ48は、圧電体48aとその両面に形成された一対の電極48b、48cを有し、圧電横効果によって凹部4c内に向けて進退可能に配置されている。圧電体48aは、第1実施形態に示した圧電膜12に適用される圧電材料のいずれかを使用する。
圧電マクロアクチュエータ48の一方の電極48bは第1引出配線7aに接続され、他方の電極48cは第2引出配線7bに接続されている。
また、凹部4i内には、カンチレバー3の長手方向に摺動可能な重心移動体49が収納されている。重心移動体49は、質量の大きな材料、例えば鉛から形成されている。重心移動体49の移動距離は特に限定されるものではないが、例えば200μm〜300μmとする。
重心移動体49の先端と凹部4i内面の間には形状記憶バネ50が取り付けられ、形状記憶バネ50の前端と後端はそれぞれ凹部4i内面と重心移動体49の前端に接着されている。
形状記憶バネ50は、変態温度Tで歪みが低減して元の形状に戻る材料から形成されている。そのような材料として、例えば、銅亜鉛アルミニウム合金、銅アルミニウムニッケル合金、ニッケルチタン合金がある。
なお、凹部4i及びアクチュエータ収納用凹部4jは、上から被覆板9aによって覆われている。被覆板9aは、例えば、セラミック、ガラス等の絶縁材から形成される。
以上のような圧電発電装置47において、図18Aに示す状態で、重心制御回路8から圧電マイクロアクチュエータ48の一対の電極48b、48cに電圧を印可する。これにより、図18Bに示すように、圧電マイクロアクチュエータ48の圧電体48aの先端は、凹部4iの先端面に向けて移動する。
圧電マイクロアクチュエータ48の移動により重心移動体49は押されて移動する。さらに、形状記憶バネ50は、重心移動体49に押されて縮む。そのような重心移動体49の移動により、凹部4i内の重心は錘部4の先端寄りに移動する。
重心移動体49の移動距離は、圧電マイクロアクチュエータ48の一対の電極48b、48cに印加する電圧の大きさを制御することにより、調整される。従って、重心移動体49の位置は、圧電マイクロアクチュエータ48への電圧調整により無段階で調整されることが可能になる。
形状記憶バネ50の変形は、形状記憶バネに変態温度T以上の熱が加えられるまでその形態を維持する。これにより、図18Cに示すように、重心制御回路8から圧電マイクロアクチュエータへの電圧の印加を停止しても、重心移動体49はそのままの状態を維持する。
一方、重心移動体49と圧電マイクロアクチュエータ48の間に隙間があって形状記憶バネ50が収縮している状態で、重心移動体49の位置を再調整する場合には、形状記憶バネ50を加熱して変態温度T以上の温度Tを加える。
これにより、図18Aに示すように、形状記憶バネ50の歪みは開放されて弾性力が大きくなるので、形状記憶バネ50は、その弾性力により重心移動体49をカンチレバー3に向けて移動させる。この結果、錘部4の重心はカンチレバー3寄りに移動する。
形状記憶バネ50を加熱して重心移動体49の位置調整を終えた後に、形状記憶バネ50への加熱を停止し、その温度を常温に戻す。これにより、重心制御回路8から圧電マイクロアクチュエータ48への電圧の印加を停止しても、重心移動体49の位置は保持される。
以上のように、錘部4の凹部4i内に重心移動体49を移動可能に設けるとともに、形状記憶バネ50及び圧電マイクロアクチュエータ48により重心移動体49の位置を調整している。そのような重心位置の制御により、カンチレバー3の共振周波数が調整されるので、カンチレバー3上の圧電セル10の発電効率を高くすることができる。
(第6の実施の形態)
図19Aは、第6実施形態に係る圧電発電装置を示す平面図であり、図1Aと同じ符号は同じ要素を示している。
図19Aにおいて、圧電発電装置81は、第1実施形態と同様に、固定部2、カンチレバー3及び錘部4、第1電極6a、第2電極6b、第1引出配線7a、第2引出配線7b、重心制御回路8を有している。
錘部4内には四角柱状の空洞4xが形成されている。空洞4x内には、重心調整部として、第1、第2電極6a、6b及び電解液82が入れられている。第1、第2引出配線7a、7bは、第1実施形態と同様に、カンチレバー3の根本の固定部4上に配置される重心制御回路8に接続されている。
第1電極6aは、例えば銀(Ag)から形成され、錘部4の先端寄りの内面に取り付けられ、さらに第1引出配線7aに接続されている。第2電極6bは、例えば酸化インジウム錫(ITO)から形成され、カンチレバー3寄りの内面に取り付けられ、さらに第2引出配線7bに接続されている。第2電極6bは、第1電極6aから間隔をおいて配置される。
電解液82として鉄、鉛、金、銀、銅等の重金属が含まれることが好ましい。銀を含む電解液82として、例えば、ハロゲンを含む支持電解質とともにハロゲン化銀を溶解した液を使用し、その液は空洞8x内に封入される。ハロゲン化銀として、例えばフッ化銀(AgF )、塩化銀(AgCl)、臭化銀(AgBr)、ヨウ化銀(AgI )がある。なお、銀の替わりに、金、プラチナ、リチウム等の金属を溶解した液を使用してもよい。
ハロゲン化銀を溶解するためのハロゲンを含む支持電解質として、例えば、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリム、塩化ナトリウム、ヨウ化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウムがある。
他の支持電解質として、例えば、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、チオシアン酸イソシアネート、硫化ナトリウムなど、過塩素酸塩、チオシアン酸塩、硫酸塩がある。また、ハロゲン化銀や支持電解質を溶解する溶媒として、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)がある。
以上のような圧電発電装置81において、図19Aに示すように、重心制御回路8から第1、第2電極6a、6b間に電圧を印可し、第1電極6aをプラス、第2電極6bをマイナスに帯電する。これにより、第1電極6aに含まれる銀83がプラスにイオン化して電解液82中に溶解し、第2電極6bに移動して電子を得て析出する。つまり、第2電極6bが銀メッキされた状態となる。
これにより、第1電極6aの一部の質量が第2電極6b表面に移動するために、錘部4の重心がカンチレバー3寄りに移動することになる。この結果、カンチレバー3及び錘部4の共振周波数が変化する。
これに対し、図19Bに示すように、重心制御回路8により第2電極6bをプラス、第1電極6aをマイナスに帯電させると、第2電極6bに析出した銀83がプラスにイオン化して再び電解液82中に溶解し、第1電極6aに戻ることになる。これにより、錘部4の重心は錘部4先端寄りに移動することになり、カンチレバー3及び錘部4の共振周波数が変化する。なお、第1、第2電極6a、6bに印加する電圧はパルスでなくてもよい。
以上の圧電発電装置81の重心調整部によれば、凹部4x内の電解液82における電解析出・溶解は第1、第2電極6a、6b間に電圧を印可した状態で生じる。そして、その後に第1、第2電極6a、6bへの電圧の印加を停止しても、銀83の析出や溶解には変化はなく、錘部4の重心は電圧切断前の状態で保持される。
そのような銀等の金属の析出は極めて精度良く制御することができ、かつ無段階に変化させることができる。
(第7の実施の形態)
図20Aは、第7実施形態に係る圧電発電装置を示す平面図であり、図1Aと同じ符号は同じ要素を示している。
図20Aにおいて、圧電発電装置51は、第1実施形態と同様に、固定部2、カンチレバー3及び錘部4が形成された基板を有している。
錘部4のほぼ中央には、重心調整用材を充填する空洞4kが形成されている。その空洞4kは、例えば略球状、略半球状に形成され、その上部は、空気孔52aと材料注入孔52bを有する蓋体52により覆われている。材料注入孔53bには材料供給管53が接続される。なお、空洞4kの大きさは、例えば約900μmの直径を有している。
空洞4k内には材料供給管53を通して外部から重心調整材54として例えば樹脂が注入され、注入量の調整により錘部4全体の重量が制御される。樹脂材として、例えば、エポキシのような熱硬化性樹脂が空洞4k内に注入され、その後に熱硬化される。なお、凹部4k内に重心調整材54を供給した後に、蓋体52の空気孔52a及び材料注入孔53bを接着剤で塞いでもよい。
重心調整材54は、錘部4における重心を次のような方法により調整される。
例えば、空洞4k内に供給された重心調整材54を硬化する際に、錘部4の先端を後端よりも下方に位置させた状態に保持する。これにより、図20Bに示すように、凹部4k内の重心は錘部4の前端寄りに位置する。
一方、錘部4の前端を後端よりも上方に位置させた状態で重心調整材54を硬化すると、図20Cに示すように、凹部4k内の重心は錘部4のカンチレバー3寄りに位置する。さらに。錘部4を略水平に保持した状態で重心調整材54を硬化すると、図20Dに示すように、錘部4の重心は空洞4k内のほぼ中央に位置する。
なお、図20Eに示すように、空洞4k内を空の状態にしてもよい。
以上のように、錘部4では、空洞4k内の重心調整材の重量及び取り付け位置を調整することにより、錘部4の重心が制御されてカンチレバー3の共振周波数が変化する。
上記のように、錘部4の重量及び重心の制御することにより、圧電発電装置51が取り付けられる外部装置の振動状態に合わせてカンチレバー3の共振周波数が調整されるので、カンチレバー3上の圧電セル10から効率よく電力を発生させることができる。
また、本実施形態では、錘部4の凹部4k内に充填される材料の重量とその重心位置の変更によりカンチレバー3の振動周波数を変える構造を採用したので、上記の他の実施形態に示した重心制御回路、引出配線及び電極は不要になる。
以上の構造では、空洞4k内に供給される重心調整材は、硬化後に再軟化が不可能な材料を使用してもよいし、硬化後に例えば加熱により再び流動性を回復できる材料を使用してもよい。硬化後に加熱により流動性を回復する材料として、例えば、はんだ材料として使用されるビスマス・錫合金、錫・ビスマス・インジウム合金がある。
(第8の実施の形態)
図21A、図21Bは、第8実施形態に係る圧電発電装置を示す平面図及び断面図であり、図1A、図1Bと同じ符号は同じ要素を示している。
図21A、図21Bにおいて、圧電発電装置55は、第1実施形態と同様に、固定部2、カンチレバー3及び錘部4を有している。錘部4には、カンチレバー3の長手方向に間隔をおいて第1、第2及び第3の凹部4s、4t、4uが形成されている。第1、第2及び第3の凹部4s、4t、4uは同一形状が好ましいが、異なる形状であってもよい。1〜第3の凹部4s、4t、4uのうち選択された領域には充填材56が充填される。
充填材56は、錘部4の重心の位置を変更するための重心調整材であり、例えば、樹脂、金属が選択される。樹脂として例えばエポキシ樹脂があり、金属として例えば鉛、鉛錫のいずれかを使用する。
充填材56は、流体又は半流体の材料を凹部4s、4t、4u内に供給した後にその材料を硬化してもよい。また、流体又は半流体を凹部4s、4t、4u内に供給した後に、その上に蓋を被せても良い。さらに、第1〜第3の凹部4s、4t、4uに充填できる形状に成型した固体を凹部4s、4t、4uに供給してもよい。
なお、図21A、図21Bでは、錘部4内に第1〜第3の凹部4s、4t、4uを形成した構造を例に挙げて示しているが、凹部は3つ以上であってもよい。
錘部4内にn個の凹部を形成し、n個の凹部から1又はn個を選択し、選択された凹部に充填材56を埋め込んで錘部の重量及び重心を変更すると、錘部4の重心位置及び重量の組み合わせは2のn乗、即ち2通り存在する。
従って、図21Aのように錘部4に第1〜第3の凹部4s、4t、4uを形成する場合にはn=3となるので、重心及び重量の組み合わせは図22A〜図22Hに示すように、8通りの組み合わせがある。
図22A〜図22Hに示す状態におけるカンチレバー3及び錘部4の共振周波数を計算すると、それぞれの共振周波数は図23に示すようになる。
図22A〜図22H、図23では、凹部が空の場合を“0”、凹部に充填材56が供給されている場合を“1”として、第1の凹部4s、第2の凹部4t、第3の凹部4uの順に“0”又は“1”が記載されている。
例えば、図22Aに示すように第1の凹部4s、第2の凹部4t、第3の凹部4uのそれぞれが空の場合には、図23では0−0−0で示されている。また、図22Bに示すように第1の凹部4s、第2の凹部4tのそれぞれが空で、第3の凹部4u内に充填材56が供給されている場合には、図23では0−0−1で示されている。さらに、図22Hに示すように、第1の凹部4s、第2の凹部4t、第3の凹部4uのそれぞれに充填材56が供給されている場合には、図23では1−1−1で示されている。
図22Aと図22Hについて、図4と同様なX−Y座標で求めると、図22Aの重心のXc、Ycはそれぞれ0.688mm、−0.252mmとなる。また、図22Hの重心のXc、Ycはそれぞれ0.750mm、−0.214mmとなる。これにより、錘部4の重心は、カンチレバー3の長手方向で約62μmの差が生じる。
以上により、錘部4内の第1〜第3の凹部4s、4t、4uのそれぞれに充填材56を埋め込むか否かを選択することにより、約384Hz〜約440Hzの範囲で、カンチレバー3の共振周波数が変更されることがわかる。なお、錘4が重くなるほどカンチレバー3の共振周波数は小さくなる。
なお、図23に示す計算は、カンチレバー3及び錘部4をシリコンから形成し、さらに、カンチレバー3の長さと幅を1.5mm、1mmとし、錘部4の縦と高さと幅をそれぞれ1.5mm、1mm、1mmとする。さらに、凹部4s、4t、4uの大きさを半径200μmの半球状にするとともに、凹部4s、4t、4uに埋め込む材料としてエポキシ樹脂を採用する。エポキシ樹脂は、例えば注射器を使用して凹部4s、4t、4uに供給される。また、臨界減衰比を0.2%とする。
以上のように、錘部4に凹部4s、4t、4uを複数形成するとともに、選択した凹部4s、4t、4uの中に充填材56を埋め込むことにより、錘部4及びカンチレバー3の共振周波数が調整される。このため、圧電発電装置55が取り付けられる機器の振動に合わせて錘部4及びカンチレバー3の共振周波数を変更することが可能になる。この結果、カンチレバー3上の圧電セル10に効率良く電力を発生させることができる。
また、本実施形態では、錘部4の複数の凹部4s、4t、4uを選択してその中に充填材56を充填することにより、錘部4全体の重量とその重心位置を変更する構造を採用したので、共振周波数変更のための電子回路、配線及び電極が不要になる。
なお、図21A、図21Bでは、錘部4に形成された複数の凹部凹部4s、4t、4uに選択的に充填材56を充填したが、錘部4の上に複数の領域を設け、それらの領域から選択した領域に重心調整材を取り付ける構造であってもよい。
(第9の実施の形態)
図24は、第9実施形態を示す圧電発電装置に適用される電力出力回路を示す回路図である。
図24に示す電力出力回路61おいて、圧電セル10は、例えば第1〜第6実施形態に示したと同様に、圧電発電装置1、30、41、43、47のカンチレバー3上に形成され、下部電極11、圧電層12、上部電極13を有している。
下部電極11と上部電極13は、交流直流(AC−DC)変換回路62の一対の入力端子62a、62bに接続されている。
AC−DC回路62として、例えば、4つのダイオード62dをブリッジ接続した回路を使用する。即ち、AC−DC回路62は、2つのダイオード62dを直列に接続した2つの直列回路をさらに並列に接続した構造を有している。2つの直列回路におけるダイオード62dのそれぞれの中間接続点のそれぞれは入力端子62a、62bに接続されている。
AC−DC回路61の2つの直列回路同士の2つの接続点のそれぞれはパワーコンディショナー63の入力端に接続される。パワーコンディショナー63の一対の出力端61a、61bは、電力出力回路61の出力端となる。パワーコンディショナー63は、例えば、AC−DC変換回路62の出力端に並列に接続するツェナーダイオード63a、第1キャパシタ63bを有している。
パワーコンディショナー63は、AC−DC変換回路62のプラス出力端子に接続されるコイル63cと、そのマイナス出力端子に直列に接続する第2キャパシタ63dを有している。さらに、パワーコンディショナー63は、コイル63cと第2キャパシタ63dのそれぞれに接続される端子を有するDC−DCコンバータ63eを有している。DC−DCコンバータ63eとして、例えばマキシム・インテグレーティド・プロダクツ社の商品MAX1675を使用する。
AC−DC変換回路62とパワーコンディショナー63のうちいずれかの出力端には、二次電池である蓄電器64が並列に接続されている。図24では、蓄電器64としてキャパシタが示されている。
上記の電力出力回路61において、カンチレバー3の振動に伴って圧電セル10から発生した交流電力は、AC−DC回路62により直流電力に変換される。直流に変換された電圧は、パワーコンディショナー63によって波形成形され、望ましい電圧値の範囲内に保持される。また、蓄電池64は、AC−DC回路62又はパワーコンディショナー64から伝送される電力を蓄積する。
このように、パワーコンディショナー63及び蓄電池64は、電圧値を揃えた電力を外部機器に出力する。
電力出力回路61の一対の電力出力端子6a、61bは、外部機器(不図示)の例えば電子回路又は電子機器に接続され、同時に、第1〜第6実施形態に示した重心制御回路8にパルス電圧を供給するための電子回路に接続されてもよい。これにより、パワーコンディショナー63又は蓄電器64から出力される電力は、外部機器に消費されるだけでなく、フィードバックされて重心制御回路8の駆動にも使用されてもよい。
なお、図において符号GNDは接地、符号+Vはプラス電圧を示している。
次に、図25のブロック図を参照し、上記した実施形態で示した重心制御回路8内の第1、第2ゲート端子、8f、8gにパルス電圧を供給するための信号送信装置65を説明する。
図25に示す信号送信装置65は、パルス出力端子切換装置66、パルス出力判断装置67、記憶部68、タイマー69を有している。
パルス出力端子切換装置66は、パルス発生回路66a及び端子切換回路66bを有している。
パルス発生回路66aは、パルス出力判断装置67からのパルス発生信号に基づいて端子切換回路66bを介して重心制御回路8にパルス電圧を出力する。
端子切換回路66bは、パルス発生回路66aから出力されるパルスの伝送先を決定する回路である。端子切換回路66bは、例えば、パルス出力判断装置67からセット信号として“1”を入力することにより、パルス電圧を出力する端子としてf1端子65aを選択する。一方、端子切換回路66bは、例えば、セット信号として“0”を入力することにより、パルス電圧を出力する端子としてf2端子65bを選択する。
f1端子65aは、例えば図2A、図2Bに示す重心制御回路8の第1ゲート端子8fに接続される。また、f2端子65bは、例えば図2A、図2Bに示す重心制御回路8の第2ゲート端子8gに接続される。
端子切換回路66bとして、例えば、パルス発生回路66aとf1端子65aの間にn型MOSトランジスタを直列に接続し、パルス発生回路66aとf2端子65bの間にp型MOSトランジスタを直列に接続する回路を使用する。この場合、p型MOSトランジスタとn型MOSトランジスタのゲートには、パルス出力判断装置67からのセット信号を入力する。
pMOSトランジスタとn型MOSトランジスタのそれぞれのゲートにセット信号“1”として+Vの電圧を印加するとn型MOSトランジスタはオンする。さらに、pMOSトランジスタとn型MOSトランジスタのそれぞれのゲートにセット信号“0”として−Vの電圧を印加するとp型MOSトランジスタはオンする。
パルス出力判断装置67は、記憶部68に格納されたプログラムに従ってセット信号、パルス発生信号をパルス出力端子切換装置66に出力する。パルス出力判断装置67は、CPUを含み、タイマー69により計時された時間を入力し、プログラムに従って図26に示すフローチャートを実行する。
パルス出力判断装置67は、図26のaに示すように、タイマー69により計時された時間が予め設定されたモード切換時間になったかどうかを判断する。モード切換時間が到来した時点で、図26のbに示すように、パルス出力判断装置67は、モード切換時間がf1モードとf2モードのいずれに切り換える時間であるかを判断する。f1モードは例えば錘部4の重心をカンチレバー3寄りに位置させる時間であり、f2モードは例えば錘部4の重心を先端寄りに位置させる時間である。
f1モード、f2モードの選択時間は、例えば第1実施形態に示した圧電発電装置1が設置された環境の情報、例えば場所、季節等に基づいて統計的に周波数が変化する情報に基づいて設定され、記憶部68内に記憶される。
例えば、夜間は出力が低くて共振周波数が低く、昼間は出力が高くて共振周波数が高く、しかも毎日決まったスケジュールで運転される機器に圧電発電装置1を取り付ける。この場合には、そのスケジュールの時間に応じてカンチレバー3と錘部4の共振周波数を切り換える。そのような機器として、例えば、火力発電所、大規模施設に設けられるタービンがある。
モード切換がf1モードへの切換である場合に、パルス出力判断装置67はセット信号“1”及びパルス発生信号をパルス出力端子切換装置66に送信する。これにより、図26のcに示すように、端子切換回路66bは、パルス出力端子としてf1端子65aを選択する。
この結果、図26のd、eに示すように、パルス発生回路66aからパルス電圧が出力され、f1端子65a、第1ゲート端子8fを介して図2Aに示す重心制御回路8の第1、第2の電界効果トランジスタ8a、8bのゲートに出力される。これにより、第1電極6aはマイナスに帯電され、第2電極6bはプラスに帯電されるので、図2Aでは錘部4の重心はカンチレバー3に向けて移動する。
これに対し、モード切換がf2モードへの切換である場合には、パルス出力判断装置67からセット信号“0”及びパルス発生信号をパルス出力端子切換装置66に送信する。これにより、図26のfに示すように、端子切換回路66bは、パルス出力端子としてf2端子65bを選択する。
この結果、図26のg、hに示すように、パルス発生回路66aからパルス電圧が出力され、f2端子65b、第2ゲート端子8gを介して重心制御回路8の第3、第4の電界効果トランジスタ8c、8dのゲートに出力される。これにより、図2Bに示すように、第1電極6aはプラスに帯電され、第2電極6bはマイナスに帯電されるので、錘部4の重心は錘部4の先端に向けて移動する。
以上により錘部4及びカンチレバー3の共振周波数が変更され、次のモード切換時間になるまで、錘部4の重心が維持される。
なお、信号送信装置65で消費される電力は、例えば図24に示す蓄電器64から供給されてもよい。また、電力出力回路61、信号送信装置65の少なくとも一方は、圧電発電装置の一部として例えば図1A、図1Bに示す固定部2に組み込まれてもよい。
(第10の実施の形態)
図27は、第10実施形態に係る圧電発電装置を制御するための信号送信装置を示すブロック図である。なお、図27において、図25と同一符号は同一要素を示している。
図27に示す信号送信装置71は、パルス出力端子切換装置66、パルス出力判断装置67、記憶部68を有し、パルス出力判断装置67の入力端の一部は、振動センサー72、加速度センサー73の出力端に接続されている。
振動センサー72、加速度センサー73は、圧電発電装置内に取り付けられてもよし、外部に取り付けられてもよい。また、パルス出力端子切換回路66は、第1〜第6実施形態のいずれかに示した重心制御回路8に接続されている。
パルス端子切換装置66は、パルス発生回路66a及び端子切換制御回路66bを有している。
パルス発生回路66aは、第9実施形態と同様に、パルス出力判断装置67からのパルス発生信号の入力によってパルス電圧を端子切換回路66bに出力する。
また、端子切換回路66bは、第9実施形態と同様に、例えば、パルス出力判断装置67からセット信号として“1”を入力することにより、パルス電圧を出力する端子としてf1端子65aを選択する。また、切換回路66bは、例えば、セット信号として“0”を入力することにより、パルス電圧を出力する端子としてf2端子65bを選択する。
f1端子65aは、重心制御回路8の第1ゲート端子8fに接続され、第2端子65bは、重心制御回路8の第2ゲート端子8gに接続される。
パルス出力判断装置67は、第9実施形態と同様に、記憶部68に格納されたプログラムに従ってセット信号、パルス出力信号をパルス出力端子切換装置66に出力する。パルス出力判断装置67は、CPUを含み、振動センサー72、加速度センサー73の検出結果を入力し、記憶装置内のプログラムに予め格納された振動数と加速度と共振周波数の関係に基づいてf1モード、f2モードを選択する。
パルス出力判断装置67は、加速度及び振動数とf1モードとf2モードと関連づけ、それらの関係をデータとして記憶部68に記憶しておく。例えば、図28に示すように、横軸を加速度、縦軸を振動数とし、予め実測されたデータに基づいてf1モード、f2モードが選択されるようにそれらの関係を記憶部68に格納する。
次に、信号送信装置71により重心制御回路8にパルス電圧を供給する方法を図29のフローチャートを参照して説明する。
まず、パルス出力判断装置67は、図29のa、bに示すように、振動センサー72、加速度センサー73の検出値に基づいてf1モードかf2モードかを判断する。いずれのモードであるかは、記憶部68内に記憶されたデータベース、例えば図28に示す関係を求めるデータベースに基づいて判断される。
例えば、f1モードは例えば図2Aに示すように錘部4の重心をカンチレバー3寄りに位置させるモードであり、f2モードは図2Bに示すように錘部4の重心をその先端寄りに位置させるモードである。
そして、振動センサー72、加速度センサー73の検出値がf1モードに含まれる値に該当する場合には、パルス出力判断装置67はセット信号“1”とパルス発生信号をパルス出力端子切換装置66に送信する。
これにより、図29のcに示すように、端子切換回路66bは、パルス出力端子としてf1端子65aを選択する。さらに、図29のd、eに示すように、パルス発生回路66aから出力されるパルス電圧は、f1端子65a、第1ゲート端子8fを介して重心制御回路8の第1、第2の電界効果トランジスタ8a、8bのゲートに送信される。
この結果、例えば図2Aに示すように、第1電極6aはマイナスに帯電され、第2電極6bはプラスに帯電されるので、錘部4の重心はカンチレバー3に向けて移動する。
これに対し、モード切換がf2モードへの切換である場合には、パルス出力判断装置67はセット信号“0”とパルス発生信号をパルス出力端子切換装置66に送信する。
これにより、図29のfに示すように、端子切換回路66bは、パルス出力端子としてf2端子65bを選択する。さらに、図29のg、hに示すように、パルス発生回路66aから出力されるパルス電圧は、f2端子65b、第2ゲート端子8gを介して重心制御回路8の第3、第4の電界効果トランジスタ8c、8dのゲートに送信される。
この結果、例えば図2Bに示すように、第1電極6aはプラスに帯電され、第2電極6bはマイナスに帯電されるので、錘部4の重心はその先端に移動する。
上記のように本実施形態によれば、振動センサー72、加速度センサー73のように、センサーによる最新の情報に基づいて錘部4及びカンチレバー3の共振周波数を最適な値に調整することが可能になる。
そのため、圧電セル10は、環境の変化に応じて効率良く電力を発電することができる。例えば、本実施形態の振動センサー72、加速度センサー73を自動車のエンジンに取り付ける場合には、エンジンの回転数は頻繁に変動するので、常時、圧電セル10により効率高い電力を出力させることができる。
なお、信号送信装置71は、圧電発電装置の一部として固定部2に組み込まれてもよい。
(第11の実施の形態)
図30は、第11実施形態に係る圧電発電装置を制御するための信号送信装置を示すブロック図である。図30において、図25と同じ符号は同じ要素を示している。
図30において、信号送信装置75は、パルス出力端子切換装置66、出力比較装置76、タイマー77、記憶部78、電力出力切換装置79及び基準電力装置80を有している。
タイマー77は、一定時間毎に出力比較装置76に起動信号を出力する。一定時間とは、例えば、10分経過毎に1回といった比較的長いタイムラグを有する時間である。また、電力出力回路61aは、例えば図24に示す回路又は交流直流変換回路である。
パルス端子切換装置66は、第9実施形態と同様に、パルス発生回路66a及び端子切換制御回路66bを有し、端子切換制御回路66bは例えば第1〜第6実施形態のいずれかに示した重心制御回路8の第1、第2ゲート端子8f、8gに接続されている。
パルス発生回路66aは、出力比較装置76からパルス発生信号s1を入力することによりパルス電圧を端子切換回路66bに出力する。また、端子切換回路66bは、例えば、出力比較装置77からセット信号s2として“1”を入力することによりf1端子65aからパルス電圧を出力し、セット信号s2として“0”を入力することによりf2端子65bからパルス電圧を出力する。
出力比較装置76は、タイマー77から起動信号を入力することにより起動し、電力出力回路61aから出力される測定電力Pと基準電力Pを比較し、比較結果に基づいてパルス端子切換装置66にパルス発生信号s1、セット信号s2を送信する回路を有している。
即ち、出力比較装置76は、測定電力Pが基準電力Pよりも大きい場合にパルス端子切換装置66にセット信号s2としてf1モードの信号 “1”を出力し、測定電力Pが基準電力P以下の場合にパルス端子切換装置66にセット信号s2としてf2モードの信号“0”を出力する回路を有している。
出力比較装置76は、測定電力P、基準電力Pの入力を要求するために、パルス発生信号s1とセット信号s1をパルス端子切換装置66に出力するとともに、比較指令信号s3を出力切換装置79に出力する回路を有している。比較指令信号s3は、f1モードの“1”、又はf2モードの“0”である。
基準電力Pは基準電力装置80から出力され、測定電力Pは出力切換装置79の第1端子から出力される。
出力切換装置79は、例えば端子切換制御回路66bと同じ回路構成を有し、電力出力回路61aを介して圧電セル10の電力を入力する。また、出力切換装置79は、出力比較装置76から切換信号s3としてf1モードの信号“1”を受信することにより、電力出力回路61aの出力電力を第2端子から基準電圧装置80に出力する。また、電力出力切換装置79は、出力比較装置76から切換信号s3としてf2モードの信号“0”を受信することにより、電力出力回路61aの出力電力を基準電力Pとして第1端子から出力比較装置76に出力する。
基準電圧装置80は、例えばキャパシタを有し、キャパシタに蓄積された電力を基準電力Pとして出力比較装置76に出力する。
出力比較装置76は、例えばCPUを含み、記憶部78に記憶されたプログラムに従って図31に示すフローチャートを実行する。
即ち、図31のa、bに示すように、タイマー77は設定時間になった時点で起動信号を出力比較装置76に出力する。
起動した出力比較装置76は、図31のcに示すように、f1モードの信号“1”をパルス出力端子切換装置66及び電力出力切換装置79に出力し、さらにパルス発生信号s1をパルス出力端子切換装置66に出力する。
これにより、パルス出力切換装置66内では、パルス発生回路66aからパルス電圧が端子切換制御回路66bに出力され、さらに、パルス電圧は端子切換制御回路66bからf1端子65aを介して重心制御回路8の第1ゲート端子8fに出力される。
これにより、重心制御回路8内では、例えば図2Aに示したように、第1、第2の電界効果トランジスタ8a、8bのゲートにパルス電圧が印加され、カンチレバー3先端の錘部4内の第1電極6aがマイナスに、第2電極6bがプラスに帯帯される。
この結果、第1電極6aと第2電極6bの間の重心調整部、例えば微粒子含有液5内の重心が第2電極6bに向けて移動するので、錘部4の重心はカンチレバー3寄りに変更される。
錘部4の重心が変更されることにより、図31のdに示すように、カンチレバー3の共振周波数が変更される。そして、カンチレバー3上の圧電セル10により発電された第1の電力は、電力出力回路61a、出力切換装置79を介して基準電圧装置80に出力される。
これにより、図31のdに示すように、基準電圧装置80は、第1の電力を蓄積又は記憶する。基準電圧装置80は、第1の電力を基準電力Pとして出力比較装置76に出力する。
次に、出力比較装置76は、図31のeに示すように、f2モードの信号“0”をパルス出力端子切換装置66及び電力出力切換装置79に出力し、さらに、パルス発生信号s1をパルス出力端子切換装置66に出力する。
これにより、パルス出力切換装置66内では、パルス発生回路66aからパルス電圧が端子切換制御回路66bに出力され、さらに、パルス電圧は端子切換制御回路66b、f2端子65bを介して重心制御回路8の第2ゲート端子8gに出力される。
これにより、重心制御回路8内では、例えば図2Bに示したように、第3、第4の電界効果トランジスタ8c、8dのゲートにパルス電圧が印加され、カンチレバー3先端の錘部4内の第1電極6aがプラスに、第2電極6bがマイナスに帯帯される。
この結果、第1電極6aと第2電極6bの間の重心調整部、例えば微粒子含有液5内の重心が第1電極6aに向けて移動するので、錘部4の重心はその先端寄りに変更される。
錘部4の重心が変更されることにより、図31のfに示すように、カンチレバー3の共振周波数が変更される。そして、カンチレバー3上の圧電セル10により発電した第2の電力は、電力出力回路61a、出力切換装置79を介して出力比較装置76に測定電圧Pとして出力される。
次に、図31のgに示すように、出力比較装置76は、基準電圧装置80の基準電力Pと出力切換装置79から出力される測定電力Pを比較する。
測定電力Pが基準電力Pより小さい場合に、図31のh、iに示すように、出力比較装置76はセット信号s2としてf1モードの信号“1”とパルス発生信号s1をパルス端子切換装置66に出力した後、タイマー77から次の起動信号が送られてくるまで停止又は待機する。
パルス端子切換装置66は、信号“1”の入力により、パルス電圧を重心制御回路8の第1ゲート端子8gに出力する。この結果、錘部4の重心はカンチレバー3寄りに移動する。
また、測定電力Pが基準電力P以上の場合にはモード変更は不要である。しかし、改めて図31のh、jに示すように、出力比較装置76は、セット信号s2としてf2モードの信号“0”とパルス発生信号s1をパルス端子切換装置66に出力してもよい。その後に、タ出力比較装置76は、イマー77から次の起動信号が送られてくるまで停止又は待機する。
以上のように本実施形態によれば、設定時間毎に、重心位置の違いによる圧電セル10の発電電力の値を求め、それらの値を比較し、発電電力が最も高くなる重心位置を判別し、その判別結果に基づいて錘部4の重心位置を調整している。
これにより、カンチレバー3の振動状況に応じて最適な重心位置を調整することができ、しかも、振動状況を検出するための別のセンサーが不要になる。
なお、信号送信装置75を作動するための電力は、例えば図24に示す蓄電器64から供給されてもよい。また、電力出力回路61a、信号送信装置75の少なくとも一方は、圧電発電装置の一部として固定部2に組み込まれてもよい。
(第12の実施の形態)
図32は、第12実施形態に係る圧電発電装置を示すブロック図である。
図32において、圧電発電装置91は、振動センサー部92、出力判別部93、共振周波数制御部94及び発電部95を有している。
圧電発電装置91における振動センサー部92は、第1、第2及び第3の発電センサー51a、51b、51cを有している。
第1、第2及び第3の発電センサー51a、51b、51cは、例えば第7実施形態に示す圧電発電装置51と同じ構造を有し、固定部2、カンチレバー3及び錘部4を有している。錘部4に形成される凹部4k内の重心位置は、第1、第2及び第3の発電センサー51a、51b、51c毎に異なり且つ固定され、これによりカンチレバー3の共振周波数は固定されている。
例えば、第1の発電センサー51aの凹部4k内には重心調整材54がカンチレバー3寄りに充填され、第1の発電センサー51aのカンチレバー3は第1の共振周波数f01を有している。第2の発電センサー51bの凹部4k内には重心調整材54が錘部4の先端寄りに充填され、第2の発電センサー51bのカンチレバー3は第2の共振周波数f02を有している。また、第3の発電センサー51cの凹部4k内の下部には重心調整剤54が充填され、第3の発電センサー51cのカンチレバー3は第3の共振周波数f03を有している。f01はf02、f03より大きく、f03はf02より大きく、f02<f03<f01の関係にある。
第1、第2及び第3の発電センサー51a、51b、51cのカンチレバー3上には、それぞれ第1、第2、第3の圧電セル10a、10b、10cが形成されている。第1、第2及び第3の圧電セル10a、10b、10cは、図1Bに示した圧電セル10と同様な構造を有し、上部電極、下部電極に挟まれた圧電膜を有している。
第1、第2、第3の圧電セル10a、10b、10cは、カンチレバー3の変形にともなう圧電効果により生じたそれぞれの電力を下部電極及び上部電極を介して出力判別部93に出力する。
そのような構造の振動センサー部92に対し、発電部95は、共振周波数の変更が可能なカンチレバー3及び錘部4を備えた圧電発電セル96を少なくとも1つ有している。なお、図32に示す発電部95は複数の圧電発電装置96を有している。
圧電発電セル96は、例えば第1〜第6実施形態のいずれかに示す圧電発電装置と同様に、固定部2、カンチレバー3及び錘部4を有している。錘部4内の凹部4aには重心調整部97として、例えば第1実施形態に示した微粒子含有液5が収納されている。また、錘部4内には間隔をおいて第1電極6aと第2電極6bが形成されている。第1電極6a、第2電極6bはそれぞれ第1、第2引出配線7a、7bを介して重心制御回路8に接続されている。
重心制御回路8は、例えば、図2A、図2Bに示した直流電源8eと複数の電界効果トランジスタ8a、8b、8c、8dを有する回路である。
圧電発電セル96のカンチレバー3上に形成される圧電セル10は、図1A、図1Bに示したと同様に、圧電膜を挟む下部電極と上部電極を有し、カンチレバー3の変形にともなう圧電効果により圧電膜に生じた電力は下部電極、上部電極から出力される。
圧電発電セル96の錘部4の重心がカンチレバー3寄りにある状態では、カンチレバー3の共振周波数をf1とする。また、その重心が錘部4の先端寄りにある状態では、カンチレバー3の共振周波数をf2とする。さらに、その重心が凹部4aの中央にある状態では、カンチレバー3の共振周波数をf3とする。なお、f1はf2、f3より大きく、f3はf2より大きい。即ち、f2<f3<f1の関係がある。
圧電発電セル96の錘部4内の微粒子含有液5の重心は、振動センサー部92の出力電力のデータに基づいて、出力判別部93、共振周波数制御部94により制御される。
出力判別部93は、第1〜第3のAC−DC変換回路93a〜93cと電力比較回路93dと共振周波数設定回路93eを有している。
第1〜第3のAC−DC変換回路93a〜93cは、第1、第2及び第3の発電センサー51a、51b、51cのそれぞれから出力される電力を個別に交流から直流に変換する回路である。
第1〜第3のAC−DC変換回路93a〜93cは、例えば、図24に示したAC−DC変換回路62と同様に、ダイオードをブリッジ接続した整流回路を有する。第1〜第3のAC−DC変換回路93a〜93cのそれぞれの入力端は第1、第2及び第3の発電センサー51a、51b、51cの上部及び下部電極に個別に接続されている。第1〜第3のAC−DC変換回路93a〜93cの出力端は出力比較回路93dに接続されている。
出力比較回路93dは、入力した3つの電力の大きさを比較し、第1、第2及び第3の発電センサー51a、51b、51cのうち最も大きな発電電力の1つを特定し、特定した発電センサーの共振周波数f01、f02又はf03を共振周波数制御回路94に送信する回路を有している。なお、第1、第2及び第3の発電センサー51a、51b、51cと共振周波数の値の関係は出力比較回路93内でデータとして記憶部93eに記憶されている。
共振周波数制御部94は、出力比較回路93dから送信された振動周波数のデータに基づいて、発電部95内の圧電発電セル96のカンチレバー3の共振周波数を調整するために、図33に示すフローチャートに従って圧電発電セル96の錘部4の重心位置を変更する。
まず、共振周波数制御部94は、図33のaに示すように、振動センサー部92で発生した複数の電力のうちの最大値に基づいて電力比較回路93dから送信された共振周波数がf01、f02、f03のいずれであるかを判別する。
その後に、共振周波数制御部94は、図33のbに示すように、電力比較回路93dから送信された検出共振周波数又はその誤差範囲内で圧電発電セル96のカンチレバー3が振動しているか否かを判断する。圧電発電セル96の共振振動数は、記憶部94aに記憶された前回調整の共振周波数の値である。
圧電発電セル96のカンチレバー3が検出振動周波数又はその誤差範囲内で振動している場合には、共振周波数制御部94は圧電発電セル96の錘部4の重心を変更せずに電力比較回路93からの入力を続ける。
これに対し、圧電発電セル96のカンチレバー3が検出振動周波数又はその誤差範囲内で振動していない場合には、共振周波数制御部94は、図33のcに示すように、圧電発電セル96の錘部4の重心位置を調整する信号を発電部95内の重心調整回路8に送信する。これにより、重心調整回路8は、圧電発電セル96のカンチレバー3の振動周波数を最適値に変更する。この結果、カンチレバー3上の圧電セル10は効率良く電力を発電する。
例えば、出力判別部93から送信された共振周波数がf01の場合には、共振周波数制御部94は、重心制御回路8の第1ゲート端子8fにパルス電圧を印可する。これにより、重心制御回路8は、圧電発電セル96の第1、第2電極6a、6bの間に第1の電界を発生させて錘部4の重心をカンチレバー3寄りに移動させる。この結果、圧電発電セル96のカンチレバー3の共振周波数はf1に設定される。
また、出力判別部93から送信された共振周波数がf02の場合には、共振周波数制御部94は、重心制御回路8の第2ゲート端子8gにパルス電圧を印加する。これにより、重心制御回路8は、圧電発電セル96の第1、第2電極6a、6bの間に電界を発生させて錘部4の重心を錘部4の先端寄りに移動させる。この結果、圧電発電セル96のカンチレバー3の共振周波数はf2に設定される。
さらに、出力判別部93から送信された共振周波数がf03の場合に、共振周波数制御部94は次のように動作する。
即ち、共振周波数制御部94は、重心制御回路8の第1ゲート端子8fと第2ゲート端子8gに交互に連続したパルス電圧を印加するともに、連続したパルス電圧の波高値を図3Aに示したと同様に、徐々に減衰させる。これにより、重心制御回路8は、第1、第2電極6a、6bの間に正方向の電界と逆方向の電界を減衰させながら交互に発生させる。この結果、圧電発電セル96の錘部4の凹部4a内の重心は錘部4の凹部4aのほぼ中央に移動し、圧電発電セル96のカンチレバー3の共振周波数はf3に設定される。
ここで、f01=f1、f02=f2、f03=f3の関係にあることが好ましいが、第1〜第3の発電センサー10a、10b、10cと圧電発電セル96の構造の違いによりそれらの等価関係が得られない場合には、f1、f2、f3の値として好ましい値を予め設定する。
なお、共振周波数制御回路94は、記憶部94aの他に、例えば図25に示すようなパルス出力判断装置67、パルス出力端子切換装置66を有している。
以上により、複数の発電センサー51a、51b、51cの出力電圧の比較結果に基づいて、比較判別部93は最も大きな電力が得られる最適共振周波数をf01、f02、f03から特定する。さらに、最適共振周波数に基づいて圧電発電セル96の錘部4の重心の位置を調整することにより圧電発電セル96のカンチレバー3を好ましい振動周波数に設定している。これにより、圧電発電セル96から電力を効率良く発電することが可能になる。
なお、出力判別部93、共振周波数制御部94及び発電部95で消費される電力は、例えば、圧電発電部95の圧電セル10に接続される図24に示す電力出力回路61の出力端から供給してもよい。
なお、上記の各実施形態においては、カンチレバー先端の錘部の重心を調整するための重心調整部は、錘部の内部に形成しているが、錘部の表面上に形成してもよい。
ここで挙げた全ての例および条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明および概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例および条件に限定することなく解釈され、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換および変形を施すことができる。

Claims (7)

  1. 固定部と、
    前記固定部の先端に形成されるカンチレバーと、
    前記カンチレバーの先端に形成される錘部と、
    重心の位置が調整される重心調整部と、
    前記カンチレバーの上方に形成される圧電発電セルと、
    を有し、
    前記重心調整部は、
    前記錘部内に取り付けられる第1電極と第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極の間に設けられる帯電物と、
    を有するものである圧電発電装置。
  2. 前記帯電物は、液中に浸漬された微粒子である請求項に記載の圧電発電装置。
  3. 前記帯電物は、回転方向にプラス領域とマイナス領域に分けて帯電される表面領域を有する回動体である請求項に記載の圧電発電装置。
  4. 前記帯電物は、仕切られた空間に内包する帯電微粒子である請求項に記載の圧電発電装置。
  5. 前記帯電物は、前記第1電極と前記第2電極の間に供給される電解液である請求項に記載の圧電発電装置。
  6. 前記重心調整部は、内部が空洞の部屋と、前記空洞内に載置される重心移動体と、前記重心移動体を移動させる移動機構と、を有するものである請求項に記載の圧電発電装置。
  7. プラス、マイナスの帯電極性を選択して前記第1電極と前記第2電極の間に電圧を印加する重心制御回路を有する請求項乃至の何れか一項に記載の圧電発電装置。
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