以下に本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採り得ることができ、各実施例に記載された内容の相違部分を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
本実施例は、遊技球が始動口(普通電動役物)入球時に普通電動役物の状態を示す状態コマンドを主制御装置からサブ制御装置に送信し、サブ制御装置は、受信した状態コマンドを基に普通電動役物への異常入賞を判定する構成である。尚、普通電動役物は、普通図柄の変動を介して作動する構成となっているため、状態コマンドは普通図柄の処理状態も識別可能に構成される。
図1は、本実施例のパチンコ機の遊技盤8の正面図である。なお、このパチンコ機の全体的な構成は公知技術に従っているので図示及び説明は省略する。
遊技盤8には公知のガイドレール25a、25bによって囲まれた略円形の遊技領域26が設けられ、多数の遊技釘27が植設されている。遊技領域26の略中央には、窓部28aを有する液晶枠飾り28が設けられており、演出図柄表示装置54b(図2参照)のLCD画面が遊技者から視認可能に構成され、図示しない公知のワープ入口、ワープ通路、ステージ等も設けられている。
また、窓部28aの上方左には、7セグメントLED等の発光部材により構成される第1特別図柄表示装置29、上方右には上方左と同一部材の第2特別図柄表示装置30と、中央には4個の発光部材で構成される第2特別図柄保留数表示装置30aが設けられており、窓部28a下には同様に4個の発光部材で構成される第1特別図柄保留数表示装置29aが設けられている。
液晶枠飾り28の左右両側又は左側には後述する普通図柄作動スイッチ42a(図2参照)を備える普通図柄作動ゲート42が設けられており、下側には第1始動口31と更にその下には第2始動口32として作動時(開放時)のみ入球可能となるチューリップ式の普通電動役物40が設けられ、該普通電動役物40には7セグメントLED等の発光部材により構成される普通図柄表示装置41が配置されている。普通電動役物40の下方には、アタッカー式の大入賞口33aを備える大入賞口ユニット33が配置され、該大入賞口ユニット33の下方にはアウト口34が設けられている。大入賞口33aの左側には4個のLEDで構成される普通図柄(普図)保留数表示装置41aが設けられている。また、大入賞口ユニット33の左右両側には、後述する一般入賞口スイッチ35b(図2参照)を備える一般入賞口35aが複数備えられる入賞口ユニット35が設けられている。
上記のように遊技盤8を構成することによって、普通図柄作動ゲート42に入球(普通図柄作動スイッチ42a(図2参照)にて遊技球を検出)すると、普通図柄表示装置41で普通図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止した普通図柄の態様に応じて、後述する普通電役ソレノイド40b(図2参照)を駆動させる。普通電役ソレノイド40bが駆動すると、ほぼ同期して普通電動役物40の羽根部材が駆動して、普通電動役物40への入球(第2特別図柄始動スイッチ32a(図2参照)での検出)が可能となるように構成されている。尚、本実施形態におけるパチンコ機では、普通電動役物40の部材が駆動する開放時間は、通常遊技状態では0.5秒(1回)、時短状態及び確率変動状態では開放延長機能が作動し2.0秒(3回)となる。
第1始動口31に遊技球が入球(第1特別図柄始動スイッチ31a(図2参照)にて遊技球を検出)すると、第1特別図柄表示装置29において第1特別図柄が変動を開始し、所定時間後に停止する。また、第2始動口32である普通電動役物40に入球(第2特別図柄始動スイッチ32a(図2参照)にて遊技球を検出)すると、第2特別図柄表示装置30において第2特別図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止する。
第1特別図柄及び第2特別図柄の変動中は、窓部28aに配置された演出図柄表示装置54bにおいて各々の特別図柄の変動に連動した演出態様を表示する。また、第1特別図柄と第2特別図柄は、第1始動口と第2始動口への入球順に関係なく、第2特別図柄の変動表示を優先して実施する。具体的には、第2特別図柄の保留記憶がある場合は、第1特別図柄の保留記憶の有無と入球順序に拘らず、第2特別図柄が変動表示を実施し、第1特別図柄が変動を開始するのは、第2特別図柄の変動が停止し且つ第2特別図柄の保留記憶がない状態となった場合となる。
第1特別図柄及び第2特別図柄の変動表示後の態様(表示結果)に応じて後述する大入賞口ソレノイド33c(図2参照)を駆動させる。大入賞口ソレノイド33cを駆動させると、ほぼ同期して大入賞口ユニット33の扉部材が駆動して、大入賞口33aへの入球(カウントスイッチ33b(図2参照)での検出)が可能となるように構成されている。
尚、本実施形態におけるパチンコ機は確率変動機として構成されている。具体的には、本実施形態のパチンコ機による遊技は、大入賞口33aを閉鎖した遊技と大入賞口33aを開放する大当たり遊技とに大別され、大入賞口33aを閉鎖した遊技には、大きく分類して、通常確率状態(以下、通常状態)と、該通常状態に比べて遊技者にとって有利な状態(大当りとなる確率が甘く、大当りし易い)となる高確率状態(以下、確率変動状態)とが存在する。
第1特別図柄及び第2特別図柄は、確率変動図柄及び非確率変動図柄とからなり、確率変動状態は確率変動図柄での大当たり遊技終了後に移行可能に設定され、通常状態、確率変動状態のうち、いずれの遊技状態でも確率変動図柄で大当りすれば、該大当り遊技終了後、確率変動状態に移行する。同様に通常状態は、非確率変動図柄での大当たり遊技終了後に移行可能に設定され、通常状態、確率変動状態のうち、いずれの遊技状態でも非確率変動図柄で大当たりすれば、該大当たり遊技終了後、通常状態に移行する。
通常状態に移行後は、規定回数(例えば、100回)だけ第1特別図柄、第2特別図柄及び普通図柄の変動時間が短縮され、かつ第2始動口32である普通電動役物40の開放延長機能が作動する時短状態となる。第1特別図柄、第2特別図柄及び普通図柄の変動時間(変動開始から結果が表示されるまでの時間)が短縮されると、一定時間内に変動表示が行なわれる回数が増大される。
具体的には、本実施形態の時短状態では、第1特別図柄及び第2特別図柄の変動時間の短縮とともに、普通図柄表示装置41に表示される普通図柄の時間短縮も行われるが、この普通図柄の変動表示を短縮させることで、一定時間内で多数回普通図柄の確定表示を行う。従って、一定時間内での普通図柄が当りとなる回数が増大し、これにより第2始動口32である普通電動役物40の作動回数も増大する。また、普通電動役物40の開放時間が長くなるように設定されている(開放延長機能)ので、多数の遊技球が入賞し易くなる。このように多数の遊技球が入賞し易くなることにより、第2特別図柄の変動表示回数が更に増大されるとともに、普通電動役物40入賞による賞球により遊技者の持ち玉が減り難くなり、有利な遊技を行うことができる。
尚、確率変動状態では、時短状態と同様に、第1特別図柄、第2特別図柄及び普通図柄の変動時間が短縮され、第2始動口32である普通電動役物40の開放延長機能が作動する。各種図柄の短縮と普通電動役物40開放延長機能に関わる設定は時短状態と同一であるが、確率変動状態は時短状態に加えて第1特別図柄及び第2特別図柄の大当り確率が高くなり(大当りし易い状態)更に遊技者にとっては有利な状態といえる。
続いて、図2に本実施例におけるパチンコ機の電気配線を示すブロック図を示し説明する。図2には煩雑になる電源の供給系統に関する記載は行わないが、電源が必要な制御装置若しくはアクチュエータ類には、電源装置(図示せず)から直接的又は間接的に供給される構成となっている。尚、遊技盤8を装着するパチンコ機本体に関する部品は図示を省略している。
図2に示す通り、主制御装置50の入力端には、遊技盤中継端子板62を介して第1始動口31に入球した遊技球を検出する第1特別図柄始動スイッチ31aと第2始動口32である普通電動役物40に入球した遊技球を検出する第2特別図柄始動スイッチ32aと、普通図柄作動ゲート42に入球した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ42aと、大入賞口33aに入球した遊技球を検出するカウントスイッチ33bと、一般入賞口35aに入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ35bとが接続されており、裏配線中継端子板63を介して前面枠が閉鎖していることを検出する前面枠閉鎖スイッチ38と、意匠枠が閉鎖していることを検出する意匠枠閉鎖スイッチ39a、39bと、が接続されている。
主制御装置50の出力端には、遊技盤中継端子板62を介して大入賞口33aの扉部材を駆動する大入賞口ソレノイド33cと、普通電動役物40のチューリップ式役物の羽根部材を駆動する普通電役ソレノイド40bとが接続されており、図柄表示装置中継端子板64を介して第1特別図柄を表示する第1特別図柄表示装置29と、第1特別図柄の保留数を表示する第1特図保留数表示装置29aと、第2特別図柄を表示する第2特別図柄表示装置30と、第2特別図柄の保留数を表示する第2特図保留数表示装置30aと、普通図柄を表示する普通図柄表示装置41と、普通図柄の保留数を表示する普図保留数表示装置41aとが接続されており、裏配線中継端子板63及び外部接続端子板61を介してホールコンピュータ70と、が接続されている。
主制御装置50はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される各種検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種コマンド等を生成し、払出制御装置51及びサブ統合制御装置53に出力する。ここで、主制御装置50と払出制御装置51とは双方向通信回路として構成され、主制御装置50とサブ統合制御装置53とは間に演出中継端子板65を介した主制御装置50からサブ統合制御装置53への一方向通信回路として構成されている。
払出制御装置51の入力端には、裏配線中継端子板63を介して球タンク(図示せず)又はタンクレール(図示せず)内の遊技球が不足していることを検出する球切れスイッチ22a又は23aと、裏配線中継端子板63及び払出中継端子板66を介して払い出した遊技球を検出する払出スイッチ24bと、各種端子板を介することなく下皿への経路に遊技球が多数あることを検出する満杯スイッチ13aと、が接続されている。払出制御装置51の出力端には、裏配線中継端子板63及び払出中継端子板66を介して遊技球を上皿へと払い出す払出モータ24aが接続されている。
払出制御装置51はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される各種検出信号ならびに主制御装置50から入力されるコマンドに基づいて遊技球の払い出しに関わる各種コマンド等を生成し、主制御装置50及び発射制御装置52に出力する。
ここで、払出制御装置51と主制御装置50とは双方向通信回路として構成され、払出制御装置51と発射制御装置52とは払出制御装置51から発射制御装置52への一方向通信回路として構成されている。
また、払出制御装置51は、外部接続端子板61を介して賞球に関する情報などをホールコンピュータ70に送信するほか、発射制御装置52に対して発射停止信号を送信する。発射制御装置52は発射モータ36を制御して、遊技球を遊技領域26に遊技球を発射させる。なお、発射制御装置52には払出制御装置51以外に発射ハンドル18からの回動量信号、タッチスイッチ20aからのタッチ信号、発射停止スイッチ19aから発射停止スイッチ信号が入力される。回動量信号は、遊技者が発射ハンドル18を操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドル18を触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ19aを押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置51に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドル18を触っていても遊技球は発射出来ないようになっている。
サブ統合制御装置53の入力端には、遊技者により操作可能な遊技スイッチ14aが接続されている。サブ統合制御装置53の出力端には、図示しない意匠枠及び遊技盤8に備えられる各種LED・ランプ37と、前面枠及びスピーカユニットに備えられるスピーカ10と、が接続されている。
尚、サブ統合制御装置53と主制御装置50とは間に演出中継端子板65を介した主制御装置50からサブ統合制御装置53への一方向通信回路として構成され、サブ統合制御装置53と演出図柄制御装置54aとはサブ統合制御装置53から演出図柄制御装置54aへの一方向通信回路として構成されている。
サブ統合制御装置53はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される遊技スイッチ14aの入力ならびに主制御装置50から入力されるコマンドに基づいて演出に関わる各種コマンド等を生成し、演出図柄ユニット54の演出図柄制御装置54aに出力する。
また、サブ統合制御装置53には、音量を調節する音量調節スイッチ10aが備えられ、音量調節スイッチ10aの状態(位置)を検出し、その検出結果とスピーカ10へ送信する内容とを判断し、スピーカ10から出力する音量をソフト的に制御するように構成されている。
演出図柄制御装置54aは、サブ統合制御装置53から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置50から送信されてきたものとサブ統合制御装置53が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置54bを制御して、疑似図柄等の演出画像を窓部28aに表示させる。
次に、主制御装置50が実行するゲート通過処理を、図3を用いて説明する。ゲート通過処理は、遊技球が普通図柄作動ゲート42を通過(普通図柄作動スイッチ42aが遊技球を検知)したときに取得する当り判定用乱数を、保留記憶として主制御装置50に格納する処理である。以後、普通図柄作動ゲート42通過時に格納される保留記憶を普図保留記憶とする。尚、メインルーチンとして行われる各処理は従来技術と何ら変わりないため説明は割愛する。
ゲート通過処理を開始すると、遊技球が普通図柄作動ゲート42を通過したか否か(普通図柄作動スイッチ42aが遊技球を検知したか否か)判定する(S10)。肯定判定なら(S10:YES)、普通図柄保留記憶数が上限値(=4個)未満か否か判定する(S11)。肯定判定なら(S11:YES)、普通図柄作動ゲート42通過時に取得した乱数値を普通保留記憶として主制御装置50の記憶領域に格納する(S12)。S12の処理後、又はS10、S11が否定判定なら(S10:NO、S11:NO)、リターンに抜ける。
主制御装置50に格納されている普図保留記憶の数は、図1と図2で示した普図保留数表示装置41aに表示され、遊技者がその数を常時認識可能となっている。普図保留記憶が無い状態で普通図柄作動ゲート42を通過した場合、取得した乱数を一時的に普図保留記憶として主制御装置50に格納するが、後述する普図当否判定処理の実行に移るため、普図保留数表示装置41aにその数を表示することはない。
次に、図7(1)用いて普通電動役物監視処理について説明する。本実施例では普通電動役物の状態を図に示すように5種類に区分している。普通電動役物監視処理は、5ビットで構成される普電状態監視フラグ領域に、普通電動役物の処理状態の切替に応じていずれか1つのビットに絶えずフラグをセットする処理を行う。具体的には、アイドリング状態ならば図7(1)に示す5ビットの一番右の(1)のみに1をセットする。変動監視状態ならば右から二番目の(2)のみに1をセットする。停止監視状態ならば右から三番目の(3)のみに1をセットする。普電作動中監視状態ならば右から4番目の(4)のみに1をセットする。普電作動停止監視状態ならば一番左の(5)のみに1をセットする。
従って、後述する主制御装置50がサブ統合制御装置53へ普電状態コマンドを送信する際は、その時点の普電状態監視フラグ領域を参照し、フラグが立っている位置に応じたコマンドを生成する処理を行うことになり、この普電状態コマンドは本願発明における状態コマンドに該当する。
具体的な普電状態コマンドは、図7(2)に示すように、全体を4ビットとし、上位バイトを動作番号A0(H)の1種類、下位バイトを01(H)から05(H)の識別番号で構成し全部で5種類のコマンドとなる。また、識別番号は、普電状態監視フラグ領域の右からの位置に対応したものになっている。よってアイドリング状態を示す普電状態コマンドはA001(H)。変動監視状態を示す普電状態コマンドはA002(H)。停止監視状態を示す普電状態コマンドはA003(H)。普電作動中監視状態を示す普電状態コマンドはA004(H)。普電作動停止監視状態を示す普電状態コマンドはA005(H)となる。
続いて、上記の内容に区分された普通電動役物の処理状態を図8を用いて具体的に説明する。図8の上のタイムチャートは、通常確率状態における普通図柄と普通電動役物40の作動を表したものであり、下に示したタイムチャートは開放延長機能作動時のものである。これらは、普通電動役物40作動時の開放時間と開放回数が相違するが、処理状態の流れは同一である。従って上に示した通常確率時のタイムチャートを詳細に説明し、開放延長機能作動時は援用とする。
図8に示した(1)から(5)の処理状態の区分は、図7で説明した(1)から(5)の処理状態を示す。タイムチャートの一番左となる(1)に示す期間は、普通図柄の変動も普通電動役物40の作動も行われていないが、遊技球が普通図柄作動ゲート42を通過した時点で普通図柄が該通過に対応した変動を開始可能な状態であり、普通電動役物の処理状態の区分がアイドリング状態となる。(2)に示す期間は、普通図柄作動ゲート42を遊技球が通過したことに起因する普通図柄の変動表示期間であり、普通電動役物の処理状態の区分が変動監視状態となる。(3)に示す期間は、普通図柄の変動表示終了後、当否結果となる確定図柄を表示する期間であり、普通電動役物の処理状態の区分が停止監視状態となる。(4)に示す期間は、(3)で表示した確定図柄が当り図柄の場合に実施される普通電動役物40の作動(開放)期間であり、普通電動役物の処理状態の区分が普電作動中監視状態となる。普通電動役物40作動後の(5)の期間は、終了インターバルとして普通電動役物40の作動終了間際に入球した遊技球を検出する期間であり、普通電動役物の処理状態の区分が普電作動停止監視状態となる。
尚、(3)で確定表示された普通図柄がハズレであった場合、(3)の状態の後は、普図保留記憶があれば(2)の変動監視状態に移行し(タイムチャートの(4)(5)を外した流れ)、普図保留記憶が無ければ、(1)のアイドリング状態に移行する(タイムチャートの(4)(5)(2)(3)を外した流れ)。また、電源投入時には、アイドリング状態を示す位置にフラグがセットされる。
上記したように普通電動役物40の処理状態を区分すると、各処理状態は処理中の遊技球の入球が正常な状態と、異常な状態のどちらかに区分されることになる。従って、遊技球入球時の普通電動役物40の状態を示す普電状態コマンドは、その識別番号によって正常な入球に基づくものか、異常な入球に基づくものかの判断が可能となる。具体的には普電状態コマンドがA004(H)又はA005(H)であれば、第2始動口32(普通電動役物40)の正常な処理状態における遊技球の入球を示し、A001(H)、A002(H)及びA003(H)であれば、異常な処理状態における遊技球の入球を示すことになる。
次に、普電状態監視フラグ領域の普電監視フラグ設定処理を含む、主制御装置50が実行する普図当否判定処理を図4、図5を用いて説明する。尚、普電状態監視フラグ領域の普電監視フラグ設定処理は後述する図6に示す普図当り遊技処理にも含まれる。
普図当否判定処理は、普通図柄作動ゲート42の遊技球の通過に起因する普通図柄の変動表示を実施するための処理であり、上述した普電状態監視フラグ領域のフラグ位置を参照して処理が行われ、普通図柄の状態に応じてフラグ位置を切替える処理(普電監視フラグ設定処理)が行われる。
普図当否判定処理を開始すると、普電状態監視フラグ領域の4ビット目(右から)が0か否か判定する(S20)。これは、普電作動中監視状態を参照し普通電動役物40が未作動か否かの判定となる。S20が肯定判定なら(S20:YES)、同様に2ビット目が0か否か判定する(S21)。これは、変動監視状態を参照し普通図柄が停止中か否かの判定となる。S21が肯定判定なら(S21:YES)、同様に3ビット目が0か否か判定する(S22)。これは、停止監視状態を参照し普通図柄の確定表示が未実施中か否かの判定となる。
S22が肯定判定なら(S22:YES)、普電状態監視フラグ領域の5ビット目(右から)が0か否か判定する(S23)。これは、普電作動停止監視状態を参照し普通電動役物40が終了インターバル中ではないか否かの判定となる。S23が肯定判定なら(S23:YES)、普図保留記憶が有るか否か判定する(S24)。肯定判定なら(S24:YES)、確変フラグが0か否か判定する(S25)。確変フラグとは、主制御装置50にて記憶される値であり、確変フラグの値が「0」のときは、大当り確率が通常状態中(通常確率)であることを、確変フラグの値が「1」のときは、確率変動状態中(高確率)であることを主制御装置50が判断するための値である。S25が肯定判定なら(S25:YES)、通常確率用の判定用テーブルを用いて記憶してから最も時間が経過している乱数値の当否判定を行い(S26)、否定判定なら(S25:NO)確率変動用(高確率状態用)の判定用テーブルを用いて記憶してから最も時間が経過している乱数値の当否判定を行う(S27)。
S26又はS27の判定処理で予め定められた当り値(当り判定用の当り値)と一致していた場合には(28:YES)、当り図柄の決定(S29)、変動パターンの決定(S30)が行われ、一致しなかった場合には(S28:NO)、ハズレ図柄の決定(S31)、変動パターンの決定(S32)が行われる。なお、普通図柄の当り図柄もハズレ図柄も1種類しかないので、当りであれば必ず「L」に決定され、ハズレであれば必ず「−」に決定される。また、普通図柄の変動時間は2種類しかなく、この2種類は現在の遊技状態において時短フラグが立っているか否かで振り分けられる構成になっている。詳細には、現在の遊技状態(変動開始時(抽選時)の遊技状態)が、時短フラグが立っていない状態であれば普変動パターン1である5秒が必ず選択され、時短フラグ(開放延長機能作動中)が立っている状態であれば普変動パターン2である0.7秒が必ず選択される構成になっている(開放延長機能作動時に開始される普通図柄の最短変動時間は0.7秒、最長変動時間も0.7秒)。つまり、抽選結果が当りであってもハズレであっても変動時間が同じになっている。しかし、この構成に限定するわけではなく、抽選結果(当りハズレ)により変動時間を異ならせる構成にしてもよい。
S30又はS32の処理後は普通図柄を普通図柄表示装置41に変動表示させ(S33)、普電監視フラグ設定処理として普電状態監視フラグ領域の2ビット目(変動監視状態を示す)に1をセットする(S34)。
S22が否定判定なら(S22:NO)、即ち普通図柄が確定表示を実施中ならば、表示時間が経過したか否かを判定し(S35)、肯定判定なら(S35:YES)、普通図柄の確定表示を終了させる(S36)。S23が否定判定なら(S23:NO)、普通電動役物40作動後の終了インターバル期間が経過したか否か判定し(S37)、肯定判定なら(S37:YES)、普電監視フラグ設定処理として普電状態監視フラグ領域の1ビット目(アイドリング状態を示す)に1をセットする(S38)。S34、S36、S38の処理後、又はS20、S24、S35、S37が否定判定なら(S20:NO、S24:NO、S35:NO、S37:NO)、普図当り遊技処理に進む。
S21が否定判定なら(S21:NO)、即ち普通図柄が変動表示ならば図5のフローチャートに進み、普通図柄の変動時間が、設定された変動パターンに基づいて経過したか否か判定する(S40)。肯定判定なら(S40:YES)、確定図柄の表示処理を行い(S41)、普電監視フラグ設定処理として普電状態監視フラグ領域の3ビット目(停止監視状態を示す)に1をセットする(S42)。
続いて、S41で確定表示させた図柄が、普通電動役物40を作動させる当り図柄か否か判定し(S43)、肯定判定なら(S43:YES)、確定図柄の表示設定処理(確定図柄を表示させておく時間の設定)を行い(S44)、否定判定なら(S43:NO)、ハズレ図柄の表示設定処理を行う(S50)。尚、S44の表示設定処理では、予めに普通図柄を確定表示させておく時間を設定するのではなく、普通電動役物40が作動中の間、確定表示させておくための処理である。但し、停止監視状態となるのは、確定図柄を表示させてから普通電動役物40が作動を開始するまでの期間となる。S50の表示設定処理では0.6秒を設定し、この期間が停止監視状態となる。
S44の処理後は現在の遊技状態において開放延長機能が作動中か否かを判定する(S45)。肯定判定であれば(S45:YES)、開放延長機能作動時の普通電動役物40の開放パターンを設定し(S46)、否定判定なら(S45:NO)、通常状態時の普通電動役物40の開放パターンを設定する(S47)。S46、又はS47の処理の後、普通電動役物40の作動を開始させ(S48)、普電監視フラグ設定処理として普電状態監視フラグ領域の4ビット目(普電作動中監視状態を示す)に1をセットする(S49)。S49、S50の処理の後、又はS40が否定判定なら(S40:NO)、普図当り遊技処理に進む。
以上が、本実施例における普電監視フラグ設定処理を含む普図当否判定処理となり、普通図柄の処理状態に応じて、普電状態監視フラグ領域を上述した(1)アイドリング(2)変動監視(3)停止監視(4)普電作動中監視の各普電状態に設定する。
次に、図6を用いて主制御装置50が実行する普図当り遊技処理を説明する。この処理は前述した普図当否判定処理で当り判定の場合に実施する普通電動役物40の作動を制御する処理であり、普電監視フラグ設定処理の一部を含む。
普図当り遊技処理を開始すると、普通電動役物40が作動中か否か判定する(S51)。肯定判定なら(S51:YES)、作動時間が経過したか否か判定する(S52)。肯定判定なら(S52:YES)、普通電動役物40の作動停止処理を行い(S53)、普電監視フラグ設定処理として普電状態監視フラグ領域の5ビット目(普電作動停止監視状態を示す)に1をセットする(S54)。
以上が普図当り遊技処理となり、普電監視フラグ設定処理として、普通電動役物40が作動を終了する時点で普電状態監視フラグ領域の右から5番目のビット(一番左のビット)に1を設定する処理を含んでいる。従って、普通図柄の変動表示を制御する普図当否判定処理と、普通電動役物40の作動を制御する普図当り遊技処理において、普通電動役物の状態を監視する普通電動役物監視処理が構成され、普電状態監視フラグ領域が普通図柄及び普通電動役物40の状態に応じて設定される。
次に、主制御装置50が実行する特図始動口入賞処理1を図9を用いて説明する。この処理は、遊技球の始動口入賞時に取得する各種乱数を主制御装置50の保留記憶領域に格納する処理に加え、第2始動口32(普通電動役物40)への遊技球入賞時の普通電動役物40の状態を示す普電状態コマンドを、サブ統合制御装置53に送信する処理を含み、この処理は本願発明における始動口入球に基づいて状態コマンドをサブ制御装置に送信する構成に該当する。また、本実施例におけるパチンコ遊技機は、第1特別図柄と、第2特別図柄の二つの特別図柄を備え、どちらの特別図柄もこの特図始動口入賞処理1で先読み判定処理を行う。先読み判定とは、保留記憶する乱数値を、変動表示開始時の判定以前に予告演出用に判定する処理である。本実施例では、保留記憶する大当り判定用乱数の値が、記憶時の遊技状態で用いられる大当り判定用テーブルの値と一致するか否かを判定している。
特図始動口入賞処理1を開始すると、第1始動口31に遊技球が入球したか否か(第1特図始動スイッチが遊技球を検出したか否か)判定する(S60)。肯定判定なら(S60:YES)、第1特別図柄の保留記憶数が上限値(=4個)未満か否か判定し(S61)、肯定判定なら(S61:YES)、遊技球が第1始動口31に入球した際に抽出した複数の乱数値(大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数)を、第1特別図柄保留記憶用の記憶領域に格納する(S62)。次に、保留記憶された大当り判定用乱数値を、入球時が通常確率時なら通常確率用の判定テーブルの値と、確率変動時なら確率変動時用の判定テーブルの値と一致するか否かの判定(先読み判定)を行う(S64)。肯定判定なら(S64:YES)、乱数値と判定テーブルの値が一致したことを示す先読み判定コマンドを生成し(S65)、否定判定なら(S64:NO)、乱数値と判定テーブルの値が不一致であることを示す先読み判定コマンドを生成する(S66)。また、S61が否定判定であった場合(S61:NO)、保留記憶が行われないため先読み判定も実施されないが、先読み判定が実施されなかったことを示す先読み判定コマンドを生成する(S67)。
S65、S66、S67の処理の後、いずれかの処理で生成した先読み判定コマンドをサブ統合制御装置53に送信し(S68)、第1特図保留数表示装置29aに現在の保留記憶数を点灯させると共に、サブ統合制御装置53に現在の第1保留記憶数を送信する(S69)。S69の処理において、S61が否定判定で保留記憶と先読み判定が実施されなかった場合は(S67経由)、サブ統合制御装置53に送信する現在の保留記憶数として、オーバーフロー(記憶上限数より多い入球)を示すコマンドを送信する。尚、オーバーフローを示すコマンドではなく、上限数(4個)を示すコマンドでもよい。また、S67の処理を行った場合、S68の処理後はS69の処理をスキップする構成としてもよい。
S69の処理の後、又はS60が否定判定なら(S60:NO)、図10の処理に進み、第2始動口32(普通電動役物40)に遊技球が入球したか否か(第2特図始動スイッチ32aが遊技球を検出したか否か)判定する(S80)。肯定判定なら(S80:YES)、第2特別図柄の保留記憶数が上限値(=4個)未満か否か判定し(S81)、肯定判定なら(S81:YES)、遊技球が第2始動口32に入球した際に抽出した複数の乱数値(大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等)を、第2特別図柄保留記憶用の記憶領域に格納する(S82)。次に、保留記憶された大当り判定用乱数値を、入球時が通常確率時なら通常確率用の判定テーブルの値と、確率変動時なら確率変動時用の判定テーブルの値と一致するか否かの判定(先読み判定)を行う(S84)。肯定判定なら(S84:YES)、乱数値と判定テーブルの値が一致したことを示す先読み判定コマンドを生成し(S85)、否定判定なら(S84:NO)、乱数値と判定テーブルの値が不一致であることを示す先読み判定コマンドを生成する(S86)。また、S81が否定判定であった場合(S81:NO)、保留記憶が行われないため先読み判定も実施されないが、先読み判定が実施されなかったことを示す先読み判定コマンドを生成する(S87)。
S85、S86、S87の処理の後、いずれかの処理で生成した先読み判定コマンドをサブ統合制御装置53に送信し(S88)、現時点の普電状態監視フラグ領域を参照し、フラグが立っている位置に応じた普電状態コマンドを生成する(S89)。次に生成した普電状態コマンドをサブ統合制御装置53に送信し(S90)、第2特図保留数表示装置30aに現在の保留記憶数を点灯させると共に、サブ統合制御装置53に現在の第2保留記憶数を送信する(S91)。S91の処理の後、又はS80が否定判定なら(S80:NO)、リターンに抜ける。S91の処理において、S81が否定判定で保留記憶と先読み判定が実施されなかった場合は(S87経由)、サブ統合制御装置53に送信する現在の保留記憶数として、オーバーフロー(記憶上限数より多い入球)を示すコマンドを送信する。尚、オーバーフローを示すコマンドではなく、上限数(4個)を示すコマンドでもよい。また、S87の処理を行った場合、S90の処理後はS91の処理をスキップする構成としてもよい。
以上が本実施例における特図始動口入賞処理1であり、第2始動口32(普通電動役物40)への遊技球の入球に基づいて、該入球時の普通電動役物40の状態を示す普電状態コマンドを普電状態監視フラグ領域を参照して生成し、サブ統合制御装置53に送信する構成となり、それに加え先読み判定コマンドと保留記憶数コマンドが別々にサブ統合制御装置53に送信される。
次に、本実施例においてサブ統合制御装置53が実行する普電状態コマンド受信処理1を図11を用いて説明する。普電状態コマンド受信処理1は、本願発明における異常判定手段、異常計数手段、誤報回避手段及び異常報知手段を含む処理であり、受信した普電状態コマンドを基に普通電動役物40への異常な遊技球の入球を判定する処理となる。
普電状態コマンド受信処理1を開始すると、普電状態コマンドを受信したか否か判定する(S100)。肯定判定なら(S100:YES)、受信した普電状態コマンドの識別番号が04(H)か否か判定する(S101)。S101が否定判定なら(S101:NO)、受信した普電状態コマンドの識別番号が05(H)か否か判定する(S102)。このS101とS102の判定は、受信したコマンドに対応する普通電動役物40への遊技球の入球が、普電作動中監視状態か又は普電作動停止監視状態かのいずれかの状態で行われたか、即ち遊技球入球時の普通電動役物40が正常な処理状態か否かを判定するものであり、本願発明における異常判定手段に該当する。
S102が否定判定なら(S102:NO)、即ち普通電動役物40の状態が正常な状態以外で遊技球が入球した場合、異常検出フラグが0か否か判定する(S103)。異常検出フラグとは、サブ統合制御装置53にて記憶される値であり、異常検出フラグの値が「0」のときは、異常状態を示す普電状態コマンド(識別番号01、02、03(H))を受信していないことを、異常検出フラグの値が「1」のときは、異常状態を示す普電状態コマンドを、連続で5回未満受信していることをサブ統合制御装置53が判断するための値である。
S103が肯定判定なら(S103:YES)、異常検出フラグに1をセットする(S104)。S104の処理の後、又はS103が否定判定なら(S103:NO)、即ち既に異常検出フラグが1ならば、異常検出カウンタのデクリメント処理を行う(S105)。異常検出カウンタは、不正な状態を示す普電状態コマンドの受信回数を計数するカウンタであり、常時の設定値として5がセットされている。この異常検出カウンタは、本願発明におけるカウンタに、該カウンタの値をデクリメントする処理が異常計数手段に該当するものである。
S105の処理の後、異常検出カウンタの値が0か否か判定する(S106)。肯定判定なら(S106:YES)、普通電動役物40の異常状態報知を指示する信号を演出図柄制御装置54aに送信すると共に、スピーカ10からの異常報知用の音声を出力し、各種ランプ・LED37で異常報知態様の発光を行う(S107)。S107が本願発明における異常報知手段にあたる。この構成により、異常カウンタの値が0に達することを条件に、普通電動役物40の異常状態を報知する構成となる。
次に、S101又はS102が肯定判定なら(S101:YES、S102:YES)、即ち普通電動役物40が遊技球の入球の際に正常な状態を示す普電状態コマンドを受信した場合、異常検出フラグが1か否か判定する(S110)。肯定判定なら(S110:YES)、異常検出フラグに0をセットし(S111)、異常復帰カウンタの値を初期化する(S112)。異常復帰カウンタは、上述した異常カウンタの値が1以上5未満の範囲にあるときに、正常な普電状態コマンドの受信回数を計数(本実施例ではインクリメント)するカウンタであり、初期化することによってその値に0がセットされる。
S110の判定が否定判定なら(S110:NO)、異常復帰カウンタの値が0より大きいか否か判定する(S113)。S112の処理の後、又はS113が肯定判定なら(S113:YES)、異常復帰カウンタのインクリメント処理を行い(S114)、異常復帰カウンタの値が5に達したか否か判定する(S115)。肯定判定なら(S115:YES)、異常復帰カウンタの値を初期化(0をセット)する処理を行う(S116)。
S116の処理か又はS107の処理の後、異常検出カウンタの値を初期化(5をセット)する処理を行う(S117)。S117の処理の後、又はS100、S106、S113、S115の判定が否定判定なら(S100:NO、S106:NO、S113:NO、S115:NO)リターンに抜ける。
以上が本実施例における普電状態コマンド受信処理1であり、S110からS117までの処理が本願発明における誤報回避手段に該当する。この場合の異常復帰カウンタは、異常検出カウンタの値が1以上5未満の間の1つ値を維持しているときに、正常状態の受信を計数するカウンタであり、該カウンタの値が所定値(5)に達したことを条件に異常検出カウンタの値を初期化(5をセット)する構成となっている。従って異常検出カウンタが1以上5未満の間の1つ値を維持できない場合(S110の肯定判定が示す)は、異常復帰カウンタは初期化されるが、異常復帰カウンタの初期化の原因となる異常状態を示すコマンドの受信数(異常検出カウンタ)は、以前の計数値が初期化されることなく更に計数されるため、途中に正常なコマンドを5回未満受信しても異常検出カウンタの計数が所定数(5回)に達すると異常報知を実施する。尚、異常カウンタの値が1以上5未満の間の1つ値を維持せずとも、0になるまでに異常復帰カウンタの値が所定数(5回)に達することによって異常カウンタの値を初期化する構成も考えられる。
異常検出カウンタは、異常状態を示すコマンドを受信する毎にデクリメント処理が行われるが、カウンタの初期値を0としてインクリメント処理をする構成としてもよく、その場合、異常検出カウンタの値が5に達したことを条件に異常報知を実施する構成となる。
誤報回避手段は、本来なら偶発的に発生した異常な入球を、異常と判断しないために構成されたものであるが、異常復帰カウンタが所定値に達したことによって異常検出カウンタが初期化される処理が頻発(単位時間内に所定回数異常検出カウンタを初期化)する場合、何らかの異常状態が発生しているものとみなし異常報知を実施する構成も考えられる。尚、当然のことながら設定値(5回)についてはこの値に限るものではない。
本実施例での異常報知は、所定時間(1分間)経過後に終了する構成であり、終了時に異常検出フラグ、異常検出カウンタ及び異常復帰カウンタの値が初期化される。尚、異常報知が所定時間内に複数回発生した場合は(例えば10分間に2回)、遊技機の電源断時、又はホールスタッフによる遊技機再起動まで異常報知を継続する構成としてもよい。
以上が実施例1の説明となる。上記構成とすることにより、普通電動役物40への異常入賞に関して主制御装置50は、該異常入賞が報知を必要とする不正行為によるものか若しくは報知するにはおよばない偶発的に発生したものかといった複雑な条件設定を必要とする判定処理を実行することはなく、普通電動役物40への遊技球の入球に応じて普電状態監視フラグ領域のフラグ位置から普電状態コマンドを生成し、サブ統合制御装置53に送信する処理のみを行う。従って、主制御装置50には、従来機が備えた異常入賞の判定処理を行うための処理構成が必要ないため、CPUでの処理やROM容量の負担を軽減することが可能となる。また、異常入賞を報知するか否かの判定処理はサブ統合制御装置53で実行するため、CPUの処理負担やROM容量を気にすることなく、受信した普電状態コマンドに基づいて様々な条件設定を用いた異常入賞の判定処理(例えば図11)を実施可能とする。
次に実施例2について説明する。本実施例に於いて遊技機を構成する部品とその電気的接続は実施例1と共通となる。従って、重複する部分の説明は割愛する。
本実施例は、普通電動役物40への遊技球入球時に主制御装置50からサブ統合制御装置53に送信する普電状態コマンドに、実施例1では別に送信した先読み判定の情報を含め、従来なら2回必要としたコマンドの送信を、1回のコマンド送信で行う構成である。
本実施例で主制御装置50が実行する特図始動口入賞処理2を説明する。この処理では、第2始動口32(普通電動役物40)に遊技球が入球した際に取得する乱数を、主制御装置50の記憶領域に保留記憶として格納する処理と共に、第2始動口32(普通電動役物40)への遊技球入球時の普通電動役物40の処理状態と、該入球時に実施する先読み判定結果と、の二つの情報を合成したコマンドを生成し、該二つの情報を備える一つのコマンドをサブ統合制御装置53に送信する処理を行う。従って特図始動口入賞処理2は、本願発明における乱数記憶手段、乱数抽出手段、先読み判定手段、及び該先読み判定手段による情報を状態コマンドに各々含めて送信する構成、を含むものとなる。尚、特図始動口入賞処理2の第1始動口31に関する処理は実施例1の図9に示した処理と変わりないため援用とし、第2始動口32(普通電動役物40)に係る処理のみ図12を用いて説明する。
図12に示すフローチャートでは、図9に示すS69の処理、又はS60の否定判定の後、第2始動口32(普通電動役物40)に遊技球が入球したか否か(第2特図始動スイッチ32aが遊技球を検出したか否か)判定する(S120)。肯定判定なら(S120:YES)、第2特別図柄の保留記憶数が上限値(=4個)未満か否か判定し(S121)、肯定判定なら(S121:YES)、遊技球が第2始動口32に入球した際に抽出した複数の乱数値(大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等)を、第2特別図柄保留記憶用の記憶領域に格納する(S122)。次に、保留記憶された大当り判定用乱数値を、入球時が通常確率時なら通常確率用の判定テーブルの値と、確率変動時なら確率変動時用の判定テーブルの値と一致するか否かの判定(先読み判定)を行う(S124)。この判定処理が本願発明における先読み判定手段となる。
S124が肯定判定なら(S124:YES)、現時点の普電状態監視フラグ領域を参照し(S125)、フラグが立っている位置と、先読み判定によって乱数値と判定テーブルの値が一致したこと(一致情報)、の二つの情報を含む普電状態コマンドを生成する(S126)。S124が否定判定なら(S124:NO)、現時点の普電状態監視フラグ領域を参照し(S125)、フラグが立っている位置と、先読み判定によって乱数値と判定テーブルの値が不一致であったこと(不一致情報)、の二つの情報を含む普電状態コマンドを生成する(S127)。加えて、S121が否定判定であった場合(S121:NO)、即ち乱数値を抽出が行われなかった場合も、現時点の普電状態監視フラグ領域を参照し(S125)、フラグが立っている位置と、先読み判定が実施されなかったこと(不実施情報)、の二つの情報を含む普電状態コマンドを生成する(S128)。尚、S128では、不実施を示すコマンドの代わりに、不一致を示すコマンドを生成する構成も考えられる。
S126、S127、S128の処理の後、いずれかの処理で生成した普電状態と先読み判定結果の二つの情報を含む普電状態コマンドをサブ統合制御装置53に送信し(S129)、第2特図保留数表示装置30aに現在の保留記憶数を点灯させると共に、サブ統合制御装置53に現在の第2保留記憶数を送信する(S130)。S130の処理の後、又はS120が否定判定なら(S120:NO)、リターンに抜ける。S130の処理において、S121が否定判定で保留記憶と先読み判定が実施されなかった場合は(S128経由)、サブ統合制御装置53に送信する現在の保留記憶数として、オーバーフロー(記憶上限数より多い入球)を示すコマンドを送信する。尚、オーバーフローを示すコマンドではなく、上限数(4個)を示すコマンドでもよい。また、S128の処理を行った場合、S129の処理後はS130の処理をスキップする構成としてもよい。
以上が本実施例における特図始動口入賞処理2であり、第2始動口32(普通電動役物40)への遊技球の入球に基づいて、入球時の普通電動役物40の状態と共に、保留記憶する乱数値の先読み判定結果を示すコマンドをサブ統合制御装置53に送信する処理を含み、これは本願発明における先読み判定手段による比較した際の不一致情報又は一致情報を、乱数抽出手段により乱数値を抽出しなかった場合には不一致情報を、状態コマンドに各々含めて送信する構成に該当する。
次に、先読み判定結果の情報を含む普電状態コマンド(以後、普電状態コマンド2)の具体的な構成と内容を、図13を用いて説明する。普電状態コマンド2は、全体を4ビットとし、上位バイトをB0(H)からB4(H)の5種類の動作番号、下位バイトを01(H)から03(H)の3種類の識別番号で構成し全部で15種類のコマンドとなる。
上位バイトの動作番号B0(H)は、普通電動役物40のアイドリング状態を示し、B1(H)は、普通電動役物40の変動監視状態を示し、B2(H)は、普通電動役物40の停止監視状態を示し、B3(H)は、普通電動役物40の普電作動中監視状態を示し、B4(H)は、普通電動役物40の普電作動停止監視状態を示す。
各動作番号に対して、下位バイトでは01(H)から03(H)の識別番号が組み合わされ、01(H)は、抽出した大当り判定用乱数値と、抽出時の遊技状態に応じた判定用テーブルとの値が一致したことを示し(先読み判定の結果が大当り)、02(H)は、抽出した大当り判定用乱数値と、抽出時の遊技状態に応じた判定用テーブルとの値が不一致であることを示し(先読み判定の結果がハズレ)、03(H)は、第2始動口32(普通電動役物40)への遊技球の入球による各種乱数値の抽出が実施されなかったことを示す(先読み判定が未実施)。尚、先読み判定が未実施の場合、ハズレを示す識別番号02(H)を送信する構成でも問題ない。
以上が先読み判定結果の情報を含む普電状態コマンドの具体的な内容であり、この内容は本願発明における、状態コマンドは普通電動役物の状態に応じて複数種類に設定される上位バイトと先読み判定手段の比較結果又は先読み判定手段の不実行に応じて複数種類に設定される下位バイトにより構成された2バイトコマンドとした、に該当する構成となる。
尚、主制御装置50からサブ統合制御装置53に送信するコマンドの種類は、少ない数とすることが望ましく、2種類の情報を合成し1つのコマンドとする場合、情報数の少ない方を上位バイトの動作番号、情報数の多い方を下位バイトの識別番号として組み合わせ、組み合わせ数を減らす構成が好適といえる。本実施例では、種類の少ない(3種類)先読み判定情報を下位バイトとしているが、これは、説明した先読み判定の内容(大当り判定)に他の判定条件を追加(例えば、大当り判定が一致したことを条件に更に大当り図柄判定等を行ったり、大当り判定が不一致であることを条件に変動パターンの判定を行う等の構成)することが容易に想定できるため、先読み判定情報の種類が増加した場合でも、共通のプログラムを使用できるという優位性を考慮した構成となる。
また、普電状態コマンド2の構成は、1種類のコマンドで普通電動役物40の処理状態と先読み判定の結果が識別可能であれば、コマンドの種類が256種類以内の場合、上下バイトの組合せではなく、上位バイトを1種類とし、識別番号によってコマンドの全種類を識別可能とする構成も考えられる。更に、本実施例における普通電動役物40の5種類の処理状態は、普通電動役物40への遊技球の入賞が正常か否かに特化した場合、正常な処理状態又は異常な処理状態の2種類まで減らす構成でもよく、これにより全体のコマンド数の減少が可能となる。
次に、本実施例においてサブ統合制御装置53が実行する普電状態コマンド2受信処理を図14、図15を用いて説明する。この処理は、実施例1で図11を用いて説明した普電状態コマンド受信処理1と同様の、普通電動役物40への異常入球を判定する処理と共に、該判定に用いるコマンドに含まれる先読み判定の結果情報を判断し、予告演出の実行を指示する処理を含む。従って普電状態コマンド2受信処理は、本願発明における異常判定手段、異常計数手段、誤報回避手段及び異常報知手段を含む処理となる。
図14に示す処理は、その処理構成を図11に示した普電状態コマンド受信処理1と同一とし、破線で示したS140、S141、S142の判定内容が、普電状態コマンド2の内容に応じて相違するものとなっている。従って図14の説明は、普電状態コマンド受信処理1と相違する破線部のS140、S141、S142のみとし、S143以降の処理については援用とする。
普電状態コマンド2受信処理を開始すると、普電状態コマンド2を受信したか否か判定する(S140)。肯定判定なら(S140:YES)、受信した普電状態コマンド2の動作番号がB3(H)か否か判定する(S141)。S141が否定判定なら(S141:NO)、受信した普電状態コマンド2の動作番号がB4(H)か否か判定する(S142)。このS141とS142の判定は、受信したコマンドに対応する普通電動役物40への遊技球の入球が、普電作動中監視状態か又は普電作動停止監視状態かのいずれかの状態で行われたか、即ち遊技球入球時の普通電動役物40が正常な処理状態か否かを判定するものであり、本願発明における異常判定手段に該当する。
S157の処理の後、又はS140、S146、S153、S155の判定が否定判定なら(S140:NO、S146:NO、S153:NO、S155:NO)、図15の処理に進み、受信した普電状態コマンド2の識別番号が01(H)か否か判定する(S160)。01(H)の識別番号は、比較値の一致、所謂大当りを示し、S160が肯定判定なら(S160:YES)先読み予告演出実行判定処理を行う(S161)。
本実施例における先読み予告演出は、保留記憶された乱数が大当りを期待できるものか否かの演出を行うものであり、具体的には、演出図柄表示装置54bに表示される保留記憶数表示の態様を通常の表示態様とは異なる態様とすることで、大当りの期待感を増幅させる演出である。S161では、先読み判定の結果が大当りであることを受けて、予告実施判定用の乱数値を抽出し、該乱数値と実施判定用テーブルの値が一致するか否かの判定を行う。尚、先読み予告演出の内容はこれに限るものでなく、所謂連続演出となるものでもよい。また、先読み判定の結果が大当りを示す場合、本実施例では先読み演出を実施する場合としない場合があるが、必ず先読み演出を実施する構成としてもよい。
S161の処理に続いては、先読み予告演出を実行するか否か判定する(S162)。肯定判定なら(S162:YES)、演出図柄制御装置54aに先読み予告演出の実行指示信号を送信する(S163)。S163の処理の後、又はS160、S162が否定判定なら(S160:NO、S162:NO)リターンに抜ける。
以上が実施例2の説明となる。普通電動役物40の異常入賞判定に関しては実施例1と同様の効果を奏すると共に、従来は普通電動役物40への遊技球の入球時に単独で実施されていた先読み判定結果コマンドの送信を、処理契機を同じくする普電状態コマンドとの合成コマンド(普電状態コマンド2)として送信することにより、コマンド送信にようする時間を短縮し、処理の重畳によって主制御装置50が暴走する可能性を低下させることが可能となる。
次に実施例3について説明する。本実施例に於いて遊技機を構成する部品とその電気的接続は実施例1と共通となる。従って、重複する部分の説明は割愛する。
本実施例は、普通電動役物40への遊技球入球時に主制御装置50からサブ統合制御装置53に送信する普電状態コマンドに、実施例1では別に送信した保留記憶数の情報を含め、従来なら2回必要としたコマンドの送信を、1回のコマンド送信で行う構成である。
本実施例で主制御装置50が実行する特図始動口入賞処理3を説明する。この処理では、第2始動口32(普通電動役物40)に遊技球が入球した際に取得する乱数を、主制御装置50の記憶領域に保留記憶として格納する処理と共に、第2始動口32(普通電動役物40)への遊技球入球時の普通電動役物40の処理状態と、格納された保留記憶数と、の二つの情報を合成したコマンドを生成し、該二つの情報を備える一つのコマンドをサブ統合制御装置53に送信する処理を行う。従って特図始動口入賞処理3は、本願発明における乱数記憶手段、乱数抽出手段、及び乱数記憶手段に記憶した保留記憶数の情報を状態コマンドに各々含めて送信する構成と、を含むものとなる。尚、特図始動口入賞処理3の第1始動口31に関する処理は実施例1の図9に示した処理と変わりないため援用とし、第2始動口32(普通電動役物40)に係る処理のみ図16を用いて説明する。
図16に示すフローチャートでは、図9に示すS69の処理、又はS60の否定判定の後、第2始動口32(普通電動役物40)に遊技球が入球したか否か(第2特図始動スイッチ32aが遊技球を検出したか否か)判定する(S170)。肯定判定なら(S170:YES)、第2特別図柄の保留記憶数が上限値(=4個)未満か否か判定し(S171)、肯定判定なら(S171:YES)、遊技球が第2始動口32に入球した際に抽出した複数の乱数値(大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等)を、第2特別図柄保留記憶用の記憶領域に格納する(S172)。次に、保留記憶された大当り判定用乱数値を、入球時が通常確率時なら通常確率用の判定テーブルの値と、確率変動時なら確率変動時用の判定テーブルの値と一致するか否かの判定(先読み判定)を行う(S174)。
S174が肯定判定なら(S174:YES)、乱数値と判定テーブルの値が一致したことを示す先読み判定コマンドを生成し(S175)、否定判定なら(S174:NO)、乱数値と判定テーブルの値が不一致であることを示す先読み判定コマンドを生成する(S176)。また、S171が否定判定であった場合(S171:NO)、保留記憶が行われないため先読み判定も実施されないが、先読み判定が実施されなかったことを示す先読み判定コマンドを生成する(S177)。S175、S176、S177の処理の後、いずれかの処理で生成した先読み判定コマンドをサブ統合制御装置53に送信する(S178)。
S178の処理に続いては、現時点の普電状態監視フラグ領域を参照し(S179)、フラグが立っている位置と、現在の保留記憶数と、の二つの情報を含む普電状態コマンドを生成する(S180)。次に、S180で生成したコマンドをサブ統合制御装置53に送信すると共に、現状の第2保留記憶数を第2特図保留数表示装置30aに点灯させる(S181)。S180の処理において、S177を経由した場合は、現在の保留記憶数としてオーバーフローを示すコマンドを生成するが、保留記憶数としては上限数を保持した状態であるため、上限数(=4個)を示すコマンドを生成する構成も考えられる。S181の処理の後、又はS170が否定判定なら(S170:NO)、リターンに抜ける。
以上が本実施例における特図始動口入賞処理3であり、第2始動口32(普通電動役物40)への遊技球の入球に基づいて、入球時の普通電動役物40の状態と共に、該入球による第2保留記憶数の更新又はオーバーフローを示すコマンドをサブ統合制御装置53に送信する処理を含み、これは本願発明における、抽出した乱数値を乱数記憶手段に記憶した後の保留記憶数を、乱数抽出手段により乱数値を抽出しなかった場合には所定数を、状態コマンドに各々含めて送信する構成に該当する。
次に、保留記憶数の更新情報を含む普電状態コマンド(以後、普電状態コマンド3)の具体的な構成と内容を、図17を用いて説明する。普電状態コマンド3は、全体を4ビットとし、上位バイトをC0(H)からC4(H)の5種類の動作番号、下位バイトを01(H)から05(H)の5種類の識別番号で構成し全部で25種類のコマンドとなる。
上位バイトの動作番号C0(H)は、普通電動役物40のアイドリング状態を示し、C1(H)は、普通電動役物40の変動監視状態を示し、C2(H)は、普通電動役物40の停止監視状態を示し、C3(H)は、普通電動役物40の普電作動中監視状態を示し、C4(H)は、普通電動役物40の普電作動停止監視状態を示す。
各動作番号に対して、下位バイトでは01(H)から05(H)の識別番号が組み合わされ、01(H)は、第2保留記憶数が1個に更新されたことを示し、02(H)は、第2保留記憶数が2個に更新されたことを示し、03(H)は、第2保留記憶数が3個に更新されたことを示し、04(H)は、第2保留記憶数が4個に更新されたことを示し、05(H)は、第2保留記憶数が更新されないオーバーフロー状態であることを示す。尚、オーバーフロー状態の場合、第2保留記憶数がそれ以上更新されない個数である4個を示す04(H)を送信する構成でも問題ない。
以上が保留記憶数の更新情報を含む普電状態コマンドの具体的な内容であり、この内容は本願発明における、状態コマンドは普通電動役物の状態に応じて複数種類に設定される上位バイトと、乱数記憶手段による保留記憶数又は乱数抽出手段の不実行に応じて複数種類に設定される下位バイトにより構成された2バイトコマンドとした、に該当する構成となる。
尚、実施例2でも説明したが、本実施例でも上位バイトと下位バイトの組合せを換える構成が考えられる。本実施例では上位バイトの種類と下位バイトの種類が共に5種類で同数となるため、このままの種類では組合せを換えることによってコマンドの種類に増減は発生しないが、普通電動役物40の状態を正常な処理状態又は異常な処理状態の2種類まで減らし、上位バイトの動作番号として割り振ることによって、上下バイトの組合せ数、を即ち普電状態コマンド2のコマンド数を減らすことが可能となる。また、コマンドの種類が256種類以内ならば、上下バイトの組合せではなく、上位バイトを1種類とし、識別番号によってコマンドの全種類を識別可能とする構成も考えられる。
次に、本実施例においてサブ統合制御装置53が実行する普電状態コマンド3受信処理を図18、図19を用いて説明する。この処理は、実施例1で図11を用いて説明した普電状態コマンド受信処理1と同様の、普通電動役物40への異常入球を判定する処理と共に、該判定に用いるコマンドに含まれる第2保留記憶数の更新情報を受け、現在の保留記憶数を演出図柄表示装置54bに表示指示する処理を含む。従って普電状態コマンド3受信処理は、本願発明における異常判定手段、異常計数手段、誤報回避手段及び異常報知手段を含む処理となる。
図18に示す処理は、その処理構成を図11に示した普電状態コマンド受信処理1と同一とし、破線で示したS190、S191、S192の判定内容が、普電状態コマンド3の内容に応じて相違するものとなっている。従って図18の説明は、普電状態コマンド受信処理1と相違する破線部のS190、S191、S192のみとし、S193以降の処理については援用とする。
普電状態コマンド3受信処理を開始すると、普電状態コマンド3を受信したか否か判定する(S190)。肯定判定なら(S190:YES)、受信した普電状態コマンド3の動作番号がC3(H)か否か判定する(S191)。S191が否定判定なら(S191:NO)、受信した普電状態コマンド3の動作番号がC4(H)か否か判定する(S192)。このS191とS192の判定は、受信したコマンドに対応する普通電動役物40への遊技球の入球が、普電作動中監視状態か又は普電作動停止監視状態かのいずれかの状態で行われたか、即ち遊技球入球時の普通電動役物40が正常な処理状態か否かを判定するものであり、本願発明における異常判定手段に該当する。
S207の処理の後、又はS190、S196、S203、S205の判定が否定判定なら(S190:NO、S196:NO、S203:NO、S205:NO)、図19の処理に進み、受信した普電状態コマンド3の識別番号が05(H)以外か否か判定する(S210)。05(H)の識別番号は、第2保留記憶の更新ではなくオーバーフローを示すためであり、05(H)以外、即ちS210が肯定判定なら(S210:YES)、サブ統合制御装置53が備える保留球数カウンタのインクリメント処理を行う(S211)。保留球数カウンタは、表示する保留記憶数を示すカウンタである。次に、現在の第2保留記憶の数を演出図柄表示装置54bに表示するために、演出図柄制御装置54aに保留記憶数指示信号を送信する(S212)。S212の処理の後、又はS210が否定判定(識別番号05(H))なら(S210:NO)リターンに抜ける。
以上が実施例3の説明となる。普通電動役物40の異常入賞判定に関しては実施例1、2と同様の効果を奏すると共に、従来は普通電動役物40への遊技球の入球時に単独で実施されていた第2保留記憶数を示すコマンドの送信を、処理契機を同じくする普電状態コマンドとの合成コマンド(普電状態コマンド3)として送信することにより、コマンド送信にようする時間を短縮し、処理の重畳によって主制御装置50が暴走する可能性を低下させることが可能となる。
次に実施例4について説明する。本実施例に於いて遊技機を構成する部品とその電気的接続は実施例1と共通となる。従って、重複する部分の説明は割愛する。
本実施例は、普通電動役物40への遊技球入球時に主制御装置50からサブ統合制御装置53に送信する普電状態コマンドに、実施例1では別に送信した先読み判定の情報と保留記憶数の情報とを含め、従来なら3回必要としたコマンドの送信を、1回のコマンド送信で行う構成である。
本実施例で主制御装置50が実行する特図始動口入賞処理4を説明する。この処理では、第2始動口32(普通電動役物40)に遊技球が入球した際に取得する乱数を、主制御装置50の記憶領域に保留記憶として格納する処理と共に、第2始動口32(普通電動役物40)への遊技球入球時の普通電動役物40の処理状態と、該入球時に実施する先読み判定結果と、格納された保留記憶数と、の三つの情報を合成したコマンドを生成し、該三つの情報を備える一つのコマンドをサブ統合制御装置53に送信する処理を行う。従って特図始動口入賞処理4は、本願発明における乱数記憶手段、乱数抽出手段、先読み判定手段、を含み、該先読み判定手段による情報と乱数記憶手段に記憶した保留記憶数の情報を状態コマンドに各々含めて送信する構成となる。尚、特図始動口入賞処理4の第1始動口31に関する処理は実施例1の図9に示した処理と変わりないため援用し、第2始動口32(普通電動役物40)に係る処理のみ図20を用いて説明する。
図20に示すフローチャートでは、図9に示すS69の処理、又はS60の否定判定の後、第2始動口32(普通電動役物40)に遊技球が入球したか否か(第2特図始動スイッチ32aが遊技球を検出したか否か)判定する(S220)。肯定判定なら(S220:YES)、第2特別図柄の保留記憶数が上限値(=4個)未満か否か判定し(S221)、肯定判定なら(S221:YES)、遊技球が第2始動口32に入球した際に抽出した複数の乱数値(大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等)を、第2特別図柄保留記憶用の記憶領域に格納する(S222)。次に、保留記憶された大当り判定用乱数値を、入球時が通常確率時なら通常確率用の判定テーブルの値と、確率変動時なら確率変動時用の判定テーブルの値と一致するか否かの判定(先読み判定)を行う(S224)。
S224が肯定判定なら(S224:YES)、現時点の普電状態監視フラグ領域を参照し(S225)、フラグが立っている位置と、乱数値と判定テーブルの値が一致したことを示す先読み判定情報と、現在の保留記憶数と、の三つの情報を含む普電状態コマンドを生成する(S226)。S224が否定判定なら(S224:NO)、現時点の普電状態監視フラグ領域を参照し(S225)、フラグが立っている位置と、乱数値と判定テーブルの値が不一致であることを示す先読み判定情報と、現在の保留記憶数と、の三つの情報を含む普電状態コマンドを生成する(S227)。
また、S221が否定判定なら(S221:NO)、現時点の普電状態監視フラグ領域を参照し(S225)、フラグが立っている位置と、先読み判定を実施していないことを示す先読み判定情報と、現在の保留記憶数のオーバーフロー情報と、の三つの情報を含む普電状態コマンドを生成する(S228)。S228の処理で生成されるコマンドの先読み判定情報は、判定値との不一致を示すものでもよく、また保留記憶数は上限値(=4個)を示す情報としてもよい。
S226、S227、S228の処理の後、いずれかの処理で生成した普電状態コマンド4をサブ統合制御装置53に送信すると共に、現状の第2保留記憶数を第2特図保留数表示装置30aに点灯させる(S229)。S229の処理の後、又はS220が否定判定なら(S220:NO)、リターンに抜ける。
以上が本実施例における特図始動口入賞処理4であり、第2始動口32(普通電動役物40)への遊技球の入球に基づいて、入球時の普通電動役物40の状態と共に、該入球時に実施する先読み判定結果と、該入球による第2保留記憶数の更新又はオーバーフローを示す1つのコマンドを、サブ統合制御装置53に送信する構成となる。
次に、三つの情報を含む普電状態コマンド(以後、普電状態コマンド4)の具体的な構成と内容を、図21を用いて説明する。普電状態コマンド4は、全体を4ビットとし、上位バイトをD0(H)からD4(H)の5種類の動作番号、下位バイトを01(H)から09(H)の9種類の識別番号で構成し全部で45種類のコマンドとなる。
上位バイトの動作番号D0(H)は、普通電動役物40のアイドリング状態を示し、D1(H)は、普通電動役物40の変動監視状態を示し、D2(H)は、普通電動役物40の停止監視状態を示し、D3(H)は、普通電動役物40の普電作動中監視状態を示し、D4(H)は、普通電動役物40の普電作動停止監視状態を示す。
各動作番号に対して、下位バイトでは01(H)から09(H)の識別番号が組み合わされ、01(H)は、先読み判定結果が一致し且つ保留記憶数が1個に更新されたことを示し、02(H)は、先読み判定結果が一致し且つ保留記憶数が2個に更新されたことを示し、03(H)は、先読み判定結果が一致し且つ保留記憶数が3個に更新されたことを示し、04(H)は、先読み判定結果が一致し且つ保留記憶数が4個に更新されたことを示す。
05(H)は、先読み判定結果が不一致で且つ保留記憶数が1個に更新されたことを示し、06(H)は、先読み判定結果が不一致で且つ保留記憶数が2個に更新されたことを示し、07(H)は、先読み判定結果が不一致で且つ保留記憶数が3個に更新されたことを示し、08(H)は、先読み判定結果が不一致で且つ保留記憶数が4個に更新されたことを示し、09(H)は、先読み判定が不実施で且つ保留記憶がオーバーフローを示す。
以上が先読み判定結果と保留記憶数の更新情報を含む普電状態コマンドの具体的な内容であり、上位バイトで普通電動役物の状態を示し、先読み判定結果と保留記憶数の組合せを下位バイトで示す2バイトコマンドとなっている。尚、先読み判定の結果が不一致で且つ保留記憶数がオーバーフローの場合は、識別番号を08(H)とする構成も考えられる。
尚、本実施例でも普電状態コマンド4の合成においても、実施例2、3と同様に組合せを換える構成が考えられる。また、上位バイとを1種類とし、全てのコマンドの種類を識別番号で区別可能とする構成でもよい。
次に、本実施例においてサブ統合制御装置53が実行する普電状態コマンド4受信処理を図22、図23を用いて説明する。この処理は、実施例1で図11を用いて説明した普電状態コマンド受信処理1と同様の、普通電動役物40への異常入球を判定する処理と共に、該判定に用いるコマンドに含まれる先読み判定の結果情報と第2保留記憶数の更新情報を受け、先読み予告演出の実行指示処理と現在の保留記憶数を演出図柄表示装置54bに表示指示する処理を含む構成となる。
図22に示す処理は、その処理構成を図11に示した普電状態コマンド受信処理1と同一とし、破線で示したS240、S241、S242の判定内容が、普電状態コマンド4の内容に応じて相違するものとなっている。従って図22の説明は、普電状態コマンド受信処理1と相違する破線部のS240、S241、S242のみとし、S243以降の処理については援用とする。
普電状態コマンド4受信処理を開始すると、普電状態コマンド4を受信したか否か判定する(S240)。肯定判定なら(S240:YES)、受信した普電状態コマンド4の動作番号がD3(H)か否か判定する(S241)。S241が否定判定なら(S241:NO)、受信した普電状態コマンド4の動作番号がD4(H)か否か判定する(S242)。このS241とS242の判定は、受信したコマンドに対応する普通電動役物40への遊技球の入球が、普電作動中監視状態か又は普電作動停止監視状態かのいずれかの状態で行われたか、即ち遊技球入球時の普通電動役物40が正常な処理状態か否かを判定するものである。
S257の処理の後、又はS240、S246、S253、S255の判定が否定判定なら(S240:NO、S246:NO、S253:NO、S255:NO)、図23の処理に進み、受信した普電状態コマンド4の識別番号が05(H)より小さいか否か判定する(S260)。05(H)より小さい識別番号は、先読み判定結果の一致を示すものであり、S260が肯定判定なら(S260:YES)、先読み予告演出実行判定処理を行い(S261)、先読み予告演出を実行するか否か判定し(S262)、肯定判定なら(S262:YES)、演出図柄制御装置54aに先読み予告演出の実行指示信号を送信する(S263)。
S263の処理後、又はS260、S262が否定判定なら(S260:N0、S262:NO)、識別番号が09(H)以外か否か判定する(S264)。09(H)の識別番号は、第2保留記憶の更新ではなくオーバーフローを示すためであり、09(H)以外、即ちS264が肯定判定なら(S264:YES)、サブ統合制御装置53が備える保留球数カウンタのインクリメント処理を行い(S265)、現在の第2保留記憶の数を演出図柄表示装置54bに表示するために、演出図柄制御装置54aに保留記憶数指示信号を送信する(S266)。S266の処理の後、又はS264が否定判定(識別番号09(H))なら(S264:NO)リターンに抜ける。
以上が実施例4の説明となる。普通電動役物40の異常入賞判定に関しては実施例1、2、3と同様の効果を奏すると共に、従来は普通電動役物40への遊技球の入球時にそれぞれ単独で実施されていた先読み判定結果コマンドの送信と、第2保留記憶数を示すコマンドの送信とを、処理契機を同じくする普電状態コマンドとの合成コマンド(普電状態コマンド4)として送信することにより、コマンド送信にようする時間を更に短縮し、処理の重畳によって主制御装置50が暴走する可能性を低下させる効果を発揮する。