次世代セルラー移動通信の一方式として、国際的な標準化プロジェクトである3GPPにおいて、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)とGSM(Global System for Mobile Communications)を発展させたネットワークの仕様に関して検討が行なわれている。
3GPPでは、以前からセルラー移動通信方式について検討されており、第3世代セルラー移動通信方式として、W−CDMA方式が標準化された。また、通信速度を更に向上したHSDPA(High-Speed Downlink Packet Access)も標準化され、サービスが運用されている。現在、3GPPでは、第3世代無線アクセス技術の進化(LTE)や、さらなる通信速度の高速化へ向けたLTE−Aについても検討が行なわれている。
LTEにおける上りリンクデータの送信では、基地局装置1から割り当てられたリソースに基づくSC−FDMAをベースにした通信方式が採用されている。具体的には変調された送信信号はDFT(Discrete Fourier Transformation)により周波数領域の信号へと変換され、基地局装置1により割り当てられた周波数リソースにマッピングされた後、IDFT(Inverse DFT)により時間領域の信号へと変換され基地局装置1へと送信される。これに加えLTE−Aでは、より柔軟な周波数スケジューリングに対応することを目的として、SC−FDMA信号を周波数領域で分割し、それぞれを周波数領域で非連続に割り当てるクラスタードSC−FDMAという方式も検討されている。
ここでは、上りリンクデータとは上位レイヤから渡され、物理層では各ビットの意味を解釈しないデータに対応し、トランスポートチャネルで定義されたUL−SCHと呼称することとする。実際に送信されるデータはUL−SCHに対して符号化などの処理が施されたものであり、基地局装置1によって割り当てられたPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)と呼ばれるデータ信号送信チャネルでこれが送信される。基地局装置1が算出する。LTEの上りリンクでは2本の送信アンテナから適応的に1本の送信アンテナを選択するアンテナスイッチングをサポートするだけであったが、LTE−Aでは、上りリンク方式の拡張として、MIMOによる空間多重の適用が検討されており、UL−SCHのデータは空間多重されて複数の系列が送信される。
ここで、UL−SCHに適用する符号化率、変調方式は、移動局装置3から基地局装置1に送信されるサウンディング参照信号(SRS)を元に算出される。SRSはこの用途のほかに、周波数スケジューリングの用途にも利用され、MIMOの場合では、送信ダイバーシチゲインを獲得するために送信信号に行なう前処理(以下、これをプレコーディングと呼ぶ)の系列(以下、これをプレコーダと呼ぶ)の算出にも利用される。
図7は、LTEにおけるSRSの送信の方法について具体的に示す図である。基地局装置1は、それと通信をする移動局装置3全体との間にサウンディングサブフレームを設定し、具体的にはサウンディングサブフレームは基準サブフレームからのオフセットと周期が与えられる。サウンディングサブフレームは全移動局装置3に対して共通であり、このサブフレームにおいてSRSが送信されることを意味する。
図8は、サウンディングサブフレームにおける詳細な構成を示す図である。ただし、図8にはPUSCHの割り当てに利用できる帯域のみ記載しており、制御情報を送信するチャネルについては省略している。図8における縦軸は周波数軸であり、一つのブロックはサブキャリアを表す。LTEでは連続する12サブキャリアをまとめてリソース割り当て単位としており、これをリソースブロック(RB:Resource Block)と呼称している。一方横軸は時間軸であり、周波数領域を時間領域に変換し、サイクリックプレフィックスを付与する単位によって時間を分割している。これを1SC−FDMAシンボルと呼称する。LTEでは連続する7SC−FDMAシンボルにより1スロットを構成し、2スロットをまとめて1サブフレームを構成する。
サブフレームはLTEおよびLTE−Aにおける時間領域でのリソースの割り当て単位となっている。図8に示されるように、それぞれのSC−FDMAシンボルは異なる用途に利用することができ、SC−FDMAシンボル3番はデータ復調用の参照信号(DMRS: Demodulation RS)の送信のために利用される。スロット1番におけるSC−FDMAシンボル6番はSRSの送信のために利用される。それ以外のSC−FDMAシンボルはデータ送信用に利用される。ここで、DMRSおよびSRSは、他のユーザとの多重や、アンテナ識別のために直交符号が利用されており、LTEではCAZAC(Constant Amplitude and Zero-Autocorrelation)系列を時間軸上でサイクリックシフトさせた系列が利用されている。
図9は、LTEのSRSの送信の仕組みを示すシーケンスチャートである。基地局装置1は、移動局装置3ごとにSRSの送信に関する設定を行なう(ステップS701)。ここで、設定とは、SRSサブフレームのうち、移動局装置3が利用できるサブフレームの位置をオフセットと周期により設定することとともに、SRSがサポートする帯域、1サブフレームにて送信されるSRS帯域幅のことを表す。さらにMIMOの場合においては、どの時間タイミングでどのアンテナから送信されるかなどの情報を表すこともある。これを具体的に図9を用いて説明する。
まず、周波数に関する設定について説明すると、この設定では周波数帯域Aのみがサポートされており、周波数帯域Aがさらに2分割(A−1とA−2)され、一回のSRS送信においてA−1もしくはA−2の帯域についてSRSが送信される。次に、時間に関する設定を説明すると、この設定では10n(nは整数)のサブフレームにおいてA−1の帯域のSRS送信を行なう(ステップS702およびステップS704)。つまり、サブフレーム10、20がこれに対応する。さらにこの設定では10n+5(nは整数)のサブフレームにおいてA−2の帯域のSRS送信を行なう(ステップS703およびステップS705)。つまり、サブフレーム15、25がこれに対応する。
基地局装置1は、これらのサブフレームにおいてSRSを受信すると、それを用いて変調方式や符号化率を計算する。そして下りリンク制御チャネルを用いて、上りリンク信号送信許可信号(UL Grant)を移動局装置3へ送信する(ステップS706)。UL Grantには、割り当てた上りリンクの周波数帯域(つまりRB)や、変調方式、符号化率などの情報が含まれている。これを受信した移動局装置3は、基地局装置1の指示に従って上りリンクデータ(UL-SCH)を送信する(ステップS707)。以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムは、基地局装置1と移動局装置3とを有している。
図1は、本発明の実施形態に係る基地局装置1の一構成例を示す機能ブロック図である。図1に示すように、本実施形態による基地局装置1は、送信部110、スケジューリング部120、受信部130、およびアンテナ140を備えている。送信部110は、符号化部111、変調部112、マッピング部113、無線送信部114を備えている。また、スケジューリング部120は、下りリンク送信リソース情報制御部121、上りリンク送信リソース情報制御部122、SRS送信スケジュール制御部123を備えており、受信部130は無線受信部131、SRS分離・算出部132、逆マッピング・復調処理部133を備えている。アンテナ140は、下りリンク信号の送信および上りリンク信号の受信に必要な数だけ備えられている。
基地局装置1において生成された、各移動局装置3に送信する下りリンクデータと、スケジューリング部120から出力される制御情報送信のためのスケジューリング情報は、符号化部111に入力され、それぞれがスケジューリング部120からの制御信号に従った符号化が施され符号化ビット列が出力される。スケジューリング部120からの制御信号とは符号化率を表す情報や、たとえばターボ符号、テイルバイティング畳み込み符号などの符号化方式を表すものである。また、複数の情報を組み合わせて符号化されてもよく、それぞれの情報が個別に符号化されてもよい。ここで、スケジューリング部120から提供される情報とは、SRSの送信に関する制御情報を含むことが特徴であり、たとえばSRSの割り当て情報、利用する符号(CAZAC系列のサイクリックシフト)の情報などである。
符号化部111の複数の出力ビット列は変調部112に入力され、それぞれがスケジューリング部120からの制御信号に従った変調、たとえばBPSK、QPSK、16QAM、64QAMのシンボルに変換され出力される。変調部112の出力はスケジューリング部120から提供される下りスケジューリングの制御情報とともにマッピング部113へ入力され、送信データが生成される。ここで送信データとは、例えばOFDM信号のことを指しており、マッピング動作とは移動局装置3ごとに指定された周波数、時間リソースに対応させる動作に相当する。また、MIMOによる空間多重が採用されていれば、この処理がこのブロックにおいて行なわれる。ここで制御情報とは、上りリンクもしくは下りリンクのリソース割り当て情報、つまり送信タイミングと周波数リソースの情報、上りリンクもしくは下りリンク信号の変調方式および符号化率、および、移動局装置3に対するCQI、PMI、RIの送信要求などのことである。
マッピング部113により生成された信号は無線送信部114へと出力される。無線送信部114では、送信方式にあった形態に変換され、具体的にOFDMAに準じた通信方式であれば、周波数領域の信号に対してIFFT(Inverse Fast Fourier Transformation)が施されることにより、時間領域の信号が生成される。無線送信部114の出力信号はアンテナ140に供給され、ここから各移動局装置3へ送信される。
スケジューリング部120は、上位レイヤからの制御情報および基地局装置1から送信された制御情報を管理および制御し、各移動局装置3へのリソース割り振りや変調方式、符号化率の決定およびこれらの動作の制御やその制御情報の出力などを行なっている。下りリンク送信リソース情報制御部121は、各移動局装置3が利用する下りリンクリソースをスケジューリング・管理するとともに、その制御信号の生成を行なう。上りリンク送信リソース情報制御部122は、各移動局装置3が利用する上りリンクリソースを管理するとともに、その制御信号の生成を行なう。SRS送信スケジュール制御部123は、それぞれの移動局装置3に対して適用する周期的に送信するSRSの送信リソース(時間リソース、周波数リソース、符号リソース)を管理するとともに、SRSサブフレームに関する設定と管理も行なう。ここで、SRS送信スケジュール制御部123は異なる2種類以上の送信リソースを一つの移動局装置3に割り当てられることが本発明の特徴であり、それぞれの送信リソースがこのブロックにて制御、管理される。
一方、移動局装置3から送信された信号は、アンテナ140で受信された後、無線受信部131に入力される。無線受信部131はデータや制御信号を受け取り、送信方式に応じたディジタル信号を生成して出力する。具体的にOFDM方式やSC−FDMA方式が採用されているのであれば、受信信号をアナログ・ディジタル変換した後、処理時間単位でFFT処理を施した信号が出力される。ここで、無線受信部131には、上りリンクの伝搬路の状況を計測するための信号と、上位レイヤで処理される例えばデータ信号や制御情報として管理されるべき情報を含む信号の2種類に分けられ、それぞれ第1の信号および第2の信号として出力される。
無線受信部131の第1の出力はSRS分離・算出部132へ出力される。ここでは、上りリンク信号に含められたSRS信号が抽出され、そこから得られる各移動局装置3のチャネル情報をスケジューリング部120へ出力する。特に、SRSは時間、周波数、符号リソースによってユーザごと、もしくは他の情報と多重されている可能性があり、SRS送信スケジュール制御部123で管理するリソース割り当て情報に従って、これらの分離が行なわれる。
無線受信部131の第2の出力は逆マッピング・復調処理部133へと出力される。逆マッピング・復調処理部133にはスケジューリング部120が管理するマッピングパターン、変調方式および符号化率を利用して、移動局装置3から送信された複数種類の情報をそれぞれ復調、抽出する。ここで、上りリンク信号に空間多重が適用されており、2種類以上の通信品質の異なる情報が同時に送信されていれば、それぞれの信号が含まれている時間、周波数位置をあらかじめ分離し、スケジューリング部120から入力される制御情報に従って、それぞれ異なる変調方式、符号化率、空間多重数を適用した逆マッピング、復調処理が行なわれる。このような処理により得られた信号のうち、上位レイヤで処理されるものについては上位レイヤへと出力され、スケジューリング部120で管理される制御情報、たとえばCQIやRIなどについては、スケジューリング部120に出力される。
図2は、本発明の実施形態に係る移動局装置3の一構成例を示す機能ブロック図である。各移動局装置3は、図2に示すように、受信部210、スケジューリング情報管理部220、送信部230、および、アンテナ240を備えている。受信部210は無線受信部211、復調処理部212、下りリンク伝搬路算出部213を備えている。また、スケジューリング情報管理部220は下りリンク送信リソース情報管理部221、上りリンク送信リソース情報管理部222、SRS送信スケジュール管理部223を備えている。アンテナ240は上りリンク信号の送信および下りリンク信号の受信に必要な数だけ備えられている。送信部230は符号化部231、変調部232、マッピング部233、無線送信部234を備えている。
基地局装置1から送信される下りリンク信号をアンテナ240で受信すると、この受信信号は無線受信部211へ入力される。無線受信部211では、アナログ・ディジタル(A/D)変換などの他に、通信方式に応じた処理が施され、出力される。具体的にOFDMAであれば、A/D変換後の時系列の信号はFFT処理され、時間・周波数領域の信号に変換されて出力される。
無線受信部211の出力信号は復調処理部212へ入力される。これとともに復調処理部212にはスケジューリング情報管理部220から出力される下りリンク信号のスケジューリング情報(つまり自局宛の信号がどこに割り当てられているかという情報)、空間多重の系列数、変調方式、符号化率といった制御情報も入力され、復調処理が行なわれる。復調された信号は信号の種類によって分類され、上位レイヤにて処理される情報は上位レイヤへと渡され、スケジューリング情報管理部220にて管理される情報についてはスケジューリング情報管理部220に入力される。スケジューリング情報管理部220はどの時刻において、どのように符号や送信アンテナを割り当てるかを対応させるかを管理する。さらに、スケジューリング情報管理部220にて管理される情報とは、SRSを送信するリソース(時間、周波数、符号リソース)に関するものであり、これは2つ以上のスケジューリング情報を管理できることが本発明の特徴である。
下りリンク伝搬路算出部213は無線受信部211から提供される伝搬路算出用の信号を入力信号として、下りリンクに適用できる空間多重の系列数、変調方式、符号化率といった管理情報を計算する。この管理情報はスケジューリング情報管理部220へと入力される。
スケジューリング情報管理部220は基地局装置1から送信された制御情報を管理し、また、移動局装置3で算出された制御情報を基地局装置1へ送信するための管理も行なう。下りリンク送信リソース情報管理部221は、基地局装置1から送信された自局の下りリンクリソース情報を管理するとともに、下りリンク信号の送信制御を行なう。上りリンク送信リソース情報管理部222は、基地局装置1から送信された自局の上りリンクリソース情報を管理するとともに、上りリンク信号の送信制御を行なう。さらに、SRS送信スケジュール管理部223は、基地局装置1から送信されたピリオディックSRSの送信リソース(時間リソース、周波数リソース、符号リソース)を管理するとともに、それらのリソースを用いたSRS送信の制御を行なう。
送信部230は、上りリンクデータやアピリオディックSRSなどの情報を割り当てられた上りリンクリソースにおいて送信する。下りリンクデータおよびスケジューリング情報管理部220で管理される信号は、その送信タイミングにおいて符号化部231へ供給され、入力された信号はそれぞれの種類によって異なる符号化率の符号化が行なわれる。この複数系列の出力信号は変調部232へと入力され、それぞれの種類によって異なる変調方式により変調される。この出力はマッピング部233へと出力され、送信情報ごとの空間多重数、およびマッピング位置情報に応じて信号のマッピングを行なう。具体的に、送信方式にSC−FDMAが適用される場合には割り当てられた周波数領域に信号をマッピングする。
マッピング部233によりマッピングされた信号は、無線送信部234へ入力される。無線送信部234ではこれらの信号が送信する信号形態に変換される。具体的には、周波数領域の信号をIFFTにより時間領域の信号へ変換し、ガードインターバルを付与する動作などがこれに相当する。無線送信部234の出力はアンテナ240に供給される。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る基地局装置1から移動局装置3へ2種類のSRSの設定が行なわれることを想定したシーケンスチャートである。移動局装置3は基地局装置1に対して、自局の送信アンテナ数を通知しているものとする。また、すべての移動局装置3に共通のSRSに関する設定の情報は、このシーケンスの前にすでに設定されているものとする。基地局装置1は、送信アンテナ数に従ってSRSリソースを移動局装置3に割り当てる。ここでリソースとは、時間、周波数、符号リソースのことを表し、どの時間、周波数、符号リソースがどのアンテナに対応するのかという情報もここに含まれていることとする。
図4Aは、TDMにより4送信アンテナ分のSRSを送信する例である。図4Aでは、それぞれの送信アンテナごとに異なる時間リソースが割り当てられている。図4Bは、CDMにより4送信アンテナ分のSRSを送信する例である。それぞれの送信アンテナごとに異なるサイクリックシフトが割り当てられている。図4Cは、IFDM(Interleaved Frequency Division Multiplexing)とTDMにより4送信アンテナ分のSRSを送信する例である。図4Dは、IFDMとCDMにより4送信アンテナ分のSRSを送信する例である。この実施形態では対象となる送信アンテナは一つとして例を記載している。つまり、各時刻においてどの送信アンテナからSRSが送信されるかについて記載されていないが、たとえば4送信アンテナの場合に、図4に記載されたどの方法を用いたとしてもその一般性は失われない。
図3のシーケンスにおいて、基地局装置1は移動局装置3に対してSRS送信の設定を行なう(ステップS301)。これを第1の設定と呼び、システム帯域幅のうちの一部(帯域A)がサポートされ、サブフレーム10n(n=1,2, …)でSRSが送信することが設定される。さらに、基地局装置1は移動局装置3に対して第1の設定とは異なるSRS送信の設定を行なう(ステップS302)。これを第2の設定と呼び、システム帯域幅のうちの一部(帯域C)がサポートされ、サブフレーム10n+5(n=1,2, …)でSRSが送信することが設定される。
ここでは、第1の設定と第2の設定の時間周期をともに同じ値(10サブフレーム)としているが、これらは異なる値としてもよい。これらの設定によって同じサブフレームでのSRS送信が発生し、かつ、一つのSRS信号がシングルキャリアで構成される信号である場合においては、PAPR(Peak to Average Power Ratio)の増加を避けるために、優先度の低い設定のSRSを送信しなくてもよい。優先度は基地局装置1から移動局装置3に対して通知してもよく、帯域幅や送信周期などその他の設定情報から一意に決めてもよい。さらに、ステップS301とステップS302は時間的に別れて記載されているが、同時刻において同時に設定されてもよく、また、片方のリソースが決定されれば、他方も自動的に決定されるようなルールを設けてもよい。
上記の設定により、サブフレーム10、15においては、第1の設定に従って帯域Aに対するSRSが移動局装置3から基地局装置1へ送信される(それぞれステップS303、S305)。またサブフレーム15、25においては、第2の設定に従って帯域Cに対するSRSが移動局装置3から基地局装置1へ送信される(それぞれステップS304、S306)。
SRSを受信した基地局装置1は、これを用いて随時、MCS、プレコーダを算出することができ、また、スケジューリングを行なうことができる。基地局装置1が移動局装置3に対してUL−SCHを送信する上りリンクリソースを割り当てる場合には、その割り当て信号(UL Grant)を送信する(ステップS307)。UL Grantには、MCSつまりUL−SCHに適用する変調方式、符号化率に関する情報やプレコーダを指定する情報、割り当てられた周波数の場所に関する情報、つまりRBを指定する情報などが含まれている。ここで、ステップS307により割り当てられたRBは帯域Aおよび帯域Cにまたがる不連続な領域であり、クラスタードSC−FDMAによる送信を指示する情報である。これを受信した移動局装置3はUL−Grantに従ってUL−SCHを送信する(ステップS308)。
上記の手段により、クラスタードSC−FDMA方式を同時かつ効率的にサポートするSRSを送信することができる。SRSは非連続の周波数帯域をサポートすることができるため、クラスタードSC−FDMAによって期待される周波数ダイバーシチの効果を得ることができ、さらにそれぞれの帯域のチャネル情報を周期的に得ることができるため、スループット向上に効果的な周波数スケジューリングをより柔軟に行なうことができる。
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る基地局装置1から移動局装置3へ2種類のSRSの設定が行なわれることを想定したシーケンスチャートである。第1の実施形態と異なる点は、システム帯域を分割して作成された帯域Aから帯域Dについて、それぞれをさらに分割し(A−1、A−2、B−1、B−2、C−1、C−2、D−1、D−2)、一回のSRS送信では最も細かい分割単位(例えばA−1)のみしかサポートしない場合を例にとったものである。
移動局装置3は基地局装置1に対して、自局の送信アンテナ数を通知しているものとする。また、すべての移動局装置3に共通のSRSに関する設定の情報は、このシーケンスの前にすでに設定されているものとする。基地局装置1は、送信アンテナ数に従ってSRSリソースを移動局装置3に割り当てる。ここでリソースとは、時間、周波数、符号リソースのことを表し、どの時間、周波数、符号リソースがどのアンテナに対応するのかという情報もここに含まれているとする。この実施形態では、この実施形態では対象となる送信アンテナは一つとして例を記載している。つまり、各時刻においてどの送信アンテナからSRSが送信されるかについて記載されていないが、第1の実施形態において説明したとおり、複数の送信アンテナに拡張したとしてもその一般性は失われない。
図5のシーケンスにおいて、基地局装置1は移動局装置3に対してSRS送信の設定を行なう(ステップS501)。これを第1の設定と呼び、システム帯域幅のうちの一部(帯域A、511)がサポートされる。さらに、第1の設定において、帯域Aはさらに帯域A−1、A−2に分割され、一度のSRS送信ではそのうちの1つがサポートされる。帯域A−1に関しては、サブフレーム20n−10(n=1,2, …)でSRSが送信することが設定され、帯域A−2に関しては、サブフレーム20n(n=1,2, …)でSRSが送信することが設定される。さらに、基地局装置1は移動局装置3に対して第1の設定とは異なるSRS送信が設定される(ステップS502)。これを第2の設定と呼び、システム帯域幅のうちの一部(帯域C)がサポートされる。さらに、第2の設定において、帯域Cはさらに帯域C−1、C−2に分割され、一度のSRS送信ではそのうちの1つがサポートされる。
帯域C−1に関してはサブフレーム20n−5(n=1,2, …)でSRSが送信することが設定され、帯域C−2に関してはサブフレーム20n+5(n=1,2, …)でSRSが送信することが設定される。ここでは、第1の設定と第2の設定の時間周期をともに同じ値(10サブフレーム)としているが、これらは異なる値としてもよい。もしこれらの設定によって同じサブフレームでのSRS送信が発生する場合があり、かつ、一つのSRS信号がシングルキャリアで構成される信号である場合においては、PAPRの増加を避けるために、優先度の低い設定のSRSを送信しなくてもよい。優先度は基地局装置1から移動局装置3に対して通知してもよく、帯域幅や送信周期などその他の設定情報から一意に決めてもよい。さらに、ステップS501とステップS502は時間的に別れて記載されているが、同時刻において同時に設定されてもよく、また、片方のリソースが決定されれば、他方も自動的に決定されるようなルールを設けてもよい。
上記の設定により、第1の設定に従って帯域A−1に対するSRSがサブフレーム10、30において移動局装置3から基地局装置1へ送信され(それぞれステップS503、S507)、帯域A−2に対するSRSがサブフレーム20、40において移動局装置3から基地局装置1へ送信される(それぞれステップS505、S509)。また、第2の設定に従って帯域C−1に対するSRSがサブフレーム15、35において移動局装置3から基地局装置1へ送信され(それぞれステップS504、S508)、帯域C−2に対するSRSがサブフレーム25、45において移動局装置3から基地局装置1へ送信される(それぞれステップS506、S510)。
SRSを受信した基地局装置1は、これを用いて随時、MCS、プレコーダを算出することができ、また、スケジューリングを行なうことができる。基地局装置1が移動局装置3に対してUL−SCHを送信する上りリンクリソースを割り当てる場合には、その割り当て信号(UL Grant)を送信する(ステップS511)。UL Grantには、MCSつまりUL−SCHに適用する変調方式、符号化率に関する情報やプレコーダを指定する情報、割り当てられた周波数の場所に関する情報、つまりRBを指定する情報などが含まれている。ここで、ステップS511により割り当てられたRBは帯域Aおよび帯域Cにまたがる不連続な領域であり、クラスタードSC−FDMAによる送信を指示する情報である。これを受信した移動局装置3はUL−Grantに従ってUL−SCHを送信する(ステップS512)。
上記の手段により、クラスタードSC−FDMA方式を同時かつ効率的にサポートするSRSを送信することができる。SRSは非連続の周波数帯域をサポートすることができるため、クラスタードSC−FDMAによって期待される周波数ダイバーシチの効果を得ることができ、さらにそれぞれの帯域のチャネル情報を周期的に得ることができるため、スループット向上に対して効果的な周波数スケジューリングを柔軟に行なうことができる。SRSでサポートされる帯域が細分化され、複数の時間でこれらを包括するようにSRSが送信される場合においても上記の効果を得ることができる。
(第3の実施形態)
図6は、本発明の第3の実施形態に係る基地局装置1から移動局装置3へ2種類のSRSの設定が行なわれることを想定したシーケンスチャートである。第1の実施形態と異なる点は、システム帯域を分割して作成された帯域Aから帯域Dについて、一つのSRS設定では細分化された帯域Cをサポートするように設定が行なわれ、もう一つのSRS設定では帯域Cを含むシステム帯域全体をサポートするように設定が行なわれることである。
移動局装置3は基地局装置1に対して、自局の送信アンテナ数を通知しているものとする。また、すべての移動局装置3に共通のSRSに関する設定の情報は、このシーケンスの前にすでに設定されているものとする。基地局装置1は、送信アンテナ数に従ってSRSリソースを移動局装置3に割り当てる。ここでリソースとは、時間、周波数、符号リソースのことを表し、どの時間、周波数、符号リソースがどのアンテナに対応するのかという情報もここに含まれているとする。この実施形態では対象となる送信アンテナは一つとして例を記載している。つまり、各時刻においてどの送信アンテナからSRSが送信されるかについて記載されていないが、第1の実施形態において説明したとおり、複数の送信アンテナに拡張したとしてもその一般性は失われない。
図6のシーケンスにおいて、基地局装置1は移動局装置3に対してSRS送信の設定を行なう(ステップS601)。これを第1の設定と呼び、システム帯域幅のうちの一部(帯域C)がサポートされる。さらに、第1の設定において、帯域Cはさらに帯域C−1、C−2に分割され、一度のSRS送信ではそのうちの1つがサポートされる。帯域C−1に関しては、サブフレーム10n(n=1,2, …)でSRSが送信することが設定され、帯域C−2に関しては、サブフレーム10n+5(n=1,2, …)でSRSが送信することが設定される。さらに、基地局装置1は移動局装置3に対して第1の設定とは異なるSRS送信が設定される(ステップS602)。これを第2の設定と呼び、システム帯域幅全体がサポートされ、サブフレーム20n−18(n=1,2, …)でSRSが送信することが設定される。
ここで、第2の設定によるシステム帯域のSRSを、第1の設定による帯域CのSRSより低頻度で送信しているのは、第1の設定のSRSが補助的な役割でありオーバーヘッドの増加を避けることを考慮したからであるが、それぞれの送信周期は自由に設定することができる。システム帯域のもしこれらの設定によって同じサブフレームでのSRS送信が発生する場合があり、かつ、一つのSRS信号がシングルキャリアで構成される信号である場合においては、PAPRの増加を避けるために、優先度の低い設定のSRSを送信しなくてもよい。優先度は基地局装置1から移動局装置3に対して通知してもよく、帯域幅や送信周期などその他の設定情報から一意に決めてもよい。さらに、ステップS601とステップS602は時間的に別れて記載されているが、同時刻において同時に設定されてもよく、また、片方のリソースが決定されれば、他方も自動的に決定されるようなルールを設けてもよい。
上記の設定により、第1の設定に従って帯域C−1に対するSRSがサブフレーム10、20において移動局装置3から基地局装置1へ送信され(それぞれステップS604、S606)、帯域C−2に対するSRSがサブフレーム15、25において移動局装置3から基地局装置1へ送信される(それぞれステップS605、S608)。また、第2の設定に従ってシステム帯域に対するSRSがサブフレーム2、22において移動局装置3から基地局装置1へ送信される(それぞれステップS603、S607)。
SRSを受信した基地局装置1は、これを用いて随時、MCS、プレコーダを算出することができ、また、スケジューリングを行なうことができる。基地局装置1が移動局装置3に対してUL−SCHを送信する上りリンクリソースを割り当てる場合には、その割り当て信号(UL Grant)を送信する(ステップS609)。UL Grantには、MCSつまりUL−SCHに適用する変調方式、符号化率に関する情報やプレコーダを指定する情報、割り当てられた周波数の場所に関する情報、つまりRBを指定する情報などが含まれている。
ここで、ステップS609により割り当てられたRBは帯域Cに完全に含まれてもよく、システム帯域のどのRBが割り当てられてもよい。具体的な用途として、第1の設定による帯域Cは、SRSの送信帯域を狭くして送信電力を集中させることによりSNRが向上されているため、これを通常のスケジューリングに利用し、周波数リソースに空きが生じている際に補助的な役割をする目的でそれ以外の帯域(第2の設定でサポートされる帯域)を割り当てることが有効である。UL−Grantを受信した移動局装置3は、このUL−Grantに含まれる情報に従ってUL−SCHを送信する(ステップS610)。
上記の手段により、クラスタードSC−FDMA方式を同時かつ効率的にサポートするSRSを送信することができる。SRSは非連続の周波数帯域をサポートすることができるため、クラスタードSC−FDMAによって期待される周波数ダイバーシチの効果を得ることができ、さらにそれぞれの帯域のチャネル情報を周期的に得ることができるため、スループット向上に対して効果的な周波数スケジューリングを柔軟に行なうことができる。本実施形態のように、狭い帯域のSRSを高頻度で送信し、広い帯域のSRSをそれより低い頻度で送信することにより、より効果的にスケジューリングゲインを獲得し、スループットを向上させることができる。
また、以上に説明したそれぞれの実施形態において、基地局装置1内の各機能や、移動局装置3内の各機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより基地局装置1や移動局装置3の制御を行なっても良い。尚、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。