JP5415035B2 - 発光性組成物及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

発光性組成物及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、発光性組成物及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法に関する。
従来、自己発光する面状発光素子として、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」という。)が知られている(例えば、特許文献1〜5参照)。
有機EL素子は、薄型化が可能であること、自己発光素子であるため視野角が広くて視認性が高いこと、直流電圧での駆動が可能であること、印加電圧が10V前後の低電圧であっても高輝度な発光が可能であるなど発光効率が高いこと、応答速度が速いこと、単純な素子構造で発光が可能であること、などの優れた特性を有する。
ところで、有機EL素子としては、陽極(アノード層)と陰極(カソード層)との間に有機材料よりなる発光層が形成された単層構造のもの、陽極と発光層との間に正孔注入輸送層を有する構造のものや陰極と発光層との間に電子注入層を有する構造のものなどの多層構造のもの、が知られており、これらの有機EL素子は、何れも陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが、発光層において再結合することによって発光する。
このような有機EL素子において、発光層を形成する方法としては、有機材料(発光性組成物)を真空蒸着することにより形成する乾式法と、有機材料(発光性組成物)が溶解した溶液を塗布して乾燥することにより形成する湿式法と、が知られている。これらの方法のうち、乾式法においては、工程が煩雑で大量生産に対応することが困難であり、また、面積の大きい発光層を形成するには限界がある。これに対して、湿式法においては、工程が簡単で大量生産に対応することが可能であり、また、面積の大きい発光層を容易に形成することができ、これらの点で、乾式法に比較して有利である。
有機EL素子を湿式法で作成する場合、発光性組成物の特性としては、高性能な有機EL素子を形成できることのみならず、その発光性組成物が溶解した溶液を塗布する際の塗工性が高いことも望まれる。
特開2002−313561号公報 特開2001−284052号公報 特開2003−171659号公報 特開2007−087642号公報 特開2007−016226号公報
しかしながら、発光性組成物に含まれる重合体の分子量を小さくして、塗工性が高くなるよう構成すると、高性能な有機EL素子を形成できなくなり、発光性組成物に含まれる重合体の分子量を大きくして、発光性組成物の保形性を向上させて高性能な有機EL素子を形成できるよう構成すると、塗工性が低くなるという問題がある。
本発明の課題は、塗工性が高く、高性能な有機EL素子を形成することができる発光性組成物及びその発光性組成物を含有する発光性インキを用いた有機EL素子の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
発光成分と、正孔輸送成分と、電子輸送成分と、を含む発光性組成物において、
重量平均分子量が3000〜5000の低分子量の重合体と、重量平均分子量が30000〜80000の中分子量の重合体と、重量平均分子量が100000以上の高分子量の重合体と、を含み、
当該発光性組成物中における前記低分子量の重合体(L)と前記高分子量の重合体(H)と前記中分子量の重合体(M)との混合重量比は、L:H:M=10〜30:10〜30:100−(L+H)であり、
前記重合体は、前記発光成分を形成する発光性モノマー、前記正孔輸送成分を形成する正孔輸送性モノマー及び前記電子輸送成分を形成する電子輸送性モノマーの少なくとも一つからなることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の発光性組成物において、
当該発光性組成物に含まれる重合体全体に対する、分子量が4300以下の重合体の割合が3%以上であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の発光性組成物において、
前記発光成分は、燐光発光成分であり
前記重合体は、前記正孔輸送性モノマーである第3級芳香族アミン誘導体と、前記電子輸送性モノマーであるオキサジアゾール誘導体と、の二元共重合体であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、
請求項1〜3の何れか一項に記載の発光性組成物により形成された発光層を備える有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、
前記発光性組成物を含有する発光性インキを用いて前記発光層をフレキソ印刷方式により印刷する工程によって、前記発光層を形成することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、
請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、
前記発光性インキには、パーフルオロアルキル基含有オリゴマーが添加されており、
前記工程は、
一方向に沿って印刷する第1印刷ステップと、
前記一方向に略直交する方向に沿って印刷する第2印刷ステップと、を有し、
前記第1印刷ステップを少なくとも1回以上行うとともに、前記第2印刷ステップを少なくとも1回以上行うことを特徴とする。
本発明によれば、発光性組成物は、重量平均分子量が3000〜5000の低分子量の重合体と、重量平均分子量が30000〜80000の中分子量の重合体と、重量平均分子量が100000以上の高分子量の重合体と、を含んでいる。
したがって、本発明の発光性組成物には、塗工性を向上させるための低分子量重合体と、保形性を向上させるための高分子量重合体と、が含まれているため、塗工性が高く、高性能な有機EL素子を形成することができる。
以下、図を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、発明の範囲は、図示例に限定されない。
(有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子))
まず、本発明の発光性組成物により形成された発光層4を備える有機EL素子10の一例について説明する。
図1は、本発明の発光性組成物により形成された発光層4を備える有機EL素子10の一例を示す断面模式図である。
有機EL素子10は、例えば、図1に示すように、基板1と、基板1上に配置されたアノード層2と、アノード層2上に配置された正孔注入輸送層3と、正孔注入輸送層3上に配置された発光層4と、発光層4上に配置された電子注入層5と、電子注入層5上に配置されたカソード層6と、アノード層2及びカソード層6に電気的に接続する直流電源7と、などを備えて構成される。
有機EL素子10においては、例えば、直流電源7により、アノード層2とカソード層6との間に直流電圧が印加されると、発光層4が発光して、その光が、正孔注入輸送層3、アノード層2及び基板1を透過して外部に放射されるようになっている。
(基板)
基板1は、透明基板である。
基板1としては、特に限定されるものではなく、例えば、ガラス基板、透明性樹脂基板、石英ガラス基板等を用いることができる。
(アノード層)
アノード層2は、正孔(ホール)を供給する透明性の電極層である。
アノード層2としては、特に限定されるものではなく、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜、酸化スズ(SnO)膜、酸化銅(CuO)膜、酸化亜鉛(ZnO)膜等を用いることができる。
アノード層2の厚みは、材料の種類によって異なるが、例えば、10〜1000nm、好ましくは50〜200nmである。
(正孔注入輸送層)
正孔注入輸送層3は、正孔を効率よく発光層4に供給するために設けられたものであって、アノード層2から正孔を受け取って、発光層4に輸送する機能を有する層である。
正孔注入輸送層3としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリチオフェン化合物及びポリスチレンスルホン酸を含有してなる高分子材料よりなる高分子薄膜を用いることができる。また、正孔注入輸送層3は、単層構造であっても良いし、同一の又は異なる正孔注入輸送材料を多層に重ねて構成した多層構造であっても良い。
正孔注入輸送層3の厚みは、例えば、10〜200nmであるが、特に限定されるものではない。
(発光層)
発光層4は、電子とホールとを結合させ、その結合エネルギーを光として放射する機能を有する層である。
発光層4の厚みは、例えば、2〜5000nmであるが、特に限定されるものではない。
発光層4は、例えば、発光成分と、正孔輸送成分と、電子輸送成分と、を含む発光性組成物を含有する発光性インキを、正孔注入輸送層3の電子注入層5に対向する側の面(電子注入層5の正孔注入輸送層3に対向する側の面であっても良い。)に塗布することによって形成される。
<発光性組成物>
発光性組成物は、例えば、下記(A)〜(C)の何れかであるが、駆動電圧や発光効率などの観点から、(B)又は(C)が好ましい。すなわち、発光性組成物は、重合体としてバイポーラポリマー(少なくとも正孔輸送性モノマーと電子輸送性モノマーとからなるポリマー)を含むものが好ましい。
(A)発光成分としての発光剤と、正孔輸送成分を形成する正孔輸送性モノマーの重合体と、電子輸送成分を形成する電子輸送性モノマーの重合体と、を含む発光性組成物
(B)発光成分としての発光剤と、正孔輸送成分を形成する正孔輸送性モノマーと電子輸送成分を形成する電子輸送性モノマーとの二元共重合体と、を含む発光性組成物
(C)発光成分を形成する発光性モノマーと正孔輸送成分を形成する正孔輸送性モノマーと電子輸送成分を形成する電子輸送性モノマーとの三元共重合体を含む発光性組成物
発光性組成物は、例えば、重量平均分子量が3000〜5000の低分子量の重合体と、重量平均分子量が30000〜80000の中分子量の重合体と、重量平均分子量が100000以上の高分子量の重合体と、を含むものである。この中でも、分子量が4300以下の重合体を3%以上含む発光性組成物が好ましい。
すなわち、上記(A)の場合、発光性組成物は、例えば、重量平均分子量が3000〜5000の低分子量の重合体(正孔輸送性モノマーの重合体又は電子輸送性モノマーの重合体)と、重量平均分子量が30000〜80000の中分子量の重合体(正孔輸送性モノマーの重合体又は電子輸送性モノマーの重合体)と、重量平均分子量が100000以上の高分子量の重合体(正孔輸送性モノマーの重合体又は電子輸送性モノマーの重合体)と、を含むものであり、この中でも、特に、発光性組成物に含まれる重合体(正孔輸送性モノマーの重合体又は電子輸送性モノマーの重合体)全体に対する、分子量が4300以下の重合体(正孔輸送性モノマーの重合体又は電子輸送性モノマーの重合体)の割合が、3%以上である発光性組成物が好ましい。
また、上記(B)の場合、発光性組成物は、例えば、重量平均分子量が3000〜5000の低分子量の重合体(正孔輸送性モノマーと電子輸送性モノマーとの二元共重合体)と、重量平均分子量が30000〜80000の中分子量の重合体(正孔輸送性モノマーと電子輸送性モノマーとの二元共重合体)と、重量平均分子量が100000以上の高分子量の重合体(正孔輸送性モノマーと電子輸送性モノマーとの二元共重合体)と、を含むものであり、この中でも、特に、発光性組成物に含まれる重合体(正孔輸送性モノマーと電子輸送性モノマーとの二元共重合体)全体に対する、分子量が4300以下の重合体(正孔輸送性モノマーと電子輸送性モノマーとの二元共重合体)の割合が、3%以上である発光性組成物が好ましい。
また、上記(C)の場合、発光性組成物は、例えば、重量平均分子量が3000〜5000の低分子量の重合体(発光性モノマーと正孔輸送性モノマーと電子輸送性モノマーとの三元共重合体)と、重量平均分子量が30000〜80000の中分子量の重合体(発光性モノマーと正孔輸送性モノマーと電子輸送性モノマーとの三元共重合体)と、重量平均分子量が100000以上の高分子量の重合体(発光性モノマーと正孔輸送性モノマーと電子輸送性モノマーとの三元共重合体)と、を含むものであり、この中でも、特に、発光性組成物に含まれる重合体(発光性モノマーと正孔輸送性モノマーと電子輸送性モノマーとの三元共重合体)全体に対する、分子量が4300以下の重合体(発光性モノマーと正孔輸送性モノマーと電子輸送性モノマーとの三元共重合体)の割合が、3%以上である発光性組成物が好ましい。
発光剤としては、例えば、蛍光発光剤や燐光発光剤が挙げられるが、発光効率などの観点から燐光発光剤が好ましい。
蛍光発光剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料等を用いることができる。
色素系材料としては、例えば、テトラフェニルブタジエン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、チオフェン環化合物、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ピラゾリンダイマー等を用いることができる。
金属錯体系材料としては、例えば、キノリノール錯体、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体等、中心金属に、Al、Zn、Be等又はTb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体等を用いることができる。
高分子系材料としては、例えば、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、上記色素系材料や金属錯体系材料を高分子化したもの等を用いることができる。
なお、発光組成物に含まれる蛍光発光剤の種類は、1種類であっても良いし、複数種類であっても良い。
燐光発光剤としては、特に限定されるものではないが、イリジウム、白金及びオスミウムから選ばれた金属の錯体化合物が好ましい。なお、発光組成物に含まれる燐光発光剤の種類は、1種類であっても良いし、複数種類であっても良い。
ここで、燐光発光剤の好ましい具体例としては、例えば、ビス(2−フェニルピリジル)イリジウムアセチルアセトナート(下記の一般式(1))、トリス(2−フェニルピリジル)イリジウム、トリス(2−(4−メチルフェニル)ピリジル)イリジウム、トリス(2−フェニル−3−メチルピリジル)イリジウム、フェニルベンゾチアジルイリジウム、ジフロロフェニルピリジルイリジウム錯体等を挙げることができる。
発光性モノマーとしては、例えば、蛍光発光性モノマーや燐光発光性モノマーが挙げられるが、発光効率などの観点から燐光発光性モノマーが好ましい。
蛍光発光性モノマーとしては、特に限定されるものではなく、例えば、色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料等の化合物を有するモノマーを用いることができる。
色素系の化合物を有するモノマーとしては、例えば、テトラフェニルブタジエン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、チオフェン環化合物、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ピラゾリンダイマー等を有するモノマーを用いることができる。
金属錯体系の化合物を有するモノマーとしては、例えば、キノリノール錯体、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体等、中心金属に、Al、Zn、Be等又はTb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体等を有するモノマーを用いることができる。
高分子系の化合物を有するとしては、例えば、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、上記色素系材料や金属錯体系材料を高分子化したもの等を有するモノマーを用いることができる。
なお、発光組成物に含まれる蛍光発光性モノマーの種類は、1種類であっても良いし、複数種類であっても良い。
燐光発光性モノマーとしては、特に限定されるものではないが、イリジウム、白金及びオスミウムから選ばれた金属の錯体化合物を有するモノマーが好ましい。なお、発光組成物に含まれる燐光発光性モノマーの種類は、1種類であっても良いし、複数種類であっても良い。
ここで、燐光発光性モノマーの好ましい具体例としては、例えば、ビス(2−フェニルピリジル)イリジウムアセチルアセトナートを有するモノマー(下記の一般式(2))、トリス(2−フェニルピリジル)イリジウムを有するモノマー、トリス(2−(4−メチルフェニル)ピリジル)イリジウムを有するモノマー、トリス(2−フェニル−3−メチルピリジル)イリジウムを有するモノマー、フェニルベンゾチアジルイリジウム、ジフロロフェニルピリジルイリジウム錯体を有するモノマー等を挙げることができる。
正孔輸送性モノマーとしては、特に限定されるものではなく、例えば、色素系材料、高分子系材料等を用いることができる。
色素系材料としては、例えば、トリフェニルアミン誘導体やカルバゾール誘導体などの第3級芳香族アミン誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、オリゴチオフィン誘導体等を用いることができる。
高分子系材料としては、例えば、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素系材料を高分子化したもの等を用いることができる。
これらの中でも、第三級芳香族アミン誘導体、特にカルバゾール誘導体が好ましい。なお、発光組成物に含まれる正孔輸送性モノマーの種類は、1種類であっても良いし、複数種類であっても良い。
ここで、カルバゾール誘導体の具体例としては、例えば、N−ビニルカルバゾール(下記の一般式(3))、3,6−ジメチル−9−ビニルカルバゾール、3,6−ジエチル−9−ビニルカルバゾール、3−メチル−9−ビニルカルバゾール、3−エチル−9−ビニルカルバゾール等が挙げられる。これらの中でも、N−ビニルカルバゾール、3,6−ジメチル−9−ビニルカルバゾールが好ましい。
電子輸送性モノマーとしては、特に限定されるものではなく、例えば、色素系材料、高分子系材料等を用いることができる。
色素系材料としては、例えば、オキサジアゾ−ル誘導体、バソフェナントロリン誘導体、トリアゾール誘導体、シロール誘導体、オキサジアゾールダイマー等を用いることができる。
高分子系材料としては、例えば、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体等を用いることができる。
これらの中でも、特にオキサジアゾ−ル誘導体が好ましい。なお、発光組成物に含まれる電子輸送性モノマーの種類は、1種類であっても良いし、複数種類であっても良い。
ここで、オキサジアゾ−ル誘導体の具体例としては、例えば、2−(4−tert−ブチル)フェニル−5−(4−ビ二ルビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(下記の一般式(4))、2−β−ナフチル−5−(4−ビニルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−α−ナフチル−5−(4−ビニルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−フェニル−5−(4−ビニルフェニル)−オキサジアゾール、2−フェニル−5−(4−ビニル−p−ビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(p−ビフェニル)−5−(4−ビニルフェニル)−オキサジアゾール、2−(p−ビフェニル)−5−(4−プロペニルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−t−ブトキシフェニル−5−(4−(4−ビニルフェニル)−p−ビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール又はこれらのオキサジアゾール誘導体にアクリロイル基やメタクリロイル基を置換したもの等が挙げられる。これらの中でも、2−(4−tert−ブチル)フェニル−5−(4−ビ二ルビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−β−ナフチル−5−(4−ビニルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(p−ビフェニル)−5−(4−ビニルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(p−ビフェニル)−5−(4−プロペニルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールが好ましい。
正孔輸送性モノマーの重合体、電子輸送性モノマーの重合体、正孔輸送性モノマーと電子輸送性モノマーとの二元共重合体、発光性モノマーと正孔輸送性モノマーと電子輸送性モノマーとの三元共重合体は、例えば、適宜の重合用溶媒中において、カチオン重合法、ラジカル重合法又はアニオン重合法によって作成することができる。
発光性インキは、例えば、発光性組成物等を所定の溶媒に溶解又は分散させることによって作成される。
所定の溶媒としては、発光成分や正孔輸送成分、電子輸送成分などが、溶解又は分散し、且つ、発光性インキを所定の粘度とすることができるのであれば、特に限定されるものではない。具体的には、所定の溶媒としては、例えば、ケトン系溶剤、芳香族溶剤、ハロゲン化溶剤等を用いることができ、より具体的には、例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン等を単独で又は複数種類を組み合わせて用いることができる。
ここで、発光性インキは、発光性組成物に加えて、所定の溶媒中に種々の添加剤を添加したものであっても良い。
例えば、発光性インキは、例えば、発光層4の発光効率の向上、発光層4の発光波長を変化させる等の目的で、各種燐光発光剤等のドーピング材料を添加したものであっても良い。
また、発光性インキは、例えば、印刷特性を向上させる等の目的で、各種界面活性剤等を添加したものであっても良い。
(電子注入層)
電子注入層5は、電子を効率よく発光層4に供給するために設けられたものであって、カソード層6から電子を受け取って、発光層4に輸送する機能を有する層である。
電子注入層5としては、特に限定されるものではなく、例えば、バソフェナントロリン系材料(BPCs)、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、酸化ストロンチウム、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレンテトラカルボン酸誘導体等を用いることができる。これらの中でも、特にバソフェナントロリン系材料が好ましい。また、電子注入層5は、単層構造であっても良いし、同一の又は異なる電子注入材料を多層に重ねて構成した多層構造であっても良い。
電子注入層5の厚みは、例えば、0.1〜100nmであるが、特に限定されるものではない。
(カソード層)
カソード層6は、電子を供給する電極層である。
カソード層6としては、特に限定されるものではなく、例えば、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、インジウム等よりなる金属膜又はこれらの金属の合金膜等を用いることができる。
カソード層6の厚みは、材料の種類によって異なるが、例えば、10〜1000nm、好ましくは50〜200nmである。
<有機EL素子の製造方法>
次に、本発明の有機EL素子10の製造方法の一例について説明する。
まず、基板1上に、アノード層2を形成する。
アノード層2を形成する方式としては、例えば、真空蒸着方式、スパッタ方式等を利用することができる。
また、ガラス基板などの透明基板の表面に、例えば、ITO膜等が形成されてなる市販の材料を、基板1上にアノード層2が形成されたものとして用いることができる。
次いで、アノード層2上に、正孔注入輸送層3を形成する。
具体的には、例えば、アノード層2上に所定の正孔注入輸送層形成液を塗布することによって、正孔注入輸送層3を形成する。
所定の正孔注入輸送層形成液は、例えば、所定の正孔注入輸送材料(例えば、ポリチオフェン化合物及びポリスチレンスルホン酸)を、適宜の溶媒(例えば、水やアルコールなど)に溶解又は分散させることによって作成される。
正孔注入輸送層形成液を塗布する方式としては、例えば、スピンコート方式、ディップ方式、インクジェット方式、印刷方式等の湿式法を利用することができる。
次いで、正孔注入輸送層3上に、発光層4を形成する。
具体的には、例えば、正孔注入輸送層3上に発光性インキを塗布することによって、発光層4を形成する。
発光性インキを塗布する方式としては、例えば、スピンコート方式、ディップ方式、ロールコート方式、インクジェット方式、印刷方式等の湿式法を利用することができるが、この中でも、印刷方式、特にフレキソ印刷方式が好ましい。
ここで、発光性インキを用いて、発光層4をフレキソ印刷方式により印刷することによって、発光層4を形成する方法について説明する。
例えば、まず、フレキソ印刷原版を、現像や拭き取りなどの操作を一切行わずに、フレキソ印刷機の版胴に設置する。
次いで、版胴に取り付けたフレキソ印刷原版にアニロックスロール等を用いて発光性インキを所定量付着させ、発光性インキをブランケット胴と呼ばれるゴム胴に転写し、ゴム胴に転写された発光性インキを被印刷体である正孔注入輸送層3に転写する。
次いで、転写された発光性インキを、酸化重合、UV光硬化、或いは、熱風乾燥等して固化させることによって、発光層4を形成する。
なお、発光層4を形成する際、2回以上印刷することが好ましく、特に、一方向に沿って印刷する第1印刷ステップと、当該一方向に略直交する方向に沿って印刷する第2印刷ステップと、のそれぞれを少なくとも1回以上行う工程で、発光層4を形成することが好ましい。すなわち、例えば、2回の印刷で発光層4を形成する場合、1回目の印刷方向と、2回目の印刷方向と、が略直交することが特に好ましい。
また、発光性インキを塗布する方式として印刷方式を利用する場合、発光層4を精度良く形成する等の観点から、発光性組成物に含まれる発光成分や正孔輸送成分、電子輸送成分として上記高分子系材料を用いた発光性インキを用いることが好ましい。
また、有機EL素子10をカラー化する等の場合には、発光成分等の種類がそれぞれ異なる複数種類の発光性インキを用いて、複数種類の発光層4を形成する必要がある。
フレキソ印刷原版の版材としては、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。版材の具体例としては、例えば、プラスチックフィルム(ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリケトン、ABS樹脂等のプラスチックフィルム)、エラストマーフィルム、紙、プラスチックフィルムラミネート紙等を挙げることができる。また、強度等の観点から、これらの版材を支持体上にラミネートしたものを用いることもできる。
版材の厚みは、例えば、100〜4000μm程度であるが、特に限定されるものではない。
フレキソ印刷原版の作成方法としては、特に限定されるものではないが、レーザー彫刻、レーザーアブレージョン又はMEMS方式で作製することが好ましい。
フレキソ印刷原版の作製に際しては、収束光を高速で走査するのが好ましく、使用し易い。また、光源としては高出力のものが適しており、この点から、照射する光としては、レーザー光、特に700〜1100nmの波長域の発振波長を有する赤外線レーザー光が好ましく、具体的には、例えば、830nmの高出力半導体レーザーや1064nmのYAGレーザーなどが好ましく用いられる。これらのレーザーを搭載した露光機はいわゆるサーマル用プレートセッター(露光機)として既に市場に供されている。
次いで、発光層4上に、電子注入層5を形成する。
具体的には、例えば、発光層4上に所定の電子注入層形成液を塗布することによって、電子注入層5を形成する。
所定の電子注入層形成液は、例えば、所定の電子注入材料(例えば、バソフェナントロリン系材料)を、適宜の溶媒に溶解又は分散させることによって作成される。
電子注入層形成液を塗布する方式としては、例えば、スピンコート方式、ディップ方式、インクジェット方式、印刷方式等の湿式法を利用することができる。
また、電子注入層5は、湿式法ではなく、真空蒸着方式等の乾式法を利用して形成しても良い。
次いで、電子注入層5上に、カソード層6を形成する。
カソード層6を形成する方式としては、例えば、真空蒸着方式、スパッタ方式等を利用することができる。
以上が、本発明の有機EL素子10の製造方法の一例である。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[1]ポリマーブレンド
低分子量の重合体、中分子量の重合体及び高分子量の重合体を含む発光性組成物の効果を実証するための実験を行った。
[1−1]発光性インキについて
まず、低分子量の重合体、中分子量の重合体及び高分子量の重合体を含む発光性組成物を含有する発光性インキを作成し、その評価を行った。
[1−1−1]発光性インキの作成
低分子量の重合体、中分子量の重合体及び高分子量の重合体を含む発光性組成物として上記(B)の発光性組成物を含有する発光性インキを作成した。
すなわち、重量平均分子量が3000〜5000の低分子量の二元共重合体(ポリマーL)と、重量平均分子量が30000〜80000の中分子量の二元共重合体(ポリマーM)と、重量平均分子量が100000以上の高分子量の二元共重合体(ポリマーH)と、の混合比がそれぞれ異なる発光性組成物を含有する複数種類の発光性インキを作成した。
まず、燐光発光剤(上記の一般式(1)で表されるビス(2−フェニルピリジル)イリジウムアセチルアセトナート)0.05質量部と、正孔輸送性モノマーと電子輸送性モノマーとの二元共重合体(上記の一般式(3)で表されるN−ビニルカルバゾール91モル%及び上記の一般式(4)で表される2−(4−tert−ブチル)フェニル−5−(4−ビ二ルビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール9モル%よりなる二元共重合体)0.95質量部と、を含む発光性組成物Aを用意した。
次いで、発光性組成物Aをシクロヘキサノン30質量部中に溶解させて作成した発光性インキ(発光性組成物の濃度が3.3wt%の発光性インキ)と、発光性組成物Aをシクロヘキサノン15質量部中に溶解させて作成した発光性インキ(発光性組成物の濃度が6.7wt%の発光性インキ)と、発光性組成物Aをシクロヘキサノン10質量部中に溶解されて作成した発光性インキ(発光性組成物の濃度が10wt%の発光性インキ)と、を作成した。
なお、発光性組成物Aには、二元共重合体として、重量平均分子量が4200の二元共重合体と、重量平均分子量が32000の二元共重合体と、重量平均分子量が105000の二元共重合体と、が混合されたポリマーブレンドが含まれている。以下、ポリマーブレンド中の各二元共重合体を、重量平均分子量が低いものから順に、ポリマーL、ポリマーM、ポリマーHと呼ぶ。
発光性組成物Aに含まれるポリマーブレンド中の二元共重合体の合成方法の一例を、ポリマーMの合成方法を用いて説明する。
まず、N−ビニルカルバゾール10mmolと、2−(4−tert−ブチル)フェニル−5−(4−ビ二ルビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール1.0mmolと、を20mLの耐圧瓶内に入れ、この耐圧瓶内の窒素ガス置換を繰り返して行った。
次いで、アゾビスイソブチロニトリル3.0モル%と、脱水ジメチルホルムアミド6.9mLと、を耐圧瓶内に添加し、60℃で72時間、モノマーの重合を行った。
これにより、N−ビニルカルバゾールと2−(4−tert−ブチル)フェニル−5−(4−ビ二ルビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールとが交互に重合されてなるブロック成分(ab)と、N−ビニルカルバゾールが重合されてなるブロック成分(a)と、からなるブロック共重合体を得た。
なお、上記の重合においては、一定時間毎に反応系の組成の変化を調べ、N−ビニルカルバゾールと、2−(4−tert−ブチル)フェニル−5−(4−ビ二ルビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールと、が交互に重合されていることを確認しながら行った。
次いで、上記作成したブロック共重合体を分析した。
その結果、ブロック成分(ab)におけるN−ビニルカルバゾールに由来する構造単位と2−(4−tert−ブチル)フェニル−5−(4−ビ二ルビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールに由来する構造単位との合計と、ブロック成分(a)におけるN−ビニルカルバゾールに由来する構造単位と、の割合は、モル比で10:90であった。
また、ブロック成分(ab)の重量平均重合度は30であり、ブロック成分(a)の重量平均重合度は600であった。
また、ブロック共重合体の重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)法(溶媒:テトラヒドロフラン)によるポリスチレン換算で32000であった。
以上のようにして、ポリマーMを合成し、合成したポリマーMが、重量平均分子量が30000〜80000の中分子量の二元共重合体であることを確認した。
上記の合成例に従って、重合平均分子量及び分子量分布がそれぞれ異なるポリマーL、ポリマーM及びポリマーHを作成した。
作成したポリマーL、ポリマーM及びポリマーHの分子量分布を示したGPCデータを図2に示す。
図2に示すGPCデータから、ポリマーL全体に対する分子量が4300以下の二元共重合体の割合は40%であり、ポリマーM全体に対する分子量が4300以下の二元共重合体の割合は1%以下であり、ポリマーH全体に対する分子量が4300以下の二元共重合体の割合は0%であることが分かった。
また、作成したポリマーLと、ポリマーMと、ポリマーHと、を種々の比で混合したポリマーブレンドの分子量分布を示したGPCデータを図3に示す。具体的には、図3には、混合比(混合重量比)がポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=1:8:1のポリマーブレンドと、混合比(混合重量比)がポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=3:6:1のポリマーブレンドと、混合比(混合重量比)がポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=3:4:3のポリマーブレンドと、混合比(混合重量比)がポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=1:6:3のポリマーブレンドと、の分子量分布を示したGPCデータを示す。
図3に示すGPCデータから、混合比がポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=1:8:1のポリマーブレンド全体に対する分子量が4300以下の二元共重合体の割合は4%であり、混合比がポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=3:6:1のポリマーブレンド全体に対する分子量が4300以下の二元共重合体の割合は12%であり、混合比がポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=3:4:3のポリマーブレンド全体に対する分子量が4300以下の二元共重合体の割合は12%であり、混合比がポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=1:6:3のポリマーブレンド体に対する分子量が4300以下の二元共重合体の割合は4%であることが分かった。
<実施例1−1>
実施例1−1の発光性インキとして、混合比(混合重量比)がポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=1:8:1であり、発光性組成物の濃度が3.3wt%である発光性インキを作成した。
具体的には、まず、作成したポリマーL30mgと、作成したポリマーM240mgと、作成したポリマーH30mgと、を20mLのスクリューバイアルに入れた。
次いで、脱水したシクロヘキサノン10mLをスクリューバイアル内に添加し、60℃で10分間、加熱してポリマーL、ポリマーM及びポリマーHを溶解させた。
次いで、12時間攪拌することによって、実施例1−1の発光性インキを作成した。
<実施例1−2>
実施例1−2の発光性インキとして、混合比(混合重量比)がポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=3:6:1であり、発光性組成物の濃度が3.3wt%である発光性インキを作成した。
なお、実施例1−2の発光性インキは、ポリマーLとポリマーMとポリマーHとの混合比が異なる点以外は、実施例1−1の発光性インキと同一であるため、作成法の詳細な説明は省略する。
<実施例1−3>
実施例1−3の発光性インキとして、混合比(混合重量比)がポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=3:4:3であり、発光性組成物の濃度が3.3wt%である発光性インキを作成した。
なお、実施例1−3の発光性インキは、ポリマーLとポリマーMとポリマーHとの混合比が異なる点以外は、実施例1−1の発光性インキと同一であるため、作成法の詳細な説明は省略する。
<実施例1−4>
実施例1−4の発光性インキとして、混合比(混合重量比)がポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=1:6:3であり、発光性組成物の濃度が3.3wt%である発光性インキを作成した。
なお、実施例1−4の発光性インキは、ポリマーLとポリマーMとポリマーHとの混合比が異なる点以外は、実施例1−1の発光性インキと同一であるため、作成法の詳細な説明は省略する。
<比較例1−1>
比較例1−1の発光性インキとして、混合比(混合重量比)がポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=10:0:0であり、発光性組成物の濃度が3.3wt%である発光性インキを作成した。
なお、比較例1−1の発光性インキは、ポリマーLとポリマーMとポリマーHとの混合比が異なる点以外は、実施例1−1の発光性インキと同一であるため、作成法の詳細な説明は省略する。
<比較例1−2>
比較例1−2の発光性インキとして、混合比(混合重量比)がポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=0:10:0であり、発光性組成物の濃度が3.3wt%である発光性インキを作成した。
なお、比較例1−2の発光性インキは、ポリマーLとポリマーMとポリマーHとの混合比が異なる点以外は、実施例1−1の発光性インキと同一であるため、作成法の詳細な説明は省略する。
<比較例1−3>
比較例1−3の発光性インキとして、混合比(混合重量比)がポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=0:0:10であり、発光性組成物の濃度が3.3wt%である発光性インキを作成した。
なお、比較例1−3の発光性インキは、ポリマーLとポリマーMとポリマーHとの混合比が異なる点以外は、実施例1−1の発光性インキと同一であるため、作成法の詳細な説明は省略する。
[1−1−2]発光性インキの評価
回転式粘度計(FUNGILAB社製)を使用して、実施例1−1〜実施例1−4の発光性インキ及び比較例1−1〜比較例1−3の発光性インキの粘度のシェアレート(ずり速度)依存性を測定した。
具体的には、まず、実施例1−1の発光性インキ8.0mLを、窒素雰囲気下で回転式粘度計のステンレス測定管に導入して、回転式粘度計に設置した。
次いで、目的の回転数を設定し、5分間回転させた後、目視により粘度を読み取った。この操作を5回繰り返して行い、5回の数値が安定している場合は、その平均をそのシェアレートでの粘度とした。5回の数値が安定していない場合は、更に5分間回転させた後、同様の計測を行った。
実施例1−2〜実施例1−4の発光性インキ及び比較例1−1〜比較例1−3の発光性インキについても同様の方法で粘度を測定した。
その結果を表1に示す。
表1には、回転数が100rpm、50rpm、10rpm、5rpm及び1rpmのときの粘度と、チキソ指数(回転数が5rpmのときの粘度の、回転数が50rpmのときの粘度に対する比)と、を示す。
表1の結果から、実施例1−1〜実施例1−4の発光性インキ及び比較例1−1〜比較例1−3の発光インキの全てにおいて、回転数が低くなるに従って粘度が上昇するという性質(チキソ性)を有することが分かった。
[1−2]有機EL素子について
次に、低分子量の重合体、中分子量の重合体及び高分子量の重合体を含む発光性組成物を含有する発光性インキを用いて有機EL素子を作成し、その評価を行った。
[1−2−1]有機EL素子の作成
上記作成した実施例1−1〜実施例1−4の発光性インキを用いて有機EL素子を作成した。
<実施例1−5>
実施例1−1の発光性インキを用いて、実施例1−5の有機EL素子を作成した。
具体的には、まず、表面にアノード層2(ITO膜(厚み190nm))が形成された基板1(ガラス基板(縦25mm、横12.5mm))を用意し、ITO膜の表面に、スピンコータを用いて、プレスピン(300rpm)を3秒間行って、本スピン(4500rpm)を12秒間行うという条件で、正孔注入輸送層形成液を塗布し、その後、150℃で30分間、熱処理することによって、厚みが35nmの正孔注入輸送層3を形成した。
次いで、得られた正孔注入輸送層3の表面に、実施例1−1の発光インキを塗布し、その後、150℃で10分間、熱処理することによって、厚みが60nmの発光層4を形成した。
次いで、得られた発光層4の表面に、真空蒸着法により、バソクプロイン層(20nm)と、フッ化リチウム層(0.5nm)と、からなる電子注入層5を形成した。
次いで、得られた電子注入層5の表面に、真空蒸着法により、アルミニウム層(100nm)からなるカソード層6を形成することによって、実施例1−5の有機EL素子を作成した。
なお、正孔注入輸送層形成液としては、H.C.スタルク社製の「バイトロンP4083」を用いた。この「バイトロンP4083」は、ポリー3,4−エチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との割合がモノマー換算のモル比で1:6であり、ポリー3,4−エチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との合計の濃度が1.6質量%である。
<実施例1−6>
実施例1−5の有機EL素子と同様の手法で、実施例1−2の発光性インキを用いて、実施例1−6の有機EL素子を作成した。
<実施例1−7>
実施例1−5の有機EL素子と同様の手法で、実施例1−3の発光性インキを用いて、実施例1−7の有機EL素子を作成した。
<実施例1−8>
実施例1−5の有機EL素子と同様の手法で、実施例1−4の発光性インキを用いて、実施例1−8の有機EL素子を作成した。
<比較例1−4>
実施例1−5の有機EL素子と同様の手法で、比較例1−2の発光性インキを用いて、比較例1−4の有機EL素子を作成した。
[1−2−2]有機EL素子の評価
実施例1−5の有機EL素子に直流電圧により印加することにより、発光層4を発光させて、実施例1−5の有機EL素子の発光効率(視感効率)を測定した。なお、発光部分の面積は、0.25cmであった。
実施例1−6〜実施例1−8の有機EL素子及び比較例1−4の有機EL素子についても同様の方法で発光効率(視感効率)を測定した。
その結果を表2に示す。
表2には、電流密度10mA/cmにおける発光効率(視感効率)を示す。
表2の結果から、実施例1−5〜実施例1−8の有機EL素子は、比較例1−4の有機EL素子と比較して、発光効率が高いことが分かった。
これにより、ポリマーMに、ポリマーL及びポリマーHを混合すると、発光効率が向上することが分かった。
また、表2の結果から、実施例1−5〜実施例1−8の有機EL素子の中では、実施例1−5の有機EL素子が最も発光効率が高いことが分かった。
これにより、ポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=1:8:1と、ポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=3:6:1と、ポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=3:4:3と、ポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=1:6:3と、の中では、ポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=1:8:1が最適な混合比(重量混合比)であることが分かった。
[2]印刷方向
低分子量の重合体、中分子量の重合体及び高分子量の重合体を含む発光性組成物を含有する発光性インキを用いて発光層4を形成する工程において、一方向に印刷した後、当該一方向に略直交する方向に印刷することによる効果を実証するための実験を行った。
[2−1]有機EL素子の作成
混合比(重量混合比)がポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=1:8:1であり、発光性組成物の濃度が6.7wt%及び10wt%である発光性インキを用いて有機EL素子を作成し、その評価を行った。
なお、発光性インキは、ポリマーLとポリマーMとポリマーHとの混合比及び発光性組成物の濃度が異なる点以外は、実施例1−1の発光性インキと同一であるため、作成法の詳細な説明は省略する。
<実施例2−1>
発光性組成物の濃度が10wt%の発光性インキを用い、印刷回数を1回として、実施例2−1の有機EL素子を作成した。
具体的には、まず、表面にアノード層2(ITO膜(厚み190nm))が形成された基板1(ガラス基板(縦25mm、横12.5mm))を用意し、ITO膜の表面に、スピンコータを用いて、プレスピン(300rpm)を3秒間行って、本スピン(4500rpm)を12秒間行うという条件で、正孔注入輸送層形成液を塗布し、その後、150℃で30分間、熱処理することによって、厚みが35nmの正孔注入輸送層3を形成した。
次いで、得られた正孔注入輸送層3の表面に、フレキソ印刷機(松尾産業株式会社製)を用いて、発光性組成物の濃度が10wt%の発光性インキを塗布し、1分間静置した後、150℃で14分間、熱処理することによって、発光層4を形成した。
次いで、得られた発光層4の表面に、真空蒸着法により、バソクプロイン層(20nm)と、フッ化リチウム層(0.5nm)と、からなる電子注入層5を形成した。
次いで、得られた電子注入層5の表面に、真空蒸着法により、アルミニウム層(100nm)からなるカソード層6を形成することによって、実施例2−1の有機EL素子を作成した。
<実施例2−2>
発光性組成物の濃度が6.7wt%の発光性インキを用い、印刷回数を2回、1回目の印刷方向と2回目の印刷方向とを同一として、実施例2−2の有機EL素子を作成した。
具体的には、まず、実施例2−1の有機EL素子と同様にして、表面にアノード層2が形成された基板1を用意し、アノード層2の表面に、正孔注入輸送層3を形成した。
次いで、得られた正孔注入輸送層3の表面に、フレキソ印刷機(松尾産業株式会社製)を用いて、発光性組成物の濃度が6.7wt%の発光性インキを塗布して一層目を印刷し、1分間静置した後、150℃で14分間、熱処理(焼成)し、その後、二層目を印刷して焼成することによって、発光層4を形成した。なお、一層目を印刷する際の印刷方向(1回目の印刷方向)と二層目を印刷する際の印刷方向(2回目の印刷方向)とは同一とした。
次いで、実施例2−1の有機EL素子と同様にして、得られた発光層4の表面に電子注入層5を形成して、得られた電子注入層5の表面に、カソード層6を形成することによって、実施例2−2の有機EL素子を作成した。
<実施例2−3>
発光性組成物の濃度が6.7wt%の発光性インキを用い、印刷回数を3回、1回目の印刷方向と2回目の印刷方向と3回目の印刷方向とを同一として、実施例2−3の有機EL素子を作成した。
なお、実施例2−3の有機EL素子は、印刷回数が異なる点以外は、実施例2−2の有機EL素子と同一であるため、作成法の詳細な説明は省略する。
<実施例2−4>
発光性組成物の濃度が6.7wt%の発光性インキを用い、印刷回数を2回、1回目の印刷方向と2回目の印刷方向とを略直交させて、実施例2−4の有機EL素子を作成した。すなわち、実施例2−4の有機EL素子は、クロス印刷によって作成した。
なお、実施例2−4の有機EL素子は、印刷方向が異なる点以外は、実施例2−2の有機EL素子と同一であるため、作成法の詳細な説明は省略する。
<実施例2−5>
発光性組成物の濃度が6.7wt%の発光性インキを用い、印刷回数を3回、1回目の印刷方向と2回目の印刷方向とを略直交させるとともに、2回目の印刷方向と3回目の印刷方向を略直交させて、実施例2−5の有機EL素子を作成した。すなわち、実施例2−4の有機EL素子は、クロス印刷によって作成した。
なお、実施例2−5の有機EL素子は、印刷回数と印刷方向が異なる点以外は、実施例2−2の有機EL素子と同一であるため、作成法の詳細な説明は省略する。
<比較例2>
実施例2−1の有機EL素子と同様の手法で、混合比(重量混合比)がポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=0:10:0であり、発光性組成物の濃度が6.7wt%の発光性インキを用い、印刷回数を1回として、比較例2の有機EL素子を作成した。
[2−2]有機EL素子の評価
実施例2−1の有機EL素子に直流電圧により印加することにより、発光層4を発光させて、実施例2−1の有機EL素子の発光効率(視感効率)を測定した。なお、発光部分の面積は、0.25cmであった。
実施例2−2〜実施例2−5の有機EL素子及び比較例2の有機EL素子についても同様の方法で発光効率(視感効率)を測定した。
その結果を表3に示す。
表3には、印刷方向と、膜の粗さ(すなわち、発光層4の粗さ)と、膜厚(すなわち、発光層4の厚み)と、実施例2−1の電流密度10mA/cmにおける発光効率(視感効率)を100とした場合の電流密度10mA/cmにおける発光効率(視感効率)である発光効率指数(視感効率指数)と、を示す。
ここで、表3の印刷方向において、例えば、“1回目が「↓」、2回目が「↓」”は、1回目の印刷方向と2回目の印刷方向とを同一としたことを示し、例えば、“1回目が「↓」、2回目が「←」”は、1回目の印刷方向と2回目の印刷方向とを略直交させたことを示す。
比較例2においては、発光層4にピンホールが発生してリーク電流が生じたため、発光効率を測定することができなかった。
これにより、発光性組成物の濃度が6.7wt%の場合、ポリマーMに、ポリマーL及びポリマーHを混合しないと、発光層4にピンホールが発生してしまうことが分かった。
表3の実施例2−1及び実施例2−2の結果から、発光性組成物の濃度が低い発光性インキを用い、印刷回数を2回として作成した有機EL素子(実施例2−2の有機EL素子)は、発光性組成物の濃度が高い発光性インキを用い、印刷回数を1回として作成した有機EL素子(実施例2−1の有機EL素子)と比較して、膜の粗さが小さく、膜厚が大きく、発光効率が高いことが分かった。
これにより、発光性組成物の濃度10wt%よりも、発光性組成物の濃度6.7wt%の方が好適であることが分かった。
また、表3の実施例2−2〜実施例2−5の結果から、クロス印刷により作成した有機EL素子(実施例2−4及び実施例2−5の有機EL素子)は、同一方向の印刷により作成した有機EL素子(実施例2−2及び実施例2−3の有機EL素子)と比較して、膜の粗さが小さく、発光効率が高いことが分かった。
これにより、印刷回数を複数回とする場合、同一方向に印刷するよりも、クロス印刷の方が好適であることが分かった。
[3]レベリング剤の添加
低分子量の重合体、中分子量の重合体及び高分子量の重合体を含む発光性組成物を含有する発光性インキにレベリング剤を添加することによる効果を実証するための実験を行った。
[3−1]有機EL素子の作成
レベリング剤を添加した発光性インキを作成し、それを用いて有機EL素子を作成した。
レベリング剤としては、パーフルオロアルキル基含有オリゴマーであるフッ素系化合物メガファック F−483SF(大日本インキ化学工業製)を使用した。
本実施例では、混合比(重量混合比)がポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=3:6:1であり、発光性組成物の濃度が6.7wt%である発光性インキを作成し、その発光性インキにレベリング剤を添加した。
なお、本実施例で作成した発光性インキは、ポリマーLとポリマーMとポリマーHとの混合比及び発光性組成物の濃度が異なる点以外は、実施例1−1の発光性インキと同一であるため、作成法の詳細な説明は省略する。
<実施例3−1>
レベリング剤が1000ppm添加された発光性インキを用いて、実施例3−1の有機EL素子を作成した。
具体的には、まず、表面にアノード層2(ITO膜(厚み190nm))が形成された基板1(ガラス基板(縦25mm、横12.5mm))を用意し、ITO膜の表面に、スピンコータを用いて、プレスピン(300rpm)を3秒間行って、本スピン(4500rpm)を12秒間行うという条件で、正孔注入輸送層形成液を塗布し、その後、150℃で30分間、熱処理することによって、厚みが35nmの正孔注入輸送層3を形成した。
次いで、得られた正孔注入輸送層3の表面に、フレキソ印刷機(松尾産業株式会社製)を用いて、レベリング剤が1000ppm添加された発光性インキを塗布し、1分間静置した後、150℃で14分間、熱処理することによって、発光層4を形成した。
次いで、得られた発光層4の表面に、真空蒸着法により、バソクプロイン層(20nm)と、フッ化リチウム層(0.5nm)と、からなる電子注入層5を形成した。
次いで、得られた電子注入層5の表面に、真空蒸着法により、アルミニウム層(100nm)からなるカソード層6を形成することによって、実施例3−1の有機EL素子を作成した。
<実施例3−2>
実施例3−1の有機EL素子と同様の手法で、レベリング剤が100ppm添加された発光性インキを用いて、実施例3−2の有機EL素子を作成した。
<実施例3−3>
実施例3−1の有機EL素子と同様の手法で、レベリング剤が1ppm添加された発光性インキを用いて、実施例3−3の有機EL素子を作成した。
<比較例3>
実施例3−1の有機EL素子と同様の手法で、混合比(重量混合比)がポリマーL:ポリマーM:ポリマーH=0:10:0、発光性組成物の濃度が6.7wt%であり、レベリング剤が100ppm添加された発光性インキを用いて、比較例3の有機EL素子を作成した。
[3−2]有機EL素子の評価
実施例3−1の有機EL素子に直流電圧により印加することにより、発光層4を発光させて、実施例3−1の有機EL素子の発光効率を測定した。なお、発光部分の面積は、0.25cmであった。
実施例3−2〜実施例3−4の有機EL素子及び比較例3の有機EL素子についても同様の方法で発光効率を測定した。
その結果を表4に示す。
表4には、膜の粗さ(すなわち、発光層4の粗さ)と、膜厚(すなわち、発光層4の厚み)と、比較例3の電流密度10mA/cmにおける発光効率(視感効率)を100とした場合の電流密度10mA/cmにおける発光効率(視感効率)である発光効率指数(視感効率指数)と、を示す。
表4の比較例3の結果から、レベリング剤を添加することにより、ピンホールの発生が抑制され、発光効率が測定できる状態となることが分かった
また、表4の結果から、実施例3−1〜実施例3−3の有機EL素子は、比較例3の有機EL素子と比較して、発光効率が高いことが分かった。
これにより、ポリマーMに、ポリマーL及びポリマーHを混合すると、発光効率が向上することが分かった。
以上説明した本発明の発光性組成物によれば、重量平均分子量が3000〜5000の低分子量の重合体と、重量平均分子量が30000〜80000の中分子量の重合体と、重量平均分子量が100000以上の高分子量の重合体と、を含み、重合体は、発光成分を形成する発光性モノマー、正孔輸送成分を形成する正孔輸送性モノマー及び電子輸送成分を形成する電子輸送性モノマーの少なくとも一つからなっている。
したがって、本発明の発光性組成物には、従来の発光性組成物に含まれていた中分子量重合体に加えて、塗工性を向上させるための低分子量重合体と、保形性を向上させるための高分子量重合体と、が含まれているため、塗工性が高く、高性能な有機EL素子10を形成することができる。
また、以上説明した本発明の発光性組成物によれば、重合体は、正孔輸送性モノマーである第3級芳香族アミン誘導体と、電子輸送性モノマーであるオキサジアゾール誘導体と、の二元共重合体である。
すなわち、発光性組成物に含まれる重合体は、正孔輸送成分と電子輸送成分とを有するバイポーラポリマーであるため、有機EL素子10の駆動電圧を抑えることができるとともに、発光特性を向上させることができる。
以上説明した本発明の有機EL素子の製造方法によれば、発光性組成物を含有する発光性インキを用いて発光層4をフレキソ印刷方式により印刷する工程によって、発光層4を形成するようになっている。
すなわち、発光層4をフレキソ印刷方式によって形成するため、有機EL素子10の大面積化が容易であるとともに、安価に有機EL素子10を製造することができる。
また、有機EL素子10の製造工程中にフォトリソグラフィー工程が全くないため、高再現性で、現像廃液のない環境に優しい方法で、有機EL素子10を製造することができる。
また、以上説明した本発明の有機EL素子の製造方法によれば、発光層4をフレキソ印刷方式により印刷する工程は、一方向に沿って印刷する第1印刷ステップと、その一方向に略直交する方向に沿って印刷する第2印刷ステップと、を有し、第1印刷ステップを少なくとも1回以上行うとともに、第2印刷ステップを少なくとも1回以上行うようになっている。
したがって、発光性インキをムラなく厚く塗布することができるため、高性能な有機EL素子10を製造することができる。
なお、本発明は、上記した実施の形態のものに限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
発光性組成物が含む重合体は、上記(1)のように単一成分系であっても良いし、上記(2)のように二成分系であっても良いし、上記(3)のように三成分系であっても良いし、四成分系以上であっても良い。
有機EL素子10は、少なくともアノード層2と発光層4とカソード層6とを備えていれば良く、必ずしも正孔注入輸送層3や電子注入層5を備えていなくても良い。
本発明の発光性組成物により形成された発光層を備える有機EL素子の一例を示す断面模式図である。 実施例で作成したポリマーの分子量分布を示したGPCデータである。 実施例で作成したポリマーブレンドの分子量分布を示したGPCデータである。
符号の説明
4 発光層
10 有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)

Claims (5)

  1. 発光成分と、正孔輸送成分と、電子輸送成分と、を含む発光性組成物において、
    重量平均分子量が3000〜5000の低分子量の重合体と、重量平均分子量が30000〜80000の中分子量の重合体と、重量平均分子量が100000以上の高分子量の重合体と、を含み、
    当該発光性組成物中における前記低分子量の重合体(L)と前記高分子量の重合体(H)と前記中分子量の重合体(M)との混合重量比は、L:H:M=10〜30:10〜30:100−(L+H)であり、
    前記重合体は、前記発光成分を形成する発光性モノマー、前記正孔輸送成分を形成する正孔輸送性モノマー及び前記電子輸送成分を形成する電子輸送性モノマーの少なくとも一つからなることを特徴とする発光性組成物。
  2. 請求項1に記載の発光性組成物において、
    当該発光性組成物に含まれる重合体全体に対する、分子量が4300以下の重合体の割合が3%以上であることを特徴とする発光性組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の発光性組成物において、
    前記発光成分は、燐光発光成分であり
    前記重合体は、前記正孔輸送性モノマーである第3級芳香族アミン誘導体と、前記電子輸送性モノマーであるオキサジアゾール誘導体と、の二元共重合体であることを特徴とする発光性組成物。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の発光性組成物により形成された発光層を備える有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、
    前記発光性組成物を含有する発光性インキを用いて前記発光層をフレキソ印刷方式により印刷する工程によって、前記発光層を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  5. 請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、
    前記発光性インキには、パーフルオロアルキル基含有オリゴマーが添加されており、
    前記工程は、
    一方向に沿って印刷する第1印刷ステップと、
    前記一方向に略直交する方向に沿って印刷する第2印刷ステップと、を有し、
    前記第1印刷ステップを少なくとも1回以上行うとともに、前記第2印刷ステップを少なくとも1回以上行うことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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