JP2013251191A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Yasuhiro Iiizumi
安広 飯泉
Keiichi Murakami
敬一 村上
Koujun Uko
公淳 宇高
Shigeki Imamura
茂樹 今村
Masahiko Shibata
晶彦 柴田
Takahisa Taniguchi
貴久 谷口
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Abstract

【課題】本発明は、酸素、水蒸気等のガスによる有機EL層の劣化を好適に抑制することができ、薄膜化および軽量化が可能であり、コスト的にも有利な封止構造を有する有機EL素子を提供することを主目的とする。
【解決手段】基板、上記基板上に形成された第1電極層、上記第1電極層上に形成され、少なくとも有機発光層を含む有機EL層、上記有機EL層上に形成された第2電極層、および上記有機EL層の端面を覆うように形成され、ケイ素化合物から構成されるバリア層を有する有機EL基板と、ガスバリア性を有する封止フィルムと、上記有機EL基板および上記封止フィルムの間に上記有機EL層を封止するように形成された接着層と、を有することを特徴とする有機EL素子を提供することにより、上記目的を達成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸素、水蒸気等のガスによる有機エレクトロルミネッセンス層の劣化を抑制することができ、薄膜化、軽量化が可能であり、コスト的にも有利な封止構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
有機発光層を一対の電極の間に挟み、両電極間に電圧をかけて発光させる有機エレクトロルミネッセンス(以下、エレクトロルミネッセンスをELと略す場合がある。)素子は、自己発色により視認性が高いこと、液晶素子と異なり全固体素子であるため耐衝撃性に優れていること、応答速度が速いこと、温度変化による影響が少ないこと、および、視野角が大きいことなどの利点を有しており、表示装置における発光素子としての利用が注目されている。
有機EL素子は、水分や酸素により発光特性が低下することが知られている。そこで、酸素や水蒸気等のガスの有機EL素子内への浸入を防止するために、従来から有機EL素子の封止方法として、例えば、ガラスキャップの土手部にUV硬化樹脂を塗布し、これを有機発光層等の有機EL層を有する有機EL基板と貼り合わせて封止する方法、また例えば、有機EL基板およびガラス基板を対向させて配置し、有機EL基板およびガラス基板の間を枠状のフリットガラスを用いて封止する方法等が採用されている。
しかしながら、上述した封止方法は、ガラスキャップやフリットガラスが高価であること、またフリットガラスを用いた場合は、フリットガラスの硬化時に行われるレーザー加熱等に費用が多くかかることから、有機EL素子の製造コストが高くなるという問題がある。また、ガラスを用いるものであることから、有機EL素子を軽量化したり、薄膜化することが困難であるという問題がある。
そこで、製造コストの削減、有機EL素子の軽量化および薄膜化を達成するべく、新たな封止方法として、有機EL層表面に、窒化ケイ素等から構成されるバリア層を形成する封止方法が試みられている(特許文献1)。しかしながら、上記バリア層を用いた場合、所望のガスバリア性を達成するためには、バリア層の厚みを1μm〜3μm程度とする必要があり、成膜に時間がかかることから、上記バリア層の成膜工程が、有機EL素子の製造効率の低下の一因となるという問題があった。
また、ガスバリア性の付与のため、バリア層を厚く形成した場合は、バリア層に加わる応力が大きくなることから、クラックが生じやすくなるという問題もある。
さらに、窒化ケイ素から構成されるバリア層については、厚みを厚くすると着色して観察されるため、透明性が低下することから、有機EL層側を光取り出し面として用いるトップエミッション型の有機EL素子においては発光効率が低下するという問題もある。
また、近年、ガラス製の封止材料に代えて、樹脂製フィルム基材上に無機化合物から構成される無機層等が形成されたガスバリア性フィルムを用い、これを熱硬化型の接着剤等から構成される接着層を用いて有機EL基板に貼り合わせるといった封止方法も提案されている。
しかしながら、このような封止方法を用いた場合、フィルム基材と接着剤との積層方向においては良好なガスバリア性を発現するものの、接着層自体はガスバリア性が十分ではない場合が多く、接着層が外部に露出した接着層の端面においては酸素、水蒸気等が浸入し、有機EL層をその端面から劣化させてしまうという問題がある。
特開2011−108473号公報
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、酸素、水蒸気等のガスによる有機EL層の劣化を好適に抑制することができ、薄膜化および軽量化が可能であり、コスト的にも有利な封止構造を有する有機EL素子を提供することを主目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、基板、上記基板上に形成された第1電極層、上記第1電極層上に形成され、少なくとも有機発光層を含む有機EL層、上記有機EL層上に形成された第2電極層、および上記有機EL層の端面を覆うように形成され、ケイ素化合物から構成されるバリア層を有する有機EL基板と、ガスバリア性を有する封止フィルムと、上記有機EL基板および上記封止フィルムの間に上記有機EL層を封止するように形成された接着層と、を有することを特徴とする有機EL素子を提供する。
本発明によれば、有機EL層の端面を覆うようにバリア層が形成されていることから、有機EL素子の端面に位置する、接着層の露出部分からの酸素、水蒸気等のガスの浸入による有機EL層の劣化を抑制することが可能となる。
また、バリア層と封止フィルムおよび接着層とを併用して有機EL素子の封止を行うことから、バリア層としては、バリア層のみを用いて有機EL素子の封止を行う場合に比べてガスバリア性の小さいものであっても、十分な封止効果を発揮することが可能となる。そのため、バリア層をより薄膜に形成することが可能となることから、バリア層の成膜時間を短いものとすることができ、有機EL素子の製造効率を高くすることができる。
本発明においては、上記バリア層が、上記有機EL層および上記第2電極層を覆うように形成されており、かつ、上記接着層が、さらに、上記有機EL層、上記第2電極層、および上記バリア層を覆うように上記有機EL基板および上記封止フィルムの間に形成されていることが好ましい。
上記バリア層が有機EL層および第2電極層を覆うように形成されていることにより、酸素、水蒸気等のガスによる有機EL層の劣化をより抑制することができる。また、バリア層を簡便な工程で形成することができる。
また、上記接着層が、さらに、上記有機EL層、上記第2電極層、および上記バリア層を覆うように上記有機EL基板および上記封止フィルムの間に形成されていることにより、本発明の有機EL素子の耐衝撃性を良好なものとすることができ、また有機EL層側からの圧力による不具合を抑制することができる。また、有機EL層が形成されている領域における有機EL基板と封止フィルムとの間の距離を均一なものとすることができるため、本発明の有機EL素子がトップエミッション型である場合はその光学特性を良好なものとすることができる。
本発明においては、上記有機EL素子が、上記第2電極層、上記バリア層、上記封止フィルム、および上記接着層が透明性を有し、上記有機EL層側を光取り出し面として用いるトップエミッション型の有機EL素子であることが好ましい。本発明においては、バリア層を薄く形成することができることから、厚みが厚くなることにより着色しやすい窒化ケイ素等の材料を用いた場合も、良好な透明性を有するバリア層とすることができる。よって、バリア層の着色による発光特性の低下を抑制することが可能なトップエミッション型の有機EL素子を得ることができる。
本発明によれば、バリア層と封止フィルムおよび接着層とを用いて封止を行うことができることから、酸素、水蒸気等のガスによる有機EL層の劣化を好適に抑制することができ、薄膜化および軽量化が可能であり、コスト的にも有利な有機EL素子を得ることができるといった作用効果を奏する。
本発明の有機EL素子の一例を示す概略断面図である。 本発明の有機EL素子の他の例を示す概略断面図である。 本発明の有機EL素子の他の例を示す概略断面図である。 本発明の有機EL素子の製造方法の一例を示す工程図である。
以下、本発明の有機EL素子について説明する。
本発明の有機EL素子は、基板、上記基板上に形成された第1電極層、上記第1電極層上に形成され、少なくとも有機発光層を含む有機EL層、上記有機EL層上に形成された第2電極層、および上記有機EL層の端面を覆うように形成され、ケイ素化合物から構成されるバリア層を有する有機EL基板と、ガスバリア性を有する封止フィルムと、上記有機EL基板および上記封止フィルムの間に上記有機EL層を封止するように形成された接着層と、を有することを特徴とする。
ここで、本発明の有機EL素子について図を用いて説明する。図1は本発明の有機EL素子の一例を示す概略断面図である。
図1に例示するように、本発明の有機EL素子100は、基板11、基板11上に形成された第1電極層12、第1電極層12上に形成され、少なくとも有機発光層13aを含む有機EL層13、有機EL層13上に形成された第2電極層14、および有機EL層13の端面を覆うように形成され、ケイ素化合物から構成されるバリア層15を有する有機EL基板10と、ガスバリア性を有する封止フィルム20と、有機EL基板10および封止フィルム20の間に有機EL層13を封止するように形成された接着層30と、を有することを特徴とする。また、図1においては、バリア層15が有機EL層13および第2電極層14を覆うように形成されており、かつ、接着層30が、さらに、有機EL層13、第2電極層14、およびバリア層15を覆うように有機EL基板10および封止フィルム20の間に形成されている例について示している。
本発明によれば、有機EL層の端面を覆うようにバリア層が形成されていることから、有機EL素子の端面に位置する、接着層の露出部分からの酸素、水蒸気等のガスの浸入による有機EL層の劣化を抑制することが可能となる。
また、バリア層と封止フィルムおよび接着層とを併用して有機EL素子の封止を行うことから、バリア層としては、バリア層のみを用いて有機EL素子の封止を行う場合に比べてガスバリア性の小さいものであっても、十分な封止効果を発揮することが可能となる。そのため、バリア層をより薄膜に形成することが可能となることから、バリア層の成膜時間を短いものとすることができ、有機EL素子の製造効率を高くすることができる。
また、封止フィルムについても、封止フィルムおよび接着層のみを用いて有機EL素子の封止を行う場合に比べて、ガスバリア性の小さいものであっても十分な封止効果を発揮することができる。よって、ガスバリア性の小さい安価な封止フィルムを用いることができるため、本発明の有機EL素子を生産性の高いものとすることができる。
以下、本発明の有機EL素子の各構成について説明する。
I.有機EL基板
まず、本発明における有機EL基板について説明する。本発明における有機EL基板は、基板と、第1電極層と、有機EL層と、第2電極層と、バリア層とを有するものである。以下、各構成について説明する。
(1)バリア層
本発明おけるバリア層は、有機EL層の端面を覆うように形成され、ケイ素化合物から構成される。
本発明におけるバリア層は有機EL層の端面を覆うように形成され、有機EL層を接着層を介して浸入した酸素、水蒸気等から保護することが可能なものであれば特に限定されず、図2に例示するように、第1電極層12上、有機EL層13の端面、および第2電極層14上を含む領域、すなわち、有機EL層13の端面を覆い第2電極層12の表面が一部露出したパターン状に形成されてもよく、図1に例示するように有機EL層13および第2電極層14を覆うように形成されていてもよい。なかでも、バリア層が有機EL層および第2電極層を覆うように形成されていることが好ましい。有機EL素子内に浸入した酸素、水蒸気等から有機EL層を好適に保護することができ、また、バリア層の形成を容易に行うことができるからである。
バリア層は透明性を有していてもよく有さなくてもよく、光の取り出し面に応じて適宜選択される。本発明の有機EL素子において第2電極層側から光を取り出す場合(トップエミッション型の場合)には、バリア層は透明性を有するものが用いられる。バリア層が透明性を有する場合、バリア層の全光線透過率は70%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上である。なお、全光線透過率は、JIS K 7105に準拠して測定した値である。全光線透過率は、例えば紫外可視分光光度計((株)島津製作所製 UVPC3100)を用いて測定することができる。
バリア層はケイ素化合物から構成される。このようなケイ素化合物としては、具体的には、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化窒化ケイ素等が挙げられる。本発明においてはなかでも、窒化ケイ素を用いることが好ましい。窒化ケイ素を用いることにより、バリア層を緻密な膜とすることができ、所望のガスバリア性を示すバリア層をより薄く形成することができる。
また、窒化ケイ素膜は厚みが増すほど着色して透明性が低下する性質を有する。本発明においては、バリア層を後述する封止フィルムおよび接着層と併用することから、従来のバリア層のみを用いた構成に比べてバリア層を薄くすることができるため、バリア層の透明性を良好なものとすることができる。よって、トップエミッション型の有機EL素子に好適に適用することが可能となる。
バリア層の厚みとしては、接着層を介して浸入した酸素、水蒸気等から有機EL層を保護することが可能な程度であれば特に限定されず、具体的には、80nm〜1000nmの範囲内、なかでも80nm〜500nmの範囲内、特に80nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。
バリア層の厚みが上記範囲に満たない場合は、有機EL基板上の所望の領域にバリア層を安定的に形成することが困難となる可能性があるからであり、バリア層の厚みが上記範囲を超える場合は、バリア層の成膜に時間がかかることにより、有機EL素子の製造効率が低下する場合や、バリア層に加わる応力が大きくなることによりクラックが生じやすくなる可能性があるからである。
バリア層の形成方法としては、通常、ドライプロセスが用いられる。また、ドライプロセスとしては、化学蒸着法(CVD法)であってもよく、物理蒸着法(PVD法)であってもよいが、CVD法であることがより好ましい。より短い時間でバリア層を形成することができ、バリア層の成膜時における有機EL層へのダメージを少ないものとすることができるからである。
(2)基板
本発明における基板は、第1電極層、有機EL層、第2電極層、およびバリア層を支持するものである。
基板は透明性を有していてもよく有さなくてもよく、光の取り出し面に応じて適宜選択される。本発明の有機EL素子において基板側から光を取り出す場合(ボトムエミッション型の場合)には、基板としては透明性を有するものが用いられる。基板が透明性を有する場合は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。上記基板の透明性は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
基板としては、例えば、石英、ガラス、シリコンウェハ等の無機材料からなる無機物製基材や、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の高分子材料から構成される樹脂製基材や、ステンレス鋼、銅、アルミニウム等の金属基材上に上述した高分子材料から構成される絶縁層が形成されたもの等を挙げることができる。
本発明においては、なかでも、石英、ガラス、シリコンウェハ等の無機物製基材、またはスーパーエンジニアリングプラスチックであるポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の高分子材料から構成される樹脂製基材、もしくは上記高分子材料から構成される絶縁層を有する金属基材であることが好ましい。これらの材料は200℃以上の耐熱性を有しており、製造工程での基板温度を高くすることができるからである。特にTFTを用いたアクティブ駆動表示装置等を製造する場合、製造工程中に高温となるので、上記の材料を好適に用いることができる。
基板の厚みとしては、用いる材料および有機EL素子の用途により適宜選択される。具体的に、基板の厚みは、0.005mm〜5mm程度である。
また、基板に上述の高分子材料を用いた場合、この高分子材料から発生するガスによって有機EL層が劣化する可能性があることから、基板と第1電極層との間に第2のバリア層が形成されていることが好ましい。第2のバリア層の材料としては、上述したバリア層に用いられるケイ素化合物を挙げることができる。
(3)第1電極層
本発明における第1電極層は基板上に形成されるものである。
第1電極層は、基板上の全面に形成されていてもよく、基板上にパターン状に形成されていてもよい。
第1電極層は透明性を有していてもよく有さなくてもよく、光の取り出し面に応じて適宜選択される。本発明の有機EL素子において基板側から光を取り出す場合(ボトムエミッション型の場合)には、第1電極層は透明性を有するものが用いられる。
第1電極層が透明性を有する場合、第1電極層の全光線透過率は70%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上である。なお、全光線透過率の測定方法については、上記バリア層の項に記載した方法と同様である。
第1電極層としては、陽極であってもよく、陰極であってもよい。
陽極は、抵抗が小さいことが好ましく、一般的には導電性材料である金属材料が用いられるが、有機化合物または無機化合物を用いてもよい。
陽極には、正孔が注入しやすいように仕事関数の大きい導電性材料を用いることが好ましい。例えば、Au、Ta、W、Pt、Ni、Pd、Cr、Cu、Mo、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属;これらの金属の酸化物;AlLi、AlCa、AlMg等のAl合金、MgAg等のMg合金、Ni合金、Cr合金、アルカリ金属の合金、アルカリ土類金属の合金等の合金;酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛、酸化インジウム等の無機酸化物;金属ドープされたポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体等の導電性
高分子;α−Si、α−SiC;等が挙げられる。これらの導電性材料は、単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上を用いる場合には、各材料からなる層を積層してもよい。
陰極は、抵抗が小さいことが好ましく、一般的には導電性材料である金属材料が用いられるが、有機化合物または無機化合物を用いてもよい。
陰極には、電子が注入しやすいように仕事関数の小さい導電性材料を用いることが好ましい。例えば、MgAg等のMg合金、AlLi、AlCa、AlMg等のAl合金、Li、Cs、Ba、Sr、Ca等のアルカリ金属類およびアルカリ土類金属類の合金等が挙げられる。また、Ag、Al等の金属についても用いることができる。
また、本発明の有機EL素子がトップエミッション型の有機EL素子である場合は、第1電極層としては、基材上に金属層および透明電極層がこの順で積層された積層構造を有するものであることが好ましい。トップエミッション型の有機EL素子においては、このような積層構造を有する第1電極層を用いることにより、有機発光層から発光された光を金属層で反射させ、その反射光を透明電極層を用いて拡散させることができることから、光の利用効率を良好なものとすることができる。また、赤色、緑色、および青色の有機発光層を有する場合、透明電極層の膜厚により、各色の干渉効果を最適化することができるからである。
金属層に用いられる材料については、上述した金属単体、金属酸化物、および合金等が挙げられる。また、透明電極層については、上述した導電性酸化物等が挙げられる。
第1電極層の厚みとしては、特に限定されるものではなく、用いる導電性材料に応じて適宜設定される。具体的に、第1電極層の厚みは、5nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは40nm〜500nmの範囲内である。第1電極層の厚みが薄すぎると抵抗が高くなる場合がある。また、第1電極層の厚みが厚すぎると、第1電極層に透明性が要求される場合には所望の全光線透過率が得られない場合がある。さらに、第1電極層の厚みが厚すぎると、エッチングによるパターン加工が困難となり、その結果、パターニングされた第1電極層の端部の段差により第2電極層の断線や電極間での短絡が生じたり、パターニングされた第1電極層の端部の形状が乱れたり、エッチング時間が増加したりする可能性がある。
第1電極層の形成方法としては、一般的な電極の形成方法を用いることができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、EB蒸着法、イオンプレーティング法等のPVD法、またはCVD法等を挙げることができる。
(4)第2電極層
本発明における第2電極層は、有機EL層上に形成されるものである。
また、第2電極層は有機EL層上の全面に形成されていてもよく、パターン状に形成されていてもよい。
第2電極層は透明性を有していてもよく有さなくてもよく、光の取り出し面に応じて適宜選択される。本発明の有機EL素子において第2電極層側から光を取り出す場合(トップエミッション型の場合)には、第2電極層は透明性を有するものが用いられる。
第2電極層が透明性を有する場合、第2電極層の全光線透過率は70%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上である。なお、全光線透過率の測定方法については、上記バリア層の項に記載した方法と同様である。
第2電極層は陽極および陰極のいずれであってもよい。
なお、陽極および陰極の材料、第2電極層の厚み、および形成方法については上記第1電極層の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
(5)有機EL層
本発明における有機EL層は、第1電極層上に形成され、有機発光層を含むものであり、少なくとも有機発光層を含む1層もしくは複数層の有機層を有するものである。すなわち、有機EL層とは、少なくとも有機発光層を含む層であり、その層構成が有機層1層以上の層をいう。通常、塗布法で有機EL層を形成する場合は、溶媒との関係で多数の層を積層することが困難であることから、有機EL層は1層もしくは2層の有機層を有する場合が多いが、溶媒への溶解性が異なるように有機材料を工夫したり、真空蒸着法を組み合わせたりすることにより、さらに多数層とすることも可能である。
有機発光層以外に有機EL層内に形成される層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層および電子輸送層を挙げることができる。正孔注入層および正孔輸送層は一体化されている場合がある。同様に、電子注入層および電子輸送層は一体化されている場合がある。その他、有機EL層内に形成される層としては、キャリアブロック層のような正孔もしくは電子の突き抜けを防止し、さらに励起子の拡散を防止して発光層内に励起子を閉じ込めることにより、再結合効率を高めるための層等を挙げることができる。
このように有機EL層は種々の層を積層した積層構造を有することが多く、積層構造としては多くの種類がある。
以下、有機EL層の各構成について説明する。
(a)有機発光層
本発明に用いられる有機発光層(以下、単に発光層という場合がある。)は、電子と正孔との再結合の場を提供して発光する機能を有するものである。
発光層の形成材料としては、通常、色素系材料、金属錯体系材料、または高分子系材料が用いられる。
色素系材料としては、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマーなどを挙げることができる。
金属錯体系材料としては、中心金属に、Al、Zn、Be、Ir、Pt等、またはTb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体を挙げることができる。この金属錯体としては、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体、イリジウム金属錯体、プラチナ金属錯体等が挙げられる。具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq3)を用いることができる。
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリフルオレノン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、ポリジアルキルフルオレン誘導体、およびそれらの共重合体等を挙げることができる。また、上記色素系材料および金属錯体系材料を高分子化したものも挙げられる。
また、発光層中には、発光効率の向上、発光波長を変化させる等の目的で、蛍光発光または燐光発光するドーパントを添加してもよい。このようなドーパントとしては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン、キノキサリン誘導体、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体等を挙げることができる。
発光層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、印刷法、インクジェット法、スピンコート法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法、自己組織化法(交互吸着法、自己組織化単分子膜法)等を挙げることができる。中でも、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法が好ましい。
2色以上の発光層を有する有機EL素子を作製する際には、複数色の発光層をパターン状に形成する。発光層のパターニング方法としては、異なる発光色ごとに、マスキング法により塗り分けや蒸着を行う方法、印刷法またはインクジェット法により行う方法が挙げられる。また、発光層間に隔壁を形成することにより、発光層をパターニングしてもよい。隔壁を形成する方法は、インクジェット法等によって発光層を形成する際に、発光材料が隣接する区域に濡れ広がらないという利点を有する。
発光層の厚みとしては、電子と正孔との再結合の場を提供して発光する機能を発現することができる厚みであれば特に限定されるものではなく、1nm〜200nm程度とすることができる。
(b)正孔注入輸送層
本発明においては、図3に例示するように、第1電極層12上に正孔注入輸送層13bが形成され、正孔注入輸送層13b上に発光層13aが形成されていてもよい。正孔注入輸送層が形成されていることにより、発光層への正孔の注入が安定化し、発光効率を高めることができる。
なお、図3は本発明の有機EL素子の他の例を示す概略断面図であり、説明していない符号については図1と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
正孔注入輸送層としては、陽極から注入された正孔を発光層内へ輸送することが可能な層であれば特に限定されるものではない。正孔注入輸送層は、正孔注入層および正孔輸送層のいずれか一方を有するものであってもよく、正孔注入層および正孔輸送層の両方を有するものであってもよく、正孔注入機能および正孔輸送機能の両機能を有する単一の層であってもよい。
正孔注入輸送層の材料は、陽極から注入された正孔を安定に発光層内へ輸送することができる材料であれば特に限定されるものではなく、例えばフェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系;酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウムなどの酸化物;アモルファスカーボン;ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレンおよびこれらの誘導体等を挙げることができる。具体的には、ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニル)ベンジジン(α−NPD)、4,4,4−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、ポリ3,4エチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)等を用いることができる。
正孔注入輸送層の形成方法としては、上記発光層の形成方法と同様である。
正孔注入輸送層の厚みとしては、陽極から正孔を注入し、発光層へ正孔を輸送する機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されないが、具体的には、0.5nm〜300nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10nm〜100nmの範囲内である。
(c)電子輸送層
本発明においては、発光層上に電子輸送層を形成してもよい。
電子輸送層の材料は、陰極または電子注入層から注入された電子を発光層内へ輸送することが可能な材料であれば特に限定されるものではなく、例えばバソキュプロイン(BCP)、バソフェナントロリン(Bpehn)等のフェナントロリン誘導体、またはトリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq3)等のキノリン誘導体などを挙げることができる。
電子輸送層の形成方法としては、上記発光層の形成方法と同様である。
(d)電子注入層
本発明においては、図3に例示するように、発光層13a上に電子注入層13cが形成されていてもよい。また、図示はしないが上記電子輸送層を形成する場合には、通常、電子輸送層上に電子注入層が形成される。
電子注入層の材料は、発光層内への電子の注入を安定化させることができる材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、ストロンチウム、カルシウム、リチウム、セシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の金属単体;酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化リチウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物;フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のフッ化物;ポリメチルメタクリレートポリスチレンスルホン酸ナトリウム等のアルカリ金属の有機錯体などを挙げることができる。
電子注入層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法が挙げられる。
電子注入層の厚みとしては、上述したアルカリ金属またはアルカリ土類金属の化合物等の導電率および透過率を考慮すると、0.2nm〜40nm程度であることが好ましい。
(e)有機EL層の形成方法
本発明における有機EL層の形成方法としては、公知の方法を用いることができるので、ここでの説明は省略する。
(6)その他の構成
本発明における有機EL基板は、上述した構成以外にも、必要な構成を適宜選択して追加することができる。このような構成としては、例えば、第1電極層がパターン状に形成された基板上に形成される絶縁層、基材上に形成されるTFT、基材上に形成される隔壁、有機EL層上に形成される保護層、有機EL層上に形成される補助電極等を挙げることができる。絶縁層、TFT、隔壁、保護層、補助電極等については一般的な有機EL素子に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
II.封止フィルム
次に、本発明における封止フィルムについて説明する。
封止フィルムはガスバリア性を有するものである。封止フィルムのガスバリア性としては、有機EL層を大気中の酸素および水蒸気等から保護することが可能な程度であれば特に限定されないが、酸素透過率が0.01cc/m/day以下であることが好ましく、水蒸気透過率が7×10−3g/m/day以下、中でも5×10−4g/m/day以下、特に5×10−6g/m/day以下であることが好ましい。本発明においては、封止フィルムの酸素透過率および水蒸気透過率を上記範囲内とすることにより、有機EL素子を劣化を抑制することができる。また、本発明においては、封止フィルムを上述したバリア層と併用して有機EL素子の封止を行うことから、従来、封止フィルムおよび接着層のみで封止を行う場合に比べて、酸素透過率および水蒸気透過率の高い安価な封止フィルムを用いることができる。
なお、有機EL素子の劣化を抑制する観点からは、上述した酸素透過率および水蒸気透過率はより小さいことが好ましい。
ここで、上記酸素透過率は、測定温度23℃、湿度90%Rhの条件下で、酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN 2/20:商品名)を用いて測定した値であり、上記水蒸気透過率は、測定温度37.8℃、湿度100%Rhの条件下で、超高感度水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、AQUATRAN:商品名)を用いて測定した値である。
また、水蒸気透過率が5×10−4g/m/day未満の値については、上記超高感度水蒸気透過率測定装置を用いて測定した値が、5×10−4g/m/day(測定限界)であり、かつ、Ca法にて見積もった値である。
ここで、Ca法とはガスバリア性を有するフィルムに金属Caを蒸着し、上記フィルムを透過した水分で金属Caが腐食される現象を利用する方法であり、腐食面積とそこに到達する時間から水蒸気透過率を算出する方法である。
本発明に用いられるCa法の一例について以下に説明する。
まず、以下の手順により水蒸気バリア性評価セルを作製する。フィルム試料として、後述するガスバリア性フィルムまたはフレキシブルデバイスフィルム用基板を準備する。フィルム試料のガスバリア層面または密着層面に、真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置JEE−400)を用いて金属カルシウム(粒状)を蒸着させて金属カルシウム層を形成する。その後、真空状態のままアルミニウム(φ3〜5mm、粒状)を金属カルシウム層を覆うように蒸着させてアルミニウム封止層を形成する。アルミニウム封止層の形成後、真空状態を解除し、速やかに乾燥窒素ガス雰囲気下で、厚さ0.2mmの石英ガラスと、フィルム試料のアルミニウム封止層側とを、封止用紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス製)を介して対面させ、紫外線を照射することで、上記封止用紫外線硬化性樹脂を硬化させることにより水蒸気バリア性評価セルを作製する。
次に、得られた水蒸気バリア性評価セルを恒温恒湿度オーブン(Yamato Humidic ChamberIG47M)を用いて60℃、90%RHの高温高湿下で保存し、特開2005−283561号公報に記載の方法に基づき、金属カルシウムの腐蝕量からセル内に透過した水分量を計算する。
なお、フィルム面以外からの水蒸気の透過が無いことについては、比較試料としてフィルム試料の代わりに、厚さ0.2mmの石英ガラス板を用いて金属カルシウムを蒸着した試料を、同様な60℃、90%RHの高温高湿下保存を行い、1000時間経過後でも金属カルシウム腐蝕が発生しないことにより確認することができる。
封止フィルムは透明性を有していてもよく有さなくてもよく、光の取り出し面に応じて適宜選択される。本発明の有機EL素子において第2電極層側から光を取り出す場合(トップエミッション型の場合)には、封止フィルムは透明性を有するものが用いられる。封止フィルムの透明性については、上述した基板の透明性と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
このような封止フィルムとしては、樹脂製フィルム基材と、ガスバリア層として樹脂製フィルム基材上に形成され、無機材料から構成される無機層および有機材料から構成される有機層が順不同に形成された積層体とを有するガスバリア性フィルムや、金属箔と、金属箔上に形成され、ポリイミドを含む平坦化層と、平坦化層上に形成され無機化合物を含む密着層とを有するフレキシブルデバイス用基板を挙げることができる。
上記ガスバリア性フィルムとしては、有機層がカルドポリマーを含有するものであることが好ましい。良好なガスバリア性を示すことが可能となるからである。
また、カルドポリマーとしては、フルオレン骨格を有するビスフェノール化合物とエピクロヒドリンとから誘導されるエポキシ樹脂を少なくとも含有するポリマーを好適に用いることができるが、これに限定されるものではない。
このようなガスバリア性フィルムについて詳しくは、特開2004−299230号公報に記載されているものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、ガスバリア性フィルムとしては、樹脂製フィルム基材、有機層、および無機層がこの順に積層されたものであり、有機層が水酸基を構造内に含まないアルキレンオキサイド変性フルオレンアクリレートを架橋してなる層であることも好ましい。良好なガスバリア性を示すことが可能となるからである。
また、有機層が水酸基を構造内に含まないアルキレンオキサイド変性フルオレンアクリレートとしては、下記一般式(1)で表わされる化合物を好適に用いることができるがこれに限定されるものではない。
Figure 2013251191
(上記一般式(1)において、n+nは1〜20の整数であり、R、Rは水素原子またはメチル基であり、R、Rはメチル基またはエチル基であり、R、Rは水素原子、メチル基またはエチル基である。)
有機層が水酸基を構造内に含まないアルキレンオキサイド変性フルオレンアクリレートを架橋してなる層を有するガスバリア性フィルムについて詳しくは、特開2011−201097号公報に記載されているものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、フレキシブルデバイス用基板について詳しくは、特開2011−97007号公報に記載されているものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
III.接着層
次に、本発明における接着層について説明する。
接着層は上記有機EL基板および上記封止フィルムの間に上記有機EL層を封止するように形成されるものである。
接着層は、有機EL基板、封止フィルムとともに有機EL層を封止することができれば特に限定されず、図2に例示するように接着層30が有機EL層13を囲むように形成され、有機EL基板10と封止フィルム20との間に空間を有するように形成されてもよく、図1に例示するように接着層30が、さらに有機EL層13、第2電極層14、およびバリア層15を覆うように有機EL基板10および封止フィルム20の間に形成されていてもよい。本発明においては、なかでも接着層が、さらに有機EL層、第2電極層、およびバリア層を覆うように有機EL基板および封止フィルムの間に形成されていることが好ましい。本発明の有機EL素子の耐衝撃性を良好なものとすることができ、また有機EL層側からの圧力による不具合を抑制することができる。また、有機EL層が形成されている領域における有機EL基板と封止フィルムとの間の距離を均一なものとすることができるため、本発明の有機EL素子がトップエミッション型である場合はその光学特性を良好なものとすることができる。
なお、図2に例示するように接着層30が有機EL層13を囲むように形成され、有機EL基板10と封止フィルム20との間に空間を有するように形成されている場合、上記空間には、通常、不活性ガスが封入される。また、図示はしないが、ボトムエミッション型の有機EL素子においては、上記空間内に後述する吸湿剤を配置させてもよい。
また、接着層はガスバリア性を有するものである。接着層のガスバリア性としては、有機EL層を大気中の酸素および水蒸気等のガスから保護することが可能な程度であれば特に限定されないが、酸素透過率が1cc/m/day以下、中でも0.1cc/m/day以下、特に0.01cc/m/day以下であることが好ましく、水蒸気透過率が9×10g/m/day以下、中でも5×10g/m/day以下、特に9×10g/m/day以下であることが好ましい。接着層の酸素透過率および水蒸気透過率を上記範囲内とすることにより、本発明の有機EL素子の大気中の劣化を好適に抑制することができる。
ここで、上記酸素透過率は、測定温度23℃、湿度90%Rhの条件下で、酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN 2/20:商品名)を用いて測定した値であり、上記水蒸気透過率は、測定温度40℃、湿度90%Rhの条件下で、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、PERMATRAN−W 3/31:商品名)を用いて測定した値である。
接着層は透明性を有していてもよく有さなくてもよく、光の取り出し面に応じて適宜選択される。本発明の有機EL素子において第2電極層側から光を取り出す場合(トップエミッション型の場合)には、接着層は透明性を有することが好ましい。
接着層の材料としては、接着剤であってもよく、粘着剤であってもよい。
接着剤層に用いられる接着剤としては、上述したガスバリア性を示す接着層を得ることができるものであれば特に限定されず、有機EL素子の封止に用いられる一般的な接着剤を使用することができるが、中でも、例えば熱硬化性接着剤を用いることが好ましい。光硬化性接着剤に比べて有機EL層へのダメージを少なくすることができるからである。また、熱硬化性接着剤としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリヒドロキシポリエーテル等、およびこれらの混合物等が挙げられる。本発明においては、なかでも、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂から構成される熱硬化性接着剤であることが好ましく、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、およびポリヒドロキシポリエーテルから構成される熱硬化性接着剤であることが好ましい。このような熱硬化性接着剤を用いることにより、接着層のガスバリア性をより良好なものとすることができるからである。
上記エポキシ樹脂としては、一分子中に2個以上、特に2個〜66個の範囲内のエポキシ基を有するものを好適に用いることができる。
また、上記フェノール樹脂としては、一分子中に2個以上の水酸基を有するものを好適に用いることができる。
また、ポリヒドロエポキシポリエーテルは重合平均分子量が40,000〜80,000の範囲内であるものを好適に用いることができる。
一方、接着層の材料が粘着剤である場合、粘着剤としては上述したガスバリア性を有するものであれば特に限定されないが、ポリイソブチレン樹脂および水添石油樹脂を含有する粘着剤であることが好ましい。
ポリイソブチレン樹脂はイソブテンの重合による長鎖状炭化水素によって構成された合成樹脂であり、水蒸気バリア性および粘着性が高いことを特徴とする。本発明においては、ポリイソブチレン樹脂の粘度平均分子量(Mv)が110,000〜500,000の範囲内、なかでも200,000〜500,000の範囲内、特に300,000〜500,000の範囲内であるものが好ましい。また、水蒸気バリア性をより高くするためには、上記範囲内においてもより高分子量のものを用いることが好ましい。なお、上記粘度平均分子量(Mv)はASTM D1601法によって測定したものである。
本発明に用いられる具体的なポリイソブチレン樹脂としては、オノパールB50SF(BASF社製)等が挙げられる。
水添石油樹脂は、粘着付与剤(タッキファイヤー)として用いられる石油樹脂に水素を添加したものである。石油樹脂はナフサを熱分解して、エチレン、プロピレン、ブタジエン等の有用な化合物を取り去った残りのC4留分〜C5留分(主としてC5留分)あるいはC5留分〜C9留分(主としてC9留分)を主原料として重合して得られた樹脂をいう。本発明においては、石油樹脂としてジシクロペンタジエンと芳香族ビニルポリマーとの共重合樹脂を好適に用いることができる。
本発明に用いられる具体的な石油樹脂としては、アイマーブP−100、アイマーブP125、アイマーブP−140(いずれも出光興産社製)等が挙げられる。
水添率としては、所望の粘着性を示すことができれば特に限定されないが、不飽和残基の量がJISK2605による臭素価で5g/100g未満であることが好ましい。
本発明に用いられる水添石油樹脂としては、その蒸気圧式絶対分子量測定法(VPO法)による数平均分子量(Mn)が660〜1000の範囲内のものが好ましい。また、水添石油樹脂としては、JISK2207における軟化点が100℃〜150℃の範囲内のものであることが好ましい。
ポリイソブチレン樹脂と水添石油樹脂との質量比としては70:30〜90:10の範囲内であることが好ましい。上記質量比を上記範囲内とすることにガスバリア性および剥離強度の両方を良好なものとすることができる。
上述した粘着剤は、ポリイソブチレン樹脂および水添石油樹脂の他に、有機粘土を添加してもよい。有機粘土としては、公知のものを用いることができる。例えば、四級アンモニウムを修飾させたモンモリロナイトや、四級アンモニウムを修飾させたスメクタイト等が挙げられるがこれらに限定されない。
また、本発明の有機EL素子がボトムエミッション型の有機EL素子である場合は、上述した接着層および粘着層に吸湿剤を添加してもよい。有機EL素子の劣化をより好適に抑制することが可能となる。吸湿剤としては、一般的な有機EL素子に用いられるものと同様とすることができ、例えば、酸化カルシウム等を挙げることができる。
接着層の厚みとしては、有機EL素子の封止を行うことが可能な程度であれば特に限定されないが、1μm〜100μmの範囲内、なかでも1μm〜50μmの範囲内、特に1μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。接着層の厚みが上記範囲に満たない場合は、接着層を均一な厚みに安定的に形成することが困難となる可能性があるからであり、接着層の厚みが上記範囲を超える場合は、有機EL素子の厚みが厚くなりすぎ、薄膜なものとすることが困難となる可能性があるからである。
接着剤または粘着剤(以下、接着剤等と称する場合がある。)の配置方法としては、有機EL基板上または封止フィルム上に接着剤等を配置することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、液状の接着剤等を塗布する方法、シート状の接着剤等を配置する方法が挙げられる。
液状の接着剤等の塗布方法としては、有機EL基板上または封止フィルム上の所望の位置に接着剤等を塗布することができれば特に限定されないが、有機EL基板上または封止フィルム上の全面に接着剤等を塗布することができる方法であることが好ましい。このような塗布法としては、例えば、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
接着剤等を配置する対象としては、封止フィルム上であってもよく、有機EL基板の有機EL層側表面上であってもよい。中でも、液状の接着剤を塗布する場合には、液状の接着剤による有機EL層等への影響を低減するために、封止フィルム上に液状の接着剤等を塗布することが好ましい。
IV.その他の構成
本発明の有機EL素子は上述した有機EL基板、封止フィルム、および接着層を有するものであれば特に限定されず、必要な構成を適宜選択して追加することができる。
V.有機EL素子
本発明の有機EL素子とは、上述した各構成を有するものであれば特に限定されないが、なかでも、図1に例示するように、バリア層15が有機EL層13および第2電極層14を覆うように形成されており、かつ、接着層30が、さらに、有機EL層13、第2電極層14、およびバリア層15を覆うように有機EL基板10および封止フィルム20の間に形成されているものであることが好ましい。
バリア層が有機EL層および第2電極層を覆うように形成されていることにより、酸素、水蒸気等による有機EL層の劣化をより効果的に抑制することができる。また、バリア層を簡便な工程で形成することができる。
また、接着層が、さらに、有機EL層、第2電極層、およびバリア層を覆うように有機EL基板および封止フィルムの間に形成されていることにより、本発明の有機EL素子の耐衝撃性を良好なものとすることができ、また有機EL素子側からの圧力による不具合を抑制することができる。また、有機EL層が形成されている領域における有機EL基板と封止フィルムとの間の距離を均一なものとすることができるため、本発明の有機EL素子がトップエミッション型である場合はその光学特性を良好なものとすることができる。
また、上記構成を有する有機EL素子は、バリア層および接着層が有機EL層を覆うように形成されていることから、封止フィルムとしてガスバリア性の小さい安価な材料を用いた場合も、有機EL層の劣化を抑制する効果を十分に発揮することができる。
本発明の有機EL素子としては、第2電極層、バリア層、封止フィルム、および接着層が透明性を有し、有機EL素子の有機EL層側を光取り出し面として用いるトップエミッション型の有機EL素子であってもよく、第1電極層、および基板が透明性を有し、有機EL素子の基板側を光取り出し面として用いるボトムエミッション型の有機EL素子であってもよいが、トップエミッション型の有機EL素子であることがより好ましい。本発明においては、バリア層を薄く形成することができることから、厚みにより着色しやすい窒化ケイ素等の材料を用いた場合も、良好な透明性を有するバリア層とすることができる。よって、バリア層の着色による発光特性の低下を抑制することが可能なトップエミッション型の有機EL素子を得ることができる。
本発明の有機EL素子の駆動方式は、パッシブマトリクス駆動であってもよく、アクティブマトリクス駆動であってもよい。
本発明の有機EL素子の用途としては、表示装置や照明等を挙げることができる。
VI.有機EL素子の製造方法
本発明の有機EL素子の製造方法としては、上記構成を有する有機EL素子を製造することができれば特に限定されず、一般的な有機EL素子の製造方法を適用することができる。
本発明の有機EL素子の製造方法の具体例を図を用いて説明する。図4は、本発明の有機EL素子の製造方法の一例を示す工程図である。
具体例としては、まず基板11を準備し、スパッタリング法等を用いて基板11上に第1電極層12を形成する(図4(a))。また、図示はしないが、第1電極層については必要に応じてエッチングしてパターン状に形成してもよい。次に、真空蒸着法等を用いて第1電極層11上に有機発光層13a等の有機EL層13を形成する(図4(b))。次に、真空蒸着法等を用いて有機EL層13上に第2電極層14を形成する(図4(c))。次に、CVD法等を用いて有機EL層13および第2電極層14を覆うようにバリア層15を形成する(図4(d))。上述した手順により有機EL基板10を形成する。
次に、封止フィルム20を準備し、封止フィルム20上の全面に粘着剤等を塗布して接着層30を形成する(図4(d))。
上述した有機EL基板10の有機EL層13側と封止フィルム20の接着層30側とを貼り合わせ、必要に応じて加圧処理を施すことにより、本発明の有機EL素子100を製造することができる(図4(e))。
上述した工程はいずれも、酸素および水分の量が調整された雰囲気下で行われる。
なお、上述した本発明の有機EL素子の製造方法は一例であり、これに限定されるものではない。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について、実施例および比較例を用いてさらに詳しく説明する。
[実施例1]
(粘着剤の調製)
まず、ポリイソブチレン樹脂(商品名:オパノールB50SF、粘度平均分子量(Mv)400,000、BASF社製)70質量部と、水添石油樹脂(商品名:アイマーブP−140、ジシクロペンタジエンと芳香族ビニルモノマーとの共重合樹脂、数平均分子量(Mn):900、出光興産社製)30質量部とを希釈溶剤(商品名:試薬特級トルエン、和光純薬工業社製)400質量部に溶解させて透明な塗工液を得た。
(封止フィルムの作製)
プラスチックフィルムとして、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績株式会社製、コスモシャインA−4300)の片面に、下記の組成に調製した紫外線硬化型樹脂組成物(紫外線硬化型有機層用インキ)をダイコートにて塗布し、120℃で2分間乾燥させた後、波長260nm〜400nmの範囲における積算光量300mJ/cmの条件で紫外線を照射し、厚さ5μmの有機層を形成した。
<紫外線硬化型有機層用インキAの組成>
・下記一般式(1)の化合物:R〜Rは水素原子、n+n=2(重合性化合物、新中村化学工業株式会社製、商品名:NKエステル A−BPEF) …19質量部
・ポリエステルアクリレート(重合性化合物、東亞合成株式会社製、商品名:M−8030) …19質量部
・トルエン …60質量部
・オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−[1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン](光重合開始剤、lamberti社製、商品名:ESACURE ONE)…2質量部
Figure 2013251191
無機層は、以下の手順で形成した。
上述した片面に有機層が形成されたプラスチックフィルムを有機層側に成膜する向きにして、ホローカソード型イオンプレーティング装置にセットした。そして、蒸発源材料である酸化珪素(高純度化学研究所製)を、ホローカソード型イオンプレーティング装置内の坩堝に投入した後、真空引きを行った。真空度が5×10−4Paまで到達した後、プラズマガンにアルゴンガスを15sccm導入し、電流110A、電圧90Vのプラズマを発電させた。チャンバー内を1×10−1Paに維持することと磁力によりプラズマを所定方向に曲げ、本発明に係る蒸発源材料に照射させた。坩堝内の蒸発源材料は溶融状態を経て昇華することが確認された。イオンプレーティングを15秒間行って基板に堆積させることにより、膜厚100nmの酸化珪素層(無機層)を形成した。
以上のようにして得られたガスバリア性フィルムの層構成は、ポリエチレンテレフタレート、紫外線硬化型有機層および無機層の順に積層された層構成である。
また、上記ガスバリア性フィルムの酸素透過率は0.006cc/m/day、水蒸気透過率は7×10−3g/m/dayであった。
(粘着層付封止フィルムの作製)
上述したガスバリア性フィルムの成膜面上にアプリケータ等により上述した粘着剤を全面塗工し、乾燥させることにより、粘着層(接着層)を形成した。以上の手順により、接着層付ガスバリア性フィルムを得た。
(有機EL基板の作製)
ガラス基板上にCrをスパッタリング法により厚み80nmで成膜し、続いてITOをスパッタリング法により厚み30nmで成膜した。
上記Cr膜およびITO膜の積層体をエッチングすることによりパターニングし、陽極(第1電極層)を得た。
次に、陽極上に、ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニル)ベンジジン(α−NPD)からなる厚み50nmの正孔注入輸送層、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq3)からなる厚み80nmの有機発光層兼電子輸送層、Mg:Ag(体積比1:9)からなる電子注入層10nmをそれぞれ抵抗加熱法により真空蒸着し、真空状態のまま、さらに、スパッタ法によりIZOを厚み150nmで成膜して、第1電極層上に有機EL層およびIZO膜から構成される陰極(第2電極層)を得た。
次に、上述したガラス基板を大気に曝露することなく、窒素雰囲気下に移動させ、プラズマCVD法を用いて陽極上の有機EL層および陰極を覆うように厚み200nmのSiN層を成膜した。これによりバリア層を得た。
以上の手順により有機EL基板を得た。
(有機EL素子の作製)
次に上述した有機EL基板を大気に曝露することなく、露点−80℃、酸素濃度1ppmに管理されたグローブボックス中に搬送し、上述した接着層付ガスバリア性フィルムの粘着層側と上記有機EL基板のバリア層側とを貼り合わせることにより封止した。
以上の手順により、有機EL素子を得た。
[実施例2]
封止フィルムとして以下のものを用いた点以外は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
(封止フィルムの作製)
実施例1におけるガスバリア性フィルムにおけるプラスチックフィルムの両面に、実施例1における紫外線硬化型有機層および無機層をこの順に形成してガスバリア性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムの層構成は、無機層、紫外線硬化型有機層、ポリエチレンテレフタレート、紫外線硬化型有機層および無機層の順に積層された層構成である。
また、上記ガスバリア性フィルムの酸素透過率は測定装置の検出下限(0.001cc/m/day)以下、水蒸気透過率は6×10−4g/m/dayであった。
[実施例3]
封止フィルムとして以下のものを用いた点以外は、実施例1と同様にして、有機EL素子を得た。
封止フィルムとして、以下のガスバリア性フィルムを準備した。
基材として、成膜面と反対側(裏面)に応力緩和層として100nmの膜厚の酸化窒化珪素を設けたシート状(30cm×21cm)の(メタ)アクリル系樹脂(含脂環式骨格ビス(メタ)アクリレート94質量部と含脂環式骨格モノ(メタ)アクリレート6質量部とからなる樹脂組成物)フィルム(線膨張係数60ppm、全光線透過率86%)をマグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内に配置した。ターゲットには窒化珪素を使用し、成膜条件として、成膜圧力を2.5×10−1Pa、アルゴンガス流量を20sccm、窒素ガス流量を9sccm、周波数を13.56MHz、電力を1.2kWとする条件で、酸化窒化珪素の膜厚が100nmになるまで成膜を行うことにより、ガスバリア層を形成した。
次に、(メタ)アクリル系樹脂フィルム基材の成膜面側(表面)をマグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内に準備した。ターゲットには窒化珪素を使用し、成膜条件として、成膜圧力を2.5×10-1Pa、アルゴンガス流量を20sccm、窒素ガス流量を9sccm、周波数を13.56MHz、電力を1.2kWとする条件で、酸化窒化珪素の膜厚が100nmになるまで成膜を行うことにより、ガスバリア層を形成した。
前記工程で形成された、成膜面側(表面)のガスバリア層上に、スピンコーティング法にて、カルドポリマーを主剤としたコーティング剤(V−259−EH:新日鐵化学社製)を1.0μmの膜厚で塗布し、120℃で2分間、引き続き160℃で60分間熱風乾燥し、平坦化層を形成した。
更に、平坦化層が形成された基材をマグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内に配置した。ターゲットには窒化珪素を使用し、成膜条件として、成膜圧力を2.5×10−1Pa、アルゴンガス流量を20sccm、窒素ガス流量を9sccm、周波数を13.56MHz、電力を1.2kWとする条件で、酸化窒化珪素の膜厚が100nmになるまで成膜を行うことにより、ガスバリア層を形成した。
以上の手順によりガスバリア性フィルムを得た。また、得られたガスバリア性フィルムの素透過率は測定装置の検出下限(0.001cc/m/day)以下、水蒸気透過率は5×10−4g/m/day(測定限界)であった。また、水蒸気透過率を上述したCa法で見積もったところ、5×10−6g/m/dayであった。
[実施例4]
接着層の材料として、以下の接着剤を用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
(接着剤の調製)
まず、ビスA型フェノール樹脂(品名:jER828 三菱化学社製)170質量部、脂肪族エポキシ樹脂(品名: YL7410 三菱化学社製)30質量部、ポリヒドロキシポリエーテル(品名:フェノキシ樹脂 YP−50 新日鐵化学社製)80質量部、ノボラックフェノール樹脂(品名:フェノライト TD−2131 DIC社製)110質量部、エポキシ硬化剤(品名:キュアゾールTBZ 四国化成)8質量部、メチルエチルケトン(試薬特級 和光純薬工業社製)300質量部、シランカップリング剤(品名:KBM403 信越化学社製)2質量部、レベリング剤(品名:メガファックF477 DIC社製)2質量部をディゾルバーにて十分に撹拌し溶解させることにより接着剤を得た。
[実施例5]
接着層の材料として、実施例4の接着剤を用いたこと以外は、実施例2と同様にして有機EL素子を得た。
[実施例6]
接着層の材料として、実施例4の接着剤を用いたこと以外は、実施例3と同様にして有機EL素子を得た。
[比較例1]
有機EL基板のバリア層を形成しないこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
[比較例2]
有機EL基板のバリア層を形成しないこと以外は、実施例2と同様にして有機EL素子を得た。
[比較例3]
有機EL基板のバリア層を形成しないこと以外は、実施例3と同様にして有機EL素子を得た。
[評価]
得られた有機EL素子を85℃、85%の恒温高湿装置へ投入し、顕微鏡にて発光状態を観察した。
実施例1〜6の有機EL素子においては、発光エリアの減少は観察されなかった。
一方、比較例1〜3の有機EL素子においては、接着層を介して浸入した水分の影響による発光エリアの減少が観察された。
10 … 有機EL基板
11 … 基板
12 … 第1電極層
13a … 発光層
13 … 有機EL層
14 … 第2電極層
15 … バリア層
20 … 封止フィルム
30 … 接着層
100 … 有機EL素子

Claims (3)

  1. 基板、前記基板上に形成された第1電極層、前記第1電極層上に形成され、少なくとも有機発光層を含む有機エレクトロルミネッセンス層、前記有機エレクトロルミネッセンス層上に形成された第2電極層、および前記有機エレクトロルミネッセンス層の端面を覆うように形成され、ケイ素化合物から構成されるバリア層を有する有機エレクトロルミネッセンス基板と、
    ガスバリア性を有する封止フィルムと、
    前記有機エレクトロルミネッセンス基板および前記封止フィルムの間に前記有機エレクトロルミネッセンス層を封止するように形成された接着層と、を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記バリア層が、前記有機エレクトロルミネッセンス層および前記第2電極層を覆うように形成されており、かつ、前記接着層が、さらに、前記有機エレクトロルミネッセンス層、前記第2電極層、および前記バリア層を覆うように前記有機エレクトロルミネッセンス基板および前記封止フィルムの間に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記有機エレクトロルミネッセンス素子が、前記第2電極層、前記バリア層、前記封止フィルム、および前記接着層が透明性を有し、前記有機エレクトロルミネッセンス層側を光取り出し面として用いるトップエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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