JP5415006B2 - Pcb汚染物処理方法 - Google Patents

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本発明は、PCB(ポリ塩化ビフェニル)汚染物を溶融分解しスラグを生成するPCB汚染物処理方法に関する。
前記PCBは、常温で液体の化学的に安定した不燃性の物質であり、高い電気絶縁性を有する点および沸点が高く熱分解しにくい点等からコンデンサなどの電気部品の絶縁油等に広く用いられていた。しかしながら、現在では、前記PCBが人体に悪影響をおよぼすとして、その製造および使用が禁止されており、前記電気部品等のPCBにより汚染されたPCB汚染物の無害化処理が進められている。
例えば、特許文献1には、前記PCB汚染物を分解せずより安全に処理できる方法として、前記PCB汚染物にプラズマを照射し当該PCB汚染物を溶融分解する方法が開示されている。この方法では、前記PCB汚染物を溶融分解炉に投入し、この溶融分解炉内にて前記PCB汚染物にプラズマを照射する。そして、PCBを無害化するとともに、PCB汚染物の溶融分解によりスラグを生成する。前記生成されたスラグは前記溶融分解炉から出滓されて、冷却・固化された後、破砕、粒度調整などの所定の工程を経て道路の路盤等に再利用される。
特開2005−262196号公報
前記PCBは前述のように絶縁油として広く用いられており、PCBを含む製品の種類すなわちPCB汚染物の組成は多岐にわたる。そのため、このPCB汚染物の溶融分解により生成されるスラグの性状が一定せず、安定したスラグの出滓が困難であるという問題がある。すなわち、スラグの塩基度、あるいは、スラグ中の特定成分の比率によって、スラグの流動性が適正な状態にならない場合がある。
本発明は、かかる事情に鑑み、前記PCB汚染物の溶融分解により生成されたスラグの性状を適正に保ち、安定したスラグの出滓を実現することのできるPCB分解処理方法の提供を目的とする。
前記課題を解決するための請求項1に係る発明は、PCB汚染物の溶融分解により当該PCB汚染物の無害化およびスラグの生成を行うためのPCB汚染物の処理方法であって、前記PCB汚染物をこのPCB汚染物の溶融分解により生成されるスラグの塩基度を調整するための塩基度調整剤とともに溶融分解炉に投入し、この溶融分解炉内で前記PCB汚染物にプラズマを照射することにより当該PCB汚染物を溶融分解するとともに当該溶融分解により生成されたスラグを前記溶融分解炉から出滓する溶融分解工程と、前記溶融分解炉内への前記PCB汚染物の投入の前に、このPCB汚染物とともに投入されるべき前記塩基度調整剤の量を決定する調整剤量決定工程とを含み、この調整剤量決定工程は、前記PCB汚染物の成分に基づき、当該PCB汚染物の溶融分解により生成されるスラグの組成を予測する予測工程と、その予測結果に基づき、前記スラグに含まれる成分のうち当該スラグの流動性に影響する特定の成分の重量比率を予め設定された目標範囲内に収めるように、前記塩基度調整剤の投入量を算定する算定工程とを含むことを特徴とするものである(請求項1)。
この方法によれば、塩基度調整剤を投入することによって、前記スラグの塩基度とスラグの特定の成分の重量比率との双方を調整することができ、より安定したスラグの出滓が可能となる。すなわち、本方法では、前記溶融分解炉内にPCB汚染物とともに塩基度調整剤を投入しており、スラグの塩基度を調整することができる。しかも、前記PCB汚染物の成分に基づきスラグの組成を予測し、この予測結果に基づいて、スラグの流動性に影響する前記特定の成分の重量比率を予め設定された目標範囲内に収めるように前記塩基度調整剤の投入量を算定しており、塩基度調整剤が前記PCB汚染物とともに前記溶融分解炉に投入されることを利用して、前記特定の成分の重量比率も調整することができる。そして、このようにスラグの塩基度とスラグの特定成分の重量比率とが適正な状態に調整されれば、スラグの流動性が良好になり、より安定したスラグの出滓を実現することができる。
ここで、前記調整剤量決定工程に含まれる算定工程は、前記スラグの流動性に影響する成分であるAlの重量比率を20%以下に収めるように前記塩基度調整剤の投入量を算定する工程を含むのが好ましい(請求項2)。
Alはスラグの粘性を高める特性を有しているので、このようにAlの重量比率を20%以下に抑えれば、スラグが、好ましい流動性を実現する粘性および溶融点を持つように調整することができ、スラグを出滓容易な状態に保つことが可能となる。
請求項1に係る発明では、具体的に、前記調整剤量決定工程に含まれる算定工程において、前記スラグの流動性に影響する成分であるFeをFeに換算して当該Feの重量比率を60%以下に収めるように前記塩基度調整剤の投入量を算定する
Feはスラグの粘性を低くする特性を有しているので、このようにFeの重量比率を60%以下に抑えれば、スラグの粘性が下がりすぎるのを抑制することができるとともに、スラグの溶融点を低い値に抑えることができ、スラグを出滓容易な状態に保つことが可能となる。
また、請求項1に係る発明では、前記溶融分解工程にて、前記塩基度調整剤として前記スラグの塩基度を低くする酸性物質と、前記スラグの塩基度を高くする塩基性物質とが前記溶融分解炉に投入され、前記調整剤量決定工程は、前記塩基度調整剤の投入量を算定する算定工程に加えて、前記酸性物質の投入量と前記塩基性物質の投入量との合計が前記算定工程にて算定された前記塩基度調整剤の投入量となる条件下で、前記スラグの塩基度を予め設定された目標範囲に収めるように、前記酸性物質の投入量と前記塩基性物質の投入量との比率を算定する工程を含む
このようにすれば、前記スラグの特定の成分の重量比率を適正な範囲に保つための塩基度調整剤の全投入量を確保しながら、その前投入量中の前記酸性物質の投入量と塩基性物質の投入量との比率を算定することにより、スラグの塩基度も適正な範囲内に収めることができる。
前記スラグの塩基度の目標範囲としては、0.67〜1.5といった範囲が挙げられる(請求項)。
また、前記酸性物質としては、例えば、SiOを主成分とする物質を、前記塩基性物質としては、例えばCaO、または、CaCOやCa(OH)といった溶融分解処理によってCaOに変化する物質の少なくとも一つを主成分とする物質が挙げられる(請求項4,5)。
以上説明したように、本発明によれば、前記PCB汚染物の溶融分解により生成されたスラグの性状を出滓に適した範囲に保つことのできるPCB汚染物処理方法を提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。
本発明に係るPCB汚染物処理方法では、図1に示すプラズマ溶融分解装置10を用いてPCB汚染物を溶融分解し、PCB汚染物を無害化するとともにこのPCB汚染物の溶融分解によってスラグを生成する。
前記プラズマ溶融分解装置10は、溶融分解炉12と、ドラム缶投入室14と、スラグ排出容器16とを有している。
前記ドラム缶投入室14は、PCB汚染物が充填されたドラム缶20を投入する部分である。このドラム缶投入室14は前記溶融分解炉12に連設されており、投入されたドラム缶20は前記溶融分解炉12に案内される。
前記溶融分解炉12は、前記PCB汚染物を溶融分解する部分である。この溶融分解炉12の天井部には、プラズマトーチ18が取り付けられている。このプラズマトーチ18は、プラズマを発生させるためのものであり、トーチ本体の中に陽極と陰極とを備えている。このプラズマトーチ18は、前記陽極と陰極との間のガスに通電することで非常に高い温度(15000℃以上)のガスを発生させる。そして、この溶融分解炉12では、前記発生したプラズマを前記ドラム缶20に照射することで、PCB汚染物をドラム缶20ごと溶融しPCBを原子レベルにまで分解する。本方法では、このようにドラム缶20ごと溶融分解することで、PCB汚染物を破砕、分別することなく安全に処理が行われるとともに、汚染された容器も同時に処理される。
また、前記溶融分解炉12では、前記PCB汚染物の溶融分解時に不燃物を溶融することでスラグを生成する。生成したスラグは前記溶融分解炉12の底部に溜まりスラグ浴40を形成する。前記溶融分解炉12内は、前記プラズマの照射により1400℃以上に維持されており、前記スラグ浴40は、これと同等の高温に維持されている。従って、前記ドラム缶20内のPCB汚染物は、このスラグ浴40に浸ることによっても溶融分解される。
前記溶融分解炉12の底部に貯留したスラグは、適宜、外部に排出され、再利用されるべく所定の処理施設に搬送される。具体的には、前記溶融分解炉12の底部付近にスラグ排出口12aが設けられており、前記スラグは、前記溶融分解炉12が傾動することにより、前記スラグ排出口12aから前記スラグ排出容器16に出滓される。そして、スラグ排出容器16に出滓されたスラグ30は、順次、後段の冷却、破砕などの工程に搬送されていく。
ここで、本実施形態では、スラグを安定してスムーズに出滓すべく、次のような調整を行うことで、スラグの粘性を適正に保ちつつスラグの溶融点を低下させる。すなわち、PCB汚染物とともに塩基度調整剤であるSiO(酸性物質)およびCaO(塩基性物質)を前記溶融分解炉12に投入し、(1)スラグ中のAlの重量比率を所定の目標値以下に抑え、(2)スラグ中のFeの重量比率を所定の目標値以下に抑え、(3)スラグの塩基度を所定の目標値に維持する。ここで、前記塩基度調整剤としてはスラグの塩基度を調整可能な物質であれば特に限定されないが、前述のように、SiO等の酸性酸化物とCaO等の塩基性酸化物が好ましい。また、前記スラグの塩基度は、最も簡単には、スラグに含まれるCaOとSiOの比率CaO/SiOで表すことができ、本実施形態では、前記スラグの塩基度としてこの比率を用いる。
まず、前記(3)のスラグの塩基度の目標値について、スラグの塩基度とスラグの溶融点との関係を示す図2のCaO−SiO−Alの3元系状態図を用いて説明する。ここで、スラグの塩基度は、前述のように、スラグに含まれるCaOとSiOの比率CaO/SiOで表すことができる。そのため、図2における左側の斜辺は塩基度を表していることになる。
この図2において、斜線で示した領域は溶融点が1500℃以下となる領域である。従って、スラグの組成をこの斜線で示された領域の組成にすることで、スラグの溶融点を低く抑えることができる。しかしながら、塩基度をラインL1の0.67以下にし、スラグの組成を領域Aの組成とすると、スラグの粘性が高くなってしまい、スラグの排出が困難となることがわかった。一方、領域Cでは、組成の変化に対して溶融点の変化割合が大きい。そのため、塩基度をラインL2の1.5以上にし、スラグの組成を領域Cの組成にすると、スラグの溶融点が安定しにくいことがわかった。すなわち、スラグの塩基度としては0.67〜1.5の間に収めるのが好ましいことがわかった。そこで、本実施形態では、スラグの塩基度を1.0に維持するようにし、スラグの粘性および溶融点を適正範囲に収めるようにする。
次に、前記(2)のスラグ中のAlの重量比率の目標値について、図3を用いて説明する。この図3は、スラグの塩基度を1.0に保ちつつ、SiOとCaOの投入量を変化させることでスラグ中のAl重量比率を変化させた場合のスラグの溶融点、溶流点、軟化点の変化を示している。この図における各値は、AlとFeとをほぼ同質量含む回路素子を前記溶融分解炉12にて溶融分解した際の計測結果である。この図において、L11は溶融点の変化を、L12は溶流点の変化を、L13は軟化点の変化を示している。この図3に示すように、SiOとCaOの投入量を増やしAlの重量比率を低下させていくとスラグの溶融点、溶流点および軟化点は低下していく。例えば、Alの重量比率を20%とするとスラグの溶融点は1300℃まで低下する。ここで、前述のように、溶融分解炉12内は約1400℃に保たれており、スラグの固着をより確実に抑制するためにはスラグの溶融点を前記1400℃以下に維持するのが好ましい。そこで、本実施形態では、Alの重量比率の目標範囲を20%以下とし、スラグの溶融点を1300℃付近にまで低下させスラグのスムーズな出滓を実現する。しかも、このようにAlの重量比率を20%にまで低下させると、スラグ中のAlの含有率が小さくなることでAlによるスラグの粘性の上昇が抑制されるので、スラグを容易に出滓することが可能となる。
次に、前記(3)のスラグ中のFeの重量比率の目標値について、図4を用いて説明する。この図4は、スラグの塩基度を1.0とし、SiOとCaOの投入量を変化させることでスラグ中のFeの重量比率を変化させた場合のスラグの溶融点、溶流点、軟化点の変化を示したものである。この図の各値は、主にFeからなる安定器を前記溶融分解炉12にて溶融分解した際の計測結果である。この図において、L21は溶融点の変化を、L22は溶流点の変化を、L23は軟化点の変化を示している。この図からわかるように、Feについては、Feの重量比率を60%以下に抑えることでスラグの溶融点を1300℃以下に抑えることができる。そこで、本実施形態では、Feの重量比率の目標範囲を60%以下とし、スラグの溶融点を低く維持してスラグの固着を抑制するとともに、Feによりスラグの粘性が下がりすぎるのを抑制する。
次に、前記各調整を行いつつ、前記プラズマ溶融分解装置10を用いてPCB汚染物を溶融分解する手順について、図5のフローチャートを用いて説明する。
まず、前記溶融分解炉12に投入されるPCB汚染物の成分を分析する(ステップS2)。この成分分析は、各PCB汚染物に対してそれぞれ実施してもよいが、予めPCB汚染物の種類毎に実施しておき、その分析結果とドラム缶20に充填されるPCB汚染物の種類とに基づいてドラム缶20内のPCB汚染物の成分を特定するようにしてもよい。
次に、前記特定されたPCB汚染物の成分に基づいて、このPCB汚染物が前記溶融分解炉12で溶融分解されることにより生成するスラグの組成およびスラグの全重量W_totalを予測する(ステップS4)。そして、PCB汚染物のAlの含有量に基づいてスラグ中のAlの重量を予測し、前記PCB汚染物のFe含有量に基づいてスラグ中のFeをFeに換算し、このFeの重量を予測する(予測工程)。
具体的には、前記成分分析から前記溶融分解炉12に投入されるPCB汚染物に対して、Alが約W_Al[kg]、Feが約W_Fe[kg]含まれているとの分析結果が得られたとすると、これらの値に基づいて、前記予測工程にて、スラグ中のAlの重量W_Al[kg]を、Alの原子量を102、Alの原子量を27として、W_Al=W_Al×102/(2×27)[kg]と予測する。同様に、Feの原子量を159.6、Feの原子量を55.8として、スラグ中のFeの重量W_Fe[kg]をW_Fe=W_Fe×159.6/(2×55.8)[kg]と予測する。
次に、スラグ中のAlの重量比率が20%以下となるように、かつ、スラグ中のFeの重量比率が60%以下となるように、前記SiOとCaOの合計投入量を算定する(ステップS6、算定工程)。すなわち、PCB汚染物の生成されるスラグの全重量とSiOとCaOの投入量との和に対するAlの重量比率が20%以下となるように、SiOとCaOの合計投入量W1_adj[kg]の範囲を、W_Al/(W_total+W1_adj)≦0.2から算定する。同様に、前記和に対するFeの重量比率が60%以下となるように、SiOとCaOの合計投入量W2_adj[kg]の範囲を、W_Fe/(W_total+W2_adj)≦0.6から算定する。そして、前記W1_adjとW2_adjのうち大きい方の値を最終的なSiOとCaOの投入量W_adjとして決定する。
その後、前記予測されたスラグの組成に基づいて、スラグの塩基度が1.0となるように、すなわち、スラグ中のSiOの質量とCaOの質量とが等しくなるように、SiOの投入量とCaOの投入量の比率を算定する(ステップS8)。そして、前記SiOとCaOの全体の投入量W_adjと、前記SiOの投入量とCaOの投入量の比率から、前記SiOとCaOの各投入量を算定する(ステップS10)。
例として、回路素子7kgを2kgのドラム缶20に入れて本プラズマ溶融分解装置10にて溶融分解する場合におけるSiOとCaOの各投入量の算定手順を説明する。前記回路素子7kg中には1.9kgのAlが含まれていると分析されたとする。また、前記ドラム缶20は、2kgのFeで作られているものとすると、この回路素子が収容されたドラム缶20の溶融分解により、Alは1.9kg×(102/54)=3.6kg生成され、Feは2kg×(159.6/11.6)=2.9kg生成される。簡単のため、ここでは、他のスラグは生成されないものとすると、生成されたスラグの全重量W_totalは、W_Al+W_Fe=3.6+2.9=6.5kgとなる。
これに対して、Alの重量比率が20%以下となる塩基度調整剤の合計投入量W1_adjは、W_Al/(W_total+W1_adj)≦0.2からW1_adj≧11.5kgと算定される。一方、Feの重量比率が60%以下となる塩基度調整剤の合計投入量W2_adjは、W_Fe/(W_total+W2_adj)≦0.6からW2_adj≧0kgと算定される。従って、最終的な塩基度調整剤の投入量W_adjは11.5kgと決定される。
最後に、前記塩基度調整剤を、SiOおよびCaOとすると、両者の比率CaO/SiO=1を満足すべく、SiOの投入量は5.75kgと算定され、CaOの投入量は5.75kgと算定される。ここで、CaO/SiO=1としたのは一例であり、CaO/SiOが0.67〜1.5の範囲であれば、本発明の期待する効果を得られることは言うまでもない。
以上のようにして、SiOの投入量とCaOの投入量とを算定した後は、SiOとCaOを前記算定された各量だけ所定の容器に充填する。もちろん、このSiOとCaOとは、前記ドラム缶20に前記PCB汚染物とともに充填されてもよい。そして、このSiOとCaOとが充填された容器と前記PCB汚染物が充填されたドラム缶20と、前記ドラム缶投入室14から溶融分解炉12に投入する(ステップS12)。このドラム缶20等が溶融分解炉12に投入されたことが確認されれば、前記プラズマトーチ18を作動させプラズマを前記ドラム缶20に照射して、前記PCB汚染物を溶融分解しスラグを生成する(ステップS14)。このとき、前述のように、溶融分解炉12の底部に貯留したスラグ浴40の熱によってもPCB汚染物は溶融分解される。
このようにして、ステップS2からステップS14を繰り返し、PCB汚染物を順次溶融分解し、PCBを無害化するとともにスラグを生成していく。ここで、本実施形態では、前記溶融分解により生成したスラグを前記溶融分解炉12の底部に貯留して前記スラグ浴40を形成していき、この貯留量が所定値以上になった時点で、前記溶融分解炉12を傾動し、前記スラグ排出口12aからスラグを出滓する(ステップS16)(溶融分解工程)。
このとき、前記スラグは、Alの重量比率が20%以下に維持され、かつ、Feの重量比率がFe換算で60以下に維持されており、スラグの溶融点は1300℃以下に保たれている。また、前記スラグは、Alの重量比率が20%以下に抑えられるとともに、その塩基度が1.0に維持されており、粘性が適正な範囲に調整されている。従って、前記スラグは、前記スラグ排出口12aからスムーズに出滓される。
そして、再び他のPCB汚染物を処理すべくステップS2からステップS16が実施されることになるが、異なる成分のPCB汚染物が前記溶融分解炉12で溶融分解されたとしても、その成分に応じてスラグ中のAlの重量およびFeの重量が予測され、このAlの重量比率が20%以下になるよう、Feの重量比率がFe換算で60%以下になるよう、かつ、スラグの塩基度が1.0になるよう、SiOとCaOとが投入されるので、スラグの溶融点および粘性は安定して前記のような適正な状態に保たれる。
このように、本PCB処理方法では、PCB汚染物の成分が変化してもスラグの塩基度とスラグ中のAlおよびFeの重量比率が所定の範囲に収められるので、スラグの溶融点および粘性が適正な状態に保たれ、安定したスラグの出滓が可能となる。
前記スラグ排出口12aから出滓されたスラグは、前記スラグ排出容器16に流下し冷却されるとともに他の処理設備に搬送される。
ここで、スラグ中のAlとFeとのうち後者の重量比率のみを所定の目標範囲に収めるようにしてもよいPCBは、コンデンサなどの電気部品の絶縁油として広く用いられており、PCB汚染物としては、回路素子や安定器といった電気製品であってAlやFeを多く含むものが多い。そして、Alはスラグの粘性を上げる一方Feはスラグの粘性を下げるという特性を有している。そのため、前記溶融分解炉12に投入されるPCB汚染物の種類に応じて溶融分解炉12内のAlとFeの含有量がことでスラグの流動性は大きくばらついてしてしまう。従って、AlとFeの重量比率を調整すれば、スラグをより確実に、安定してスムーズに出滓することが可能となる。
また、前記Alの重量比率目標範囲およびスラグの塩基度の目標値は前記に限らない。ただし、前述のようにAlの重量比率を20%以下に抑え、Feの重量比率を60%以下に抑えれば、スラグの溶融点を十分に低下させることができるとともにスラグの粘性を適正な範囲に収めることができる。また、スラグの塩基度を0.67〜1.5の範囲とすれば、スラグの粘性および溶融点をより確実に適正な範囲に収めることができる。
また、スラグの塩基度を調整するための塩基度調整剤の具体的な種類は前記に限らない。すなわち、前記実施形態では、塩基度調整剤の酸性物質としてSiOを例示し、塩基度調整剤の塩基性物質としてCaOを例示したが、これら以外の酸性物質および塩基性物質を使用することは可能である。例えば、CaOの代わりにCaCO、Ca(OH)を用いてもよい。ただし、その際には、前記ステップS8において、CaCOあるいはCa(OH)が、CaOに変化したときの重量の減少量を勘案し、スラグ中のCaO/SiO=0.67〜1.5の範囲となるように、CaCOやCa(OH)の投入量を決定すればよい。また、塩基性物質として、NaOやNaCOを使用してもよい。
また、前記PCB汚染物を処理するためのプラズマ溶融分解装置10の具体的な構成は前記に限らない。すなわち、前記実施形態では、処理対象物であるPCB汚染物をドラム缶に封入して処理する場合を例示したが、これに限らず、処理対象物のみをプッシャ・二重ダンパ等の供給機で前記溶融分解炉12に直接投入してもよい。また、前記実施形態では、SiO等の塩基度調整剤を所定の容器に充填した場合を例示したが、これに限らず、塩基度調整剤専用の供給機を用いて、塩基度調整剤を前記溶融分解炉12に直接投入してもよい。
本発明の実施形態に係るPCB汚染物処理方法を適用するプラズマ溶融分解装置の概略図である。 スラグの塩基度と溶融点との関係を説明するための、3元系状態図である。 Alの重量比率と溶融点等との関係を説明するための図である。 Feの重量比率と溶融点等との関係を説明するための図である。 本発明の実施形態に係るPCB汚染物処理方法の処理手順を示すフローチャートである。
符号の説明
10 プラズマ溶融分解装置
12 溶融分解炉
12a スラグ排出口
14 ドラム缶投入室
16 スラグ排出容器
18 プラズマトーチ
20 ドラム缶
40 スラグ浴

Claims (5)

  1. PCB汚染物の溶融分解により当該PCB汚染物の無害化およびスラグの生成を行うためのPCB汚染物の処理方法であって、
    前記PCB汚染物をこのPCB汚染物の溶融分解により生成されるスラグの塩基度を調整するための塩基度調整剤であって前記スラグの塩基度を低くする酸性物質と前記スラグの塩基度を高くする塩基性物質とを含む塩基度調整剤とともに溶融分解炉に投入し、この溶融分解炉内で前記PCB汚染物にプラズマを照射することにより当該PCB汚染物を溶融分解するとともに当該溶融分解により生成されたスラグを前記溶融分解炉から出滓する溶融分解工程と、
    前記溶融分解炉内への前記PCB汚染物の投入の前に、このPCB汚染物とともに投入されるべき前記塩基度調整剤の量を決定する調整剤量決定工程とを含み、
    この調整剤量決定工程は、前記PCB汚染物の成分に基づき、当該PCB汚染物の溶融分解により生成されるスラグの組成を予測する予測工程と、その予測結果に基づき、前記スラグに含まれる成分のうち当該スラグの流動性に影響する特定の成分であるFeをFe に換算して当該Fe の重量比率を60%以下に収めるように、前記塩基度調整剤の投入量を算定する算定工程と、前記酸性物質の投入量と前記塩基性物質の投入量との合計が前記算定工程にて算定された前記塩基度調整剤の投入量となる条件下で、前記スラグの塩基度を予め設定された目標範囲に収めるように、前記酸性物質の投入量と前記塩基性物質の投入量との比率を算定する工程と、を含むことを特徴とするPCB汚染物処理方法。
  2. 請求項1に記載のPCB汚染物処理方法において、
    前記調整剤量決定工程に含まれる算定工程は、前記スラグの流動性に影響する成分であるAlの重量比率を20%以下に収めるように前記塩基度調整剤の投入量を算定する工程を含むことを特徴とするPCB汚染物処理方法。
  3. 請求項1または2に記載のPCB汚染物処理方法において、
    前記調整剤量決定工程にて、前記酸性物質の投入量と前記塩基性物質の投入量とが、前記スラグの塩基度が0.67〜1.5となるようにそれぞれ算定されることを特徴とするPCB汚染物処理方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のPCB汚染物処理方法において、
    前記酸性物質が、SiOを主成分とする物質であることを特徴とするPCB汚染物処理方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のPCB汚染物処理方法において、
    前記塩基性物質が、CaOまたは溶融分解処理によってCaOに変化する物質の少なくとも一つを主成分とする物質であることを特徴とするPCB汚染物処理方法。
JP2008081030A 2008-03-26 2008-03-26 Pcb汚染物処理方法 Active JP5415006B2 (ja)

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