JP5414015B2 - 多孔質炭素膜およびその製造方法 - Google Patents

多孔質炭素膜およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、その表面にメソ孔が規則的に配列した細孔構造を持ち、電極材料、分離膜、ガス吸着貯蔵材料、揮発性有機蒸気(VOCガス)の吸着分離剤などとして有用な新規な多孔質炭素膜およびその製造方法に関する。
特許文献1〜3に記載されているように、フェノール樹脂を、鋳型剤を用いずに、不活性雰囲気下で様々な条件下で、炭化することによりミクロ孔領域(2nm以下)やメソ孔領域(2〜50nm)に細孔径を持つ多孔質材料の検討は広くなされているが、これらの多孔質炭素材料は本質的に規則的な細孔構造を持たないものであった。
一方、規則的に配列した細孔を持つ多孔質炭素材料も幾つかは検討されている。その一つとして、シリカなどの多孔質材料を鋳型剤として用い、その周りに炭素材料を形成した後シリカを除去することにより多孔質炭素材料を得る方法が知られている(特許文献4)。
しかし、この方法では、ミクロ孔領域の多孔質炭素材料は得られるものの、メソ孔領域のものは合成することができず、また、高価な多孔質鋳型剤を用いなければならず、また、最終的にはかかる鋳型剤の除去プロセスが必要であるため、その合成プロセスが複雑となるといった難点があった。
また、界面活性剤を鋳型剤として用い、メソ孔領域に規則的な細孔配列を有する多孔質炭素材料も報告されている(特許文献5)。
しかし、この特許文献で実質的に開示されているのは、界面活性剤と熱硬化樹脂前駆体の混合物を基板上に塗布した膜を焼成することにより得られたものであって、その構造は、当該特許文献の写真や図面などから明らかなように、六方構造配置を採る多孔質炭素材料であった。
そして、このような六方構造配置は、図1bに示されるように、直管型細孔が基板の表面に対して平行な方向にのみ配列し、開口部は炭素膜の断面にのみ存在し、基板の最上端面の表面に開いた細孔を持たない。このような材料は、細孔内に目的物質を取り込むことで吸着や反応行程を行うが、最上端面に細孔を持たないため、細孔内に目的物質が取り込まれる吸着速度が著しく遅く、ガス吸着貯蔵材料、揮発性有機蒸気(VOCガス)の吸着分離剤等として実用的な吸脱着性能を有するものではなかった。また細孔内に金属微粒子触媒を担持したとしても、細孔構造内部にある金属微粒子に対して、反応物質が細孔内に進入し、触媒に接触することが困難であるといった数多くの問題点があるものであった。
そのため、気相中の目的分子に限らず、分子移動速度が一般的に遅い液相中の目的分子に対しても細孔内へ迅速に取り込むことができる吸着剤や触媒担体などとして利用可能な、基板と平行な膜の最上端面にもメソ孔が開口部をもって規則的に配列された多孔質炭素膜の開発が強く求められているが、未だ、そのような多孔質膜が得られていないのが実情である。
特開平05-319813号公報 特開平05-345130号公報 特開2004-315283号公報 特開2006-335596号公報 特開2005-314223号公報
本発明は、基板と平行に設けられた膜であって、当該膜の少なくとも最上端表面にメソ孔が開口部をもって規則的に配列された特有な細孔構造をもち、電極材料、分離膜、ガス吸着貯蔵材料、揮発性有機蒸気(VOCガス)の吸着分離剤等として有用な、新規な多孔質炭素膜およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記新規な多孔質炭素膜の開発に向けて鋭意検討した結果、界面活性剤とフェノール類などの熱硬化性樹脂前駆体との混合物を基材表面に塗布することで液膜を形成し、これにホルムアルデヒドなどの架橋剤を気相で供給すると、液膜中にホルムアルデヒドが効率よく浸透し、架橋反応が促進され特有な構造配置を持つ熱硬化性樹脂硬化膜が形成され、これを硬化・焼結すると、当該膜の少なくとも最上端表面にメソ孔が開口部をもって規則的に配列された、新規な多孔質炭素膜が得られることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、この出願は、以下の発明を提供するものである。
〈1〉基板と平行に設けられた膜であって、当該膜の最上端表面に開口部をもつ立方構造配置のメソ孔を有することを特徴とする多孔質炭素膜。
〉基板が多孔質基板であることを特徴とする〈1〉記載の多孔質炭素膜。
〉多孔質基板の細孔内部に膜が形成されていることを特徴とする〈〉に記載の多孔質炭素膜。
〉基板上に設けた熱硬化性樹脂前駆体と界面活性剤とから形成される構造規則性を有する液状構造物に、気相状態の架橋剤を接触させて、硬化反応を行い、ついで得られる硬化体を炭素化することを特徴とする〈1〉から〈〉のいずれかに記載の多孔質炭素膜の製造方法。
〉熱硬化性樹脂前駆体がフェノール類であり、架橋剤がアルデヒド類であることを特徴とする〈〉に記載の多孔質炭素膜の製造方法。
(1)本発明の多孔質炭素膜は、基板と平行に設けられた膜であって、当該膜の少なくとも最上端表面にメソ孔が開口部をもって規則的に配列された構造を有することから、気相中の目的物質に限らず、液相中の目的物質も高い吸着速度を保ったまま、最上端表面にある開口部を通して細孔内に取り込むことができる特性を持つ。したがって、このような特性を利用することにより、電極材料やガス吸着貯蔵材料、触媒担体、吸着分離材、センサーなど様々な用途に使用することができる。
(2)本発明の製造方法は、界面活性剤と樹脂前駆体であるフェノール類の混合物を基材表面に塗布することで液体構造体を形成し、これにホルムアルデヒドなどの架橋剤を気相で接触させて架橋反応を行う構成としたことから、液膜中にホルムアルデヒドが効率よく浸透し、所望の構造配置を与える熱硬化性樹脂膜を得ることができ、また、界面活性剤とフェノール樹脂の溶解度に制限されることなく、幅広い濃度範囲で、従来法では調製することが不可能であった原料組成で反応を進行させることが可能となった結果、最表面に開いた三次元的立方構造配置のメソ孔を持つ炭素膜を製造することができる。
(3)また、本手法では、フェノール類が未反応の(ホルムアルデヒド類を含まない)状態で界面活性剤と混合して使用されるため、塗布前にフェノール類とホルムアルデヒド類の反応を開始させる前記特許文献5に記載の方法に比較して塗布溶液の粘度を低く調整できるため、平膜に限らず様々な形状の基材に対しても、規則性炭素膜の合成が可能となり、例えば、曲率の高い基材やガラスフィルター、セラミックスフィルターの内表面(細孔内部)にも炭素膜を形成することができる。
(4)このため、より高機能なVOC(揮発性有機蒸気)回収用の分離膜や、バイオエタノールの濃縮に用いられる新規なパーベーポレーション膜としても利用可能な多孔質基板の細孔表面を均一な厚さの炭素膜で被覆したコンポジット材料が容易に得られるといった多くの利点を有する。
本発明の基板と平行に設けられた多孔質炭素膜は、当該膜の少なくとも最上端表面にメソ孔が開口部をもって規則的に配列されていることを特徴としている。
本発明の多孔質炭素膜の模式構造を図1aに示す。本発明の多孔質炭素膜は少なくともこの最上端の表面にメソ孔が開口部をもって規則的に配列されている。ここでメソ孔とは細孔径が2〜50nmのものをいう。
このメソ孔の細孔径は電子顕微鏡や原子間力顕微鏡などに測定される。なお、後記の実施例5のような多孔質内部に設けられた多孔質炭素膜のメソ孔の細孔径は、たとえば蒸気とヘリウムの混合ガスを、含まれる蒸気の濃度を変えて膜に供給した際のヘリウムガスの膜透過流束の測定膜透過流束測定装置によって求められる測定される。
また、メソ孔の規則性とは、鋳型剤となる界面活性剤の自己組織化による構造を鋳型として、メソ孔が周期性(特定方向に、ある一定の間隔)をもって形成されていることを意味し、この規則性は、たとえば、前述の電子顕微鏡や原子間力顕微鏡で観察する以外にX線回折装置によって測定・確認することができる。
最上端の表面に開口されるメソ孔の数や密度は特に制約されないが、通常 細孔の開口部同士の距離が1nm〜50nm、好ましくは5nm〜15nmである。
本発明の多孔質炭素膜は、前記したように、少なくとも基板と平行な膜の最表面にメソ孔が開口部をもって規則的に配列されていることを特徴としているが、その内部に周期的に配列し、3次元的に繋がったメソ孔が形成されているものが好ましい。もっとも好ましいものは、図1aに示されるキュービック構造(三次元立方配置構造)のものである。
このようなキュービック構造の多孔質炭素膜は、最上端の表面に開口部をもち、炭素膜のメソ孔は、3次元的に繋がった構造持つ特性を利用して、電極材料や触媒担体、吸着分離材、センサーなどなどの材料として好適に使用することができる。
本発明の多孔質炭素膜の膜厚は、特に制約されないが、10nm〜10μmで、好ましくは、10nm〜500nmである。
基板は、特に制約されず、従来公知のものが全て使用できるが、所望の炭化温度で熱的に安定な材料であることが望ましい。このような基板材料としては、シリコンウェハー、金属、セラミックス、セラミックスフィルター、石英等が挙げられる。また、基板は無孔体でも多孔質アルミナのような多孔体でもよい。多孔体の場合には、その細孔内部にも多孔質炭素膜を形成することができる。また、基板の形状は限定されず、平板状でも曲率をもったものでもよい。殊に本発明においては、例えば、曲率の高い基材やガラスフィルター、セラミックスフィルターの内表面(細孔内部)にも炭素膜を形成することができる。なお、基板は、予め、アンモニア水と過酸化水素水の混合物などの洗浄剤で加熱洗浄し、その表面を洗浄しておくことが好ましい。
本発明の多孔質炭素膜は、基板上に設けた熱硬化性樹脂前駆体と界面活性剤とから形成される構造規則性を有する液状構造物に、気相状態の架橋剤を接触(供給・浸透)させて、硬化反応させ、ついでその硬化体を炭素化することによって得ることができる。
ここで、基板上に設けた熱硬化性樹脂前駆体と界面活性剤とから形成される構造規則性を有する液状構造物とは、図2の上段中央に示されるように、当該樹脂前駆体に界面活性剤ミセルが内包された液膜を意味する。
本発明の製造方法において特徴的なことは、基板上に、熱硬化性樹脂前駆体と界面活性剤とから形成される構造規則性を有する液状構造物(塗膜)をあらかじめ形成しておき、これに気相状態の架橋剤を接触(供給・浸透)させた点である。
前記した特許文献5に記載の方法では、界面活性剤と熱硬化性樹脂前駆体および架橋剤との3者混合物を同時に基板に塗布することから、界面活性剤の濃度が制限されるため、六方構造配置となってしまい、本発明のような3次元立方構造配置を採ることができない。
これに対して、本発明方法では、界面活性剤と熱硬化性樹脂前駆体との混合物を基材表面に塗布することで液状構造物(液膜)を形成させた後、架橋剤を気相で接触させる手法を採用したことから、液膜中に架橋剤が効率よく浸透し、所望の構造配置を与える熱硬化性樹脂膜を形成することが可能となる。また、本手法では、界面活性剤と樹脂前駆体の溶解度に制限されること無く、幅広い濃度範囲で合成することができるため、従来法では調製することが不可能であった原料組成で反応を進行させることが可能となった結果、最表面に開いた三次元的立方構造配置のメソ孔を持つ炭素膜を製造することができる。
また、本手法では、樹脂前駆体が架橋剤の非在下で界面活性剤と混合されるため、塗布前にフェノール類とホルムアルデヒド類の反応を開始させる特許文献5に比較して塗布溶液の粘度が低く、平膜に限らず様々な形状の基材に対しても、規則性炭素膜を合成することが出来る。例えば、曲率の高い基材やガラスフィルター、セラミックスフィルターの内表面(細孔内部)にも炭素膜を形成することが可能となる。
本発明で用いられる熱硬化性樹脂前駆体としては、その樹脂が不活性条件下で熱的に安定であり、界面活性剤と混合することで規則的な配列を持つものであればよく、この中でもフェノール類が好ましく用いられる。フェノール類としては、フェノール、レゾルシノール、フロログルシノール、カテコール、クレゾール等が挙げられる。
また、界面活性剤としては、熱硬化性樹脂前駆体と混合することによって、規則的配列を持つものであればよく、炭素数が12から19のアルキルトリメチルアンモニウム塩や、酸化プロピレンと酸化エチレンのブロック共重合物(BASF社製Pluronicシリーズなど)や、ポリオキシエチレンセチルエーテルなどがあり、この中でも、酸化プロピレンと酸化エチレンのブロック共重合物等が用いられる。
熱硬化性樹脂前駆体と界面活性剤との使用割合は、モル比で、1:0.01〜0.025である。
また、基板上に、前記熱硬化性樹脂前駆体と界面活性剤とから形成される構造規則性を有する液状構造物を形成するにあたっては、前記熱硬化性樹脂前駆体と界面活性剤が溶解し自己組織化するために水およびエタノールなどの有機溶媒に混合しておくことが望ましい。
熱硬化性樹脂前駆体、界面活性剤、水、エタノールの使用割合に特に制限はないが、1:0.005〜0.05:0〜120:60〜110で、好ましくは1:0.01〜0.02:0〜70:60〜80である。
また、基板上に、前記熱硬化性樹脂前駆体と界面活性剤とから形成される構造規則性を有する液状構造物を形成する方法は、特に制約されず、たとえば、ディップコーティング法やスピンコーティング法、含浸法を採ればよい。
本発明においては、上記のような方法により、熱硬化性樹脂前駆体と界面活性剤とから形成される構造規則性を有する液状構造物を基板上に設けた後、液状構造物に気相状態の架橋剤を接触させ、架橋硬化反応させる。
この場合、架橋剤は、使用する熱硬化性前駆体の種類によって適宜選定すればよい。たとえば、フェノール類であれば、ホルムアルデヒドのようなアルデヒド類を用いればよい。架橋剤を気相で供給するため、熱硬化性樹脂前駆体と架橋剤の使用割合は、限定されない。
また、この場合、架橋反応あるいはこれに続く硬化反応を促進するために、水酸化ナトリウムと言った無機、有機塩基や、炭酸ナトリウムを含む無機、有機塩、塩酸などの無機、有機酸でもよい。この中でも、水酸化ナトリウムなどの無機塩基触媒を使用することが好ましい。
架橋剤を前記液状構造物に気相状態で接触させるには、これらの架橋剤が気体であればそのままでよいが、液体の場合には加熱して気化させる。
架橋剤を前記液状構造物に接触させる温度は、架橋剤の種類等を考慮し適宜定めればよいが、通常20℃〜100℃である。また供給時間も特に制限されないが、30分〜6時間である。
架橋反応の終了後、構造物を硬化するために、加熱する。加熱温度は特に制限されないが、50℃〜100℃である。また、硬化時間は特に制限されないが、10時間以上であることが好ましい。
本発明においては、ついで、この硬化反応により得られる熱硬化性樹脂硬化体を炭素化して鋳型剤である界面活性剤を取り除く。この炭素化条件は、好ましくは不活性雰囲気下で行われ、焼成温度は界面活性剤が分解し、樹脂の炭素化が始まる温度以上であればよい。通常350℃以上であれば十分である。また、昇温速度は毎分0.1〜10℃とするのがよく、また、炭素化時間は4〜6時間もあれば十分である。このような炭素化により、界面活性剤が除去され、炭素化された、少なくとも基板と平行な膜の最表面にメソ孔が開口部を持って規則的に配列された所望の多孔質炭素膜を得られる。
また、本発明においては、より疎水性で且つ安定な多孔質炭素膜を得るために、上記で得た多孔質炭素膜を更に加熱して炭化を進めることが好ましい。この炭素化条件は、昇温速度は毎分1〜10℃とし、800℃程度の焼成温度とするのが好ましい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
以下の操作において、シリコン基板は、予め、アンモニア水と過酸化水素水で加熱洗浄し、440℃で4時間加熱することで、表面を洗浄し、空冷後したものを使用した。また、水酸化ナトリウム水溶液としては、pHが13.2となるよう希釈したものを使用した。
実施例1
界面活性剤(両親媒性ブロックコポリマー:BASF社F127)1gとレゾルシノール0.5g、水酸化ナトリウム水溶液5g、エタノール15.9gをビーカーにとり、約12時間室温で攪拌して図2に示される塗布溶液を調製した。原料のモル比は、レゾルシノール:エタノール:水:F127=1:76:61:0.017となる。この塗布溶液は最終的に赤色を帯びる。この溶液をディップコーティングによりシリコン基板に塗布した。
次に、ホルムアルデヒド溶液を入れた容器と、溶液をコーティングしたシリコン基板をシャーレ(反応器)の中に入れ、蓋をし、50℃のオーブン内で4時間静置し、気化したホルムアルデヒドをシリコン基板上の液膜に蒸着・浸透させた(図2)。その結果、レゾルシノールとホルムアルデヒドが液膜中で脱水縮合して架橋することで、規則構造を有する樹脂が形成された。
上記で得たその表面に規則構造を有する樹脂が設けられたシリコン基板を取り出し、空気中で70℃のオーブンの中で12時間置き樹脂を硬化させた。その後、不活性雰囲気下、400℃で4時間加熱し、鋳型剤である界面活性剤(F127)を熱分解させて取り除いた。得られた炭素材料の表面を、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観察した(図3)。図3の表面像では、表面にメソ孔開口部を有することが確認でき、その細孔径は約9.2nmであった。また、そのメソ孔は規則的に配列していることが分かる。その配列は、図3右上においては、縦方向と左上から右下方向と2方向に対して直線的に細孔が配列している。これらは、立方構造配置の(1,1,1)面を有している。
400℃で熱処理して鋳型剤を除去した上記の炭素材料を更に不活性雰囲気下800℃で2時間炭化した。この炭素材料を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した(図4)。図4の表面像では、表面に開口部を有するメソ細孔が規則的に配列していることが確認できた。炭素膜表面におけるメソ細孔の規則的配列は、図の縦方向(イ)と左下から右上方向(ロ)に見られた。表面像を画像解析した結果、このメソ細孔の大きさは5〜10nm程度であり、また隣り合うメソ細孔同士の間隔(メソ細孔間の中心間距離)は(イ)方向では15nm、(ロ)方向では13nmであった。また図4の破断面では、膜表面(破断面像の左上領域)に対して平行にメソ細孔が等間隔(層間隔は15nm)で7層積層していることを確認した。破断面像からは、破断面に対して平行に横方向(図4の左下から右上方向)に並んだメソ細孔、破断面に対して開口している(破断面にほぼ垂直な方向に延びた)メソ細孔、さらに破断面に対して平行に縦方向(図の縦方向)に並んだメソ細孔の3通りの規則的配列が存在しており、本発明で得られた炭素膜の内部に立方構造配置をとるメソ細孔が形成されていることがわかった。
実施例2
実施例1において、ホルムアルデヒドの気相化を60℃で行った以外は実施例1と同様にして多孔質炭素膜を得た。得られた多孔質炭素膜の表面をAFMで観察した(図5)。図5に示すAFMの表面像は、図3に示した実施例1の表面像とほぼ同様な構造を持っていることが分かった。また細孔径も実施例1の場合とほぼ同じく約9.7nmであった。
実施例3
実施例1において、ホルムアルデヒドの気相化を40℃で行った以外は実施例1と同様にして多孔質炭素膜を得た。得られた多孔質炭素膜の表面をAFMで観察した(図6)。図6に示すAFMの表面像は、図3に示した実施例1の表面像とほぼ同様な構造を持っていることが分かった。また細孔径も実施例1の場合とほぼ同じく約9.3nmであった。
実施例4
実施例1において、レゾルシノール0.5gの代わりにフロログルシノール0.75gを用い、水酸化ナトリウム水溶液を使用しなかった以外は実施例1と同様にして多孔質炭素膜を得た。得られた多孔質炭素膜の表面をAFMで観察した(図7)。図7の表面像では、表面に約10.2nmのメソ孔が開口部をもっていることが確認できた。図3と比べて、図全体を通して一定方向に直線的に配列してはいないが、小さなスケール(約100nm四方)で見ると、実施例1などと同じく立方構造配置の(1,1,1)面の配置を取り、規則的に配列していることが分かった。
実施例5
実施例4において、基板を円盤フィルター状の多孔質アルミナ基材(600nmの細孔;マクロ孔:細孔直径50nm以上)に代え、かつホルムアルデヒドの気相化を60℃で行った以外は実施例4と同様にして多孔質炭素膜を得た。
アルミナ基材内部のマクロ孔表面に出来た炭化物の細孔径を膜透過流束測定装置で測定した。サンプルをヘリウムガス中で200℃に加熱し前処理を行った後、ヘキサン濃度水蒸気の相対湿度を飽和濃度の0.1-98%の範囲で調節したヘキサン/ヘリウム混合ガスを流してヘリウムガスの膜透過流束を測定し、異なるヘキサン濃度における相対湿度に対するヘリウムガスの膜透過流束(図8)を求めた。図8に示すようにヘキサン濃度相対湿度が飽和濃度の10-15%の領域で膜透過流束がステップ状に減少しており、この領域で細孔内へのヘキサン水蒸気の毛管凝縮が急激に起こっていることがわかった。また、このことは、均一な大きさのメソ孔が形成されていることを示す。
本発明の多孔質炭素膜の模式説明図。(a)立方構造配置;(b)六方構造配置 本発明の実施例1の多孔質炭素膜の製造工程図。 実施例1の多孔質炭素膜の原子間力顕微鏡写真(AFM像)。 実施例1の多孔質炭素膜の走査型電子顕微鏡写真(SEM像)。(a)表面像;(b)破断面像 実施例2の多孔質炭素膜の原子間力顕微鏡写真(AFM像)。 実施例3の多孔質炭素膜の原子間力顕微鏡写真(AFM像)。 実施例4の多孔質炭素膜の原子間力顕微鏡写真(AFM像)。 実施例5の多孔質炭素膜への異なるヘキサン濃度におけるヘリウムガス透過流束の測定結果。

Claims (5)

  1. 基板と平行に設けられた膜であって、当該膜の最上端表面に開口部をもつ立方構造配置のメソ孔を有することを特徴とする多孔質炭素膜。
  2. 基板が多孔質基板であることを特徴とする請求項に記載の多孔質炭素膜。
  3. 多孔質基板の細孔内部に膜が形成されていることを特徴とする請求項に記載の多孔質炭素膜。
  4. 基板上に設けた熱硬化性樹脂前駆体と界面活性剤とから形成される構造規則性を有する液状構造物に、気相状態の架橋剤を接触させて、硬化反応を行い、ついで得られる硬化体を炭素化することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の多孔質炭素膜の製造方法。
  5. 熱硬化性樹脂前駆体がフェノール類であり、架橋剤がアルデヒド類であることを特徴とする請求項に記載の多孔質炭素膜の製造方法。
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