JP5413564B2 - ロジウムと銅を含む水溶液からの銅の分離方法 - Google Patents
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Description
また、鉱石中に含まれるロジウムは、ごく微量であり、高価なこともあって、上述の電子部品から発生したスクラップなどからも再精製されている。
また、硫酸イオンがロジウムなどの白金族を含む系に混入すると、白金族が塩化物と錯体を形成出来なくなり、白金族の処理が著しく困難になる問題があった。このため白金族を含有する混合物を溶解する際は、硫酸を用いる方法は避けられ、塩酸と酸化剤を併用して銅とロジウムとを一旦すべて溶解し、これをイオン交換や溶媒抽出等の方法によって分離する方法が採られてきた。
しかしながら、セルロースの銅やロジウムに対する選択性が乏しく、ロジウムを濃縮して回収することは難しく、精製コストの増加などの問題がある。
しかしながら、この方法ではロジウムが亜硝酸イオンとの錯体形成は、pH7以上などのアルカリ領域でないと定量的に進まないため、溶解液に含有された銅イオンが加水分解してロジウム錯体と共沈し、ロジウムと銅との分離が不完全となっていた。そこで、分離を完全に行うには、再結晶と溶解とを何度も繰り返す必要があり、コストの増加、液量の増加、収率の低下をもたらすなどの課題がある。
しかしながら、この方法では得られるロジウムが粗大となる傾向があり、回収したロジウムの再精製が困難になる問題がある。
この方法は、電解で陰イオンであるロジウムを選択的に陰極室で回収する方法であり、塩化物の場合、クロロ錯体となっている銅を陽イオン化することが必要であり、大量の水を用いて希釈する必要があるということ、貴金属の陽極側への移動を抑制できる条件範囲が非常に限定されるということ、種々雑多の原料に対して条件の最適化が難しいという、操業上回避困難な問題点を多く抱えている。
そこで、本発明は、ロジウムと多量の銅が共存する溶液あるいは固体混合物から銅とロジウムとを容易に分離する方法を鋭意開発し提供するものである。
さらに、原料の硫酸塩に精錬工程の排ガス処理工程で大量に副成する硫酸ナトリウムを硫酸塩として用いることができ、この硫酸塩を用いた場合には、pHの低下が生じず、ロジウムと銅を回収した後の水溶液を処理する際に中和剤が必要なく、廃水処理に大きな負担が無いなどの低コスト化をもたらし、また大量の分離媒体を使用しないので、より低コストな操業を可能とするものである。
このような水溶液に硫酸イオンが添加されると、銅は硫酸銅の結晶を形成する。既に錯体を形成している場合には、錯イオンとしての溶解反応と硫酸銅の結晶化反応とが競争反応となるため、初めから硫酸イオンのみの水溶液の方が結晶化は良好である。
また硫酸塩は、硫酸とは異なり、硫酸塩が含有された後の水溶液のpHが低下しないので、分離後にpHを調整するための中和剤を必要としないことからより望ましい。
なお、本発明の方法は、銅イオン以外にも硫酸イオン濃度の増加に伴って硫酸塩の溶解度が減少する2価鉄、ニッケル、コバルト、マンガンなどのイオンにも適用することができ、上述のイオンとロジウムとを分離する。
この大量に析出した結晶により、スラリーとして混合が困難になったため、吸引濾過機で吸引して濾液が結晶から滴下しなくなるまで固液分離し、析出した結晶を回収し、1次硫酸銅結晶とした。
1次硫酸銅、2次硫酸銅および最終母液を、それぞれICP-AES(セイコーインスツル株式会社製、STS3000型)を用いてロジウムと銅の濃度を分析し、その結果をロジウムと銅の分配として表1に示す。
実施例1と同様に原液水溶液中のロジウムと銅の物量の合計に対するロジウム物量の比(Rh/(Rh+Cu))は、0.02で、これに対して、最終母液に含有されたロジウム物量の比は0.08となり、ロジウムは原液水溶液よりも約4倍に濃縮されていた。また、原液水溶液に含まれたロジウムの83.8%が回収されてロジウムの精製工程に払い出され、ロジウム製品を生産することができた。なお、添加した硫酸によるロジウムを精製する工程での影響は、実施例1と同様に見られなかった。
実施例1と同様に原液水溶液中のロジウムと銅の物量の合計に対するロジウム物量の比(Rh/(Rh+Cu))は、0.02で、これに対して、最終母液に含有されたロジウム物量の比は0.13となり、ロジウムは原液水溶液よりも約7倍に濃縮されていた。また、原液水溶液に含まれたロジウムの96.2%が回収されてロジウムの精製工程に払い出され、ロジウム製品を生産することができた。なお、添加した硫酸によるロジウムを精製する工程での影響は、実施例1と同様に見られなかった。
表2に得られた硫酸浸出液及び残渣を溶解した溶解液の組成と分配率に関するICP−AESを用いた分析結果を示す。
この硫酸浸出液を原液水溶液として実施例1と同様な処理を行い、この水溶液を冷却して硫酸銅の結晶を析出させた。結晶が析出した後に70%硫酸をさらに50ml追加して添加し、浸出液から硫酸銅結晶を完全に析出させた。析出した結晶は十分に脱水した。その後最少量の水を用いて溶解し硫酸銅溶解液とした。
この硫酸銅結晶と母液の分析結果を表3に示す。
また、硫酸塩水溶液から析出した硫酸銅の結晶は、粗大なので、結晶に付着したロジウムを脱水によって効果的に分離することができ、ロジウムが硫酸銅溶解液に分配してロスとなる割合は1%以下に抑えられた。母液のロジウムと銅に対するロジウムの割合は0.22となり、ロジウムが濃縮された母液が得られた。また、母液の硫酸イオン濃度は27重量%であった。
原液水溶液に添加される硫酸イオン濃度を7重量%とした以外は、実施例1と同様の方法で、この水溶液を固液分離した。
実施例1と同様に原液水溶液中のロジウムと銅の物量の合計に対するロジウム物量の比(Rh/(Rh+Cu))は、0.02であるが、これに対して、最終母液に含有されたロジウム物量の比は0.03となり、原液水溶液に対してロジウムは殆ど濃縮されていなかった。
Claims (3)
- ロジウムと銅を含む水溶液に硫酸或いは硫酸ナトリウムにより形成される硫酸イオンを添加し、前記水溶液中に含有される硫酸イオンの濃度が、10重量%以上、90重量%以下に保たれることで、前記水溶液が、前記硫酸イオンにより生成する硫酸銅からなる結晶成分と残部ロジウムを含む液体成分とに分離することを特徴とするロジウムと銅を含む水溶液からの銅の分離方法。
- 前記水溶液が、ロジウムと銅を含む混合物を、酸、或いは酸及び酸化剤を用いて溶解、濾別して作られる水溶液であることを特徴とする請求項1に記載のロジウムと銅を含む水溶液からの銅の分離方法。
- 前記酸、或いは酸及び酸化剤が、硫酸と酸化剤、或いは硫酸と硝酸の組み合わせのいずれかであることを特徴とする請求項2に記載のロジウムと銅を含む水溶液からの銅の分離方法。
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