JP5412661B2 - 半導体デバイス用洗浄剤及びそれを用いた半導体デバイスの洗浄方法 - Google Patents

半導体デバイス用洗浄剤及びそれを用いた半導体デバイスの洗浄方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体デバイスの製造工程における化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing:以後「CMP」と呼ぶ)による平坦化工程後の半導体デバイスの洗浄に使用される洗浄剤及びそれを用いた半導体デバイスの洗浄方法に関する。
マイクロプロセッサー、メモリー、CCDなどの半導体デバイスや、TFT液晶などのフラットパネルディスプレイデバイスの製造工程では、シリコンや酸化シリコン(SiO2)、ガラス等の基板表面に10〜100nm程度の微細な寸法でパターン形成や薄膜形成を行っており、製造の各工程において該基板表面の微量な汚染を低減することが極めて重要な課題となっている。基板表面の汚染の中でも特にパーティクル汚染、有機物汚染及び金属汚染はデバイスの電気的特性や歩留まりを低下させるため、次工程に持ち込む前に極力低減する必要がある。このような汚染の除去には、洗浄液による基板表面の洗浄が一般的に行われている。この洗浄には、高清浄な表面を、副作用なしで、短時間で再現性よく、低コストで洗浄することが求められる。そして、この要求レベルは、近年のデバイスの高集積化、低価格化と共に益々厳しくなっている。
半導体集積回路(以下LSIと記す)で代表される半導体デバイスの製造においては、基板上に絶縁膜や金属膜等の層を多層積層した多層積層構造が形成される。近年、デバイスの高速化・高集積化のために、配線として抵抗値の低い新金属材料(Cu等)、層間絶縁膜として低誘電率(Low−k)材料、即ち、比誘電率が3.5〜2.0程度の低誘電率層間膜(例えば、有機ポリマー系、メチル基含有シリカ系、H−Si含有シリカ系、SiOF系、ポーラスシリカ系、ポーラス有機系等)等を含む層間絶縁膜(ILD膜)や配線に用いられる銅などの金属膜を堆積後、生じた凹凸をCMPによって平坦化処理を行い、平坦となった面の上に新たな配線を積み重ねて行く工程が一般に行われる。工程間の洗浄には、従来は、酸性若しくはアルカリ性溶液と過酸化水素とを混合したRCA洗浄が用いられてきたが、これらの洗浄剤によれば、絶縁膜上に付着した除去すべき不動態としての酸化銅のみならず、配線の金属銅をも溶解してしまい、配線の腐蝕や断線を引き起こす懸念があり好ましくない。また、低誘電率絶縁膜の多くは表面が疎水性のため、洗浄液をはじいてしまうので洗浄が困難である。さらにCMP工程後の洗浄においては、CMPに使用するスラリー(研磨粒子)が配線や低誘電率絶縁膜の表面に残存し、汚染するという問題があった。
研磨工程後に半導体デバイス表面に付着、残存したパーティクルの除去には、半導体表面とパーティクルとを静電的に反発させるアルカリ性の洗浄剤が一般に有効であるとされており、例えば、特定の界面活性剤とアルカリ又は有機酸を含む洗浄剤が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、銅配線を施した半導体デバイス表面の腐蝕や酸化の防止には、カルボキシル基を複数有する成分を用いることが有効であるとされており、例えば、カルボキシル基を1以上有する有機酸、有機アルカリ、及び、界面活性剤を添加した洗浄剤(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
しかし、これらの洗浄剤では、基板表面に付着した、被研磨体に起因する金属や基板材料、さらには、有機物残渣や砥粒微粒子などを効率よく除去するといった観点からは、なお改良の余地があった。
特に、疎水性の低誘電率絶縁膜や、銅配線を施した半導体デバイス表面を、銅配線の腐蝕や酸化を抑制しつつ、かつ、表面の不純物を効果的に除去しうる洗浄剤が求められているのが現状である。
特開2003−289060号公報 特開2005−260213号公報
上記問題点を考慮してなされた本発明の目的は、半導体デバイス製造工程における平坦化研磨工程後の洗浄工程に用いられる洗浄剤であって、半導体デバイス表面、特に、表面に銅配線が施された半導体デバイスの表面に存在する有機物汚染、パーティクル汚染を、銅配線の腐蝕を引き起こすことなく、短時間で除去することができ、基板表面を高清浄化しうる洗浄剤及びそれを用いた洗浄方法を提供することにある。
本発明者は、上記のCMP工程後に用いられる洗浄剤に係る問題点について鋭意検討した結果、成分として式(1)で表されるポリカルボン酸化合物、キレート剤およびアニオン系界面活性剤を含む洗浄剤を用いることにより、問題を解決できることを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
<1>
銅配線が施された半導体デバイスの化学的機械的研磨工程の後に用いられる洗浄剤であって、下式(1)で表されるポリカルボン酸化合物、キレート剤およびアニオン系界面活性剤を含むことを特徴とする洗浄剤。
Figure 0005412661
(1)
式中、R1は単結合またはアルキレン基を表し、
2、R3はそれぞれ独立に、水素原子または有機基を表すか、R2とR3は互いに結合してR2及びR3に隣接する炭素原子と一緒に環構造を形成していてもよい。
<2>
キレート剤がモノアミノカルボン酸もしくはポリアミノカルボン酸であることを特徴とする上記<1>に記載の洗浄剤。
<3>
アニオン系界面活性剤が芳香族環構造を有するスルホン酸誘導体またはその塩であることを特徴とする上記<1>または<2>に記載の洗浄剤。
<4>
銅配線が施された半導体デバイスを化学的機械的研磨する工程、及び、前記半導体デバイスを下式(1)で表されるポリカルボン酸化合物、キレート剤およびアニオン系界面活性剤を含有する洗浄剤で洗浄する工程、を順次有することを特徴とする半導体デバイス表面の洗浄方法。
Figure 0005412661
(1)
式中、R1は単結合またはアルキレン基を表し、
2、R3はそれぞれ独立に、水素原子または有機基を表すか、またはR2とR3は互いに結合してR2及びR3に隣接する炭素原子と一緒に環構造を形成していてもよい。
なお、本発明の洗浄剤が適用される被洗浄物である半導体デバイスは、半導体デバイス製造工程における化学的機械的研磨工程に付された基板であり、基材表面に金属配線が形成された単層基板、その表面に層間絶縁膜などを介して配線が形成されてなる多層配線基板のいずれでもよいが、本発明は、特に金属配線や低誘電率(Low−k)絶縁膜などを表面の一部あるいは全面に有する半導体デバイス用基板の洗浄に有用である。
本発明の作用は明確ではないが、疎水性の低誘電率絶縁膜や、銅配線を施した半導体デバイス表面を、銅配線の腐蝕や酸化を抑制しつつ、キレート効果による洗浄効果向上が期待される。本発明では式(1)で表されるポリカルボン酸化合物と、キレート剤と、アニオン系界面活性剤とを併用する事により、短時間での高清浄化を達成しうるものと推定している。
本発明によれば、半導体デバイス製造工程における平坦化研磨工程後の洗浄工程に用いられる洗浄剤であって、半導体デバイス表面、特に、表面に銅配線が施された半導体デバイスの表面に存在する有機物汚染、パーティクル汚染を、銅配線の腐蝕を引き起こすことなく、短時間で除去することができ、基板表面を高清浄化しうる洗浄剤及びそれを用いた洗浄方法を提供することができる。
以下、本発明の具体的態様について説明する。
本発明の洗浄剤は、式(1)で表される特定構造のポリカルボン酸化合物と、キレート剤と、アニオン系界面活性剤を含有することを特徴とし、半導体デバイス製造工程における化学的機械的研磨工程の後に、半導体デバイス、特に表面に銅配線が施されたデバイス表面を洗浄するのに好適に使用される。
以下、本発明の洗浄剤に含まれる各成分について順次説明する。
<式(1)のポリカルボン酸化合物>
本発明の洗浄剤は、式(1)で表される特定構造のポリカルボン酸化合物を含有する。
本発明では、前記、特定構造のポリカルボン酸化合物を用いているため、銅配線が施された半導体デバイスの表面に存在する有機物残渣を、銅配線の腐蝕を引き起こすことなく、短時間で除去することができ、基板表面を高清浄化しうるものである。
Figure 0005412661
(1)
式中、R1は単結合またはアルキレン基を表し、
2、R3はそれぞれ独立に、水素原子または有機基を表すか、R2とR3は互いに結合してR2及びR3に隣接する炭素原子と一緒に環構造を形成していてもよい。
上記定義において、R1の表すアルキレン基として、炭素数1〜10の分岐鎖あるいは直鎖のアルキレン基が好ましい。R1の表すアルキレン基は、より好ましくは炭素数1〜5、更に好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基であり、最も好ましくはメチレン基(−CH2−)である。
2、R3の表す“有機基”とは、有機化合物を形成する官能基を意味し、より好ましくは、炭素原子を有する官能基を意味する。“有機基”の具体例としては、炭素数1〜10の分岐鎖あるいは直鎖アルキル基、炭素数6〜12のアリール基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基(アルキル基部分は炭素数1〜10の分岐鎖あるいは直鎖アルキル基)、水酸基、ヒドロキシアルキル基(アルキル基部分は炭素数1〜10の分岐鎖あるいは直鎖アルキル基)等が挙げられる。
2及びR3に隣接する炭素原子と一緒になってR2とR3が形成する環構造としては、5〜8員の炭素環(芳香環を含む)若しくはヘテロ環(ヘテロ芳香環を含む)が挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ベンゼン、ピロリジン、イミダゾリジイン、ピラゾリジン、ピロリン、イミダゾリン、ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、オキサン、γ−ピラン、チオピラン、フラン、チオフェン、ピロール、ピリジン、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピラジン、ピリミジン、ピラダジン、トリアジン、オキサジン、チアジン等が挙げられる。5〜6員の環構造であることが好ましく、更に酸素原子あるいは窒素原子を含む環構造であることが好ましい。また、5〜6員の酸素原子あるいは窒素原子を含む芳香族環であることがより好ましい。
更に好ましい環構造の具体例としては、フラン、イミダゾール、トリアゾールが挙げられる。
特定構造のポリカルボン酸化合物は、式(1)で表されるいずれの化合物であってもよいが、Cuへのキレート効果や洗浄液への溶解性の観点から、2〜7個のカルボキシル基を有することが好ましく、より好ましくは、2〜4個のカルボキシル基を有する。
また、特定構造のポリカルボン酸化合物は、分子内に置換基を更に有していてもよい。特定構造のポリカルボン酸化合物が更に有していてもよい置換基としては、スルホン基およびホスホン基、水酸基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、が挙げられるが、機能性のある置換基であることが好ましい。ここで“機能性のある置換基”とは、金属イオンに対して配位力のある基である。
式(1)で表されるポリカルボン酸化合物としては、例えば、マレイン酸、シトラコン酸、エチルマレイン酸、フタル酸、cis−アコニット酸、trans−アコニット酸、フラン−2,3−ジカルボン酸、フラン−1.2,3,4−テトラカルボン酸、4,5−イミダゾールジカルボン酸、1,2,3−トリアゾール−4,5−ジカルボン酸などの具体例が挙げられる。
前記特定構造のポリカルボン酸化合物の中でも、キレート力が強く、不動膜形成剤や研磨により生ずる有機物残渣の除去性能が高いとの観点から、シトラコン酸、マレイン酸、cis−アコニット酸、フラン−2,3−ジカルボン酸、フラン−3,4−ジカルボン酸、4,5−イミダゾールジカルボン酸、1,2,3−トリアゾール−4,5−ジカルボン酸が好ましい。
前記特定構造のポリカルボン酸化合物は、単独種のみを用いてもよいし、複数種を用いてもよい。
本発明の洗浄剤における式(1)で表されるポリカルボン酸化合物の含有量は、化合物の溶解度にもよるが、洗浄液中0.001質量%〜30質量%であることが好ましく、0.03質量%〜10質量%であることがより好ましく、0.1質量%〜5質量%であることが更に好ましい。
<キレート剤>
本発明の洗浄剤は、キレート剤を含有する。このキレート剤は前記式(1)のポリカルボン酸化合物とは異なるもので、カルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤である汎用の硬水軟化剤やその類縁化合物を用いることができる。
キレート剤としては、モノアミノカルボン酸類若しくはその塩、またはポリアミノカルボン酸類若しくはその塩が好ましい。
モノアミノカルボン酸類とは、分子中に1つのアミノ基と、1つ以上のカルボン酸基を有する化合物である。例えば、グリシン等のアミノ酸類が挙げられる。
ポリアミノカルボン酸類とは、分子中に2つ以上のアミノ基と、1つ以上のカルボン酸基を有する化合物である。例えば、EDTA等が挙げられる。
モノアミノカルボン酸類のうち、モノアミノモノカルボン酸類としてはグリシン、L−アラニン、β−アラニン、L−2−アミノ酪酸、L−ノルバリン、L−バリン、L−ロイシン、L−ノルロイシン、L−イソロイシン、L−アロイソロイシン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、サルコシン、L−オルニチン、L−リシン、タウリン、L−セリン、L−トレオニン、L−アロトレオニン、L−ホモセリン、L−チロシン、3,5−ジヨード−L−チロシン、β−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、L−チロキシン、4−ヒドロキシ−L−プロリン、L−システィン、L−メチオニン、L−エチオニン、L−ランチオニン、L−シスタチオニン、L−シスチン、L−システィン酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸等が挙げられ、モノアミノポリカルボン酸類としてはN−2−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、L−アスパラギン酸−N,N−二酢酸等を挙げることができる。また、ポリアミノカルボン酸類として、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等を挙げることができる。さらに、これらのアンモニウム塩やアルカリ金属塩等を挙げることが出来る。
これらキレート剤は必要に応じて2種以上併用しても良い。キレート剤の添加量は混入する多価金属イオンなどの金属イオンを封鎖するのに充分な量であればよく、一般的には、洗浄剤中に、5ppm〜10000ppm程度である。
<アニオン系界面活性剤>
本発明の洗浄剤は、アニオン系界面活性剤を含有する。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、カルボン酸誘導体またはその塩、スルホン酸誘導体またはその塩、硫酸エステル誘導体またはその塩、リン酸エステル誘導体またはその塩が挙げられ、カルボン酸誘導体またはその塩として、石鹸、N−アシルアミノ酸またはその塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸またはその塩、アシル化ペプチド;スルホン酸またはその塩として、アルキルスルホン酸またはその塩、スルホコハク酸またはその塩、α−オレフィンスルホン酸またはその塩、N−アシルスルホン酸またはその塩;硫酸エステルまたはその塩として、硫酸化油、アルキル硫酸またはその塩、アルキルエーテル硫酸またはその塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテル硫酸またはその塩、アルキルアミド硫酸またはその塩;リン酸エステルまたはその塩として、アルキルリン酸またはその塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルリン酸またはその塩を挙げることができる。
本発明のアニオン系界面活性剤としては、スルホン酸塩化合物であることが好ましい。洗浄性、特に微粒子除去の観点で好ましいからである。
また、本発明における好ましいアニオン系界面活性剤としては、分子中に芳香族環構造を少なくとも1つ有するものが挙げられ、芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、フェナントレン環、クリセン環、ピレン環等が挙げられる。洗浄性、特に微粒子除去の観点で好ましいからである。
本発明に好適に用いうるアニオン系界面活性剤の例としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、アルキルナフタレンスルホン酸及びその塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸及びその塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸及びその塩、フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物およびその塩、アリールフェノールスルホン酸ホルマリン縮合物およびその塩、等が挙げられる。
上記に列挙したアニオン系界面活性剤において、芳香族環に導入されるアルキル基としては、直鎖型及び分岐型のいずれであってもよく、炭素数2〜30(好ましくは、炭素数3〜22)のアルキル基が好ましく、例えば、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。該アルキル基は直鎖型及び分岐型のいずれであってもよい。
また、これらのアニオン系界面活性剤が塩構造を採る場合、該塩構造としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、テトラメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
これらアニオン系界面活性剤のより具体的な例としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸、ジフェニルエーテルジスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム、ドデシルジフェニルエーテルスルホン酸アンモニウムが挙げられる。
本発明に用いうるアニオン系界面活性剤の他の例としては、分子内に芳香環構造に加えて、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、フルオロアルキル基、アセチレン基、水酸基などの置換基をさらに有する界面活性剤が挙げられ、そのより具体的な例としては、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルホスフェート、フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物等が挙げられる。
上記したアニオン系界面活性剤の中でも、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルホスフェートがより好ましい。
アニオン系界面活性剤としては市販品を用いてもよく、例えば、ペレックスNBL(アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、花王(株)製)、ネオペレックスGS(ドデシルベンゼンスルホン酸、花王(株)製)、ネオペレックスGS−15(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、花王(株)製)、ペレックスSS-L(アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、花王(株)製)、デモールNL(β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、花王(株)製)等を好適に用いることができる。
これらアニオン系界面活性剤は、本発明の洗浄剤に1種を単独で使用してもよいし、2種以上を任意の割合で併用してもよい。
本発明の洗浄剤は水溶液である。即ち、前記した必須成分、さらには、所望により併用されるその他の成分が水系の溶媒中に溶解してなるものが好ましい。溶媒として使用される水としては、効果の観点から、それ自体、不純物を含まないか、その含有量を極力低減させた脱イオン水や超純水を用いることが好ましい。また、同様の観点から、水の電気分解によって得られる電解イオン水や、水に水素ガスを溶存させた水素水などを使用することもできる。
<その他の成分>
本発明の洗浄剤には、本発明の効果を損なわない範囲において、必須成分である式(1)で表されるポリカルボン酸化合物、キレート剤、アニオン系界面活性剤及び溶媒としての水に加えて、目的に応じて種々の化合物を任意成分として併用することができる。
併用成分としては、アニオン系界面活性剤以外の界面活性剤などが挙げられる。
本発明に使用しうる界面活性剤の他の好ましい例としてノニオン系界面活性剤が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型が挙げられ、エーテル型として、ポリオキシエチレンアルキルおよびアルキルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが挙げられ、エーテルエステル型として、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、エステル型として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル、含窒素型として、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が例示される。
その他に、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などが挙げられる。
複数種の界面活性剤を含有する場合、2種以上のアニオン系界面活性剤を用いてもよく、また、アニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤を組み合わせて用いることもできる。
本発明の洗浄剤における界面活性剤の含有量(必須のアニオン系界面活性剤の量を含む)は、総量として、洗浄剤の1L中、0.001〜10gとすることが好ましく、0.01〜1gとすることがより好ましく0.02〜0.5gとすることが特に好ましい。
〔pH〕
本発明の洗浄剤のpHには、特に制限はなく、pH0.5〜12程度の範囲において、洗浄対象となるデバイスの特性、除去しようとする不純物の種類などにより、適宜選択して調整することができるが、pHは5以下であることが好ましい。pH5を超える場合、金属汚染の除去を充分に行えない。PH5〜9の中性領域では、銅金属表面とパーティクルのゼータ電位が異符合になり、パーティクルが銅金属表面へ吸着しやすく、また、これが原因で除去しにくい。9以上のアルカリの場合、銅金属表面の腐食が起る。
上記の中でも、被洗浄面(半導体デバイス用基板の表面)の腐食の防止、金属汚染の除去を充分行いうるとの観点から、pH1〜5が好ましい。
pH値は、有機酸を添加することにより調整することができる。有機酸としては、例えば、水溶性のものが望ましい。以下の群から選ばれたものがより適している。ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、ジエチルヒドロキシルグリシン等を用いることができる。
また、本発明の洗浄液においては、一般的なpH調整剤を使用することも可能であるが、一般的なpH調整剤は使用しないことが好ましい。なお、ここでいうpH調整剤とは、例えば、酸では硝酸、硫酸などの無機酸、アルカリでは水酸化カリウム、アンモニアなどである。
本発明の洗浄剤は、表面に金属又は金属化合物層、或いは、これらで形成された配線を有する半導体デバイス用基板の洗浄に好適に使用される。本発明の洗浄剤は、銅配線に対して腐蝕や酸化を生じさせる懸念がないことから、銅配線を表面に有する半導体デバイス用基板の洗浄に特に好適に使用することができる。
以下、本発明の半導体デバイスの洗浄方法について説明する。
<洗浄方法>
本発明の半導体デバイスの洗浄方法は、前記本発明の洗浄剤を用いることを特徴とするものであり、半導体デバイス製造における化学的機械的研磨工程(CMP工程)に引き続いて実施されるものである。
通常、CMP工程は、研磨液を研磨定盤上の研磨パッドに供給し、被研磨体である半導体デバイス用基板などの被研磨面と接触させて被研磨面と研磨パッドを相対運動させて研磨する工程であり、その後、実施される洗浄工程では、研磨を終了した半導体デバイス用基板を、スピンナーに配置し、洗浄剤を被研磨面及びその裏面に対し流量100〜2000ml/min.の条件で基板表面に供給し、室温にて10〜60秒間にわたり、ブラシスクラブする洗浄方法をとることが一般的である。
研磨液は、例えば、1Hベンゾトリアゾール、1,2,3トリアゾール等の不動態膜形成剤や砥粒を含むものが使用される。研磨液の例としては、「詳説 半導体CMP技術/土肥俊郎 編著、株式会社工業調査会」に記載されているものを挙げることができる。
洗浄は、市販の洗浄槽を用いて行うこともでき、例えば、MAT社製ウェハ洗浄機(商品名:ZAB8W2M)を使用し、該装置に内蔵しているスクラブ部でPVA製ロールブラシを接触するスクラブ洗浄をすることにより行うこともできる。
被研磨体である半導体デバイス用基板に用いられる金属としては、主としてW又はCuが挙げられる。近年、配線抵抗の低い銅を用いたLSIが開発されるようになった。
高密度化を目指す配線の微細化に伴って、銅配線の導電性や電子マイギュレート耐性などの向上が必要となり、これらの高精細で高純度の材料を汚染させることなく高生産性を発揮し得る技術が求められている。
表面にCuを有する基板、さらには、層間絶縁膜として低誘電率絶縁膜を有し、その表面に銅配線を有する基板の洗浄を行う工程としては、特に、Cu膜に対してCMPを行った後の洗浄工程、配線上の層間絶縁膜にドライエッチングによりホールを開けた後の洗浄工程が挙げられるが、これらの洗浄工程においては、表面に存在する不純物金属やパーティクル等を効率的に除去することが配線の純度、精度を保持するため特に重要であり、そのような観点から、これらの洗浄工程において本発明の洗浄剤が好適に使用される。また、既述のごとく、本発明の洗浄剤は、銅配線に対して腐蝕や酸化を生じさせることがないことから、かかる観点からも本発明の洗浄剤が好適に使用される。
また、銅配線表面に吸着した不動態膜形成剤の残渣を効率よく除去するという目的にも本発明の洗浄剤が好適に使用される。
なお、洗浄工程における不純物除去効果を確認するため、ウェハ上の異物を検出する必要があるが、本発明においては、異物を検出する装置として、Applied Materials technology社製の欠陥検査装置ComPLUS3およびApplied Materials technology社製Review SEM観察装置、SEM vision G3が好適に用いられる。
本発明の洗浄方法によれば、CMP工程を完了した半導体デバイス用基板の表面における不純物金属、基板材料、層間絶縁膜の研磨屑を含む不純物無機材料、不動態膜形成剤の残渣を含む有機材料、砥粒などのパーティクル等を効率よく除去することができ、特に、高精度の配線を要求されるデバイスや、単層基板の平坦化後、新たに層間絶縁膜、及び、配線を形成する多層配線基板などを平坦化する際に、各工程においてそれぞれの不純物を効率よく除去することが必要なデバイスの洗浄に好適である。さらに、半導体デバイス用基板が銅配線を有する場合においても、銅配線に腐蝕や酸化を生じさせることがない。
以下、実施例により本発明を説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
以下、実施例により本発明を説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
<研磨液の調製>
・コロイダルシリカ(砥粒:平均粒子径30nm) 5g/L
・ベンゾトリアゾール(BTA) 1g/L
・グリシン 10g/L
純水を加えて全量1000mLとし、硝酸及びアンモニアを用いてpHを4.5に調整した。
研磨液には、研磨直前に30%過酸化水素(酸化剤)15ml/Lを加えた。
<Cuウェハの研磨>
研磨速度評価
8inch wafer研磨
研磨装置としてラップマスター社製装置「LGP−612」を使用し、下記の条件で、スラリーを供給しながら各ウェハに設けられた膜を研磨した。
基盤:8inch SEMATECH854銅配線パターン付きシリコンウェハ
テ−ブル回転数:64rpm
ヘッド回転数:65rpm
(加工線速度=1.0m/s)
研磨圧力:140hPa
研磨パッド:ローム アンド ハース社製
品番IC−1400(K−grv)+(A21)
スラリー供給速度:200ml/分
<洗浄液の調製>
[実施例1]
・シトラコン酸:〔式(1)の有機酸〕 50.0g/L
・EDTA:キレート剤 10.0g/L
・界面活性剤:ドデシルベンゼンスルホン酸 1.0g/L
上記成分を混合して洗浄液の濃縮液を調製し、これをさらに純水で希釈して実施例1の洗浄液を得た。希釈倍率は、質量比で、洗浄液:純水=1:40とした。
[実施例2〜9、比較例1〜4]
実施例1の洗浄液の調製において、有機酸とキレート剤を下記表1の組成で混合し、下記表1の希釈倍率で希釈した他は、実施例1と同様にして、実施例2〜9、及び比較例1〜4の洗浄液を得た。
<洗浄試験>
前記研磨液を用い、前記条件で研磨した銅膜付きシリコン基板を、上記の処方により調製された実施例1〜9、及び比較例1〜4の洗浄剤を使用して洗浄することにより洗浄試験を行った。洗浄された基板を目視で確認したところ、実施例1〜9の洗浄剤を用いた場合は、いずれの基板にも腐食が見られなかった。
洗浄は、MAT社製ウェハ洗浄装置、ZAB8W2Mに内蔵しているスクラブ部でPVA製ロールブラシを接触するスクラブ洗浄をすることにより行った。洗浄液は、研磨基板上側に400ml/min、下側に400ml/minで25秒間流し、その後、純水(脱イオン水)を研磨基板上側に650ml/min、下側に500ml/minで35秒間流し、更に、上記装置に内蔵しているスピンドライ装置で30秒処理した。
<有機物残渣除去性能評価>
前記実施例1〜9(実施例1,3及び6は、参考例である。)及び比較例1〜4の各洗浄剤にて洗浄乾燥したCuウェハの表面に残る有機残渣の除去性能評価を行った。これら表面の状態の確認はApplied Materials technology社製の欠陥検査装置ComPLUS3を用い測定を行い、検出された欠陥からランダムに100個抽出し、Applied Materials technology社製Review SEM観察装置、SEM vision G3を用いてイメージ所得を行い、欠陥種類ごとに分類を行い、それぞれの欠陥種類の割合を求め、それぞれの欠陥種類についてウェハ上の個数を計算した。以下の基準で評価し、結果を下記表1に示す。
−評価基準−
◎:1cm2あたりのウェハ上の有機物残渣数が、0個以上0.1個未満
○:1cm2あたりのウェハ上の有機物残渣数が、0.1個以上1個未満
△:1cm2あたりのウェハ上の有機物残渣数が、1個以上10個未満
×:1cm2あたりのウェハ上の有機物残渣数が、10個以上
Figure 0005412661
前記表1中、「希釈倍率」欄における洗浄液と純水との比は、質量基準である。
表1からわかるように、CMP工程後に、実施例1〜9の本発明の洗浄剤を用いて洗浄した場合には、表面に付着した有機物残渣やパーティクルを効果的に洗浄、除去することができることがわかる。
他方、式(1)で表されるポリカルボン酸化合物を含まない、あるいは式(1)で表されるポリカルボン酸化合物を含んでいるがアニオン系界面活性剤を併用していない比較例1〜4の洗浄剤を用いた場合は、実施例1〜9の洗浄剤を用いた場合に比べ、有機物残渣の除去性に劣ることがわかった。
このように、実施例1〜9の洗浄剤は、Cuウェハに施された銅配線の腐蝕抑制を維持しつつ、洗浄性に優れるものであることがわかった。

Claims (3)

  1. 銅配線が施された半導体デバイスの化学的機械的研磨工程の後に用いられる洗浄剤であって、下式(1)で表されるポリカルボン酸化合物、ポリアミノカルボン酸若しくはその塩であるキレート剤およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸及びその塩であるアニオン系界面活性剤を含むことを特徴とする洗浄剤。
    Figure 0005412661
    (1)
    式中、R1は単結合またはアルキレン基を表し、
    2、R3はそれぞれ独立に、水素原子または有機基を表すか、またはR2とR3は互いに結合してR2及びR3に隣接する炭素原子と一緒に環構造を形成していてもよい。
  2. ポリアミノカルボン酸が、ジエチレントリアミン五酢酸またはエチレンジアミン四酢酸であることを特徴とする請求項に記載の洗浄剤。
  3. 銅配線が施された半導体デバイスを化学的機械的研磨する工程、及び、前記半導体デバイスを請求項1または2に記載の洗浄剤で洗浄する工程、を順次有することを特徴とする半導体デバイス表面の洗浄方法。
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