JP5412149B2 - 画像撮像装置及びそれを備えた細胞画像解析システム - Google Patents
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Description
従来、この種の分野における、ハイスループットスクリーニングを行う画像撮像装置としては、例えば、次の特許文献1に記載のものがある。
また、特許文献1に記載の画像撮像装置では、ハイスループットスクリーニングと高精細スクリーニングの両方のスクリーニングを行う場合、それぞれのスクリーニングごとに光学モジュールを切り替えるため、装置が大掛かりで、コスト高になってしまう。
また、本発明の画像撮像装置においては、前記容器が、ウェルを有するマイクロプレートであり、前記撮像対照領域が、ウェル内の1視野であるのが好ましい。
また、本発明の画像撮像装置においては、前記ハイスループットモードでの撮像は、一つのウェルの全ての前記撮像対照領域に対する撮像が終了した後に次のウェルに移動し、そのウェルの全ての前記撮像対照領域に対する撮像をすることを、指定した全てのウェルの撮像が終了するまで繰り返すのが好ましい。
本発明が対象とする画像撮像装置及びそれを備えた細胞画像解析システムは、容器に入った撮像対象としてのサンプルの画像を自動的に繰り返し取得して、サンプルより発せられる所定のシグナルを検出して、解析を行うために用いる装置及びシステムである。
また、本発明の画像撮像装置は、ハイスループットモードで撮像されたサンプルにおける全ての撮像対象領域の画像群の中から目的のシグナルを含んだ画像を自動的に抽出するために、シグナルの、例えば、光強度(輝度)、大きさ(面積)、及び形状などの所定の抽出条件に基づいて、目的とするシグナルの抽出を行うことができるように構成する。また、抽出されたシグナルの位置情報を自動的に記憶するように構成する。
また、本発明の画像撮像装置は、容器内のサンプルにおける、前記目的とするシグナルが抽出された画像における当該シグナルが抽出されて記憶された位置が撮像位置に位置するように、容器を保持するステージを移動し、容器内のサンプルにおける、前記目的とするシグナルが抽出された画像における当該シグナルが抽出された領域に対応する、当該撮像対象領域のみに対し、冷却CCDカメラの電子増倍ゲインを小さく、解像度を高く、且つ光源の露光時間を長く設定して、高精細モードで画像を撮像することができるように構成する。
光源3は、細胞サンプルを照明するための光を発する。また、光源3は、例えば、内蔵されたシャッタにより、細胞サンプルに供給する光のON、OFFを切り替えができるように構成されていて、照明するための光の露光時間の調整が可能となっている。
冷却CCDカメラ4は、光の電子増倍ゲインとビニングを内部で調整することが可能に構成されている。
画像記憶手段5は、撮像された細胞サンプルの画像を保存するように構成されている。
撮像条件設定手段6は、撮像条件設定ソフトウェア6aと、撮像条件設定入力画面6bとで構成されている。撮像条件設定入力画面6bは、撮像条件設定ソフトウェア6aの入力インタフェースを構成するとともに、取得された画像を表示するように構成されている。そして、撮像条件設定手段6は、このような構成により光源3の露光時間を設定可能となっている。
シグナル抽出条件設定手段7は、シグナル抽出条件設定ソフトウェア7a及びシグナル抽出条件設定入力画面7bとで構成されている。シグナル抽出条件設定入力画面7bは、シグナル抽出条件設定ソフトウェア7aの入力インタフェースを構成するとともに、取得された画像を表示するように構成されている。そして、シグナル抽出条件設定手段7は、このような構成により画像から目的とするシグナルを抽出するための所定の抽出条件を設定可能となっている。
シグナル抽出手段8は、画像記憶手段5に記憶された細胞サンプルにおける全ての撮像対象領域の画像群から、シグナル抽出条件設定手段7を介して設定された所定の抽出条件に基づいて、目的とするシグナルを抽出するように構成されている。
シグナル位置情報記憶手段9は、シグナル抽出手段8を介して目的とするシグナルが抽出された細胞サンプルの画像における当該シグナルの位置情報を記憶するように構成されている。
まず、作業者は、細胞サンプルを搭載した容器1をステージ2に載置する(ステップS1)。次いで、作業者は、制御ソフトウェア10を起動する(ステップS2)。次いで、作業者は、表示・入力装置23における表示画面を、表示・入力装置23の撮像条件設定入力画面6bに切り替えて、対物レンズ11を選択する(ステップS3)。次いで、作業者は、撮像条件設定入力画面6bにおいて、フィルタキューブ17を選択する(ステップS4)。
次いで、作業者は、撮像条件設定入力画面6bにおいて、ハイスループットモードで撮像を行うかどうかを決定する(ステップS5)。
制御ソフトウェア10は、ハイスループットモードで撮像を行う決定がなされた場合は、ハイスループットモードの処理に移行し(ステップS6)、ハイスループットモードで撮像を行わない決定がなされた場合は、高精細モードの処理に移行する(ステップS7)。
図3は図1に示した画像撮像装置におけるハイスループットモードでの処理シーケンスの一例を示すフローチャートである。
ハイスループットモードにおいては、まず、作業者は、撮像条件設定入力画面6bにおいて、冷却CCDカメラ4の電子増倍ゲインを高く(即ち、1×より高く)設定するとともに(ステップS11)、解像度が低くなるように、ビニングを大きく(例えば、2×2以上に)設定する(ステップS12)。
次いで、作業者は、撮像条件設定入力画面6bにおいて、シグナルの輝度が、測定レンジに入るように、光源3が発する光の露光時間と光量の調整入力を行う(ステップS13、S14)。この場合、露光時間は短く設定する。
次いで、作業者は、表示・入力装置23における表示画面を、図示しない撮像範囲設定入力画面に切り替えて、細胞サンプルの撮像範囲を決定する(ステップS15)。
次いで、作業者は、表示・入力装置23における表示画面を、シグナル抽出条件設定入力画面7bに切り替えて、ハイスループットモードで撮像された細胞サンプルにおける全ての撮像対象領域の画像群から目的とするシグナルを抽出するための所定の抽出条件を設定する(ステップS16)。
次いで、制御ソフトウェア10は、細胞サンプルにおける全ての撮像対象領域の撮像が終了後、シグナル抽出手段8を介して、撮像された細胞サンプルにおける全ての撮像対象領域の画像群から所定の抽出条件に応じた目的とするシグナルを抽出させる(ステップS18、S19)。
次いで、制御ソフトウェア10は、シグナル抽出手段8を介して目的とするシグナルが抽出された場合は、シグナル位置情報記憶手段9を介して、目的とするシグナルが抽出された細胞サンプルの画像における当該シグナルの位置を記憶させ、高精細モードに移行させる(ステップS20〜S22)。
一方、制御ソフトウェア10は、シグナル抽出手段8を介して目的とするシグナルが検出されなかった場合は、結果を表示して(ステップS20、S23)、撮像処理を終了させる。
図4は図1に示した画像撮像装置における高精細モードでの処理シーケンスの一例を示すフローチャートである。
高精細モードにおいては、まず、作業者は、撮像条件設定入力画面6bにおいて、CCDカメラの電子増倍ゲインを低く(即ち、1×に)設定するとともに(ステップS31)、解像度が高くなるように、ビニングを小さく(即ち、1×1に)設定する(ステップS32)。
次いで、作業者は、撮像条件設定入力画面6bにおいて、シグナルの輝度が、測定レンジに入るように、光源3が発する光の露光時間と光量の調整入力を行う(ステップS33、S34)。この場合、露光時間は長く設定する。
ハイスプールモードでの撮像を行っている場合には、ハイスループットモードにおいて抽出しシグナル位置情報記憶手段9に記憶されたシグナルの位置情報を自動的に読み込む(ステップS36)。一方、ハイスプールモードでの撮像を行っていない場合(高精細モードのみの場合)は、自動的に撮像領域を設定する(ステップS37)。
次いで、制御ソフトウェア10は、電動ステージ2、電動レボルバ24、電動フィルタターレット25、冷却CCDカメラ4、光源3を駆動して、撮像を開始させる(ステップS38)。
次いで、制御ソフトウェア10は、全ての撮像領域の撮像が終了後、撮像を終了する。
その後、作業者が、表示・入力装置23における表示画面を画像解析指示入力画面19に切り替えて解析指示入力を行うことにより、あるいは制御ソフトウェア10の制御により、画像解析ソフトウェア18が起動して、シグナルが抽出された画像の解析を行う(ステップS39〜S41)。
図5は図1に示した画像撮像装置における撮像動作シーケンスの一例を示すフローチャートである。
まず、制御ソフトウェア10は、撮像条件設定入力画面6bにおいて設定された撮像条件を読み込み(ステップS41)、電動レボルバ24と電動フィルタターレット25を介して、対物レンズ11とフィルタキューブ17を撮像条件に合致したものに切り替えさせる(ステップS42、S43)。
次いで、制御ソフトウェア10は、電動ステージ2を、細胞サンプルの所定撮像対象領域が撮像位置に位置するように、XY方向に移動させる(ステップS44)。そして、細胞サンプルの所定撮像対象領域が撮像位置に位置したとき、電動ステージ2を停止させる。
次いで、制御ソフトウェア10は、自動焦点検出システム12及び電動レボルバ24を介して、撮像位置に位置する細胞サンプルの所定撮像対象領域に対する対物レンズ11の焦点合わせを行わせる(ステップS45)。
次いで、制御ソフトウェア10は、光源3を介してシャッタを開かせて、撮像条件設定入力画面6bにおいて設定された輝度で光を照射させ(ステップS46)、冷却CCDカメラ4を介して撮像を行わせ(ステップS47)、設定された露光時間に到達したときに光源3を介してシャッタを閉じさせる(ステップS48)。
次いで、制御ソフトウェア10は、撮像された細胞サンプルの当該撮像対象領域の画像を、画像記憶手段5に記憶させる(ステップS49)。これらのステップS44〜S49の動作を細胞サンプルの全ての撮像対象領域に対する撮像が終了するまで繰り返す(ステップS50)。
なお、電子増倍ゲインを高くすると、少ない光量でも明るく撮像することが可能となる反面、バックグラウンドの光も同時に増幅されてノイズが大きくなる。このため、細胞サンプルにおける目的とする撮像対象領域に対しては、ノイズの少ない画像を撮像するために、電子増倍ゲインを小さく設定することが必要となる。
実施例1
図6は本発明の実施例1にかかる画像撮像装置及びそれを用いた細胞画像解析システムの全体構成を示す説明図である。なお、図1と構成が同じ部材については同じ符号を付し詳細な説明は省略する。
実施例1の画像撮像装置は、例えば、オリンパス社製IX81のような、倒立タイプの顕微鏡とパソコンを組み合わせて構成されている。
詳しくは、実施例1の画像撮像装置は、細胞サンプルを搭載する容器1と、電動ステージ2と、光源3と、冷却CCDカメラ4と、パソコン21と、表示・入力装置23を有する。パソコン21は、図1に示した画像記憶手段5、撮像条件設定手段6における撮像条件設定ソフトウェア6a、シグナル抽出条件設定手段7におけるシグナル抽出条件設定ソフトウェア7a、シグナル抽出手段8、シグナル位置情報記憶手段9、制御ソフトウェア10、画像解析手段22における画像解析ソフトウェア18(これらは、いずれも図6において図示省略)と同様の構成要素を備えている。表示・入力装置23は、図1に示した撮像条件設定手段6における撮像条件設定入力画面6b、シグナル抽出条件設定入力画面7b、画像解析手段22における画像解析指示入力画面19、及び図1において図示省略した撮像範囲設定入力画面(これらは、いずれも図6において図示省略)と同様の画面を切り替え可能に備えている。
また、制御ソフトウェア(図1における制御ソフトウェア10と同様のソフトウェア。図6において図示省略)は、光源3の駆動、顕微鏡制御装置26を介した、電動ステージ2、電動レボルバ24、電動フィルタターレット25の駆動、及びカメラ制御装置27を介した、冷却CCDカメラ4の駆動を制御するように構成されている。
また、実施例1の画像撮像装置は、図1に示した自動焦点合わせシステム12と同様の自動焦点合わせシステム(図6において図示省略)を備えている。
光源3は、150Wキセノンランプ又は150W水銀キセノンランプで構成されている。なお、光源3は、LEDやレーザーで構成してもよい。光源3からの光は、ライトガイド13を介して、顕微鏡光学系に伝達される。伝達された光は、フィルタキューブ17に備えられている励起フィルタ14によって、波長が限定されて通過し、ダイクロイックミラー16を介して細胞サンプル側に反射され、対物レンズ11を経て、細胞サンプルに照射される。細胞サンプルで発せられた蛍光は、対物レンズ11を経て、ダイクロイックミラー16を通過し、蛍光フィルタ15を介して、波長が限定されて冷却CCDカメラ4に入射する。
実施例1の画像撮像装置のように、励起フィルタ14とダイクロイックミラー16と蛍光フィルタ15を、ユニットとして一体化したフィルタキューブ17として構成すると、使い易いので望ましい。
フィルタキューブ17は、電動フィルタターレット25を介して切り替えをすることができるようになっている。
電動レボルバ24は、対物レンズ11の切り替えを行うとともに、図1に示した自動焦点合わせシステム12と同様の自動焦点合わせシステム(図6において図示省略)を介して対物レンズ11と容器1との距離を自動的に制御して、焦点合わせを行うことができるようになっている。
また、電動ステージ2と電動レボルバ24と電動フィルタターレット25は、顕微鏡制御装置26を介して制御されている。
制御ソフトウェア(図1に示した制御ソフトウェア10と同様のソフトウェア)、解析ソフトウェア(図1に示した解析ソフトウェア18と同様のソフトウェア)は、パソコン21によって起動され、また、各入力画面(撮像条件設定入力画面、シグナル抽出条件設定入力画面、撮像範囲設定入力画面、画像解析指示入力画面)、撮像された画像は、表示・入力装置23に表示されるようになっている。
図7は実施例1の画像撮像装置における撮像条件設定入力画面の一例を示す図、図8は実施例1の画像撮像装置における撮像範囲設定入力画面の一例を示す図、図9は実施例1の画像撮像装置におけるシグナル抽出条件設定入力画面の一例を示す図である。
高精細モード設定項目6b−4は、冷却CCDカメラ4の電子増倍ゲインを設定するための増倍ゲイン設定ボタン6b−4a、冷却CCDカメラ4のビニングを設定するためのビニング選択ボタン6b−4b、光源3の露光時間を設定するための露光時間選択ボタン6b−4c、光源3からの光の輝度を設定する強度設定ボタン6b−4dを有している。
ハイスループットモード設定項目6b−5は、冷却CCDカメラ4の電子増倍ゲインを設定するための増倍ゲイン設定ボタン6b−5a、冷却CCDカメラ4のビニングを設定するためのビニング選択ボタン6b−5b、光源3の露光時間を設定するための露光時間選択ボタン6b−5c、光源3からの光の輝度を設定する強度設定ボタン6b−5dを有している。なお、ハイスループットモード設定項目6b−5は、モード選択フィールド6b−3において、ハイスループットモードの選択がなされたときに入力が可能となるように、撮像条件設定ソフトウェア(図1に示した撮像条件設定ソフトウェア6aと同様のソフトウェア)を介して制御されている。
処理開始指示ボタン30aは、クリックされたときに制御ソフトウェアに対して撮像処理の開始を指示する機能を有する。
処理開始指示ボタン30bは、クリックされたときに制御ソフトウェアに対して撮像処理の中止を指示する機能を有する。
撮像範囲設定入力画面切替タブ31bは、クリックされたときに撮像範囲設定入力画面(図8)に切り替える機能を備えている。
シグナル抽出条件設定入力画面切替タブ31cは、クリックされたときにシグナル抽出条件設定入力画面(図9)に切り替える機能を備えている。
撮像範囲設定項目28−1は、列方向スキャン範囲設定フィールド28−1aと、行方向スキャン範囲設定フィールド28−1bと、フルスキャン設定フィールド28−1cと、列方向スキャンピッチ設定フィールド28−1dと、行方向スキャンピッチ設定フィールド28−1eを有している。
列方向スキャン範囲設定フィールド28−1aは、一つの細胞サンプル搭載領域における列方向の撮像範囲を列方向における視野数(スキャン回数)で設定可能に構成されている。
行方向スキャン範囲設定フィールド28−1bは、一つの細胞サンプル搭載領域における行方向の撮像範囲を行方向における視野数(スキャン回数)で設定可能に構成されている。
フルスキャン設定フィールド28−1cは、一つの細胞サンプル搭載領域における全範囲を撮像範囲とする設定(フルスキャンの設定)の要否を選択可能に構成されている。なお、制御ソフトウェアは、フルスキャン設定フィールド28−1cにおいてフルスキャンの設定がなされたときには、列方向スキャン設定フィールド28−1a、行方向スキャン設定フィールド28−1bにおける入力を無視するように構成されている。
列方向スキャンピッチ設定フィールド28−1dは、一つの細胞サンプル搭載領域において一回のスキャン範囲を構成する列方向の視野とその隣の視野のピッチ間距離を設定可能に構成されている。
行方向スキャンピッチ設定フィールド28−1eは、一つの細胞サンプル搭載領域において一回のスキャン範囲を構成する行方向の視野とその隣の視野のピッチ間距離を設定可能に構成されている。
なお、一視野の大きさは、対物レンズの倍率によって自動的に決まる。
撮像対象選択項目28−3は、容器選択ボタン28−2において選択された容器1における全ての細胞サンプルの搭載領域をマトリクス状に表示するとともに、撮像を所望する搭載領域を任意に選択可能に構成されている。
視野表示項目28−4は、撮像範囲設定項目28−1において設定された数値に基づいて、容器1における細胞サンプルの一つの搭載領域を複数の視野に線で区分けした状態で表示するように構成されている。
撮像条件設定入力画面切替タブ31aは、クリックされたときに撮像条件設定入力画面(図7)に切り替える機能を備えている。
シグナル抽出条件設定入力画面切替タブ31cは、クリックされたときにシグナル抽出条件設定入力画面(図9)に切り替える機能を備えている。
シグナルの大きさ(面積)入力項目7b−1は、最小サイズ入力フィールド7b−1aと、最大サイズ入力フィールド7b−1bを有している。
シグナルの輝度入力項目7b−2は、最小輝度入力フィールド7b−2aと、最大輝度入力フィールド7b−2bを有している。
シグナルの形状設定項目7b−3は、形状選択ボタン7b−3aと、閾値入力フィールド7b−3bを有している。
撮像条件設定入力画面切替タブ31aは、クリックされたときに撮像条件設定入力画面(図7)に切り替える機能を備えている。
撮像範囲設定入力画面切替タブ31bは、クリックされたときに撮像範囲設定入力画面(図8)に切り替える機能を備えている。
遊離がん細胞は、がん組織から遊離して血液中を循環し、他の転移する可能性があるがん細胞である。血液中のCTCの数をカウントすることにより、がんであるかどうかの判定や薬剤の効果の検証に使用することができる。CTCは、乳がん患者でも血液7mL中に数個しかなく、画像による細胞のカウントを行うためには、ウェル領域をくまなく撮像して、CTCがあるかどうか探す必要がある。
CTCの大きさは200μm以下であり、染色して光る抗体の大きさは、それ以下である。このため、一つのウェルにおける大部分の領域を観察するような4×や10×程度の倍率の対物レンズを用いたのでは、CTCを見逃してしまうおそれがある。そこで、CTCの検査においては、対物レンズの倍率は、20×が最適とされている。
次いで、作業者は、HER2を染色した細胞サンプルを、96穴マイクロプレートに分注する。
次いで、作業者は、細胞サンプルが分注された96穴マイクロプレートを電動ステージ2に取り付ける。
次いで、作業者は、制御ソフトウェア10のインタフェースをとるために、夫々の画面切替タブ31a,31b,31cを介して、図7に示した撮像条件設定入力画面、図8に示した撮像範囲設定入力画面、図9に示したシグナル抽出条件設定入力画面に順次切り替えて、所定の入力及び設定を行う。
次いで、作業者は、高精細の撮像条件を設定するために、増倍ゲイン設定ボタン6b−4a、ビニング選択ボタン6b−4bを介して、冷却CCDカメラ4の電子増倍ゲインを1×、ビニングを1×1に設定するとともに、露光時間選択ボタン6b−4c、強度設定ボタン6b−4dを介して、光源3の露光時間を1000ms、輝度を10%に設定する。
次いで、作業者は、モード選択フィールド6b−3にチェックを入れて、ハイスループットモードの撮像条件を設定する。そして、作業者は、増倍ゲイン設定ボタン6b−5a、ビニング選択ボタン6b−5bを介して、冷却CCDカメラ4の電子増倍ゲインを1000×、ビニングを4×4に設定するとともに、露光時間選択ボタン6b−5c、強度設定ボタン6b−5dを介して、光源3の露光時間を10ms、輝度を10%に設定する。
図8に示した撮像範囲設定入力画面において、まず、作業者は、96穴マイクロウェルプレートの全範囲を撮像するために、フルスキャン設定フィールド28−1cに、チェックを入れて、フルスキャンを設定する。次いで、作業者は、容器選択ボタン28−2を介して、96穴マイクロプレートを選択する。
フルスキャンが設定された場合、制御ソフトウェアは、冷却CCDカメラ3の視野範囲でもって、一つのウェルを隙間無く、撮像できるように、列方向及び行方向のスキャンピッチを自動的に設定する。
本検査例においてフルスキャンの設定を行ったところ、一つのウェルにおける視野数は、230であった。
次いで、作業者は、撮像対象選択項目28−3を介して、96穴マイクロプレートにおける96ウェル全てに対して撮像が行われるように、全てのウェルを”Scan”に設定した。
図9に示したシグナル抽出条件設定入力画面において、作業者は、シグナルの大きさ(面積)入力項目7b−1における最小サイズ入力フィールド7b−1a、最大サイズ入力フィールド7b−1bを介して、シグナルの大きさ(面積)の抽出条件に関し、抽出条件に合致するシグナルの最小サイズを200ピクセル、最大サイズを2500ピクセルに設定する。
また、作業者は、シグナルの輝度入力フィールド7b−2における最小輝度入力フィールド7b−2a、最大輝度入力フィールド7b−2bを介して、輝度の抽出条件に関し、抽出条件に合致するシグナルの最小輝度を50、最大輝度を4000に設定する。
また、作業者は、シグナルの形状設定項目7b−3における楕円度選択ボタン7b−3a、閾値入力フィールド7b−3bを介して、形状の抽出条件に関し、Elongation(楕円度)(Sin―1(短辺/長辺))が20を超えるシグナルを抽出するように設定する。
すると、制御ソフトウェアが、まず、ハイスループットモードの条件でもって、図8に示されているA1ウェルから順に撮像処理を開始させる。撮像動作のシーケンスは、図5に示した撮像動作シーケンスと略同じである。
これらの繰り返し動作は、まず、一つのウェルに対して行う。一つのウェル内の細胞サンプルにおける全ての撮像対象領域の撮像が終了したときには、電動ステージ2を介して次のウェルが撮像位置に位置するように移動させて同様の繰り返し動作を行う。そして、全てのウェルの撮影が終わるまで同様の動作を繰り返す。
次いで、制御ソフトウェアは、シグナル抽出手段を介して目的とするシグナルが抽出された場合は、シグナル位置情報記憶手段を介して、目的とするシグナルが抽出された細胞サンプルの画像における当該シグナルの位置を記憶させる。
図10は実施例1の画像撮像装置における冷却CCDカメラ4を介して撮像された一つのウェルにおける各スキャン範囲の画像を一つのウェル内の配置のとおりに隙間無く重ね合わせた、ウェルの全体画像を示す模式図である。図10中、四角で囲まれた領域は1視野、丸で囲まれたオブジェクトは一つのシグナルを示している。
図11は実施例1の画像撮像装置において、シグナル抽出条件によってシグナルが抽出された一つのスキャン範囲の画像を示す模式図である。図11中、丸いオブジェクトは抽出されたシグナルである。
次いで、制御ソフトウェアは、取得した位置情報に対応する当該ウェル内の細胞サンプルの当該撮像対象領域のみを対象として、作業者により図7に示した撮像条件設定入力画面の高精細モード設定項目6b−4に設定されている高精細モードでの撮像条件に基づいて、撮像処理を開始させる。撮像動作のシーケンスは、シグナルが抽出された画像の位置情報に対応するウェル内の細胞サンプルの当該撮像対象領域のみを撮像対象とする点を除いては、図5に示した撮像動作シーケンスと略同じである。
高精細モードで、一つのウェルに対し、冷却CCD撮像カメラ4の電子倍増ゲイン1×、カメラビニング1×1、光源3の露光時間1000msで、230視野の全ての撮像を行うと、20分を要した。96ウェル全ての領域を撮影するためには、32時間必要であった。
画像記憶領域の容量は、一つのウェル当たり580Mバイト要し、96ウェルで56Gバイト必要であった。
画像記憶領域の容量は、一つのウェルあたり36MB必要で、96ウェルでは、3.5Gバイト必要であった。各ウェル平均して1視野に特定のシグナルが含まれていたとして、シグナル全てを高精細モードで撮影を行った場合12分必要である。合計して撮像にかかる時間は(26時間+12分)26時間12分必要である。画像の記憶容量は、250Mバイト必要であった。容量は、合計して3.75Gバイト必要である。
また、露光時間が短縮されたことにより、細胞の退色の影響が軽減できた。
さらに、高精細モードとハイスループットモードの両方のモードに対し、共通の顕微鏡光学系を用いることができるので、その分、従来の画像撮像装置のように装置が大掛かりにならずに済み、製造コストも抑えることができた。
2 電動ステージ
3 光源
4 冷却CCDカメラ
5 画像記憶手段
6 撮像条件設定手段
6a 撮像条件設定ソフトウェア
6b 撮像条件設定入力画面
6b−1 対物レンズ選択ボタン
6b−2 フィルタキューブ選択ボタン
6b−3 モード選択フィールド
6b−4 高精細モード設定項目
6b−4a 増倍ゲイン設定ボタン
6b−4b ビニング選択ボタン
6b−4c 露光時間選択ボタン
6b−4d 強度設定ボタン
6b−5 ハイスループットモード設定項目
6b−5a 増倍ゲイン設定ボタン
6b−5b ビニング選択ボタン
6b−5c 露光時間選択ボタン
6b−5d 強度設定ボタン
7 シグナル抽出条件設定手段
7a シグナル抽出条件設定ソフトウェア
7b シグナル抽出条件設定入力画面
7b−1 シグナルの大きさ(面積)入力項目
7b−1a 最小サイズ入力フィールド
7b−1b 最大サイズ入力フィールド
7b−2 シグナルの輝度入力項目
7b−2a 最小輝度入力フィールド
7b−2b 最大輝度入力フィールド
7b−3 シグナルの形状設定項目
7b−3a 形状選択ボタン
7b−3b 閾値入力フィールド
8 シグナル抽出手段
9 シグナル位置情報記憶手段
10 制御ソフトウェア
11 対物レンズ
12 自動焦点合わせシステム
13 ライトガイド
14 励起フィルタ
15 蛍光フィルタ
16 ダイクロイックミラー
17 フィルタキューブ
18 画像解析ソフトウェア
19 画像解析指示入力画面
20 顕微鏡光学系
21 コンピュータ(パソコン)
22 画像解析手段
23 表示・入力装置
24 電動レボルバ
25 電動フィルタターレット
26 顕微鏡制御装置
27 カメラ制御装置
28−1 撮像範囲設定項目
28−1a 列方向スキャン範囲設定フィールド
28−1b 行方向スキャン範囲設定フィールド
28−1c フルスキャン設定フィールド
28−1d 列方向スキャンピッチ設定フィールド
28−1e 行方向スキャンピッチ設定フィールド
28−2 容器選択ボタン
28−3 撮像対象選択項目
28−4 視野表示項目
29 画像表示領域
30a 処理開始指示ボタン
30b 処理中止指示ボタン
31a 撮像条件設定入力画面切替タブ
31b 撮像範囲設定入力画面切替タブ
31c シグナル抽出条件設定入力画面切替タブ
Claims (7)
- 容器に搭載されたサンプルの画像を自動的に撮像し、解析を行うための画像撮像装置であって、
容器内のサンプルにおける全ての撮像対象領域に対し、冷却CCDカメラの電子増倍ゲインを高く、解像度を低く、且つ光源の露光時間を短くして、ハイスループットモードでの撮像を行うとともに、該ハイスループットモードで撮像された該サンプルにおける全ての撮像対象領域の画像群から所定の抽出条件に基づいて、目的とするシグナルの抽出を行い、次いで、容器内のサンプルにおける、該目的とするシグナルが抽出された画像における当該シグナルが抽出された領域に対応する、当該撮像対象領域のみに対し、冷却CCDカメラの電子増倍ゲインを低く、解像度を高く、且つ光源の露光時間を長くして、高精細モードでの撮像を行うことができるように構成されていることを特徴とする画像撮像装置。 - 細胞サンプルを搭載する容器と、
前記容器を保持し、且つXY方向に移動可能な電動ステージと、
電子増倍ゲインとビニングの調整が可能な冷却CCDカメラと、
前記細胞サンプルを照明するための光を発し、且つ該照明するための光の露光時間の調整が可能な光源と、
前記冷却CCDカメラの電子増倍ゲイン及びビニングと、前記光源の露光時間を設定可能な撮像条件設定手段と、
画像から目的とするシグナルを抽出するための所定の抽出条件を設定可能なシグナル抽出条件設定手段と、
前記冷却CCDカメラを介して撮像された前記容器内の細胞サンプルおける全ての撮像対象領域の画像を記憶する画像記憶手段と、
前記画像記憶手段に記憶された前記細胞サンプルにおける全ての撮像対象領域の画像群から、前記シグナル抽出条件設定手段を介して設定された前記所定の抽出条件に基づいて、目的とするシグナルを抽出するシグナル抽出手段と、
前記シグナル抽出手段を介して前記目的とするシグナルが抽出された前記細胞サンプルの画像における当該シグナルの位置情報を記憶するシグナル位置情報記憶手段と、
前記電動ステージ、前記光源、前記冷却CCDカメラ、前記画像記憶手段、前記シグナル抽出手段、及び前記シグナル位置情報記憶手段の駆動を制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、
前記撮像条件設定手段を介して電子増倍ゲインが高く、解像度が低く、且つ露光時間が短く設定されたときに、前記容器内の細胞サンプルにおける全ての撮像対象領域が撮像位置に位置するように、前記電動ステージを移動させながら、該容器内の細胞サンプルにおける全ての撮像対象領域に対し、前記冷却CCDカメラの電子増倍ゲインを高く、解像度を低く、且つ前記光源の露光時間を短くして、ハイスループットモードでの撮像を行わせるとともに、該ハイスループットモードで撮像された画像を前記画像記憶手段に記憶させ、
次いで、前記シグナル抽出手段を介して、前記ハイスループットモードで撮像されて前記画像記憶手段に記憶された前記細胞サンプルにおける全ての撮像対象領域の画像群から、前記シグナル抽出条件設定手段を介して設定された前記所定の抽出条件に基づいて、目的とするシグナルの抽出を行わせるとともに、前記シグナル位置情報記憶手段を介して、前記目的とするシグナルが抽出された前記細胞サンプルの画像における当該シグナルの位置情報を記憶させ、
その後、前記撮像条件設定手段を介して電子増倍ゲインが低く、解像度が高く、且つ露光時間が長く設定されたときに、前記シグナル位置情報記憶手段を介して記憶された、前記目的とするシグナルが抽出された前記細胞サンプルの画像における当該シグナルの位置情報に基づいて、前記容器内の細胞サンプルにおける、当該シグナルの位置情報に対応する当該撮像対象領域のみが撮像位置に位置するように前記電動ステージを移動させながら、該容器内の細胞サンプルにおける、当該撮像対象領域のみに対し、前記冷却CCDカメラの電子増倍ゲインを低く、解像度を高く、且つ前記光源の露光時間を長くして、高精細モードでの撮像を行わせるとともに、該高精細モードで撮像された画像を前記画像記憶手段に記憶させる、
ことを特徴とする画像撮像装置。 - 前記所定の抽出条件を構成するパラメータが、光強度(輝度)、大きさ(面積)、及び形状であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の画像撮像装置。
- 前記容器が、ウェルプレート、スライドガラス、又はディッシュであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像撮像装置。
- 請求項2、又は請求項2に従属する請求項3もしくは4に記載の画像撮像装置と、
前記高精細モードで撮像されて前記画像記憶手段に記憶された細胞サンプルの画像を用いて所定の解析を行う画像解析ソフトウェア
を備えたことを特徴とする細胞画像解析システム。 - 前記容器が、ウェルを有するマイクロプレートであり、前記撮像対照領域が、ウェル内の1視野である請求項1〜3のいずれかに記載の画像撮像装置。
- 前記ハイスループットモードでの撮像は、一つのウェルの全ての前記撮像対照領域に対する撮像が終了した後に次のウェルに移動し、そのウェルの全ての前記撮像対照領域に対する撮像をすることを、指定した全てのウェルの撮像が終了するまで繰り返す請求項6に記載の画像撮像装置。
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