JP5409729B2 - ハイブリッド車両の制御装置および制御方法 - Google Patents
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Description
本発明は、動力源としての内燃機関および電動機と、有段式の変速機構とを備えたハイブリッド車両において、内燃機関、電動機および変速機構の動作を制御するハイブリッド車両の制御装置および制御方法に関する。
従来、ハイブリッド車両の制御装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。このハイブリッド車両は、内燃機関および電気モータを動力源として備えており、これらの内燃機関および電気モータのトルクは、有段式の変速機構を介して、駆動輪に伝達される。この制御装置では、ハイブリッド車両の走行中、運転者のアクセルペダル操作によって、駆動輪に要求される要求駆動力が増大したときに、燃費を向上させるべく、同文献の図6に示す制御が実行される。その場合、電気モータのトルク増大のみによって、要求駆動力を達成できないときには、内燃機関の運転領域が同文献の図5の4つの領域A〜Dのいずれにあるかに応じて、原動機協調制御A〜Dおよび変速機のダウンシフト制御が実行される(ステップ110〜170)。
上記従来のハイブリッド車両の制御装置によれば、内燃機関の運転領域が図5のマップ検索によって決定されており、このマップは、内燃機関の燃料消費率を加味して作成されているので、前述した各種の制御によって、内燃機関側の燃料消費率を抑制することは可能である。しかし、電気モータ側の効率などが加味されていないので、例えば、電気モータの動力のみで走行する場合、内燃機関側の燃料消費率が低くても、電気モータ側の効率が低い条件下での制御を実行することで、結果的に、ハイブリッド車両の走行中に内燃機関で消費される燃料が増大し、燃費が悪化するおそれがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ハイブリッド車両を内燃機関の動力や電動機および内燃機関の動力で走行させる場合において、燃料消費を抑制することができ、燃費を向上させることができるハイブリッド車両の制御装置および制御方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内燃機関3と、発電可能な電動機4と、電動機4との間で電力を授受可能な蓄電器(バッテリ52)と、内燃機関3の機関出力軸(クランク軸3a)および電動機4からの動力を第1入力軸13に伝達し、複数の変速段のいずれか1つで変速した状態で駆動輪DWに伝達可能な第1変速機構11と、機関出力軸からの動力を第2入力軸32に伝達し、複数の変速段のいずれか1つで変速した状態で駆動輪DWに伝達可能な第2変速機構31と、機関出力軸と第1変速機構11との間を係合可能な第1クラッチC1と、機関出力軸と第2変速機構31との間を係合可能な第2クラッチC2とを有するハイブリッド車両Vの制御装置1において、第1変速機構11および第2変速機構31の任意の変速段で内燃機関3を燃料の消費度合が最小になるように運転したときの発生トルクとハイブリッド車両Vに要求されている要求トルクTRQとの差分を電動機4による回生動作/力行動作によって吸収/補充する場合の燃料の消費度合を表す消費度合パラメータ(エンジン燃料消費量FC_eng、充電燃料消費量FC_ch、アシスト燃料消費量FC_asst)を、蓄電器への現時点までの充電効率を反映させた充電量である過去充電量(過去平均充電量ENE_chave)および蓄電器に充電された充電量を使用すると予測したときの効率である予測効率Ehatの一方を用いて、第1変速機構11および第2変速機構31の変速段ごとに算出する消費度合パラメータ算出手段(ECU2、ステップ2)と、要求トルクTRQおよびハイブリッド車両Vの車速VPに応じて、変速段ごとに算出された消費度合パラメータが表す消費度合のうちの最小値に対応する走行モードを選択して実行する走行モード実行手段(ECU2、ステップ2〜4)と、を備え、内燃機関3の動力は、第1変速機構11の変速段および第2変速機構31の変速段を介して駆動輪DWに伝達されるとともに、電動機4の動力は、第1変速機構11の変速段を介して駆動輪DWに伝達されるように構成されており、消費度合パラメータ算出手段は、内燃機関3および電動機4の双方の動力によってハイブリッド車両Vを走行させる走行モードでの消費度合パラメータ(充電燃料消費量FC_ch、アシスト燃料消費量FC_asst)を算出するときに、内燃機関3の動力伝達が第2変速機構31の変速段で実行されるときには、電動機4の動力伝達が第2変速機構31の変速段の上下の第1変速機構11の変速段で実行されるときの消費度合パラメータを算出することを特徴とする。
このハイブリッド車両の制御装置によれば、要求トルクおよびハイブリッド車両の車速に応じて、変速段ごとに算出された消費度合パラメータが表す燃料の消費度合のうちの最小値に対応する走行モードが選択して実行される。この場合、消費度合パラメータは、第1変速機構および第2変速機構の任意の変速段で内燃機関を燃料の消費度合が最小になるように運転したときの発生トルクとハイブリッド車両に要求されている要求トルクとの差分を電動機による回生動作/力行動作によって吸収/補充する場合の燃料の消費度合を表す値であり、第1変速機構および第2変速機構の変速段ごとに算出されるので、内燃機関および電動機の動力によってハイブリッド車両を走行させるとき、または内燃機関の動力によってハイブリッド車両を走行させながら、充電器への充電を実行するときに、燃料の消費度合が最小となる値として変速段ごとに算出される。これに加えて、消費度合パラメータは、蓄電器への現時点までの充電効率を反映させた充電量である過去充電量、および蓄電器に充電された充電量を使用すると予測したときの効率である予測効率の一方を用いて算出されるので、現時点までの充電効率や蓄電器の電力を将来的に使用すると予測したときの効率を反映させながら算出することができ、それにより、消費度合パラメータを精度よく算出することができる。したがって、以上のように、変速段ごとに算出された消費度合パラメータのうちの最小値に対応する走行モードを実行することによって、燃料消費を抑制することができ、燃費を向上させることができる(なお、本明細書における「消費度合パラメータ」は、燃料の消費度合を表す値であればよく、例えば、燃料消費量や、燃料消費率、ハイブリッド車両全体での総合効率などを含む)。
さらに、内燃機関および電動機の双方の動力によってハイブリッド車両を走行させる走行モードでの消費度合パラメータを算出する場合、内燃機関の動力伝達が第2変速機構の変速段で実行されるときには、電動機の動力伝達が第2変速機構の変速段の上下の第1変速機構の変速段で実行されるときの消費度合パラメータも算出されるので、内燃機関の動力を伝達する変速段と、電動機の動力を伝達する変速段との実際の組み合わせに対応して、消費度合パラメータをきめ細かく算出することができる。それにより、燃料消費をさらに抑制することができ、燃費をさらに向上させることができる。
さらに、内燃機関および電動機の双方の動力によってハイブリッド車両を走行させる走行モードでの消費度合パラメータを算出する場合、内燃機関の動力伝達が第2変速機構の変速段で実行されるときには、電動機の動力伝達が第2変速機構の変速段の上下の第1変速機構の変速段で実行されるときの消費度合パラメータも算出されるので、内燃機関の動力を伝達する変速段と、電動機の動力を伝達する変速段との実際の組み合わせに対応して、消費度合パラメータをきめ細かく算出することができる。それにより、燃料消費をさらに抑制することができ、燃費をさらに向上させることができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、蓄電器(バッテリ52)の温度として蓄電器温度(バッテリ温度TB)を検出する蓄電器温度検出手段(バッテリ温度センサ63)と、電動機4の温度として電動機温度を検出する電動機温度検出手段(モータ温度センサ)と、蓄電器温度(バッテリ温度TB)が第1所定温度以上であること、および電動機温度が第2所定温度以上であることの少なくとも一方が成立しているときに、電動機4の駆動時の出力を制限する制限手段(ECU2)と、をさらに備えることを特徴とする。
このハイブリッド車両の制御装置によれば、蓄電器温度が第1所定温度以上であること、および電動機温度が第2所定温度以上であることの少なくとも一方が成立しているときに、電動機の駆動時の出力が制限されるので、蓄電器および/または電動機が過昇温状態になるのを回避でき、それにより、蓄電器および/または電動機の寿命を延ばすことができる。
請求項3に係る発明は、請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、蓄電器(バッテリ52)における充電量(充電状態SOC)を検出する充電量検出手段(ECU2、電流電圧センサ62)と、充電量が所定量以下であるときに、電動機4による蓄電器への充電動作の実行時間が長くなるように、内燃機関3、電動機4および変速機構11,31,71の動作を補正する補正手段(ECU2)と、をさらに備えることを特徴とする。
このハイブリッド車両の制御装置によれば、充電量が所定量以下であるときに、電動機による蓄電器への充電動作の実行時間が長くなるように、内燃機関、電動機および変速機構の動作が補正されるので、蓄電器における充電量不足を迅速に回避することができる。
請求項4に係る発明は、請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、ハイブリッド車両Vには、ハイブリッド車両Vが走行している周辺の道路情報を表すデータを記憶するカーナビゲーションシステム66が設けられており、カーナビゲーションシステム66に記憶されたデータに基づき、ハイブリッド車両Vの走行状況を予測する予測手段(ECU2)をさらに備え、走行モード選択手段は、予測されたハイブリッド車両Vの走行状況にさらに応じて、走行モードを選択することを特徴とする。
このハイブリッド車両の制御装置によれば、ハイブリッド車両の走行状況が、ハイブリッド車両が走行している周辺の道路情報を表すデータに基づき、予測手段によって予測されるとともに、予測されたハイブリッド車両の走行状況に応じて、走行モードが選択されるので、ハイブリッド車両の走行状況に適した走行モードを選択することができる。それにより、ハイブリッド車両全体での総合効率をさらに向上させることができ、燃費をさらに向上させることができる。
請求項5に係る発明は、請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、蓄電器(バッテリ52)における充電量(充電状態SOC)を検出する充電量検出手段(ECU2、電流電圧センサ62)と、充電量が所定の下限値以下であるときに、内燃機関3の運転停止を禁止すること、および内燃機関3の運転を所定時間継続することの一方を実行する機関制御手段(ECU2)と、をさらに備えることを特徴とする。
このハイブリッド車両の制御装置によれば、充電量が所定の下限値以下であるときに、内燃機関の運転停止を禁止すること、および内燃機関の運転を所定時間継続することの一方が実行されるので、蓄電器が過放電状態になるのを回避でき、それにより、蓄電器の寿命を延ばすことができる。
請求項6に係る発明は、請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、蓄電器(バッテリ52)における充電量(充電状態SOC)を検出する充電量検出手段(ECU2、電流電圧センサ62)と、充電量が所定値以下であるときに、内燃機関3によって電動機4を駆動する充電制御を実行する充電制御手段(ECU2)と、をさらに備えることを特徴とする。
このハイブリッド車両の制御装置によれば、充電量が所定値以下であるときに、内燃機関3によって電動機4を駆動する充電制御が実行されるので、蓄電器における充電量不足を迅速に回避することができる。
請求項7に係る発明は、請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、予測効率Ehatは、蓄電器(バッテリ52)の充放電効率Ebat_cd、電動機4の駆動効率Emot_dおよび変速機構の駆動効率Etm_dを用いて算出されることを特徴とする。
このハイブリッド車両の制御装置によれば、予測効率が、蓄電器の充放電効率、電動機の駆動効率および変速機構の駆動効率を用いて算出されるので、蓄電器に充電された電力が将来的に動力として使用されるときの効率を精度よく予測した値として算出することができる。それにより、消費度合パラメータの算出精度をさらに向上させることができ、燃費をさらに向上させることができる。
請求項8に係る発明は、内燃機関3と、発電可能な電動機4と、電動機4との間で電力を授受可能な蓄電器(バッテリ52)と、内燃機関3の機関出力軸(クランク軸3a)および電動機4からの動力を第1入力軸13で受け取り、複数の変速段のいずれか1つで変速した状態で駆動輪DWに伝達可能な第1変速機構11と、機関出力軸からの動力を第2入力軸32で受け取り、複数の変速段のいずれか1つで変速した状態で駆動輪DWに伝達可能な第2変速機構31と、機関出力軸と第1変速機構11との間を係合可能な第1クラッチC1と、機関出力軸と第2変速機構31との間を係合可能な第2クラッチC2とを有するハイブリッド車両Vの制御方法において、第1変速機構11および第2変速機構31の任意の変速段で内燃機関3を燃料の消費度合が最小になるように運転したときの発生トルクとハイブリッド車両Vに要求されている要求トルクTRQとの差分を電動機4による回生動作/力行動作によって吸収/補充する場合の燃料の消費度合を表す消費度合パラメータ(充電燃料消費量FC_ch、アシスト燃料消費量FC_asst)を、蓄電器への現時点までの充電効率を反映させた充電量である過去充電量(過去平均充電量ENE_chave)および蓄電器に充電された充電量を使用すると予測したときの効率である予測効率Ehatの一方を用いて、第1変速機構11および第2変速機構31の変速段ごとに算出し、要求トルクTRQおよびハイブリッド車両Vの車速VPに応じて、変速段ごとに算出された消費度合パラメータが表す燃料の消費度合のうちの最小値に対応する走行モードを選択して実行し、内燃機関3の動力は、第1変速機構11の変速段および第2変速機構31の変速段を介して駆動輪DWに伝達されるとともに、電動機4の動力は、第1変速機構11の変速段を介して駆動輪DWに伝達されるように構成されており、内燃機関3および電動機4の双方の動力によってハイブリッド車両Vを走行させる走行モードでの消費度合パラメータ(充電燃料消費量FC_ch、アシスト燃料消費量FC_asst)を算出するときに、内燃機関3の動力伝達が第2変速機構31の変速段で実行されるときには、電動機4の動力伝達が第2変速機構31の変速段の上下の第1変速機構11の変速段で実行されるときの消費度合パラメータを算出することを特徴とする。
このハイブリッド車両の制御方法によれば、請求項1に係る発明と同じ作用効果を達成可能な制御方法を提供することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両の制御装置について説明する。図1に示すハイブリッド車両Vは、一対の駆動輪DW(一方のみ図示)および一対の従動輪(図示せず)などから成る四輪車両であり、動力源としての内燃機関(以下「エンジン」という)3および電動機4を備えている。エンジン3は、複数の気筒を有するガソリンエンジンであり、機関出力軸としてのクランク軸3aを有している。エンジン3の燃料噴射量、燃料噴射時期および点火時期などは、図2に示す制御装置1のECU2によって制御される。なお、エンジン3として、軽油や、天然ガス、エタノール、ガソリンを他の燃料に混ぜた混合燃料などを燃料するものを用いてもよい。
電動機(以下「モータ」という)4は、いわゆるモータジェネレータである、一般的な1ロータタイプのブラシレスDCモータであり、固定されたステータ4aと、回転自在のロータ4bを有している。このステータ4aは、回転磁界を発生させるためのものであり、鉄心や三相コイルで構成されている。また、ステータ4aは、車両に固定されたケーシングCAに取り付けられるとともに、パワードライブユニット(以下「PDU」という)51を介して、充電および放電可能なバッテリ52に電気的に接続されている。このPDU51は、インバータなどの電気回路によって構成されており、ECU2に電気的に接続されている(図2参照)。上記のロータ4bは、磁石などで構成されており、ステータ4aに対向するように配置されている。なお、モータ4として、発電可能なACモータを用いてもよい。
以上の構成のモータ4では、ECU2によるPDU51の制御によって、バッテリ52からPDU51を介してステータ4aに電力が供給されると、回転磁界が発生し、それに伴い、この電力が動力に変換され、ロータ4bが回転する。また、ステータ4aを適宜制御することによって、ロータ4bに伝達される動力が制御される。
また、ステータ4aへの電力供給を停止した状態で、動力の入力によりロータ4bが回転しているときに、ECU2によるPDU51の制御によって、回転磁界が発生し、それに伴い、ロータ4bに入力された動力が電力に変換され、発電が行われる。この場合、ステータ4aで発電される電力が制御されることによって、ロータ4bに伝達される動力が制御される。
さらに、ハイブリッド車両Vは、エンジン3およびモータ4の動力を車両の駆動輪DWに伝達するための駆動力伝達装置を備えており、この駆動力伝達装置は、第1変速機構11および第2変速機構31などから成るデュアルクラッチトランスミッションを有している。
第1変速機構11は、入力された動力を、1速段、3速段、5速段および7速段の1つにより変速して駆動輪DWに伝達するものである。これらの1速段〜7速段の変速比は、その段数が大きいほど、より高速側に設定されている。具体的には、第1変速機構11は、エンジン3のクランク軸3aと同軸に配置された第1クラッチC1、遊星歯車装置12、第1入力軸13、3速ギヤ14、5速ギヤ15および7速ギヤ16を有している。
第1クラッチC1は、乾式多板クラッチであり、クランク軸3aに一体に取り付けられたアウターC1aと、第1入力軸13の一端部に一体に取り付けられたインナーC1bなどで構成されている。第1クラッチC1は、ECU2によって制御され、締結状態では、クランク軸3aに第1入力軸13を係合させる一方、解放状態ではこの係合を解除し、両者13,3aの間を遮断する。なお、第1クラッチC1として、湿式クラッチタイプのものを用いてもよい。
遊星歯車装置12は、シングルプラネタリ式のものであり、サンギヤ12aと、このサンギヤ12aの外周に回転自在に設けられた、サンギヤ12aよりも歯数の多いリングギヤ12bと、両ギヤ12a,12bに噛み合う複数(例えば3つ)のプラネタリギヤ12c(2つのみ図示)と、プラネタリギヤ12cを回転自在に支持する回転自在のキャリア12dとを有している。
サンギヤ12aは、第1入力軸13の他端部に一体に取り付けられている。第1入力軸13の他端部にはさらに、前述したモータ4のロータ4bが一体に取り付けられており、第1入力軸13は、軸受け(図示せず)に回転自在に支持されている。以上の構成により、第1入力軸13、サンギヤ12aおよびロータ4bは、互いに一体に回転する。
また、リングギヤ12bには、ロック機構BRが設けられている。このロック機構BRは、電磁式のものであり、ECU2によりON/OFFされ、ON状態のときに、リングギヤ12bを回転不能に保持するとともに、OFF状態のときに、リングギヤ12bの回転を許容する。なお、ロック機構BRとして、シンクロクラッチなどが用いてもよい。
キャリア12dは、中空の回転軸17に一体に取り付けられている。回転軸17は、第1入力軸13の外側に相対的に回転自在に配置されるとともに、軸受け(図示せず)に回転自在に支持されている。
3速ギヤ14は、回転軸17に一体に取り付けられており、回転軸17およびキャリア12dと一体に回転自在である。また、5速ギヤ15および7速ギヤ16は、第1入力軸13に回転自在に設けられている。さらに、これらの3速ギヤ14、7速ギヤ16および5速ギヤ15は、遊星歯車装置12と第1クラッチC1の間に、この順で並んでいる。
また、第1入力軸13には、第1シンクロクラッチS1および第2シンクロクラッチS2が設けられている。第1シンクロクラッチS1は、スリーブS1a、シフトフォークおよびアクチュエータ(いずれも図示せず)を有している。第1シンクロクラッチS1は、ECU2による制御により、スリーブS1aを第1入力軸13の軸線方向に移動させることによって、3速ギヤ14または7速ギヤ16を、第1入力軸13に選択的に係合させる。
第2シンクロクラッチS2は、第1シンクロクラッチS1と同様に構成されており、ECU2による制御により、スリーブS2aを第1入力軸13の軸線方向に移動させることによって、5速ギヤ15を第1入力軸13に係合させる。
また、3速ギヤ14、5速ギヤ15および7速ギヤ16には、第1受動ギヤ18、第2受動ギヤ19および第3受動ギヤ20がそれぞれ噛み合っており、これらの第1〜第3受動ギヤ18〜20は、出力軸21に一体に取り付けられている。出力軸21は、軸受け(図示せず)に回転自在に支持されており、第1入力軸13と平行に配置されている。また、出力軸21には、ギヤ21aが一体に取り付けられており、このギヤ21aは、差動装置を有するファイナルギヤFGのギヤに噛み合っている。出力軸21は、これらのギヤ21aやファイナルギヤFGを介して、駆動輪DWに連結されている。
以上の構成の第1変速機構11では、遊星歯車装置12、3速ギヤ14および第1受動ギヤ18によって1速段および3速段のギヤ段が構成され、5速ギヤ15および第2受動ギヤ19によって5速段のギヤ段が、7速ギヤ16および第3受動ギヤ20によって7速段のギヤ段が、それぞれ構成されている。また、クランク軸3aから第1入力軸13に入力された動力は、これらの1速段、3速段、5速段および7速段の1つによって変速され、出力軸21、ギヤ21aおよびファイナルギヤFGを介して駆動輪DWに伝達される。
前述した第2変速機構31は、入力された動力を、2速段、4速段および6速段の1つにより変速して駆動輪DWに伝達するものである。これらの2速段〜6速段の変速比は、その段数が大きいほど、より高速側に設定されている。具体的には、第2変速機構31は、第2クラッチC2、第2入力軸32、第2入力中間軸33、2速ギヤ34、4速ギヤ35および6速ギヤ36を有しており、第2クラッチC2および第2入力軸32は、クランク軸3aと同軸状に配置されている。
第2クラッチC2は、第1クラッチC1と同様、乾式多板クラッチであり、クランク軸3aに一体に取り付けられたアウターC2aと、第2入力軸32の一端部に一体に取り付けられたインナーC2bで構成されている。第2クラッチC2は、ECU2によって制御され、締結状態では、クランク軸3aに第2入力軸32を係合させる一方、解放状態ではこの係合を解除し、軸32と軸3aとの間を遮断する。
第2入力軸32は、中空状に形成され、第1入力軸13の外側に相対的に回転自在に配置されるとともに、軸受け(図示せず)に回転自在に支持されている。また、第2入力軸32の他端部には、ギヤ32aが一体に取り付けられている。
第2入力中間軸33は、軸受け(図示せず)に回転自在に支持されており、第2入力軸32および前述した出力軸21と平行に配置されている。第2入力中間軸33には、ギヤ33aが一体に取り付けられており、ギヤ33aには、アイドラギヤ37が噛み合っている。アイドラギヤ37は、第2入力軸32のギヤ32aに噛み合っている。なお、図1では、図示の便宜上、アイドラギヤ37は、ギヤ32aから離れた位置に描かれている。第2入力中間軸33は、これらのギヤ33a、アイドラギヤ37およびギヤ32aを介して、第2入力軸32に連結されている。
2速ギヤ34、6速ギヤ36および4速ギヤ35は、第2入力中間軸33に回転自在に設けられ、この順で並んでおり、前述した第1受動ギヤ18、第3受動ギヤ20および第2受動ギヤ19にそれぞれ噛み合っている。さらに、第2入力中間軸33には、第3シンクロクラッチS3および第4シンクロクラッチS4が設けられている。両シンクロクラッチS3およびS4は、第1シンクロクラッチS1と同様に構成されている。
第3シンクロクラッチS3は、ECU2による制御により、そのスリーブS3aを第2入力中間軸33の軸線方向に移動させることによって、2速ギヤ34または6速ギヤ36を、第2入力中間軸33に選択的に係合させる。第4シンクロクラッチS4は、ECU2による制御により、そのスリーブS4aを第2入力中間軸33の軸線方向に移動させることによって、4速ギヤ35を第2入力中間軸33に係合させる。
以上の構成の第2変速機構31では、2速ギヤ34および第1受動ギヤ18によって2速段のギヤ段が構成され、4速ギヤ35および第2受動ギヤ19によって4速段のギヤ段が、6速ギヤ36および第3受動ギヤ20によって6速段のギヤ段が、それぞれ構成されている。また、第2入力軸32に入力された動力は、ギヤ32a、アイドラギヤ37およびギヤ33aを介して第2入力中間軸33に伝達され、第2入力中間軸33に伝達された動力は、これらの2速段、4速段および6速段の1つによって変速され、出力軸21、ギヤ21aおよびファイナルギヤFGを介して駆動輪DWに伝達される。
以上のように、第1および第2変速機構11,31では、変速された動力を駆動輪DWに伝達するための出力軸21が共用化されている。
また、駆動力伝達装置には、リバース機構41が設けられており、リバース機構41は、リバース軸42と、リバースギヤ43と、スリーブ5aを有する第5シンクロクラッチS5を備えている。ハイブリッド車両Vを更新させる場合には、ECU2による制御によって、スリーブ5aをリバース軸42の軸線方向に移動させることによって、リバースギヤ43をリバース軸42に係合させる。
さらに、図2に示すように、ECU2には、クランク角センサ61から、CRK信号が入力される。このCRK信号は、エンジン3のクランク軸3aの回転に伴い、所定のクランク角ごとに出力されるパルス信号である。ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン回転数NEを算出する。また、ECU2には、電流電圧センサ62から、バッテリ52に入出力される電流・電圧値を表す検出信号が、入力される。ECU2は、この検出信号に基づいて、バッテリ52の充電状態SOC(充電量)を算出する。
さらに、ECU2には、バッテリ温度センサ63から、バッテリ52の温度(以下「バッテリ温度」という)TBを表す検出信号が入力される。また、ECU2には、アクセル開度センサ64から車両の図示しないアクセルペダルの踏み込み量であるアクセル開度APを表す検出信号が、車速センサ65から車速VP(走行状態パラメータ)を表す検出信号が、入力される。また、ECU2には、カーナビゲーションシステム66から、ハイブリッド車両Vが走行している周辺の道路情報を表すデータが入力される。
ECU2は、I/Oインターフェース、CPU、RAM、EEPROMおよびROMなどからなるマイクロコンピュータで構成されており、上述した各種のセンサ61〜65からの検出信号、RAM内のデータ、EEPROM内のデータおよびROM内のデータなどに応じて、ハイブリッド車両Vの動作を制御する。また、ECU2には、カーナビゲーションシステム66に記憶された、走行中のハイブリッド車両Vの周辺における道路情報を表すデータが適宜、入力される。
なお、本実施形態では、ECU2が、消費度合パラメータ算出手段、走行モード実行手段、機関駆動エネルギ算出手段、充電エネルギ算出手段および充電消費度合パラメータ算出手段に相当する。
以上の構成のハイブリッド車両Vの運転モード(走行モード)には、エンジン走行モード、EV走行モード、アシスト走行モードおよび充電走行モードなどが含まれている。各運転モードにおけるハイブリッド車両Vの動作は、ECU2によって制御される。以下、これらの運転モードについて順に説明する。
[エンジン走行モード]
エンジン走行モードは、エンジン3のみを動力源として用いる運転モードである。エンジン走行モードでは、エンジン3の燃料噴射量、燃料噴射時期および点火時期を制御することによって、エンジン3の動力(以下「エンジン動力」という)が制御される。また、エンジン動力は、第1または第2変速機構11,31により変速され、駆動輪DWに伝達される。
エンジン走行モードは、エンジン3のみを動力源として用いる運転モードである。エンジン走行モードでは、エンジン3の燃料噴射量、燃料噴射時期および点火時期を制御することによって、エンジン3の動力(以下「エンジン動力」という)が制御される。また、エンジン動力は、第1または第2変速機構11,31により変速され、駆動輪DWに伝達される。
まず、第1変速機構11により1速段、3速段、5速段および7速段の1つでエンジン動力を変速して駆動輪DWに伝達する場合の動作について、順に説明する。この場合、上記のいずれの変速段においても、第1クラッチC1を締結状態に制御することによって、第1入力軸13をクランク軸3aに係合させるとともに、第2クラッチC2を解放状態に制御することによって、クランク軸3aへの第2入力軸33の係合を解除する。また、第5シンクロクラッチS5の制御によって、リバース軸42に対するリバースギヤ43の係合を解除する。
1速段の場合には、ロック機構BRをON状態に制御することによって、リングギヤ12bを回転不能に保持するとともに、第1および第2シンクロクラッチS1,S2によって、第1入力軸13に対する3速ギヤ14、5速ギヤ15および7速ギヤ16の係合を解除する。
以上により、エンジン動力は、第1クラッチC1、第1入力軸13、サンギヤ12a、プラネタリギヤ12c、キャリア12d、回転軸17、3速ギヤ14および第1受動ギヤ18を介して、出力軸21に伝達され、さらにギヤ21aおよびファイナルギヤFGを介して、駆動輪DWに伝達される。その際、上記のようにリングギヤ12bが回転不能に保持されているため、第1入力軸13に伝達されたエンジン動力は、サンギヤ12aとリングギヤ12bとの歯数比に応じた変速比で減速された後、キャリア12dに伝達され、さらに、3速ギヤ14と第1受動ギヤ18との歯数比に応じた変速比で減速された後、出力軸21に伝達される。その結果、エンジン動力は、上記の2つの変速比によって定まる1速段の変速比で変速され、駆動輪DWに伝達される。
3速段の場合には、ロック機構BRをOFF状態に制御することによって、リングギヤ12bの回転を許容するとともに、第1および第2シンクロクラッチS1,S2の制御によって、3速ギヤ14のみを第1入力軸13に係合させる。
以上により、エンジン動力は、第1入力軸13から3速ギヤ14および第1受動ギヤ18を介して、出力軸21に伝達される。この場合、上記のように3速ギヤ14が第1入力軸13に係合しているため、サンギヤ12a、キャリア12dおよびリングギヤ12bは一体に空転する。このため、3速段の場合には、1速段の場合と異なり、エンジン動力は、遊星歯車装置12で減速されることなく、3速ギヤ14と第1受動ギヤ18との歯数比によって定まる3速段の変速比で変速され、駆動輪DWに伝達される。
5速段の場合には、3速段の場合と同様、ロック機構BRの制御によってリングギヤ12bの回転を許容するとともに、第1および第2シンクロクラッチS1,S2の制御によって、5速ギヤ15のみを第1入力軸13に係合させる。
以上により、エンジン動力は、第1入力軸13から5速ギヤ15および第2受動ギヤ19を介して、出力軸21に伝達される。この場合にも、3速段の場合と同様、遊星歯車装置12の減速機能は発揮されず、エンジン動力は、5速ギヤ15と第2受動ギヤ19との歯数比によって定まる5速段の変速比で変速され、駆動輪DWに伝達される。
7速段の場合には、5速段の場合と同様、ロック機構BRの制御によってリングギヤ12bの回転を許容するとともに、第1および第2シンクロクラッチS1,S2の制御によって、7速ギヤ16のみを第1入力軸13に係合させる。
以上により、エンジン動力は、第1入力軸13から7速ギヤ16および第3受動ギヤ20を介して、出力軸21に伝達される。この場合にも、遊星歯車装置12の減速機能は発揮されず、エンジン動力は、7速ギヤ16と第3受動ギヤ20との歯数比によって定まる7速段の変速比で変速され、駆動輪DWに伝達される。
次に、エンジン動力を第2変速機構31により2速段、4速段および6速段の1つで変速して駆動輪DWに伝達する場合の動作について、順に説明する。この場合、これらのいずれの変速段においても、第1クラッチC1を解放状態に制御することによって、クランク軸3aへの第1入力軸13の係合を解除するとともに、第2クラッチC2を締結状態に制御することによって、第2入力軸32をクランク軸3aに係合させる。また、第5シンクロクラッチS5の制御によって、リバース軸42に対するリバースギヤ43の係合を解除する。
2速段の場合には、第3および第4シンクロクラッチS3,S4の制御によって、2速ギヤ34のみを第2入力中間軸33に係合させる。これにより、エンジン動力は、第2クラッチC2、第2入力軸32、ギヤ32a、アイドラギヤ37、ギヤ33a、第2入力中間軸33、2速ギヤ34および第1受動ギヤ18を介して、出力軸21に伝達され、さらにギヤ21aおよびファイナルギヤFGを介して、駆動輪DWに伝達される。その際、エンジン動力は、2速ギヤ34と第1受動ギヤ18との歯数比によって定まる2速段の変速比で変速され、駆動輪DWに伝達される。
4速段の場合には、第3および第4シンクロクラッチS3,S4の制御によって、4速ギヤ35のみを第2入力中間軸33に係合させる。これにより、エンジン動力は、第2入力中間軸33から4速ギヤ35および第2受動ギヤ19を介して、出力軸21に伝達される。その際、エンジン動力は、4速ギヤ35と第2受動ギヤ19との歯数比によって定まる4速段の変速比で変速され、駆動輪DWに伝達される。
6速段の場合には、第3および第4シンクロクラッチS3,S4の制御によって、6速ギヤ36のみを第2入力中間軸33に係合させる。これにより、エンジン動力は、第2入力中間軸33から6速ギヤ36および第3受動ギヤ20を介して、出力軸21に伝達される。その際、エンジン動力は、6速ギヤ36と第3受動ギヤ20との歯数比に応じて定まる6速段の変速比で変速され、駆動輪DWに伝達される。
なお、エンジン走行モード中、第1および第2変速機構11,31の変速段は、エンジン3で良好な燃費が得られるように設定される。
[EV走行モード]
EV走行モードは、モータ4のみを動力源として用いる運転モードである。EV走行モードでは、バッテリ51からモータ4に供給される電力を制御することによって、モータ4の動力(以下「モータ動力」という)が制御される。また、モータ動力が、第1変速機構11により1速段、3速段、5速段および7速段の1つで変速され、駆動輪DWに伝達される。この場合、これらのいずれの変速段においても、第1および第2クラッチC1,C2を解放状態に制御することによって、クランク軸3aに対する第1および第2入力軸13,32の係合を解除する。これにより、モータ4および駆動輪DWとエンジン3との間が遮断されるので、モータ動力がエンジン3に無駄に伝達されることがない。また、第5シンクロクラッチS5の制御によって、リバース軸42に対するリバースギヤ43の係合を解除する。
EV走行モードは、モータ4のみを動力源として用いる運転モードである。EV走行モードでは、バッテリ51からモータ4に供給される電力を制御することによって、モータ4の動力(以下「モータ動力」という)が制御される。また、モータ動力が、第1変速機構11により1速段、3速段、5速段および7速段の1つで変速され、駆動輪DWに伝達される。この場合、これらのいずれの変速段においても、第1および第2クラッチC1,C2を解放状態に制御することによって、クランク軸3aに対する第1および第2入力軸13,32の係合を解除する。これにより、モータ4および駆動輪DWとエンジン3との間が遮断されるので、モータ動力がエンジン3に無駄に伝達されることがない。また、第5シンクロクラッチS5の制御によって、リバース軸42に対するリバースギヤ43の係合を解除する。
1速段の場合には、エンジン走行モードの場合と同様、ロック機構BRをON状態に制御することによって、リングギヤ12bを回転不能に保持するとともに、第1および第2シンクロクラッチS1,S2の制御によって、第1入力軸13に対する3速ギヤ14、5速ギヤ15および7速ギヤ16の係合を解除する。
以上により、モータ動力は、第1入力軸、サンギヤ12a、プラネタリギヤ12c、キャリア12d、回転軸17、3速ギヤ14および第1ギヤ18を介して、出力軸21に伝達される。その結果、モータ動力は、エンジン走行モードの場合と同様、1速段の変速比で変速され、駆動輪DWに伝達される。
3速段の場合には、エンジン走行モードの場合と同様、ロック機構BRをOFF状態に制御することによって、リングギヤ12bの回転を許容するとともに、第1および第2シンクロクラッチS1,S2の制御によって、3速ギヤ14のみを第1入力軸13に係合させる。これにより、モータ動力は、第1入力軸13から、3速ギヤ14および第1受動ギヤ18を介して、出力軸21に伝達される。その結果、モータ動力は、エンジン走行モードの場合と同様、3速段の変速比で変速され、駆動輪DWに伝達される。
5速段または7速段の場合には、エンジン走行モードの場合と同様にして、ロック機構BR、第1および第2シンクロクラッチS1,S2を制御する。これにより、モータ動力は、5速段または7速段の変速比で変速され、駆動輪DWに伝達される。
なお、後述するように、EV走行モード中、第1変速機構11の変速段は、ハイブリッド車両V全体として高い効率(すなわちモータ4の高い駆動効率)が得られるように、設定される。
[アシスト走行モード]
アシスト走行モードは、エンジン3をモータ4でアシストする運転モードである。アシスト走行モードでは、後述するように、エンジン3の正味燃料消費率BSFCが最小になるように(すなわちエンジン3の良好な燃費が得られるように)、エンジン3のトルク(以下「エンジントルク」という)が制御される。また、運転者から駆動輪DWに要求されるトルク(以下「要求トルク」という)TRQに対するエンジントルクの不足分が、モータ4のトルク(以下「モータトルク」という)によって補われる。この要求トルクTRQ(ハイブリッド車両の走行状態)は、後述するように、アクセル開度APに応じて算出される。
アシスト走行モードは、エンジン3をモータ4でアシストする運転モードである。アシスト走行モードでは、後述するように、エンジン3の正味燃料消費率BSFCが最小になるように(すなわちエンジン3の良好な燃費が得られるように)、エンジン3のトルク(以下「エンジントルク」という)が制御される。また、運転者から駆動輪DWに要求されるトルク(以下「要求トルク」という)TRQに対するエンジントルクの不足分が、モータ4のトルク(以下「モータトルク」という)によって補われる。この要求トルクTRQ(ハイブリッド車両の走行状態)は、後述するように、アクセル開度APに応じて算出される。
この場合、エンジン動力を第1変速機構11によって駆動輪DWに伝達しているとき(すなわち奇数段のとき)には、モータ4と駆動輪DWとの変速比は、第1変速機構11で設定されている変速段の変速比と同じになる。一方、エンジン動力を第2変速機構31によって駆動輪DWに伝達しているとき(すなわち偶数段のとき)には、モータ4と駆動輪DWとの変速比は、第1変速機構11の1速段、3速段、5速段または7速段のいずれかの変速比を選択することが可能である。
[充電走行モード]
充電走行モードは、エンジン動力の一部をモータ4で電力に変換し、発電を行うとともに、発電した電力をバッテリ52に充電する運転モードである。充電走行モードでは、後述するように、エンジン3の正味燃料消費率BSFCが最小になるように(すなわちエンジン3の良好な燃費が得られるように)、エンジントルクが制御される。また、要求トルクTRQに対するエンジントルクの余剰分を用いて、モータ4で発電が実行され、発電された電力がバッテリ52に充電される。
充電走行モードは、エンジン動力の一部をモータ4で電力に変換し、発電を行うとともに、発電した電力をバッテリ52に充電する運転モードである。充電走行モードでは、後述するように、エンジン3の正味燃料消費率BSFCが最小になるように(すなわちエンジン3の良好な燃費が得られるように)、エンジントルクが制御される。また、要求トルクTRQに対するエンジントルクの余剰分を用いて、モータ4で発電が実行され、発電された電力がバッテリ52に充電される。
この場合、アシスト走行モードの場合と同様、エンジン動力を第1変速機構11によって駆動輪DWに伝達しているとき(すなわち奇数段のとき)には、モータ4と駆動輪DWとの変速比は、第1変速機構11の変速段の変速比と同じになる。また、エンジン動力を第2変速機構31によって駆動輪DWに伝達しているとき(すなわち偶数段のとき)には、モータ4と駆動輪DWとの変速比は、第1変速機構11の1速段、3速段、5速段または7速段のいずれかの変速比を選択することが可能である。
なお、充電走行モード中、エンジン動力を第2変速機構31によって駆動輪DWに伝達する場合において、モータ4と駆動輪DWとの変速比をエンジン3と駆動輪DWとの変速比と同じ値に制御するときには、第1クラッチC1により第1入力軸13をクランク軸3aに係合させる。これにより、エンジン動力の一部が、第1クラッチC1および第1入力軸13を介してモータ4のロータ4bに伝達される。
次に、図3を参照しながら、ECU2によって実行される走行制御処理について説明する。なお、以下の説明において算出される各種の値は、その一部がECU2のEEPROM内に記憶され、残りがRAM内に記憶されるものとする。この走行制御処理は、ハイブリッド車両Vの走行モードおよび変速段を決定(選択)し、それに基づいて、エンジン3、モータ4および2つの変速機構11,31の動作を制御するものであり、ハイブリッド車両Vの運転中において、EV走行モードの実行条件が成立しておらずかつ運転者によってアクセルペダルが踏まれている状態のときに、所定の制御周期(例えば10msec)で実行される。
同図に示すように、まず、ステップ1(図では「S1」と略す。以下同じ)で、アクセル開度APに応じて、図示しないマップを検索することにより、要求トルクTRQを算出する。この場合、要求トルクTRQは、アクセル開度APが大きいほど、より大きい値になるように算出される。
次いで、ステップ2に進み、燃料消費量の算出処理を実行する。この燃料消費量は、動力を発生するために動力源全体(すなわちエンジン3および/またはモータ4)に供給されたと想定される動力源エネルギが、走行エネルギ(すなわち駆動輪DWを駆動するエネルギ)や、走行エネルギおよびバッテリ52に充電される電気エネルギに変換される効率を燃料消費量に換算した値に相当し、具体的には、以下に述べる各種の燃料消費量の算出用マップを検索することによって算出される。
この場合、燃料消費量の算出用マップとしては、エンジン走行モードでの燃料消費量(以下「エンジン燃料消費量」という)FC_engの算出用マップと、アシスト走行モードでの燃料消費量(以下「アシスト燃料消費量」という)FC_asstおよび充電走行モードでの燃料消費量(以下「充電燃料消費量」という)FC_chの算出用マップとが準備されている。なお、本実施形態では、エンジン燃料消費量FC_eng、アシスト燃料消費量FC_asstおよび充電燃料消費量FC_chが消費度合パラメータに相当する。
まず、エンジン燃料消費量FC_engの算出用マップについて説明する。この場合、エンジン燃料消費量FC_engの算出用マップとしては、エンジン動力を1〜7速段を介して駆動輪DWに伝達するときの、1〜7速段用のマップが準備されており、これらのマップはECU2のROM内に記憶されている。これらのマップでは、エンジン燃料消費量FC_engは、要求トルクTRQを満たすトルクをエンジン3が発生するときの最少の燃料消費量に設定されている。なお、以下の説明では、エンジン燃料消費量FC_engの算出用マップにおいて、1〜7速段用のものをそれぞれ、「E1〜E7算出用マップ」という。以上のエンジン燃料消費量FC_engのE1〜E7算出用マップにおけるマップ値は、実際の測定結果に基づいてマッピングした値に設定されている。
この場合、例えば、エンジン燃料消費量FC_engのE3算出用マップは図4に示すものとなる。同図において、エンジン燃料消費量FC_engは、ハッチングの荒い領域の方が、細かい領域よりも燃料消費量が少なくなるように設定されており、この点は以下に述べる各種のマップにおいても同様である。エンジン燃料消費量FC_engのE3算出用マップは以上のように構成されており、これ以外のエンジン燃料消費量FC_engの算出用マップは図示しないが、E3算出用マップと同じ手法によって作成されている。
前述したステップ2では、以上のエンジン燃料消費量FC_engの1〜7速段用のマップを、要求トルクTRQおよび車速VPに応じて検索することにより、1〜7速段のいずれかの変速段でのエンジン燃料消費量FC_engが算出される。この場合、要求トルクTRQおよび車速VPの領域によっては、エンジン燃料消費量FC_engのマップ値が存在しないマップがあり、その場合には、エンジン燃料消費量FC_engは算出されない。
なお、エンジン燃料消費量FC_engの1〜7速段用のマップにおけるマップ値を以下に述べる算出手法で算出した値に予め設定してもよく、ハイブリッド車両Vの運転中に、以下の算出手法を所定周期で実行し、その算出結果を用いてマップ値を更新するようにしてもよい。
まず、エンジン燃料消費量FC_engは、エンジン走行総合効率TE_engを燃料消費量に換算した値に相当する。このエンジン走行総合効率TE_engは、エンジン走行モードのときのハイブリッド車両V全体での効率であり、ハイブリッド車両Vの走行エネルギと前述した動力源エネルギとの比として算出される。したがって、エンジン走行総合効率TE_engは、下式(1)のように定義される。
この式(1)において、ENE_eng1は、機関燃料エネルギであり、エンジン3での燃料の燃焼に起因して発生するエネルギ、すなわち燃料消費量をエネルギ換算した値に相当する。また、ENE_eng2は、機関駆動エネルギであり、機関燃料エネルギが駆動輪DWに伝達された値である。
この場合、機関駆動エネルギENE_eng2は、下式(2)によって算出される。
この式(2)において、Eengは機関効率であり、エンジン回転数NEなどのエンジン運転状態に応じて算出される。また、Etm_dは、変速機構の駆動効率であり、変速段に応じて算出される。
この式(2)を上式(1)に代入すると、下式(3)が得られる。すなわち、エンジン走行総合効率TE_engは、機関効率Eengと変速機構の駆動効率Etm_dとの積として算出される。
したがって、この式(3)を用い、車速VP、変速段および要求トルクTRQに応じて、エンジン走行総合効率TE_engを算出し、それらの算出値を燃料消費量に換算することによって、エンジン燃料消費量FC_engの1〜7速段用マップにおけるマップ値を算出することができる。
次に、前述したアシスト燃料消費量FC_asstおよび充電燃料消費量FC_chの算出用のマップについて説明する。以下の説明では、アシスト燃料消費量FC_asstおよび充電燃料消費量FC_chの算出用マップにおいて、例えば、エンジン動力を1速段を介して駆動輪DWに伝達しかつモータ4と駆動輪DWとの間での動力伝達を1速段を介して実行するときのものを「E1M1算出用マップ」と呼び、エンジン動力を2速段を介して駆動輪DWに伝達しかつモータ4と駆動輪DWとの間での動力伝達を1速段を介して実行するときのものを「E2M1算出用マップ」と呼ぶ。
ここで、アシスト走行モード中または充電走行モード中においては、前述したように、変速機構11,31の構造上の理由により、エンジン動力を奇数変速段を介して駆動輪DWに伝達するときには、モータ4と駆動輪DWとの間での動力伝達は同じ奇数変速段を介して実行可能である。一方、エンジン動力を偶数変速段を介して駆動輪DWに伝達するときには、モータ4と駆動輪DWとの間での動力伝達は、4つの奇数変速段のいずれか1つを介して実行可能である。そのため、アシスト燃料消費量FC_asstおよび充電燃料消費量FC_chの算出用マップとしては、全部で16種類のマップ、具体的には、E1M1算出用マップ、E2Mi算出用マップ(i=1,3,5,7)、E3M3算出用マップ、E4Mi算出用マップ、E5M5算出用マップ、E6Mi算出用マップおよびE7M7算出用マップが準備されており、これらのマップは、ECU2内のEEPROM内に記憶されている。
この場合、例えば、E3M3算出用マップは具体的には図5に示すものとなる。同図に示すように、このマップでは、エンジン3の発生トルクが要求トルクTRQを満たすときの最小の正味燃料消費率BSFCが得られる運転ポイントを結んだライン(言い換えれば最少燃料消費量ライン)を間にして、上側の領域がアシスト燃料消費量FC_asstの算出用マップになっており、下側の領域が充電燃料消費量FC_chの算出用マップになっている。このマップは、アシスト燃料消費量FC_asstのみを算出するためのE3M3算出用マップと、充電燃料消費量FC_chのみを算出するためのE3M3算出用マップとを予め作成した後、両者のうちの燃料消費量の少ない部分(すなわち効率の高い部分)を残すように作成される。E3M3算出用マップは以上のように構成されており、これ以外のアシスト燃料消費量FC_asstおよび充電燃料消費量FC_chの算出用マップは図示しないが、このE3M3算出用マップと同じ手法によって作成されている。
前述した図3のステップ2では、以上の16種類のマップを、要求トルクTRQおよび車速VPに応じて検索することにより、前述したEjMi(j=1〜7,i=1,3,5,7)を変速段とするアシスト燃料消費量FC_asstまたは充電燃料消費量FC_chが算出される。この場合、要求トルクTRQおよび車速VPの領域によっては、2つの燃料消費量FC_asst,FC_chのマップ値が存在しないマップがあり、その場合には、2つの燃料消費量FC_asst,FC_chは算出されない。
なお、以上のアシスト燃料消費量FC_asstおよび充電燃料消費量FC_chの算出用マップのマップ値は、以下に述べる算出手法で算出した値に設定されている。まず、充電燃料消費量FC_chのマップ値の算出手法について説明する。この充電燃料消費量FC_chは、充電走行総合効率TE_chを燃料消費量に換算した値に相当する。この充電走行総合効率TE_chは、充電走行モードのときのハイブリッド車両V全体の効率であり、充電走行モードのときの、ハイブリッド車両Vの走行エネルギおよびバッテリ52に充電される電気エネルギの和と、前述した動力源エネルギとの比として算出される。したがって、充電走行総合効率TE_chは、下式(4)のように定義される。
また、駆動充電エネルギENE_mot2(電動機駆動エネルギ)は、充電走行モードのときには、駆動輪DWおよびモータ4を介してバッテリ52に充電される電気エネルギ(充電エネルギ)であり、下式(5)に示すように定義することができる。
この式(5)において、Etm_cは変速機構の充電効率であり、変速段に応じて算出される。また、Emot_c,Emot_dはそれぞれ、モータ充電効率およびモータ駆動効率であり、変速段、車速VPおよび要求トルクTRQに応じて算出される。さらに、Ebat_cdは、バッテリ52の充放電効率であり、充電状態SOCに応じて算出される。なお、本実施形態では、モータ駆動効率Emot_dが電動機の駆動効率に、バッテリ52の充放電効率Ebat_cdが蓄電器の充放電効率にそれぞれ相当する。
したがって、この式(7)を用いて、充電走行総合効率TE_chを算出し、それらの算出値を燃料消費量に換算することによって、前述した16種類のマップ(E1M1算出用マップ〜E7M7算出用マップ)における充電燃料消費量FC_chのマップ値を算出することができる。その場合、式(7)の各パラメータは具体的には以下のように算出される。
すなわち、機関燃料エネルギENE_eng1は、車速VPおよび変速段に応じて、最小の正味燃料消費率BSFCが得られるようなエンジントルク(以下「最適燃費トルク」という)を発生する燃料量を算出し、それをエネルギ換算することによって算出される。また、モータ充放電エネルギENE_mot1は、最適燃費トルクから要求トルクTRQを減算した値をエネルギ換算することによって算出される。さらに、予測効率Ehatは、車速VP、変速段および要求トルクTRQに応じてマップ検索により算出されるとともに、各種の効率Eeng,Etm_d,Emot_c,Etm_cは前述した手法で算出される。
以上の手法によって充電燃料消費量FC_chのマップ値が算出されるので、充電燃料消費量FC_chのマップ値は、エンジン3を正味燃料消費率BSFCが最小になる燃料量で運転したときの発生トルクと要求トルクTRQとの差分、すなわち要求トルクTRQに対する発生トルクの余剰分をモータ4による回生制御によって吸収する場合の燃料消費量に相当する値として設定される。
次に、前述したアシスト燃料消費量FC_asstのマップ値の算出手法について説明する。このアシスト燃料消費量FC_asstは、アシスト走行総合効率TE_asstを燃料消費量に換算した値に相当する。このアシスト走行総合効率TE_asstは、アシスト走行モードのときのハイブリッド車両V全体の効率であり、ハイブリッド車両Vの走行エネルギと前述した動力源エネルギとの比として算出される。したがって、アシスト走行総合効率TE_asstは、下式(8)のように定義される。
この式(9)の右辺の[]で囲んだ値は、バッテリ52に充電された電力量に相当するので、これを充電量ENE_chとすると、下式(10)が得られる。なお、この充電量ENE_chは、後述するように、充電走行モード中に所定の制御周期で算出される。
この場合、充電量ENE_chは、1回分の算出値であるので、過去の充電状態を反映させるべく、後述するように、現時点までの所定回数分の充電量ENE_chの平均値を移動平均演算によって過去平均充電量ENE_chaveとして算出する。この過去平均充電量ENE_chaveを上式(9)の右辺の[]で囲んだ値に置き換えると、下式(11)が得られる。
したがって、この式(12)を用いて、アシスト走行総合効率TE_asstを算出し、それらの算出値を燃料消費量に換算することによって、前述したアシスト燃料消費量FC_asstの16種類のマップ(E1M1算出用マップ〜E7M7算出用マップ)におけるマップ値を算出することができる。その場合、式(12)の各パラメータは具体的には以下のように算出される。
すなわち、機関燃料エネルギENE_eng1は、車速VPおよび変速段に応じて、前述した最適燃費トルクを発生する燃料量を算出し、それをエネルギ換算することによって算出される。また、モータ充放電エネルギENE_mot1は、要求トルクTRQから最適燃費トルクを減算した値をエネルギ換算することによって算出される。さらに、各種の効率Eeng,Etm_d,Emot_c,Etm_cは前述した手法で算出される。これに加えて、過去平均充電量ENE_chaveは、ハイブリッド車両Vの走行中、後述するように所定の制御周期で算出される。それに伴い、アシスト燃料消費量FC_asstのマップ値は所定の制御周期で更新されるので、図5のマップにおけるアシスト燃料消費量FC_asstの領域も変化することになる。
以上の手法によってアシスト燃料消費量FC_asstのマップ値が算出されるので、アシスト燃料消費量FC_asstのマップ値は、エンジン3を正味燃料消費率BSFCが最小になる燃料量で運転したときの発生トルクと要求トルクTRQとの差分、すなわち発生トルクの要求トルクTRQに対する不足分をモータ4による力行制御によって補う場合の燃料消費量に相当する値として設定される。
なお、図4の3速段用のマップと図5のマップに代えて、図6に示すマップを用いてもよい。このマップは、図4の3速段用のマップと図5を組み合わせて、3速段での3つの燃料消費量FC_eng,FC_ch,FC_asstのうちの少ない部分を残したものである。したがって、このマップを、要求トルクTRQおよび車速VPに応じて検索することによって、3速段での3つの燃料消費量FC_eng,FC_ch,FC_asstのうちの最少値を算出することができる。このマップを用いた場合でも、前述したように、アシスト燃料消費量FC_asstのマップ値は所定の制御周期で更新されるので、図6のマップにおけるアシスト燃料消費量FC_asstの領域も変化することになる。
図3に戻り、ステップ2で、以上のように、車速VPおよび要求トルクTRQに応じて、3つの燃料消費量FC_eng,FC_asst,FC_chの値を算出した後、ステップ3に進み、3つの燃料消費量FC_eng,FC_asst,FC_chのうちの最少値を選択し、その選択された燃料消費量に対応する変速段および走行モードを、今回の変速段および走行モードとして決定する。
次いで、ステップ4に進み、ステップ3で決定された変速段および走行モードを実行するように、エンジン3、モータ4および変速機構11,31の動作を制御する。その後、本処理を終了する。
次に、図7を参照しながら、前述した過去平均充電量ENE_chaveの算出処理について説明する。この算出処理は、充電走行モードの実行中に所定の制御周期(例えば10msec)で実行される。
同図に示すように、まず、ステップ10で、充電走行モード中の機関燃料エネルギENE_eng1を、前述したように、車速VPおよび変速段に応じて、最適燃費トルクを発生する燃料量を算出し、それをエネルギ換算することによって算出する。その後、ステップ11に進み、モータ充放電エネルギENE_mot1を、前述したように、最適燃費トルクから要求トルクTRQを減算した値をエネルギ換算することによって算出する。
次に、ステップ12で、機関効率Eengを、前述したように、エンジン回転数NEなどのエンジン運転状態に応じて算出する。その後、ステップ13で、変速機構の充電効率Etm_cを、前述したように、変速段に応じて算出する。
次いで、ステップ14に進み、モータ充電効率Emot_cを、前述したように、変速段、車速VPおよび要求トルクTRQに応じて算出する。ステップ14に続くステップ15で、充電量ENE_chを前述した式(10)により算出する。
次に、ステップ16で、過去平均充電量ENE_chaveを、前述したように、充電量ENE_chの今回算出値を含む、所定個数の充電量ENE_chの算出値の移動平均演算により算出する。この過去平均充電量ENE_chaveは、EEPROM内に記憶される。その後、本処理を終了する。
以上のように、過去平均充電量ENE_chaveは、所定個数の充電量ENE_chの移動平均演算によって算出されるので、バッテリ52への現時点までの充電効率を反映させた充電量として算出される。なお、上記ステップ16で、過去平均充電量ENE_chaveを、所定個数の充電量ENE_chの相加平均演算値または加重平均演算値として算出してもよい。
次いで、図8を参照しながら、前述したアシスト燃料消費量FC_asstのマップ値を更新する処理について説明する。この更新処理は、アシスト走行モード中に所定の制御周期(例えば10msec)で実行される。
同図に示すように、まず、ステップ20で、アシスト走行モード中の機関燃料エネルギENE_eng1を、前述したように、車速VPおよび変速段に応じて、最適燃費トルクを発生する燃料量を算出し、それをエネルギ換算することによって算出する。その後、ステップ21に進み、モータ充放電エネルギENE_mot1を、前述したように、要求トルクTRQから最適燃費トルクを減算した値をエネルギ換算することによって算出する。
次に、ステップ22で、機関効率Eengを、前述したように、エンジン回転数NEなどのエンジン運転状態に応じて算出する。その後、ステップ23で、変速機構の駆動効率Etm_dを、前述したように、変速段に応じて算出する。
次いで、ステップ24に進み、EEPROMに記憶されている過去平均充電量ENE_chaveを読み込む。ステップ24に続くステップ25で、バッテリ52の充放電効率Ebat_cdを、前述したように、充電状態SOCに応じて算出する。
次に、ステップ26で、モータ駆動効率Emot_dを、前述したように、変速段、車速VPおよび要求トルクTRQに応じて算出する。ステップ26に続くステップ27で、前述した式(12)により、アシスト走行総合効率TE_asstを算出する。
次いで、ステップ28に進み、アシスト走行総合効率TE_asstを燃料消費量に換算することにより、アシスト燃料消費量FC_asstを算出する。ステップ28に続くステップ29で、現在の変速段、要求トルクTRQおよび車速VPに対応するEEPROM内のアシスト燃料消費量FC_asstのマップ値を、ステップ28で算出した値に書き換える。すなわち、マップ値を更新する。その後、本処理を終了する。
以上のように、本実施形態のハイブリッド車両Vの制御装置1によれば、前述した各種のマップを検索することによって、3つの燃料消費量FC_eng,FC_asst,FC_chを変速段ごとに算出し、その算出結果のうちの最少値の燃料消費量に対応する変速段および走行モードでハイブリッド車両Vを走行させるように、エンジン3、モータ4および変速機構11,31の動作が制御されるので、ハイブリッド車両Vを最も燃料消費量の少ない変速段および走行モードの組み合わせで走行させることができる。それにより、エンジン3の燃料消費を抑制することができ、燃費を向上させることができる。
また、2つの燃料消費量FC_asst,FC_chは、機関燃料エネルギENE_eng1、機関駆動エネルギENE_eng2、モータ充放電エネルギENE_mot1および駆動充電エネルギENE_mot2を考慮して算出されるので、ハイブリッド車両V全体での効率すなわちハイブリッド車両V全体での燃料消費量を精度よく表すものとして算出することができる。それにより、従来の内燃機関側の燃料消費率のみを考慮する場合と比べて、エンジン3の燃料消費を適切に抑制することができ、燃費をさらに向上させることができる。
さらに、アシスト燃料消費量FC_asstが過去平均充電量ENE_chaveを用いて算出されるので、バッテリ52への現時点までの充電効率を反映させながら、アシスト燃料消費量FC_asstを精度よく算出することができる。これに加えて、充電燃料消費量FC_chが予測効率Ehatを用いて算出されるとともに、この予測効率Ehatがバッテリ52の充放電効率Ebat_cd、モータ駆動効率Emot_dおよび変速機構の駆動効率Etm_dを用いて算出されるので、バッテリ52に充電された電力が将来的にモータ4での動力変換に用いられるときの効率を加味しながら、充電燃料消費量FC_chを精度よく算出することができる。
これに加えて、このハイブリッド車両Vの場合、前述したように、変速機構11,31の構成上の理由により、エンジン動力を偶数変速段を介して駆動輪DWに伝達するときには、モータ4と駆動輪DWとの間での動力伝達は、4つの奇数変速段のいずれかを介して実行可能である。そのため、2つの燃料消費量FC_asst,FC_chの算出では、E2Mi算出用マップ(i=1,3,5,7)、E4Mi算出用マップおよびE6Mi算出用マップが用いられるので、エンジン動力を伝達する偶数変速段と、モータ動力を伝達する奇数変速段との実際の組み合わせに対応して、2つの燃料消費量FC_asst,FC_chをきめ細かく算出することができる。以上により、燃料消費をより一層、抑制することができ、燃費をより一層、向上させることができる。
なお、モータ4の温度を検出するモータ温度センサをハイブリッド車両Vに設け、前述したステップ3で、ある変速段でのアシスト走行モードが選択された場合において、バッテリ温度TBが第1所定温度であること、およびモータ4の温度が第2所定温度以上であることの少なくとも一方の条件が成立しているときに、モータ4の駆動時の出力を制限し、その制限分をエンジン3でカバーするように制御してもよい。このように構成した場合には、バッテリ52および/またはモータ4が過昇温状態になるのを回避でき、それにより、バッテリ52および/またはモータ4の寿命を延ばすことができる。なお、この場合には、モータ温度センサが電動機温度検出手段に、バッテリ温度センサ63が電動機温度検出手段に、ECU2が制限手段にそれぞれ相当する。
また、前述したステップ2,3で、3つの燃料消費量FC_eng,FC_asst,FC_chを変速段ごとに算出し、変速段および走行モードを決定する場合において、バッテリ52の充電状態SOCが所定量以下であるときには、モータ4によるバッテリ52への充電動作の実行時間が長くなるように、3つの燃料消費量FC_eng,FC_asst,FC_chの算出結果を補正し、それにより、エンジン3、モータ4および変速機構11,31の動作を補正するように構成してもよい。このように構成した場合には、バッテリ52における充電量不足を迅速に回避することができる。なお、この場合には、ECU2が充電量検出手段および補正手段に、電流電圧センサ62が充電量検出手段にそれぞれ相当する。
さらに、ステップ3で、変速段および走行モードを決定する場合において、カーナビゲーションシステム66に記憶されたデータに基づいて、ハイブリッド車両の走行状況を予測し、その予測されたハイブリッド車両の走行状況にさらに応じて、変速段および走行モードを決定するように構成してもよい。このように構成した場合には、ハイブリッド車両の走行状況に適した変速段および走行モードを選択することができる。それにより、ハイブリッド車両全体での総合効率をさらに向上させることができ、燃費をさらに向上させることができる。なお、この場合には、ECU2が予測手段に相当する。
これに加えて、前述したステップ2,3で、3つの燃料消費量FC_eng,FC_asst,FC_chを変速段ごとに算出し、変速段および走行モードを決定する場合において、バッテリ52の充電状態SOCが所定の下限値以下であるときには、エンジン3の運転停止を禁止すること、および内燃機関3の運転を所定時間継続することの一方を実行するように、3つの燃料消費量FC_eng,FC_asst,FC_chの算出結果を補正し、それにより、エンジン3、モータ4および変速機構11,31の動作を制御するように構成してもよい。このように構成した場合には、バッテリ52が過放電状態になるのを回避でき、それにより、バッテリ52の寿命を延ばすことができる。なお、この場合には、ECU2が充電量検出手段および機関制御手段に、電流電圧センサ62が充電量検出手段にそれぞれ相当する。
また、前述したステップ2,3で、3つの燃料消費量FC_eng,FC_asst,FC_chを変速段ごとに算出し、変速段および走行モードを決定する場合において、バッテリ52の充電状態SOCが所定量以下であるときには、充電走行モードを実行するように、3つの燃料消費量FC_eng,FC_asst,FC_chの算出結果を補正してもよい。この場合には、ECU2が充電制御手段に相当する。
さらに、実施形態は、消費度合パラメータとして、3つの燃料消費量FC_eng,FC_asst,FC_chを用いた例であるが、本発明の消費度合パラメータはこれに限らず、内燃機関を燃料消費率が最小になる燃料量で運転したときの発生トルクと要求トルクとの差分を電動機による回生動作/力行動作によって吸収/補充する場合の燃料の消費度合を表すものであればよい。例えば、消費度合パラメータとして、前述した、エンジン走行総合効率TE_eng、充電走行総合効率TE_chおよびアシスト走行総合効率TE_asstを用いてもよく、エンジン走行総合効率TE_eng、充電走行総合効率TE_chおよびアシスト走行総合効率TE_asstを燃料消費率に換算した値を用いてもよい。
また、実施形態は、充電消費度合パラメータとして、充電燃料消費量FC_chを用いた例であるが、本発明の充電消費度合パラメータはこれに限らず、充電走行モードを実行するときの内燃機関における燃料の消費度合を表すものであればよい。例えば、充電消費度合パラメータとして、充電走行総合効率TE_chや、これを燃料消費率に換算した値を用いてもよい。
さらに、実施形態は、本発明の制御装置を図1に示すハイブリッド車両Vに適用した例であるが、本発明の制御装置はこれに限らず、図9に示すハイブリッド車両V’にも適用可能である。同図において、図1に示すハイブリッド車両Vと同じ構成要素については、同じ符号を用いるとともに、その説明は省略する。図9に示すハイブリッド車両V’は、ハイブリッド車両Vと比較して、前述した第1および第2変速機構11、31からなるデュアルクラッチトランスミッションに代えて、変速機構71を備える点が主に異なっている。
この変速機構71は、有段式の自動変速機であり、入力軸72および出力軸73を有している。入力軸72は、クラッチCを介してクランク軸3aに連結されており、入力軸72には、モータ4のロータ4bが一体に取り付けられている。クラッチCは、第1および第2クラッチC1,C2と同様の乾式多板クラッチである。
また、出力軸73には、ギヤ73aが一体に取り付けられており、このギヤ73aは、前述したファイナルギヤFGのギヤに噛み合っている。出力軸73は、これらのギヤ73aやファイナルギヤFGを介して駆動輪DWに連結されている。以上の構成の変速機構71では、入力軸72には、エンジン動力およびモータ動力が入力されるとともに、入力された動力は、複数の変速段(例えば1速段〜7速段)の1つで変速され、駆動輪DWに伝達される。また、変速機構71の動作は、ECU2によって制御される。
本発明の制御装置によって、このハイブリッド車両V’を制御した場合、その詳細な説明については省略するが、前述した第1および第2実施形態と同じ制御手法によって、4つの燃料消費量または2つの燃料消費量を用いて前述した走行モードの選択や変速段の選択が実行される。それにより、上述した第1および第2実施形態と同じ作用効果を得ることができる。
なお、変速機構71を、エンジン動力およびモータ動力の双方を変速した状態で駆動輪DWに伝達するように構成しているが、少なくともエンジン動力のみを変速した状態で駆動輪DWに伝達するように構成してもよい。あるいは、エンジン動力を変速した状態で駆動輪DWに伝達する変速機構と、モータ動力を変速した状態で駆動輪DWに伝達する変速機構を、それぞれ別個に設けてもよい。
V ハイブリッド車両
V’ハイブリッド車両
DW 駆動輪
1 制御装置
2 ECU(消費度合パラメータ算出手段、走行モード実行手段、機関駆動エネルギ 算出手段、充電エネルギ算出手段、充電消費度合パラメータ算出手段、制限手段 、補正手段、予測手段、充電量検出手段、機関制御手段)
3 内燃機関
3a クランク軸(出力軸)
4 電動機
11 第1変速機構
C1 第1クラッチ
13 第1入力軸
31 第2変速機構
32 第2入力軸
C2 第2クラッチ
52 バッテリ(蓄電器)
62 電流電圧センサ(充電量検出手段)
63 バッテリ温度センサ(蓄電器温度検出手段)
66 カーナビゲーションシステム
71 変速機構
FC_eng エンジン燃料消費量(消費度合パラメータ)
FC_ch 充電燃料消費量(消費度合パラメータ)
FC_asst アシスト燃料消費量(消費度合パラメータ)
ENE_chave 過去平均充電量(過去充電量)
Ehat 予測効率
TRQ 要求トルク
VP 車速
SOC 充電状態(充電量)
TB バッテリ温度(蓄電器温度)
Ebat_cd バッテリの充放電効率(蓄電器の充放電効率)
Emot_d モータ駆動効率(電動機の駆動効率)
Etm_d 変速機構の駆動効率
Eeng 機関効率
Etm_c 変速機構の充電効率
ENE_eng1 機関燃料エネルギ(動力源エネルギ)
ENE_eng2 機関駆動エネルギ
ENE_mot1 モータ充放電エネルギ(動力源エネルギ)
ENE_mot2 駆動充電エネルギ(充電エネルギ)
V’ハイブリッド車両
DW 駆動輪
1 制御装置
2 ECU(消費度合パラメータ算出手段、走行モード実行手段、機関駆動エネルギ 算出手段、充電エネルギ算出手段、充電消費度合パラメータ算出手段、制限手段 、補正手段、予測手段、充電量検出手段、機関制御手段)
3 内燃機関
3a クランク軸(出力軸)
4 電動機
11 第1変速機構
C1 第1クラッチ
13 第1入力軸
31 第2変速機構
32 第2入力軸
C2 第2クラッチ
52 バッテリ(蓄電器)
62 電流電圧センサ(充電量検出手段)
63 バッテリ温度センサ(蓄電器温度検出手段)
66 カーナビゲーションシステム
71 変速機構
FC_eng エンジン燃料消費量(消費度合パラメータ)
FC_ch 充電燃料消費量(消費度合パラメータ)
FC_asst アシスト燃料消費量(消費度合パラメータ)
ENE_chave 過去平均充電量(過去充電量)
Ehat 予測効率
TRQ 要求トルク
VP 車速
SOC 充電状態(充電量)
TB バッテリ温度(蓄電器温度)
Ebat_cd バッテリの充放電効率(蓄電器の充放電効率)
Emot_d モータ駆動効率(電動機の駆動効率)
Etm_d 変速機構の駆動効率
Eeng 機関効率
Etm_c 変速機構の充電効率
ENE_eng1 機関燃料エネルギ(動力源エネルギ)
ENE_eng2 機関駆動エネルギ
ENE_mot1 モータ充放電エネルギ(動力源エネルギ)
ENE_mot2 駆動充電エネルギ(充電エネルギ)
Claims (8)
- 内燃機関と、発電可能な電動機と、当該電動機との間で電力を授受可能な蓄電器と、前記内燃機関の機関出力軸および前記電動機からの動力を第1入力軸に伝達し、複数の変速段のいずれか1つで変速した状態で前記駆動輪に伝達可能な第1変速機構と、前記機関出力軸からの動力を第2入力軸に伝達し、複数の変速段のいずれか1つで変速した状態で駆動輪に伝達可能な第2変速機構と、前記機関出力軸と前記第1変速機構との間を係合可能な第1クラッチと、前記機関出力軸と前記第2変速機構との間を係合可能な第2クラッチとを有するハイブリッド車両の制御装置において、
前記第1変速機構および前記第2変速機構の任意の前記変速段で前記内燃機関を燃料の消費度合が最小になるように運転したときの発生トルクと前記ハイブリッド車両に要求されている要求トルクとの差分を前記電動機による回生動作/力行動作によって吸収/補充する場合の燃料の消費度合を表す消費度合パラメータを、前記蓄電器への現時点までの充電効率を反映させた充電量である過去充電量、および前記蓄電器に充電された充電量を使用すると予測したときの効率である予測効率の一方を用いて、前記第1変速機構および前記第2変速機構の前記変速段ごとに算出する消費度合パラメータ算出手段と、
前記要求トルクおよび前記ハイブリッド車両の車速に応じて、前記変速段ごとに算出された前記消費度合パラメータが表す燃料の消費度合のうちの最小値に対応する走行モードを選択して実行する走行モード実行手段と、
を備え、
前記内燃機関の動力は、前記第1変速機構の前記変速段および前記第2変速機構の前記変速段を介して前記駆動輪に伝達されるとともに、前記電動機の動力は、前記第1変速機構の前記変速段を介して前記駆動輪に伝達されるように構成されており、
前記消費度合パラメータ算出手段は、前記内燃機関および前記電動機の双方の動力によって前記ハイブリッド車両を走行させる走行モードでの前記消費度合パラメータを算出するときに、前記内燃機関の動力伝達が前記第2変速機構の前記変速段で実行されるときには、前記電動機の動力伝達が当該第2変速機構の当該変速段の上下の前記第1変速機構の前記変速段で実行されるときの前記消費度合パラメータを算出することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 前記蓄電器の温度として蓄電器温度を検出する蓄電器温度検出手段と、
前記電動機の温度として電動機温度を検出する電動機温度検出手段と、
前記蓄電器温度が第1所定温度以上であること、および前記電動機温度が第2所定温度以上であることの少なくとも一方が成立しているときに、前記電動機の駆動時の出力を制限する制限手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。 - 前記蓄電器における充電量を検出する充電量検出手段と、
当該充電量が所定値以下であるときに、前記電動機による前記蓄電器への充電動作の実行時間が長くなるように、前記内燃機関、前記電動機および前記変速機構の動作を補正する補正手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。 - 前記ハイブリッド車両には、当該ハイブリッド車両が走行している周辺の道路情報を表すデータを記憶するカーナビゲーションシステムが設けられており、
当該カーナビゲーションシステムに記憶されたデータに基づき、前記ハイブリッド車両の走行状況を予測する予測手段をさらに備え、
前記走行モード選択手段は、当該予測されたハイブリッド車両の走行状況にさらに応じて、前記走行モードを選択することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。 - 前記蓄電器における充電量を検出する充電量検出手段と、
当該充電量が所定の下限値以下であるときに、前記内燃機関の運転停止を禁止すること、および前記内燃機関の運転を所定時間継続することの一方を実行する機関制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。 - 前記蓄電器における充電量を検出する充電量検出手段と、
当該充電量が所定値以下であるときに、前記内燃機関によって前記電動機を駆動する充電制御を実行する充電制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。 - 前記予測効率は、前記蓄電器の充放電効率、前記電動機の駆動効率および前記変速機構の駆動効率を用いて算出されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 内燃機関と、発電可能な電動機と、当該電動機との間で電力を授受可能な蓄電器と、前記内燃機関の機関出力軸および前記電動機からの動力を第1入力軸に伝達し、複数の変速段のいずれか1つで変速した状態で前記駆動輪に伝達可能な第1変速機構と、前記機関出力軸からの動力を第2入力軸に伝達し、複数の変速段のいずれか1つで変速した状態で駆動輪に伝達可能な第2変速機構と、前記機関出力軸と前記第1変速機構との間を係合可能な第1クラッチと、前記機関出力軸と前記第2変速機構との間を係合可能な第2クラッチとを有するハイブリッド車両の制御方法において、
前記第1変速機構および前記第2変速機構の任意の前記変速段で前記内燃機関を燃料の消費度合が最小になるように運転したときの発生トルクと前記ハイブリッド車両に要求されている要求トルクとの差分を前記電動機による回生動作/力行動作によって吸収/補充する場合の燃料の消費度合を表す消費度合パラメータを、前記蓄電器への現時点までの充電効率を反映させた充電量である過去充電量、および前記蓄電器に充電された充電量を使用すると予測したときの効率である予測効率の一方を用いて、前記第1変速機構および前記第2変速機構の前記変速段ごとに算出し、
前記要求トルクおよび前記ハイブリッド車両の車速に応じて、前記変速段ごとに算出された前記消費度合パラメータが表す燃料の消費度合のうちの最小値に対応する走行モードを選択して実行し、
前記内燃機関の動力は、前記第1変速機構の前記変速段および前記第2変速機構の前記変速段を介して前記駆動輪に伝達されるとともに、前記電動機の動力は、前記第1変速機構の前記変速段を介して前記駆動輪に伝達されるように構成されており、
前記内燃機関および前記電動機の双方の動力によって前記ハイブリッド車両を走行させる走行モードでの前記消費度合パラメータを算出するときに、前記内燃機関の動力伝達が前記第2変速機構の前記変速段で実行されるときには、前記電動機の動力伝達が当該第2変速機構の当該変速段の上下の前記第1変速機構の前記変速段で実行されるときの前記消費度合パラメータを算出することを特徴とするハイブリッド車両の制御方法。
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