本願発明に係る実施の形態を説明する前に、基本となる技術を説明する。かかる基本技術は、本願出願人による先願である特願2009−120625(平成21年5月19日出願)に紹介されている。
基本技術.
以下、基本技術に係る回転型表示装置について説明する。図1は横長状態における回転型表示装置10を示す正面図であり、図2は横長状態における回転型表示装置10を示す側面図であり、図3は縦長状態における回転型表示装置10を示す正面図であり、図4は横長状態と縦長状態との間の状態(横長状態から45度回転した状態)における回転型表示装置10を示す正面図である。なお、図1、図3及び図4は、部分的な透過図である。
この回転型表示装置10は、第1筐体20と、第2筐体30と、回転支持機構40とを備えている。
第1筐体20は、扁平なパネル状に形成されており、その一主面(正面)は、一組の対辺が他の一組の対辺よりも長い長方形状に形成されている。この第1筐体20の一主面側部分に、一組の対辺が他の一組の対辺よりも長い長方形状の表示部22が組込まれている。表示部22は、液晶表示部、有機EL表示部、プラズマディスプレイ等の薄型の表示部である。
第2筐体30は、上記第1筐体20を支持するための筐体であり、ここでは、第1筐体20を立設状に支持するためのスタンドとして構成されている。すなわち、第2筐体30は、床面、机上等に載置される載置部32と、載置部32から上方に突出する支持部34とを有している。
また、この第2筐体30には、電源回路及び画像信号等を処理するための諸処理回路を有する回路ユニット36が内蔵されると共に(図2参照)、本回転型表示装置10に対して諸信号を入出力するための入出力端子等が設けられている(図示省略)。
もっとも、第2筐体は、床等に載置状に支持される構成に限られず、手で所持される構成等であってもよい。ここで、第2筐体を床等に載置した状態或は手で所持された状態等の通常使用状態を基準にして、上下方向及び水平(左右)方向が規定される。
回転支持機構40は、第1筐体20と第2筐体30との間に介在し、第2筐体30に対して第1筐体20を回転可能に支持するように構成されている。ここで、上記通常使用状態において、第1筐体20の長辺が水平方向に沿って配設された状態を横長状態といい、第1筐体20の長辺が上下方向に沿って配設された状態を縦長状態という。
すなわち、回転支持機構40は、第1筐体側支持部材50と、第2筐体側支持部材60と、回転中心側ガイドピン70と、回転規制側ガイドピン75とを有している。第1筐体側支持部材50は、第1筐体20のうち第2筐体30側の面(つまり、背面)に取付けられた部材であり、第2筐体側支持部材60は、第2筐体30の背面支持部34のうち第1筐体20側の面(つまり、正面)に取付けられた部材である。そして、第1筐体側支持部材50と第2筐体側支持部材60とが、回転中心側ガイドピン70及び回転規制側ガイドピン75を介して回転可能に連結されることで、第2筐体30に対して第1筐体20が回転可能に支持されている。
より具体的には、第1筐体側支持部材50は、打抜き、屈曲加工等された金属板、或は、樹脂板等により形成された部材であり、第1筐体20の主面と略平行でかつ第2筐体30側に面する第1筐体側平板部51を有している。また、第2筐体側支持部材60は、打抜き、屈曲加工等された金属板、或は、樹脂板等により形成された部材であり、第1筐体20の主面と略平行でかつ第1筐体20側に面する第2筐体側平板部61を有している。上記横長状態及び縦長状態において、第1筐体側平板部51と第2筐体側平板部61とは、少なくとも一部において重なり合うように対向して配設される。
第2筐体側平板部61には、上下ガイド溝62と、回転規制ガイド溝64とが形成されている。
上下ガイド溝62は、上下方向に沿って延びるスリット状の溝として形成されており、ここでは、第2筐体側平板部61の上寄りの部分に形成されている。この上下ガイド溝62は、主として、第1筐体20の上方位置及び下方位置を規制する役割を有している。
回転規制ガイド溝64は、上記上下ガイド溝62に対して非平行、ここでは、斜め方向に延在しており、上下ガイド溝62周りに設けられている。ここでは、回転規制ガイド溝64は、上下ガイド溝62を囲む仮想的な円Cに接する直線方向に延びるスリット状の溝として形成されている。ここでは、回転規制ガイド溝64は、第2筐体側平板部62のうち上記上下ガイド溝62の一側方部分から下方部分に至る領域に形成されており、上方に向けて上下ガイド溝62から離れる方向に傾斜するように形成されている。この回転規制ガイド溝64の傾斜角度は、後述するように、第1筐体20を上方に持上げつつ回転させる際に、その一方側の下側コーナー部を載置部32の上面に沿って移動させることが可能な角度に設定されている。この回転規制ガイド溝64は、第1筐体20を回転させる際において、当該第1筐体20の回転角度を上記横長状態及び縦長状態の各位置に規制する役割をも有している。
なお、回転規制ガイド溝64が接する仮想的な円Cは、上下ガイド溝62を囲む円であれば、どのような円であってもよい。また、回転規制ガイド溝64の延在方向も上記例に限られない。例えば、上下ガイド溝が第2筐体支持部材の下寄りの部分に形成され、回転規制ガイド溝が当該上下ガイド溝の側方から上方部分に至る領域に形成されている場合には、当該回転規制ガイド溝は下方に向けて上下ガイド溝から離れる方向に傾斜するように形成されていてもよい。
第1筐体側平板部51には、副上下ガイド溝52と、副回転規制ガイド溝54とが形成されている。
副上下ガイド溝52は、第1筐体20を第2筐体30に対して回転させる途中で、上下ガイド溝62の上方に延在すると共に、その他の途中状態では上下ガイド溝62に対して斜めに交わり可能な直線スリット状の溝として形成されている。ここでは、副上下ガイド溝52は、横長状態及び縦長状態では、上下ガイド溝62の下端部から斜め45度下方に延在すると共に、第1筐体20が横長状態から45度回転した状態で、上下ガイド溝62の上端部から上下方向に沿って上方に延在する位置及び姿勢に形成されている。
副回転規制ガイド溝54は、第1筐体20を第2筐体30に対して回転させる途中で回転規制ガイド溝64に対して交わる方向に延在すると共に、横長状態或は縦長状態において回転規制ガイド溝64の各端部から延出する弧状のスリット溝状に形成されている。ここでは、副回転規制ガイド溝54は、副上下ガイド溝52に対して反対側に凸となっている弧状のスリット溝であり、横長状態においては回転規制ガイド溝64の下端部から当該回転規制ガイド溝64の延在方向外方に向けて延び、縦長状態においては回転規制ガイド溝64の上端部から当該回転規制ガイド溝64の延在方向に対して略直交する方向に延び、横長状態及び縦長状態の間の回転途中状態では回転規制ガイド溝64に対して交わる位置及び姿勢に形成されている。
回転中心側ガイドピン70は、第1筐体側支持部材50の副上下ガイド溝52にスライド移動可能に支持されると共に、第2筐体側支持部材60の上下ガイド溝62にスライド移動可能に支持されている。回転中心側ガイドピン70としては、例えば、図5に示すように、副上下ガイド溝52の周縁部を嵌め込み可能な環状溝71g及び上下ガイド溝62の周縁部を嵌め込み可能な環状溝72gが形成されたピン状の部材を用いることができる。もっとも、回転中心側ガイドピン70は、上記構成に限られず、副上下ガイド溝52及び上下ガイド溝62内にスライド移動自在に配設可能な構成であればよい。
また、この回転中心側ガイドピン70は、第1付勢部材であるコイルバネ74によって副上下ガイド溝52の一方端側に付勢されている。ここでは、コイルバネ74は、第1筐体側支持部材50の内側に副上下ガイド溝52の上端側延長上に設けられており、その各端部が回転中心側ガイドピン70と第1筐体側支持部材50内面部分とに伸張状態で取付けられている。これにより、コイルバネ74は、回転中心側ガイドピン70を、副上下ガイド溝52の上端側に常時付勢している。
なお、第1付勢部材としては、コイルバネの他、ゼンマイバネ、ねじりコイルバネ等を用いてもよい。
回転規制側ガイドピン75は、副回転規制ガイド溝54にスライド移動可能に支持されると共に、回転規制ガイド溝64にスライド移動可能に支持されている。この回転規制側ガイドピン75としても、上記回転中心側ガイドピン70と同様に、溝内に沿って移動可能な配設可能な構成を採用することができる。
また、この回転規制側ガイドピン75は、第2付勢部材であるコイルバネ79によって、副回転規制ガイド溝54の一方端側に付勢されている。ここでは、コイルバネ79は、第1筐体側支持部材50の内側に副回転規制ガイド溝54の下端側延長上(回転中心側ガイドピン70から遠い方の端部の延長上)に設けられており、その両端部が回転規制側ガイドピン75と第1筐体側支持部材50の内面部分とに伸張状態で取付けられている。これにより、コイルバネ79は、回転規制側ガイドピン75を副回転規制ガイド溝54の下端側に向けて常時付勢している。なお、第2付勢部材としては、コイルバネの他、ゼンマイバネ、ねじりコイルバネ等を用いてもよい。
本基本技術では、第1筐体20の回転途中において、回転中心側ガイドピン70が、上記副上下ガイド溝52内をスライド移動することによって、第1筐体20側において回転中心側ガイドピン70と回転規制側ガイドピン75との間の距離が変更されるようになっている。
もっとも、第1筐体20の回転途中において、回転規制側ガイドピン75が副回転規制ガイド溝54内をスライド移動することによって、前記ガイドピン70,75間の距離が変更される構成であってもよい。
また、第1筐体20の回転途中において、回転中心側ガイドピン70及び回転規制側ガイドピン75の双方がスライド移動することによって、両ガイドピン70、75間の距離が変更される構成であってもよい。もっとも、前記ガイドピン70,75のうちの一方を固定した方が、第1筐体20の回転動作が安定化する。本基本技術では、その点を考慮して、第1筐体20の回転途中において、回転規制側ガイドピン75をなるべく一定位置に固定するようにしている。
また、副上下ガイド溝52及び副回転規制ガイド溝54は必須ではなく、回転中心側ガイドピン70及び回転規制側ガイドピン75が第1筐体側支持部材50に対して一定位置で支持されていてもよい。この場合、例えば、第1筐体の回転により、回転規制側ガイドピンが回転規制ガイド溝内を移動するのに伴って、回転中心側ガイドピンが回転規制ガイド溝64に対して遠近方向に移動させることができるように、上下ガイド溝52を形成すればよい。
この回転型表示装置10の動作について説明する。
まず、横長状態では、図1に示すように、副上下ガイド溝52は、上下ガイド溝62の下端部から斜め下方向に向けて連なる状態となっている。また、副回転規制ガイド溝54は、回転規制ガイド溝64の下端部から当該回転規制ガイド溝64の延在方向外方に沿って延出するように連なる状態となっている。そして、回転中心側ガイドピン70が、上下ガイド溝62の下端部に位置すると共に、コイルバネ74による付勢下、副回転規制ガイド溝の上端部に位置した状態となっている。また、回転規制側ガイドピン75は、回転規制ガイド溝64の下端部に位置すると共に、第1筐体20の自重によってコイルバネ79の付勢力に抗して副回転規制ガイド溝54の上端部に位置した状態となっている。
この横長状態から縦長状態に切替えるべく、第1筐体20を持上げつつ回転させる。すると、まず、回転中心側ガイドピン70が上下ガイド溝62内を上方に移動すると共に副上下ガイド溝52を下方に移動しつつ、コイルバネ79による付勢力下、回転規制側ガイドピン75が回転規制ガイド溝64の下端部に位置した状態で副回転規制ガイド溝54の下端部に移動する。この後、回転中心側ガイドピン70が上下ガイド溝62内を上方に移動すると共に副上下ガイド溝52を下方に移動しつつ、回転規制側ガイドピン75は副回転規制ガイド溝54の下端部に位置した状態のままで回転規制ガイド溝64の上方に向けて移動する。
そして、図4に示すように、第1筐体20を上方に持上げつつ所定方向(図4では右回転方向)に所定角度(ここでは45度)回転させる。すると、回転中心側ガイドピン70は、上下ガイド溝62に沿って当該上下ガイド溝62の上端部に達する。この際、副上下ガイド溝52は、回転中心側ガイドピン70を中心にして姿勢変更しつつ、上下ガイド溝62の上方に移動する。そして、副上下ガイド溝52は、上下ガイド溝62の上方に直線状に延在した状態となる。この状態では、回転中心側ガイドピン70は、副上下ガイド溝52内の下端部に移動した状態となる。
一方、回転規制側ガイドピン75は、副回転規制ガイド溝54の下端部に位置した状態で、回転規制ガイド溝64の下端部から上方に向けてスライド移動する。図4に示すように、第1筐体20が所定角度の状態では、回転規制側ガイドピン75は、回転規制ガイド溝64の長手方向途中部分に位置している。この際、副回転規制ガイド溝54は、回転規制ガイド溝64に沿って移動しつつ、当該回転規制ガイド溝64に対して交わる方向に延在する姿勢となる。
この後、第1筐体20を下方に移動させつつさらに回転させると、図3に示すように、回転中心側ガイドピン70は、コイルバネ74による付勢下、副上下ガイド溝52の上方に移動すると共に上下ガイド溝62に沿って下方に移動する。また、これに合わせて、回転規制側ガイドピン75は、回転規制ガイド溝64に沿って上方に移動する。そして、第1筐体20が縦長状態に回転した状態では、副上下ガイド溝52は、上下ガイド溝62の下端部から斜め下方向に向けて連なる状態となり、また、副回転規制ガイド溝54は、回転規制ガイド溝64の上端部から回転規制ガイド溝64の延在方向に略直交する姿勢で回転中心側ガイドピン70側に延出する状態となる。この状態では、回転中心側ガイドピン70は、上下ガイド溝62の下端部に位置すると共に、コイルバネ74による付勢下、副回転規制ガイド溝の上端部に位置した状態となっている。また、回転規制側ガイドピン75は、回転規制ガイド溝64の上端部に位置すると共に、コイルバネ79の付勢力下、副回転規制ガイド溝54の下端部に位置した状態となっている。
なお、縦長状態から横長状態に回転させる際には、上記と逆に動作する。
実施の形態1.
本実施の形態1では、上記基本技術に係る回転型表示装置10における回転をよりスムーズに行うことが可能な構成について説明する。なお、基本技術と同様構成部分については同一符号を付する等して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
図6は実施の形態1に係る回転型表示装置10Aを示す正面図であり、横長状態を示している。なお、図6は部分的な透過図である。図7は横長状態における回転型表示装置10Aを示す側面図である。
回転型表示装置10Aは、回転支持機構40(図1及び図2参照)の代わりに回転支持機構40Aを備える点を除いて、基本的には上記の回転型表示装置10(図1及び図2参照)と同様の構成を有している。
回転支持機構40Aは、第1筐体20と第2筐体30との間に介在し、第2筐体30に対して第1筐体20を回転可能に支持するように構成されている。回転支持機構40Aは、第1筐体側支持部材50Aと、第2筐体側支持部材60Aと、補助部材500と、回転中心側ガイドピン70と、回転規制側ガイドピン75と、コイル74,79とを有している。
第1筐体側支持部材50Aは、第1筐体20のうちで第2筐体30側の面(つまり背面)に取付けられた部材であり、上記第1筐体側支持部材50(図1及び図2参照)と同様に第2筐体30側に面する第1筐体側平板部51を有している。第2筐体側支持部材60Aは、第2筐体30の背面支持部34のうちで第1筐体20側の面(つまり正面)に取付けられた部材であり、上記第2筐体側支持部材60(図1及び図2参照)と同様に第1筐体20側に面する第2筐体側平板部61を有している。
第1筐体側平板部51と第2筐体側平板部61とは少なくとも一部において重なり合うように対向して配設されている。そして、第1筐体側平板部51と第2筐体側平板部61とが、回転中心側ガイドピン70及び回転規制側ガイドピン75を介して回転可能に連結されることで、第2筐体30に対して第1筐体20が回転可能に支持されている。
補助部材500は、図7では図示を省略しているが、第1筐体側支持部材50Aの第1筐体側平板部51と、第2筐体側支持部材60Aの第2筐体側平板部61との間に設けられる部材である。補助部材500には、回転中心側ガイドピン70が挿入されているが、回転規制側ガイドピン75は挿入されていない。
以下に、各部材50A,60A,500のより具体的な形状を説明するが、かかる形状は上記支持部材50,60と同様の製法を用いて、或いはさらに既存の各種製法を用いて形成可能である。
図8に第2筐体側支持部材60Aを概説する上面図及び正面図を示し、図9に第1筐体側支持部材50Aを概説する上面図及び正面図を示し、図10に補助部材500を概説する正面図(平面図)を示す。また、図11に横長状態における回転型表示装置10Aを示す正面図及び一部拡大図を示す。図11は部分的な透過図である。なお、図11は図6と同じ横長状態を示しているが、図11ではコイルバネ74,79(図6参照)の図示を省略している。
図8に示すように、第2筐体側支持部材60Aは、第2筐体側平板部61に、既述の上下ガイド溝62及び回転規制ガイド溝64を有していると共に、ガイドレール65a,65b,66をさらに有している。
ガイドレール65a,65bは、後述するが、補助部材500(図11参照)の姿勢を保持する役割を有している。ガイドレール65a,65bは、第2筐体側平板部61において第1筐体側平板部51側へ突出した突起部として形成されている。第2筐体側支持部材60Aが金属板から形成される例の場合、図面に例示されるガイドレール65a,65bは例えば当該金属板のプレス成形によって形成可能である。
ガイドレール65a,65bは、上下ガイド溝62の左右にそれぞれ設けられており、上下ガイド溝62に沿って上下方向に延在している。
ガイドレール66は、後述するが、第1筐体20が回転途中で自重により急激に落下するのを防止する役割を有している。ガイドレール66は、第2筐体側平板部61において第1筐体側平板部51側へ突出した突起部として形成されている。第2筐体側支持部材60Aが金属板から形成される例において、図面に例示されるガイドレール66は、例えば当該金属板に切れ込みを形成し当該切れ込み片を屈曲・立設させることによって形成可能である。
ガイドレール66は、図示の例では、上下ガイド溝62と回転規制ガイド溝64との間に(より詳細には、上下ガイド溝62の左側に位置するガイドレール65aと、回転規制ガイド溝64との間に)設けられている。また、例示のガイドレール66は、上記両ガイド溝62,64に対して非平行に延在しており、より具体的には第2筐体側平板部材61の上方に行くに従って上記ガイド溝62,64の両方から離れる方向に傾斜している。
図9に示すように、第1筐体側支持部材50Aは、第1筐体側平板部51に、既述の副回転規制ガイド溝54を有していると共に、副上下ガイド溝52A及びガイドピン53a,53b,53c,56をさらに有している。
副上下ガイド溝52Aは、基本的には既述の副上下ガイド溝52(図1参照)と同様の役割を担うが、その形状が相違する。すなわち、副上下ガイド溝52Aは、直線スリット状の溝である既述の副上下ガイド溝52を幅方向(直線スリットの延在方向に直交する方向)に拡張した卵形状をしている。このため、副上下ガイド溝52Aは、自身に挿入される回転中心側ガイドピン70の直径よりも大きく開口している。また、卵形状の開口によれば、副上下ガイド溝52Aが、開口中央部から開口周縁部へ向いて凸状をした曲線形状で形成される。
副上下ガイド溝52Aは、横長状態(図9及び図11参照)において、卵形状の高さ方向(既述の副上下ガイド溝52を成す直線スリットの延在方向に相当する)を上下方向に対して反時計回りに45度傾斜させた姿勢で形成されている。また、副上下ガイド溝52Aは、横長状態において、卵形状のうちで頂部(曲率半径が小さい側の先端部。上端部とも称してもよい)を第1筐体側平板部材51の上方向に向け、卵形状のうちで底部(曲率半径が大きい側の先端部。下端部とも称してもよい。)を第1筐体側平板部材51の下方向に向けた姿勢で形成されている。
副上下ガイド溝52Aは、横長状態の場合(図9及び図11参照)に、卵形状の頂部側部分と、第2筐体側支持部材60A(図8及び図11参照)の上下ガイド溝62の下端部分とが重なる位置に設けられる。
なお、以下では説明を分かりやすくするために、副上下ガイド溝52Aを卵形状ガイド溝52Aと称する場合もある。
ガイドピン53a,53b,53cは、後述するが、卵形状ガイド溝52Aに対する補助部材500(図11参照)の位置を保持する役割を有している。ガイドピン53a,53b,53cは、第1筐体側平板部51において第2筐体側平板部61側へ突出した突起部として形成されている。第2筐体側支持部材60Aが金属板から形成される例の場合、図面に例示されるガイドピン53a,53b,53cは、例えば線状材料を立設状態で以て溶接することによって形成可能である。
ガイドピン53a,53b,53cは、卵形状ガイド溝52Aの周りに設けられている。図示の例では、ガイドピン53aは卵形状の底部下方に設けられ、ガイドピン53b,53cは卵形状の頂部左右にそれぞれ設けられている。
ガイドピン56は、後述するが、第1筐体20の回転途中において第2筐体側支持部材60Aのガイドレール66(図8参照)と係合することにより、第1筐体20が自重で急激に落下するのを防止する役割を有している。ガイドピン56は、第1筐体側平板部51において第2筐体側平板部61側へ突出した突起部として形成されている。図面に例示のガイドピン56はガイドピン53a,53b,53cと同様に形成可能である。
ガイドピン56は、上記のように第1筐体20の回転途中においてガイドレール66(図8参照)と係合するため、ガイドレール66の配設位置に応じた所定位置に設けられている。
図10に示すように、補助部材500は、打抜き加工等された金属板、或は、樹脂板等により形成された平板部材である。補助部材500は、補助ガイド溝552と、ガイド溝553a,553b,553cと、ガイドピン565a,565bとを有している。
補助ガイド溝552は、後述するが、回転中心側ガイドピン70(図11参照)を、第1筐体側支持部材50Aの卵形状ガイド溝52A(図11参照)の周縁に内接させた状態で、当該周縁に沿って軌道させる役割を有している。補助ガイド溝552は、所定方向に延びる直線スリット状の溝として形成されている。そして、補助ガイド溝552の延在方向(つまり上記所定方向)が第1筐体20の回転状態に依らず第2筐体側支持部材60Aの上下ガイド溝62の延在方向と同じになるように、補助部材500が回転支持機構40Aに組込まれる(図11参照)。
補助ガイド溝552は、ここでは、上下ガイド溝62と同じスリット幅を有している。また、補助ガイド溝552は、ここでは、第1筐体側支持部材50Aの卵形状ガイド溝52Aの高さ(既述の副上下ガイド溝52における直線スリットの延在長さに相当する)と略同一寸法を有している。但し、補助ガイド溝552の長さは、卵形状ガイド溝52Aの高さ以上の寸法を有していればよい。
ガイド溝553a,553b,553cは、第1筐体側支持部材50Aのガイドピン53a,53b,53cがそれぞれ挿入され、当該ガイドピン53a,53b,53cを案内する溝である(図11参照)。詳細については後述するが、ガイド溝553a,553b,553cは、第1筐体側支持50Aのガイドピン53a,53b,53cと係合することにより、卵形状ガイド溝52Aに対する補助部材500の位置を保持する役割を有している。
ガイド溝553aは、補助部材500が回転支持機構40Aに組込まれた状態(図11参照)において、補助ガイド溝552の下方に設けられている。ガイド溝553aは、補助ガイド溝552に対して反対側に凸を成す弧状のスリット溝状に形成されており、補助ガイド溝552の下端部直下を最下点として左右に延在している。
ガイド溝553b,553cは、補助部材500が回転支持機構40Aに組込まれた状態(図11参照)において、補助ガイド溝552の上端部左右にそれぞれ設けられている。ガイド溝553b,553cは、補助ガイド溝552に対して反対側に凸を成す弧状のスリット溝状にそれぞれ形成されており、補助ガイド溝552の上端部を取り囲むように上下に延在している。
ガイドピン565a,565bは、後述するが、第2筐体側支持部材60Aのガイドレール65a,65bとそれぞれ係合することにより、補助部材500の姿勢を保持する役割を有している。ガイドピン565a,565bは、補助部材500が回転支持機構40Aに組込まれた状態(図11参照)において、第2筐体側支持部材60Aの第2筐体側平板部61側へ突出した突起部として形成されている。ガイドピン565a,565bは既述のガイドピン53a等と同様に形成可能である。
ガイドピン565a,565bは、図10の例では、補助ガイド溝552の中間部付近の左右にそれぞれ設けられている。また、ガイドピン565a,565bは、図11の例では、ガイドレール65a,65bに上下ガイド溝52A側から接触する位置に設けられている。但し、ガイドピン565a,565bを、上下ガイド溝52Aとは反対側からガイドレール65a,65bに接触する位置に設けることも可能である。
なお、補助部材500の外周形状は図示の例に限られない。但し、補助部材500が回転支持機構40Aに組込まれた状態(図11参照)において、部材下部側の方が部材上部側よりも大きい形状を採用するのが好ましい。なぜならば、補助部材500の重心が部材下部側に設定されるため、補助部材500の姿勢が安定しやすいからである。
上記形状を有した第1筐体側支持部材50Aと第2筐体側支持部材60Aと補助部材500とは回転中心側ガイドピン70を介して連結され、また、第1筐体側支持部材50Aと第2筐体側支持部材60Aとは回転規制側ガイドピン75を介して連結されている。
より具体的には、回転中心側ガイドピン70は、第1筐体側支持部材50Aの副上下ガイド溝52Aと、第2筐体側支持部材60の上下ガイド溝62と、補助部材500の補助ガイド溝552とを貫いて配設されており、いずれのガイド溝52A,62,552にもスライド移動可能に支持されている。
また、回転中心側ガイドピン70は、既述の回転型表示装置10(図1参照)と同様に、第1付勢部材であるコイルバネ74(図6参照)によって副上下ガイド溝52の一方端部側に付勢されている。ここでは、コイルバネ74は、第1筐体側支持部材50Aの内側(つまり第1筐体20に向いた側)において卵形状ガイド溝52Aの頂部側に当該卵形状ガイド溝52Aの高さ方向の延長上に設けられており、その各端部が回転中心側ガイドピン70と第1筐体側支持部材50A内面部分とに伸張状態で取付けられている。これにより、コイルバネ74は、回転中心側ガイドピン70を、卵形状ガイド溝52Aの頂部側に常時付勢している。
他方、回転規制側ガイドピン75は、既述の回転型表示装置10(図1参照)の場合と同様に配設されている。すなわち、回転規制側ガイドピン75は、第1筐体側支持部材50Aの副回転規制ガイド溝54と、第2筐体側支持部材60Aの回転規制ガイド溝64とを貫いて配設されており、いずれのガイド溝54,64にもスライド移動可能に支持されている。
また、回転規制側ガイドピン75は、既述の回転型表示装置10(図1参照)と同様に、第2付勢部材であるコイルバネ79によって、副回転規制ガイド溝54の一方端部側に付勢されている。ここでは、コイルバネ79は、回転規制側ガイドピン75を副回転規制ガイド溝54の下端側に向けて常時付勢している。
なお、第1付勢部材として、コイルバネの他、ゼンマイバネ、ねじりコイルバネ等を用いてもよい。第2付勢部材についても同様である。
次に、上記の図6〜図11に加え、図11に対応する図12〜図15も参照しつつ、回転型表示装置10Aにおける回転動作を説明する。上記のように図11は横長状態、つまり0度回転状態における回転型表示装置10Aを示す正面図及び一部拡大図である。また、図12〜図14は回転途中状態における図であり、ここでは一例として、図12は約25度回転させた状態、図13は約45度回転させた状態、図13は約60度回転させた状態にあたる。図15は縦長状態、つまり90度回転状態における図である。
まず、回転動作の概略について説明する。
図11に示す横長状態では、回転中心側ガイドピン70は、上下ガイド溝62の下端部に位置していると共に、コイルバネ74(図6参照)による付勢下、卵形状ガイド溝52Aの頂部(換言すれば上端部)に位置している。
他方、回転規制側ガイドピン75は、横長状態において、回転規制ガイド溝64の下端部に位置すると共に、第1筐体20の自重によってコイルバネ79(図6参照)の付勢力に抗して副回転規制ガイド溝54の上端部に位置している。このとき、副回転規制ガイド溝54は、回転規制ガイド溝64の下端部から当該回転規制ガイド溝64の延在方向外方に沿って延出するように連なる状態となっている。
横長状態から第1筐体20を時計回りに回転させ始めると、回転中心側ガイドピン70は、卵形状ガイド溝52Aの頂部に位置した状態を保ったまま、上下ガイド溝62内を上方へスライド移動して当該上下ガイド溝62内の上端部へ到達する。なお、図12には、回転中心側ガイドピン70が上下ガイド溝62の上端部に到達した後さらに回転した状態が図示されている。
他方、回転規制側ガイドピン75は、回転中心側ガイドピン70の上昇と並行して、コイルバネ79による付勢力下、回転規制ガイド溝64の下端部に位置した状態で、副回転規制ガイド溝54の下端部に移動する(図12参照)。この後、回転規制側ガイドピン75は、副回転規制ガイド溝54の下端部に位置した状態のままで、回転規制ガイド溝64の上方に向けて移動する(図12参照)。
第1筐体20を時計回りにさらに回転させると、回転中心側ガイドピン70は、上下ガイド溝62の上端部に位置した状態のまま、卵形状ガイド溝52Aに内接しつつ当該ガイド溝52Aの周縁上を反時計回りに軌道する(図12〜図15参照)。回転中心側ガイドピン70は、卵形状ガイド溝52A上を一周して卵形状ガイド溝52Aの頂部へ戻った後は、縦長状態になるまで卵形状ガイド溝52Aの頂部に位置し続ける。
なお、図示の例では、45度回転状態(図13参照)において、回転中心側ガイドピン70は卵形状ガイド溝52Aの底部に位置する。なお、図15に示す縦長状態は、回転中心側ガイドピン70が卵形状ガイド溝52Aの頂部に戻った後に、第1筐体20がさらに回転することにより形成される。
回転中心側ガイドピン70は、卵形状ガイド溝52Aの頂部へ戻った後、卵形状ガイド溝52Aの頂部に位置した状態を保ったまま、上下ガイド溝62内を下方へスライド移動する。そして、縦長状態において、回転中心側ガイドピン70は上下ガイド溝62の下端部へ到達する(図15参照)。
他方、回転規制側ガイドピン75は、コイルバネ79による付勢力下で副回転規制ガイド溝54の下端部(横長状態を基準にした場合の下端部)に位置した状態のまま、回転規制ガイド溝64内をさらに上方に向けてスライド移動する。この際、副回転規制ガイド溝54の上記下端部は、回転規制ガイド溝64に沿って移動しつつ、当該回転規制ガイド溝64に対して交わる方向に延在する姿勢をとる。
その後の回転に従って、回転規制側ガイドピン75は、回転規制ガイド溝64の上端部に到達する。図示の構造例では約75度回転状態(図示省略)において、回転規制側ガイドピン75は回転規制ガイド溝64の上端部に到達する。この状態では、回転規制側ガイドピン75は、回転規制ガイド溝64の上端部に位置すると共に、副回転規制ガイド溝54の下端部に位置した状態をとる。また、副回転規制ガイド溝54は、回転規制ガイド溝64の上端部から回転規制ガイド溝64の延在方向に略直交する姿勢で回転中心側ガイドピン70側に延出する状態をとる。
回転規制側ガイドピン75は、回転規制ガイド溝64の上端部に到達した後、さらなる回転に従って、副回転規制ガイド溝54の下端部に位置した状態のまま、回転規制ガイド溝64内を下方へ少しだけスライド移動する。つまり、縦長状態では、回転規制側ガイドピン75は、回転規制ガイド溝64の上端部から少し離れた位置に在る(図15参照)。
上記によれば、第1筐体20の回転途中において、回転中心側ガイドピン70が、卵形状ガイド溝52A内を移動することによって、第1筐体20側において回転中心側ガイドピン70と回転規制側ガイドピン75との間の距離が変更されるようになっている。
さらに、第1筐体20の回転途中において、回転規制側ガイドピン75も副回転規制ガイド54内をスライド移動することによって、両ガイドピン70,75間の距離が変更される。
なお、ガイドピン70,75のうちの一方を固定した方が、第1筐体20の回転動作が安定化する。本実施形態では、その点を考慮して、第1筐体20の回転途中において、回転規制側ガイドピン75をなるべく一定位置に固定するようにしている。
また、副回転規制ガイド溝54の採用は任意であり、回転規制側ガイドピン75が第1筐体側支持部材50Aに対して一定位置で支持されていてもよい。この例の場合、例えば、第1筐体20の回転により、回転規制側ガイドピン75が回転規制ガイド溝64内を移動するのに伴って、回転中心側ガイドピン70が回転規制ガイド溝64に対して遠近方向に移動させることができるように、卵形状ガイド溝52Aを形成すればよい。
次に、回転動作をより詳細に説明する。
上記のように、横長状態(図11参照)では、回転中心側ガイドピン70は、上下ガイド溝62の下端部に位置していると共に、卵形状ガイド溝52Aの頂部に位置している。また、このとき、回転中心側ガイドピン70は、補助部材500の補助ガイド溝552の上端部に位置している。つまり、上下ガイド溝62の下端部と、卵形状ガイド溝52Aの頂部と、補助ガイド溝552の上端部とが重なっている。
ここで、補助部材500は、後述のように、回転動作に伴う卵形状ガイド溝52Aの移動に追従して移動する(図11〜図15参照)。この際、補助部材500は、回転状態に依らず、つまり卵形状ガイド溝52Aの姿勢変更に依らず、第1筐体側支持部材50A及び第2筐体側支持部材60Aに対して所定の状態を保持したまま移動する。
より具体的には、第1筐体側支持部材50Aに対しては、補助部材500の補助ガイド溝552の上端部が卵形状ガイド溝52Aの頂部と重なる状態が保持される(図11〜図15参照)。また、第2筐体側支持部材60Aに対しては、補助ガイド溝552が上下ガイド溝62と平行を成して上下ガイド溝62上又は当該上下ガイド溝62の延長上に位置する状態が保持される(図11〜図15参照)。なお、補助ガイド溝552の下端部は、当該補助ガイド溝552の上端部よりも常時、下方向に位置する(図11〜図15参照)。
上記所定状態の保持は、補助部材500のガイド溝553a,553b,553cと、第1筐体側支持部材50Aのガイドピン53a,53b,53cとの係合によって、さらには、補助部材500のガイドピン565a,565bと、第2筐体側支持部材60Aのガイドレール65a,65bとの係合によって、実現される。換言すれば、上記所定状態が保持されるように、ガイド溝553a,553b,553cと、ガイドピン53a,53b,53cと、ガイドピン565a,565bと、ガイドレール65a,65bとの位置、形状等が設定されている。
なお、ガイド溝553a,553b,553cとガイドピン53a,53b,53cとから成る3組のガイド機構に代えて、これら3組のうちのいずれか2組だけを採用することも可能である。或いは、4組以上のガイド機構を採用しても構わない。また、ガイド溝553a,553b,553cに相当するガイド溝を第1筐体側平板部材51に設け、ガイドピン53a,53b,53cに相当するガイドピンを補助部材500に設けた構造を採用することも可能である。また、第2筐体側平板部材61に突起部として設けられたガイドレール65a,65bをガイド溝として形成しても構わない。これらの各種変形例によっても、図面に示され、ここで例示する構造と同様の機能を発揮することができる。
なお、横長状態では、図11に示すように、第1筐体側支持部材50Aのガイドピン53aは、補助部材500のガイド溝553aの右端部に位置し、ガイドピン53bはガイド溝553bの下端部に位置し、ガイドピン53cはガイド溝553cの上端部に位置している。
また、横長状態では、補助部材500のガイドピン565a,565bは、第2筐体側支持部材60Aのガイドレール65a,65bの下端部付近において、上下ガイド溝62の側から当該ガイドレール65a,65bに接している。なお、ガイドレール65a,65bは、横長状態におけるガイドピン565a,565bの位置よりもさらに下方に延在していてもよい。
横長状態から第1筐体20を時計回りに回転させ始めると、上記のように、回転中心側ガイドピン70は上下ガイド溝62内を上昇する。このとき、第1筐体20に対して固定的に設けられている卵形状ガイド溝52Aも回転するが、コイルバネ74による付勢力下、回転中心側ガイドピン70は卵形状ガイド溝52Aの頂部に位置し続ける。また、補助ガイド溝552の上端部は卵形状ガイド溝52Aの頂部と常時重なるため、回転中心側ガイドピン70は補助ガイド溝552の上端部に位置し続ける。
ここで、回転中心側ガイドピン70の上昇に伴って卵形状ガイド溝52A及び補助部材500も上昇するが、この際、補助部材500のガイドピン565a,565bは上下ガイド溝62と平行に設けられたガイドレール65a,65bによって案内される。このため、補助部材500が第1筐体20の回転に追従して回転するのが防止される。つまり、補助部材500は、上記所定状態を保持したまま、上昇する(図11及び図12参照)。
また、第1筐体20の回転に伴って、第1筐体側支持部材50Aのガイドピン53a,53b,53cは補助部材500のガイド溝553a,553b,553c内を移動する。より具体的には、ガイドピン53aはガイド溝553aの左端部へ向けて移動し、ガイドピン53bはガイド溝553bの上端部へ向けて移動し、ガイドピン53cはガイド溝553cの下方端へ向けて移動する(図12〜図15参照)。
回転動作を続けると、上記のように、回転中心側ガイドピン70は、上下ガイド溝62の上端部に位置した状態のまま、卵形状ガイド溝52Aに内接しつつ当該ガイド溝52Aの周縁上を反時計回りに移動する(図12〜図15参照)。
ここで、上下ガイド溝62の幅(スリット幅)は回転中心側ガイドピン70の直径と略同一寸法である一方、卵形状ガイド溝52Aの幅(高さ方向に直交する方向の寸法)は回転中心側ガイドピン70の直径よりも広い。このため、卵形状ガイド溝52Aに回転中心側ガイドピン70が単に挿入されているだけでは、当該ガイドピン70が卵形状ガイド溝52Aの周縁上を安定的に摺動しない場合がある。
かかる点に鑑み、補助部材500が設けられている。すなわち、補助部材500の補助ガイド溝552は、回転中心側ガイドピン70の直径及び上下ガイド溝62の幅と略同一寸法の幅(スリット幅)を有し、上下ガイド溝62に重なっている。また、補助部材500は、卵形状ガイド溝52Aの姿勢に依らず、上記所定状態をとる。
従って、回転中心側ガイドピン70は、卵形状ガイド溝52Aと補助ガイド溝552とによって挟まれることになる(図11〜図15参照)。これにより、回転中心側ガイドピン70が卵形状ガイド溝52Aに内接する状態を安定的に実現することができる。
なお、補助ガイド溝552は、卵形状ガイド溝52Aの開口を回転中心側ガイドピン70の直径以下の大きさに絞り込んでいると解することが可能である。或いは、補助ガイド溝552は、卵形状ガイド溝52Aの周縁のうちで回転中心側ガイドピン70との内接に利用する部分を選定していると解することも可能である。
なお、卵形状ガイド溝52Aは、横長状態においては、底部が頂部の右下方向に位置した姿勢をとる(図11参照)。そして回転動作の進行に伴って、底部が頂部の下方を通過する(図12〜図14参照)。最終的な縦長状態においては、卵形状ガイド溝52Aは底部が頂部の左下方向に位置した姿勢をとる(図15参照)。
また、図示の例では45度回転状態(図13参照)において、卵形状ガイド溝52Aは頂部と底部が上下方向に並んだ状態になる。このとき、卵形状ガイド溝52Aの底部と上下ガイド溝62の上端部とが重なっており、卵形状ガイド溝52Aが上下ガイド溝62の上端部から上方へ延在する姿勢をとる。
ところで、図示の例では45度回転状態を超えた後(図13〜図15参照)、換言すれば回転中心側ガイドピン70が卵形状ガイド溝52Aの右側部に沿って底部から頂部へ戻る際に、第1筐体20の自重により回転規制側ガイドピン75を中心として回転しようとする力F1が発現する(図14参照)。この力F1は、第1筐体20の急激な回転及び落下を招くため、好ましくない。
かかる点に鑑み、第1筐体側支持部材50Aのガイドピン56と、第2筐体側支持部材60Aのガイドレール66とが設けられている(図14参照)。すなわち、上記力F1が影響する回転状態の間、ガイドピン56がガイドレール66に支持され案内されることによって、上記F1が軽減・排除される。その結果、第1筐体20の急激な回転及び落下を防止することができる。つまり、回転中心側ガイドピン70は卵形状ガイド溝52Aの右側部に沿って頂部へ戻ることができるため、滑らかな回転動作をより確実に実現することができる。なお、ガイドピン56及びガイドレール66の配設位置等は図示の例に限定されるものではない。
回転中心側ガイドピン70は、卵形状ガイド溝52A上を一周して卵形状ガイド溝52Aの頂部へ戻った後は、上記のように縦長状態になるまで卵形状ガイド溝52Aの頂部に位置し続ける。なお、その後の回転動作は既述の通りである。
なお、縦長状態から横長状態に回転させる際には、上記と逆に動作する。
なお、上記各種要素の形状、寸法、配設位置等は、その要素の機能を維持しつつ適宜変形可能である。
回転型表示装置10Aによれば、次のような効果が得られる。
すなわち、回転中心側スライドピン70を上下ガイド溝62に沿って上方にスライド移動させると共に、回転規制側ガイドピン75を回転規制ガイド溝64に沿ってスライド移動させることにより、第1筐体20を回転させることが可能である。かかる回転動作によれば、載置部32に最接近する側の下側コーナー部(図示の例では右下コーナー部)は、回転中心側スライドピン70が全く固定されている場合の回転動作に比べて、上方を通過する。このため、当該下側コーナー部を載置部32に接触させないようにしつつ回転可能である。
なお、卵形状ガイド溝52A、上下ガイド溝62、副回転規制ガイド溝54、回転規制ガイド溝64、ガイドピン56及びガイドレール66の形状、寸法、配設位置等の設定により、上記下側コーナー部が回転動作中に載置部32の上面に沿って直線状に移動するように設定することも可能である。
また、回転型表示装置10Aによれば、上下ガイド溝62及び回転規制ガイド溝64は直線状をしているので、なるべく加工容易な構成とすることができる。その結果、歩留まり等を含む生産コストを向上させることができ、回転型表示装置10Aを安価に提供することができる。
また、第1筐体20を第2筐体30に対して回転させる途中で卵形状ガイド溝52Aが上下ガイド溝62の上方に連続して延在するため(図13参照)、第1筐体20は上下ガイド溝62の長さ分に卵形状ガイド溝52Aの長さ(換言すれば高さ)分を加えた分だけ、上方に移動することが可能である。このため、上下ガイド溝62の長さ寸法を短くして、回転支持機構40Aの小型化を図ることができる。これにより、原材料の減量化を図ることができる。また、小型化によりデザイン性の向上等を図ることができる。
また、副上下ガイド溝52Aが卵形状の開口で構成されており当該卵形状に沿って回転中心側ガイドピン70が軌道するため、当該副上下ガイド溝52Aが直線状である回転型表示装置10(図1参照)場合に比べて、第1筐体20の回転動作をスムーズにすることができる。
なお、副上下ガイド溝52Aの形状は上記で例示した卵形状に限られるものではなく、例えば楕円、正円等の丸まった形状を採用することも可能である。換言すれば、副上下ガイド溝52Aが、回転中心側ガイドピン70の直径よりも大きく開口し、開口中央部から開口周縁部へ向いて凸状をした曲線形状で構成されていることにより、上記のようにスムーズな回転動作を実現することができる。
また、補助部材500の採用により、上記のように、回転中心側ガイドピン70が補助ガイド溝552と卵形状ガイド溝52Aとによって挟み込まれる。このため、回転中心側ガイドピン70と卵形状ガイド溝52Aとの内接状態をより確実に形成することができる。
また、ガイドピン56とガイドレール66とが、回転中心側ガイドピン70が卵形状ガイド溝52Aの右側部に沿って底部から頂部へ戻る際に係合するため、上記のように、第1筐体20の急激な回転及び落下を防止することができる。さらにその結果、回転中心側ガイドピン70が卵形状ガイド溝52Aの右側部に沿って頂部へ戻ることができるため、滑らかな回転動作をより確実に実現することができる。
また、回転中心側ガイドピン70は、コイルバネ74によって卵形状ガイド溝52Aの頂部側へ付勢されているため、第1筐体20を回転させる際において、卵形状ガイド溝52A内における回転中心側ガイドピン70の位置が安定する。このため、第1筐体20の回転動作が安定する。
また、横長状態において、副回転規制ガイド溝54は、回転規制ガイド溝64の下端部より外方に延在する弧状溝状に形成されている。このため、第1筐体20は、回転規制ガイド溝64の長さ分に副回転規制ガイド溝54の長さ分を加えた範囲内で、回転規制される。このため、回転規制ガイド溝64の長さ寸法を短くして、回転支持機構40Aの小型化を図ることができる。また、かかる小型化によりデザイン性の向上等を図ることができる。
また、回転規制側ガイドピン75は、コイルバネ79によって下端側に付勢されているため、第1筐体20を回転させる際において、副回転規制ガイド溝54内における回転規制側ガイドピン75の位置が安定する。このため、第1筐体20の回転動作が安定する。
また、横長状態において、回転規制側ガイドピン75は回転規制ガイド溝64の下端部に配設され下方への移動を規制されており、コイルバネ79は回転規制側ガイドピン75と第1筐体側支持部材50Aとの間に伸張状態で設けられているため、第1筐体側支持部材50Aは横長状態から縦長状態に回転する方向へと付勢されている。このため、縦長状態から横長状態へ反時計回りに回転させる際に、コイルバネ79はその反対回転方向(つまり時計回り)に第1筐体側支持部材50Aを回転させる向きに付勢することになり、第1筐体20及び第1筐体側支持部材50Aが横長状態になる直前状態で、自重によって急激に横長状態になるように落下することを抑制できる。
なお、上記では表示部22を駆動する回路ユニット36が第2筐体30に内蔵される構成を例示した(図7参照)。これに対し、回路ユニット36を第1筐体20内に配置することも可能である。但し、第1筐体20内に回路ユニット36が配置された構成では、回路ユニット36と外部装置(図示省略)とを繋ぐ各種ケーブルが、第1筐体20の回転動作により引っ張られてしまう場合が生じうる。このため、かかる点に関しては、回路ユニット36が第2筐体30に内蔵された構成の方が好ましい。
実施の形態2.
図16に実施の形態2に係る回転型表示装置10Bの正面図を示す。図16は図6に対応するが、コイルバネ74等の一部の要素については図示を省略している。なお、実施の形態1と同様構成部分については同一符号を付する等して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
回転型表示装置10Bの回転支持機構40Bは、上記回転支持機構40A(図6参照)に、第3付勢部材としてのゼンマイバネ190を追加した構成を有している。なお、ゼンマイバネ190を含む箇所の縦断面図を図17に示す。
ゼンマイバネ190は、バネ材を渦巻状に巻回したものであり、第2筐体側支持部材60Aの内側(つまり第2筐体30に向いた側)であって上下ガイド溝62の上方位置に取付けられると共に、その外周側端部が上下ガイド溝62に沿って引出し可能に配設されている。また、ゼンマイバネ190を構成するバネ材の外周側先端部は、回転中心側ガイドピン70に連結部材192を介して連結されている。そして、ゼンマイバネ190によって回転中心側ガイドピン70が上下ガイド溝62の上端側に付勢されている。
なお、第3付勢部材としては、ゼンマイバネの他、伸張状態で配設されたコイルバネ、ねじりコイルバネ等の各種付勢部材を用いることができる。
ゼンマイバネ190の採用により、回転中心側ガイドピ70の自重落下を防止することができる。その結果、時計回り及び反時計回りのいずれの回転動作中においても、第1筐体20が急激に落下するのを防止することができる。
変形例.
なお、上記各実施形態において、横長状態と縦長状態とを逆向きに回転させて切替えるようにしてもよい。この場合、垂直線を中心にして左右対称構成とすればよい。
また、第1筐体側支持部材50Aと第1筐体20とは同じ部材として構成されていてもよい。同様に、第2筐体側支持部材60Aと第2筐体30とは同じ部材として構成されていてもよい。
また、本実施の形態では、スタンドタイプの表示装置を例にして説明したが、本発明は当該例に限るものではなく、表示部を回転可能に支持する種々表示装置に適用可能である。
また、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。