JP5409151B2 - 空気の浄化・乾燥方法及びその装置 - Google Patents
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Description
近年では、医療施設や養護施設などでは利用者の空気感染性の病原菌による感染防止のため殺菌効果が十分有効で永続性のある空調機が希求されている。
各装置の機能については、通常、殺菌機能については、オゾンが使用されるが、オゾンの発生はオゾン発生器で行われ、紫外線照射法では紫外線照射管を使用して行われ、また脱臭機能については活性炭などの脱臭材を含んだフィルターに吸着させるか又は発生させたオゾンによって臭いの元の有機ガスを分解させて消臭することが行われている。
また下記特許文献1及び下記特許文献2に記載のように、電極間に発生させたプラズマにより有機ガスの分解を可能とするとともに殺菌機能を備えた装置の提案もある。
また活性炭フィルターを使用したものでは適宜フィルターの交換を行わないと性能が失われるため、フィルター交換のメンテナンス管理が必要となるという煩わしさがある。
そして、従来のオゾン発生器など電極間に発生させたプラズマによる装置では、電磁波ノイズが発生し周囲にある通信機器の信号処理の妨げとなるなど電磁波障害が発生するおそれがあるため、その対策が必要である。
また、電極間に発生させたプラズマでOHラジカルを発生させる装置の提案もなされているが、この装置では水分の存在下で発生するOHラジカルの強い酸化作用によって殺菌作用も生じるが、積極的に水を供給する必要があり、空気中の湿気を除去しようとした場合には逆効果となる欠点がある。
さらに、従来の乾燥機や除湿機では多くが冷媒を使用して熱交換で結露させ除湿する手法を用いており、この手法では熱交換のための電力消費が大きく、また大量の結露水が発生しその処置をしなければならないという難点がある。
このため、加速された電子によってエチレンなどの悪臭を放つ有機ガスは水素などの無臭のガスや炭素などに分解され、ウイルスや空気中浮遊細菌類などの病原菌は細胞が破壊され死滅させることが可能となる。
同時に、空気中の水分子は分解され、その結果、空気の乾燥が可能となる。
また、本空気の浄化・乾燥装置では電極間に電流を流すのではなく、パルス電圧を間欠的にかけるだけなので使用する電力消費が少なく、且つ優れた殺菌機能及び消臭機能及び空気の乾燥機能を同時に得ることが可能となる。
しかも、従来のオゾンや紫外線によって殺菌や消臭を行う装置では劣化や脱色などの弊害があったが、本発明ではそのような弊害が全く起こらない利点がある。
本発明の空気の浄化・乾燥方法は、電極間に有機・無機ガス又は浮遊物を含む空気を通過させ、該両電極に有機・無機ガス又は浮遊物の分子結合を切断可能とする空気絶縁を破壊してプラズマ放電を発生させる電圧よりも低い値の電圧で、且つ5マイクロ秒以下の立ち上がり時間の短い急俊なパルス電圧を印加して両電極間に5×105V/m以上の高電場を周期的に発生させ、該高電場により加速された電子を両電極間に存在する分子に衝突させて該分子を分解させるものである。
その結果、本発明は、両電極間に存在する空気中の生命体は細胞破壊をして死滅させ、エチレンガスなどの臭気性ガスは分解して水素などの無臭のガスや炭素などにすることで殺菌及び消臭させるとともに水分子は水素と酸素に分解して空気を乾燥させることが可能となる。
空気絶縁を破壊してプラズマ放電を発生させる電圧よりも低い値で且つ5×105V/m以上の電場となる、5マイクロ秒以下の立ち上がり時間の短い急俊なパルス電圧をパルス電圧発信機4で印加し、前記電極1及び2、3間に瞬間的な高電場をパルス周期で発生させる。
そして、該高電場により加速された電子eを電極間の空気中に存在するエチレンガス(C2H4)や一酸化炭素ガス(CO)などの有害な有機ガスの分子に衝突させて該分子の結合を切断し炭素(C)、水素(H2)、酸素(O2)などに分解させる。
本発明では、電極間に高電場を発生させ、その高電場で電子を加速させて、その加速された電子を電極内に存在する気体化合物や細菌などの浮遊物に衝突させ、菌類細胞では電子が細胞膜に衝突して破壊され、有機ガスでは分子の化学結合を切断して分解する。
その化学反応を以下の式(1)〜式(4)で示される化学式で示す。
本発明では、立ち上がり時間の短い急俊なパルス電圧をパルス電圧発信機4で印加して発生した高電場により、結合エネルギー(3.5eV)を越えるエネルギーに加速された電子を短時間で繰り返し得ることが可能となり、この繰り返しで上記式(1)の化学式の通りエチレンガスの分解が進行する。
エチレンガスは生鮮植物の呼吸によっても放出されるガスであり、保冷庫や冷蔵庫内に蓄積され、濃度が高くなると植物類が窒息状態になり鮮度を落とす大きな要因であるので、鮮度保持のためにもエチレンガス(C2H4)を分解することは有益である。
本発明では、立ち上がり時間の短い急俊なパルス電圧をパルス電圧発信機4で印加して発生した高電場により、結合エネルギー(4.5eV)を越える加速された電子のエネルギーを短時間で繰り返し得ることが可能となり、この繰り返しで上記式(2)の化学式の通り水の分解が進行する。
上記化学反応によって、水がなくなり室内の空気を乾燥させることができるので、高湿状態にあった室内の空気を乾燥させて快適な湿度の室内環境を整えることが可能となる。
本発明では、立ち上がり時間の短い急俊なパルス電圧をパルス電圧発信機4で印加して発生した高電場により、結合エネルギー(5.5eV)を越える加速された電子のエネルギーを短時間で繰り返し得ることが可能となり、この繰り返しで上記式(3)の化学式の通り二酸化炭素の分解が進行する。
そして、二酸化炭素が分解されると室内の空気が浄化され、また保冷庫や冷蔵庫内等では生鮮植物の炭酸同化作用による成長を阻害することとなるので長期間の鮮度保持が可能となる。
本発明では、立ち上がり時間の短い急俊なパルス電圧をパルス電圧発信機4で印加して発生した高電場により、結合エネルギー(11.5eV)を越える加速された電子のエネルギーを短時間で繰り返し得ることが可能となり、この繰り返しで上記式(4)の化学式の通り一酸化炭素の分解が進行する。
一酸化炭素は脳の活動を弱める作用があり、この一酸化炭素が分解されることは、脳の活動を正常にすることが可能となる。また空気中の一酸化炭素の濃度が高まった場合には濃度を下げて一酸化炭素中毒になるのを防止するこが可能となる。
また悪臭を放つ有機ガスでは無臭の炭素、酸素及び水素などの気体に分解される結果、消臭されることとなる。
これと同時に、不快指数を高める要因の1つである空間内の水分子は酸素と水素の分子に分解され(上記化2)、その際、酸素(O2)と水素(H2)は再結合(燃焼)しないので水(H2O)が消滅して空気の湿度が、その空気の循環で繰り返されて低下していくこととなる。
本発明の空気の浄化・乾燥装置は、図2及び図3に示すように、室内中や、風洞中の空気循環路5中に、網や格子状の隙間からの空気の通過が可能な平面的広がりを持つステンレス製の内部電極1と、その内部電極1の表裏面を外側から囲むように設けた外部電極2、3とに、パルス電圧を印加するパルス電圧発信機4を備えて、該内部電極1と外部電極2、3とに各電極の通電回路6、7を接続し、前記外部電極2、3にはアース8を接続する。
即ち、内部電極1と、該内部電極1よりも径の大きい外部電極2、3の周囲に重なり合うように外周径を略同径としたプラスチック絶縁材の絶縁枠9、10、11を設け、該プラスチック絶縁材の絶縁枠9、10、11間に、該絶縁枠9、10、11と重なり合うように略同径とした間隔保持枠12、13を配着するとともにプラスチック絶縁材の円形の間確保持材14を前記内部電極1と前記外部電極2、3の網状面の間に適宜間隔に配置する。
そして、前記絶縁枠9、10、11と間隔保持枠12、13と間隔保持材14とに、それらが重なり状態で貫通可能に各ネジ孔9a、10a、11a、12a、13a、14aを設けて、プラスチック絶縁材製の固定ネジ15を各ネジ孔9a、10a、11a、12a、13a、14aに差込みんで、固定ネジ15の突出端部にはプラスチック絶縁材製のナット16を螺着して前記内部電極1と前記外部電極2、3を均一間隔に固定する。
さらに、図2に示すように、前記内部電極1と外部電極2、3には交流電源17に繋いだパルス電圧発信機4を接続する。
その接続は、前記内部電極1の通電回路6をパルス電圧発信機4へ接続し、前記外部電極2、3の2本の通電回路7a、7bを1本の通電回路7に繋いでパルス電圧発信機4へ接続する。
また、前記外部電極3の通電回路7bにはアース8に接続する。
そして、該内部電極1と外部電極2、3から成る電極部分を空気循環路5内に設置する。
また、前記内部電極1と外部電極2、3の外径は、空気の流量や取り付ける対象装置のサイズに合わせて決めるが、室内空調機に付設する場合で、30〜80cm程度である。
この場合、前記間隔保持枠12、13及び円形間隔保持体14の厚さを1mmとして、内部電極1と外部電極2、3との間隔を1mmとし、 この間隔は、小さいほど性能が高くなるが、実際に製作をする場合の均一性の確保を考慮すると0.5mmから1.5mm程度が好ましい。
なお、パルス幅は小さい方が良く、図5に示す上側の波形のように、最適なパルスの立ち上がり時間の値は、負荷電極接続時に0.1〜0.5マイクロ秒程度であり、パルス出力電圧は0.5kV〜2kV程度が最適である。
なお、各電極の間隔を1mmとした場合、0.5kV〜2kVの電圧は、電場に換算するとE(電場)=V(電圧)/ L(距離)であるので、0.5kVは500V/1mm=5×10 5 V/mであり、2kVは2×10 3 V/1mm=2×10 6 V/mとなる。本発明では該高電場により加速された電子を両電極間に存在する分子(浮遊物)に衝突させて該分子を分解させることが可能となるのである。
また、パルスの繰り返し周波数を増加することは、有毒ガスなどの分解速度の増加になり、その分高い殺菌や消臭効果を得ることが可能となる。しかし、周波数を増加させると消費電力も増加し、それに加えてパルス電圧発生回路には他の回路要素が入ってくるため、システムが複雑になるので増加させるにも限界はある。しかし、本発明では、プラズマ放電を発生させる電圧よりも低い電圧を前記内部電極1と外部電極2、3に印加するものなので、電流は流れず、このため消費電力が極めて少なく、周波数を増加させて消費電力を増加させたとしても稼動コスト面への影響を大きく受けることはない。
本発明は、図2に示すように、電極は前記内部電極1と外部電極2、3の2極からなり、図3に示すように、前記外部電極2、3は高電圧の印加される内部電極1を完全に包み込む形状とし、アース(接地)する。
前記内部電極1と外部電極2、3とは面的に広がりを持ち、その面は通気性が得られるように高い空隙率に設定する。このため、図2及び図3に示すように、網目状や格子状の電極材を使用する。
また、各電極間の間隔は何処でも一定となるようにし、高電圧が2極間に満遍なく均一に印加されるようにする。このため、電極材は図3示す網目状や格子状のほかに、ハニカム状や同一径の円孔を同間隔で整列させた円孔板状などの形状をしたものでも良く、表面間を均一間隔とするため、いずれも断面形状には凹凸がないものが好ましい。
前記内部電極1と外部電極2、3との間隔はできれば小さいほど良いが、製造する場合、間隔が微小であると間隔を均一に保持することが困難となる。
前記内部電極1と外部電極2、3に印加するパルス電圧は、高くすると絶縁破壊が起きてプラズマ放電が発生して通電され、また前記内部電極1と外部電極2、3の表面の間隔が不均一な場合においても最小間隔部分に集中的にプラズマ放電が発生して通電してしまうおそれがある。
プラズマ放電するとその瞬間に高電場が消滅してしまい分子結合を切断可能とする高い電圧による高電場が得られなくなる。
例えば、1mm程度の均一間隔にした30cm径のステンレス製の電極については常温状圧下で2kVのパルス電圧が掛かっても空気の絶縁破壊が発生して通常は通電することはない。しかし、条件によっては絶縁破壊して通電するこもとも考えられるのでその際にはパルス電圧を下げて絶縁破壊が起きない印加電圧に設定し直すことで対応が可能である。
また、本発明の空気の浄化・乾燥装置を住宅の居室に取り付けた場合には、有害なウイルスや細菌類を殺菌し、不快な悪臭等を消し去り、併せて空気中の水分の分解も行うことが可能となるので、爽やかで健康的な居住空間を実現することが可能となる。
長さ55cm、幅41cm、高さ36.5cmの半透明なプラスチック製の箱を2箱用意し、各直径12cmの扇風機を装着し、バナナを一方には約1045g(6本)「箱1」、他方には1235g(7本)「箱2」を投入して、その後常温に温度を保持させた。そして一方の「箱1」には本発明の装置をつけず、他方の「箱2」には外部電極2、3の径が30cmの本発明の装置を装着して稼動した。
本実験は11月28日に開始し、12月18日に終了した。
その結果、12月18日の計測では、一方の本発明の装置をつけない「箱1」の方のバナナは水分が減少して重量が945gとなったが、他方の装置を装着した「箱2」の方のバナナは水分の減少が大きく、重量が844gとなった。
このときのバナナの表面の目視観察では、一方の本発明の装置をつけない「箱1」の中のバナナの表面は殆どの部分が黒く変色し、その表面の約20%には白くカビで覆われた状態に腐っていた。しかし、他方の本発明の装置を装着した「箱2」の中のバナナの表面は全面が黒く変色したもののカビは殆ど発生していなかった。そして皮を剥くと黄色い熟したバナナとなっていた。
このことから、本発明の装置の滅菌機能が確認された。
上記滅菌機能を確認する実験と同様の長さ55cm、幅41cm、高さ36.5cmの半透明なプラスチック製の箱を2箱用意し、一方の箱には本発明の装置をつけないで、他方の箱には外部電極2、3の径が30cmの本発明の装置を装着した。
両方の箱にシガレットタバコを半分に切って点火したタバコを投入して蓋で箱を密閉した。
タバコが燃え尽きたとき、蓋を少し開けてこの時の臭いを嗅いでタバコ特有の臭いを記憶した。
その後、本発明の装置を35分だけ稼動して再度臭いの確認を行った。その確認は、蓋を開けて箱の中の臭いを鼻で直接嗅ぐ方法で行った。
この結果、本発明の装置を装着した箱の方は、タバコの臭いはなくなり、また白煙も消え箱の中は透明となっていた。しかし、一方の本発明の装置を付けなかった箱の方の中は、タバコの臭は当初とほぼ同じあり、また白煙も当初と同じく箱の中が白煙で不透明な状態のまま殆ど変化がなかった
このことから本発明の装置での消臭機能が確認された。
上記滅菌機能を確認する実験と同様の長さ55cm、幅41cm、高さ36.5cmの半透明なプラスチック製の箱を用意し、直径12cmの扇風機を装着し、エチレンガスの測定器を設置し、箱には外部電極2、3の径が30cmの本発明の装置を装着した。
そして、箱の中にバナナ6本を入れて、蓋を密閉し、そのまま温度を常温に保持した。
本実験の結果、図6に示されるデータが得られた。
前記図6中の黒塗り四角で示されたon/offは装置の稼動のスイッチを開閉するタイミングを示している。
本実験では、本発明の装置を稼動させた毎に湿度が約90%から60%に低下しており、これで本発明に優れた乾燥機能があることが確認できた。
また、エチレンガス測定器による計測結果を見ると、本発明の装置の稼動を停止(off)する毎に、バナナから発生したエチレンガスのガス濃度が上昇し、稼動(on)する毎に150〜200ppm程度に上昇したガス濃度が0ppmにまで減少しており、バナナから発生したエチレンガスが確実に分解されていることが確認できた。
2 外部電極
3 外部電極
4 パルス電圧発信機
5 空気循環路
6 内部電極の通電回路
7 外部電極の通電回路
7a 上側の外部電極の通電回路
7b 下側の外部電極の通電回路
8 アース
9 絶縁枠
9a ネジ孔
10 絶縁枠
10a ネジ孔
11 絶縁枠
11a ネジ孔
12 間隔保持枠
12a ネジ孔
13 間隔保持枠
13a ネジ孔
14 円形間隔保持体
14a ネジ孔
15 固定ネジ
16 ナット
17 電源
Claims (3)
- 電極間に有機・無機ガス又は浮遊物を含む空気を通過させ、該電極に空気絶縁を破壊してプラズマ放電を発生させる電圧よりも低い値で且つ5×105V/m以上の電場となる、5マイクロ秒以下の立ち上がり時間の短い急俊なパルス電圧を印加し、両電極間に高電場を周期的に発生させ、該高電場により加速された電子を両電極間に存在する有機・無機ガス又は浮遊物の分子に衝突させて該分子を分解可能としたことを特徴とする空気の浄化・乾燥方法。
- 請求項1に記載の空気の浄化・乾燥方法を実施するための空気の浄化・乾燥装置であって、空気循環路中に該空気循環路を仕切るように平面的広がりを持ち、且つ該平面が網状又は格子状の通気性の内部電極と、その内部電極の表裏面を外側から囲むように設けた網状又は格子状の通気性の外部電極とを設置し、前記内部電極と外部電極とには各電極の通電回路を介して電源に通電されてパルス電圧を発信するパルス電圧発信機を接続し、前記外部電極にはアースを接続したことを特徴とする空気の浄化・乾燥装置。
- 網状又は格子状の内部電極と外部電極の各表面間の間隔を0.5〜1.5mmとし、印加するパルス電圧の立ち上がり時間を5マイクロ秒以下とし、パルス出力電圧は500V〜2kVとしたことを特徴とする請求項2に記載の空気の浄化・乾燥装置。
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