JP3650932B2 - ダークプラズマによる有機気体分解装置と、その装置を用いた生鮮農産物の鮮度保持装置 - Google Patents

ダークプラズマによる有機気体分解装置と、その装置を用いた生鮮農産物の鮮度保持装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、大気圧下でダークプラズマを効率良く発生させる装置と、その装置を用いて、農産物により放出されるエチレンガス等の生鮮農産物に対する有機ガスを、容器内の温度を上昇させず、また消費電力の少ない低電圧の電流で発生するダークプラズマにより炭素と酸素又は水に分解して無害化し、またそのダークプラズマの殺菌作用により保存生鮮農産物の鮮度を長期にわたり保持できるようにするための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
生鮮農産物には各種細菌類が付着し、放置すると鮮度を低下させたり、腐敗させたりする原因と成っている。
これを防ぐために、通常冷蔵庫に生鮮農産物を入れて保管することが行われている。
冷蔵庫に入れれば、低温のために腐敗菌の増殖が抑制されるので腐敗が防止すされることになる。
しかし、その農産物により放出されるエチレンガス等の有害な有機ガスにより鮮度低下を防ぐことができない。
このため、生鮮農産物の鮮度を長期にわたり保持するためには、その農産物により放出されるエチレンガス等の有害な有機ガスを可及的速やかに処理することが必要である。しかし、発生したエチレンガスを外部排出しようとすると、冷却して低温となった空気も排出されることになり、入れ替わった外気を新たに冷却するためエネルギー消費が増加してしまう。
【0003】
そこで、一般的には、そのような有害な有機ガスを吸着除去する活性炭のようなガス吸着材が多用されている。
この方法では、使用し続けると吸着性能が低下してくるので、適宜活性炭を新しいものと交換しなければならない。またこれの管理も大変にわずらわしい。
また、活性炭は商品としては、プラスチック容器などに入れられて販売されているので、使用済みのものを廃棄域処分すると環境問題を惹き起こす可能性がある。
【0004】
そこで、電極へ高電圧の印加によりアーク放電や火花放電を起し、これによりブライトプラズマを発生させ、同時に、図15に示すように、オゾンも発生させ、そのオゾンの殺菌力で保存生鮮農産物に付着している各種細菌類を死滅させて腐敗の原因を解消する方法が提案されている。
この方法では、高電圧の電流の印加によりプラズマ発光、発熱が起こり、冷却すべき冷凍庫や冷蔵庫内の温度が逆に上昇する難点があった。
また高電圧電流を使用すると大掛かりな装置と多くの電力消費が必要となり、装置の維持管理費が高負担となる難点もあった。
【0005】
また、オゾンは、腐敗菌を殺菌するだけではなく、食品の脱色変化を起し、食品の見栄えを悪くし、また多量に発生すると人体へ悪影響を及ぼすおそれがある。
このため、この装置をそのまま家庭用の生鮮農産物の保存庫などにして利用することは好ましいものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のかかる難点を解消するためになされたもので、収納容器内に蓄積される生鮮農産物から発生するエチレンガス等の鮮度保持にとって有害な有機ガスを効果的に分解し、同時にオゾンを発生させずに容器内に浮遊する腐敗菌を殺菌できるコンパクトな装置と、その装置を利用して、その容器内の生鮮農産物の鮮度を長期にわたって保持できる、小型且つ低電力の一般家庭用にも適した安全な生鮮農産物の鮮度保持装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、電極配置板1の表面1aに、中心部位には中心通電電極2を立設し、該中心通電電極2から定間隔を置いた周囲に通電体に接続されない浮遊電極3を略等間隔に多数立設し、該浮遊電極群を囲うようにその外周に間隔を置いて通電体に接続された多数の外周通電電極4を立設する。
前記中心通電電極2と外周通電電極4を大気圧下でダークプラズマのみを発生させる強さの電圧を印加する電源5に接続し、前記電極配置板1の表面1aの各電極2、3、4群間に有機気体を吹き付ける送風手段6を備えて成る。
そして、電圧印加で電極群に発生するダークプラズマによってそこに吹き付けられた有機気体を分解できるようにしたことを特徴とするダークプラズマによる有機気体分解装置である。
【0008】
また、上記構成において、前記中心通電電極2、浮遊電極3、外周通電電極4が、先端に大径放電部11を形成した棒状体としたものである。
【0009】
さらに、上記構成において、前記複数の外周通電電極4を、中心通電電極2から等距離に配設したものである。
【0010】
さらにまた、上記構成において、前記電源5を、パルス電圧の電源としたものである。
【0011】
また、上記構成において、前記パルス電圧を、周波数が約5kHzで、約3.6kVの低電圧のパルス電圧とするものである。
【0012】
また、上記構成において、前記電極配置板1がケース7にその内部空間Sを仕切るように装着され、その電極配置板1の表面1a側の仕切り空間S1に臨ませて吸気口8を有し、裏面1b側の仕切り空間S2に臨ませて排気口9を設けて、前記電極配置板1の外周通電電極6よりも外周部に両側空間S1、S2に通じる通風孔10を複数貫設するとともに前記吸気口8には中心通電電極2に向けて開口する吹付けノズル15を装着し、前記吸気口8又は排気口9側に送風手段6を装着して成るものである。
【0013】
また、上記構成において、上記ダークプラズマによる有機気体分解装置を、生鮮農産物の収納容器12の収納空間A内に装着し、鮮度低下の一因である生鮮農産物から発生する収納空間A内の有機気体を電極群に吹き付けてダークプラズマの作用によって分解し、収納されている生鮮農産物の鮮度を長期間保持できるようにしたことを特徴とする生鮮農産物の鮮度保持装置である。
【0014】
また、上記構成において、上記ダークプラズマによる有機気体分解装置の吸気口8と排気口9とを、生鮮農産物の収納容器12の収納空間A内に開口させ、鮮度低下の一因である生鮮農産物から発生する収納空間A内の有機気体を電極群に吹き付けてダークプラズマの作用によって分解し、収納されている生鮮農産物の鮮度を長期間保持できるようにしたことを特徴とする生鮮農産物の鮮度保持装置である。
【0015】
【発明の実施の形態】
従来の生鮮農産物の鮮度を保持するために提案されているアーク放電や火花放電のブライトプラズマを用いた装置では、大気圧下で容易に実施できる点で利用しやすい面があるが、その反面、オゾンを発生させることと高電圧電流を使用するため電力消費が大きくなる難点があった。
【0016】
そこで、本願発明者は、低電圧で発生するダークプラズマに着目したが、光を出さないダークプラズマは通常、真空中において、ブライトプラズマを発生させる電圧よりは相当低い電圧の印加で発生するが、大気圧下では効率的に発生させることが困難であった。
そこで、大気圧下でもダークプラズマを利用することが可能になるよう研究、実験を繰り返して、ダークプラズマによる有機気体分解装置を完成させることができた。
【0017】
その装置の形態を以下詳しく説明する。
この装置は、図3及び図4の(イ)、(ロ)に示すように、円形の電極配置板1の表面1aに、中心部位には中心通電電極2を立設し、それから略定間隔を置いた周囲に通電体に接続されない浮遊電極3を相互に略等間隔に多数立設する。
その浮遊電極群を囲うようにその外周に定間隔を置いて通電体に接続された多数の外周通電電極4を立設する。
【0018】
また、前記各電極2、3、4の形状は、図3に示すように、先端に放電キャパシティを大きくするための大径放電部11を形成した棒状体としたものが最適である。
【0019】
これまでの電極放電については、放電電圧は二極間に印加するもので、少なくとも1対1ないと印加することができないものであった。
そして、できるだけ多く放電させるには複数の放電電極があると効率的であった。
しかしながら通電する二極電極を数多く用いると、多くの電力が消費されることになる。
また、複数の電極群間で電流を印加すると、異極の一番近い電極同士に集中的に放電が起こり、放電ムラとなる傾向があるので、放電の均一分散を図るためには、極端に近い状態となるのを避け、各電極をできるだけ等間隔に設けることが必要である。
【0020】
本発明では、浮遊電極3群がある上記構造にすることによって、パルス電圧などを使用して、比較的低電圧でも、大気圧下で効率良く、より多量のダークプラズマを得られるように工夫したものである。
【0021】
そして、前記中心通電電極2と外周通電電極4を大気圧下でダークプラズマのみを発生させる強さの電圧を印加する電源5に接続する。
さらに、図1及び図2に示すように、前記電極配置板1の表面1aの電極群間に有機気体を吹き付ける吹付けノズル15と送風ファンなどの送風手段6を装着する。
【0022】
これにより、電圧印加で電極群に発生するダークプラズマで、そこに吹き付けられたエチレン、アンモニア、メタンなどの生鮮農産物から発生する有害な有機気体が分解できるダークプラズマによる有機気体分解装置が構成される。
【0023】
前記中心通電電極2と外周通電電極4間に大気圧下でダークプラズマのみを発生させる最適な電圧は、規模によって異なり、消費電力を節約するにはその印加を連続的又は断続的に継続すると良い。
【0024】
【実施例1】
次にダークプラズマによる有機気体分解装置の一つの具体的な実施例を示す。
図3に示すように、先端に放電キャパシティを大きくするための大径放電部11を形成した棒状体とし、図4に示すように、複数の浮遊電極3と複数の外周通電電極4と1本の中心通電電極2の電極針は合計で21本を使用する。
その電極針の全長は20mm、そのうちの約1/2が基端部の径が3mm、先端部の大径放電部11の径は5mmの異なる径を繋げた形状を成し、それらの電極は大径放電部11間で0.5mm程度の間隔を置いて、円形の電極配置板1の表面1aに多数直立させて固定する。
【0025】
前記複数の外周通電電極4は、図4の(ロ)に示すように、中心通電電極2から等距離にすると、一定の条件ではダークプラズマの発生効率が大きく得られる。
しかし、温度、気圧などの外的条件の変化がある場合には、図4の(イ)に示すように、それらの外周通電電極4を中心通電電極2から等距離ではなく設置距離に巾を持たせたほうがダークプラズマの発生可能範囲を大きく取れる利点がある。
【0026】
そして、図1に示すように、前記中心通電電極2と外周通電電極4を大気圧下でダークプラズマのみを発生させる強さの電圧を印加する電源5に線材などの中心通電電極2への通電体13、外周通電電極4への14、外周通電電極4同士を接続する通電体14aなどで電気的に接続する。
また前記電極配置板1の表面1aの電極群間に有機気体を吹き付ける吹付けノズル15による送風手段6を装着する。
【0027】
【実施例2】
図1に示されるような上記ダークプラズマによる有機気体分解装置は、電極配置板1の表面1aが外部の空間に露出した形態であるが、これとは別の、図2に示すような、ケース7に納めた形態が可能である。
この形態では、図2に示すように、実施例1と形、サイズが同様な21本の各電極を使用した電極配置板1がケース7にその内部空間Sを仕切るように装着される。
【0028】
その電極配置板1の表面1a側の仕切り空間S1に臨ませて吸気口8を有し、裏面1b側の仕切り空間S2に臨ませて排気口9を設ける。
そして、前記電極配置板1の外周通電電極4よりも外周部に両側空間S1、S2に通じる通風孔10を複数貫設するとともに前記吸気口8には中心通電電極2に向けて開口する吹付けノズル15を装着し、電極群を通過する空気の流れができるように、前記吸気口8又は排気口9側に通風管16を介してエアーポンプなどの送風手段6を装着する。
【0029】
【実施例3】
上記ダークプラズマによる有機気体分解装置を用いた生鮮農産物の鮮度保持装置は、図5の模式図に示すように、実施例1の装置を、生鮮農産物の収納容器12の収納空間A内に装着したものが可能である。
【0030】
【実施例4】
また別の形態としては、図6に示すように、実施例2のダークプラズマによる有機気体分解装置の吸気口8と排気口9とを、生鮮農産物の収納容器12の収納空間A内に開口させたものが可能である。
【0031】
【実施例5】
また別の形態としては、図7に示すように、実施例2のダークプラズマによる有機気体分解装置を生鮮農産物の収納容器12の外部に取り付け、その収納容器12の収納空間A内に吸気口8と排気口9とを開口させたものである。
【0032】
上記実施例3、4及び5とも、鮮度低下の一因である野菜、果実などの生鮮農産物から発生する収納空間A内のエチレン、アンモニア、メタンなどの有機気体がダークプラズマによる有機気体分解装置内に吸入されて、電極群に吹き付けられて多量に発生したダークプラズマの作用によって酸素と二酸化炭素と炭素と水に分解し、その収納空間A内に排出される。
そのように鮮度低下の原因となるエチレンガスは分解されて濃度増加がなされず、その結果、収納されている生鮮農産物の鮮度が長期間保持できるようになる。
その際、収納空間Aへは外気が取り込まれることもなく温度はそのままに保たれる。
【0033】
【試験例1】
次のような試験条件のもとに、実施例2の装置で、3種類のパルス電圧により、エチレンガスの濃度の時間的変化を調べる試験を行った。
【0034】
<試験条件>
容器の容量 :90リットル
エチレンガス :500ppm封入
●印 :電圧オフ
△印のパルス電圧:50Hz
○印のパルス電圧:500Hz
□印のパルス電圧:5000Hz=5kHz
電極間隔 :0.5mm
電極への印加電圧:3.6kVで一定
気圧 :大気圧
【0035】
図8は、その試験結果をグラフにしたものである。
そして、エチレンガスの濃度を10分ごとに測定した。
このグラフに示されるように、パルス電圧は周波数が高いほどエチレンガスの濃度は大きく減少し、5kHzの周波数の時には大きな効果を確認できた。
【0036】
【試験例2】
次に、上記実験例1と同じく実施例2の装置で、90リットルの容器にバナナを8.64kg入れて、エチレンガスの濃度の時間的変化を調べる試験を行った。
【0037】
<試験条件>
容器の容量 :90リットル
パルス電圧 :5000Hz=5kHz
電極間隔 :0.5mm
電極への印加電圧:3.6kVで一定
気圧 :大気圧
【0038】
図9は、この試験結果をグラフにしたもので、青いバナナから発生するエチレンガスの濃度の時間的変化を示す。
当初エチレンガスの濃度は25ppmであったが、その後徐々に増加し、180時間後にはエチレンガスの発生量が増大し始めた。
そして、256時間後、スイッチを入れ放電開始したら、急速に濃度が減少し、その261時間後にスイッチを切って放電停止したらエチレンガスの濃度が再度増加に転じた。
このことは、ダークプラズマの作用で、容器中のエチレンガスが分解され、消失していったことを明確に示している。
【0039】
また図10は、上記試験のグラフの256時間後からの拡大図であり、256時間後、スイッチを入れ放電開始したら、その時には230ppmあった濃度が徐々に低下し、261時間後200ppmになったことがわかる。そこでスイッチを切って放電停止したら、エチレンガスの濃度が再度急激に増加に転じている。
【0040】
【試験例3】
また、実施例2の装置で、次のような試験条件のもとに、バナナを8.64kg入れて、短時間でのエチレンガスの濃度の時間的変化を調べる試験を行った。
【0041】
<試験条件>
容器の容量 :90リットル
パルス電圧 :5000Hz=5kHz
電極間隔 :0.5mm
電極への印加電圧:3.6kVで一定
気圧 :大気圧
【0042】
図11は、この試験結果をグラフにしたもので、青いバナナから発生するエチレンガスの濃度の時間的変化を示す。
始め2時間までエチレンガスの濃度が徐々に増加し、2時間後、スイッチを入れ放電開始したら、濃度の増加が止まり、300ppmから310ppmの間内でほぼ一定状態となり、7時間後にスイッチを切って放電停止したらエチレンガスの濃度が再度急激に増加に転じた。
このことは、ダークプラズマの作用で、容器中のバナナから発生した分のエチレンガスが分解され、消失し続けたことを示している。
【0043】
なお、容器内のエチレンガスと同時にオゾンの濃度も測定したが、上記試験例1乃至3のいずれにおいてもオゾンの存在は認められなかった。
【0044】
【試験例4】
上記実施例2のダークプラズマによる有機気体分解装置により、電源5をパルス電圧の電源とした周波数と電圧のエチレンガスに対する影響についての試験を行った。
これは、容器にエチレンガスを入れて10分間の濃度の変化を調べたものである。
【0045】
容器の容量 :90リットル
▲印のパルス電圧:50Hz
●印のパルス電圧:500Hz
■印のパルス電圧:5000Hz=5kHz
電極間隔 :0.5mm
電極への印加電圧:0〜4kVで一定
気圧 :大気圧
温度 :24℃
湿度 :49%
【0046】
その結果が図12のグラフ図である。
この試験では、パルス電圧が周波数5kHzで、1〜3kVで7ppmあったガス濃度が0近くになり、エチレンガスの分解効果が顕著に現れることがわかる。
なお、50Hzでは殆んど減少せず、また500Hzの場合では3kVあたりで濃度が級に減少している。
また、4kV以上の電圧では、火花放電が起こりオゾンが発生が確認されているので好ましくない。
【0047】
したがって、実施例2の装置では、低電圧で高い効果を得るためには、パルス電圧が5kHzで、電極への印加電圧が3.6kVのときに最もエチレンガスが減少しそのガスの分解効果が大きいことが分かる。
さらに周波数を5kHzよりも上げた場合、より高電圧になるほどエチレンガスの分解量が減少することも確かめられている。
ダークプラズマによる有機気体分解装置の規模により、ダークプラズマを発生させる最適な電圧が異なるが、本発明では、従来のブライトプラズマを発生させる場合と比べると大幅に低電圧で効率良く発生させることができる。
また、これよりも相当に低電圧にすると、ダークプラズマは発生せずに放電イオンの発生がみられるが、そのイオンでは有機ガスの分解や滅菌効果は期待できない。
【0048】
【試験例5】
また、実施例1の装置によって発生するダークプラズマが菌に及ぼす影響を調べる試験を行った。
これは、図13に示す実験装置で菌を入れて空気循環させたときにシャーレに採取できた菌の胞子数の増減状態を調べたものである。
【0049】
パルス電圧 :5kHz
電極への印加電圧:3.6kVで一定
気圧 :大気圧
【0050】
図14は、この試験結果をグラフにしたもので、空気循環によりダークプラズマ内を胞子が通過するときに、胞子を構成する蛋白質などの分子が分解されて(焼かれて)時間とともに死滅減少することが確かめられた。
【0051】
【比較試験例1】
本発明と比較するために、従来の火花放電によるエチレンガスとオゾンの濃度の時間的変化を調べる試験をした。
【0052】
<試験条件>
容器の容量 :90リットル
パルス電圧 :5000Hz=5kHz
電極間隔 :0.5mm
電極への印加電圧:26kVで一定
気圧 :大気圧
【0053】
図15は、この試験結果をグラフにしたもので、容器内のエチレンガスとオゾンの濃度の時間的変化を示す。
この試験によって、26kVの高電圧では火花放電によって、容器中のエチレンガスを分解することを示していると同時に人体に有害なオゾンも大量に発生していることがわかる。
【0054】
【発明の効果】
従来の放電による鮮度保持方法やその装置では、高電圧の電流の印加によりプラズマ発光、発熱が起こり、エチレンなどの鮮度保持にとって有害な有機ガスをブライトプラズマの作用で分解させることができる一方、冷却すべき冷凍庫や冷蔵庫内の温度が逆に上昇する難点や、高電圧電流を使用すると重たくて大掛かりな装置と電力消費が大きくなり、維持費が高負担となる難点や、また多量に発生するオゾンは殺菌作用があり有用な面もあるが、人体へ悪影響をもたらし、またオゾンは食品の脱色変化をきたす問題があった。
【0055】
これに対して、以上説明したように、本発明のダークプラズマによる有機気体分解装置においては、中心通電電極2の周囲に、浮遊電極3群が配され、その周囲に外周通電電極4群が取り巻くように配されていて極めてコンパクトにでき、上記各試験の結果に示されるように、大気圧下でも低電圧で効果的に多量のダークプラズマを発生させることができるようになった。
【0056】
また、その装置を利用することによって、生鮮農産物の鮮度保持装置が低電圧にものにできるようになり、電力消費を少なく済ませられるとともに小型化が可能となり、上記試験例にも示されるように、収納容器12内に蓄積される生鮮農産物から発生するエチレン、アンモニア、メタンなどの鮮度保持にとって有害な有機ガスをダークプラズマの作用で無害な酸素、二酸化炭素、炭素及び水に分解させることができるようになった。
【0057】
また、ダークプラズマはエチレンガスを分解できる強力な化学作用により腐敗菌に対しても、図14の試験結果に示されるように、菌の生体組織を破壊し死滅させる。
そして、収納空間Aに浮遊する腐敗菌を殺菌して腐敗の原因を絶ち、収納容器12内の生鮮農産物の鮮度を長期にわたって保持できるようにするとともに、オゾン殺菌と異なり、生鮮農産物の脱色や見かけ上の変化も起こさない。
また、オゾンを全く発生しないことは、当然独特のオゾン臭の発生も起こすことはない。
【0058】
このため本発明の生鮮農産物の鮮度保持装置は、一般家庭用にも適した極めてコンパクトで、安全且つ経済的な冷蔵庫又は保存庫としても利用できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のダークプラズマによる有機気体分解装置の模式的概念図
【図2】ケースを有するダークプラズマによる有機気体分解装置。
【図3】電極の形状と配置を示す要部の斜視図。
【図4】電極配置板の表面を示し、(イ)が外周通電電極と中心通電電極とが等距離ではない場合の(ロ)が外周通電電極が中心通電電極に等距離の場合の各正面図。
【図5】生鮮農産物の鮮度保持装置の模式的概念図。
【図6】別の形態の生鮮農産物の鮮度保持装置の模式的概念図。
【図7】また別の形態の生鮮農産物の鮮度保持装置の模式的概念図。
【図8】周波数によるエチレンガスの濃度変化を示すグラフ図。
【図9】放電時と放電停止時のエチレンガスの濃度変化を示すグラフ図。
【図10】図9を一部拡大した状態を示すグラフ図。
【図11】また別のエチレンガスの濃度の経過時間による変化を示すグラフ図。
【図12】電圧と周波数によるエチレンガスの濃度変化を示すグラフ図。
【図13】ダークプラズマによる菌の胞子の減少状態を調べる装置の模式的縦断側面図。
【図14】図13の装置でのダークプラズマによる菌の胞子の減少状態を調べた結果を示すグラフ図。
【図15】従来の火花放電によるエチレンガスとオゾンの濃度変化を示すグラフ図。
【符号の説明】
1 電極配置板
1a 電極配置板の表面
2 中心通電電極
3 浮遊電極
4 外周通電電極
5 電源
6 送風手段
7 ケース
8 吸気口
9 排気口
10 通風孔
11 大径放電部
12 収納容器
13 通電体
14 通電体
14a 通電体
15 吹付けノズル
16 通風管
A 収納空間
S1 仕切り空間
S2 仕切り空間

Claims (8)

  1. 電極配置板(1)の表面(1a)に、中心部位には中心通電電極(2)を立設し、該中心通電電極(2)から定間隔を置いた周囲に通電体に接続されない浮遊電極(3)を略等間隔に多数立設し、該浮遊電極群を囲うようにその外周に間隔を置いて通電体に接続された多数の外周通電電極(4)を立設し、前記中心通電電極(2)と外周通電電極(4)を大気圧下でダークプラズマのみを発生させる強さの電圧を印加する電源(5)に接続し、前記電極配置板(1)の表面(1a)の各電極(2)、(3)、(4)群間に有機気体を吹き付ける送風手段(6)を備えて成り、電圧印加で電極群に発生するダークプラズマによってそこに吹き付けられた有機気体を分解できるようにしたことを特徴とするダークプラズマによる有機気体分解装置。
  2. 中心通電電極(2)、浮遊電極(3)、外周通電電極(4)が、先端に大径放電部(11)を形成した棒状体である請求項1に記載のダークプラズマによる有機気体分解装置。
  3. 複数の外周通電電極(4)が、中心通電電極(2)から等距離に配設されて成る請求項1又は2に記載のダークプラズマによる有機気体分解装置。
  4. 電源(5)が、パルス電圧の電源である請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載のダークプラズマによる有機気体分解装置。
  5. パルス電圧が、周波数が約5kHzで、約3.6kVの低電圧のパルス電圧である請求項4に記載のダークプラズマによる有機気体分解装置。
  6. 電極配置板(1)がケース(7)にその内部空間(S)を仕切るように装着され、その電極配置板(1)の表面(1a)側の仕切り空間(S1)に臨ませて吸気口(8)を有し、裏面(1b)側の仕切り空間(S2)に臨ませて排気口(9)を設けて、前記電極配置板(1)の外周通電電極(6)よりも外周部に両側空間(S1)、(S2)に通じる通風孔(10)を複数貫設するとともに前記吸気口(8)には中心通電電極(2)に向けて開口する吹付けノズル(15)を装着し、前記吸気口(8)又は排気口(9)側に送風手段(6)を装着して成る請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載のダークプラズマによる有機気体分解装置。
  7. 請求項1乃至6のうちいずれか一項に記載のダークプラズマによる有機気体分解装置を、生鮮農産物の収納容器(12)の収納空間(A)内に装着し、鮮度低下の一因である生鮮農産物から発生する収納空間(A)内の有機気体を電極群に吹き付けてダークプラズマの作用によって分解し、収納されている生鮮農産物の鮮度を長期間保持できるようにしたことを特徴とする生鮮農産物の鮮度保持装置。
  8. 請求項6に記載のダークプラズマによる有機気体分解装置の吸気口(8)と排気口(9)とを、生鮮農産物の収納容器(12)の収納空間(A)内に開口させ、鮮度低下の一因である生鮮農産物から発生する収納空間(A)内の有機気体を電極群に吹き付けてダークプラズマの作用によって分解し、収納されている生鮮農産物の鮮度を長期間保持できるようにしたことを特徴とする生鮮農産物の鮮度保持装置。
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