JP5407528B2 - 車両の評価方法および車両の評価装置 - Google Patents
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Description
横揺れ感は、車両が直進状態であっても不整路面などによって生じるものであり、ミニバン、SUV(Sports Utility Vehicle)等の重心高の高い車両で特に顕著である。
しかし、この横揺れ感については、ロール剛性、ロール減衰率、重心高、ホイールレートなどの車両特性の影響が複雑であるため予測が難しい。
この非特許文献1には、車両の前後方向の加速度および加加速度と、ドライバの頚部の左右の胸鎖乳突筋の筋活動の加算平均波形との対応関係の変化が、ドライバが感じる加速感と関係している可能性を示唆することが記載されている。
しかし、官能評価は、評価者(パネラー)の個人差、評価者自身の健康状態、または種々の環境条件により大きく左右される。このため、官能評価で、得られる横揺れ感の結果に、ばらつきが生じることがある。さらには、官能評価には、実験手続き上の制約が多いなどの問題点がある。
本発明において、横揺れ感の評価については、車両に乗っている乗員であれば、運転手によるものでも、非運転手、すなわち、横揺れ感の評価については、同乗者による評価であってもよい。
前記車両が略直進状態にあることを判定する工程において、前記車両が略直進状態にあると判定された場合、前記車両の横揺れ感を評価する工程において、前記同時活動量によって車両の横揺れ感を評価することが好ましい。
さらにまた、本発明においては、前記車両が略直進状態にあることを判定する工程において、左右一対で選択された乗員の骨格筋における、左右の筋活動のトレンド成分の偏差を求め、この偏差が所定の範囲内である場合に、車両が略直進状態にあると判定することが好ましい。
また、本発明においては、前記筋活動が測定される骨格筋は、胸鎖乳突筋、僧帽筋の上部、側頭筋および頭板状筋のうち、少なくとも1種類の筋肉であることが好ましい。
しかしながら、本発明においては、車両に生じる横揺れに対して頭部の姿勢を保持する際、左右一対の筋について筋肉の収縮などの筋活動を測定して、同時活動量を求め、これを用いて横揺れ感を評価するため、評価者は、テストドライバ、一般的なドライバによらず、横揺れ感を適切かつ定量的に評価することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る車両の評価装置を示す模式図である。
なお、乗員100には、車両を操縦する運転手、および助手席等に乗車する非運転手、すなわち、同乗者が含まれる。また、車両には、乗用車、バス、鉄道の車両、新交通システムの車両も含まれる。
本実施形態の評価装置10においては、横揺れ感が大きいと、乗員100の頭部102の姿勢保持に関わる骨格筋の左右一対の筋活動の特徴を表す同時活動量が大きくなることを用いて横揺れ感を適切かつ定量的に評価する。
ここで、入力部16は、キーボード、マウスなど、コンピュータなどの入力に用いられるものである。
表示部18は、入力部16からの入力情報および評価ユニット14で得られた情報を表示するものである。この表示部18としては、CRT、LCD、PDP、有機ELなどの各種のモニタを用いることができる。
筋電センサ20aと筋電センサ20bとは、同じ構成であるため、以下、筋電センサ20a、20bとして、まとめて説明する。
筋電センサ20a、20bは、乗員100の頭部102の姿勢保持に関わる骨格筋のうち、少なくとも1種類について左右一対の筋活動を、筋電位として検出するものである。
この筋電センサ20a、20bは、それぞれ、例えば、銀−塩化銀(Ag/AgCl)の皿型電極が対になって構成されるものであり、この一対の皿型電極が所定の間隔、例えば、5mm離間して測定する骨格筋が位置する皮膚の表面に貼り付けられる。
なお、筋電センサ20a、20bの電極は、銀−塩化銀(Ag/AgCl)電極に限定されるものではない。筋電センサ20a、20bの電極は、ステンレススチール、カーボン、カーボンコンポジット、白金、金、銀、チタン、導電性樹脂、導電性高分子ゲルなど、その他の材料によって構成されたものであってもよい。
このアンプ24は、評価ユニット14の筋電情報取得部32、解析部36および記憶部40に接続されている。
筋電センサ20a、20bによって検出される筋電位は,大抵の場合、数マイクロボルトから数ミリボルトの微小な電圧である。このため、アンプ24により電圧をAD変換可能なレベルまで、例えば、1000倍程度、増幅され、増幅された筋電位信号は、更にアンプ24で所定のサンプリング周波数でA/D変換されてデジタル信号として評価ユニット14に出力される。
本実施形態において、筋電センサ20a、20bが貼り付けられる胸鎖乳突筋110は、図3(a)に示すように、乗員100の頸部104にある筋肉であり、頸部104の両側に対称にある。この胸鎖乳突筋110の働きとしては、頭部102の回旋動作、頭部102の前傾・後傾動作など頭部102の動作全般の補助である。
乗員100が頭部102を前後に動かす際に、左右の胸鎖乳突筋110が同時に働き、頭部102を回旋させる際には、頭部102が向いた方向側の胸鎖乳突筋110が働く。
図3(a)では、片側の胸鎖乳突筋110しか示さないが、この胸鎖乳突筋110に対して、例えば、筋電センサ20aの一対の電極を、測定する胸鎖乳突筋110の筋腹に、筋繊維に対し平行に、例えば、符号21で示す位置における頸部104の皮膚の表面に貼り付ける。
反対側の、残りの胸鎖乳突筋110に貼り付ける筋電センサ20bについても、筋電センサ20aと同様の方法により胸鎖乳突筋110に貼り付けられる。
僧帽筋112は、筋肉が大きいため、各部位により作用が異なる。このため、乗員100の頭部102の姿勢保持に関わる頸部104側の部位、すなわち、僧帽筋112の上部112aの筋活動を測定する。このため、僧帽筋112については、上部112aに相当する皮膚の表面の位置21に、筋電センサ20a、20bを上述の胸鎖乳突筋110に貼り付けたのと同様に貼り付ける。
この頭板状筋114は、片側が作用すると、その方向に頸部104が回転し、両側が作用すると顔が上に向く。この頭板状筋114については、例えば、後頭部下部において頭板状筋114に相当する皮膚の表面の位置21に、筋電センサ20a、20bを上述の胸鎖乳突筋110に貼り付けたのと同様に貼り付ける。
この側頭筋116の場合にも、例えば、側頭筋116に相当する皮膚の表面の位置21に、筋電センサ20a、20bを上述の胸鎖乳突筋110に貼り付けたのと同様に貼り付ける。
なお、車両情報取得センサ26による車両の走行状態に関する情報は、車両の横加速度、ヨーレートに限定されるものではなく、例えば、横加速度に代えて、ロール角または操舵角でもよい。ロール角は、例えば、ジャイロセンサを用いて測定することができる。
また、操舵角は、例えば、車両のハンドル操舵軸回りに、ロータリーエンコーダを用いた操舵角計を装着することにより、測定することができる。
また、車両に横加速度センサ、GPS等が設けられている場合、例えば、CAN(Controller Area Network)を介して、横加速度センサ、GPS等に車両情報取得部30を接続させて、この車両情報取得部30において、横加速度、およびGPSによる車両の位置情報を取得させることができるため、車両情報取得センサ26は必ずしも設ける必要はない。
また、記憶部40には、入力部16から入力された後述する車両条件、走行条件、被験者情報が記憶され、さらには、車両条件、走行条件、被験者情報と後述する同時活動量とが対応付けて記憶されるものである。
CPU42は、車両情報取得部30と、筋電情報取得部32、データ処理部34と、解析部36と、評価部38と、記憶部40とを制御するものである。
評価ユニット14は、記憶部40に記憶された横揺れ感の評価方法のプログラムをCPU42が実行することで、各部が機能するコンピュータである。なお、評価ユニット14は、各部が専用回路によって構成された専用装置であってもよい。
車両情報取得部30には、車両の走行状態に関する情報として、車両情報取得センサ26から、例えば、走行中の横加速度情報が担持された出力信号が入力される。
また、車両情報取得部30においては、ヨーレートについても、このヨーレートの出力信号に対して、例えば、ローパスフィルタリングを行い、ヨーレートを示す平滑化された信号波形(平滑化波形)を得る。車両情報取得部30は、このヨーレートの平滑化された信号波形のデータをデータ処理部34および記憶部40に出力することもできる。
なお、車両情報取得部30は、平滑化等の信号処理をすることなく、横加速度の出力信号(信号波形)およびヨーレートの出力信号(信号波形)をデータ処理部34および記憶部40に出力することもできる。
筋電情報取得部32は、平滑化筋電波形のデータをデータ処理部34および記憶部40に出力する。
このデータ処理部34は、測定された横加速度の信号波形、または胸鎖乳突筋110の筋電位の信号波形から車両が略直進状態であるかを特定するものである。
横加速度の場合、横加速度の信号波形のデータから、例えば、直流成分(DC成分または0Hz)〜0.5Hzのトレンド成分を求める。この求めたトレンド成分が、予め設定された値よりも小さければ、略直進状態と判定する。
なお、横加速度において、略直進状態の判定に用いられるトレンド成分は、好ましくは、0.25Hz以下である。
操舵角の値については、トレンド成分を求めることなく、操舵角の値に対して、予め決定されている所定の閾値と比較して、車両が略直進状態であるか否かが判定される。
また、GPSによる車両位置についても、トレンド成分を求めることなく、GPSによる車両位置の時間変化に対して、予め決定されている所定の閾値と比較して、車両が略直進状態であるか否かが判定される。
また、GPSによる車両位置を用いる場合、車両の走行軌跡を求め、この走行軌跡について、パターンマッチングを行って、車両の走行状態を特定してもよい。この場合、車両位置情報の取得時期と、筋電位の信号波形におけるタイミングとを関連付けておく。
なお、車両の走行状態を走行中に判定して、そのときに解析部36で同時活動量を求めることに限定されるものではない。走行後、データ処理部34により直進状態と判定された区間について、同時活動量を求めてもよい。
なお、前後方向の加速度については、例えば、ABSが装備されていれば、ABS用に車載されている加速度の出力信号を用いることができ、この場合、CANを介して前後方向の加速度の値を車両情報取得部30で取得することができる。このため、前後方向の加速度センサを設ける必要は必ずしもない。
例えば、測定された筋電位を用いて、車両が略直進状態であるか否かを判定してもよい。この場合、左右の胸鎖乳突筋110の平滑化筋電波形のデータに対して、それぞれトレンド成分を求める。
そして、左の胸鎖乳突筋110のトレンド成分と右の胸鎖乳突筋110のトレンド成分との偏差を求める。この偏差に対して、予め直進状態とみなせる範囲を、実験などにより設定しておく。この偏差に基づいて、車両の走行状態が略直進状態であるか否かが判定される。
このように、左右の胸鎖乳突筋110の筋電位の信号波形に基づいて、車両が直進状態であると判定した場合でも、データ処理部34からCPU42に直進信号が出力される。この直進信号を受けたCPU42は、解析部36に算出信号を出力する。
このため、必ずしも車両の走行状態の情報の取得は必要ではなく、データ処理部34において、車両が略直進状態であるか否かの判定は必ずしも必要ではない。この場合、データ処理部34は不要であり、左右の胸鎖乳突筋110の平滑化筋電波形のデータが、筋電情報取得部32から解析部36に直接出力される。
このため、同時活動量とは、基本的には、図4(a)に示すように、1対の左右の骨格筋が略同じタイミングで活性化している状態におけるものである。なお、図4(a)において、符号50aは、右側の筋の平滑化された筋電位波形を示し、符号52aは、左側の筋の平滑化された筋電位波形を示す。
また、車両が略直進走行状態であって、図4(c)に示すように、1対の左右の骨格筋のうち、右側の筋と左側の筋とが両方とも、筋電位が通常状態よりも高くなり、更に右側の筋と左側の筋とが交互に筋電位が入れ替わるような場合、すなわち、筋が活性化した状態で、更にその活性化のレベルが交互に入れ替わるよう変化する場合もある。このような場合における右側の筋の筋電位波形50cと、左側の筋の筋電位波形52cとに基づいて、後述する数式により得られた同時活動量も、本発明では同時活動量とする。
解析部36においては、左右の平滑化筋電波形のデータについて、加算平均の平均値または加算平均のRMS値を求め、これらの加算平均の平均値V1または加算平均のRMS値V2を同時活動量とする。
加算平均の平均値V1は下記数式1により得られ、加算平均のRMS値V2は下記数式2により得られる。
ここで、下記数式1、数式2において、eR1は右側の平滑化筋電波形のデータにおける筋電位であり、eL1は左側の平滑化筋電波形のデータにおける電位である。
なお、上述の加算平均の平均値V1および加算平均のRMS値V2は、左右の平滑化筋電波形のデータについて、それぞれ、例えば、0.5秒以上のデータ、好ましくは、1〜60秒間程度の長さのデータを用いて求められる。
相乗平均波形のデータの平均値V3は下記数式3により得られ、相乗平均波形のデータのRMS値V4は下記数式4により得られる。
ここで、下記数式3、数式4におけるeR1、eL1は数式1、数式2と同じである。
なお、上述の相乗平均波形のデータの平均値およびRMS値は、左右の平滑化筋電波形のデータについて、それぞれ、例えば、0.5秒以上のデータ、好ましくは、1〜60秒間程度の長さのデータを用いて求められる。
そして、左右のRMS値の平均値V5または相乗平均値(幾何平均値)V6を求める。これらの左右のRMS値の平均値V5または左右のRMS値の相乗平均値V6を同時活動量とする。
左右のRMS値の平均値V5は下記数式7により得られ、左右のRMS値の相乗平均値V6は下記数式8により得られる。
ここで、下記数式5〜数式8において、ER1は右側の筋電位であり、EL1は左側の筋電位である。
なお、上述のRMS値を求める上述の単位時間は、例えば、0.5秒以上であり、好ましくは、1〜60秒間程度の長さである。
解析部36で算出された上記同時活動量は、評価部38に出力される。なお、解析部36で算出された同時活動量は、記憶部40に記憶されてもよい。
なお、記憶部40は、筋電情報取得部32で得られた平滑化筋電波形のデータ、解析部36で得られた上記同時活動量、評価部38で得られた評価結果の情報が、それぞれ入力されて記憶される。また、記憶部40は、アンプ24で変換された得られる筋電位のデジタル信号を記憶することもできる。
筋電位の正規化は、例えば、RVE(Reference Voluntary Electric activity)として、側臥位(横向きに寝る姿勢)において、頭部を接地させないことによる、頭部自重を負荷とした筋活動量を基準値とする。この基準値を用いて筋電位を正規化する。
さらには、乗員に横方向に任意の角度で頭を傾けてもらい、そのときの姿勢、すなわち、頭の角度を、頭の姿勢が分かるセンサを用いて計測するとともに、筋電位を同時に測り、筋電位と頭に作用する横方向の力を求め、この横方向の力を基準値として筋電位を正規化することもできる。
また、筋電位の正規化を利用する場合には、筋電位を測定する電極を取り付ける度に行うことが好ましい。
先ず、例えば、ドライバを、自動車のシートに座らせ、さらに、例えば、助手席に乗員100を載せる。この乗員の左右の胸鎖乳突筋110に相当する皮膚の表面の位置に、それぞれ筋電センサ20a、20bを取り付ける。
なお、ドライバ−に対して、筋電センサ20a、20bを左右の胸鎖乳突筋110に相当する皮膚の表面の位置に取り付けて筋電位を測定してもよい。
この直線を自動車が走行している間、計測ユニット12の筋電センサ20a,20bで上述のように乗員100の筋電位を測定する。
評価ユニット14において、筋電情報取得部32により、測定された左右の胸鎖乳突筋110について平滑化筋電波形を得る。この平滑化筋電波形のデータを解析部36に出力する。
このとき、自動車が略直線に走行しているかを判定するための車両情報取得部30による横加速度等の車両情報は不要である。
なお、評価部38による横揺れ感の評価結果は表示部18に表示してもよい。
この場合、車両情報取得センサ26により、横加速度等の車両情報を取得する必要がない。なお、乗員100の筋電位は、上述のように、正規化しておくことが好ましい。
本実施形態においては、例えば、横揺れ感についてのデータを蓄積した後、任意の条件間で同時活動量を比較して、横揺れ感を評価してもよい。
この場合、上述の評価装置10を用いて、図5に示すように、まず、車両条件、走行条件、被験者情報を、評価ユニット14に、入力部16により入力する(ステップS10)。これらの車両条件、走行条件、被験者情報(乗員情報)は、記憶部40に記憶される。
また、被験者情報として、入力されることが望ましい情報としては、被験者の国籍、被験者の現住所または住んでいる地域、被験者の評価対象となるカテゴリーの車両の乗車経験の有無、期間および頻度、被験者の評価対象となるカテゴリーの車両の運転経験の有無、期間および頻度、ならびに被験者の評価経験の有無および期間が挙げられる。
また、車両条件としては、例えば、車種名、型式、排気量、使用年数、走行距離、タイヤの種類、およびタイヤの空気圧等が挙げられる。
また、走行条件としては、例えば、市街地、郊外、高速、峠などの走行状況、および乾燥、雨または雪等の路面状況が挙げられる。
次に、算出された同時活動量が、入力された車両条件、走行条件、被験者情報に対応付けられてセットで記憶部40に記憶される(ステップS16)。
次に、データの蓄積が十分であれば(ステップS18)、任意の条件間で同時活動量を比較し、横揺れ感が評価される(ステップS20)。
このように、任意の条件間で比較することにより、各条件間での横揺れ感の優劣を評価することができる。
そして、車両を上記走行条件に基づいて走行させ、このときの筋活動を測定する(ステップS12)。
そして、測定された筋活動に基づいて、上述のように、上記数式1〜数式4ならびに数式7および数式8のいずれかを用いて、同時活動量としてV1〜V6のいずれかが算出される(ステップS14)。
データの蓄積が十分であれば(ステップS18)、任意の条件間で同時活動量を比較し、横揺れ感が評価される(ステップS20)。
例えば、車両のそのものの違いによる乗り心地を評価することができる。この場合、同じ車両について、その個体差による乗り心地の評価もできる。
また、車両の装着されたタイヤの違いによる乗り心地を評価することができる。また、車両の組み付けられたサスペンションの特性の違いによる乗り心地を評価することができる。また、車両のシート、シートクッションの座面角、シートバックの背面角等のシートのポジション、シートへの着座姿勢の違いによる乗り心地を評価することができる。
また、座席の位置の違い、例えば、乗用車の場合、運転席、助手席、後部座席(左、中央、右)等による乗り心地を評価することができる。
また、タクシー、バスなどの旅客自動車における運転者の違いによる客席の乗り心地を評価することができる。この場合、旅客自動車における運転者の運転技術評価へ応用できる。
さらには、軌道上を走行する鉄道車両、新交通システムなどの車両における客席の乗り心地を評価することができる。この場合、車両特性、軌道、運転制御の違いによる乗り心地を評価することができる。
本実施例においては、以下に示す各種の条件で直進走行試験を行い、左右の胸鎖乳突筋の筋活動を測定して、同時活動量を求めるとともに、そのときの横揺れ感の官能評価を行った。
直進走行試験は、速度60km/時で行った。路面条件としては、舗装された不整路面とした。この不整路面にはうねり等がある。
乗用車には、排気量3.5リットル、FR(後輪駆動)の4ドアセダンを用いた。タイヤサイズは、225/45R17とした。
仕様Aは、タイヤの空気圧を、フロントを150kPa、リアを150kPaとした。
仕様Bは、タイヤの空気圧を、フロントを220kPa、リアを220kPaとした。
仕様Cは、タイヤの空気圧を、フロントを300kPa、リアを300kPaとした。
同時活動量を求めるに際して、上記仕様A〜仕様Cの各試験車両に、車両運動特性および乗り心地の官能評価を業とするテストドライバ(以下、単にテストドライバという)5名と、運転免許を保有する一般の成人男性20名に、それぞれパッセンジャーとして、上記仕様A〜仕様Cの各試験車両に乗車してもらい、直線走行試験における各テストドライバ(5名)、各一般成人男性(20名)の左右の胸鎖乳突筋の筋活動を上述の計測装置10を用いて測定した。
そして、各テストドライバ(5名)、各一般成人男性(20名)について同時活動量を上記数式2により求めた。
図6(a)においては、テストドライバによる同時活動量のうち、最大値を100.0として指数で表示している。
また、図7(a)においては、一般成人男性による同時活動量のうち、最大値を100.0として指数で表示している。
横揺れ感の官能評価においては、上記仕様A〜仕様Cの各試験車両にそれぞれパッセンジャーとして乗車して左右の胸鎖乳突筋の筋活動を測定する際に、各テストドライバ(5名)、各一般成人男性(20名)に各試験車両による直進走行試験中の横揺れ感の好ましさを下記表1に示す評価基準に基づいて評価させた。
各テストドライバ(5名)の上記横揺れ感の評価結果を図6(b)に示し、各一般成人男性(20名)の上記横揺れ感の評価結果を図7(b)に示す。
また、図6(b)に示すように、官能評価の点数は、仕様A、仕様B、仕様Cの順で高くなっている。このことから、官能評価に基づく横揺れ感の評価は、仕様A、仕様B、仕様Cの順で好ましい。
このように、テストドライバでは、図6(a)に示す同時活動量の結果と、図6(b)に示す官能評価の結果とが一致している。
また、図7(b)に示すように、官能評価の点数は、仕様A、仕様B、仕様Cの順で高くなっている。しかしながら、仕様A〜仕様Cとの差が小さく、仕様B、仕様Cについては、ばらつきを考慮すると殆ど同じである。このことから、一般成人男性では、仕様A、仕様B、仕様Cに対して、官能評価に基づく横揺れ感の評価は良くできていない。
しかし、同時活動量については、テストドライバと、一般成人男性との差は、官能評価における程の差がない。このことから、本発明の同時活動量によれば、一般成人男性であっても、テストドライバと同様に、横揺れ感を評価することができる。
12 測定ユニット
14 評価ユニット
16 入力部
18 表示部
20a、20b 筋電センサ
22 接地電極
24 アンプ
26 車両情報取得センサ
30 車両情報取得部
32 筋電情報取得部
34 データ処理部
36 解析部
38 評価部
40 記憶部
42 CPU
Claims (7)
- 所定の走行条件で走行している車両の乗員の頭部の姿勢保持に関わる骨格筋のうち、少なくとも1種類について左右一対の筋活動を測定する工程と、
前記測定された筋活動の波形の特徴を表す同時活動量を算出する工程と、
前記同時活動量によって車両の横揺れ感を評価する工程とを有し、
前記測定された筋活動は、付加した外力の大きさを基準値として正規化されたものであることを特徴とする車両の評価方法。 - 前記同時活動量は、前記乗員の頭部の姿勢保持に関わる前記左右一対の筋活動に基づいて算出される請求項1に記載の車両の評価方法。
- さらに、前記車両の横揺れ感を評価する工程の前に、前記車両が略直進状態にあるか否かを判定する工程を有し、
前記車両が略直進状態にあることを判定する工程において、前記車両が略直進状態にあると判定された場合、前記車両の横揺れ感を評価する工程において、前記同時活動量によって車両の横揺れ感を評価する請求項1または2に記載の車両の評価方法。 - 前記車両が略直進状態にあることを判定する工程において、
左右一対で選択された乗員の骨格筋における、左右の筋活動のトレンド成分の偏差を求め、この偏差が所定の範囲内である場合に、車両が略直進状態にあると判定する請求項3に記載の車両の評価方法。 - さらに、前記車両の横揺れ感を評価する工程の前に、前記車両の前後速度が略一定か否かを判定する工程を有し、前記前後速度が略一定の場合、前記車両の横揺れ感を評価する工程において、前記同時活動量によって車両の横揺れ感を評価する請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両の評価方法。
- 前記筋活動が測定される骨格筋は、胸鎖乳突筋、僧帽筋の上部、側頭筋および頭板状筋のうち、少なくとも1種類の筋肉である請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両の評価方法。
- 所定の走行条件で走行している車両の乗員の頭部の姿勢保持に関わる骨格筋のうち、少なくとも1種類について左右一対の筋活動を測定する筋活動測定手段と、
前記筋活動測定手段で測定された筋活動情報の特徴を表す同時活動量を算出する特徴量算出手段と、
前記特徴量算出手段で算出された前記同時活動量に基づいて車両の横揺れ感を評価する評価部とを有し、
前記測定された筋活動は、付加した外力の大きさを基準値として正規化されたものであることを特徴とする車両の評価装置。
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