JP5326739B2 - 車両のロール感の評価方法および車両のロール感の評価装置 - Google Patents
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Description
このロール感の定量的な評価のために車両運動、例えば、横加速度、ロール角などの物理計測がなされている。
しかし、この物理計測によるロール感の評価と、官能評価によるロール感の評価とが必ずしも良く対応していない。
そこで、従来、物理計測によるロール感の評価と、官能評価によるロール感の評価とのずれについて検討されている(特許文献1参照)。
この特許文献1においては、サスペンションの特性が異なる複数台の車両を用いて、ロールとピッチとの関係に注目した評価を行い、各車両において同一の操舵パターンでそれぞれ操舵し、ロールやピッチといった車体の動きを測定するとともに車両の乗員がロール感などの官能評価を行っている。官能評価が高かった車両は、ロール角とピッチ角との時間差(位相差)が小さいことが記載されている。
さらには、操舵時にはロール角とピッチ角との時間差が小さいほどロール感が良くなり、操縦安定性を向上させるためにはロールとピッチとの発生タイミングを同期させることが最も望ましいことが判ったことが記載されている。
しかしながら、特許文献1において、ピッチ角を示す式は取り扱い難く、ロール角とピッチ角との時間差を表す式が複雑化することが記載されており、このため、特許文献1においては、ロール角とピッチ角との時間差を表す式を簡易化している。
このように、特許文献1においては、官能評価によるロール感の評価と良く対応しているロール角とピッチ角との時間差を求めることは、煩雑であるという問題点がある。
しかも、特許文献1においては、簡易化して求めたロール角とピッチ角との時間差と、官能評価によるロール感の評価とが良く対応しているかについては検討されていない。
本発明において、ロール感とは、車両が直進状態から旋回状態に移行するために行う操舵入力の応答として、車両に生ずるロール運動の感覚的な良し悪しを指すものである。
このロール感は、車両に乗っている乗員であれば、運転手によるものでも、非運転手、すなわち、同乗者によるものであってもよい。
さらにまた、本発明においては、前記所定の走行条件は、少なくとも左右のいずれかの旋回を含み、前記測定される骨格筋は、少なくとも旋回方向となる片半身から選択されることが好ましい。
前記特徴量算出手段は、前記所定時間測定された筋電位を整流平滑化して得られる筋電位の波形のピークレベル、前記筋電位の波形の立ち上がりからピークに達するまでの時間、前記筋電位の波形の立ち上がりからピークに達するまでにおける立上り角、前記筋電位の波形の立ち上がりから立下りの間の筋電位の平均値、および前記筋電位の波形の立ち上がりから立下りの間の筋電位の二乗平均平方根値のうち、少なくとも1つを前記特徴量として算出することが好ましい。
図1は、本発明の実施形態に係る車両のロール感の評価装置を示す模式図である。
図2(a)および(b)は、本発明の実施形態に係る車両のロール感の評価装置において筋活動が測定される骨格筋およびその骨格筋への筋電センサの取付位置の例を示す模式図である。
本発明において、ロール感とは、車両が直進状態から旋回状態に移行するために行う操舵入力の応答として、車両に生ずるロール運動の感覚的な良し悪しを指すものである。
乗員には、車両を操縦する運転手および助手席等に乗車する非運転手が含まれる。
このロール感は、車両に乗っている乗員であれば、運転手によるものでも、非運転手、すなわち、同乗者によるものであってもよい。
また、車両には、乗用車、バス、鉄道の車両、新交通システムの車両も含まれる。
本実施形態の評価装置10においては、乗員100の頭部102の姿勢保持に関わる骨格筋の筋活動は、ロール感が悪いと評価される車両では、相対的に大きく、かつ立ち上がりが鋭くなることを用いて、ロール感を適切かつ定量的に評価する。
ここで、入力部16は、キーボード、マウスなど、コンピュータなどの入力に用いられるものである。
表示部18は、入力部16からの入力情報および評価ユニット14で得られた情報を表示するものである。この表示部18としては、CRT、LCD、PDP、有機ELなどの各種のモニタを用いることができる。
筋電センサ20aと筋電センサ20bとは、同じ構成であるため、以下、筋電センサ20a、20bとして、まとめて説明する。
筋電センサ20a、20bは、乗員100の頭部102の姿勢保持に関わる少なくとも1つの骨格筋の筋活動を、筋電位として検出するものである。
この筋電センサ20a、20bは、それぞれ、例えば、銀−塩化銀(Ag/AgCl)の皿型電極が対になって構成されるものであり、この一対の皿型電極が所定の間隔、例えば、5mm離間して測定する骨格筋が位置する皮膚の表面に貼り付けられる。
なお、筋電センサ20a、20bの電極は、銀−塩化銀(Ag/AgCl)電極に限定されるものではない。筋電センサ20a、20bの電極は、ステンレススチール、カーボン、カーボンコンポジット、白金、金、銀、チタン、導電性樹脂、導電性高分子ゲルなど、その他の材料によって構成されたものであってもよい。
筋電センサ20a、20bによって検出される筋電位は,大抵の場合、数マイクロボルトから数ミリボルトの微小な電圧である。このため、アンプ24により電圧をAD変換可能なレベルまで、例えば、1000倍程度、増幅され、増幅された筋電位信号は、更にアンプ24で所定のサンプリング周波数でA/D変換されてデジタル信号として評価ユニット14に出力される。
本実施形態において、筋電センサ20a、20bが貼り付けられる胸鎖乳突筋110は、図2(a)に示すように、乗員100の頸部104にある筋肉であり、頸部104の両側に対称にある。この胸鎖乳突筋110の働きとしては、頭部102の回旋動作、頭部102の前傾・後傾動作など頭部102の動作全般の補助である。
乗員100が頭部102を前後に動かす際に、左右の胸鎖乳突筋110が同時に働き、頭部102を回旋させる際には、頭部102が向いた方向側の胸鎖乳突筋110が働く。
図2(a)では、片側の胸鎖乳突筋110しか示さないが、この胸鎖乳突筋110に対して、例えば、筋電センサ20aの一対の電極を、測定する胸鎖乳突筋110の筋腹に、筋繊維に対し平行に、例えば、符号21で示す位置における頸部104の皮膚の表面に貼り付ける。
反対側の、残りの胸鎖乳突筋110に貼り付ける筋電センサ20bについても、筋電センサ20aと同様の方法により胸鎖乳突筋110に貼り付けられる。
僧帽筋112は、筋肉が大きいため、各部位により作用が異なる。このため、乗員100の頭部102の姿勢保持に関わる頸部104側の部位、すなわち、僧帽筋112の上部112aの筋活動を測定する。これにより、僧帽筋112については、上部112aに相当する皮膚の表面の位置21に、筋電センサ20a、20bを上述の胸鎖乳突筋110に貼り付けたのと同様に貼り付ける。
この頭板状筋114は、片側が作用すると、その方向に頸部104が回転し、両側が作用すると顔が上に向く。この頭板状筋114については、例えば、後頭部下部において頭板状筋114に相当する皮膚の表面の位置21に、筋電センサ20a、20bを上述の胸鎖乳突筋110に貼り付けたのと同様に貼り付ける。
この側頭筋116の場合にも、例えば、側頭筋116に相当する皮膚の表面の位置21に、筋電センサ20a、20bを上述の胸鎖乳突筋110に貼り付けたのと同様に貼り付ける。
なお、車両情報取得センサ26による車両の旋回情報は、車両の横加速度に限定されるものではなく、例えば、横加速度に代えて、ロール角または操舵角でもよい。
ロール角は、例えば、ジャイロセンサを用いて測定することができる。
また、操舵角は、例えば、車両のハンドル操舵軸回りに、ロータリーエンコーダを用いた操舵角計を装着することにより、測定することができる。
本実施形態においては、旋回方向を特定することができれば、車両情報取得センサ26の構成は、特に限定されるものではない。
また、記憶部40には、入力部16から入力された後述する車両条件、走行条件、被験者情報が記憶され、さらには、車両条件、走行条件、被験者情報と後述する特徴量とが対応付けて記憶されるものである。
CPU42は、車両情報取得部30と、筋電情報取得部32、データ処理部34と、解析部36と、評価部38と、記憶部40とを制御するものである。
評価ユニット14は、記憶部40に記憶されたロール感の評価方法のプログラムをCPU42が実行することで、各部が機能するコンピュータである。なお、評価ユニット14は、各部が専用回路によって構成された専用装置であってもよい。
車両情報取得部30には、旋回情報として、車両情報取得センサ26から、例えば、走行中の横加速度情報が担持された出力信号が入力される。
車両情報取得部30は、この横加速度の出力信号に対して、ローパスフィルタリングを行い、例えば、図3(b)に示すグラフ52のように、旋回時の横加速度を示す信号波形(平滑化波形)64を得る。
そして、車両情報取得部30は、旋回時の横加速度の信号波形64のデータをデータ処理部34および記憶部40に出力する。
筋電情報取得部32は、筋電センサ20a、20bによって時系列に取得された胸鎖乳突筋110の筋電位が、アンプ24でA/D変換されたデジタル信号について、整流平滑化を行い、平滑化筋電波形を得るものである。
これにより、例えば、図3(a)に示すグラフ50に示されるように、左右旋回をした時における胸鎖乳突筋110の筋電位の信号波形(平滑化筋電波形)60、62を得ることができる。
信号波形60は、筋電センサ20aで乗員100の左側の胸鎖乳突筋110を所定時間測定し、信号処理して得られたものであり、信号波形62は、筋電センサ20bで乗員100の左側の胸鎖乳突筋110を所定時間測定し、信号処理して得られたものである。
筋電情報取得部32は、筋電位の信号波形(平滑化筋電波形)のデータをデータ処理部34および記憶部40に出力する。
この場合、例えば、横加速度の場合、その値がプラスのとき、右旋回、その値がマイナスのとき、左旋回と対応付けておく。
なお、ロール角の値、および操舵角の値についても同様に、左旋回と右旋回について対応付けをしておく。
右旋回したときに、すなわち、横加速がプラスの値のとき、信号波形60、62のうち、筋電位の値が大きい信号波形62が右旋回に寄与するものと特定することができる。
これにより、車両の走行後に、信号波形の旋回方向を特定することができる。
また、データ処理部34は、対応付けされた旋回時における胸鎖乳突筋110の筋電位の信号波形60、62のデータと、旋回時の横加速度の信号波形64のデータとを解析部36に出力する。
このため、必ずしも旋回情報の取得は必要ではなく、データ処理部34においては、信号波形60、62における左旋回、右旋回の特定は必ずしも必要ではない。この場合、データ処理部34は不要であり、単に胸鎖乳突筋110の筋電位の信号波形60、62のデータが解析部36に直接出力される。
また、旋回方向を予め決めておけば、測定対象となる骨格筋は、旋回方向の骨格筋に限定される。このため、測定対象の骨格筋は旋回方向となる片半身から選択すればよい。
さらには、特徴量として、例えば、図5に示すグラフ56のように、筋電位の平均値、および筋電位のRMS(Root Mean Square:二乗平均平方根)が挙げられる。
本実施形態においては、こられの特徴量のうち、少なくとも1つが用いられる。
本実施形態において、ピークレベルβは、波形60のデータにおける最大値のことである。このピークレベルβにおける時刻をtpとする。
筋電位の立上り角αは、筋電位の立ち上がりからピークに達するまでの時間γにおいて、波形60について求められた回帰直線66の傾きのことである。
筋電位のRMS値は、筋電位の波形の立ち上がり(時刻tr)から筋電位の波形の立下りの時刻tf迄の区間δにおける筋電位のRMS値のことである。
筋電位の立下りは、筋電位が定常状態に戻る直前の時間tfにより規定される。
なお、図4、図5においては、いずれも波形60を用いて説明しているが、波形62についても、波形60と同様にして、ピークレベルβ、筋電位の波形62の立ち上がりからピークに達するまでの時間γ、筋電位の立上り角α、筋電位の平均値および筋電位のRMS値が規定される。
筋電位の立ち上がりからピークに達するまでの時間γについては、その時間γが長いほど、ロール感が好ましいと評価される。
筋電位の立上り角α(傾き)については、小さいほど、ロール感が好ましいと評価される。
筋電位の平均値および筋電位のRMS値については、それぞれの値は、小さいほどロール感が好ましいと評価される。
評価部38においては、例えば、ロール感を評価する場合、所定の走行条件で車両を走行させて、乗員100の筋電位を測定し、特徴量として、例えば、ピークレベルを求める。この得られたピークレベルと、ある一定半径の円を一定速度で走行させたときに求めたピークレベルとの比率を求め、この比率により、ロール感を評価してもよい。
また、評価部38は、表示部18に接続されており、解析部36で算出された特徴量を用いた評価結果が表示部18に表示される。
なお、記憶部40は、筋電情報取得部32で得られた筋電位の信号波形(平滑化筋電波形)60、62のデータ、データ処理部34で得られた、解析部36で得られた上記特徴量、評価部38で得られた評価結果の情報が、それぞれ出力されて記憶される。
このように、本実施形態においては、ロール感を評価するため、ロール感を評価する際には、特徴量を求めるために、走行条件として、左右の旋回のいずれかを含むことが好ましい。このため、走行条件としては、レーンチェンジが選択される。
先ず、乗員100、例えば、ドライバーを、自動車のシートに座らせ、このドライバーの左右の胸鎖乳突筋110に相当する皮膚の表面の位置に、それぞれ筋電センサ20a、20bを取り付ける。
なお、助手席等に座る同乗者に対して、筋電センサ20a、20bを左右の胸鎖乳突筋110に相当する皮膚の表面の位置に取り付けて筋電位を測定してもよい。
自動車の走行中、計測ユニット12の筋電センサ20a,20bで上述のように筋電位を測定する。同時に、例えば、加速度センサにより、走行中の横加速度を測定する。
評価ユニット14において、筋電情報取得部32により、測定された左右の胸鎖乳突筋110について、図3(a)に示すような筋電位の信号波形60、62を得る。
このとき、車両情報取得部30により、図3(b)に示すように、横加速度の波形64を得る。筋電位の信号波形60、62のデータおよび横加速度の波形64のデータをデータ処理部34に出力する。
なお、特徴量は、これらのピークレベルβ、筋電位の立ち上がりからピークに達するまでの時間γ、筋電位の立上り角α、筋電位の平均値および筋電位のRMS値のうち、少なくとも1つ求めればよい、
この求めたピークレベルβ、筋電位の立ち上がりからピークに達するまでの時間γ、筋電位の立上り角α、筋電位の平均値および筋電位のRMS値を評価部38に出力する。
この場合、評価部38においては、上述のように、ピークレベルβは、小さいほど、ロール感は好ましいと評価される。また、筋電位の立ち上がりからピークに達するまでの時間γについては、その時間γが長いほど、ロール感が好ましいと評価される。さらには、筋電位の立上り角α(傾き)については、小さいほど、ロール感が好ましいと評価される。また、筋電位の平均値および筋電位のRMS値については、それぞれの値は、小さいほどロール感が好ましいと評価される。
なお、評価部38によるロール感の評価結果は表示部18に表示してもよい。
この場合、頭部の前後方向の移動への寄与が大きい骨格筋について、頭部の前後運動が移動しているとみなす筋電位のレベルが記憶部40に記憶させておき、そのレベルを超えた場合、例えば、筋電情報取得部32では、筋電位のデジタル信号の入力を止める。
本実施形態においては、例えば、ロール感についてのデータを蓄積した後、任意の条件間で特徴量を比較して、ロール感を評価してもよい。
この場合、上述の評価装置10を用いて、図6に示すように、まず、車両条件、走行条件、被験者情報を、評価ユニット14に、入力部16により入力する(ステップS10)。これらの車両条件、走行条件、被験者情報(乗員情報)は、記憶部40に記憶される。
また、被験者情報として、入力されることが望ましい情報としては、被験者の国籍、被験者の現住所または住んでいる地域、被験者の評価対象となるカテゴリーの車両の乗車経験の有無、期間および頻度、被験者の評価対象となるカテゴリーの車両の運転経験の有無、期間および頻度、ならびに被験者の評価経験の有無および期間が挙げられる。
また、車両条件としては、例えば、車種名、型式、排気量、使用年数、走行距離、タイヤの種類、およびタイヤの空気圧等が挙げられる。
また、走行条件としては、例えば、市街地、郊外、高速、峠などの走行状況、および乾燥、雨または雪等の路面状況が挙げられる。
次に、算出された特徴量が、入力された車両条件、走行条件、被験者情報に対応付けられてセットで記憶部40に記憶される(ステップS16)。
次に、データの蓄積が十分であれば(ステップS18)、任意の条件間で特徴量を比較し、ロール感が評価される(ステップS20)。
このように、任意の条件間で比較することにより、各条件間でのロール感の優劣を評価することができる。
そして、車両を上記走行条件に基づいて走行させ、このときの筋活動を測定する(ステップS12)。
そして、測定された筋活動に基づいて、上述のように、特徴量として、ピークレベルβ、筋電位の波形62の立ち上がりからピークに達するまでの時間γ、筋電位の立上り角α、筋電位の平均値および筋電位のRMS値のうち、少なくとも1つを算出する(ステップS14)。
データの蓄積が十分であれば(ステップS18)、任意の条件間で特徴量を比較し、ロール感が評価される(ステップS20)。
例えば、車両のそのものの違いによる乗り心地を評価することができる。この場合、同じ車両について、その個体差による乗り心地の評価もできる。
また、車両の装着されたタイヤの違いによる乗り心地を評価することができる。また、車両の組み付けられたサスペンションの特性の違いによる乗り心地を評価することができる。また、車両のシート、シートクッションの座面角、シートバックの背面角等のシートのポジション、シートへの着座姿勢の違いによる乗り心地を評価することができる。
また、座席の位置の違い、例えば、乗用車の場合、運転席、助手席、後部座席(左、中央、右)等による乗り心地を評価することができる。
また、タクシー、バスなどの旅客自動車における運転者の違いによる客席の乗り心地を評価することができる。この場合、旅客自動車における運転者の運転技術評価へ応用できる。
さらには、軌道上を走行する鉄道車両、新交通システムなどの車両における客席の乗り心地を評価することができる。この場合、車両特性、軌道、運転制御の違いによる乗り心地を評価することができる。
本実施例においては、以下に示す各種の条件で、レーンチェンジ試験を行い、ロール感を評価した。
レーンチェンジ試験は、図7に示すコース70で行った。図7に示すコース70は、パイロン72で区画された幅員4mの第1の領域74と、長さが30mの第2の領域76と、パイロン72で区画された幅員4mの第3の領域78とを備えており、第1の領域74と第3の領域78とのレーンチェンジ幅は4mである。
コース70の路面は、ドライ状態のアスファルト舗装路である。
本実施例では第1の領域74から第2の領域76に入るときに左旋回し、第2の領域76から第3の領域78に入るときに右旋回する。
乗用車には、排気量3.5リットル、FR(後輪駆動)の4ドアセダンを用いた。タイヤサイズは、225/45R17とした。
仕様1は、タイヤの空気圧を、フロントを220kPa、リアを220kPaとした。
仕様2は、タイヤの空気圧を、フロントを300kPa、リアを300kPaとした。
仕様3は、タイヤの空気圧を、フロントを150kPa、リアを150kPaとした。
なお、下記表2に示す立上り角α、ピークレベルβ、立上り時間γは、いずれも、相互独立に仕様1〜3のうち、最大値のものを100.0として、指数で表している。
このルート80走行中のロール感は、プロテストドライバ5名により、それぞれ評価し、その平均値を求めた。この結果を下記表2に示す。
このロール率についても、上記仕様1〜仕様3の各試験車両について、プロテストドライバ5名に、それぞれ運転してもらい、ロール角を測定し、5名の平均値を求めた。仕様1の平均値を指数100として、仕様2、3のロール率の指数を求めた。この結果を下記表3に示す。なお、表3に示すロール率(指数)は、値が小さい方がロール感がよい。
仕様2は、仕様3よりも、傾きα、ピークレベルβが小さく、立ち上がり時間γが長い。本発明によるロール感の評価は、良い方から仕様1、仕様2、仕様3の順である。
また、プロテストドライバによるロール感の評価では、良い方から仕様1、仕様2、仕様3の順である。このように仕様1〜3についての本発明によるロール感の評価と、プロテストドライバによるロール感の評価とは一致している。
一方、表3に示すように、比較のためのロール率の結果は、仕様2が最も良く、仕様1、仕様3の順となっており、ロール率による仕様1〜仕様3の評価は、本発明のロール感の評価、およびプロテストドライバによるロール感の評価とは全く一致していない。
以上のように、本発明によるロール感の評価は、ロール率による評価に比して、プロテストドライバによるロール感の評価との一致度が高い。
12 測定ユニット
14 評価ユニット
16 入力部
18 表示部
20a、20b 筋電センサ
22 接地電極
24 アンプ
26 車両情報取得センサ
30 車両情報取得部
32 筋電情報取得部
34 データ処理部
36 解析部
38 評価部
40 記憶部
42 CPU
60 左の胸鎖乳突筋の信号波形
62 右の胸鎖乳突筋の信号波形
64 横加速度の信号波形
70 コース
Claims (6)
- 所定の走行条件で走行している車両の乗員の頭部の姿勢保持に関わる少なくとも1つの骨格筋の筋活動を測定する工程と、
前記測定された筋活動の特徴を表す所定の特徴量を算出する工程と、
前記所定の特徴量に基づいて車両のロール感を評価する工程とを有し、
前記骨格筋の筋活動を測定する工程においては、前記骨格筋は左右両側の筋活動が測定されるとともに、前記車両の旋回情報が同時に取得され、
前記所定の特徴量を算出する工程においては、前記取得された前記旋回情報から、左右いずれかの前記骨格筋の筋活動を特定し、前記特定された骨格筋の筋活動の特徴を表す特徴量が算出され、
前記車両のロール感を評価する工程においては、前記特定された骨格筋の特徴量に基づいて前記ロール感が評価されることを特徴とする車両のロール感の評価方法。 - 前記骨格筋の筋活動を測定する工程においては、筋電位が所定時間測定され、
前記測定された筋活動の特徴を表す所定の特徴量は、前記所定時間測定された筋電位を整流平滑化して得られる筋電位の波形のピークレベル、前記筋電位の波形の立ち上がりからピークに達するまでの時間、前記筋電位の波形の立ち上がりからピークに達するまでにおける立上り角、前記筋電位の波形の立ち上がりから立下りの間の筋電位の平均値、および前記筋電位の波形の立ち上がりから立下りの間の筋電位の二乗平均平方根値のうち、少なくとも1つを含むものである請求項1に記載の車両のロール感の評価方法。 - 前記骨格筋は、胸鎖乳突筋、僧帽筋の上部、側頭筋および頭板状筋のうち、少なくとも1種類の筋肉である請求項1または2に記載の車両のロール感の評価方法。
- 前記所定の走行条件は、少なくとも左右のいずれかの旋回を含み、前記測定される骨格筋は、少なくとも旋回方向となる片半身から選択される請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両のロール感の評価方法。
- 所定の走行条件で走行している車両の乗員の頭部の姿勢保持に関わる少なくとも1つの骨格筋の筋活動を測定する筋活動測定手段と、
前記筋活動測定手段で測定された筋活動情報の特徴を表す所定の特徴量を算出する特徴量算出手段と、
前記特徴量算出手段で算出された前記所定の特徴量に基づいて車両のロール感を評価する評価部と、
前記車両の旋回情報を取得する車両情報取得手段とを有し、
前記筋活動測定手段は、前記車両情報取得手段による前記車両の旋回情報の取得とともに、前記骨格筋の左右両側の筋活動を測定するものであり、
前記特徴量算出手段は、前記取得された旋回情報から、左右いずれかの前記骨格筋の筋活動を特定し、前記特定された骨格筋の筋活動の特徴を表す前記特徴量を算出するものであり、
前記評価部は、前記特定された骨格筋の特徴量に基づいて前記ロール感を評価することを特徴とする車両のロール感の評価装置。 - 前記筋活動測定手段は、筋電位を所定時間測定するものであり、
前記特徴量算出手段は、前記所定時間測定された筋電位を整流平滑化して得られる筋電位の波形のピークレベル、前記筋電位の波形の立ち上がりからピークに達するまでの時間、前記筋電位の波形の立ち上がりからピークに達するまでにおける立上り角、前記筋電位の波形の立ち上がりから立下りの間の筋電位の平均値、および前記筋電位の波形の立ち上がりから立下りの間の筋電位の二乗平均平方根値のうち、少なくとも1つを前記特徴量として算出する請求項5に記載の車両のロール感の評価装置。
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