JP5406758B2 - ソケット脱落防止具 - Google Patents

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Description

本発明は、回転工具用ソケット(インパクトドライバーなどの回転工具に取り付けることができるソケットビット類。以下、単に「ソケット」という。)の脱落を防止するための治具に関する。
従来、ボルトやナットの締め付けは、ラチェット機能などを利用した手工具を使用したり、インパクトレンチにソケットを取付けたりして行われていた。これは、ソケットには締め付け時に大きなトルクが必要となるので、従来のインパクトドライバーでは出力が不足していたからである。しかし、近年、インパクトドライバーの出力が飛躍的に向上しているとともに、扱いやすい充電式インパクトドライバーに使用されるバッテリーの長寿命化も手伝って、インパクトドライバーに取付け可能なソケットが人気となっている。
特許文献1および2では、従来のソケットは、ソケット部を主体にした材料選定であることから、耐摩耗性および硬度が低く、軸棒の対角部の摩損が早いこと、耐衝撃性が低いために折損、ねじれ、亀裂、破断等のダメージを受けることなどの従来技術の課題が挙げられている。これらの文献に記載の発明では、ソケット自体の構成を調整して、軸棒の抜け止めや局部的なダメージを防止することができるようにされている。
特許第2501744号公報 特開2006−175523号公報
上記の特許文献1および2に記載されるように、軸棒の破損を防止するべく、ソケット自体の構成を調整したものについては種々開示されているが、従来、ソケットがインパクトドライバーから外れた場合の対策はなされていない。しかし、例えば、軸棒(「ドライバービット」とも呼ばれる。)が折れるなど破損することもある。また、ドライバービットを着脱自在にしたソケットでは、ドライバービットを着脱するための手段が破損することも考えられる。この場合の作業性、他の作業者への危険性を考慮すると、その対策が必要不可欠である。
図1(a)および(b)に示すように、通常、ソケット本体30を回転工具40に装着するときには、回転工具40のチャック41を図中矢印の方向に押し出しながら、ドライバービット32をチャックに挿入することによって、ソケット本体30が回転工具40に装着される。図1(b)に示す状態で、ボルト/ナットの締め付け等が行われる。
図2〜図4に例示するように、ソケットには様々な種類のものがある。図2に示す例は、ソケット本体30に周方向に溝加工を施したスリーブ31を有し、スリーブ31を図中矢印の方向に押し出した状態で、ドライバービット32をスリーブ31に挿入するものである。このソケットは、ドライバービット32の交換が可能である。図3に示す例も、図2の例と同様、ドライバービット32の交換が可能なソケットの例であるが、スリーブ31にメッシュ加工が施されたものである。図4に示す例は、ドライバービット32が固定されたソケットである。そのため、スリーブに該当する部材がない。
本発明は、これらのソケットを装着してボルト/ナットの締め付けを行っている最中にドライバービットが破損した場合であっても、ソケットがインパクトドライバーから脱落するのを防止する治具を提供することを目的としている。
本発明は、下記の(1)〜(4)に示すソケット落下防止治具を要旨とする。
(1)回転工具のチャックを保持する第1保持手段およびソケット本体を保持する第2保持手段を両端に備える支持体を備え、少なくとも第2保持手段が螺合によってその内径を小さくしてソケット本体を把持する機構を有することを特徴とするソケット落下防止治具。
(2)第1保持手段が螺合によってその内径を小さくして回転工具のチャックを把持する機構を有することを特徴とする上記(1)のソケット落下防止治具。
(3)ソケット本体または回転工具のチャックの把持手段が、ゴムリングを軸方向に押圧することによりゴムリングの内径を小さくする機構を有することを特徴とする上記(1)または(2)のソケット落下防止治具。
(4)回転工具のチャック先端に設けられたねじ山に螺合される第1保持手段およびソケット本体を保持する第2保持手段を両端に備える支持体を備え、
少なくとも第2保持手段が螺合によってその内径を小さくしてソケット本体を把持する機構を有することを特徴とするソケット落下防止治具。
本発明によれば、万が一ソケットがインパクトドライバーから外れた場合においても、ソケットが脱落することはない。このため、高所での作業をする場合の作業性を高めると共に、ソケット脱落による危険を回避することができる。
ソケットの回転工具への取り付け方法を示す図 (a)装着前の状態 (b)装着後の状態 ソケットの例を示す図 ソケットの他の例を示す図 ソケットの他の例を示す図 本発明に係るソケット落下防止治具の例を示す図 本発明に係るソケット落下防止治具の例を示す分離展開図 本発明に係るソケット落下防止治具の例を示す断面図 本発明に係るソケット落下防止治具の回転工具への取り付け例を示す図 (a)装着前の状態 (b)装着途中の状態 (c)装着後の状態 本発明に係るソケット落下防止治具のソケット本体への取り付け例を示す図 (a)装着途中の状態 (b)装着後の状態 本発明に係るソケット落下防止治具の他の例を示す図 図10に示す本発明に係るソケット落下防止治具のソケット本体への取り付け例を示す図 (a)装着前の状態 (b)装着後の状態
図5に例示するように、本発明に係るソケット落下防止治具10は、回転工具のチャック(図示省略)を保持する第1保持手段12およびソケット本体(図示省略)を保持する第2保持手段13を両端に備える支持体11を備えるものである。そして、本発明に係るソケット落下防止治具10は、少なくとも第2保持手段13がその内径を小さくすることによりソケット本体(図示省略)を把持する機構を有する。
図6および図7に例示するように、本発明に係るソケット落下防止治具10の支持体11は、その両端にそれぞれねじ山(雄ねじ)16、17を備える。一方、第1保持手段12および第2保持手段13は、それぞれねじ山(雌ねじ)18、19を備える。第1保持手段12および第2保持手段13の内面の開口側端部には、それぞれ溝20、21を備える。そして、溝20、21には、それぞれゴムリングなどの弾性体14、15が嵌め込まれる。本発明に係るソケット落下防止治具10は、支持体11のねじ山16に第1保持手段12のねじ山18と螺合され、支持体11のねじ山17に第2保持手段13のねじ山19と螺合された状態で使用される。
回転工具の使用中にねじが緩むのを防止する観点からは、支持体11の第2保持手段13側のねじ山17および第2保持手段13のねじ山19は、支持体11の第1保持手段12側のねじ山16および第1保持手段12のねじ山18とは逆方向にねじ加工されていることが好ましい。特に、支持体11の第1保持手段12側のねじ山16および第1保持手段12のねじ山18は、逆ねじ加工が施されていることが好ましい。
図8(a)に例示するように、本発明に係るソケット落下防止治具10は、その第1保持手段12と回転工具40のチャック41とを対向させ、その状態で、図8(b)に例示するように、チャック41を第1保持手段12に挿入する。この状態では、ソケット落下防止治具10は、容易に着脱可能な状態である。図8(c)に例示するように、第1保持手段12を相対的に回転させることによってねじを締め付けると、第1保持手段の溝に嵌め込まれた弾性体14が変形し、その内径が小さくなるので、ソケット落下防止治具10の第1保持手段12が回転工具40のチャック41の周囲を強固に把持する。この状態では着脱できなくなる。
次に、図9(a)に例示するように、本発明に係るソケット落下防止治具10は、ソケット本体30のスリーブ31を第2保持手段13に挿入する。図9(b)に例示するように、第2保持手段13を相対的に回転させることによってねじを締め付けると、第2保持手段の溝に嵌め込まれた弾性体15が変形し、その内径が小さくなるので、ソケット落下防止治具10の第2保持手段13がソケット本体30のスリーブ31の周囲を強固に把持する。この状態にすれば、万が一回転工具の使用中にドライバービットが破損した場合であっても、ソケットが落下することはない。
以上、主として、ソケット本体30または回転工具40のチャック41を把持する手段が、ゴムリングを用いて、ソケットの軸方向に押圧することによりゴムリングの内径を小さくする機構を有する例について述べたが、第2保持手段、または、第1保持手段および第2保持手段の内径の調整が可能な構成であれば、ゴムリング以外のものを用いても良い。例えば、リングばね(Cリング)、板ばね、その他の弾性体を用いることもできるし、テーパー状ねじ構造としても良い。また、通常のチャック構造に用いられるコイルばねと球との組み合わせを用いることもできる。
ただし、回転工具40のチャック41の外径は、メーカーによってほとんど変わらないが、ソケットのスリーブのサイズや有無によって、ソケット本体を装着する側の第2保持手段については、その内径に多様性を要する。特に、スリーブがない構成のソケットを装着する場合には、リングばねなどの金属材料を基材とする弾性体では強固に把持することが困難である。よって、ソケット本体または回転工具のチャックを把持する手段は、ゴムリングを用いる構成が最も好ましい。
図10および図11には、第1保持手段が回転工具のチャックと一体形成されているソケット落下防止治具の例を示している。図10に示すように、この例では、回転工具40のチャック41の先に円筒部の外面にねじ切り加工を施したソケット落下防止治具10、即ち、第1保持手段が回転工具のチャックと一体形成されているソケット落下防止治具が用いられる。第2保持手段13の内面には、ねじ山および溝が設けられており、第2保持手段13の溝にゴムなどの弾性体15が嵌め込まれていることは、前述の例と同様である。
図11(a)に示すように、図中矢印の方向に第1保持手段を一体形成したチャック41を押し出した状態でソケット30と対向し、ドライバービットをチャック41に差し込むことで、ソケット30が回転工具40に取り付けられる。そして、図11(b)に示すように、第2保持手段13を相対的に回転させることによってねじを締め付けると、第2保持手段の溝に嵌め込まれた弾性体15が変形し、その内径が小さくなるので、ソケット落下防止治具10の第2保持手段13がソケット本体30のスリーブ31の周囲を強固に把持する。
ソケット落下防止治具の材質については、回転工具の使用時の衝撃に耐えうる材質であれば、特に制約はない。例えば、ステンレス鋼などの金属材料、プラスチック、強化ゴムなど公知の材料を用いることができる。
本発明によれば、万が一ソケットがインパクトドライバーから外れた場合においても、ソケットが脱落することはない。このため、高所での作業をする場合の作業性を高めると共に、ソケット脱落による危険を回避することができる。
10 本発明に係るソケット落下防止治具
12 第1保持手段
13 第2保持手段
14、15 弾性体
16、17 ねじ山(雄ねじ)
18、19 ねじ山(雌ねじ)
20、21 溝
30 ソケット本体
31 スリーブ
32 ドライバービット
40 回転工具
41 チャック

Claims (4)

  1. 回転工具のチャックを保持する第1保持手段およびソケット本体を保持する第2保持手段を両端に備える支持体を備え、
    少なくとも第2保持手段が螺合によってその内径を小さくしてソケット本体を把持する機構を有することを特徴とするソケット落下防止治具。
  2. 第1保持手段が螺合によってその内径を小さくして回転工具のチャックを把持する機構を有することを特徴とする請求項1に記載のソケット落下防止治具。
  3. ソケット本体または回転工具のチャックの把持手段が、ゴムリングを軸方向に押圧することによりゴムリングの内径を小さくする機構を有することを特徴とする請求項1または2に記載のソケット落下防止治具。
  4. 回転工具のチャック先端に設けられたねじ山に螺合される第1保持手段およびソケット本体を保持する第2保持手段を両端に備える支持体を備え、
    少なくとも第2保持手段が螺合によってその内径を小さくしてソケット本体を把持する機構を有することを特徴とするソケット落下防止治具。
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