次に、本発明に係るメダル分別装置の実施形態を図面に従って説明する。図1は本発明に係るメダル分別装置が組み込まれた包囲ボックスの内部を示す概略図である。包囲ボックス1の外部には、遊技者が獲得したメダルを計数しつつ回収するためのメダル計数回収器2と、各遊技機(図示せず)から排出されたメダルを搬送し回収するメダル回収コンベヤ3とが設けられる。また、包囲ボックス1の内部には、メダルの表面の汚れを洗浄するメダル洗浄機4と、洗浄されたメダルを一時的に貯留するメダル貯留タンク5、そして、本発明に係るメダル分別装置6とが設けられる。
前記メダル計数回収器2は包囲ボックス1の中段上面部1aに設置され、遊技者が小径メダルと大径メダルとを混在させた状態で投入できるようになっている。このメダル計数回収器2の下方であって包囲ボックス1の内部には、ホッパー7が設けられる。このホッパー7は、投入され計数されたメダルを収集すると共に、該メダルを包囲ボックス1の下部に設けられた揚送コンベヤ8上へ導くようになっている。
一方、前記メダル回収コンベヤ3は、その終端部3aが包囲ボックス1の内部にて前記揚送コンベヤ8の始端部8aの上方に位置するように設けられる。このようにすることで、各遊技機から排出されメダル回収コンベヤ3により搬送されてきた小径メダルと大径メダルが、該メダル回収コンベヤ3の終端部3aから落下し、揚送コンベヤ8の始端部8aへ受け渡されるようにしている。
前記揚送コンベヤ8は、前記メダル計数回収器2またはメダル回収コンベヤ3によって回収されたメダルをメダル洗浄機4へ搬送するための装置であって、始端部から終端部へ向かって上傾するようにして包囲ボックス1の下部に設けられると共に、終端部がメダル洗浄機4の一側面に接続されている。前記メダル洗浄機4は、洗浄液が含浸された拭布をメダルの表面に押圧させながら該メダルを搬送させることにより、メダルの両表面の汚れを拭き取るようにした装置である。そして、メダル洗浄機4の一側面であって前記揚送コンベヤ8の終端が接続された面とは別の側面に、該メダル洗浄機4によって洗浄されたメダルを受け取るホッパー9が接続される。このホッパー9は、終端方向に向かって下傾する傾斜状に設けられ、その終端はメダル揚送リフト10の基端部10aに接続される。
前記メダル揚送リフト10は、包囲ボックス1の上部に設けられたメダル貯留タンク5へメダルを揚送するための装置であって、包囲ボックス1の下部からメダル貯留タンク5へ向かって略垂直に設けられる。このメダル揚送リフト10により、洗浄された小径メダルと大径メダルはメダル貯留タンク5へ揚送されると共に、該メダル貯留タンク5に一時的に貯留されるようになっている。前記メダル分別装置6は前記メダル貯留タンク5の下方に設けられ、該メダル貯留タンク5内のメダルがホッパー5aを経由して該メダル分別装置6へと導かれるようになっている。そして、メダル分別装置6の下方には、分別された小径メダルを収納するメダル容器11(図1では陰のため見えない)と、分別された大径メダルを収納するメダル容器12が配置される。
また、前記メダル分別装置6の下方には、後述する重複メダル排出域27から排出されたメダルを収集するメダル回収樋13が略垂直状に設けられる。このメダル回収樋13は、その開口した始端部が前記重複メダル排出域27の直下に位置するように設けられると共に、終端部が前記メダル揚送リフト10の基端部10aへ接続されている。さらに、前記メダル容器12の側方には、後述するメダル振分手段としての可動片51によってメダル分別装置6から排出されたメダルを収集するメダル回収樋14が略垂直状に設けられる。このメダル回収樋14の始端部は大きく開口して前記メダル振分手段により排出されたメダルを受け入れるようになっており、終端部は前記メダル揚送リフト10の基端部10aへ接続されている。すなわち、重複メダル排出域27およびメダル振分手段としての可動片51によりメダル分別装置6の外部へ排出されたメダルは、メダル回収樋13またはメダル回収樋14を通過し、さらにメダル揚送リフト10を経由して再びメダル貯留タンク5に運び込まれるようになっている。こうして、メダル回収樋13,14とメダル揚送リフト10とを組み合わせることにより、メダルが循環するようになっている。
次に、メダル分別装置6について詳しく説明する。図2は、メダル分別装置のメダル送出部とメダル排出通路部を示す外観斜視図、図3は、図2とは別角度からの外観斜視図である。また、図4はメダル分別装置を示す正面図、図5は同平面図である。メダル分別装置6は、メダルを整列して一個ずつ送出するメダル送出部15と、前記メダル送出部15に接続されるメダル排出通路部16とを備えている。そして、メダル排出通路部16の下流寄りは、小径メダルのみが滑落する小径メダル案内通路17と、大径メダルのみが滑落する大径メダル案内通路18とに分けられており、該小径メダル案内通路17の下流端である小径メダル排出口43の下方には、メダル容器11が設けられ、また、該大径メダル案内通路18の下流端である大径メダル排出口42の下方には、メダル容器12が設けられて概ね構成される。
前記メダル送出部15は、円形室19の一方の面に設けられた開口にメダルタンク20が接続され、他方の面にモータ21が突設されて形成される。そして、図4に示したように、支持部材22によって前記円形室19が約60度の角度に傾斜した状態で支持されると共に、該メダル送出部15は基板23の上面に固設される。前記円形室19は、上部にメダルの送出口24が設けられ、また、内部に該円形室19の中心を軸として回転する送出円盤25が設けられる。この送出円盤25の表面には、大径メダルの直径よりも若干広い間隔で等間隔に配置された複数の突起片26,26,…,26が、該送出円盤25の外周縁より若干内方に設けられる。メダルは、該メダルの一方の表面を前記送出円盤25の表面に当接させた状態で、前記突起片26,26,…,26の間に一個ずつ嵌合される。そして、前記モータ21の回転動が送出円盤25に伝達されることにより該送出円盤25が回動され、前記突起片26,26,…,26の間に嵌合したメダルは前記送出口24へ導かれる。
前記メダル排出通路部16は前記送出口24に接続され、送出されたメダルが挿通されるようになっている。メダル排出通路部16は、その上流から下流に向かって順に、重複メダル排出域27と、増速域28と、重複メダル分離域29とが設けられ、その下流は、前記小径メダル案内通路17と前記大径メダル案内通路18とに分岐されたメダル分別域30が設けられる。前記重複メダル排出域27は、前記メダル送出部15からメダルが複数枚重なって送出されてしまった場合に、メダル一枚だけを通過させ、それ以外のメダルを排出するようになっている。前記増速域28は、メダルの滑落速度を加速させ、メダル排出通路部16内に先に送出されたメダルに対して後から送出されたメダルが追い付かないようにしている。また、前記重複メダル分離域29は、前記重複メダル排出域27にて重複メダルが排出されず、メダルが二枚重なった状態で滑落してきた場合に、これらを一枚ずつに分離するようになっている。さらに、前記メダル分別域30には小径メダル脱落口31が開設され、この小径メダル脱落口31の下側に小径メダル案内通路17が設けられる。一方、小径メダル脱落口31の下流は大径メダル案内通路18になっている。小径メダルと大径メダルは、これら小径メダル案内通路17と大径メダル案内通路18とから別々に排出され、メダル容器11またはメダル容器12へ其々収容されるようになっている。
このようにメダル排出通路部16は、送出口24から受け入れたメダルを滑落させ、該メダルをメダル容器11またはメダル容器12へと送り込むためのもので、その断面は、厚さがメダルよりも若干厚く、且つ、幅がメダルの直径よりも若干広幅に形成される。すなわち、メダル排出通路部16の重複メダル排出域27から、増速域28、重複メダル分離域29、メダル分別域30の大径メダル案内通路18までを含む部位は、メダルの厚さよりも若干厚く形成された一対の隙間部材32,32を、大径メダルの直径より若干広幅の間隔を設けて平行に配置し、これら各隙間部材32の下側面に板状の側壁部材33を固着している。さらに、各隙間部材32の上側面であって、増速域28と重複メダル分離域29とメダル分別域30における小径メダル脱落口31の開設位置とを含む部位には、透光性の合成樹脂材料で形成された側壁部材34を固着している。一方、メダル分別域30における小径メダル案内通路17は、中間部がU字形に湾曲されメダルの厚さよりも若干厚く形成された一対の隙間部材35,35を小径メダルの直径より若干広幅の間隔を設けて平行に配置すると共に、各隙間部材35の上端部から中間部までの下側に側壁部材36を固着し、また、中間部から下端部までの下側に側壁部材37を固着している。よって、メダル排出通路部16に挿通されたメダルは、該メダルの一側面を側壁部材33,36,37の内の何れかに対向させるようにして、前記メダル排出通路部16内を該メダルの直径方向に移動することができる。
このようなメダル排出通路部16は、始端部から下方が約30度の角度でメダルを滑落させる方向へ急傾斜し、前記重複メダル分離域29の部分でさらに下方へ屈曲すると共に、前記メダル分別域30にて小径メダル案内通路17と大径メダル案内通路18とに分かれ、該小径メダル案内通路17の終端部である小径メダル排出口43がメダル容器11へ向けられ、該大径メダル案内通路18の終端部である大径メダル排出口42がメダル容器12へ向けられている。また、メダル排出通路部16は、始端寄りから中間部にかけてメダル排出通路部16を移動するメダルの厚さ方向(メダル排出通路部16内をメダルが滑落する方向と直交する方向)にも若干傾斜している。従って、メダルは、傾斜した起立状態で該メダルの一方の表面を下側の側壁部材33に摺接させながら該メダル排出通路部16内を滑落していく。
前記重複メダル排出域27は、例えば、前記メダル送出部15の送出口24からメダルが二枚重なって送出されてしまった場合に、片方のメダルをメダル排出通路部16から排出させてメダルの重複を解消し、前記増速域28にメダルを一枚ずつ挿通させるようにしている区画である。この重複メダル排出域27の上側面は開放されており、さらに、滑落するメダルの外周縁下部を支持する隙間部材38の幅は、メダルの厚みよりも狭く形成されている。すなわち、メダル排出通路部16の底面の幅がメダルの厚みよりも狭くなっている。従って、図6に示したように、重複メダル排出域27では隙間部材38の上端面(メダル排出通路部16内の底面)によってメダルM1のみが下方から支持されるようになっており、該メダルM1に重なったメダルM2は隙間部材38に支持されず下方に落下する。そして、落下したメダルM2は、該重複メダル排出域27の下方に設けられた前記メダル回収樋13の始端部の開口より該メダル回収樋13に進入し、メダル揚送リフト10の基端部10aへ運ばれるようになっている。このようにして、メダルが二枚重なって増速域28に送出されることを防止している。
前記増速域28は、前述のとおり、約30度の急角度でメダルを滑落させるようになっているため、略起立した状態のメダルをここで一気に加速させることができる。この増速域28における下側の側壁部材33には、該増速域28の長手方向に沿って細い長孔状の溝孔39が開設される。この溝孔39は、メダルの一方の表面と下側の側壁部材33の表面との接触面積を少なくして摩擦抵抗を低減し、メダルの滑落速度の増速効果を高めるものである。
前記重複メダル分離域29は、前記増速域28の下流側であって、メダル排出通路部16の長手方向が約30度の角度の下傾からさらに急角度になるように滑らかにカーブしている部位に位置している。この重複メダル分離域29は、メダルの一方の側面を含み該側面に平行な平面内(前記円形室19の傾斜平面内)で下方へ向かって滑らかに屈曲しており、最終的に、該重複メダル分離域29の長手方向は、前記平面内の最大傾斜方向と略一致するようになっている。そして、重複メダル分離域29の上側の側壁部材34の内側には、減速部材40が設けられている。
前記減速部材40は、例えば、表面が粗く加工されたプラスチックや表面が滑り難くなっているゴム等の摩擦が大きい部材からなり、重複メダル分離域29において、二枚重なったメダルの内の一方に接触させて、該一方のメダルの滑落速度を減速させるものである。つまり、メダルの重複が前記重複メダル排出域27において何らかの理由により解消されなかった場合に、該メダルが重複したままメダル分別域30へ流入することを防止するようになっている。具体的には、図7に示したように、側壁部材34の内周面に切欠部34aを設けると共に、該切欠部34aに減速部材40を嵌め込むように取り付ける。減速部材40の内面は、上端部が側壁部材34の内面に対して凹凸が生じないように滑らかに接続されると共に、下流に向かうに従い側壁部材34の内面よりも内側へ徐々に迫り出すようになっている。そして、該減速部材40の下端部では、該重複メダル分離域29の内部の厚さがメダル2枚分の厚さよりも若干狭くなっている。そうすると、メダルM3とメダルM4が重なって滑落してきた場合、側壁部材34側に位置するメダルM4のみが減速部材40に接触して滑落速度が減速される。一方、側壁部材33側に位置するメダルM3は、減速部材40に接触せず減速されることがない。これにより、重複メダルM3,M4の滑落速度に差が生じ、該重複メダル同士が離間するようになっている。
なお、本実施の形態では側壁部材34の内側に減速部材40を設けることにより、該減速部材40に接触したメダルの滑落速度を減速させるようにしたが、これに限るものではない。例えば、側壁部材34の一方の内側面を粗く加工して摩擦を増大させると共に、該内側面を重複メダル分離域29の内側へ迫り出すように形成してメダルに接触させるようにしてもよい。
前記メダル分別域30は、前記重複メダル分離域29の下流側に位置している。このメダル分別域30において小径メダル脱落口31が開設された部位は、その長手方向が急勾配の傾斜から緩い勾配の傾斜へと徐々に変化するように滑らかな円弧状に湾曲されている。そして、その下流は、前記緩い勾配にて直線状に一定角度で下傾する大径メダル案内通路18になっている。一方、前記小径メダル脱落口31の下側には、小径メダル案内通路17が設けられている。
前記小径メダル脱落口31は、メダル排出通路部16の長手方向(メダルの流下方向)に沿って長孔状に開設されていて、その開口幅は小径メダルの直径よりも広く、かつ、大径メダルの直径よりも狭くなっている。そして、この部位におけるメダル排出通路部16の通路幅は大径メダルの直径より若干広幅であることから、前記メダル排出通路部16の幅方向の両側には側壁部材33が細幅で残されて、一対のガイド片41,41が形成される。従って、図8に示したように、大径メダルLは、これらガイド片41,41に外周縁部が支持されることにより小径メダル脱落口31を潜り抜けて脱落することがない。一方、小径メダルSは、その直径が小径メダル脱落口31の開口幅よりも小さいため、該小径メダル脱落口31を潜り抜けて小径メダル案内通路17へ流入するようになっている。また、前記小径メダル脱落口31の上端部と前記溝孔39の下端部は接続され連通状になっている。
前記小径メダル脱落口31の下流端は、該小径メダル脱落口31の開口幅(前記ガイド片41,41同士の間隔)を漸次緩やかに狭めるように形成することにより尖形部54が設けられている。この尖形部54の両側縁55,55は、其々略直線状に形成され、該側縁55,55同士の間隔は、上流側で広く下流側で狭くなっている。そして、各側縁55の上流端は、各ガイド片41に滑らかに接続され、また、各側縁55の下流端は、該側縁55,55同士の間隔が徐々に狭まっていき、大径メダルの直径(メダル分別域30の幅と略同じ)に対して7分の1から8分の1になったところで円弧状に互いに接続されている。これにより、尖形部54は全体的に略V字形状に設けられている。また、尖形部54は、上流端から下流端までの長さが大径メダルの直径のおよそ1.5倍を有するように形成されている。なお、この長さはより長い方が望ましい。一方、後述するように、大径メダルがその流下方向の前端縁を小径メダル脱落口31側へ傾斜させた状態で尖形部54へ差し掛かると、該大径メダルは、外周縁を尖形部54の両側縁55,55に摺接させて下流方向へ流下していく。従って、尖形部54の両側縁55,55は、例えば、エッジを丸めて摩擦抵抗を減らすなどし、大径メダルの外周縁が滑らかに摺接するように加工することが望ましい。また、本実施の形態では、尖形部54の両側縁55,55が略直線状に形成されているが、側縁55,55は滑らかに湾曲した曲線状に形成してもよい。
前記大径メダル案内通路18は、小径メダル脱落口31の下流にて略直線状に下傾するように設けられ、その終端部分は、大径メダルを排出する大径メダル排出口42となっている。大径メダル排出口42の先には前記メダル容器12が設けられ、排出された大径メダルが収容されるようになっている。また、大径メダル案内通路18の下側にソレノイド48を取着することにより後述するメダル振分手段が設けられている。
一方、前記小径メダル案内通路17は、該小径メダル脱落口31の下側に位置するように設けられ、その始端寄り部は、前記側壁部材33に小径メダル脱落口31を開設した部位に沿って滑らかに湾曲されている。すなわち、小径メダル案内通路17の始端寄り部は、小径メダル脱落口31から脱落する小径メダルの脱落方向と略同じ方向を向いており、該脱落した小径メダルをスムーズに受け入れられるようになっている。その下流は略直線状に下傾されると共に、前記側壁部材33から徐々に離れていっている。この部位では、小径メダル案内通路17の下流方向は、前記大径メダル案内通路18の大径メダル排出口42側と同じ方向へ向いている。そして、小径メダル案内通路17は、中間部にてU字形に大きく屈曲され、下流方向の向きが該大径メダル排出口42側とは反対側へ向けられている。すなわち、小径メダル案内通路17の下流方向と大径メダル案内通路18の下流方向とが反対向きになるように湾曲されている。また、小径メダル案内通路17の終端寄り部は略直線状に下傾するように形成され、終端部分は小径メダルを排出する小径メダル排出口43となっている。この小径メダル排出口43の先には前記メダル容器11が設けられ、排出された小径メダルが収容されるようになっている。加えて、小径メダル案内通路17の終端寄り部の下側にはソレノイド48を取着することにより、後述するメダル振分手段が設けられている。
前記メダル振分手段は、前記大径メダル案内通路18および前記小径メダル案内通路17の各々につき一つずつ設けられる。その構成は同一であるため、大径メダル案内通路18側のメダル振分手段について説明し、小径メダル案内通路17側については説明を省略する。以下、メダル振分手段の説明では、大径メダル案内通路18を単にメダル案内通路18と表記し、大径メダル排出口42を単にメダル排出口42と表記する。メダル振分手段は、メダル排出口42へ向かってメダル案内通路18内を滑落するメダルの滑落方向を変化させ、該メダルを該メダル排出口42とは別の方向へ排出させるためのものである。例えば、前記メダル容器12が満杯になった際に、それ以上メダル容器12にメダルが送り込まれないようにできる。図9はメダル振分手段が設けられた部位の拡大正面図、図10は同縦断面図である。また、図11はメダル振分手段が作動した状態を示す拡大正面図である。
前記メダル案内通路18は、終端寄り部にて、その長手方向から斜めに分岐するようにして副排出路46が設けられる。また、副排出路46の分岐部位にあたる前記側壁部材33には長孔状の貫通孔47が開設される。この貫通孔47は、長手方向が該副排出路46の方向を向いている。言い換えると、メダル案内通路18の長手方向に対しては傾斜状になっている。そして、この貫通孔47の開設位置にあたる側壁部材33の下側面には、ソレノイド48が固着される。ソレノイド48は内部に空芯の導電コイル(図示せず)を備え、その空芯部には軸方向へ進退動可能なプランジャー49が設けられている。さらに、プランジャー49の先端には鍔部50が形成されると共に、メダル振分手段としての可動片51が突設されている。また、プランジャー49の基端側の周囲には、鍔部50に当接するようにコイルバネ52が圧縮状態で装着される。
ソレノイド48のプランジャー49は、導電コイルに電流を流して該導電コイルを励磁させるとコイルバネ52を収縮させてソレノイド48側へ後退し、一方、該導電コイルを消磁させるとコイルバネ52の弾性力によりソレノイド48の外側方向へ進出するようになっている。従って、前記メダル振分手段としての可動片51は、メダル案内通路18の側壁部材33に対し略垂直に進退動可能であり、該貫通孔47を介してメダル案内通路18内へ出没動自在である。よって、ソレノイド48のプランジャー49の作動により可動片51が貫通孔47を介してメダル案内通路18内へ突出すると、図11に示したように、該メダル案内通路18を滑落するメダルは、該可動片51に衝突して滑落方向を副排出路46側へ変化させるようになっている。そして、副排出路46の終端部の先には、前記メダル回収樋14の開口した始端部が位置しており、該副排出路46から排出されたメダルを受け入れるようになっている。
前記メダル容器12(メダル容器11も同様)がセットされる部位には、メダル容器検知センサ53a、および、メダル検知センサ53bが設けられる。前記メダル容器検知センサ53aは、メダル容器11およびメダル容器12の配設位置の下方に取り付けられる。そして、メダル容器検知センサ53aは、各メダル容器11,12の下面が近接しているかを検知することにより、該メダル容器11,12が所定位置に正常にセットされているか否かを判定する。もし、メダル容器11またはメダル容器12の何れかがセットされていなかったり、または、セットされた位置が所定位置からずれている場合は、メダル容器検知センサ53aが異常を検知して信号を送信する。
前記メダル検知センサ53bは、メダル容器11およびメダル容器12を其々所定位置にセットした際に、これらメダル容器11,12の内部であって、その上端縁より若干下方に位置する箇所に設けられる。そして、各メダル容器11,12にメダルが溜まっていき、積み重なったメダルがメダル検知センサ53bの取付位置まで到達したことを検知する。つまり、メダル容器11,12がメダルで満杯になると、メダル検知センサ53bがそれを検知して信号を送信する。
前記ソレノイド48は、前記メダル容器検知センサ53a、または、前記メダル検知センサ53bからの信号に基づいて、導電コイルへの通電を自動的に停止して該導電コイルを消磁させる。これにより、該ソレノイド48のプランジャー49がコイルバネ52の弾性力で進出し、メダル振替手段としての可動片51が貫通孔47を介してメダル案内通路18内へ突出する。こうして、メダルの滑落方向の変更がメダル容器検知センサ53a、または、メダル検知センサ53bの信号に基づいて自動的に行われるようになっている。
次に、本実施形態のメダル分別装置の作用を説明する。送出口24より送出されたメダルは、まず、メダル排出通路部16の重複メダル排出域27内を滑落する。この重複メダル排出域27では、仮にメダルが二枚重なって送出口24より送出されてしまった場合、一方のメダルのみを通過させて、他方のメダルを脱落させている。すなわち、図6に示したように、側壁部材33側に位置する一方のメダルM1のみが隙間部材38の上端面(メダル排出通路部16内の底面)に支持され重複メダル排出域27を通過する。
一方で、隙間部材38の上端面に支持されない他方のメダルM2はメダル排出通路部16から外れて下方へ落下する。そして、該メダルM2はメダル回収樋13の始端部の開口より該メダル回収樋13へ進入すると共にメダル揚送リフト10の基端部10aへ運ばれ、該メダル揚送リフト10によってメダル貯留タンク5へ再び揚送される。こうして、メダルM2はメダル分別装置6へ復帰することになる。
前記重複メダル排出域27を通過したメダルは、メダル排出通路部16の増速域28にスムーズに流入する。そして、増速域28の長手方向に約30度の角度で下傾する傾斜を自重で流下することで、滑落速度を加速しながらメダル排出通路部16内を滑落していく。そして、滑落速度を増速したメダルは重複メダル分離域29へ流入する。
重複メダル分離域29では、前記重複メダル排出域27において何らかの理由によりメダルの重複が解消されなかった場合に、その重複したメダルを分離させる。すなわち、図7に示したように、二枚重なって滑落するメダルM3とメダルM4の内、メダルM4のみが減速部材40に接触して滑落速度が減速される。一方、メダルM3は減速されることなく重複メダル分離域29を滑落する。こうして、メダルM3とメダルM4の滑落速度に差を生じさせることにより、該メダルM3,M4が分離される。分離されたメダルの各々は、メダル分別域30へ流入する。
メダルがメダル分別域30の小径メダル脱落口31に差し掛かると、大径メダルの場合は、前記小径メダル脱落口31の開口幅が大径メダルの直径よりも狭いことから、図8において符号Lで示したように、大径メダルの直径方向の両端部が該小径メダル脱落口31の両側に形成された一対のガイド片41,41に保持される。従って、大径メダルは小径メダル脱落口31を潜り抜けることなく通過し、大径メダル案内通路18へ滑落していく。そして通常は、図12において符号Lで示したように、大径メダル案内通路18の終端部である大径メダル排出口42まで到達して排出され、メダル容器12へ収容される。
一方で小径メダルの場合は、図8において符号Sで示したように、該小径メダルの直径方向の両端部が該小径メダル脱落口31の両側に形成された一対のガイド片41,41に完全に保持されることがない。従って、該小径メダルは小径メダル脱落口31を潜り抜けて小径メダル案内通路17へ流入する。
小径メダル案内通路17の始端寄り部は、メダル排出通路部16内を滑落する小径メダルが小径メダル脱落口31から脱落する方向と略同じ方向を向くように設けられている。従って、図12において符号Sで示したように、小径メダルは小径メダル案内通路17にスムーズに受け入れられ、小径メダルは小径メダル案内通路17内を滑落すると共に、該小径メダル案内通路17がU字形に大きく屈曲された中間部にて、その滑落方向が前記大径メダル排出口42とは反対側に変更される。そして通常は、小径メダル案内通路17の終端部である小径メダル排出口43まで到達して該小径メダル案内通路17から排出され、メダル容器11へ収容される。
こうして、大径メダル排出口42および小径メダル排出口43から排出された大径メダルと小径メダルの各々は、メダル容器11またはメダル容器12に溜まっていく。そして、該メダル容器11または該メダル容器12が満杯になると、メダル検知センサ53bがそれを検知して信号を発し、この信号に基づいて、前記ソレノイド48の導電コイルへの通電が停止される。これにより、導電コイルが消磁して、ソレノイド48の内部に設けられたプランジャー49がコイルバネ52の弾性力で該ソレノイド48の外側方向へ進出する。従って、メダル振分手段としての可動片51が、図10に二点鎖線で示したように、貫通孔47を介してメダル案内通路18内へ突出する。(大径メダル案内通路18側で説明し、同様に作動する小径メダル案内通路17側の説明は省略する。)そうすると、メダル案内通路18内を滑落するメダルは、図11に示したように、可動片51に衝突して滑落方向を副排出路46側へ変更し、該副排出路46の終端部から排出されるようになる。排出されたメダルは、メダル回収樋14の始端部の開口から該メダル回収樋14に流入すると共に、メダル揚送リフト10の基端部10aへ運ばれ、該メダル揚送リフト10によってメダル貯留タンク5へ再び揚送される。
次に、前記小径メダル脱落口31の下流端の尖形部54における、大径メダルの衝突防止や引っ掛かり防止の作用について詳しく説明する。図13は小径メダル脱落口の尖形部における作用を示す概略図である。図13において、(イ)は平面図、(ロ)は縦断面図を示している。大径メダルは、小径メダル脱落口31が開設された部位を上流側から下流側へ向けて、L1(二点鎖線)、L2(一点鎖線)、L3(実線)のように流下していく。L1は、大径メダルが小径メダル脱落口31の中間部に位置している状態を示しており、メダル分別域30の幅方向に位置する該大径メダルの外周縁両端部が各ガイド片41,41に其々載っている。一方、メダル分別域30の長手方向に位置する大径メダルL1の外周縁両端部、すなわち、該大径メダルL1の流下方向の前端部および後端部は、小径メダル脱落口31の幅方向の略中央部に位置し、該小径メダル脱落口31の両側縁に接触していない。よって、該前端部および該後端部は、大径メダルL1の両側面に対して垂直な方向へ上下動可能であって、この例においては、大径メダルL1がメダル分別域30内を流下する際に各ガイド片41,41または各隙間部材32,32等に接触して受ける衝撃により、大径メダルL1の前端部は小径メダル脱落口31側へ下傾している。
L2は、大径メダルが小径メダル脱落口31の尖形部54へ差し掛かった状態を示している。ここで、大径メダルL2は、その前端部が小径メダル脱落口31側へ下傾してしまった状態のままで尖形部54へ流下してきている。そうすると、大径メダルL2の外周縁は尖形部54の両側縁55,55に摺接する。この際には、まず、大径メダルL2の外周縁であってメダル分別域30の幅方向の両端部寄りが尖形部54の両側縁55,55の上流端寄りに当接する。そして、大径メダルL2が下流へ流下するに従って、前記摺接する部位は、該大径メダルL2の流下方向の前端部寄りへ徐々に変化していく。そうすると、大径メダルL2の流下方向の前端部は、尖形部54の両側縁55,55から上へ押し上げられる力を受ける。この押し上げ力により、大径メダルL2の前端部は、矢印aで示したように徐々に持ち上がり、該前端部が尖形部54の下流端に達すると、大径メダルは側壁部材34に対して略平行になって傾斜が解消される。従って、L3に示したように、大径メダルは小径メダル脱落口31の下流端に衝突することなく、大径メダル排出口42方向へ流下していく。このようにして、本発明に係るメダル分別装置では、大径メダルが小径メダル脱落口31の下流端に衝突することを回避できる。また、大径メダルが小径メダル脱落口31の下流端に引っ掛り、それに後続の大径メダルが衝突してメダル排出通路部16が詰まってしまうことを防止できる。