JP5404694B2 - 燃料電池車両 - Google Patents

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Description

この発明は、燃料電池と蓄電装置を用いて走行モータを駆動可能な燃料電池車両に関する。
燃料電池車両に関し、燃料電池をアイドル停止した後、発電を再開する(アイドル運転に復帰する)ための技術が提案されている(特許文献1、2)。
特許文献1では、アイドル停止状態にある燃料電池の起動操作を開始してからアイドル運転に復帰するまでのアイドル復帰時間における燃料電池の状態を示す状態推定値を推定し、当該状態推定値に基づいて、駆動モータの出力応答時間を制御する(要約)。具体的には、駆動モータのトルク指令値は、通常時(1気圧、常温程度)のアイドル復帰時間を考慮し、車速又は駆動モータの回転数に応じた駆動モータ消費電力応答時間を設計している([0006])。しかしながら、車両周囲の大気圧及び気温の変化並びに各補機の作動状態に応じてアイドル復帰時間が変化するため、特許文献1では、これらの要因を考慮して駆動モータの出力応答時間を制御する([0005]〜[0011])。
特許文献2では、燃料電池スタックの発電運転停止中にシステム要求パワーが閾値Prefを超えたことを含む再始動条件が成立したときには燃料電池スタックの発電運転を再始動する(要約)。ここで、バッテリ最大出力パワーPbmaxが基準値よりも低いときにはバッテリのパワーアシストが弱まるが、閾値Prefを通常時の値Pref0よりも低い値Pref1に変更するため、発電運転停止中の燃料電池スタックが通常時よりも早期に再始動し、通常時よりも早期に燃料電池スタックからモータ等へ電力が供給されるようになる。これにより、燃料電池スタックが再始動した後に車両の動力性能が低下することの抑制を企図している(要約)。なお、バッテリ最大出力パワーPbmaxは、バッテリ58のSOCに基づいて算出される([0029])。
特開2006−280108号公報 特開2006−333602号公報
上記のように、特許文献1では、アイドル復帰時間における燃料電池の状態を示す状態推定値を推定し、当該状態推定値に基づいて、駆動モータの出力応答時間を制御する。このように状態推定値は、アイドル復帰時間における燃料電池の状態を示すものであることから、特許文献1では、燃料電池の状態に応じて駆動モータの出力特性が変化し又は限定される。このため、好適な動力性能(ドライバビリティ)を得ることができない。
また、上記のように、特許文献2では、バッテリ最大出力パワーが低いとき、再始動のためのシステム要求パワーの閾値を下げ、燃料電池スタックの再始動を早める。また、バッテリ最大出力パワーは、バッテリのSOCに基づいて算出される。このため、特許文献2では、システム要求パワーが低い場合でも、燃料電池スタックの再始動を通常よりも早めることとなる。従って、システム要求パワー及びバッテリ最大出力パワーの両方が低い場合、特許文献2では、燃費が低下してしまう。
この発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、好適なドライバビリティと優れた燃費を両立可能な燃料電池車両を提供することを目的とする。
この発明に係る燃料電池車両は、走行モータと、前記走行モータに電力を供給する燃料電池と、前記走行モータに電力を供給すると共に、前記走行モータからの回生電力を充電する蓄電装置と、前記蓄電装置側に設けられ、前記蓄電装置の出力電圧を変圧することにより前記燃料電池の出力電圧を制御するコンバータと、前記燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス供給手段と、前記燃料電池の発電を抑制する発電抑制条件が成立したときに前記燃料電池の出力及び前記反応ガス供給手段の作動量を通常運転領域より低い発電抑制領域に低下させる発電抑制手段と、前記燃料電池の発電抑制を解除する抑制解除条件が成立したときに前記燃料電池の出力及び前記反応ガス供給手段の作動量を前記通常運転領域に復帰させる抑制解除手段と、前記発電抑制手段による発電抑制中に所定の高負荷条件及び前記抑制解除条件が成立した場合には、前記高負荷条件が成立せずに前記抑制解除条件が成立した場合と比べて、前記発電抑制の解除直後に前記燃料電池へ供給する前記反応ガスの供給量並びに前記燃料電池の出力電流及び出力電圧の単位時間当たりの変化量の少なくとも1つを大きくする復帰立ち上がり速度変更手段とを有することを特徴とする。
この発明によれば、燃料電池の発電抑制中に所定の高負荷条件及び抑制解除条件が成立した場合には、高負荷条件が成立せずに抑制解除条件が成立した場合と比べて、発電抑制の解除直後に燃料電池へ供給する反応ガスの供給量並びに燃料電池の出力電流及び出力電圧の単位時間当たりの変化量の少なくとも1つを大きくする。これにより、燃料電池の発電抑制を解除する際、高負荷が要求されていれば、好適なドライバビリティ(動力性能)を確保することが可能となる。また、燃料電池の発電抑制を解除する際、高負荷が要求されていなければ、発電抑制の解除直後に燃料電池へ供給する反応ガスの供給量並びに燃料電池の出力電流及び出力電圧の単位時間当たりの変化量の少なくとも1つを大きくしないため(通常の制御を用いるため)、優れた燃費を維持することが可能となる。
復帰立ち上がり速度変更手段が、前記発電抑制の解除直後に前記燃料電池へ供給する前記反応ガスの単位時間当たりの供給量を少なくとも大きくする構成においては、前記反応ガス供給手段の作動量を前記燃料電池の目標出力に追従させ、前記発電抑制手段による発電抑制中に前記高負荷条件及び前記抑制解除条件が成立した場合、前記復帰立ち上がり速度変更手段は、前記高負荷条件が成立せずに前記抑制解除条件が成立した場合と比べて、前記燃料電池の目標出力を高く設定することで前記反応ガス供給手段の作動量及び前記反応ガスの供給量の単位時間当たりの変化量を大きくしてもよい。
これにより、燃料電池の発電抑制を解除する際、高負荷が要求されていても反応ガスの不足を防止することが可能となり、反応ガスの不足に伴う燃料電池の劣化を抑制することが可能となる。また、燃料電池の発電抑制を解除する際、高負荷が要求されている場合の反応ガスの不足を抑制することにより、ドライバビリティをより確実に維持することが可能となる。
前記復帰立ち上がり速度変更手段が、前記発電抑制の解除直後に前記燃料電池の出力電圧の単位時間当たりの変化量を少なくとも大きくする構成においては、前記発電抑制手段による発電抑制中に前記高負荷条件及び前記抑制解除条件が成立した場合、前記復帰立ち上がり速度変更手段は、前記高負荷条件が成立せずに前記抑制解除条件が成立した場合と比べて、前記コンバータのフィードバックゲインを大きくすることで前記燃料電池の出力電圧の単位時間当たりの変化量を大きくしてもよい。これにより、燃料電池の発電抑制を解除する際、高負荷が要求されていても燃料電池の出力電圧を迅速に変化させることで燃料電池から良好に電流を引くことが可能となる。その結果、発電抑制を解除した直後であっても、燃料電池の出力を要求負荷に速やかに追従させることが可能となるため、ドライバビリティをより向上させることができる。
前記発電抑制手段による発電抑制中に前記高負荷条件及び前記抑制解除条件が成立した場合、前記復帰立ち上がり速度変更手段は、前記高負荷条件が成立せずに前記抑制解除条件が成立した場合と比べて、前記発電抑制解除後の前記コンバータの初期出力電圧を下げてもよい。燃料電池の特性上、燃料電池の出力電圧が低い方が、燃料電池の出力電流及び出力(発電電力)を大きくすることが可能である。また、コンバータは、蓄電装置の出力電圧を調整することにより燃料電池の出力電圧を制御する。上記構成によれば、燃料電池の発電抑制を解除する際、高負荷が要求されていれば、コンバータの出力電圧(燃料電池の出力電圧に対応する)の初期値を下げることで、燃料電池の出力を迅速に増加させることが可能となる。その結果、発電抑制を解除した直後であっても、燃料電池の出力を要求負荷に速やかに追従させることが可能となるため、ドライバビリティをより向上させることができる。
この発明によれば、燃料電池の発電抑制中に所定の高負荷条件及び抑制解除条件が成立した場合には、高負荷条件が成立せずに抑制解除条件が成立した場合と比べて、発電抑制の解除直後に燃料電池へ供給する反応ガスの供給量並びに燃料電池の出力電流及び出力電圧の単位時間当たりの変化量の少なくとも1つを大きくする。これにより、燃料電池の発電抑制を解除する際、高負荷が要求されていれば、好適なドライバビリティを確保することが可能となる。また、燃料電池の発電抑制を解除する際、高負荷が要求されていなければ、発電抑制の解除直後に燃料電池へ供給する反応ガスの供給量並びに燃料電池の出力電流及び出力電圧の単位時間当たりの変化量の少なくとも1つを大きくしないため(通常の制御を用いるため)、優れた燃費を維持することが可能となる。
この発明の一実施形態に係る燃料電池車両の概略構成図である。 前記実施形態におけるDC/DCコンバータの詳細を示す図である。 電子制御装置(ECU)における基本的な制御のフローチャートである。 システム負荷を計算するフローチャート(図3のS2の詳細)である。 現在のモータ回転数とモータ予想消費電力との関係を示す図である。 前記ECUが発電モードを選択するフローチャートである。 発電休止モードから通常発電モードに移行する際の制御のフローチャートである。 ドライバビリティの悪化対策実施の要否を判定するフローチャート(図7のS31の詳細)である。 ドライバビリティの悪化対策終了の要否を判定するフローチャート(図7のS32の詳細)である。 図7のステップS31、S32の判定結果に応じた制御を実行するフローチャート(図7のS33の詳細)である。 FC発電制御のフローチャート(図3のS4の詳細)である。 燃料電池スタックの発電電圧と、燃料電池スタックの目標電流との関係を規定するマップを示す図である。 燃料電池スタックの目標電流と、エアポンプの目標回転数との関係を規定するマップを示す図である。 燃料電池スタックの目標電流と、背圧弁の目標開度との関係を規定するマップを示す図である。 モータのトルク制御のフローチャート(図3のS5の詳細)である。 本実施形態及び比較例における各種制御を用いた場合のタイムチャートの例を示す図である。 前記実施形態に係る電力系の第1変形例の概略構成を示すブロック図である。 前記実施形態に係る電力系の第2変形例の概略構成を示すブロック図である。 前記実施形態に係る電力系の第3変形例の概略構成を示すブロック図である。
1.全体的な構成の説明
[1−1.全体構成]
図1は、この発明の一実施形態に係る燃料電池車両10(以下「FC車両10」又は「車両10」という。)の概略構成図である。FC車両10は、車両電源システム12(以下「電源システム12」ともいう。)と、走行用のモータ14と、インバータ16とを有する。
電源システム12は、燃料電池ユニット18(以下「FCユニット18」という。)(反応ガス供給手段)と、バッテリ20と、DC/DCコンバータ22と、電子制御装置24(以下「ECU24」という。)とを有する。
[1−2.駆動系]
モータ14は、FCユニット18及びバッテリ20から供給される電力に基づいて駆動力を生成し、当該駆動力によりトランスミッション26を通じて車輪28を回転する。また、モータ14は、回生を行うことで生成した電力(回生電力Preg)[W]をバッテリ20に出力する。回生電力Pregは、補機群(後述するエアポンプ36及びウォータポンプ68を含む。)に対して出力してもよい。
インバータ16は、3相フルブリッジ型の構成とされて、直流/交流変換を行い、直流を3相の交流に変換してモータ14に供給する一方、回生動作に伴う交流/直流変換後の直流をDC/DCコンバータ22を通じてバッテリ20等に供給する。
なお、モータ14とインバータ16を併せて負荷30という。但し、負荷30には、後述するエアポンプ36、ウォータポンプ68等の構成要素を含めることもできる。
[1−3.FCユニット18]
FCユニット18の燃料電池スタック32(以下「FCスタック32」又は「FC32」という。)は、例えば、固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで両側から挟み込んで形成された燃料電池セル(以下「FCセル」又は「単セル」という。)を積層した構造を有する。FCスタック32には、水素タンク34とエアポンプ36が経路38、40を通じて接続されており、水素タンク34からは一方の反応ガスである水素(燃料ガス)が、エアポンプ36からは他方の反応ガスである圧縮空気(酸化剤ガス)が供給される。水素タンク34及びエアポンプ36からFCスタック32に供給された水素と空気がFCスタック32内で電気化学反応を起こすことにより発電が行われ、発電電力(FC電力Pfc)[W]がモータ14とバッテリ20に供給される。
FCスタック32の発電電圧(以下「FC電圧Vfc」という。)[V]は、電圧センサ42により検出され、FCスタック32の発電電流(以下「FC電流Ifc」という。)[A]は、電流センサ44により検出され、それぞれECU24に出力される。また、FCスタック32を構成する各FCセルの発電電圧(以下「セル電圧Vcell」という。)[V]は、電圧センサ46により検出され、ECU24に出力される。
水素タンク34とFCスタック32とを結ぶ経路38には、レギュレータ50が設けられている。このレギュレータ50には、エアポンプ36とFCスタック32とを結ぶ経路40から分岐した経路52が連結されており、エアポンプ36からの圧縮空気が供給される。レギュレータ50は、供給された圧縮空気の圧力に応じて弁の開度を変化させ、FCスタック32に供給する水素の流量を調整する。
FCスタック32の出口側に設けられた水素用の経路54及び空気用の経路56には、出口側の水素を外部に排出するパージ弁58と空気の圧力を調整する背圧弁60が設けられている。また、水素用の入口側の経路38と出口側の経路54とを結ぶ経路62が設けられている。FCスタック32から排出された水素は、この経路62を介してFCスタック32の入口側に戻される。出口側の経路54、56には、圧力センサ64、66が設けられ、その検出値(圧力値)は、それぞれECU24に出力される。
さらに、FCスタック32を冷却するためのウォータポンプ68がFCスタック32に設けられている。
[1−4.バッテリ20]
バッテリ20は、複数のバッテリセルを含む蓄電装置(エネルギストレージ)であり、例えば、リチウムイオン2次電池、ニッケル水素電池又はキャパシタ等を利用することができる。本実施形態ではリチウムイオン2次電池を利用している。バッテリ20の出力電圧(以下「バッテリ電圧Vbat」という。)[V]は、電圧センサ70により検出され、バッテリ20の出力電流(以下「バッテリ電流Ibat」という。)[A]は、電流センサ72により検出され、それぞれECU24に出力される。なお、電圧センサ70からのバッテリ電圧Vbatと、電流センサ72からのバッテリ電流Ibatに基づいてECU24でバッテリ20の残容量(SOC)[%]が算出される。
[1−5.DC/DCコンバータ22]
DC/DCコンバータ22は、FCユニット18からのFC電力Pfcと、バッテリ20から供給された電力(以下「バッテリ電力Pbat」という。)[W]と、モータ14からの回生電力Pregとの供給先を制御する。
図2には、本実施形態におけるDC/DCコンバータ22の詳細が示されている。図2に示すように、DC/DCコンバータ22は、一方がバッテリ20のある1次側1Sに接続され、他方が負荷30とFCスタック32との接続点である2次側2Sに接続されている。
DC/DCコンバータ22は、1次側1Sの電圧(1次電圧V1)[V]を2次側2Sの電圧(2次電圧V2)[V](V1≦V2)に昇圧するとともに、2次電圧V2を1次電圧V1に降圧する昇降圧型且つチョッパ型の電圧変換装置である。
図2に示すように、DC/DCコンバータ22は、1次側1Sと2次側2Sとの間に配される相アームUAと、リアクトル80とから構成される。
相アームUAは、上アーム素子(上アームスイッチング素子82とダイオード84)と下アーム素子(下アームスイッチング素子86とダイオード88)とで構成される。上アームスイッチング素子82と下アームスイッチング素子86には、例えば、MOSFET又はIGBTが採用される。
リアクトル80は、相アームUAの中点(共通接続点)とバッテリ20の正極との間に挿入され、DC/DCコンバータ22により1次電圧V1と2次電圧V2との間で電圧を変換する際に、エネルギを放出及び蓄積する作用を有する。
上アームスイッチング素子82は、ECU24から出力されるゲート駆動信号(駆動電圧)UHのハイレベルによりオンにされ、下アームスイッチング素子86は、ゲートの駆動信号(駆動電圧)ULのハイレベルによりオンにされる。
なお、ECU24は、1次側の平滑コンデンサ92に並列に設けられた電圧センサ90により1次電圧V1を検出し、電流センサ94により1次側の電流(1次電流I1)[A]を検出する。また、ECU24は、2次側の平滑コンデンサ98に並列に設けられた電圧センサ96により2次電圧V2を検出し、電流センサ100により2次側の電流(2次電流I2)[A]を検出する。
[1−6.ECU24]
ECU24は、通信線78(図1)を介して、モータ14、インバータ16、FCユニット18、バッテリ20及びDC/DCコンバータ22を制御する。当該制御に際しては、メモリ(ROM)に格納されたプログラムを実行し、また、電圧センサ42、46、70、90、96、電流センサ44、72、94、100、圧力センサ64、66等の各種センサの検出値を用いる。
ここでの各種センサには、開度センサ110及び回転数センサ112(図1)が含まれる。開度センサ110は、アクセルペダル116の開度(以下「アクセル開度θ」又は「開度θ」という。)[度]を検出する。回転数センサ112は、モータ14の回転数(以下「モータ回転数Nm」又は「回転数Nm」という。)[rpm]を検出する。さらに、ECU24には、メインスイッチ118(以下「メインSW118」という。)が接続される。メインSW118は、FCユニット18及びバッテリ20からモータ14への電力供給の可否を切り替えるものであり、ユーザにより操作可能である。
ECU24は、マイクロコンピュータを含み、必要に応じて、タイマ、A/D変換器、D/A変換器等の入出力インタフェースを有する。なお、ECU24は、1つのECUのみからなるのではなく、モータ14、FCユニット18、バッテリ20及びDC/DCコンバータ22毎の複数のECUから構成することもできる。
ECU24は、FCスタック32の状態、バッテリ20の状態、及びモータ14の状態の他、各種スイッチ及び各種センサからの入力(負荷要求)に基づき決定したFC車両10全体として電源システム12に要求される負荷から、FCスタック32が負担すべき負荷と、バッテリ20が負担すべき負荷と、回生電源(モータ14)が負担すべき負荷の配分(分担)を調停しながら決定し、モータ14、インバータ16、FCユニット18、バッテリ20及びDC/DCコンバータ22に指令を送出する。
本実施形態のECU24は、通常発電機能120、発電抑制機能122、抑制解除機能124及び復帰立ち上がり速度変更機能126を備える。通常発電機能120は、後述する通常発電モードを制御する機能である。発電抑制機能122は、後述する発電休止モードを制御する機能であり、FC32の発電を抑制する。抑制解除機能124は、発電抑制機能122によるFC32の発電抑制を解除する機能である。復帰立ち上がり速度変更機能126は、FC32の発電抑制を解除した際、通常発電モードに復帰する速度(復帰立ち上がり速度)を変更する機能である。これらの機能120、122、124、126の詳細は後述する。
2.本実施形態の制御
次に、ECU24における制御について説明する。
[2−1.基本制御]
図3には、ECU24における基本的な制御のフローチャートが示されている。ステップS1において、ECU24は、メインSW118がオンであるかどうかを判定する。メインSW118がオンでない場合(S1:NO)、ステップS1を繰り返す。メインSW118がオンである場合(S1:YES)、ステップS2に進む。ステップS2において、ECU24は、電源システム12に要求される負荷(システム負荷Ls)[W]を計算する。
ステップS3において、ECU24は、電源システム12のエネルギマネジメントを行う。ここにいうエネルギマネジメントは、主として、FC32の発電量(FC電力Pfc)及びバッテリ20の出力(バッテリ出力Pbat)を算出する処理であり、FCスタック32の劣化を抑制しつつ、電源システム12全体の出力を効率化することを企図している。
ステップS4において、ECU24は、ステップS3のエネルギマネジメントの結果に基づいて、FCスタック32の周辺機器、すなわち、エアポンプ36、背圧弁60及びウォータポンプ68の制御(FC発電制御)を行う。ステップS5において、ECU24は、モータ14のトルク制御を行う。
ステップS6において、ECU24は、メインSW118がオフであるかどうかを判定する。メインSW118がオフでない場合(S6:NO)、ステップS2に戻る。メインSW118がオフである場合(S6:YES)、今回の処理を終了する。
[2−2.システム負荷Lsの計算]
図4には、システム負荷Lsを計算するフローチャート(図3のS2の詳細)が示されている。ステップS11において、ECU24は、開度センサ110からアクセルペダル116の開度θを読み込む。ステップS12において、ECU24は、回転数センサ112からモータ14の回転数Nm[rpm]を読み込む。
ステップS13において、ECU24は、開度θとモータ回転数Nmに基づいてモータ14の予想消費電力Pm[W]を算出する。具体的には、図5に示すマップにおいて、開度θ毎に回転数Nmと予想消費電力Pmの関係を記憶しておく。例えば、開度θがθ1であるとき、特性130を用いる。同様に、開度θがθ2、θ3、θ4、θ5、θ6であるとき、それぞれ特性132、134、136、138、140を用いる。そして、開度θに基づいて回転数Nmと予想消費電力Pmとの関係を示す特性を特定した上で、回転数Nmに応じた予想消費電力Pmを特定する。
ステップS14において、ECU24は、各補機から現在の動作状況を読み込む。ここでの補機には、例えば、エアポンプ36、ウォータポンプ68及び図示しないエアコンディショナを含む高電圧系の補機や、図示しない低電圧バッテリ、アクセサリ及びECU24を含む低電圧系の補機が含まれる。例えば、エアポンプ36及びウォータポンプ68であれば、回転数Nap、Nwp[rpm]を読み込む。前記エアコンディショナであれば、その出力設定を読み込む。
ステップS15において、ECU24は、各補機の現在の動作状況に応じて補機の消費電力Pa[W]を算出する。ステップS16において、ECU24は、モータ14の予想消費電力Pmと補機の消費電力Paを加算してFC車両10全体での予想消費電力(すなわち、システム負荷Ls)を算出する。
[2−3.エネルギマネジメント]
上記のように、本実施形態におけるエネルギマネジメントでは、主として、FC32の発電量(FC電力Pfc)及びバッテリ20の出力(バッテリ出力Pbat)を算出する。
(2−3−1.FC32の出力制御)
FC32の特性上、FC電圧Vfcは、基本的にDC/DCコンバータ22の2次電圧V2と等しくなる。このため、DC/DCコンバータ22により2次電圧V2を調整することにより、FC電圧Vfcを制御することが可能となる。また、FC32の電流−電圧(IV)特性上、FC電圧Vfcを制御することにより、FC電流Ifcを制御することができる。このため、本実施形態では、2次電圧V2の目標値(以下「目標2次電圧V2tgt」という。)を用いてFC電圧Vfc及びFC電流Ifcを制御する。
(2−3−2.発電モード)
本実施形態では、FC32の発電に関する動作モード(発電モード)として、通常発電モードと発電休止モードを用いる。通常発電モードは、通常走行(休止モードではない走行)において用いるモードであり、ECU24の通常発電機能120により実現される。発電休止モードは、メインSW118(図1)がオンの状態においてFC32が積極的な発電を停止する(換言すると、FC32の発電を抑制する)モードであり、発電抑制機能122により実現される。ここにいう積極的な発電(又は発電の抑制)とは、ECU24からの指令に基づき行うFC32の発電を指し、残留ガスによる発電を含まない。なお、通常発電モードと発電休止モードの選択は、抑制解除機能124により実行される。また、発電休止モードではFC32の発電を抑制するが、当該抑制は、発電休止モードから通常発電モードに切り替わっても直ちには解除されず、車速V[km/h]が所定値以上になった場合に解除される。
図6は、ECU24(抑制解除機能124)が発電モードを選択するフローチャートである。ステップS21において、ECU24は、回転数センサ112からのモータ14の回転数Nmに基づいて車速Vを算出する。ステップS22において、ECU24は、発電休止モードが選択中であるか否かを判定する。具体的には、通常発電モードと発電休止モードのいずれが選択されているかを示す発電モードフラグFLG1が、「0」であるとき、通常発電モードであると判定し、「1」であるとき、発電休止モードであると判定する。発電モードフラグFLG1が0であり、発電休止モードが選択中でない場合(S22:NO)、ステップS23に進む。発電モードフラグFLG1が1であり、発電休止モードが選択中である場合(S22:YES)、ステップS25に進む。
ステップS23において、ECU24は、発電休止モードを開始すべきか否かを判定する。具体的には、ステップS21で算出した車速Vが、発電休止モードを開始するか否かを判定するための第1車速閾値THV1(以下「閾値THV1」ともいう。)以下であるか否かを判定する。車速Vが閾値THV1以下でなく発電休止モードを開始しない場合(S23:NO)、ステップS27に進む。車速Vが閾値THV1以下であり、発電休止モードを開始する場合(S23:YES)、ステップS24において、ECU24は、発電モードフラグFLG1を「0」から「1」に変更する。
続くステップS25において、ECU24は、発電休止モードを終了すべきか否かを判定する。具体的には、ステップS21で算出した車速Vが、発電休止モードを終了するか否かを判定するための第2車速閾値THV2(以下「閾値THV2」ともいう。)以上であるか否かを判定する。本実施形態において、閾値THV2は、閾値THV1よりも高い値に設定される(THV2>THV1)。これにより、発電休止モードの選択にヒステリシス特性を持たせることが可能となり、発電モードの切替えが過度に多く発生することを防止することができる。
車速Vが閾値THV2以上でなく発電休止モードを終了しない場合(S25:NO)、ステップS26において、ECU24は、発電モードフラグFLG1に「1」を設定して発電休止モードを選択する。ステップS23において発電休止モードを開始しない場合(S23:NO)又はステップS25において車速Vが閾値THV2以上である場合(S25:YES)、ステップS27において、ECU24は、発電モードフラグFLG1に「0」を設定して通常発電モードを選択する。
(2−3−3.発電休止モードから通常発電モードに移行する際の制御)
本実施形態では、発電休止モード(低負荷状態)直後に高負荷(高いシステム負荷Ls)が要求される場合、FC32の出力を迅速に増加させる制御を行う。これにより、FC32の出力が、要求負荷に追従できないことにより車両10のドライバビリティ(動力性能)が悪化することを防止することが可能となる。
(2−3−3−1.発電休止モードから通常発電モードに移行する際の制御)
図7は、発電休止モードから通常発電モードに移行する際の制御のフローチャートである。ステップS31において、ECU24は、ドライバビリティ(以下「DR」ともいう。)の悪化対策実施の要否を判定する。ステップS32において、ECU24は、ドライバビリティの悪化対策終了の要否を判定する。ステップS33において、ECU24は、ステップS31、S32の判定結果に応じた各部の制御を実行する。ドライバビリティの悪化対策の実施及び終了の判定並びに当該悪化対策の実施は、ECU24の復帰立ち上がり速度変更機能126により実行される。
(2−3−3−2.ドライバビリティの悪化対策実施の要否判定)
図8は、ドライバビリティの悪化対策実施の要否を判定するフローチャート(図7のS31の詳細)である。ステップS41において、ECU24は、発電休止モードの解除直後において高負荷条件を判定中であるか否かを判定する。前記高負荷条件は、高負荷が要求されているか否かを判定するための条件である。ステップS41の判定には、発電休止モードの解除直後であるか否かを示す発電休止モード解除フラグFLG2(以下「フラグFLG2」ともいう。)を用いる。すなわち、フラグFLG2は、発電休止モードの解除直後であれば「1」が設定され、解除直後でなければ「0」が設定される。
フラグFLG2が1であり、高負荷条件を判定中である場合(S41:YES)、ステップS45に進む。フラグFLG2が0であり、高負荷条件を判定中でない場合(S41:NO)、ステップS42に進む。
ステップS42において、ECU24は、今回の演算周期で発電休止モードが解除されたか否かを判定する。当該判定は、上述した発電モードフラグFLG1が前回の演算周期において「1」だったのが、今回の演算周期で「0」に切り替えられたか否かに基づいて行う。今回の演算周期で発電休止モードが解除されていない場合(S42:NO)、ステップS50に進む。今回の演算周期で発電休止モードが解除された場合(S42:YES)、ステップS43に進む。
ステップS43において、ECU24は、前記高負荷条件の判定を開始する。具体的には、前記発電休止モード解除フラグFLG2に「1」を設定する。ステップS44において、ECU24は、高負荷条件の判定期間を設定する。具体的には、第1タイマT1(以下「タイマT1」ともいう。)のカウントを開始する。
ステップS41において高負荷条件を判定中である場合(S41:YES)又はステップS44の後、ステップS45において、ECU24は、高負荷条件の判定期間が終了したか否かを判定する。具体的には、タイマT1が、高負荷条件の判定期間が終了したか否かを判定するための第1タイマ閾値THT1(以下「閾値THT1」ともいう。)以上であるか否かを判定する。タイマT1が閾値THT1以上である場合(S45:YES)、ステップS46において、ECU24は、発電休止モード解除フラグFLG2に「0」を設定し、高負荷条件の判定を終了する。ステップS46の後は、ステップS50に進む。タイマT1が閾値THT1以上でない場合(S45:NO)、ステップS47に進む。
ステップS47において、ECU24は、第1の高負荷条件(以下「高負荷条件1」という。)として、車速Vが、高負荷を判定するための第3車速閾値THV3(以下「閾値THV3」ともいう。)以上であるか否かを判定する。車速Vが閾値THV3以上でない場合(S47:NO)、ステップS50に進む。車速Vが閾値THV3以上である場合(S47:YES)、ステップS48に進む。
ステップS48において、ECU24は、第2の高負荷条件(以下「高負荷条件2」という。)として、開度センサ110からのアクセル開度θが、高負荷を判定するための第1開度閾値THθ1(以下「閾値THθ1」ともいう。)以上であるか否かを判定する。アクセル開度θが閾値THθ1以上でない場合(S48:NO)、ステップS50に進む。アクセル開度θが閾値THθ1以上である場合(S48:YES)、ステップS49に進む。
ステップS49において、ECU24は、ドライバビリティの悪化対策実施が必要であると判定する。具体的には、ドライバビリティの悪化対策実施の要否を示すDR悪化フラグFLG3(以下「フラグFLG3」ともいう。)に、当該実施が必要であることを示す「1」を設定する。
ステップS42において発電休止モードの解除を要さない場合(S42:NO)、ステップS46の後、ステップS47において高負荷条件1が成立しない場合(S47:NO)、又はステップS48において高負荷条件2が成立しない場合(S48:NO)、ステップS50において、ECU24は、ドライバビリティの悪化対策実施が不要であると判定する。具体的には、前記DR悪化フラグFLG3に、当該実施が不要であることを示す「0」を設定する。
(2−3−3−3.ドライバビリティの悪化対策終了の要否判定)
図9は、ドライバビリティの悪化対策終了の要否を判定するフローチャート(図7のS32の詳細)である。ステップS61において、ECU24は、前記DR悪化フラグFLG3が、ドライバビリティの悪化対策実施が必要であることを示す「1」であるか否かを判定する。フラグFLG3が「1」でない場合(S61:NO)、ステップS66に進む。フラグFLG3が「1」である場合(S61:YES)、ステップS62に進む。
ステップS62において、ECU24は、既にドライバビリティの悪化対策が実施中であるか否かを判定する。具体的には、ドライバビリティの悪化対策の実施期間を設定する第2タイマT2(以下「タイマT2」ともいう。)がゼロであるか否かを判定する。タイマT2がゼロでなく、既にドライバビリティの悪化対策が実施中である場合(S62:YES)、ステップS64に進む。タイマT2がゼロであり、未だドライバビリティの悪化対策実施が開始されていない場合(S62:NO)、ステップS63に進む。
ステップS63において、ECU24は、ドライバビリティの悪化対策の実施期間を設定する。具体的には、第2タイマT2のカウントを開始する。
ステップS64において、ECU24は、ドライバビリティの悪化対策の実施期間が終了したか否かを判定する。具体的には、タイマT2が0であるか否かを判定する。タイマT2が0でない場合(S64:NO)、ステップS65に進む。タイマT2がゼロである場合(S64:YES)、ステップS66に進む。
ステップS65において、ECU24は、高負荷状態が終了したか否かを判定する。具体的には、アクセル開度θが、高負荷状態の終了を判定するための第2開度閾値THθ2(以下「閾値THθ2」ともいう。)以下であるか否かを判定する。閾値THθ2は、上記閾値THθ1よりも小さい値に設定される(THθ2<THθ1)。
アクセル開度θが閾値THθ2以下でなく、高負荷状態が終了していない場合(S65:NO)、今回の演算処理を終え、次の演算周期に進む。ステップS61においてDR悪化フラグFLG3が「1」でない場合(S61:NO)、ステップS64においてドライバビリティの悪化対策実施期間が終了した場合(S64:YES)又はステップS65においてアクセル開度θが閾値THθ2以下であり、高負荷状態が終了した場合(S65:YES)、ステップS66において、ECU24は、フラグFLG3に「0」を設定し、ドライバビリティの悪化対策実施を終了する。
(2−3−3−4.ドライバビリティの悪化対策終了の要否判定)
図10は、図7のステップS31、S32の判定結果に応じた制御を実行するフローチャート(図7のS33の詳細)である。ステップS71において、ECU24は、ドライバビリティの悪化対策実施中であるか否かを判定する。当該判定は、前記DR悪化判定フラグFLG3に基づいて行う。すなわち、フラグFLG3が「0」である場合、当該悪化対策は実施中ではなく、フラグFLG3が「1」である場合、当該悪化対策が実施中である。フラグFLG3が「1」であり、ドライバビリティの悪化対策を実施中である場合(S71:YES)、ステップS72に進む。
ステップS72〜S75は、ドライバビリティの悪化対策としての処理である。すなわち、ステップS72において、ECU24は、目標2次電圧V2tgtの初期値(以下「初期値V2ini」という。)が、フラグFLG3の切替え後に新たに設定済であるか否かを判定する。上記の通り、目標2次電圧V2tgtを用いることでFC電圧Vfcを制御することができる。初期値V2iniを設定済である場合(S72:YES)、ステップS74に進む。初期値V2iniを設定済でない場合(S72:NO)、ステップS73に進む。
ステップS73において、ECU24は、通常の初期値V2ini(ステップS77で設定される初期値V2ini)から補正値α(図16)を引いた値を今回の初期値V2iniとして設定する。補正値αは、FC32の発電抑制解除後、直ちにFC32の出力を増加させるために通常の初期値V2iniから差し引く値であり、ゼロより大きい(α>0)。すなわち、本実施形態では、発電休止モードにおける目標2次電圧V2tgtは、FC32の開回路電圧(OCV)よりも高く設定される(図16)。2次電圧V2をFC電圧Vfcよりも高くすることで、FC32の発電をより確実に行わせないためである。このため、補正値αは、目標2次電圧V2tgtがOCVと等しくなる値又はその近傍値に設定される。これにより、FC32の発電抑制の解除後、直ちにFC32からの出力を発生及び増加させることが可能となる(更なる詳細は、図16を用いて説明する。)。
ステップS74において、ECU24は、FC電流Ifcの目標値(目標FC電流Ifctgt)を演算する。ドライバビリティの悪化対策実施中は、通常時(S78)における目標FC電流Ifctgtに係数βを掛けた値を目標FC電流Ifctgtとして設定する。係数βは、悪化対策実施中においてFC32の出力を増大させるための係数であり、1よりも大きい(β>1)。
ステップS75において、ECU24は、DC/DCコンバータ22のフィードバック(FB)制御で用いるゲイン(以下「FBゲインGfb」又は「コンバータFBゲインGfb」という。)を演算する。ドライバビリティの悪化対策実施中は、通常時(S79)におけるFBゲインGfbに係数γを掛けた値をFBゲインGfbとして設定する。係数γは、悪化対策実施中においてFC32の出力を増大させるための係数であり、1よりも大きい(γ>1)。
ステップS71に戻り、DR悪化フラグFLG3が「0」であり、ドライバビリティの悪化対策を実施中でない場合(S71:NO)、ステップS76に進む。
ステップS76〜S79は、通常時(ドライバビリティの悪化対策を実施しない場合)の処理である。すなわち、ステップS76において、ECU24は、目標2次電圧V2tgtの初期値V2iniが、フラグFLG3の切替え後に新たに設定済であるか否かを判定する。初期値V2iniを設定済である場合(S76:YES)、ステップS78に進む。初期値V2iniを設定済でない場合(S76:NO)、ステップS77に進む。
ステップS77において、ECU24は、通常の初期値V2iniを設定する。上記のように、通常の初期値V2iniは、OCVよりも高い値に設定される。
ステップS78において、ECU24は、目標FC電流Ifctgtを演算する。目標FC電流Ifctgtは、基本的に、図4のフローチャートで算出されるシステム負荷Lsに応じて設定される。すなわち、システム負荷Lsに応じてFC電力Pfcの目標値(以下「目標FC電力Pfctgt」という。)が割り当てられる。本実施形態では、この目標FC電力Pfctgtに応じて目標FC電流Ifctgtが算出される。
但し、FC電流Ifcが急激に変化すると、FC32の劣化を招く可能性がある。このため、本実施形態では、演算周期毎の目標FC電流Ifctgtの変化量の最大値(許容最大変化量)を設定し、それ以上の変化を許容しないレートリミット制御を行う。但し、上述したステップS74においては、ドライバビリティの悪化対策を実施中は、許容最大変化量も通常時の値に係数βが乗算される。
ステップS79において、ECU24は、DC/DCコンバータ22のFBゲインGfbを演算する。すなわち、本実施形態では、DC/DCコンバータ22が制御対象とする目標FC電圧Vfctgtは、目標FC電流Ifctgtに応じて設定される。すなわち、本実施形態のFC32は、一般的な燃料電池と同様の電流−電圧特性(IV特性)を有する。従って、目標FC電流Ifctgtに応じて目標FC電圧Vfctgtを設定することができる。
また、FC32の特性上、FC32の通常出力時においてFC電圧Vfcは、2次電圧V2と略等しくなる。このため、ECU24は、DC/DCコンバータ22により2次電圧V2を制御することによりFC電圧Vfcを制御することができる。換言すると、ECU24は、2次電圧V2が目標FC電圧Vfctgtと等しくなるようにDC/DCコンバータ22を制御する。
そして、FBゲインGfbは、目標2次電圧V2tgtと実際の2次電圧V2との偏差ΔV2(=V2tgt−V2)に対して乗算されるものである。
本実施形態のECU24は、目標2次電圧V2tgtと電圧センサ90が検出したV1とに基づいてフィードフォワード項(以下「FF項」という。)を演算する。FF項は、1次電圧V1と、目標2次電圧V2tgtとの商V1/V2tgtである。また、ECU24は、偏差ΔV2と係数βの積を用いたPID制御(比例・積分・微分制御)によりフィードバック項(以下「FB項」という。)を演算する。そして、FF項とFB項の和としての目標デューティDUTtarを算出する。目標デューティDUTtarは、1スイッチング周期[s]における駆動信号UH、ULの出力期間[s]を規定する。
上記のように、FB項の算出において、1より大きい係数βを偏差ΔV2に掛けることで、FB項が大きくなるため、実際の2次電圧V2を目標2次電圧V2tgtにより早く収束させることができるようになる。
[2−4.FC発電制御]
上記のように、FC発電制御(図3のS4)として、ECU24は、FCスタック32の周辺機器、すなわち、エアポンプ36、背圧弁60及びウォータポンプ68を制御する。
図11は、FC発電制御のフローチャートである。ステップS81において、ECU24は、電圧センサ42からFC電圧Vfcを読み込む。ステップS82において、ECU24は、FC電圧Vfcに基づいてFCスタック32の目標電流(目標FC電流Ifctgt)[A]を設定する。具体的には、図12に示すマップを事前にECU24の記憶手段(図示せず)に記憶しておく。そして、FC電圧Vfcに対応する目標FC電流Ifctgtを当該マップから読み出す。
ステップS83において、ECU24は、目標FC電流Ifctgtに基づいてエアポンプ36の回転数Napの目標値(目標回転数Naptgt)[rpm]を設定する。具体的には、図13に示すマップを事前にECU24の記憶手段に記憶しておく。そして、目標FC電流Ifctgtに対応する目標回転数Naptgtを当該マップから読み出す。
ステップS84において、ECU24は、目標FC電流Ifctgtに基づいて背圧弁60の開度θvの目標値(目標開度θvtgt)[度]を設定する。具体的には、図14に示すマップを事前にECU24の記憶手段に記憶しておく。そして、目標FC電流Ifctgtに対応する目標開度θvtgtを当該マップから読み出す。
ステップS85において、ECU24は、エアポンプ36の回転数Napについて経路56における流量FRに基づくフィードバック制御を行う。具体的には、ECU24は、圧力センサ66からの圧力P2(流量FRに対応する)に基づいて回転数Napと目標回転数Naptgtとの差を判定する。すなわち、圧力P2と回転数Napとの関係を予めマップとして記憶しておき、当該マップと圧力P2に基づいて回転数Napを算出する。そして、算出した回転数Napと目標回転数Naptgtとの差を算出して当該差をフィードバック項に反映する。
ステップS86において、ECU24は、背圧弁60の開度θvについて圧力センサ64、66からの圧力P1、P2に基づくフィードバック制御を行う。具体的には、ECU24は、圧力センサ64、66からの圧力P1、P2に基づいて開度θvと目標開度θvtgtとの差を判定する。すなわち、圧力P1、P2と開度θvとの関係を予めマップとして記憶しておき、当該マップと圧力P1、P2に基づいて開度θvを算出する。そして、算出した開度θvと目標回転数Naptgtとの差を算出して当該差をフィードバック項に反映する。
[2−5.モータ14のトルク制御]
図15には、モータ14のトルク制御のフローチャートが示されている。ステップS91において、ECU24は、回転数センサ112からモータ回転数Nmを読み込む。ステップS92において、ECU24は、開度センサ110からアクセルペダル116の開度θを読み込む。
ステップS93において、ECU24は、モータ回転数Nmと開度θに基づいてモータ14の仮目標トルクTtgt_p[N・m]を算出する。具体的には、図示しない記憶手段に回転数Nmと開度θと仮目標トルクTtgt_pを関連付けたマップを記憶しておき、当該マップと、回転数Nm及び開度θとに基づいて仮目標トルクTtgt_pを算出する。
ステップS94において、ECU24は、電源システム12からモータ14に供給可能な電力の限界値(限界供給電力Ps_lim)[W]に等しいモータ14の限界出力(モータ限界出力Pm_lim)[W]を算出する。具体的には、限界供給電力Ps_lim及びモータ限界出力Pm_limは、FCスタック32からのFC電力Pfcとバッテリ20から供給可能な電力の限界値(限界出力Pbat_lim)[W]との和から補機の消費電力Paを引いたものである(Pm_lim=Ps_lim←Pfc+Pbat_lim−Pa)。
ステップS95において、ECU24は、モータ14のトルク制限値Tlim[N・m]を算出する。具体的には、モータ限界出力Pm_limを車速Vで除したものをトルク制限値Tlimとする(Tlim←Pm_lim/V)。
ステップS96において、ECU24は、目標トルクTtgt[N・m]を算出する。具体的には、ECU24は、仮目標トルクTtgt_pに対してトルク制限値Tlimによる制限を加えたものを目標トルクTtgtとする。例えば、仮目標トルクTtgt_pがトルク制限値Tlim以下である場合(Ttgt_p≦Tlim)、仮目標トルクTtgt_pをそのまま目標トルクTtgtとする(Ttgt←Ttgt_p)。一方、仮目標トルクTtgt_pがトルク制限値Tlimを超える場合(Ttgt_p>Tlim)、トルク制限値Tlimを目標トルクTtgtとする(Ttgt←Tlim)。
そして、算出した目標トルクTtgtを用いてモータ14を制御する。
3.各種制御の例
図16には、本実施形態及び比較例における各種制御を用いた場合のタイムチャートの例が示されている。ここでの比較例は、ドライバビリティの悪化対策を実施しない制御、ずなわち、図10のステップS76〜S79を用い、ステップS72〜S75を用いない制御である。また、図16の目標FC電流Ifctgt、目標2次電圧V2tgt及びFC電流Ifcに関し、実線で示したものが本実施形態に係るものであり、破線で示したものが比較例に係るものである。
図16の時点t1までは、車速Vが前記閾値THV2未満であるため(図6のS25:NO)、発電休止モードが選択される(S26)。なお、時点t1まではFC電流Ifcが一定であるにもかかわらず、車速Vが増加しているのは、バッテリ20からモータ14に電力が供給されているためである。
時点t1になると、車速Vが閾値THV2以上となるため(S25:YES)、通常発電モードに切り替わる(S27)。しかし、時点t1では、車速Vが、FC32の発電の抑制解除を判定する第4車速閾値THV4(以下「閾値THV4」ともいう。)未満であるため、抑制解除は行われない。
また、時点t1では、タイマT1が閾値THT1以上でなく(図8のS45:NO)、車速Vが閾値THV3以上であり(S47:YES)且つアクセル開度θが閾値THθ1以上である(S48:YES)。従って、ドライバビリティの悪化対策が実施される(S49)。これに伴って、目標2次電圧V2tgtの初期値V2iniは、通常の初期値V2iniから補正値αだけ下げられた値となる。
時点t2において、車速Vが閾値THV4以上となると、ECU24は、FC32の発電抑制の解除を行う。すなわち、それまでは、バッテリ20の電力によりモータ14を駆動していたところ、FC電力Pfcも利用してモータ14を駆動する。これに伴い、ECU24が算出する目標FC電流Ifctgtは徐々に増加する。但し、レートリミット制御が行われているため、本実施形態及び比較例のいずれも、その増加の傾きは一定である。また、上述したように、本実施形態の方が比較例よりも傾きは大きい。
さらに、本実施形態では、抑制解除がされた時点t2において直ちに目標2次電圧V2tgtがOCV以下となり、FC電流Ifcが増加している。これに対し、比較例では、時点t2では目標2次電圧V2tgtがOCVより大きいため、FC電流Ifcが増加しない。時点t3以降は、比較例でも目標2次電圧V2tgtがOCV以下となり、FC電流Ifcが増加する。
4.本実施形態の効果
以上説明したように、本実施形態によれば、FC32の発電抑制中に高負荷条件(図8のS47:YES、S48:YES)及び抑制解除条件(V4>THV4)が成立した場合には、高負荷条件が成立せずに抑制解除条件が成立した場合と比べて、発電抑制の解除直後に目標FC電流Ifctgtの単位時間当たりの変化量を大きくする(図10のS74)。これにより、FC32の発電抑制を解除する際、高負荷が要求されていれば、好適なドライバビリティを確保することが可能となる。また、FC32の発電抑制を解除する際、高負荷が要求されていなければ、発電抑制の解除直後に目標FC電流Ifctgtを大きくしないため(通常の制御としてのステップS78を用いるため)、優れた燃費を維持することが可能となる。
本実施形態において、エアポンプ36の目標回転数Naptgt及び背圧弁60の目標開度θvtgtを目標FC電流Ifctgtに追従させ、ECU24(発電抑制機能122)による発電抑制中に高負荷条件(図8のS47:YES、S48:YES)及び抑制解除条件(V4>THV4)が成立した場合、ECU24(復帰立ち上がり速度変更機能126)は、前記高負荷条件が成立せずに前記抑制解除条件が成立した場合と比べて、目標FC電流Ifctgtを高く設定することでエアポンプ36の回転数Nap及び背圧弁60の開度θvを大きくする。これにより、FC32の発電抑制を解除する際、高負荷が要求されていても反応ガスの不足を防止することが可能となり、反応ガスの不足に伴うFC32の劣化を抑制することが可能となる。また、FC32の発電抑制を解除する際、高負荷が要求されている場合の反応ガスの不足を抑制することにより、ドライバビリティをより確実に維持することが可能となる。
本実施形態において、ECU24(発電抑制機能122)による発電抑制中に高負荷条件(図8のS47:YES、S48:YES)及び抑制解除条件(V4>THV4)が成立した場合、ECU24(復帰立ち上がり速度変更機能126)は、前記高負荷条件が成立せずに前記抑制解除条件が成立した場合と比べて、DC/DCコンバータ22のFBゲインGfbを大きくすることでFC電圧Vfcの変化速度を大きくする。これにより、FC32の発電抑制を解除する際、高負荷が要求されていてもFC電圧Vfcを迅速に変化させることでFC32から良好に電流を引くことが可能となる。その結果、発電抑制を解除した直後であっても、FC電力Pfcを要求負荷に速やかに追従させることが可能となるため、ドライバビリティをより向上させることができる。
本実施形態において、ECU24(発電抑制機能122)による発電抑制中に高負荷条件(図8のS47:YES、S48:YES)及び抑制解除条件(V4>THV4)が成立した場合、ECU24(復帰立ち上がり速度変更機能126)は、前記高負荷条件が成立せずに前記抑制解除条件が成立した場合と比べて、前記発電抑制解除後の目標2次電圧V2tgtの初期値V2iniを下げる(図10のS73)。
FC32の特性上、FC電圧Vfcが低い方が、FC電流Ifc及びFC電力Pfcを大きくすることが可能である。また、DC/DCコンバータ22は、2次電圧V2を調整することによりFC電圧Vfcを制御する。本実施形態によれば、FC32の発電抑制を解除する際、高負荷が要求されていれば、コンバータの出力電圧(2次電圧V2)の初期値V2iniを下げることで、FC電力Pfcを迅速に増加させることが可能となる。その結果、発電抑制を解除した直後であっても、FC電力Pfcを要求負荷に速やかに追従させることが可能となるため、ドライバビリティをより向上させることができる。
5.変形例
なお、この発明は、上記実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
[5−1.適用対象]
上記実施形態では、電源システム12をFC車両10に適用した例を示したが、これに限らず、電源システム12を別の対象に適用してもよい。例えば、電動アシスト自転車、船舶や航空機等の移動体に適用することもできる。
[5−2.電源システム12の構成]
上記実施形態では、FC32とバッテリ20を並列に配置し、バッテリ20の手前にDC/DCコンバータ22を配置する構成としたが、これに限らない。例えば、図17に示すように、FC32とバッテリ20を並列に配置し、昇圧式、降圧式又は昇降圧式のDC/DCコンバータ150をFC32の手前に配置する構成であってもよい。或いは、図18に示すように、FC32とバッテリ20を並列に配置し、FC32の手前にDC/DCコンバータ150を、バッテリ20の手前にDC/DCコンバータ22を配置する構成であってもよい。或いは、図19に示すように、FC32とバッテリ20を直列に配置し、バッテリ20とモータ14の間にDC/DCコンバータ22を配置する構成であってもよい。
[5−3.発電モード]
(5−3−1.発電休止モード)
上記実施形態では、目標FC電流Ifctgtをゼロとする発電休止モードを用いたが、FC32の発電を抑制するモード(目標FC電流Ifctgtを抑制するモード)であれば、これに限らない。例えば、ゼロより大きい値を目標FC電流Ifctgtとして設定してもよい。
(5−3−2.通常発電モードから発電休止モードに切り替える条件)
上記実施形態では、通常発電モードから発電休止モードに切り替える条件として、車速Vが第1電圧閾値THV1以下であること(図6のS23:YES)を用いたが、これに限らない。例えば、アクセル開度θが、アクセルペダル116の操作が行われていないことを示す閾値以下であるときに通常発電モードから発電休止モードに切り替えてもよい。
(5−3−3.発電休止モードから通常発電モードに戻る条件)
上記実施形態では、発電休止モードから通常発電モードに切り替わる条件(抑制解除条件)として、車速Vが第2電圧閾値THV2以上であること(図6のS25:YES)を用いたが、これに限らない。例えば、アクセル開度θが、アクセルペダル116の操作が行われていることを示す閾値以上であるときに発電休止モードから通常発電モードに切り替えてもよい。
(5−3−4.復帰立ち上がり速度の変更方法)
上記実施形態では、ドライバビリティの悪化対策実施の要否の判定を、判定時間、車速V及びアクセル開度θに基づいて行ったが、発電休止モード終了後にシステム負荷Lsの増加を求める場面であれば、これに限らない。例えば、車速Vとアクセル開度θの一方のみを用いてもよい。或いは、車速Vの代わりに、車速Vの単位時間当たりの変化量[km/h/s]でもよい。或いは、システム負荷Ls自体又はシステム負荷Lsの単位時間当たりの変化量を用いてもよい。
上記実施形態では、ドライバビリティの悪化対策として、目標FC電流Ifctgt(及びこれに対応する目標2次電圧V2tgt)の許容最大変化量を大きくすること並びにフィードバックゲインGfbを大きくすることで、発電休止モードから通常発電モードへの復帰立ち上がり速度を高くしたが、FC電力Pfcの許容最大変化量を大きくするものであれば、これに限らない。例えば、目標FC電流Ifctgt(及び目標2次電圧V2tgt)の許容最大変化量を大きくすること並びにフィードバックゲインGfbを大きくすることのいずれかで、発電休止モードから通常発電モードへの復帰立ち上がり速度を高くしてもよい。或いは、DC/DCコンバータ22のFF項に用いるフィードフォワードゲインを大きくしてもよい。或いは、エアポンプ36の目標回転数Naptgt及び背圧弁60の目標開度θvtgtの少なくとも一方を大きくしてもよい。
(5−3−5.その他)
上記実施形態では、発電休止モードの終了(通常発電モードへの切替え)と発電抑制の解除を異なるタイミングで行ったが、両者を同じタイミングで行ってもよい。
上記実施形態では、発電休止モードにおける目標2次電圧V2tgtをOCVよりも高い値に設定したが、これに限らず、目標2次電圧V2tgtをOCVと等しい値又はそれ未満の値に設定してもよい。
[5−4.その他]
上記実施形態では、酸素を含む空気を供給するエアポンプ36を備える構成を例示したが、これに代えて又は加えて、水素を供給する水素ポンプを備える構成としてもよい。
10…燃料電池車両 14…走行モータ
18…燃料電池ユニット(反応ガス供給手段)
20…バッテリ(蓄電装置) 22…DC/DCコンバータ
24…ECU 32…燃料電池スタック
122…発電抑制機能(発電抑制手段) 124…抑制解除機能(抑制解除手段)
126…復帰立ち上がり速度変更機能(復帰立ち上がり速度変更手段)

Claims (3)

  1. 走行モータと、
    前記走行モータに電力を供給する燃料電池と、
    前記走行モータに電力を供給すると共に、前記走行モータからの回生電力を充電する蓄電装置と、
    前記蓄電装置側に設けられ、前記蓄電装置の出力電圧を変圧することにより前記燃料電池の出力電圧を制御するコンバータと、
    前記燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス供給手段と、
    前記燃料電池の発電を抑制する発電抑制条件が成立したときに前記燃料電池の出力及び前記反応ガス供給手段の作動量を通常運転領域より低い発電抑制領域に低下させる発電抑制手段と、
    前記燃料電池の発電抑制を解除する抑制解除条件が成立したときに前記燃料電池の出力及び前記反応ガス供給手段の作動量を前記通常運転領域に復帰させる抑制解除手段と、
    前記発電抑制手段による発電抑制中に所定の高負荷条件及び前記抑制解除条件が成立した場合には、前記高負荷条件が成立せずに前記抑制解除条件が成立した場合と比べて、前記発電抑制の解除直後に前記燃料電池へ供給する前記反応ガスの供給量並びに前記燃料電池の出力電流及び出力電圧の単位時間当たりの変化量の少なくとも1つを大きくする復帰立ち上がり速度変更手段と
    を有し、
    前記発電抑制手段による発電抑制中に前記高負荷条件及び前記抑制解除条件が成立した場合、前記復帰立ち上がり速度変更手段は、前記高負荷条件が成立せずに前記抑制解除条件が成立した場合と比べて、前記発電抑制解除後の前記コンバータの初期出力電圧を下げる
    ことを特徴とする燃料電池車両。
  2. 走行モータと、
    前記走行モータに電力を供給する燃料電池と、
    前記走行モータに電力を供給すると共に、前記走行モータからの回生電力を充電する蓄電装置と、
    前記蓄電装置側に設けられ、前記蓄電装置の出力電圧を変圧することにより前記燃料電池の出力電圧を制御するコンバータと、
    前記燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス供給手段と、
    前記燃料電池の発電を抑制する発電抑制条件が成立したときに前記燃料電池の出力及び前記反応ガス供給手段の作動量を通常運転領域より低い発電抑制領域に低下させる発電抑制手段と、
    前記燃料電池の発電抑制を解除する抑制解除条件が成立したときに前記燃料電池の出力及び前記反応ガス供給手段の作動量を前記通常運転領域に復帰させる抑制解除手段と、
    前記発電抑制手段による発電抑制中に所定の高負荷条件及び前記抑制解除条件が成立した場合には、前記高負荷条件が成立せずに前記抑制解除条件が成立した場合と比べて、前記発電抑制の解除直後に前記燃料電池へ供給する前記反応ガスの供給量の単位時間当たりの変化量を大きくする復帰立ち上がり速度変更手段と
    を有する燃料電池車両であって、
    前記反応ガス供給手段の作動量を前記燃料電池の目標出力に追従させ、
    前記発電抑制手段による発電抑制中に前記高負荷条件及び前記抑制解除条件が成立した場合、前記復帰立ち上がり速度変更手段は、前記高負荷条件が成立せずに前記抑制解除条件が成立した場合と比べて、前記燃料電池の目標出力を高く設定することで前記反応ガス供給手段の作動量及び前記反応ガスの供給量の単位時間当たりの変化量を大きくし、
    前記発電抑制手段による発電抑制中に前記高負荷条件及び前記抑制解除条件が成立した場合、前記復帰立ち上がり速度変更手段は、前記高負荷条件が成立せずに前記抑制解除条件が成立した場合と比べて、前記発電抑制解除後の前記コンバータの初期出力電圧を下げる
    ことを特徴とする燃料電池車両。
  3. 走行モータと、
    前記走行モータに電力を供給する燃料電池と、
    前記走行モータに電力を供給すると共に、前記走行モータからの回生電力を充電する蓄電装置と、
    前記蓄電装置側に設けられ、前記蓄電装置の出力電圧を変圧することにより前記燃料電池の出力電圧を制御するコンバータと、
    前記燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス供給手段と、
    前記燃料電池の発電を抑制する発電抑制条件が成立したときに前記燃料電池の出力及び前記反応ガス供給手段の作動量を通常運転領域より低い発電抑制領域に低下させる発電抑制手段と、
    前記燃料電池の発電抑制を解除する抑制解除条件が成立したときに前記燃料電池の出力及び前記反応ガス供給手段の作動量を前記通常運転領域に復帰させる抑制解除手段と、
    前記発電抑制手段による発電抑制中に所定の高負荷条件及び前記抑制解除条件が成立した場合には、前記高負荷条件が成立せずに前記抑制解除条件が成立した場合と比べて、前記発電抑制の解除直後に前記燃料電池の出力電圧の単位時間当たりの変化量を大きくする復帰立ち上がり速度変更手段と
    を有する燃料電池車両であって、
    前記発電抑制手段による発電抑制中に前記高負荷条件及び前記抑制解除条件が成立した場合、前記復帰立ち上がり速度変更手段は、前記高負荷条件が成立せずに前記抑制解除条件が成立した場合と比べて、前記コンバータのフィードバックゲインを大きくすることで前記燃料電池の出力電圧の単位時間当たりの変化量を大きくし、
    前記発電抑制手段による発電抑制中に前記高負荷条件及び前記抑制解除条件が成立した場合、前記復帰立ち上がり速度変更手段は、前記高負荷条件が成立せずに前記抑制解除条件が成立した場合と比べて、前記発電抑制解除後の前記コンバータの初期出力電圧を下げる
    ことを特徴とする燃料電池車両。
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