JP5404694B2 - 燃料電池車両 - Google Patents
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Description
[1−1.全体構成]
図1は、この発明の一実施形態に係る燃料電池車両10(以下「FC車両10」又は「車両10」という。)の概略構成図である。FC車両10は、車両電源システム12(以下「電源システム12」ともいう。)と、走行用のモータ14と、インバータ16とを有する。
モータ14は、FCユニット18及びバッテリ20から供給される電力に基づいて駆動力を生成し、当該駆動力によりトランスミッション26を通じて車輪28を回転する。また、モータ14は、回生を行うことで生成した電力(回生電力Preg)[W]をバッテリ20に出力する。回生電力Pregは、補機群(後述するエアポンプ36及びウォータポンプ68を含む。)に対して出力してもよい。
FCユニット18の燃料電池スタック32(以下「FCスタック32」又は「FC32」という。)は、例えば、固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで両側から挟み込んで形成された燃料電池セル(以下「FCセル」又は「単セル」という。)を積層した構造を有する。FCスタック32には、水素タンク34とエアポンプ36が経路38、40を通じて接続されており、水素タンク34からは一方の反応ガスである水素(燃料ガス)が、エアポンプ36からは他方の反応ガスである圧縮空気(酸化剤ガス)が供給される。水素タンク34及びエアポンプ36からFCスタック32に供給された水素と空気がFCスタック32内で電気化学反応を起こすことにより発電が行われ、発電電力(FC電力Pfc)[W]がモータ14とバッテリ20に供給される。
バッテリ20は、複数のバッテリセルを含む蓄電装置(エネルギストレージ)であり、例えば、リチウムイオン2次電池、ニッケル水素電池又はキャパシタ等を利用することができる。本実施形態ではリチウムイオン2次電池を利用している。バッテリ20の出力電圧(以下「バッテリ電圧Vbat」という。)[V]は、電圧センサ70により検出され、バッテリ20の出力電流(以下「バッテリ電流Ibat」という。)[A]は、電流センサ72により検出され、それぞれECU24に出力される。なお、電圧センサ70からのバッテリ電圧Vbatと、電流センサ72からのバッテリ電流Ibatに基づいてECU24でバッテリ20の残容量(SOC)[%]が算出される。
DC/DCコンバータ22は、FCユニット18からのFC電力Pfcと、バッテリ20から供給された電力(以下「バッテリ電力Pbat」という。)[W]と、モータ14からの回生電力Pregとの供給先を制御する。
ECU24は、通信線78(図1)を介して、モータ14、インバータ16、FCユニット18、バッテリ20及びDC/DCコンバータ22を制御する。当該制御に際しては、メモリ(ROM)に格納されたプログラムを実行し、また、電圧センサ42、46、70、90、96、電流センサ44、72、94、100、圧力センサ64、66等の各種センサの検出値を用いる。
次に、ECU24における制御について説明する。
図3には、ECU24における基本的な制御のフローチャートが示されている。ステップS1において、ECU24は、メインSW118がオンであるかどうかを判定する。メインSW118がオンでない場合(S1:NO)、ステップS1を繰り返す。メインSW118がオンである場合(S1:YES)、ステップS2に進む。ステップS2において、ECU24は、電源システム12に要求される負荷(システム負荷Ls)[W]を計算する。
図4には、システム負荷Lsを計算するフローチャート(図3のS2の詳細)が示されている。ステップS11において、ECU24は、開度センサ110からアクセルペダル116の開度θを読み込む。ステップS12において、ECU24は、回転数センサ112からモータ14の回転数Nm[rpm]を読み込む。
上記のように、本実施形態におけるエネルギマネジメントでは、主として、FC32の発電量(FC電力Pfc)及びバッテリ20の出力(バッテリ出力Pbat)を算出する。
FC32の特性上、FC電圧Vfcは、基本的にDC/DCコンバータ22の2次電圧V2と等しくなる。このため、DC/DCコンバータ22により2次電圧V2を調整することにより、FC電圧Vfcを制御することが可能となる。また、FC32の電流−電圧(IV)特性上、FC電圧Vfcを制御することにより、FC電流Ifcを制御することができる。このため、本実施形態では、2次電圧V2の目標値(以下「目標2次電圧V2tgt」という。)を用いてFC電圧Vfc及びFC電流Ifcを制御する。
本実施形態では、FC32の発電に関する動作モード(発電モード)として、通常発電モードと発電休止モードを用いる。通常発電モードは、通常走行(休止モードではない走行)において用いるモードであり、ECU24の通常発電機能120により実現される。発電休止モードは、メインSW118(図1)がオンの状態においてFC32が積極的な発電を停止する(換言すると、FC32の発電を抑制する)モードであり、発電抑制機能122により実現される。ここにいう積極的な発電(又は発電の抑制)とは、ECU24からの指令に基づき行うFC32の発電を指し、残留ガスによる発電を含まない。なお、通常発電モードと発電休止モードの選択は、抑制解除機能124により実行される。また、発電休止モードではFC32の発電を抑制するが、当該抑制は、発電休止モードから通常発電モードに切り替わっても直ちには解除されず、車速V[km/h]が所定値以上になった場合に解除される。
本実施形態では、発電休止モード(低負荷状態)直後に高負荷(高いシステム負荷Ls)が要求される場合、FC32の出力を迅速に増加させる制御を行う。これにより、FC32の出力が、要求負荷に追従できないことにより車両10のドライバビリティ(動力性能)が悪化することを防止することが可能となる。
図7は、発電休止モードから通常発電モードに移行する際の制御のフローチャートである。ステップS31において、ECU24は、ドライバビリティ(以下「DR」ともいう。)の悪化対策実施の要否を判定する。ステップS32において、ECU24は、ドライバビリティの悪化対策終了の要否を判定する。ステップS33において、ECU24は、ステップS31、S32の判定結果に応じた各部の制御を実行する。ドライバビリティの悪化対策の実施及び終了の判定並びに当該悪化対策の実施は、ECU24の復帰立ち上がり速度変更機能126により実行される。
図8は、ドライバビリティの悪化対策実施の要否を判定するフローチャート(図7のS31の詳細)である。ステップS41において、ECU24は、発電休止モードの解除直後において高負荷条件を判定中であるか否かを判定する。前記高負荷条件は、高負荷が要求されているか否かを判定するための条件である。ステップS41の判定には、発電休止モードの解除直後であるか否かを示す発電休止モード解除フラグFLG2(以下「フラグFLG2」ともいう。)を用いる。すなわち、フラグFLG2は、発電休止モードの解除直後であれば「1」が設定され、解除直後でなければ「0」が設定される。
図9は、ドライバビリティの悪化対策終了の要否を判定するフローチャート(図7のS32の詳細)である。ステップS61において、ECU24は、前記DR悪化フラグFLG3が、ドライバビリティの悪化対策実施が必要であることを示す「1」であるか否かを判定する。フラグFLG3が「1」でない場合(S61:NO)、ステップS66に進む。フラグFLG3が「1」である場合(S61:YES)、ステップS62に進む。
図10は、図7のステップS31、S32の判定結果に応じた制御を実行するフローチャート(図7のS33の詳細)である。ステップS71において、ECU24は、ドライバビリティの悪化対策実施中であるか否かを判定する。当該判定は、前記DR悪化判定フラグFLG3に基づいて行う。すなわち、フラグFLG3が「0」である場合、当該悪化対策は実施中ではなく、フラグFLG3が「1」である場合、当該悪化対策が実施中である。フラグFLG3が「1」であり、ドライバビリティの悪化対策を実施中である場合(S71:YES)、ステップS72に進む。
上記のように、FC発電制御(図3のS4)として、ECU24は、FCスタック32の周辺機器、すなわち、エアポンプ36、背圧弁60及びウォータポンプ68を制御する。
図15には、モータ14のトルク制御のフローチャートが示されている。ステップS91において、ECU24は、回転数センサ112からモータ回転数Nmを読み込む。ステップS92において、ECU24は、開度センサ110からアクセルペダル116の開度θを読み込む。
図16には、本実施形態及び比較例における各種制御を用いた場合のタイムチャートの例が示されている。ここでの比較例は、ドライバビリティの悪化対策を実施しない制御、ずなわち、図10のステップS76〜S79を用い、ステップS72〜S75を用いない制御である。また、図16の目標FC電流Ifctgt、目標2次電圧V2tgt及びFC電流Ifcに関し、実線で示したものが本実施形態に係るものであり、破線で示したものが比較例に係るものである。
以上説明したように、本実施形態によれば、FC32の発電抑制中に高負荷条件(図8のS47:YES、S48:YES)及び抑制解除条件(V4>THV4)が成立した場合には、高負荷条件が成立せずに抑制解除条件が成立した場合と比べて、発電抑制の解除直後に目標FC電流Ifctgtの単位時間当たりの変化量を大きくする(図10のS74)。これにより、FC32の発電抑制を解除する際、高負荷が要求されていれば、好適なドライバビリティを確保することが可能となる。また、FC32の発電抑制を解除する際、高負荷が要求されていなければ、発電抑制の解除直後に目標FC電流Ifctgtを大きくしないため(通常の制御としてのステップS78を用いるため)、優れた燃費を維持することが可能となる。
なお、この発明は、上記実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
上記実施形態では、電源システム12をFC車両10に適用した例を示したが、これに限らず、電源システム12を別の対象に適用してもよい。例えば、電動アシスト自転車、船舶や航空機等の移動体に適用することもできる。
上記実施形態では、FC32とバッテリ20を並列に配置し、バッテリ20の手前にDC/DCコンバータ22を配置する構成としたが、これに限らない。例えば、図17に示すように、FC32とバッテリ20を並列に配置し、昇圧式、降圧式又は昇降圧式のDC/DCコンバータ150をFC32の手前に配置する構成であってもよい。或いは、図18に示すように、FC32とバッテリ20を並列に配置し、FC32の手前にDC/DCコンバータ150を、バッテリ20の手前にDC/DCコンバータ22を配置する構成であってもよい。或いは、図19に示すように、FC32とバッテリ20を直列に配置し、バッテリ20とモータ14の間にDC/DCコンバータ22を配置する構成であってもよい。
(5−3−1.発電休止モード)
上記実施形態では、目標FC電流Ifctgtをゼロとする発電休止モードを用いたが、FC32の発電を抑制するモード(目標FC電流Ifctgtを抑制するモード)であれば、これに限らない。例えば、ゼロより大きい値を目標FC電流Ifctgtとして設定してもよい。
上記実施形態では、通常発電モードから発電休止モードに切り替える条件として、車速Vが第1電圧閾値THV1以下であること(図6のS23:YES)を用いたが、これに限らない。例えば、アクセル開度θが、アクセルペダル116の操作が行われていないことを示す閾値以下であるときに通常発電モードから発電休止モードに切り替えてもよい。
上記実施形態では、発電休止モードから通常発電モードに切り替わる条件(抑制解除条件)として、車速Vが第2電圧閾値THV2以上であること(図6のS25:YES)を用いたが、これに限らない。例えば、アクセル開度θが、アクセルペダル116の操作が行われていることを示す閾値以上であるときに発電休止モードから通常発電モードに切り替えてもよい。
上記実施形態では、ドライバビリティの悪化対策実施の要否の判定を、判定時間、車速V及びアクセル開度θに基づいて行ったが、発電休止モード終了後にシステム負荷Lsの増加を求める場面であれば、これに限らない。例えば、車速Vとアクセル開度θの一方のみを用いてもよい。或いは、車速Vの代わりに、車速Vの単位時間当たりの変化量[km/h/s]でもよい。或いは、システム負荷Ls自体又はシステム負荷Lsの単位時間当たりの変化量を用いてもよい。
上記実施形態では、発電休止モードの終了(通常発電モードへの切替え)と発電抑制の解除を異なるタイミングで行ったが、両者を同じタイミングで行ってもよい。
上記実施形態では、酸素を含む空気を供給するエアポンプ36を備える構成を例示したが、これに代えて又は加えて、水素を供給する水素ポンプを備える構成としてもよい。
18…燃料電池ユニット(反応ガス供給手段)
20…バッテリ(蓄電装置) 22…DC/DCコンバータ
24…ECU 32…燃料電池スタック
122…発電抑制機能(発電抑制手段) 124…抑制解除機能(抑制解除手段)
126…復帰立ち上がり速度変更機能(復帰立ち上がり速度変更手段)
Claims (3)
- 走行モータと、
前記走行モータに電力を供給する燃料電池と、
前記走行モータに電力を供給すると共に、前記走行モータからの回生電力を充電する蓄電装置と、
前記蓄電装置側に設けられ、前記蓄電装置の出力電圧を変圧することにより前記燃料電池の出力電圧を制御するコンバータと、
前記燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス供給手段と、
前記燃料電池の発電を抑制する発電抑制条件が成立したときに前記燃料電池の出力及び前記反応ガス供給手段の作動量を通常運転領域より低い発電抑制領域に低下させる発電抑制手段と、
前記燃料電池の発電抑制を解除する抑制解除条件が成立したときに前記燃料電池の出力及び前記反応ガス供給手段の作動量を前記通常運転領域に復帰させる抑制解除手段と、
前記発電抑制手段による発電抑制中に所定の高負荷条件及び前記抑制解除条件が成立した場合には、前記高負荷条件が成立せずに前記抑制解除条件が成立した場合と比べて、前記発電抑制の解除直後に前記燃料電池へ供給する前記反応ガスの供給量並びに前記燃料電池の出力電流及び出力電圧の単位時間当たりの変化量の少なくとも1つを大きくする復帰立ち上がり速度変更手段と
を有し、
前記発電抑制手段による発電抑制中に前記高負荷条件及び前記抑制解除条件が成立した場合、前記復帰立ち上がり速度変更手段は、前記高負荷条件が成立せずに前記抑制解除条件が成立した場合と比べて、前記発電抑制解除後の前記コンバータの初期出力電圧を下げる
ことを特徴とする燃料電池車両。 - 走行モータと、
前記走行モータに電力を供給する燃料電池と、
前記走行モータに電力を供給すると共に、前記走行モータからの回生電力を充電する蓄電装置と、
前記蓄電装置側に設けられ、前記蓄電装置の出力電圧を変圧することにより前記燃料電池の出力電圧を制御するコンバータと、
前記燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス供給手段と、
前記燃料電池の発電を抑制する発電抑制条件が成立したときに前記燃料電池の出力及び前記反応ガス供給手段の作動量を通常運転領域より低い発電抑制領域に低下させる発電抑制手段と、
前記燃料電池の発電抑制を解除する抑制解除条件が成立したときに前記燃料電池の出力及び前記反応ガス供給手段の作動量を前記通常運転領域に復帰させる抑制解除手段と、
前記発電抑制手段による発電抑制中に所定の高負荷条件及び前記抑制解除条件が成立した場合には、前記高負荷条件が成立せずに前記抑制解除条件が成立した場合と比べて、前記発電抑制の解除直後に前記燃料電池へ供給する前記反応ガスの供給量の単位時間当たりの変化量を大きくする復帰立ち上がり速度変更手段と
を有する燃料電池車両であって、
前記反応ガス供給手段の作動量を前記燃料電池の目標出力に追従させ、
前記発電抑制手段による発電抑制中に前記高負荷条件及び前記抑制解除条件が成立した場合、前記復帰立ち上がり速度変更手段は、前記高負荷条件が成立せずに前記抑制解除条件が成立した場合と比べて、前記燃料電池の目標出力を高く設定することで前記反応ガス供給手段の作動量及び前記反応ガスの供給量の単位時間当たりの変化量を大きくし、
前記発電抑制手段による発電抑制中に前記高負荷条件及び前記抑制解除条件が成立した場合、前記復帰立ち上がり速度変更手段は、前記高負荷条件が成立せずに前記抑制解除条件が成立した場合と比べて、前記発電抑制解除後の前記コンバータの初期出力電圧を下げる
ことを特徴とする燃料電池車両。 - 走行モータと、
前記走行モータに電力を供給する燃料電池と、
前記走行モータに電力を供給すると共に、前記走行モータからの回生電力を充電する蓄電装置と、
前記蓄電装置側に設けられ、前記蓄電装置の出力電圧を変圧することにより前記燃料電池の出力電圧を制御するコンバータと、
前記燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス供給手段と、
前記燃料電池の発電を抑制する発電抑制条件が成立したときに前記燃料電池の出力及び前記反応ガス供給手段の作動量を通常運転領域より低い発電抑制領域に低下させる発電抑制手段と、
前記燃料電池の発電抑制を解除する抑制解除条件が成立したときに前記燃料電池の出力及び前記反応ガス供給手段の作動量を前記通常運転領域に復帰させる抑制解除手段と、
前記発電抑制手段による発電抑制中に所定の高負荷条件及び前記抑制解除条件が成立した場合には、前記高負荷条件が成立せずに前記抑制解除条件が成立した場合と比べて、前記発電抑制の解除直後に前記燃料電池の出力電圧の単位時間当たりの変化量を大きくする復帰立ち上がり速度変更手段と
を有する燃料電池車両であって、
前記発電抑制手段による発電抑制中に前記高負荷条件及び前記抑制解除条件が成立した場合、前記復帰立ち上がり速度変更手段は、前記高負荷条件が成立せずに前記抑制解除条件が成立した場合と比べて、前記コンバータのフィードバックゲインを大きくすることで前記燃料電池の出力電圧の単位時間当たりの変化量を大きくし、
前記発電抑制手段による発電抑制中に前記高負荷条件及び前記抑制解除条件が成立した場合、前記復帰立ち上がり速度変更手段は、前記高負荷条件が成立せずに前記抑制解除条件が成立した場合と比べて、前記発電抑制解除後の前記コンバータの初期出力電圧を下げる
ことを特徴とする燃料電池車両。
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