以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。図面中の同一又は同種の部分については、同じ番号を付して説明を省略することがある。また、説明の便宜上、スライド制御盤の操作パネル面に沿う方向を水平方向、操作パネル面を横切る方向を上下方向とする。
図1は本発明の一実施形態に係るスライド制御盤の平面図、図2はその側面図である。このスライド制御盤1は、光表示付き操作装置であるミキサとして用いられるものであり、図示のように、スライド制御盤1の操作パネル2には、様々な音響制御のための操作部3、モニタ4等が設けられると共に、多数のスリット5が配列されている。このスライド制御盤には、各スリット5に対応してスライド操作装置10が装着され、摘み部24がスリット5に沿ってスライドし得るように設けられている。また、この実施形態においては、摘み部24の位置に対応して発光表示を行なう表示器50が各スリット5に沿って設けられている。
図3は、1つのスライド操作装置10を取り出し分解した状態で示す斜視図であり、図4はスライド操作装置が多数配置されたスライド制御盤を示す縦断面図である。
このスライド操作装置10は、パラメータの設定部ユニット15と、基板40とを備えている。設定部ユニットは、フェーダとして機能するパラメータ設定部本体20と、該設定部本体20及び基板40をスライド制御盤のパネル裏面に取り付けるための取付部30とを備えている。そして、基板40には、パラメータの信号化及び送出や、シーン情報の受信及び伝達等、パラメータの信号処理をするための印刷回路が設けられている。
設定部本体20は、細長い上部部材21と、該上部部材21の長辺から下方へ延びる下部部材22とを有した躯体25を備えている。上部部材21は、躯体25の上壁を構成する支持壁211と、該支持壁211の両側辺から上方へ延びる起立壁212とにより、横断面が角張ったU字状に構成されている。下部部材22は板状であり、起立壁212と共に躯体25の側面に位置した側壁を構成している。この実施形態では、躯体25は、図示のように、側面の面積が上面の面積に対して大きく構成されている。
支持壁211には、その長手方向に沿って形成された細長い開口部213が形成され、該開口部213から連結ロッド23が上方へ突出している。連結ロッド23の下部は、躯体25内でガイドシャフト251に摺動可能に支持されたゴンドラ(図示略)に結合されている。連結ロッド23の上端部には、摘み部24が固定されており、摘み部24及び連結ロッド23は、ゴンドラを手動操作するための操作子を構成している。躯体25の長手方向の一端側には電動モータ28が取り付けられ、その駆動軸は上方へ延び、上端部にプーリ26aが固定されている。支持壁211のすぐ上には、電動モータ28と反対側の端部にプーリ26bが回転自在に支持され、これらのプーリ26a,26bに歯付きベルト27が巻回されており、連結ロッド23は結合片231を介して歯付きベルト27に結合されている。したがって、摘み部24は、ゴンドラを伴って開口部213に沿ってスライドさせることができ、そのスライド位置は躯体25内の位置センサによって検知される。位置センサに接続された信号線、及び電動モータ28の駆動制御のための信号線は、フラットケーブル29として下部部材22から躯体25外へ取り出され、該フラットケーブル29は基板40上に設けられた端子43に接続される。したがって、摘み部24の位置情報は、位置センサからフラットケーブル29を通じて基板の制御部に伝えられ、制御部での駆動信号はフラットケーブル29を通じて電動モータ28に伝えられる。これにより、摘み部24は、手動及びモータ駆動のいずれかにてスライドさせることができ、そのスライド位置の情報が基板40の制御部に伝達される。制御部は、スライド位置に応じて音量、音質、エフェクト等の制御パラメータを出力し、その出力は、電子楽器や音響設備の制御装置に送られ、それにしたがった音響制御が行なわれる。
基板40は、平板状の支持プレート45に印刷回路を設け電子部品等を実装したものである。支持プレート45の一端側には配線用開口451が形成されている。したがって、設定部本体20及び基板40を結合する際には、フラットケーブル29を該配線用開口451に通し、端子43に接続することができる。
基板40には、さらに、操作子によるパラメータの設定状態を表示するための表示器50が取り付けられている。これら基板40及び表示器50は、発光手段を印刷配線基板に担持させた表示装置100を構成している。
この表示器50は、基板40の支持プレート45に取り付けられプレート面から遠ざかる向きに光を出射する発光素子51と、該発光素子出射された光を支持プレート45に沿う方向(基板の広がり方向の内の上方向Y)に出射させる導光体52と、該導光体を保持する保持カバー53とを備えている。発光素子51は、基板の設置面に直付けされるチップ状LEDであって、例えば、2×3×2mmの直方体の表面を発光部(発光面)、裏面を端子部としたものとし、基板に対する加熱源を通過することにより基板上にハンダ付けされるものとすることができる。
導光体52は、図6にも示すように、透光性の柱状体により形成され、該柱状体の下端が柱状体軸線J1に対して傾斜した反射面521とされ、該反射面に対向する側の側面が入射面522とされ、該入射面522を発光素子51に臨ませるようにして支持プレート45に取り付けられている。入射面522から導光体52に入射した光は該反射面521での反射後に柱状体側面で全反射しつつ柱状体上端面を出射面523として出射するように構成されている。したがって、導光体52は、入射面522から入射した発光素子51の光を支持プレート45に沿って支持プレート45の延長側(Y方向)へ出射させる。この実施形態では、発光素子51が、支持プレート45の面に対して光軸J2が垂直となる方向に光を出射するので、導光体52は反射面521により入射光の光路を90度変える作用をなす。
導光体52は、長手方向を縦向きにして相互に平行に並んで6個配設されており、該並び方向に沿って延びる連結部524に結合された状態に形成されている。この連結部524は樹脂による一体成形時のランナーとして形成されたものである。
保持カバー53は、側壁535,前壁536,後壁537を有する箱形をなし、導光体52を囲む保持部を形成しており、隣り合う導光体52の間に位置する遮光性壁部530を備えている。遮光性壁部530は、一つの導光体に導かれる光が他の導光体へ漏れ出るのを防止する。前壁536には、6個の導光体52に対応する位置に窓536aが形成されており、支持プレート45への取付状態において発光素子51の発光部がこの窓536aに対峙する。そして、導光体52における発光素子51に臨む面が入射面522となっている。また、前壁536の上端は、導光体52の連結部524を図示の状態において下から支える位置に設けられている。6個からなる導光体52(導光体アッセンブリ)と、前記カバー53とは、樹脂成形法でいうところの二色成形法で一体成形され導光体ユニットを構成する。この成形法は、特許第3603952号により開示された技術であり、導光体ユニットは、この二色成形法によって成形することにより、導光体の導孔機能(導光体の出射面を斜めから見ても発光強度が低下し難いという機能)が著しく向上する。
この実施形態では、保持カバー53と6個の導光体52が1つの表示器ユニット55を構成しており、表示器ユニットの組立ては、連結部524で結合された導光体52をまとめて持ち、保持カバー53保持させることができるので、作業が簡便である。
保持カバー53は、下部に位置決め用の突起531及び取り付け用のフック532、上部に固定フック533を、係止部として備えており、支持プレート45には、これらに対応した位置に位置決め用孔452、係止孔453及び固定孔454が、被係止部として形成されている。したがって、導光体52を保持した保持カバー53は、固定フック533を固定孔454に通して上部を固定し、突起531を位置決め用孔452、フック532を係止孔453に各々に位置合わせし、これらを各孔に挿入することにより、表示器ユニット55の正確な位置決めと、支持プレート45への固定を一度に行なうことができる。また、フック532を変形させて係止を解き、係止孔453から抜くようにすれば、表示器ユニット55を支持プレート45から取り外すことができる。
この実施形態では、図6に示されているように、保持カバー53は、支持プレート45の面から端子43と同じ側へ突出している。基板40には、上記部品の他、種々の部品が装着されている。この例では、端子43a,43b,43c,43d,43e、電子部品44a,44b,44c,44d,44e,44f等である。そして、支持プレート45上の保持カバー53及び他の部品は、その突出高さが端子(例えば、端子43)の突出高さ以内とされている。したがって、表示装置100は、全体の高さが支持プレート45の厚さと端子の高さを合わせた寸法に抑えられている。したがって、スライド操作装置10を接近して並べれば、相互の間隔を小さくすることができ、スライド制御盤1をコンパクト化することができる。
或いは、端子又は保持カバー53の高さによっては、端子及び支持プレート45上の他の部品の突出高さを保持カバー53の突出高さ以内とすることもできる。この場合には、表示装置100は、全体の高さが支持プレート45の厚さと保持カバー53の高さを合わせた寸法に抑えられ、スライド操作装置10相互の間隔を小さくすることができ、スライド制御盤1をコンパクト化することができる。
操作パネル2には、導光体の出射面523に対応した位置に透光機能を有する透孔部2a(図5)が形成されており、導光体52から出射される光を該透孔部から外部へ放出するようになっている。
基板40は、スライド操作装置10における摘み部24の位置情報に基づき、表示器50の発光素子51を摘み部24の位置に対応して発光させる。これは、典型的には、図1における下から摘み部24までの範囲を棒グラフのように発光させるように行なわれるが、摘み部24のある位置に最も近い単一又は複数の発光素子51のみを発光させるようにするなど、他の発光形態をとることもできる。
取付部30は、以下に説明するように、操作パネル2を横切る方向に延びる延在部(この実施形態では板状体61)を有する保持部材60と、設定部本体20の躯体25に設けられたブラケット214とを備えている。板状体61は、図3に示すように、パラメータ設定部本体20と基板40との間に位置し、これらとほぼ同じ大きさを有している。保持部材60はまた、板状体61の上端部から設定部本体20側へ曲折して水平に延びた曲折部62を有し、縦断面がL字状とされている。曲折部62は、設定部本体20の厚さとほぼ同じ距離延びた後、先端部が下方へ僅かな距離に亘って曲折されて挟持部63を形成しており、板状体61と協働して設定部本体20の上端部200を挟持する形状となっている。曲折部62には、摘み部24を摺動可能に受け入れるスリット620が形成され、その両端部を越えた位置に設定部本体20の取り付けのための貫通孔621が形成されている。後述するように、曲折部62は、ブラケット214上に重ねられて、スライド制御盤の操作パネルへの取り付けが行なわれる。そして、曲折部62の上面は、操作パネル裏面に対面する対向部位62tを構成する。図3に矢印で示すように、躯体25は、対向部位62tに対し交差する方向T及び前記操作子のスライド方向Sに延在している。
保持部材60の板状体61の上部には、スライド制御盤1の操作パネル2への固定のための結合部64が設けられている。結合部64は、摘み部24(操作子)の摺動方向における一端側において、板状体61から基板40固定側へ突き出た第一固定片64aと、摘み部24の摺動方向における他端側において曲折部62の先端部から第一固定片64aとは反対側へ突き出た第二固定片64bとからなっている。第一固定片64a及び第二固定片64bは共に水平に延び、取り付けビスを通すための貫通孔が設けられている。このようにして、結合部である第一固定片64aと第二固定片64bとが、設定部ユニットを構成する保持部材60に対し、操作子スライド方向Sの一端側と他端側において、スライド装置並列方向Uに異なる側に設けられ、いわゆる千鳥状の配置となっている。これにより、少ない結合箇所で効率的に安定した固定が可能となる。
結合部64は、このように操作子スライド方向Sの一端側と他端側とのおのおの1箇所ずつ設ける他、各側に複数設けてもよい。すなわち、隣り合う設定部ユニット15(又はその保持部材60)の相互に向き合う面から対面方向に突出した結合部が、操作子スライド方向Sにおいて位置を異ならせて設けられており、これらの結合部が操作子スライド方向に見て少なくとも一部が重なり合って位置するように、隣り合うスライド操作装置10が接近した配置とすることができる。これにより、スライド操作装置を密に配置し、しかも操作パネル2への固定の安定性が得られる。
板状体61における基板取り付け側には、基板40の面を当接させるための複数の舌片が設けられている。これらの舌片は、板状体61の上端寄りの両端部に位置する舌片611,612、並びに、下端の両端部及び中央寄り部分に位置する613,614,615からなる。これらの舌片は、舌片の面が板状体61の全体的な面から基板側に僅かに飛び出して位置するように板状体を折り曲げて形成されている。これは、基板40の板状体61側に設けられた部品やその反対側の部品から板状体61側へ突出する取付け部が、板状体61に接触するのを避けるためである。そして、下側の端部に位置する一つの舌片615を除いて、これらの舌片には基板40を固定するための雌ねじ付き孔611a〜614aが形成されている。
さらに、板状体61には、上端から僅かに下方の位置に、摘み部24の摺動方向に間隔をおいて小さい切欠き部65及び66が形成されている。これらの切欠き部65及び66は、第1の実施形態において説明した表示器ユニット55を基板40に取り付ける際に、基板の裏面側に突出する部分を受け入れるものである。すなわち、図6に示した表示器ユニット55は、基板40への固定の際に、位置決め用の突起531及び固定フック533が基板40を貫通して裏面側に突出するので、この突出部分を受け入れるために、板状体61に切欠き部65及び66が位置決め用の突起531及び固定フック533に対応した位置で窓状に設けられている。また、板状体61の中央部の3箇所には、軽量化及び基板の放熱のための切欠き67が形成されている。
保持部材60の板状体61、曲折部62及び結合部64は、1枚の金属板の板金加工によって形成されており、板金の打ち抜き、曲げ加工等により、上記の各部分が形成されている。板状体61における第一固定片64aの下方部分は、このような板金加工による第一固定片64aの形成を可能とするように、切り欠かれている。
設定部本体20の上部部材21には、摘み部24の摺動方向の両端部付近に、水平に延びるブラケット214が設けられており、該ブラケット214に雌ねじ付き孔214aが形成されている。
このスライド操作装置の組み立て時には、曲折部62が設定部本体20上端部のブラケット214を覆い、挟持部63と板状体61とで該上端部200を挟持する。そして、曲折部62に設けられた貫通孔621に通したビスを、上部部材21のブラケット214の雌ねじ付き孔214aに螺合させる。こうして取付部30により、設定部本体20は板状体61の一方の側に保持された状態となる。
次に、基板40を板状体61に固定する。これは、基板40における電子部品を装着した側とは反対側の面を、板状体61の舌片611〜615にあてがい、基板40に設けられた貫通孔47を通して、舌片611〜614の雌ねじ付き孔611a〜614aにビスを螺合させることにより行なう。下部の舌片615には、雌ねじ付き孔が形成されていないが、固定は他の孔でのねじ止めにより行なわれるので、該舌片615は板状体61に当接することにより位置決めの役割りをなす。なお、基板40の裏面には、前述のように表示器ユニット55の突起531及び固定フック533が突出しているので、該突出部分が板状体61の切欠き部65及び66に受け入れられる位置で基板40を板状体61にあてがうことにより、位置決めを容易に行なうことができる。このようにして、取付部30により、板状体61の一方の面及び他方の面の側に設定部本体20及び基板40が各々保持された状態となる。
スライド制御盤には、この状態の取付部30を操作パネル2に取り付けるために以下に説明する支持部70が備えられている。図7は操作パネル2の一部を裏面側から見た状態で示し、図8は図7に示された支持部70を中心に示す拡大図である。図7の表示面における操作パネル2の下部が、図8の表示面における操作パネル2の上部に相当する。図7に示すように、操作パネル2には、並列するスライド操作装置10の各々に対応してスリット2s及び細長い窓部2wが設けられている。スリット2sは、連結ロッド23(操作子)をスライド可能に通すものであり、連結ロッド23のスライド範囲に亘って細長く延びている。窓部2wはスライド操作装置10の表示器50における光出射側の端部を通すためのものであり、導光体52の並び方向に沿って延びている。
支持部70は、個々のスライド操作装置10の長手方向両端部から僅かな距離をおいた2箇所に配置されており、各々の箇所でスライド操作装置10の並列方向に延びている。この支持部70は、操作パネル2に固着されたベース部71と、該ベース部に設けられ個々のスライド操作装置10に結合される複数の支承部72とを備えている。ベース部71は複数の前記スライド操作装置10に対して共通に用いられ、支承部72はスライド操作装置10に対して個別に結合される。
図7に示すように、操作パネル2のスライド操作装置並列方向に延びる縁部2aは、操作子が配置される広い面積のフラット部2fと、該フラット部2fから裏面側へ曲げられて帯状に延びる曲折部2gとを備えている。操作パネル2の縁部2a付近に取り付けられた支持部70aは、ベース部71が、これらのフラット部2f及び曲折部2gに沿うように平坦部71f及び起立部71gを備えて断面L字状をなし、複数のスライド操作装置10に亘る長さで連続的に延びている。平坦部71fは、相互に間隔をおいて形成された幅広部分711においてスポット溶接による溶接部712で、操作パネル2に固着されている。支承部72は、ベース部71の長手方向に相互に間隔をおいて設けられ、起立部71gの縁部から平坦部71fと同じ側へ延びている。支承部72は、スライド操作装置10の並列間隔と同じ間隔で設けられており、スライド操作装置10における結合部64の第一固定片64aに対応した位置で操作パネル2に固着されている。支承部72先端部には、取り付け用の雌ねじ付き孔721が形成されている。
縁部2aとは反対側の支持部70bも、支持部70aと同じ構造を有しており、平坦部71fの幅広部分711において溶接部712で操作パネル2に固着されている。支持部70bの支承部72は、スライド操作装置10における結合部64の第二固定片64bに対応した位置で操作パネル2に固着されている。
取付部30によりスライド操作装置10を操作パネル2に取り付けた状態が図4に示されている。図4には、3つのスライド操作装置10が示されており、その右側2つについては、支承片2a、第一固定片64a、第二固定片64bが明確に現れるように、スライド制御盤上部の領域S1,S2,S3が切断面を異ならせた断面を示している。これらの領域S1,S2,S3の切断面の位置を、図3の保持部材60に各々X1,X2,X3として示す。図4は、基板40を一点鎖線で表すと共に、その上部を切り欠いて示している。摘み部24は、左側2つについて一点鎖線で示し、右側のものでは図示を省略している。
支持部70a,70bの各支承部72は、保持部材60の曲折部62を操作パネル2裏面に当接したときに、第一固定片64a及び第二固定片64bに当接するか直近位置に至るように配置されている。したがって、保持部材60の曲折部62を操作パネル2裏面にあてがい、第一固定片64a及び第二固定片64bを各々支持部70a,70bの支承部72にあてがって、各固定片に設けられた貫通孔を通して取り付けビス(固着手段)80を支承部72の雌ねじ付き孔721に螺合することにより、スライド操作装置10を操作パネル2に固定することができる。これにより、取付部30を操作パネル2の裏面に確実に固定することができる。その結果、設定部本体20及び基板40は、取付部30を介して操作パネル2に堅固に固定されることとなる。
前述の通り、隣り合う設定部ユニット15(又はその保持部材60)の相互に向き合う面から突出した結合部64はが、操作子スライド方向において位置を異ならせて設けられており、これらの結合部64が操作子スライド方向に見て一部が重なり合って位置するように、隣り合うスライド操作装置10が接近して配置されている。図4Aは、図4におけるその配置部分を中心に拡大して示している。図4Aに示すように、最も右側のスライド操作装置10の第二固定片64bと、中央のスライド操作装置10の第一固定片64a(一点鎖線)とが、操作子スライド方向(図の表示面に垂直な方向)に見て一部(範囲V)が重なり合って位置している。これにより、スライド操作装置の密な配置と、操作パネル2への安定した固定が可能となる。この密な配置は、第一固定片64a(64)と第二固定片64b(64)とが突出長全体に亘って重なり合うまで接近させた配置とすることができる。
その取り付け作業は、操作パネル2の裏面側で行なうことができるので、例えば、操作パネル2を上下逆向きに置いて、スライド操作装置10を操作パネル2のスリットに位置合わせする作業から操作パネル2への固定までを一貫してパネル裏面から行なうことができ、極めて作業性が良い。また、取り付けビスがパネル表面から見えないという利点が得られる。
また、基板40の接地やEMI対策を必要とされる場合は、板状体61に金属部分を設けることにより、確実且つ容易に接地又はEMIへのシールドが可能となる。
この実施形態では、操作パネル2は表面を樹脂製のシート2cで覆われている。このシート2cはパネル面に耐久性と装飾性とを付与することができる。また、貫通孔621を経て雌ねじ付き孔214aに螺合させたビスの頭部が操作パネル2から突出する高さを、シート2cの厚さ以下とすることにより、操作パネル面からビスが突出するのが回避される。特に、操作パネル2からのビス頭部の突出高さをシート厚と同一とし、ビス頭部の径と同じ孔をシート2cに設けることにより、操作パネルの表面を平滑な面とすることができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係るスライド制御盤に用いられるスライド操作装置について説明する。図9はそのスライド操作装置10Aを分解して示す斜視図である。
このスライド操作装置10Aが先の実施形態に示したスライド操作装置10と異なるのは、以下の点である。すなわち、スライド操作装置10Aは、保持部材60を備えず、スライド操作装置10A自体が設定部ユニット15を構成している。操作パネル2への取付けのための結合部35は、設定部本体20Aにおける躯体25の上部部材21に設けられている。また、設定部本体20Aと基板40Aとの結合は、設定部本体20Aに設けられた下部保持部31及び上部保持部32と、基板40Aに設けられた下部係合部41及び上部係合部42によって行なわれている。以下、これらの点を中心に説明する。
設定部本体20Aに設けられた下部保持部31は、躯体25の長手方向中央部において水平に突出した係止板311に細長い係止孔312が形成されたものであり、上部保持部32は起立壁212の長手方向両端部に形成された雌ねじ付き孔321と、これに螺合する止めねじ322とで構成されている。
基板40Aには、これらの保持部に対応した位置に下部係合部41及び上部係合部42が設けられている。下部係合部41は、支持プレート45の下端における中央部に舌片411として形成されている。支持プレート45における舌片411の両側に位置する部分は切欠き412が形成されることにより、舌片411は切欠き412の上端部より下方へ突出した形状とされている。上部係合部42は、支持プレート45の長手方向両端部における上部に形成された貫通孔421として形成されている。
結合部35である第一固定片35aと第二固定片35b(図9参照)とは、設定部本体20Aの躯体25に対し、操作子スライド方向Sの一端側と他端側において、スライド装置並列方向Uに異なる側に設けられている。これにより、少ない結合箇所で効率的に安定した固定が可能となる。この実施形態においても、結合部35は、このように操作子スライド方向Sの一端側と他端側とのおのおの1箇所ずつ設ける他、各側に複数設けてもよい。すなわち、隣り合う設定部本体20Aの相互に向き合う面から突出した結合部が、操作子スライド方向Sにおいて位置を異ならせて設けられており、これらの結合部が操作子スライド方向に見て少なくとも一部が重なり合って位置するように、隣り合うスライド操作装置10が接近した配置とすることができる。これにより、スライド操作装置を密に配置し、しかも操作パネル2への固定の安定性が得られる。
図9に示した状態にある設定部本体20A及び基板40Aを結合するには、下部係合部41の舌片411を下部保持部31の係止孔312に挿入し、支持プレート45を設定部本体20の側壁に近づけ、上部係合部42の貫通孔421を上部保持部32の雌ねじ付き孔321に合わせ、止めねじ322を支持プレート45側から貫通孔421に通して雌ねじ付き孔321へ螺合し、締結すればよい。
結合部35は、摘み部24(操作子)の摺動方向における一端側において、上部部材21から基板40固定側へ突き出た第一固定片35aと、摘み部24の摺動方向における他端側において上部部材21から第一固定片35aとは反対側へ突き出た第二固定片35bとからなっている。第一固定片35a及び第二固定片35bは共に水平に延び、取り付けビスを通すための貫通孔が設けられている。操作パネル2には、第一固定片35a及び第二固定片35bに対応した位置に図8に示した支持部70の支承部72が配設される。
この構造に基づき、結合部35は、操作パネル2への結合時に、先の実施形態における結合部64と同様に用いられ、図7及び図8に示した支持部70と同様の支持部に対して結合される。そして、ブラケット214の上面が、該パネル裏面に対面する対向部位214tとなる。スライド操作装置10Aを操作パネル2に取り付ける際には、設定部本体20Aのブラケット214上面を操作パネル2裏面にあてがい、第一固定片35a及び第二固定片35bを各々図8に示した支承部72にあてがって、各固定片に設けられた貫通孔を通して取り付けビス(固着手段)を支承部の雌ねじ付き孔に螺合すればよい。その取り付け作業は、操作パネル2の裏面側で行なうことができ、極めて作業性が良く、また、取り付けビスがパネル表面から見えないという利点が得られる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上記の他、種々の変更が可能である。
例えば、第1の実施形態における保持部材60の曲折部62及び挟持部63は、摘み部24摺動方向に連続的に延びたものを示したが、該方向に間隔をおいて断続的に延びるものとすることもできる。但し、曲折部62を連続的に延びる形態とすることにより、保持部材60の剛性を高めることができ、さらに挟持部63を連続的に延びる形態とすることにより、保持部材60の剛性をより高くすることができる。
操作パネル2裏面に対面する対向部位は、図10に示す形態とすることができる。ここでは、ブラケット214の上面から上方へ延びる突起214bが曲折部62に設けられた孔62bを貫通して曲折部62から上方へ僅かに突出している。したがって、これらの突起214bによって対向部位214tが形成されている。
また、図1に一点鎖線で示すように、スライド制御盤1にディスプレー4pのための窓状の開口2pが設けられると、該開口によって操作パネル2の強度が低下するが、支持部70のベース部71は、スライド操作装置10の並列方向に延びるように設けられるので、操作パネルにおける該並列方向の補強をなす。その結果、開口部付近にスライド操作装置10を取付けることも可能となり、スライド制御盤における配置設計の自由度が高まる。
さらに、図4の下部に一点鎖線で示すように、取付部30の板状体61に保持された支持プレート45を操作パネル2から遠ざかる方向へ支持プレート45'として示す位置まで拡張し、該拡張部分に電子部品44'等を実装して付加基板Pを形成することもできる。この付加基板Pに、スライド制御盤の他のスライド操作装置や制御装置の制御等の機能を持たせることにより、同機能のために別個の基板を取り付ける場合に比べて、部品点数を少なくすることができる。このように、設定部本体の保持に必要な領域を越えて支持プレート45を拡張することにより、基板の回路設計の自由度を増すことができるという利点も得られる。
上記の各実施形態に示したスライド操作装置は、操作パネルが水平に近い状態に設置される形態のものであるが、この他、操作パネルの一部または全体が水平面に対して大きな傾斜角で設置されるものや、垂直に近い設置状態で使用されるものもある。本発明は、設置の向きを問わず適用できるものであり、上記実施形態に示された構造を、水平状態からかけ離れた傾斜状態で設置されるものへと変更する場合は、実施形態の説明について、スライド操作装置における上側は操作パネルに近い側、下側は操作パネルから遠ざかる側と読み替えられるべきである。