JP5402505B2 - 窒素化合物半導体素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、短波長LEDや短波長LDなどの発光素子、フォトダイオード等の受光素子、トランジスタなどに適用される窒素化合物半導体素子の製造方法に関する。
窒素化合物半導体は、大きいバンドギャップを有すると共に直接遷移型のものであるため、窒素化合物半導体素子は、短波長LEDや短波長LDなどの短波長発光素子として期待されている。かかる窒素化合物半導体素子は、サファイア基板上に、例えばAlNよりなるバッファ層を介して機能領域層が形成されて構成されている。
サファイア基板上にバッファ層を形成する方法としては、従来、基板温度が例えば600℃となる条件下で気相成長することにより、アモルファス状または多結晶のAlN層を形成し、その後、温度を1000℃以上に昇温する方法が知られている。然るに、この方法においては、Alを含まないGaNよりなるバッファ層を形成する場合には有効であるが、Alを含むAl1-x Gax N(0≦x<1)よりなるバッファ層を形成する場合には、Alを含むことにより、GaNよりなるバッファ層を形成する場合と比較して著しい結晶の劣化が生ずる、という問題がある。
そのため、最近においては、基板温度が1000〜1200℃となる条件下で気相成長することにより、AlN単結晶よりなるバッファ層を形成する方法(特許文献1参照)、基板温度が1050〜1200℃となる条件で気相成長することにより、AlN単結晶よりなる第1バッファ層を形成した後、基板温度が1250〜1350℃となる条件で、Al1-x Gax N(0.8≦x≦0.97)単結晶よりなる第2バッファ層を形成する方法(特許文献2参照)が提案されている。
特許第3692867号公報 特許第3866540号公報
しかしながら、上記の特許文献1および特許文献2に記載の方法においては、得られるバッファ層の表面の凹凸が著しく、平坦な表面を有するバッファ層を形成することが困難であり、そのため、素子の製造において歩留りが低下する、という問題があることが判明した。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、結晶性および表面の平坦性に優れたバッファ層を形成することができる窒素化合物半導体素子の製造方法を提供することにある。
本発明の窒素化合物半導体素子の製造方法は、基板上に、気相成長によって、それぞれAl1-x Gax N(但し、0≦x<1)よりなる第1バッファ層および第2バッファ層が積層され、当該第2バッファ層上に機能領域層が積層された窒素化合物半導体素子を製造する方法において、
V/III 比が1000〜2000の原料ガスを用い、基板上に、基板温度が900〜975℃となる条件下に気相成長することにより、第1バッファ層を形成する工程と、
V/III 比が300〜1000の原料ガスを用い、前記第1バッファ層上に、基板温度が1150〜1300℃となる条件下に気相成長することにより、第2バッファ層を形成する工程と
を有することを特徴とする。
本発明の窒素化合物半導体素子の製造方法においては、前記基板がサファイア基板であることが好ましい。
本発明の製造方法によれば、第1バッファ層形成工程および第2バッファ層形成工程において、それぞれV/III 比が特定の範囲にある原料ガスを用い、基板温度が特定の範囲にある条件下で気相成長させるため、結晶性および表面の平坦性に優れた第1バッファ層および第2バッファ層を形成することができる。
本発明の製造方法によって得られる窒素化合物半導体素子の一例における構成を示す説明図である。 AlGaInN混晶におけるバンドギャップエネルギーとc軸格子定数との関係を示す図である。 実験例1で形成した第1バッファ層および第2バッファ層におけるXRD測定による半値幅を示す図である。 実験例1で形成した基板温度が950℃による第1バッファ層の表面の電子顕微鏡写真である。 実験例1で形成した基板温度が1050℃による第1バッファ層の表面の電子顕微鏡写真である。 実験例1において基板温度が950℃による第1バッファ層上に形成された第2バッファ層の表面の原子間力顕微鏡像である。 実験例1において基板温度が1050℃による第1バッファ層上に形成された第2バッファ層の表面の原子間力顕微鏡像である。 実験例2で形成した第2バッファ層におけるXRD測定による半値幅を示す図である。
以下、本発明の窒素化合物半導体素子の製造方法の実施の形態について説明する。
本発明の製造方法は、基板上に、気相成長によって、Al1-x Gax N(但し、0≦x<1)よりなる第1バッファ層を形成する第1バッファ層形成工程と、この第1バッファ層上に、Al1-x Gax N(但し、0≦x<1)よりなる第2バッファ層を形成する第2バッファ層形成工程とを有し、第2バッファ層上に、アルミニウム、ガリウム、インジウムなどのIII 族元素から選択された1種以上の金属元素の窒素化合物半導体よりなる機能領域層が形成される。
ここで、基板としては、サファイア基板を用いることが好ましい。
〔第1バッファ層形成工程〕
第1バッファ層形成工程において、気相成長法としては、有機金属気相成長法(VOCVD)を好適に利用することができる。
原料ガスとしては、有機金属化合物および窒素供給用ガスが用いられる。有機金属化合物としては、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)を用いることができ、窒素供給用ガスとしてアンモニアを用いることができる。
また、キャリアガスとして、窒素ガスおよび水素ガスを用いることができる。
第1バッファ層形成工程において、用いられる原料ガスは、そのV/III 比が1000以上とされる。このV/III 比が1000未満である場合には、後述する基板温度の範囲では、窒素供給用ガスであるアンモニアの分解が十分に進行せず、窒素源が不足状態となるため、金属成分の多い化合物が生成される結果、結晶性に優れた例えばXRD(X線回折)測定による半値幅(以下、「XRD半値幅」という。)が150sec以下の第1バッファ層を形成することが困難となる。
また、以下の理由により、原料ガスは、そのV/III 比が2000以下とされる。すなわち、一般に、気相成長により形成された窒素化合物結晶は、III 族元素による極性とV族元素( 窒素) による極性を示すことが知られている。また、それぞれの極性で成長速度に違いが生じることも知られている。更に、c面サファイア等を用い有機金属気相成長法により堆積された窒素化合物結晶はIII 族元素による極性を示すことも知られている。しかしながら、V/III 比が2000を超える原料ガスを用いる場合には、原料ガス中の窒素成分量が過大であるため、サファイア基板の表面の一部が窒化されることにより、当該サファイア基板の表面には窒素極性領域が形成されるので、III 族極性と窒素極性との成長速度の相違により、得られる第1バッファ層の表面に凹凸が形成されやすくなる。
第1バッファ層形成工程においては、基板温度が900〜975℃となる条件下で気相成長が行われる。基板温度が900℃未満である場合には、結晶性に優れた例えばXRD半値幅が150sec以下の第1バッファ層を形成することが困難となる。一方、基板温度が975℃を超える場合には、平坦な表面を有する第1バッファ層および第2バッファ層を形成することが困難となる。
第1バッファ層形成工程において、気相成長の処理圧力は、例えば10〜30kPaである。
また、形成される第1バッファ層の厚みは、20〜100nmであることが好ましい。この厚みが過小である場合には、第1バッファ層が無い状態に近づくために第2のバッファ層形成時に表面に凹凸が形成されやすくなる。一方、この厚みが過大である場合には、第1のバッファ層形成時に表面に凹凸が生じてしまい、その凹凸が第2のバッファ層形成時にも引き継がれてしまい、表面が平坦な第2バッファ層を得ることが困難となる。
〔第2バッファ層形成工程〕
第2バッファ層形成工程において、気相成長法としては、有機金属気相成長法(VOCVD)を好適に利用することができる。
原料ガスとしては、有機金属化合物および窒素供給用ガスが用いられる。有機金属化合物としては、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)を用いることができ、窒素供給用ガスとしてアンモニアを用いることができる。
また、キャリアガスとして、窒素ガスおよび水素ガスを用いることができる。
第2バッファ層形成工程において、用いられる原料ガスは、そのV/III 比が300〜1000とされる。このV/III 比が300未満である場合には、得られる第2バッファ層は、表面の一部に凹凸が形成されやすくなる。一方、このV/III 比が1000を超える場合には、平坦な表面を有する第2バッファ層を形成することが困難となる。
第2バッファ層形成工程においては、基板温度が1150〜1300℃となる条件下で気相成長が行われる。基板温度が1150℃未満である場合には、結晶が第1バッファ層の表面に対して垂直な方向に成長しやすくなり、第2バッファ層は、第1バッファ層の表面全体を覆うよう形成されず、表面に凹凸が形成されやすくなる。一方、基板温度が1300℃を超える場合には、CVD装置の部品を構成する石英が軟化することにより、原料ガスの流量に変化が生じて再現性が低くなると共に、CVD装置の使用寿命を縮めてしまう、という問題がある。
第2バッファ層形成工程において、気相成長の処理圧力は、例えば10〜30kPaである。
また、形成される第2バッファ層の厚みは、100nm〜10μmであることが好ましい。この厚みが過小である場合には、気相成長において結晶核がつながりきらず、得られる第2バッファ層は表面に凹凸を有するものとなりやすい。一方、この厚みが過大である場合には、サファイア基板との熱膨張の差、格子不整合による歪みが増大することにより、クラックが発生しやすくなる。
以上のような方法によれば、第1バッファ層形成工程および第2バッファ層形成工程において、それぞれV/III 比が特定の範囲にある原料ガスを用い、基板温度が特定の範囲にある条件下で気相成長させるため、結晶性および表面の平坦性に優れた第1バッファ層および第2バッファ層を形成することができる。
以下、本発明の実施の形態を具体的な一例を挙げて更に詳細に説明する。
図1は、本発明の製造方法によって得られる窒素化合物半導体素子の一例における構成を示す説明図である。この窒素化合物半導体素子はLEDとして構成されたものであって、基板10上に、第1バッファ層11および第2バッファ層12がこの順で積層され、第2バッファ層12上には、機能領域層20が形成されている。
第1バッファ層11および第2バッファ層12の各々はAl1-x Gax N(但し、0≦x<1)単結晶により形成されている。
図示の例の機能領域層20は、n−AlGaN層21と、n−AlGaNブロック層22と、AlGaInN発光層23と、p−AlGaNブロック層24と、p−AlGaN層25とがこの順で積層されてなる複合層により構成されている。図1において、26はp電極層、27はpパッド、28はnパッドである。
そして、本発明においては、上記の窒素化合物半導体素子が以下のようにして製造される。
〔第1バッファ層および第2バッファ層の形成〕
先ず、CVD装置の処理炉内に基板10を配置し、処理炉内に流量が10slmの水素ガスを流しながら、炉内温度を例えば1150℃に昇温することにより、基板10のクリーニングを行う。
次いで、炉内圧力を例えば10kPaとし、処理炉内にキャリアガスとして流量がそれぞれ8slmの窒素ガスおよび水素ガスを流しながら、炉内温度を下げて基板温度を950℃に設定する。そして、原料ガスとして、流量が8.7μmol/minのトリメチルアルミニウムおよび流量が13920μmol/minのアンモニア(V/III 比が1600)を処理炉内に700秒間供給し、基板10の表面に気相成長させることにより、厚みが50nmのAlN単結晶よりなる第1バッファ層11を形成する。
次いで、トリメチルアルミニウムの供給を停止した後、炉内温度を昇温して基板温度を1300℃に設定する。そして、原料ガスとして、流量が50μmol/minのトリメチルアルミニウムおよび流量が22000μmol/minのアンモニア(V/III 比が440)を処理炉内に40分間供給し、第1バッファ層11の表面に気相成長させることにより、厚みが1μmのAlN単結晶よりなる第2バッファ層12を形成する。
〔機能領域層の形成〕
炉内圧力を30kPaとし、キャリアガスとして流量が15slmの窒素ガスおよび流量が12slmの水素ガスを流しながら、炉内温度を1150℃に昇温し、原料ガスとして、流量が100μmol/minのトリメチルガリウム、流量が18μmol/minのトリメチルアルミニウム、流量が250000μmol/minのアンモニア、および流量が0.013μmol/minのテトラエチルシラン(TESi)を処理炉内に50分間供給し、第1バッファ層11の表面に気相成長させることにより、厚みが3μm AlとGaとの組成比が0.15:0.85のn−AlGaN層21を形成し、更に、原料ガスのうちトリメチルアルミニウムの流量を36μmol/minに変更して原料ガスを20秒間供給し、n−AlGaN層21上に気相成長させることにより、厚みが20nmでAlとGaとの組成比が0.3:0.7のn−AlGaNブロック層22を形成する。 次いで、炉内圧力を60kPaとし、キャリアガスとして流量が15slmの窒素ガスおよび流量が25slmの水素ガスを流しながら、炉内温度を850℃とし、原料ガスとして、流量が10μmol/minのトリメチルガリウム、流量が0.02μmol/minのトリメチルアルミニウム、流量が3.5μmol/minのトリメチルインジウム、および流量が310000μmol/minのアンモニアを60秒間供給し、その後、原料ガスとして、流量が10μmol/minのトリメチルガリウム、流量が1.0μmol/minのトリメチルアルミニウム、および流量が310000μmol/minのアンモニアを300秒間供給し、n−AlGaNブロック層22上に気相成長させることにより、厚みが2nm井戸層および厚みが10nmの障壁層よりなる4周期の量子井戸構造を有するAlGaInN発光層23を形成する。
次いで、炉内圧力を60kPaに保持し、キャリアガスとして流量が15slmの窒素ガスおよび流量が25slmの水素ガスを流しながら、炉内温度を1050℃とし、原料ガスとして、流量が100μmol/minのトリメチルガリウム、流量が36μmol/minのトリメチルアルミニウム、流量0.26μmol/minのビスシクロペンタジエニルマグネシウム、および流量が250000μmol/minのアンモニアを20秒間供給し、AlGaInN発光層23上に気相成長させることにより、厚みが20nmでAlとGaとの組成比が0.3:0.7のp−AlGaNブロック層24を形成し、更に、原料ガスのうちトリメチルアルミニウムの流量を18μmol/minに変更して原料ガスを100秒間供給し、p−AlGaNブロック層24上に気相成長させることにより、厚みが100nmでAlとGaとの組成比が0.15:0.85のp−AlGaN層25を形成する。
次いで、フォトリソグラフィおよびICP装置によりフォトエッチング処理を施して、n−AlGaN層21の表面を露出させる。そして、p−AlGaN層25上に、それぞれ厚みが5nmのNi層およびAu層よりなるp電極層26を形成した後、このp電極26層およびn−AlGaN層21の表面に、Alを蒸着することにより、pパッド27およびnパッド28を形成し、500℃の大気中で20分間アニール処理を行うことにより、窒素化合物半導体素子(LED)が得られる。 このLEDの発光波長は360nm、出力は2mWである。
以上において、第1バッファ層11および第2バッファ層12を形成するための原料ガスとして、トリメチルガリウムを加えたものを用いることができ、これにより、それぞれAlGaN単結晶よりなる第1バッファ層11および第2バッファ層12を形成することができる。
本発明の窒素化合物半導体素子をLEDに適用する場合には、第1バッファ層11および第2バッファ層12のバンドギャップエネルギーが、機能領域層20におけるAlGaInN発光層23のバンドギャップエネルギーよりも大きくなるよう、第1バッファ層11および第2バッファ層12の各々の組成比が選択される。
また、本発明の窒素化合物半導体素子は、LEDに限定されず、LDなどの他の発光素子、フォトダイオード等の受光素子、トランジスタなどに適用することができる。
図2は、AlGaInN混晶におけるバンドギャップエネルギーとc軸格子定数との関係を示す図である。AlGaInN混晶のバンドギャップエネルギーと格子定数との関係では、同一のバンドギャップエネルギーではAlNとGaNとを結んだ線上にある組成、すなわちAlx1Ga1-x1N(但し、0≦x1≦1)が最も格子定数が小さくなる。
更に、そのバンドギャップエネルギーよりも大きなエネルギーを有するAlx2Ga1-x2N(x1<x2)は、Alx Gay Inz N(但し、0≦x<1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)において確実に格子定数が小さくなる。そのため、AlGaInN発光層からの光を吸収せず、かつ、格子定数もAlGaInN発光層よりも小さくなるために引っ張り応力によるクラックの発生も抑えることができる。
また、Al1-x Gax N(但し、0≦x<1)よりなる第1バッファ層および第2バッファ層のバンドギャップエネルギーがAlGaInN発光層のバンドギャップエネルギーよりも小さい場合には、第1バッファ層および第2バッファ層がAlGaInN発光層からの光を吸収するために発光効率低下の原因となる。第1バッファ層および第2バッファ層の格子定数がAlGaInN発光層の格子定数より大きい場合には、素子全体に引っ張り応力が与えられるために、クラックの発生を引き起こす。
〈実験例1〉 CVD装置の処理炉内にc面サファイア基板を配置し、処理炉内に流量が10slmの水素ガスを流しながら、炉内温度を例えば1150℃に昇温することにより、c面サファイア基板のクリーニングを行った。
次いで、炉内圧力を10kPaとし、処理炉内にキャリアガスとして流量がそれぞれ8slmの窒素ガスおよび水素ガスを流しながら、炉内温度を下げて基板温度を950℃に設定した。そして、原料ガスとして、流量が8.7μmol/minのトリメチルアルミニウムおよび流量が13920μmol/minのアンモニア(V/III 比が1600)を処理炉内に1400秒間供給し、c面サファイア基板の表面に気相成長させることにより、厚みが100nmのAlN単結晶よりなる第1バッファ層を形成した。得られた第1バッファ層のXRD半値幅を測定した。
次いで、CVD装置の処理炉内に、第1バッファ層が形成されたc面サファイア基板を配置し、炉内圧力を10kPaとし、処理炉内にキャリアガスとして流量がそれぞれ8slmの窒素ガスおよび水素ガスを流しながら、炉内温度を昇温して基板温度を1300℃に設定した。そして、原料ガスとして、流量が50μmol/minのトリメチルアルミニウムおよび流量が22000μmol/minのアンモニア(V/III 比が440)を処理炉内に40分間供給し、第1バッファ層11の表面に気相成長させることにより、厚みが1μmのAlN単結晶よりなる第2バッファ層を形成した。得られた第2バッファ層のXRD半値幅を測定した。
また、第1バッファ層の形成において、基板温度を、800℃〜1250℃の範囲で変更した以外は、上記と同様にして第1バッファ層および第2バッファ層を形成し、それぞれのXRD半値幅を測定した。
XRD半値幅の測定結果を図3に示す。
図3の結果から、第1バッファ層形成工程において、基板温度が800℃から950℃の範囲では、温度が上昇するに従って、得られる第1バッファ層のXRD半値幅が小さくなることが確認された。これは、基板温度の上昇に伴い、得られる第1バッファ層の結晶状態がアモルファスライクな状態から単結晶状態となっているためと考えられる。
また、基板温度が950℃から1100℃の範囲では、温度が上昇するに従って、得られる第1バッファ層のXRD半値幅が大きくなることが確認された。これは、基板温度が950℃付近では、気相成長のモードが2次元的な平面成長モードであるのに対し、基板温度が上昇することにより、気相成長のモードがグレイン状の結晶粒の集合体のモードに移行し、グレイン同士が互いに干渉し歪を生じさせるためと考えられる。
更に、基板温度が1100℃以上では、温度が上昇するに従って、得られる第1バッファ層のXRD半値幅が小さくなることが確認された。これは、本来のAlNの成長温度に近づいたために結晶性の改善が行われたためであると考えられる。
また、第2バッファ層のXRD半値幅は、第1バッファ層のXRD半値幅が大小に従って変化しており、第1バッファ層のXRD半値幅に依存することが理解される。
そして、第1バッファ層形成工程において、基板温度が900〜975℃となる条件で気相成長することにより、半値幅が150sec以下、すなわち結晶性に優れた第1バッファ層および第2バッファ層が形成されることが確認された。
図4は、基板温度が950℃による第1バッファ層の表面の電子顕微鏡写真であり、図5は、基板温度が1050℃による第1バッファ層の表面の電子顕微鏡写真である。これらの図から明らかなように、基板温度が950℃による第1バッファ層は表面が平坦なものであり、これに対して、基板温度が1050℃による第1バッファ層は表面に凹凸が形成されたものであることが確認された。
図6は、基板温度が950℃による第1バッファ層上に形成された第2バッファ層の表面の原子力間顕微鏡像であり、図7は、基板温度が1050℃による第1バッファ層上に形成された第2バッファ層の表面の原子力間顕微鏡像である。これらの図から明らかなように、基板温度が950℃による第1バッファ層上に形成された第2バッファ層は表面が平坦なものであり、これに対して、基板温度が1050℃による第1バッファ層上に形成された第2バッファ層は表面に凹凸が形成されたものであることが確認された。
また、基板温度が950℃による第1バッファ層上に形成された第2バッファ層の表面のRMS(Root mean square)を測定したところ、0.16nmであり、基板温度が1050℃による第1バッファ層上に形成された第2バッファ層の表面のRMSを測定したところ、6.0nmであった。
〈実験例2〉 CVD装置の処理炉内にc面サファイア基板を配置し、処理炉内に流量が10slmの水素ガスを流しながら、炉内温度を例えば1150℃に昇温することにより、c面サファイア基板のクリーニングを行った。
次いで、炉内圧力を10kPaとし、処理炉内にキャリアガスとして流量がそれぞれ8slmの窒素ガスおよび水素ガスを流しながら、炉内温度を下げて基板温度を950℃に設定した。そして、原料ガスとして、流量が8.7μmol/minのトリメチルアルミニウムおよび流量が13920μmol/minのアンモニア(V/III 比が1600)を処理炉内に700秒間供給し、c面サファイア基板の表面に気相成長させることにより、厚みが50nmのAlN単結晶よりなる第1バッファ層を形成した。
次いで、CVD装置の処理炉内に、第1バッファ層が形成されたc面サファイア基板を配置し、炉内圧力を10kPaとし、処理炉内にキャリアガスとして流量がそれぞれ8slmの窒素ガスおよび水素ガスを流しながら、炉内温度を昇温して基板温度を1300℃に設定した。そして、原料ガスとして、流量が50μmol/minのトリメチルアルミニウムおよび流量が22000μmol/minのアンモニア(V/III 比が440)を処理炉内に40分間供給し、第1バッファ層11の表面に気相成長させることにより、厚みが1μmのAlN単結晶よりなる第2バッファ層を形成した。得られた第2バッファ層のXRD半値幅を測定した。
また、第1バッファ層の形成において、原料ガスのV/III 比を変化させたこと以外は、上記と同様にして第1バッファ層および第2バッファ層を形成し、それぞれのXRD半値幅を測定した。
XRD半値幅の測定結果を図8に示す。
図8の結果から明らかなように、 第1バッファ層の形成工程における原料ガスのV/III 比が約2000以下では、V/III 比が高くなるに従って、得られる第2バッファ層のXRD半値幅が小さくなることが理解され、V/III 比が1000以上であれば、XRD半値幅が150sec以下、すなわち結晶性に優れた第2バッファ層が得られることが確認された。
〈実験例3〉 CVD装置の処理炉内にc面サファイア基板を配置し、処理炉内に流量が10slmの水素ガスを流しながら、炉内温度を例えば1150℃に昇温することにより、c面サファイア基板のクリーニングを行った。
次いで、炉内圧力を10kPaとし、処理炉内にキャリアガスとして流量がそれぞれ8slmの窒素ガスおよび水素ガスを流しながら、炉内温度を下げて基板温度を950℃に設定した。そして、原料ガスとして、流量が8.7μmol/minのトリメチルアルミニウムおよび流量が13920μmol/minのアンモニア(V/III 比が1600)を処理炉内に700秒間供給し、c面サファイア基板の表面に気相成長させることにより、厚みが50nmのAlN単結晶よりなる第1バッファ層を形成した。
次いで、CVD装置の処理炉内に、第1バッファ層が形成されたc面サファイア基板を配置し、炉内圧力を10kPaとし、処理炉内にキャリアガスとして流量がそれぞれ8slmの窒素ガスおよび水素ガスを流しながら、炉内温度を昇温して基板温度を1150℃に設定した。そして、原料ガスとして、流量が50μmol/minのトリメチルアルミニウムおよび流量が22000μmol/minのアンモニア(V/III 比が440)を処理炉内に40分間供給し、第1バッファ層11の表面に気相成長させることにより、厚みが1μmのAlN単結晶よりなる第2バッファ層を形成した。得られた第2バッファ層の表面のRMSを測定したところ、0.16nmであった。
また、第2バッファ層の形成において、基板温度を1150℃から1100℃に変更したこと以外は、上記と同様にして第1バッファ層および第2バッファ層を形成し、得られた第2バッファ層の表面のRMSを測定したところ、3.8nmであり、平坦な表面を有する第2バッファ層を形成することができなかった。
〈実験例4〉 CVD装置の処理炉内にc面サファイア基板を配置し、処理炉内に流量が10slmの水素ガスを流しながら、炉内温度を例えば1150℃に昇温することにより、c面サファイア基板のクリーニングを行った。
次いで、炉内圧力を10kPaとし、処理炉内にキャリアガスとして流量がそれぞれ8slmの窒素ガスおよび水素ガスを流しながら、炉内温度を下げて基板温度を950℃に設定した。そして、原料ガスとして、流量が8.7μmol/minのトリメチルアルミニウムおよび流量が13920μmol/minのアンモニア(V/III 比が1600)を処理炉内に700秒間供給し、c面サファイア基板の表面に気相成長させることにより、厚みが50nmのAlN単結晶よりなる第1バッファ層を形成した。
次いで、CVD装置の処理炉内に、第1バッファ層が形成されたc面サファイア基板を配置し、炉内圧力を10kPaとし、処理炉内にキャリアガスとして流量がそれぞれ8slmの窒素ガスおよび水素ガスを流しながら、炉内温度を昇温して基板温度を1150℃に設定した。そして、原料ガスとして、流量が50μmol/minのトリメチルアルミニウムおよび流量が22000μmol/minのアンモニア(V/III 比が440)を処理炉内に40分間供給し、第1バッファ層11の表面に気相成長させることにより、厚みが1μmのAlN単結晶よりなる第2バッファ層を形成した。得られた第2バッファ層の表面のRMSを測定したところ、0.16nmであった。
また、第2バッファ層の形成において、それぞれ原料ガスのV/III 比を100、2000に変化させたこと以外は、上記と同様にして第1バッファ層および第2バッファ層を形成し、得られた第2バッファ層の表面のRMSを測定したところ、V/III 比が100ではRMSの値が6.1nm、V/III 比が2000ではRMSの値が3.9nmであり、いずれも平坦な表面を有する第2バッファ層を形成することができなかった。
10 基板
11 第1バッファ層
12 第2バッファ層
20 機能領域層
21 n−AlGaN層
22 n−AlGaNブロック層
23 AlGaInN発光層
24 p−AlGaNブロック層
25 p−AlGaN層
26 p電極層
27 pパッド
28 nパッド

Claims (2)

  1. 基板上に、気相成長によって、それぞれAl1-x Gax N(但し、0≦x<1)よりなる第1バッファ層および第2バッファ層が積層され、当該第2バッファ層上に機能領域層が積層された窒素化合物半導体素子を製造する方法において、
    V/III 比が1000〜2000の原料ガスを用い、基板上に、基板温度が900〜975℃となる条件下に気相成長することにより、第1バッファ層を形成する工程と、
    V/III 比が300〜1000の原料ガスを用い、前記第1バッファ層上に、基板温度が1150〜1300℃となる条件下に気相成長することにより、第2バッファ層を形成する工程と
    を有することを特徴とする窒素化合物半導体素子の製造方法。
  2. 前記基板がサファイア基板であることを特徴とする請求項1に記載の窒素化合物半導体素子の製造方法。
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