上述したように、特許文献2に開示されている吸着剤は、水蒸気の吸着と吸収の両方を行うため、水蒸気の吸着だけを行うゼオライト等に比べて、多量の水蒸気を捕捉できる。従って、この吸着剤を用いれば、調湿装置の能力(即ち、空気からの除湿量や空気への加湿量)を向上させることが可能となる。
ところが、特許文献2に開示されている吸着剤は、吸湿したり放湿する際に体積が変化するという特性を有している。上述した吸着熱交換器等の調湿用素子において、その表面に担持された吸着剤の体積が変化すると、調湿用素子において空気が通過する通路の断面積が変化する。従って、このような体積変化する特性を有する吸着剤を調湿用素子に適用すると、調湿装置の運転中に調湿用素子の通風抵抗が変化してしまう。このため、何の対策も講じなければ、調湿装置の運転中に調湿用素子を通過して室内へ供給される空気の流量が変動し、在室者の快適性を損なうおそれがあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸放湿に伴って体積変化する吸着剤を用いた調湿装置において、室内へ供給される空気の流量の変動を抑え、在室者の快適性を確保することにある。
第1及び第2の各発明は、それぞれが通過する空気との間で水分を授受する第1及び第2の調湿用素子(51,52)と、吸い込んだ空気を室内へ向けて吹き出す給気ファン(26)と、吸い込んだ空気を室外へ向けて吹き出す排気ファン(25)とを備え、上記第1の調湿用素子(51)が放湿して上記第2の調湿用素子(52)が吸湿する第1動作と、上記第2の調湿用素子(52)が放湿して上記第1の調湿用素子(51)が吸湿する第2動作とを交互に繰り返し行い、放湿中の上記調湿用素子(51,52)を通過した空気と吸湿中の上記調湿用素子(52,51)を通過した空気の一方を室内へ供給して他方を室外へ排出する調湿装置を対象とする。そして、上記調湿用素子(51,52)は、吸湿することにより膨潤して放湿することにより収縮する吸着剤と、該吸着剤が表面に担持された複数のフィン(57)と、各フィン(57)と接合されて内部を熱媒体が流通する伝熱管(58)とを有し、上記吸着剤を空気と接触させる一方、上記第1及び第2の調湿用素子(51,52)の伝熱管(58)が接続され、上記第1動作中に上記第1の調湿用素子(51)が凝縮器となって上記第2の調湿用素子(52)が蒸発器となる第1の冷凍サイクル動作と、上記第2動作中に上記第2の調湿用素子(52)が凝縮器となって上記第1の調湿用素子(51)が蒸発器となる第2の冷凍サイクル動作とを選択的に行う冷媒回路(50)と、室内へ供給される空気の流量の変動を抑えるために、上記給気ファン(26)の回転速度を、室内へ供給される空気が通過している上記調湿用素子(51,52)が保有する水分の量に応じて調節する制御器(94)とを備えるものである。
第3及び第4の各発明は、通過する空気との間で水分を授受する調湿用素子(51,52)と、吸い込んだ空気を室内へ向けて吹き出す給気ファン(26)と、吸い込んだ空気を室外へ向けて吹き出す排気ファン(25)とを備え、上記調湿用素子(51,52)が吸湿と放湿を交互に繰り返し行い、放湿中の上記調湿用素子(51,52)を通過した空気と吸湿中の上記調湿用素子(52,51)を通過した空気の一方を室内へ供給して他方を室外へ排出する調湿装置を対象とする。そして、上記調湿用素子(51,52)には、吸湿することにより膨潤して放湿することにより収縮する吸着剤が、空気と接触するように設けられる一方、室内へ供給される空気の流量の変動を抑えるために、上記給気ファン(26)の回転速度を、室内へ供給される空気が通過している上記調湿用素子(51,52)が保有する水分の量に応じて調節する制御器(94)を備えるものである。
第1〜第4の各発明の調湿装置(10)では、給気ファン(26)を運転することによって室内へ向けて空気が流れ、排気ファン(25)を運転することによって室外へ向けて空気が流れる。そして、この調湿装置(10)では、放湿中の上記調湿用素子(51,52)を通過した空気と吸湿中の上記調湿用素子(51,52)を通過した空気の一方が室内へ供給され、他方が室外へ排出される。
第1〜第4の各発明において、調湿用素子(51,52)には、吸湿することにより膨潤して放湿することにより収縮する吸着剤が設けられる。調湿用素子(52,51)の吸湿中には、調湿用素子(51,52)を通過する空気中の水蒸気が吸着剤に捕捉され、吸着剤の体積が次第に増加してゆくため、調湿用素子(52,51)の通風抵抗が次第に上昇してゆく。一方、調湿用素子(51,52)の放湿中には、調湿用素子(51,52)を通過する空気に対して吸着剤から水蒸気が放出され、吸着剤の体積が次第に減少してゆくため、調湿用素子(51,52)の通風抵抗が次第に低下してゆく。
このように、第1〜第4の各発明の調湿装置(10)において、調湿用素子(51,52)の通風抵抗は、調湿用素子(51,52)が保有する水分の量に応じて変動する。このため、給気ファン(26)の回転速度が一定のままだと、調湿用素子(51,52)を通過して室内へ供給される空気の流量が変化してしまう。そこで、これらの発明の調湿装置(10)には、制御器(94)が設けられている。この制御器(94)は、室内へ供給される空気の流量の変動を抑えるために、調湿用素子(51,52)が保有する水分の量に応じて、給気ファン(26)の回転速度を調節する。
第1及び第2の各発明では、調湿用素子(51,52)の伝熱管(58)に冷媒回路(50)が接続される。調湿装置(10)の第1動作中には、冷媒回路(50)が第1の冷凍サイクル動作を行う。また、調湿装置(10)の第2動作中には、冷媒回路(50)が第2の冷凍サイクル動作を行う。蒸発器として機能する調湿用素子(51,52)では、フィン(57)に担持された吸着剤が冷媒によって冷却される。また、凝縮器として機能する調湿用素子(51,52)では、フィン(57)に担持された吸着剤が冷媒によって加熱される。
ここで、調湿用素子(51,52)が吸湿する際には熱が発生するため、何の対策も講じなければ、調湿用素子(51,52)を通過する空気の温度が上昇し、調湿用素子(51,52)を通過する空気の相対湿度は、調湿用素子(51,52)に水蒸気を奪われることだけでなく、温度上昇することによっても低下してしまう。そこで、第1及び第2の各発明では、蒸発器として機能する調湿用素子(51,52)が吸湿する際に発生した熱が冷媒に吸収され、この調湿用素子(51,52)を通過する空気の温度上昇が抑えられるため、吸着剤の吸湿が促進される。また、第1及び第2の各発明において、凝縮器として機能する調湿用素子(51,52)の伝熱管(58)へ冷媒が供給されると、フィン(57)の表面に担持された吸着剤が冷媒によって加熱され、吸着剤からの放湿が促進される。
第1の発明は、上記の構成に加えて、吸湿中の上記調湿用素子(52,51)を通過した空気を室内へ供給して放湿中の上記調湿用素子(51,52)を通過した空気を室外へ排出する除湿運転を少なくとも行う一方、上記除湿運転中において、上記制御器(94)は、上記調湿用素子(52,51)が吸湿している間に上記給気ファン(26)の回転速度を次第に上昇させるものである。
第1の発明では、調湿装置(10)が除湿運転を行う。除湿運転中の調湿装置(10)において、室内へ向かって流れる空気は、吸湿中の調湿用素子(52,51)を通過する。吸湿中の調湿用素子(52,51)では、吸着剤に捕捉された水蒸気の量が増えるのに従って、調湿用素子(52,51)の通風抵抗が次第に上昇する。そこで、除湿運転中において、制御器(94)は、調湿用素子(52,51)が吸湿している間に給気ファン(26)の回転速度を次第に上昇させ、室内へ供給される空気の流量の低下を抑える。
第1の発明は、上記の構成に加えて、上記除湿運転中において、上記制御器(94)は、第1動作および第2動作の継続中に上記給気ファン(26)の回転速度を次第に上昇させ、第1動作と第2動作が相互に切り換わる際に上記給気ファン(26)の回転速度を引き下げ、更に、上記制御器(94)は、上記冷媒回路(50)における冷媒の凝縮温度および蒸発温度と、室内空気の温度および相対湿度と、室外空気の温度および相対湿度とに基づいて、上記除湿運転中における上記給気ファン(26)の回転速度の変更幅を決定するものである。
第1の発明では、調湿装置(10)が第1動作と第2動作を交互に繰り返し行う。除湿運転中の調湿装置(10)において、室内へ向かって流れる空気は、第1動作中には吸湿している第2の調湿用素子(52)を通過し、第2動作中には吸湿している第1の調湿用素子(51)を通過する。第1動作および第2動作の継続中には、吸湿している調湿用素子(52,51)の通風抵抗が次第に増加してゆく。そこで、制御器(94)は、第1動作および第2動作の継続中に給気ファン(26)の回転速度を次第に上昇させ、吸湿中の調湿用素子(52,51)を通過して室内へ向かう空気の流量の低下を抑える。
一方、第1の発明の調湿装置(10)において、例えばその動作が第1動作から第2動作へ切り換わる際には、室内へ向かって流れる空気の流通経路が、第2の調湿用素子(52)を通過する経路から第1の調湿用素子(51)を通過する経路に切り換わる。そして、第2動作が開始されると、直前の第1動作中に放湿して水分の保有量が低い状態となった第1の調湿用素子(51)が、吸湿し始める。つまり、第1動作と第2動作が相互に切り換わると、室内へ向かって流れる空気の通過する調湿用素子が、吸湿して通風抵抗が高い状態となった調湿用素子(52,51)から、放湿して通風抵抗の低い状態となった調湿用素子(51,52)へと切り換わる。そこで、除湿運転中に第1動作と第2動作が相互に切り換わる際において、制御器(94)は、上記給気ファン(26)の回転速度を引き下げ、切換前の動作中に放湿した調湿用素子(51,52)の通風抵抗に見合った値に給気ファン(26)の回転速度を復元する。
第2の発明は、上記の構成に加えて、放湿中の上記調湿用素子(51,52)を通過した空気を室内へ供給して吸湿中の上記調湿用素子(52,51)を通過した空気を室外へ排出する加湿運転を少なくとも行う一方、上記加湿運転中において、上記制御器(94)は、上記調湿用素子(51,52)が放湿している間に上記給気ファン(26)の回転速度を次第に低下させるものである。
第2の発明では、調湿装置(10)が加湿運転を行う。加湿運転中の調湿装置(10)において、室内へ向かって流れる空気は、放湿中の調湿用素子(51,52)を通過する。放湿中の調湿用素子(51,52)では、吸着剤に捕捉された水蒸気の量が減るのに従って、調湿用素子(51,52)の通風抵抗が次第に低下する。そこで、加湿運転中において、制御器(94)は、調湿用素子(51,52)が放湿している間に給気ファン(26)の回転速度を次第に低下させ、室内へ供給される空気の流量の増加を抑える。
第2の発明は、上記の構成に加えて、上記加湿運転中において、上記制御器(94)は、第1動作および第2動作の継続中に上記給気ファン(26)の回転速度を次第に低下させ、第1動作と第2動作が相互に切り換わる際に上記給気ファン(26)の回転速度を引き上げ、更に、上記制御器(94)は、上記冷媒回路(50)における冷媒の凝縮温度および蒸発温度と、室内空気の温度および相対湿度と、室外空気の温度および相対湿度とに基づいて、上記加湿運転中における上記給気ファン(26)の回転速度の変更幅を決定するものである。
第2の発明では、調湿装置(10)が第1動作と第2動作を交互に繰り返し行う。加湿運転中の調湿装置(10)において、室内へ向かって流れる空気は、第1動作中には放湿している第1の調湿用素子(51)を通過し、第2動作中には放湿している第2の調湿用素子(52)を通過する。第1動作および第2動作の継続中には、放湿している調湿用素子(51,52)の通風抵抗が次第に低下してゆく。そこで、制御器(94)は、第1動作および第2動作の継続中に給気ファン(26)の回転速度を次第に低下させ、放湿中の調湿用素子(51,52)を通過して室内へ向かう空気の流量の増加を抑える。
一方、第2の発明の調湿装置(10)において、例えばその動作が第1動作から第2動作へ切り換わる際には、室内へ向かって流れる空気の流通経路が、第1の調湿用素子(51)を通過する経路から第2の調湿用素子(52)を通過する経路に切り換わる。そして、第2動作が開始されると、直前の第1動作中に吸湿して水分の保有量が高い状態となった第2の調湿用素子(52)が、放湿し始める。つまり、第1動作と第2動作が相互に切り換わると、室内へ向かって流れる空気の通過する調湿用素子が、放湿して通風抵抗が低い状態となった調湿用素子(51,52)から、吸湿して通風抵抗の高い状態となった調湿用素子(52,51)へと切り換わる。そこで、加湿運転中に第1動作と第2動作が相互に切り換わる際において、制御器(94)は、上記給気ファン(26)の回転速度を引き上げ、切換前の動作中に吸湿した調湿用素子(52,51)の通風抵抗に見合った値に給気ファン(26)の回転速度を復元する。
第3の発明は、上記の構成に加えて、吸湿中の上記調湿用素子(52,51)を通過した空気を室内へ供給して放湿中の上記調湿用素子(51,52)を通過した空気を室外へ排出する除湿運転と、放湿中の上記調湿用素子(51,52)を通過した空気を室内へ供給して吸湿中の上記調湿用素子(52,51)を通過した空気を室外へ排出する加湿運転とを少なくとも含む複数の運転モードを実行可能となっており、上記制御器(94)は、各運転モードの実行中における上記給気ファン(26)の回転速度の変更パターンを個別に記憶し、記憶している変更パターンのうち実行中の運転モードに対応するものに基づいて上記給気ファン(26)の回転速度を制御するものである。
第3の発明の調湿装置(10)では、除湿運転と加湿運転を少なくとも含む複数の運転モードが実行可能となっている。制御器(94)は、給気ファン(26)の回転速度の変更パターンを、各運転モード毎に個別に記憶している。そして、制御器(94)は、記憶している変更パターンのうち実行中の運転モードに対応するものに基づいて上記給気ファン(26)の回転速度を制御することによって、室内へ供給される空気の流量の変化を抑える。
第4の発明は、上記の構成に加えて、室内へ向かって流れる空気の温度および湿度を上記調湿用素子(51,52)の上流において計測する計測器(97)を備える一方、上記制御器(94)は、上記給気ファン(26)を駆動する電動機(89)の消費電力の目標値を上記計測器(97)の計測値に基づいて設定し、上記給気ファン(26)を駆動する電動機(89)の消費電力が設定した目標値となるように上記給気ファン(26)の回転速度を制御するものである。
第4の発明において、計測器(97)は、室内へ向かって流れる空気の温度と湿度を、調湿用素子(51,52)の上流において計測する。制御器(94)は、計測器(97)が計測した空気の温度と湿度に基づいて、給気ファン(26)を駆動する電動機(89)の消費電力の目標値を設定する。そして、制御器(94)は、給気ファン(26)を駆動する電動機(89)の消費電力が設定した目標値となるように給気ファン(26)の回転速度を調節することによって、室内へ供給される空気の流量の変化を抑える。
本発明では、吸湿することにより膨潤して放湿することにより収縮する吸着剤が調湿用素子(51,52)に設けられており、調湿用素子(51,52)の通風抵抗は、調湿用素子(51,52)が保有する水分の量に応じて変動する。また、本発明において、制御器(94)は、調湿用素子(51,52)が保有する水分の量に応じて、給気ファン(26)の回転速度を調節する。従って、本発明によれば、調湿用素子(51,52)を通過して室内へ供給される空気の流量の変動を抑制することができ、在室者の快適性を確保することができる。
上記第1の発明では、室内へ向かう空気が吸湿中の調湿用素子(51,52)を通過する除湿運転中において、調湿用素子(52,51)が吸湿している間に制御器(94)が給気ファン(26)の回転速度を次第に上昇させている。従って、この発明によれば、除湿運転中に室内へ供給される空気の流量の低下を抑えることができる。
また、上記第1の発明の調湿装置(10)では、第1動作と第2動作が相互に切り換わる際に、室内へ向かって流れる空気の通過する調湿用素子が、第1の調湿用素子(51)と第2の調湿用素子(52)の一方から他方へ切り換わる。そして、除湿運転中の調湿装置(10)において第1動作と第2動作が相互に切り換わる際には、室内へ向かって流れる空気の通過する調湿用素子が、吸湿して通風抵抗の大きい状態となった一方の調湿用素子(52,51)から、放湿して通風抵抗の小さい状態となった他方の調湿用素子(51,52)へと切り換わる。
そこで、第1の発明の制御器(94)は、第1動作および第2動作の継続中に上記給気ファン(26)の回転速度を次第に上昇させ、第1動作と第2動作が相互に切り換わる際に上記給気ファン(26)の回転速度を引き下げる。従って、この発明によれば、第1動作と第2動作を交互に繰り返し行う調湿装置(10)においても、調湿用素子(51,52)を通過後に室内へ供給される空気の流量の変動を抑えることができる。
上記第2の発明では、室内へ向かう空気が放湿中の調湿用素子(51,52)を通過する加湿運転中において、調湿用素子(51,52)が放湿している間に制御器(94)が給気ファン(26)の回転速度を次第に低下させている。従って、この発明によれば、加湿運転中に室内へ供給される空気の流量の増加を抑えることができる。
上記第2の発明では、第1動作と第2動作が相互に切り換わる際に、室内へ向かって流れる空気の通過する調湿用素子が、第1の調湿用素子(51)と第2の調湿用素子(52)の一方から他方へ切り換わる。そして、加湿運転中の調湿装置(10)において第1動作と第2動作が相互に切り換わる際には、室内へ向かって流れる空気の通過する調湿用素子が、放湿して通風抵抗の小さい状態となった一方の調湿用素子(51,52)から、吸湿して通風抵抗の大きい状態となった他方の調湿用素子(52,51)へと切り換わる。
そこで、第2の発明の制御器(94)は、第1動作および第2動作の継続中に上記給気ファン(26)の回転速度を次第に低下させ、第1動作と第2動作が相互に切り換わる際に上記給気ファン(26)の回転速度を引き上げる。従って、この発明によれば、第1動作と第2動作を交互に繰り返し行う調湿装置(10)においても、調湿用素子(51,52)を通過後に室内へ供給される空気の流量の変動を抑えることができる。
上記第3の発明において、制御器(94)は、予め記憶している給気ファン(26)の回転速度の変更パターンのうち実行中の運転モードに対応するものを選び出し、その選び出した変更パターンに沿って給気ファン(26)の回転速度を調節する。つまり、この発明の制御器(94)は、複雑な制御動作は行わず、予め記憶する変更パターンに沿って給気ファン(26)の回転速度を調節する。従って、この発明によれば、制御器(94)に簡素な制御動作を行わせることによって、室内へ供給される空気の流量の変化を抑えることができる。
上記第4の発明では、計測器(97)が計測した空気の温度および湿度の実測値に基づいて、制御器(94)が給気ファン(26)の回転速度を制御する。従って、この発明によれば、給気ファン(26)の回転速度を調湿装置(10)の実際の運転状態に応じて適切に調節することができ、室内へ供給される空気の流量の変化を抑えることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態の調湿装置(10)は、室内の湿度調節と共に室内の換気を行うものであり、取り込んだ室外空気(OA)を湿度調節して室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)を室外に排出する。
〈調湿装置の構造〉
調湿装置(10)の構造について説明する。なお、ここでの説明で用いる「上」「下」「左」「右」「前」「後」「手前」「奥」は、特にことわらない限り、調湿装置(10)を前面側から見た場合の方向を意味している。
図1,図2に示すように、調湿装置(10)は、ケーシング(11)を備えている。また、ケーシング(11)内には、冷媒回路(50)が収容されている。この冷媒回路(50)には、第1吸着熱交換器(51)、第2吸着熱交換器(52)、圧縮機(53)、四方切換弁(54)、及び電動膨張弁(55)が接続されている。冷媒回路(50)の詳細は後述する。
ケーシング(11)は、やや扁平で高さが比較的低い直方体状に形成されている。ケーシング(11)では、図1における左手前の側面(即ち、前面)を形成する部分が前面パネル部(12)となり、同図における右奥の側面(即ち、背面)を形成する部分が背面パネル部(13)となっている。また、このケーシング(11)では、同図における右手前の側面を形成する部分が第1側面パネル部(14)となり、同図における左奥の側面を形成する部分が第2側面パネル部(15)となっている。
ケーシング(11)には、外気吸込口(24)と、内気吸込口(23)と、給気口(22)と、排気口(21)とが形成されている。外気吸込口(24)及び内気吸込口(23)は、背面パネル部(13)に開口している。背面パネル部(13)では、その下側部分に外気吸込口(24)が形成され、その上側部分に内気吸込口(23)が形成されている。給気口(22)は、第1側面パネル部(14)における前面パネル部(12)側の端部付近に配置されている。排気口(21)は、第2側面パネル部(15)における前面パネル部(12)側の端部付近に配置されている。
ケーシング(11)の内部空間には、上流側仕切板(71)と、下流側仕切板(72)と、中央仕切板(73)と、第1仕切板(74)と、第2仕切板(75)とが設けられている。これらの仕切板(71〜75)は、何れもケーシング(11)の底板に立設されており、ケーシング(11)の内部空間をケーシング(11)の底板から天板に亘って区画している。
上流側仕切板(71)及び下流側仕切板(72)は、前面パネル部(12)及び背面パネル部(13)と平行に配置されている。ケーシング(11)の内部空間において、上流側仕切板(71)は背面パネル部(13)寄りに配置され、下流側仕切板(72)は前面パネル部(12)寄りに配置されている。
第1仕切板(74)は、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間を右側から塞ぐように配置されている。第2仕切板(75)は、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間を左側から塞ぐように配置されている。中央仕切板(73)は、上流側仕切板(71)及び下流側仕切板(72)と直交する姿勢で、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間に配置されている。中央仕切板(73)は、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間を左右に区画している。
図6にも示すように、ケーシング(11)内では、上流側仕切板(71)と背面パネル部(13)の間の空間が、上下2つの空間に仕切られている。上下に仕切られたこの空間は、上側の空間が内気側通路(32)を構成し、下側の空間が外気側通路(34)を構成している。
内気側通路(32)は、内気吸込口(23)に接続するダクトを介して室内と連通している。内気側通路(32)には、空気から塵埃等を除去するための内気側フィルタ(27)が設けられている。内気側通路(32)は、この内気側フィルタ(27)によって前後に区画されている。内気側通路(32)における内気側フィルタ(27)の前側(下流側)の部分には、内気温湿度センサ(96)が収容されている。この内気温湿度センサ(96)は、空気の温度と相対湿度を計測する計測器であって、ケーシング(11)の天板に取り付けられている。
外気側通路(34)は、外気吸込口(24)に接続するダクトを介して室外空間と連通している。外気側通路(34)には、空気から塵埃等を除去するための外気側フィルタ(28)が設けられている。外気側通路(34)は、この外気側フィルタ(28)によって前後に区画されている。外気側通路(34)における外気側フィルタ(28)の前側(下流側)の部分には、外気温湿度センサ(97)が収容されている。この外気温湿度センサ(97)は、空気の温度と相対湿度を計測する計測器であって、ケーシング(11)の底板に取り付けられている。
上述したように、ケーシング(11)内における上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間は、中央仕切板(73)によって左右に区画されている。左右に仕切られたこの空間は、中央仕切板(73)の右側の空間が第1熱交換器室(37)を構成し、中央仕切板(73)の左側の空間が第2熱交換器室(38)を構成している。
第1熱交換器室(37)には、第1吸着熱交換器(51)が収容されている。また、第1熱交換器室(37)には、冷媒回路(50)の電動膨張弁(55)が収容されている。第2熱交換器室(38)には、第2吸着熱交換器(52)が収容されている。各吸着熱交換器(51,52)は、全体として長方形の厚板状あるいは扁平な直方体状に形成されている。そして、吸着熱交換器(51,52)は、熱交換器室(37,38)内に立設され、熱交換器室(37,38)を前後に区画している。なお、吸着熱交換器(51,52)の詳細は後述する。
図6にも示すように、ケーシング(11)の内部空間では、下流側仕切板(72)の前面に沿った部分が上下に仕切られている。上下に仕切られたこの空間は、上側の空間が給気側通路(31)を構成し、下側の空間が排気側通路(33)を構成している。
上流側仕切板(71)には、開閉式のダンパ(41〜44)が4つ設けられている。各ダンパ(41〜44)は、概ね横長の長方形状に形成されている。具体的に、上流側仕切板(71)のうち内気側通路(32)に面する部分(上側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1内気側ダンパ(41)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2内気側ダンパ(42)が取り付けられる。また、上流側仕切板(71)のうち外気側通路(34)に面する部分(下側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1外気側ダンパ(43)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2外気側ダンパ(44)が取り付けられる。
下流側仕切板(72)には、開閉式のダンパ(45〜48)が4つ設けられている。各ダンパ(45〜48)は、概ね横長の長方形状に形成されている。具体的に、下流側仕切板(72)のうち給気側通路(31)に面する部分(上側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1給気側ダンパ(45)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2給気側ダンパ(46)が取り付けられる。また、下流側仕切板(72)のうち排気側通路(33)に面する部分(下側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1排気側ダンパ(47)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2排気側ダンパ(48)が取り付けられる。
ケーシング(11)内では、給気側通路(31)及び排気側通路(33)と前面パネル部(12)との間の空間が、仕切板(77)によって左右に仕切られている。この左右に仕切られた空間は、仕切板(77)の右側の空間が給気ファン室(36)を構成し、仕切板(77)の左側の空間が排気ファン室(35)を構成している。この仕切板(77)は、中央仕切板(73)よりも更に第2側面パネル部(15)寄りに立設されている。給気ファン室(36)及び排気ファン室(35)は、何れもケーシング(11)の底板から天板に亘る空間である。
給気ファン室(36)には、給気ファン(26)が収容されている。また、排気ファン室(35)には排気ファン(25)が収容されている。給気ファン(26)及び排気ファン(25)は、何れも遠心型の多翼ファン(いわゆるシロッコファン)である。これらのファン(25,26)は、ファンロータと、ファンケーシング(86)と、電動機であるファンモータ(89)とを備えている。図示しないが、ファンロータは、ファンケーシング(86)に収容され、ファンモータ(89)によって駆動される。
給気ファン室(36)において、給気ファン(26)は、ファンケーシング(86)の吸入口(87)が下流側仕切板(72)と対面する姿勢で設置されている。また、この給気ファン(26)のファンケーシング(86)の吹出口(88)は、給気口(22)に連通する状態で第1側面パネル部(14)に取り付けられている。
排気ファン室(35)において、排気ファン(25)は、ファンケーシング(86)の吸入口(87)が下流側仕切板(72)と対面する姿勢で設置されている。また、この排気ファン(25)のファンケーシング(86)の吹出口(88)は、排気口(21)に連通する状態で第2側面パネル部(15)に取り付けられている。
給気ファン室(36)には、冷媒回路(50)の圧縮機(53)と四方切換弁(54)とが収容されている。圧縮機(53)及び四方切換弁(54)は、給気ファン室(36)における給気ファン(26)と仕切板(77)との間に配置されている。
ケーシング(11)内において、第1仕切板(74)と第1側面パネル部(14)の間の空間は、第1バイパス通路(81)を構成している。また、ケーシング(11)内において、第2仕切板(75)と第2側面パネル部(15)の間の空間は、第2バイパス通路(82)を構成している。
第1バイパス通路(81)の始端(背面パネル部(13)側の端部)は、外気側通路(34)だけに連通しており、内気側通路(32)からは遮断されている。第1バイパス通路(81)の終端(前面パネル部(12)側の端部)は、仕切板(78)によって、給気側通路(31)、排気側通路(33)、及び給気ファン室(36)から区画されている。仕切板(78)のうち給気ファン室(36)に臨む部分には、第1バイパス用ダンパ(83)が設けられている。第1バイパス用ダンパ(83)は、概ね縦長の長方形状に形成された開閉式のダンパである。
第2バイパス通路(82)の始端(背面パネル部(13)側の端部)は、第2仕切板(75)に形成された連通口(76)を介して内気側通路(32)だけに連通しており、外気側通路(34)からは遮断されている。第2バイパス通路(82)の終端(前面パネル部(12)側の端部)は、仕切板(79)によって、給気側通路(31)、排気側通路(33)、及び排気ファン室(35)から区画されている。仕切板(79)のうち排気ファン室(35)に臨む部分には、第2バイパス用ダンパ(84)が設けられている。第2バイパス用ダンパ(84)は、概ね縦長の長方形状に形成された開閉式のダンパである。
なお、図6の右側面図及び左側面図では、第1バイパス通路(81)、第2バイパス通路(82)、第1バイパス用ダンパ(83)、及び第2バイパス用ダンパ(84)の図示を省略している。
ケーシング(11)の前面パネル部(12)では、その右寄りの部分に電装品箱(90)が取り付けられている(図2を参照)。電装品箱(90)は、直方体状の箱であって、その内部に制御用基板(91)と電源用基板(92)とが収容されている。制御用基板(91)及び電源用基板(92)は、電装品箱(90)の側板のうち前面パネル部(12)に隣接する部分(即ち、背面板)の内側面に取り付けられている。
〈冷媒回路の構成〉
上記冷媒回路(50)について、図3を参照しながら説明する。
上記冷媒回路(50)は、第1吸着熱交換器(51)、第2吸着熱交換器(52)、圧縮機(53)、四方切換弁(54)、及び電動膨張弁(55)が設けられた閉回路である。この冷媒回路(50)は、充填された冷媒を循環させることによって、蒸気圧縮冷凍サイクルを行う。
上記冷媒回路(50)において、圧縮機(53)は、その吐出側が四方切換弁(54)の第1のポートに、その吸入側が四方切換弁(54)の第2のポートにそれぞれ接続されている。第1吸着熱交換器(51)の一端は、四方切換弁(54)の第3のポートに接続されている。第1吸着熱交換器(51)の他端は、電動膨張弁(55)を介して第2吸着熱交換器(52)の一端に接続されている。第2吸着熱交換器(52)の他端は、四方切換弁(54)の第4のポートに接続されている。
上記四方切換弁(54)は、第1のポートと第3のポートが連通して第2のポートと第4のポートが連通する第1状態(図3(A)に示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通して第2のポートと第3のポートが連通する第2状態(図3(B)に示す状態)とに切り換え可能となっている。
本実施形態の調湿装置(10)では、冷媒回路(50)が熱媒体回路を構成している。この冷媒回路(50)では、2つの吸着熱交換器(51,52)のうち凝縮器として動作する方に高圧のガス冷媒が加熱用の熱媒体として供給され、蒸発器として動作する方に低圧の気液二相冷媒が冷却用の熱媒体として供給される。
〈吸着熱交換器の構成〉
第1吸着熱交換器(51)と第2吸着熱交換器(52)のそれぞれは、フィン・アンド・チューブ熱交換器の表面に吸着剤を担持させたものであって、調湿用素子を構成している。
図4に示すように、これら吸着熱交換器(51,52)は、銅製の伝熱管(58)とアルミニウム製のフィン(57)とを備えている。吸着熱交換器(51,52)に設けられた複数のフィン(57)は、それぞれが長方形板状に形成され、一定の間隔で並べられている。また、伝熱管(58)は、フィン(57)の配列方向に蛇行する形状となっている。つまり、この伝熱管(58)では、各フィン(57)を貫通する直管部と、隣り合った直管部同士を接続するU字管部(59)とが交互に形成されている。そして、吸着熱交換器(51,52)では、各フィン(57)の表面に吸着剤が担持されており、フィン(57)の間を通過する空気がフィン(57)に担持された吸着剤と接触する。
本実施形態の吸着熱交換器(51,52)では、吸湿性を有する有機高分子材料が吸着剤として用いられている。吸着剤として用いられる有機高分子材料では、分子中に親水性の極性基を有する複数の高分子主鎖が互いに架橋されており、互いに架橋された複数の高分子主鎖が三次元構造体を形成している。
本実施形態の吸着剤は、水蒸気を捕捉(即ち、吸湿)することによって膨潤する。この吸着剤が吸湿することによって膨潤するメカニズムは、以下のようなものと推測される。つまり、この吸着剤が吸湿する際には、親水性の極性基の周りに水蒸気が吸着され、親水性の極性基と水蒸気が反応することで生じた電気的な力が高分子主鎖に作用し、その結果、高分子主鎖が変形する。そして、変形した高分子主鎖同士の隙間へ水蒸気が毛細管力によって取り込まれ、水蒸気が入り込むことによって複数の高分子主鎖からなる三次元構造体が膨らみ、その結果、吸着剤の体積が増加する。
このように、本実施形態の吸着剤では、水蒸気が吸着剤に吸着される現象と、水蒸気が吸着剤に吸収される現象の両方が起こる。つまり、この吸着剤には、水蒸気が収着される。また、この吸着剤に捕捉された水蒸気は、互いに架橋された複数の高分子主鎖からなる三次元構造体の表面だけでなく、その内部にまで入り込む。その結果、この吸着剤には、表面に水蒸気を吸着するだけのゼオライト等に比べ、多量の水蒸気が捕捉される。
また、この吸着剤は、水蒸気を放出(即ち、放湿)することによって収縮する。つまり、この吸着剤が放湿する際には、高分子主鎖同士の隙間に捕捉された水の量が減少してゆき、複数の高分子主鎖で構成された三次元構造体の形状が元に戻ってゆくため、吸着剤の体積が減少する。
なお、本実施形態の吸着剤として用いられる材料は、吸湿することによって膨潤して放湿することによって収縮するものであれば上述した材料に限定されず、例えば吸湿性を有するイオン交換樹脂であってもよい。
〈コントローラの構成〉
調湿装置(10)は、コントローラ(93)を備えている。このコントローラ(93)は、制御用基板(91)に設けられており、各ダンパ(41〜48,83,84)の開閉、圧縮機(53)の運転容量や電動膨張弁(55)の開度の調節、四方切換弁(54)の切り換え等を行う。
図5に示すように、コントローラ(93)は、制御器であるファン制御部(94)を備えている。このファン制御部(94)は、給気ファン(26)及び排気ファン(25)の回転速度を調節する制御動作を行う。このファン制御部(94)が行う制御動作の詳細については、後述する。
−運転動作−
本実施形態の調湿装置(10)は、三つの運転モード(除湿換気運転、加湿換気運転、単純換気運転)を実行可能である。つまり、この調湿装置(10)は、除湿換気運転と、加湿換気運転と、単純換気運転とを選択的に行う。
除湿換気運転中や加湿換気運転中の調湿装置(10)は、取り込んだ室外空気(OA)を湿度調節してから供給空気(SA)として室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)を排出空気(EA)として室外へ排出する。一方、単純換気運転中の調湿装置(10)は、取り込んだ室外空気(OA)をそのまま供給空気(SA)として室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)をそのまま排出空気(EA)として室外へ排出する。
〈除湿換気運転〉
除湿換気運転中の調湿装置(10)では、後述する第1動作と第2動作が所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。この除湿換気運転中において、第1バイパス用ダンパ(83)及び第2バイパス用ダンパ(84)は、常に閉状態となる。
除湿換気運転中の調湿装置(10)において、給気ファン(26)を運転すると、室外空気が外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ第1空気として取り込まれる。また、排気ファン(25)を運転すると、室内空気が内気吸込口(23)からケーシング(11)内へ第2空気として取り込まれる。
先ず、除湿換気運転の第1動作について説明する。図6に示すように、この第1動作中には、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が開状態となり、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が閉状態となる。
この第1動作中の冷媒回路(50)では、図3(A)に示すように、四方切換弁(54)が第1状態に設定される。この状態の冷媒回路(50)では、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。その際、冷媒回路(50)では、圧縮機(53)から吐出された冷媒が第1吸着熱交換器(51)、電動膨張弁(55)、第2吸着熱交換器(52)の順に通過し、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器となって第2吸着熱交換器(52)が蒸発器となる。
外気側通路(34)へ流入した第1空気は、第2外気側ダンパ(44)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、その表面に担持された吸着剤が第1空気から吸湿し、その際に生じた熱を冷媒が吸熱する。第2吸着熱交換器(52)を通過する間に除湿された第1空気は、第2給気側ダンパ(46)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン(26)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
一方、内気側通路(32)へ流入した第2空気は、第1内気側ダンパ(41)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、冷媒によって加熱された吸着剤が放湿し、吸着剤から放出された水蒸気が第2空気に付与される。第1吸着熱交換器(51)を通過する間に水蒸気を付与された第2空気は、第1排気側ダンパ(47)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン(25)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
次に、除湿換気運転の第2動作について説明する。図7に示すように、この第2動作中には、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が閉状態となる。
この第2動作中の冷媒回路(50)では、図3(B)に示すように、四方切換弁(54)が第2状態に設定される。この状態の冷媒回路(50)では、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。その際、冷媒回路(50)では、圧縮機(53)から吐出された冷媒が第2吸着熱交換器(52)、電動膨張弁(55)、第1吸着熱交換器(51)の順に通過し、第1吸着熱交換器(51)が蒸発器となって第2吸着熱交換器(52)が凝縮器となる。
外気側通路(34)へ流入した第1空気は、第1外気側ダンパ(43)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、その表面に担持された吸着剤が第1空気から吸湿し、その際に生じた熱を冷媒が吸熱する。第1吸着熱交換器(51)を通過する間に除湿された第1空気は、第1給気側ダンパ(45)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン(26)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
一方、内気側通路(32)へ流入した第2空気は、第2内気側ダンパ(42)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、冷媒によって加熱された吸着剤が放湿し、吸着剤から放出された水蒸気が第2空気に付与される。第2吸着熱交換器(52)を通過する間に水蒸気を付与された第2空気は、第2排気側ダンパ(48)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン(25)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
〈加湿換気運転〉
加湿換気運転中の調湿装置(10)では、後述する第1動作と第2動作が所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。この加湿換気運転中において、第1バイパス用ダンパ(83)及び第2バイパス用ダンパ(84)は、常に閉状態となる。
加湿換気運転中の調湿装置(10)において、給気ファン(26)を運転すると、室外空気が外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ第2空気として取り込まれる。また、排気ファン(25)を運転すると、室内空気が内気吸込口(23)からケーシング(11)内へ第1空気として取り込まれる。
先ず、加湿換気運転の第1動作について説明する。図8に示すように、この第1動作中には、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が閉状態となる。
この第1動作中の冷媒回路(50)では、図3(A)に示すように、四方切換弁(54)が第1状態に設定される。そして、この冷媒回路(50)では、除湿換気運転の第1動作中と同様に、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器となって第2吸着熱交換器(52)が蒸発器となる。
内気側通路(32)へ流入した第1空気は、第2内気側ダンパ(42)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、その表面に担持された吸着剤が第1空気から吸湿し、その際に生じた熱を冷媒が吸熱する。第2吸着熱交換器(52)を通過する間に水分を奪われた第1空気は、第2排気側ダンパ(48)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン(25)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
一方、外気側通路(34)へ流入した第2空気は、第1外気側ダンパ(43)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、冷媒によって加熱された吸着剤が放湿し、吸着剤から放出された水蒸気が第2空気に付与される。第1吸着熱交換器(51)を通過する間に加湿された第2空気は、第1給気側ダンパ(45)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン(26)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
次に、加湿換気運転の第2動作について説明する。図9に示すように、この第2動作中には、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が開状態となり、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が閉状態となる。
この第2動作中の冷媒回路(50)では、図3(B)に示すように、四方切換弁(54)が第2状態に設定される。そして、この冷媒回路(50)では、除湿換気運転の第2動作中と同様に、第1吸着熱交換器(51)が蒸発器となって第2吸着熱交換器(52)が凝縮器となる。
内気側通路(32)へ流入して内気側フィルタ(27)を通過した第1空気は、第1内気側ダンパ(41)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、その表面に担持された吸着剤が第1空気から吸湿し、その際に生じた熱を冷媒が吸熱する。第1吸着熱交換器(51)を通過する間に水分を奪われた第1空気は、第1排気側ダンパ(47)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン(25)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
一方、外気側通路(34)へ流入した第2空気は、第2外気側ダンパ(44)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、冷媒によって加熱された吸着剤が放湿し、吸着剤から放出された水蒸気が第2空気に付与される。第2吸着熱交換器(52)を通過する間に加湿された第2空気は、第2給気側ダンパ(46)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン(26)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
〈単純換気運転〉
単純換気運転中における調湿装置(10)の動作について、図10を参照しながら説明する。この単純換気運転は、外気をそのまま室内へ供給しても室内の快適性が損なわれない時期(例えば、春季や秋季などの中間期)に行われる。つまり、この単純換気運転は、室内へ供給される空気の湿度調節は不要であるが、室内の換気は行う必要がある場合に実行される。
この単純換気運転では、第1バイパス用ダンパ(83)及び第2バイパス用ダンパ(84)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第2外気側ダンパ(44)、第1給気側ダンパ(45)、第2給気側ダンパ(46)、第1排気側ダンパ(47)、及び第2排気側ダンパ(48)が閉状態となる。また、単純換気運転中において、冷媒回路(50)の圧縮機(53)は停止状態となる。つまり、単純換気運転中において、冷媒回路(50)での冷凍サイクルは行われない。
単純換気運転中の調湿装置(10)において、給気ファン(26)を運転すると、室外空気が外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ取り込まれる。外気吸込口(24)を通って外気側通路(34)へ流入した室外空気は、外気側フィルタ(28)を通過後に第1バイパス通路(81)へ流入し、第1バイパス用ダンパ(83)を通って給気ファン室(36)へ流入する。給気ファン室(36)へ流入した室外空気は、給気ファン(26)へ吸い込まれ、給気口(22)を通って室内へ供給される。
また、単純換気運転中の調湿装置(10)において、排気ファン(25)を運転すると、室内空気が内気吸込口(23)からケーシング(11)内へ取り込まれる。内気吸込口(23)を通って内気側通路(32)へ流入した室内空気は、内気側フィルタ(27)を通過後に第2バイパス通路(82)へ流入し、第2バイパス用ダンパ(84)を通って排気ファン室(35)へ流入する。排気ファン室(35)へ流入した室内空気は、排気ファン(25)へ吸い込まれ、排気口(21)を通って室外へ排出される。
−ファン制御部の制御動作−
コントローラ(93)のファン制御部(94)が行う制御動作について説明する。ファン制御部(94)は、除湿換気運転と加湿換気運転のそれぞれにおいて、以下で説明する制御動作を行う。
〈吸着熱交換器の通風抵抗の変化〉
上述したように、本実施形態の吸着熱交換器(51,52)に担持されている吸着剤は、吸湿することによって膨潤して放湿することによって収縮するという特性を有している。一方、吸着熱交換器(51,52)では、一定の間隔で配置されたフィン(57)の間を空気が通過する。このため、フィン(57)の表面上に担持された吸着剤の体積が変化すると、吸着熱交換器(51,52)のうち空気が通過できる部分の面積が変化し、吸着熱交換器(51,52)の通風抵抗が変化する。
つまり、吸着熱交換器(51,52)が吸湿する過程では、吸着熱交換器(51,52)が保有する水分の量が増えるのに従って、吸着熱交換器(51,52)の通風抵抗が次第に増加してゆく。また、吸着熱交換器(51,52)が放湿する過程では、吸着熱交換器(51,52)が保有する水分の量が減るのに従って、吸着熱交換器(51,52)の通風抵抗が次第に低下してゆく。このように、調湿装置(10)の運転中には、吸着熱交換器(51,52)の吸放湿に伴ってその通風抵抗が変動する。
なお、この説明における“吸着熱交換器(51,52)の通風抵抗”は、“吸着熱交換器(51,52)の前面風速が定格値である場合に、空気が吸着熱交換器(51,52)を通過する際の圧力損失”を意味している。また、“吸着熱交換器(51,52)の前面風速”とは、“吸着熱交換器(51,52)を通過する空気の体積流量を、吸着熱交換器(51,52)の前面面積で除して得られる値”である。
図11(A)及び(B)に示すように、調湿装置(10)の運転中には、吸着熱交換器(51,52)の通風抵抗が、第1動作と第2動作の切り換えに対応して増減する。なお、図12(A)及び(B)は、それぞれ図11(A)及び(B)と同じものである。
上述したように、除湿換気運転中および加湿換気運中の調湿装置(10)では、第1動作と第2動作が所定の時間間隔で交互に繰り返し行われる。第1吸着熱交換器(51)は、第1動作中に放湿して第2動作中に吸湿する。従って、第1吸着熱交換器(51)の通風抵抗は、図11(A)に実線で示すように、第1動作中にはΔP2から次第に減少してΔP1に達し、第2動作中にはΔP1から次第に増加してΔP2に達する。一方、第2吸着熱交換器(52)は、第1動作中に吸湿して第2動作中に放湿する。従って、第2吸着熱交換器(52)の通風抵抗は、図11(B)に一点鎖線で示すように、第1動作中にはΔP1から次第に増加してΔP2に達し、第2動作中にはΔP2から次第に減少してΔP1に達する。
〈除湿換気運転中におけるファン制御部の制御動作〉
除湿換気運転中の調湿装置(10)において、給気ファン(26)は、第1動作中には吸湿中の第2吸着熱交換器(52)を通過した空気を吸い込み、第2動作中には吸湿中の第1吸着熱交換器(51)を通過した空気を吸い込む。従って、給気ファン(26)へ吸い込まれる空気が通過する吸着熱交換器(51,52)の通風抵抗は、図11(C)に示すように、第1動作中にΔP1から次第に増加してΔP2に達し、第1動作から第2動作に切り換わった時点でΔP1となり、第2動作中に再びΔP1から次第に増加してΔP2に達し、第2動作から第1動作に切り換わった時点で再びΔP1となる。
このように、除湿換気運転中の調湿装置(10)では、給気ファン(26)へ吸い込まれる空気が通過する吸着熱交換器(51,52)の通風抵抗が、周期的に増減する。このため、仮に給気ファン(26)の回転速度が一定のままだと、給気ファン(26)から吹き出される空気の流量は、第1動作中には次第に減少し、第1動作から第2動作に切り換わった時点で増加して元に戻り、第2動作中に再び次第に減少し、第2動作から第1動作に切り換わった時点で再び増加して元に戻る。
そこで、ファン制御部(94)は、給気ファン(26)から吹き出される空気の流量の変動を抑えるために、給気ファン(26)の回転速度を調節する。そして、除湿換気運転中における給気ファン(26)の回転速度は、ファン制御部(94)によって調節された結果、図11(D)に示すように、第1動作中にS1から次第に上昇してS2に達し、第1動作から第2動作に切り換わった時点で引き下げられてS1に戻り、第2動作中に再びS1から次第に上昇してS2に達し、第2動作から第1動作に切り換わった時点で再び引き下げられてS1に戻る。
なお、図11(D)では、説明を簡略化するために、第1動作と第2動作が相互に切り換わった時点で給気ファン(26)の回転速度がS2からS1に一瞬で低下するように図示されているが、実際の給気ファン(26)の回転速度が一瞬で大幅に変化することはない。実際の給気ファン(26)の回転速度は、比較的短い時間(例えば10秒程度)をかけてS2からS1に低下する。
一方、除湿換気運転中の調湿装置(10)において、排気ファン(25)は、第1動作中には放湿中の第1吸着熱交換器(51)を通過した空気を吸い込み、第2動作中には放湿中の第2吸着熱交換器(52)を通過した空気を吸い込む。従って、排気ファン(25)へ吸い込まれる空気が通過する吸着熱交換器(51,52)の通風抵抗は、図12(C)に示すように、第1動作中にΔP2から次第に低下してΔP1に達し、第1動作から第2動作に切り換わった時点でΔP2となり、第2動作中に再びΔP2から次第に低下してΔP1に達し、第2動作から第1動作に切り換わった時点で再びΔP2となる。
このように、除湿換気運転中の調湿装置(10)では、排気ファン(25)へ吸い込まれる空気が通過する吸着熱交換器(51,52)の通風抵抗が、周期的に増減する。このため、仮に排気ファン(25)の回転速度が一定のままだと、排気ファン(25)から吹き出される空気の流量は、第1動作中には次第に増加し、第1動作から第2動作に切り換わった時点で減少して元に戻り、第2動作中に再び次第に増加し、第2動作から第1動作に切り換わった時点で再び減少して元に戻る。
そこで、ファン制御部(94)は、排気ファン(25)から吹き出される空気の流量の変動を抑えるために、排気ファン(25)の回転速度を調節する。そして、除湿換気運転中における排気ファン(25)の回転速度は、ファン制御部(94)によって調節された結果、図12(D)に示すように、第1動作中にS2から次第に低下してS1に達し、第1動作から第2動作に切り換わった時点で引き上げられてS2に戻り、第2動作中に再びS2から次第に低下してS1に達し、第2動作から第1動作に切り換わった時点で再び引き上げられてS2に戻る。
なお、図12(D)では、説明を簡略化するために、第1動作と第2動作が相互に切り換わった時点で排気ファン(25)の回転速度がS1からS2に一瞬で上昇するように図示されているが、実際の排気ファン(25)の回転速度が一瞬で大幅に変化することはない。実際の排気ファン(25)の回転速度は、比較的短い時間(例えば10秒程度)をかけてS1からS2に上昇する。
ファン制御部(94)は、除湿換気運転中に用いる給気ファン(26)の回転速度の変更パターンとして、“給気ファン(26)の回転速度を第1動作または第2動作の継続時間に比例してS1からS2にまで上昇させ、第1動作と第2動作が相互に切り換えられた時点で給気ファン(26)の回転速度をS2からS1へ引き下げるパターン”を予め記憶している。また、ファン制御部(94)は、除湿換気運転中に用いる排気ファン(25)の回転速度の変更パターンとして、“排気ファン(25)の回転速度を第1動作または第2動作の継続時間に比例してS2からS1にまで低下させ、第1動作と第2動作が相互に切り換えられた時点で排気ファン(25)の回転速度をS1からS2へ引き上げるパターン”を予め記憶している。そして、除湿換気運転中において、ファン制御部(94)は、実際の給気ファン(26)及び排気ファン(25)の回転速度の変化履歴が予め記憶している除湿換気運転用の変更パターンと一致するように、給気ファン(26)及び排気ファン(25)の回転速度を調節する。
〈加湿換気運転中におけるファン制御部の制御動作〉
加湿換気運転中の調湿装置(10)において、給気ファン(26)は、第1動作中には放湿中の第1吸着熱交換器(51)を通過した空気を吸い込み、第2動作中には放湿中の第2吸着熱交換器(52)を通過した空気を吸い込む。従って、給気ファン(26)へ吸い込まれる空気が通過する吸着熱交換器(51,52)の通風抵抗は、図12(C)に示すように、第1動作中にΔP2から次第に低下してΔP1に達し、第1動作から第2動作に切り換わった時点でΔP2となり、第2動作中に再びΔP2から次第に低下してΔP1に達し、第2動作から第1動作に切り換わった時点で再びΔP2となる。
なお、加湿換気運転中と除湿換気運転中とでは、室内外の空気の状態(温度および相対湿度)が相違する。従って、ΔP1及びΔP2の値は、加湿換気運転中と除湿換気運転中とで相違する。
このように、加湿換気運転中の調湿装置(10)では、給気ファン(26)へ吸い込まれる空気が通過する吸着熱交換器(51,52)の通風抵抗が、周期的に増減する。このため、仮に給気ファン(26)の回転速度が一定のままだと、給気ファン(26)から吹き出される空気の流量は、第1動作中には次第に増加し、第1動作から第2動作に切り換わった時点で減少して元に戻り、第2動作中に再び次第に増加し、第2動作から第1動作に切り換わった時点で再び減少して元に戻る。
そこで、ファン制御部(94)は、給気ファン(26)から吹き出される空気の流量の変動を抑えるために、給気ファン(26)の回転速度を調節する。そして、加湿換気運転中における給気ファン(26)の回転速度は、ファン制御部(94)によって調節された結果、図12(D)に示すように、第1動作中にS2から次第に低下してS1に達し、第1動作から第2動作に切り換わった時点で引き上げられてS2に戻り、第2動作中に再びS2から次第に低下してS1に達し、第2動作から第1動作に切り換わった時点で再び引き上げられてS2に戻る。
なお、図12(D)では、説明を簡略化するために、第1動作と第2動作が相互に切り換わった時点で給気ファン(26)の回転速度がS1からS2に一瞬で上昇するように図示されているが、実際の給気ファン(26)の回転速度が一瞬で大幅に変化することはない。実際の給気ファン(26)の回転速度は、比較的短い時間(例えば10秒程度)をかけてS1からS2に上昇する。
一方、加湿換気運転中の調湿装置(10)において、排気ファン(25)は、第1動作中には吸湿中の第2吸着熱交換器(52)を通過した空気を吸い込み、第2動作中には吸湿中の第1吸着熱交換器(51)を通過した空気を吸い込む。従って、排気ファン(25)へ吸い込まれる空気が通過する吸着熱交換器(51,52)の通風抵抗は、図11(C)に示すように、第1動作中にΔP1から次第に増加してΔP2に達し、第1動作から第2動作に切り換わった時点でΔP1となり、第2動作中に再びΔP1から次第に増加してΔP2に達し、第2動作から第1動作に切り換わった時点で再びΔP1となる。
このように、加湿換気運転中の調湿装置(10)では、排気ファン(25)へ吸い込まれる空気が通過する吸着熱交換器(51,52)の通風抵抗が、周期的に増減する。このため、仮に排気ファン(25)の回転速度が一定のままだと、排気ファン(25)から吹き出される空気の流量は、第1動作中には次第に減少し、第1動作から第2動作に切り換わった時点で増加して元に戻り、第2動作中に再び次第に減少し、第2動作から第1動作に切り換わった時点で再び増加して元に戻る。
そこで、ファン制御部(94)は、排気ファン(25)から吹き出される空気の流量の変動を抑えるために、排気ファン(25)の回転速度を調節する。そして、加湿換気運転中における排気ファン(25)の回転速度は、ファン制御部(94)によって調節された結果、図11(D)に示すように、第1動作中にS1から次第に上昇してS2に達し、第1動作から第2動作に切り換わった時点で引き下げられてS1に戻り、第2動作中に再びS1から次第に上昇してS2に達し、第2動作から第1動作に切り換わった時点で再び引き下げられてS1に戻る。
なお、図11(D)では、説明を簡略化するために、第1動作と第2動作が相互に切り換わった時点で排気ファン(25)の回転速度がS2からS1に一瞬で低下するように図示されているが、実際の排気ファン(25)の回転速度が一瞬で大幅に変化することはない。実際の排気ファン(25)の回転速度は、比較的短い時間(例えば10秒程度)をかけてS2からS1に低下する。
ファン制御部(94)は、加湿換気運転中に用いる給気ファン(26)の回転速度の変更パターンとして、“給気ファン(26)の回転速度を第1動作または第2動作の継続時間に比例してS2からS1にまで低下させ、第1動作と第2動作が相互に切り換えられた時点で給気ファン(26)の回転速度をS1からS2へ引き上げるパターン”を予め記憶している。また、ファン制御部(94)は、加湿換気運転中に用いる排気ファン(25)の回転速度の変更パターンとして、“排気ファン(25)の回転速度を第1動作または第2動作の継続時間に比例してS1からS2にまで上昇させ、第1動作と第2動作が相互に切り換えられた時点で排気ファン(25)の回転速度をS2からS1へ引き下げるパターン”を予め記憶している。そして、加湿換気運転中において、ファン制御部(94)は、実際の給気ファン(26)及び排気ファン(25)の回転速度の変化履歴が予め記憶している加湿換気運転用の変更パターンと一致するように、給気ファン(26)及び排気ファン(25)の回転速度を調節する。
なお、上述したように、調湿装置(10)の運転中における吸着熱交換器(51,52)の通風抵抗の最小値ΔP1と最大値ΔP2は、加湿換気運転中と除湿換気運転中とで異なる値となる。従って、給気ファン(26)及び排気ファン(25)の回転速度の最小値S1と最大値S2も、加湿換気運転中と除湿換気運転中とで異なる値となる。
−実施形態の効果−
本実施形態では、吸湿することにより膨潤して放湿することにより収縮する吸着剤が吸着熱交換器(51,52)に設けられており、吸着熱交換器(51,52)の通風抵抗は、吸着熱交換器(51,52)が保有する水分の量に応じて変動する。また、本実施形態において、ファン制御部(94)は、吸着熱交換器(51,52)が保有する水分の量に応じて、給気ファン(26)及び排気ファン(25)の回転速度を調節する。従って、本実施形態によれば、吸着熱交換器(51,52)を通過して室内へ供給される空気の流量や、吸着熱交換器(51,52)を通過して室外へ排出される空気の流量の変動を抑制することができ、在室者の快適性を確保することができる。
また、本実施形態のファン制御部(94)は、予め記憶している給気ファン(26)及び排気ファン(25)の回転速度の変更パターンのうち実行中の運転モードに対応するものを選び出し、その選び出した変更パターンに沿って給気ファン(26)及び排気ファン(25)の回転速度を調節する。つまり、本実施形態のファン制御部(94)は、複雑な制御動作は行わず、予め記憶する変更パターンに沿って給気ファン(26)及び排気ファン(25)の回転速度を調節する。従って、本実施形態によれば、ファン制御部(94)に簡素な制御動作を行わせることによって、室内へ供給される空気の流量の変化を抑えることができる。
−実施形態の変形例1−
本実施形態の調湿装置(10)において、コントローラ(93)のファン制御部(94)は、予め記憶する変更パターンに基づくのではなく、実際の調湿装置(10)の運転状態を示す各種センサの計測値に基づいて給気ファン(26)及び排気ファン(25)の回転速度を調節するように構成されていてもよい。
〈第1変形例〉
第1変形例のファン制御部(94)について説明する。
本変形例のファン制御部(94)には、内気温湿度センサ(96)の計測値と、外気温湿度センサ(97)の計測値とが入力されている。また、図示しないが、本変形例の冷媒回路(50)には、圧縮機(53)へ吸入される冷媒の圧力を計測する吸入圧力センサと、圧縮機(53)から吐出された冷媒の圧力を計測する吐出圧力センサとが接続されており、これら圧力センサの計測値がファン制御部(94)へ入力される。
本変形例のファン制御部(94)は、吸入圧力センサの計測値から冷媒の蒸発温度を算出し、吐出圧力センサの計測値から冷媒の凝縮温度を算出する。冷媒の蒸発温度および凝縮温度と、吸着熱交換器(51,52)を通過する空気の温度および相対湿度とが分かれば、一回の第1動作または第2動作において吸着熱交換器(51,52)が吸放湿する水蒸気の量を推定することができる。そして、一回の第1動作または第2動作において吸着熱交換器(51,52)が吸放湿する水蒸気の量が分かれば、その値から第1動作中または第2動作中における吸着熱交換器(51,52)の通風抵抗の変化量を推測できる。
そこで、ファン制御部(94)は、算出した冷媒の蒸発温度および凝縮温度と、内気温湿度センサ(96)及び外気温湿度センサ(97)の計測値とに基づき、第1動作中または第2動作中における吸着熱交換器(51,52)の通風抵抗の変化量(即ち、通風抵抗の最小値ΔP1と最大値ΔP2)を推測し、その値に基づいて給気ファン(26)及び排気ファン(25)の回転速度の変更幅(即ち、回転速度の最小値S1と最大値S2)を決定する。そして、ファン制御部(94)は、決定した回転速度の変更幅に基づいて、給気ファン(26)及び排気ファン(25)の回転速度を調節する。本変形例のファン制御部(94)は、各センサの計測値から給気ファン(26)及び排気ファン(25)の回転速度の変更幅を決定する動作を、所定の時間間隔(例えば1時間毎)に繰り返し行う。
〈第2変形例〉
第2変形例のファン制御部(94)について説明する。
本変形例のファン制御部(94)には、内気温湿度センサ(96)の計測値と、外気温湿度センサ(97)の計測値とが入力されている。また、図示しないが、本変形例の調湿装置(10)には、給気ファン(26)のファンモータ(89)の消費電力と、排気ファン(25)のファンモータ(89)の消費電力とを個別に計測する電力計が設けられており、この電力計の計測値がファン制御部(94)へ入力される。
本変形例のファン制御部(94)は、ファン(25,26)へ向かって流れる空気の状態(温度および相対湿度)と、ファン(25,26)から吹き出される空気の流量が定格値となる場合におけるファンモータ(89)の消費電力との関係を予め記憶している。このファン制御部(94)は、予め記憶する関係と内気温湿度センサ(96)及び外気温湿度センサ(97)の計測値とに基づいて、各ファン(25,26)のファンモータ(89)の消費電力の目標値を設定する。そして、このファン制御部(94)は、各ファン(25,26)のファンモータ(89)の消費電力の実測値(即ち、電力計の計測値)が設定した目標値となるように、各ファン(25,26)の回転速度を調節する。このようにファン制御部(94)が各ファン(25,26)の回転速度を調節すると、各ファン(25,26)吹き出される空気の流量が定格値に保たれる。
〈参考例〉
参考例のファン制御部(94)について説明する。
図13に示すように、本参考例の調湿装置(10)には、給気側風速センサ(98)と排気側風速センサ(99)とが設けられている。給気側風速センサ(98)は、給気ファン室(36)に設けられており、給気ファン(26)へ吸い込まれる空気の流速を計測する計測器を構成している。排気側風速センサ(99)は、排気ファン室(35)に設けられており、排気ファン(25)へ吸い込まれる空気の流速を計測する計測器を構成している。
本参考例のファン制御部(94)には、給気側風速センサ(98)の計測値と、排気側風速センサ(99)の計測値とが入力される。一方、ファン制御部(94)は、給気ファン(26)から吹き出される空気の流量が定格値となる場合における給気ファン室(36)内の風速を、目標給気側風速として記憶し、排気ファン(25)から吹き出される空気の流量が定格値となる場合における排気ファン室(35)内の風速を、目標排気側風速として記憶している。そして、ファン制御部(94)は、給気側風速センサ(98)の計測値が目標給気側風速となるように給気ファン(26)の回転速度を調節し、排気側風速センサ(99)の計測値が目標排気側風速となるように排気ファン(25)の回転速度を調節する。
−実施形態の変形例2−
本実施形態、上記第1〜第2変形例および参考例のそれぞれにおいて、ファン制御部(94)は、給気ファン(26)の回転速度だけを調節し、排気ファン(25)の回転速度を一定に保持する動作を制御動作として行うように構成されていてもよい。具体的に、本変形例のファン制御部(94)は、給気ファン(26)の回転速度を、吸着熱交換器(51,52)の通風抵抗の変化に応じて、最小値S1と最大値S2の間で増減させる。一方、このファン制御部(94)は、排気ファン(25)の回転速度を、給気ファン(26)の回転速度の最小値S1と最大値S2の中間の値に保持する。
本変形例の調湿装置(10)において、排気ファン(25)から室外へ向けて吹き出される空気の流量は、吸着熱交換器(51,52)の通風抵抗が変化するのにつれて変動する。しかしながら、調湿装置(10)から室内へ供給される空気の流量が概ね一定に保たれていれば、室内から室外へ排出される空気の流量が多少変動しても、室内の快適性はさほど損なわれない。従って、本変形例のように、室内の快適性に及ぼす影響が大きい給気ファン(26)の回転速度だけを調節し、室内の快適性に及ぼす影響が小さい排気ファン(25)の回転速度を一定に保つようにしてもよい。
−実施形態の変形例3−
上記第1〜第2変形例および参考例のそれぞれにおいて、ファン制御部(94)は、給気ファン(26)や排気ファン(25)の回転速度を定期的に記録し、記録した回転速度の値に基づいてトラブルの有無を診断するように構成されていてもよい。例えば、給気ファン(26)や排気ファン(25)の回転速度が想定した変動範囲よりも高くなっている場合は、例えば“吸着熱交換器(51,52)に汚れが蓄積してその通風抵抗が異常に上昇している”といったトラブルが発生しているおそれがある。そこで、本変形例のファン制御部(94)は、記録した回転速度の値に基づいてトラブルの有無を診断し、何らかのトラブルが発生していると推測される場合には、リモコン等の表示部にその旨の警報を表示する。
−実施形態の変形例4−
本実施形態、各変形例および参考例では、調湿装置(10)が次のように構成されていてもよい。
図14に示すように、本変形例の調湿装置(10)は、冷媒回路(100)と2つの吸着素子(111,112)とを備えている。冷媒回路(100)は、圧縮機(101)と凝縮器(102)と膨張弁(103)と蒸発器(104)が順に接続された閉回路である。冷媒回路(100)で冷媒を循環させると、蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。この冷媒回路(100)は、熱源手段を構成している。第1吸着素子(111)及び第2吸着素子(112)は、上記実施形態と同じ吸着剤(即ち、吸放湿に伴って体積が変化する吸着剤)を備えており、それぞれが調湿用素子を構成している。また、各吸着素子(111,112)には多数の空気通路が形成されており、この空気通路を通過する際に空気が吸着剤と接触する。
この調湿装置(10)は、第1動作と第2動作を繰り返す。図14(A)に示すように、第1動作中の調湿装置(10)は、凝縮器(102)で加熱された空気を第1吸着素子(111)へ供給して吸着剤を再生する一方、第2吸着素子(112)に水分を奪われた空気を蒸発器(104)で冷却する。また、図14(B)に示すように、第2動作中の調湿装置(10)は、凝縮器(102)で加熱された空気を第2吸着素子(112)へ供給して吸着剤を再生する一方、第1吸着素子(111)に水分を奪われた空気を蒸発器(104)で冷却する。そして、この調湿装置(10)は、吸着素子(111,112)を通過する際に除湿された空気を室内へ供給する除湿運転と、吸着素子(111,112)を通過する際に加湿された空気を室内へ供給する加湿運転とを切り換えて行う。
−実施形態の変形例5−
本実施形態、各変形例および参考例では、調湿装置(10)が次のように構成されていてもよい。
図15に示すように、本変形例の調湿装置(10)は、調湿ユニット(150)を備えている。この調湿ユニット(150)は、ペルチェ素子(153)と一対の吸着フィン(151,152)とを備えている。吸着フィン(151,152)は、いわゆるヒートシンクの表面に上記実施形態と同じ吸着剤(即ち、吸放湿に伴って体積が変化する吸着剤)を担持させたものである。この吸着フィン(151,152)は、調湿用素子を構成している。ペルチェ素子(153)は、その一方の面に第1吸着フィン(151)が、他方の面に第2吸着フィン(152)がそれぞれ接合されている。ペルチェ素子(153)に直流を流すと、2つの吸着フィン(151,152)の一方が吸熱側になって他方が放熱側になる。
この調湿装置(10)は、第1動作と第2動作を繰り返す。第1動作中の調湿ユニット(150)は、放熱側となった第1吸着フィン(151)の吸着剤を再生して空気を加湿する一方、吸熱側となった第2吸着フィン(152)の吸着剤に吸湿させて空気を除湿する。また、第1動作中の調湿ユニット(150)は、放熱側となった第2吸着フィン(152)の吸着剤を再生して空気を加湿する一方、吸熱側となった第1吸着フィン(151)の吸着剤に吸湿させて空気を除湿する。そして、この調湿装置(10)は、調湿ユニット(150)を通過する際に除湿された空気を室内へ供給する除湿運転と、調湿ユニット(150)を通過する際に加湿された空気を室内へ供給する加湿運転とを切り換えて行う。
−実施形態の変形例6−
本実施形態、各変形例および参考例の冷媒回路(50)では、冷凍サイクルの高圧が冷媒の臨界圧力よりも高い値に設定される超臨界サイクルを行ってもよい。その場合、第1吸着熱交換器(51)及び第2吸着熱交換器(52)は、その一方がガスクーラとして動作し、他方が蒸発器として動作する。
また、本実施形態、各変形例および参考例の調湿装置(10)では、第1吸着熱交換器(51)及び第2吸着熱交換器(52)に対して冷水や温水を供給することで、吸着剤の加熱や冷却を行ってもよい。この場合には、冷水や温水を吸着熱交換器(51,52)へ供給するための管路が、冷却用の熱媒体である冷水と加熱用の熱媒体である温水とが流れる熱媒体回路を構成している。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。