JP5401297B2 - 配線構造材、これを用いた屋内配線構造、及び該屋内配線構造を用いた屋内配線システム - Google Patents
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Description
このような配線構造では、例えば、コンセント及びスイッチ等の各種配線器具や、照明器具及び空調機器等の各種電気機器の接続器具を移設する必要が生じた場合、並びに、これら各種電気機器の接続器具や、上記各種の配線器具を新たに増設する必要が生じた場合には、比較的、大掛かりな作業が必要となる。例えば、既設の建築仕上材(天井材や床材、内装壁材など)を除去して配線工事を施した後、新たな建築仕上材を施工したり、建築仕上材に、配線用の穿孔等を設け、適宜の仕上げ加工を施したりする必要があった。また、鉄筋コンクリート造の建築物において、直床や直天井、直壁仕上げ等の構造とされている場合には、予め配線用の配管を埋設施工している場合が多い。このような構造では、各種器具の移設や増設、配線態様の変更自体が困難となり、配線用のモール等を露出させて這わせるように配線して各種器具を施工する必要があり、見栄えが悪くなるという問題もあった。
また、下記特許文献5では、天井側の内側接線部領域(入隅部)に沿って上部アウタービームを架設し、床面側の入隅部に沿って巾木を支持する下部アウタービームを設け、これら上下アウタービームに、配線引き回し空間を設けた構造体支持構造が提案されている。このものでは、上部アウタービームに形成した下方に向けて開口する支持部と、下部アウタービームに形成した上方に向けて開口する支持部とによって、パネル材を支持する構造とされている。
このような構造では、交換やリフォーム等のために壁パネルを取り外したい場合や、新たに壁パネルを施工したい場合には、巾木等の建築部材乃至は上下アウタービームを取り外し、さらに必要により既設の壁パネルを取り外すなどして、新たな壁パネルを施工する必要があった。
また、当該配線構造材は、天井側及び床側の入隅部の両方またはいずれか一方に沿って配設される、比較的、長尺のものであるので、所望部位において屋内空間側に引き出した配線を各種器具に接続できる。従って、各種器具の移設や増設を容易に行うことができる。
つまり、当該配線構造材を天井側及び床側の入隅部の両方またはいずれか一方に沿って配設し、電力線や情報線などの配線を通線部に通しておくことで、屋内空間に、給電基盤乃至は通信基盤となる配線を予め設けておくことができ、また、屋内空間のリフォーム等を容易に行うことができる。
また、上記固定保持部及び通線部を被装するように形成されたカバー部を備えているので、固定保持部に止着された固定止具や通線部の配線が露出せず、見栄えが良い。
このような構成とすれば、ベース構造材の通線部に配線し、固定保持部に壁パネルの端部や、取付対象器具を固定保持させることができる。
また、カバー体をベース構造材から取り外すことで、ベース構造材の通線部に通された配線のメンテナンスや、各種器具の移設や増設等をより容易に行うことができる。
このような構成とすることで、各種器具の移設や増設を容易に行うことができるとともに、壁パネルなどの施工性を向上させることができる。
このような構成とすれば、機能壁パネルに設けられた電気機器への給電や各種信号の送受信等を、配線構造材に配線された電力線や情報線を通じて行うことができる。
このような構成とすれば、縦配線部材を用いて、屋内空間に引き込んだ配線を、天井側の配線構造材側から床側の配線構造材側、または床側の配線構造材側から天井側の配線構造材側へ配線することができる。
前記縦配線部材としては、前記壁部の縦隅部に沿って配設される縦隅部材としてもよい。
また、前記縦配線部材としては、壁パネルとしてもよい。
このような構成とすれば、外部から引き込んだ幹線と、配線構造材の通線部に通した配線とを、幹線引込ジョイントボックスにおいて接続することで、該幹線引込ジョイントボックスを起点として配線構造材を用いて屋内の隅々に配線することができる。
このような構成とすれば、屋内に設けられた各種設備機器への給電や各種信号の送受信等を、配線構造材に配線された電力線や情報線を通じて行うことができる。
図1〜図13は、本実施形態に係る配線構造材、これを用いた屋内配線構造、及び該屋内配線構造を用いた屋内配線システムについて説明するための説明図である。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
また、図2、図9及び図11(a)、(b)では、天井材の図示を省略して天井側から見た状態を示している。
また、以下の実施形態において指す表面(手前)及び裏面(背面)は、屋内空間側から見た状態を基準として説明する。
廻縁構造材10は、屋内空間における壁部を構成する壁材4と、屋内空間における天井部を構成する天井材7とが交差する天井側入隅部2に沿って配設されるとともに、通線部21を有している。
巾木構造材30は、壁材4と、屋内空間における床部を構成する床材8とが交差する床側入隅部3に沿って配設されるとともに、通線部41を有している。これら廻縁構造材10と、巾木構造材30とによって、後記する壁パネル80が固定保持される。
縦入隅部材50は、これら廻縁構造材10と巾木構造材30とを接続するように、隣接する壁材4,4同士が交差する壁部の縦入隅部5に沿って配設されるとともに、通線部52を有している(図3(b)参照)。
また、天井側入隅部2,2に沿って縦入隅部5に向けてそれぞれ配設された廻縁構造材10,10の縦入隅部側端部間、つまり、天井側入隅部2,2同士が交差する屋内空間の天井側入隅角部近傍には、幹線引込ジョイントボックス60が配設されている(図2及び図3(a)参照)。
一方、床側入隅部3,3に沿って縦入隅部5に向けてそれぞれ配設された巾木構造材30,30の縦入隅部側端部間、つまり、床側入隅部3,3同士が交差する屋内空間の床側入隅角部近傍には、分岐ジョイントボックス70が配設されている(図2及び図3(c)参照)。
これら幹線引込ジョイントボックス60と分岐ジョイントボックス70との間に、縦入隅部材50が配設されている。
また、縦入隅部材50の通線部52に通された配線C3,C4の他端部と、縦入隅部5に向けてそれぞれ配設された巾木構造材30,30の各通線部41,41に通された各配線C3,C4の一端部とを、分岐ジョイントボックス70において接続している。
これら幹線C1,C2及び配線C3,C4としては、電力線(電線)や情報線(信号線)等が挙げられ、電力線としては、100Vや200V等の交流電源が送電される交流電圧線、直流電源が送電される直流電圧線等が挙げられる。また、情報線としては、映像信号や音声信号、その他、各種の信号等が送信される各種ケーブルや光ファイバー等が挙げられる。
また、屋内空間の外部から引き込まれる幹線C1,C2の他端部は、例えば、建物内の適所に配設された分電盤等に接続されている。
施工下地としては、固定手段の態様にもよるが、固定止具Sを採用する場合には、固定止具Sの保持強度が保たれるように、例えば、壁材4の裏面側に設けられた下地壁4Aを構成する内壁胴縁6や、間柱、桟部材等を施工下地としてもよい。また、天井材7の裏面側に設けられた天井野縁6Aや、床材8の裏面側に設けられた下地床8Aを構成する根太等を施工下地としてもよい。
また、壁クロスや壁紙等が貼着された壁仕上げ面や天井仕上げ面等を施工下地として把握してもよく、または、それらを剥離させ、石膏ボードや合板捨張下地等の下地ボードを露出させて、それらを施工下地として把握してもよい。または、このような下地ボード等を施工せずに、内壁胴縁6や、間柱、桟部材等自体を、施工下地として把握するようにしてもよい。この場合は、後記するように、屋内空間の内壁の略全周に亘って、本実施形態に係る配線構造材によって壁パネル80を保持させるようにしてもよい。
廻縁構造材10は、図4に示すように、ベース構造材としての廻縁ベース20及びベース固定具26と、このベース構造材に着脱可能に取り付けられるカバー体としての廻縁カバー11とを備えている。
このベース固定具26の水平片部26aの先端部(手前側端部)には、この水平片部26aから段下がり状に形成された係合部29が設けられている。この係合部29には、上方に向けて突出するとともに、当該廻縁構造材10の長手方向と同方向に沿って形成された係止突条29aが設けられている。
このベース固定具26は、水平片部26aを天井材7の表面に当接させるとともに、鉛直片部26bを壁材4の表面に当接させ、天井側入隅部2に沿って適宜、間隔を空けて配設される。また、このベース固定具26は、水平片部26a及び鉛直片部26bのそれぞれに設けられた止具挿通孔を介して、例えば、ねじ等の固定止具Sを挿通させ、固定止具Sにより施工下地4(6,7,6A)に対して固定される(図1参照)。
各通線部21は、縦断面形状が、上方に向けて開口する略コ字状(略C字状乃至は略U字状)とされ、最下段の通線部21の背面側には、下方に向けて垂下片22が垂設されている。この垂下片22は、壁パネル80の上端部81を保持する保持部として機能し、この垂下片22に、壁パネル80の上端部81がねじ等の固定止具Sにより着脱可能に固定保持される。また、この垂下片22の上端部近傍部位には、手前側に向けて開口するとともに、当該廻縁ベース20の長手方向と同方向に沿って形成された係合凹溝22aが設けられている。この係合凹溝22aには、後記する取付対象器具としての制御ユニット89の背面側に設けられた係合突片部89bが係合する(図1参照)。
中段の通線部21の背面側には、ベース固定具26のベース受部27と互いに係合する鉤状の係合片部24が設けられており、最上段の通線部21の背面側片部25が、ベース固定具26のベース保持ガイド凹溝28に係合する形状とされている。ベース保持ガイド凹溝28は、この背面側片部25の上下動を許容し得るよう形成されている。
なお、廻縁ベース20は、廻縁カバー11と同様の合成樹脂製とされたものとしてもよい。
この廻縁カバー11は、平板状の手前面部12と、この手前面部12の上端から背面側に向けて延びるように連成された天面部13と、手前面部12の下端から背面側に向けて延びるように連成された底面部14とを備えている。
天面部13の先端部(背面側端部)裏面には、ベース固定具26の係止突条29aに係止される係止凹溝13aが当該廻縁カバー11の長手方向の全長に亘って形成されている。
また、上記のように固定された状態では、廻縁ベース20の垂下片22が壁材4に沿うように、その裏面が壁材4の表面に当接している。
なお、本実施形態では、廻縁構造材10のベース構造材として、廻縁ベース20とベース固定具26とからなるものを例示しているが、ベース固定具を設けずに、廻縁ベース20を直接、施工下地に対して固定するようにしてもよい。この場合は、廻縁ベースに対して、廻縁カバーを着脱可能に取り付け得るよう、廻縁ベース及び廻縁カバーのそれぞれに、互いに係合する係合部を設けるようにすればよい。
巾木ベース40は、上記同様の金属製乃至は合成樹脂製とされ、比較的、長尺に形成されており、廻縁ベース20と同様、長手方向の全長に亘って延びる複数本(図例では三本)の通線部41を、上下に積層させるように有している。
各通線部41は、縦断面形状が、手前に向けて開口する略コ字状(略C字状乃至は略U字状)とされ、各通線部41に通された配線C3,C4が容易に抜け出ないように、各通線部41の手前側には、上方に向けて突出する突片部が設けられている。
また、最下段の通線部41の手前側には、固定止具Sが止着される固定下片部42が連成されている。この固定下片部42の手前側には、上方かつ手前側に向けて屈曲させるように鉤状に形成されたカバー受部43が形成されている。
また、この立上片部45の上端部には、背面側に段部が形成されるようにして係合部46が形成されている。この係合部46には、背面側に向けて開口するとともに、当該巾木ベース40の長手方向と同方向に沿って形成された係止凹溝46aが設けられている。
なお、図1では、壁パネル80の上端部81及び下端部83をそれぞれに固定保持する廻縁ベース20の垂下片22及び巾木ベース40の立上片部45を、固定止具が貫通し、該固定止具の先端が施工下地4にまで至っている例を示しているが、このような態様に限られず、これら垂下片22及び立上片部45の厚み内に、固定止具が止まるような止着態様としてもよい。
天面部33の先端部(背面側端部)には、下方に向けて屈曲させるように形成された係合片部35が連成されており、この係合片部35の手前面には、巾木ベース40の係止凹溝46aに係止する係止突条35aが当該巾木カバー31の長手方向に沿って形成されている。
なお、図5において、符号33aは、天面部33の裏面に形成され、受入開口36の切除を容易にするための切欠溝である。
また、図5では、上記した係合片部35及び天面部33の一部を切除して形成された切欠き形状の受入開口36を例示しているが、壁パネル80の下端部83の横断面形状に合わせて、平面視矩形状とされた受入開口としてもよい。
縦入隅ベース51は、上記同様の金属製乃至は合成樹脂製とされ、比較的、長尺に形成されており、廻縁ベース20及び巾木ベース40と同様、長手方向の全長に亘って延びる複数本(図例では三本)の通線部52を、水平方向(左右方向)に並列させるように有している。
各通線部52は、横断面形状が、概ね手前に向けて開口する略コ字状(略C字状乃至は略U字状)とされており、各通線部52に通された配線C3,C4が容易に抜け出ないよう、各通線部52の側壁間が奥側よりも手前側が幅狭となるように形成されている。
縦入隅カバー59は、上記同様の金属製乃至は合成樹脂製とされ、比較的、長尺に形成されており、図3(b)に示すように、平板状の手前面部59aと、この手前面部59aの両側部に連成され、縦入隅部5近傍の隣接する壁材4,4のそれぞれの表面に向けて延びるように形成された両側面部59b,59bとを有している。
なお、上記した廻縁構造材10及び巾木構造材30と同様、縦入隅ベースに対して、縦入隅カバーを着脱可能に取り付け得るよう、縦入隅ベース及び縦入隅カバーのそれぞれに、互いに係合する係合部を設けるようにしてもよい。
また、上記した廻縁ベース20、ベース固定具26、巾木ベース40及び縦入隅ベース51の固定止具等が止着される部位には、適宜、固定止具の止着箇所の目安乃至は位置決めとして、長手方向に沿って凹溝を設けるようにしてもよい。
中間接続部65には、図6(a)、(b)に示すように、上記した廻縁構造材10,10の各通線部21,21の配線C3,C4がそれぞれに接続される接続端子63,64が、当該中間接続部65の四周側面部のうちの隣接する二側面部のそれぞれに設けられている。これら中間接続部65の接続端子63,64は、当該幹線引込ジョイントボックス60が、引込孔Hに取り付けられるとともに、上記した各廻縁構造材10,10が、天井側入隅部2,2に沿って配設された状態で、各廻縁構造材10,10の各通線部21,21側に向くように設けられている(図11(b)も参照)。
下接続部67には、図6(b)に示すように、上記した縦入隅部材50の通線部52の配線C3,C4がそれぞれに接続される接続端子63,64が設けられている。
カバー69は、図3(a)及び図6(b)に示すように、縦入隅部5に向けて配設された各廻縁構造材10,10の縦入隅部5側の各端部を受け入れる切欠部69a,69aが両側に設けられ、下部側には、上記した縦入隅カバー59の上端部を受け入れて保持する押え部69bが設けられている。
なお、幹線引込ジョイントボックス60に対して、カバー69を着脱可能に取り付け得るよう、幹線引込ジョイントボックス60及びカバー69のそれぞれには、互いに係合する係合部が設けられている。
分岐接続部75には、上記した巾木構造材30,30の各通線部41,41の配線C3,C4がそれぞれに接続される接続端子73,74が、当該分岐接続部75のそれぞれの先端部に設けられている。これら分岐接続部75の接続端子73,74は、当該分岐ジョイントボックス70が、上記床側入隅角部に配設されるとともに、上記した各巾木構造材30,30が、床側入隅部3,3に沿って配設された状態で、各巾木構造材30,30の各通線部41,41側に向くように設けられている(図11(c)も参照)。
カバー79は、図3(b)、(c)及び図7(b)に示すように、縦入隅部5に向けて配設された各巾木構造材30,30の縦入隅部5側の各端部を受け入れて被装する巾木カバー部79a,79aを床側両側に有し、上部側には、上記した縦入隅カバー59の下端部を受け入れて保持する押え部79bが設けられている。
なお、分岐ジョイントボックス70に対して、カバー79を着脱可能に取り付け得るよう、分岐ジョイントボックス70及びカバー79のそれぞれには、互いに係合する係合部が設けられている。
また、これら幹線引込ジョイントボックス60及び分岐ジョイントボックス70としては、接続端子を備えたブロック状体とされたものに限られず、開閉可能な蓋を備えた容器状のジョイントボックスとし、その内部において幹線と各配線乃至は各配線同士を結線する構造とされたものとしてもよい。
この機能壁パネル80の上端部81には、ねじ等の固定止具Sが挿通される止具挿通孔82(図10参照)が形成されており、上記した廻縁構造材10に設けられた保持部としての垂下片22に対して、固定止具Sを用いて着脱可能に固定されるとともに、保持される。
この機能壁パネル80の下端部83には、固定止具Sが挿通される止具挿通孔84(図10参照)が形成されており、上記した巾木構造材30に設けられた保持部としての立上片部45に対して、固定止具Sを用いて着脱可能に固定されるとともに、保持部としての係合凹部44に着脱可能に保持される。
制御ユニット89は、図10及び図11(b)に示すように、略直方体形状とされ、その上部には、ボルト等の固定止具Bが挿通される止具挿通孔が形成された固定突片89aが上方に向けて突設されている。また、制御ユニット89の背面側上縁部には、背面側に向けて突出した係合突片部89bが設けられている。
この制御ユニット89は、図1及び図10に示すように、廻縁構造材10に設けられた保持部としての鉤状の係合片部23に、係止具9を係止させ、この係止具9に対して、固定止具としてのボルトB及びナットNを用いて着脱可能に固定されるとともに、保持される。
この機能壁パネル80の面状ヒーター85には、図2に示すように、制御ユニット89を介して、または直接的に、上記した廻縁構造材10の各通線部21に通された配線C3,C4が接続される。
また、本実施形態では、制御ユニット89を備えた機能壁パネル80を例示しているが、このような制御ユニットを備えない機能壁パネルとしてもよい。この場合は、廻縁カバーの縦断面形状を、上記収容空間が形成されないような形状としてもよい。または、制御ユニットを内蔵した機能壁パネルとしてもよい。
さらには、本実施形態に係る廻縁構造材10及び巾木構造材30によって固定保持される壁パネルとしては、上記のような機能性を有した機能壁パネルに限られず、基材の表面に表面化粧板等を積層した化粧壁パネルとしてもよい。
<幹線引込接続工程>
まず、図8(a)に示すように、天井側入隅角部近傍の天井材7に、引込孔Hを設けておき、この引込孔Hを介して屋内空間の外部から幹線C1,C2を引き込み、幹線引込ジョイントボックス60の各接続端子に接続する。
次いで、図8(b)に示すように、幹線引込ジョイントボックス60の上接続部66(図6(a)参照)を、引込孔Hに嵌め入れ、固定止具を用いて、天井側入隅角部に固定する。
また、廻縁ベース20を固定保持するベース固定具26を、天井側入隅部2に沿って所定間隔を空けて、固定止具を用い、天井側入隅部2に固定する。
また、天井側入隅角部に配設された幹線引込ジョイントボックス60に向けて、各廻縁ベース20,20を、ベース固定具26に固定保持させ、それぞれの天井側入隅部2,2に沿って配設する(図9(a)も参照)。
この際、各廻縁ベース20の長さ寸法を、各天井側入隅部2の長さに応じて、床上で調整しておくようにしてもよい。また、廻縁ベース20が所定長さに形成されている場合には、天井側入隅部2の長さに応じて、床上で長手方向端部同士を接続してから、持ち上げ、ベース固定具26に取り付けるようにしてもよい。
また、縦入隅部材50の縦入隅ベース51を、固定止具を用いて、縦入隅部5に固定する。
この際、上記廻縁ベース20と同様、床側入隅部3や縦入隅部5の長さに応じて、各巾木ベース40や縦入隅ベース51の長さ寸法を調整しておくようにしてもよく、また、これらが所定長さに形成されている場合には、長手方向端部同士を突き合わせて接続するようにしてもよい。
また、分岐ジョイントボックス70を、固定止具を用いて、床側入隅角部に固定する。
上記のように、廻縁ベース20及び巾木ベース40を各入隅部2,3に固定した後、図9(b)及び図10に示すように、機能壁パネル80を、これら廻縁ベース20及び巾木ベース40に取り付ける。
この際、機能壁パネル80の背面側に設けられた引掛金具87に対応させて、壁材4の表面に、受金具88を固定しておき、これら受金具88と引掛金具87とを係合させるとともに、機能壁パネル80の下端部83を、巾木ベース40の係合凹部44に嵌め入れ、仮保持させる。
次いで、固定止具Sを用いて、機能壁パネル80の上端部81を廻縁ベース20の垂下片22に固定し、下端部83を巾木ベース40の立上片部45に固定する。
また、制御ユニット89を、廻縁ベース20の係合片部23に係止された係止具9に対して、ボルトB及びナットNを用いて固定する。
上記のように各配線部材及び壁パネルを取り付けた状態では、図11(a)に示すように、幹線引込ジョイントボックス60には、引込孔Hを介して屋内空間に引き込まれた幹線C1,C2が接続され、廻縁ベース20、縦入隅ベース51及び巾木ベース40の各通線部21,52,41は、屋内空間に露出した状態であり、本実施形態では、このように各通線部21,52,41を露出させた状態で、容易に配線、接続等を行うことができる。
また、図11(b)、(c)に示すように、縦入隅ベース52に、配線C3,C4を通して配線し、各配線C3,C4の一端部を、幹線引込ジョイントボックス60に接続し、各配線C3,C4の他端部を、分岐ジョイントボックス70に接続する。
また、図11(c)に示すように、各巾木ベース40の各通線部41に、配線C3,C4を通して配線し、各配線C3,C4の一端部を、分岐ジョイントボックス70に接続する。
上記のように、各通線部21,52,41に各配線C3,C4を配線し、各ジョイントボックス60,70において接続した後、各部にカバーを取り付ける。
まず、廻縁カバー11及び巾木カバー31の長さを切断等により調整し、各ベース20,40に、それぞれ取り付ける。
また、縦入隅カバー59の長さを切断等により調整し、縦入隅部5に取り付ける。または、縦入隅ベース51に対して着脱可能に取り付ける。
また、分岐ジョイントボックス70に、カバー79を取り付け、床側入隅角部に向けて、それぞれの入隅部に沿って配設された各巾木カバー31,31及び縦入隅カバー59の床側入隅角部側の端部をカバーする(図1〜図3参照)。
この状態では、各ベース20,40,51及び各ジョイントボックス60,70は、各カバー11,31,59,69,79によって被装されており、各部に止着された固定止具や各通線部21,41,52に通された配線C3,C4が露出せず、見栄えが良い。
なお、上記した施工手順は、一例であり、施工順序等は、上記各部材の機能を阻害しないように、別順序でなされるようにしてもよい。
また、廻縁構造材10及び巾木構造材30は、天井側、床側の各入隅部に沿って配設される、比較的、長尺のものであるので、所望部位において屋内空間側に引き出した配線を各種器具に接続できる。従って、各種器具の移設や増設を容易に行うことができる。
つまり、廻縁構造材10、巾木構造材20及び縦入隅部材50を、各入隅部に沿って配設し、電力線や情報線などの配線C3,C4を各通線部21,41,52に通しておくことで、屋内空間に、給電基盤乃至は通信基盤となる配線を予め設けておくことができ、また、屋内空間のリフォーム等を容易に行うことができる。
さらに、本実施形態では、縦入隅部材50も同様、各ジョイントボックス60,70のカバー69,79を取り外すことで、縦入隅カバー59を容易に取り外すことができ、縦入隅ベース51の通線部52に通された配線C3,C4のメンテナンスや、各種器具の移設や増設等をより容易に行うことができる。
図12(a)は、例えば戸建住宅等の木造建築物の一例を示し、リビングやダイニング、居室等の区画R1と、廊下や洗面所等の区画R2とが間仕切壁4によって間仕切られた例を示している。また、区画R1に、屋内配線構造1を施工した例を示している。
このような木造建築物においては、区画R1の天井材7に引込孔Hを設け、区画R1の天井裏空間7Aを介して配線された幹線C1,C2を、引込孔Hを介して引き込み、幹線引込ジョイントボックス60に接続するようにしてもよい。
または、区画R1の天井裏空間7Aと、区画R2の天井裏空間7Bとを連通させるように、間仕切壁4に引込孔H1をさらに設け、区画R2の天井裏空間7Bを介して配線された幹線C1,C2を、引込孔H1及び区画R1の天井裏空間7A、及び引込孔Hを介して引き込み、幹線引込ジョイントボックス60に接続するようにしてもよい。
このように、幹線の引込経路は、当該木造建築物の分電盤等の配設箇所に応じて、適宜の経路を選択することができる。
図13(a)は、第1実施形態に係る屋内配線システム100を示している。
この屋内配線システム100は、上記した屋内配線構造1を用いて、屋内空間に引き込んだ配線C3,C4を、屋内空間の各入隅部に沿って隅々に配線し、その配線C3,C4を、屋内空間に設けられた各種電気機器や設備機器に接続した例を示している。
本実施形態では、上記同様、縦入隅部5の天井側から引き込んだ配線C3,C4を、廻縁構造材10、縦入隅部材50、及び巾木構造材30を用いて屋内空間の隅々に配線している。
これら廻縁構造材10と、巾木構造材30とによって、上記同様の機能壁パネル80を固定保持し、この機能壁パネル80の制御ユニット89等に配線C3,C4を接続している。
また、本実施形態では、開閉扉等が配設される戸枠の上方に、通気壁パネル80Cを設けている。この通気壁パネル80Cの上端部は、上記した機能壁パネル80と同様、廻縁構造材10の廻縁ベース20(図1等参照)の固定保持部に固定保持され、その下端部は、戸枠に固定されている。この通気壁パネル80Cは、複数本のルーバー部材を設けた構造とされ、当該屋内空間と隣室とが通気される。
このホームコントローラー90には、表示部や操作部、各種制御プログラム等を格納する記憶部等が設けられており、当該屋内空間乃至は別室空間に設けられた各設備機器、さらには屋外に設けられた各設備機器等の稼働状況の確認や、稼働態様の変更設定等が表示部や操作部をしてなされる。
各種電気機器としては、機能壁パネル80の制御ユニット89及びその電気機器85(図1等参照)や、照明器具80D、床暖房装置91、音響装置、警報器、インターホン親機及び子機、テレビ、パーソナルコンピューター、各種センサー等が挙げられる。
また、図例のように、各種設備機器と接続されたホームコントローラー90を設けることで、各種設備機器の制御や稼働状況の確認、稼働態様の変更設定等を集約して行うことができる。
なお、上記第1実施形態に係る屋内配線システム100との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略或いは簡略に説明する。
これら空気調和装置92や、天井パネル送風機93への配線も、屋内配線構造1を用いることで、引き回すようにして配線する必要がなく、比較的、短い経路で配線することができる。
なお、天井パネル送風機93への配線は、幹線引込ジョイントボックス60に設けられた上接続部66の接続端子63,64(図6(a)参照)に配線を接続し、天井裏空間を利用して配線するようにしてもよい。または、屋内配線構造1が備える各配線部材から配線を引き出し、天井材7に添わせるようにしてモール等を固定し、配線するようにしてもよい。
すなわち、上記した各壁パネル80,80A,80Cに加えて、断熱材等を内蔵した断熱壁パネル80Bを、廻縁構造材10と巾木構造材30とによって、上記同様にして固定保持させている。上記した屋内配線システム100では、機能壁パネル80の表面と、壁材4の表面との間に段差が形成されるが、本実施形態のように、屋内空間の内壁の略全周に亘って、各壁パネルを施工することで、そのような段差の形成を防止できる。
なお、縦入隅部材50に隣接して施工される壁パネル80Bの縦入隅部側の端部は、縦入隅部材50の側部に突き付けて納める態様としてもよい。または、縦入隅カバー59や、各ジョイントボックス60,70のカバー69,79(図3等参照)等に、壁パネル80Bの縦入隅部側の端部を受け入れる開口を形成し、該端部を、これらカバーによって被装させるようにして納めるようにしてもよい。
また、廻縁構造材に、引戸等の建具を移動自在に吊り下げ支持する吊下レールや、ピクチャーレール等を固定保持する固定保持部をさらに設けるようにしてもよい。
さらに、配線構造材としての廻縁構造材及び巾木構造材を、施工下地に固定されるベース構造材と、このベース構造材に着脱可能に取り付けられるカバーとを備えたものを例示しているが、このような態様に限られない。上記固定保持部、及び通線部を被装するように形成されたカバー部を一体的に有した配線構造材としてもよい。
また、上記した各屋内配線システムでは、各配線構造材を、屋内空間の各入隅部に沿って略全周に亘って配設した例を示しているが、屋内空間を構成する四周の壁部のうち、少なくとも一つの壁部の入隅部に沿って、その入隅部の略全長に亘って、または、その一部に、少なくともいずれか一方の配線構造材を配設するようにしてもよい。
または、屋内空間の形態に応じて、縦出隅部に配設される縦出隅部材を、縦配線部材としてもよい。この場合は、通線部を設けた縦出隅ベースと、この縦出隅ベースを被装する縦出隅カバーとを、縦出隅部の形状に対応させて形成するようにすればよい。また、それに応じて、適宜、各ジョイントボックスやカバーを形成するようにすればよい。
2 天井側入隅部
3 床側入隅部
4 壁材(壁部、施工下地)
5 縦入隅部(縦隅部)
6 内壁胴縁(施工下地)
6A 天井野縁(施工下地)
7 天井材(施工下地)
8 床材(施工下地)
10 廻縁構造材(天井側の配線構造材)
11 廻縁カバー(カバー部、カバー体)
20 廻縁ベース(ベース構造材)
21 通線部
22 垂下片(固定保持部)
23 係合片部(固定保持部)
26 ベース固定具(固定保持部、ベース構造材)
30 巾木構造材(床側の配線構造材)
31 巾木カバー(カバー部、カバー体)
40 巾木ベース(ベース構造材)
41 通線部
42 固定下片部(固定保持部)
44 係合凹部(固定保持部)
45 立上片部(固定保持部)
50 縦入隅部材(縦配線部材、縦隅部材)
52 通線部
60 幹線引込ジョイントボックス
80 機能壁パネル(壁パネル)
81 機能壁パネルの上端部
83 機能壁パネルの下端部
85 面状ヒーター(電気機器)
89 制御ユニット(取付対象器具)
80A 制御壁パネル(壁パネル)
90 ホームコントローラー(電気機器、設備機器)
80B 断熱壁パネル(壁パネル)
80C 通気壁パネル(壁パネル)
80D 照明器具(取付対象器具)
91 床暖房装置(設備機器)
92 空気調和装置(設備機器)
93 天井パネル送風機(設備機器)
100,100A 屋内配線システム
B ボルト(固定止具)
N ナット(固定止具)
S ねじ(固定止具)
C1 電力線(幹線)
C2 情報線(幹線)
C3 電力線(配線)
C4 情報線(配線)
H 引込孔
Claims (9)
- 屋内空間における天井側の入隅部または床側の入隅部に、該入隅部の長手方向に沿って配設される配線構造材であって、
前記入隅部の施工下地に固定される固定保持部と、前記入隅部の長手方向に沿うように設けられる通線部と、これら固定保持部及び通線部を被装するように形成されたカバー部と、を備えており、
前記固定保持部は、前記入隅部に前記通線部とともに配設された状態で、壁パネルの端部及び取付対象器具の両方またはいずれか一方が固定止具を用いて着脱可能に固定され、これらを保持する構造とされていることを特徴とする配線構造材。 - 請求項1において、
前記カバー部は、前記固定保持部及び前記通線部を有したベース構造材に、着脱可能に取り付けられるカバー体とされていることを特徴とする配線構造材。 - 請求項1または2に記載の配線構造材を、屋内空間における天井側及び床側の入隅部の両方またはいずれか一方に沿って配設し、前記屋内空間に引き込んだ配線を、前記通線部に通して配線することを特徴とする屋内配線構造。
- 請求項3において、
前記固定保持部に、電気機器を有した機能壁パネルの端部を保持させ、前記通線部の配線を、該電気機器に接続することを特徴とする屋内配線構造。 - 請求項3または4において、
前記配線構造材を、天井側の入隅部に沿って配設するとともに、床側の入隅部に沿って配設し、かつ、通線部を設けた縦配線部材を、これら天井側の配線構造材と、床側の配線構造材とを接続するように壁部に沿って縦方向に配設することを特徴とする屋内配線構造。 - 請求項5において、
前記縦配線部材は、前記壁部の縦隅部に沿って配設される縦隅部材であることを特徴とする屋内配線構造。 - 請求項5または6において、
前記縦配線部材は、壁パネルであることを特徴とする屋内配線構造。 - 請求項3乃至7のいずれか1項において、
前記屋内空間の外部から幹線を引き込む引込孔を設け、該引込孔に、幹線引込ジョイントボックスを取り付け、該幹線引込ジョイントボックスにおいて前記幹線と前記配線とを接続することを特徴とする屋内配線構造。 - 屋内空間に引き込んだ配線を、請求項3乃至8のいずれか1項に記載の屋内配線構造を用いて配線し、この配線と、屋内に設けられた設備機器とを接続したことを特徴とする屋内配線システム。
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