以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る位置情報提供システム10について説明する。図1は、位置情報提供システム10の構成の概略を表わす図である。位置情報提供システム10は、地上の上空約2万メートルの高度を飛行し、測位のための信号(以下、「測位信号」と表わす。)を発信するGPS(Global Positioning Satellite)衛星110,111,112,113と、位置情報を提供する装置として機能する位置情報提供装置100−1,100−2と、屋内送信機200−1,200−2,200−3,200−4とを備える。位置情報提供装置100−1,100−2を総称するときは、位置情報提供装置100という。位置情報提供装置100は、たとえば、携帯電話機、カーナビゲーションシステムその他の移動体測位装置のように、従来の測位機能を有する端末である。
ここで、測位信号は、スペクトラム拡散された信号であり、たとえば、いわゆるGPS信号である。しかしながら、その信号はGPS信号に限られない。なお、以下では、説明を簡単にするために、測位のシステムの例示としてGPSを用いて説明するが、本発明は、他の衛星測位システム(たとえば、Galileo、GLONASSなど)にも適用可能である。
測位信号の中心周波数は、たとえば1574.42MHzである。測位信号の拡散周波数は、たとえば1.023MHzである。この場合、測位信号の周波数は、既存のGPSのL1帯におけるC/A(Coarse and Access)信号の周波数と同一となる。したがって、既存の測位信号受信回路(たとえばGPS信号受信回路)が流用できるため、位置情報提供装置100は、新たな回路を追加することなく、測位信号を受信することができる。
測位信号は、1.023MHzの矩形波によって変調されていてもよい。この場合、たとえばL1帯において新たな送信が計画される測位信号のデータチャネルと同一であれば、位置情報提供装置100の使用者は、新しいGPSの信号を受信し、処理可能な受信機を用いて当該測位信号を受信できる。なお、矩形波の周波数は、1.023MHzに限られない。変調のための周波数は、既存のC/A信号、および/または、他の信号との干渉を回避するためのスペクトラム分離等のトレードオフによって定められ得る。
図1を再び参照して、GPS衛星110には、測位信号を発信する送信機121が搭載されている。GPS衛星111,112,113にも、同様の送信機122,123、124がそれぞれ搭載されている。送信機121,122,123,124を総称するときは、送信機120という。
位置情報提供装置100−1と同様の機能を有する位置情報提供装置100−2は、たとえばビル130その他の電波が届きにくい場所でも使用可能である。当該場所は、ビル130のような建築物に限られず、地下街、あるいは大規模な屋内施設なども含み得る。
屋内送信機200−1,200−2,200−3,200−4は、ビル130の天井に取り付けられている。以下、各屋内送信機を総称するときは、屋内送信機200という。屋内送信機200は、GPS信号のフォーマットと同一のフォーマットを有しており、そのデータ構造の一部が異なる測位信号を発信することができる。この測位信号は、屋内送信機200が設置されている場所を特定するための位置情報を含んでいる。したがって、位置情報提供装置100がこのような測位信号を受信すると、その位置情報に基づいて位置を出力することができる。以下、このような信号をIMES(Indoor MEssaging System)信号ともいう。IMES信号のデータ構造は、後述する。
位置情報提供装置100−2は、屋内送信機200−1,200−2,200−3,200−4から発信される測位信号を受信することができる。なお、図1には、説明を簡単にするために、ビル130の1階に屋内送信機200が取付けられている態様が示されているが、2階、3階その他のフロアにも同様に取り付けられ得る。
ここで、屋内送信機200−1,200−2,200−3,200−4の各々の時刻(以下、「地上時刻」という。)と、GPS衛星110,111,112,113の各々の時刻、より具体的には各送信機120の時刻(以下「衛星時刻」という。)とは、必ずしも同期している必要はなく、互いに独立していてもよい。また、各地上時刻も同期していなくてもよい。なお、各衛星時刻は、同期していることが好ましい。
各GPS衛星に搭載されたそれぞれの送信機120から測位信号として発信されるスペクトラム拡散信号は、擬似雑音符号(PRN(Pseudo Random Noise)コード)によって候補メッセージを変調することにより生成される。候補メッセージは、時刻データ、軌道情報、アルマナック、電離層補正データなどを含む。各送信機120は、さらに、それぞれ当該送信機120自身、あるいは送信機120が搭載されるGPS衛星などを識別可能なデータ(PRN−ID(Identification))を有している。
位置情報提供装置100は、各擬似雑音符号を発生するためのデータおよびコード発生器を有している。位置情報提供装置100は、測位信号を受信すると、各GPS衛星ごとに割り当てられた擬似雑音符号の符号パターンを用いて、後述する復調処理を実行し、受信された信号がどのGPS衛星から発信されたものであるかを特定することができる。また、新しいGPS信号では、データの中にPRN−IDが含まれており、受信レベルが低い場合に生じやすい誤った符合パターンでの信号の捕捉、追尾を防ぐことができる。
GPS衛星に搭載される送信機120の構成の概略は以下のとおりである。送信機120は、それぞれ原子時計と、データを格納する記憶装置と、発信回路と、測位信号を生成するための処理回路と、当該処理回路によって生成された信号をスペクトラム拡散符号化するための符号化回路と、送信アンテナなどを有する。記憶装置は、エフェメリス、各衛星のアルマナック、電離層補正データなどを有する候補メッセージと、PRN−IDとを格納している。
処理回路は、原子時計からの時刻情報と、記憶装置に格納されている各データとを用いて送信用のメッセージを生成する。
ここで各送信機120ごとに、スペクトラム拡散符号化するための擬似雑音符号の符号パターンが予め規定されている。各符号パターンは、送信機ごと(すなわちGPS衛星ごと)に異なる。符号化回路は、そのような擬似雑音符号を用いて、上記メッセージをスペクトラム拡散符号化する。送信機120は、符号化された信号を高周波数に変換して、送信アンテナを介して宇宙空間に発信する。
上述のように、送信機120は、他の送信機との間で有害な干渉を及ぼさないスペクトラム拡散信号を発信する。ここで「有害な干渉を起こさない」ことは、干渉が生じない程度に制限された出力レベルによって担保され得る。あるいは、スペクトラムを分離する態様によっても実現できる。この信号は、たとえばL1帯と称される搬送波によって送信されている。送信機120,121,122,123は、たとえば、同一の周波数を有する測位信号を拡散スペクトラム通信方式に従って発信する。したがって、各衛星から送信された測位信号が位置情報提供装置100−1によって受信される場合にも、各測位信号は、互いに混信を受けることなく受信されることになる。地上の屋内送信機200−1,200−2,200−3,200−4から発信される測位信号も、衛星から送信された信号と同様に、互いに混信を受けることなく位置情報提供装置100によって受信され得る。
[本願発明の技術思想]
図2を参照して、本発明の実施の形態に係る送信システム20の技術思想について説明する。図2は、送信システム20の構成の概略を表わす図である。送信システム20は、放送システム250と、携帯電話機900とを備える。放送システム250は、音声データ201と、ワンセグ送信器700と、アンテナ203と、チャネル番号204と、屋内送信機(IMES送信器)200と、アンテナ206とを含む。携帯電話機900は、位置情報提供装置として機能する。
携帯電話機900は、アンテナ712,722と、GPS受信LSI724と、ワンセグチャネル番号情報207と、ワンセグチューナ208と、音声・映像データ209とを含む。
放送システム250において、IMES送信器200は、GPS信号のフォーマットと同一のフォーマットを有する測位信号を、アンテナ206から発信する。この測位信号は、チャネル番号204と、IMES送信器200の設置場所を表わす位置情報とを含む。この測位信号は、GPS測位機能を有する携帯電話機900のアンテナ722によって受信される。GPS受信LSI724は、その受信された信号を復調し、位置情報とチャネル番号とを取得する。このチャネル番号は、ワンセグチューナ208の選局に用いられる。
放送システム250において、音声・映像データ201は、ワンセグ放送のために用いられる。音声・映像データ201は、ワンセグ送信器700に入力される。ワンセグ送信器700は、その音声・映像データ201をアンテナ203を用いて送信する。その音声・映像データ201は、携帯電話機900のアンテナ712によって受信される。上記測位信号に含められていたチャネル番号204は、携帯電話機900によって取得されて、ワンセグチューナ208は、そのチャネル番号204の選局を行なっている。そこで、アンテナ712によって受信された信号は、ワンセグチューナ208によって受信され、音声・映像データ209が取得される。これにより、携帯電話機900は、放送システム250から送信されたワンセグ放送を受信できる。
なお、図2の放送システム250では、ワンセグ送信器700と、屋内送信機200とが、結合されている態様で示されているが、放送システム250の構成は、この態様に限られない。すなわち、ワンセグ送信器700と、屋内送信機200との間は、チャネル番号204によって関連付けられていればよく、ワンセグ送信器700と屋内送信機200とが同一の筐体に必ずしも含まれていなくてもよい。
[屋内送信機200の構成]
図3を参照して、屋内送信機200−1の構成について説明する。図3は、屋内送信機200−1のハードウェア構成の詳細を表わすブロック図である。
屋内送信機200−1は、デジタル処理ブロック310と、デジタル処理ブロック310に電気的に接続されているEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)240と、デジタル処理ブロック310に電気的に接続されているUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)350と、デジタル処理ブロック310に電気的に接続されているデジタル入出力インターフェイス360と、デジタル処理ブロック310に電気的に接続されているクロック380と、デジタル処理ブロック310に電気的に接続されているアナログ処理ブロック390と、アナログ処理部ロック390に電気的に接続されているアンテナ392と、電源394とを備える。デジタル処理ブロック310は、CPU(Central Processing Unit)320と、RAM(Random Access Memory)330とを含む。
EEPROM340は、CPU320が実行するプログラム、屋内送信機200−1が設置されている場所を表わすデータ等を格納している。当該プログラムあるいはデータは、屋内送信機200−1が起動する時に、EEPROM340から読み出され、RAM330に転送される。EEPROM340は、また屋内送信機200−1の外部から入力されたデータをさらに格納することができる。なお、プログラムあるいはデータを格納するための記憶装置は、EEPROM340に限られない。少なくとも、データを不揮発的に保存できる記憶装置であればよい。また、後述するように、外部からのデータが入力される場合には、データを書き込むことができる記憶装置であればよい。EEPROM340のデータ構造については後述する。
デジタル処理ブロック310は、測位のための信号として屋内送信機200−1によって送信される信号の源泉となるデータを生成する。デジタル処理ブロック310は、アナログ処理ブロック390に対して、生成したデータをビットストリームとして送出する。
クロック380は、CPU320の動作を規定するクロック信号、あるいは搬送波を生成するためのクロック信号を、デジタル処理ブロック310に供給する。
デジタル入出力インターフェイス360は、送信機の内部状態(たとえば、「PLL Cntrl」信号)を監視することができる。あるいは、デジタル入出力インターフェイス360は、屋内送信機200−1から発信される信号を拡散変調するための擬似雑音符号の符号パターンの入力を、あるいは、送信出力を規定するデータの入力を、外部から受け付けることができる。さらに、屋内送信機200−1から発信されるべき他のデータの入力も受け付けることができる。当該他のデータは、たとえば、屋内送信機200−1が設置されている場所を表わすテキストデータである。あるいは、映像信号、音声信号、映像音声信号等が入力されてもよい。たとえば、屋内送信機200−1がデパートその他の商業施設に設置されている場合には、宣伝広告用のデータが、当該他のデータとして屋内送信機200−1に入力可能である。
擬似拡散符号の符号パターンは、屋内送信機200−1に入力されると、EEPROM340において予め規定された領域に書き込まれる。その後は、その書き込まれたPRN−IDが、測位のための信号に含められる。その他のデータも、EEPROM340において、そのデータの種類に応じて予め確保された領域に書き込まれる。
UART350は、屋内送信機200−1を調整するために用いられる。外部クロック370は、UART350と同様に、屋内送信機200−1を調整するために使用される。たとえば、外部クロック370は、電力線(図示しない)から周波数の入力を受け付け、測位のための信号の送信周波数を較正するためにも使用される。
アナログ処理ブロック390は、デジタル処理ブロック310から出力されたビットストリームを用いて、1.57542GHzの搬送波を変調して送信信号を生成し、アンテナ392に送出する。その信号は、アンテナ392より発信される。このようにして、測位のための信号と同様の構成を有する信号が、屋内送信機200−1から発信される。この場合、信号の内容は、衛星から発信された測位信号に含まれる内容とは、全く同一ではない。屋内送信機200−1から発信される信号の構成の一例は、後述する(図5)。
電源394は、屋内送信機200−1を構成する各部に電力を供給する。なお、電源394は、図3に示されるように、屋内送信機200−1に内蔵されてもよいし、外部からの電力の供給を受け付ける態様であってもよい。
以上の説明においては、デジタル処理ブロック310における処理を実現するための演算処理装置としてCPU320が用いられたが、その他の演算処理装置が使用されたもよい。また、屋内送信機200−1が実現する動作は複雑ではないため、デジタル処理ブロック310は、CPU320に代えて、たとえば、各処理を実現するように構成された電気回路によっても実現できる。
また、図3においては、クロック信号(Clk)がデジタル処理ブロック310からアナログ処理ブロック390に供給されているが、クロック380からアナログ処理ブロック390に直接に供給されてもよい。
さらに、説明を明確にするために、本実施の形態においては、デジタル処理ブロック310とアナログ処理ブロック390とが別個に示されているが、物理的には、1つのチップに混載されてもよい。
図4を参照して、屋内送信機200−1のデータ構造について説明する。図4は、屋内送信機200−1が備えるEEPROM440におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。EEPROM440は、データを格納するための領域410〜450を含む。
領域400には、送信機を識別するための番号として、送信機IDが格納されている。送信機IDは、たとえば当該送信機の製造時にメモリに不揮発的に書き込まれる数字および/または英文字その他の組み合わせである。当該送信機に割り当てられた擬似拡散符号のPRN−IDは、領域410に格納されている。このPRN−IDは、測位衛星に割り当てられるPRN−IDとは異なる。送信機の名称は、たとえば、文字列として、領域420に格納されている。
当該送信機に割り当てられた擬似拡散符号の符号パターンは、領域430に格納されている。擬似拡散符号の符号パターンは、本発明の実施の形態に係る位置情報提供システム用に予め割り当てられた有限個の複数の符号パターンから選択されたものであり、衛星ごとに割り当てられる擬似拡散符号の符号パターンとは異なる符号パターンである。また、前述のように、擬似拡散符号の符号パターンは、デジタル入出力インターフェイス360を介して入力される他の符号パターンに変更可能である。
本位置情報提供システム用に割り当てられる擬似拡散符号の符号パターンは、有限個であるが、屋内送信機の数は、各送信機の設置場所の広さ、あるいは設置場所の構成(ビルの階数、店舗が設けられているエリアの番号等)に応じて異なり、符号パターンの数よりも多い複数の屋内送信機が使用される場合もある。したがって、同一の擬似拡散符号の符号パターンを有する複数の送信機が存在し得る。この場合は、同一の符号パターンを有する送信機の設置場所を、信号の出力を考慮して決定すればよい。そうすることにより、同一の擬似拡散符号の符号パターンを用いる複数の測位信号が同一の位置情報提供装置によって同時期に受信されることは、防止し得る。
屋内送信機200−1が設置されている場所を特定するための位置データは、領域440に格納されている。位置データは、たとえば、緯度、経度、高度の組み合わせとして表わされる。領域420において、当該位置データに加えて、もしくはデータに代えて、住所、建物の名称などが格納されてもよい。
チャネル番号情報は、領域450に格納されている。チャネル番号情報は、たとえば、ワンセグ放送を受信するためのチャネル番号を含む。ワンセグ放送を受信する機能を有する端末(たとえば、携帯電話機、電子辞書その他の携帯情報端末)がこのチャネル番号を取得すると、その端末は、そのチャネル番号に基づいて選局することができる。
図5を参照して、送信機から送信される測位信号について説明する。図5は、GPS衛星に搭載される送信機によって発信される信号500の構成を表わす図である。信号500は、300ビットの5つのサブフレーム、すなわち、サブフレーム510〜550から構成される。サブフレーム510〜550は、当該送信機によって、繰り返し送信される。サブフレーム510〜550は、たとえば、それぞれ300ビットであり、50bps(bit per second)のビット率で送信される。したがって、この場合、各サブフレームは、6秒で送信される。
第1番目のサブフレーム510は、30ビットのトランスポートオーバーヘッド511と、30ビットの時刻情報512と、240ビットのメッセージデータ513とを含む。時刻情報512は、詳細には、サブフレーム510が生成される際に取得された時刻情報と、サブフレームIDとを含む。ここで、サブフレームIDとは、他のサブフレームから第1のサブフレーム510を区別するための識別番号である。メッセージデータ513は、GPS週番号、クロック情報、当該GPS衛星のヘルス情報、軌道精度情報等を含む。
第2番目のサブフレーム520は、30ビットのトランスポートオーバーヘッド521と、30ビットの時刻情報522と、240ビットのメッセージデータ523とを含む。時刻情報522は、第1番目のサブフレーム510における時刻情報512と同様の構成を有する。メッセージデータ523は、エフェメリスを含む。ここで、エフェメリス(ephemeris、放送暦)とは、測位信号を発信する衛星の軌道情報をいう。エフェメリスは、当該衛星の航行を管理する管制局によって逐次更新される高精度な情報である。
第3番目のサブフレーム530は、第2番目のサブフレーム520と同様の構成を有する。すなわち、第3番目のサブフレーム530は、30ビットのトランスポートオーバーヘッド531と、30ビットの時刻情報532と、240ビットのメッセージデータ533とを含む。時刻情報532は、第1番目のサブフレーム510における時刻情報512と同様の構成を有する。メッセージデータ533は、エフェメリスを含む。
第4番目のサブフレーム540は、30ビットのトランスポートオーバーヘッド541と、30ビットの時刻情報542と、240ビットのメッセージデータ543とを含む。メッセージデータ543は、他のメッセージデータ513,523,533と異なり、アルマナック情報、衛星ヘルス情報のサマリ、電離層遅延情報、UTC(Coordinated Universal Time)パラメータ等を含む。
第5番目のサブフレーム550は、30ビットのトランスポートオーバーヘッド551と、30ビットの時刻情報552と、240ビットのメッセージデータ553とを含む。メッセージデータ553は、アルマナック情報と、衛星ヘルス情報のサマリとを含む。メッセージデータ543,553は、各々25ページからの構成されており、ページ毎に、上記の異なる情報が定義されている。ここで、アルマナック情報とは、衛星の概略軌道を表わす情報であり、当該衛星だけでなく、全てのGPS衛星についての情報を含む。サブフレーム510〜550の送信が25回繰り返されると、1ページ目に戻って、同じ情報が発信される。
サブフレーム510〜550は、送信機121,122,123、124によってそれぞれ送信される。サブフレーム510〜550が位置情報提供装置100によって受信されると、位置情報提供装置100の位置は、トランスポートオーバーヘッド511〜551に含まれる各保守・管理情報と、時刻情報512〜552と、メッセージデータ513〜553とに基づいて、計算される。
IMES信号560は、サブフレーム510〜550に含まれる各メッセージデータ513〜553と同じデータ長を有する。信号560は、エフェメリス(メッセージデータ523,533)として表わされる軌道情報に代えて、信号560の発信源の位置を表わすデータ(座標値、住所など)、および、チャネル番号情報を有する点で、サブフレーム510〜550と異なる。
すなわち、IMES信号560は、たとえば、6ビットのPRN−IDと、15ビットの送信機IDと、当該送信器が設置されている場所のX座標値、Y座標値およびZ座標値と、高度補正係数(Zhf)と、チャネル番号情報と、リザーブ領域とを含む。IMES信号560は、サブフレーム510〜550に含まれるメッセージデータ513〜553に代わって、屋内送信機200−1,200−2,200−3から送信される。チャネル番号情報は、たとえば、ワンセグ放送を受信するためのチャネル番号である。
PRN−ID561は、信号560の発信源である送信機(たとえば、屋内送信機200−1,200−2,200−3)に対して予め割り当てられた一群の擬似雑音符号の符号パターンの識別番号である。PRN−ID561は、各GPS衛星に搭載される送信機120に対して割り当てられた一群の擬似雑音符号の符号パターンの識別番号とは異なるが、同じ系列の符号列から生成される符号パターンに対して割り当てられた番号である。位置情報提供装置が、受信した信号560から、屋内送信機用に割り当てられた擬似雑音符号の符号パターンのいずれかを取得することで、その信号が、衛星に搭載された送信機120から送信されたサブフレーム510〜550であるのか、あるいは、屋内送信機200から送信された信号560であるのかが特定される。
X座標値、Y座標値およびZ座標値は、屋内送信機200−1が取り付けられている位置を表わすデータである。X座標値、Y座標値、Z座標値は、たとえば緯度、経度、高度として表わされる。高度補正係数は、Z座標値によって特定される高度を補正するために用いられる。なお、高度補正係数は、必須のデータ項目ではない。したがって、Z座標値によって特定される高度以上の精度が要求されない場合には、その係数は用いられなくてもよい。この場合、高度補正係数のために割り当てられる領域には、たとえば「NULL」を表わすデータが格納され得る。
チャネル番号情報は、EEPROM340の領域450に格納されているチャネル番号情報が用いられる。
[信号の構成]
図6を参照して、本発明の実施の形態に係るIMES信号560の構成について説明する。図6は、IMES信号560の概略を表わす図である。IMES信号560は、プリアンブル610と、メッセージタイプ620と、ユニークワード630と、チャネル番号情報640と、補助値650と、パリティ660とを備える。ユニークワード630とチャネル番号情報640と補助値650とは、IDフィールドを構成する。
プリアンブル610は、屋内送信機200−1を識別するためのデータを含む。メッセージタイプ620は、IMES信号560の種類を規定する。ユニークワード630は、IMES信号560に固有な情報、たとえば、屋内送信機200−1の名称等を含む。チャネル番号情報640は、EEPROM340の領域450に格納されているチャネル番号情報に対応する。
補助値は、IMES信号560を受けた受信器(たとえば、位置情報提供装置100−1等)に対して、チャネルを強制的に変更させるか否か等の受信器の動作を制御するためのデータを含む。
[ワンセグ放送装置の構成]
図7を参照して、本発明の実施の形態に係るワンセグ送信器700の構成について説明する。図7は、ワンセグ送信器700のハードウェア構成の概略を表わすブロック図である。
ワンセグ送信器700は、メモリカード210と、繰り返し読出装置220と、インタリーバ230と、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調器240と、チャネル番号情報250と、VCO(Voltage-Controlled Oscillator)発振器260と、アップコンバータ270と、アンプ/アッテネータ280と、アンテナ290とを備える。
メモリカード210は、予め符号化された送信用の映像データを格納している。当該映像データは、ワンセグ送信器700の設置事業者が行なう事業の宣伝内容を含む。たとえば、設置事業者がレストランである場合には、おすすめのメニューを示す動画を含む。設置事業者が銀行である場合には、新たなサービス、金融商品の宣伝広告等を含む。設置事業者が映画館である場合には、上映中の映画のイントロ部分、今後上映予定の映画などを含む。
繰返し読出装置220は、メモリカード210に格納されている上記のような映像データを反復して読み出す。したがって、ワンセグ送信器700は、たとえば予め定められた一定時間同じ映像を放送することができる。なお、放送の反復は、たとえば、30分おき、1時間おき、のような一定時間ごとであってもよい。
インタリーバ230は、繰り返し読出装置220から出力されたデータを再アレンジする。たとえば、インタリーバ230は、入力された連続したデータを異なるブロックに分割して再配置する。これにより、メモリカード210からインタリーバ230までの伝送路によって導かれたノイズが、映像信号のデータから統計的に独立したものとして表わされる。したがって、より良いエラー修正が可能となる。OFDM変調器240は、インタリーバ230からの出力データをOFDM変調する。OFDM変調器240の出力は、アップコンバータ270に送出される。
チャネル番号情報250は、ワンセグ放送のチャネル番号として送信すべき番号を含む。チャネル番号情報250はVCO発振器260に入力される。VCO発振器260は、チャネル番号情報250に基づいて基準周波数を変調する。VCO発振器260の出力は、アップコンバータ270に入力される。
アップコンバータ270は、OFDM変調器240からの出力と、VCO発振器260からの出力とを用いて当該出力信号をアップコンバートする。アップコンバートされた信号は、アンプ/アッテネータ280に入力される。
アンプ/アッテネータ280は、アップコンバータ270によってアップコンバートされた信号を増幅し、増幅後の信号をアンテナ290に送出する。あるいは、アンプ/アッテネータ280は、入力された信号を予め設定されたレベルまで、あるいは外部から与えられる命令に応じて減衰させ、減衰後の信号を出力する。その後、アンプ/アッテネータ280から出力された信号は、アンテナ290を経由して発信される。
[位置情報提供装置の構成]
図8を参照して、本発明の実施の形態に係る位置情報提供装置100−1の構成について説明する。図8は、位置情報提供装置100−1のハードウェア構成の概略を表わす図である。位置情報提供装置100−1は、ある局面において携帯電話機として実現されるが、その他の携帯型の情報端末として実現されてもよい。たとえば、携帯型ラジオ、パーソナルコンピュータ等であってもよい。
位置情報提供装置100−1は、携帯電話アンテナ702と、無線送受信LSI704と、ベースバンド/プロトコル処理LSI706と、ワンセグアンテナ712と、ワンセグ無線受信用LSI714と、ワンセグOFDM復調LSI716と、ワンセグビデオ復号用LSI718と、GPSアンテナ722と、GPS受信LSI724と、CPU730と、メモリ740とを備える。CPU730は、ワンセグ受信用アプリケーション部732と、GPSアプリケーション部734と、IMES受信部736と、ワンセグチャネル番号抽出部738とを含む。
携帯電話アンテナ702によって受信された信号は、無線送受信LSI704に送られる。無線送受信LSI704は、その信号をフロントエンド処理し、処理後の信号をベースバンド/プロトコル処理LSI706に送信する。ベースバンド/プロトコル処理LSI706は、その信号を復調しデジタル処理後のデータをCPU730に送出する。
ワンセグアンテナ712は、ワンセグ放送を受信する。受信された信号は、ワンセグ無線受信用LSI714に送られる。ワンセグ無線受信用LSI714は、その信号をフロントエンド処理し、処理後の信号をワンセグOFDM復調LSI716に送信する。ワンセグOFDM復調LSI716は、その信号を復調し、復調によって得られた信号をワンセグビデオ復号用LSI718に送出する。ワンセグビデオ復号用LSI718は、復調された信号からビデオ用の信号を抽出し、抽出した信号をCPU730に送出する。この信号は、画像の表示に用いられる。一方、ワンセグ無線受信用LSI714からフロントエンド処理された音声信号は、CPU730に送られる。
GPSアンテナ722は、GPS衛星によって発信された信号を受信する。受信された信号は、GPS受信LSI724に送られる。GPS受信LSI724は、その信号をフロントエンド処理し、復調し、位置情報提供装置100−1が予め有している符号パターンとのロックを行ない、当該GPS信号の符号パターンを特定する。その後、GPS受信LSI724は、その特定したGPS信号を3つ、好ましくは4つを用いて測位処理し、処理後のデータをGPSアプリケーション部734に送出する。
CPU730において、ワンセグ受信アプリケーション部732は、ワンセグ放送を受信して表示するための処理を実行する。当該処理は、画像表示、チャネル選択、データ放送の表示などを含み得る。
一方、GPSアプリケーション部734は、GPS受信LSI724から送られた信号を用いて、測位演算を行なうとともに、GPSアンテナ722によって受信された信号がGPS衛星から発信された信号である場合には当該測位処理に基づく位置情報(たとえば緯度経度高度など)を表示する。一方、GPSアンテナ722によって受信された信号が屋内送信機200によって発信された信号である場合には、GPSアプリケーション部734は、その信号に含まれている位置情報(たとえば当該屋内送信機200が設置されている場所の座標値、当該設置場所の名称(たとえば住所、ビルの名称、フロアなど)を表示する。
なお、この処理は、GPSアプリケーション部734とIMES受信部736との協働によって実現される。なお、図7の例では、GPSアプリケーション部734とIMES受信部736とは別個の構成として示されているが、これらの機能は、CPU730によって実現される。そして、GPS衛星から発信された信号に基づく測位処理と、IMESとも称される屋内送信機200から送信された信号に基づく位置情報の特定処理とは、必ずしもシリアルに実行されるわけではなく、並列して実行可能である。たとえば、GPS受信LSI724が、複数の並列コリレータを含む場合には、ロック処理を同時並行的に実行できる。したがって、CPU730は、GPSアンテナ722によって受信された信号に基づいて、GPS衛星によって発信された信号に基づく測位処理と屋内送信機200によって発信されたIMES信号560に基づく位置情報の特定処理とを並列して実行することができる。
CPU730において、ワンセグチャネル番号抽出部738は、IMES信号560からワンセグ放送のチャネル番号情報640を抽出する。CPU730は、チャネル番号情報640を用いてワンセグ無線受信用LSI714に選局させる。これにより、位置情報提供装置100−1の自動線局が実現される。
CPU730に含まれる各機能は、CPU730が、当該機能を実現するように予め構成されたプログラムを実行することにより実現される。したがって、位置情報提供装置100−の最も本質的な部分は、CPU730によって実行されるソフトウェアであるともいえる。
当該ソフトウェアは、たとえばメモリ740に実行可能な形式で格納されている。メモリ740は、たとえばフラッシュROM、フラッシュメモリその他の記録媒体、あるいはメモリカードその他の着脱可能なデータ記録媒体であり得る。
図9を参照して、位置情報提供装置100−1について説明する。図9は、位置情報提供装置100のハードウェア構成の概略を表わすブロック図である。
位置情報提供装置100は、アンテナ722と、アンテナ722に電気的に接続されているRF(Radio Frequency)フロント回路804と、RFフロント回路804に電気的に接続されているダウンコンバータ806と、ダウンコンバータ806に電気的に接続されているA/D(Analog to Digital)コンバータ808と、A/Dコンバータ808に電気的に接続されているベースバンドプロセッサ810と、ベースバンドプロセッサ810に電気的に接続されているメモリ820と、ベースバンドプロセッサ810に電気的に接続されているナビゲーションプロセッサ830と、ナビゲーションプロセッサ830に電気的に接続されているディスプレイ840とを備える。なお、携帯電話のための信号を送受信するための構成(アンテナ702、無線送受信LSI704、ベースバンド/プロトコル処理LSI706)と、ワンセグ放送を受信するための構成(アンテナ712、ワンセグ無線受信用LSI714、ワンセグOFDM復調LSI716、ワンセグビデオ復号用LSI718)とは、図7に示される構成と同様であるため、繰り返さない。
メモリ820は、測位信号の各発信源を識別するためのデータである、擬似雑音符号の符号パターンを格納する複数の領域を含む。一例として、ある局面において、48個の符号パターンが用いられる場合には、メモリ820は、図9に示されるように、領域821−1〜821−48を含む。また、他の局面において、それ以上の符号パターンが使用される場合には、さらに多くの領域がメモリ820に確保される。逆に、メモリ820に確保された領域の数よりも少ない符号パターンが使用される場合もあり得る。
一例として48個の符号パターンが用いられる場合において、たとえば、24個の衛星が衛星測位システムに用いられる場合、各衛星を識別する24個の識別データと、12個の予備のデータとが、領域821−1〜821−36に格納される。このとき、たとえば、領域821−1には、第1の衛星についての擬似雑音符号の符号パターンが格納されている。ここから、符号パターンを読み出して、受信信号との相互相関処理を行なうことにより、信号の追跡や、信号に含まれる航法メッセージの解読を行なうことができる。なお、ここでは、符号パターンを格納して読み出す方法を例示的に示したが、符号パターン生成器により符号パターンを生成する方法も可能である。符号パターン生成器は、たとえば、2つのフィードバックシフトレジスタを組み合わせることにより実現される。なお、符号パターン生成器の構成および動作は、当業者にとって容易に理解できるものである。したがって、それらの詳細な説明は、繰り返さない。
同様に、IMES信号を含む測位信号を発信する屋内送信機に割り当てられた擬似雑音符号の符号パターンは、領域821−37〜821−48に格納されている。たとえば、第1の屋内送信機についての割り当てられた擬似雑音符号の符号パターンは、領域821−37に格納されている。この場合、本実施の形態においては、符号パターンが異なる12種類の屋内送信機200が使用可能となるが、同一の位置情報提供装置が受信可能な範囲に同一の符号パターンを使用する屋内送信機200がないように、各屋内送信機をそれぞれ配置してもよい。このようにすることによって、12種類の符号パターンが使用可能な場合であっても、12台以上の屋内送信機を、たとえばビル130の同一のフロアに設置することも可能になる。
ベースバンドプロセッサ810は、A/Dコンバータ808から出力される信号の入力を受け付けるコリレータ部812と、コリレータ部812の動作を制御する制御部814と、制御部814から出力されるデータに基づいて測位信号の発信源を判断する判断部816とを含む。ナビゲーションプロセッサ830は、判断部816から出力される信号に基づいて屋外における位置情報提供装置100の位置を測定するための屋外測位部832と、判断部816から出力されるデータに基づいて屋内における位置情報提供装置100の位置を表わす情報を導出するための屋内測位部834とを含む。
アンテナ722は、GPS衛星110,111,112からそれぞれ発信された測位信号および屋内送信機200−1から発信された測位信号をそれぞれ受信することができる。また、位置情報提供装置100が携帯電話機として実現される場合には、アンテナ722は、前述の信号に加えて、無線電話のための信号あるいはデータ通信のための信号を送受信することもできる。
RFフロント回路804は、アンテナ722によって受信された信号を受けて、ノイズの除去あるいは予め規定された帯域幅の信号のみを出力するフィルタ処理などを行なう。RFフロント回路804から出力される信号は、ダウンコンバータ806に入力される。
ダウンコンバータ806は、RFフロント回路804から出力される信号を増幅し、中間周波数IF(Intermediate Frequency)として出力する。この信号は、A/Dコンバータ808に入力される。A/Dコンバータ808は、入力された中間周波数信号をデジタル変換処理し、デジタルデータに変換する。デジタルデータは、ベースバンドプロセッサ810に入力される。
ベースバンドプロセッサ810において、コリレータ部812は、制御部814がメモリ820から読み出した符号パターンと、受信信号との相関処理を行なう。たとえば、コリレータ部812は、制御部814が提供する符号位相が1ビット異なる2種類の符号パターンと、A/Dコンバータ808から送出されるデジタルデータとのマッチングを行なう。コリレータ部812は、各コードパターンを用いて、位置情報提供装置100が受信した測位信号を追跡し、当該測位信号のビット配列に一致する配列を有するコードパターンを特定する。これにより、擬似雑音符号の符号パターンが特定されるため、位置情報提供装置100は、受信された測位信号がどの衛星から送信されたものか、あるいは、屋内送信機から送信されたかを判別できる。また、位置情報提供装置100は、特定された符号パターンを用いて、復調とメッセージの解読とをすることができる。
具体的には、判断部816は、上述のような判断を行ない、その判断の結果に応じたデータをナビゲーションプロセッサ830に送出する。判断部816は、受信された測位信号に含まれるPRN−IDがGPS衛星に搭載される送信機以外の送信機に割り当てられたPRN−IDであるか否かを判断する。
ここで、一例として、24個のGPS衛星が測位システムに使用される場合について説明する。この場合、予備のコードを含めると、たとえば、36個の擬似雑音符号が使用される。この時、PRN−01〜PRN−24が、各GPS衛星を識別する番号(PRN−ID)として使用され、PRN−25〜PRN−36が、予備の衛星を識別する番号として使用される。予備の衛星とは、当初打ち上げられた衛星以外に改めて打ち上げられる衛星である。すなわち、このような衛星は、GPS衛星あるいはGPS衛星に搭載された送信機等の故障に備えて打ち上げられる。
さらに、12個の擬似雑音符号の符号パターンがGPS衛星に搭載される送信機以外の送信機(たとえば、屋内送信機200−1等)に割り当てられる。この時、衛星に割り当てられたPRN−IDとは異なる番号、たとえばPRN−37からPRN−48が、各送信機ごとに割り当てられる。したがって、この例では、48個のPRN−IDが存在することになる。ここで、PRN−37〜PRN−48は、たとえば各屋内送信機の配置に応じて当該屋内送信機に割り当てられる。仮に、各屋内送信機から発信される信号が干渉しない程度の送信出力が使用される場合には、同一のPRN−IDが異なる屋内送信機に用いられてもよい。このような配置により、地上用の送信機のために割り当てられたPRN−IDの数よりも多くの数の送信機が、使用可能となる。
そこで、判断部816は、メモリ820に格納されている擬似雑音符号の符号パターンを参照して、受信された測位信号から取得された符号パターンが、屋内送信機に割り当てられている符号パターンに一致するか否かを判断する。これらの符号パターンが一致する場合には、判断部816は、その測位信号が屋内送信機から発信されたものであると判断する。そうでない場合には、判断部816は、その信号がGPS衛星から発信されたものと判断し、その取得された符号パターンが、どの衛星に割り当てられた符号パターンであるかを、メモリ820に格納されている符号パターンを参照して決定する。なお、判断の態様として、符号パターンが使用される例が示されているが、その他のデータの比較によって、上記の判断が行なわれてもよい。たとえば、PRN−IDを用いた比較が、その判断に使用されてもよい。また、複数の判断処理が平行して実行可能である。この場合、判断部816は、たとえば、並列に作動するように構成された複数のコリレータによって実現される。
そして、受信された信号が各GPS衛星から発信されたものである場合には、判断部816は、特定された信号から取得されるデータを屋外測位部832に送出する。信号から取得されるデータには、航法メッセージが含まれる。一方、受信された信号が屋内送信機200−1などから発信されたものである場合には、判断部816は、その信号から取得されるデータを屋内測位部834に送出する。このデータは、すなわち屋内送信機200−1の位置を特定するためのデータとして予め設定された座標値である。あるいは、別の局面において、当該送信機を識別する番号が用いられてもよい。
ナビゲーションプロセッサ830において、屋外測位部832は、判断部816から送出されたデータに基づいて位置情報提供装置100の位置を算出するための処理を実行する。具体的には、屋外測位部832は、3つ以上のGPS衛星(好ましくは、4つ以上)から発信された信号に含まれるデータを用いて、各信号の伝播時間を計算し、その計算結果に基づいて位置情報提供装置100の位置を算出する。この処理は、公知の衛星測位の手法を用いて実行される。この処理は、当業者にとっては容易に理解できるものである。したがって、ここではその説明の詳細は繰り返さない。
一方、ナビゲーションプロセッサ830において、屋内測位部834は、判断部816から出力されたデータに基づいて位置情報提供装置100が屋内に存在する場合における測位処理を実行する。後述するように、屋内送信機200−1は、場所を特定するためのデータ(時刻データ)が含まれる測位信号を発信する。そこで、位置情報提供装置100がそのような信号を受信した場合には、その信号に含まれるデータを取り出し、そのデータによって示される位置情報(たとえば、座標値、住所、商業施設で規定されたエリアの番号等)を位置情報提供装置100の位置とすることができる。屋内測位部834は、この処理を行なう。屋外測位部832あるいは屋内測位部834によって算出されたデータは、ディスプレイ840における表示のために用いられる。具体的には、これらのデータは、画面を表示するためのデータに組み込まれ、計測された位置を表わす画像あるいは屋内送信機200−1が設置されている場所を表示するための画像が生成され、ディスプレイ840によって表示される。
[位置情報提供装置の一態様]
ここで、図10を参照して、位置情報提供装置の一態様である携帯電話機900の構成について説明する。図10は、携帯電話機900のハードウェア構成を表わすブロック図である。携帯電話機900は、各々が電気的に接続された、アンテナ702と、通信装置902と、CPU910と、操作ボタン920と、ワンセグ受信装置930と、フラッシュメモリ944と、RAM946と、データ用ROM948と、メモリカード駆動装置980と、音声信号処理回路970と、マイク972と、スピーカ974と、ディスプレイ950と、LED(Light Emitting Diode)976と、データ通信I/F978と、バイブレータ984とを備える。
アンテナ702によって受信された信号は、通信装置902によってCPU910に転送される。CPU910は、その信号を音声信号処理回路970に転送する。音声信号処理回路970は、その信号に対して予め規定された信号処理を実行し、スピーカ974に処理後の信号を送出する。スピーカ974は、その信号に基づいて音声を出力する。
マイク972は、携帯電話機900に対する発話を受け付けて、発話された音声に対応する信号を音声信号処理回路970に対して出力する。音声信号処理回路970は、その信号に基づいて通話のために予め規定された信号処理を実行し、処理後の信号をCPU910に対して送出する。CPU910は、その信号を送信用のデータに変換し、通信装置902に対して送出する。通信装置902がアンテナ702を介してその信号を発信すると、基地局(図示しない)は、その信号を受信する。
フラッシュメモリ944は、CPU910から送られるデータを格納する。逆に、CPU910は、フラッシュメモリ944に格納されているデータを読み出し、そのデータを用いて予め規定された処理を実行する。
RAM946は、操作ボタン920に対して行なわれた操作に基づいてCPU910によって生成されるデータを一時的に保持する。データ用ROM948は、携帯電話機900に予め定められた動作を実行させるためのデータあるいはプログラムを格納している。CPU910は、データ用ROM948から当該データあるいはプログラムを読み出し、携帯電話機900に予め定められた処理を実行させる。
メモリカード駆動装置980は、メモリカード982の装着を受け付ける。メモリカード駆動装置980は、メモリカード982に格納されているデータを読み出し、CPU910に送出する。逆に、メモリカード駆動装置980は、CPU910によって出力されるデータを、メモリカード982において確保されたデータ格納領域にデータを書き込む。
音声信号処理回路970は、前述のような通話に用いられる信号に対する処理を実行する。なお、CPU910と音声信号処理回路970とが一体として構成されていてもよい。
ディスプレイ950は、CPU910から出力されるデータに基づいてそのデータによって規定される画像を表示する。たとえば、フラッシュメモリ944が情報提供サーバ1230にアクセスするためのデータ(たとえばURL(Uniform Resource Locator))を格納している場合、ディスプレイ950は、そのURLを表示する。あるいは、ディスプレイ950は、ワンセグ受信装置930がワンセグ放送信号から取得した映像信号に基づいて画像を表示する。画像は、静止画像および動画像のいずれであってもよい。動画像は、たとえば、ワンセグ放送の送信者(ショップ、レストラン、銀行その他の商業施設の運営者)の宣伝広告情報を含み得る。
LED976は、CPU910からの信号に基づいて予め定められた発光動作を実現する。たとえば、LED976が複数の色を表示可能な場合には、LED976は、CPU910から出力される信号に含まれるデータに基づいて、そのデータに関連付けられている色で発光する。
データ通信I/F978は、データ通信用のケーブルの装着を受け付ける。データ通信I/F978は、CPU910から出力される信号を当該ケーブルに対して送出する。あるいは、データ通信I/F978は、当該ケーブルを介して受信されるデータをCPU910に対して送出する。
バイブレータ984は、CPU910から出力される信号に基づいて予め定められた周波数で発振動作を実行する。携帯電話機900の基本的な動作は、当業者にとって容易に理解できるものである。したがって、ここでは詳細な説明は繰り返さない。たとえば、携帯電話機900が信号560を受信した後にワンセグ放送の受信を検知した場合に、バイブレータ984は振動し得る。
携帯電話機900は、さらに、測位信号受信用のアンテナ722と、測位信号受信フロントエンド部914とを備える。
ここで、測位信号受信フロントエンド部914は、図9において位置情報提供装置100のうちハードウェアによって実現されるとした構成のうち、RFフロント回路804、ダウンコンバータ806、A/Dコンバータ808を含む。一方、位置情報提供装置100の構成のうちソフトウェアで実現されるとしたベースバンドプロセッサ810およびナビゲーションプロセッサ830の処理は、フラッシュメモリ944からRAM946にロードされたプログラムによりCPU910上の測位処理部912が実行することができる。なお、ここでも、コリレータ部812の処理については、ソフトウェアの代わりにハードウェアにより実現される構成とすることもできる。
<第1の変形例>
なお、ハードウェアの構成およびソフトウェアの構成は、前述の態様に限られない。たとえば、以下のような構成が用いられてもよい。
そこで、図11を参照して、本発明の実施の形態の変形例について説明する。図11は、本変形例に係る位置情報提供装置1000のハードウェア構成の概略を表わすブロック図である。本変形例に係る位置情報提供装置1000は、前述の位置情報提供装置100が備えるコリレータ部812の構成に代えて、複数のコリレータを備える。この構成により、測位信号をレプリカにマッチングさせるための処理が同時並行して実行されるため、位置情報の算出時間が短くなる。
本変形例に係る位置情報提供装置1000は、アンテナ1010と、アンテナ1010に電気的に接続されるバンドパスフィルタ1020と、バンドパスフィルタ1020に電気的に接続されるローノイズアンプ1030と、ローノイズアンプ(LNA)1030に電気的に接続されるダウンコンバータ1040と、ダウンコンバータ1040に電気的に接続されるバンドパスフィルタ1050と、バンドパスフィルタ1050に電気的に接続されるA/Dコンバータ1060と、A/Dコンバータ1060に電気的に接続される複数のコリレータからなる並列コリレータ1070と、並列コリレータ1070に電気的に接続されるプロセッサ1080と、プロセッサ1080に電気的に接続されるメモリ1090とを含む。
並列コリレータ1070は、n個のコリレータ1070−1〜1070−nを含む。各コリレータは、プロセッサ1080から出力される制御信号に基づいて、受信された測位信号と測位信号を復調するために生成されたコードパターンとのマッチングを同時に実行する。
具体的には、プロセッサ1080は、各並列コリレータ1070の各々に対して、擬似雑音符号において生じ得る遅延を反映させた(符号位相をずらした)符号パターンを生成する指令を与える。この指令は、たとえば、現行GPSでは、衛星の数×2×1023(用いられる擬似雑音符号の符号パターンの長さ)となる。各並列コリレータ1070は、各々に与えられた指令に基づいて、各衛星について規定された擬似雑音符号の符号パターンを用いて符号位相の異なる符号パターンを生成する。そうすると、生成された全ての符号パターンの中には、受信された測位信号の変調に使用された擬似雑音符号の符号パターンに一致するものが1つ存在する。そこで、各符号パターンを用いたマッチング処理を行なうために必要な数のコリレータを並列コリレータ1070として予め構成することにより、瞬時に、擬似雑音符号の符号パターンを特定することができる。この処理は、位置情報提供装置100が屋内送信機からの信号を受信する場合にも同様に適用できる。したがって、位置情報提供装置100の使用者が屋内にいる場合でも、その位置情報を瞬時に取得することができる。
つまり、並列コリレータ1070は、最大で、各衛星について規定された擬似雑音符号の符号パターンと各屋内送信機について規定された擬似雑音符号の符号パターンとのすべてについて、並列して、マッチングをとることが可能である。また、コリレータの個数と、衛星および屋内送信機に割り当てられる擬似雑音符号の符号パターンの個数との関係により、各衛星と各屋内送信機とについて規定された擬似雑音符号の符号パターンのすべてについて、一括して、マッチングを採らない場合でも、複数のコリレータによる並列処理により、大幅に、位置情報の取得に要する時間を短縮できる。
ここで、衛星および屋内送信機は、同一の通信方式であるスペクトラム拡散方式で信号を送信しており、衛星および屋内送信機に割り当てられる擬似雑音符号の符号パターンが同一系列のものを使用できるので、並列コリレータについては、衛星からの信号および屋内送信機からの送信の双方について共用することができ、受信処理は、両者について特段に区別することなく、並行して行うことができる。
なお、図11の位置情報提供装置1000においても、特に限定されないが、測位信号受信からディスプレイ(図11では図示しない)に表示される情報の生成までの信号処理において、アンテナ1010、バンドパスフィルタ1020、低雑音アンプ(LNA)1030、ダウンコンバータ1040、バンドパスフィルタ1050、A/Dコンバータ1060、コリレータ1070は、ハードウェアにより構成され、測位のための演算処理(図12で述べる制御処理)は、メモリ1090に格納されたプログラムによりプロセッサ1080が実行することができる。
[制御構造]
そこで、図12を参照して、本発明の実施の形態に係る位置情報提供装置100の制御構造について説明する。図12は、位置情報提供装置として機能する携帯電話機900が実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。
ステップS1110にて、位置情報提供装置100は、測位信号を取得(追尾、捕捉)する。具体的には、ベースバンドプロセッサ810は、A/Dコンバータ808から、受信された測位信号(デジタル変換処理後のデータ)の入力を受け付ける。ベースバンドプロセッサ810は、擬似雑音符号のレプリカとして、可能な遅延が反映された符号位相が異なる符号パターンを生成し、その符号パターンと受信された測位信号との相関の有無をそれぞれ検出する。生成される符号パターンの数は、たとえば、符号パターンのビット数の2倍である。一例として、たとえば、チップレートが1023ビットである場合、2分の1ビットずつの遅延、すなわち符号位相差を有する2046個の符号パターンが生成され得る。そして、各符号パターンを用いて、受信された信号との相関を取る処理が、実行される。ベースバンドプロセッサ810は、当該相関処理において、予め規定された強度以上の出力が検出された場合に、その符号パターンをロックし、当該符号パターンによって、その測位信号を発信した衛星を特定することができる。当該符号パターンのビット配列を有する擬似雑音符号は、1つしか存在しない。これにより、受信された測位信号をスペクトラム拡散符号化するために使用された擬似雑音符号が特定される。
なお、後述するように、受信によって取得された信号と、局所的に発生されたレプリカの符号パターンとの相関を取るための処理は、並列処理としても実現可能である。
ステップS1120にて、ベースバンドプロセッサ810は、その測位信号の発信源を特定する。具体的には、判断部816が、その信号を生成するために変調時に使用された擬似雑音符号の符号パターンを使用する送信機に対応付けられるPRN−IDに基づいて(たとえば、図9におけるメモリ820)、その信号の発信源を特定する。その測位信号が屋外から発信されたものである場合には、ベースバンドプロセッサ810は、制御をステップS1130に切り換える。その測位信号の発信源が屋外および屋内である場合には、ベースバンドプロセッサ810は、制御をステップS1150に切り換える。発信源が屋内である場合には、ベースバンドプロセッサ810は、制御をステップS1170に切り換える。
ステップS1130にて、位置情報提供装置100は、測位信号の復調を行なうことにより、その信号に含まれるデータを取得する。具体的には、ナビゲーションプロセッサ830の屋外測位部832は、その測位信号に対して、メモリ820に一時的に保存されていた符号パターン(前述の「ロック」が行なわれた符号パターン、以下「ロックした符号パターン」)を用いて重畳することにより、その信号を構成するサブフレームから、航法メッセージを取得する。
ステップS1150にて、位置情報提供装置100は、測位信号の復調を行なうことにより、その信号に含まれるデータを取得する。具体的には、屋外測位部832は、ベースバンドプロセッサ810によって送出された測位信号に対して、当該ロックした符号パターンを重畳することにより、測位信号を構成するサブフレーム中のデータを取得する。この場合、位置情報提供装置100は、GPS衛星からの測位信号および屋内送信機200からの測位信号をいずれも受信していることになるため、いわば「ハイブリッド」モードとして作動していることになる。したがって、各衛星からの信号については、同期の取れた時刻データを有する航法メッセージが取得され、屋内送信機からの信号については、上記座標値その他の位置情報を有するデータが取得される。
ステップS1152にて、屋内測位部834は、屋内送信機200−1によって発信された測位信号から、X座標値、Y座標値およびZ座標値を取得する処理を行ない、各座標値を位置情報として導出する。また、屋外測位部832は、GPS衛星によって発信された測位信号から航法メッセージを取得し、処理を行なう。その後、制御は、ステップS1160に移される。なお、ステップS1150の処理と、ステップS1152の処理とは、処理の実行順序が逆であってもよい。
ステップS1160にて、屋外測位部832は、取得した4つ以上の航法メッセージを用いて位置を算出するための通常の航法メッセージ処理を実行する。ステップS1162にて、屋外測位部832は、復調後の信号に基づいて携帯電話機900の位置を計算する。ステップS1164にて、屋外測位部832は、その計算したデータに基づいて位置情報をディスプレイ950に表示させる。他の局面において、屋外測位部832は、計算した位置情報(すなわち携帯電話機400の座標値)をデータ通信I/F978あるいは通信装置902を経由して位置情報を提供するサーバにアクセスし、具体的な地図を表示するように構成されていてもよい。
ステップS1170にて、位置情報提供装置100は、測位信号の復調を行なうことにより、その信号に含まれるデータを取得する。具体的には、屋内測位部834は、ベースバンドプロセッサ810から送出された測位信号に対して、当該ロックした符号パターンを重畳することにより、測位信号を構成するサブフレームから、メッセージデータを取得する。このメッセージデータは、衛星から送信される測位信号に含まれる航法メッセージに代えて、屋内送信機によって発信される測位信号に含まれるものである。メッセージデータのデータ長は、したがって、航法メッセージのデータ長と同じデータ長であることが好ましい。
ステップS1172にて、屋内測位部834は、そのデータから座標値(すなわち、屋内送信機の設置場所を特定するためのデータ(たとえば、信号560におけるX座標値、Y座標値、Z座標値))を取得する。なお、このような座標値に代えて、設置場所あるいは設置場所の住所を表わすテキスト情報がフレームに含まれている場合には、当該テキスト情報が取得される。
ステップS1174にて、ベースバンドプロセッサ810は、ワンセグ放送のチャネル番号情報を受信したか否かを判定する。この判定は、IMES信号560からチャネル番号情報640を抽出するための処理の結果に基づいて行なわれる。ベースバンドプロセッサ810は、チャネル番号情報640を受信したと判定すると(ステップS1174にてYES)、制御をステップS1180に切り換える。そうでない場合には(ステップS1174にてNO)、ベースバンドプロセッサ810は、制御をステップS1190に切り換える。
ステップS1180にて、ベースバンドプロセッサ810は、携帯電話機900における移動選局が有効であるか否かを判定する。この判定は、たとえば、自動選局を有効と設定するデータがフラッシュメモリ944に設定されているか否かを確認することにより行なわれる。あるいは、他の局面において、IMES信号560の補助値650が自動選局の強制を表わすデータであるか否かを確認することによっても行われ得る。ベースバンドプロセッサ810は、移動選局が有効であると判定すると(ステップS1180にてYES)、制御をステップS1182に切り換える。そうでない場合には(ステップS1180にてNO)、ベースバンドプロセッサ810は、制御をステップS1190に切り換える。
ステップS1182にて、ベースバンドプロセッサ810は、受信したチャネル番号情報に基づいて選局を実行する。具体的には、ベースバンドプロセッサ810は、ワンセグ受信装置930に命令を送出することにより、受信したチャネル番号情報によって特定されるチャネルを選局するように制御する。
ステップS1184にて、ベースバンドプロセッサ810は、ディスプレイ950に、当該選局に基づく映像を表示させる。当該映像は、たとえば、信号560を発信する屋内送信機の使用者によって送信されるワンセグ放送の画像を含む。当該画像は、レストランのおすすめメニュー、ショップのおすすめ商品の紹介映像、銀行における新商品、新サービスの宣伝広告、スーパーマーケットの各店舗ごとの特売情報等を含む。
ステップS1190にて、ベースバンドプロセッサ810は、信号560に基づく位置情報をディスプレイ950に表示させる。ディスプレイ950は、たとえば屋内送信機200が設置されているビル130の住所、あるいは、各屋内送信機のいずれかが設置されている店舗の名称などを表示する。
[画面の表示態様]
図13を参照して、本実施の形態に位置情報提供装置100の画面の表示態様について説明する。図13は、位置情報提供装置100のディスプレイ950における画面の表示を表わす図である。
位置情報提供装置100が、屋外において、各GPS衛星から発信された測位信号を受信すると、ディスプレイ950は、位置情報が当該測位信号に基づいて取得されていることを表わすアイコン1210を表示する。その後、位置情報提供装置100の使用者が屋内に移動した場合、位置情報提供装置100は、各GPS衛星から発信された測位信号を受信できなくなる。代わりに位置情報提供装置100は、たとえば屋内送信機200−1によって発信された信号を受信する。この信号は、上述のように、GPS衛星から発信される測位信号と同じ方式によって送信されている。したがって、位置情報提供装置100は、衛星から測位信号を受信した場合に実行する処理と同様の処理を当該信号に対して行なう。位置情報提供装置100が、当該信号から位置情報を取得すると、当該位置情報は屋内に設置された送信機から発信された信号に基づいて取得されたことを表わすアイコン1220をディスプレイ950に表示する。
一方、使用者が屋内から屋外に出て、位置情報提供装置100がGPS衛星からの測位信号を受信した場合、位置情報提供装置100は測位処理を再度実行し、位置情報を導出できる。ディスプレイ950は、アイコン1210を再び表示する。
以上のようにして、本発明の第1の実施の形態に係る位置情報提供装置100は、屋内あるいは地下街のように、GPS衛星からの電波を受信できない場所においては、その場所に設置された送信機(たとえば、屋内送信機200−1,200−2,200−3)から発信された電波を受信する。位置情報提供装置100は、その電波から、当該送信機の位置を特定する情報(たとえば、座標値、住所)を取得し、ディスプレイ950に表示する。これにより、位置情報提供装置100の使用者は、現在の位置を知ることができる。このようにすると、測位信号を直接受信できないような場所においても、位置情報が提供されることになる。
図14を参照して、位置情報提供装置100の画面の表示態様についてさらに説明する。図14は、GPS衛星から発せられた測位信号を受信できない場所におけるディスプレイ950の画面の変化を表す図である。この場所は、たとえば、レストランエリア、ショッピングモール等である。
位置情報提供装置100の使用者が、「ABCレストラン」の前にいるとき、位置情報提供装置100は、ABCレストランの入り口近傍に取り付けられた屋内送信機(図示しない)から発せられた信号560を受信する。この信号560のフォーマットは、前述のとおり、GPS信号のフォーマットと同じである。そこで、位置情報提供装置100は、そのIMES信号から、ABCレストランの位置を示す情報(たとえば、緯度/経度/高度、住所、当該エリアの番地等)を取得し、ディスプレイ950に画面1310として表示する。
その信号560は、さらに、ワンセグ放送のチャネル番号情報を含んでいる。そこで、位置情報提供装置100は、IMES信号からチャネル番号情報を取得し、取得したチャネル番号情報によって特定されるチャネルを選局する。そのチャンネルの選局後、位置情報提供装置100は、ワンセグ放送を受信した旨を表す画面1320をディスプレイ950に表示する。
ABCレストランの前に取り付けられた屋内送信機が、ワンセグ放送として「本日のおすすめメニュー」等を放送している場合、位置情報提供装置100は、その放送内容を画面1330として順次表示する。このようにすると、位置情報提供装置100の使用者がチャネルの選局操作を行なうことなく、最寄りの屋内送信機から発せられた信号に基づいて、その屋内送信機の使用者が放送するワンセグ放送を受信することができる。これにより、位置情報提供装置100を用いた情報提供が容易になる。また、その使用者も、簡単に情報を入手することができる。
図15は、さらに他の例を表す図である。位置情報提供装置100の使用者が「DEF中華料理店」の近傍にいるとき、位置情報提供装置100は、DEF中華料理店が設置した屋内送信機から発せられた信号560を受信する。位置情報提供装置100は、そのIMES信号から、DEF中華料理店の位置を表す情報を取得し、ディスプレイ950に画面1410を表示させる。表示内容は、座標値に限られず、店舗の名称、商業施設のディレクトリの名称等でもよい。
その後、位置情報提供装置100は、その受信した信号からワンセグ放送のチャネル番号を取得すると、そのチャネルに選局する。位置情報提供装置100がワンセグ放送の受信を検知すると、その旨を示す画面1420をディスプレイ950に表示する。位置情報提供装置100は、DEF中華料理店の近傍に設置された送信機から発信された信号からワンセグ放送を受信し、その映像を画面1430のように表示する。
位置情報提供装置100の使用者が、DEF中華料理店の前を過ぎ去り、隣接する「GHI寿司」店に接近すると、位置情報提供装置100は、「GHI寿司」の近傍に設置された送信機から発信された信号560を受信する。位置情報提供装置100は、その信号560から位置情報を取得すると、位置情報提供装置100の現在位置を画面1440に表示させる。その後、位置情報提供装置100は、信号560からチャネル番号情報を取得すると、そのチャネルに選局して、ワンセグ放送を受信する。ディスプレイ950は、ワンセグ放送の受信を示す画面1450を表示する。その後、ディスプレイ950は、GHI寿司によってワンセグ放送されている映像を画面1460として表示する。
これにより、複数の屋内送信機が設置されている場合であっても、位置情報提供装置100は、各屋内送信機から受信する信号に基づいて、屋内送信機の位置情報と、屋内送信機の設置者によってワンセグ放送される映像とを、順次表示することができる。これにより、位置情報提供装置100の使用者は、店舗の前で、当該店舗に関連する情報を正確に入手することができる。
<第2の変形例>
図16を参照して、位置情報提供装置100の変形例について説明する。本変形例に係る位置情報提供装置100は、他のアプリケーションを実行中にワンセグ放送を受信した場合に、選択的にワンセグ放送を受信できる機能を有する点で、前述の位置情報提供装置100と異なる。なお、本変形例に係る位置情報提供装置100は、前述のハードウェア構成を用いて実現される。したがって、ハードウェア構成の説明は繰り返さない。本変形例に係る位置情報提供装置は、固有の処理をソフトウェアの処理として実行することにより実現される。なお、以下の説明では、位置情報提供装置100の構成を用いる。
本変形例に係る位置情報提供装置100がメール機能を有する場合、ディスプレイ950は、たとえば、メールの作成画面1510を表示する。その後、位置情報提供装置100の使用者が信号560を送信する屋内送信機が設置された「XYZショップ」の前に差し掛かると、位置情報提供装置100は、信号560を受信し、信号560からチャネル番号情報を取得し、そのチャネルを選局する。位置情報提供装置100のベースバンドプロセッサ810は、ディスプレイ950に、メールを保存してワンセグ放送を視聴するか否かを問い合わせる画面1520を表示させる。位置情報提供装置100の使用者がアイコン1522を押下して「はい」を選択すると、ディスプレイ950は、XYZショップのタイムセールを宣伝する映像を画面1530のように表示する。一方、使用者がアイコン1524を押下して「いいえ」を選択すると、画面1520は消去され、ディスプレイ950は、メールの作成画面1510を再度表示する。
このような構成により、本変形例に係る位置情報提供装置100は、ワンセグ放送の視聴を選択的に切り換えることができるため、ワンセグ放送による情報を提供する機会の喪失を防止しつつ、他のアプリケーションの実行を妨げることを最小限に防止することができる。
<第3の変形例>
以下、本実施の形態の第3の変形例について説明する。本変形例に係る位置情報提供装置100は、信号560に含まれる補助値の値に応じて、ワンセグ放送のチャネルの選局を強制的に行なうか否かを制御できる機能を有する点で、前述の各位置情報提供装置と異なる。なお、本変形例に係る位置情報提供装置は、前述の位置情報提供装置100のハードウェア構成と同様のハードウェア構成を用いて実現される。したがって、ハードウェア構成の説明は繰り返さない。本変形例に係る位置情報提供装置は、固有の処理を実現するソフトウェアを実行することにより実現される。
そこで、図17を参照して、本変形例に係る位置情報提供装置の制御構造について説明する。図17は、位置情報提供装置が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。なお、前述の処理と同一の処理には同一のステップ番号を付してある。当該処理は前述の処理と同じである。したがって、同一の処理の説明は繰り返さない。
ステップS1180にて、ベースバンドプロセッサ810は、自動選局が有効であるか否かを判定する。この判定は、メモリ820に格納されている制御データに基づいて行なわれる。この制御データは、位置情報提供装置100の使用者が自動選局の有効/無効の設定を与えることにより入力される。ベースバンドプロセッサ810は、自動選局が有効であると判定すると(ステップS1180にてYES)、制御をステップS1182に切り換える。そうでない場合には(ステップS1180にてNO)、ベースバンドプロセッサ1180は制御をステップS1610に切り換える。
ステップS1610にて、ベースバンドプロセッサ810は、信号560の重要度が予め定められた規定値以上であるか否かを判定する。この判定は、たとえば、補助値650に含まれる当該重要度と、予め設定された規定値との比較に基づいて行なわれる。ベースバンドプロセッサ810は、当該重要度が規定値以上であると判定すると(ステップS1610にてYES)、制御をステップS1182に切り換える。そうでない場合には(ステップS1610にてNO)、ベースバンドプロセッサ810は、制御をステップS1190に切り換える。
このようにすると、仮に、ワンセグ放送に基づくチャネルの自動選局が無効に設定されている場合であっても、信号560の重要度に応じて、強制的に選局することができる。たとえば、地震その他の自然災害の報知のような緊急性を有するワンセグ放送の場合には、強制的に、位置情報提供装置の使用者に報知することができる。
そこで、図18を参照して、本変形例に係る位置情報提供装置の画面の表示態様について説明する。図18は、ディスプレイ950における画面の推移を表わす図である。位置情報提供装置100の使用者がメールを作成している場合、ディスプレイ950はメールの作成画面1710を表示する。その後、特定の商業施設の付近をとおりかかった時に測位信号を受信すると、その商業施設の位置情報を取得すると共に、その信号からワンセグ放送を視聴するチャネル番号を取得する。位置情報提供装置は、ワンセグ放送の受信を通知する画面1720をディスプレイ950に表示させる。
その信号の重要度が予め規定された値以上である場合には、位置情報提供装置は、ワンセグ放送の自動選局の設定が無効である場合でも、そのチャネル番号のワンセグ放送を受信する。たとえば、地震が発生した場合には、その旨を示す文字放送の画面1730を表示する。これにより、位置情報提供装置の使用者による設定に関わらず、重要度の高い情報をタイムリーに提供することもできる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 位置情報提供システム、20 送信システム、100−1,100−2 位置情報提供装置、110,111,112,113 GPS衛星、121,122,123,124 送信機、130 ビル、200,200−1,200−2,200−3,200−4 屋内送信機、250 放送システム、201 音声・映像データ、203,206,392,702,712,722,1010 アンテナ、982 メモリカード。