JP5399440B2 - ガスセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、被検出ガスの濃度を検出するガスセンサ素子を備えたガスセンサに関する。
自動車等の排気ガス中の特定ガス(酸素やNO)の濃度を検出するガスセンサとして、固体電解質を用いたガスセンサ素子を有するものが知られている。このようなガスセンサとして、図7に示すように、軸線O方向に延びる筒状であって、固体電解質からなる素子本体3sの先端部から後端部の外表面に亘って、検出部3cs、リード部3cL、接続部3cpとからなる外側電極3cを形成したガスセンサ素子3を備えた構成が知られている。又、この外側電極3cから出力を取り出すため、ガスセンサには、ガスセンサ素子3の後端部を径方向から包囲する筒状部930を備えた外側端子910が設けられている。筒状部930は軸線方向OにスリットMを有する金属筒であり、ガスセンサ素子3により径方向に広げられてガスセンサ素子3の後端部に外嵌される。
一方、外側端子910には、筒状部930の後端側に板状基部940が形成され、さらに、板状基部940の後端にリード線(図示せず)の芯線に加締め接続される接続端部950が配置されている。そして、板状基部940をセパレータの挿通孔(図示せず)に挿入保持している。
又、筒状部930の一部に、径方向内側に折り曲げた複数の切り起こし部930b、934を設けている。このうち2個の切り起こし部930bを外側電極3cの接続部3cpに当接させることで、筒状部930と接続部3cpとの電気的接続を行うと共に、切り起こし部930b、934を用いてガスセンサ素子3を保持している技術が開発されている(特許文献1)。
特開2010−181347号公報(図3、図4、図5) 特開2010−271284号公報(図1、図4)
しかしながら、特許文献1記載の技術の場合、筒状部930をガスセンサ素子3の後端部より径大として両者を非接触とし、切り起こし930b、934のみでガスセンサ素子3を保持している。この場合、切り起こし930b、934はガスセンサ素子3を点で支持するだけであるので、安定した保持の点で改善の余地がある。
これに対し、特許文献2のように筒状部にてガスセンサ素子の後端部を保持するとともに、この筒状部を外側電極の接続部に当接させることで、筒状部と接続部との電気的接続を行う技術も開発されている。しかしながら、筒状部がガスセンサ素子に対し相対的に動くと、筒状部の一部がガスセンサ素子から離間することで、筒状部と接続部とが離間する可能性が高くなり、電気的接続の信頼性が低下するおそれがある。
従って、本発明は、外側端子をガスセンサ素子に安定して保持できると共に、外側端子がガスセンサ素子に対し相対的に動いても、両者の電気的接続の信頼性が低下され難いガスセンサの提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のガスセンサは、軸線方向に延び、先端部が被測定ガスに晒される有底筒状の素子本体と、該素子本体の先端部から後端部の外表面に設けられた外側電極とを有するガスセンサ素子と、前記ガスセンサ素子の後端部を径方向から包囲して前記外側電極に電気的に接続される筒状部を有する外側端子と、を備えたガスセンサであって、前記筒状部は、該筒状部を切り欠いて径方向に弾性変形可能な切り欠き部と、前記切り欠き部に配置されて径方向内側に突出する凸部とを有し、前記筒状部が、前記ガスセンサ素子の後端部を保持すると共に、前記切り欠き部が径方向に弾性変形しつつ、前記凸部が前記外側電極に当接する。
このガスセンサによれば、ガスセンサ素子の後端部と外側端子との機械的な保持は、切り欠き部を除く筒状部で積極的に行われる一方で、外側端子と外側電極との電気的な接続は、径方向に弾性変形する切り欠き部内に配置された凸部で行われる。このため、筒状部全体でガスセンサ素子の後端部に線又は面で接触するのでガスセンサ素子を安定して保持できると共に、筒状部がガスセンサ素子に対し相対的に動いても、筒状部と独立に動く切り欠き部がその動きを吸収するので、切り欠き部内に配置された凸部と外側電極とを確実に当接させることができ、外側端子と外側電極との電気的接続の信頼性が低下され難い。
又、外側電極との電気的接点が必ず凸部の位置となり、軸線方向での電気的接点の位置が特定されるので、外側電極の形成位置をこの位置近傍までに限定することができる。これにより、外側電極の長さを短くすることができ、外側電極に用いる材料(貴金属等)の使用量が低減し、コストダウンが図られる。
さらに、本発明のガスセンサにおいて、前記外側電極は、前記素子本体の先端側の全周に亘って設けられる検出部と、前記素子本体の後端側の周方向の一部に設けられて前記検出部と前記外側端子と電気的に接続する接続部とを有し、前記切り欠き部が周方向に複数設けられ、少なくとも1つの前記切り欠き部が有する前記凸部に前記接続部が当接しているとよい。
このガスセンサによれば、周方向に複数の切り欠き部を設けることで、接続部を周方向の一部に設けたとしても、少なくとも1つの切り欠き部内に配置された凸部が接続部に確実に当接させることができ、外側端子と外側電極との電気的接続の信頼性が低下され難い。そのうえ、外側電極を素子本体の後端部の全周に設ける必要がなくなり、接続部に用いる材料(貴金属等)の使用量が低減し、コストダウンが図られる。
さらに、本発明のガスセンサにおいて、前記筒状部を前記軸線方向に見て120度の間隔で3つの領域に分割したとき、前記切り欠き部がそれぞれの領域に少なくとも1つ配置されているとよい。
このガスセンサによれば、凸部のいずれかが外側電極に接触する可能性が高くなり、外側端子と外側電極との確実な導通が図られるので好ましい。
さらに、本発明のガスセンサにおいて、前記切り欠き部が周方向に等間隔で配置されていると、外側電極に凸部が片当たりせずに均等に接触し易くなり、外側端子と外側電極との確実な導通が図られるので好ましい。
さらに、本発明のガスセンサにおいて、前記筒状部が、自身の先端縁から後端縁にかけて前記軸線方向に延びるスリットが形成され、断面C型形状に形成されていると、筒状部をガスセンサ素子に外嵌して拡開した際にバネ力によって筒状部が縮まり、ガスセンサ素子に押圧されるので、ガスセンサ素子をより一層安定して保持できる。なお、筒状部の自由状態(ガスセンサ素子の後端部を保持する前での状態)の内径は、ガスセンサ素子の外径よりも径小であることは言うまでもない。
この発明によれば、外側端子をガスセンサ素子に安定して保持できると共に、外側端子がガスセンサ素子に対し相対的に動いても、両者の電気的接続の信頼性が低下され難い。
本発明の実施形態に係るガスセンサを軸線方向に沿う面で切断した断面図である。 ガスセンサ素子及び外側端子の構造を示す斜視図である。 外側端子の筒状部をガスセンサ素子の後端側の外周面に外嵌した状態を示す斜視図である。 図3を軸線方向に垂直な平面で切断した断面図である。 図4においてガスセンサ素子が軸線方向に垂直な方向(図5の矢印A)に動いたときの断面図である。 セパレータアセンブリとセンサ素子アセンブリとを組み付けてガスセンサを製造する態様を示す図である。 従来の外側端子の構造を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るガスセンサ100を軸線O方向(先端から後端に沿う方向)に沿う面で切断した断面構造を示す。この実施形態において、ガスセンサ100は自動車の排気管内に挿入されて先端(図1のプロテクタ7側)が排気ガス中に曝され、排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサになっている。
なお、図1の下側(プロテクタ7側)をガスセンサ100の先端側とし、図1の上側をガスセンサ100の後端側とする。
ガスセンサ100は、ガスセンサ素子3がハウジング(主体金具)20内に組み付けられている。このうち、ガスセンサ素子3は、酸素イオン伝導性の固体電解質体に一対の電極を積層した酸素濃淡電池を構成し、酸素量に応じた検出値を出力する公知の酸素ガスセンサ素子である。詳細には、ガスセンサ素子3は、先端に向かってテーパ状に縮径する有底筒状の固体電解質体(特許請求の範囲の「素子本体」に相当、図2参照)と、固体電解質体の内周面と外周面にそれぞれ形成された内側電極3b及び外側電極3cとからなる。そして、ガスセンサ素子3の内部空間を基準ガス雰囲気とし、ガスセンサ素子3の外面に被検出ガスを接触させてガスの検知を行うようになっている。
ガスセンサ素子3の中央付近には、径方向外側に突出する鍔部3aが設けられている。一方、ハウジング20の先端寄りの内周面には内側に縮径する段部20eが設けられ、鍔部3aと段部20eの間にパッキン12が配置されている。そして、ガスセンサ素子3をハウジング20の内側に挿通し、鍔部3aをパッキン12に当てることにより、間接的に段部20eに後端側からガスセンサ素子3の鍔部3aが当接し、ガスセンサ素子3がハウジング20内に組み付けられている。
さらに、鍔部3aの後端側におけるガスセンサ素子3とハウジング20との径方向の隙間に、筒状のシール材(滑石粉末)6が充填され、さらにシール材6の後端側に筒状の絶縁部材(セラミックスリーブ)31が配置されている。そして、絶縁部材31の後端側に金属リング(ステンレス製の平ワッシャ)30を配し、ハウジング20の後端部を内側に屈曲して加締め部20aを形成することにより、絶縁部材31が先端側に押し付けられてシール材6を押し潰し、絶縁部材31及びシール材6が加締め固定されるとともに、ガスセンサ素子3とハウジング20の隙間がシールされている。
さらに、ハウジング20の後端には、ガスセンサ素子3の後端部を覆うため、金属製筒状の外筒40が接合されている。この外筒40は、例えば、SUS430、SUS304、SUS304L、SUS310S、SUS316、SUS316L等のステンレス鋼を用いることができる。外筒40は、ハウジング20に接続する先端部40aと先端部40aよりも縮径された後端部40bとを有し、先端部40aと後端部40bとの間には、段部43が設けられている。
外筒40の先端部40aの内側面には、絶縁性の筒状のセパレータ111が配置されている。さらに、セパレータ111の2個の挿通孔115、116にそれぞれ内側端子71、外側端子91の板状基部74、94が挿通されて固定されている。この各板状基部74、94の後端にはそれぞれ接続端部75、95が形成され、接続端部75、95にそれぞれリード線141、141が加締め接続されている。
また、セパレータ111は、セパレータ111の後端面を段部43に当接させつつ、セパレータ111の先端面をセパレータ111よりも先端側に配置した保持金具45に当接させることで、外筒40内に保持される。この保持金具45は、セパレータ111よりも先端側に配置され、外筒40の先端部40aが加締められることで外筒40内に固定されている。
内側端子71には、板状基部74に接続し、ガスセンサ素子3の筒孔3d内に内嵌された挿入部73が設けられている。この挿入部73は、筒形状を有し、ガスセンサ素子3の内側に設けられた内側電極3bと電気的に接続される。また、外側端子91には、板状基部94に接続詞、ガスセンサ素子3の外側に外嵌された筒状部93が設けられている。この筒状部93は、筒形状を有し、ガスセンサ素子3の外側に設けられた外側電極3cと電気的に接続される。なお、外側端子91の詳細については後述する。
外筒40の後端部40bの内側には筒状のグロメット131が内挿されて加締め固定されている。このグロメット131には、2個の挿通孔からそれぞれリード線141、141が外部に引き出されている。又、グロメット131の後端側がフランジ状に拡径しており、この拡径部分を外筒40の後端に載置することにより、グロメット131の位置決めがされる。グロメット131としては、例えばシリコンゴムやフッ素ゴム等からなるゴムキャップを用いることができる。
さらに、外筒40の後端部40bの側面のうち、グロメット131よりも先端側の位置には、周方向に等間隔で4個(図1では3個のみ図示)の第1通気孔41が開口している。そして、外筒40の後端部40bの径方向外側には、第1通気孔41を塞ぐように、環状の通気性のフィルタ50が被せられ、さらに、フィルタ50を径方向外側から金属製筒状の保護外筒60が囲んでいる。この保護外筒60は、例えば、SUS430、SUS304、SUS304L、SUS310S、SUS316、SUS316L等のステンレス鋼を用いることができる。保護外筒60の側面には、周方向に等間隔で4個(図1では2個のみ図示)の第2通気孔61が開口し、フィルタ50を介して外筒40内部へ外気を導入可能になっている。なお、第2通気孔61及び第1通気孔41の先後で外筒40及び保護外筒60を加締めることで、外筒40と保護外筒60の間にフィルタ50を保持している。フィルタ50は、例えばフッ素系樹脂等の樹脂の多孔質構造体からなり、撥水性を有しているため外部の水を通さずにセンサ素子3の内部空間に基準ガス(大気)を導入する。
保護外筒60は、後端部がグロメット131の後端面上に設けられるように径方向内側に折り曲げられてなり、後端部の中央に開口63が形成され、開口からリード線141、141が外部に引き出されている。さらに、保護外筒60の後端側には、外筒40の後端部40bに設けられた加締め部に加締め固定されている。つまり、グロメット131は、保護外筒60及び外筒40の両者を同時に加締めることで、外筒40内に配置されている。
一方、ハウジング20の先端部20fには金属製(ステンレスなど)で筒状のプロテクタ7が固定され、ハウジング20から突出するガスセンサ素子3の先端がプロテクタ7で覆われている。このプロテクタ7は、排気ガスをプロテクタ7の内部に取り込むための複数の孔部を有している。
なお、ハウジング20の中央付近には、径方向外側に突出し六角レンチ等を係合するための多角形の鍔部20cが設けられ、鍔部20cと先端部20fとの間のハウジング20外側面には雄ねじ部20dが形成されている。又、鍔部20cの先端面と雄ねじ部20dの後端との間の段部には、排気管に取付けた際のガス抜けを防止するガスケット(図示せず)が嵌挿されている。
そして、ハウジング20の雄ねじ部20dを排気管等のネジ孔に取付けることで、ガスセンサ素子3の先端を排気管内に露出させて被検出ガス(排気ガス)を検知している。
次に、図2、図3を参照し、本発明の特徴部分である外側端子91の構成を説明する。外側端子91は、先端から後端に細長く延び、所定の形状に打ち抜かれた金属薄板(耐食耐熱超合金板)を曲げ加工して一体に形成されている。外側端子91の後端側には板状基部94が形成され、板状基部94の後端側にはリード線141の芯線に加締め接続される接続端部95が配置されている。板状基部94の先端側には筒状部93が接続されている。さらに板状基部94の軸線方向中央側には、他の部位より広幅の広幅部94wが形成され、広幅部94wの中央部は後端側が固定されたコ字状に打ち抜かれ、広幅部94wの背面側(前面と反対側の面)に切起こされた切り起こし部94Yが設けられている。
そして、板状基部94をセパレータ111の挿通孔116(図6参照)に挿入した際、板状基部94が挿通孔116内に位置決めされる。又、上記した切起こし部94Yが挿通孔116の外端壁に当接し、そのバネ力によって板状基部94を挿通孔116内に保持している。
一方、筒状部93は後端と先端とを結ぶ軸線を中心とする筒状をなし、かつ板状基部94と反対側に母線に沿ったスリットMを有している。そして、筒状部93の内径は、ガスセンサ素子3の後端部の外径より小さく、筒状部93をガスセンサ素子3に外嵌して拡開した際にバネ力によって筒状部93が縮まり、ガスセンサ素子3の外側電極3cに押圧されるようになっている。
さらに、筒状部93の軸線O方向の中央近傍には、自身をコ字状に切り欠いた切り欠き部93aが、周方向に等間隔で5個(図2では3個のみ表示)設けられている。そして、各切り欠き部93aの中央には、径方向内側に突出する正方形の凸部(ダボ)93bが設けられている。ここで、切り欠き部93aの軸線O方向に平行な一辺が固定端となっており、切り欠き部93aはこの固定端を支点として径方向に弾性的に変形(縮径及び拡径)可能である。凸部93bは、外側端子91と外側電極3c(後述する接続部3cp)とを電気的に接続するものであり、この実施形態では、凸部93bはプレス加工によって切り欠き部93aから突出している。
なお、切り欠き部93aの径方向に力が加えられていない自由状態では、切り欠き部93aは筒状部93の板面と面一になっているが、切り欠き部93aに力が加えられたときに筒状部93の板面に対して縮径及び拡径することで、後述するように、外側端子91がガスセンサ素子3に対し相対的に動いても、切り欠き部93aがその動きを吸収するので電気的接続の信頼性が低下され難い。又、凸部93bと外側電極3cとの電気的接続の信頼性をより確実にするため、凸部93bの突出高さを調整する(例えば、高くする)ことが好ましい。
ここで、図2に示すように、外側電極(検知電極)3cはガスセンサ素子3の素子本体3s外面の先端側に形成され、さらに外側電極3cは、素子本体3sの先端側の全周に亘って設けられる検出部3csと、検出部3csから後端に延びる線状のリード部3cLと、素子本体3sの後端側に周方向の一部に延びるように設けられてリード部3cL(検出部3cs)と接続する接続部3cpとを有している。そして、筒状部93の凸部93bは、接続部3cpに接続される。
なお、接続部3cpは周方向にリード部3cLより広幅(幅S)で形成され、接続部3cとリード部3cLとがT字状をなしている。又、内側電極3b(図1参照)は、素子本体3sの先端部から後端部の内孔3dの表面に設けられている。
そして、図3に示すように、外側端子91の筒状部93をガスセンサ素子3の後端側の外周面に外嵌し、ガスセンサ素子3外面の外側電極3c(接続部3cp)と、筒状部93(凸部93b)とを当接させる。また、ガスセンサ素子3に外嵌した際に筒状部93は拡開し、バネ力によって筒状部93が縮まるので、ガスセンサ素子3が筒状部93により強固に保持される。
図4は、図3を軸線方向Oに垂直な平面で切断した断面図である。筒状部93は弾性力によって縮まるので真円とはならず、周方向の幾つかの位置で筒状部93とガスセンサ素子3外面とが接触(片当たり)し、ガスセンサ素子3は筒状部93に挟持されている。ここで、筒状部93はスリットMを有するC型形状に形成されているため、筒状部93はスリットM近傍、及びスリットMと対向する位置(板状基部94と接続される位置)でガスセンサ素子3と接触するが、図4の側方でガスセンサ素子3と隙間Gを形成している。
この場合、筒状部93がガスセンサ素子3と接触(近接)する位置では、切り欠き部93aが径方向外側に大きく逃げることで、切り欠き部93a内の凸部93bが接続部3cpに当接する。また、筒状部93がガスセンサ素子3と離間して隙間Gを有する側方位置では、切り欠き部93aの径方向外側に小さく逃げることで、凸部93bが接続部3cpに当接する。
図5は、図4においてガスセンサ素子3が軸線方向Oに垂直な方向(図5の矢印A)に動いたときの断面図である。筒状部93内でガスセンサ素子3が左側(図5の矢印A)に動くと、筒状部93の左側がガスセンサ素子3とより多く接触する一方で、筒状部93の右側の隙間Gが大きくなる。
この場合、筒状部93の左側では、切り欠き部93aが径方向外側に大きく逃げることで、切り欠き部93a内の凸部93bと接続部3cpとの当接が維持される。一方、筒状部93の右側では、切り欠き部93aが径方向内側へ戻る(縮径する)ことで、凸部93bと接続部3cpとの当接が維持される。そして、このように筒状部93とガスセンサ素子3外面との距離に応じて切り欠き部93aが径方向に弾性変形するので、切り欠き部93a内の凸部93bが接続部3cpに常に接続部3cpに押圧され、ガスセンサ素子3と筒状部93との確実な電気的接続が維持される。
このように、ガスセンサ素子3の後端部と外側端子91との機械的な保持は、切り欠き部93aを除く筒状部93で積極的に行われる一方で、外側端子91と外側電極3cとの電気的な接続は、径方向に弾性変形する切り欠き部93a内に配置された凸部93bで行われる。
このため、筒状部93全体でガスセンサ素子3の後端部に線又は面で接触するのでガスセンサ素子3を安定して保持できると共に、筒状部93がガスセンサ素子3に対し相対的に動いても、筒状部93と独立に動く切り欠き部93aがその動きを吸収するので、切り欠き部93a内に配置された凸部93bと外側電極3cとを確実に当接させることができ、外側端子91と外側電極3cとの電気的接続の信頼性が低下され難い。
又、筒状部93のガスセンサ素子3への嵌合深さは、外筒40(図7参照)に固定される際の筒状部93の軸線O方向の位置に応じて予め決められており、さらに本発明においては外側電極3cとの電気的接点が必ず凸部93bの位置となる。このため、軸線方向Oでの電気的接点の位置が特定されるので、図2に示すように接続部3cpの軸線方向Oの長さSをこの接点近傍に限定することができ、接続部3cpに用いる材料(貴金属等)の使用量が低減してコストダウンが図られる。
さらに、周方向に複数の切り欠き部93aを設けることで、接続部3cpを周方向の一部に設けたとしても、少なくとも1つの切り欠き部93a内に配置された凸部93bが接続部3cpに確実に当接させることができ、外側端子91と外側電極3cとの電気的接続の信頼性が低下され難い。そのうえ、外側電極3cを素子本体3sの後端部の全周に設ける必要がなくなり、接続部3cpに用いる材料(貴金属等)の使用量が低減し、コストダウンが図られる。
特に、図2の実施形態では、接続部3cpは周方向に幅Sで形成され、一方で外側端子91において、隣接する切り欠き部93aの周方向の間隔(=凸部93bの間隔)Sで形成されている。このとき、S<Sの関係を満たすことで、接続部3cpに対する外側端子91の周方向の向きによらず、少なくとも1個以上の凸部93bが必ず接続部3cpに接触することになる。よって、外側電極3cと外側端子91との位置合わせを行うことなく接点を確保することができ、組み付けが容易になる。なお、切り欠き部93a(=凸部93b)の周方向の間隔が等間隔でなくともよく、隣接する切り欠き部93aの間隔のうち、最大のものがS<Sの関係を満たせば、上記効果を奏することができる。
又、筒状部93を軸線方向Oに見て120度の間隔で3つの領域に分割したとき、切り欠き部93aがそれぞれの領域に少なくとも1つ配置されていれば、凸部93bのいずれかが外側電極3cに接触する割合が高くなり、外側端子91と外側電極3cとの確実な導通が図られるので好ましい。
又、切り欠き部93aが周方向に等間隔で配置されていると、外側電極3cに凸部93bが片当たりせずに均等に接触し易くなり、外側端子91と外側電極3cとの確実な導通が図られるので好ましい。
次に、図6を参照し、このガスセンサ100の製造方法について説明する。まず、ガスセンサ素子3を主体金具20の内側に保持してセンサ素子アセンブリBを組み付ける。具体的には、ガスセンサ素子3を主体金具20内に配置されたパッキン12上に配置する。その後、主体金具20とガスセンサ素子3との間隙にシール材6を充填し、絶縁部材31、金属リング30を順にシール材6上に配置し、主体金具2の後端側を加締めてセンサ素子アセンブリBを組み付ける。一方で、外筒40内に、内側端子71及び外側端子91を組み付けたセパレータ111をグロメット131と共に配置し、セパレータアセンブリAを組み付ける。具体的には、リード線141に接続された内側端子71及び外側端子91をセパレータ111の挿通孔115、116内に挿入し、その後、セパレータ111を外筒40の段部43に当接する。その後、セパレータ111と外筒4との間隙に保持金具45を挿入して、外筒40の先端部40aを加締め保持金具45を固定する。さらに、グロメット131を外筒40の後端から挿入すると共に、外筒40の後端部40bにフィルタ50、保護外筒60をそれぞれ配置し、フィルタ50、グロメット131をそれぞれ加締め固定することで、セパレータアセンブリAを組み付ける。そして、セパレータアセンブリAをセンサセンサ素子アセンブリBとの軸線を合わせ、セパレータアセンブリAをセンサ素子アセンブリBの後端に被せると、内側端子71の筒状の挿入部73がガスセンサ素子3の後端の筒孔3d内に内嵌され、ガスセンサ素子3内面の内側電極(基準電極)3bと電気的に接続される。又、外側端子91の筒状部93はガスセンサ素子3の後端側の外周面に外嵌され、ガスセンサ素子3外面の外側電極(検知電極)3cと電気的に接続される。そして、外筒40の先端部をハウジング20に外嵌し、外筒40の先端部の外周面をレーザ溶接等によって主体金具20の後端部に接続し、ガスセンサ100を製造する。
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
切り欠き部は1個以上形成されれば個数は限定されず、切り欠き部の形状も限定されない。例えば、切り欠き部をU字状に切り欠いてもよい。切り欠き部の固定端の位置についても、図2のような側方でなく、先端側又は後端側であってもよい。
1つの切り欠き部内部に配置される凸部の個数も1個以上であればよく、凸部の形状も限定されない。但し、1つの切り欠き部内部に1個の凸部を配置した方が外側電極との接点の位置が明瞭になると共に、外側端子がガスセンサ素子に対し相対的に動いたときに切り欠き部にその動きを伝え易いので好ましい。又、同じ理由から、切り欠き部の重心となる位置に凸部を配置してもよい。
又、本発明はヒータレスセンサに限らず、ヒータを有するガスセンサにも適用可能である。
さらに、ガスセンサ素子としては、筒状の素子であれば、上記した酸素センサ素子(λセンサ素子)の他、アンモニアセンサ素子、HCセンサ素子、Hセンサ素子等に用いることができる。
3 ガスセンサ素子
3c 外側電極
3cs 検出部
3cp 接続部
3s 素子本体
91 外側端子
93 筒状部
93a 切り欠き部
93b 凸部
100 ガスセンサ
O 軸線方向
M スリット

Claims (5)

  1. 軸線方向に延び、先端部が被測定ガスに晒される有底筒状の素子本体と、該素子本体の先端部から後端部の外表面に設けられた外側電極とを有するガスセンサ素子と、
    前記ガスセンサ素子の後端部を径方向から包囲して前記外側電極に電気的に接続される筒状部を有する外側端子と、を備えたガスセンサであって、
    前記筒状部は、該筒状部を切り欠いて径方向に弾性変形可能な切り欠き部と、前記切り欠き部に配置されて径方向内側に突出する凸部とを有し、
    前記筒状部が、前記ガスセンサ素子の後端部を保持すると共に、前記切り欠き部が径方向に弾性変形しつつ、前記凸部が前記外側電極に当接するガスセンサ。
  2. 前記外側電極は、前記素子本体の先端側の全周に亘って設けられる検出部と、前記素子本体の後端側の周方向の一部に設けられて前記検出部と前記外側端子とを電気的に接続する接続部とを有し、
    前記切り欠き部が周方向に複数設けられ、少なくとも1つの前記切り欠き部が有する前記凸部に前記接続部が当接している請求項1に記載のガスセンサ。
  3. 前記筒状部を前記軸線方向に見て120度の間隔で3つの領域に分割したとき、前記切り欠き部がそれぞれの領域に少なくとも1つ配置されている請求項1又は2に記載のガスセンサ。
  4. 前記切り欠き部が周方向に等間隔で配置されている請求項3に記載のガスセンサ。
  5. 前記筒状部は、自身の先端縁から後端縁にかけて前記軸線方向に延びるスリットが形成され、断面C型形状に形成されている請求項1〜4のいずれかに記載のガスセンサ。
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