JP5396898B2 - 動的帯域割当方法及び局側装置 - Google Patents
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Description
このPONシステムの局側装置は、上り信号の干渉を防止するため、複数の宅側装置に対して時分割で上り方向の帯域を動的に割り当てている。
このグラントのためのゲートフレームには、上りの送信開始時刻と送信許可長(時間相当値)とが記されているので、各宅側装置は、ゲートフレームに記された所定時間において所定量のデータを上り方向に送出することができる(例えば、特許文献1参照)。
この集中型DBAによれば、所定サイクル長のグラント周期の範囲内において、帯域が不足しがちな優先度が高い宅側装置に対して、優先的に帯域を割り当てる優先制御を行うことができ、各宅側装置に対する帯域保証を行えるという利点がある。
このため、各宅側装置は、次回のグラント周期において、レポートの光バースト信号とユーザデータの光バースト信号を別個に光ファイバに送出することになるので、論理的な接続数に対して上記オーバーヘッドの領域が2倍必要となり、上り方向の帯域利用効率が悪化するという問題がある。
また、局側装置がグラントに記す送信許可の時間については、TQ(Time Quanta(=16ns))と呼ばれる時間単位でカウントする。
このため、例えば、スケジューリング処理によって生じた上記空き時間を任意の宅側装置のための送信時間に割り当てる等により、上り方向の帯域利用効率を向上することができる。
この場合、単一バーストのレポート部分を含むすべての次回分のレポートの受信時刻が上記最終レポート到着時刻と同時刻かこれよりも早くなるので、単一バースト化しても次回のグラント周期において次回分のレポートの回収が遅れることがなく、すべての宅側装置について次々回分の帯域割当計算を行うことができ、公平な帯域割当を行うことができる。
この場合、上記空き時間がいずれかの宅側装置の上りデータの送信時間に割り当てられるので、上り方向の帯域利用効率が向上する。
この場合、次回のグラント周期を短縮させることによってそれ以降の帯域割当を前倒しに行うことができるので、上り方向の帯域利用効率が向上する。
その理由は、小さい方の第1リクエスト値を割り当てた宅側装置を高順位として単一バースト化すれば、単一バースト化できる宅側装置が多くなり、帯域利用効率を向上できる可能性が増大するからである。
その理由は、上り送信レートが大きい宅側装置ほど、単一バースト化による時間短縮効果が大きくなるからである。
かかる後詰めのスケジューリング方式では、グラント周期の前側(時間が早い側)に空き時間ができるが、この空き時間を任意の宅側装置の上りデータ用に割り当てて全体を前側にシフトさせることにより、単一バーストのレポート部分を含むすべてのレポートを、最終レポート到着時刻以前に稠密に配置できる。
このため、何らかのシステム上の不具合でスケジューリング処理が途中で中断しても、その中断時点での仮スケジューリングの結果に基づいてグラントを生成することにより、宅側装置に対する上り送信の制御を実行することができる。
このため、例えば、上記スケジューリング手段の処理によって生じた上記空き時間を任意の宅側装置のための送信時間に割り当てる等により、上り方向の帯域利用効率を向上することができる。
図1は、本発明の動的帯域割当方法が適用されるPONシステムの概略構成図である。
図1において、局側装置1は、複数の宅側装置2〜4に対する集約局として設置されており、各宅側装置2〜4はそれぞれPONシステムの加入者宅に設置されている。
局側装置1に接続された1本の光ファイバ5は、光カプラ6を介して分岐する複数の光ファイバ(支線)7〜9とともに光ファイバ網を構成しており、分岐した光ファイバ7〜9の終端にそれぞれ宅側装置2〜4が接続されている。
なお、図1では3個の宅側装置2〜4を示しているが、1つの光カプラ6から例えば32分岐して32個の宅側装置を接続することが可能である。また、図1に示す接続例では、光カプラ6を1個だけ使用しているが、分岐数の少ない光カプラを縦列に複数段配置することにより、広い地域に分散している宅側装置を短い光ファイバで局側装置1と接続することもできる。
なお、本実施形態において、図1に示す、上り送信レートが異なる宅側装置2〜4が混在収容されたPONシステムを、「マルチレートPONシステム」という。
すなわち、レポートR(宅側装置2が帯域要求するための制御フレーム:「リクエスト」ともいう。)には、宅側装置2が局側装置1に送りたいデータ量を2バイト単位で記し、ゲートG(局側装置1が送信許可を与える制御フレーム)には、局側装置1が2バイト単位の送信許可長と送信開始時刻を記すようになっている。
また、本実施形態のPONシステムでは、各宅側装置2〜4には、例えばIP電話等の低レイテンシが要求される通信サービスに対応するため、各宅側装置2〜4ごとに異なる最低保証帯域B1,B2,B3がそれぞれ設定されている。
図3は、本実施形態の局側装置1の内部機能を示すブロック図である。
図3において、局側装置1は、上位ネットワーク11から宅側装置2〜4への下り信号処理用として、上位ネットワーク11からの信号を受信する受信部101と、受信した信号を一時記憶するバッファ102と、バッファ102に一時記憶された信号を宅側装置2〜4へ送信する送信部103とを備えている。
更に、本実施形態の局側装置1は、自身が管理する各宅側装置2〜4に対する動的帯域割当を実行する動的帯域割当部107を備えている。この割当部107は、リクエスト受信部108と、算出部109と、割当実行部110と、グラント送信部112と、記憶部113とを有する。
図4(a)に示すように、宅側装置2〜4のレポートRにおいて、1つのレポートRで帯域要求するデータ量(リクエスト値R1,R2)は2種類あり、それぞれ2バイト単位の数値で表される。この2種類のリクエスト値R1,R2のうち、第1リクエスト値R1は、各宅側装置2〜4が自身の最低保証帯域B1〜B3用のデータ量を記すためのものである。
また、図4(b)に示すように、局側装置1のゲートGにおいても、各宅側装置2〜4に対する送信許可長(時間相当値)が2バイト単位の数値で表される(図4(b)の Grant ♯1〜♯4参照)。
例えば、局側装置1は、宅側装置2〜3にレポートRを送信させたい場合には、このフラグフィールドに0以外の所定値を立てる。かかるレポートRの送信を強制するフラグフィールドを「フォースレポート」という。
算出部109は、記憶部113に記憶されている宅側装置2〜4の上り送信レートと最低保証帯域B1〜B3とを参照し、各宅側装置2〜4ごとに、グラント周期における上り送信レートを考慮した最低保証帯域B1〜B3の比率を反映する優先度を算出する。なお、この優先度の詳細についても後述する。
図5に示すように、局側装置1は、宅側装置2〜4からレポートR(第1及び第2リクエスト値R1,R2を含む。)を受けた後、上り送信レートと最低保証帯域とに基づく優先度の算出、その優先度に基づく帯域割当の実行、及びグラント生成を順次行い、宅側装置2〜4に時間相当量でのグラント送信を行う。
ところで、前記した通り、複数の宅側装置2〜4からの帯域要求(リクエスト)に対して局側装置1が行う動的帯域割当方法には、分散型DBAと集中型DBAとがあるが、本実施形態の局側装置1は、後者の集中型DBAに属する帯域制御を行う。
図6は、上記集中型DBAを示すシーケンス図である。図6において、時間は左側から右側へ進行するものとしている。また、図6では、図1に準じて宅側装置2〜4が3台あると仮定している。
図6に示すように、集中型DBAでは、局側装置1は、今回のグラント周期Tcにおいて、宅側装置2〜4からのレポートRを最初にかためて受信し、各レポートRを受信し終わった時点で次サイクルの割当計算を開始する。
すなわち、局側装置1は、今回のグラント周期Tcに複数の宅側装置2〜4から集めたレポートRに基づき、次回のグラント周期Tn内に局側装置1が受信する各宅側装置2〜4の上りデータDの帯域割当を総合的に実施し、次回分のレポートRと上りデータDとの送信時間を、各宅側装置2〜4にそれぞれグラントする。
しかし、集中型DBAにおいては、局側装置1は、通常、各宅側装置2〜4に許可するレポートRと上りデータDに対して個別に帯域割当を行って、ゲートGを生成するようになっているので、図6に破線で示すように、各宅側装置2〜4が送信する次回分のレポートRとデータDは時間的に離れた別個の光バースト信号となる。
そこで、本実施形態の局側装置1では、動的帯域割当部107の割当実行部110において、次回分のレポートRのうちの一部又は全部と、当該レポートRと送信元が同じデータDとを、連続した単一バーストBとなるように帯域割当を行う単一化処理と、単一バーストのレポート部分を含むすべての次回分のレポートRの受信時刻を、次回のグラント周期Tn内の早い側よりに稠密に配置するスケジューリング処理とを行い、これにより、上り方向の帯域利用効率を向上させるようにしている。
一方、本実施形態では、上り方向の最大の送信レート(上り送信レート)が異なる複数の宅側装置2〜4が共存するマルチレートPONの場合においても、各宅側装置2〜4のQoSを維持した帯域割当を行うことも目的の1つとしている。
そして、動的帯域割当部107の割当実行部110は、各宅側装置2〜4に送信許可するデータ量を決定するに当たって、少なくとも最低保証帯域B1〜B3のためのデータ量(第1リクエスト値R1)については、低レイテンシを維持して送信を行えるようにグラントするためのゲートGを与える。
以下、この割当実行部110による、複数のリクエスト値R1,R2に対応したデータ量の割当処理(複数リクエスト方式)を、「第1割当処理」という。
そこで、以下においては、まず第1割当処理(図7)を説明してから、第2割当処理(図10)について説明することにする。
図7は、割当実行部110が行う第1割当処理のフローチャートである。
割当実行部110による第1割当処理は、図6に示す集中型DBAに属するものであり、グラント周期Tごと行われる。
図7に示すように、割当実行部110は、次々回の割当計算に間に合わせるため、次回のグラント周期Tnの最初の部分に、レポートRの回収に必要な時間を割り当て(図7のステップST1)、この時間を差し引いた残りの時間を、次回のグラント周期Tn内に局側装置1が受信する各宅側装置2〜4からの上りデータの送信時間として割り当てる。
そこで、割当実行部110は、まず、各宅側装置2〜4の第1のリクエスト値R1のデータ量に相当する送信時間を、各宅側装置2〜4に対してすべての次回のグラント周期Tnに割り当てるようになっている(図5のステップST2)。
この場合において、上りデータ送信時間の余剰時間が、次の割当て候補の宅側装置2〜4の第2のリクエスト値R2相当の時間よりも更に大きい場合は、上りデータ送信時間がまだ余っていることになるので、次に優先度が高い宅側装置2〜4についても、第1リクエスト値R1の代わりに第2リクエスト値R2相当の時間を割り当てていく。
この判定がYesの場合には、割当実行部110は、上りデータ送信時間の余剰時間のすべてを最終割当候補の宅側装置2〜4の送信時間に割り当て、帯域割当のフローを終了する。
例えば、限られた個数の宅側装置2〜4に対して、纏まった時間を上りデータ送信時間として割り当てることを想定した場合、上り送信レートが大きい宅側装置4(本実施形態では、10Gbps)は、上り送信レートが小さい宅側装置2(本実施形態では、1Gbps)と比べて送信時間が相対的に短い。このため、纏まった割当時間を有効に利用するためには、比較的大きいデータ量をキューに溜めておく必要がある。
そこで、本実施形態では、グラント周期Tに余剰時間が残っている限り、その余剰分を優先度順に複数の宅側装置2〜4に順番に割当てていくことで、上り送信レートが大きいことに起因する、送信データのバッファリングによる通信品質の悪化を回避するようにしている。
図8は、宅側装置2〜4の上りバッファのデータ蓄積状態を示す概念図である。
図8において、f1〜f6は可変長フレーム(本実施形態では、可変長範囲が64〜1522byteであるイーサネットフレーム)を示している。また、図8の例では、上りバッファに6つの可変長フレームf1〜f6が蓄積されており、△印はそれらのフレームf1〜f6間の区切り(境目)を示している。
そこで、各宅側装置2〜4は、上りバッファ内の可変長フレームf1〜f6の蓄積状態に基づいて、各リクエスト値R1,R2を決定する。
上記閾値Thは、この値以下のデータ量であれば最低保証帯域B1〜B3用のデータ量となることを示すが、本実施形態では、この閾値Thを、宅側装置2〜4が固定値として保有するのではなく局側装置1が動的に設定し、ゲートGを通じて各宅側装置2〜4に通知する。なお、局側装置1での閾値Thの設定方法については、後述する。
このように、本実施形態では、第1及び第2リクエスト値R1,R2は、いずれも可変長フレームf2,f6の区切り(図6の△印)と一致するデータ量になっている。
このため、可変長フレームf1〜f6がアライメントできずに、当該フレームf1〜f6がグラント周期Tに入らないという形での無駄時間の発生が抑制される。
図9は、動的帯域割当部107の処理内容を示すフローチャートである。
図9において、ステップST1〜ST4は、動的帯域割当部107の前記算出部109が実行する各パラメータの演算処理を示している。また、ステップST5とステップST6は割当実行部110が実行する処理である。
図9に示すように、動的帯域割当部107の算出部109は、優先度の算出に先立ち、第1リクエスト値R1を決定するための前記閾値Thを動的に設定する(図9のステップST1)。
ここで、ある宅側装置2〜4の最低保証帯域をBmin(Mbps)とすると、宅側装置2〜4に対する閾値を単純に固定値に設定するとすれば、その閾値は、T×Bmin(bit)で算出される。しかし、閾値をT×Bminの固定値に設定すると、次のような問題がある。
上記累積加算値(=Σ(Q−Thr))の絶対値が、常に可変長フレームの最大サイズ以下に収まっておれば、任意期間での閾値Thの平均値が概ね最低保証帯域Bminに相当するデータ量になっていると判断できるからである。
従って、最低保証帯域Bminに相当するデータ量を一定周期ごとに各宅側装置に送信させることができ、低レイテンシが求められる通信アプリケーションに有効に対応できるようになる。
このため、可変長フレームの長短に関係なく、最低保証帯域Bminに相当するデータ量を低レイテンシで送信することができ、可変長フレームのフレームサイズの変化が帯域保証に及ぼす影響が低減される。
次に、算出部109は、各宅側装置2〜4に送信データ量の目標となる目標送信帯域Bprop(i) を設定する(図9のステップST2)。
ここで、各宅側装置2〜4の上り送信レートをBmax(i)、最低保証帯域をBmin(i)とすると、目標送信帯域Bprop(i) は、次の式(1)で算出される。
上記式(1)で算出される目標送信帯域Bprop(i) は、着目する宅側装置の上り送信レートBmax(i)に対して、各宅側装置2〜4の上り送信レートで正規化した最低保証帯域Bmin(i)によって算出した最低保証帯域比(右辺第2項)を掛け合わせたものである。
次に、算出部109は、それぞれの宅側装置2〜4について、目標送信帯域Bprop(i) に対する1グラント周期T当たりの目標送信量Dprop(i)(=Bprop(i) ×T)と、当該グラント周期Tに実際に送信できた実データ量Dreal(i) との差を足し込んで行き、これらの差の時間方向の総計St(=Σ(Dprop(i)−Dreal(i)))を順次更新する(図9のステップST3)。
そこで、この不足分を着目する宅側装置の最低保証帯域Bmin(i)で正規化した値(=Σ(Dprop(i)−Dreal(i))/Bmin(i))を優先度として見なし、この優先度を各グラント周期Tにおいて逐次演算して更新する(図9のステップST4)。
すなわち、目標送信量Dprop(i) と実送信量Dreal(i) との差が、上り送信レートを考慮した最低保証帯域比となるように収束することになる。そして、もともと目標送信量Dprop(i) は、1グラント周期Tにおける上り送信レートを考慮した最低保証帯域の比率を反映しているので、各宅側装置2〜4の実送信量Dreal(i) が上り送信レートを考慮した最低保証帯域比となるように、余剰帯域が調整されることになる。
そして、このゲートGは、グラント送信部112を通じて各宅側装置2〜4に送信される(図9のステップST7)。
図10は、割当実行部110が行う第2割当処理のフローチャートである。以下、この図10を参照しつつ、本実施形態の第2割当処理について説明する。
前記した通り、本実施形態の割当実行部110は、レポートRとデータ(上りのユーザデータ)Dを別バーストで送信させると仮定して前記第1割当処理(図7)を実行しており、かかる第1割当処理により、各宅側装置2〜4に対するレポートRとデータDの割当帯域(時間相当値)が予め決定される(図10のステップST1)。これが第2割当処理の初期状態である。
次に、割当実行部110は、次回分の各レポートRa〜Rdのうちの一部又は全部と、当該レポートRa〜Rdと送信元が同じデータDa〜Ddとを、連続した単一バーストBとなるように帯域を割り当てる単一化処理を実行する。
具体的には、割当実行部110は、すべての次回分のレポートRa〜Rdを次回のグラント周期Tn内の早い方から遅い方に向かって前詰めに配置してから(図10のステップST1:初期状態)、予め定めた所定順位に基づいて単一バースト化する対象となる宅側装置2〜4を選択し、選択した宅側装置2〜4がレポートRとデータDとが連続した単一バーストBを送信するものとして帯域を割り当る(図10のステップST2)。
フォースレポートを含むゲートGに従って宅側装置2〜4がレポートRを送信する場合に、そのゲートGでの送信許可長が通常のレポートR分よりも長く設定されている場合には、宅側装置2〜4は、キューに含まれているユーザデータをレポートRの後に含めて上り送信するので、レポートRとデータDとが同一バースト化されることになる。
(1) 第1リクエスト値R1が割り当てられている、10Gbpsの宅側装置
(2) 第1リクエスト値R1が割り当てられている、1Gbpsの宅側装置
(3) 第2リクエスト値R2が割り当てられている、10Gbpsの宅側装置
(4) 第2リクエスト値R2が割り当てられている、1Gbpsの宅側装置
なお、図10の例では、4つのレポートRa〜Rdのうち、レポートRbとデータDbが最も高順位のものとして選択されて単一バースト化され、その次に、レポートRcとデータDc、及び、レポートRdとデータDdが選択されて単一バースト化されている。
ところで、上記のように1つのグラント周期Tn内で複数のレポートRとデータDを単一バースト化する場合において、各データDa〜Ddの送信時間長を全く考慮せずに、すべての宅側装置2〜4につき一律に単一バーストBを生成するとすれば、次回のグラント周期Tnでの次回分のレポートRa〜Rdの回収時期が遅れてしまい、一部の宅側装置2〜4について次々回分の帯域割当計算が間に合わず、公平な帯域割当が行えなくなる場合がある。
具体的には、最終レポート到着時刻tfは、図13に示すように、グラント周期Tの終了時刻から事前回収に見合う所定時間だけ遡った基準時刻、すなわち、最も遠い宅側装置までの往復伝搬時間RTTと、グラント生成に必要な計算時間とを差し引いた場合の時刻になっている。
すなわち、単一バーストBのレポート部分を含むすべての次回分のレポートRa〜Rdの受信時刻が最終レポート到着時刻tfよりも早ければ、単一バースト化しても次回のグラント周期TnにおいてレポートRa〜Rdの回収が遅れず、すべての宅側装置2〜4について次々回分の帯域割当計算を行うことができる。
なお、図10の例では、レポートRaについての単一バースト化を実行すると、当該レポートRaが最終レポート到着時刻tfを超えてしまうので、レポートRaに対する単一バースト化が中止されている。
一方、単一バースト化と前詰めのスケジューリング処理を繰り返すと、図10に破線ハッチングで示すように、グラント周期Tnの最後尾部分に空き時間が発生する。
なお、このとき、割当実行部110は、空き時間の割り当て対象となる宅側装置の選択を、前記算出部109が算出した、上り送信レートを考慮した最低保証帯域の比率を反映する優先度に従って実行する。また、空き時間の全部を1つの宅側装置に割り当てるのではなく、一部のみを割り当てることにしてもよい。
このため、上記空き時間を任意の宅側装置2〜4に追加的に割り当てることで上り送信時間を有効利用でき、上り方向の帯域利用効率を向上することができる。
この場合、次回のグラント周期Tnを短縮させることによってそれ以降の帯域割当を前倒しに行うことができるので、上り方向の帯域利用効率が向上する。なお、上記「空き時間の範囲」とは、スケジューリング処理によって生じた全空き時間を最大時間とする意味であり、この最大時間の分だけグラント周期Tnを短縮させてもよいし、最大時間よりも短い所定時間を設定してその分だけグラント周期Tnを短縮させてもよい。
図11は、第2割当処理の変形例(第2実施形態)を示すフローチャートである。以下、この図11を参照しつつ、第2割当処理の変形例を説明する。
この変形例においても、割当実行部110は、レポートRとデータ(上りのユーザデータ)Dを別バーストで送信させると仮定して前記第1割当処理(図7)を実行しており、かかる第1割当処理により、各宅側装置2〜4に対するレポートRとデータDの割当帯域(時間相当値)が予め決定される(図11のステップST1)。
図11の例では、データDa、データDd、データDb及びデータDcの順に送信時間長が大きくなっているので、Da→Dd→Db……の順で、各データDがグラント周期Tnに後詰めに仮置きされる。
以上の後詰めのスケジューリング処理の場合には、もともとレポートRとデータDを別個のバーストでスケジュールすると想定していた初期状態と比べて、バーストの数が減った分だけグラント周期Tnの先頭部分に空き時間が発生じる。
なお、このとき、割当実行部110は、空き時間の割り当て対象となる宅側装置の選択を、前記算出部109が算出した、上り送信レートを考慮した最低保証帯域の比率を反映する優先度に従って実行する。
こうすることで、単一バーストBのレポート部分を含むすべての次回分のレポートRの受信時刻が、次回のグラント周期内Tn内の早い側(前側)よりに稠密に配置され、各レポートR到着時間が最終レポート到着時間tfを超えずにスケジューリングされる。
図12は、割当実行部110が行う帯域割当の変形例(第3実施形態)を示すフローチャートである。以下、この図12を参照しつつ、帯域割当の変形例を説明する。
図10及び図11に示す第1及び第2実施形態では、レポートRとデータDを別バーストと仮定して第1割当処理(図7)を行ってから、そのレポートRとデータDの単一化処理とスケジューリング処理を含む第2割当処理を行うが、図12の第3実施形態では、データDの帯域割当とスケジューリングを同時に行うようになっている。
上記判定がYesの場合には、割当実行部110は、算出部109が求めた優先度の高い宅側装置2〜4について、第1リクエスト値R2の代わりに、第2リクエスト値R2又は残り帯域のうち小さい方を割り当てる(図12のステップST6)。
なお、図12の例では、レポートRbに対応する宅側装置2〜4の優先度が高いものとして、データDdの送信時間が拡張されている(図12のハッチング部分参照)。
割当実行部110は、グラント周期Tnの残り帯域がなくなるまで、或いは、すべての宅側装置2〜4に第2リクエスト値R2が割り当たるまで、上記の手順を繰り返す(図12のステップST5及びST6参照)。
このため、何らかのシステム上の不具合でスケジューリング処理が途中で中断しても、その中断時点での仮スケジューリングの結果に基づいてグラント送信のためのゲートフレームGを生成することにより、宅側装置2〜4に対する上り送信の制御を実行できるという利点がある。
今回開示した実施形態は本発明の例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、上記実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲とその構成と均等な意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
例えば、上記実施形態では、1Gbpsと2Gbpsと10Gbpsの3種類の上り送信レートがあるマルチレートPONの場合を例示したが、事後的なシステムの拡張に伴って、例えば20Gbpsの上り送信レートの宅側装置を追加することも可能である。
この場合、宅側装置2〜4の上り送信レートが変化しても、局側装置1はそれを把握することができる。また、レポートRに上り送信レートと最低保証帯域B1〜B3の情報を記載するようにすれば、それらを記憶部113に記憶させる必要がなくなる。
2〜4 宅側装置
107 動的帯域割当部
108 リクエスト受信部
109 算出部
110 割当実行部(単一化手段、スケジューリング手段)
112 グラント送信部
B1〜B3 最低保証帯域
R1 第1リクエスト値
R2 第2リクエスト値
R レポート
G ゲート
D データ(上りのユーザデータ)
B 単一バースト
Tc 今回のグラント周期
Tn 次回のグラント周期
Claims (11)
- 複数の宅側装置から集めたレポートに基づいて、次回のグラント周期内に局側装置が受信する前記各宅側装置の上りデータの帯域割当を行い、次回分の前記レポートと前記上りデータの送信時間を前記局側装置が前記各宅側装置にそれぞれグラントする動的帯域割当方法であって、
次回分の前記レポートと前記上りデータを別バーストと仮定してその割当帯域を決定する第1割当処理と、決定した前記割当帯域の次回の前記グラント周期内での配置を決定する第2割当処理とを含み、
前記第2割当処理は、
次回分の前記レポートのうちの一部又は全部と、当該レポートと送信元が同じ前記上りデータとを、連続した単一バーストとなるように帯域割当を行う単一化処理と、
前記単一バーストのレポート部分を含むすべての次回分の前記レポートの受信時刻を、次回の前記グラント周期内の早い側よりに稠密に配置するスケジューリング処理と、
を含むことを特徴とする動的帯域割当方法。 - 複数の宅側装置から集めたレポートに基づいて、次回のグラント周期内に局側装置が受信する前記各宅側装置の上りデータの帯域割当を行い、次回分の前記レポートと前記上りデータの送信時間を前記局側装置が前記各宅側装置にそれぞれグラントする動的帯域割当方法であって、
次回分の前記レポートのうちの一部又は全部と、当該レポートと送信元が同じ前記上りデータとを、連続した単一バーストとなるように帯域割当を行う単一化処理と、
前記単一バーストのレポート部分を含むすべての次回分の前記レポートの受信時刻を、次回の前記グラント周期内の早い側よりに稠密に配置するスケジューリング処理と、
を含み、
前記スケジューリング処理によって次回の前記グラント周期に生じた空き時間の一部又は全部を、いずれかの前記宅側装置のための送信時間に割り当てることを特徴とする動的帯域割当方法。 - 複数の宅側装置から集めたレポートに基づいて、次回のグラント周期内に局側装置が受信する前記各宅側装置の上りデータの帯域割当を行い、次回分の前記レポートと前記上りデータの送信時間を前記局側装置が前記各宅側装置にそれぞれグラントする動的帯域割当方法であって、
次回分の前記レポートのうちの一部又は全部と、当該レポートと送信元が同じ前記上りデータとを、連続した単一バーストとなるように帯域割当を行う単一化処理と、
前記単一バーストのレポート部分を含むすべての次回分の前記レポートの受信時刻を、次回の前記グラント周期内の早い側よりに稠密に配置するスケジューリング処理と、
を含み、
前記スケジューリング処理によって次回の前記グラント周期に生じた空き時間の範囲で、当該グラント周期を短縮させることを特徴とする動的帯域割当方法。 - 前記スケジューリング処理は、すべての次回分の前記レポートを次回の前記グラント周期内の早い方から遅い方に向かって前詰めに配置してから、所定順位で選択した前記宅側装置に対応する前記レポートに対して順次前記単一化処理を実行する、前詰めのスケジューリング方式である請求項2又は3に記載の動的帯域割当方法。
- 前記レポートには、最低保証帯域用のデータ量を記した第1リクエスト値と、これ以上のデータ量を記した第2リクエスト値とが含まれており、
前記所定順位は、前記第1リクエスト値を割り当てた前記宅側装置を高順位としたものである請求項4に記載の動的帯域割当方法。 - 複数の前記宅側装置は、上り送信レートが異なる複数種類のものよりなり、
前記所定順位は、前記上り送信レートが大きい前記宅側装置を高順位としたものである請求項4又は5に記載の動的帯域割当方法。 - 前記スケジューリング処理は、次回分の前記上りデータをその送信時間長が大きいものから順に前記グラント周期内の遅い方から早い方に向かって後詰めに配置してから、前記最終レポート到着時刻よりも前にはみ出た前記上りデータに対して順次前記単一化処理を実行する、後詰めのスケジューリング方式である請求項2又は3に記載の動的帯域割当方法。
- 前記スケジューリング処理は、すべての前記レポートと前記上りデータについて前記単一化処理を行ってから、すべての前記単一バーストを送信時間が短いものから順に次回の前記グラント周期内の早い方から遅い方に向かって前詰めに配置する仮スケジューリング処理と、
前記仮スケジューリング処理において、前記最終レポート到着時刻より後にレポート部分がはみ出た前記単一バーストが生じた場合に、そのレポート部分を前記単一バーストから分離して当該レポートを前記グラント周期の最前に配置する再配置処理と、を含む請求項2又は3に記載の動的帯域割当方法。 - 複数の宅側装置から集めたレポートに基づいて、次回のグラント周期内に自身が受信する前記各宅側装置の上りデータの帯域割当を行い、次回分の前記レポートと前記上りデータの送信時間を前記各宅側装置にそれぞれグランとする局側装置であって、
次回分の前記レポートと前記上りデータを別バーストと仮定してその割当帯域を決定する第1割当処理と、決定した前記割当帯域の次回の前記グラント周期内での配置を決定する第2割当処理と、を実行する割当実行部を備えており、
前記割当実行部は、前記第2割当処理の実行手段として、
次回分の前記レポートのうちの一部又は全部と、当該レポートと送信元が同じ前記上りデータとを、連続した単一バーストとなるように帯域割当を行う単一化手段と、
前記単一バーストのレポート部分を含むすべての次回分の前記レポートの受信時刻が、次回の前記グラント周期の終了時刻から所定時間遡った基準時刻以前となるように、当該単一バーストと前記レポートの送信時刻を設定し、前記レポートを含まない前記上りデータの受信時刻が前記基準時刻の後となるように、当該上りデータの送信時刻を設定するスケジューリング手段と、
を有することを特徴とする局側装置。 - 複数の宅側装置から集めたレポートに基づいて、次回のグラント周期内に自身が受信する前記各宅側装置の上りデータの帯域割当を行い、次回分の前記レポートと前記上りデータとの送信時間を前記各宅側装置にそれぞれグラントする局側装置であって、
次回分の前記レポートのうちの一部又は全部と、当該レポートと送信元が同じ前記上りデータとを、連続した単一バーストとなるように帯域割当を行う単一化手段と、
前記単一バーストのレポート部分を含むすべての次回分の前記レポートの受信時刻が、次回の前記グラント周期の終了時刻から所定時間遡った基準時刻以前となるように、当該単一バーストと前記レポートの送信時刻を設定し、前記レポートを含まない前記上りデータの受信時刻が前記基準時刻の後となるように、当該上りデータの送信時刻を設定するスケジューリング手段と、を備え、
前記スケジューリング処理によって次回の前記グラント周期に生じた空き時間の一部又は全部を、いずれかの前記宅側装置のための送信時間に割り当てることを特徴とする局側装置。 - 複数の宅側装置から集めたレポートに基づいて、次回のグラント周期内に自身が受信する前記各宅側装置の上りデータの帯域割当を行い、次回分の前記レポートと前記上りデータとの送信時間を前記各宅側装置にそれぞれグラントする局側装置であって、
次回分の前記レポートのうちの一部又は全部と、当該レポートと送信元が同じ前記上りデータとを、連続した単一バーストとなるように帯域割当を行う単一化手段と、
前記単一バーストのレポート部分を含むすべての次回分の前記レポートの受信時刻が、次回の前記グラント周期の終了時刻から所定時間遡った基準時刻以前となるように、当該単一バーストと前記レポートの送信時刻を設定し、前記レポートを含まない前記上りデータの受信時刻が前記基準時刻の後となるように、当該上りデータの送信時刻を設定するスケジューリング手段と、を備え、
前記スケジューリング処理によって次回の前記グラント周期に生じた空き時間の範囲で、当該グラント周期を短縮させることを特徴とする局側装置。
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