以下に、SEM等の撮影装置で取得した電子デバイスパターンの画像の合成画像形成方法において、対象となる画像データの重複領域について、設計データ及び画像データを用いて、それぞれの重複領域に含まれるパターンの属性情報を作成するステップと、作成したパターンの属性情報を用いて、対象となる画像データから合成する画像を選別して画像合成を行う手法を説明する。
また、撮影装置で取得した電子デバイスパターンの画像の合成画像形成方法において、対象となる画像データの全ての重複領域について、設計データ及び画像データを用いて、それぞれの重複領域に含まれるパターンの属性情報を作成するステップと作成したパターンの属性情報を用いて、対象となる画像データから合成する画像を選別して画像合成を行うステップと対象の合成画像の複数の重複領域について、特定したパターン属性情報の組合せを検出し選別して画像合成を行うステップとを含む手法を説明する。
また、撮影装置で取得した電子デバイスパターンの画像の合成画像形成装置において、撮影位置を変えて電子デバイスパターンを撮影して得た複数枚の分割画像データを格納する画像記憶部と、前記電子デバイスパターンの設計データと前記画像記憶部に格納している画像データを用いて画像間に含まれるパターンの情報を作成するパターン属性作成部と、前記パターン属性作成部の情報を基に合成を行う画像を選別する合成選別部と、前記合成選別部により、選別された画像を選択的に合成処理を行う合成部とを備えた合成画像形成装置を説明する。
また、撮影装置で取得した電子デバイスパターンの画像の合成画像形成装置において、撮影位置を変えて電子デバイスパターンを撮影して得た複数枚の分割画像データを格納する画像記憶部と、前記電子デバイスパターンの設計データと前記画像記憶部に格納している画像データを用いて画像間に含まれるパターンの情報を作成するパターン属性作成部と、前記パターン属性作成部の情報を基に合成を行う画像を選別する合成選別部と、前記合成選別部により、選別された画像を選択的に合成処理を行う合成部と、前記合成部による合成が行われた画像を用い、前記合成選別部で選別された画像について、選択的に画像位置の特定と合成を行う位置特定合成部を備えた合成画像形成装置を説明する。
また、合成部での合成処理に供される画像と、前記位置特定合成部で合成処理に供される画像が異なる例を説明する。
また、表示装置を設けて前記合成選別部で選別される画像と、合成過程の合成画像及び結果的に合成できた画像と合成できなかった画像について、ユーザーに判るように明示する例を説明する。
上述のような合成画像形成法では、合成前に設計データと画像メモリに格納している画像データを用いて、合成対象となる全ての画像間の重複領域に含まれるパターンの属性を検出し、各重複領域のパターン属性データを作成する。このパターンの属性は、合成位置がx方向,y方向共に求まるパターンと、x方向のみ求まるパターン,y方向のみ求まるパターンとx方向,y方向共に求まらないパターンとに分かれる。
先ず、各重複領域のパターン属性を用いてx方向,y方向とも合成位置が求まる重複領域の画像のみを選別して合成していく。そして全てのx方向,y方向とも合成位置が求まる重複領域の画像の合成を行って初期の合成を終了する。初期合成の終了後には、パターンの属性によって、全ての画像が1枚に合成できる場合もあれば、1枚以上の画像と合成した複数の合成画像に分かれる場合、また、いずれの隣接画像とも合成できなかった単独の画像が存在する場合もある。
初期合成で全ての画像が1枚に合成できない場合は、初期合成後の単独の画像を含む合成画像について、さらに合成可能な画像間の存在をパターンの属性を用いて検出する。
初期の合成では検出するパターンの属性は1つ1つの重複領域に着目したが、初期の合成後の検出では2つの重複領域を用いて検出する。そして検出するパターンの属性の1つはx方向の位置が求まるパターン属性であり、もう一つはy方向の位置が求まるパターン属性とする。隣接する単独画像を含む合成画像の間で見ると複数の重複領域を持つことになる。この複数の重複領域の中にx方向の位置が求まるパターン属性とy方向の位置が求まるパターン属性が共に含まれていれば、この単独画像を含む合成画像の間が合成が可能と判断する。そして、合成可能な単独画像を含む合成画像の間に絞って合成を行う。合成後の画像を用いることで、さらに複数の重複領域を持つことができるため、その中にx方向の位置が求まるパターン属性とy方向の位置が求まるパターン属性が含まれる可能性も出る。そのため、初期の合成以降は、複数の重複領域を用いたパターン属性の検出と、検出された単独画像を含む合成画像の間に絞って合成を繰り返して行う。全ての単独画像を含む合成画像の間で、x方向の位置が求まるパターン属性とy方向の位置が求まるパターン属性が共に含まれる重複領域が無い場合に合成処理を終了する。全体の整合性を見ながら行う手法よりも、検出部分に絞って合成していくので高速にできる。またパターン属性を用いて合成位置が明確に特定できる画像を判別して、合成位置の特定がしやすい順に求め、既に合成した合成画像の複数の重複領域の情報を用いることで、より多くの画像の合成できる。
以下に、合成画像を形成するための装置,システム、及びこれらで実行されるコンピュータプログラム(或いはコンピュータプログラムを記憶する記憶媒体)について、図面を用いて説明する。より具体的には、測定装置の一種である測長用走査電子顕微鏡(Critical Dimension-Scanning Electron Microscope:CD−SEM)を含む装置,システム、及びこれらで実現されるコンピュータプログラムについて説明する。
また、以下に説明する合成画像形成法は、パターンの寸法を測定する装置だけではなく、パターンの欠陥を検査する装置への適用も可能である。なお、以下の説明では、画像を形成する装置として荷電粒子線装置を例示すると共に、その一態様として、SEMを用いた例を説明するが、これに限られることはなく、例えば試料上にイオンビームを走査して画像を形成する集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)装置を荷電粒子線装置として採用するようにしても良い。但し、微細化が進むパターンを高精度に測定するためには、極めて高い倍率が要求されるため、一般的に分解能の面でFIB装置に勝るSEMを用いることが望ましい。
図20は、データ管理装置2001を中心として、複数のSEMが接続されたシステムを例示している。特に本実施例の場合、SEM2002は主に半導体露光プロセスに用いられるフォトマスクやレチクルのパターンの測定や検査を行うためのものであり、SEM2003は主に、上記フォトマスク等を用いた露光によって半導体ウェハ上に転写されたパターンを測定,検査するためのものである。SEM2002とSEM2003は、電子顕微鏡としての基本構造に大きな違いはないものの、それぞれ半導体ウェハとフォトマスクの大きさの違いや、帯電に対する耐性の違いに対応した構成となっている。
各SEM2002,SEM2003にはそれぞれの制御装置2004,2005が接続され、SEMに必要な制御が行われる。各SEMでは、電子源より放出される電子ビームが複数段のレンズにて集束されると共に、集束された電子ビームは走査偏向器によって、試料上を一次元的、或いは二次元的に走査される。
電子ビームの走査によって試料より放出される二次電子(Secondary Electron:SE)或いは後方散乱電子(Backscattered Electron:BSE)は、検出器により検出され、前記走査偏向器の走査に同期して、フレームメモリ等の記憶媒体に記憶される。このフレームメモリに記憶されている画像信号は、制御装置2004,2005内に搭載された演算装置によって積算される。また、走査偏向器による走査は任意の大きさ,位置、及び方向について可能である。
以上のような制御等は、各SEMの制御装置2004,2005にて行われ、電子ビームの走査の結果、得られた画像や信号は、通信回線2006,2007を介してデータ管理装置2001に送られる。なお、本例では、SEMを制御する制御装置と、SEMによって得られた信号に基づいて測定を行うデータ管理装置を別体のものとして、説明しているが、これに限られることはなく、データ管理装置にて装置の制御と測定処理を一括して行うようにしても良いし、各制御装置にて、SEMの制御と測定処理を併せて行うようにしても良い。
また、上記データ管理装置或いは制御装置には、測定処理を実行するためのプログラムが記憶されており、当該プログラムに従って測定、或いは演算が行われる。更にデザインデータ管理装置には、半導体製造工程に用いられるフォトマスク(以下単にマスクと称することもある)やウェハの設計データが記憶されている。この設計データは例えばGDSフォーマットやOASISフォーマットなどで表現されており、所定の形式にて記憶されている。なお、設計データは、設計データを表示するソフトウェアがそのフォーマット形式を表示でき、図形データとして取り扱うことができれば、その種類は問わない。また、データ管理装置とは別に設けられた記憶媒体にデザインデータを記憶させておいても良い。
また、データ管理装置2001は、SEMの動作を制御するプログラム(レシピ)を、半導体の設計データに基づいて作成する機能が備えられており、レシピ設定部として機能する。具体的には、設計データ,パターンの輪郭線データ、或いはシミュレーションが施された設計データ上で所望の測定点,オートフォーカス,オートスティグマ,アドレッシング点等のSEMにとって必要な処理を行うための位置等を設定し、当該設定に基づいて、SEMの試料ステージや偏向器等を自動制御するためのプログラムを作成する。なお、テンプレートと呼ばれる参照画像を用いたテンプレートマッチング法は、所望の個所を探索するためのサーチエリアの中で、テンプレートを移動させ、当該サーチエリアの中で、テンプレートとの一致度が最も高い、或いは一致度が所定値以上となった個所を特定する手法である。制御装置2004,2005は、レシピの登録情報の1つであるテンプレートに基づくパターンマッチングを実行する。また、制御装置2004,2005には、正規化相関法等を用いたマッチングを行うためのプログラムが記憶されている。
なお、データ管理装置2001に、ヘリウムイオンや液体金属イオン等を試料に照射する集束イオンビーム装置を接続するようにしても良い。また、データ管理装置1601に、設計データに基づいて、パターンの出来栄えをシミュレーションするシミュレーター2008を接続し、シミュレーターによって得られるシミュレーション画像をGDS化し、設計データの代わりに用いるようにしても良い。
図21は、走査電子顕微鏡の概略構成図である。電子源2101から引出電極2102によって引き出され、図示しない加速電極によって加速された電子ビーム2103は、集束レンズの一形態であるコンデンサレンズ2104によって、絞られた後に、走査偏向器2105により、試料2109上を一次元的、或いは二次元的に走査される。電子ビーム2103は試料台2108に内蔵された電極に印加された負電圧により減速されると共に、対物レンズ2106のレンズ作用によって集束されて試料2109上に照射される。
電子ビーム2103が試料2109に照射されると、当該照射個所から二次電子、及び後方散乱電子のような電子2110が放出される。放出された電子2110は、試料に印加される負電圧に基づく加速作用によって、電子源方向に加速され、変換電極2112に衝突し、二次電子2111を生じさせる。変換電極2112から放出された二次電子2111は、検出器2113によって捕捉され、捕捉された二次電子量によって、検出器2113の出力Iが変化する。この出力Iに応じて図示しない表示装置の輝度が変化する。例えば二次元像を形成する場合には、走査偏向器2105への偏向信号と、検出器2113の出力Iとの同期をとることで、走査領域の画像を形成する。また、図21に例示する走査電子顕微鏡には、電子ビームの走査領域を移動する偏向器(図示せず)が備えられている。この偏向器は異なる位置に存在する同一形状のパターンの画像等を形成するために用いられる。この偏向器はイメージシフト偏向器とも呼ばれ、試料ステージによる試料移動等を行うことなく、電子顕微鏡の視野(Field Of View:FOV)位置の移動を可能とする。本実施例においては、合成画像の形成に供される部分画像によって表現される領域に、FOVを位置付けるために用いられる。また、イメージシフト偏向器と走査偏向器を共通の偏向器とし、イメージシフト用の信号と走査用の信号を重畳して、偏向器に供給するようにしても良い。
なお、図21の例では試料から放出された電子を変換電極にて一端変換して検出する例について説明しているが、無論このような構成に限られることはなく、例えば加速された電子の軌道上に、電子倍像管や検出器の検出面を配置するような構成とすることも可能である。
制御装置2004は、走査電子顕微鏡の各構成を制御すると共に、検出された電子に基づいて画像を形成する機能や、ラインプロファイルと呼ばれる検出電子の強度分布に基づいて、試料上に形成されたパターンのパターン幅を測定する機能を備えている。なお、以下に説明する合成画像形成は、データ管理装置2001で行うようにしても良いし、制御装置2004,2005にて行うようにしても良い。また、合成画像形成に必要な処理の一部を1の演算装置で行い、他の処理を他の演算装置で行うようにしても良い。更に、合成画像形成に供される部分画像は、制御装置2004,2005に内蔵されたフレームメモリに登録しておくようにしても良いし、データ管理装置2001に内蔵されたメモリや外部の記憶媒体に記憶するようにしても良い。
以下に、荷電粒子線装置等の撮像装置によって撮像された画像に基づく合成画像作成方法及びその画像作成装置について説明する。
図1は、合成画像形成装置の一例を説明する図である。なお、本実施例では、設計データ記憶部1,画像メモリ部2、及び画像作成装置3は、いずれも図20に例示するデータ管理装置2001内の記憶媒体、及び演算装置に相当するものとして説明するが、これに限られることはなく、他の記憶媒体や演算装置を用いて合成画像形成を行うことも可能である。
まず、設計データ記憶部1に記憶された電子デバイスパターンの設計データと、SEM2002,2003等によって取得され、画像メモリ部2に格納されている電子デバイスパターンの画像データが、画像作成装置3のパターン属性データ作成部30に入力される。
パターン属性データ作成部30では設計データと電子デバイスパターンの各画像データとを用いて、画像データの重複領域に存在するパターンのパターン属性データを作成する。合成する際はパターン属性データ作成部30で作成したパターン属性データを基に合成選別部31で合成する画像を選別する。合成選別手段31で選別した画像に対応する画像メモリ部2の画像データのみ合成部32で合成を行う。
図4を用いて電子デバイスパターンの画像合成について説明する。ここでは、9枚の分割パターン画像を1枚に合成する場合について述べる。図4(a)のように撮影範囲を9分割して点線で分けた領域のA〜I:9枚とした場合、隣り合う画像領域がある大きさ以上重なるように撮影する。撮影する電子デバイスパターンは図4(b)のような直線的で単調なパターンが多い。また、電子デバイスパターンは設計データを基に作成されるので、撮影した図4(b)の電子デバイスパターンの位置に対応する設計データを画像化したものは図4(c)のように同形状の画像となるはずである。設計データを画像化するとパターンの線分と背景しかない画像となる。例えば、電子デバイスパターンの画像データにその画像位置に対応する設計データを描画した画像を重ねた画像イメージは図4(d)のようになる。
ここで図5にパターン属性データ作成部30の実施例を示す。パターン属性データ作成部30では各画像間の重複領域に存在するパターンの属性を作成する。マッチング部300では設計データを描画した画像データと撮影した電子デバイスパターンの画像データのマッチングを行い設計データと撮影画像データと対応位置を求める。図4(d)の設計データと画像データを重ねた図のように完全に一致しなくても、共にパターンの膨張処理を行うことで、大まかにマッチングが可能となり、対応位置を求めることができる。そして対応位置から設計データ上で隣接画像との重複領域に含まれるパターンの縦と横の線分情報を求める。例えば、図4(e)のFとIの重複領域には縦と横の線分が共に含まれていることが判る。また図4(f)のDとGの重複領域には縦の線分しかなく、図4(f)のGとHの重複領域には横の線分しかないと判る。線分は縦,横,斜め方向別に線を構成する画素数を計算することで求めることができる。
また、マッチング処理302では隣接する画像データを画像メモリ301に格納し、隣接画像との重複領域を用いてマッチングを行い、マッチングの相関情報を求める。
ここで、種々の線分画像について自己相関画像を図6に示す。(a)から(f)に示す線分画像についてそれぞれ点線の矩形内領域をテンプレートとして自己相関を行った相関画像が、(A)から(F)となる。縦線(A)は縦方向に相関のピーク値が続き、相関のピーク値の座標はx方向は求まるが、y方向は求まらない。横線(B)は横方向に相関のピーク値が続き、相関のピーク値の座標はy方向は求まるが、x方向は求まらない。斜め線(C)は斜め方向に、相関のピーク値が続き、x,yとも相関のピーク値の座標位置が確定しない。しかし、x、若しくはy方向のどちらかが確定すれば、他方も確定する。2本の線分(D)でも同じ方向であれば同様にその方向に相関のピーク値が続いている。
しかし、2本の線分が異なる方向(E),(F)であれば相関のピーク値が1点となり座標位置が確定できる。相関画像から考えてみると、相関画像のピーク付近の形状を見ることでパターン形状も大まかに推測できると考える。つまり、(A)の相関画像になれば(a)のx方向のみ求まる縦パターンの属性、(B)の相関画像になれば(b)のy方向のみ求まる横パターンの属性、(E),(F)の相関画像のように相関ピーク位置が1点に求まればx,y方向共に求まる縦横パターンの属性と推定できる。
そこで、マッチング部302では求めた相関情報に基づいて、相関ピーク付近の相関分布の形状を求めて、撮影画像の重複領域に含まれるパターンの形状を判定する。パターン属性決定部303では、マッチング手段300の結果とマッチング手段302の結果を用いて対象の重複領域のパターン属性を決定する。マッチング部300の結果で設計データを基にした重複領域に含まれるパターンの縦と横の線分情報について、マッチング処理302の相関画像のピーク付近の形状から判定したパターン形状と一致している場合は、マッチング手段300の結果の線分情報を基に決定し、一致していない場合は、縦と横の線分ともパターンが無い属性として扱うことが考えられる。
また、パターンの属性の種類として、例えば、合成位置がx方向、y方向共に求まる縦横パターンと、x方向のみ求まる縦パターン,y方向のみ求まる横パターンと、x方向若しくはy方向のどちらかの位置が求まればx,y方向共に求まる斜めパターンと、パターン自体が存在しないパターン無しとに分けることが考えられる。その場合、図6で説明した線分について分けてみると、図6(a)はx方向のみ求まる縦パターンの属性とし、図6(b)はy方向のみ求まる横パターンの属性とし、(c)は斜めパターンの属性、(d)は縦パターンの属性、(e)はx,y方向共に求まる縦横パターンの属性、(f)には縦パターンはないがx方向,y方向共に求まるので、ここではx,y方向共に求まる縦横パターンに分けることが考えられる。また、パターンの属性の種類を増やし、様々な角度の斜め方向も含めて線分の方向毎に分けることも考えられる。
パターン属性決定部303で決定したパターン属性は、各重複領域毎にパターン属性データテーブル304に記憶される。処理対象となる画像の全ての重複領域においてパターン属性を求めてパターン属性データテーブル304に記憶する。例えば図12(a)に示すように画像ID1に示す画像番号とID2に示す画像番号に対応するアドレスにID1とID2の重複領域のパターン属性ID3に格納しておく。また、ここではパターン属性決定部303はマッチング部300とマッチング部302の双方の出力から決める方法について説明したが、マッチング手段302を使用せず、マッチング部300の出力するパターン属性そのもので決定してもよいし、マッチング部300を使用せず、マッチング部302で推測したパターン属性そのもので決定してもよい。その際は、図2のように設計データ記憶部1の設計データを用いずに行うことも考えられる。また、マッチング部300,302のマッチングは一般的な正規化相関法によるマッチング法を用いることができる。
合成選別部31の実施例を図7に示す。合成処理を行う際、パターン属性データ作成部から、処理する重複領域を順にパターン属性データを読み出し、当該読み出したデータと、予め選別パターン属性記憶部310に記憶されているパターン属性を、比較部310にて比較する。そして、両者が一致した場合に、合成を許可する信号を合成部32に出力する。
本例では、選別パターン属性記憶部310にx,y方向共に求まる縦横パターンの属性を設定しておき、処理対象の重複領域にx,y方向共に求まる縦横パターンの属性が含まれる場合のみ合成するように出力する。なお、本実施例では、座標位置を確定できる画像の一例として、2本の線分のそれぞれの長手方向が、X方向とY方向である画像を説明しているが、少なくとも2本の線分が異なる方向に向いていれば、座標位置の特定が可能であるため、例えばX方向を0度としたときに、+45度と−45度の2つの線分を含む画像であっても良い。
このように、パターンの属性に応じて、合成の要否を判断することで、画像処理上、合成が容易な画像を選択的に合成することが可能となり、合成の高精度化を実現することができる。また、後述するように、所定の条件を満たした画像間の合成を選択的に行い、当該合成によって得られた合成画像間の合成を別に行うことによって、合成画像全体として、接続誤差を抑制しつつ、画像合成を行うことができる。
合成部31の実施例を図8に示す。処理対象となる画像間の重複領域の画像データについて、合成選別手段31の出力が合成を許可する場合のみ、マッチング手段320でマッチング処理を行う。マッチング手段320は一般的な正規化相関を用いてマッチングを行う。また、パターン属性データ作成時に既に各画像間の重複領域の画像データについて、マッチングを行っているので、そのマッチングの位置を記憶して置き、このマッチング部320の出力の代わりにしてもよい。
次にグループ内合成位置算出部321の実施例を図9に示す。グループ内合成位置算出部321では対象の画像間で合成選別部31の出力が合成を許可する場合にのみ、それぞれ隣接画像間で合成可能な画像毎にグループ化部3210でグループ化する。図10にグループ化部でのグループ化の概要を示す。
図10(a)は縦横5枚*5枚の25枚の画像について画像の配置及び画像間の重複領域を示している。ここで画像の配置はパターン属性データ作成手段で求めた設計データと撮影画像データと対応位置を用いてもよいし、外部から与えてもよい。また、画像間のマッチングで得た対応位置から求めてもよい。Aは1枚の画像を示しており、aの重複領域(矩形内に十字)は合成選別手段31の出力が合成許可であることを示しており、bの重複領域(矩形内に空白)は合成が許可されていないことを示している。
この25枚の画像をグループ化する際、先ず、横方向(第1の方向)に合成許可の重複領域の画像間をグループ化し、図10(b)のような太線の矩形で囲まれた画像を1つのグループとし、ここでは12のグループができる。また、縦方向(第2の方向)に同様にグループ化すると図10(c)のように14のグループとなる。そして、横方向でグループ化したものと縦方向でグループ化したものを重ねると図10(d)のようになり、この場合は1つのグループにグループ化できる。
以上のように、複数方向について、合成対象となる画像間の重複領域が、所定の条件を満たすか否かの判定に基づいて画像合成を行った上で、更に画像合成を行うことによって、合成画像全体として、適正な位置に合成対象となる画像を配置することが可能となる。
なお、本例では1つのグループになったが、複数グループの場合もありえる。続いてグループ化部3210でグループ化したグループ毎にグループ内の画像の合成位置を合成位置算出部3211で求める。グループ内のいずれかの画像を基準にして、基準とした画像と隣接する画像の合成位置はマッチングで求めた対応位置となる。先に合成位置を求めた画像の隣接の画像であれば合成位置はマッチングで求めた対応位置を先に合成位置に加算した位置になる。同様に求めていき、グループ内全ての画像位置を求める。そして、グループが複数ある場合は全てのグループに対して同様にグループ内の画像の合成位置を求めていく。
合成位置算出部3211で求めた各画像の属するグループ情報とグループ毎の各画像の合成位置は合成位置記憶部3212に記憶される。合成位置記憶部3212はメモリで実現できる。例えば、図11(a)のようにAからYの25枚の画像が配置されている場合に、グループ化部3210で図11(b)のように,A,B,C,D,E,J,K,O,P,T,U,V,W,X,Yの画像からなる第1のグループと、F,G,H,I,L,M,N,Q,R,Sの画像からなる第2のグループにグループ化されたとする。その場合、合成位置記憶部3212のメモリでは、図12(b)のように各画像名ID1に対応するアドレスにグループ番号(ここでは第1のグループを“1”とし、第2のグループを“2”とする)と、対象画像に隣接する8方向の画像名を記憶する。左上から右下の順に8個の画像名を記憶し、対応する画像が無い場合は“0”として記憶することも考えられる。そしてグループ内の画像の合成位置を示すID4にxとyの座標値を記憶する。
その場合、Aに対応するアドレスにはグループ番号ID2が1で、隣接する8方向の画像名は0,0,0,0,B,0,F,Gとなる。また、Mに対応するアドレスにはグループ番号ID2が2で、隣接する8方向の画像名は順にG,H,I,L,N,Q,R,Sとなる。また、グループが複数ある場合はグループ毎に基準とする画像がある。そのため、各グループの基準とした画像の相対位置を求める必要がある。そのため、パターン属性データ作成部で行った設計データと各画像データのマッチングで求めた対応位置を記憶しておき、各グループの基準とした画像の設計データ上の対応位置を読み出して、相対位置を求めることが考えられる。しかし、設計データと各画像データのマッチングは完全に一致はしないため大まかな対応位置となる。
画像合成部322ではグループ内合成位置算出部の各画像の合成位置で画像を合成する。合成部では合成位置でそれぞれの画像を上書きしていくことも考えられるし、画像の合成位置付近で画素値のブレンド処理を行い境界を目立たなくすることも考えられる。
しかし、合成部32のグループ内合成位置算出部321で複数のグループになると、合成画像も複数に分かれ位置ズレが起こる可能性がある。そのため、なるべくグループ数を減らす必要がある。そこで、図1を用いて例示した、パターン属性データを用いて合成できる画像をグループ化して合成位置を求める手法を適用した後に、再度、パターン属性データを用いてグループ間の対応位置を求める手法を以下に説明する。
図3は、パターン属性データを用いて、複数回の合成処理を行う合成画像形成装置の一例を説明する図である。まず、設計データ記憶部1に記憶された電子デバイスパターンの設計データと、SEM2002,2003等によって取得され、画像メモリ部2に格納されている電子デバイスパターンの画像データが、画像作成装置3のパターン属性データ作成部34に入力される。
パターン属性データ作成部34では設計データと電子デバイスパターンの各画像データとを用いて、画像データの重複領域に存在するパターンのパターン属性データを作成する。合成する際はパターン属性データ作成部34で作成したパターン属性データを基に合成選別部31で合成する画像を選別する。合成選別部31で選別した画像に対応する画像メモリ手段2の画像データのみ合成部36で各画像について合成が可能なグループ情報とグループ内での各画像の合成位置を求める。
図1に例示した合成画像形成装置ではその後で求めた合成位置に合成処理を行うが、ここでは、パターン属性データ作成部34で求めた各画像の所属するグループ情報を用いて、各グループ間で隣接する画像の複数の重複領域に対応するパターン属性データを合成選別部35に出力する。そして、合成選別部35では各グループ間で隣接する画像の複数の重複領域について、ある特定のパターン属性データの組合せがあるかを検出し、検出結果を位置特定合成部37に出力する。位置特定合成部37では、ある特定のパターン属性データの組合せがあれば、対象としているグループ間の対応位置を特定し合成位置を求める。そして、全てのグループ間の隣接する画像の複数の重複領域について、ある特定のパターン属性データの組合せが無くなるまで繰り返してグループ間の対応位置を特定し合成位置を求めていく。
図13にパターン属性データ作成部の実施例を示す。図5で説明したパターン属性データ作成部と部分的に共通しているが、パターン属性データテーブルから合成部36と位置特定合成部37が示すアドレスの対象画像間のパターン属性データを読み出すことができる。
図3に例示した合成画像形成装置の合成部36の実施例を図14に例示する。図8に例示した合成部32に対して、画像合成部322がなくなり、グループ間隣接画像検出部323が追加された構成になる。グループ間隣接画像検出部323では、グループ内合成位置算出部321で求めたグループ番号情報と、隣接する8方向の画像データに関する情報に基づいて、グループ間で隣接している画像を検出する。
例えばグループ化部3210で図11(b)に例示するように、画像A,B,C,D,E,J,K,O,P,T,U,W,X,Yが属する第1のグループと、画像F,G,H,I,L,M,N,Q,R,Sが属する第2のグループとにグループ化されたとすると、隣接する画像を縦方向と横方向のみとした場合、第1のグループと第2グループで隣接している画像はAとF,BとG,CとH,DとI,JとI,OとN,TとS,XとS,WとR,VとQ,PとQ,KとL,KとFとなる。また、ここでは説明を簡単にするため、隣接する画像を縦方向と横方向のみとしたが、斜め方向の重複領域も見てもよい。そしてグループ間毎にグループ間で隣接する画像のペアを求めて、パターン属性データ作成部34へ出力する。パターン属性データ作成部34では既に作成している各重複領域のパターン属性データテーブルから対象グループ間で隣接する画像の重複領域に対応するパターン属性データを求めていく。例えば、図11(c)に例示するように、第1のグループと第2のグループ間の各隣接画像間領域を重複領域aと定義する。
グループ間の重複領域が複数存在する場合には、当該複数の重複領域に対応するパターン属性データを求める。求められたグループ間の隣接する画像間のパターン属性データは合成選別部35に入力される。
図15では合成選別部35の実施例を示す。合成選別部35は、パターン属性データ作成部34から入力されるパターン属性データと、選別パターン属性記憶部350に設定されているパターン属性情報とを、比較部352で比較する。更に入力されたパターン属性データと、選別パターン属性記憶部351に設定されているパターン属性情報とを、比較部353で比較する。
比較部352,353は、比較する属性パターンが一致すると“1”を出力するように設定し、2つとも一致したらAND回路354の出力が1となり、位置特定合成部37へ“1”が出力される。
比較部352若しくは比較部353の出力が“1”となり、パターン属性データが、記憶された属性情報と一致するものと判断されると、その時の属性パターンに関する情報はメモリに保存され、同じグループの画像間の重複領域を検出している間、保持される。そのため、順番は無視しても良く、グループ間の画像間の中に選別パターン属性記憶部350と選別パターン属性記憶部351に設定されているパターン属性があるかどうかを検出する。異なるグループを検出するときにはメモリをクリアしても良い。
図16は、画像グループ間に複数の重畳領域が存在する場合に、パターン属性データを用いて画像グループ間の相対位置を特定する手法を説明する図である。例えば、図16(a)及び(b)に例示するように、画像A,K,P,Vが属する第1のグループと、画像F,Uが属する第2のグループにグループ化されている場合、第1のグループと、第2のグループ間の重複領域はaとbの2つになる。この時にaがy方向の相対位置の特定が可能な横線パターンであり、bがx方向の相対位置の特定が可能な縦線パターンであった場合、第1のグループと第2のグループは、重複領域aによって、y方向の相対位置を特定でき、重複領域bによって、x方向の相対位置を特定することができる。または、位置の特定に必要となる2つの重複領域が判れば、この重複領域を合わせてマッチングすれば、相関のピークが1点になり、対応位置を求めることができる。
そして図16(c)に例示するように、画像A,B,C,D,E,J,K,O,P,T,U,W,X,Yが属する第1のグループと、画像F,G,H,I,L,M,N,Q,R,Sが属する第2のグループにグループ化されている場合、画像A,F,K間にはy方向の相対位置を特定可能な重複領域と、x方向の相対位置を特定可能な重複領域が含まれているため、第1のグループと第2のグループの相対位置を特定し、両グループを1つに合成することが可能となる。また、図16(d)の例においても、画像Pと画像Uとの間の重複領域によって、y方向の相対位置を特定でき、画像Uと画像Vとの間の重複領域によって、x方向の相対位置を特定することができるため、やはりこの例においても画像P,Vが属するグループと、画像Uとを合成することができる。なお、図16(d)に例示するように、合成画像形成の対象となる画像領域の一方は必ずしもグループ化されている必要はなく、画像グループと1枚の画像間で画像合成するときにも、上記相対位置特定手法の適用が可能である。
なお、図16は、1つの画像に関する複数の重複領域から、複数方向の相対位置を特定する手法に関するものであるが、これに限られることはなく、複数の画像間の複数の重複領域の属性データを用いて、相対位置を特定するようにしても良い。例えば図16(c)の例の場合、画像Aと画像Fの重複領域ではなく、画像Dと画像Iの重複領域を、重複領域aと設定するようにしても良い。即ち、画像Dと画像I間の重複領域に含まれる横線パターンを用いて、y方向の相対位置を特定し、画像Fと画像K間の重複領域に含まれる縦線パターンを用いて、x方向の相対位置を特定するようにしても良い。
上述のような画像グループ間、或いは画像グループと画像間の相対位置の特定を行うために、合成選別部35の選別パターン属性記憶部350,351に設定されているパターン属性を、y方向の相対位置の特定が可能な横線パターンと、x方向の相対位置の特定が可能な縦線パターンとすることが望ましい。しかし、前提として図16(a)ではAとKが同じグループ内で合成位置が求められている必要があり、図16(b)もPとVが同じグループ内で合成位置が求められている必要がある。
図17に位置特定合成部の実施例を例示する。合成選別部35の出力が“1”の場合、対象となるグループ間の2つの重複領域についてマッチング手段370,371でマッチングを行う。例えば、マッチング部370ではx方向が確定する縦線パターンをマッチングしx方向の位置を確定する。マッチング部371ではy方向が確定する横線パターンをマッチングしy方向の位置を確定する。そして確定したxとyの対応位置情報を用いて、位置補正部372にて、複数グループ間の位置補正を行う。マッチング部370,371は正規化相関を用いてマッチングしてもよい。
また、合成部36にて位置情報を求めた後、位置補正部372に、合成位置記憶部3212に格納されている各画像のグループ番号,8方向の隣接画像名,グループ内での合成位置に関する情報を記憶しておく。
画像グループ間の相対位置の特定に基づいて、対象となるグループを1つにする。そして、グループを1つにする際、グループが変更される画像については求めたグループ間の対応位置を加算することで変更後のグループでの合成位置に対応させることができる。
図18に位置補正部の実施例を示す。合成位置記憶部3721に記憶されている画像グループについて、変更対象となる画像に対応するグループ内の合成位置を読み出し、マッチング部370,371で求めたグループ間の相対位置を加算部3720でx方向、y方向に加算し、再度、合成位置記憶部3721に格納する。その際、グループ番号情報も変更する。合成選別部35の出力が“1”となり、特定位置合成部37で対象のグループ間の対応位置を求めた後は、初めのグループ間から再度、合成選別部での選別を繰り返す。
全てのグループ間を検出して合成選別部35の出力が“1”が出ない場合は、その時点の各画像の合成位置を画像合成部373で合成していく。画像合成部373は図9の画像合成部と同様である。
また、表示部4を設けて、合成部36で終えた時点の各画像の合成位置で合成した画像を表示したり、位置特定合成部37でグループ化していく経過の画像を表示するようにしても良い。また、合成過程の合成画像及び結果的に合成できた画像と合成できなかった画像について、ユーザーに判るように明示するようにしても良い。
図19は、画像合成処理(パノラマ化)プロセスを説明するフローチャートである。初めにパターン属性データ作成を行う(st1)。この処理は図1から図3で説明したパターン属性データ作成部30,34で実行され、詳細は図5で例示した通りである。続いてパターン属性検出による選別合成処理を行う(st2)。この処理はパターン属性データ作成処理以降、図3に例示した合成部36による処理が終了するまでの一連の処理に相当する。この処理の詳細は図7から図14を用いて例示した通りである。続いて複数パターン属性検出に基づく、選別合成処理を行う(st3)。この処理の詳細は図13,図15から図18を用いて例示した通りである。
また、上述の画像作成装置3を、制御装置2004,2005やデータ管理装置2001に組み込んでも良い。また画像作成装置3にて行われる処理をソフトウェアで行ってもよい。またその際、パソコンでソフト処理を行ってもいいし、LSIに組み込んでハード処理で行ってもいい。
画像間の重複領域のパターン属性を用いて合成位置が明確に特定できる画像を判別した上で、合成位置の特定がしやすい順に相対位置を求めて画像合成を行い、既に合成した合成画像の複数の重複領域を用いて更なる画像合成を行うことで、より多くの画像が合成できる。
なお、上述の例では、画像間の重複領域に対し、設計データを用いて属性データを付す例を説明したが、これに限られることはなく、設計データとは別に作成したパターンの形状の別を示すテンプレートを複数用意し、当該テンプレートを用いて重複領域内のパターンマッチングを行い、一致度が最も高いテンプレートのパターン情報を、重複領域の属性データとして記憶するようにしても良い。