JP5394051B2 - エッチング液、及びエッチング方法 - Google Patents
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したがって、これらの問題を解決するために、銅とニッケルの両方を同時にエッチング可能で、かつ、エッチングレートの差異が少ないエッチング液の開発が期待されていた。
また、本発明は、基板上にニッケル合金からなる第一膜と、銅又はその合金からなる第二膜とを順に重ねてなる積層膜を一つのエッチング液で効率良くウェットエッチングすることが可能なエッチング方法を提供することを目的とする。
まず、本実施の形態においてウェットエッチングする積層膜は、図2に示すように、基板11上に第一膜12と、第二膜13とを順に重ねたものであり、パターニングして電子部品向けの金属配線を作製するための金属薄膜(以下、「積層金属膜」という。)14である。
基板11は、積層金属膜14が作製されるのに必要とされる強度などの性質を備えたものであれば特に制限はなく、たとえば、ガラスやシリコン等からなるものを用いることができる
また、本発明において、塩酸は「HCl」を、硝酸は「HNO3」を、塩鉄は「FeCl3」を、燐酸は「H3PO4」を、それぞれ意味する。
上述したような構成の試料10において積層金属膜14をウェットエッチングする第一のエッチング液1Aは、塩酸(HCl)と硝酸(HNO3)とを含む水溶液からなる。この水溶液としたエッチング液は、第一膜12であるニッケル合金と、第二膜13である銅との両方に対して、同レベルのエッチング能力あり、このエッチング液を用いることにより、一つのエッチング液で第一膜12と第二膜13の両方を一括してエッチングすることができる。また、第一のエッチング液1Aは、塩酸溶液を70〜90質量%とし、残部を硝酸溶液としてなる液組成であることが好ましい。このような液組成とすることにより、第一膜12であるニッケル合金と、第二膜13である銅の両方に対して、同レベルのエッチング能力を有するものとなり、第一膜12であるニッケル合金が第二膜13である銅より過度にエッチングされることにより生じるアンダーカット等の不具合な現象の発生を著しく抑制することができる。これにより、積層金属膜14の割れや剥離のない信頼性の高い金属配線を作製することができる。
また、上述したような構成の試料10において積層金属膜14をウェットエッチングする第二のエッチング液1Bは、塩酸(HCl)と塩化鉄(FeCl3)とを含む水溶液からなる。この水溶液としたエッチング液は、第一膜12であるニッケル合金と、第二膜13である銅との両方に対して、同レベルのエッチング能力あり、このエッチング液を用いることにより、一つのエッチング液で第一膜12と第二膜13の両方を一括してエッチングすることができる。また、第二のエッチング液1Bは、塩酸溶液を90〜95質量%とし、残部を塩鉄溶液としてなる液組成であることが好ましい。このような液組成とすることにより、第一膜12であるニッケル合金と、第二膜13である銅の両方に対して、同レベルのエッチング能力を有するものとなり、第一膜12であるニッケル合金が第二膜13である銅より過度にエッチングされることにより生じるアンダーカット等の不具合な現象の発生を著しく抑制することができる。これにより、積層金属膜14の割れや剥離のない信頼性の高い金属配線を作製することができる。
まず、基板11上に、ニッケル合金からなる第一膜12と、銅又はその合金からなる第二膜13とを順に重ねることにより積層金属膜14が作製された試料10を準備する。
次いで、図1(a)に示すように、パターニングを形成するために、試料10において金属配線として残す部分の第二膜13上にレジスト層15を形成してマスクをし、試料20とする。
なお、試料20をエッチング液1(1A,1B)に浸す代わりに、図3に示すように、試料20に対して、レジスト層15を形成した側よりエッチング液1(1A,1B)を噴霧するようにしても良い。
その後、試料20は、レジスト層15がある部分の積層金属膜14が溶解せずに残り、レジスト層15を除去することで、図1(c)に示すように、金属配線2が作製されることになる。
<第一の実験>
まず、本発明に係るエッチング液を用いることにより、第一膜を構成するニッケル合金と、第二膜を構成する銅との両方に対してエッチング能力があることを確認するための実験を以下のとおり行った。
また、20mm×20mmの大きさをした別のガラス基板の一面に、スパッタ装置を用いて銅からなる第二膜を3000Å厚みで全面に成膜し、実験用の別の試料(以下、「銅膜試料」という。)を準備した。
実験例1が、塩酸溶液を99質量%、硝酸溶液を1質量%としてなる液組成、実験例2が、塩酸溶液を98質量%、硝酸溶液を2質量%としてなる液組成、実験例3が、塩酸溶液を95質量%、硝酸溶液を5質量%としてなる液組成、実験例4が、塩酸溶液を90質量%、硝酸溶液を10質量%としてなる液組成、実験例5が、塩酸溶液を80質量%、硝酸溶液を20質量%としてなる液組成、実験例6が、塩酸溶液を75質量%、硝酸溶液を25質量%としてなる液組成、実験例7が、塩酸溶液を70質量%、硝酸溶液を30質量%としてなる液組成、実験例8が、塩酸溶液を60質量%、硝酸溶液を40質量%としてなる液組成である。すなわち、実験例1乃至8は、上述した第一のエッチング液の効果を確認するものである。
そして、これらのエッチング液を用いて、上記同様に測定した第一膜(Ni合金膜)と第二膜(Cu膜)のそれぞれのエッチング速度、その速度差、及びエッチング特性評価の結果を、併せて表1に示した。速度差の欄において、括弧内に数字を記載した場合は、第二膜より第一膜の方がエッチング速度が大きいことを示す。
(A1)第一のエッチング液(エッチング液が塩酸と硝酸とを含む水溶液)を用いてウェットエッチングを行った実験例1乃至8においては、塩酸溶液が70〜95質量%、硝酸溶液が5〜30質量%からなる実験例3乃至7における液組成とした場合は、第一膜を構成するニッケル合金と、第二膜を構成する銅との両方に対して、同レベルのエッチング能力があることが分かった。また、実験例3乃至7における液組成において、第一膜と第二膜に対するエッチングレートの差異も、比較例より少なくなることが分かった。しかも、実験例3乃至7における液組成では、第一膜であるニッケル合金のエッチング速度と、第二膜である銅のエッチング速度との速度差が100Å以下となり好ましく、特に、塩酸溶液が75〜90質量%、硝酸溶液が10〜25質量%からなる実験例4乃至6における液組成では、同速度差が50Å以下となり、より好ましいことが分かった。
次に、本発明に係るエッチング液を用いることで、ニッケル(Ni)とバナジウム(V)から構成されたニッケル合金よりなる第一膜を下地として作製し、その上に銅よりなる第二膜を積層する積層金属膜をエッチングする際に、第一膜と第二膜との両方を一つのエッチング液で効率良くエッチングすることができることを確認するための実験を以下のとおり行った。
引き続き、これら第一膜を覆うように、スパッタ装置を用いて銅からなる第二膜を3000Å厚みで全面にそれぞれ成膜し、実験用の試料を準備した。
(B1)バナジウムの含有量を7〜50原子%としたニッケル合金を用いた第一膜とすることで何れも、基板上にニッケル合金からなる第一膜と、銅からなる第二膜とを順に重ねてなる積層金属膜を一つのエッチング液で効率良くエッチングできることが分かった。
(B2)第一膜であるニッケル合金のエッチング速度と、第二膜である銅のエッチング速度との速度差が50Å以下であり、第一膜と第二膜に対するエッチングレートの差異が少なく、より好ましいことが確認された。
また、バナジウムの含有量を7〜50原子%としたニッケル合金は何れも、合金特性が非磁性であることから、積層金属膜を構成する第一膜をマグネトロンスパッタで成膜することもできる利点を備えている。
次に、本発明に係るエッチング液を用いることで、ニッケルと、バナジウム以外の添加元素から構成されたニッケル合金よりなる第一膜を下地として作製し、その上に銅よりなる第二膜を積層する積層金属膜をエッチングする際に、第一膜と第二膜との両方を一つのエッチング液で効率良くエッチングすることができることを確認するための実験を以下のとおり行った。
(C1)バナジウム、アルミニウム、モリブデン、チタン、ジルコニウム、クロム、ケイ素、タングステン、タンタル、インジウム、錫、亜鉛、マンガン、銅、コバルト、鉄より選択された少なくとも1以上の元素からなるニッケル合金を用いた第一膜とすることで、基板上にニッケル合金からなる第一膜と、銅からなる第二膜とを順に重ねてなる積層金属膜を一つのエッチング液で効率良くエッチングできることが分かった。
(C2)第一膜であるニッケル合金のエッチング速度と、第二膜である銅のエッチング速度との速度差が50Å以下であり、第一膜と第二膜に対するエッチングレートの差異が少なくより好ましいことが分かる。
Claims (6)
- 基板上にニッケル合金からなる第一膜と、銅又はその合金からなる第二膜とを順に重ねてなる積層膜をウェットエッチングするために用いるエッチング液であって、
塩酸と、硝酸とを含む水溶液からなり、前記水溶液が、塩酸溶液を70〜90質量%とし、残部を硝酸溶液としてなる液組成であることを特徴とするエッチング液。 - 基板上にニッケル合金からなる第一膜と、銅又はその合金からなる第二膜とを順に重ねてなる積層膜をウェットエッチングするために用いるエッチング液であって、
塩酸と、硝酸とを含む水溶液からなり、前記水溶液が燐酸をさらに含み、かつ、塩酸溶液を45〜68質量%、硝酸溶液を20〜30質量%、及び、残部を燐酸溶液としてなる液組成であることを特徴とするエッチング液。 - 基板上にニッケル合金からなる第一膜と、銅又はその合金からなる第二膜とを順に重ねてなる積層膜をウェットエッチングするために用いるエッチング液であって、
塩酸と、塩鉄とを含む水溶液からなり、前記水溶液が、塩酸溶液を90〜95質量%とし、残部を塩鉄溶液としてなる液組成であることを特徴とするエッチング液。 - 基板上にニッケル合金からなる第一膜と、銅又はその合金からなる第二膜とを順に重ねてなる積層膜をウェットエッチングするために用いるエッチング液であって、
塩酸と、塩鉄とを含む水溶液からなり、前記水溶液が燐酸をさらに含み、かつ、塩酸溶液を17〜50質量%、塩鉄溶液を20〜28質量%、及び、残部を燐酸溶液としてなる液組成であることを特徴とするエッチング液。 - 基板上にニッケル合金からなる第一膜と、銅又はその合金からなる第二膜とを順に重ねてなる積層膜をウェットエッチングする方法であって、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のエッチング液を用い、
前記第一膜として、ニッケルを50原子%以上含み、残部が、バナジウム、アルミニウム、モリブデン、チタン、ジルコニウム、クロム、ケイ素、タングステン、タンタル、インジウム、錫、亜鉛、マンガン、銅、コバルト、鉄より選択された少なくとも1以上の元素からなるニッケル合金を用いることを特徴とするエッチング方法。 - 前記第一膜として、ニッケルとバナジウムから構成され、該バナジウムの含有量を7〜50原子%としたニッケル合金を用いることを特徴とする請求項5に記載のエッチング方法。
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