実施の形態1.
図1は、実施の形態1における端子台1の正面図である。端子台1は、ボディ2と、ボディ2に蓋をするように取り付けられたカバー(図示なし)とを備えた略箱状である。また、端子台1は、シャーシ等の取付面(図示なし)に取り付けられる際の係止爪となる係止爪110を備える。図1はボディ2の正面が示されており、カバーはボディ2の正面に対向する反対側の面に取り付けられているので、図1では図示されていない。ボディ2とカバーとは、絶縁性のある材質、例えばポリプロピレン樹脂やナイロン樹脂により構成される。
端子台1を取付面に取り付ける構造には、例えば、以下のような構造がある。
端子台1を取り付ける取付面には、係止爪110が挿入される取付穴が設けられている。取付穴は、穴の形が大きい大穴部分と穴の形が小さい小穴部分とを有する。係止爪110は、取付穴の大穴部分に挿入され、小穴部分にスライドされることにより、取付穴から抜けないように係止される構造がある。あるいは、係止爪110が弾性力を有し、取付穴に挿入された後に弾性力により、係止爪110の爪部分が取付穴の縁部分に引っ掛かり係止されるような構成がある。
端子台1において電線を挿入する面を電線挿入面21と呼ぶものとする。図1では、電線挿入面21が端子台1の正面として示されている。ボディ2の電線挿入面21には、電線の導体を挿入できる電線挿入穴(端子穴)が複数設けられている。
電線挿入面21は、正極用の電線接続用の端子穴22A(入力),端子穴22B(送り)と、負極用の電線接続用の端子穴22C(入力),端子穴22D(送り)と、アース線接続用のアース線端子穴22E(入力),端子穴22F(送り)とを有する。
端子台1は、正極用の電線接続用の端子穴22Aと負極用の電線接続用の端子穴22Cとの間、及び、正極用の電線接続用の端子穴22Bと負極用の電線接続用の端子穴22Dとの間に、入力用と送り用とにそれぞれ、解除機構23(固定解除機構)を備える。解除機構23(固定解除機構)とは、弾性力により電線等の物体を鎖錠(固定)する鎖錠片(固定片)を備える速結端子を内部に収容する端子台1(あるいは端子台1のボディ2とカバーとからなるケース)に設けられ、鎖錠片を押圧することにより電線の鎖錠を解除する解除機構である。速結端子及び鎖錠片等の詳細については後述する。
解除機構23は、端子台1の内部に収容されている鎖錠片を押圧する解除片26と、解除片26に向かって延びるように電線挿入面21(ケースの所定の面)に片持ち梁状に形成され、解除片26を端子台1(ケース)の内部方向に揺動自在に取り付けた2つの(複数の)解除アーム25(アーム部)とを備える。2つの解除アーム25は、解除片26の両端部に向かって略平行に形成されている。
アース線接続用の端子穴22E(入力),端子穴22F(送り)の横方向(電線挿入面21の端部方向)には、解除具を押し込むことによりアース線の固定を解除することができる解除穴28を備えている。この解除穴28のかわりに、端子穴22E(入力)と端子穴22F(送り)との間に、解除機構23と同様の構成の解除機構を備えることにしてもよい。
図2は、実施の形態1に係る解除機構23の正面拡大図である。図2を用いて、解除機構23の細部の構成について説明する。図2に示す解除機構23は、図1に示された2つの解除機構23のうち、入力用の正極用及び負極用の電線接続用の端子穴22A,22C間に設けられた解除機構23である。ただし、送り用の正極用及び負極用の電線接続用の端子穴22B,22D間の解除機構23についても同一構成である。
図2に示すように、解除機構23は、端子穴22Aと端子穴22Cとの間に設けられ、一対の解除アーム25と解除片26とを備える。解除機構23は、電線挿入面21に切り溝24(切り筋、スリットともいう)を設けることにより形成された片持ち梁状の解除アーム25を2つ備える。解除アーム25は、根元となる基部27がボディ2の電線挿入面21に連結(連結形成)され、両側部は切り溝で囲まれている片持ち梁状である。
解除アーム25の先端(基部27とは反対側の端部)には、解除片26が連結される。解除片26は、略長方形(略矩形)であり、両側の端部(図2における両側の解除片端部261)に解除アーム25が1つずつ連結されている。また、2つの解除アーム25は、お互いが略平行に位置している。すなわち、解除機構23は、全体として略U字状(あるいは略凹字状)をなす。解除片26は、上述したように略長方形(略矩形)であり、両端部である両側の解除片端部261と、解除アーム25の外側の側部とが略同一線上になるように連結される。また、図2に示すように、一対の解除アーム25は、基部27から解除片26に向かって、略平行に延設されている。
解除片26は、解除アーム25との連結部位である解除片連結部210以外の部分が切り溝24により囲まれている。また、解除アーム25は、解除片26との連結部位である解除片連結部210及び電線挿入面21との連結部である基部27以外の部分が切り溝24により囲まれている。すなわち、解除機構23は、基部27を残して略U字状(あるいは略凹字状)に切り抜かれた状態であり、2箇所の基部27を支点として端子台1の内部方向に揺動自在である。言い換えると、解除機構23は、略U字状(あるいは略凹字状)の形状を呈するとともに、2箇所の基部27を根元とする片持ち梁状であり、端子台1の内部方向に揺動自在である。ここで、解除片26についての端子台1の内部側の形状については後述する。
解除機構23は、解除片26が解除具等の工具(例えば、ドライバー等)により、端子台1の内部方向に押圧される。解除片26は、解除具を当接させる解除具当接面211を備え、解除具当接面211には、解除具を当接させたときに解除具がずれたり滑ったりしないようにする凹部212(あるいは段差)が設けられている。この凹部212により、解除具が解除片26の解除具当接面211からずれたり滑ったりして、解除片26と端子台1の壁部との間に解除具が挟まってしまうような不具合が発生する恐れが小さくなる。
図3は、実施の形態1に係る端子台1の図1におけるA−A断面図である。図3(a)は、端子台1の端子穴22Cと端子穴22Dに電線3が挿入されている状態を示す。図3(b)は、端子穴22Cと端子穴22Dに電線3が挿入されていない状態を示す。図3を用いて、端子台1の電線3の接続・解除機構について説明する。図3(a)及び図3(b)では、負極側の電線接続用の端子穴(22C,22D)について図示しているが、正極側の電線接続用の端子穴(22A,22B)についても同様な構成である。
端子台1に内蔵されている速結端子は、図3(b)に示す電線3が挿入されてない状態において電線3が挿入されると、図3(a)に示す状態となる。すなわち、電線3が端子穴22C,22Dに挿入されると、電線3は端子台1の内部に組み込まれた導電性のある受け部4(例えばリン青銅製)とバネ性(弾力性)のある鎖錠片5(例えばステンレス製やバネ用銅合金製)との間に挿入され、機械的に挟持される。これにより、電線3は、受け部4に電気的に接続される。さらに、受け部4とバネ製(弾力性)のある押圧片6(例えばステンレス製やバネ用銅合金製)との間で電線3を押圧し、受け部4に電気的な接続がなされ、より確実に電気的な信頼性を高めている。以上のように、端子台1(あるいは内蔵されている速結端子)は電線3と機械的かつ電気的に接続されている。
図4は、端子台1に内蔵される端子装置(速結端子)の一例を示す図である。図4(a)は、端子装置(速結端子)の平面図、図4(b)は、端子装置(速結端子)の正面図、図4(c)は、端子装置(速結端子)の側面図、図4(d)は、端子装置(速結端子)の側面図である。
端子装置(速結端子)は、一枚の板材を抜き、曲げ加工して、一体成形されているものである。しかし、必ずしも一体成形でなくともよい。端子装置(速結端子)は、上述したように、受け部4、鎖錠片5、押圧片6、を備える。また、端子装置(速結端子)は、器具内部接続電線用の端子17を備える。端子17は、主に照明器具の点灯装置に接続するための電線を接続する接続端子であり、電線3の入力電流を照明器具側へ供給するために装備されている。
通常、端子台では、電線を接続した後に誤配線に気付いた場合等を想定し、電線を解除(取り外し)し、正規電線を再接続できるようにした解除機構が設けられている。この解除機構は、電線を解除するために、図3(a)に示す状態の鎖錠片5を電線3との接続状態より更に弾性変形させて撓ませ、電線3との挟持状態をフリーにして電線3を取り外す(解除する)ことが一般的である。この動作のあと、図3(b)のように弾性のある鎖錠片5及び押圧片6は電線挿入前の状態に戻り、正規電源線との再接続を可能としている。このようにして、電線3を解除するためには、電線3の挿入状態から、鎖錠片5を更に撓ませるために、解除片26を押圧することにより、解除片26で鎖錠片5を押圧できるようにする必要がある。
図5は、実施の形態1に係る端子台1の図1におけるB−B断面図である。また、図5では、端子台1の解除片26に対して、解除具(マイナスドライバー等の工具)を真っ直ぐ(解除片26の面に対して略垂直)に解除片26に当てようとする図である。解除片26は、解除具7により端子台1の内部方向に解除片26の面に対して略垂直に押圧される。
図6(a)は、図5の端子台1のB−B断面図において解除具を斜めに解除片へ押し込んだ状態を示す図である。図6(b)は、比較例の端子台のB−B断面図であり、解除具を斜めに解除片へ押し込んだ状態の比較例の端子台のB−B断面図である。図5及び図6を用いて、実施の形態1に係る端子台1の解除機構23の効果的な作用について説明する。また、図5、図6(a)、図6(b)では、送り用の正極用と負極用の電源線接続用の端子穴(22B、22D)間に設けられた解除機構23を示しているが、入力用の正極用と負極用の電源線接続用の端子穴(22A、22C)間の解除機構23についても同様な作用(構成)であるものとする。
図5に示すように、解除片26は、端子台1の内部側に突出部29を備える。突出部29は、鎖錠片5を押圧できるように、解除片26の端子台1内部方向に突出した部分である。突出部29は、端子穴22B,22Dに電線3が挿入されていない状態では、その先端291がほぼ鎖錠片5に当接している。突出部29は、端子穴22B,22Dに電線3が差し込まれると、鎖錠片5はP方向に弾性変形して撓み、鎖錠片5と突出部29の先端291との間には少量の隙間が発生することになる(図省略)。また、1対の解除アーム25と解除片26とが連結している部位である解除片連結部210(図2参照)は、解除片26の解除片幅方向両端に1対設けられる。
次に、解除具7を解除片26の解除具当接面211に押し当て押圧することにより、解除片26(解除片26の突出部29)で鎖錠片5を押圧する場合(すなわち電線3を解除する場合)について説明する。通常、解除具7は、図5のP方向に端子台の電線挿入面から内部に向かって真っ直ぐに解除具当接面211に当接される。そして、解除具7は、端子台の内部方向(P方向)に真っ直ぐに押し込まれる。解除具7を押し込んでいくと、解除片26の突出部29は、鎖錠片5に当接して押圧し、P方向に鎖錠片5を弾性変形させる。このようにして、鎖錠片5と電線3とがフリーになり、電線3が引き抜き可能となり、電線3の解除が可能となる。
ところで、解除具7は、図5に示すように、必ずしも真っ直ぐに(電線挿入面に対して略垂直方向(P方向))に押し込まれると限らない。解除具7は、図6(a)、(b)に示されるように、多少なりとも傾いた方向(例えばP‘方向)に押し込まれることが考えられる。この場合、解除片26の解除具当接面211は、解除片幅方向の両端部のうち解除具7が傾いた方の端部に集中的に押力が加わって押し込まれていく。以下に、解除機構23において、解除片連結部210の連結位置、連結箇所、連結箇所の個数等により、解除片26の傾き方に相違があることについて説明する。
図6(b)に示すように、比較例の解除機構は、解除片と解除アームとの連結部分である解除片連結部210Cが解除片の略中心部に1箇所設けられている。すなわち、比較例の解除機構を電線挿入面21の外側から見た場合、比較例の解除機構の形状は略T字状であることがわかる。すなわち、比較例(図6(b))の解除アームは1つであり、その幅は解除片の幅よりも小さい。比較例の解除機構は、解除片の幅より解除アームの幅は小さく、解除片と解除アームが連結される解除片連結部210Cは解除片の略中心部の1点(1箇所)に設けられている。このように、比較例の解除機構では、解除片連結部210Cは、解除片幅方向の略中心に一点支持で連結されているため、解除片幅方向の略中心から端部までの距離の分だけ曲げモーメントMcが大きく働き、解除片は傾きやすくなる(回転しやすくなる)。
以上のように、比較例の解除機構では、解除片の突出部29Cと突出部29Dの鎖錠片5に対する押圧力に差がでてしまう。鎖錠片5に対する押圧力に差がでてしまうと、図6(b)に示すように、(突出部29C側の押圧力)>(突出部29D側の押圧力)という関係となる。このため、解除片を押圧したにもかかわらず、突出部29Dで押圧された鎖錠片5は十分に力が加えられず、不十分な解除となってしまい受け部4との間で挟持されている電線は解除不能となってしまう可能性がある。解除片幅方向の左右に配置されている鎖錠片のうち、傾いた方に配置された鎖錠片が解除片に押し込まれ撓むのに対し、他端側に配置された鎖錠片は、解除片から正規押し込み量に達せず撓み不足となり、電線が解除できない恐れがある。
図6(a)に示された本実施の形態の解除機構23は、2つの解除アーム25を備えており、解除アーム25は解除片26の両端部に各々連結されている(図1、図2参照)。すなわち、解除片連結部210は、解除片26の両端部の2箇所に設けられている(解除片連結部210B、解除片連結部210A)。解除片連結部210A,210Bは、解除片26の解除片幅方向の両端部に各々設けられているので、曲げモーメントMbが働きにくくなる。たとえ、解除具7を傾けて解除具当接面211に押し当てても、解除片連結部210A、210Bが解除片26の解除片幅方向の両端部にあり各々両端部で支持部となるため、解除片26は傾きにくくなる。
解除片連結部210にかかる押圧力は、解除具7が図6(a)に示すように傾くことにより、(解除具7による解除片連結部210A側の押圧力)>(解除具7による解除片連結部210B側の押圧力)の関係となる。しかし、上述したように、本実施の形態の解除機構では解除片26が傾きにくい構造であるため、解除片26の突出部29による押圧力は、(突出部29A側の押圧力)=(突出部29B側の押圧力)の関係に近似する。したがって、突出部29Aと突出部29Bに押圧される鎖錠片5は、各々略均等な押圧力で押圧されることが可能となり、端子穴22B,22Dに挿入された2つの電線3を確実に解除することができる。
本実施の形態の解除機構23では、解除アーム25を解除片26の両端部の2箇所に連結した構造としているが、これに限られない。例えば、解除機構が3つの解除アームを備えていてもよい。つまり、3つの解除アームが略平行に端子台1のボディ2に片持ち梁状に形成され、その先端が解除片の3箇所(解除片の両端部を含む3箇所)で連結されている構造でもよい。
また、本実施の形態の解除機構23では、解除アーム25が解除片26の両端部に各々連結されている構造としているが、必ずしも解除片26の両端部に連結しなければならないわけではない。例えば、両端部より所定の距離だけ解除片の内側の位置に連結させても良い。この場合でも、解除アームが複数であるため、支点の幅が大きくなり、曲げモーメントが働きにくくなる。しかし、できるだけ解除片が傾きにくい構造とするためには、解除アームと解除片の連結位置である連結部(支点)は、両端部の各々に近づけた方が好適である。
図7は、実施の形態1に係る端子台1の図1におけるC−C断面図である。また、図8は、図7の端子台1のC−C断面図において、解除具で解除片を端子台の内部方向に押圧している状態を示す図である。図7及び図8を用いて、本実施の形態における解除機構23の解除アーム25と解除具当接面211の構成及び作用について説明する。
図7では、電線挿入状態での鎖錠片5の位置を実線で示し、電線挿入前状態の鎖錠片5の位置を点線で示している。図7に示すように、電線挿入前状態の鎖錠片5(点線)は、解除片26の突出部29の先端291に当接する位置にある。電線挿入前状態の鎖錠片5は、必ずしも突出部29の先端291に当接していなくても構わないが、なるべく当接していた方が鎖錠片5を押圧して弾性変形させる距離が短くなり、電線解除操作性が向上する。電線挿入状態の鎖錠片5は、図3(a)で示すように受け部4と鎖錠片5とで電線3を狭持しているため、電線挿入前状態よりも端子台1の内部方向に弾性変形している。したがって、解除片26の突出部29の先端291と鎖錠片5との間には隙間ができることになる。
一方、解除機構23(解除片26及び解除アーム25)は、解除具7等で押圧しない限りは、電線挿入前状態でも電線挿入状態でも同一の位置及び形態にある。図8は、解除具7で解除片26を押圧し、電線を解除できるようにした状態を示している。電線挿入前状態の鎖錠片5と、電線挿入状態の鎖錠片5とを点線で示し、電線解除可能状態の鎖錠片5を実線で示している。また、解除具7により押圧されていない状態の解除機構23を点線で示し、解除具7により押圧され電線解除可能状態となっている解除機構23を実線で示す。電線解除可能状態の鎖錠片5は、解除片26の突出部29に押圧され、電線挿入状態の鎖錠片5よりも、さらに端子台1の内部方向に弾性変形している。
図7及び図8に示すように、解除アーム25は、端子台1のボディ2と連結されている基部27から片持ち梁状に形成されている。解除アーム25は、基部27から解除片連結部210までに徐々に端子台1の内部方向に傾斜するアーム傾斜部251を備える。解除機構23がアーム傾斜部251を備えることにより、解除アーム25の長さを長くすることができるので、解除具7で加える解除片26への押し込み力を低減させることができる。したがって、解除機構23における電線解除操作性を良くすることができる。
また、解除片26の電線挿入面21側にあたる解除具当接面211(図6参照)には、凹状に段差を設けた凹部212が設けられる。凹部212は、解除具7を解除具当接面211に当接させた際に、解除具7と嵌合して解除具7が解除片からずれないようにするための構成である。
図8に示すように、作業者は、解除具7を凹部212に押し当てて解除片26を押圧し、突出部29が鎖錠片5を点線(電線挿入状態の位置)から実線(電線を解除するときの位置)になるようにする。鎖錠片5が電線解除可能状態に位置したところで、受け部4と鎖錠片5とで挟持されていた電線3がフリーとなり、作業者は電線3を引き抜くこと(電線解除)ができる。
図7及び図8に示すように、端子台1の側面の解除片26に対向する位置(位置S)には、端子台1の内部から電線挿入面21側に向かって徐々に解除片26から離れるように傾斜する傾斜面213(傾斜部)が設けられる。また、端子台1の内部に立設された立側面の解除片26に対向する位置(位置T)にも、同様に傾斜面213(傾斜部)が形成される。すなわち、端子台1において、図7に示す解除片26の先端部である解除片先端部262に対向する位置(位置S、位置T)に、端子台1の内部から電線挿入面21側に向かって(すなわち、端子台1の外部方向に向かって)徐々に解除片26から離れるように傾斜する傾斜面213(傾斜部)が設けられる。
解除具7で解除片26を押圧する場合、端子台1の内部方向に深くなるにつれて、解除具7が徐々にF方向に傾いていくことになる。このとき、本実施の形態の解除機構23を備えた端子台1は、解除機構23に対向する内側面が外側に傾斜する傾斜面213を備えているので、作業者は解除具7を端子台1の側面あるいは立側面にぶつけることなく解除動作をすることができる。つまり、作業者は、解除具7を解除アーム25の長手方向において、より斜め(よりF方向)に傾けて解除具当接面211に押し当てることができるので、解除操作をしやすくなる。また、端子台1のボディ2の内側面を傾斜させているので、ボディ2の成形時の型抜きが容易となり歩留まりをなくすことができるので、コスト的に安価に出来る。したがって、傾斜面213を備えることにより、電線解除操作性が向上するとともに、製造コストを小さくすることができる。
また、解除機構23は片持ち梁状であるため、解除動作をさせると図8に示すように、ボディ2の立側面との間に隙間(t)が発生する。このため、解除具7が解除具当接面211からズレると隙間(t)に入り込んでしまう恐れがある。本実施の形態における解除機構23では、上述したように、凹部212を備えているのでこの場合解除具7を解除具当接面211に簡単に位置決めすることができ、確実に解除片26を押し込めることができるので、解除具7が隙間(t)にはまり込んでしまう不具合を防止することができる。
図9は、実施の形態1に係る端子台1のD−D断面図(図1参照)である。図9を用いて、本実施の形態に係る解除機構23の解除片26の解除動作停止機能について説明する。解除片26の突出部29で鎖錠片5を押圧していく場合、所定の位置で解除動作を停止しないと、鎖錠片5が永久変形してしまう恐れがある。鎖錠片5が永久変形してしまうと、端子台1に電線3を再接続したとき、受け部4と鎖錠片5とで挟持させることができなくなる恐れがある。
以下に、解除片26の押圧を所定の位置でストップさせる解除片ストッパー215について説明する。図2に示すように、2つの解除アーム25に挟まれた部位を切り残し部30と呼ぶものとする。図2及び図9に示すように、解除片ストッパー215は、切り残し部30において解除片26に対向する辺である解除片側の辺281から端子台1の内部方向に立設された面である。解除片ストッパー215は、解除片26の突出部29により押圧された鎖錠片5が電線解除可能状態の位置になったところで、突出部29の押圧をストップさせる位置に設けられる。すなわち、解除片ストッパー215は、鎖錠片5が電線解除可能状態の位置になったところで、突出部29の先端と当接し、突出部29がそれ以上端子台1に内部方向へ押されないようにするものである。
言い換えると、解除片ストッパー215は、ボディ2の電線挿入面21の表面側から見て、前記ボディの表面から内部側に向かって立設されている。解除機構23は、片持ち梁状であることから、解除片26の突出部29が受け部4から鎖錠片5の方向へ弾性変形していくことで、突出部29が所定の鎖錠片5の解除できる位置まで移動した位置で突出部29の先端が当たるように解除片ストッパー215を立設させてある。従って、鎖錠片5の永久変形を防止でき、電線3の再接続の信頼性を向上させることができる。
解除機構23は、片持ち梁状であるため、端子台1の内部方向に押圧されると切り溝24部分の開口が大きく開いてしまう。そのため、電線挿入作業時に作業者等が誤って切り溝24の部分の開口から端子台1の内部に指を入れてしまい感電する恐れがある。以下に、図2及び図9を用いて、本実施の形態に係る解除機構23の感電防止機能について説明する。
感電防止部214は、切り残し部30の切り溝に囲まれた辺(解除片側の辺281及びアーム側の辺282)から端子台1の内部方向に立設された面である。すなわち、解除片側の辺281から内部方向に立設された面である感電防止部214は、解除片ストッパー215の一部である場合もある。
図9では、感電防止部214の長さは、電線挿入面21からカバー8の裏面に到達する長さであるが、必ずしもこの長さでなくてもよい。切り溝24による開口は、解除片26の突出部29の先端が解除片ストッパーに当接する位置が最大となる。したがって、感電防止部214は、切り溝24による開口が最大となる位置(すなわち、解除片26の突出部29の先端が解除片ストッパーに当接する位置)で、切り溝24の開口を塞ぐような長さに立設されればよい。また、解除片ストッパー215についても同様に、解除片26の突出部29の先端が当接する長さがあればよい。
以上のように、本実施の形態に係る端子台1は、感電防止部214を備えているので、1対の解除アーム25の間に発生する空間を無くすことができ、例えば、電線挿入作業時に誤って作業者が端子台1の内部に指を入れたりすることを防ぐことができ、感電防止の効果を得ることができる。
実施の形態1では、以下のような端子台1について説明した。実施の形態1に係る端子台は、絶縁性のボディとカバーからなる略箱状の端子台であって、ボディの一面(以下電線挿入面と称す)には電線の導体を挿入できる電線挿入穴(端子穴)を複数設け、端子台内部に複数の前記電線の導体を接続する導電性のある受け部と、前記受け部と前記電線の導体を鎖錠するバネ性のある鎖錠片をもつ速結端子を装備された端子台で、前記ボディの電線挿入面は、ボディの表面に切り溝を設けることによって、片持ち梁状の一対の解除アームを設け、前記一対の解除アームの一端は前記ボディに結合された基部に連結されるとともに、前記解除アームの基部側とは別の他端には、鎖錠片を押圧できる解除片を設けるとともに、前記解除片はボディ表面側から見て略長方形で、このうち解除アームに対向する一辺は、その両端に一対の解除アームの端部が連結形成され、前記解除片は前記一対の解除アームの連結形成された部位以外は切り溝で覆って形成され、前記一対の解除アームは前記基部から解除片に向かって、各々平行に延設したことを特徴とする。
実施の形態2.
図10は、実施の形態2に係る端子台1の正面図である。図11は、実施の形態2に係る端子台1の解除機構231の拡大正面図である。実施の形態1で説明したものと同一の構成には、同一の符号を付しその説明を省略する。
図10に示すように、本実施の形態に係るの端子台1において、実施の形態1の図1で説明した端子台1と異なる点は、解除機構231の構成にある。図11を用いて、本実施の形態における解除機構231について説明する。
図11に示すように、解除機構231は、一方の端部が基部270においてボディ2の電線挿入面21に連結された片持ち梁状の解除アーム250と、解除アーム250の他方の端部に連結された鎖錠片5を押圧する解除片26とを備える。実施の形態1において説明した解除機構23との違いは、解除アーム250が1つであり、解除片26の幅Lと、解除アームの幅L‘とは略同一であることである。また、解除片26と解除アーム250とは、解除片26の解除アーム250に対向する面の全面で連結されている。
解除機構231は、ボディ2の表面(電線挿入面21)に切り溝24を設けることによって片持ち梁状の1つの解除アーム250を設け、解除アーム250の一方の端部はボディ2に結合された基部270に連結されるとともに、他方の端部は鎖錠片5を押圧できる解除片26に連結される。解除片26の幅Lと解除アーム250の幅L‘とは略等しく(L≒L’)、解除片26と解除アーム250との解除片連結部252は、解除片26が解除アーム250に対向する一辺の幅に等しい幅で連結形成される。解除片26は、解除アーム250が連結された解除片連結部252以外の部位が切り溝24で覆われている。
解除片連結部252の幅が広いので、解除具7を傾けて解除具当接面211に押し当てた場合でも、解除片26に対して曲げモーメントが働きにくくなる。また、解除片連結部252は、解除片26の幅方向の全体に渡って設けられ支持部となっているので、解除片26は傾きにくくなる。さらに、解除アーム250の幅Lは、解除片26の解除アーム250に対向する一辺の幅に略等しい幅L‘であるため、解除アーム250と解除片26との連結が強固になり、より解除片26が傾きにくくなる。
実施の形態2では、以下のような端子台について説明した。実施の形態2に係る端子台は、絶縁性のボディとカバーからなる略箱状の端子台であって、ボディの一面(以下電線挿入面と称す)には電線の導体を挿入できる電線挿入穴を複数設け、端子台内部に複数の前記電線の導体を接続する導電性のある受け部と、前記受け部と前記電線の導体を鎖錠するバネ性のある鎖錠片をもつ速結端子を装備された端子台で、前記ボディの電線挿入面は、ボディの表面に切り溝を設けることで、片持ち梁状の解除アームを設け、前記解除アームの一端は前記ボディに結合された基部に連結されるとともに、前記解除アームの基部側とは別の他端には、鎖錠片を押圧できる解除片を設けるとともに、前記解除片はボディ表面側から見て略長方形で、前記解除片と解除アームの連結部は前記解除片が前記解除アームに対向する一辺の幅にほぼ等しい幅で連結形成され、前記解除片は前記解除アームの連結形成された部位以外は切り溝で覆って形成されたことを特徴とする。
実施の形態3.
図12は、蛍光ランプを点灯させる照明器具9であり、実施の形態1または2の端子台1を搭載する照明器具9を示す図である。
照明器具9は、照明器具本体10と、照明器具本体に取り付けられた点灯装置14と、照明器具9に電源を供給するとともに接地を行う端子台1と、ランプソケット15,ランプ13、反射板11とを備える。端子台1には、実施の形態1で説明した解除機構23、あるいは実施の形態2で説明した解除機構231が搭載されている。
実施の形態3に係る照明器具9によれば、端子台1の部品点数を増やすことなく、部品製造コストと組立加工コストを低コストに抑えた照明器具を提供することができる。また、端子台1において、電線を解除するときに、解除具7を傾けた状態で解除片26を押しても、解除片26の下方左右に配置された鎖錠片5を略均等に押圧することができるので、端子台1の電線解除操作の信頼性及び操作性を向上させた照明器具を提供することができる。