JP5393115B2 - 燃料電池およびその運転方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池およびその運転方法、より具体的には、例えば固体高分子形燃料電池(PEFC)とされた閉鎖型燃料電池のドレン水の処理方法に関するものである。
一般に、燃料電池は、水素等を含む燃料ガスと酸素や空気等の酸化剤とを反応させ、燃料電池スタック(燃料電池本体)にて発電を行う。燃料や酸化剤は、100%反応させることはできず、未反応の燃料や酸化剤を含むガス(オフガス)を排出する。
定置用や自動車用等の燃料電池では、オフガスを大気へ放出する大気開放型の燃料電池が多用される。ただし、オフガスはそのまま放出するのではなく、環境等を考慮して、燃焼触媒等を用いて燃焼器にて燃焼処理してから排出する(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
図2には、このような開放型燃料電池の概略構成が示されている。同図に示すように、燃料電池スタック101から排出された燃料排ガスは、燃料排ガス用気液分離器103を通過した後に、触媒燃焼器105へと導かれ、燃料電池スタック101から排出された酸化剤排ガスは、酸化剤排ガス用気液分離器107を通過した後に、触媒燃焼器105へと導かれる。触媒燃焼器105では、白金等の燃焼触媒の下で、燃料排ガス中の水素と酸化剤排ガス中の酸化剤成分とが燃焼させられ、燃料排ガス中の水素が処理された後に、燃焼排ガスとして大気へと排出させられる。
一方、発電に伴って反応生成物として水が生成される(H+1/2O→HO)。この水は、燃料電池スタック101の電解質膜を通ってオフガス中に同伴し、気液分離器103,107においてドレン水として分離される。図2に示したような大気開放型の燃料電池では、ドレン水は排水ライン(図示せず)へそのまま排出されるようになっている。
ドレン水は、気液分離器103,107までは気相のオフガスと共存しているので、ドレン水中にオフガスが溶存している。特に、燃料側ドレン水には、水素が溶存することになる。
開放型燃料電池の場合、気液分離器で分離された後は、ドレン水と共存する気相は大気となるので、溶解平衡がシフトして溶存していた水素が気相中に脱離する。このように気相中に水素が脱離しても、開放型燃料電池の場合では脱離する水素量が微量であり、大気中へ拡散してしまうので大きな問題にはならない。
特開昭63−205058号公報 特許第3692962号公報
これに対して、宇宙機器や潜水機(潜水船も含む)に燃料電池を用いる場合には、オフガスやドレン水を燃料電池の外部へと放出することができないため、貯蔵する必要があり、以下の問題がある。図3には、閉鎖型燃料電池の概略構成が示されている。
燃料電池スタック201に供給された燃料は、燃料排ガスとして燃料排ガス用気液分離器203を通過した後に、触媒燃焼器205へと導かれる。燃料電池スタック201に供給された酸化剤は、酸化剤排ガスとして酸化剤排ガス用気液分離器207を通過した後に、触媒燃焼器205へと導かれる。
触媒燃焼器205では、燃料排ガス中の水素が酸化剤排ガスの酸化剤成分によって燃焼させられる。触媒燃焼器205から排出された燃焼排ガスは、圧縮機209によって圧縮され減容化された後に、ガス貯蔵タンク210にて貯蔵される。
燃料排ガス用気液分離器203にて分離されたドレン水は、燃料側ドレンタンク212へと導かれる。また、酸化剤排ガス用気液分離器207にて分離されたドレン水は、酸化剤側ドレンタンク214へと導かれる。
燃料側ドレンタンク212では、ドレン水中に溶存している水素が気相側に脱離するので、水素が溶存したドレン水が順次貯蔵されるに従って水素濃度が上昇することになる。このようにドレンタンク212中の水素濃度が上昇すると爆発等のおそれがあるので何らかの廃棄処理が必要とされる。
また、燃料側ドレンタンク212の気相中の水素濃度が上昇するので、水素と反応するおそれがある酸化剤側ドレンタンク214のドレン水を混合することができない。このようにドレンタンクを共通化することができず、装置構成の複雑化を招いていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ドレン水中に溶存している燃料(水素)を適切に処理し、装置構成の簡素化を図ることができる燃料電池およびその運転方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の燃料電池およびその運転方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる燃料電池は、燃料および酸化剤が供給されることによって発電が行われる燃料電池本体と、該燃料電池本体から排出される燃料排ガスから水分をドレン水として分離する燃料排ガス用気液分離器と、該燃料排ガス用気液分離器から排出される前記燃料排ガスを燃焼処理する燃焼器と、前記燃料排ガス用気液分離器にて分離されたドレン水を貯留するドレン水貯留部とを備え、前記燃料排ガスおよび前記ドレン水を外部へと放出せずに該ドレン水を再利用する燃料電池において、前記ドレン水貯留部にてドレン水と共存するガスが、前記燃焼器へと導かれることを特徴とする。
例えば、いわゆる閉鎖型燃料電池では、燃料排ガス用気液分離器から分離されたドレン水を外部へと放出せずにドレン水貯留部内にドレン水を貯留する。ドレン水は、気液分離器では燃料排ガスと共存しているので、ドレン水中には水素等の燃料が溶存している。閉鎖型燃料電池では、上述のようにドレン水が外部へと放出されることはないので、ドレン水貯留部では気相中にドレン水中の燃料が脱離し、ドレン水貯留部における気相中の燃料濃度が上昇するおそれがある。本発明では、ドレン水貯留部にてドレン水と共存するガスを燃焼器へ導くこととしたので、ドレン水貯留部におけるガスは燃焼器にて燃焼処理されることになり、ドレン水貯留部におけるガスの燃料濃度が上昇することがない。
さらに、本発明の燃料電池によれば、前記燃料電池本体から排出される酸化剤排ガスから水分をドレン水として分離する酸化剤排ガス用気液分離器を備え、該酸化剤排ガス用気液分離器にて分離されたドレン水が、前記ドレン水貯留部へと導かれることを特徴とする。
上述のように、ドレン水貯留部におけるガスの燃料濃度が上昇しないので、酸化剤が溶存している酸化剤排ガスのドレン水をドレン水貯留部に供給することが可能となる。これにより、ドレン水貯留部を共通化することができ、装置構成を簡素化することが可能となる。
さらに、本発明の燃料電池によれば、前記ドレン水貯留部に貯留されたドレン水が、前記燃料電池本体へと導かれる燃料および/または酸化剤の加湿水、及び/又は、前記燃料電池本体の冷却水、及び/又は、水電解装置の電解用水として再利用されることを特徴とする。
燃料および/または酸化剤を加湿することによって燃料電池の性能を向上させることができる。この加湿のために用いる加湿水として、ドレン水貯留部に貯留されたドレン水を用いることとしたので、ドレン水を再利用することができ、ドレン水を外部へと排出できない閉鎖型燃料電池に適した構成を実現することができる。
なお、ドレン水貯留部のドレン水を精製するための純水器を備えていることが好ましい。
また、ドレン水は、酸化剤の加湿水、及び/又は、前記燃料電池本体の冷却水、及び/又は、水電解装置の電解用水として再利用することもできる。
また、本発明の燃料電池の運転方法は、燃料および酸化剤が供給されることによって発電が行われる燃料電池本体と、該燃料電池本体から排出される燃料排ガスから水分をドレン水として分離する燃料排ガス用気液分離器と、該燃料排ガス用気液分離器から排出される前記燃料排ガスを燃焼処理する燃焼器と、前記燃料排ガス用気液分離器にて分離されたドレン水を貯留するドレン水貯留部とを備え、前記燃料排ガスおよび前記ドレン水を外部へと放出せずに該ドレン水を再利用する燃料電池の運転方法において、前記ドレン水貯留部にてドレン水と共存するガスが、前記燃焼器へと導かれることを特徴とする。
例えば、いわゆる閉鎖型燃料電池では、燃料排ガス用気液分離器から分離されたドレン水を外部へと放出せずにドレン水貯留部内にドレン水を貯留する。ドレン水は、気液分離器では燃料排ガスと共存しているので、ドレン水中には水素等の燃料が溶存している。閉鎖型燃料電池では、上述のようにドレン水が外部へと放出されることはないので、ドレン水貯留部では気相中にドレン水中の燃料が脱離し、ドレン水貯留部における気相中の燃料濃度が上昇するおそれがある。本発明では、ドレン水貯留部にてドレン水と共存するガスを燃焼器へ導くこととしたので、ドレン水貯留部におけるガスは燃焼器にて燃焼処理されることになり、ドレン水貯留部におけるガスの燃料濃度が上昇することがない。
本発明の燃料電池およびその運転方法によれば、以下の効果を奏する。
ドレン水貯留部にてドレン水と共存するガスを燃焼器へ導き燃焼処理することとしたので、ドレン水貯留部におけるガスの燃料濃度が上昇することがない。したがって、ドレン水を外部へと排出することができずにドレン水貯留部の気相部にて燃料濃度が上昇するおそれがある閉鎖型燃料電池に対して特に有効である。
また、ドレン水貯留部におけるガスの燃料濃度が上昇しないので、酸化剤が溶存している酸化剤排ガスのドレン水をドレン水貯留部に供給することが可能となる。これにより、ドレン水貯留部を共通化することができ、装置構成を簡素化することが可能となる。
燃料電池の性能を向上させるために用いる加湿水として、ドレン水貯留部に貯留されたドレン水を用いることとしたので、ドレン水を再利用することができ、ドレン水を外部へと排出できない閉鎖型燃料電池に特に適した構成を実現することができる。
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態にかかる燃料電池の概略が示されている。燃料電池としては、固体高分子形燃料電池(PEFC)が好適であるが、その形式は問わない。燃料電池は、宇宙機器や潜水的に用いられて好適な閉鎖型燃料電池となっている。すなわち、燃料電池スタックから排出されるオフガス及びオフガスから分離されるドレン水は燃料電池の外部へと放出されず、燃料電池のシステム内部で貯蔵されるようになっている。
燃料電池スタック(燃料電池本体)1には、燃料ガスおよび酸化剤ガスが供給されるようになっている。水素を含む燃料ガスは、加湿器16を通過することによって加湿された後に、燃料電池スタック1へと導かれる。酸素を含む酸化剤ガスは、加湿器18を通過することによって加湿された後に、燃料電池スタック1へと導かれる。
燃料電池スタック1では、燃料ガス中の水素と酸化剤ガス中の酸素によって電気化学反応による発電が行われ、発電電力は、図示しない外部負荷にて取り出されるようになっている。
燃料電池スタック1から排出された水素ガスを含む燃料排ガス(オフガス)は、燃料排ガス用気液分離器3へと導かれる。この燃料排ガス用気液分離器3にて、燃料排ガス中の水分が凝縮されドレン水として下方に貯留される。このドレン水中には、燃料排ガス中の水素が溶存している。
一方、燃料電池スタック1から排出された酸素を含む酸化剤排ガス(オフガス)は、酸化剤排ガス用気液分離器7へと導かれる。この酸化剤排ガス用気液分離器7にて、酸化剤排ガス中の水分が凝縮されドレン水として下方に貯留される。このドレン水中には、酸化剤排ガス中の酸素が溶存している。
燃料排ガス用気液分離器3から排気される水分除去後の燃料排ガスと、酸化剤排ガス用気液分離器7から排気される水分除去後の酸化剤排ガスは、触媒燃焼器(燃焼器)5へと導かれ、燃焼処理される。これにより、燃料排ガス中の可燃分である水素が処理される。触媒燃焼器5に用いられる触媒としては、白金またはパラジウムが用いられる。特に白金は、反応温度が低いので好適である。
触媒燃焼器5から排気される燃焼排ガスは、圧縮機9にて圧縮され減容化された後に、ガス貯蔵タンク10へと導かれ、貯蔵される。
燃料排ガス用気液分離器3にて分離されたドレン水と、酸化剤排ガス用気液分離器7にて分離されたドレン水は、ドレン水受けタンク(ドレン水貯留部)12へと導かれ、貯留される。
ドレン水受けタンク12の上方に位置する気相部には、ファン20が接続されている。このファン20によってドレン水受けタンク12の気相部のガスが触媒燃焼器5へと導かれる。これにより、ドレン水受けタンク12の気相部における水素ガスは、触媒燃焼器5によって燃焼処理される。すなわち、燃料排ガス用気液分離器3にて分離されたドレン水中に溶存している水素ガスは、ドレン水受けタンク12にてドレン水から脱離させられ、触媒燃焼器5にて処理される。
このように、ドレン水受けタンク12の気相部からファン20によって水素ガスを吸い出して触媒燃焼器5にて順次処理することによって、ドレン水受けタンク12の気相部における水素濃度は低下させられる。さらに、気相中の水素濃度が低下するので溶解平衡がシフトして、ドレン水中の水素濃度も低下する。したがって、酸化剤と共存しても反応の可能性が極めて低いので、酸化剤排ガス用気液分離器7のドレン水をドレン水受けタンク12に導くことが可能となる。これにより、ドレン水受けタンク12を共通化することができ、装置構成が簡素化される。
また、触媒燃焼器5からの燃焼排ガスを、圧縮機9の上流側で一部抽気し、ドレン水受けタンク12の気相部へと返送するようになっている。これにより、ドレン水受けタンク12の気相部の圧力を所定値に維持することができるとともに、触媒燃焼器5にて未反応とされた水素ガスが存在する場合であっても再び循環させて燃焼処理することができる。
ドレン水受けタンク12内で貯留されたドレン水は、ドレン水貯蔵タンク14へと導かれ、最終的に貯蔵される。ドレン水受けタンク12から抜き出されるドレン水は、上述のように水素が脱離されているので、ドレン水貯蔵タンク14の気相部には水素ガスが滞留して濃縮することがない。
ドレン水受けタンク12に貯留されたドレン水の一部は、加湿水ポンプ24によって純水器22へと導かれる。純水器22にて、ドレン水は純水へと精製される。純水器22からの純水は、加湿器16,17へと導かれる。このように、ドレン水を加湿水として用いることにより、ドレン水を有効利用することができる。
なお、図1において破線で示したように、ドレン水貯蔵タンク14に貯留されたドレン水を加湿水ポンプ26により抜き出し、加湿水として用いることとしても良い。
また、ドレン水は、燃料電池スタック1の冷却水、及び/又は、水電解装置の電解用水として再利用することとしても良い。
以上の通り、本実施形態による燃料電池によれば、以下の作用効果を奏する。
ドレン水受けタンク12にてドレン水と共存するガスを燃焼器へ導くこととしたので、ドレン水受けタンク12におけるガスは燃焼器にて燃焼処理されることになり、ドレン水受けタンク12におけるガスの水素濃度が上昇することがない。これは、ドレン水を外部へと排出することができず、ドレン水受けタンク12の気相部にて水素濃度が上昇するおそれがある閉鎖型燃料電池において極めて有効である。
このようにドレン水受けタンク12における水素濃度が上昇しないので、酸化剤が溶存している酸化剤排ガスのドレン水をドレン水受けタンク12に供給することが可能となる。これにより、ドレン水受けタンク12を共通化することができ、装置構成を簡素化することが可能となる。
燃料電池の性能を向上させるために用いる加湿水として、ドレン水受け部12に貯留されたドレン水を用いることとしたので、ドレン水を再利用することができ、ドレン水を外部へと排出できない閉鎖型燃料電池に適した構成を実現することができる。
なお、本実施形態では、閉鎖型燃料電池について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ドレン水を再利用する燃料電池であれば適用することができる。
本発明の一実施形態にかかる閉鎖型燃料電池を示した概略構成図である。 従来の開放型燃料電池を示した概略構成図である。 従来の閉鎖型燃料電池を示した概略構成図である。
符号の説明
1 燃料電池スタック(燃料電池本体)
3 燃料排ガス用気液分離器
5 触媒燃焼器(燃焼器)
7 酸化剤排ガス用気液分離器
12 ドレン水受けタンク(ドレン水貯留部)
16,18 加湿器

Claims (4)

  1. 燃料および酸化剤が供給されることによって発電が行われる燃料電池本体と、
    該燃料電池本体から排出される燃料排ガスから水分をドレン水として分離する燃料排ガス用気液分離器と、
    該燃料排ガス用気液分離器から排出される前記燃料排ガスを燃焼処理する燃焼器と、
    前記燃料排ガス用気液分離器にて分離されたドレン水を貯留するドレン水貯留部と、
    を備え、前記燃料排ガスおよび前記ドレン水を外部へと放出せずに該ドレン水を再利用する燃料電池において、
    前記ドレン水貯留部にてドレン水と共存するガスが、前記燃焼器へと導かれることを特徴とする燃料電池。
  2. 前記燃料電池本体から排出される酸化剤排ガスから水分をドレン水として分離する酸化剤排ガス用気液分離器を備え、
    該酸化剤排ガス用気液分離器にて分離されたドレン水が、前記ドレン水貯留部へと導かれることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
  3. 前記ドレン水貯留部に貯留されたドレン水が、前記燃料電池本体へと導かれる燃料および/または酸化剤の加湿水、及び/又は、前記燃料電池本体の冷却水、及び/又は、水電解装置の電解用水として再利用されることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池。
  4. 燃料および酸化剤が供給されることによって発電が行われる燃料電池本体と、
    該燃料電池本体から排出される燃料排ガスから水分をドレン水として分離する燃料排ガス用気液分離器と、
    該燃料排ガス用気液分離器から排出される前記燃料排ガスを燃焼処理する燃焼器と、
    前記燃料排ガス用気液分離器にて分離されたドレン水を貯留するドレン水貯留部と、
    を備え、前記燃料排ガスおよび前記ドレン水を外部へと放出せずに該ドレン水を再利用する燃料電池の運転方法において、
    前記ドレン水貯留部にてドレン水と共存するガスが、前記燃焼器へと導かれることを特徴とする燃料電池の運転方法。
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