(第1の実施例)
以下、本発明をドラム式洗濯乾燥機に適用した第1の実施例について図1ないし図4を参照しながら説明する。
図2は、ランドリ機器としての乾燥機能を有するドラム式洗濯機たるドラム式洗濯乾燥機1の全体的な外観を示す斜視図である。この図2に示すように、ドラム式洗濯乾燥機1の外郭を構成する筐体2は、前面が滑らかに傾斜したほぼ矩形箱状をなしており、その左右両側面には、洗濯乾燥機1の移動時などに使用するための取手3が設けられている。又、筐体2の上面には、水道水用給水口4が設けられている。
筐体2の前面中央部には、ほぼ円形状の扉5が設けられているとともに、当該扉5を開くための操作ボタン6が設けられている。又、筐体2の前面上部には、操作パネル7及び洗剤類投入部8が設けられている。操作パネル7は、筐体2の裏側に設けられた制御手段としてのマイクロコンピュータ9(図1、図3参照)に接続されている。又、操作パネル7には、各種情報(洗剤量や運転時間など)を表示するための液晶表示部7aが設けられているとともに、後述する除菌コースを含む各種運転コースを選択するためのスイッチや、運転を開始,停止させるための各種スイッチなどが設けられている。なお、マイクロコンピュータ9は、ROM,RAM、各種インタフェースなどを備えて構成されており、各種の入力信号や予め記憶された制御プログラムに基づいて、ドラム式洗濯乾燥機1の動作全般を制御するようになっている。
筐体2の下部には、リントフィルタ(図示せず)が着脱可能に配設されるフィルタ収納部10が設けられている。このリントフィルタは、水槽11(図3参照)からの排水や、水槽11内の水を循環させる循環水路(図示せず)内の水に含まれる異物(糸くずなど)を捕獲するためのものである。
次に、ドラム式洗濯乾燥機1の内部構成について図3を参照しながら説明する。図3は、ドラム式洗濯乾燥機1の内部構成を概略的に示す縦断側面図である。この図3に示すように、筐体2の内部には水槽11が配設され、その水槽11の内部にドラム12が配設されている。
これらの水槽11及びドラム12は、ともに一端部が閉塞された有底円筒状をなしており、前側(図3では左側)の端面部に、夫々開口部13,14を有している。ドラム12の開口部14は、水槽11の開口部13によって囲繞されており、水槽11の開口部13は、筐体2の前面部に形成された開口部15にベローズ16によって連ねられている。開口部15には、上記した扉5が開閉可能に設けられており、これにより、開口部13,14,15からなる洗濯物(衣類など)の出し入れ用の投入口が、扉5によって開閉されるようになっている。
ドラム12の開口部14の周囲には、例えば液体封入型の回転バランサ17が設けられており、ドラム12の周側部(胴部)のほぼ全域には、多数の孔18が形成されている(一部のみ図示)。これらの孔18は、洗い行程時、すすぎ行程時及び脱水行程時には通水孔として機能し、乾燥行程時には通風孔として機能するものである。ドラム12の周側部の内面には、複数のバッフル19が突設されており、ドラム12の後側の端面部には、その中心軸と同心となる環状配置によって複数の温風導入口20が形成されている。
水槽11は、前側の端面部の上部(開口部13よりも上方の部分)に温風出口21を有し、後側の端面部の上部に上記温風導入口20の回転軌跡に対向させて温風入口22を有する。
水槽11の上部には、給水ホース23を介して給水ケース24が接続されている。この給水ケース24には、給水弁25を介して水道水用給水口4が接続されている。これらにより、水道水用給水口4からの水道水が、給水弁25,給水ケース24,給水ホース23を介して水槽11の内部に供給されるようになっている。なお、給水ケース24には、洗剤類投入部8を介して洗剤類(洗剤、柔軟仕上げ剤、漂白剤など)が投入されるようになっており、これら洗剤類が水道水とともに水槽11内に供給されるようになっている。
水槽11の底部の最後部には、排水口26が形成されており、この排水口26には、ドラム式洗濯乾燥機1の外部に連なる排水ホース27が接続されている。排水ホース27の途中には排水弁28が設けられている。これらにより、水槽11内の水が機外に排水できるようになっている。
水槽11の背面部には、洗濯機モータ29が取り付けられており、これの回転軸29aが水槽11内に突出している。回転軸29aの先端部には、ドラム12の後端面部の中心部分が取り付けられている。これにより、ドラム12は、水槽11に同軸状で回転可能に支持されている。即ち、ドラム式洗濯乾燥機1は、ドラム12を洗濯機モータ29によって直接回転駆動する構成であり、洗濯機モータ29によるダイレクトドライブ方式を採用している。又、洗濯機モータ29は、この場合、アウターロータ型のブラシレスDCモータで構成されている。
水槽11は、複数のサスペンション30(1つのみ図示)によって筐体2に弾性支持されており、その支持形態は、水槽11の軸方向が前後方向となる横軸状で、しかも、前上がりの傾斜状である。従って、この水槽11内に上述のように支持されたドラム12も同形態となっている。
水槽11の下方(筐体2の底面上)には台板31が配置され、この台板31上には前後方向に延びる通風ダクト32が配設されている。この通風ダクト32は、前端部の上部に吸風口33を有しており、この吸風口33は、接続ホース34及び還風ダクト35を介して、水槽11の温風出口21に接続されている。なお、還風ダクト35は、水槽11の開口部13の側部を迂回するように配管されている。
通風ダクト32の後端部には、循環用送風機36のケーシング37が連設されており、このケーシング37の出口部38は、接続ホース39及び給風ダクト40を介して、水槽11の温風入口22に接続されている。なお、給風ダクト40は、水槽11の背面側から見て、洗濯機モータ29の右側を迂回するように配管されている。ここで、還風ダクト35,接続ホース34,通風ダクト32,循環用送風機36のケーシング37,接続ホース39,給風ダクト40によって、水槽11に連通接続された循環風路41が構成されている。
循環用送風機36は、この場合、遠心ファンで構成されている。即ち、循環用送風機36は、ケーシング37の内部に遠心羽根車42を有しているとともに、その遠心羽根車42を回転させるファンモータ43をケーシング37の外部に有している。循環用送風機36は、水槽11内(ドラム12内)の空気を、図3に矢印で示すように、循環風路41を通して循環させる送風手段として機能する。
循環風路41のうち通風ダクト32の内部には、前部に蒸発器44(除湿手段)が配置され、後部に凝縮器45(加熱手段)が配置されている。これら蒸発器44及び凝縮器45は、いずれも詳しくは図示しないが、伝熱フィンを細かいピッチで多数配設してなるフィン付きチューブ型のもので、熱交換性に優れており、それら伝熱フィンの各間を、通風ダクト32内を流れる風(図3に示す矢印参照)が通るようになっている。
蒸発器44及び凝縮器45は、圧縮機46、及び、図示しない流量制御弁(例えば、電子式の制御弁)とともにヒートポンプ47を構成している。このヒートポンプ47においては、冷媒流通パイプによって、圧縮機46,凝縮器45,流量制御弁,蒸発器44の順にこれらをサイクル接続されて、冷凍サイクルが構成されている。圧縮機46や流量制御弁の駆動は、マイクロコンピュータ9によって制御されるようになっている。
マイクロコンピュータ9は、上記したように、循環用送風機36を作動させることによって、水槽11内の空気を循環風路41を通して循環させるようになっている。又、マイクロコンピュータ9は、圧縮機46や流量制御弁を作動させることによって、冷凍サイクルの冷媒を循環させるようになっている。そして、循環風路41内を流れる空気を、蒸発器44によって冷却除湿し、凝縮器45によって加熱して温風化するようになっている。これにより、マイクロコンピュータ9は、水槽11内に温風を供給して当該水槽11内(ドラム12内)の洗濯物を乾燥する乾燥運転を実行可能に構成されている。
このような構成のドラム式洗濯乾燥機1には、ミスト発生装置48が備えられている。以下、このミスト発生装置48の構成について図4を参照しながら説明する。ミスト発生装置48は、ミスト発生器49と高電圧発生器50とから構成されている。
ミスト発生器49は、外郭を構成するケース51に、第1の保水材52,第2の保水材53,吸水部材54,複数(図4では4つ示す)の放電極55,導電ロッド56などを備えて構成されている。
ケース51は、絶縁性材料(例えば、ポリプロピレンなどの樹脂)からなるものであり、その下部が中空状で貯水可能な貯水タンク部51aとして構成されている。貯水タンク部51aの側部には、導水部57が接続されており、これは、後述するようにして給水された水を貯水タンク部51a内に供給するようになっている。
又、貯水タンク部51aの底部には、溢水経路58が接続されている。この溢水経路58は、端部58aが貯水タンク部51aの内部まで延びており、これにより、水位が端部58aに達するまでの所定水量(例えば100cc未満)の水を、貯水タンク部51a内に貯水可能となっている。貯水タンク部51a内の水位が端部58aに達すると、貯水タンク部51a内の水が当該端部58aから溢れ、溢れた水が溢水経路58を介して排水されるようになっている。
第1の保水材52及び第2の保水材53は、ケース51内の上部に配設されている。第1の保水材52は、保水性を有する多孔質材料(例えば、ウレタンスポンジ)で形成されており、ケース51内部において貯水タンク部51aの上方に収容されている。第2の保水材53は、保水性を有する多孔質材料(例えば、ウレタンスポンジ)に導電性物質(例えば、グラファイト)を混合して形成したものであり、ケース51の内部において第1の保水材52の上方に収容されている。なお、第2の保水材53に導電性物質として混入されたグラファイトは、該第2の保水材53の導電性や硬性を確保するためのものである。
吸水部材54は、吸水性、保水性及び水の吸い上げ特性を有する多孔質材料(例えば、繊維状のポリエステルからなるフェルト材)で形成されたものであり、その上下両端部が尖ったピン形状をなしている。吸水部材54の基端部(図4では下側の端部)は、当該吸水部材54を下方から覆うようにして設けられた貯水タンク部51a内に延びており、当該貯水タンク部51a内に貯められた水に接触するようになっている。一方、吸水部材54の先端部(図4では上側の端部)は、第1の保水材52に下方から差し込まれるようにして挿入されている。これにより、吸水部材54の先端側部分は、第1の保水材52によって覆われて当該第1の保水材52に接触した状態となっている。
放電極55は、吸水性,保水性及び水の吸い上げ特性を有する多孔質材料(例えば、繊維状のポリエステルからなるフェルト材)で形成されたものであり、夫々先端部(図4では上端の端部)が尖ったピン形状をなしている。これらの複数の放電極55の基端部(図4では下側の端部)は、第1の保水材52に上方から差し込まれるようにして挿入されている。これにより、複数の放電極55の下端側部分が夫々第1の保水材52によって覆われた状態となっている。
又、これらの複数の放電極55は、ケース51内の第2の保水材53とケース51の上面部とを突き抜けるようにして配設されている。従って、これら放電極55は、主としてケース51の上面部によって固定されているとともに、硬性を有する第2の保水材53によって補助的に固定されている。これらの放電極55は、吸水部材54の周囲に同心円状に配置されている。
貯水タンク部51a内に蓄えられた水は、当該貯水タンク部51a内に延びる吸水部材54を介して吸水され(吸い上げられ)、第1の保水材52に供給される。そして、第1の保水材52に供給された水は、当該第1の保水材52内を浸透し、これにともなって、放電極55に水が供給される。なお、放電極55は、吸水部材54を中心として同心円状に配置されていることから、吸水部材54から第1の保水材52内に浸透する水が周囲の放電極55に均等に供給されるようになっている。又、第1の保水材52に含まれる水の一部は、第2の保水材53にも浸透し、従って、当該第2の保水材53からも放電極55に水が供給されるようになっている。
導電ロッド56は、その先端部(図4では上側の端部)がケース51内にて第1の保水材52を突き抜けて硬性を有する第2の保水材53に固定されている。又、導電ロッド56は、ケース51の外部において、その基端部(図4では下側の端部)を残す周側部の全域が、絶縁性材料からなる被覆部材56aによって覆われている。この導電ロッド56の基端部は、高電圧発生器50が後述するようにして発生する高電圧電源50Dの負極(例えば、−6kV)に電源線50aを介して接続されている。これにより、高電圧電源50Dからの負の高電圧が、導電ロッド56,水を含んだ第1の保水材52及び第2の保水材53を介して放電極55に印加され、当該放電極55が負に帯電するようになっている。
而して、ミスト発生装置48は、図3に示すように、循環風路41の途中部分を構成する給風ダクト40において、温風入口22よりも下流であって且つ接続ホース39を上流側に越えた直後の部分に配設されている。そして、ミスト発生器49の放電極55は、夫々の先端部が循環風路41の内部に突出するように配設されている。循環風路41のうちのミスト発生器49が設置される部分には、仕切り板41aが設けられている。この仕切り板41aは、下方に傾斜した庇部41bを有しているとともに、ミスト発生器49の放電極55の上方に対向するようになっている。これにより、循環風路41内を流れる空気の一部は、ミスト発生器49側に供給され、放電極55及びその周辺部分を通過した後に循環風路41に合流するようになっている(図3に破線で示す矢印参照)。
ミスト発生器49の導水部57には、給水弁25から延びる給水用管路59が連通接続されている。ミスト発生器49の溢水経路58は、排水ホース27のうちの排水弁28よりも下流の部分に連通接続されている。従って、ミスト発生器49の貯水タンク部51a内から溢水経路58に溢れた水が当該溢水経路58を通って排水ホース27に排水されるようになっている。
なお、前述したように、ミスト発生器49の導電ロッド56は、その基端部が高電圧電源50Dの負極に電源線50aを介して接続されている(図4参照)。これにより、高電圧電源50Dからの負の高電圧(例えば、−6kV)が、導電ロッド56,水を含んだ第1の保水材52及び第2の保水材53を介して放電極55に印加され、当該放電極55が負に帯電するようになる。そして、高電圧電源50Dの正極は、接地線50bを介して接地されるようになっている(図4参照)。又、この場合、ドラム式洗濯乾燥機1の筐体2は、接地線(図示せず)を介して接地されるようになっており、このように接地された筐体2(放電極55に対向せず且つ当該放電極55から遠方に離れた位置に設けられた部材)が、負に帯電した放電極55に対応する他方の電極として機能するように構成されている。
次に、本実施例の電気的構成について、図1を参照して説明する。図1には、ドラム式洗濯乾燥機1の運転を実行するための多数の負荷のうちの特定の負荷としての給水弁25及びこれとは同時動作不可の他の負荷としてのミスト発生装置48の高電圧発生器50の駆動回路が示されている。マイクロコンピュータ9は、前述の多数の負荷に対応して多数の制御ポートを有するが、ここでは、給水弁25及び高電圧発生器50のための2つの制御ポート1及びP2が示されている。なお、マイクロコンピュータ9には、直流電源線Paとアースとの間の5Vの直流電源電圧が与えられている。
マイクロコンピュータ9の制御ポートP1は、半導体スイッチング素子たるPNP型のトランジスタ60のベースに接続されている。このトランジスタ60において、エミッタは、直流電源線Paに接続され、コレクタは、半導体スイッチング素子たるNPN型のトランジスタ61のベースに接続されている。トランジスタ61において、エミッタは、アースされ、コレクタは、リレー62及び扉スイッチ63を直列に介して15Vの直流電源線Pbに接続されている。ここで、扉スイッチ63は、前記扉5の開閉に応じて開(オフ)閉(オン)するようになっている。リレー62の常開のリレースイッチ62aは、100Vの商用交流電源64と給水弁25との間に接続されており、給水弁25は、リレースイッチ62aがオンされると通電されて給水動作を行なうようになっている。従って、トランジスタ60,61及びリレー62は、給水弁25の駆動回路65を構成するものである。
マイクロコンピュータ9の制御ポートP2は、半導体スイッチング素子たるPNP型のトランジスタ66のベースに接続されている。このトランジスタ66において、エミッタは、直流電源線Paに接続され、コレクタは、抵抗67を介して半導体スイッチング素子たるNPN型のトランジスタ68のベースに接続されている。トランジスタ68において、エミッタは、アースされ、コレクタは、リレー69及び扉スイッチ63を直列に介して直流電源線Pbに接続されている。リレー69の常開のリレースイッチ69aは、100Vの商用交流電源64と高電圧発生器50との間に接続されており、高電圧発生器50は、リレースイッチ69aがオンされると商用交流電源64から100Vの交流電源電圧が供給される。高電圧発生器50は、100Vの交流電源電圧が供給されると、これを、変圧器で昇圧し、全波整流回路で全波整流し、更に、平滑回路で平滑して、直流6kVの高電圧電源50Dを発生(作成)する。従って、トランジスタ66,抵抗67,トランジスタ68及びリレー69は、高電圧発生器50の駆動回路70を構成するものである。
そして、半導体スイッチング素子たるNPN型のトランジスタ71は、ベースが前記駆動回路65のトランジスタ60のコレクタに接続され、エミッタがアースされ、コレクタが駆動回路70のトランジスタ68のベースに接続されて、禁止手段たる禁止回路72を構成するようになっている。
ドラム式洗濯乾燥機1には、給水弁25及びミスト発生装置48の高電圧発生器50の他にも、運転を実行するための負荷として、排水弁28,洗濯機モータ29,ファンモータ43、圧縮機46などがあり、図1には示していないが、マイクロコンピュータ9には、これらの負荷に対応して夫々制御ポートが設けられており、それらの制御ポートからの制御信号により駆動回路或いはインバータ回路を介して各負荷が駆動されるようになっている。
このように構成されたドラム式洗濯乾燥機1において、マイクロコンピュータ9は、ミスト発生装置48を動作させてミストを発生させ、当該ミストを循環風路41内を流れる空気とともに水槽11内に供給する除菌コースを実行可能に構成されている。ここで、この除菌コースを実行する場合におけるマイクロコンピュータ9による制御内容について説明する。
操作パネル7を介して除菌コースが選択されると、この除菌コースの初期において、マイクロコンピュータ9は、制御ポートP1からロウレベルの制御信号を出力する(実際には、トランジスタ60のベースをアース電位にする。)。これにより、トランジスタ60がオンし、次いでトランジスタ61がオンして、直流電源線Pb,扉スイッチ63,リレー62,トランジスタ61及びアースの経路でリレー62の通電回路が形成され、リレー62が動作してリレースイッチ62aをオンさせ、以て、駆動回路65が動作状態になる。そして、リレースイッチ62aのオンにより給水弁25が通電されて開放し、給水用管路59及びミスト発生装置48の導水部57を介してミスト発生器49のケース51の貯水タンク部51a内に給水する。
なお、マイクロコンピュータ9の制御ポートP1からの制御信号に基づき駆動回路65のトランジスタ60がオンすると、禁止回路72のトランジスタ71がオンして、トランジスタ68のベースをアース電位にするので、トランジスタ68はオンすることを禁止され、以て、駆動回路70の動作が禁止される。
マイクロコンピュータ9は、所定時間(貯水タンク部51a内に所定水量の水が貯められるのに要する時間)が経過すると、制御ポートP1からの制御信号の出力を停止し、代わりに、制御ポートP2からロウレベルの制御信号を出力する。そして、マイクロコンピュータ9の制御ポートP1からの制御信号の出力停止により、駆動回路65のトランジスタ60がオフして、リレー62が断電されて復帰し、以て、駆動回路65が動作停止状態になる。そして、リレー62の復帰により、リレースイッチ62aがオフし、給水弁25が断電されて閉成して給水を停止する。
更に、マイクロコンピュータ9の制御ポートP2からの制御信号の出力により、駆動回路70のトランジスタ66がオンし、次いでトランジスタ68がオンして、直流電源線Pb,扉スイッチ63,リレー69,トランジスタ68及びアースの経路でリレー69の通電回路が形成され、リレー69が動作してリレースイッチ69aをオンさせ、以て、駆動回路70が動作状態になる。そして、リレースイッチ69aのオンにより高電圧発生器50に商用交流電源64の100Vの電源電圧が供給される。これにより、高電圧発生器50は、6kVの高電圧電源50Dを発生(作成)し、高電圧電源50Dからの負の高電圧が、導電ロッド56,第1の保水材52及び第2の保水材53を介して放電極55に印加されて当該放電極55が負に帯電する。
このとき、筐体2(高電圧電源50Dの正極)の電極作用に基づいて放電極55の先端部に電荷が集中し、当該先端部に含まれる水に表面張力を超えるエネルギーが与えられる。これにより、放電極55の先端部の水が分裂(レイリー分裂)して、当該放電極55の先端部からミスト状に放出されるようになる(静電霧化現象)。ここで、ミスト状に放出された水粒子は、負に帯電しており、そのエネルギーによって生成されたヒドロキシラジカルを含んでいる。従って、強い酸化作用を有するヒドロキシラジカルが放電極55からミストとともに放出されるようになり、当該ヒドロキシラジカルの作用によって除菌や脱臭が可能となる。
更に、マイクロコンピュータ9は、循環用送風機36を所定の回転速度(例えば1500rpm)で駆動し、水槽11内の空気を循環風路41を通して循環させる。これにより、ミスト発生装置48から放出したヒドロキシラジカルを含むミストが循環風路41内を流れる空気とともに水槽11内に供給されるようになり、このように供給されたヒドロキシラジカルによって、水槽11内の洗濯物(衣類など)の除菌や脱臭が可能となる。
なお、上記除菌コースにおいては、使用者は操作パネル7に設けられたモード選択ボタン(図示せず)を介して、第1のモード及び第2のモードの2つのモードを選択可能となっている。第1のモードが選択された場合、マイクロコンピュータ9は、水槽11内へのミストの供給(循環用送風機36の駆動及び高電圧発生器50の駆動)とともに、ドラム12を所定の低速回転(例えば50rpm)にて正逆回転させるようになっている。この第1のモードは、攪拌されてもよい洗濯対象(タンブル可能なもの、例えば、コート、スラックス、マフラーなど)の除菌を行なう場合に適している。一方、第2のモードが選択された場合、マイクロコンピュータ9は、水槽11内へのミストの供給時に、ドラム12を回転させないようになっている。この第2のモードは、攪拌されることが好ましくない洗濯対象(タンブル不可のもの、例えば、ぬいぐるみ、バッグ、革製品など)の除菌を行なう場合に適している。
又、使用者が操作パネル7に設けられたモード選択ボタン(図示せず)を選択することにより、上記除菌コースは、洗い行程,すすぎ行程,脱水行程及び乾燥行程からなる通常の洗濯乾燥運転に組込むことが可能になっている。即ち、この場合には、マイクロコンピュータ9は、洗い行程ないし乾燥行程のうちの乾燥行程の初期,中期或いは終期若しくは乾燥行程の終了後に上記除菌コースを設定時間実施するのである。
ところで、図1の回路構成において、マイクロコンピュータ9の制御ポートP1からの制御信号により駆動回路65が動作して給水弁25が給水動作している場合において、制御ポートP2から誤って制御信号が出力されたときには、駆動回路70のトランジスタ66はオンするが、トランジスタ68のベースは禁止回路72のトランジスタ71のオンによりアース電位にされているので、トランジスタ68はオンせず、駆動回路70は動作しない。この場合、トランジスタ66のオンにより、直流電源線Paがトランジスタ71を介してアースに短絡されるようになるが、これを防止するために抵抗67が接続されている。
又、図1の回路構成において、マイクロコンピュータ9の制御ポートP2からの制御信号により駆動回路70が動作して高電圧発生器50が動作している場合において、制御ポートP1から誤って制御信号が出力されたときには、駆動回路65のトランジスタ60がオンして駆動回路65が動作し、給水弁25が給水動作を開始するが、トランジスタ60のオンにより禁止回路72のトランジスタ71がオンするので、トランジスタ68のベースはトランジスタ71のオンによりアース電位にされている。従って、トランジスタ68はオフし、駆動回路70は動作停止状態になり、高電圧発生器50も停止する。
このように本実施例によれば、高電圧発生器50の駆動回路70に禁止回路72を設けるようにしたので、マイクロコンピュータ9の制御ポートP1及びP2から同時に制御信号が出力された場合に、駆動回路65は動作して給水弁25を給水動作させるが、高電圧発生器50の駆動回路70は禁止回路72によって動作が禁止されるので、高電圧発生器50が動作して高電圧電源50Dを発生させることはない。従って、給水弁25と高電圧発生器50とが同時に動作して、ミスト発生装置48に漏電などが発生することにより、そのミスト発生装置48の高電圧が供給される水を介して給水源に印加される、という問題は全くなくなる。
しかも、高電圧発生器50の駆動回路70に設けられた禁止回路72は、給水弁25の駆動回路65を動作させるためのマイクロコンピュータ9の制御ポートP1からの制御信号に基づいて動作されるので、禁止回路72にこれを動作させるべく制御信号を与えるための制御ポートをマイクロコンピュータ9に増設する必要はない。
(第2の実施例)
図5は、本発明の第2の実施例であり、上記第1の実施例(特に図1)と同一部分には同一符号を付して示す。
この実施例では、駆動回路65におけるトランジスタ60のコレクタとトランジスタ61のベースとの間に抵抗73が接続されている。半導体スイッチング素子たるNPN型のトランジスタ74は、ベースが駆動回路70のトランジスタ66のコレクタに接続され、エミッタがアースされ、コレクタが駆動回路65のトランジスタ61のベースに接続されて、禁止手段たる禁止回路75を構成するようになっている。
而して、マイクロコンピュータ9の制御ポートP2からロウレベルの制御信号が出力されたときには、トランジスタ66がオンして駆動回路70が動作し、高電圧発生器50を動作させる。そして、トランジスタ66のオンにより、禁止回路75のトランジスタ74がオンして駆動回路65のトランジスタ61のベースをアース電位にするので、駆動回路65は動作を禁止される。
上記場合において、マイクロコンピュータ9の制御ポートP1からロウレベルの制御信号が出力されていて、トランジスタ60がオンされて駆動回路65が動作していたときには(給水弁25が給水動作中)、トランジスタ60のオンにより禁止回路72のトランジスタ71がオンして駆動回路70の動作を禁止しており(高電圧発生器50は不動作)、そして、前述した駆動回路70のトランジスタ66のオンに基づく禁止回路75の動作により駆動回路65の動作が禁止され、給水弁25も給水動作を停止する。この場合、トランジスタ60のオンにより、直流電源線Paがトランジスタ74を介してアースに短絡されるようになるが、これを防止するために抵抗73が接続されている。
このように第2の実施例によれば、駆動回路65及び70の双方に禁止回路75及び72を設けるようにしたので、マイクロコンピュータ9の制御ポートP1及びP2から同時に制御信号が出力されたときには、給水弁25及び高電圧発生器50の双方とも動作しないことになり、フェールセーフとなる。
しかも、給水弁25の駆動回路65に設けられた禁止回路75は、高電圧発生器50の駆動回路70を動作させるためのマイクロコンピュータ9の制御ポートP2からの制御信号に基づいて動作されるので、禁止回路75にこれを動作させるべく制御信号を与えるための制御ポートをマイクロコンピュータ9に増設する必要はない。
(その他の実施例)
なお、本発明は、上述の各実施例にのみ限定されるものではなく、次のように変形又は拡張できる。
上記実施例では、トランジスタ,リレーを用いて駆動回路を構成するようにしたが、代わりに、フォトトライアック,トライアック(或いは逆並列接続のIGBT)を用いて駆動回路を構成してもよい。
上記実施例では、給水弁とミスト発生装置(高電圧発生器)の駆動回路に共通に扉スイッチを設けるようにしたが、他の負荷の駆動回路にも共通に設けるようにしてもよく、要は、少なくとも給水弁とミスト発生装置(高電圧発生器)の駆動回路に共通に設けるようにすればよい。なお、この扉スイッチは必要に応じて設ければよい。
上記実施例では、特定の負荷として給水弁、これとは同時動作不可の他の負荷としてミスト発生装置(高電圧発生器)を例示したが、これに限らず、同時動作不可な複数の負荷であれば適用できる。
本発明は、循環風路にヒートポンプ(乾燥機能)を備えたドラム式洗濯乾燥機のみならず、乾燥機能を備えていないドラム式洗濯機、或いは、洗濯機能を備えていない乾燥機にも適用することができるなど、ランドリ機器全般に適用することができる。